説明

保湿化粧料

【課題】 保湿性及び使用性に優れる化粧料の提供という課題を解決する。
【解決手段】
25℃において半固形脂及び/又は固形脂である炭化水素を油相全量に対して60〜95質量%と生体分子類似部分構造を有する重合体又は共重合体とを含有することを特徴とする化粧料を提供する。更に、抱水性油剤を含有する化粧料が好ましく、前記生体分子類似部分構造を有する重合体又は共重合体が、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸(C1〜30)アルキルとの共重合体、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルグルコシド及びポリ(メタ)アクリロイル−L−リジンから選ばれる1種乃至2種以上である化粧料であることが好ましい。
化粧料を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料に関し、更に詳細には、使用感の良い保湿用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
保湿作用は化粧料に於いて重要な機能であり、様々な化粧料が開発されている。保湿作用の化粧料に於ける重要性は、例えば、皮膚を保湿することにより、角層細胞の形状を変化させ、皮膚バリア機能を高める効果に繋がることにも裏付けられる(例えば、特許文献1を参照)。この様な保湿作用を具現化する手段としては、例えば、多価アルコールやヒアルロン酸ナトリウム及びコンドイチン硫酸ナトリウムのような保湿性高分子を配合するなどの手段、(例えば、特許文献2〜4を参照)、トリメチルシロキシケイ酸と、アクリル酸・メタクリル酸アルキル(C10〜30)共重合体と配合する手段(例えば、特許文献5を参照)などが知られている。後者においては、保湿に加えて、優れた使用感を呈する効果も重要な訴求点になっている。その反面には、保湿効果の向上は使用感などの使用性の低下と結びついており、この両立が困難であることが隠れた課題として存する。その他、ポリメタクリロイルリジン等の生体類似構造を有する高分子には、ダメージを受けたり先天的な原因で角質細胞面積が小さくなっていた場合に角質細胞の面積を増大させ、角層強化によるバリア機能の向上を促す性質が知られている。(特許文献6 )。
【0003】
一方、炭化水素はクリーム、乳液、ファンデーションの原料として汎用されており、半固形脂及び固形脂は一般的に化粧料にエモリエント効果を期待した油性成分として、或いは、油相に構造を形成させ、製剤安定化を担う成分として、配合されているが、使用時にあつぼったさ、のびの重さ、皮膜感を感じさせるという使用上の課題が存した。(例えば、特許文献7を参照)。
【0004】
この欠点を補完する目的で抱水性油剤が使用されるが、例えば、ダイマー酸のジエステルやリンゴ酸の分岐脂肪酸エステル、(ピロリドンカルボン酸/脂肪酸)グリセリル等の抱水性油性成分は、閉塞効果による皮膚内の水分保持性を高めるとともに、保持した水分のリリースによりエモリエント効果を奏することが知られている。この為、保湿能を高める成分として化粧品に汎用されている。この様なエモリエント効果により、あつぼったさ等の使用感は改善されるものの、もう一方の被膜感を改善するためには含有量を著しく増やさねばならず、この様な形態を採用することによって、炭化水素の系安定化効果を阻害することも存した。又、通常化粧料は、エモリエント効果とモイスチャー効果のバランスにより保湿性を具現化することから、この様な形態を採用した場合には、エモリエント効果に依存しすぎる課題も存した。即ち、抱水性油剤の含有量を抑えつつ、十分なエモリエント効果を奏する技術の開発が望まれているとも言える。
【0005】
他方、半固形及び/又は固形の炭化水素と、生体分子類似部分構造を有する重合体又は共重合体と、を含有した化粧料が塗布後閉塞効果による水分蒸散の抑制と生体分子類似部分構造を有する重合体又は共重合体による保水効果を顕著に向上させ、かつ使用感がよく皮膜感、つっぱり感がない化粧品として保湿効果と使用感の良さを併せ持つことは知られていなかった。更に抱水性油性成分を含有することにより、保水効果が更に顕著に向上することは全く行われていない。
【0006】
【特許文献1】特開2001−116745号公報
【特許文献2】特開2007−161616号公報
【特許文献3】特開2002−047168号公報
【特許文献4】特開平08−333220号公報
【特許文献5】特開2007−008961号公報
【特許文献6】特開2007−302699号公報
【特許文献7】特開2003−286132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な条件下為されたものであり、保湿性と使用性に優れる化粧料を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】
【0008】
この様な実状に鑑みて、本発明者らは、保湿性と使用性に優れる化粧料を求めて鋭意研究努力を重ねた結果、25℃において半固形又は固形の炭化水素と、生体分子類似部分構造を有する重合体又は共重合体と、を含有する化粧料がこの様な特性を有することを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す通りである。
<1>1)25℃において半固形脂及び/又は固形脂である炭化水素を油相全量に対して60〜95質量%と、2)生体分子類似部分構造を有する重合体又は共重合体から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする、化粧料。
<2>更に、抱水性油剤を含有するものであることを特徴とする、<1>に記載の化粧料。
<3>前記生体分子類似部分構造を有する重合体又は共重合体は、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸(C1〜30)アルキルとの共重合体、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルグルコシド及びポリ(メタ)アクリロイル−L−リジンから選ばれる1種乃至2種以上である<1>又は<2>に記載の化粧料
<4>前記抱水性油性成分は、(ピロリドンカルボン酸/脂肪酸)グリセリルであることを特徴とする、<1>乃至<3>何れか1項に記載の化粧料。
<5>前記抱水性油性成分の含有量は0.001質量%〜5質量%であることを特徴とする、<1>乃至<4>何れか1項に記載の化粧料。
<6>油相の総質量が、化粧料の総質量に対して、10〜20質量%であることを特徴とする、<1>乃至<5>何れか1項に記載の化粧料。

【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保湿性と使用性に優れる化粧料を提供することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の化粧料は、25℃において半固形脂及び固形脂である炭化水素を油相全量に対して60〜95質量%と、2)生体分子類似部分構造を有する重合体又は共重合体とを含有することを特徴とする。
【0011】
本発明の必須成分である25℃において半固形脂、固形脂である炭化水素としては、かかる性状を有し、通常化粧料として使用される炭化水素であれば、特段制限はないが、セレシン、ワセリン、流動パラフィン、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックスやポリエチレン等が好適に例示でき、特にセレシンは閉塞性が高く、より好ましく例示できる。これらの半固形及び/又は固形の炭化水素の含有量は、油相全質量に対して60〜95質量%が好ましく、より好ましくは65〜90質量%であって、化粧料全質量に対しては、1質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましい。この様に、固形乃至は半固形の炭化水素を主成分とする油相を、水性担体に乳化、分散させた形態を採用することにより、皮膚上に均一な炭化水素を主体とする薄膜を形成せしめ、以て、優れた閉塞効果を具現化することが出来る。又、かかる態様により、使用感に於ける被膜感、あつぼったさを軽減できる。下限値より少ないと保湿効果を発揮しない場合が存し、上限値より多いと使用感を損なう場合が存する。
【0012】
本発明の必須成分である生体類似部分構造を有する、重合体、共重合体において、前記生体類似部分構造としては、例えばホスホリルコリン残基、グルコース残基などの糖残基、リジン残基等のアミノ酸残基が好適に例示でき、かかる部分構造を保持する基体としては、メタアクリル酸乃至はそのエステル或いはアミド、アクリル酸乃至はそのエステル或いはアミド、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルアルコール等のモノマーを重合乃至は共重合させたポリマーが好適に例示できる。具体的には、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリル酸ブチル・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリル酸ステアリル・メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどの(メタ)アクリル酸(C1−30)アルキルと(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとの共重合体、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルグルコース、ポリ(メタ)アクリロイルリジン等の(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成モノマーとするポリマー乃至はコポリマーが好ましく例示でき、これらは、対応するモノマーをアゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤の存在下重合乃至は共重合することによって製造できるが、既に市販品も存し、かかる市販品を購入し利用することも出来る。市販品としては、例えば、「Lipidure−NR」(メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸ステアリルの共重合体:登録商標;日本油脂社製)、「Lipidure−HM」(ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン:登録商標;日本油脂社製)、「Lipidure−MBT」(メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸ブチルの共重合体:登録商標;日本油脂社製)、「P−GEMA−S」(ポリグルコシルエチルメタクリレート:日本精化株式会社製)が、PMリジン(ポリメタクリロイルリジン;岐阜セラック製造所製)が好適に例示できる。特に好ましい市販品は、「Lipidure−NR」(メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸ステアリルの共重合体:登録商標;日本油脂社製)である。これらの生体成分類似高分子は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。これらの成分の化粧料中での含有量は、総量で化粧料総量に対して、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.05質量%〜1質量%が更に好ましい。
【0013】
本発明の抱水性油性成分としては、例えば、ダイマーリノール酸ダイマージリノレイルなどのダイマー酸のジエステル、リンゴ酸テトライソステアリン酸エステル等の環状糖と分岐脂肪酸のエステル、ラノリン、ラノリンアルコール、(ピロリドンカルボン酸/脂肪酸)グリセリル等がが例示でき、これらの内では、(ピロリドンカルボン酸/脂肪酸)グリセリルが特に好ましい。かかる成分に於ける、前記脂肪酸は飽和であっても、不飽和であっても、分岐構造や環状構造を有していても良く、炭素数12〜24のものが好ましく、具体的にはラウリン酸残基、ミリスチン酸残基、パルミチン酸残基、ステアリン酸残基、オレイン酸残基、イソステアリン酸残基であることが好ましい、特にオレイン酸残基が好ましい。このような(ピロリドンカルボン酸/脂肪酸)グリセリルからとして市販品を購入し利用できるが、かかる市販品としては太陽化学製のアミグリP30Vが好ましく例示出来る。これらの抱水性油性成分の含有量は、0.001質量%〜5質量%が好ましく、0.001質量%〜0.5質量%が更に好ましい。かかる成分は、エモリエント層の水分保持量を向上せしめ、以て閉塞効果にエモリエント効果を付与することが出来る。又、固形・半固形の炭化水素中に抱水性油性成分を含有せしめることにより、塗布時のエモリエント膜の厚さを薄くして、少量の油相量で優れたエモリエント効果を奏することが出来る。この様な構成を採用することにより、化粧料に於ける油相の含有量は、使用感を損なわない量でエモリエント効果を奏することが出来、この様な量としては、化粧料の総質量に対して、10〜20質量%であることが好ましく、13〜18質量%であることがより好ましい。
【0014】
また、本発明の化粧料は、これら上記の成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を含有することができる。任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン等のオイル、ワックス類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4'−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0015】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみに限定されないことは言うまでもない。

【実施例1】
【0016】
以下に示す処方に従って、化粧料1を調製した。ア、イ、ウの成分をそれぞれ80℃に加熱し、成分を加熱溶解させて、アの成分を均一に撹拌し、これに撹拌下徐々にイの成分を加え、更にウを加えゲルを形成させ、これを真空下、攪拌冷却し、本発明の化粧料である、化粧料1(エッセンス)を調製した。

【0017】
【表1】

【実施例2】
【0018】
下記に示す処方に従い、化粧料1と同様にして化粧料2を調製した。また、化粧料2のアミグリP30Vをステアリン酸ポリエチレングリコールに置換したものを化粧料3とし調製した。
【表2】

【比較例】
【0019】
化粧料1の固形ワセリン及びセレシンを流動パラフィンに置換したものを比較例1、化粧料1のLipidure−NRを水に置換したものをそれぞれ比較例2とした。
【0020】
<効果検証>
化粧料1〜3、比較例1及び2を顔面に塗布し、塗布直後、塗布後2時間後における経皮水分蒸散量の変化をTEWAメーター(サイクロン水分蒸散モニター AS・CT1/DAQ ASAHI BIOMED製)を用いて測定した。以下の式を用いて塗布2時間後の経皮水分蒸散量の変化率(以下単に「変化率」という)を求めた。
変化率(%)=塗布後2時間後の水分蒸散量/塗布直後の水分蒸散量×100
その結果を表3に示す。本発明の化粧料では、水分蒸散量の変化が少なく、比較例に比べ保湿力が高いことが分かる。

【0021】
【表3】

【0022】
<効果実感>
化粧料を何も塗布しないコントロールと、化粧料1〜3或いは比較例1及び2を塗布した場合について、女性被験者5人により保湿実感を検証した。実感は以下の5段階から選択し、点数化し、平均を算出した。結果を表4に示した。
(官能評価の基準)
使用後のしっとり感について
1:しっとり感を感じ保湿実感が高い(5点)
2:ややしっとり感を感じ保湿実感がやや高い(4点)
3:特にしっとり感を感じない(3点)
4:しっとり感を感じず乾燥感をやや感じる(2点)
5:しっとり感を感じずむしろ乾燥した感じ(1点)

【0023】
【表4】

【0024】
本願発明は比較例に比べ顕著に保湿実感が高いことが明らかとなった。
【0025】
<使用実感>
化粧料を何も塗布しないコントロールと、化粧料1〜3,比較例1及び2について、女性被験者5人により使用実感を検証した。実感は以下の5段階から選択し、点数化し、平均を算出した。結果を表5に示した。
(官能評価の基準)
使用後の被膜感について
1:被膜感が全くない(コントロールと同じ)(5点)
2:やや被膜感を感じるが気にならない(4点)
3:特に被膜感が目立つわけではない(3点)
4:やや被膜感が気になる(2点)
5:被膜感を感じ、あつぼったい気がする(1点)

【0026】
【表5】

【実施例3】
【0027】
実施例と同様に下記の処方に従って、化粧料4〜6を製造した。上記の通り求めた水分変化率を表7に示す。同様の効果が確かめられた。
【0028】
【表6】

【0029】
【表7】

【実施例4】
【0030】
実施例1と同様に、化粧料7を製造した。このものの経皮水分蒸散量の変化率は190%であり、抱水性油性成分を配合することにより保水効果が顕著に向上することが確かめられた。

【0031】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、保湿実感の高い化粧料に応用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)25℃において半固形脂及び/又は固形脂である炭化水素を油相全量に対して60〜95質量%と、2)生体分子類似部分構造を有する重合体又は共重合体とを含有することを特徴とする、化粧料。
【請求項2】
更に、抱水性油剤を含有するものであることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記生体分子類似部分構造を有する重合体又は共重合体は、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと(メタ)アクリル酸(C1〜30)アルキルとの共重合体、ポリ(メタ)アクリロイルオキシエチルグルコシド及びポリ(メタ)アクリロイル−L−リジンから選ばれる1種乃至2種以上である請求項1又は2に記載の化粧料
【請求項4】
前記抱水性油性成分は、(ピロリドンカルボン酸/脂肪酸)グリセリルであることを特徴とする、請求項1乃至3何れか1項に記載の化粧料。
【請求項5】
前記抱水性油性成分の含有量は0.001質量%〜5質量%であることを特徴とする、請求項1〜乃至4何れか1項に記載の化粧料。
【請求項6】
油相の総質量が、化粧料の総質量に対して、10〜20質量%であることを特徴とする、請求項1乃至5何れか1項に記載の化粧料。


【公開番号】特開2010−43021(P2010−43021A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207974(P2008−207974)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】