説明

保護機能付電力変換装置及び制御方法

【課題】大電流が流れた際に自動的に電流を遮断する、フルブリッジ型MERS用いて直流交流変換を行う保護機能付電力変換装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】保護機能付電力変換装置1は、フルブリッジ型MERS100と、制御回路200と、電流計300から構成され、直流電流源2と誘導性負荷3の間に接続される。電流計300は、誘導性負荷3に供給される電流値を計測する。制御回路200は、フルブリッジ型MERS100を構成する4つの逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4を切り替えることによって、直流電流源2から出力される電力を交流電力に変換して誘導性負荷3に供給する。また、誘導性負荷3が短絡故障する等して大電流が流れ、電流計300が検出する電流値が所定の値以上になると、制御回路200は全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4をオフにして電流を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護機能付電力変換装置及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導通する電流を制御する装置として、フルブリッジ型の磁気エネルギー回生スイッチ(MERS:Magnetic Energy Recovery Switch)(以下、「フルブリッジ型MERS」と呼称する。)が知られている。
【0003】
フルブリッジ型MERSは、4つの逆導通型半導体スイッチと1つのコンデンサで構成される。フルブリッジ型MERSは、簡単な制御によって電流を制御することが可能である。
【0004】
特許文献1には、フルブリッジ型MERSを用いて直流電源から交流電流を誘導性負荷に供給することができる回路が記載されている。
この回路は、フルブリッジ型MERSを構成する4つの逆導通型半導体スイッチのオン・オフを切り替えることにより、フルブリッジ型MERSのコンデンサと誘導性負荷のインダクタンスとを直列共振させ、コンデンサに発生した電圧により誘導性負荷に交流電流を供給する回路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−092745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、引用文献1に記載の回路は、誘導性負荷が故障して短絡する(以下、短絡故障と呼ぶ)と大電流が流れる可能性があった。大電流が流れることは、逆導通型半導体スイッチが故障したり、逆導通型半導体スイッチのオン・オフの制御が効かなくなったりする原因の一つである。
そのため、誘導性負荷が短絡故障するなどして大電流が流れる場合に、自動的に電流を遮断する方法が求められていた。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたもので、大電流が流れた際に自動的に電流を遮断可能な、フルブリッジ型MERS用いて直流交流変換を行う保護機能付電力変換装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第一の観点に係る保護機能付電力変換装置は、
第1と第2の交流端子と、第1と第2の直流端子と、第1から第4のダイオードと、第1から第4の自己消弧型素子と、前記第1と第2の直流端子の間、あるいは前記第1と第2の交流端子の間に接続されたコンデンサとを備え、前記第1と第2の直流端子の間に直流電流源が接続され、前記第1と第2の交流端子の間に誘導性負荷が接続され、前記第1の交流端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードとが、前記第1の直流端子には前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードとが、前記第2の直流端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードとが、前記第2の交流端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードとが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が並列に接続された磁気エネルギー回生スイッチと、
前記第1の自己消弧型素子と前記第4の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフと、前記第2の自己消弧型素子と前記第3の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフとを、一方のペアがオンの場合は他方のペアがオフになるように所定の周波数で切り替える制御手段と、
前記誘導性負荷に流れる電流を検知し、検知した電流値を出力する電流検知手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記電流検知手段により出力される前記電流値が第1の所定の電流値以上になった後に全ての前記自己消弧型素子をオフにする、
ことを特徴とする。
【0009】
例えば、前記所定の周波数は、前記誘導性負荷のインダクタンスと前記コンデンサの容量とで定まる共振周波数以下の周波数である。
【0010】
例えば、前記制御手段は、前記電流検知手段により出力される電流値が前記第1の所定の電流値以上になった後に、所定の時間が経過すると、全ての前記自己消弧型素子をオフにする。
【0011】
例えば、前記制御手段は、前記電流検知手段により出力される電流値が第1の所定の電流値以上になった後に、前記電流検知手段により出力される電流値が第2の所定の電流値以下になると、全ての前記自己消弧型素子をオフにして電流を遮断する。
【0012】
また、前記コンデンサの両端電圧を検知し、検知した電圧値を出力する電圧検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記電流検知手段により出力される電流値が前記第1の所定の電流値以上になった後に、前記電圧検知手段により出力される電圧値が所定の電圧値以下になると、全ての前記自己消弧型素子をオフにしてもよい。
【0013】
例えば、前記制御手段は、前記電流検知手段が出力する電流値が前記第1の所定の電流値以上になった後に、前記電圧検知手段により出力される電圧値が略0になると、全ての前記自己消弧型素子をオフにする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明の第二の観点に係る保護機能付電力変換装置は、
第1と第2の交流端子と、第1と第2の直流端子と、第1から第4のダイオードと、第1から第4の自己消弧型素子と、前記第1と第2の直流端子の間、あるいは前記第1と第2の交流端子の間に接続されたコンデンサとを備え、前記第1と第2の直流端子の間に直流電流源が接続され、前記第1と第2の交流端子の間に誘導性負荷が接続され、前記第1の交流端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードとが、前記第1の直流端子には前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードとが、前記第2の直流端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードとが、前記第2の交流端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードとが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が並列に接続された磁気エネルギー回生スイッチと、
前記第1の自己消弧型素子と前記第4の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフと、前記第2の自己消弧型素子と前記第3の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフとを、一方のペアがオンの場合は他方のペアがオフになるように所定の周波数で切り替える制御手段と、
前記コンデンサの両端電圧を検知し、検知した電圧値を出力する電圧検知手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記電圧検知手段により出力される電圧値が略0である時間が所定の時間を超えると、全ての前記自己消弧型素子をオフにする、
ことを特徴とする。
【0015】
例えば、コイルを更に備え、
前記直流電流源は、該コイルと直流電圧源との直列回路であってもよい。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明の第三の観点に係る制御方法は、
第1と第2の交流端子と、第1と第2の直流端子と、第1から第4のダイオードと、第1から第4の自己消弧型素子と、前記第1と第2の直流端子の間、あるいは前記第1と第2の交流端子の間に接続されたコンデンサとを備え、前記第1と第2の直流端子の間に直流電流源が接続され、前記第1と第2の交流端子の間に誘導性負荷が接続され、前記第1の交流端子には第1のダイオードのアノードと第2のダイオードのカソードとが、前記第1の直流端子には前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードとが、前記第2の直流端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードとが、前記第2の交流端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードとが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が並列に接続された磁気エネルギー回生スイッチにおいて、
前記第1の自己消弧型素子と前記第4の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフと、前記第2の自己消弧型素子と前記第3の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフとを、一方のペアがオンの場合は他方のペアがオフになるように所定の周波数で切り替えるステップと、
前記誘導性負荷に流れる電流を検知し、検知した電流値を出力するステップと、
前記電流値が第1の所定の電流値以上になった後に全ての前記自己消弧型素子をオフにするステップと、
を備えることを特徴とする。
【0017】
また、上記目的を達成するため、本発明の第四の観点に係る制御方法は、
第1と第2の交流端子と、第1と第2の直流端子と、第1から第4のダイオードと、第1から第4の自己消弧型素子と、前記第1と第2の直流端子の間、あるいは前記第1と第2の交流端子の間に接続されたコンデンサとを備え、前記第1と第2の直流端子の間に直流電流源が接続され、前記第1と第2の交流端子の間に誘導性負荷が接続され、前記第1の交流端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードとが、前記第1の直流端子には前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードとが、前記第2の直流端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードとが、前記第2の交流端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードとが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が並列に接続された磁気エネルギー回生スイッチにおいて、
前記第1の自己消弧型素子と前記第4の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフと、前記第2の自己消弧型素子と前記第3の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフとを、一方のペアがオンの場合は他方のペアがオフになるように所定の周波数で切り替えるステップと、
前記コンデンサの両端電圧を検知し、検知した電圧値を出力するステップと、
前記電圧値が略0である時間が所定の時間を超えると、全ての前記自己消弧型素子をオフにするステップと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フルブリッジ型MERSを用いて直流交流変換を行うことができ、かつ、過電流が流れると、自動的に電流を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る保護機能付電力変換装置の構成を示す図である。
【図2】図1の保護機能付電力変換装置の電流の経路を示す図である。
【図3】図1の保護機能付電力変換装置の電流の経路を示す図である。
【図4】図1の保護機能付電力変換装置の電流の経路を示す図である。
【図5】図1の保護機能付電力変換装置の電流の経路を示す図である。
【図6】図1の保護機能付電力変換装置の電流の経路を示す図である。
【図7】図1の保護機能付電力変換装置の電流の経路を示す図である。
【図8】図1の保護機能付電力変換装置の電流の経路を示す図である。
【図9】図1の保護機能付電力変換装置の電流の経路を示す図である。
【図10】図1の保護機能付電力変換装置の動作に伴う負荷電流と負荷電圧の変化を示す図である。
【図11】図1の保護機能付電力変換装置の応用例を示す図である。
【図12】図1の保護機能付電力変換装置の応用例を示す図である。
【図13】図1の保護機能付電力変換装置の応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態に係る保護機能付電力変換装置1を、図面を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、保護機能付電力変換装置1は、フルブリッジ型MERS100と、制御回路200と、電流計300と、から構成されており、直流電流源2と、誘導性負荷3との間に接続されている。
フルブリッジ型MERS100は、4つの逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4と、コンデンサCMと、交流端子AC1,AC2(AC:Alternating Current)と、直流端子DCP,DCN(DC:Direct Current)と、から構成されている。
フルブリッジ型MERS100の逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、ダイオード部DSW1乃至DSW4と、ダイオード部DSW1乃至DSW4に並列に接続されたスイッチ部SSW1乃至SSW4と、スイッチ部SSW1乃至SSW4に配置されたゲートGSW1乃至GSW4と、から構成されている。
逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、例えば、Nチャンネル型シリコンMOSFET(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0022】
直流電流源2は、コイルLdcと直流電圧源VSとの直列回路で構成されている。コイルLdcと直流電圧源VSとの直列回路は、フルブリッジ型MERS100の直流端子DCP−DCN間に接続されている。
【0023】
誘導性負荷3は、フルブリッジ型MERS100の交流端子AC1−AC2間に接続されている。
【0024】
フルブリッジ型MERS100の交流端子AC1は、ダイオード部DSW1のアノードとダイオード部DSW2のカソードとが接続され、直流端子DCPは、ダイオード部DSW1のカソードとダイオード部DSW3のカソードとコンデンサCMの正極とが接続され、直流端子DCNは、ダイオード部DSW2のアノードとダイオード部DSW4のアノードとコンデンサCMの負極とが接続され、交流端子AC2は、ダイオード部DSW3のアノードとダイオード部DSW4のカソードとが接続されている。
【0025】
直流電圧源VSは、直流電圧を出力する、例えば、蓄電池である。直流電圧源VSの出力する電圧は、例えば175Vである。
【0026】
コイルLdcは、直流電圧源VSの出力する電力をフルブリッジ型MERS100に安定的に供給させる。
コイルLdcのインダクタンスは、例えば、10ミリHである。
【0027】
誘導性負荷3は、例えば、誘導加熱コイル、モータ等の誘導性負荷から構成され、インダクタンスLと抵抗Rの直列回路で表される。
【0028】
電流計300は、誘導性負荷3に流れる電流を検出し、検出した電流値を制御回路200に出力する。
【0029】
フルブリッジ型MERS100は、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4のオン・オフが周期的に切り替わることで、直流端子DCP−DCN間から供給された電流を交流電流に変換して交流端子AC1−AC2間に出力する。
【0030】
逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4のオン・オフは、スイッチ部SSW1乃至SSW4のオン・オフが切り替わることによって切り替わる。
ゲートGSW1乃至GSW4にオン信号が入力されるとスイッチ部SSW1はオンになり、ゲートGSW1乃至GSW4にオフ信号が入力されるとスイッチ部SSW1乃至SSW4はオフになる。
逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、スイッチ部SSW1乃至SSW4がオンの場合、ダイオードDSW1乃至DSW4がオンのスイッチ部SSW1乃至SSW4によって短絡される。スイッチ部SSW1乃至SSW4がオンの場合、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、ダイオードDSW1乃至DSW4が機能する。
制御回路200の出力するゲート信号SG1乃至SG4により、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4のオン・オフは切り替わる。
【0031】
コンデンサCMは、誘導性負荷3の内部リアクタンスと、共振周波数frで共振する。コンデンサCMは、誘導性負荷3の内部リアクタンスと共振することによって、誘導性負荷3に蓄えられた磁気エネルギーを、電荷の形で静電エネルギーとして蓄積・回生する。コンデンサCMの容量は、例えば1.6ミリFである。
【0032】
制御回路200は、フルブリッジ型MERS100を構成する4つの逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4のゲートGSW1乃至GSW4に、ゲート信号SG1乃至SG4を供給する。ゲート信号SG1乃至SG4は、オン信号とオフ信号からなり、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4のオン・オフを切り替える。
制御回路200は、例えば、コンパレータ、フリップフロップ、タイマ、振動子等から構成される電子回路である。
【0033】
ゲート信号SG1乃至SG4は、予め設定された周波数fを有し、そのデューティ比が0.5の信号であり、ゲート信号SG1並びにゲート信号SG4と、ゲート信号SG2並びにゲート信号SG3とは、互いにほぼ逆相の信号である。周波数fは、コンデンサCMと誘導性負荷3の内部リアクタンスとの共振周波数frより小さく設定される。周波数fが共振周波数frより小さいため、コンデンサCMは、周波数fの半周期の間に、誘導性負荷3の内部リアクタンスに蓄えられた磁気エネルギーを一時的に静電エネルギーとして蓄え、蓄えた静電エネルギーを完全に回生する。
また、全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4がオンだとコンデンサCMが短絡してしまうので、全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4がオンになることがないように、ゲート信号SG1乃至SG4は制御されている。
【0034】
また、制御回路200は、電流計300から出力される電流値の絶対値が予め設定された閾値を超えた後に、予め設定された所定の時間が経過すると全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4をオフにする。
【0035】
例えば、電流計300から出力される電流値の絶対値が300Aを超えると、制御回路200は、タイマで時間をカウントし、2マイクロ秒をカウントすると、ゲートSW1乃至SW4にオフ信号を出力して、全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4をオフにする。
なお、電流計300から出力される電流値の絶対値が300Aを超えてから2マイクロ秒が経過するまで、制御回路200はゲート信号SG1乃至SG4を切り替えず、オンの逆導通型半導体スイッチはオンのままに、オフの逆導通型半導体スイッチはオフのままにする。
【0036】
保護機能付電力変換装置1は、閾値を超える電流が誘導性負荷3に流れると全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4をオフにすることにより、誘導性負荷3に供給される電流を自動的に遮断して、誘導性負荷3並びに各素子を保護する。
【0037】
次に、上記構成をした保護機能付電力変換装置1の具体的な動作と、この動作に伴う誘導性負荷3に流れる電流について、図2乃至図9を参照して説明する。図2乃至図9は、保護機能付電力変換装置1に流れる電流の経路を定性的に説明する図である。図中の矢印は電流の流れる向きを説明するものである。
以下、コイルLdcのインダクタンスは10ミリHで、誘導性負荷3の抵抗Rは0.6Ω,コイルLのインダクタンスは6ミリHで、コンデンサCMの容量は1.6ミリFで、直流電圧源VSの出力は175Vであるとして説明する。
また、制御回路200は、電流計300から出力される電流値が300Aを超えると、タイマで時間をカウントし、2マイクロ秒後に全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4をオフするとして説明する。
【0038】
初期状態は、ゲート信号SG2とSG3はオフ信号で、ゲート信号SG1とSG4はオン信号で、コンデンサCMの電圧Vcmと誘導性負荷3に印加される電圧Vloadは共に略0で、電流が後述する図7の経路で流れている時刻T0の状態であるとする。
【0039】
(時刻T1−T2)
周波数fによってゲート信号SG1乃至SG4を切り替える時刻T1において、制御回路200は、ゲート信号SG2とSG3をオン信号にし、ゲート信号SG1とSG4をオフ信号にする。逆導通型半導体スイッチSW2,SW3はオンになり、逆導通型半導体スイッチSW1,SW4はオフになる。
電流は、図2に示すように、誘導性負荷3から交流端子AC2を通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW3を介して直流端子DCPを通り、コンデンサCMの正極に流れ入る。コンデンサCMの陰極から流れだす電流は、直流端子DCNを通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW2を介して交流端子AC1を通り、誘導性負荷3を流れる。
【0040】
(時刻T2−T3)
共振によるコンデンサCMの充電が終わる時刻T2において、コンデンサCMは放電を始め、電流は図3に示すように流れ始める。電流は、誘導性負荷3から交流端子AC1を通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW2を介して直流端子DCNを通り、コンデンサCMの負極に流れ入る。コンデンサCMの正極から流れだす電流は、直流端子DCPを通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW3を介して交流端子AC2を通り、誘導性負荷3を流れる。
【0041】
(時刻T3−T4)
コンデンサCMの電荷が略0になる時刻T3において、コンデンサCMの両端電圧がおおよそ等しくなるため、電流は図4に示すように流れ始める。電流は、交流端子AC1を通り、オフの逆導通型半導体スイッチSW1とオンの逆導通型半導体スイッチSW3とを介して交流端子AC2を通るルートと、交流端子AC1を通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW2とオフの逆導通型半導体スイッチSW4とを介して交流端子AC2を通るルートと、の2つのルートで誘導性負荷3に流れる。
【0042】
(時刻T4−T5)
周波数fによってゲート信号SG1乃至SG4を切り替える時刻T4において、制御回路200は、ゲート信号SG2とSG3をオフ信号にし、ゲート信号SG1とSG4をオン信号にする。逆導通型半導体スイッチSW2,SW3はオフになり、逆導通型半導体スイッチSW1,SW4はオンになる。
電流は、図5に示すように流れる。電流は、誘導性負荷3から交流端子AC1を通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW1を介して直流端子DCPを通り、コンデンサCMの正極に流れ入る。コンデンサCMの陰極から流れだす電流は、直流端子DCNを通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW4を介して交流端子AC1を通り、誘導性負荷3を流れる。
【0043】
(時刻T5−T6)
共振によるコンデンサCMの充電が終わる時刻T5において、コンデンサCMは放電をし始め、電流は図6に示すように流れる。電流は、誘導性負荷3から交流端子AC2を通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW4を介して直流端子DCNを通り、コンデンサCMの負極に流れ入る。
コンデンサCMの正極から流れだす電流は、直流端子DCPを通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW1を介して交流端子AC1を通り、誘導性負荷3を流れる。
【0044】
(時刻T6−T7)
コンデンサCMの電荷が略0になる時刻T6において、コンデンサCMの両端電圧が略等しくなるため、電流は図7に示すように流れ始める。電流は、交流端子AC2を通り、オフの逆導通型半導体スイッチSW3とオンの逆導通型半導体スイッチSW1とを介して交流端子AC1を通るルートと、交流端子AC2を通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW4とオフの逆導通型半導体スイッチSW2とを介して交流端子AC1を通るルートと、の2つのルートで誘導性負荷3に流れる。
【0045】
(時刻T7−T8)
周波数fによってゲート信号SG1乃至SG4を切り替える時刻T7において、制御回路200は、再びゲート信号SG2とSG3をオン信号にし、ゲート信号SG1とSG4をオフ信号にする。電流は、再び、図2に示す経路で流れる。
【0046】
上述の動作を繰り返すことによって、保護機能付電力変換装置1は、交流電流を誘導性負荷3に供給する。
【0047】
時刻T8で、誘導性負荷3が例えば、金属短絡を起こし、抵抗RとインダクタンスLが短絡したとする。
時刻T8は、例えば、ゲート信号SG2とSG3がオン信号で、ゲート信号SG1とSG4がオフ信号で、コンデンサCMに電圧が発生しており、負荷電流Iloadが正であるとする。
【0048】
誘導性負荷3が短絡すると、誘導性負荷3の抵抗Rによって生じていた電圧降下がなくなり、負荷に流れる負荷電流Iloadの量は急激に上昇する。負荷電流Iloadは、コンデンサCMに蓄積されていた電荷が開放されることによって流れる電流Iaと、回路内の線路インダクタンスに蓄積されていた磁気エネルギーが開放されることによって流れる電流Ibと、直流電流源2から流れる電流Icと、の合わさったものである。
【0049】
コンデンサCMに蓄積されていた電荷による電流Iaは、コンデンサCMが短絡されることにより短時間で流れなくなり、共振は発生しなくなる。
回路内の線路インダクタンスに蓄積されていた磁気エネルギーによって流れる電流Ibは、線路インダクタンスが小さいため短時間で流れなくなる。
【0050】
直流電流源2から短絡した誘導性負荷3を流れる電流Icは、図8に示すような経路で流れる。直流電流源2が出力する電流は、直流端子DCPを通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW1を介して交流端子AC1を通り、短絡した誘導性負荷3を介して交流端子AC2を通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW4を介して直流端子DCNを通って、直流電流源2に戻る。
【0051】
直流電流源2から故障した誘導性負荷3に流れる電流Icは、誘導性負荷3が短絡故障を起こした時点から発生し、次式で示される増加量dIload/dtで増えていく。
dIload/dt=Ed/Lldc
(Ed:直流電圧源VSの出力する電圧、Lldc:コイルLdcのインダクタンス)
【0052】
つまり、コイルLdcのインダクタンスLldcによって、単位時間当たりの電流Icの増加量を制御することができる。インダクタンスLldcが小さければ電流Icは急激に増加し、インダクタンスLldcが大きければ電流Icは緩やかに増加する。
よって、コイルLdcのインダクタンスがLldc大きければ、誘導性負荷3が短絡故障してから短時間のうちに大電流が流れて逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4が破壊故障したり、オン・オフが制御できなくなったりすることはない。
本実施例では、Edは175Vで、Lldcは10ミリHなので、誘導性負荷3が短絡してから2マイクロ秒の間に電流Icはおよそ35ミリAになる。逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4を導通する電流は高々35ミリAである。
【0053】
制御回路200は、電流計300が検出する電流値の絶対値が300Aを超えると、タイマで時間をカウントする。秒制御回路200はタイマが2マイクロ秒をカウントした時刻T9で、全てのゲート信号SG1乃至SG4をオフ信号にする。
上述の通り、本実施例では、短絡故障から2マイクロ秒後に逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4に流れる電流は高々35ミリAなので、全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4はオフになる。よって、直流電圧源VSからコイルLdcを介して誘導性負荷3に供給される電流は、フルブリッジ型MERS100によって遮断される。
【0054】
従来の電圧型のインバータではコイルLdcの役割を果たすものがないため、短絡故障で発生する電流の量は短時間でとても大きいものになる。短絡故障が起きた時点で電流を遮断したとしても、各スイッチング素子のオン・オフが切り替わるまでに間に多大な電流が流れ、各スイッチング素子の電流容量を超える可能性がある。そのため、従来の電圧型のインバータにおいて電流値に対応して電流を遮断する制御は好ましくない。
本発明では、直流電流源の内部インダクタンスやコイルLdcがあるため短絡電流が緩やかに増加する。そのため、短絡故障で起こる電流を確実に遮断することができる。
【0055】
上述の動作によって、保護機能付電力変換装置1は、誘導性負荷3に交流電力を供給し、例えば短絡故障によって、誘導性負荷3に大電流が流れた場合に、誘導性負荷3に供給される電流を自動的に遮断する。
【0056】
なお、逆導通型半導体スイッチSW1,SW4がオフで、逆導通型半導体スイッチSW2,SW3がオンである場合に誘導性負荷3が短絡故障すると、直流電流源2からコイルLdcを介して短絡した誘導性負荷3を流れる電流は図9のように流れる。直流電流源2が出力する電流は、直流端子DCPを通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW3を介して交流端子AC2を通り、短絡した誘導性負荷3を介して交流端子AC1を通り、オンの逆導通型半導体スイッチSW2を介して直流端子DCNを通って、直流電流源2に戻る。
【0057】
図10に、上記構成の保護機能付電力変換装置1を動作させた場合の、誘導性負荷3に流れる負荷電流Iloadと印加される負荷電圧Vloadと、コンデンサCMの電圧Vcmと、ゲート信号SG1乃至SG4と、の関係の概念図を示す。なお、誘導性負荷3に流れる負荷電流Iloadは交流端子AC1から誘導性負荷3を介して交流端子AC2に流れる向きを正であるとし、誘導性負荷3に流れる負荷電圧Vloadは交流端子AC2に対する交流端子AC1の電位である。ただし、図10は、理解を容易にするために、時刻T8−時刻T9を時間軸方向に拡大して表示している。
【0058】
時刻T0から時刻T8までは、上述したように、ゲート信号SG1乃至SG4の切り替わりに応じて、コンデンサ電圧Vcmが充放電を繰り返し、コンデンサ電圧Vcmが負荷電圧Vloadとして誘導性負荷3に印加され、交流電流が誘導性負荷3に流れることがわかる。
時刻T8で誘導性負荷3が短絡し、負荷電流Iloadが閾値を超えてから略2マイクロ秒後の時刻T9において、ゲート信号SG1乃至SG4はオフ信号となり、負荷電流Iloadが自動的に遮断されていることがわかる。
【0059】
以上説明した通り、保護機能付電力変換装置1は、直流電流源に接続することで、モータや誘導加熱装置などの誘導性負荷に交流電力を供給することができ、誘導性負荷に大電流が流れた場合は、誘導性負荷に供給される電流を自動的に遮断することができる。
また、閾値を超える電流が流れた直後ではなく、2マイクロ秒後にゲートSW1乃至SW4がオフになるので、コンデンサCMの放電が完了しており、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4が遮断する電流の量は少ない。
そのため、保護機能付電力変換装置1は安全に回路を遮断することができる。
【0060】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施形態に限られるものではない。
【0061】
例えば、上記実施形態では、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、スイッチ部と寄生ダイオードからなるNチャンネル型MOSFETとして説明した。しかし、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、逆導電型のスイッチであればよく、電界効果トランジスタや、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)や、ゲートターンオフサイリスタ(GTO:Gate Turn−Off thyristor)や、ダイオードとスイッチの組み合わせでもよい。
【0062】
また、上記実施例は、制御回路200は、誘導性負荷3に供給される電流が閾値を超えると、2マイクロ秒後に全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4をオフするとしたが、時間は2マイクロ秒に限らない。
例えば、5マイクロ秒後や、10マイクロ秒後でもよく、調整可能である。
【0063】
また、図1に示す保護機能付電力変換装置1において、電流計300が検出する誘導性負荷3に供給される電流値が閾値を超えた後で、電流計300が検出する電流値が所定の電流値以下になると、制御回路200が全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4をオフにしてもよい。例えば、電流計が300Aを超える電流を検出した後に、この電流が1A以下になると、制御回路200は、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4にオフ信号を出力しても良い。
【0064】
また、上記実施例では、誘導性負荷3が完全に短絡した場合を例にして説明したが、閾値を調整することで誘導性負荷3が部分的に短絡した場合でも適応できる。
【0065】
また、図11のように、コンデンサCMの両端電圧を計測する電圧計400を接続し、電流計300が検出する電流値が閾値を超えた後で、電圧計400が計測する電圧値が所定の電圧値以下になると、制御回路200が全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4をオフにしてもよい。
この場合、特にコンデンサCMの両端電圧が略0になったことに応じて、制御回路200が逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4を全てオフにしてもよい。
また、電流計300が検出する電流値が閾値を超えた後で、所定の時間が経過し、かつ電圧計400が計測する電圧値が所定の電圧値以下になると、制御回路200が全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4をオフにしてもよい。
【0066】
また、誘導性負荷3が完全に短絡すると、誘導性負荷3のコイルLとコンデンサCMとが共振しなくなるため、コンデンサCMが放電した後は、再び電荷が蓄積されることはない。そのため、電流計300の検出する電流値に依らず、電圧計400の計測する電圧値が一定時間以上略0を保持した場合に、制御回路200が全ての逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4をオフにしてもよい。
これによって、誘導性負荷3が完全に短絡した場合に、誘導性負荷3への電力の供給を自動的に遮断することができる。コンデンサCMに電荷が蓄積されていない場合に短絡故障が起こった場合には、負荷電流Iloadが所定の電圧値以上にならないことがあり得るので、この方法は誘導性負荷3が完全に短絡した場合にはより効果的である。
【0067】
また、図12に示すように、フルブリッジ型MERS100において、直流端子DCP−DCN間に配置されたコンデンサCMの代わりに、交流端子AC1−AC2間に無極性のコンデンサCPを接続してもよい。ゲート信号等に変更はない。
フルブリッジ型MERS100の逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4のオン・オフの切り替わりに伴い、直流電源2から交流端子AC1あるいはAC2を介して供給される電力によって、インダクタLとコンデンサCPは共振を繰り返す。
この場合、図2乃至図7で説明した流路での共振が、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4を介さずに繰り返されるため、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4に電流負担が減少する。そのため、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4の寿命が延びる。
もちろんコンデンサCPとコンデンサCMとの両方を備えることも可能である。この場合の共振周波数は、コンデンサCMとコンデンサCPとの合成容量とインダクタLのインダクタンスによって定まる。
【0068】
また、図13に示すように、コンデンサCMとコンデンサCPの両方を備えても良い。
【0069】
また、制御回路200は、上述した制御をする電子回路として説明したが、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶手段を備えたマイクロコンコントローラ(以下、「マイコン」と呼称する。)などのコンピュータであってもよい。
特に、制御回路200がマイコンである場合、マイコンの出力する1と0の信号に対して逆導通型半導体スイッチがオン・オフするように、逆導通型半導体スイッチとマイコンを組み合わせれば、マイコンの出力で逆導通型半導体スイッチのオン・オフを切り替えられるので、部品数が少なく済む。
この場合は、例えば、上述したゲート信号を出力するようなプログラムを、予めマイコンに記憶させればよい。
【0070】
また、コンピュータに上述の制御を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magnet Optical Disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0071】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有する外部記憶装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 保護機能付電力変換装置
2 直流電流源
3 誘導性負荷
100 フルブリッジ型MERS
200 制御回路
300 電流計
400 電圧計
VS 直流電圧源
L インダクタンス
Ldc コイル
R 抵抗
AC1,AC2 交流端子
DCP,DCN 直流端子
SW1,SW2,SW3,SW4 逆導通型半導体スイッチ
DSW1,DSW2,DSW3,DSW4 ダイオード部
SSW1,SSW2,SSW3,SSW4 スイッチ部
GSW1,GSW2,GSW3,GSW4 ゲート
CM,CP コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1と第2の交流端子と、第1と第2の直流端子と、第1から第4のダイオードと、第1から第4の自己消弧型素子と、前記第1と第2の直流端子の間、あるいは前記第1と第2の交流端子の間に接続されたコンデンサとを備え、前記第1と第2の直流端子の間に直流電流源が接続され、前記第1と第2の交流端子の間に誘導性負荷が接続され、前記第1の交流端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードとが、前記第1の直流端子には前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードとが、前記第2の直流端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードとが、前記第2の交流端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードとが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が並列に接続された磁気エネルギー回生スイッチと、
前記第1の自己消弧型素子と前記第4の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフと、前記第2の自己消弧型素子と前記第3の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフとを、一方のペアがオンの場合は他方のペアがオフになるように所定の周波数で切り替える制御手段と、
前記誘導性負荷に流れる電流を検知し、検知した電流値を出力する電流検知手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記電流検知手段により出力される前記電流値が第1の所定の電流値以上になった後に全ての前記自己消弧型素子をオフにする、
ことを特徴とする保護機能付電力変換装置。
【請求項2】
前記所定の周波数は、前記誘導性負荷のインダクタンスと前記コンデンサの容量とで定まる共振周波数以下の周波数である、
ことを特徴とする請求項1に記載の保護機能付電力変換装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記電流検知手段により出力される電流値が前記第1の所定の電流値以上になった後に、所定の時間が経過すると、全ての前記自己消弧型素子をオフにする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の保護機能付電力変換装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記電流検知手段により出力される電流値が第1の所定の電流値以上になった後に、前記電流検知手段により出力される電流値が第2の所定の電流値以下になると、全ての前記自己消弧型素子をオフにする、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の保護機能付電力変換装置。
【請求項5】
前記コンデンサの両端電圧を検知し、検知した電圧値を出力する電圧検知手段を更に備え、
前記制御手段は、前記電流検知手段により出力される電流値が前記第1の所定の電流値以上になった後に、前記電圧検知手段により出力される電圧値が所定の電圧値以下になると、全ての前記自己消弧型素子をオフにする、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の保護機能付電力変換装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記電流検知手段が出力する電流値が前記第1の所定の電流値以上になった後に、前記電圧検知手段により出力される電圧値が略0になると、全ての前記自己消弧型素子をオフにする、
ことを特徴とする請求項5に記載の保護機能付電力変換装置。
【請求項7】
第1と第2の交流端子と、第1と第2の直流端子と、第1から第4のダイオードと、第1から第4の自己消弧型素子と、前記第1と第2の直流端子の間、あるいは前記第1と第2の交流端子の間に接続されたコンデンサとを備え、前記第1と第2の直流端子の間に直流電流源が接続され、前記第1と第2の交流端子の間に誘導性負荷が接続され、前記第1の交流端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードとが、前記第1の直流端子には前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードとが、前記第2の直流端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードとが、前記第2の交流端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードとが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が並列に接続された磁気エネルギー回生スイッチと、
前記第1の自己消弧型素子と前記第4の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフと、前記第2の自己消弧型素子と前記第3の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフとを、一方のペアがオンの場合は他方のペアがオフになるように所定の周波数で切り替える制御手段と、
前記コンデンサの両端電圧を検知し、検知した電圧値を出力する電圧検知手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記電圧検知手段により出力される電圧値が略0である時間が所定の時間を超えると、全ての前記自己消弧型素子をオフにする、
ことを特徴とする保護機能付電力変換装置。
【請求項8】
コイルを更に備え、
前記直流電流源は、該コイルと直流電圧源との直列回路である、
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の保護機能付電力変換装置。
【請求項9】
第1と第2の交流端子と、第1と第2の直流端子と、第1から第4のダイオードと、第1から第4の自己消弧型素子と、前記第1と第2の直流端子の間、あるいは前記第1と第2の交流端子の間に接続されたコンデンサとを備え、前記第1と第2の直流端子の間に直流電流源が接続され、前記第1と第2の交流端子の間に誘導性負荷が接続され、前記第1の交流端子には第1のダイオードのアノードと第2のダイオードのカソードとが、前記第1の直流端子には前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードとが、前記第2の直流端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードとが、前記第2の交流端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードとが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が並列に接続された磁気エネルギー回生スイッチにおいて、
前記第1の自己消弧型素子と前記第4の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフと、前記第2の自己消弧型素子と前記第3の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフとを、一方のペアがオンの場合は他方のペアがオフになるように所定の周波数で切り替えるステップと、
前記誘導性負荷に流れる電流を検知し、検知した電流値を出力するステップと、
前記電流値が第1の所定の電流値以上になった後に全ての前記自己消弧型素子をオフにするステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項10】
第1と第2の交流端子と、第1と第2の直流端子と、第1から第4のダイオードと、第1から第4の自己消弧型素子と、前記第1と第2の直流端子の間、あるいは前記第1と第2の交流端子の間に接続されたコンデンサとを備え、前記第1と第2の直流端子の間に直流電流源が接続され、前記第1と第2の交流端子の間に誘導性負荷が接続され、前記第1の交流端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードとが、前記第1の直流端子には前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードとが、前記第2の直流端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードとが、前記第2の交流端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードとが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が並列に接続された磁気エネルギー回生スイッチにおいて、
前記第1の自己消弧型素子と前記第4の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフと、前記第2の自己消弧型素子と前記第3の自己消弧型素子とで構成されるペアのオン・オフとを、一方のペアがオンの場合は他方のペアがオフになるように所定の周波数で切り替えるステップと、
前記コンデンサの両端電圧を検知し、検知した電圧値を出力するステップと、
前記電圧値が略0である時間が所定の時間を超えると、全ての前記自己消弧型素子をオフにするステップと、
を備えることを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−147299(P2011−147299A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7487(P2010−7487)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(507149648)株式会社MERSTech (22)
【Fターム(参考)】