説明

信号伝送回路、スキュー補正方法及び画像読取装置

【課題】様々なビットパターンのデータ信号において生じるスキューの進みと遅れのバランスを調整することができる信号伝送回路、スキュー補正方法及び画像読取装置を提供する。
【解決手段】信号伝送回路100は、クロック信号CLK及びデータ信号DATAをパラレルの信号ラインを介して個別に送受信する送信部110及び受信部120とを備え、データ信号DATAが送信される信号ラインには、信号ラインが延長されてなる遅延部125が設けられる。遅延部125の遅延量は、受信したH/Lトグル信号(HとLが交互に繰り返される信号)HLTとクロック信号CLKとの時間差平均に基づいて定められる。遅延部125の遅延量をこのように調整することで様々なビットパターンのデータ信号DATAで生じるスキューの進みと遅れのバランスを調整し、全体的なスキュー補正量を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送回路、スキュー補正方法及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿の画像を読み取った高解像度の画像データを画像処理する画像読取装置においては、画像データ等のデジタル信号を高速で伝送するため内部バスなどにLVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式の信号伝送回路が用いられている。かかる信号伝送回路においては、データの伝送レートの高速化に伴いクロック信号とデータ信号とのタイミングがずれるスキューの増加が問題となる。
【0003】
LVDS方式でシリアル信号に変調されたデータ信号のビット間のスキューを抑制するために、例えば特許文献1には、伝送されたデータ信号に対しそれぞれ異なる位相調整を行う複数のレシーバ回路と、入力信号が変化しない期間の長さを検知するパターン検知回路と、パターン検知回路の検出結果に応じて前記レシーバ回路の出力のいずれかを選択する信号選択回路を備えた入力バッファ回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−174609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、様々なビットパターンのデータ信号において生じるスキューの進みと遅れのバランスを調整することができる信号伝送回路、スキュー補正方法及び画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]クロック信号及びデータ信号をパラレルの信号ラインを介して個別に送信する送信部と、前記送信部から送信される前記クロック信号及びデータ信号をそれぞれ受信する受信部と、前記送信部と前記受信部との間で前記データ信号が送信される前記信号ラインに設けられる遅延量が調整可能な遅延部と、を備える信号伝送回路。
【0007】
[2]前記遅延部の遅延量は、前記クロック信号に対する前記データ信号の平均的な時間差に基づいて定められる、前記[1]に記載の信号伝送回路。
【0008】
[3]前記遅延部は、前記クロック信号が送信される前記信号ラインよりも前記データ信号の長さが延長された延長部からなる、、前記[1]又は[2]に記載の信号伝送回路。
【0009】
[4]パラレルの信号ラインを介して個別に送信され受信部で受信されるクロック信号とデータ信号との時間差を予め測定する第1のステップと、測定された前記時間差に基づいて、前記データ信号が送信される前記信号ラインに設けられる遅延部の遅延量を調整する第2のステップと、受信部で受信されるクロック信号と前記遅延部を通して遅延されたデータ信号とを同期させる第3のステップと、を備えるスキュー補正方法。
【0010】
[5]前記第1のステップでは、高電位と低電位が交互に繰り返されるトグル信号を仮のデータ信号として前記受信部が受信することにより前記時間差を測定する、前記[4]に記載のスキュー補正方法。
【0011】
[6]原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部を制御しかつ前記画像読取部が読み取った画像を処理する画像読取制御部とを備え、前記画像読取制御部の内部バスに前記[1]乃至[3]の何れかに記載の信号伝送回路が配された画像読取装置。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、2、4及び5に記載の発明によれば、様々なビットパターンのデータ信号において生じるスキューの進みと遅れのバランスを調整することができ、スキュー補正量を抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加え、遅延部を簡素な構成で実現することができる。
【0014】
請求項6に記載の発明によれば、画像読取制御部内の信号伝送回路において、様々なビットパターンのデータ信号において生じるスキューの進みと遅れのバランスを調整することができ、スキュー補正量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る信号伝送回路の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示した受信部の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図3(a)乃至(d)は、クロック信号に対する位相遅れ又は位相進みが極端に生じるデータ信号のビットパターンをそれぞれ示すタイムチャートである。
【図4】図4は、遅延部の遅延量の選定に用いるH/Lトグル信号の波形を示す図である。
【図5】図5(a)は、遅延部の遅延量が実質的にゼロの状態でスキュー量を測定した結果を例示する図である。図5(b)は、遅延部の遅延量を調整した後に測定されるスキュー量の結果を例示する図である。
【図6】図6は、本発明の第2の実施の形態に係る受信部の回路構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の第3の実施の形態に係る信号伝送回路の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の第4の実施の形態に係る画像読取装置の構成例を示す図である。
【図9】図9は、図8に示した画像読取装置の制御システムの構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図中、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る信号伝送回路100の構成を示すブロック図である。信号伝送回路100は、信号の送信部110と受信部120とを備える。
【0018】
送信部110は、クロック源111と、分周部112と、クロック出力バッファ113と、データ変調部114と、データ出力バッファ115とを備える。
【0019】
クロック源111は、パラレルに分割した伝送ラインの1レーンにおける1bitの信号伝送に必要な基準クロックSCLKを出力する。
【0020】
分周部112は、クロック源111からの基準クロックSCLKを8分周した、例えば72MHzのクロック信号CLKをクロック出力バッファ113に出力するとともに、基準クロックSCLKを1クロックごとに位相シフトしたシフト信号をデータ変調部114に出力する。
【0021】
データ変調部114は、分周部112からのシフト信号に同期して、1レーン当たり例えば7bitのデジタル信号を基準クロックSCLKずつシフトさせた時間位置に各bitのデータを順次割り当てることで、デジタル信号をシリアルのデータ信号DATAに変調する。そして、データ変調部114は、その変調したデータ信号DATAをデータ出力バッファ115に出力する。ここで、データ信号DATAの時間長は、クロック信号CLKの1周期に相当する。
【0022】
クロック出力バッファ113は、クロック信号CLKをクロックライン131に差動出力する。データ出力バッファ115は、データ信号DATAをデータライン132に差動出力する。
【0023】
次に、受信部120は、クロック入力バッファ121と、データ入力バッファ122と、同期調整部123と、データ復調部124と、遅延部125とを備える。ここで、図2は、受信部120の回路構成を示すブロック図である。
【0024】
クロック入力バッファ121は、クロックライン131を介して伝送されてきたクロック信号CLKの差動信号を受信し、同期調整部123に出力する。
【0025】
データ入力バッファ122は、データライン132を介して伝送されてきたデータ信号DATAを受信し、遅延部125に出力する。
【0026】
同期調整部123は、クロック入力バッファ121で受信されたクロック信号CLKと、データ入力バッファ122で受信され遅延部125を通して遅延されたデータ信号DATAとの位相差を比較し、その位相差に基づくラッチ信号をデータ復調部124に出力する。データ復調部124は、同期調整部123とともにPLL(Phase Locked Loop)回路を構成し、クロック信号CLKとデータ信号DATAとを同期させるスキュー補正を行う。そして、データ復調部124は、データ信号DATAの時間軸に割り当てられたbitデータを順次ラッチすることで、例えば7bitのデジタルのデータに復調する。
【0027】
遅延部125は、図2に示されるように、受信部120が形成されるチップにおいて、複数回蛇行する配線パターンからなるデータラインの延長部により構成される。遅延部125は、当初は短絡して形成され(実質的に遅延量がゼロ)、レーザ等のトリミングにより遅延量(遅延時間)が増す方向に調整可能とされている。すなわち、次に説明される方法で選定される遅延量だけデータ信号DATAに遅れが生じるように、クロックラインよりもラインが長くトリミングされる。遅延部125の遅延量が調整されることにより、クロック信号CLKに対する様々なビットパターンのデータ信号DATAに生じる遅れと進み位相のバランスが調整され、同期調整部123によるスキュー補正量が全体的に抑制される。
【0028】
(遅延部における遅延量の調整方法)
図3(a)乃至(d)は、データ伝送されるデータ信号DATAにおいて、クロック信号CLKに対する位相遅れ又は位相進みが極端に生じるビットパターンをそれぞれ示すタイムチャートである。なお、図3において、信号の高い位置を高電位Hとし、信号の低い位置を低電位Lとする(図4において同じ)。
【0029】
例えば図3(a)には、クロック信号CLKの立ち上がりでラッチすべきデータがHであり、その前にLの状態が少なくとも2bit以上続くデータ信号DATAのビットパターンP1が示されている。このようなビットパターンP1のデータ信号DATAは、クロック信号CLKに対し通常遅れを生じる。ここでは、このビットパターンP1のデータ信号DATAによる遅れ時間をTd1とする。
【0030】
図3(b)には、クロック信号CLKの立ち上がりでラッチすべきデータがLであり、その前の1bitのみがHであるデータ信号DATAのビットパターンP2が示されている。このようなビットパターンP2のデータ信号DATAは、クロック信号CLKに対し通常速く立ち下る。ここでは、このビットパターンP2のデータ信号DATAによる進み時間をTl1とする。
【0031】
また、図3(c)には、クロック信号CLKの立ち上がりでラッチすべきデータがLであり、その前にHの状態が少なくとも2bit以上続くデータ信号DATAのビットパターンP3が示されている。このようなビットパターンP3のデータ信号DATAは、クロック信号CLKに対し通常遅れを生じる。ここでは、このビットパターンP3のデータ信号DATAによる遅れ時間をTd2とする。
【0032】
また、図3(d)には、クロック信号CLKの立ち上がりでラッチすべきデータがHであり、その前の1bitのみがLであるデータ信号DATAのビットパターンP4が示されている。このようなビットパターンP4のデータ信号DATAは、クロック信号CLKに対し通常速く立ち上がる。ここでは、このビットパターンP4のデータ信号DATAによる進み時間をTl2とする。
【0033】
このように、データ信号DATAのビットパターンに応じてクロック信号CLKに対するデータ信号DATAの時間差(位相遅れ又は位相進みのスキュー量)が生じるが、その量は実際に送られてくるデータ信号DATAのビットパターンや伝送レートによってまちまちである。そこで、本実施の形態では、図4に示されるような1bitずつHとLが交互に繰り返される波形のH/Lトグル信号HLTをダミーのデータ信号DATAとして用いて、信号伝送回路100における平均的なスキュー量(時間差)を予め測定する。そして、その平均的なスキュー量に基づいて遅延部125における遅延量を選定する。
【0034】
図5(a)は、遅延部125が調整される前の短絡した状態(実質的に遅延量がゼロ)で、各ビットパターンにおけるスキュー量を測定した結果の一例である。この例では、H/Lトグル信号HLTを用いた場合、クロック信号CLKに対して平均で約100psec(10−10秒)の位相進みが生じている。また、ビットパターンP1とP3のデータ信号DATAの場合には、20〜180psecの位相遅れが生じ、ビットパターンP2とP4のデータ信号DATAの場合には、150〜300psecの位相進みが生じることがわかる。
【0035】
図5(b)は、同じ信号伝送回路100において、遅延部125の遅延量を調整した後のスキュー量を測定した結果の例である。本実施の形態では、遅延部125が調整される前の測定結果(図5(a))に基づいて、H/Lトグル信号HLTにおけるスキュー量の平均である100psecが遅延部125の遅延量として選定される。なお、遅延部125の遅延量の調整のためにスキュー量の平均値を測定する際には、統計学上十分に信頼できる数だけサンプリングすることが望ましい。
【0036】
そして、遅延部125は、図2に示されたような蛇行する配線パターンの短絡部をレーザ等でトリミングすることで、データラインの長さに基づく遅延量(遅延時間)が調整される。遅延量が調整された遅延部125により、様々なビットパターンで送られてくるデータ信号DATAが一様にその遅延時間だけ遅延することとなる。その結果、図5(b)に示されるように、各パターンのデータ信号DATAに生じるスキューの進みと遅れのオフセットのバランスが全体的に調整される。したがって、遅延量が調整された後はどのようなビットパターンのデータ信号DATAが伝送されたとしても、後段の同期調整部123においてなされるスキュー補正の補正量を従来よりも少なくすることができる。
【0037】
なお、図3に示したようなクロック信号CLKに対する位相遅れ又は位相進みが極端に生じるビットパターンP1乃至P4のダミーのデータ信号DATAを用いて信号伝送回路100におけるスキュー量(Td1,Tl1,Td2,Tl2)の平均を測定し、その平均値を遅延部125の遅延量に選定してもよい。
【0038】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る受信部120の回路構成を示すブロック図である。この第2の実施の形態では、データ入力バッファ122の出力段に遅延素子を直列に複数配置した遅延部126が設けられる。
【0039】
遅延部126は、当初全ての遅延素子が短絡した状態(実質的に遅延量がゼロ)で形成され、レーザ等のトリミングにより遅延素子ごとに短絡部が切断されて遅延量が増す方向に調整可能とされている。遅延部126の遅延量の調整に際しては、はじめに遅延部126の遅延量が実質的にゼロの状態でH/Lトグル信号HLTを受信し、クロック信号CLKに対するH/Lトグル信号HLTの時間差(進み位相)を測定する。そして、その時間差の平均値を遅延部126の遅延量として選定する。
【0040】
次に、選定された遅延量に相当する数だけ遅延部126の短絡部を遅延素子ごとにトリミングして切断することで、遅延部126の遅延量を調整する。なお、第1の実施の形態と同様に、図3に示したクロック信号CLKに対する位相遅れ又は位相進みが極端に生じるビットパターンP1乃至P4のダミーのデータ信号DATAを用いてスキュー量(Td1,Tl1,Td2,Tl2)の平均を測定し、その平均値を遅延部126の遅延量に選定してもよい。
【0041】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る信号伝送回路100の構成を示すブロック図である。この第3の実施の形態では、データ出力バッファ115とデータ入力バッファ122とを接続するデータライン132の途中に遅延部127が設けられる。
【0042】
遅延部127は、例えばデータライン132に設けた配線や信号ケーブルの延長部として形成することができる。また、上述した第1又は第2の実施の形態と同様にチップ上のトリミングが可能な配線パターンとして遅延部127を構成してもよい。遅延部127を構成する配線の延長部分の長さは、第1の実施の形態と同様にH/Lトグル信号HLT、又は、図3に示したビットパターンP1乃至P4のデータ信号DATAにより測定されるスキュー量(Td1,Tl1,Td2,Tl2)の平均値に基づいて選定される。
【0043】
[第4の実施の形態]
図8は、本発明の第4の実施の形態に係る画像読取装置1の構成例を示す図である。画像読取装置1は、原稿20を搬送する原稿搬送部2と、原稿20の表面20aの画像を読み取る表面画像読取部3と、原稿搬送部2に設けられ原稿20の裏面20bの画像を読み取る裏面画像読取部4とを備える。
【0044】
(原稿搬送部)
原稿搬送部2は、画像が記録された原稿20が配置される給紙台21と、搬送された原稿20が排出される排紙台22と、原稿20を給紙台21から排紙台22へ搬送する搬送機構23とを備える。
【0045】
搬送機構23は、給紙台21に配置された複数の原稿20の束から原稿20を1枚ずつ分離する分離ロール230と、分離した原稿20を搬送する搬送ロール231と、原稿20を表面画像読取部3に搬送する読取ロール232と、原稿20を裏面画像読取部4に案内する案内ロール233と、原稿20を排紙台22に排出する排出ロール234とを備える。
【0046】
(表面画像読取部)
表面画像読取部3は、照明光を発生する光源30と、光源30からの照明光を第1又は第2の読取領域3a,3bに導く導光体31と、光源30からの照明光が第1又は第2の読取領域3a,3bにおける原稿20の表面20aで反射した反射光を反射する第1乃至第3のミラー32A〜32Cと、第1乃至第3のミラー32A〜32Cに導かれた反射光を集光する縮小光学系のレンズ33と、レンズ33により集光された光を受光する受光部の一例であるCCD(Charge Coupled Device)センサ34とを備える。
【0047】
また、表面画像読取部3は、光源30、導光体31、第1乃至第3のミラー32A〜32C、レンズ33,及びCCDセンサ34を収容する筐体35を有し、筐体35の上部にはプラテンガラス等の光透過性の部材からなる原稿配置台36を設けている。
【0048】
光源30、導光体31及び第1のミラー32Aは、矢印Aで示す副走査方向に移動可能な第1のキャリッジ37Aに固定され、第2のミラー32B及び第3のミラー32Cは、第2のキャリッジ37Bに固定される。原稿配置台36上の原稿面からCCDセンサ34の受光面までの光路長が常に一定に保持されるように、第2のキャリッジ37Bは、第1のキャリッジ37Aの1/2の移動量で副走査方向Aに移動可能に構成されている。第1及び第2のキャリッジ37A、37Bは、原稿配置台36に配置された原稿20の表面20aの画像を読み取るときに、不図示のモータからなる駆動部39により副走査方Aに移動するように構成される。
【0049】
原稿配置台36の第1の読取領域3aの両端部には、第1及び第2の白基準板38A、38Bが設けられ、第2の読取領域3bの近傍には主走査方向Bに沿って第3の白基準板38Cが設けられている。第1乃至第3の白基準板38A〜38Cは、例えば白色の樹脂板、白塗装された金属板等を用いることができる。
【0050】
(裏面画像読取部)
裏面画像読取部4は、固定密着型のイメージセンサ(CIS:Compact Image Sensor)40を備えており、原稿が搬送される読取位置に白色の白基準板49がイメージセンサ40に対向して設けられる。白基準板49は、画像のシェーディング補正等に用いる白基準データを得るための基準板であり、例えば白色の樹脂板又は白色に塗装された金属板等を用いることができる。
【0051】
イメージセンサ40は、原稿20の裏面20bに照明光を照射する光源41と、光源41からの照明光が原稿20の裏面20bで反射した反射光を集光するロッドレンズアレイ42と、ロッドレンズアレイ42により集光された反射光を受光するラインセンサ43と、ラインセンサ43が実装される基板45とを備えて構成される。
【0052】
イメージセンサ40の光源41としては、主走査方向に沿って配列された複数のLED(Light Emitting Diode)が用いられる。ロッドレンズアレイ42は、多数の円柱状の単一レンズが同じ径方向に密着してライン状に配列されてなる撮像用のレンズからなる。
【0053】
ラインセンサ43には、例えば16〜24個のセンサチップ431が基板44上に実装される。また、1つのセンサチップ431には、例えば304個の光電変換素子431aが同一のCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)プロセスで形成される。
【0054】
(制御系)
図9は、画像読取装置1の制御システムの構成を例示するブロック図である。画像読取装置1における主な動作制御は画像読取制御装置10により行われる。画像読取制御装置10は、表面画像読取部3の駆動及び原稿20の表面20aの読み取りを制御する表面画像読取制御部300と、裏面画像読取部4による原稿20の裏面20bの読み取りを制御する裏面画像読取制御部400と、画像読取装置1の全体を統括して制御するコントローラ500とを備える。
【0055】
コントローラ500には、ユーザによる画像の読み取り指示等の操作を受け付ける操作パネル14と、読み取り指示等に応じて搬送機構23の分離ロール230、搬送ロール231、読取ロール232、案内ロール233、排出ロール234等を駆動する搬送機構駆動部24が接続される。
【0056】
表面画像読取制御部300には、表面画像読取部3の光源30、第1及び第2のキャリッジ37A,37Bを駆動する駆動部39及びCCDセンサ34が接続される。
【0057】
裏面画像読取制御部400には、裏面画像読取部4のイメージセンサ40に備えられる光源41及びラインセンサ43が接続される。
【0058】
この第4の実施の形態では、表面画像読取制御部300及び裏面画像読取制御部400の内部バスに上述した第1乃至第3の実施の形態に係る信号伝送回路100が適用される。また、表面画像読取部3と表面画像読取制御部300との間、裏面画像読取部4と裏面画像読取制御部400との間、又はコントローラ500と表面画像読取制御部300若しくは裏面画像読取制御部400との間のデータ伝送系に第1乃至第4の実施の形態に係る信号伝送回路100を適用することもできる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で種々の変形・応用が可能である。例えば、画像読取部が生成するRGBの画像データ信号を画像読取装置の外部に設けた画像処理装置へデータ伝送する場合や、画像読取装置から画像形成装置へのデータ伝送系にも適用できる。
【符号の説明】
【0060】
1…画像読取装置、2…原稿搬送部、3…表面画像読取部、3a…第1の読取領域、3b…第2の読取領域、4…裏面画像読取部、5…画像形成装置、5A…本体部、6…画像形成部、7…トレイ部、10…画像読取制御装置、14…操作パネル、17…原稿カバー、20…原稿、20a…表面、20b…裏面、21…給紙台、22…排紙台、23…搬送機構、24…搬送機構駆動部、30…光源、31…導光体、32A…第1のミラー、32B…第2のミラー、32C…第3のミラー、33…レンズ、34…CCDセンサ、35…筐体、36…原稿配置台、37A…第1のキャリッジ、37B…第2のキャリッジ、38A〜38C…白基準板、39…駆動部、40…イメージセンサ、41…光源、42…ロッドレンズアレイ、43…ラインセンサ、44…基板、49…白基準板、100…信号伝送回路、110…送信部、111…クロック源、112…分周部、113…クロック出力バッファ、114…データ変調部、115…データ出力バッファ、120…受信部、121…クロック入力バッファ、122…データ入力バッファ、123…同期調整部、124…データ復調部、125,126,127…遅延部、131…クロックライン、132…データライン、230…分離ロール、231…搬送ロール、232…読取ロール、233…案内ロール、234…排出ロール、300…表面画像読取制御部、400…裏面画像読取制御部、431…センサチップ、431a…光電変換素子、500…コントローラ、CLK…クロック信号、DATA…データ信号、HLT…H/Lトグル信号、P1,P2,P3,P4…データ信号のビットパターン、SCLK…基準クロック、Td1,Td2…遅れ時間、Tl1,Tl2…進み時間



【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号及びデータ信号をパラレルの信号ラインを介して個別に送信する送信部と、
前記送信部から送信される前記クロック信号及びデータ信号をそれぞれ受信する受信部と、
前記送信部と前記受信部との間で前記データ信号が送信される前記信号ラインに設けられ遅延量が調整可能な遅延部と、を備える信号伝送回路。
【請求項2】
前記遅延部の遅延量は、前記クロック信号に対する前記データ信号の平均的な時間差に基づいて定められる、請求項1に記載の信号伝送回路。
【請求項3】
前記遅延部は、前記クロック信号が送信される前記信号ラインよりも前記データ信号の長さが延長された延長部からなる、請求項1又は2に記載の信号伝送回路。
【請求項4】
パラレルの信号ラインを介して個別に送信され受信部で受信されるクロック信号とデータ信号との時間差を予め測定する第1のステップと、
測定された前記時間差に基づいて、前記データ信号が送信される前記信号ラインに設けられる遅延部の遅延量を調整する第2のステップと、
受信部で受信されるクロック信号と前記遅延部を通して遅延されたデータ信号とを同期させる第3のステップと、を備えるスキュー補正方法。
【請求項5】
前記第1のステップでは、高電位と低電位が交互に繰り返されるトグル信号を仮のデータ信号として前記受信部が受信することにより前記時間差を測定する、請求項4に記載のスキュー補正方法。
【請求項6】
原稿の画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部を制御しかつ前記画像読取部が読み取った画像を処理する画像読取制御部とを備え、
前記画像読取制御部の内部バスに前記請求項1乃至3の何れかに記載の信号伝送回路が配された画像読取装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−104927(P2012−104927A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249842(P2010−249842)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】