説明

信号処理方法、信号処理デバイス及び光画像計測装置

【課題】複数の受光素子からなるラインセンサのEVEN出力信号とODD出力信号との間に生じる強度のズレに起因するノイズを低減させることができる信号処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】CCDイメージセンサ120によって得られた受光信号に基づいて光源からの出力光の強度に相当する背景成分の強度情報とノイズ成分の強度情報を求め、背景成分の強度情報とノイズ成分の強度情報に基づいて補正量の大きさを算出し、補正量の大きさに基づいて補正係数を算出する。その補正係数に基づいて複数の群による受光信号間の強度のズレ補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、信号処理方法、信号処理デバイス及び光画像計測装置に関する。光画像計測装置はラインセンサを用いて被測定物体の画像を形成するものである。具体的には、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:以下「OCT」という場合がある)、或いはライン走査型レーザー検眼鏡(Line Scanning Laser Ophthalmoscope:以下、「L−SLO」という場合がある)がある。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ光源等からの光ビームを用いて被測定物体の表面形態や内部形態を表す画像を形成するOCTが注目を集めている。OCTは、X線CTのような人体に対する侵襲性を持たないことから、特に医療分野や生物学分野における応用の展開が期待されている。たとえば眼科分野においては、眼底や角膜等の画像を形成する装置が実用化段階に入っている。
【0003】
特許文献1にはOCTを適用した装置が開示されている。この装置は、測定腕が回転式転向鏡(ガルバノミラー)により物体を走査し、参照腕に参照ミラーが設置されており、その出口に計測腕及び参照腕からの光束の干渉光の強度を分光器で分析する干渉器が設けられている。更に、参照腕は、参照光光束位相を不連続な値で段階的に変えるように構成されている。
【0004】
特許文献1の装置は、いわゆる「フーリエドメインOCT(Fourier Domain OCT)」の手法を用いるものである。すなわち、被測定物体に対して低コヒーレンス光のビームを照射し、その反射光と参照光とを重ね合わせて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル強度分布を取得してフーリエ変換を施すことにより画像データを取得する。この画像データに基づいて被測定物体の深度方向(z方向)の形態を画像化するものである。なお、このタイプの手法は、特にスペクトラルドメイン(Spectral Domain)とも呼ばれる。
【0005】
更に、特許文献1に記載の装置は、光ビーム(信号光)を走査するガルバノミラーを備え、それにより被測定物体の所望の測定対象領域の画像を形成するようになっている。この装置においては、z方向に直交する1方向(x方向)にのみ光ビームを走査するように構成されているので、この装置により形成される画像は、光ビームの走査方向(x方向)に沿った深度方向(z方向)の2次元断層像となる。
【0006】
OCTを用いた装置を眼科分野に適用すると、高精細の画像を取得できる点、更には断層像や3次元画像を取得できる点などにおいて、眼底カメラ等に対して優位性を持つ。
【0007】
ここで、フーリエドメインOCTでは一般に、干渉光のスペクトル強度分布を取得するために、複数の受光素子が一列に配置されたラインセンサ(ラインCCD)が用いられる。
【0008】
なお、L−SLOにおいてもラインセンサ(ラインCCD)が用いられる方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−325849号公報
【特許文献2】特公2005−529669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
例えば図11、12に示すように、ラインセンサ1000には複数の受光素子1001(i)(i=0,1,・・・・・,N−1)が直線状に配列されている。ラインセンサ1000は受光素子1001(i)の偶数番目(EVEN)の素子の出力と奇数番目(ODD)の素子の出力をそれぞれ一群(EVEN側タップ1003、ODD側タップ1004)にまとめた、いわゆる2タップ方式のものである。
【0011】
このラインセンサ1000で干渉光を受光する場合、図11に示すように各受光素子1001(i)の中心位置(図11における各受光素子1001(i)の破線の交わっている位置)に干渉光のスポット光1002(i)(i=0,1,・・・・・,N−1)が当たる場合、受光素子の偶数番目の出力信号(EVEN出力信号)と奇数番目の出力信号(ODD出力信号)の間に強度のズレが生じることはない。従ってこれら出力信号に基づく画像は、当該ズレによるノイズの影響を受けることはない。
【0012】
一方、図12に示すように各受光素子1001(i)の中心位置からズレた位置に干渉光のスポット光1002(i)が当たる場合、EVEN出力信号とODD出力信号の間に強度のズレが生じ、画像にノイズが混入することが知られている。
【0013】
この発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、その目的は、EVEN出力信号とODD出力信号との間に生じる強度のズレに起因するノイズを低減させることが可能な信号処理方法、信号処理デバイス及び光画像計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、実施の形態に記載の信号処理方法は、光源からの出力光の被測定物体による反射光を受光して電気信号を生成する複数の受光素子を有し、前記複数の受光素子を複数の群に分け、前記複数の受光素子により生成された電気信号に対して群ごとにゲインをかけて受光信号を生成する受光手段からの受光信号を処理する信号処理方法であって、前記出力光の強度に相当する背景成分の強度情報とノイズ成分の強度情報を求めるステップと、前記背景成分の強度情報と前記ノイズ成分の強度情報に基づいて補正量の大きさを算出するステップと、前記補正量の大きさに基づいて補正係数を算出するステップと、前記補正係数に基づいて前記複数の群による受光信号間の強度のズレを補正するステップと、を有することを特徴とする。
また、実施の形態に記載の信号処理デバイスは、光源からの出力光の被測定物体による反射光を受光して電気信号を生成する複数の受光素子を有し、前記複数の受光素子を複数の群に分け、前記複数の受光素子により生成された電気信号に対して群ごとにゲインをかけて受光信号を生成する受光手段からの受光信号を処理する信号処理デバイスであって、前記受光信号が入力される入力部と、前記出力光の強度に相当する背景成分の強度情報とノイズ成分の強度情報を求める強度情報取得手段と、前記背景成分の強度情報と前記ノイズ成分の強度情報に基づいて補正量の大きさを算出する補正量算出手段と、前記補正量算出手段によって算出された補正量の大きさに基づいて補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記補正係数算出手段によって算出された補正係数に基づいて前記複数の群による受光信号間の強度のズレを補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
また、実施の形態に記載の光画像計測装置は、被測定物体に対して照射する光を発生させる光源と、前記被測定物体を経由した前記光を受光する複数の受光素子を有し、前記複数の受光素子を複数の群に分け、前記複数の受光素子により生成された電気信号に対して群ごとにゲインをかけて受光信号を生成する受光手段と、前記出力光の強度に相当する背景成分の強度情報とノイズ成分の強度情報を求める強度情報取得手段と、前記背景成分の強度情報と前記ノイズ成分の強度情報に基づいて補正量の大きさを算出する補正量算出手段と、前記補正量算出手段によって算出された補正量の大きさに基づいて補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記補正係数算出手段によって算出された補正係数に基づいて前記複数の群による受光信号間の強度のズレを補正する補正手段と、前記補正手段により補正された受光信号に基づく画像を表示する表示手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本実施の形態にかかる信号処理方法、信号処理デバイス及び光画像計測装置は、出力光の強度に相当する背景成分の強度情報とノイズ成分の強度情報に基づいて補正量の大きさを算出し、当該補正量の大きさに基づいて補正係数を算出する。そして当該補正係数に基づいて受光信号との強度のズレを補正することができる。従って、受光素子に対して光が当たる位置のズレによって生じるEVEN出力信号とODD出力信号との間の強度のズレに起因するノイズを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明に係る光画像計測装置の実施形態の構成の一例を表す概略図である。
【図2】この発明に係る演算制御ユニットの実施形態の構成の一例を表す概略図である。
【図3】実施の形態1に係る画像形成部の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図4】実施の形態1に係る画像形成部の実施形態の動作の一例を表すフローチャートである。
【図5A】図4のフローチャートの説明を補足するグラフ図である。
【図5B】図4のフローチャートの説明を補足するグラフ図である。
【図6A】ノイズ低減前の画像を示す図である。
【図6B】この発明に係るノイズ低減処理が行われた画像を示す図である。
【図7】実施の形態2に係る画像形成部の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図8】実施の形態2に係る画像形成部の実施形態の動作の一例を表すフローチャートである。
【図9】実施の形態3に係る画像形成部の構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図10】実施の形態3に係る画像形成部の実施形態の動作の一例を表すフローチャートである。
【図11】一般的なラインセンサの構成を表す概略図である。
【図12】一般的なラインセンサの構成を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
光画像計測装置の実施の形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本実施の形態においては、ラインセンサを用いる光画像計測装置として光コヒーレンストモグラフィ(OCT)を用いたものについて説明を行うが、これに限られない。例えばライン走査型レーザー検眼鏡(L−SLO)のような装置であっても同様の構成を適用できる。
【0018】
以下の実施の形態においては、光源からの出力光の強度に相当する背景成分の強度情報として、フーリエ変換により得られたデータから求められた出力光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分の強度を表す自己相関強度情報を用いて説明を行う。またノイズ成分の強度情報として、フーリエ変換により得られたデータから求められたナイキスト周波数に相当する成分の強度を表すナイキスト周波数強度情報を用いて説明を行う。なお、本実施の形態においてナイキスト周波数に相当する成分を用いているのは複数の受光素子を2つの群(ODD群、EVEN群)に分けているためである。
【0019】
光画像計測装置は、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)を用いて被測定物体(例えば眼底)の断層像を形成する。この光画像計測装置には、フーリエドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィを適用することが可能である。なお、光コヒーレンストモグラフィによって取得される画像をOCT画像と呼ぶことがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。
【0020】
〔OCTユニット〕
OCTユニット100には、被測定物体Aの断層像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のフーリエドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、低コヒーレンス光を参照光と信号光に分割し、被測定物体を経由した信号光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光をスペクトル分解した後、そのスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット200に送られる。
【0021】
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、たとえば1050〜1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
【0022】
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
【0023】
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて信号光LSと参照光LRに分割される。なお、ファイバカプラ103は、光を分割する手段(スプリッタ;splitter)、及び、光を合成する手段(カプラ;coupler)の双方の作用を有するが、ここでは慣用的に「ファイバカプラ(干渉手段)」と称する。
【0024】
信号光LSは、光ファイバ104により導光され、コリメータレンズユニット105により平行光束となり、スキャンユニット105aを介して被測定物体Aに照射される。信号光LSは、被測定物体Aにおいて散乱、反射される。この散乱光及び反射光をまとめて信号光LSの反射光と称することがある。信号光LSの反射光は、同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれる。なお、スキャンユニット105aは、被測定物体Aに対して信号光LSをスキャンするものであり、図示しないガルバノミラー等を含んで構成される。
【0025】
参照光LRは、光ファイバ106により導光され、コリメータレンズユニット107により平行光束となる。更に、参照光LRは、ミラー108、109、110により反射され、ND(Neutral Density)フィルタ111により減光され、ミラー112に反射され、コリメータレンズ113により参照ミラー114の反射面に結像される。参照ミラー114に反射された参照光LRは、同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれる。なお、分布補償用の光学素子(ペアプリズム等)や、偏光補正用の光学素子(波長板等)を参照光LRの光路(参照光路)に設けてもよい。
【0026】
ファイバカプラ103は、信号光LSの被測定物体反射光と、参照ミラー114に反射された参照光LRとを合波する。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ115により導光されて出射端116から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ117により平行光束とされ、回折格子118により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ119により集光されてCCDイメージセンサ120の受光面に投影される。なお、図1に示す回折格子118は透過型であるが、反射型の回折格子を用いてもよい。
【0027】
CCDイメージセンサ120は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ120は、この電荷を蓄積して検出信号を生成する。更に、CCDイメージセンサ120は、この検出信号を演算制御ユニット200に送る。
【0028】
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
【0029】
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について図2を用いて説明する。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ120から入力される検出信号を解析して被測定物体AのOCT画像を形成する。この演算制御ユニット200は、信号処理デバイスの一例である。
【0030】
演算制御ユニット200は、表示装置3(表示手段)及びOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、被測定物体Aの断層像等のOCT画像を表示装置3に表示させる。
【0031】
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、スキャンユニット105aの動作制御、参照ミラー114及びコリメータレンズ113の移動制御、CCDイメージセンサ120の動作制御などを行う。
【0032】
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ120からの検出信号に基づいてOCT画像を形成する専用の回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
【0033】
表示装置3、OCTユニット100及び演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、それぞれ別体として構成されていてもよい。
【0034】
〔制御系〕
光画像計測装置の制御系の構成について図2を参照しつつ説明する。
【0035】
(制御部)
光画像計測装置の制御系は、演算制御ユニット200の制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。
【0036】
制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。主制御部211は、前述の各種制御を行う。特に、主制御部211は、OCTユニット100の光源ユニット101及び参照駆動部130を制御する。
【0037】
参照駆動部130は、たとえばパルスモータを含んで構成され、参照光LRの進行方向に沿って、コリメータレンズ113及び参照ミラー114を一体的に移動させる。
【0038】
また、主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
【0039】
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、被測定物体の画像データ、被測定物体情報などがある。被測定物体情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報等を含む。
【0040】
(画像形成部)
画像形成部220は、CCDイメージセンサ120からの検出信号に基づいて、被測定物体の断層像の画像データを形成する。画像形成部220にはノイズ除去(ノイズ低減)、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理を行う構成が含まれている。画像形成部については以下において各実施の形態ごとに詳細な説明を行う。
【0041】
画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板や通信インターフェイス等を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づいて呈示される「画像」とを同一視することがある。
【0042】
(画像処理部)
画像処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して、必要に応じて各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、画像処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の各種補正処理を実行する。
【0043】
また、画像処理部230は必要に応じて、画像形成部220により形成された断層像の間の素子を補間する補間処理を実行するなどして、被測定物体の3次元画像の画像データを形成する。
【0044】
なお、3次元画像の画像データとは、3次元座標系により素子の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、画像処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理(ボリュームレンダリングやMIP(Maximum Intensity Projection:最大値投影)など)を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。
【0045】
画像処理部230は、3次元画像の画像データに基づいて、任意の断面における断層像を形成することができる。この処理は、たとえば、手動又は自動で指定された断面に対し、この断面上に位置する素子(ボクセル等)を特定し、特定された素子を2次元的に配列させて当該断面における被測定物体の形態を表す画像データを形成することにより実行される。このような処理により、元の断層像の断面(信号光LSの走査線の位置)だけでなく、所望の断面における画像を取得することが可能となる。
【0046】
画像処理部230は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。
【0047】
(操作部)
操作部240は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。また、操作部240には、OCTユニット100の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。
【0048】
〔実施の形態1〕
以下、図3〜図6A、Bを用いて実施の形態1に係る画像形成部の構成及び動作について説明を行う。
【0049】
この実施の形態に係る画像形成部220は、入力部300、フーリエ変換手段301、強度情報取得手段302、補正量算出手段303、補正量正負判別手段304、補正係数算出手段305及び補正手段306を有する。
【0050】
入力部300は、CCDイメージセンサ120(受光手段)によって生成された受光信号を画像形成部220内に入力するための入力端を構成している。
【0051】
フーリエ変換手段301は、CCDイメージセンサ120によって生成された受光信号に対してフーリエ変換(高速フーリエ変換:FFT)を行う。本実施の形態では複素フーリエ変換の手法を用いている。
【0052】
この実施の形態に係る受光手段は図11、12に記載されているような、いわゆるラインセンサ(ラインCCD)であり、複数の受光素子を一列に配置した構成となっている。そして例えば、受光素子の偶数番目(EVEN)の素子の出力と奇数番目(ODD)の素子の出力を第1の群(EVEN群)及び第2の群(ODD群)にまとめ、各群の受光素子で生成された電気信号に対して群ごとにゲインをかけて受光信号を生成する構成となっている。
【0053】
強度情報取得手段302は、フーリエ変換手段301においてフーリエ変換されたデータから自己相関強度情報とナイキスト周波数強度情報を求める。ここで「自己相関強度情報」とは、光源ユニット101の出力光(低コヒーレンス光L0)のパワースペクトルの自己相関に相当する成分の強度情報である。また「ナイキスト周波数強度情報」とは、ナイキスト周波数に相当する成分の強度情報である。
【0054】
補正量算出手段303は、強度情報取得手段302で求められた自己相関強度情報とナイキスト周波数強度情報に基づいてズレの程度に相当する補正量の大きさを算出する。ここで「補正量」とは、EVEN群による受光信号とODD群による受光信号との間の強度のズレを補正するための量である。
【0055】
補正量正負判別手段304は、フーリエ変換手段301においてフーリエ変換されたデータからEVEN群及びODD群に対応するズレに対して逆向き、つまり補正の向きに相当する補正量の正負を判別する。なお、補正手段306でEVEN群による受光信号とODD群による受光信号との間の強度のズレを補正する際の補正係数(後述の補正係数算出手段305で算出される係数)は、強度を増加させる場合には正の値をとり、強度を減少させる場合には負の値をとることになる。つまり「補正量の正負」とは、当該正負の値を示すものである。
【0056】
補正係数算出手段305は、補正量算出手段303によって算出された補正量の大きさと補正量正負判別手段304によって決定された補正量の正負とを組み合わせて補正係数を算出する。ここで「補正係数」とは、EVEN群による受光信号とODD群による受光信号との間の強度のズレを補正するために用いる係数である。
【0057】
補正手段306は、補正係数算出手段305によって算出された補正係数に基づいてEVEN群による受光信号とODD群による受光信号との間の強度のズレを補正する。そして画像形成部220において、補正後の信号に基づいて画像データを作成する。
【0058】
制御部210は、画像形成部220で作成された画像データを受け、記憶部212へ記憶する制御をおこなう。また制御部210は、必要に応じて画像処理部230に送り画像処理を行わせた後、表示装置3に表示させる制御をおこなう。
【0059】
次に図4から図6A、Bを用いて本実施の形態の動作について説明する。なお、ここでは2048個の受光素子が設けられている場合について説明する。
【0060】
CCDイメージセンサ120によって生成された受光信号は入力部300を経てフーリエ変換手段301に入力される(S10)。
【0061】
フーリエ変換手段301に入力される受光信号をグラフ化すると図5Aに示す状態となる。この受光信号はEVEN群による受光信号とODD群による受光信号が合成された信号である。なお図5Aの横軸はCCDイメージセンサ120の素子番号(pixel番号)であり、縦軸は信号強度(intensity)となっている。
【0062】
次にフーリエ変換手段301においてS10で入力された受光信号に対してフーリエ変換処理を行いデータ(complex data)を取得する(S11)。本実施の形態では複素フーリエ変換処理を行っている。
【0063】
この実施の形態においては受光素子数が2048個なので、ナイキスト周波数に相当する成分は第1024pixelの成分に相当する。また光源ユニット101の出力光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分は第0pixelの成分に相当する。
【0064】
次に強度情報取得手段302においてS11でフーリエ変換処理された受光信号のデータに基づいて光源ユニット101の出力光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分の強度情報(Esource)とナイキスト周波数に相当する成分の強度情報(Enoise)を取得する(S12)。この取得には、例えばデジタルバンドパスフィルタ処理が用いられる。
【0065】
ここで、上述の通り、第0pixelにおける成分が光源ユニット101の出力光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分であり、第1024pixelにおける成分がナイキスト周波数に相当する成分である。従って、強度情報取得手段302はこれらの位置における強度情報を選択的に取得する。
【0066】
次に補正量算出手段303においては、S12で取得されたEsourceとEnoiseの比に基づいて補正量Egainの大きさを算出する処理を行う(S13)。ここで、S13にて求める補正量の大きさはCCDイメージセンサ120のEVEN群による受光信号とODD群よる受光信号との間の強度のズレを補正するために用いる補正係数の元となる量である。
【0067】
一方、補正量正負判別手段304においては、S11でフーリエ変換処理された受光信号のデータに基づいてナイキスト周波数に相当する成分(第1024pixelにおける成分)が正か負かの判別を行う(S14)。なお、第1024pixelはEVENに相当する。
【0068】
次に補正係数算出手段305は補正量算出手段303で得られた補正量Egainと補正量正負判別手段304で得られた正負の情報を群ごとに組み合わせる。つまり、EVEN群に対して正の符号(負の符号)を割り当てる場合、ODD群に対してはそれと異なる負の符号(正の符号)を割り当てることにより補正係数Gcorrectionを算出する(S15)。
【0069】
次に補正手段306において補正係数Gcorrectionを用いてEVEN群による受光信号とODD群よる受光信号との間の強度のズレを補正する(S16)。
【0070】
具体的には補正係数Gcorrectionをフーリエ変換したものを用いて、フーリエ変換手段301で処理された受光信号を変換する。すると受光信号からノイズ成分が低減された信号をフーリエ変換したもの(FFT{Removed Noise})が得られる。
【0071】
そして、補正手段306においてFFT{Removed Noise}を逆フーリエ変換することにより、ノイズ成分が低減された受光信号を取得することができる(S17)。
【0072】
このようにS10からS17の処理を行うことによりCCDイメージセンサ120により生成された受光信号からノイズ成分を低減することができる。そして画像形成部220は、このデータに基づいてOCT画像を形成する。以上の処理による効果について以下、詳述する。
【0073】
先に述べたように、図5Aはフーリエ変換手段301に入力される受光信号をグラフ化したものである。また図5BはS10からS17までの処理によりノイズが低減された受信信号をグラフ化したものである。図5Bから明らかなように、本実施の形態における処理を施すことで、例えばEVEN側で受信信号を強くするノイズが生じている場合にはそのノイズを抑えると共に、ODD側(受信信号を弱くするノイズが生じている側)で弱くなっている受信信号を強調することで受信信号の強度のブレを抑えている。
【0074】
図5A、図5Bの情報を画像化したものが図6A、図6Bである。ここで図6Aに対して図6Bでは、干渉信号Iはそのままにノイズ成分N1及びノイズ成分N2が消滅・減少していることが明らかにわかる。
【0075】
以上の通り本実施の形態によれば、CCDイメージセンサ120の各受光素子に対して光が当たる位置のズレにより生じるノイズの影響を低減することが可能となる。
【0076】
またL−SLOを用いる場合、ラインビームをラインセンサで検出する。ビーム中の各位置、つまり被測定物体に対する各照射位置に各受光素子が対応する。つまり、各受光素子の位置に対応する強度のズレが生じる可能性がある。この場合、本実施の形態と同様、ラインセンサの複数の受光素子間において強度のズレが生じていることになる。従って、本実施の形態と同様の処理を行うことでノイズの影響を低減することが可能となる。
【0077】
L−SLOは、ラインビームの強度分布をラインセンサで検出する方式であるためフーリエ変換の処理は不要である。
【0078】
なお、この発明の「反射光」は、被測定物体に照射された光に基づく蛍光も含むものとする。すなわち、蛍光を検出するタイプのL−SLOもこの発明の範疇である。
【0079】
〔実施の形態2〕
以下、図7〜図8を用いて実施の形態2に係る画像形成部の構成及び動作について説明を行う。実施の形態2は実施の形態1と共通の構成も多いため、異なる部分を中心に説明を行う。
【0080】
この実施の形態に係る画像形成部220は、実施の形態1と同様、入力部300、フーリエ変換手段301、強度情報取得手段302、補正量算出手段303、補正量正負判別手段304、補正係数算出手段305、補正手段306を有する。
【0081】
更にこの実施の形態に係る画像形成部220は、逆フーリエ変換手段307及び分布情報算出手段308を有する。なお、逆フーリエ変換手段307は第1逆フーリエ変換手段307aと第2逆フーリエ変換手段307bを有する。
【0082】
入力部300、フーリエ変換手段301、強度情報取得手段302、補正量正負判別手段304、補正係数算出手段305、補正手段306及び制御部210における制御は実施の形態1と同様の構成のため説明を省略する。
【0083】
逆フーリエ変換手段307は、強度情報取得手段302で取得された情報に対して逆フーリエ変換を行う。例えば、第1逆フーリエ変換手段307aにおいて光源ユニット101の出力光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分の自己相関強度情報の逆フーリエ変換を行う。また、第2逆フーリエ変換手段307bにおいてナイキスト周波数に相当する成分のナイキスト周波数強度情報の逆フーリエ変換を行う。なお、この実施の形態においては、自己相関強度情報の逆フーリエ変換を行って得られた情報をEsource、ナイキスト周波数強度情報の逆フーリエ変換を行って得られた情報をEnoiseとする。
【0084】
分布情報算出手段308は、逆フーリエ変換手段307により得られた情報に基づいてEVEN群の受光素子による受光信号とODD群の受光素子による受光信号との間の強度のズレの分布を示す情報を求める。
【0085】
この実施の形態における補正量算出手段303は、分布情報算出手段308で求められたEVEN群による受光信号とODD群による受光信号との間の強度のズレの分布に基づいて補正量の大きさを算出する。
【0086】
次に図5A、B、図7及び図8を用いてこの実施の形態の動作について説明する。なお、ここでは受光素子数が2048個の場合について説明する。
【0087】
CCDイメージセンサ120によって生成された受光信号は入力部300を経てフーリエ変換手段301に入力される(S20)。
【0088】
次にフーリエ変換手段301においてS20で入力された受光信号に対してフーリエ変換処理を行い、データ(complex data)を取得する(S21)。本実施の形態では複素フーリエ変換処理を行っている。
【0089】
この実施の形態においては受光素子数が2048個なので、ナイキスト周波数に相当する成分は第1024pixelの成分に相当する。また光源ユニット101の出力光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分は第0pixelの成分に相当する。
【0090】
次に強度情報取得手段302においてS21でフーリエ変換された受光信号のデータに基づいて光源ユニット101の出力光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分の強度情報とナイキスト周波数に相当する成分の強度情報を取得する(S22)。この取得には、例えばデジタルバンドパスフィルタ処理が用いられる。
【0091】
ここで、上述の通り、第0pixelにおける成分が光源ユニット101の出力光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分であり、第1024pixelにおける成分がナイキスト周波数に相当する成分であるため、強度情報取得手段302はこれらの位置における強度情報を選択的に取得する。
【0092】
次に第1逆フーリエ変換手段307aは、強度情報取得手段302において得られた自己相関に相当する成分の強度情報を逆フーリエ変換する(S23)。S23により自己相関に相当する成分の逆フーリエ変換された強度情報(Esource)が得られる。
【0093】
また第2逆フーリエ変換手段307bは、強度情報取得手段302において得られたナイキスト周波数に相当する成分の強度情報を逆フーリエ変換する(S24)。S24によりナイキスト周波数に相当する成分の逆フーリエ変換された強度情報(Enoise)が得られる。
【0094】
次に分布情報算出手段308は、S23及びS24で取得されたEsourceとEnoiseからEVEN群による受光信号とODD群による受光信号との間の強度のズレの分布情報D(i)を求める(S25)。
【0095】
具体的には、分布情報算出手段308はpixelごとにEnoiseとEsourceの比を算出し、その比を受光素子の配列に対応付けることで分布情報D(i)とする処理を行っている。
【0096】
次に補正量算出手段303においては、S25で取得された分布情報D(i)に基づいて補正量Egainの大きさを算出する処理を行う(S26)。ここで、S26にて求める補正量の大きさはCCDイメージセンサ120のEVEN群による受光信号とODD群よる受光信号との間の強度のズレを補正するために用いる補正係数の元となる量である。
【0097】
なお一般に、ラインセンサの端に位置する受光素子への入射光量は、ラインセンサの中心部分よりも低くなる。よってラインセンサの端に位置するEVEN群による受光信号とODD群よる受光信号のズレは大きくなる。従って、分布情報D(i)に基づいて補正量Egainの大きさを算出する場合、望ましくはズレの少ないpixel(ラインセンサの中心部分に位置するpixel)における情報のみを使用することで確度の高い補正量Egainを得ることができる。
【0098】
一方、補正量正負判別手段304においては、S21でフーリエ変換処理された受光信号のデータに基づいてナイキスト周波数に相当する成分(第1024pixelにおける成分)が正か負かの判別を行う(S27)。なお、第1024pixelはEVENに相当する。
【0099】
次に補正係数算出手段305は補正量算出手段303で得られた補正量Egainと補正量正負判別手段304で得られた正負の情報を群ごとに組み合わせる。つまり、EVEN群に対して正の符号(負の符号)を割り当てる場合、ODD群に対してはそれと異なる負の符号(正の符号)を割り当てることにより補正係数Gcorrectionを算出する(S28)。
【0100】
次に補正手段306において補正係数Gcorrectionを用いてEVEN群による受光信号とODD群よる受光信号との間の強度のズレを補正する(S29)。
【0101】
そして、補正手段306においてFFT{Removed Noise}を逆フーリエ変換することによりノイズ成分が低減された受光信号を取得することができる(S30)。
【0102】
このようにS20からS30の処理を行うことによりCCDイメージセンサ120により生成された受光信号からノイズ成分を低減することができる。そして画像形成部220は、このデータに基づいてOCT画像を形成する。
【0103】
以上の通り、この実施の形態によっても、CCDイメージセンサ120の各受光素子に対して光が当たる位置のズレに起因するノイズの影響を低減することが可能となる。
【0104】
〔実施の形態3〕
以下、図9、図10を用いて実施の形態3に係る画像形成部の構成及び動作について説明を行う。実施の形態3は実施の形態1、2と共通の構成も多いため、異なる部分を中心に説明を行う。
【0105】
ここで、この実施の形態においても実施の形態2と同様、自己相関強度情報の逆フーリエ変換を行って得られた情報をEsource、ナイキスト周波数強度情報の逆フーリエ変換を行って得られた情報をEnoiseとする。
【0106】
この実施の形態に係る画像形成部220は、実施の形態2と同様、入力部300、フーリエ変換手段301、強度情報取得手段302、補正量算出手段303、補正量正負判別手段304、補正係数算出手段305、補正手段306、逆フーリエ変換手段307及び分布情報算出手段308を有する。なお、逆フーリエ変換手段307は第1逆フーリエ変換手段307aと第2逆フーリエ変換手段307bを有する。
【0107】
この実施の形態においては、補正量正負判別手段304が第2逆フーリエ変換手段307bにより得られたナイキスト周波数強度情報(Enoise)に基づいてEVEN群及びODD群に対応する補正量の正負を判別することが特徴である。
【0108】
次に図10を用いてこの実施の形態の動作について説明する。なお、ここでは受光素子数が2048の場合について説明する。
【0109】
S40からS46までの動作は実施の形態2のS20からS26までの動作と同様であるため説明を省略する。
【0110】
補正量正負判別手段304において、S44で逆フーリエ変換処理されたナイキスト周波数の強度情報(Enoise)に基づいて、当該強度情報の第0pixelにおける成分が正か負かの判別を行う(S47)。
【0111】
次に補正係数算出手段305は補正量算出手段303で得られた補正量Egainと補正量正負判別手段304で得られた正負の情報を群ごとに組み合わせる。つまり、EVEN群に対して正の符号(負の符号)を割り当てる場合、ODD群に対してはそれと異なる負の符号(正の符号)を割り当てることにより補正係数Gcorrectionを算出する(S48)。
【0112】
次に補正手段306において補正係数Gcorrectionを用いてEVEN群による受光信号とODD群よる受光信号との間の強度のズレを補正する(S49)。
【0113】
そして、補正手段306において補正された結果、ノイズ成分が低減された受光信号を取得することができる(S50)。
【0114】
このようにS40からS50の処理を行うことによりCCDイメージセンサ120により生成された受光信号からノイズ成分を低減することができる。そして画像形成部220は、このデータに基づいてOCT画像を形成する。
【0115】
以上の通り、この実施の形態によっても、CCDイメージセンサ120の各受光素子に対して光が当たる位置のズレによるノイズの影響を低減することが可能となる。
【0116】
〔実施の形態1から3に共通の事項〕
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
【0117】
実施の形態1から3までは光画像計測装置の構成を用いて説明したが、本発明は光画像計測装置に限定されるものではない。例えばラインセンサを用いる機器の信号処理デバイスとして応用することが可能である。
【0118】
また、複数の受光素子をまとめる形態は2つの群に限られない。3つ以上の群が存在する場合にはその群の数(分割数、タップ数)に応じてノイズ成分が決定される。
【0119】
一般に、複数の受光素子をN(N≧2)の群に分割する場合(いわゆるNタップのラインセンサを用いる場合)、複数の受光素子は第1から第Nの群に分けられる。複数の受光素子からの受光信号に基づいて当該光の強度に相当する背景成分の強度情報とノイズ成分の強度情報を求め、当該背景成分の強度情報と当該ノイズ成分の強度情報に基づいて補正量の大きさを算出する。そして当該補正量の大きさに基づいて補正係数を算出し、当該補正係数に基づいて前記複数の群による受光信号間の強度のズレを補正する。従って、各受光素子に対して光が当たる位置のズレによるノイズの影響を低減することが可能となる。このように、群の数(タップ数)によってはノイズ成分の周波数はナイキスト周波数以外の周波数となる場合がある。
【0120】
上記の実施形態におけるコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。また、ハードディスクドライブやメモリ等の記憶装置に記憶させることも可能である。
【0121】
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。
【符号の説明】
【0122】
120 CCDイメージセンサ
210 制御部
220 画像形成部
301 フーリエ変換手段
302 強度情報取得手段
303 補正量算出手段
304 補正量正負判別手段
305 補正係数算出手段
306 補正手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの出力光の被測定物体による反射光を受光して電気信号を生成する複数の受光素子を有し、前記複数の受光素子を複数の群に分け、前記複数の受光素子により生成された電気信号に対して群ごとにゲインをかけて受光信号を生成する受光手段からの受光信号を処理する信号処理方法であって、
前記出力光の強度に相当する背景成分の強度情報とノイズ成分の強度情報を求めるステップと、
前記背景成分の強度情報と前記ノイズ成分の強度情報に基づいて補正量の大きさを算出するステップと、
前記補正量の大きさに基づいて補正係数を算出するステップと、
前記補正係数に基づいて前記複数の群による受光信号間の強度のズレを補正するステップと、
を有することを特徴とする信号処理方法。
【請求項2】
前記受光信号に対してフーリエ変換を行うステップを更に有し、
前記背景光の強度情報は、前記フーリエ変換により得られたデータに基づく前記出力光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分の自己相関強度情報であり、
前記ノイズ成分の強度情報は、前記フーリエ変換により得られたデータに基づくナイキスト周波数に相当する成分のナイキスト周波数強度情報を含むことを特徴とする請求項1記載の信号処理方法。
【請求項3】
前記複数の群は、少なくとも第1の群と第2の群を有し、
前記フーリエ変換により得られたデータから前記第1及び第2の群のそれぞれに対応する補正量の正負を判別するステップを更に有し、
前記補正係数を算出するステップは、前記補正量の大きさと前記補正量の正負とを組み合わせて前記補正係数を算出することを特徴とする請求項2記載の信号処理方法。
【請求項4】
前記複数の群は、少なくとも第1の群と第2の群を有し、
前記補正量の大きさを算出するステップは、
前記自己相関強度情報を逆フーリエ変換するステップと、
前記ナイキスト周波数強度情報を逆フーリエ変換するステップと、
前記自己相関強度情報を逆フーリエ変換して得られたデータと前記ナイキスト周波数強度情報を逆フーリエ変換して得られたデータとに基づいて前記第1の群による受光信号と前記第2の群による受光信号との間の強度のズレの前記複数の受光素子における分布情報を求めるステップと、
前記分布情報に基づいて当該補正量の大きさを算出するステップと、
を含み、
前記フーリエ変換により得られたデータから前記第1及び第2の群に対応する当該補正量の正負を判別するステップを更に有し、
前記補正係数を算出するステップは、当該補正量の大きさと当該補正量の正負とを組み合わせて前記補正係数を算出することを特徴とする請求項2記載の信号処理方法。
【請求項5】
前記複数の群は、少なくとも第1の群と第2の群を有し、
前記補正量の大きさを算出するステップは、
前記自己相関強度情報を逆フーリエ変換するステップと、
前記ナイキスト周波数強度情報を逆フーリエ変換するステップと、
前記自己相関強度情報を逆フーリエ変換して得られたデータと前記ナイキスト周波数強度情報を逆フーリエ変換して得られたデータとに基づいて前記第1の群による受光信号と前記第2の群による受光信号との間の強度のズレの前記複数の受光素子における分布情報を求めるステップと、
前記分布情報に基づいて当該補正量の大きさを算出するステップと、
を含み、
前記ナイキスト周波数強度情報を逆フーリエ変換して得られたデータから前記第1及び第2の群のそれぞれに対応する当該補正量の正負を判別するステップを更に有し、
前記補正係数を算出するステップは、当該補正量の大きさと当該補正量の正負とを組み合わせて前記補正係数を算出することを特徴とする請求項2記載の信号処理方法。
【請求項6】
光源からの出力光の被測定物体による反射光を受光して電気信号を生成する複数の受光素子を有し、前記複数の受光素子を複数の群に分け、前記複数の受光素子により生成された電気信号に対して群ごとにゲインをかけて受光信号を生成する受光手段からの受光信号を処理する信号処理デバイスであって、
前記受光信号が入力される入力部と、
前記出力光の強度に相当する背景成分の強度情報とノイズ成分の強度情報を求める強度情報取得手段と、
前記背景成分の強度情報と前記ノイズ成分の強度情報に基づいて補正量の大きさを算出する補正量算出手段と、
前記補正量算出手段によって算出された補正量の大きさに基づいて補正係数を算出する補正係数算出手段と、
前記補正係数算出手段によって算出された補正係数に基づいて前記複数の群による受光信号間の強度のズレを補正する補正手段と、
を有することを特徴とする信号処理デバイス。
【請求項7】
前記受光信号に対してフーリエ変換を行うフーリエ変換手段を更に有し、
前記背景光の強度情報は、前記フーリエ変換により得られたデータに基づく前記出力光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分の自己相関強度情報であり、
前記ノイズ成分の強度情報は、前記フーリエ変換により得られたデータに基づくナイキスト周波数に相当する成分のナイキスト周波数強度情報を含むことを特徴とする請求項6記載の信号処理デバイス。
【請求項8】
前記複数の群は、少なくとも第1の群と第2の群を有し、
前記フーリエ変換手段により得られたデータから前記第1及び第2の群のそれぞれに対応する補正量の正負を判別する補正量正負判別手段を更に有し、
前記補正係数算出手段は、前記補正量の大きさと前記補正量の正負とを組み合わせて前記補正係数を算出することを特徴とする請求項7記載の信号処理デバイス。
【請求項9】
前記複数の群は、少なくとも第1の群と第2の群を有し、
前記補正量算出手段は、
前記自己相関強度情報及び前記ナイキスト周波数強度情報をそれぞれ逆フーリエ変換する逆フーリエ変換手段と、
前記逆フーリエ変換手段により得られたデータに基づいて前記第1の群による受光信号と前記第2の群による受光信号との間の強度のズレの前記複数の受光素子における分布情報を求める分布情報算出手段と、
を含み、
前記分布情報算出手段による算出結果に基づいて当該補正量の大きさを算出し、
前記フーリエ変換手段により得られたデータから前記第1及び第2の群のそれぞれに対応する当該補正量の正負を判別する補正量正負判別手段を更に有し、

前記補正係数算出手段は、当該補正量の大きさと当該補正量の正負とを組み合わせて前記補正係数を算出することを特徴とする請求項7記載の信号処理デバイス。
【請求項10】
前記複数の群は、少なくとも第1の群と第2の群を有し、
前記補正量算出手段は、
前記自己相関強度情報及び前記ナイキスト周波数強度情報をそれぞれ逆フーリエ変換する逆フーリエ変換手段と、
前記逆フーリエ変換手段により得られたデータに基づいて前記第1の群による受光信号と前記第2の群による受光信号との間の強度のズレの前記複数の受光素子における分布情報を求める分布情報算出手段と、
を含み、
前記分布情報算出手段による算出結果に基づいて当該補正量の大きさを算出し、
前記逆フーリエ変換手段により得られた前記ナイキスト周波数強度情報に基づいて前記第1及び第2の群のそれぞれに対応する当該補正量の正負を判別する補正量正負判別手段を更に有し、
前記補正係数算出手段は、当該補正量の大きさと当該補正量の正負とを組み合わせて前記補正係数を算出することを特徴とする請求項7記載の信号処理デバイス。
【請求項11】
被測定物体に対して照射する光を発生させる光源と、
前記被測定物体を経由した前記光を受光する複数の受光素子を有し、前記複数の受光素子を複数の群に分け、前記複数の受光素子により生成された電気信号に対して群ごとにゲインをかけて受光信号を生成する受光手段と、
前記光の強度に相当する背景成分の強度情報とノイズ成分の強度情報を求める強度情報取得手段と、
前記背景成分の強度情報と前記ノイズ成分の強度情報に基づいて補正量の大きさを算出する補正量算出手段と、
前記補正量算出手段によって算出された補正量の大きさに基づいて補正係数を算出する補正係数算出手段と、
前記補正係数算出手段によって算出された補正係数に基づいて前記複数の群による受光信号間の強度のズレを補正する補正手段と、
前記補正手段により補正された受光信号に基づく画像を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする光画像計測装置。
【請求項12】
前記光は低コヒーレンス光であって、
前記低コヒーレンス光を信号光と参照光とに分割し、被測定物体を経由した前記信号光と参照光路を経由した前記参照光とを重畳させて干渉光を生成し、前記干渉光をスペクトル分解する光学系を有し、
前記受光手段は、前記干渉光のスペクトルを受光して受光信号を生成し、
当該受光信号に対してフーリエ変換を行うフーリエ変換手段を更に有し、
前記背景光の強度情報は、前記フーリエ変換により得られたデータに基づく前記光のパワースペクトルの自己相関に相当する成分の自己相関強度情報であり、
前記ノイズ成分の強度情報は、前記フーリエ変換により得られたデータに基づくナイキスト周波数に相当する成分のナイキスト周波数強度情報を含むことを特徴とする請求項11記載の光画像計測装置。
【請求項13】
前記複数の群は、少なくとも第1の群と第2の群を有し、
前記フーリエ変換手段により得られたデータから前記第1及び第2の群のそれぞれに対応する補正量の正負を判別する正負判別手段を更に有し、
前記補正係数算出手段は、前記補正量の大きさと前記補正量の正負とを組み合わせて前記補正係数を算出することを特徴とする請求項12記載の光画像計測装置。
【請求項14】
前記複数の群は、少なくとも第1の群と第2の群を有し、
前記補正量算出手段は、
前記自己相関強度情報及び前記ナイキスト周波数強度情報をそれぞれ逆フーリエ変換する逆フーリエ変換手段と、
前記逆フーリエ変換手段により得られたデータに基づいて前記第1の群による受光信号と前記第2の群による受光信号との間の強度のズレの前記複数の受光素子における分布情報を求める分布情報算出手段と、
を含み、
前記分布情報算出手段による算出結果に基づいて当該補正量の大きさを算出し、
前記フーリエ変換手段により得られたデータから前記第1及び第2の群に対応する当該補正量の正負を判別する補正量正負判別手段を更に有し、
前記補正係数算出手段は、当該補正量の大きさと当該補正量の正負とを組み合わせて前記補正係数を算出することを特徴とする請求項12記載の光画像計測装置。
【請求項15】
前記複数の群は、少なくとも第1の群と第2の群を有し、
前記補正量算出手段は、
前記自己相関強度情報及び前記ナイキスト周波数強度情報をそれぞれ逆フーリエ変換する逆フーリエ変換手段と、
前記逆フーリエ変換手段により得られたデータに基づいて前記第1の群による受光信号と前記第2の群による受光信号との間の強度のズレの前記複数の受光素子における分布情報を求める分布情報算出手段と、
を含み、
前記分布情報算出手段による算出結果に基づいて当該補正量の大きさを算出し、
前記逆フーリエ変換手段により得られた前記ナイキスト周波数強度情報に基づいて前記第1及び第2の群のそれぞれに対応する当該補正量の正負を判別する補正量正負判別手段を更に有し、
前記補正係数算出手段は、当該補正量の大きさと当該補正量の正負とを組み合わせて前記補正係数を算出することを特徴とする請求項12記載の光画像計測装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2011−226985(P2011−226985A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98808(P2010−98808)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】