説明

信号処理装置、レーダ装置、物体検出システム、信号処理方法、および、プログラム

【課題】移動物データのミスペアリングを検出するできる技術を提供する。
【解決手段】新規に検出された移動物データを中心とした所定の判定エリア範囲内に物体データが存在する場合は、その新規に検出された移動物データはミスペアリングによる誤った物体データとして、再度ペアリングを行う。これにより少ない判定対象で早期にミスペアリング判定を行い、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信波と受信波の情報に基づいて、物体を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置を用いて物体を検出する場合、送信波から得られる送信信号と、受信波から得られる受信信号とをミキシングして両者の周波数差により検出されるピーク信号から物体の相対距離と相対速度を検出する。ここで、ピーク信号とは一定値以上の信号強度を有する周波数スペクトラムをいう。
【0003】
また、FM−CW方式に基づく物体検出の場合、送信信号と受信信号のそれぞれのアップ区間とダウン区間からピーク信号を抽出して、アップ区間とダウン区間のピーク信号同士を組み合わせて、物体の相対距離と相対速度を検出する。ここで、ピーク信号同士の組み合わせは、レーダ装置を備えた車両の速度、ピーク信号の信号強度、および、角度の情報により決定されて物体データとして車両制御に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−12198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アップ区間のピーク信号とダウン区間のピーク信号の組み合わせを間違えた場合はミスペアリングとなり、誤った物体データに基づいて車両を制御する可能性が生じる。これに対して、特許文献1には、連続する静止物データの領域内に移動物データが存在する場合はミスペアリングとみなす処理を行っている。この処理では移動物データがミスペアリングされたものか否かを判断する場合は、連続静止物データの検出が前提となっており、連続静止物データが検出されていない場合は、移動物データがミスペアリングによるものか否かの判断はできなかった。このため、連続静止物データがない場合は、誤ったペアリングデータに基づき車両制御を行い、車両のユーザーの安全を阻害するという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、移動物データのミスペアリングを検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、所定周期で周波数が変わる送信信号と該送信信号に基づく送信波の物体での反射波を受信した受信信号との差分周波数を示すピーク信号を、前記送信信号の周波数が上昇する第1期間と周波数が下降する第2期間とで導出し、前記第1期間及び前記第2期間のピーク信号をペアリングすることで当該ピーク信号に係る物体データを検出する物体検出処理を行う信号処理装置であって、前記物体データと前記物体データよりも過去に検出された過去物体データとの連続性判定を行う手段と、前記連続性判定の結果、前記物体データの中で前記過去物体データとの連続性を有さない新規に検出された移動物データを検出する手段と、前記移動物データからの他の前記物体データとの位置関係を検出する手段と、前記他の物体データのうちの少なくとも一の物体データが、前記移動物データからの位置関係で所定の位置関係にある場合は、前記移動物データを再度ペアリングするデータ判定手段と、を有する。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の信号処理装置において、前記所定の位置関係は、前記移動物データの位置によって規定される判定エリア内に、前記他の物体データが存在する位置関係である。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の信号処理装置において、前記所定の位置関係は、前記移動物データの進行方向の前後いずれかの近傍に前記他の物体データが存在する位置関係である。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1に記載の信号処理装置において、前記所定の位置関係は、前前記移動物データの進行方向の前および後の両方の近傍に前記他の物体データが存在する位置関係である。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の信号処理装置において、前記データ判定手段によって誤データと判定されたデータがある場合は、前記誤データのみについて再ペアリング処理を行う手段、をさらに備える。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の信号処理装置と、
前記送信波を出力し、前記反射波を受信する手段と、前記物体検出処理で検出した物体情報を、該物体情報を利用する電子制御装置に出力する手段と、を備える。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項6に記載のレーダ装置と、前記レーダ装置から出力された物体データに基づいて物体を検出する手段と、を備える。
【0014】
また、請求項8の発明は、所定周期で周波数が変わる送信信号と該送信信号に基づく送信波の物体での反射波を受信した受信信号との差分周波数を示すピーク信号を、前記送信信号の周波数が上昇する第1期間と周波数が下降する第2期間とで導出し、前記第1期間及び前記第2期間のピーク信号をペアリングすることで当該ピーク信号に係る物体データを検出する物体検出処理を行う信号処理方法であって、前記物体データと前記物体データよりも過去に検出された過去物体データとの連続性判定を行う工程と、前記連続性判定の結果、前記物体データの中で前記過去物体データとの連続性を有さない新規に検出された移動物データを検出する工程と、前記移動物データからの他の前記物体データとの位置関係を検出する工程と、前記他の物体データのうちの少なくとも一の物体データが、前記移動物データからの位置関係で所定の位置関係にある場合は、前記移動物データを再度ペアリングするデータ判定工程と、を有する。
【0015】
さらに、請求項9の発明は、所定周期で周波数が変わる送信信号と該送信信号に基づく送信波の物体での反射波を受信した受信信号との差分周波数を示すピーク信号を、前記送信信号の周波数が上昇する第1期間と周波数が下降する第2期間とで導出し、前記第1期間及び前記第2期間のピーク信号をペアリングすることで当該ピーク信号に係る物体データを検出する物体検出処理を行う信号処理装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、前記物体データと前記物体データよりも過去に検出された過去物体データとの連続性判定を行う工程と、前記連続性判定の結果、前記物体データの中で前記過去物体データとの連続性を有さない新規に検出された移動物データを検出する工程と、前記移動物データと他の前記物体データからの位置関係を検出する工程と、前記他の物体データのうちの少なくとも一の物体データが、前記移動物データからの位置関係で所定の位置関係にある場合は、前記移動物データを再度ペアリングするデータ判定工程と、を実行させる
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし9の発明によれば、新規に検出された移動物データに基づいて、その移動物データがミスペアリングによる誤データか否かを判断することで、少ない判定対象で早期にミスペアリングの判定を行い、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。
【0017】
また、特に請求項2の発明によれば、新規に検出された移動物データによって規定される判定エリアに基づいて、その移動物データがミスペアリングによる誤データか否かを判断することで、少ない判定対象で早期にミスペアリングの判定を行い、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。
【0018】
また、特に請求項3の発明によれば、新規に検出された移動物データに基づいて、その移動物データがミスペアリングによるものか否かをその移動物データの前後いずれかの近傍の物体データに基づいて判断することで、少ない判定対象で早期にミスペアリングの判定を行い、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。
【0019】
また、特に請求項4の発明によれば、新規に検出された移動物データに基づいて、その移動物データがミスペアリングによるものか否かをその移動物データの前後いずれかの近傍の物体データに基づいて判断することで、少ない判定対象で早期にミスペアリングの判定を行い、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。
【0020】
さらに、特に請求項5の発明によれば、データ判定手段によって誤データと判定されたペアリングデータのみについて再ペアリング処理を行うことで、少ない処理で誤データを正常なペアリングデータとすることができ、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、車両1の全体図である。
【図2】図2は、物体検出システムのブロック図である。
【図3】図3は、FM−CW信号とビート信号を示す図である。
【図4】図4は、物体検出処理のフローチャートである。
【図5】図5は、連続性判定処理のフローチャートである。
【図6】図6は、物体データの連続性判定処理の図である。
【図7】図7は、移動物新規データのミスペアリング判定処理の図である。
【図8】図8は、アップ区間とダウン区間のペアリングの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
<1.構成>
図1は、車両1の全体図である。車両1は、本実施形態の物体検出システムはレーダ装置2と、電子制御装置3とを備えている。レーダ装置2は車両前方のフロント部分に設けられている。レーダ装置2は検出範囲Rの範囲を走査して、車両1と物体との相対距離、および、相対速度を算出するとともに、車両1からみた物体の角度を算出する。なお、レーダ装置2の搭載位置は車両前方のフロント部分に限らず、車両1の後方や側方でもよい。
【0024】
電子制御装置3は、レーダ装置2の物体の検出結果に応じて、車両1の車両制御を行う。車両制御の例としては、前方の車両に追従して走行する場合のアクセル制御やブレーキ制御、衝突防止のブレーキ制御がある。また、衝突時にシートベルトにより乗員を座席に固定して衝撃に備えたり、衝突時にヘッドレストを固定して乗員の身体へのダメージを軽減する。
【0025】
図2は物体検出システムブロック図である。物体検出システム10は、レーダ装置2と電子制御部3とが電気的に接続して構成されている。また、物体検出システム10の電子制御部3は、車速センサ30、ステアリングセンサ31、および、ヨーレートセンサ32などの車両1に設けられる各種センサと電気的に接続されている。さらに、電子制御部3はブレーキ40、スロットル41、および、警報器42などの車両1に設けられる車両制御装置と電気的に接続されている。
【0026】
レーダ装置2は、信号処理部11、変調部12、VCOVoltage Controlled Oscillation)13、方向性結合器14、平面アンテナ15、ミキサ16、フィルタ17、A/D(Analog Digital)変換器18、モータ駆動回路19、モータ20、および、エンコーダ21を備える。なお、平面アンテナ15は送信アンテナ15a、および、受信アンテナ15bより構成されている。また、以下に述べる実施の形態では、レーダ装置2のアンテナ走査方式をアンテナを所定の方向に駆動させるメカスキャン方式として説明を行なうが、アンテナを駆動させずに物体の方向推定にDBF(Digital Beam Formingなどの方式を採用する電子スキャン方式についても本発明は適用できる。
【0027】
レーダ装置2による物体検出は、信号処理部11からの信号に基づき、変調部12が予め定められた周波数帯の変調信号を生成する。この変調信号はVCO13により送信信号に変換され、方向性結合器14を介して送信波として送信アンテナ15aの平面アンテナ15から出力される。
【0028】
平面アンテナ15から出力された送信波は物体にあたって反射し、反射波として平面アンテナ15に受信される。この受信された反射波と発振信号は方向性結合器14を介して、ミキサ16でミキシングされる。
【0029】
送信信号とミキシングされた受信信号は、物体からの相対距離や相対速度の情報を含むビート信号であり、フィルタ17によりフィルタリングされ、レーダ装置2を備えた車両1から物体までの相対距離や相対速度の情報を含む帯域のビート信号が検出される。
【0030】
フィルタ17により所定の周波数帯にフィルタリングされたビート信号は、A/D変換器18によりアナログ信号からデジタル信号に変換された後、信号処理部11に入力される。
【0031】
また、レーダ装置2は平面アンテナ15を所定の角度範囲で走査させる。平面アンテナ15の角度は、レーダ装置2を車両1の前方のバンパー部分に備え、前方車両が車両1の真正面に位置している場合に、平面アンテナ15が前方車両と垂直の状態にある場合を0度とする。例えば、平面アンテナ15は0度の状態から左右にそれぞれ15度ずつ走査する。この平面アンテナ15の走査はモータ駆動部19とモータ20を用いて行われ、平面アンテナ15の走査に伴うエンコーダ21の図示しないスリットの通過数と通過方向の情報を信号処理部11へ出力する。
【0032】
信号処理部11にはレーダ装置2の各部の制御と、電子制御部3とのデータの送受信を行う場合に情報処理を行うCPU11aと、CPU11aの処理に用いられるプログラムが格納されているメモリ11bが備えられている。CPU11aの各種の機能は、このプログラムを実行することで実現される。A/D変換部18から出力された信号に基づいて、車両1からの物体の相対距離や相対速度を検出する。また、エンコーダ21から出力される情報により車両1からの物体の角度を検出する。このようにそれぞれ物体データのパラメータ値として検出する。
【0033】
本実施の形態では、レーダ装置2で検出される物体の情報を物体データといい、この物体データのパラメータ値として、相対距離、相対速度、および、角度などが存在している。また、信号処理部11のメモリ11bには過去の物体検出処理により検出された物体データなどの複数のデータが格納されている。
【0034】
信号処理部11と電気的に接続されている電子制御部3はCPU3aとメモリ3bを備えており、CPU3aは車両1の各部の制御と、信号処理部11とのデータの送受信を行う際に情報処理を行う。また、メモリ3bはCPU3aの処理に用いられるプログラムが格納されており、さらに、信号処理部11から送信された物体データも格納されている。またCPU3aの各種機能は、このプログラムを実行することで実現される。
【0035】
この電子制御装置3にはブレーキ40、スロットル41、および、警報器42が電気的に接続されており、物体データに応じてこれらを制御することで、車両1の動作が制御される。例えば、警報器42は車両1と物体との距離が接近している場合に警報を発してユーザーであるドライバーに異常を報知する。また、車両1と物体とが衝突する可能性がある場合は、ブレーキ40を作動させて車両1の速度を低下させたり、スロットル41を絞って、エンジンの回転数を低下させる。
【0036】
さらに、電子制御部3には車両1の速度を検出する車速センサ30、ステアリングホイールの操舵角を検出するステアリングセンサ31、および、車両1の旋回速度を検出するヨーレートセンサ32が接続されている。なお、ステアリングセンサ31とヨーレートセンサ32の両方を使用することで、ステアリング操作に応じた車両1の旋回方向、および、車両1の旋回速度を検出することが可能となる。そのため、両方のセンサを備えていることが好ましいが、ステアリングセンサ31またはヨーレートセンサ32のどちらか一方でも車両1の旋回方向を検出することは可能である。
【0037】
また、平面アンテナ15にて送受信される送信波および受信波は、電波、レーザ、または、超音波などの信号であり、平面アンテナ15から送信され、物体にあたってはね返り、反射波として受信することで、物体データを検出できるものであればよい。
【0038】
さらに、本実施形態ではアンテナを平面アンテナ15としているが、送信波を出力し、送信波の物体からの反射波を受信可能なアンテナであれば、平面アンテナ15以外にレンズアンテナ、または、反射鏡アンテナ等であってもよい。また、送信アンテナ15aと受信アンテナ15bとを別々の構成として述べているが、1つのアンテナで送信、および、受信の両方を行なうことができる送受信兼用のアンテナを用いてもよい。
【0039】
次に、物体検出処理において用いられる信号処理の一例としてFM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)の方式について説明する。なお、本実施形態では、FM−CWの方式を例に説明を行うが、アップ区間とダウン区間のような複数の区間を組み合わせて物体データを算出する方式であれば、この方式に限定されない。
【0040】
また、下記に記載の式や図3に示すFM−CW信号とビート信号についての各記号は以下に示すものである。f:ビート周波数、fs:周波数、f:距離周波数、f:速度周波数、f:送信波の中心周波数、△f:周波数偏移幅、f:変調波の繰り返し周波数、C:光速(電波の速度)、T:物体までの電波の往復時間、R:物体までの距離、v:物体との相対速度。
【0041】
図3上図はFM−CWの送信信号および受信信号の信号波形を示す図である。また、図3下図は送信信号と受信信号との差分周波数により生じるビート周波数を示す図である。図3上図は横軸は時間、縦軸は周波数を示している。図中、実線で示す送信信号は、所定周期で周波数が変わる性質を有しており、周波数が上昇するアップ区間と、所定の周波数まで上昇した後に所定の周波数まで下降するダウン区間がある。そして、送信信号は、所定の周波数まで下降した後に再度所定の周波数まで上昇をするように一定の変化を繰り返す。また、送信信号は物体にあたって反射した後に受信され、同図の破線で示すような受信信号となる。受信信号についても送信信号と同じようにアップ区間とダウン区間が存在する。なお、本実施形態で用いられる周波数帯の例としては76Ghz帯の周波数があげられる。
【0042】
また、車両1と物体との距離に応じて、送信信号に比べて受信信号に時間的な遅れ(T=2R/C)が生じる。さらに、車両1と物体との間に速度差を有する場合は、送信信号に比べて受信信号が周波数fsの軸に平行にシフトする。このドップラーシフト分がfdとなる。
【0043】
図3下図は横軸を時間、縦軸をビート周波数として、式(1)に基づいてビート周波数を算出するものである。
=f±f=(4・△f・f/C)R+(2・f/C)v ・・・(1)
なお、式(1)に示されるビート信号を後述するFFT処理することで、周波数スペクトルを検出する。この検出された周波数スペクトルの中から所定の閾値を超えた周波数スペクトルをピーク信号として検出し、このピーク信号に対して後述する処理を行うことで車両1と物体との相対距離、相対速度、および、角度を算出する。
【0044】
<2.動作>
図4は物体検出処理のフローチャートである。送信信号と受信信号とをミキシングすることにより生じるビート信号をA/D変換器(Analog to Digital Converter)18によりA/D変換して、マイクロコンピュータなどの信号処理装置に取り込み、信号処理装置によりビート信号にFFT(Fast Fourier Transform 高速フーリエ変換)処理を施す(ステップS101)。
【0045】
FFT処理を施されたビート信号は周波数スペクトルとして検出される。一般に物体の周波数スペクトルは、相対的にノイズなどの周波数スペクトルよりもパワーレベルが大きいので、所定のパワーレベルに設けられている閾値を超えた周波数スペクトルをピーク信号として抽出する(ステップS102)。
【0046】
アンテナの角度ごとに抽出されたピーク信号について車両1の速度、ピーク信号の信号強度、および、ピーク信号の角度の情報に基づいて、複数のピーク信号が1つのグループとしてグルーピングされる(ステップS103)。その結果、複数のピーク信号を含んだ複数のグループがアップ区間とダウン区間のそれぞれに生成される。ここで、グルーピング処理は物体の所定の反射範囲から受信した受信信号が物体の連続する角度ごとの複数のピーク信号として検出され、この連続する角度ごとの所定の角度範囲の複数のピーク信号を1グループとし、これを1つの反射点として処理するものである。
【0047】
そして、アップ区間に生成された複数のグループと、ダウン区間に生成された複数のグループのピーク信号同士を、車両1の速度、グルーピングされたピーク信号の信号強度、および、グルーピングされた信号の角度の情報に基づいてペアリングする(ステップS104)。このペアリング処理により、車両1からの物体の相対距離、相対速度、および、角度が物体データとして検出される。
【0048】
そして、今回検出された物体データが前回検出された過去の物体データと同じ物体データであり連続的に検出されているか、または、今回検出された物体データが前回検出されていない新規の物体データであるか否かを判定する連続性判定処理を行う(ステップS105)。この連続性判定処理については後に詳述する。
【0049】
物体データの連続性判定処理の終了後、物体データ結合を行う(ステップS106)。この物体データ結合は、各物体データが1つの物体の1つの反射点からの相対距離、相対速度、および、角度の情報である場合、これらの物体データを組み合わせて1つの物体を構成するためのデータ結合処理である。具体的には乗用車、トラック、および、バイクなどの移動物やガードレールや鉄橋などの静止物の1つの物体からの複数の反射点に基づく物体データを1つの物体の情報として結合する処理である。
【0050】
そして、結合された物体データを電子制御部3に出力する(ステップS107)。出力された物体データに基づき、電子制御部3はブレーキ40の操作、スロットル41の操作および、警報機42の操作などの車両制御を行う。
【0051】
次に、図4のステップS105で述べた連続性判定処理について、図5の連続性判定処理のフローチャートを用いて詳細に説明する。ここで、連続性判定とは、今回検出された物体データが前回検出された過去の物体データと同じ物体データであり連続的に検出されているか、または、今回検出された物体データが過去の物体データとの連続性を有さない新規に検出された物体データであるか否かを判定する処理である。
【0052】
まず、信号処理装置11のメモリ11bに保存されている前回検出の物体データを読出す(ステップS201)。そして、今回検出の物体データと前回検出の物体データとを比較して、同じ物体が連続的に検出されているか否かを判定する(ステップS202)。
【0053】
連続性判定の具体例を図6に示す物体データの連続性判定処理の図を用いて説明する。図6の車両1に備えられたレーダ装置2の検出範囲R1からR3内に検出されている四角、または、三角は物体データを示している。そして、四角は静止物データであり、三角は移動物データである。また、三角の移動物データは当該三角に付された矢印の方向に進行している。ここで、静止物とは地面に対して静止している物体をいい、移動物とは地面に対して移動している物体をいう。
【0054】
図6の左図の前々回処理では、車両1が矢印AR1の方向に進行している。そして、車両1に搭載しているレーダ装置2を用いて物体検出範囲R1内に、車両1と同じ方向に進行している移動物m1と、静止物c1、および、静止物c2の物体データを検出している。
【0055】
中央図の前回検出では車両1が所定の速度で矢印AR1方向に進むことにより、物体検出範囲R2内に、車両1と同じ方向に所定の速度で進行している移動物m1が検出される。そして、この前回検出の移動物m1と前々回検出の移動物m1とは、車両1の速度、信号強度、角度の情報から同じ物体であるとして連続性を有する移動物データであると判定する。
【0056】
また、右図の今回検出では車両1が所定の速度で矢印AR1方向に進むことにより、物体検出範囲R3内に、車両1と同じ方向に所定の速度で進行している移動物m1が検出される。そして、この今回検出の移動物m1と前回検出の移動物m1とは、車両1の速度、信号強度、角度の情報から同じ物体であるとして連続性を有する移動物データであると判定する。
【0057】
静止物データについても同様の処理を行い、例えば前々回検出の静止物c1と、前回検出の静止物c1と、今回検出の静止物c1とは、車両1の速度、信号強度、角度の情報から同じ物体であるとして連続性を有する静止物であると判定する。このように連続性判定処理では今回検出の物体データに対して、1つ前の前回検出の過去の物体データとの連続性を判定している。
【0058】
図5のフローチャートに戻り、ステップS202の連続性判定処理終了後、連続性有りと判定されなかった物体データを新規物体データとする。図6では中央図の前回検出の静止物c3が左図の前々回検出データと比較した場合の新規物体データであり、右図の今回検出の静止物c4、移動物m2、および、移動物m3が中央図の前回検出データと比較した場合の新規物体データである。
【0059】
そして、今回検出データでみると上述のように前回検出データと比較した場合の移動物の新規物体データは移動物m2、および、移動物m3であり、このように移動物の新規データがある場合(ステップS203がYes)は、その移動物新規データと他の物体データとの位置関係(たとえば、距離および角度)を確認し(ステップS204)、移動物新規データが正しくペアリングされた物体データか否かを判定する(ステップS205)。なお、ステップS202の連続性判定処理終了後、移動物の新規データが検出されない場合(ステップS203がNo)は処理を終了する。
【0060】
上述の図5のフローチャートで述べた移動物新規データと他の物体データとの位置関係の確認(ステップS204)、および、移動物新規データが正しくペアリングされた物体データか否かを判定処理(ステップS205)について、図7の移動物新規データのミスペアリング判定処理の図を用いて説明する。
【0061】
図7の左図で示す今回検出Aのように、今回検出データの中の移動物新規データm2(以下、「移動物m2」という。)からの物体検出範囲R3内にあるその他のすべての物体データとの位置関係を確認する(図5のステップS204)。
【0062】
そして、中央図の今回検出Bに示すように移動物m2を略中心として移動物m2からの移動物m2の進行方向とその逆方向のそれぞれに移動物m2の速度であれば所定時間(たとえば、数秒間)で移動する距離(例えば10m)と、移動物m2との進行方向と直交する方向で、移動物m2を中心としたそれぞれの方向に道路の幅よりも狭い距離(例えば道路の幅を1.8mとした場合の0.5m)とする判定エリアD1内の物体データを検出する。
【0063】
なお、判定エリアD1について、移動物m2の進行方向と直交する方向で、移動物m2を中心としたそれぞれの方向に道路の幅よりも狭い距離とするのは、車両1が道路の中心付近を走行している場合に、車両1の検出範囲内R3で車両1の進行方向の同軸上に移動物の新規データを検出した場合は、路測物である静止物をミスペアリング判定の範囲に含まないようにするためである。これにより、静止物データのミスペアリングによる、移動物新規データの判定を正確に行えるとともに、静止物が存在しない領域での移動物新規データに対して、ミスペアリングであると誤った判定をなくすことができる。
【0064】
判定の具体例としては、判定エリアD1の範囲内でかつ移動物m1の移動方向の前方には静止物c1が存在しているような場合である。この場合は、移動物m2からの移動物m2の移動方向と速度(たとえば時速50km)であれば、移動物m2は10m以内の距離にある静止物c1と衝突してしまう。そのため、このような位置に移動物新規データ存在している場合はミスペアリングデータ(誤データ)と判定する。または再度ペアリング処理を行う。
【0065】
これにより、新規に検出された移動物データによって規定される判定エリアに基づいて、その移動物データがミスペアリングによる誤データか否かを判断することで、少ない判定対象で早期にミスペアリングの判定を行い、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。または、再度ペアリング処理を行うことで正確な物体データを検出できる。
【0066】
また、前回検出のデータ内には存在しない移動物m2が今回検出データの判定エリアD1内に存在するためには、前回検出から今回検出までの微少時間(例えば数ミリsec)の間に少なくとも前回の検出範囲R2外から今回の検出範囲R3内に入り、移動物m3とすれ違って現在の移動物m2の位置に至る必要がある。そのため、このような位置に移動物新規データが存在している場合はミスペアリングデータ(誤データ)と判定する。または、移動物新規データについて再度ペアリング処理を行う。
【0067】
これにより、新規に検出された移動物データに基づいて、その移動物データがミスペアリングによるものか否かをその移動物データの前後いずれかの近傍の物体データに基づいて判断することで、少ない判定対象で早期にミスペアリングの判定を行い、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。または、移動物新規データについて、再度ペアリング処理を行うことで正確な物体データを検出できる。
【0068】
さらに、静止物c1と移動物m3との間の位置にある移動物m2は、前回検出範囲R2外から今回検出範囲R3内に入り静止物c1と移動物m3との間に入り込む必要があるが、車両の駆動能力を考慮した場合に、このような微少時間で今回検出Aに示すような移動物m2の位置には存在し得ない。そのため、このような位置に移動物新規データが存在している場合はミスペアリングデータ(誤データ)と判定する。または、移動物新規データについて、再度ペアリング処理を行う。
【0069】
これにより、新規に検出された移動物データに基づいて、その移動物データがミスペアリングによるものか否かをその移動物データの前後いずれかの近傍の物体データに基づいて判断することで、少ない判定対象で早期にミスペアリングの判定を行い、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。または、移動物新規データについて、再度ペアリング処理を行うことで正確な物体データを検出できる。
【0070】
このように、移動物新規データm2を中心とした判定エリアD1内に少なくとも静止物データまたは移動物データのいずれかが存在する場合、判定エリアD1内で移動物新規データm2からの移動物新規データm2の進行方向の前後いずれかの近傍に物体データがある場合、判定エリアD1内で移動物新規データm2の進行方向の前および後の両方の近傍に物体データがある場合は、移動物新規データm2は本来あり得ない位置に検出されており、ミスペアリングによる物体データであると判定し、上記具体例をあげた3つの判定方法のいずれか1つに該当する場合にミスペアリングによる物体データと判定する。または、移動物新規データm2について、再度ペアリング処理を行う。
【0071】
なお、移動物新規データm2の判定が終了した後は、他の移動物新規データ(本実施形態では移動物新規データm3)の判定を図7右図の今回検出Cに示すように、移動物新規データm3(以下「移動物m3」という。)と検出範囲R3内のすべての物体データとの位置関係を確認し、移動物m3を中心とした判定エリアD2の範囲内に物体データが存在するか、または移動物m3と判定エリアD2内の物体データとの位置関係により移動物m3がミスペアリングによるものか否かを判定する。
【0072】
そして、移動物新規データのすべてについて、たとえば車両1からの距離が近い順番にペアリングの正誤判定を行って、すべての判定が終了した場合(図5に示すステップS206がYes)は、ステップS207の処理に進む。なお、すべての判定が終了していない場合(ステップS206がNo)は、まだ判定が終了していない移動物新規データの他の物体データとの位置関係の確認を行う(ステップS204)。
【0073】
すべての判定処理が終了した後(ステップS206がYes)、ミスペアリングデータがある場合(ステップS207がYes)は、ミスペアリングと判定された移動物新規データのみについて再度ペアリングを実施する(ステップS208)。このように誤ってペアリングしたデータ(誤データ)のみについて再度ペアリングを実施することで、少ない処理で誤データを正常なペアリングデータとすることができ、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。
【0074】
また、上述のようにミスペアリングの判定(ステップS206)を行うことなく、再度ペアリング処理を実施(ステップS208)してもよい。
【0075】
ミスペアリングデータがない場合(ステップS207がNo)は、今回検出した物体データを信号処理装置11のメモリ11bに保存して(ステップS209)、次回以降の連続性判定の処理に用いたり、電子制御装置3に出力して車両制御の対象とする。これにより、早期にミスペアリングの判定を行い、誤った車両制御を防止し、車両のユーザーの安全を確保できる。
【0076】
図8は、図7の今回検出の判定エリア内の物体データのアップ区間とダウン区間のペアリングの図である。アップ区間とダウン区間のグルーピングされたピーク信号のそれぞれが正常にペアリングされた場合を図8上図に示す。車両1に備えられたレーダ装置2の検出範囲R3内のグルーピングされたピーク信号のアップ区間のmu1とダウン区間のmd1、cu1とcd1、cu2とcd2、cu3とcd3、cu4とcd4のそれぞれが、車両1の速度、グルーピングされたピーク信号の信号強度、角度に基づいてペアリングされる。
【0077】
これに対して、図7を用いて説明したようなミスペアリングが発生している場合は、図8下図で示すように正常にペアリングされていれば、アップ区間のcu2とダウン区間のcd1とがペアリングされ、cu2とcd2とがペアリングされるはずが、誤ってアップ区間のcu2とダウン区間のcd3とをペアリングし、cu3とcd2とをペアリングしてしまうことにより、本来存在しない移動物新規データが検出されてしまう。本実施形態のミスペアリング判定処理により、このようなミスペアリングは解消される。これにより、たとえば、車両1の遠方にある構造物(具体的には鉄橋や陸橋など)のように車両から100m前後の距離にあり、レーダ装置2から送信される送信波の高さ方向の広がりにより、車両1の遠方にある構造物が検出された結果、本来存在しない移動物データを検出していたため、物体の検出範囲をミスペアリングが発生しない距離(たとえば50m)に限定していたのを、このような限定を行わずに100m前後の遠距離の物体の検出を行うことができる。これにより、早い段階での車両制御が可能となり、車両のユーザーが余裕をもって車両制御を行ったり、自動的に行われる車両制御に対応できる。
【符号の説明】
【0078】
1・・・・・車両
2・・・・・レーダ装置
3・・・・・電子制御装置
10・・・・物体検出システム
11・・・・信号処理部
12・・・・変調部
13・・・・VCO
14・・・・方向性結合器
15・・・・平面アンテナ
16・・・・ミキサ
17・・・・フィルタ
18・・・・A/D変換器
19・・・・モータ駆動回路
20・・・・モータ
21・・・・エンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周期で周波数が変わる送信信号と該送信信号に基づく送信波の物体での反射波を受信した受信信号との差分周波数を示すピーク信号を、前記送信信号の周波数が上昇する第1期間と周波数が下降する第2期間とで導出し、前記第1期間及び前記第2期間のピーク信号をペアリングすることで当該ピーク信号に係る物体データを検出する物体検出処理を行う信号処理装置であって、
前記物体データと前記物体データよりも過去に検出された過去物体データとの連続性判定を行う手段と、
前記連続性判定の結果、前記物体データの中で前記過去物体データとの連続性を有さない新規に検出された移動物データを検出する手段と、
前記移動物データからの他の前記物体データとの位置関係を検出する手段と、
前記他の物体データのうちの少なくとも一の物体データが、前記移動物データからの位置関係で所定の位置関係にある場合は、前記移動物データを再度ペアリングするデータ判定手段と、
を有することを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の信号処理装置において、
前記所定の位置関係は、前記移動物データの位置によって規定される判定エリア内に、前記他の物体データが存在する位置関係であることを特徴とする信号処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の信号処理装置において、
前記所定の位置関係は、前記移動物データの進行方向の前後いずれかの近傍に前記他の物体データが存在する位置関係であることを特徴とする信号処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の信号処理装置において、
前記所定の位置関係は、前前記移動物データの進行方向の前および後の両方の近傍に前記他の物体データが存在する位置関係であることを特徴とする信号処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の信号処理装置において、
前記データ判定手段によって誤データと判定されたデータがある場合は、前記誤データのみについて再ペアリング処理を行う手段、
をさらに備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の信号処理装置と、
前記送信波を出力し、前記反射波を受信する手段と、
前記物体検出処理で検出した物体情報を、該物体情報を利用する電子制御装置に出力する手段と、
を備えることを特徴とするレーダ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のレーダ装置と、
前記レーダ装置から出力された物体データに基づいて物体を検出する手段と、
を備えることを特徴とする物体検出システム。
【請求項8】
所定周期で周波数が変わる送信信号と該送信信号に基づく送信波の物体での反射波を受信した受信信号との差分周波数を示すピーク信号を、前記送信信号の周波数が上昇する第1期間と周波数が下降する第2期間とで導出し、前記第1期間及び前記第2期間のピーク信号をペアリングすることで当該ピーク信号に係る物体データを検出する物体検出処理を行う信号処理方法であって、
前記物体データと前記物体データよりも過去に検出された過去物体データとの連続性判定を行う工程と、
前記連続性判定の結果、前記物体データの中で前記過去物体データとの連続性を有さない新規に検出された移動物データを検出する工程と、
前記移動物データからの他の前記物体データとの位置関係を検出する工程と、
前記他の物体データのうちの少なくとも一の物体データが、前記移動物データからの位置関係で所定の位置関係にある場合は、前記移動物データを再度ペアリングするデータ判定工程と、
を有することを特徴とする信号処理方法。
【請求項9】
所定周期で周波数が変わる送信信号と該送信信号に基づく送信波の物体での反射波を受信した受信信号との差分周波数を示すピーク信号を、前記送信信号の周波数が上昇する第1期間と周波数が下降する第2期間とで導出し、前記第1期間及び前記第2期間のピーク信号をペアリングすることで当該ピーク信号に係る物体データを検出する物体検出処理を行う信号処理装置に含まれるコンピュータによって実行可能なプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
前記物体データと前記物体データよりも過去に検出された過去物体データとの連続性判定を行う工程と、
前記連続性判定の結果、前記物体データの中で前記過去物体データとの連続性を有さない新規に検出された移動物データを検出する工程と、
前記移動物データからの他の前記物体データとの位置関係を検出する工程と、
前記他の物体データのうちの少なくとも一の物体データが、前記移動物データからの位置関係で所定の位置関係にある場合は、前記移動物データを再度ペアリングするデータ判定工程と、
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−69710(P2011−69710A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220745(P2009−220745)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】