信号制御情報生成装置およびその方法
【課題】 広域の道路網を対象としたとき最適な信号制御を行うことができる制御エリアの構成と制御パラメータを簡単に生成する信号制御情報生成装置およびその方法を提供すること。
【解決手段】 制御エリアおよび制御パラメータから新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成して、制御エリアおよび制御パラメータを評価するために道路網上で検知した交通情報に基づいてシミュレーションを行って評価値を算定する制御エリア・制御パラメータ案生成手段31と、評価値から良い評価値を選択する選択手段26とを備える信号制御情報生成装置1を提供する。
【解決手段】 制御エリアおよび制御パラメータから新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成して、制御エリアおよび制御パラメータを評価するために道路網上で検知した交通情報に基づいてシミュレーションを行って評価値を算定する制御エリア・制御パラメータ案生成手段31と、評価値から良い評価値を選択する選択手段26とを備える信号制御情報生成装置1を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域の道路網を対象として複数の信号機を同期させて制御する制御エリアを設けた信号制御情報生成装置およびその方法に関し、特にシミュレーションによる評価を行い最適な制御エリアおよび制御パラメータを決定する信号制御情報生成装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の信号機は、信号シーケンスが一巡する時間を示すサイクル長C、青信号が点灯する割合を示すスプリットS、および隣接する交差点との青信号開始時刻のずれを示すオフセットOの3つの制御パラメータに従って制御され、特に広域を対象とする信号制御では、車両が交差点で停止する回数と待ち時間(遅れ時間)ができるだけ少なくなるように信号機の制御パラメータを関連付けた制御エリアを設けて系統的な制御が行われている。
【0003】
例えば、信号機を同期させる制御エリアを予め設定されたパターンから時刻などに応じて選択し、制御エリア内の信号機のサイクル長Cを制御エリア内の重要交差点での飽和交通流率から求められる最大交通量に対する今の交通量の割合を表す負荷率に基づいて設定し、各信号機のスプリットSをそれぞれの信号機の流入路における負荷率の比に基づいて、また、オフセットOを隣接する交差点間の距離などによって予め設定されたパターンまたは車両感知器の交通情報に基づいて設定する。
【0004】
このような広域を対象とした信号制御において、最適な制御パラメータを評価によって求めようとするものがある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1の信号制御システムでは、自交差点の制御パラメータを作成するローカルステーションを、最も負荷率の高い基軸交差点とその隣接交差点と間で発生する平均遅れ予想値の和(評価関数F)を最小とするように制御パラメータを作成する基軸ローカルステーションと、基軸交差点からの距離を隣接交差点との間で発生する平均遅れ予想値に重みとして掛け合わせた和(評価関数F’)を最小とするように基軸交差点以外の協調交差点の制御パラメータを作成する協調ローカルステーションとに分けて構成しており、一の装置の負荷を分散させながら最も混雑しているエリアの混雑を解消することができる。
【0006】
また、特許文献2の信号制御装置では、信号機毎に設定した信号パターン番号の一部を遺伝的アルゴリズムを用いて他の番号に入れ替えた制御案を生成し、生成された制御案で各信号機に割り当てられた信号パターン番号に基づいて交通状態を予測して目的関数(渋滞余裕度など)による評価値の総和を求め、評価値の高い制御案を残して再び遺伝的な手法を用いて新たな制御案を生成する処理を所定世代数並列に繰り返す複数の処理装置(MPU)と、最終的に存在する制御案の中で最も評価値が良いものを最適案として出力する並列制御ユニットとで構成されており、交通空間内の全域に亘って渋滞を解消または低減させることができる。
【特許文献1】特開2003−272093号公報
【特許文献2】特開平8−171694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の信号制御方式においては、特定の基軸交差点とその周囲の遅れ時間を最小にすることを目的としているため、かえって広域の道路網全体の遅れ時間の短縮化が図れないという問題がある。また、上記特許文献2の信号制御方式においては、遺伝的アルゴリズムによる最適化試行において、世代毎に複数の制御案を生成し、各案に対する突然変異、交叉、選択といった操作を並列に行う。この一つの最適化試行内での並列化によって1世代あたりの処理を高速化しているが、1つの最適化試行内の並列化であり、複数の最適化試行を並列に行うものではない。遺伝的アルゴリズムのような確率的手法の場合には、複数回の試行を行う必要がある。したがって、オンライン・リアルタイム制御のように一定時間内で生成する必要がある場合には適切な解が得られるとは限らないため、より安定したパラメータ生成方法が求められる。
【0008】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、広域の道路網を対象としたとき最適な信号制御を行うことができる制御エリアの構成と制御パラメータを簡単に生成する信号制御情報生成装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の信号制御情報生成装置は、広域の道路網に制御エリアを設けて交差点に配置された信号機の制御パラメータを設計する信号制御情報生成装置であって、制御エリアおよび制御パラメータを生成する生成手段と、前記道路網から収集した交通情報に基づいて前記制御エリアおよび制御パラメータの評価値を算定する評価手段と、前記評価値に基づいて前記生成した制御エリアおよび前記制御パラメータを選択する選択手段と、を有し、前記生成手段と前記評価手段と前記選択手段とを繰り返し実行してより良い評価値の制御エリアおよび制御パラメータを選択する複数の第1の最適化手段と、前記第1の最適化手段で選択された前記評価値の中で最も良い評価値を選定する第2の最適化手段と、を備える。この構成により、より良い評価が期待できる新しい制御エリアおよび制御パラメータが簡単に得られる。
【0010】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記第2の最適化手段と前記複数の第1の最適化手段とをそれぞれ通信ネットワークを介して接続する構成を有している。この構成により、多くの新しい制御エリアおよび制御パラメータの中から最も良いものを迅速に得られる。
【0011】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記生成手段が、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点が属する制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列を求める正規化手段と、前記第1の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第1の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する構成を有している。この構成により、新しい制御エリアを簡単にいくつでも生成することができる。
【0012】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記生成手段が、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化手段と、前記第2の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する構成を有している。この構成により、新しい制御パラメータを簡単にいくつでも生成することができる。
【0013】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記生成手段が、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点が属する制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列と、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化手段と、前記第1の数値列と前記第2の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第1の数値列と前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する構成を有している。この構成により、新しい制御エリアおよび制御パラメータを同時に生成することができる。
【0014】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記変更手段が、前記第1の数値列の変更位置を乱数によって求め、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが連結状態にあれば前記道路を分離状態に、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが分離状態にあれば前記道路を連結状態に変更する構成を有している。この構成により、制御エリアを簡単に変更することができる具体的な方法が与えられる。
【0015】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記正規化手段が、前記交差点に配置されたすべての信号機の制御パラメータの値を前記制御パラメータの取り得る値の範囲を00から99で表して前記第2の数値列とし、前記変更手段は、前記第2の数値列の変更位置を第1の乱数によって求め、前記第2の数値列の前記変更位置に第2の乱数によって生成した値を代入して前記第2の数値列を変更する構成を有している。この構成により、制御パラメータを簡単に変更することができる具体的な方法が与えられる。
【0016】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記評価手段が、TRANSYTの車拡散モデルを用いたシミュレーションによって算定した遅れ時間の総和を前記評価値とする構成を有している。この構成により、制御エリアとパラメータを評価する具体的な方法とその評価値が数値で与えられる。
【0017】
本発明の信号制御情報生成方法は、広域の道路網に制御エリアを設けて交差点に配置された信号機の制御パラメータを設計する信号制御情報生成方法であって、制御エリアおよび制御パラメータを生成する生成ステップと、前記道路網から収集した交通情報に基づいて前記制御エリアおよび制御パラメータの評価値を算定する評価ステップと、前記評価値からより良い評価値を有する前記制御エリアおよび前記制御パラメータを選択する選択ステップと、を順に繰り返し実行してより良い評価値を選択する第1の最適化ステップと、
前記第1の最適化ステップを複数同時に実行させた後に、前記第1の最適化ステップで選択された前記評価値の中で最も良い評価値を選定する第2の最適化ステップと、を有する。この方法により、より良い評価が期待できる新しい制御エリアおよび制御パラメータが簡単に得られる。
【0018】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記生成ステップが、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点間の制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列を求める正規化ステップと、前記第1の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第1の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する。この方法により、新しい制御エリアを簡単にいくつでも生成することができる。
【0019】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記生成ステップが、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化ステップと、前記第2の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する。この方法により、新しい制御パラメータを簡単にいくつでも生成することができる。
【0020】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記生成ステップが、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点間の制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列と、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化ステップと、前記第1の数値列と前記第2の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第1の数値列と前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する。この方法により、新しい制御エリアおよび制御パラメータを同時に生成することができる。
【0021】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記変更ステップが、前記第1の数値列の変更位置を乱数によって求め、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが連結状態にあれば前記道路を分離状態に、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが分離状態にあれば前記道路を連結状態に変更する。この方法により、制御エリアを簡単に変更することができる具体的な方法が与えられる。
【0022】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記正規化ステップが、前記交差点に配置されたすべての信号機の制御パラメータの値を前記制御パラメータの取り得る値の範囲を00から99で表して前記第2の数値列とし、前記変更ステップは、前記第2の数値列の変更位置を第1の乱数によって求め、前記第2の数値列の前記変更位置に第2の乱数によって生成した値を代入して前記第2の数値列を変更する構成を有している。この構成により、制御パラメータを簡単に変更することができる具体的な方法が与えられる。
【0023】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記評価ステップが、TRANSYTの車拡散モデルを用いたシミュレーションによって算定した遅れ時間の総和を前記評価値とする構成を有している。この構成により、制御エリアとパラメータを評価する具体的な方法とその評価値が数値で与えられる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、広域を対象とした信号制御において最も良い評価が期待できる新しい制御エリアおよび制御パラメータを簡単に得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の信号制御情報生成装置について、図面を用いて説明する。第1の実施形態は、1つの処理装置にネットワークを介して接続される複数の生成エンジンを用いて同時に複数の制御エリアと制御パラメータ案を生成するものであり、第2の実施形態は、1つの処理装置で制御エリアと制御パラメータ案を生成するものである。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0026】
図1に本発明の実施形態の信号制御情報生成装置を用いた交通システム全体の構成図を示す。図1において、交通システムは、複数の道路2と道路2の交わる交差点3とで構成された広域の道路網4において、交差点3に配置された信号機5と、道路2上や交差点3に設けられた超音波式センサー、あるいはテレビカメラなどの車両感知器6とをそれぞれ通信回線7によって本発明の第1の実施形態の信号制御情報生成装置1または本発明の第2の実施形態の信号制御情報生成装置100に接続して構成される。
【0027】
本発明の第1の実施形態の信号制御情報生成装置1および本発明の第2の実施形態の信号制御情報生成装置100は、車両感知器6によって収集された交通量および道路2上を走行する車両の速度データなどの交通情報8に基づいて道路網4を制御エリア9に分け、制御エリア9の中で重要交差点33を決め、同じ制御エリア9内に配置されたすべての信号機5のサイクル長Cを制御エリア9の重要交差点33の信号機55のサイクル長Cとして制御パラメータ10を決定し、通信回線7を介して道路網4内の信号機5に送信する。
【0028】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態における信号制御情報生成装置の構成例を示すブロック図である。図2において、信号制御情報生成装置1は、管理コンピュータ11と、管理コンピュータ11と通信ネットワーク12によって接続されたi=1〜nのn台の生成エンジン13とを備える。管理コンピュータ11は、通信回線7を介して車両感知器6から交通情報8を受信し、生成した制御エリア9と制御パラメータ10を道路網4に配置された信号機5に出力する。n台の生成エンジン13は、通信ネットワーク12を介して管理コンピュータ11からそれぞれ交通情報などを受信し、生成した制御エリアと制御パラメータ案を管理コンピュータ11に送信する。
【0029】
管理コンピュータ11は、通信回線7と接続された生成管理手段21に、接続された通信ネットワーク12を介してn台の生成エンジン13を同時に起動する遠隔制御手段22と、通信回線7を介して受信した交通情報8を記録する交通情報データベース23と、演算のためのメモリ24と、n台の生成エンジン13で生成された制御エリアと制御パラメータ案を記録する信号制御情報データベース25と、信号制御情報データベース25に記録された制御エリアと制御パラメータ案から最適な制御エリアと制御パラメータを選択する選択手段26とを接続し、さらに、交通情報データベース23と、メモリ24と、信号制御情報データベース25を遠隔ファイルシステム27に接続し、遠隔制御手段22と、遠隔ファイルシステム27と、を通信ネットワーク12に接続して構成される。
【0030】
生成管理手段21は、通信回線7を介して受信した交通情報8を交通情報データベース23に記録するとともに、遠隔制御手段22として、例えばrsh(remote shell)などを用いてn台の生成エンジン13を同時に起動して、n台の生成エンジン13がそれぞれ生成した制御エリアと制御パラメータ案を信号制御情報データベース25に記録させ、選択手段26によって信号制御情報データベース25に記録された制御エリアと制御パラメータ案から最適な制御エリア9と制御パラメータ10を選択して通信回線7を介して信号機5に出力する。
【0031】
遠隔ファイルシステム27として、例えばNFS(Network File System)などを用い、遠隔ファイルシステム27に接続された交通情報データベース23、メモリ24、および信号制御情報データベース25と、n台の生成エンジン13との間でそれぞれファイルおよびデータなどの送受信を行う。具体的には、遠隔ファイルシステム27によって生成エンジン13から交通情報データベース23に記録された交通情報8に記憶された制御エリア9と制御パラメータ10、制御周期T、および算出時間tなどを参照したり、生成エンジン13が生成した制御エリアと制御パラメータ案を信号制御情報データベース25に格納することができる。
【0032】
生成エンジン13は、制御エリアと制御パラメータ案を生成してシミュレーションによってそれを評価する制御エリア・制御パラメータ案生成手段31と演算のためのメモリ32とを有するコンピュータである。制御エリア・制御パラメータ案生成手段31は、遠隔制御手段22から通信ネットワーク12を介して起動される。
【0033】
以上のように構成された信号制御情報生成装置1について、図3から図11を用いてその動作を説明する。図3に本発明の第1の実施形態における生成管理手段の動作説明のためのフロー図を示す。生成管理手段21では、図1に示す道路2上や交差点3に設置された車両感知器6から通信回線7を介して受信した交通情報8を交通情報データベース23に格納しながら(S101)、例えば1秒ごとに通信ネットワーク12を介してn台の生成エンジン13にPINGを順に送信し、受信した通信情報を解析して通信ネットワーク12とそれに接続されたn台の生成エンジン13に異常が発生していないかを監視する(S102)。
【0034】
n台の生成エンジン13のうち正常なものがあれば(S103;NO)、制御周期Tが経過するまで(S104;NO)、S101に戻ってS104までの処理を繰り返し、異常を監視しながら交通情報8を交通情報データベース23に収集する。制御周期Tは、道路網4の交通事情などによって、予め例えば2.5分、5分、または15分などの時間が設定される。
【0035】
制御周期Tが経過すると(S104;YES)、遠隔制御手段22を用いてi=1〜n
のn台の生成エンジン13に起動命令を発行する(S105)。起動命令を受信した生成エンジン13は、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31によって算出時間tの間それぞれ独自に制御エリアと制御パラメータ案を生成する。制御エリア・制御パラメータ案生成手段31で行われる処理については、図4で説明する。
【0036】
管理コンピュータ11は、生成エンジン13を起動後、再び通信ネットワーク12を介してn台の生成エンジン13に順にPINGを送信して受信した通信情報を解析し、通信ネットワーク12とそれに接続されたn台の生成エンジン13に異常が発生していないかを監視する(S106)。n台の生成エンジン13のうち正常なものがあれば(S107;NO)、算出時間tが経過するまで(S108;NO)、S106に戻って通信ネットワーク12とn台の生成エンジン13の異常を監視する。
【0037】
算出時間tが経過すると(S108;YES)、遠隔制御手段22を用いて制御エリア・制御パラメータ案生成手段31のプロセスが存在する生成エンジン13を強制終了させ(S109)、後述の選択手段26を実行する(S110)。選択手段26によって選択された最適な制御エリアと制御パラメータを次の制御エリア9と制御パラメータ10として通信回線7を介してそれぞれの信号機5に送信し(S111)、S101に戻って新たな交通情報8を交通情報データベース23に格納してS111までの処理を繰り返す。
【0038】
S103またはS107においてn台の生成エンジン13がすべて異常であると(S103;YES,S107;YES)、予め用意した制御エリアと制御パラメータのデフォルト値を設定して(S112)、信号機5に送信し(S111)、S101に戻る。制御エリア9と制御パラメータ10、信号制御情報生成装置1の制御周期T、および制御エリアと制御パラメータ案の算出時間tなどはメモリ24に記憶される。
【0039】
図4に、本発明の第1の実施形態における制御エリア・制御パラメータ案生成手段の動作説明のためのフロー図を示す。n台の生成エンジン13は、同じ制御エリア・制御パラメータ案生成手段31を有し、同じ処理を行って制御エリアと制御パラメータ案を生成することから、以下の説明においてはi番目の生成エンジン13の制御エリア・制御パラメータ案生成手段31の処理について説明する。
【0040】
制御エリア・制御パラメータ案生成手段31は、通信ネットワーク12を介して遠隔ファイルシステム27に対してコマンドを送信し、交通情報データベース23から交通情報を読み込み、メモリ24からメモリ32に現在の制御エリア9と制御パラメータ10および算出時間tを読み込む(S201)。現在の制御エリア9の制御パラメータ10を始めの制御エリアおよび制御パラメータ案として、例えばTRANSYTを用いた交通流量のシミュレーションを行い、評価値Eiを算出する(S202)。
【0041】
TRANSYT(Traffic Network Study Tool)は、車群拡散モデル式によって交通情報8に基づいて交通流量を予測して交差点で発生する遅れ時間と停止回数を計算するシミュレータであり、評価値Eiおよび再評価値Erとして、図1に示されるような道路網4において交差点3をノード、2つのノード間を接続する道路2をリンクとし、ノードに設置された信号によってノードに接続されるすべてのリンク上で待たされる車両の平均待ち時間の総和、すなわちリンクでの遅れ時間の総和を用いる。
【0042】
なお、評価値Eiおよび再評価値Erは、遅れ時間の総和に限定されない。車両の運行状況を定量的に評価できる妥当なものであれば、すべてのノードに接続されるリンクでの遅れ時間と停止台数との総和を用いてもよいし、リンク走行速度に基づいた総燃料消費量、大気汚染物質の排出、または騒音などのパフォーマンス・インデックスなどを用いてもよい。
【0043】
次に、制御エリアと制御パラメータを生成する方法について図5から図9を用いて説明する。図5は、本発明の第1の実施形態において制御エリアを生成する方法を説明するための概念図であり、(a)は、制御エリアを正規化する方法を説明する図、(b)は、正規化した制御エリアを変更する方法を説明する図、(c)は、正規化した制御エリアを逆変換して新しい制御エリアを生成する方法を説明する図である。
【0044】
図6は、本発明の第1の実施形態において制御パラメータを生成する方法を説明するための概念図であり、(a)は、制御パラメータを正規化する方法を説明する図、(b)は、正規化した制御パラメータを変更する方法を説明する図、(c)は、正規化した制御パラメータを逆変換して新しい制御パラメータを生成する方法を説明する図である。
【0045】
図5(a)に示すように、道路網4において交差点3をノードNj(j=1、2、・・・、m)、2つのノード間を接続する道路2をリンクLk(k=1、2、・・・、q)とし、道路網4内にあるすべてのノードNjとリンクLkに番号を付与し、1つのノードNjに1つの信号機5を対応させて信号機5の制御エリアと制御パラメータの生成を行う。
【0046】
始めの制御エリアと制御パラメータ案としてメモリ32に記憶される現在の制御エリア9と制御パラメータ10を正規化する(S203)。制御エリア9については、図5(a)に示すように、道路網4内にあるすべてのリンクLkについて、リンクLkが接続する2つの例えばノードNjとノードNj+1を同じ制御エリア9として連結するリンクLkに「1」を、リンクLkが接続する2つのノードNjとノードNj+1を別の制御エリアとして分離するリンクLkに「0」を設定した数値列をk=1、2、・・・、qの順に並べて、正規化した制御エリアの数値列Ceを作成する。
【0047】
制御パラメータ10については、図6(a)に示すように、道路網4内にあるすべてのノードNjについて、ノードNjに対応させた信号機5の制御パラメータであるサイクル長C、スプリットS、およびオフセットOを、それぞれが取り得るレンジの何パーセントに当たるかを「00」〜「99」の2桁の数値で表して、j=1、2、・・・、mの順に並べ、正規化した制御パラメータの数値列Cpを作成する。図6(a)に示すように、サイクル長Cが90秒から110秒までの値をとるとき、例えば、サイクル長100秒を正規化すると、
(100秒−90秒)/(110秒−90秒)×100=50
となる。
【0048】
次に、正規化した制御エリアの数値列Ceと正規化した制御パラメータの数値列Cpを乱数によって変更する処理を実行する(S204)。ここでは、正規化した制御エリアの数値列Ceと正規化した制御パラメータの数値列Cpを繋げて正規化した制御情報の数値列Cepとし、正規化した制御情報の数値列Cepを乱数によって変更する。
【0049】
図7は、本発明の第1の実施形態における正規化した制御情報の数値列Cepを示す図である。正規化した制御エリアの数値列Ceは、リンク数qと同じ長さを有する「0」か「1」数値列であり、正規化した制御パラメータの数値列Cpは、ノード数m×制御パラメータ数3×数値列の桁数2の長さを有する「0」から「9」の数値列であり、正規化した制御情報の数値列Cepは、z=リンク数q+ノード数m×制御パラメータ数3×数値の桁数2の長さを有する数値列となる。
【0050】
図8は、本発明の第1の実施形態における乱数よる変更処理を説明するためのフロー図である。図8に従ってS204の正規化した制御情報の数値列Cepを乱数によって変更する処理について詳細に説明する。乱数による変更個数は、任意に設定可能である。設定された変更個数の処理が終了していなければ(S301;NO)、1からzまでのいずれかの数を乱数として発生させ、それを正規化した制御情報の数値列Cepの変更位置xとする(S302)。
【0051】
変更位置xが道路網4の全リンク数q以下の場合(S303;YES)、正規化した制御エリアの数値列Ceの変更処理を実行する。変更位置xのリンクLx=「0」、すなわち、リンクLxで接続された例えばノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9がリンクLxによって分離されていれば(S304;YES)、Lx=「1」として、リンクLxで接続されたノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9を連結させる(S305)。
【0052】
そして、新たに構成された制御エリア9において重要交差点33を決定し(S306)、新たに構成された制御エリア9内にあるすべての信号機5の正規化された制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cを、重要交差点33の信号機55の正規化された制御パラメータのサイクル長Cに設定して(S307)、S301に戻る。
【0053】
S304において、変更位置xのリンクLx=「1」、すなわち、リンクLxで接続された例えばノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9がリンクLxによって連結されていれば(S304;NO)、Lx=「0」として、リンクLxで接続されたノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9を分離させる(S308)。
【0054】
S308において、リンクLxで接続されたノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9を分離したため、リンクLxで分離されるノードNjまたはノードNj+1の属するいずれかの制御エリア9に重要交差点33がなくなってしまった場合(S309;YES)、重要交差点33のない制御エリア9内で新たに重要交差点33を決定し(S310)、S307に進んで、同じ制御エリア9内にあるすべての信号機5の正規化された制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cを、重要交差点33の信号機55の正規化された制御パラメータのサイクル長Cに設定し、S301に戻る。
【0055】
S309において、リンクLxで接続されたノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9を分離しても、リンクLxで接続されたノードNjとノードNj+1の属するいずれの制御エリア9にも重要交差点33があれば(S309;NO)、そのままS301に戻る。
【0056】
S303において、変更位置xがリンク数qを超える場合(S303;NO)、正規化した制御パラメータの数値列Cpの変更処理を実行して(S311)、S301に戻る。S301で設定された変更個数の処理が終了すれば(S301;YES)、乱数よる変更処理を終了する。図5(b)は、変更位置x=7、Lx=「1」の例である。
【0057】
図9は、本発明の第1の実施形態における制御パラメータの変更処理を説明するためのフロー図である。図9に従ってS311の正規化された制御パラメータの数値列Cpの変更処理について詳細に説明する。「0」から「9」までのいずれかの数を乱数として発生させ、それを変更値yとする(S401)、正規化した制御パラメータの数値列Cpの変更位置xに変更値yを代入する(S402)。S402の変更処理は、変更位置xによって指定された「00」〜「99」の2桁の数値のいずれか1桁を変更値yに変更するものである。
【0058】
変更位置xが制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cの位置に当たれば(S403;YES)、同じ制御エリア9内にあるすべての信号機5の正規化された制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cを、S402で変更したサイクル長Cに設定して(S404)、制御パラメータの変更処理を終了する。変更位置xが制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cの位置に当たらなければ(S403;NO)、そのまま制御パラメータの変更処理を終了する、すなわち、ステップS402において代入された変更値に基づき、制御パラメータ(スプリットS、オフセットO)の変更処理を行う。
【0059】
なお、S403で変更位置xが制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cの位置に当たり、かつ変更位置xが重要交差点33のときS404の処理を行い、変更位置xが重要交差点33でないときはサイクル長Cの変更処理を行わないようにしてもよい。図6(b)は、変更値y=「4」の例である。
【0060】
なお、図8の乱数よる変更処理では、制御エリアの数値列Ceと制御パラメータの数値列Cpの両方の変更処理が変更個数分行えるように用意されているが、S302の乱数発生処理を1からqまでの制御エリアの数値列Ceの位置に限定したり、q+1からzまでの制御パラメータの数値列Cpの位置に限定して乱数を発生させるようにすれば、制御エリアのみの変更、または制御パラメータのみの変更を行うこともできる。
【0061】
変更後、図5(c)および図6(c)に示すように、正規化した制御エリアの数値列Ceと正規化した制御パラメータの数値列Cpをそれぞれ逆変換して、新たな制御エリアと制御パラメータ案を作成する(S205)。
【0062】
新たに生成した制御エリアと制御パラメータ案に基づいて、S202と同じ交通流量のシミュレーションを行い、同じ評価方法を用いて再評価値Erを計算し(S206)、S202で算出した評価値Eiと再評価値Erを比較する。
【0063】
評価値Eiを遅れ時間としているので再評価値Erの方が小さい、すなわち再評価値Erの評価が良ければ(S207;YES)、評価値Eiに再評価値Erを代入して(S208)、メモリ32に新たな制御エリアと制御パラメータ案を記憶し(S209)、算出時間tが経過していなければ(S210;NO)、S203に戻ってS210までの処理を繰り返し、より良い再評価値Erが得られる制御エリアと制御パラメータ案を探索する。i番目の生成エンジン13において最も良い評価のものは、S208によって常に評価値Eiに記憶されている。
【0064】
S207で再評価値Erの評価がよくなければ(S207;NO)、そのまま、S210へ移り、算出時間tが経過していなければ(S210;NO)、S203に戻ってS210までの処理を繰り返し、より良い再評価値Erが得られる制御エリアと制御パラメータ案を探す。
【0065】
算出時間tが経過すると(S210;YES)、メモリ32に記憶されたi番目の生成エンジン13において最も良い評価値Eiとその制御エリアと制御パラメータ案を通信ネットワーク12によって管理コンピュータ11の信号制御情報データベース25に転送し(S211)、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31の処理を終了する。なお、現在の制御エリアと制御パラメータ、評価値E、再評価値Er、正規化した制御パラメータの数値列Cpと正規化した制御エリアの数値列Ceを繋げた正規化した制御情報の数値列Cep、および制御エリアと制御パラメータ案などはメモリ32に記憶される。
【0066】
以上の処理によって、i=1〜nまでの生成エンジン13によって生成された最も良い評価値Eiと制御エリアと制御パラメータ案は、管理コンピュータ11の信号制御情報データベース25に記録される。
【0067】
また、生成エンジン13が図4に示す制御エリア・制御パラメータ案生成手段31のプロセスの途中で生成管理手段21から図3のS109の強制終了を受信したとき、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31は、メモリ32に記憶された評価値Eiと制御エリアと制御パラメータ案を管理コンピュータ11の信号制御情報データベース25に転送するS211の処理を実行して処理を終了する。
【0068】
図10は、本発明の第1の実施形態における信号制御情報データベースの構成例を示す図である。信号制御情報データベース25には、生成エンジン番号i=1〜n順に各生成エンジン番号iが生成した評価値Eiおよび制御エリアと制御パラメータ案が記録される。
【0069】
図11に、本発明の第1の実施形態における選択手段の動作説明のためのフロー図を示す。図11に従って図3に示すS110の選択手段26について詳細に説明する。図11に示すように、選択手段26は、n台の生成エンジンによってそれぞれ生成され、遠隔ファイルシステム27によって信号制御情報データベース25に格納された評価値Eiのうちを最も良いものを検索し、最も良い評価値Eiを算出した生成エンジン13の生成した制御エリアと制御パラメータ案を次の制御周期の制御エリアと制御パラメータとする。ここで、最も良い評価値Eiとは、評価値Eiを遅れ時間の総和としているため最も小さいものとなる。
【0070】
信号制御情報データベース25を検索するための初期設定を行う。すなわち、i=1、最も良い生成エンジン番号を記憶するCPNO=1、最も良い評価値Eiを記憶する最適評価値Eにi=1番目の生成エンジン13で算定された評価値E1を設定する(S501)。
【0071】
i=nすなわちn台の生成エンジン13についての処理が終了していなければ(S502;NO)、i=i+1として次の生成エンジン13を指定し(S503)、最適評価値Eと次の生成エンジン13で算出された評価値Eiを比較し、i番目の生成エンジン13で算出された評価値Eiが良ければ(S504;YES)、最適評価値Eに評価値Eiを代入し、最適評価値Eを生成した生成エンジン13の番号iをCPNOに代入して(S505)、S502に戻ってすべての生成エンジン13についての処理が終了するまで(S502;YES)、S503からS505までの処理を繰り返す。
【0072】
S504で評価値Eiが最良評価値Eより良くなければ(S504;NO)、何もしないでS502に戻る。S502でi=nすなわちすべての生成エンジン13についての処理が終了すれば(S502;YES)、CPNOに記憶された生成エンジン13が算出した制御エリアと制御パラメータ案を次の制御周期の制御エリアと制御パラメータとして記憶して(S506)、処理を終了する。なお、i、CPNO、次の制御エリアと制御パラメータなどは、メモリ24に記憶される。
【0073】
このような第1の実施の形態によれば、シミュレーションを行って生成した制御エリアと制御パラメータ案を評価し、評価値のより良いものを制御エリアと制御パラメータとして選定しているので、最も良い評価が期待できる新しい制御エリアと制御パラメータを簡単に得られることとなる。また、制御エリアと制御パラメータの生成と評価を複数の生成エンジンを用いて並列に行っているため、多くの制御エリアと制御パラメータ案の中から最も信頼の置ける最適な制御エリアと制御パラメータを迅速に得ることができる。
【0074】
また、制御エリアと制御パラメータを組み合わせて評価しているため、制御エリアと制御パターンの最適な組み合わせを同時に求めることができる。さらに、制御エリアを設定して制御パラメータを決定しているため、制御エリアを設けない場合に比較して制御パラメータ案の絶対数が減るため、最適な制御エリアと制御パラメータを確実に求めることができる。
【0075】
また、制御エリアを正規化して「0」、「1」で簡単に表わしているので、制御エリアの連結および分離などの接続を変える処理が非常に簡単である。さらに、制御パラメータの値としてそれぞれが取り得る値の範囲を一律「00」から「99」のレンジに変換して正規化してから、各桁を「0」から「9」の乱数によって置き換えているので、本来は異なる値であるサイクルC、スプリットS、オフセットOを同じロジックを使って簡単に変更できる。
【0076】
また、制御パラメータの値としてそれぞれが取り得る値の範囲を一律「00」から「99」のレンジに変換して正規化してから、各桁を「0」から「9」の乱数によって置き換えているので、変更によって得られる制御パラメータの値が必ず有効なものの範囲にあるので、無駄な評価を行うことがない。
【0077】
また、乱数によって制御エリアおよび制御パラメータのいずれか少なくとも一方の構成を変更するため、無作為にまったく新しい制御エリア構成を得ることができる。
【0078】
(第2の実施形態)
図12は、本発明の第2の実施形態における信号制御情報生成装置の構成例を示すブロック図である。図12において、第1の実施形態で説明した図1と重複する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
信号制御情報生成装置100は、通信回線7と接続された生成管理手段121に、制御エリアと制御パラメータ案を生成してシミュレーションによってそれを評価する複数の制御エリア・制御パラメータ案生成手段31と、車両感知器6から受信した交通情報8を記録する交通情報データベース23と、現在の制御エリア9と制御パラメータ10、信号制御情報生成装置1の制御周期T、および制御エリア9と制御パラメータ10の算出時間tなどを記憶するメモリ24と、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31で生成された制御エリアと制御パラメータ案を記録する信号制御情報データベース25と、信号制御情報データベース25に記録された制御エリアと制御パラメータ案から最適な制御エリアと制御パラメータを選択する選択手段26とを接続して構成される。
【0080】
生成管理手段121は、通信回線7を介して交通情報8を交通情報データベース23に記録するとともに、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31によって制御エリアと制御パラメータ案を生成させて信号制御情報データベース25に記録させ、選択手段26によって信号制御情報データベース25に記録された制御エリアと制御パラメータ案から最適な制御エリア9と制御パラメータ10を選択して通信回線7を介して出力する。
【0081】
以上のように構成された信号制御情報生成装置100について、図13を用いてその動作を説明する。図13に本発明の第2の実施形態における生成管理手段の動作説明のためのフロー図を示す。図13に示すように、生成管理手段121では、受信した交通情報8を交通情報データベース23に格納する処理を(S601)、制御周期Tが経過するまで繰り返し(S602;NO)、制御周期Tが経過すると(S602;YES)、複数の制御エリア・制御パラメータ案生成手段31を実行して生成した評価値Eiと制御エリアと制御パラメータ案を信号制御情報データベース25に記録する(S603)。
【0082】
選択手段26を実行して信号制御情報データベース25から最適評価値Eおよびその制御エリアと制御パラメータを選択し(S604)、選択手段26によって選択された最適な制御エリアと制御パラメータを次の制御エリアと制御パラメータとして通信回線7を介してそれぞれの信号機5に送信し(S605)、S601に戻ってS605までの処理を繰り返す。
【0083】
なお、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31は、図4の制御エリア・制御パラメータ案生成手段31とほぼ同じであるが、データの参照元が異なる。すなわち、S201では、交通情報データベース23から直接交通情報を読み込み、メモリ24から直接現在の制御エリア9と制御パラメータ10および算出時間tを読み込むようにし、再評価値Er、正規化した制御パラメータの数値列Cpと正規化した制御エリアの数値列Ceを繋げた正規化した制御情報の数値列Cep、および制御エリアと制御パラメータ案などをメモリ24に記憶させて、S211では、メモリ24に記憶された評価値Eiおよび制御エリアと制御パラメータ案を直接信号制御情報データベース25に格納させる。
【0084】
このような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が簡単な装置で安価に得られる。
【0085】
なお、第2の実施の形態の信号制御エリアと制御パラメータの生成装置100では、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31を複数設ける構成として説明したが、より簡単な構成とするために制御エリア・制御パラメータ案生成手段31を1つとし、図13のS604および図12の選択手段26を削除してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明にかかる信号制御情報生成装置およびその方法は、広域の道路網を対象とした信号制御において、最も良い評価が期待できる新しい制御エリアと制御パラメータを簡単に得られるという効果を有し、複数の信号機を同期させて制御する制御エリアを設けた信号制御情報生成装置およびその方法に関し、特に制御エリアと制御パラメータの一部を変更してシミュレーションによる評価値を行い最適な制御エリアおよび制御パラメータを決定する信号制御情報生成装置およびその方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の信号制御情報生成装置を用いた交通システム全体の構成図
【図2】本発明の第1の実施形態における信号制御情報生成装置の構成例を示すブロック図
【図3】本発明の第1の実施形態における生成管理手段の動作説明のためのフロー図
【図4】本発明の第1の実施形態における制御エリア・制御パラメータ案生成手段の動作説明のためのフロー図
【図5】本発明の第1の実施形態において制御エリアを生成する方法を説明するための概念図であり、(a)制御エリアを正規化する方法を説明する図、(b)正規化した制御エリアを変更する方法を説明する図、(c)正規化した制御エリアを逆変換して新しい制御エリアを生成する方法を説明する図
【図6】本発明の第1の実施形態において制御パラメータを生成する方法を説明するための概念図であり、(a)制御パラメータを正規化する方法を説明する図、(b)正規化した制御パラメータを変更する方法を説明する図、(c)正規化した制御パラメータを逆変換して新しい制御パラメータを生成する方法を説明する図
【図7】本発明の第1の実施形態における正規化した制御情報の数値列Cepを示す図
【図8】本発明の第1の実施形態における乱数よる変更処理を説明するためのフロー図
【図9】本発明の第1の実施形態における制御パラメータの変更処理を説明するためのフロー図
【図10】本発明の第1の実施形態における信号制御情報データベースの構成例を示す図
【図11】本発明の第1の実施形態における選択手段の動作説明のためのフロー図
【図12】本発明の第2の実施形態における信号制御情報生成装置の構成例を示すブロック図
【図13】本発明の第2の実施形態における生成管理手段の動作説明のためのフロー図
【符号の説明】
【0088】
1、100 信号制御情報生成装置
2 道路
3 交差点
4 道路網
5、55 信号機
6 車両感知器
7 通信回線
8 交通情報
9 制御エリア
10 制御パラメータ
11、111 管理コンピュータ
12 通信ネットワーク
13 生成エンジン
21 生成管理手段
22 遠隔制御手段
23 交通情報データベース
24、32 メモリ
25 信号制御情報データベース
26 選択手段
27 遠隔ファイルシステム
31 制御エリア・制御パラメータ案生成手段
33 重要交差点
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域の道路網を対象として複数の信号機を同期させて制御する制御エリアを設けた信号制御情報生成装置およびその方法に関し、特にシミュレーションによる評価を行い最適な制御エリアおよび制御パラメータを決定する信号制御情報生成装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の信号機は、信号シーケンスが一巡する時間を示すサイクル長C、青信号が点灯する割合を示すスプリットS、および隣接する交差点との青信号開始時刻のずれを示すオフセットOの3つの制御パラメータに従って制御され、特に広域を対象とする信号制御では、車両が交差点で停止する回数と待ち時間(遅れ時間)ができるだけ少なくなるように信号機の制御パラメータを関連付けた制御エリアを設けて系統的な制御が行われている。
【0003】
例えば、信号機を同期させる制御エリアを予め設定されたパターンから時刻などに応じて選択し、制御エリア内の信号機のサイクル長Cを制御エリア内の重要交差点での飽和交通流率から求められる最大交通量に対する今の交通量の割合を表す負荷率に基づいて設定し、各信号機のスプリットSをそれぞれの信号機の流入路における負荷率の比に基づいて、また、オフセットOを隣接する交差点間の距離などによって予め設定されたパターンまたは車両感知器の交通情報に基づいて設定する。
【0004】
このような広域を対象とした信号制御において、最適な制御パラメータを評価によって求めようとするものがある(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1の信号制御システムでは、自交差点の制御パラメータを作成するローカルステーションを、最も負荷率の高い基軸交差点とその隣接交差点と間で発生する平均遅れ予想値の和(評価関数F)を最小とするように制御パラメータを作成する基軸ローカルステーションと、基軸交差点からの距離を隣接交差点との間で発生する平均遅れ予想値に重みとして掛け合わせた和(評価関数F’)を最小とするように基軸交差点以外の協調交差点の制御パラメータを作成する協調ローカルステーションとに分けて構成しており、一の装置の負荷を分散させながら最も混雑しているエリアの混雑を解消することができる。
【0006】
また、特許文献2の信号制御装置では、信号機毎に設定した信号パターン番号の一部を遺伝的アルゴリズムを用いて他の番号に入れ替えた制御案を生成し、生成された制御案で各信号機に割り当てられた信号パターン番号に基づいて交通状態を予測して目的関数(渋滞余裕度など)による評価値の総和を求め、評価値の高い制御案を残して再び遺伝的な手法を用いて新たな制御案を生成する処理を所定世代数並列に繰り返す複数の処理装置(MPU)と、最終的に存在する制御案の中で最も評価値が良いものを最適案として出力する並列制御ユニットとで構成されており、交通空間内の全域に亘って渋滞を解消または低減させることができる。
【特許文献1】特開2003−272093号公報
【特許文献2】特開平8−171694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の信号制御方式においては、特定の基軸交差点とその周囲の遅れ時間を最小にすることを目的としているため、かえって広域の道路網全体の遅れ時間の短縮化が図れないという問題がある。また、上記特許文献2の信号制御方式においては、遺伝的アルゴリズムによる最適化試行において、世代毎に複数の制御案を生成し、各案に対する突然変異、交叉、選択といった操作を並列に行う。この一つの最適化試行内での並列化によって1世代あたりの処理を高速化しているが、1つの最適化試行内の並列化であり、複数の最適化試行を並列に行うものではない。遺伝的アルゴリズムのような確率的手法の場合には、複数回の試行を行う必要がある。したがって、オンライン・リアルタイム制御のように一定時間内で生成する必要がある場合には適切な解が得られるとは限らないため、より安定したパラメータ生成方法が求められる。
【0008】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、広域の道路網を対象としたとき最適な信号制御を行うことができる制御エリアの構成と制御パラメータを簡単に生成する信号制御情報生成装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の信号制御情報生成装置は、広域の道路網に制御エリアを設けて交差点に配置された信号機の制御パラメータを設計する信号制御情報生成装置であって、制御エリアおよび制御パラメータを生成する生成手段と、前記道路網から収集した交通情報に基づいて前記制御エリアおよび制御パラメータの評価値を算定する評価手段と、前記評価値に基づいて前記生成した制御エリアおよび前記制御パラメータを選択する選択手段と、を有し、前記生成手段と前記評価手段と前記選択手段とを繰り返し実行してより良い評価値の制御エリアおよび制御パラメータを選択する複数の第1の最適化手段と、前記第1の最適化手段で選択された前記評価値の中で最も良い評価値を選定する第2の最適化手段と、を備える。この構成により、より良い評価が期待できる新しい制御エリアおよび制御パラメータが簡単に得られる。
【0010】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記第2の最適化手段と前記複数の第1の最適化手段とをそれぞれ通信ネットワークを介して接続する構成を有している。この構成により、多くの新しい制御エリアおよび制御パラメータの中から最も良いものを迅速に得られる。
【0011】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記生成手段が、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点が属する制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列を求める正規化手段と、前記第1の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第1の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する構成を有している。この構成により、新しい制御エリアを簡単にいくつでも生成することができる。
【0012】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記生成手段が、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化手段と、前記第2の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する構成を有している。この構成により、新しい制御パラメータを簡単にいくつでも生成することができる。
【0013】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記生成手段が、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点が属する制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列と、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化手段と、前記第1の数値列と前記第2の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第1の数値列と前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する構成を有している。この構成により、新しい制御エリアおよび制御パラメータを同時に生成することができる。
【0014】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記変更手段が、前記第1の数値列の変更位置を乱数によって求め、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが連結状態にあれば前記道路を分離状態に、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが分離状態にあれば前記道路を連結状態に変更する構成を有している。この構成により、制御エリアを簡単に変更することができる具体的な方法が与えられる。
【0015】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記正規化手段が、前記交差点に配置されたすべての信号機の制御パラメータの値を前記制御パラメータの取り得る値の範囲を00から99で表して前記第2の数値列とし、前記変更手段は、前記第2の数値列の変更位置を第1の乱数によって求め、前記第2の数値列の前記変更位置に第2の乱数によって生成した値を代入して前記第2の数値列を変更する構成を有している。この構成により、制御パラメータを簡単に変更することができる具体的な方法が与えられる。
【0016】
さらに、本発明の信号制御情報生成装置は、前記評価手段が、TRANSYTの車拡散モデルを用いたシミュレーションによって算定した遅れ時間の総和を前記評価値とする構成を有している。この構成により、制御エリアとパラメータを評価する具体的な方法とその評価値が数値で与えられる。
【0017】
本発明の信号制御情報生成方法は、広域の道路網に制御エリアを設けて交差点に配置された信号機の制御パラメータを設計する信号制御情報生成方法であって、制御エリアおよび制御パラメータを生成する生成ステップと、前記道路網から収集した交通情報に基づいて前記制御エリアおよび制御パラメータの評価値を算定する評価ステップと、前記評価値からより良い評価値を有する前記制御エリアおよび前記制御パラメータを選択する選択ステップと、を順に繰り返し実行してより良い評価値を選択する第1の最適化ステップと、
前記第1の最適化ステップを複数同時に実行させた後に、前記第1の最適化ステップで選択された前記評価値の中で最も良い評価値を選定する第2の最適化ステップと、を有する。この方法により、より良い評価が期待できる新しい制御エリアおよび制御パラメータが簡単に得られる。
【0018】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記生成ステップが、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点間の制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列を求める正規化ステップと、前記第1の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第1の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する。この方法により、新しい制御エリアを簡単にいくつでも生成することができる。
【0019】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記生成ステップが、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化ステップと、前記第2の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する。この方法により、新しい制御パラメータを簡単にいくつでも生成することができる。
【0020】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記生成ステップが、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点間の制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列と、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化ステップと、前記第1の数値列と前記第2の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第1の数値列と前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する。この方法により、新しい制御エリアおよび制御パラメータを同時に生成することができる。
【0021】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記変更ステップが、前記第1の数値列の変更位置を乱数によって求め、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが連結状態にあれば前記道路を分離状態に、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが分離状態にあれば前記道路を連結状態に変更する。この方法により、制御エリアを簡単に変更することができる具体的な方法が与えられる。
【0022】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記正規化ステップが、前記交差点に配置されたすべての信号機の制御パラメータの値を前記制御パラメータの取り得る値の範囲を00から99で表して前記第2の数値列とし、前記変更ステップは、前記第2の数値列の変更位置を第1の乱数によって求め、前記第2の数値列の前記変更位置に第2の乱数によって生成した値を代入して前記第2の数値列を変更する構成を有している。この構成により、制御パラメータを簡単に変更することができる具体的な方法が与えられる。
【0023】
さらに、本発明の信号制御情報生成方法は、前記評価ステップが、TRANSYTの車拡散モデルを用いたシミュレーションによって算定した遅れ時間の総和を前記評価値とする構成を有している。この構成により、制御エリアとパラメータを評価する具体的な方法とその評価値が数値で与えられる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、広域を対象とした信号制御において最も良い評価が期待できる新しい制御エリアおよび制御パラメータを簡単に得られるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態の信号制御情報生成装置について、図面を用いて説明する。第1の実施形態は、1つの処理装置にネットワークを介して接続される複数の生成エンジンを用いて同時に複数の制御エリアと制御パラメータ案を生成するものであり、第2の実施形態は、1つの処理装置で制御エリアと制御パラメータ案を生成するものである。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0026】
図1に本発明の実施形態の信号制御情報生成装置を用いた交通システム全体の構成図を示す。図1において、交通システムは、複数の道路2と道路2の交わる交差点3とで構成された広域の道路網4において、交差点3に配置された信号機5と、道路2上や交差点3に設けられた超音波式センサー、あるいはテレビカメラなどの車両感知器6とをそれぞれ通信回線7によって本発明の第1の実施形態の信号制御情報生成装置1または本発明の第2の実施形態の信号制御情報生成装置100に接続して構成される。
【0027】
本発明の第1の実施形態の信号制御情報生成装置1および本発明の第2の実施形態の信号制御情報生成装置100は、車両感知器6によって収集された交通量および道路2上を走行する車両の速度データなどの交通情報8に基づいて道路網4を制御エリア9に分け、制御エリア9の中で重要交差点33を決め、同じ制御エリア9内に配置されたすべての信号機5のサイクル長Cを制御エリア9の重要交差点33の信号機55のサイクル長Cとして制御パラメータ10を決定し、通信回線7を介して道路網4内の信号機5に送信する。
【0028】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態における信号制御情報生成装置の構成例を示すブロック図である。図2において、信号制御情報生成装置1は、管理コンピュータ11と、管理コンピュータ11と通信ネットワーク12によって接続されたi=1〜nのn台の生成エンジン13とを備える。管理コンピュータ11は、通信回線7を介して車両感知器6から交通情報8を受信し、生成した制御エリア9と制御パラメータ10を道路網4に配置された信号機5に出力する。n台の生成エンジン13は、通信ネットワーク12を介して管理コンピュータ11からそれぞれ交通情報などを受信し、生成した制御エリアと制御パラメータ案を管理コンピュータ11に送信する。
【0029】
管理コンピュータ11は、通信回線7と接続された生成管理手段21に、接続された通信ネットワーク12を介してn台の生成エンジン13を同時に起動する遠隔制御手段22と、通信回線7を介して受信した交通情報8を記録する交通情報データベース23と、演算のためのメモリ24と、n台の生成エンジン13で生成された制御エリアと制御パラメータ案を記録する信号制御情報データベース25と、信号制御情報データベース25に記録された制御エリアと制御パラメータ案から最適な制御エリアと制御パラメータを選択する選択手段26とを接続し、さらに、交通情報データベース23と、メモリ24と、信号制御情報データベース25を遠隔ファイルシステム27に接続し、遠隔制御手段22と、遠隔ファイルシステム27と、を通信ネットワーク12に接続して構成される。
【0030】
生成管理手段21は、通信回線7を介して受信した交通情報8を交通情報データベース23に記録するとともに、遠隔制御手段22として、例えばrsh(remote shell)などを用いてn台の生成エンジン13を同時に起動して、n台の生成エンジン13がそれぞれ生成した制御エリアと制御パラメータ案を信号制御情報データベース25に記録させ、選択手段26によって信号制御情報データベース25に記録された制御エリアと制御パラメータ案から最適な制御エリア9と制御パラメータ10を選択して通信回線7を介して信号機5に出力する。
【0031】
遠隔ファイルシステム27として、例えばNFS(Network File System)などを用い、遠隔ファイルシステム27に接続された交通情報データベース23、メモリ24、および信号制御情報データベース25と、n台の生成エンジン13との間でそれぞれファイルおよびデータなどの送受信を行う。具体的には、遠隔ファイルシステム27によって生成エンジン13から交通情報データベース23に記録された交通情報8に記憶された制御エリア9と制御パラメータ10、制御周期T、および算出時間tなどを参照したり、生成エンジン13が生成した制御エリアと制御パラメータ案を信号制御情報データベース25に格納することができる。
【0032】
生成エンジン13は、制御エリアと制御パラメータ案を生成してシミュレーションによってそれを評価する制御エリア・制御パラメータ案生成手段31と演算のためのメモリ32とを有するコンピュータである。制御エリア・制御パラメータ案生成手段31は、遠隔制御手段22から通信ネットワーク12を介して起動される。
【0033】
以上のように構成された信号制御情報生成装置1について、図3から図11を用いてその動作を説明する。図3に本発明の第1の実施形態における生成管理手段の動作説明のためのフロー図を示す。生成管理手段21では、図1に示す道路2上や交差点3に設置された車両感知器6から通信回線7を介して受信した交通情報8を交通情報データベース23に格納しながら(S101)、例えば1秒ごとに通信ネットワーク12を介してn台の生成エンジン13にPINGを順に送信し、受信した通信情報を解析して通信ネットワーク12とそれに接続されたn台の生成エンジン13に異常が発生していないかを監視する(S102)。
【0034】
n台の生成エンジン13のうち正常なものがあれば(S103;NO)、制御周期Tが経過するまで(S104;NO)、S101に戻ってS104までの処理を繰り返し、異常を監視しながら交通情報8を交通情報データベース23に収集する。制御周期Tは、道路網4の交通事情などによって、予め例えば2.5分、5分、または15分などの時間が設定される。
【0035】
制御周期Tが経過すると(S104;YES)、遠隔制御手段22を用いてi=1〜n
のn台の生成エンジン13に起動命令を発行する(S105)。起動命令を受信した生成エンジン13は、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31によって算出時間tの間それぞれ独自に制御エリアと制御パラメータ案を生成する。制御エリア・制御パラメータ案生成手段31で行われる処理については、図4で説明する。
【0036】
管理コンピュータ11は、生成エンジン13を起動後、再び通信ネットワーク12を介してn台の生成エンジン13に順にPINGを送信して受信した通信情報を解析し、通信ネットワーク12とそれに接続されたn台の生成エンジン13に異常が発生していないかを監視する(S106)。n台の生成エンジン13のうち正常なものがあれば(S107;NO)、算出時間tが経過するまで(S108;NO)、S106に戻って通信ネットワーク12とn台の生成エンジン13の異常を監視する。
【0037】
算出時間tが経過すると(S108;YES)、遠隔制御手段22を用いて制御エリア・制御パラメータ案生成手段31のプロセスが存在する生成エンジン13を強制終了させ(S109)、後述の選択手段26を実行する(S110)。選択手段26によって選択された最適な制御エリアと制御パラメータを次の制御エリア9と制御パラメータ10として通信回線7を介してそれぞれの信号機5に送信し(S111)、S101に戻って新たな交通情報8を交通情報データベース23に格納してS111までの処理を繰り返す。
【0038】
S103またはS107においてn台の生成エンジン13がすべて異常であると(S103;YES,S107;YES)、予め用意した制御エリアと制御パラメータのデフォルト値を設定して(S112)、信号機5に送信し(S111)、S101に戻る。制御エリア9と制御パラメータ10、信号制御情報生成装置1の制御周期T、および制御エリアと制御パラメータ案の算出時間tなどはメモリ24に記憶される。
【0039】
図4に、本発明の第1の実施形態における制御エリア・制御パラメータ案生成手段の動作説明のためのフロー図を示す。n台の生成エンジン13は、同じ制御エリア・制御パラメータ案生成手段31を有し、同じ処理を行って制御エリアと制御パラメータ案を生成することから、以下の説明においてはi番目の生成エンジン13の制御エリア・制御パラメータ案生成手段31の処理について説明する。
【0040】
制御エリア・制御パラメータ案生成手段31は、通信ネットワーク12を介して遠隔ファイルシステム27に対してコマンドを送信し、交通情報データベース23から交通情報を読み込み、メモリ24からメモリ32に現在の制御エリア9と制御パラメータ10および算出時間tを読み込む(S201)。現在の制御エリア9の制御パラメータ10を始めの制御エリアおよび制御パラメータ案として、例えばTRANSYTを用いた交通流量のシミュレーションを行い、評価値Eiを算出する(S202)。
【0041】
TRANSYT(Traffic Network Study Tool)は、車群拡散モデル式によって交通情報8に基づいて交通流量を予測して交差点で発生する遅れ時間と停止回数を計算するシミュレータであり、評価値Eiおよび再評価値Erとして、図1に示されるような道路網4において交差点3をノード、2つのノード間を接続する道路2をリンクとし、ノードに設置された信号によってノードに接続されるすべてのリンク上で待たされる車両の平均待ち時間の総和、すなわちリンクでの遅れ時間の総和を用いる。
【0042】
なお、評価値Eiおよび再評価値Erは、遅れ時間の総和に限定されない。車両の運行状況を定量的に評価できる妥当なものであれば、すべてのノードに接続されるリンクでの遅れ時間と停止台数との総和を用いてもよいし、リンク走行速度に基づいた総燃料消費量、大気汚染物質の排出、または騒音などのパフォーマンス・インデックスなどを用いてもよい。
【0043】
次に、制御エリアと制御パラメータを生成する方法について図5から図9を用いて説明する。図5は、本発明の第1の実施形態において制御エリアを生成する方法を説明するための概念図であり、(a)は、制御エリアを正規化する方法を説明する図、(b)は、正規化した制御エリアを変更する方法を説明する図、(c)は、正規化した制御エリアを逆変換して新しい制御エリアを生成する方法を説明する図である。
【0044】
図6は、本発明の第1の実施形態において制御パラメータを生成する方法を説明するための概念図であり、(a)は、制御パラメータを正規化する方法を説明する図、(b)は、正規化した制御パラメータを変更する方法を説明する図、(c)は、正規化した制御パラメータを逆変換して新しい制御パラメータを生成する方法を説明する図である。
【0045】
図5(a)に示すように、道路網4において交差点3をノードNj(j=1、2、・・・、m)、2つのノード間を接続する道路2をリンクLk(k=1、2、・・・、q)とし、道路網4内にあるすべてのノードNjとリンクLkに番号を付与し、1つのノードNjに1つの信号機5を対応させて信号機5の制御エリアと制御パラメータの生成を行う。
【0046】
始めの制御エリアと制御パラメータ案としてメモリ32に記憶される現在の制御エリア9と制御パラメータ10を正規化する(S203)。制御エリア9については、図5(a)に示すように、道路網4内にあるすべてのリンクLkについて、リンクLkが接続する2つの例えばノードNjとノードNj+1を同じ制御エリア9として連結するリンクLkに「1」を、リンクLkが接続する2つのノードNjとノードNj+1を別の制御エリアとして分離するリンクLkに「0」を設定した数値列をk=1、2、・・・、qの順に並べて、正規化した制御エリアの数値列Ceを作成する。
【0047】
制御パラメータ10については、図6(a)に示すように、道路網4内にあるすべてのノードNjについて、ノードNjに対応させた信号機5の制御パラメータであるサイクル長C、スプリットS、およびオフセットOを、それぞれが取り得るレンジの何パーセントに当たるかを「00」〜「99」の2桁の数値で表して、j=1、2、・・・、mの順に並べ、正規化した制御パラメータの数値列Cpを作成する。図6(a)に示すように、サイクル長Cが90秒から110秒までの値をとるとき、例えば、サイクル長100秒を正規化すると、
(100秒−90秒)/(110秒−90秒)×100=50
となる。
【0048】
次に、正規化した制御エリアの数値列Ceと正規化した制御パラメータの数値列Cpを乱数によって変更する処理を実行する(S204)。ここでは、正規化した制御エリアの数値列Ceと正規化した制御パラメータの数値列Cpを繋げて正規化した制御情報の数値列Cepとし、正規化した制御情報の数値列Cepを乱数によって変更する。
【0049】
図7は、本発明の第1の実施形態における正規化した制御情報の数値列Cepを示す図である。正規化した制御エリアの数値列Ceは、リンク数qと同じ長さを有する「0」か「1」数値列であり、正規化した制御パラメータの数値列Cpは、ノード数m×制御パラメータ数3×数値列の桁数2の長さを有する「0」から「9」の数値列であり、正規化した制御情報の数値列Cepは、z=リンク数q+ノード数m×制御パラメータ数3×数値の桁数2の長さを有する数値列となる。
【0050】
図8は、本発明の第1の実施形態における乱数よる変更処理を説明するためのフロー図である。図8に従ってS204の正規化した制御情報の数値列Cepを乱数によって変更する処理について詳細に説明する。乱数による変更個数は、任意に設定可能である。設定された変更個数の処理が終了していなければ(S301;NO)、1からzまでのいずれかの数を乱数として発生させ、それを正規化した制御情報の数値列Cepの変更位置xとする(S302)。
【0051】
変更位置xが道路網4の全リンク数q以下の場合(S303;YES)、正規化した制御エリアの数値列Ceの変更処理を実行する。変更位置xのリンクLx=「0」、すなわち、リンクLxで接続された例えばノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9がリンクLxによって分離されていれば(S304;YES)、Lx=「1」として、リンクLxで接続されたノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9を連結させる(S305)。
【0052】
そして、新たに構成された制御エリア9において重要交差点33を決定し(S306)、新たに構成された制御エリア9内にあるすべての信号機5の正規化された制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cを、重要交差点33の信号機55の正規化された制御パラメータのサイクル長Cに設定して(S307)、S301に戻る。
【0053】
S304において、変更位置xのリンクLx=「1」、すなわち、リンクLxで接続された例えばノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9がリンクLxによって連結されていれば(S304;NO)、Lx=「0」として、リンクLxで接続されたノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9を分離させる(S308)。
【0054】
S308において、リンクLxで接続されたノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9を分離したため、リンクLxで分離されるノードNjまたはノードNj+1の属するいずれかの制御エリア9に重要交差点33がなくなってしまった場合(S309;YES)、重要交差点33のない制御エリア9内で新たに重要交差点33を決定し(S310)、S307に進んで、同じ制御エリア9内にあるすべての信号機5の正規化された制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cを、重要交差点33の信号機55の正規化された制御パラメータのサイクル長Cに設定し、S301に戻る。
【0055】
S309において、リンクLxで接続されたノードNjとノードNj+1の属する制御エリア9を分離しても、リンクLxで接続されたノードNjとノードNj+1の属するいずれの制御エリア9にも重要交差点33があれば(S309;NO)、そのままS301に戻る。
【0056】
S303において、変更位置xがリンク数qを超える場合(S303;NO)、正規化した制御パラメータの数値列Cpの変更処理を実行して(S311)、S301に戻る。S301で設定された変更個数の処理が終了すれば(S301;YES)、乱数よる変更処理を終了する。図5(b)は、変更位置x=7、Lx=「1」の例である。
【0057】
図9は、本発明の第1の実施形態における制御パラメータの変更処理を説明するためのフロー図である。図9に従ってS311の正規化された制御パラメータの数値列Cpの変更処理について詳細に説明する。「0」から「9」までのいずれかの数を乱数として発生させ、それを変更値yとする(S401)、正規化した制御パラメータの数値列Cpの変更位置xに変更値yを代入する(S402)。S402の変更処理は、変更位置xによって指定された「00」〜「99」の2桁の数値のいずれか1桁を変更値yに変更するものである。
【0058】
変更位置xが制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cの位置に当たれば(S403;YES)、同じ制御エリア9内にあるすべての信号機5の正規化された制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cを、S402で変更したサイクル長Cに設定して(S404)、制御パラメータの変更処理を終了する。変更位置xが制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cの位置に当たらなければ(S403;NO)、そのまま制御パラメータの変更処理を終了する、すなわち、ステップS402において代入された変更値に基づき、制御パラメータ(スプリットS、オフセットO)の変更処理を行う。
【0059】
なお、S403で変更位置xが制御パラメータの数値列Cpのサイクル長Cの位置に当たり、かつ変更位置xが重要交差点33のときS404の処理を行い、変更位置xが重要交差点33でないときはサイクル長Cの変更処理を行わないようにしてもよい。図6(b)は、変更値y=「4」の例である。
【0060】
なお、図8の乱数よる変更処理では、制御エリアの数値列Ceと制御パラメータの数値列Cpの両方の変更処理が変更個数分行えるように用意されているが、S302の乱数発生処理を1からqまでの制御エリアの数値列Ceの位置に限定したり、q+1からzまでの制御パラメータの数値列Cpの位置に限定して乱数を発生させるようにすれば、制御エリアのみの変更、または制御パラメータのみの変更を行うこともできる。
【0061】
変更後、図5(c)および図6(c)に示すように、正規化した制御エリアの数値列Ceと正規化した制御パラメータの数値列Cpをそれぞれ逆変換して、新たな制御エリアと制御パラメータ案を作成する(S205)。
【0062】
新たに生成した制御エリアと制御パラメータ案に基づいて、S202と同じ交通流量のシミュレーションを行い、同じ評価方法を用いて再評価値Erを計算し(S206)、S202で算出した評価値Eiと再評価値Erを比較する。
【0063】
評価値Eiを遅れ時間としているので再評価値Erの方が小さい、すなわち再評価値Erの評価が良ければ(S207;YES)、評価値Eiに再評価値Erを代入して(S208)、メモリ32に新たな制御エリアと制御パラメータ案を記憶し(S209)、算出時間tが経過していなければ(S210;NO)、S203に戻ってS210までの処理を繰り返し、より良い再評価値Erが得られる制御エリアと制御パラメータ案を探索する。i番目の生成エンジン13において最も良い評価のものは、S208によって常に評価値Eiに記憶されている。
【0064】
S207で再評価値Erの評価がよくなければ(S207;NO)、そのまま、S210へ移り、算出時間tが経過していなければ(S210;NO)、S203に戻ってS210までの処理を繰り返し、より良い再評価値Erが得られる制御エリアと制御パラメータ案を探す。
【0065】
算出時間tが経過すると(S210;YES)、メモリ32に記憶されたi番目の生成エンジン13において最も良い評価値Eiとその制御エリアと制御パラメータ案を通信ネットワーク12によって管理コンピュータ11の信号制御情報データベース25に転送し(S211)、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31の処理を終了する。なお、現在の制御エリアと制御パラメータ、評価値E、再評価値Er、正規化した制御パラメータの数値列Cpと正規化した制御エリアの数値列Ceを繋げた正規化した制御情報の数値列Cep、および制御エリアと制御パラメータ案などはメモリ32に記憶される。
【0066】
以上の処理によって、i=1〜nまでの生成エンジン13によって生成された最も良い評価値Eiと制御エリアと制御パラメータ案は、管理コンピュータ11の信号制御情報データベース25に記録される。
【0067】
また、生成エンジン13が図4に示す制御エリア・制御パラメータ案生成手段31のプロセスの途中で生成管理手段21から図3のS109の強制終了を受信したとき、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31は、メモリ32に記憶された評価値Eiと制御エリアと制御パラメータ案を管理コンピュータ11の信号制御情報データベース25に転送するS211の処理を実行して処理を終了する。
【0068】
図10は、本発明の第1の実施形態における信号制御情報データベースの構成例を示す図である。信号制御情報データベース25には、生成エンジン番号i=1〜n順に各生成エンジン番号iが生成した評価値Eiおよび制御エリアと制御パラメータ案が記録される。
【0069】
図11に、本発明の第1の実施形態における選択手段の動作説明のためのフロー図を示す。図11に従って図3に示すS110の選択手段26について詳細に説明する。図11に示すように、選択手段26は、n台の生成エンジンによってそれぞれ生成され、遠隔ファイルシステム27によって信号制御情報データベース25に格納された評価値Eiのうちを最も良いものを検索し、最も良い評価値Eiを算出した生成エンジン13の生成した制御エリアと制御パラメータ案を次の制御周期の制御エリアと制御パラメータとする。ここで、最も良い評価値Eiとは、評価値Eiを遅れ時間の総和としているため最も小さいものとなる。
【0070】
信号制御情報データベース25を検索するための初期設定を行う。すなわち、i=1、最も良い生成エンジン番号を記憶するCPNO=1、最も良い評価値Eiを記憶する最適評価値Eにi=1番目の生成エンジン13で算定された評価値E1を設定する(S501)。
【0071】
i=nすなわちn台の生成エンジン13についての処理が終了していなければ(S502;NO)、i=i+1として次の生成エンジン13を指定し(S503)、最適評価値Eと次の生成エンジン13で算出された評価値Eiを比較し、i番目の生成エンジン13で算出された評価値Eiが良ければ(S504;YES)、最適評価値Eに評価値Eiを代入し、最適評価値Eを生成した生成エンジン13の番号iをCPNOに代入して(S505)、S502に戻ってすべての生成エンジン13についての処理が終了するまで(S502;YES)、S503からS505までの処理を繰り返す。
【0072】
S504で評価値Eiが最良評価値Eより良くなければ(S504;NO)、何もしないでS502に戻る。S502でi=nすなわちすべての生成エンジン13についての処理が終了すれば(S502;YES)、CPNOに記憶された生成エンジン13が算出した制御エリアと制御パラメータ案を次の制御周期の制御エリアと制御パラメータとして記憶して(S506)、処理を終了する。なお、i、CPNO、次の制御エリアと制御パラメータなどは、メモリ24に記憶される。
【0073】
このような第1の実施の形態によれば、シミュレーションを行って生成した制御エリアと制御パラメータ案を評価し、評価値のより良いものを制御エリアと制御パラメータとして選定しているので、最も良い評価が期待できる新しい制御エリアと制御パラメータを簡単に得られることとなる。また、制御エリアと制御パラメータの生成と評価を複数の生成エンジンを用いて並列に行っているため、多くの制御エリアと制御パラメータ案の中から最も信頼の置ける最適な制御エリアと制御パラメータを迅速に得ることができる。
【0074】
また、制御エリアと制御パラメータを組み合わせて評価しているため、制御エリアと制御パターンの最適な組み合わせを同時に求めることができる。さらに、制御エリアを設定して制御パラメータを決定しているため、制御エリアを設けない場合に比較して制御パラメータ案の絶対数が減るため、最適な制御エリアと制御パラメータを確実に求めることができる。
【0075】
また、制御エリアを正規化して「0」、「1」で簡単に表わしているので、制御エリアの連結および分離などの接続を変える処理が非常に簡単である。さらに、制御パラメータの値としてそれぞれが取り得る値の範囲を一律「00」から「99」のレンジに変換して正規化してから、各桁を「0」から「9」の乱数によって置き換えているので、本来は異なる値であるサイクルC、スプリットS、オフセットOを同じロジックを使って簡単に変更できる。
【0076】
また、制御パラメータの値としてそれぞれが取り得る値の範囲を一律「00」から「99」のレンジに変換して正規化してから、各桁を「0」から「9」の乱数によって置き換えているので、変更によって得られる制御パラメータの値が必ず有効なものの範囲にあるので、無駄な評価を行うことがない。
【0077】
また、乱数によって制御エリアおよび制御パラメータのいずれか少なくとも一方の構成を変更するため、無作為にまったく新しい制御エリア構成を得ることができる。
【0078】
(第2の実施形態)
図12は、本発明の第2の実施形態における信号制御情報生成装置の構成例を示すブロック図である。図12において、第1の実施形態で説明した図1と重複する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
信号制御情報生成装置100は、通信回線7と接続された生成管理手段121に、制御エリアと制御パラメータ案を生成してシミュレーションによってそれを評価する複数の制御エリア・制御パラメータ案生成手段31と、車両感知器6から受信した交通情報8を記録する交通情報データベース23と、現在の制御エリア9と制御パラメータ10、信号制御情報生成装置1の制御周期T、および制御エリア9と制御パラメータ10の算出時間tなどを記憶するメモリ24と、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31で生成された制御エリアと制御パラメータ案を記録する信号制御情報データベース25と、信号制御情報データベース25に記録された制御エリアと制御パラメータ案から最適な制御エリアと制御パラメータを選択する選択手段26とを接続して構成される。
【0080】
生成管理手段121は、通信回線7を介して交通情報8を交通情報データベース23に記録するとともに、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31によって制御エリアと制御パラメータ案を生成させて信号制御情報データベース25に記録させ、選択手段26によって信号制御情報データベース25に記録された制御エリアと制御パラメータ案から最適な制御エリア9と制御パラメータ10を選択して通信回線7を介して出力する。
【0081】
以上のように構成された信号制御情報生成装置100について、図13を用いてその動作を説明する。図13に本発明の第2の実施形態における生成管理手段の動作説明のためのフロー図を示す。図13に示すように、生成管理手段121では、受信した交通情報8を交通情報データベース23に格納する処理を(S601)、制御周期Tが経過するまで繰り返し(S602;NO)、制御周期Tが経過すると(S602;YES)、複数の制御エリア・制御パラメータ案生成手段31を実行して生成した評価値Eiと制御エリアと制御パラメータ案を信号制御情報データベース25に記録する(S603)。
【0082】
選択手段26を実行して信号制御情報データベース25から最適評価値Eおよびその制御エリアと制御パラメータを選択し(S604)、選択手段26によって選択された最適な制御エリアと制御パラメータを次の制御エリアと制御パラメータとして通信回線7を介してそれぞれの信号機5に送信し(S605)、S601に戻ってS605までの処理を繰り返す。
【0083】
なお、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31は、図4の制御エリア・制御パラメータ案生成手段31とほぼ同じであるが、データの参照元が異なる。すなわち、S201では、交通情報データベース23から直接交通情報を読み込み、メモリ24から直接現在の制御エリア9と制御パラメータ10および算出時間tを読み込むようにし、再評価値Er、正規化した制御パラメータの数値列Cpと正規化した制御エリアの数値列Ceを繋げた正規化した制御情報の数値列Cep、および制御エリアと制御パラメータ案などをメモリ24に記憶させて、S211では、メモリ24に記憶された評価値Eiおよび制御エリアと制御パラメータ案を直接信号制御情報データベース25に格納させる。
【0084】
このような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が簡単な装置で安価に得られる。
【0085】
なお、第2の実施の形態の信号制御エリアと制御パラメータの生成装置100では、制御エリア・制御パラメータ案生成手段31を複数設ける構成として説明したが、より簡単な構成とするために制御エリア・制御パラメータ案生成手段31を1つとし、図13のS604および図12の選択手段26を削除してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明にかかる信号制御情報生成装置およびその方法は、広域の道路網を対象とした信号制御において、最も良い評価が期待できる新しい制御エリアと制御パラメータを簡単に得られるという効果を有し、複数の信号機を同期させて制御する制御エリアを設けた信号制御情報生成装置およびその方法に関し、特に制御エリアと制御パラメータの一部を変更してシミュレーションによる評価値を行い最適な制御エリアおよび制御パラメータを決定する信号制御情報生成装置およびその方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の信号制御情報生成装置を用いた交通システム全体の構成図
【図2】本発明の第1の実施形態における信号制御情報生成装置の構成例を示すブロック図
【図3】本発明の第1の実施形態における生成管理手段の動作説明のためのフロー図
【図4】本発明の第1の実施形態における制御エリア・制御パラメータ案生成手段の動作説明のためのフロー図
【図5】本発明の第1の実施形態において制御エリアを生成する方法を説明するための概念図であり、(a)制御エリアを正規化する方法を説明する図、(b)正規化した制御エリアを変更する方法を説明する図、(c)正規化した制御エリアを逆変換して新しい制御エリアを生成する方法を説明する図
【図6】本発明の第1の実施形態において制御パラメータを生成する方法を説明するための概念図であり、(a)制御パラメータを正規化する方法を説明する図、(b)正規化した制御パラメータを変更する方法を説明する図、(c)正規化した制御パラメータを逆変換して新しい制御パラメータを生成する方法を説明する図
【図7】本発明の第1の実施形態における正規化した制御情報の数値列Cepを示す図
【図8】本発明の第1の実施形態における乱数よる変更処理を説明するためのフロー図
【図9】本発明の第1の実施形態における制御パラメータの変更処理を説明するためのフロー図
【図10】本発明の第1の実施形態における信号制御情報データベースの構成例を示す図
【図11】本発明の第1の実施形態における選択手段の動作説明のためのフロー図
【図12】本発明の第2の実施形態における信号制御情報生成装置の構成例を示すブロック図
【図13】本発明の第2の実施形態における生成管理手段の動作説明のためのフロー図
【符号の説明】
【0088】
1、100 信号制御情報生成装置
2 道路
3 交差点
4 道路網
5、55 信号機
6 車両感知器
7 通信回線
8 交通情報
9 制御エリア
10 制御パラメータ
11、111 管理コンピュータ
12 通信ネットワーク
13 生成エンジン
21 生成管理手段
22 遠隔制御手段
23 交通情報データベース
24、32 メモリ
25 信号制御情報データベース
26 選択手段
27 遠隔ファイルシステム
31 制御エリア・制御パラメータ案生成手段
33 重要交差点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域の道路網に制御エリアを設けて交差点に配置された信号機の制御パラメータを設計する信号制御情報生成装置であって、
制御エリアおよび制御パラメータを生成する生成手段と、前記道路網から収集した交通情報に基づいて前記制御エリアおよび制御パラメータの評価値を算定する評価手段と、前記評価値に基づいて前記生成した制御エリアおよび前記制御パラメータを選択する選択手段と、を有し、前記生成手段と前記評価手段と前記選択手段とを繰り返し実行してより良い評価値の制御エリアおよび制御パラメータを選択する複数の第1の最適化手段と、
前記第1の最適化手段で選択された前記評価値の中で最も良い評価値を選定する第2の最適化手段と、
を備える信号制御情報生成装置。
【請求項2】
前記第2の最適化手段と前記複数の第1の最適化手段とをそれぞれ通信ネットワークを介して接続する請求項1に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点が属する制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列を求める正規化手段と、前記第1の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第1の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する請求項1または2に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化手段と、前記第2の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する請求項1または2に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点が属する制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列と、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化手段と、前記第1の数値列と前記第2の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第1の数値列と前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する請求項1または2に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項6】
前記変更手段は、前記第1の数値列の変更位置を乱数によって求め、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが連結状態にあれば前記道路を分離状態に、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが分離状態にあれば前記道路を連結状態に変更する請求項3または5に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項7】
前記正規化手段は、前記交差点に配置されたすべての信号機の制御パラメータの値を前記制御パラメータの取り得る値の範囲を00から99で表して前記第2の数値列とし、前記変更手段は、前記第2の数値列の変更位置を第1の乱数によって求め、前記第2の数値列の前記変更位置に第2の乱数によって生成した値を代入して前記第2の数値列を変更する請求項4または5に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項8】
前記評価手段は、TRANSYTの車拡散モデルを用いたシミュレーションによって算定した遅れ時間の総和を前記評価値とする請求項1から7のいずれか一項に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項9】
広域の道路網に制御エリアを設けて交差点に配置された信号機の制御パラメータを設計する信号制御情報生成方法であって、
制御エリアおよび制御パラメータを生成する生成ステップと、前記道路網から収集した交通情報に基づいて前記制御エリアおよび制御パラメータの評価値を算定する評価ステップと、前記評価値からより良い評価値を有する前記制御エリアおよび前記制御パラメータを選択する選択ステップと、を順に繰り返し実行してより良い評価値を選択する第1の最適化ステップと、
前記第1の最適化ステップを複数同時に実行させた後に、前記第1の最適化ステップで選択された前記評価値の中で最も良い評価値を選定する第2の最適化ステップと、
を有する信号制御情報生成方法。
【請求項10】
前記生成ステップは、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点間の制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列を求める正規化ステップと、前記第1の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第1の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する請求項9に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項11】
前記生成ステップは、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化ステップと、前記第2の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する請求項9に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項12】
前記生成ステップは、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点間の制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列と、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化ステップと、前記第1の数値列と前記第2の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第1の数値列と前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する請求項9に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項13】
前記変更ステップは、前記第1の数値列の変更位置を乱数によって求め、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが連結状態にあれば前記道路を分離状態に、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが分離状態にあれば前記道路を連結状態に変更する請求項10または12に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項14】
前記正規化ステップは、前記交差点に配置されたすべての信号機の制御パラメータの値を前記制御パラメータの取り得る値の範囲を00から99で表して前記第2の数値列とし、前記変更ステップは、前記第2の数値列の変更位置を第1の乱数によって求め、前記第2の数値列の前記変更位置に第2の乱数によって生成した値を代入して前記第2の数値列を変更する請求項11または12に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項15】
前記評価ステップは、TRANSYTの車拡散モデルを用いたシミュレーションによって算定した遅れ時間の総和を前記評価値とする請求項9から14のいずれか一項に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項1】
広域の道路網に制御エリアを設けて交差点に配置された信号機の制御パラメータを設計する信号制御情報生成装置であって、
制御エリアおよび制御パラメータを生成する生成手段と、前記道路網から収集した交通情報に基づいて前記制御エリアおよび制御パラメータの評価値を算定する評価手段と、前記評価値に基づいて前記生成した制御エリアおよび前記制御パラメータを選択する選択手段と、を有し、前記生成手段と前記評価手段と前記選択手段とを繰り返し実行してより良い評価値の制御エリアおよび制御パラメータを選択する複数の第1の最適化手段と、
前記第1の最適化手段で選択された前記評価値の中で最も良い評価値を選定する第2の最適化手段と、
を備える信号制御情報生成装置。
【請求項2】
前記第2の最適化手段と前記複数の第1の最適化手段とをそれぞれ通信ネットワークを介して接続する請求項1に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点が属する制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列を求める正規化手段と、前記第1の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第1の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する請求項1または2に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化手段と、前記第2の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する請求項1または2に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点が属する制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列と、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化手段と、前記第1の数値列と前記第2の数値列を乱数によって変更する変更手段と、前記変更手段によって変更した前記第1の数値列と前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換手段とを有する請求項1または2に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項6】
前記変更手段は、前記第1の数値列の変更位置を乱数によって求め、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが連結状態にあれば前記道路を分離状態に、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが分離状態にあれば前記道路を連結状態に変更する請求項3または5に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項7】
前記正規化手段は、前記交差点に配置されたすべての信号機の制御パラメータの値を前記制御パラメータの取り得る値の範囲を00から99で表して前記第2の数値列とし、前記変更手段は、前記第2の数値列の変更位置を第1の乱数によって求め、前記第2の数値列の前記変更位置に第2の乱数によって生成した値を代入して前記第2の数値列を変更する請求項4または5に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項8】
前記評価手段は、TRANSYTの車拡散モデルを用いたシミュレーションによって算定した遅れ時間の総和を前記評価値とする請求項1から7のいずれか一項に記載の信号制御情報生成装置。
【請求項9】
広域の道路網に制御エリアを設けて交差点に配置された信号機の制御パラメータを設計する信号制御情報生成方法であって、
制御エリアおよび制御パラメータを生成する生成ステップと、前記道路網から収集した交通情報に基づいて前記制御エリアおよび制御パラメータの評価値を算定する評価ステップと、前記評価値からより良い評価値を有する前記制御エリアおよび前記制御パラメータを選択する選択ステップと、を順に繰り返し実行してより良い評価値を選択する第1の最適化ステップと、
前記第1の最適化ステップを複数同時に実行させた後に、前記第1の最適化ステップで選択された前記評価値の中で最も良い評価値を選定する第2の最適化ステップと、
を有する信号制御情報生成方法。
【請求項10】
前記生成ステップは、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点間の制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列を求める正規化ステップと、前記第1の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第1の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する請求項9に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項11】
前記生成ステップは、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化ステップと、前記第2の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する請求項9に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項12】
前記生成ステップは、前記道路網にある交差点の間を接続するすべての道路毎に前記交差点間の制御エリアの連結状態を数値で表した第1の数値列と、前記道路網にある交差点に配置されたすべての信号機の前記制御パラメータを正規化した第2の数値列とを求める正規化ステップと、前記第1の数値列と前記第2の数値列を乱数によって変更する変更ステップと、前記変更ステップによって変更した前記第1の数値列と前記第2の数値列を逆変換して新たな制御エリアおよび制御パラメータを生成する逆変換ステップと、を有する請求項9に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項13】
前記変更ステップは、前記第1の数値列の変更位置を乱数によって求め、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが連結状態にあれば前記道路を分離状態に、前記変更位置に指定された道路によって接続される2つの交差点が属する制御エリアが分離状態にあれば前記道路を連結状態に変更する請求項10または12に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項14】
前記正規化ステップは、前記交差点に配置されたすべての信号機の制御パラメータの値を前記制御パラメータの取り得る値の範囲を00から99で表して前記第2の数値列とし、前記変更ステップは、前記第2の数値列の変更位置を第1の乱数によって求め、前記第2の数値列の前記変更位置に第2の乱数によって生成した値を代入して前記第2の数値列を変更する請求項11または12に記載の信号制御情報生成方法。
【請求項15】
前記評価ステップは、TRANSYTの車拡散モデルを用いたシミュレーションによって算定した遅れ時間の総和を前記評価値とする請求項9から14のいずれか一項に記載の信号制御情報生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−39608(P2006−39608A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−213965(P2004−213965)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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