説明

修飾組換えワクシニアウイルスおよびその他の微生物、その使用

【課題】 癌遺伝子療法およびワクチン療法のための腫瘍特異的送達ビヒクルとして有用な組換えワクシニアウイルス。治療方法およびそのための微生物が提供される。腫瘍特異的抗体の作製方法、また、微生物によりコードされている遺伝子産物の作製方法、ならびにそれと反応性のある抗体が提供される。
【解決手段】 これらの微生物は、腫瘍および他の増殖組織などの免疫特権組織および細胞に、また、炎症組織に、他の組織、細胞および器官に比べて集積するように設計され、従って、それらは宿主生物に対して比較的低い毒性を示す。また、これらの微生物は、それらが集積する細胞の細胞膜を漏出性とし、その結果、タンパク質および他の細胞産物に対して反応性のある抗体を産生し、また、増殖組織、特に腫瘍を利用して選択されたタンパク質または他の産物を産生させるように設計または修飾される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
修飾チミジンキナーゼ(TK)および/または修飾HA遺伝子、ならびに修飾F3遺伝子または中断されたF3遺伝子座を含む、組換えワクシニアウイルス。
【請求項2】
(a)F3遺伝子、ならびに(b)TK遺伝子および/またはHA遺伝子が不活性化されている、請求項1に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項3】
少なくともF3遺伝子がその中への異種核酸の挿入により不活性化されている、請求項1または2に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項4】
前記F3遺伝子および前記TK遺伝子が異種核酸の挿入により不活性化されている、請求項2に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項5】
前記ワクシニアウイルスがLister株である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項6】
その株がLIVP株である、請求項5に記載の組換えウイルス。
【請求項7】
前記F3遺伝子の修飾がF3遺伝子または相当する遺伝子座内のNotI部位にある、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項8】
前記修飾が、ワクシニアウイルスLIVP株DNAのF3遺伝子の35番またはHindIII−F断片内の1475番にある、請求項7に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項9】
前記TK、HAおよび/またはF3遺伝子が、タンパク質をコードする異種核酸の挿入を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項10】
前記異種核酸が、タンパク質をコードする核酸と作動可能なように連結されている調節配列を含む、請求項8に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項11】
前記調節配列がワクシニアウイルス初期/後期プロモーターp7.5を含む、請求項10に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項12】
前記調節配列が初期/後期ワクシニアpE/Lプロモーターを含む、請求項10または11に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項13】
前記異種核酸が、検出可能なタンパク質または検出可能なシグナルを誘導し得るタンパク質をコードする、請求項9〜12のいずれか一項に記載の組換えワクシニアウイルス。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組換えワクシニアウイルスを含む、宿主細胞。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組換えワクシニアウイルスを含む、腫瘍細胞。
【請求項16】
医薬上許容されるビヒクル中に請求項1〜13のいずれか一項に記載の組換えワクシニアウイルスを含む、医薬組成物。
【請求項17】
全身投与用に製剤されている、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
静脈内投与用に製剤されているか、または送達ビヒクル中に製剤されている、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む組成物;および
抗癌薬
を含む、組合せ。
【請求項20】
前記抗癌薬が化学療法化合物である、請求項19に記載の組合せ。
【請求項21】
前記抗癌薬が、アルキル化剤、代謝拮抗物質、プラチナ配位錯体、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制剤および抗癌多糖類から選択される、請求項20に記載の組合せ。
【請求項22】
前記抗癌薬が、ガンシクロビル、5−フルオロウラシル、6−メチルプリンデオキシリボシド、セファロスポリン−ドキソルビシン、4−[(2−クロロエチル)(2−メスロキシ(mesuloxy)エチル)アミノ]ベンゾイル−L−グルタミン酸、アセトミノフェン、インドール−3−酢酸、CB1954、7−エチル−10−[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]カルボニルオキシカンプトテシン、ビス−(2−クロロエチル)アミノ−4−ヒドロキシフェニルアミノメタノン28、1−クロロメチル−5−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロ(dihyro)−3H−ベンズ[e]インドール、エピルビシン−グルクロニド、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン、シトシンアラビノシド、およびリナマリンから選択される、請求項19に記載の組合せ。
【請求項23】
前記化合物およびウイルスが、2個の組成物中に別々にパッケージングされる、請求項19〜22のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項24】
前記化合物およびウイルスが、単一の組成物としてパッケージングされる、請求項19〜22のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項25】
動物において免疫特権細胞を排除するための方法であって、請求項16〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物を動物に投与し、それにより、前記ウイルスが免疫特権細胞に集積することで、それらの細胞の排除またはそれらの数の減少をもたらす自己免疫を媒介することを含む、方法。
【請求項26】
前記免疫特権細胞が腫瘍細胞である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
免疫特権細胞または組織を排除するための、請求項16〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項28】
ワクシニアの修飾TKおよびHA遺伝子、ならびに修飾F3遺伝子またはそのF3遺伝子に相当する遺伝子座を含む、組換えポックスウイルス。
【請求項29】
遺伝子療法またはワクチン療法用の医薬組成物の製造のための、(a)請求項1〜13および28のいずれか一項に記載の組換えウイルス、または(b)修飾F3遺伝子、TK遺伝子またはHA遺伝子を有する組換えワクシニアウイルスの、使用。
【請求項30】
前記遺伝子療法が癌遺伝子療法である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
動物において免疫特権細胞または組織を排除するための薬剤の製剤を目的とした微生物の使用であって、
その微生物が免疫特権細胞に集積し;
その微生物が、免疫特権細胞または組織を含まない器官および組織には毒性レベルまで集積しない、使用。
【請求項32】
癌の処置のための請求項19〜24のいずれか一項に記載の組合せの使用。
【請求項33】
癌の処置のための薬剤の処方のための請求項19〜24の組合せの使用。
【請求項34】
ポリペプチドもしくはRNAまたは産物化合物の生産のための方法であって、
(a)そのポリペプチドもしくはRNAをコードする核酸を含むか、または産物として化合物を産生する微生物を担癌動物に投与すること;なお、
その微生物は免疫特権細胞に集積し;かつ
その微生物は、免疫特権細胞または組織を含まない器官および組織には毒性レベルまで集積しない;
(b)その動物から腫瘍組織を採取すること;そして
(c)その腫瘍からポリペプチドもしくはRNAまたは化合物を単離すること
を含む、方法。
【請求項35】
前記微生物が真核細胞、原核細胞またはウイルスである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記微生物が細胞質内ウイルスまたは弱毒細菌である、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記細菌が弱毒ビブリオ菌株、大腸菌株、リステリア菌株、サルモネラ菌株および連鎖球菌株の中から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記動物が非ヒト動物である、請求項34〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
ポリペプチド、RNA分子または細胞内化合物と、そのポリペプチド、RNA分子または化合物と特異的に反応する抗体とを同時に生産するための方法であって、
a)前記化合物、ポリペプチドまたはRNA分子を発現または産生する微生物を担癌動物に投与すること;そして
b)その動物の血清から抗体を単離すること
を含む、方法。
【請求項40】
ステップ(a)の後に
その動物から腫瘍組織を採取すること;そして
その腫瘍組織から前記ポリペプチド、RNA分子または細胞内化合物を単離すること
をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記動物が非ヒト動物である、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
前記微生物が細菌、哺乳類細胞またはウイルスである、請求項39〜41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記微生物が免疫特権細胞に集積し;かつ
前記微生物が、免疫特権細胞または組織を含まない器官および組織には毒性レベルまで集積しない、
請求項39〜42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記微生物がポックスウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルスおよびシンドビスウイルスの中から選択されるウイルスである、請求項39〜43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記微生物が細胞質内ウイルスまたは真核細胞である、請求項39〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞が免疫細胞である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記細胞が幹細胞である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記微生物が、レポーター遺伝子構築物をコードするDNA分子を含む、請求項34〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記レポーター遺伝子構築物が、検出可能なタンパク質または検出可能なシグナルを誘導もしくは生成するタンパク質をコードする、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記タンパク質がルシフェラーゼまたは蛍光タンパク質である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記レポーター遺伝子構築物が生物発光生成系をコードし、さらに所望により蛍光タンパク質をコードする、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記微生物が哺乳類細胞である、請求項34〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記微生物が細菌細胞である、請求項34〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記微生物がウイルスである、請求項34〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記ウイルスがワクシニアウイルスである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ワクシニアウイルスがLIVP株である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記細菌が弱毒コレラ菌である、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記腫瘍が固形腫瘍である、請求項34〜57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
動物において免疫特権細胞または組織を排除するための方法であって、
少なくとも2種の微生物を投与することを含み、それらの微生物は同時に、逐次にまたは間欠的に投与され、それらの微生物が免疫特権細胞に集積し、それによりその動物が免疫特権細胞または組織に対して自己免疫化される、方法。
【請求項60】
前記免疫特権細胞または組織が腫瘍細胞を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
免疫特権細胞または組織の排除のための薬剤の製剤を目的とした少なくとも2種の微生物の使用であって、
それらの微生物が免疫特権細胞に集積し、それによりその動物が免疫特権細胞または組織に対して自己免疫化される、使用;および
少なくとも1種の微生物が請求項1〜14および22のいずれかに記載の組換えウイルスである、使用。
【請求項62】
前記免疫特権細胞または組織が腫瘍細胞を含む、請求項61に記載の使用。
【請求項63】
免疫特権細胞または組織の排除のために動物に投与することを目的に製剤された少なくとも2種の微生物を含む組合せであって、微生物の1種が、請求項1〜13および22のいずれか一項に記載の組換えウイルスである、組合せ。
【請求項64】
前記免疫特権細胞または組織が腫瘍細胞を含む、請求項63に記載の組合せ。
【請求項65】
前記微生物が個別の組成物として製剤される、請求項63に記載の組合せ。
【請求項66】
各微生物が単位投与形として製剤およびパッケージングされる組成物中に含まれる、請求項63〜65のいずれか一項に記載の組合せを含むキット。
【請求項67】
免疫特権組織または細胞において異種核酸によりコードされる産物に対する抗体の生産のための方法であって、
(a)選択されたタンパク質またはRNAをコードする核酸を含む微生物を、免疫特権組織または細胞を含む動物に投与すること;そして
(b)動物の血液または血清から、そのタンパク質またはRNAに対する抗体を単離すること
を含む、方法。
【請求項68】
前記動物が非ヒト動物である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記動物がヒト動物である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記免疫特権組織または細胞が腫瘍細胞を含む、請求項67〜69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記免疫特権組織において産生される産物が腫瘍抗原を含む、請求項67〜70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記微生物が真核細胞、細菌またはウイルスである、請求項47〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記微生物が哺乳類細胞である、請求項67〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記微生物が弱毒細胞質内ウイルスである、請求項67〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記微生物が弱毒ポックスウイルスである、請求項67〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記微生物がワクシニアウイルスである、請求項67〜71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記ウイルスがLister株である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記ウイルスがLIVP株である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記ウイルスがLIVP(配列番号34)のF3遺伝子またはF3遺伝子座に相当する遺伝子座において挿入を含む、請求項74〜78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
被験体において免疫特権細胞または組織の増殖を阻害する方法であって、
(a)被験体に、検出可能な遺伝子産物をコードする修飾微生物(その修飾微生物は、免疫特権組織または細胞に集積する)を投与すること;
(b)被験体に、その微生物の病原性を軽減する治療物質を投与すること;
(c)被験体における検出可能な遺伝子産物の存在を、その検出可能な遺伝子産物が実質的に被験体の免疫特権組織または細胞だけに存在するようになるまでモニタリングすること;そして
(d)治療化合物の投与を終了または中止し、それにより微生物が病原性を増し、免疫特権細胞または組織の増殖が阻害されること
を含む、方法。
【請求項81】
免疫特権細胞または組織の増殖が、免疫特権細胞に対する免疫応答を誘導または増強することにより阻害される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記治療化合物が、細胞溶解またはアポトーシスをもたらす微生物によりコードされている1以上の遺伝子の発現を低下させる、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
動物に請求項1〜13のいずれか一項に記載のワクシニアウイルスを投与することを含む、動物において、免疫特権細胞または組織を排除するための治療方法であって、
そのワクシニアウイルスが免疫特権細胞に集積し、非罹患器官および組織には集積せず、そして動物において毒性が低く、結果として免疫特権細胞において細胞膜の漏出をもたらし、それにより、その動物がそれらの細胞またはそれらの細胞の産物に対する自己抗体を産生する、方法。
【請求項84】
前記非罹患器官が卵巣または精巣を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記免疫特権細胞または組織が腫瘍細胞を含む、請求項83または請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記ワクシニアウイルスがLIVP株である、請求項83〜85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記ワクシニアウイルスが治療産物を含むかまたは発現する、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記ワクシニアウイルスが治療産物をコードする核酸を含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記自己抗体が抗腫瘍抗体を含む、請求項83〜89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
癌を処置するための請求項19〜24のいずれか一項に記載の組合せの使用。
【請求項91】
癌を処置するための薬剤の製剤のための請求項19〜24に記載の組合せの使用。
【請求項92】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組換えワクシニアウイルスを含む、ワクチン。
【請求項93】
天然痘に対する予防接種のための請求項92に記載のワクチンの使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−20586(P2007−20586A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287210(P2006−287210)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【分割の表示】特願2006−517504(P2006−517504)の分割
【原出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(504448184)ジェネラックス・コーポレイション (6)
【氏名又は名称原語表記】Genelux Corporation
【Fターム(参考)】