説明

修飾顔料生成物、その分散体、およびそれを含有する組成物

【課題】印刷版用途、ならびに電気泳動ディスプレイ、インク、コーティングおよびプラスチックスを含む用途における良好な分散体および画像形成性能を与える修飾顔料生成物を提供する。
【解決手段】本発明は、式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含有する修飾顔料生成物であり、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、そしてAlkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示すに関する。非水性分散体組成物、ならびに印刷版、電気泳動ディスプレイ、液晶ディスプレイ、およびインク、コーティング、トナーおよびポリマー組成物を含むいくつかの用途における、これらの修飾顔料生成物も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は修飾顔料生成物、これらの修飾顔料生成物の分散体組成物、ならびに電気泳動ディスプレイ(electrophoretic displays)、インク、コーティングおよびプラスチックを含む、いくつかの用途におけるこれらの修飾顔料生成物に関する。さらに本発明は基板および放射線吸収層を含む印刷版に関し、そこで放射線吸収層は少なくとも1つの修飾顔料生成物を含む。
【背景技術】
【0002】
顔料はインク、コ−ティング、トナー、プラスチック、ゴム、フィルム、ディスプレイ等のような種々の用途において使用されている。これらの用途のそれぞれにおける共通の目的は実質的に、そして均一に分散されることができ、そして、顔料により示される色および他の性質が、顔料を配合する組成物および材料中に均一になるように、組成物中に分散されたままであることができる顔料を提供することである。
【0003】
顔料の分散性および分散安定性における改良は従来より試みられており、顔料上に種々の界面活性剤を被覆もしくは吸着することを含んでいた。しかし、単に顔料を吸着もしくは被覆することは潜在的にいくつかの不利を有する。第1に、顔料上の吸着された界面活性剤の量は、インクのための溶媒のような周囲の材料の性質に依存する。このような状況で、界面活性剤が顔料および溶媒の表面間で平衡にありうるからである。界面活性剤および溶媒を含む溶解性の問題も有効になりうる。吸着された界面活性剤を果たす他の考慮は顔料の濃度、使用される界面活性剤の種類、ならびに温度および顔料を含む組成物もしくは材料のpHである。これらの性質のいかなる1つ以上も、顔料の表面から界面活性剤の除去を生じさせ、そしてバルク液体もしくは媒体に追加の界面活性剤を創り出しうる。これは、代わって、分散安定性、ならびに気泡、表面張力、粘度、膜強さ、膜弾性等のようなバルク液体の他の特性を否定的に果たしうる。加えて、従来の顔料で見出されうる過剰の界面活性剤も可塑的もしくは膜形成特性、たとえば色、強さ、伸び、弾性等に有害でありうる。顔料上に材料を吸着もしくは被覆する使用の1例は米国特許5,200,164に記載されている。これは、カーボンブラックの分散特性を改良するための処理剤として少なくとも1つの長鎖アルニケルもしくはアルキル基ならびに少なくとも1つのアミン基を含む化合物の使用を開示する。改良された分散性が生じるが、使用される処理剤は顔料に結合されず、したがって上述の問題が当てはまる。
【0004】
このように、上述の不利な点の1つ以上を克服することに関して顔料の分散性および分散安定性を改良する要望がこの分野にある。顔料の分散性を改良する1つの解決等は、少なくとも1つの有機基を顔料に結合することであった。これらの種類の顔料の調製は、たとえば米国特許5,851,280、5,554,739、6,042,643および5,837,045ならびにPCT公開WO 99/23174に記載されており、これらのすべては引用によりここに組入れられる。有機基は種々の媒体における安定な分散を得るために選ばれうる。これらの修飾顔料を含む水性および非水性組成物も米国特許5,571,311、5,713,988、5,672,198および5,707,432ならびにPCT公開WO 99/51690に記載されており、これらのすべては引用によりここに組入れられる。この解決策は顔料の分散性を改良するが、炭化水素溶媒のような特定の媒体において分散しうる顔料を得る必要性が存在する。
【0005】
顔料分散性は、顔料が印刷版における光熱変換材料として使用されるときに、重要である。
【0006】
印刷版は画像再生のいくつかの領域で使用され、平版印刷(lithographic printing)(offset(オフセット)もしくはplanograplic printing(平版印刷)としても知られる)、フレキソ印刷(flexographic printing)およびグラビア印刷(さらに凹版(intaglio)もしくは輪転グラビア(rotogravure)ともいわれる)を含む。通常、印刷法は版上での画像の現像につづいてインクに接触させることを含む。
【0007】
平板印刷版は印刷コピーを製造するために最も広く使用されている。通常、赤外もしくは近赤外レーザー画像形成しうる平版印刷版は少なくとも次の層:粗面化(grained)金属、もしくはポリエステルプレートもしくはシート状基板およびその上に被覆された放射線吸収層を含む。基板もしくは被覆プレートの表面のための保護層も使用されうる。基板上に被覆されるとき、この保護層も接着促進プライマーとして役立ちうる。他の層も、たとえば、層間の接着力および印刷版の耐久性を向上するために使用されうる。
【0008】
一般に、放射線吸収層は画像形成放射線およびポリマーレジンもしくはバインダーと相互作用しうる光熱変換剤を含む。画像形成プロセスにおいて、版の領域は放射線吸収層を除去もしくは化学的に修飾しうるレーザー出力もしくは他の熱源に選択的に露光される。通常、感熱性平版印刷版は800から1200nmの波長を有する放射線に露光される。レーザー出力は印刷版にパターンを境界づけ、パターンを境界づける放射線吸収層のこれらの領域のみを除去するか、または化学的もしくは物理的に修飾する。その後、印刷版は、残っていればパターンを境界づける露光領域を除去することのできる溶媒にさらされることによりさらに現像され、または所望ならば版は非露光領域が除去されるように現像されうる。このような印刷版の種々の従来の成分および方法の詳細は、米国特許5,493,971;米国特許5,705,308;EP803771A1;EP770494A2;EP770495A1;ならびにPCT公開WO96/20429およびWO98/31550に記載されており、ここで示される特許は、そのすべてが引用によりここに組入れられる。
【0009】
いくつかの種類のポリマーは放射線吸収層に使用されている。典型的なポリマーはポリウレタン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリレートポリマー、金属酸化物ポリマー、エポキシ樹脂およびフェノールポリマーを含む。
【0010】
光熱変換材料は顔料もしくは染料のいずれであってもよい。たとえば、UVおよびIR反応性染料はフェノール印刷版用途において開示されている(DBP879025およびWO97/39894参照)。カーボンブラックのようなIR吸収顔料も平版印刷版に有用であることが示されている(たとえば、WO99/08157,WO96/20429、WO99/11458、およびUS6,060,218参照。そこではカーボンブラックがフェノールポリマー中に存在する)。
【0011】
カーボンブラックのような顔料は幅広いバンドの放熱線吸収剤であり、それ自体、染料を超える性能の向上を提供する。しかし、印刷版における光熱変換材としてカーボンブラックのような顔料の有効性はポリマーにおける顔料の分散性に依存する。このように、印刷版を製造するのに用いられるポリマーにおいて、改良された分散性を有するカーボンブラックのような顔料を含む印刷版に対する必要性がある。
【0012】
カルボン酸塩もしくはスルホン酸塩官能基を有するように修飾されたカーボンブラックも平版印刷版に使用するために開示されている。たとえば、NO99/04974、WO99/19143、WO99/19144、WO99/37482およびWO99/37481参照。しかし、これらは印刷版用途における非イオン基を含む修飾カーボンブラックの使用について何ら開示していない。
【0013】
PCT公開WO 99/51690は少なくとも1つの修飾顔料生成物を含む印刷版を開示する。これらの修飾顔料は少なくとも1種のポリマー官能性を結合した顔料を含む。このような修飾顔料は従来技術に対する改良を提供するが、印刷版用途、ならびに電気泳動ディスプレイ、インク、コーティングおよびプラスチックスを含む用途における良好な分散体および画像形成性能を与える修飾顔料生成物に対する必要性は残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,200,164号明細書
【特許文献2】米国特許第5,851,280号明細書
【特許文献3】米国特許第5,571,311号明細書
【特許文献4】WO99/51690
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
印刷版用途、ならびに電気泳動ディスプレイ、インク、コーティングおよびプラスチックスを含む用途における良好な分散体および画像形成性能を与える修飾顔料生成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含有する修飾顔料生成物に関し、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、そしてAlkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。
【0017】
さらに本発明は、非水性溶媒好ましくは炭化水素溶媒、ならびに式−X−Sp−Alkにより示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含有する分散体組成物に関する。
【0018】
さらに、本発明は、電気泳動ディスプレイ、インク、インクジェット用インク、コーティング、プラスチックス、およびトナーにおける、本発明の修飾顔料生成物の使用に関する。
【0019】
さらに本発明は、基板および放射線吸収層を含む印刷版に関し、そこで放射線吸収層はポリマーならびに式−X−Sp−Alkにより示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの顔料生成物を含む。
【0020】
さらに本発明は、本発明の印刷版の画像形成方法に関する。
【0021】
さらに本発明は、本発明の修飾顔料生成物を含む平版もしくはフレキソ印刷版、感熱転写記録材料、プルーフィング材料、およびブラックマトリックスに関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、印刷版用途、ならびに電気泳動ディスプレイ、インク、コーティングおよびプラスチックスを含む用途における良好な分散体および画像形成性能を与える修飾顔料生成物を提供し得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、一般的に、修飾顔料生成物、該修飾顔料生成物を含む分散体組成物、ならびに基板および該修飾顔料生成物を含有する放射線吸収層を含む印刷版、に関する。種々の用途における修飾顔料生成物の使用も記載される。
【0024】
本発明の修飾顔料生成物は式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む。本発明の顔料生成物は、これらの有機基が顔料に決合し、吸着された基、たとえばポリマー、界面活性剤等に比べて顔料上に基の安定な結合を与えるように修飾される。
【0025】
基Xはアリ−レン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示す。Xは顔料に直接に結合される。さらに、芳香族基も1つ以上のアルキル基もしくはアリール基のようないかなる基で置換されていてもよい。好適には、アリーレンもしくはヘテロアリーレン基は、フェニレン、ナフチレン、もしくはビフェニレンである。Xがアルキレン基を示すとき、例は置換もしくは非置換アルキレン基であり、分枝もしくは非分枝でありうるが、これらに限定されない。アルキレン基は1つ以上の基、たとえば芳香族基で置換されうる。好適な例は、メチレン、エチレン、プロピレンおよびブチレン基のようなC1〜C12基を含むが、これらに限定されない。好適には、Xはアリーレン基である。
【0026】
基Xは1つ以上の官能基で置換されていてもよい。官能基の例はR'、OR'、COR'、COOR'、OCOR'、カルボン酸塩、ハロゲン、CN、NR2'、SO3H,スルホン酸塩、−OSO3、NR'(COR')、CONR'2、NO2、PO32、ホスホン酸塩、リン酸塩、N=NR'、SOR'、NSO2R'を含むがこれらに限定されず、ここでRは同一もしくは異なっていてもよく、独立して水素、分枝もしくは非分枝C1〜C20の置換もしくは非置換、飽和もしくは非飽和炭化水素、たとえばアルキル、アルケニル、アルキニル、置換もしくは非置換アリ−ル、置換もしくは非置換へテロアリ−ル、置換もしくは非置換アルカリール、または置換もしくは非置換アラルキルである。
【0027】
基AlKは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。好適にはアルケニルもしくはアルキル基は60〜100の炭素を含有する。いくつかの種類のアルケニルもしくはアルキル基は本発明の修飾顔料生成物のために有用である。好適にはアルケニルもしくはアルキル基は50〜200の炭素原子、もっと好適には60〜100の炭素を含むブテンのポリマーである。好適なアルケニルもしくはアルキル基の例はイソブテン、ブテン、もしくはプロペンのポリマーもしくはオリゴマーを含むが、これらに限定されない。
【0028】
基Spは上述のようにスペーサ基を示す。ここで用いられるスペーサ基は2つの基の間の連結であり、結合もしくは化学基でありうる。化学基の例は、−CO2−,−O2C−,CO−,−OSO2−,−SO3−,−SO2−,−SO224O−,−SO224S−,−SO224NR−,−O−,−S−,−NR−,−NRCO−,−CONR−,−NRCO2−,−O2CNR−,−NRCONR−,−NRCOCH(CH2CO2R)−,−NRCOCH2CH(CO2R)−,−N(COR)(CO)−,アリーレン基、アルキレン基、式:
【0029】
【化1】

【0030】
を有するサクシンイミジル基等を含むが、これらに限定されない。Qは結合もしくは-SO224(NR'Alkylene)p−基を示し、基Alkyleneは線状もしくは分枝C1〜C12アルキル基であり、R'は、独立して、水素、C1〜C6アルキル基、もしくは(AlkyleneNR)pR基であり、pは0〜10の整数である。Rは、同一もしくは異なっていてもよく、水素または置換もしくは非置換アリ−ルもしくはアルキル基を示す。
【0031】
好適には、基Spは上述の式を有するサクシンイミジル基であり、そして基Alkはイソブチレンのポリマーもしくはオリゴマーである。このように、式−X−Sp−Alkは最も好適にはポリイソブテニルサクシンイミジルフェニル基である。さらに、好適な基Spは上述の式を有するサクシンイミジル基であり、ここでQは-SO224(NR'C24p−基であり、R'は独立して水素もしくは(C24NH)pH基であり、そしてpは1〜10の整数である。この後者の種類の基は、たとえばChevronから商業的に入手しうるOLOA化学添加剤(たとえばOLOA−1200)のようなポリエチレンイミンサクシンイミド誘導体から調製されうる。
【0032】
有機基は種々の量、すなわち低もしくは高い量で顔料に結合されうる。結合される量は、所望の性能特性、たとえば炭化水素溶媒における分散性および/またはポリマーレジンもしくはバインダーにおける分散性を得るために変動されうる。加えて、修飾顔料生成物は多くの結合有機基を含有し得、改良された性質をもたらし得る。顔料に結合される種々の基の処理含量はいかなる量であってもよく、そして好ましくは約0.01〜約5.0μmoles/m2、もっと好ましくは約0.1〜約3.0μmoles/m2である。処理剤が5.0μmoles/m2より大きい含量で使用されるとき、必ずしもすべての処理剤が結合基をもたらすわけではないが、好適な生成物を生じる。
【0033】
いくつかの顔料の種類は本発明に有用である。修飾される顔料は、インク組成物(インクジェット組成物を含む)、コーティング組成物(塗料配合物を含む)、液体および固体トナー、ディスプレイ(電気泳動ディスプレイを含む)、フィルム、プラスチック、ゴム等に従来使用される顔料でありうるが、これらに制限されない。例は、黒色顔料(たとえばカーボンブラックのような炭素製品)および他の着色顔料(たとえば、ポリマーおよび有機顔料)を含むが、これらに限定されない。
【0034】
適切な炭素製品の例は、黒鉛、カーボンブラック、ビトレアス炭素、炭素繊維、活性木炭、および活性炭を含むが、これに限定されない。炭素は結晶性もしくは無定形でありうる。上述のものの微細形態が好適である。さらに、異なる炭素の混合物を使用することも可能である。いかなる表面積も使用されうる。炭素製品のうち、カーボンブラックが最も好ましい。
【0035】
修飾される顔料は幅広い範囲の従来の着色顔料から選択されうる。好適には、顔料は白色顔料、黒色顔料、青色顔料、茶色顔料、シアン顔料、緑色顔料、バイオレット色顔料、マゼンダ色顔料、赤色顔料、もしくは黄色顔料、もしくは濃淡の色合いまたはそれらの組合せである。着色顔料の適切な種類は、たとえば、アンスラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピランスロン、ペリレン、ヘテロサイクリックイエロー、キナクリドンおよび(チオ)インジゴを含む。フタロシアニンブルーの典型的な例は銅フタロシアニンブルーおよびその誘導体(Pigment Blue15)を含む。キナクリドンの典型的な例は、Pigment Orange 48、Pigment Orange 49、Pigment Red 202、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209、Pigment Violet 19およびPigment Violet 42、を含む。アンスラキノンの典型例はPigment Red 43、Pigment Red 194(Perinone Red)、Pigment Red 216(Brominated Pyanthrone Red)およびPigment Red 226(Pyranthrone Red)を含む。ペリレンの典型例は、PigmentRed 123(Vermillion)、Pigment Red 149(Scarlet)、Pigment Red 179(Maroon)、Pigment Red 190(Red)、Pigment Violet、Pigment Red 189(Yellow Shade Red)およびPigment Red 224を含む。チオインジゴの典型例は、Pigment Red 86、Pigment Red 87、Pigment Red 88、Pigment Red 181、Pigment Red 198、Pigment Violet 36、およびPigment Violet 38を含む。ヘテロサイクリックイエローの典型例はPigment Yellow 3、Pigment Yellow 12、Pigment Yellow 13、Pigment Yellow 14、Pigment Yellow 17、Pigment Yellow 65、Pigment Yellow 73、Pigment Yellow 74、Pigment Yellow、Pigment Yellow 117、Pigment Yellow 128およびPigment Yellow 138を含む。このような顔料はBASF Corporation、Engelhard Corporation、Engelhard CorporationおよびSun Chemical Corporationを含む多数の源から粉末もしくはプレスケーキの形態で商業的に入手しうる。他の適切な着色顔料の例はColar Index、3版(The Society of Dyers and Colourists,1982)に記載されている。黒色顔料の典型例は種々のカーボンブラック(Pigment Black 7)、たとえばチャンネルブラック、ファーネスブラックおよびランプブラックを含み、そしてたとえばRegal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Elftex(登録商標)、Monarch(登録商標)、Mogul(登録商標)、およびVulcan(登録商標)の商標でCabot Corporationから入手しうるカーボンブラックを含む(たとえばBlack Pearls(登録商標)2000、Black Pearls(登録商標)1400、Black Pearls(登録商標)1300、Black Pearls(登録商標)1100、Black Pearls(登録商標)1000、Black Pearls(登録商標)900,Black Pearls(登録商標)880、Black Pearls(登録商標)800、Black Pearls(登録商標)700、Black Pearls(登録商標)L、Elftex(登録商標)8、Monarch(登録商標)8、Monarch(登録商標)1400、Monarch(登録商標)1300、Monarch(登録商標)1100、Monarch(登録商標)1000、Monarch(登録商標)900、Monarch(登録商標)880、Monarch(登録商標)800、Monarch(登録商標)700、Mogul(登録商標)L、Regal(登録商標)330、Regal(登録商標)400、Vulcan(登録商標)P)。他の適切なカーボンブラックはPrintex 40、Printex 80、Printex 300、Printex L,Printex U、Printex V、Special Black 4,Special Black 5,FW200(Degussa Corporationから入手しうる前述のもの)、Raven 780、Raven 890、Raven1020、Raven 1040、Raven 1255、Raven 1500、Raven 5000、Raven 5250、(Columbian Chemical Corporationから入手しうる前述のもの)および三菱化学株式会社から入手しうるMA100およびMA440を含むが、これらに限定されない。
【0036】
着色顔料は窒素吸着により測定される広い範囲のBET表面積を有するのが通常である。好適には着色顔料は10m2/g以上、もっと好適には100m2/g以上の表面積を有し、それにより比較的小さな1次/凝集粒径に相当する。このような表面積は顔料表面で処理剤の比較的均一な分布および効率的なレベル、ならびに後処理後に表面修飾着色顔料の比較的高い%の収率を付与することがわかった。もし着色顔料の好適なもっと高い表面積(それにより比較的小さな粒径に相当する)が容易に入手し得ないならば、着色顔料は従来のサイズを細分化もしくは減少させる方法、たとえばボールもしくはジェットミル粉砕、に供され、顔料を所望の粒径に減少させ得ることは当業者によく知られている。
【0037】
本発明の修飾顔料生成物は化学基が顔料に結合されるように当業者に知られている方法を用いて修飾される。
【0038】
たとえば、本発明の修飾顔料生成物は米国特許5,554,739、5,851,280、6,042,643、5,707,432、および5,837,045、およびPCT公開WO99/23174に記載される方法を用いて調製され得、それらの記載は引用によりすべてをここに組入れられる。
【0039】
顔料生成物は、洗浄によって、たとえばろ過、遠心分離もしくはその2つの方法の組合わせにより、精製され、未反応原料、副生物塩および他の反応不純物を除去されうる。さらに生成物はたとえば蒸発により単離され得、またはそれは当業者に公知の方法を用いて、ろ過および乾燥により回収されうる。本発明の顔料の分散体はさらに精製もしくは分級され、製造工程の結果として分散体に共存しうる不純物および他の望ましくない遊離種が除去されうる。たとえば、顔料分散体は遠心分離のような分級段階に供されることができ、約1.0μmを超える、好ましくは約0.5μmを超える粒径を有する粒子を実質的に除去する。加えて、分散体は好適には精製されて未反応処理剤のような望ましくない遊離種を除去される。メンブランもしくはイオン交換を用いる超ろ過/ダイアフィルトレーションの公知方法でも分散体を精製し、そして遊離イオン性で望ましくない種の実質的な量を除去するのに用いられうる。このような付加的な分級および精製方法は1999年1月29日に出願された米国特許出願No.09/240,291にもっと詳しく記載され、それは引用によりここに組入れられる。
【0040】
1つの態様において、本発明の修飾顔料生成物は非水性分散体組成物に配合され得る。このように、本発明は有機溶媒、ならびに式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した少なくとも1つの修飾顔料生成物を含有する改良された分散体組成物を提供する。好適には、修飾顔料の量は約0.1%〜約40%、最も好適には約5.0%〜約20%である。他の添加剤も含まれ得、たとえば界面活性剤および化学的安定剤である。
【0041】
本発明の分散体組成物のために使用され得る非水性溶媒の例は、へキサンおよびイソオクタンのような線状もしくは分枝脂肪族炭化水素、ExxonからのNorpar(登録商標)およびIsopar(登録商標)溶媒のような脂肪族炭化水素のブレンド、トルエン、ベンゼンおよびキシレンのような芳香族炭化水素、アルコール類、ポリオール類、ケトン類等のような芳香族炭化水素を含む。これらの溶媒の混合物も使用され得る。好適には、溶媒は脂肪族もしくは芳香族炭化水素である。
【0042】
分散体組成物は当業者に知られているいかなる方法によっても調製され得る。たとえば、修飾顔料生成物は予備分散体もしくは固体として溶媒中に添加され得る。式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した修飾顔料生成物の使用は実質的な利点を与える。これらの修飾顔料生成物は溶媒中で改良された分散性を有し、粉砕(milling)等の工程を減少もしくは消去する。さらに、分散体組成物の溶媒は修飾顔料生成物の調製時に使用もしくは添加され得、別個の分散工程の必要性を消去する。分散体は従来の分散体に比べて改良された安定性を有する。
【0043】
もう1つの態様において、本発明の修飾顔料生成物は印刷版用途に使用され得る。
【0044】
一般に、印刷版は基板および放射線吸収層を両方含む。さらに他の層も含まれうる。画像形成プロセスにおいて、版の選択された領域は放射吸収層の1部を除去するか、または物理的もしくは化学的にこの層を修飾しうる放射線に露光され、その結果、それは未露光領域よりも現像剤と異なって相互作用しうる。このように、親水性(すなわちインクをはじく)領域もしくは疎水性(すなわち、インクになじむ)領域が形成される。
【0045】
いくつかの種類の基板は、本発明に有用であり、当業者に知られている。好適な基板は紙、親水性金属、たとえばアルミニウム、特に陽極酸化(anodized)もしくは粗面化(grained)陽極酸化アルミニウム、ならびにポリマー、たとえばポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、を含む。しかし他の種類の基板も使用され得る。
【0046】
一般に、放射線吸収層は光熱変換材料およびポリマーもしくは樹脂を含む。染料および顔料の両方とも光熱変換材料として使用され得る。本発明の放射線吸収層はポリマー、ならびに上述の式−X−Sp−Alkにより示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含む。
【0047】
使用される顔料の量は放射線吸収層の所望性能に依存する。好ましくは、顔料は約1.0〜約50.0%、そしてもっと好ましくは約10.0〜40.0%の範囲で存在する。
【0048】
本発明の印刷版はさらにポリマーレジンもしくはバインダーを含みうる放射線吸収層を含む。ポリマーは柔軟化、硬さ、およびインク適合性のような望ましい物理的および化学的性質をもつ印刷版を与えるように選ばれる。いくつかの異なるポリマー系が本発明の印刷版に使用されうる。例はポリウレタン、ビニルアルコール含有ポリマーたとえばポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリレートポリマー、金属酸化物ポリマー、エポキシ樹脂、およびフェノールポリマーを含むが、これらに限定されない。種々のコモノマーがポリマーレジンの最終特性をさらに調節するためにこれらのポリマーに含まれうる。ポリマーレジンもしくはバインダーの好適な種類はスチレン−アクリレートポリマー、スチレン−ブタジエンポリマー、およびアクリルポリマーである。
【0049】
上述の樹脂は当業者に知られているいかなる方法によっても製造され得、フリーラジカル、アニオン、カチオン、および縮重合を含む。分子量のようなポリマー特性は最終的な版の所望の物理的および化学的性質に依存して選ばれる。たとえば、もし分子量が高すぎると、これは、その中で照射領域を溶解させるのが好適である、たとえばアルカリ媒体中で現像されるべき最終照射版の能力に影響しうる。一方、もし分子量が低すぎると、版は粘着性で取扱いが困難になりうる。
【0050】
本発明の印刷版は当業者に知られているいかなる方法を用いても調製されうる。上述の修飾顔料生成物は、たとえば溶媒キャスティングを含むいかなる標準的な配合法を用いても任意のポリマーレジンもしくはバインダーに配合されうる。修飾顔料生成物は溶媒中(水性もしくは非水性)の予備分散体として、ならびに乾燥もしくは部分乾燥された粉末状態で配合されうる。
【0051】
典型的な印刷版形成プロセスにおいて、有機溶媒における顔料の分散体はポリマーレジンの分散体もしくは溶媒と一緒にされ、基板上に膜としてキャストされる。溶媒およびポリマーレジンにおける顔料の分散性が良好であればあるほど、版性能は良好になる。本発明の修飾顔料生成物の1つの具体的な利点は、それらが典型的な版形成プロセスで使用される溶媒、たとえば炭化水素溶媒における、ならびにポリマーレジンにおける、所望の改良された分散性を与えることである。
【0052】
さらに本発明は任意のポリマーおよび少なくとも1つの修飾顔料生成物からなる放射線吸収層を含む印刷版の画像形成方法に関し、画像を示すパターンにレーザー出力に版を選択的に露出させることを含む。照射はパターンを境界づける放射線吸収層の少なくとも1部を選択的に除去もしくは化学的に修飾するようになされる。さらにこの方法は、パターンを境界づける画像形成された層の部分を除去することのできる溶媒を用いて照射された版を現像することを含む。
【0053】
本発明は、赤外もしくは近赤外レーザー画像形成しうる印刷版のような、平版印刷版に関する上述のように赤外もしくは近赤外レーザー画像形成しうる平版印刷版は少なくとも次の層:粗面化金属、ポリエステルもしくは紙版もしくはシート状基板およびその上に被覆された放射線吸収層、を含む。本発明において、放射線吸収層は任意のポリマーレジンもしくはバインダーならびに上述のように式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含む。基板もしくは被覆された版の表面のための保護層も本発明において使用されうる。基板上に被覆されるとき、さらに保護層は接着促進プライマーとして役立ちうる。他の層もたとえば層間の接着および印刷版の耐久性を向上するために使用されうる。画像形成プロセスは上述のとおりである。
【0054】
さらに、本発明は赤外もしくは近赤外レーザー画像形成しうる印刷版のようなフレキソ印刷版に関する。通常、赤外もしくは近赤外レーザー画像形成しうるフレキソ印刷版は少なくとも次の層:ポリエステル板もしくはシート様基板、UV硬化性層、およびその上に被覆される放射線吸収層を含む。本発明において、放射線吸収層は任意のポリマーレジンもしくはバインダーならびに上述のように式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含む。基板もしくは被覆版の表面も本発明において使用されうる。他の層は、たとえば層間の接着力および印刷版の耐久性を向上するために使用されうる。画像形成プロセスにおいて、グラビアもしくはフレキソ印刷版は放射線吸収層もしくはそれに隣接する層を除去すること、または化学的に修飾することのできるレーザー出力もしくは他の源に選択的に露光される。レーザー出力は印刷版上にパターンを境界づけ、そしてパターンを境界づける放射線吸収層のこれらの部分のみを除去もしくは修飾する。版はついでUVエネルギーに露光される。その後、印刷版は、もし残っていれば同一のパターンを境界づける非露光層を除去することのできる溶媒にそれを供することによりさらに現像されうる。このような印刷版についての種々の従来の成分および方法の詳細はヨーロッパ特許出願EP0928685A2に記載されており、それは引用によりここに全てを組入れられる。
【0055】
さらに本発明は感熱転写記録材料に関する。通常、感熱転写記録材料はインク層、光熱層、および支持体を含む。本発明において、光熱層は任意のポリマーレジンもしくはバインダーならびに上述のように式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含む。基板もしくは被覆版の表面のための保護層も本発明において使用されうる。他の層も、たとえば記録材料の層間の接着力を改良し、または層間にクッションを付与するために使用されうる。画像形成プロセスにおいて、記録材料は支持体を通してレーザーにより露光され得、同時に感熱転写記録材料は受容材料と接触される。レーザー出力は記録材料上にパターンを境界づけ、画像を受容材料に転写させる。このような光熱記録材料についての種々の従来の成分および方法の詳細は特開平10−16395号公報に記載されており、それは引用よりここに全てを組入れられる。さらに、これらの感熱転写記録材料は印刷システムにおけるカラープル−フィング(color proofing)に使用され得、またはそれらは医療診断システムに使用されうる。
【0056】
さらに本発明は、他の種類のプルーフィング材料に関する。一般に、これらのプルーフィング材料は少なくとも次の層:放射線透過支持体、放射線硬化性層および受容層、を含む。本発明において放射線硬化性層は任意のポリマーレジンもしくはバインダーならびに上述のように式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含む。基板もしくは被覆版表面のための保護層も本発明において使用されうる。他の層もたとえばプルーフィング材料の耐久性および層間の接着力を改良するために使用されうる。画像形成プロセスにおいて、プルーフィング材料は支持体を通して、レーザー出力または放射線硬化性層の硬化を生じさせることのできる他の源に選択的に露光される。レーザー出力はプルーフィング材料上にパターンを境界づけ、パターンを境界づける放射線硬化性層のこれらの部分のみを硬化する。つづいて、支持体が除去される。硬化された画像は受容層に接着され、そして放射線硬化性層の未硬化部分は支持体とともに除去される。このようなプルーフィング材料についての種々の従来の成分および方法の詳細はヨーロッパ特許出願EP924568に記載されており、それは引用によりここに全部を組入れられる。
【0057】
さらに本発明は画像ディスプレイに関する。1つの態様において、ディスプレイは液晶ディスプレイ(LCD)である。液晶ディスプレイの例は、たとえば、スーパーツイステッドネマチック(STM)ディスプレイおよび薄膜トランジスタ(TFT)ディスプレイを含む。これらの種類の各液晶ディスプレイはブラックマトリックス部分を含む。ブラックマトリックスは、透明な基板上に光熱コーティングを付着させ、そのコーティングを画像態様に(imagewise)に露出し、現像し、そしてコーティングを乾燥することにより形成されるのが通常である。本発明において光熱コーティングは感光性樹脂、溶媒、ならびに上述のように式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含む。さらに、カラーフィルターは着色層を含む。たとえば着色層は赤、緑、および黄色、またはシアン、マゼンダおよび黄色であってもよい。このようなブラックマトリックスについての種々の従来の成分および方法の詳細は、特開平11−62119;10−300921;11−6914;11−14822および11−142639号公報に記載されており、これらは引用によりここに全部を組入れられる。
【0058】
もう1つの態様において、本発明は電気泳動画像ディスプレイに関する。一般に、電気泳動ディスプレイは、1つが透明である2つの電極間に配置された粒子を含む。粒子は電荷を帯び、したがって電極の極性の変化に応答する。このように粒子は顔料の相対電荷に依存して、各電極、の方向に、もしくは、から離れて移動する。こうして、画像が形成され、透明電極を通して観察されうる。
【0059】
本発明の電気泳動ディスプレイは、絶縁流体およびその中に懸濁される粒子を含むマイクロカプセルの配置を含む。本発明において、電気泳動ディスプレイにおけるマイクロカプセルは、上述のように式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含有する。これらのディスプレイにおいて、絶縁流体は修飾顔料生成物と適合し得るいかなる流体であってもよい。さらに流体は修飾顔料生成物と異なる色彩を持ち、したがって、視覚的な対比を与える。このようにマイクロカプセルは絶縁流体において本発明の修飾顔料生成物の分散体を含む。
【0060】
さらに、本発明は非水性インクおよびコーティング組成物における修飾顔料生成物の使用に関する。一般に、インク組成物は液体ベヒクルおよび顔料を含む。コーティング組成物は液体ベヒクル、バインダー、および顔料を含むのが通常である。本発明のインクおよびコーティング組成物において、顔料は上述のように式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む修飾顔料生成物である。これらの組成物における溶媒は、たとえば芳香族もしくは脂肪族炭化水素、アルコール類、ケトン類およびエステル類のような非水性溶媒である。
【0061】
もう1つの態様において、本発明は、ベヒクル、ならびに上述のように式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む修飾顔料生成物、を含む非水性インクジェット用インク組成物に関する。顔料は、いかなるカラー顔料であってもよい。ベヒクルは非水性液体ベヒクルであり得る。例はExxonからのNorpar(登録商標)およびIsopar(登録商標)溶媒のような脂肪族炭化水素、ならびにトルエンおよびキシレンのような芳香族炭化水素のブレンドを含むが、これらに限定されない。このように、本発明のインクジェット用インク組成物は固体のインクジェット用インク組成物であり得る。固体ベヒクルの例は低融点ポリマー材料およびワックスを含むが、これらに限定されない。
【0062】
さらに本発明は、ポリマーおよび修飾顔料生成物を含むポリマー組成物における修飾顔料生成物の使用に関する。修飾顔料生成物は、上述のように式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む。結合した有機基はポリマー組成物のポリマーに改良された適合性を与えることができ、したがって組成物の改良された特性を付与し得る。
【0063】
さらに本発明はトナー組成物における修飾顔料生成物の使用に関する。電子写真法において、静電場パターンを含む画像(潜像)は電子写真部材の絶縁表面で形成される。通常、その画像は、ついで反対に荷電したトナー粉末と接触されて、視覚化もしくは現像される。調色された(toned)画像は、ついで紙のような転写媒体上に転写され、そして熱および/または圧力により固定される。
【0064】
一般に、トナー組成物はそこに分散された顔料を有するバインダー樹脂を含む。本発明において、顔料は上述のように式−X−Sp−Alkにより示される基を含む少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む修飾顔料生成物である。トナー組成物は乾燥粉末(乾燥トナー粉末およびキャリア粒子からなる2成分系を含む)もしくは液状形態のいずれでもありうる。
【実施例】
【0065】
本発明は次の例によりさらに明らかにされるが、それは本発明を説明しようとするものにすぎない。

例1 ポリマーの調製
無水マレイン酸17gおよびMW1330のポリイソブチレン(Amoco,Chicago、イリノイ州から入手しうる)230gが200℃で、18時間、窒素雰囲気下で機械的攪拌しながら加熱された。反応混合物は室温に冷却され、そしてp−フェニレンジアミン18.7gが添加された。ついで反応混合物は200℃で、4時間、加熱された。冷却後にヘキサンが添加され、いくらかの固体が遠心分離により除去され、残る溶液が真空下で濃縮された。ポリマーはN−(p−アミノフェニル)ポリイソブテニルサクシンイミドであった。
例2 ポリマーの調製
無水マレイン酸9.3gおよびMW940のポリイソブチレン(Amoco,Chicago、イリノイ州から入手しうる)80gが200℃で、18時間、窒素雰囲気下で機械的攪拌しながら加熱された。反応混合物は室温に冷却され、そしてp−フェニレンジアミン10.3gが添加された。ついで反応混合物は200℃で、3時間、加熱された。冷却後にヘキサンが添加され、いくらかの固体が遠心分離により除去され、残る溶液が真空下で濃縮された。ポリマーはN−(p−アミノフェニル)ポリイソブテニルサクシンイミドであった。
例3 修飾顔料生成物の調製
水100g中のNaNO21.87gの溶液が、例1のポリマー40.8g、へキサン300mL、メタンスルホン酸2.60g、およびカーボンブラック40gの攪拌混合物に滴下して添加された。カーボンブラックは表面積112m2/gおよびDBPA60mL/100gを有していた。添加が完了した後に、混合物は70℃に加熱され、そして攪拌がさらに1時間続けられた。混合物は冷却され、そして水性層が除去された。得られる材料はポリイソブテニルサクシンイミジルフェニル基を結合した修飾顔料生成物、すなわち修飾炭素生成物、のヘキサン分散体であった。生成物は多孔質炭素メンブランを有するダイアフィルトレーション装置でヘキサンを用いて精製された。
例4 修飾顔料生成物の調製
水50g中のNaNO21.60gの溶液が、例2のポリマー26.9g、へキサン150mL、メタンスルホン酸2.32g、およびカーボンブラック20gの攪拌混合物に滴下して添加された。カーボンブラックは表面積200m2/gおよびDBPA117mL/100gを有していた。添加が完了した後に、混合物は70℃に加熱され、そして攪拌がさらに1時間続けられた。混合物は冷却され、そして水性層が除去された。得られる材料はポリイソブテニルサクシンイミジルフェニル基を結合した修飾顔料生成物、すなわち修飾炭素生成物、のヘキサン分散体であった。生成物は多孔質炭素メンブランを有するダイアフィルトレーション装置でヘキサンを用いて精製された。
【0066】
本発明の好適な態様の前述の説明は例示および説明のために示されたものである。開示されたとおりに本発明を限定しようとするものではない。修正および変更は上述の教示に照らして可能であり、そして本発明の実施から得られうる。態様は本発明の原理および実際的な適用を説明するために選ばれ、記述されたものであり、当業者が種々の態様で、そして意図された特定の用途に適合するように種々の変更をおこなって本発明を利用することを可能にするものである。本発明の範囲は特許請求の範囲およびそれらの均等物に規定されるものである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の修飾顔料生成物は、幅広い種類の用途、特に非水性分散体組成物および印刷版に有用である。さらなる用途は電気泳動ディスプレイ、インク、コーティングおよびプラスチックスを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含有する修飾顔料生成物であり、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、そしてAlkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。
【請求項2】
AlKが60〜100の炭素を含有する、アルケニルもしくはアルキル基を示す請求項1記載の修飾顔料生成物。
【請求項3】
AlKがブテンのポリマーを示す請求項1記載の修飾顔料生成物。
【請求項4】
AlKがイソブテン、ブテン、もしくはプロペンのポリマーもしくはオリゴマーである請求項1記載の修飾顔料生成物。
【請求項5】
Spが次の式;
【化1】

を有するサクシンイミジル基である請求項1記載の修飾顔料生成物であり、ここでQは結合もしくは-SO224(NR'Alkylene)p−基を示し、基Alkyleneは線状もしくは分枝C1〜C12アルキル基であり、R'は、独立して、水素、C1〜C6アルキル基、もしくは(AlkyleneNR)pR基であり、pは0〜10の整数、そしてRは、同一もしくは異なっていてもよく、水素または置換もしくは非置換アリ−ルもしくはアルキル基を示す。
【請求項6】
式−X−Sp−Alkで示される有機基がポリイソブテニルサクシンイミジルフェニルである請求項1記載の修飾顔料生成物。
【請求項7】
Qが-SO224(NR'C24p−基であり、R'は独立して水素もしくは(C24NH)pH基であり、そしてpは1〜10の整数である請求項5記載の修飾顔料生成物。
【請求項8】
Qが結合である請求項5記載の修飾顔料生成物。
【請求項9】
Xがアリーレン基である請求項1記載の修飾顔料生成物。
【請求項10】
非水性溶媒ならびに式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含有する修飾顔料生成物を含有する分散体組成物であり、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、そしてAlkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。
【請求項11】
AlKが60〜100の炭素を含有する、アルケニルもしくはアルキル基を示す請求項10記載の分散体組成物。
【請求項12】
AlKがブテンのポリマーを示す請求項10記載の分散体組成物。
【請求項13】
AlKがイソブテン、ブテン、もしくはプロペンのポリマーもしくはオリゴマーである請求項10記載の分散体組成物。
【請求項14】
Spが次の式;
【化2】

を有するサクシンイミジル基である請求項10記載の分散体組成物であり、ここでQは結合もしくは-SO224(NR'Alkylene)p−基を示し、基Alkyleneは線状もしくは分枝C1〜C12アルキル基であり、R'は、独立して、水素、C1〜C6アルキル基、もしくは(AlkyleneNR)pR基であり、pは0〜10の整数、そしてRは、同一もしくは異なっていてもよく、水素または置換もしくは非置換アリ−ルもしくはアルキル基を示す。
【請求項15】
式−X−Sp−Alkで示される有機基がポリイソブテニルサクシンイミジルフェニルである請求項10記載の分散体組成物。
【請求項16】
Qが-SO224(NR'C24p−基であり、R'は独立して水素もしくは(C24NH)pH基であり、そしてpは1〜10の整数である請求項14記載の分散体組成物。
【請求項17】
Qが結合である請求項14記載の分散体組成物。
【請求項18】
非水性溶媒が芳香族もしくは脂肪族炭化水素溶媒である請求項10記載の分散体組成物。
【請求項19】
a)基板および b)放射線吸収層を含む印刷版であり、放射線吸収層は式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含有し、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、Alkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。
【請求項20】
放射線吸収層がさらにポリマーを含有する請求項19記載の印刷版。
【請求項21】
AlKが60〜100の炭素を含有する、アルケニルもしくはアルキル基を示す請求項19記載の印刷版。
【請求項22】
AlKがブテンのポリマーを示す請求項19記載の印刷版。
【請求項23】
AlKがイソブテン、ブテンもしくはプロペン、および無水マレイン酸もしくはその誘導体、のポリマーもしくはオリゴマーである請求項19記載の印刷物。
【請求項24】
Spが次の式;
【化3】

を有するサクシンイミジル基である請求項19記載の印刷版であり、ここでQは結合もしくは-SO224(NR'Alkylene)p−基を示し、基Alkyleneは線状もしくは分枝C1〜C12アルキル基であり、R'は、独立して、水素、C1〜C6アルキル基、もしくは(AlkyleneNR)pR基であり、pは0〜10の整数、そしてRは、同一もしくは異なっていてもよく、水素または置換もしくは非置換アリ−ルもしくはアルキル基を示す。
【請求項25】
式−X−Sp−Alkで示される有機基がポリイソブテニルサクシンイミジルフェニルである請求項19記載の印刷版。
【請求項26】
Qが-SO224(NR'C24p−基であり、R'は独立して水素もしくは(C24NH)pH基であり、そしてpは1〜10の整数である請求項24記載の印刷版。
【請求項27】
Qが結合である請求項24記載の印刷版。
【請求項28】
基板が親水性金属基板である請求項19記載の印刷版。
【請求項29】
基板がアルミニウムもしくはポリエステルである請求項19記載の印刷版。
【請求項30】
ポリマーがスチレン−アクリレートポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、およびアクリルポリマーから選ばれる請求項19記載の印刷版。
【請求項31】
パターンを境界づける少なくとも放射線吸収層を選択的に除去もしくは化学的に修飾するべき画像を示すパターンで、印刷版をレーザー出力に選択的に露光させることを含む請求項19記載の印刷版の画像形成方法。
【請求項32】
パターンを境界づける画像形成層の部分を除去することのできる溶媒に印刷版をさらすことをさらに含む請求項31記載の方法。
【請求項33】
a)基板、b)UV硬化性層およびc)放射線吸収層を含むフレキソ印刷版であり、放射線吸収層は式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含有し、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、Alkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。
【請求項34】
放射線吸収層がさらにポリマーを含有する請求項33記載のフレキソ印刷版。
【請求項35】
a)インク層、b)光熱層およびc)支持体を含む感熱転写記録材料であり、光熱層は式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含有し、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、Alkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。
【請求項36】
光熱層がさらにポリマーを含有する請求項35記載の感熱転写記録材料。
【請求項37】
a)放射線透過支持体、b)放射線硬化性層およびc)受容層を含むプルーフィング材料であり、放射線硬化性層は式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含む少なくとも1つの修飾顔料生成物を含有し、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、Alkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。
【請求項38】
放射線硬化性層がさらにポリマーを含有する請求項37記載のプルーフィング材料。
【請求項39】
透明な基板上に感光性コーティングを付着させること、コーティングを画像態様に露光させ、そしてコーティングを現像および乾燥することにより形成されるブラックマトリックスであり、感光性コーティングは溶媒ならびに式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含有する修飾顔料生成物を含有し、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、そしてAlkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。
【請求項40】
さらに感光性樹脂を含有する請求項39記載のブラックマトリックス。
【請求項41】
マイクロカプセルの配列を含む電気泳動ディスプレイであり、マイクロカプセルは絶縁流体ならびに式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含有する修飾顔料生成物を含有し、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、そしてAlkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。
【請求項42】
AlKが60〜100の炭素を含有する、アルケニルもしくはアルキル基を示す請求項41記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項43】
AlKがブテンのポリマーを示す請求項41記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項44】
AlKがイソブテン、ブテンもしくはプロペンおよび無水マレイン酸もしくはその誘導体、のポリマーもしくはオリゴマーである請求項41記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項45】
Spが次の式;
【化4】

を有するサクシンイミジル基である請求項41記載の電気泳動ディスプレイであり、ここでQは結合もしくは-SO224(NR'Alkylene)p−基を示し、基Alkyleneは線状もしくは分枝C1〜C12アルキル基であり、R'は、独立して、水素、C1〜C6アルキル基、もしくは(AlkyleneNR)pR基であり、pは0〜10の整数、そしてRは、同一もしくは異なっていてもよく、水素または置換もしくは非置換アリ−ルもしくはアルキル基を示す。
【請求項46】
式−X−Sp−Alkで示される有機基がポリイソブテニルサクシンイミジルフェニルである請求項45記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項47】
Qが-SO224(NR'C24p−基であり、R'は独立して水素もしくは(C24NH)pH基であり、そしてpは1〜10の整数である請求項45記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項48】
Qが結合である請求項45記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項49】
非水性ベヒクルならびに式−X−Sp−Alkで示される少なくとも1つの有機基を結合した顔料を含有する修飾顔料生成物を含有する非水性インクジェット用インク組成物であり、ここでXは顔料に直接に結合し、アリーレン、ヘテロアリーレンもしくはアルキレン基を示し、Spはスペーサ基を示し、そしてAlkは50〜200の炭素原子を含むアルケニルもしくはアルキル基を示す。
【請求項50】
非水性ベヒクルが液体ベヒクルである請求項49記載のインクジェット用インク組成物。
【請求項51】
非水性ベヒクルが固体ベヒクルである請求項49記載のインクジェット用インク組成物。
【請求項52】
非水性コーティング組成物における請求項1記載の修飾顔料生成物の使用。
【請求項53】
ポリマー組成物における請求項1記載の修飾顔料生成物の使用。
【請求項54】
非水性インク組成物における請求項1記載の修飾顔料生成物の使用。
【請求項55】
トナー組成物における請求項1記載の修飾顔料生成物の使用。

【公開番号】特開2013−47348(P2013−47348A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232076(P2012−232076)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2002−509421(P2002−509421)の分割
【原出願日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】