説明

個人認証システム

【課題】ファジィ推論により、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定されているため、認証対象人物が特定人物であるか否かを精度良く判定する。
【解決手段】抽出部210は、計測部100から出力された荷重分布データから、特徴量を抽出する。判定部220は、抽出部210により抽出された特徴量と、記憶部230に記憶された判定情報とに基づいて、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。ここで、特徴量は、足裏の形状に関する静的な特徴量と、足裏の荷重の時間的推移に関する動的な特徴量とが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を行う個人認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
将来のオール電化住宅では、エネルギー機器を個人に適応するように制御して、高付加価値化を図るために、快適性及び利便性を追求する研究がなされている。例えば部屋に入室した人物が誰であるのかを特定し、特定した人物が快適となるようにエネルギー機器が制御すれば、快適性及び利便性を高めることができる。したがって、オール電化住宅を提供するにあたり、個人認証技術を確立することは有意義である。
【0003】
バイオメトリクス認証の分野においては、指紋及び網膜から人物を認証する技術により人物を認証することが古くから研究されているが、近年、人物の歩行パターンにより人物を認証する手法が、物理的負担を軽減できる手法として注目されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、人物の足裏の荷重を測定し、得られた荷重の時間的推移に基づいて個人認証を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−250996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、荷重の時間的推移のみ考慮して、個人認証が行われていたため、1歩で人物を特定することは困難であった。そのため、人物の荷重を計測するための計測センサが大規模化するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、より少ない歩数で人物認証を精度良く行うことができる個人認証システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一局面による個人認証システムは、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を行う個人認証システムであって、人物が歩行した時の足裏の荷重分布を計測する計測手段と、前記計測手段により計測された荷重分布から、特徴量を抽出する抽出手段と、前記特定人物の前記特徴量に基づいて予め作成され、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定する際に用いられる判定情報を予め記憶する記憶手段と、前記抽出手段により抽出された特徴量と、前記記憶手段に記憶された判定情報とに基づいて、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定する判定手段とを備え、前記特徴量は、足裏の形状に関する静的な特徴量と、足裏の荷重の時間的推移に関する動的な特徴量とを含むことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、人物が歩行した時の足裏の荷重分布が計測され、この荷重分布から認証対象人物の特徴量が抽出され、抽出された特徴量と記憶手段に予め記憶された判定情報とから、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定される。
【0010】
ここで、特徴量として、足裏の荷重の時間的推移に関する動的な特徴量に加えて、足裏の形状に関する静的な特徴量が含まれている。そのため、1歩分の荷重分布を計測することで、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定することができる。
【0011】
(2)前記静的な特徴量は、足形の長さ、足形の幅、足形の面積、及び進行方向に対する足形の傾きのうち少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、静的な特徴量として、足形の長さ、足形の幅、足形の面積、及び進行方向に対する足形の傾きのうち少なくともいずれか1つが含まれるため、判定精度を高めることができる。
【0013】
(3)前記静的な特徴量における足形の面積は、足形の全体の面積及び足形を複数の領域に分けたときにおける各領域での足形の面積の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、静的な特徴量における足形の面積として、足形の全体の面積及び足形を複数の領域に分けたときにおける各領域での足形の面積の少なくともいずれか1つが含まれるため、判定精度を高めることができる。
【0015】
(4)前記動的な特徴量は、足裏の中心位置、最大荷重点、及び面積のうち少なくともいずれか1つの時間的推移であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、動的な特徴量として、足裏の中心位置、最大荷重点、及び面積のうち少なくともいずれか1つの時間的推移が含まれるため、判定精度を高めることができる。
【0017】
(5)前記判定手段は、前記判定情報と前記抽出手段により抽出された特徴量とのユークリッド距離を算出することで、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、ユークリッド距離を算出することで、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定されているため、比較的簡便な処理でありながら、認証対象人物が特定人物であるか否かを精度良く判定することができる。
【0019】
(6)前記特定人物の特徴量を学習用データとして予め取得し、取得した学習用データを前記特徴量の種類毎に正規化し、各特定人物の各特徴量別のテンプレートを前記判定情報として生成する判定情報生成手段を更に備えることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、学習用データが特徴量の種類別に正規化されたものが判定情報として用いられているため、個人認証を精度良く行うことができる。
【0021】
(7)前記判定手段は、前記抽出手段により抽出された特徴量を前記判定情報を用いたファジィ推論により、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、ファジィ推論により、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定されているため、認証対象人物が特定人物であるか否かを精度良く判定することができる。
【0023】
(8)前記特定人物の特徴量を学習用データとして予め取得し、取得した学習用データを基に、前記認証対象人物の特徴量が前記特定人物の特徴量にどの程度類似しているかを示す所属度を求めるための特徴量毎の第1のメンバーシップ関数を前記判定情報として予め生成すると共に、前記学習用データを前記第1のメンバーシップ関数に入力したときに得られる所属度を基に、前記特徴量毎の第1のメンバーシップ関数の有意性を示す重み値を算出するための第2のメンバーシップ関数を前記判定情報として予め生成する判定情報生成手段を更に備え、前記判定手段は、前記抽出手段により抽出された前記認証対象人物の各特徴量に対する所属度を前記第1のメンバーシップ関数から求めると共に、前記第2のメンバーシップ関数に基づいて、各所属度に対する重み値を求め、前記所属度を前記重み値で重み付け加算した値を基に、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、認証対象人物の特徴量から第1のメンバーシップ関数を用いて所属度が算出されている。また、有意性の高い第1のメンバーシップ関数を用いて得られた所属度ほど大きい重み値を付与するための第2のメンバーシップ関数を用いて各所属度に対する重み値が算出される。そして、各所属度を重み値で重み付け加算したときの値を基に、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定されている。そのため、第1のメンバーシップ関数の有意性を加味して、個人認証を行うことができる。
【0025】
(9)前記特定人物は複数存在し、前記判定情報生成手段は、前記第1のメンバーシップ関数の波形を規定するパラメータを所定範囲で変更させる毎に、所定のスコア値を求め、前記スコア値が最大になったときの波形を前記第1のメンバーシップ関数として求め、前記スコア値は、ある特定人物を本人とし、他の特定人物を他人とし、前記本人の学習用データを前記第1のメンバーシップ関数に入力したときの所属度と、前記他人の学習用データを前記第1のメンバーシップ関数に入力したときの所属度との差が大きいほど、大きな値を算出する所定の数式を用いて求められることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、有意性を示すスコア値が高い波形を第1のメンバーシップ関数として算出することができる。
【0027】
(10)前記判定情報生成手段は、前記特徴量毎の第1のメンバーシップ関数を生成する際に使用された各スコア値の総和を前記特定人物毎に求め、求めた総和を重み値の最大値とし、前記スコア値が増大するにつれて前記重み値が増大する関数を、前記特定人物毎の第2のメンバーシップ関数として算出することが好ましい。
【0028】
この構成によれば、有意性を示すスコア値が増大するにつれて重み値が増大する関数を第2のメンバーシップ関数として算出することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、より少ない歩数で人物認証を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1による個人認証システムの全体構成図を示している。
【図2】型番1の荷重分布センサを用いた場合の荷重分布データの計測手法を示した図である。
【図3】型番2の荷重分布センサ10を用いた場合の荷重分布データの取得手法を示した図である。
【図4】図1に示す個人認証システムのブロック図を示している。
【図5】(a)〜(d)は、足形の画像データの一例を示した図である。
【図6】静的な特徴量を示した図である。
【図7】動的な特徴量の抽出処理を説明するための図である。
【図8】動的な特徴量の抽出処理を説明するためのグラフである。
【図9】本発明の実施の形態1による個人認証システムの動作を示すフローチャートである。
【図10】(a)、(b)は、メンバーシップ関数の一例を示したグラフである。
【図11】本発明の実施の形態2における個人認証システムの動作を示すフローチャートである。
【図12】メンバーシップ関数MF1の生成処理を示すフローチャートである。
【図13】被験者#1〜#5に対する足形の幅の特徴量(学習用データ)を示した表である。
【図14】被験者#1〜#5に対する足形の面積の特徴量(学習用データ)を示した表である。
【図15】図13の表の各欄に示される学習用データがプロットされたグラフを示している。
【図16】図14の表の各欄に示される足形の幅の学習用データがプロットされたグラフを示している。
【図17】図14の被験者#5を本人、被験者#1〜#4を他人とした場合において、図14に示す学習用データfi(Pos)、fi(Neg)を小さい値から順に添え字を付して定義したときのfi(Pos)、fi(Neg)を示している。
【図18】被験者#5を本人とし、Si=337.79、Thp_i=21.9、Thn_i=20.43としたときのメンバーシップ関数MF1を示している。
【図19】Si、Thp_i、Thn_i、Scoreを纏めた表である。
【図20】fi(Pos)、fi(Neg)から得られるμS,iの値を纏めた表である。
【図21】fi(Pos)、fi(Neg)から得られるμS,iの値を纏めた表である。
【図22】(a)〜(c)は、それぞれ、図19の(a)〜(c)に示すSi、Thp_i、Thn_i、Scoreの各値を採用したときのメンバーシップ関数MF1を示している。
【図23】足形の面積において、被験者#1〜#5のそれぞれを本人とし、Scoreが最大になるときの、Si、Thp_i、Thn_i、Score_iの値を示した表である。
【図24】図23に示すSi、Thp_i、Thn_i、Score_iの各値により規定される被験者#1〜#5のメンバーシップ関数MF1を示したグラフである。
【図25】足形の幅において、被験者#1〜#5のそれぞれを本人とし、Scoreが最大になるときの、Si、Thp_i、Thn_i、Score_iの値を示した表である。
【図26】足形の幅と足形の面積とが特徴量として含まれている場合に生成されるメンバーシップ関数MF2の一例を示した図である。
【図27】図26に示すメンバーシップ関数MF2の作成に用いられたデータを示した表である。
【図28】実験結果を示す表である。
【図29】被験者を纏めた表である。
【図30】認証結果を纏めた表である。
【図31】認証結果を纏めた表である。
【図32】認証にかかった時間を纏めた表である。
【図33】認証にかかった時間を纏めた表である。
【図34】ユークリッド距離及びファジィ推論による認証を行った結果を纏めた表である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による個人認証システムの全体構成図を示している。本個人認証システムは、認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を行うものである。
【0032】
そして、図1に示すように本個人認証システムは、荷重分布センサ10(計測手段の一例)、制御装置21、及び演算装置22を備えている。荷重分布センサ10は、横方向にx個、縦方向にy個のマトリックス状に配列された複数の感圧素子から構成され、人物の足裏が載置されるセンサ面を備えるマット型圧力センサであり、センサ面に載置された足裏の各位置の荷重を計測する。以下、荷重分布センサ10の横方向にx軸を設定し、縦方向にy軸を設定して説明する。各感圧素子は、載置された足裏からの荷重を受け抵抗値を変化させ、受けた荷重の大きさに応じたレベルの電気信号を制御装置21に出力する。
【0033】
制御装置21は、各感圧素子から出力されるアナログの電気信号をデジタルの電気信号に変換し、このデジタルの電気信号を各感圧素子の位置に従ってx行×y列にマトリックス状に配列し、センサ面に載置された足裏の荷重分布データを生成し、演算装置22に出力する。ここで、制御装置21は、荷重分布センサ10により荷重が検出されてから荷重が検出されなくなるまで一定のサンプリング間隔で荷重分布データを生成し、演算装置22に出力する。
【0034】
感圧素子から出力されるデジタルの電気信号は、例えば8ビットのデジタルデータで表される。したがって、荷重分布データは、各感圧素子を1つの画素と考えると、各画素データが0〜255階調で表されたx行×y列の画像データとなる。
【0035】
本実施の形態では、荷重分布センサ10として、例えば「型番:AS−64X256−7PM(以下、型番1と呼ぶ)」又は「型番:AS−64X128M(以下、型番2と呼ぶ)」の荷重分布センサを採用することができる。両型番の荷重分布センサのスペックは、表1に示す通りである。
【0036】
【表1】

【0037】
表1において、センサ数は感圧素子の数を示し、サンプリング間隔は荷重分布データが生成される時間間隔を示し、有効エリアはセンサ面のサイズを示し、センサ間隔は横方向及び縦方向の感圧素子の配列間隔を示す。
【0038】
図2は、型番1の荷重分布センサを用いた場合の荷重分布データの計測手法を示した図である。図2に示すように、型番1の荷重分布センサを用いた場合、例えば、床の上に載置された荷重分布センサ10の上を、靴下を履いた状態で被験者に3歩分歩かせ、3歩目において一定のサンプリング間隔で生成された荷重分布データに基づいて認証処理を行う。
【0039】
図3は、型番2の荷重分布センサ10を用いた場合の荷重分布データの取得手法を示した図である。図3に示すように、型番2の荷重分布センサ10を用いた場合、例えば、床の上に載置された荷重分布センサ10上を、靴下を履いた状態で2歩目が荷重分布センサ10の上に乗るように被験者に3歩分歩かせ、2歩目において一定のサンプリング間隔で生成された荷重分布データに基づいて認証処理を行う。
【0040】
図4は、図1に示す個人認証システムのブロック図を示している。図4に示すように本個人認証システムは、計測部100及び制御部200を備えている。計測部100は、図1に示す荷重分布センサ10及び制御装置21から構成され、一定のサンプリング間隔で荷重分布データを生成し、制御部200に出力する。制御部200は、図1に示す演算装置22から構成され、抽出部210(抽出手段の一例)、判定部220(判定手段の一例)、記憶部230(記憶手段の一例)、及び判定情報生成部240(判定情報生成手段の一例)の機能を備えている。これらの機能は、演算装置22が、ハードディスクに記憶され、コンピュータを制御部200として機能させるための制御プログラムを実行することで実現される。
【0041】
抽出部210は、計測部100から出力された荷重分布データから、特徴量を抽出する。ここで、特徴量は、足裏の形状に関する静的な特徴量と、足裏の荷重の時間的推移に関する動的な特徴量とが含まれる。特徴量の具体的な内容を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2に示すように、静的な特徴量は、足形の長さ、足形の幅、足形の面積(足形の全体の面積)、足形を複数の領域に分けたときの各領域での足形の面積、及び進行方向に対する足形の傾きが含まれる。
【0044】
ここで、抽出部210は、荷重分布データから被験者の足形を示す足形の画像データを生成し、足形の画像データから表2に示す静的な特徴量を抽出する。ここで、足形とは足裏の全域をセンサ面に載置したときに得られる足の形状を示す。
【0045】
まず、抽出部210による、足形の画像データの生成処理について説明する。抽出部210は、被験者がセンサ面にかかとを踏み込んでからつま先を離すまでに一定のサンプリング間隔で生成される複数の荷重分布データ(以下、フレームと呼ぶ)をそれぞれ二値化する。
【0046】
二値化に当たっては、例えば式(1)を採用することができる。
【0047】
G(x,y)=1 g(x,y,z)≧3
G(x,y)=0 g(x,y,z)<3・・・(1)
ここで、G(x,y)は二値化後のフレームを構成する画素データを示し、g(x,y,z)は二値化前のフレームを構成する画素データを示している。また、xは画素データのx軸の座標を示し、yは画素データのy軸の座標を示し、zはフレーム番号を示す。ここで、フレーム番号としては、被験者がセンサ面にかかとを踏み込んでからつま先を離すまでに生成されるフレームの順序を示す数値を採用することができる。
【0048】
式(1)によって、階調値が閾値である3以上の画素データは値が1とされ、階調値が3未満の画素データは値が0とされ、荷重分布データが二値化される。なお、式(1)では、閾値が3とされているが、これは一例であり、3以外の他の値を閾値として採用してもよい。
【0049】
次に、抽出部210は、被験者がセンサ面にかかとを踏み込んでからつま先を離すまでに生成された二値化後のフレームの論理和を取る。これにより、被験者の足形の画像データが得られる。
【0050】
図5(a)〜(d)は、足形の画像データの一例を示した図である。図5(a)〜(d)の足形の画像データは、それぞれ異なる被験者の足形の画像データである。図5(a)〜(d)に示すように、被験者に応じて足形の形状が大きく異なっていることが分かる。ここで、図5(a)〜(d)において、黒の部分が足裏領域となる。
【0051】
次に、抽出部210による、静的な特徴量の抽出処理について説明する。図6は、静的な特徴量を示した図である。足形の長さは、足形の画像データにおいて、足裏領域DLを近似する一次関数L1を最小二乗法により求め、一辺が一次関数L1に平行な外接矩形SQを足裏領域DLに当てはめ、外接矩形SQの長辺H1の長さを求めることで得られる。
【0052】
足形の幅は、外接矩形SQの短辺H2の長さを求めることで得られる。足形の面積は、足裏領域DLの面積を求めることで得られる。進行方向に対する足形の傾きは、荷重分布センサ10のセンサ面のx軸の方向に対する長辺H1の角度を求めることで得られる。
【0053】
足裏を複数の領域に分けたときの各領域の面積は、例えば、外接矩形SQを8等分したときの8個の領域D1〜D8のそれぞれにおける足裏領域DLの面積を求めることで得られる。
【0054】
ここで、領域D1〜D8としては、例えば、一次関数L1と、長辺H1を4等分する短辺H2に平行な3本の直線L2とによって区画される外接矩形SQ内の8個の領域を採用することができる。
【0055】
次に、抽出部210による、動的な特徴量の抽出処理について説明する。図7は、動的な特徴量の抽出処理を説明するための図である。図8は、動的な特徴量の抽出処理を説明するためのグラフである。図8のグラフは、動的な特徴量のうちの足形の面積についてのグラフであり、縦軸は面積(ピクセル数)、横軸はフレーム番号を示している。
【0056】
抽出部210は、まず、被験者がセンサ面にかかとを踏み込んでからつま先を離すまでに生成される複数のフレームのそれぞれにおいて、重心位置O1、最大荷重点O2、及び面積を求める。
【0057】
ここで、重心位置O1としては、足裏領域DLにおける、各画素データの座標の階調値による重み付け平均値を採用することができる。例えば、足裏領域DLに、n個の画素データが存在し、各画素データの座標を(x1,y2),(x2,y2),・・・,(xn,yn)とし、各画素データの階調値をd1,d2,・・・,dnとすると、x_ave=(d1・x1+d2・x2+・・・+dn・xn)/n、y_ave=(d1・y1+d2・y2+・・・+dn・yn)/nにより求めることができる。
【0058】
最大荷重点O2としては、各フレームを構成する画素データのうち、階調値が最大の画素データ、つまり、荷重が最も大きい画素データの座標を採用することができる。
【0059】
面積としては、式(1)により二値化された各フレームのそれぞれにおいて、階調値が1である画素の数を採用することができる。
【0060】
次に、抽出部210は、連続するフレーム間での重心位置O1の相対的な移動距離、及び最大荷重点O2の相対的な移動距離を求める。次に、求めた重心位置O1の相対的な移動距離を、縦軸を移動距離、横軸をフレーム番号とする2次元の座標空間にプロットする。また、求めた最大荷重点O2の相対的な移動距離を、同座標空間にプロットする。また、各フレームにおいて求めた面積を同座標空間にプロットする。
【0061】
次に、プロットした重心位置O1の移動距離を示す点を線形補間して、重心位置O1の時間的推移を示す折れ線を求める。また、最大荷重点O2及び足形の面積についても、重心位置O1と同様にして、最大荷重点O2及び足形の面積の時間的推移を示す折れ線をそれぞれ求める。
【0062】
次に、重心位置O1の時間的推移を示す折れ線を横軸に対して8等分することで得られる9個の点の縦軸の値を、重心位置O1の特徴量として求める。最大荷重点O2及び足形の面積についても、重心位置O1と同様にして、それぞれ9個の特徴量を求める。
【0063】
図8を用いて具体的に説明すると、図8の例では、被験者がセンサ面にかかとを踏み込んでからつま先を離すまでに生成されたフレーム数が6個である。そのため、二次元の座標空間には6個の点P1〜P6がプロットされている。そして、点P1〜P6を直線で繋ぐことで点P1〜P6が線形補間され、折れ線BLが得られる。そして、点P1から点P6までの横軸の長さが8等分され、折れ線BL上に9個の点p1〜p9が設定される。そして、点p1〜p9のそれぞれの縦軸の値が足形の面積における9個の特徴量となる。
【0064】
以下、表2に示すように、静的な特徴量において、足形の長さはf0(X)、足形の幅はf1(X)、足形の面積はf2(X)、進行方向に対する足形の傾きはf3(X)、領域D1〜D8の面積はf4(X)〜f11(X)の記号を用いて表す。
【0065】
また、動的な特徴量において、重心位置O1の9個の特徴量はf12(X)〜f20(X)、最大荷重点O2の9個の特徴量はf21(X)〜f29(X)、面積の9個の特徴量はf30(X)〜f38(X)の記号を用いて表す。つまり、特徴量はf0(X)からf38(X)まで39個存在する。なお、特徴量を特に区別しない場合は、特徴量をfi(X)の記号を用いて表す。ここで、iは特徴量を特定するためのインデックスであり、0〜39の値を採る。また、Xは荷重分布データを示す。
【0066】
図4に戻り、判定部220は、抽出部210により抽出された特徴量と、記憶部230に記憶された判定情報とに基づいて、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。
【0067】
ここで、判定部220は、抽出部210により抽出された特徴量と記憶部230に記憶された判定情報とのユークリッド距離を算出することで、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。
【0068】
記憶部230は、ハードディスク等の記憶装置により構成され、判定部220が判定処理に用いる判定情報を予め記憶する。判定情報生成部240は、判定部220が判定処理を行う際に使用する判定情報を予め生成し、記憶部230に記憶させる。
【0069】
ここで、判定情報生成部240は、判定部220がユークリッド距離による判定処理を実行する際に用いるテンプレートを生成する。
【0070】
ここで、テンプレートは、予め計測された特定人物の荷重分布データXである学習用データXに対して、抽出部210が上述の処理を行うことで得られる39個の特徴量fi(X)を正規化することで生成される。
【0071】
具体的には、判定情報生成部240は、式(2)を用いて、特徴量fi(x)を正規化する。
【0072】
Fi(X)=fi(X)/MAXi・・・(2)
但し、Fi(X)は正規化された特徴量を示し、MAXiは学習用データX内で第i番目の特徴量の最大値を示している。例えば、特定人物がm人であり、特定人物1人に対して第i番目の特徴量fi(X)がN個抽出されたとする、第i番目の特徴量fi(X)はN×m個存在する。したがって、MAXiは、このN×m個のfi(X)のうちの最大値となる。
【0073】
そして、判定情報生成部240は、ある1人の特定人物をuとすると、特定人物uの第i番目の特徴量に対するテンプレートTmpu,iを式(3)により算出する。
【0074】
【数1】

【0075】
ここで、F(Pos)は、特定人物uの学習用データXを示し、jは特定人物uの正規化後のN個の特徴量Fi(X)を指定するためのインデックスである。つまり、判定情報生成部240は、特定人物uの正規化後のN個の特徴量Fi(X)の総和を、Nで割ることで、特定人物uの特徴量fi(X)に対するテンプレートTmpu,iを求める。そして、判定情報生成部240は、上述の処理を各特定人物の39個の各特徴量に対して行う。これにより、m人×39個のテンプレートTmpu,iが生成される。
【0076】
次に、本実施の形態1による個人認証システムの動作について説明する。図9は、本発明の実施の形態1による個人認証システムの動作を示すフローチャートである。
【0077】
まず、ステップS1において、抽出部210は、センサ面に認証対象人物の足裏が載置され、計測部100により荷重分布データXが生成されると(ステップS1でYES)、上述したように、荷重分布データXを用いて認証対象人物の39個の特徴量fi(X)を抽出する(ステップS2)。
【0078】
次に、抽出部210は、式(2)を用いて、ステップS1で抽出した39個の特徴量fi(X)をそれぞれ正規化して、正規化後の特徴量Fi(X)を求める(ステップS3)。
【0079】
【数2】

【0080】
この場合、MAXiとしては、テンプレートを生成する際に用いられたMAXiを採用すればよい。
【0081】
次に、判定部220は、式(4)を用いて、ステップS2で抽出された正規化後の特徴量Fi(X)と対応するテンプレートTmpu,iとのユークリッド距離dnを求める(ステップS4)。
【0082】
ここで、特定人物が一人である場合、すなわち、1対1照合である場合、判定部220は、式(4)の処理を1回実行する。一方、特定人物がm人である場合、すなわち、1対m照合である場合、テンプレートTmpu,iのuをu=1〜mの範囲で変える毎に、式(4)の処理を実行し、m個のユークリッド距離dnを求める。
【0083】
次に、判定部220は、ステップS4で求めたユークリッド距離dnを用いて認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する(ステップS5)。ここで、判定部220は、1対1照合の場合、ユークリッド距離dnが所定の閾値以下であれば、認証対象人物が特定人物であると判定すればよい。また、判定部220は、1対N照合の場合、ユークリッド距離dnが最小となる特定人物を認証対象人物と判定すればよい。
【0084】
このように、本実施の形態による個人認証システムによれば、人物が歩行した時の足裏の荷重分布が計測され、この荷重分布から認証対象人物の特徴量が抽出され、抽出された特徴量と判定情報であるテンプレートとから、認証対象人物が特定人物であるか否かが判定される。
【0085】
ここで、特徴量として、足裏の荷重の時間的推移に関する動的な特徴量に加えて、足裏の形状に関する静的な特徴量が含まれている。そのため、1歩分の荷重分布を計測することで、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定することができる。
【0086】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2による個人認証システムについて説明する。実施の形態2による個人認証システムは、ファジィ推論を用いて認証処理を行うことを特徴とする。なお、本実施の形態において、全体構成及びブロック構成は実施の形態1と同一であるため、図1及び図4を用いて説明する。また、本実施の形態において実施の形態1と同一のものは説明を省略する。
【0087】
図4に示す判定部220は、抽出部210により抽出された特徴量fi(X)を記憶部230に記憶された判定情報を用いたファジィ推論により、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。
【0088】
判定情報としては、2種類のメンバーシップ関数MF1(第1のメンバーシップ関数の一例)と、第2のメンバーシップ関数MF2(第2のメンバーシップ関数の一例)とからなる特定人物毎の分類器が採用される。
【0089】
つまり、判定部220は、抽出部210により抽出された認証対象人物の各特徴量に対する所属度をメンバーシップ関数MF1から求めると共に、メンバーシップ関数MF2に基づいて、各所属度に対する重み値を求め、所属度を重み値で重み付け加算した値を基に、認証対象人物が特定人物であるか否かを判定する。
【0090】
したがって、本実施の形態における判定情報生成部240は、分類器を予め生成しておき、記憶部230に記憶させておく。
【0091】
ここで、メンバーシップ関数MF1は、特定人物の特徴量として予め取得された学習用データを用いて予め生成された関数であり、認証対象人物の特徴量が特定人物の特徴量にどの程度類似しているかを示す所属度を求めるための関数である。
【0092】
また、メンバーシップ関数MF2は、学習用データをメンバーシップ関数MF1に入力したときに得られる所属度を基に予め生成された関数であり、特徴量毎のメンバーシップ関数MF1のそれぞれの有意性を示す重み値を算出するための関数である。
【0093】
ここで、判定情報生成部240は、メンバーシップ関数MF1の波形を規定するパラメータ(後述するSi、Thn_i、Thp_i)を所定範囲で変更させる毎に、所定のスコア値(以下、Scoreと記述する)を求め、Scoreが最大になったときの波形をメンバーシップ関数MF1として求める。
【0094】
Scoreは、ある特定人物を本人とし、他の特定人物を他人とし、本人の学習用データをメンバーシップ関数MF1に入力したときの所属度と、他人の学習用データをメンバーシップ関数MF1に入力したときの所属度との差が大きいほど、大きな値を有し、後述する式(8)を用いて求められる。
【0095】
また、判定情報生成部240は、特徴量毎のメンバーシップ関数MF1を生成する際に使用された各Scoreの総和を特定人物毎に求め、求めた総和を重み値の最大値とし、Scoreが増大するにつれて重み値が増大する関数を、特定人物毎のメンバーシップ関数MF2として算出する。
【0096】
図10(a)、(b)は、メンバーシップ関数の一例を示したグラフである。図10(a)はメンバーシップ関数MF1を示し、図10(b)はメンバーシップ関数MF2を示している。
【0097】
図10(a)において、縦軸は所属度(degree)を示し、横軸は特徴量が入力されるf軸を示している。図10(b)において、縦軸は重み値(Degree)を示し、横軸は後述するScoreが入力されるw軸を示している。
【0098】
メンバーシップ関数MF1は、各特定人物において特徴量fi(X)毎に存在する。つまり、特定人物がm人であるとすると、特徴量が39個であるため、メンバーシップ関数MF1は、m×39個存在することになる。ここで、特定人物uのi番目の特徴量に対するメンバーシップ関数MF1をMF1u,iと表す。
【0099】
一方、メンバーシップ関数MF2は、特定人物毎に存在する。つまり、特定人物がm人であるとすると、m個のメンバーシップ関数MF2が存在する。ここで、特定人物uのメンバーシップ関数MF2をMF2と表す。
【0100】
そして、メンバーシップ関数MF1u,iは、認証対象人物のi番目の特徴量fi(X)がどの程度、特定人物uのi番目の特徴量fi(X)に近いかを示す所属度μS,iを求めるために用いられる。
【0101】
また、メンバーシップ関数MF2は、特定人物uのi番目のメンバーシップ関数MF1u,iがどの程度の有意性を有しているかを示す重み値μW,iを求めるために用いられる。つまり、ある特定人物を本人とし、本人の特徴量のメンバーシップ関数MF1を生成するにあたり、本人と他人との差が顕著な学習用データを用いて作成されたメンバーシップ関数MF1は有意性が高いが、本人と他人との差が顕著ではない学習用データを用いて作成されたメンバーシップ関数MF1は有意性が低い。メンバーシップ関数MF2は、この有意性の高低を反映するための重み値を算出するために用いられる。
【0102】
重み値μW,iは、メンバーシップ関数MF1u,iの波形から定まるScoreをメンバーシップ関数MF2(w)のwに入力することで得られる。なお、Scoreは後述する式(8)により定義される。
【0103】
次に、本実施の形態による個人認証システムの動作について説明する。図11は、本発明の実施の形態2における個人認証システムの動作を示すフローチャートである。ステップS11,S12において、実施の形態1と同様にして、抽出部210により認証対象人物の特徴量が抽出される。
【0104】
次に、判定部220は、認証対象人物の特徴量fi(X)をメンバーシップ関数MF1u,i(f)のfに入力して所属度μS,iを求める(ステップS13)。
【0105】
次に、判定部220は、メンバーシップ関数MF1u,iの波形から定まるScoreをメンバーシップ関数MF2(w)のwに入力することで重み値μW,iを求める(ステップS14)。ここで、重み値μW,iは、特定人物をm人とすると、特徴量が39個存在するため、m×39個分、求められる。
【0106】
次に、判定部220は、式(5)に示すように、所属度μS,iに対応する重み値μW,iを乗じることでファジィ所属度μF,iを求める(ステップS15)。
【0107】
μF,i(fi(X))=μS,i(fi(X))×μW,i・・・(5)
具体的には、μW,iは、式(6)により定義される。
【0108】
μW,i=min(MF2,SScore_i(X))・・・(6)
但し、SScore_i(X)は後述するファジィシングルトン関数である。
【0109】
次に、判定部220は、式(7)に示すように、特定人物uにおけるファジィ所属度μF,iの総和を求め、特定人物uへの総所属度μWalkを算出する(ステップS16)。ここで、特定人物の人数がm人であるとすると、判定部220は、m個の総所属度μWalkを算出することになる。
【0110】
【数3】

【0111】
次に、判定部220は、総所属度μWalkが最大の特定人物uを認証対象人物であると判定する(ステップS17)。以上により、認証対象人物がどの特定人物に該当するかが判定される。
【0112】
次に、判定情報生成部240によるメンバーシップ関数MF1,MF2の生成処理について説明する。図12は、メンバーシップ関数MF1の生成処理を示すフローチャートである。
【0113】
以下の説明では、説明の便宜上、39個の特徴量のうち、足形の面積(特徴量f2(X))と足形の幅(特徴量f1(X))との2種類の特徴量が存在するものとして説明する。また、特定人物の人数を被験者#1〜#5の5人として説明する。また、被験者#5を本人とし、被験者#5のメンバーシップ関数MF1,MF2を生成する場合を例に挙げて説明する。
【0114】
図13は、被験者#1〜#5に対する足形の幅の特徴量(学習用データ)を示した表である。足形の幅の学習用データは荷重分布データを5回計測することで得られたデータである。被験者#1〜#5のそれぞれの5回の学習用データに対する平均、標準偏差は図に示すとおりである。
【0115】
図14は、被験者#1〜#5に対する足形の面積の特徴量(学習用データ)を示した表である。図14の表の詳細は図13の表と同様である。
【0116】
図15は、図13の表の各欄に示される学習用データがプロットされたグラフを示している。図16は、図14の表の各欄に示される足形の幅の学習用データがプロットされたグラフを示している。図15において、横軸は足形の幅の値(pixel)を示している。図16において、横軸は足形の面積の値(pixel)を示している。
【0117】
まず、ステップS21において、抽出部210は学習用データを取得する。ここでは、図13及び図14に示す学習用データが取得されたものとする。
【0118】
次に、判定情報生成部240は、足形の幅の学習用データから被験者毎の平均及び標準偏差を算出すると共に、足形の面積の学習用データから被験者毎の平均及び標準偏差を求める(ステップS22)。
【0119】
足形の幅の標準偏差及び平均は図13に示す通りである。足形の面積の標準偏差及び平均は図14に示す通りである。
【0120】
次に、判定情報生成部240は、足形の幅及び足形の面積のそれぞれに対するSi=Mean−SD/10、Thn_i=0、Thp_i=0を設定し、Si、Thn_i、Thp_iを初期化る(ステップS23)。
【0121】
ここで、Siは、図10(a)に示すようにメンバーシップ関数MF1の頂点T1におけるf軸の値を示す。なお、頂点T1のDegree軸の値は1である。また、Thn_iは、メンバーシップ関数MF1u,iのf軸との2つの交点のうち左側の交点とSiとの長さを示す。一方、Thp_iは、メンバーシップ関数MF1u,iのf軸との2つの交点のうち右側の交点とSiとの長さを示す。
【0122】
次に、判定情報生成部240は、式(8)を用いてScoreを算出する(ステップS24)。
【0123】
【数4】

【0124】
式(8)において、Nは本人の学習用データの個数を示し、Mは他人の学習用データの個数を示す。本フローチャートでは、被験者#5が本人、被験者#2〜#4が他人であり、各被験者の学習用データの個数は5個であるため、N=5(=1×5)であり、M=20(=5×4)となる。
【0125】
また、fi(Pos)は本人(この例では被験者#5)の学習用データを示し、fi(Neg)は他人(この例では被験者#1〜#4)の学習用データを示している。また、μS,i(f(Pos))は、本人の学習用データf(Pos)に対するメンバーシップ関数MF1u,iの出力値である所属度を示している。
【0126】
また、μS,i(f(Neg))は、他人の学習用データf(Neg)に対するメンバーシップ関数MF1u,iの出力値である所属度を示している。
【0127】
具体的には、μS,iは、式(9)により定義される。
【0128】
【数5】

【0129】
但し、Sfi(X)(x)は式(10)で定義されるファジィシングルトン関数である。
【0130】
【数6】

【0131】
次に、判定情報生成部240は、Thn_i>4SDであるか否かを判定し(ステップS25)、Thn_i>4SDでない場合(ステップS25でNO)、現在のThn_iにSD/10を加えて、Thn_iを更新し(ステップS26)、処理をステップS24に戻す。一方、Thn_i>4SDである場合(ステップS25でYES)、判定情報生成部240は、Thn_i=0に設定し、Thn_iを再度、初期化する(ステップS27)。
【0132】
次に、判定情報生成部240は、Thp_i>4SDであるか否かを判定し(ステップS28)、Thp_i>4SDでない場合(ステップS28でNO)、現在のThp_iにSD/10を加えて、Thp_iを更新し(ステップS29)、処理をステップS24に戻す。一方、Thp_i>4SDである場合(ステップS28でYES)、判定情報生成部240は、Thp_i=0に設定し、Thp_iを再度、初期化する(ステップS30)。
【0133】
次に、判定情報生成部240は、Si>Mean+SDであるか否かを判定し、Si>Mean+SDでない場合(ステップS31でNO)、現在のSiにSD/10を加えて、Siを更新し(ステップS32)、処理をステップS24に戻す。
【0134】
一方、判定情報生成部240は、Si>Mean+SDである場合(ステップS31でYES)、ステップS24〜S32の3重ループを繰り返すことで得られたScoreを最大にするSi,Thn_i,Thp_iを有するメンバーシップ関数MF1を決定し(ステップS33)、処理を終了する。
【0135】
すなわち、S24〜S32のループが繰り返されることで、図10の三角形の頂点T1のf軸の値であるSiは、Siの初期値であるMean−SDからSiの終値であるMean+SDの範囲をSD/10刻みで変化する。そして、S24〜S32のループが1回繰り返されるごとに、図10に示す三角形の左側の頂点であるThn_iは、初期値0から終値4×SDの範囲をSD/10刻みで変化し、かつ、図10に示す三角形の右側の頂点であるThp_iは、初期値0から終値4×SDの範囲をSD/10刻みで変化する。
【0136】
つまり、図12に示す3重ループによって、メンバーシップ関数MF1は、1つのSiについて、左側の頂点がf軸上に40箇所設定され、右側の頂点がf軸上に40箇所設定され、これにより40×40+1=1601パターンにメンバーシップ関数MF1を示す三角形が変形される。また、Siは21箇所設定されるため、メンバーシップ関数MF1の形状は、トータル、1601×21=33621パターンに変形される。
【0137】
ここで、最終的に決定されたi番目の特徴量のメンバーシップ関数MF1におけるScoreをScore_iと記述する。
【0138】
以上により、本人が被験者#5とする場合の被験者#5における足形の幅及び足形の面積のメンバーシップ関数MF1u,iが決定される。実際には、判定情報生成部240は、表2に示す39個の特徴量のそれぞれに対して被験者#5を本人とする場合のメンバーシップ関数MF1u,iを生成する。
【0139】
また、判定情報生成部240は、他の被験者である被験者#1〜#4についても、被験者#5と同様にして、それぞれを本人とした場合のメンバーシップ関数MF1u,iを生成する。
【0140】
次に、図14に示す足形の面積の学習用データからメンバーシップ関数MF1が生成される過程について具体的に説明する。
【0141】
図17は、図14の被験者#5を本人、被験者#1〜#4を他人とした場合において、図14に示す学習用データfi(Pos)、fi(Neg)を小さい値から順に添え字を付して定義したときのfi(Pos)、fi(Neg)を示している。
【0142】
図18は、被験者#5を本人とし、Si=337.79、Thp_i=21.9、Thn_i=20.43としたときのメンバーシップ関数MF1を示している。
【0143】
図20は、図17に示すfi(Pos)、fi(Neg)の各値を図18に示すメンバーシップ関数MF1に入力したときに得られる所属度μS,iを纏めた表である。
【0144】
この場合、fi(Pos)に対してはSi=0.521となり、fi(Pos)に対してはSi=0.625となり、fi(Pos)に対してはSi=0.26となり、fi(Neg)に対してはSi=0.13となり、fi(Neg)に対してはSi=0.375となり、fi(Neg10)に対しては、Si=0.854となる。
【0145】
図17に示す各fi(Pos)、fi(Neg)から得られるμS,iの値を上記の式(8)に代入して、Scoreを算出すると、図19の(b)に示すように、Score=0.213となる。この演算を具体的に示すと、Score=(0.26+0.521+0.625)/5−(0.13+0.375+0.854)=0.213である。
【0146】
なお、被験者#5を本人とし、Si=337.79、Thp_i=0、Thn_i=0としたときのメンバーシップ関数MF1におけるScoreを算出すると、図19の(a)に示すように、Score=0.000となる。
【0147】
また、被験者#5を本人とし、Si=365.55、Thp_i=21.91、Thn_i=56.97としたときのメンバーシップ関数MF1におけるScoreを算出すると、図19(c)に示すように、Score=0.664となる。
【0148】
また、被験者#5を本人とし、図19(c)に示す、Si=365.55、Thp_i=21.91、Thn_i=56.97としたときのメンバーシップ関数MF1に対して、図17に示すfi(Pos)、fi(Neg)から得られる所属度μS,iの値を纏めると図21の表が得られる。この場合のScoreを算出すると、図19(c)に示すように、Score=(0.341+0.979+0.888+0.797+0.657)/5−(0.19+0.113+0.288+0.201+0.569)=0.664となる。
【0149】
図22(a)〜(c)は、それぞれ、図19の(a)〜(c)に示すSi、Thp_i、Thn_iの各値を採用したときのメンバーシップ関数MF1を示している。
【0150】
図23は、足形の面積において、被験者#1〜#5のそれぞれを本人とし、Scoreが最大になるときの、Si、Thp_i、Thn_i、Score_iの値を示した表である。
【0151】
図24は、図23に示すSi、Thp_i、Thn_iの各値により規定される被験者#1〜#5のメンバーシップ関数MF1を示したグラフである。図14の表に示す学習用データが得られた場合、最終的に、足形の面積については、図24に示すような被験者#1〜#5に対するメンバーシップ関数MF1が得られる。
【0152】
図25は、足形の幅において、被験者#1〜#5のそれぞれを本人とし、Scoreが最大になるときの、Si、Thp_i、Thn_i、Score_iの値を示した表である。図13の表に示す学習用データが得られた場合、最終的に、足形の幅については、図25に示すSi、Thp_i、Thn_iの各値で規定される被験者#1〜#5に対するメンバーシップ関数MF1が得られる。
【0153】
次に、メンバーシップ関数MF2の生成処理について説明する。
【0154】
判定情報生成部240は、式(11)に示すように、被験者#1〜#5のそれぞれを本人としたときに算出されたScore_iの合計値sumを算出する。
【0155】
【数7】

【0156】
そして、式(11)により得られたsumを図10(b)に示す2次元の座標空間のw軸の値とし、このときの重み値の値を1として、この2次元の座標空間に点PHをプロットする。そして、この点PHと原点Oとを直線で結んだステップ状の関数がメンバーシップ関数MF2となる。生成されたメンバーシップ関数MF2は記憶部230に記憶される。
【0157】
ここで、説明の便宜上、足形の幅(特徴量f1(X))と足形の面積(特徴量f2(X))との2種類が特徴量として含まれているとして、メンバーシップ関数MF2の生成処理について以下説明する。
【0158】
図26は、足形の幅と足形の面積とが特徴量として含まれている場合に生成されるメンバーシップ関数MF2の一例を示した図である。図26において、縦軸は重み値を示し、横軸はScore_iが入力されるw軸を示している。
【0159】
図27は、図26に示すメンバーシップ関数MF2の作成に用いられたデータを示した表である。この表において、Score_1は各被験者の足形の幅のメンバーシップ関数MF1から定まるScoreを示し、Score_2は各被験者の足形の面積のメンバーシップ関数MF2から定まるScoreを示し、sumはScore_1とScore_2との和を示し、μW,1は足形の幅の重み値を示し、μW,2は足形の面積の重み値を示している。
【0160】
そして、図27に示す被験者#5におけるメンバーシップ関数MF2をグラフで示すと図26が得られる。図26に示すように、被験者#5のsumである1.227をw軸の値とし、1をDegree軸の値とする点PHがプロットされ、メンバーシップ関数MF2が生成されていることが分かる。
【0161】
そして、図4に示す判定部220は、図27に示す表の被験者#5のScore_1である0.563を図26に示すメンバーシップ関数MF2のwに入力したときの出力値を、被験者#5の足形の幅の重み値μW,1として求める。この場合、図26の被験者#5のμW,1の欄に示す0.459が重み値となる。図27に示す他のμW,1、μW,2についても、同様にして求められる。
【0162】
次に、足形の幅と足形の面積とが特徴量として含まれる場合について行った特定人物uにおける所属度μS,iを求め、対応する重み値μW,iを乗じることでファジィ所属度μF,iを求め、特定人物uにおけるファジィ所属度μF,iの総和を求め、特定人物uへの総所属度μWalkを算出する処理の流れについて説明する。図28は、この処理の流れにより得られた結果を示す表である。この処理の流れでは、足形の面積のメンバーシップ関数MF1として図23の表に示されたものを用い、足形の幅のメンバーシップ関数MF1として図25の表に示されたものを用いた。そして、足形の幅においては、図13の評価用の欄に示す評価用データを認証対象のデータとして用い、足形の面積においては、図14の評価用の欄に示す評価用データを認証対象のデータとして用いた。
【0163】
そして、被験者#1〜#5のそれぞれの評価用データを分類器1〜5のそれぞれに入力し、被験者を正確に識別できたか否かを確認した。
【0164】
なお、分類器1〜5は、被験者#1〜#5のそれぞれのメンバーシップ関数MF1,MF2からなる。
【0165】
図28のμS,1は、被験者#1〜#5のそれぞれの評価用データを足形の幅のメンバーシップ関数MF1に入力したときに出力される足形の幅についての所属度を示している。μS,2は被験者#1〜#5のそれぞれの評価用データを足形の面積のメンバーシップ関数MF1に入力したときに出力される足形の面積についての所属度を示している。
【0166】
図28のμF,1は被験者#1〜#5のそれぞれの評価用データから得られるScore_1を、足形の幅のメンバーシップ関数MF2に入力したときに出力される重み値μW,1に、μS,1を乗じたファジィ所属度を示している(式(5)参照)。
【0167】
図27のμF,1は被験者#1〜#5のそれぞれの評価用データから得られるScore_2を、足形の幅のメンバーシップ関数MF2に入力したときに出力される重み値μW,2に、μS,2を乗じたファジィ所属度を示している(式(5)参照)。図28のμWalkはμF,1とμF,2との和を示している(式(7)参照)。
【0168】
図27に示すように、被験者#2以外は評価用データから正しく被験者が識別されていることが分かる。なお、この処理の流れでは2種類の特徴量しか含まれていないため、被験者#2においてエラーが出たと考えられる。上記の39個の特徴量を用いることで、このエラーが解消されると推定される。
【0169】
(実験)
次に、本発明による個人認証システムに対して行った実験について説明する。
【0170】
(A)実験方法
(A−1)この実験では被験者1人に対し6回分のデータを取得した。そのうち5回分のデータを学習用データとし、1回分のデータを評価用データとし、ユークリッド距離による認証とファジィ推論とによる認証での認証性能の評価を行った。認証性能は本人拒否率:FRR(False Rejection Rate)、他人受入率:FAR(False Acceptance Rate)及び誤り率:EER(Equal Error Rate)により評価した。
【0171】
(A−2)64×258CHの荷重分布センサを用いた個人認証
図29の表に示す20代から80代の男女56人の被験者より3歩分の歩行を取得し、そのうち3歩目の足裏加重分布を抽出し認証に使用した。このときのサンプリング間隔は100msとした。また、10、20、30、40、56人の被験者に対して認証を行い被験者数による認証性能の変化を確認した。また、処理にかかる時間を計測した。
【0172】
(A−3)64×128CHの荷重分布センサを用いた個人認証
20代の男性8人、女性2人、計10人の被験者より一歩分の足裏加重分布を取得し認証に使用した。このときサンプリング間隔を100ms及び50msに設定し、サンプリング間隔の変化に対する認証性能の変化を確認した。
【0173】
(B)実験結果
(B−1)64×256CHの荷重分布センサを用いた個人認証
被験者数を5段階に変化させたときの認証結果を図30及び図31の表に示した。また、このときの学習、認証にかかった時間を図32及び図33の表に示した。このときの処理時間はC#のStopwatchクラスを用いて計測した。図30、図31に示す表により提案手法であるファジィ推論に基づく認証はユークリッド距離による認証より認証性能が良いことが確認できた。また、被験者数の増加とともに認証性能が低下することが確認された。
【0174】
(B−2)64×128CHの荷重分布センサを用いた個人認証
10人の被験者に対し、ユークリッド距離及びファジィ推論による認証を行った結果を図34の表に示した。どちらの手法においても、サンプリング間隔が短いほど認証性能が高いことが確認できた。
【符号の説明】
【0175】
10 荷重分布センサ
21 制御装置
22 演算装置
100 計測部
200 制御部
210 抽出部
220 判定部
230 記憶部
240 判定情報生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象人物が特定人物であるか否かの判定を行う個人認証システムであって、
人物が歩行した時の足裏の荷重分布を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された荷重分布から、特徴量を抽出する抽出手段と、
前記特定人物の前記特徴量に基づいて予め作成され、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定する際に用いられる判定情報を予め記憶する記憶手段と、
前記抽出手段により抽出された特徴量と、前記記憶手段に記憶された判定情報とに基づいて、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定する判定手段とを備え、
前記特徴量は、足裏の形状に関する静的な特徴量と、足裏の荷重の時間的推移に関する動的な特徴量とを含むことを特徴とする個人認証システム。
【請求項2】
前記静的な特徴量は、足形の長さ、足形の幅、足形の面積、及び進行方向に対する足形の傾きのうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1記載の個人認証システム。
【請求項3】
前記静的な特徴量における足形の面積は、足形の全体の面積及び足形を複数の領域に分けたときにおける各領域での足形の面積の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項2記載の個人認証システム。
【請求項4】
前記動的な特徴量は、足裏の中心位置、最大荷重点、及び面積のうち少なくともいずれか1つの時間的推移であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の個人認証システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記判定情報と前記抽出手段により抽出された特徴量とのユークリッド距離を算出することで、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の個人認証システム。
【請求項6】
前記特定人物の特徴量を学習用データとして予め取得し、取得した学習用データを前記特徴量の種類毎に正規化し、各特定人物の各特徴量別のテンプレートを前記判定情報として生成する判定情報生成手段を更に備えることを特徴とする請求項5記載の個人認証システム。
【請求項7】
前記判定手段は、前記抽出手段により抽出された特徴量を前記判定情報を用いたファジィ推論により、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の個人認証システム。
【請求項8】
前記特定人物の特徴量を学習用データとして予め取得し、取得した学習用データを基に、前記認証対象人物の特徴量が前記特定人物の特徴量にどの程度類似しているかを示す所属度を求めるための特徴量毎の第1のメンバーシップ関数を前記判定情報として予め生成すると共に、前記学習用データを前記第1のメンバーシップ関数に入力したときに得られる所属度を基に、前記特徴量毎の第1のメンバーシップ関数のそれぞれの有意性を示す重み値を算出するための第2のメンバーシップ関数を前記判定情報として予め生成する判定情報生成手段を更に備え、
前記判定手段は、前記抽出手段により抽出された前記認証対象人物の各特徴量に対する所属度を前記第1のメンバーシップ関数から求めると共に、前記第2のメンバーシップ関数に基づいて、各所属度に対する重み値を求め、前記所属度を前記重み値で重み付け加算した値を基に、前記認証対象人物が前記特定人物であるか否かを判定することを特徴とする請求項7記載の個人認証システム。
【請求項9】
前記特定人物は複数存在し、
前記判定情報生成手段は、前記第1のメンバーシップ関数の波形を規定するパラメータを所定範囲で変更させる毎に、所定のスコア値を求め、前記スコア値が最大になったときの波形を前記第1のメンバーシップ関数として求め、
前記スコア値は、ある特定人物を本人とし、他の特定人物を他人とし、前記本人の学習用データを前記第1のメンバーシップ関数に入力したときの所属度と、前記他人の学習用データを前記第1のメンバーシップ関数に入力したときの所属度との差が大きいほど、大きな値を算出する所定の数式を用いて求められることを特徴とする請求項8記載の個人認証システム。
【請求項10】
前記判定情報生成手段は、前記特徴量毎の第1のメンバーシップ関数を生成する際に使用された各スコア値の総和を前記特定人物毎に求め、求めた総和を重み値の最大値とし、前記スコア値が増大するにつれて前記重み値が増大する関数を、前記特定人物毎の第2のメンバーシップ関数として算出することを特徴とする請求項9記載の個人認証システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−2907(P2011−2907A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143643(P2009−143643)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年3月4日 社団法人 電子情報通信学会において EIC電子情報通信学会2009年総合大会講演論文集発行をもって発表
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000163419)株式会社きんでん (37)
【Fターム(参考)】