説明

個人認証方法及び装置

【課題】 身体からの圧力変動を利用して個人認証を行う。
【解決手段】 使用者の身体のいずれかの部分に接触可能に構成され、該使用者の身体の圧力変動を検出する圧力検出部20と、前記圧力検出部20からの前記圧力変動の信号を処理して、その後の処理に用いるための波形を出力する出力部200と、前記波形に含まれる経時的特徴を分析し、当該波形に含まれ、使用者を特定することができる特徴量を抽出する分析部32と、前記検出された波形の特徴量と予め登録されている波形の特徴量とを比較する比較部34とを備え、前記検出された波形の特徴量と前記予め登録されている波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定したときに、前記比較部と通信可能にされている端末機器3に、前記使用者による利用を受け付けさせる個人認証装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人認証方法及び装置に関し、特に、身体からの圧力変動を利用する個人認証方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化、情報のネットワーク化が急速に進展し、安全で確実に本人を認証する個人認証システムが必要とされている。例えば、銀行等では、ネットワークを介して多くの金融サービスを提供しており、サービスを受けようとしている相手が本人であることを確実に認証する必要がある。また、研究機関等では、機密情報にアクセスする相手が許諾を得た者であることを認証する必要がある。しかし、現在では、ほとんどの個人認証が、カードとパスワードの組合せ、又はユーザーIDとパスワードの組合せ等を利用しており、カードが偽造されたり、ユーザーIDやパスワードが盗まれたりする危険にさらされている。
【0003】
そこで、本人であることを安全で正確に識別するバイオメトリクス(Biometrics)認証方法が開発されている。バイオメトリクスとは、各個人だけが持つ身体的特徴や行動的特徴を予め計測してシステムに登録しておき、認証時に本人の身体的特徴や行動的特性が予め登録されているデータと合致するかどうかを判定することによって相手が本人であることを認証する方法である。例えば、身体的特徴は、指紋、手形、虹彩、網膜、声紋、心音、呼吸、顔等があり、行動的特徴は、筆跡、キーボードにおけるタイピング等がある。バイオメトリクスの利点は、相手が本人であることを正確に認証できることに加えて、偽造、複製、又は盗難が困難なことである。さらに、本人が、キャッシュカード等を携帯する必要がなく、本人であること証明するユーザーID及びパスワード等の情報を記憶するする必要もない。
【特許文献1】特開2004−89314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、バイオメトリクスを用いた従来の個人認証システムは、高速な処理装置や大容量の記憶装置が必要であり、そのために非常に高価である。そのため、現在、バイオメトリクス個人認証システムは様々な場所で必要とされているが普及していない。例えば、バイオメトリクスが利用されているのは、極めて高いセキュリティを必要とする国防施設や研究機関等に限られている。
【0005】
従来のバイオメトリクス個人認証システムは、高いセキュリティを備えている。しかし、予め登録するデータに大変な手間と時間がかかり、さらに相手が本人であることをすばやく認証できないことがある。加えて、バイオメトリクス個人認証システムは、体調の変化や怪我等によって正確に認証が行えない。
【0006】
さらに加えて、バイオメトリクス個人認証システムを含めた従来の個人認証システムでは、起動時に一度だけ認証を行っており、一旦認証が行われたあとは、本人以外の者が本人としてシステムを用いること(「なりすまし」)が可能である。例えば、従来の個人認証システムでは、認証時に一度パスワードを入力してしまえば、その後に本人以外の者がそのコンピュータを使用するのを阻止する手段を備えていない。
【0007】
本発明は上記問題点の少なくともいずれかを解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る個人認証装置は、使用者の身体のいずれかの部分に接触可能に構成され、該使用者の身体の圧力変動を検出する圧力検出部と、前記圧力検出部からの前記圧力変動の信号を処理して、その後の処理に用いるための波形を出力する出力部と、前記波形に含まれる経時的特徴を分析し、当該波形に含まれ、使用者を特定することができる特徴量を抽出する分析部と、前記検出された波形の特徴量と予め登録されている波形の特徴量とを比較する比較部とを備え、前記検出された波形の特徴量と前記予め登録されている波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定したときに、前記比較部と通信可能にされている端末機器に、前記使用者による利用を受け付けさせることを特徴とする。本発明においては、さらに、前記圧力変動の波形は、使用者の心音波形と呼吸による圧力波形との少なくともいずれかを含んでおり、前記圧力検出部は、使用者の身体のいずれかの部分から、心音波形と呼吸による圧力波形との少なくともいずれかを接触により検知することを特徴とする。さらに、本発明においては、前記圧力検出部は、使用者の運動音をさらに検知し、前記出力部は、前記運動音を運動音波形としてさらに出力し、前記分析部は、前記運動音波形に含まれる経時的特徴を分析して、特徴量を抽出し、前記比較部は、前記検出された運動音波形の特徴量と予め登録されている運動音波形の特徴量とを比較し、前記検出された運動音波形の特徴量と前記予め登録されている運動音波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定したときに、前記使用者による利用を許可することを特徴とする。
【0009】
ここで、身体内を伝わる圧力変動とは、使用者が静止している際において、その使用者の身体の各器官、例えば、鼓動している心臓、呼吸している肺等より発生したり、使用者の意識下或は無意識下で身体が運動して外部の物体と接触することにより発生したりする音が、身体を振動の媒質として伝播して圧力検出手段により検出されたり、身体の位置や形状の変化として圧力検出手段により検出される圧力の変動をいう。心音波形や呼吸による圧力波形は、この使用者の身体内を伝わる圧力変動のうち、使用者の器官から発生するものの例である。キーボードをタイピングする音、マウスをクリックする音は、使用者の身体が外部の物体と接触して発生するものの例である。運動音波形とは、特に、離散的あるいは断続的な使用者の運動により発生する音の波形である。この運動音波形は、キーボードをタイピングする際の個々のキー音の間の間隔、タイピングする指圧の強弱によって生じる振動の強弱のパターン、マウスのクリック音の間隔のパターン等の特徴を含む。圧力検出部は、身体のどこかに接触していれば、心音、呼吸による圧力、運動音の少なくともいずれかによる圧力変動を検出することが可能である。出力部は、分析部及び個人情報データ記憶部に心音波形、呼吸による圧力波形、及び運動音波形の少なくともいずれかを送出することができる。さらに個人情報データ記憶部は、分析部、個人情報データ外部記憶部より、心音波形、呼吸による圧力波形、及び運動音波形の少なくともいずれかと、波形の特徴量及び運動音波形の特徴量の少なくともいずれかとを取得することができる。比較部は、検出された波形の特徴量と予め登録されている波形の特徴量、又は検出された運動音波形の特徴量と予め登録されていた運動音波形の特徴量とを比較し、得られた判定結果を端末部に送出する。経時的特徴とは、所定の期間又は回数にわたって波形のデータを取得して得られるような、波形の属性をいう。この例としては、波形のピーク位置、周期、周波数成分、位相、及びこれらに含まれるゆらぎや経時的変化等である。なお、本発明に係る個人認証方法を実行するために、端末機器を用いることができる。このとき、端末機器が出力部と、分析部と、比較部と、個人情報データ記憶部とを含むように構成することができる。また、圧力検出部と、出力部と、分析部と、比較部と、個人情報データ記憶部とを同一の機器に含むように構成することもできる。
【0010】
さらに、本発明に係る個人認証装置は、分析部が時間周波数解析を用いて前記波形を分析することを特徴とする。ここで、分析部は、ウェーブレット変換を用いて前記波形を分析することができる。また、分析部が、前記波形を1回以上時間微分し、時間周波数解析を用いて前記波形を分析することを特徴とする。さらにまた、分析部は、前記波形を1周期の波形パターンとし、当該波形パターンを振幅及び周期の少なくともいずれかについて正規化することを特徴とする。加えて、分析部が、前記波形において振幅及び周期の少なくともいずれかのゆらぎを検出することを特徴とする。
【0011】
次に、本発明に係る個人認証装置は、端末装置が前記検出された波形の特徴量と前記予め登録されている波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定された場合に、使用者に対して識別のための情報入力を求め、さらに認証を行うことを特徴とする。さらに、前記端末装置が前記検出された運動音波形の特徴量と前記予め登録されている運動音波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定された場合にも、使用者に対して識別のための情報入力を求め、さらに認証を行う。
【0012】
また、本発明に係る個人認証装置は、圧力検出部が前記圧力変動を連続して又は複数回検出することを特徴とする。なお、圧力検出部は、任意の間隔、ランダムな間隔で圧力を連続して又は複数回検出することができる。
【0013】
加えて、本発明に係る個人認証装置は、端末装置は、前記圧力検出部と通信可能であり、該圧力検出部を起動させることができる。なお、通信可能であるとは、ケーブル又は電波等を介してデータ又は命令を送受信できることを示す。
【0014】
さらに、本発明に係る個人認証装置は、電子印鑑、電子ペン、机、椅子、パッド、布団、コンピュータ、携帯電話、電子機器、カードホルダ等の身体接触部位に配設されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態においては、圧力変動の波形の経時的特徴を用いて分析することにより、検出された波形に含まれる特徴をより詳細に分析することができ、詳細な認証を行える。
【0016】
また、本発明において、分析手段が波形に対して正規化を行う場合、波形データを固定長として保存することができ、高速な認証処理を行える。
【0017】
さらに、本発明において、分析手段が波形に対して正規化を行う場合、心音の間隔に合わせて、検出された波形を拡大したり収縮したりすることができるため、体調の変化や怪我があっても正確に認証処理を行える。
【0018】
次に、本発明において、波形において振幅及び周期の少なくともいずれかのゆらぎが検出されない場合、当該波形が偽造されていると判断するようにできる。
【0019】
加えて、本発明においては、個人認証方法及び装置が、心音波形及び呼吸による圧力波形の少なくともいずれかの特徴量と運動音波形の特徴量とを取得した場合には、当該特徴量同士を組合せて認証を行うことができ、より安全で正確な認証を行えるという効果を奏する。
【0020】
また、本人に対して識別のための情報入力を求める場合には、心音波形及び呼吸による圧力波形の少なくともいずれかの特徴量と運動音波形の特徴量との上記組み合わせに、本人が識別のための情報を記憶しているかどうかを用いて、多重に認識を行うことができ、さらに安全で正確な認証を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本願に係る個人認証方法及び装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1には、本発明に係る個人認証装置を実現するために用いられる圧力検出手段の一部断面平面図を示す。本実施例に係る圧力検出手段20は、個人認証の対象である本人1(図3)の指や手等の身体の一部が接触するような部位に取り付けられ、内部に含気スポンジ等の発泡ウレタン樹脂22が封入されたエアーパッド21と、該エアーパッド21内の空気圧の変化を検知する圧電センサ24と、該圧電センサ24とエアーパッド21内とを、気密状態を保持して連通接続する可撓性を有するパイプ25と、電源である圧電発電装置(図示せず)とから構成されている。
【0022】
また、上記エアーパッド21は、平面形状が2枚の表皮23,230で形成された矩形の袋状体で構成されており、その気密性が保持されるように、両表皮23,230の周縁部が気密性を保持できる接着剤で貼合されて形成されている。尚、本実施例では、図1に示すように、圧電センサ24のエアーパッド側24Aを気密に保持し、他側24Bは大気に開放するように構成することで、空気封入室側と大気側とで圧力差が生じるように構成し、エアーパッド21に加えられる心音、呼吸、運動音の少なくともいずれかによる微妙な圧力変化を確実に圧電センサ24へと伝えることができので、心音、呼吸、及び運動音の少なくともいずれかに関するデータを高精度に抽出することができる。さらに、上記エアーパッド21の内部には、図1(b)に示すように、硬質の板材29が配置されている。この板材29は、図1(b)では示されていないが、図1(b)の奥行き方向に、一方向に厚さ寸法が減少する楔状に形成されている。また、上記実施例では、圧電センサ24のエアーパッド側24Aを、気密を保持するように構成した場合を例にとり説明したが、この発明にあってはこれに限定されるものではなく、圧電センサ24が取り付けられたセンサ部24Cの空気封入室側と大気側とを連通させる微細な孔24Dを貫通形成し、空気封入室側のエアーを、抵抗を持たせて抜けるように構成することもできる。この場合には、押圧され収縮した発泡ウレタン樹脂22が、気密状態では元に戻らなくなるのを防止し、スムーズに元の状態に復帰させることができる。
【0023】
さらにまた、上記エアーパッド21は、空気圧補充のためのエアーポンプ(図示せず)が連通接続可能な通路27が形成されていると共に、該通路27には、エアーパッド21内の空気の流出を防止する逆止弁(図示せず)が配置されている。
【0024】
次に、出力部200について説明する。図2には、圧力検出部20と出力部200との概略的な構成を示す。出力部200は、圧力検出部20からの信号を、心音波形、呼吸による圧力波形、及び運動音波形の少なくともいずれかとして出力することができる。出力部200は、心音と呼吸と運動音とを、心音波形と呼吸による圧力波形と運動音波形として検出する圧力検出回路26と、心音波形、呼吸による圧力波形、運動音波形とを分離して区別する波形分離部28とで構成されている。なお、心音、呼吸による圧力に比べ、運動音は非常に音が大きい。従って、運動音が聞こえている間は、圧力検出部20は、心音又は呼吸による圧力変動は検出することができない場合が多い。波形分離部28は、必要に応じて心音波形と呼吸による圧力波形とを周波数解析等を用いて分離することができる。
【0025】
図3には、本発明の個人認証装置30の基本構成を示すブロック図を示す。この個人認証装置30は、心音波形、呼吸による圧力波形、及び運動音波形の少なくともいずれかを利用する。まず、検出された心音、呼吸、運動音は、出力部200において心音波形、呼吸による圧力波形、運動音波形として検出され、続いて分析部32及び個人情報データ記憶部38に送出される。分析部32は、ウェーブレット変換を用いて心音波形及び呼吸波形の少なくともいずれかを分析し、波形の特徴量を抽出する。分析部32は、このとき、一回以上時間微分した後にウェーブレット変換を用いて分析し、波形の特徴量を抽出することもできる。または、分析部32は、出力部200より運動音波形を受け取り、その運動音波形に含まれる特徴量を抽出することもできる。なお、波形の特徴量とは、例えば、波長帯域別の波形情報や、ウェーブレット変換された波形情報である。これらは、波形に含まれる経時的な特徴を反映している。
【0026】
ここで、分析部32において分析に用いるウェーブレット変換を説明する。生体信号である心音波形や呼吸波形は、複数の成分を含んでおり、複雑である。FFT(高速フーリエ変換)等の周波数解析は、このような複数の成分を含む信号を分析するためによく使用される手法である。しかし、周波数解析は、信号を定常信号として扱うため、得られる周波特性はデータ区間内の平均値となり、各周波数成分の時間変動を扱えない。また、時間的要素を考慮したSTFT(短時間フーリエ変換)を用いても時間と周波数の分解能を同時に向上させることが出来ない。従って、周波数が時間とともに変化する心音波形、呼吸による圧力波形は、ウェーブレット解析等の時間周波数解析を用いて解析することが望ましい。
【0027】
図4には、ウェーブレット変換を説明する概要図を示す。ここでは、特に、連続ウェーブレット変換を説明する。なお、分析部32では、連続ウェーブレット変換に加えて、離散ウェーブレット変換、多重解像度分析等を用いることができる。ウェーブレット変換とは、ある局在する波を拡大縮小及び平行移動し信号解析を行う手法である。解析に用いる小さな波をマザーウェーブレットψ(t)と呼ぶ。ウェーブレット変換では、図4(a)にその一例が示されているマザーウェーブレットψ(t)40を、a倍に拡大縮小し時間軸方向にb平行移動させ、ψ((t−b)/a)と表す。マザーウェーブレットψ(t)による関数f(t)に対する連続ウェーブレット変換は、下記数式として定義される。
【数1】

ただし、関数の上に付したバーは、複素共役を表す。
【0028】
次に、ウェーブレット変換では、a倍に拡大縮小し時間軸方向にb平行移動させたウェーブレット関数ψ((t−b)/a)と、検出された波形42における区間t1〜t2における波形44を表す関数f(t)との積を時間積分する。ここで、ウェーブレット関数ψ((t−b)/a)が、関数f(t)をよく近似するものである場合には積分値が大きくなり、近似の程度が不十分である場合には積分値が小さくなることから、この積分値が極大となるaとbを求めることにより、f(t)を最もよく近似する関数ψ((t−b)/a)を得ることができる。これにより、検出された波形42に対する周波数と時間の情報とを得ることができる(図4(c))。なお、ウェーブレット関数ψ((t−b)/a)において、拡張伸縮変数aに対応してψ(t)の幅がa倍になることから1/aが周波数に対応し、移動変数bに対応してψ(t)が時間軸方向に平行移動することからbは時間に対応する。分析部32は、このようなウェーブレット変換処理を実行することによって、圧力波形に含まれる周波数成分と、その成分が含まれるタイミングとをデータとして得ることができる。また、本発明においては、逆変換をする必要がないので、どのようなウェーブレット関数を利用してもよい。例えば、マザーウェーブレット関数ψ(t)としては、ガボール関数、
【数2】

、又は心音モデルから作成されたウェーブレット関数を用いるのが望ましい。
【0029】
分析部32は、ウェーブレット変換された波形情報の各波長帯域ごとの成分を同一の比率により拡大したり縮小したりすることができる。さらに、各波長帯域の成分を異なる比率によって拡大、縮小することが可能である。また、分析部32は、検出された波形を1回以上時間微分し、当該微分された波形を時間軸方向に拡大したり縮小することができる。さらに、当該波形の拡大や縮小に応じて、波形の振幅を補正することもできる。加えて、分析部32は、検出された心音波形や呼吸による圧力波形の1周期の波形パターンを切り出し、当該波形パターンを振幅及び周波数の少なくともいずれかで正規化することができる。分析部32は、当該正規化した波形パターンを個人情報データ記憶部38に送出する。その他に、分析部32は、検出された心音波形及び呼吸波形の少なくともいずれかにおいて、振幅及び周期の少なくともいずれかのゆらぎを検出することができる。次に、分析部32は、心音波形及び呼吸による圧力波形の少なくともいずれかの特徴量、又は運動音の特徴量を比較部34に送出する。この時、分析部32は、個人情報データ記憶部38に同時に送出してもよい。
【0030】
続いて比較部34は、個人情報データ記憶部38より予め登録されている心音波形及び呼吸による圧力波形の少なくともいずれかの特徴量、又は運動音波形の特徴量を受け取る。比較部34は、検出された心音波形及び呼吸による圧力波形の少なくともいずれかの特徴量又は運動音波形の特徴量と、予め登録されている特徴量とを比較する。予め登録されている特徴量は、本発明の個人認証装置30の正当な使用者(本人)として定めた者から、上述のようにして取得した圧力変動の特徴量である。比較部34は、例えば、検出された特徴量と予め登録されていた特徴量との差を2乗して加算し、得られた値が予め定めた所定値以下であるときには、検出された波形と予め登録されている波形とが同一であると判定し、所定値を超えたときには同一ではないと判定する。
【0031】
比較部34は、別の態様として、個人情報データ記憶部38より、検出された波形の正規化された1周期の波形パターンと予め登録されている波形の正規化された1周期の波形パターンとを取得することもできる。この態様において、比較部34は、検出された波形パターンを波形振幅及び時間軸の少なくともいずれかで拡大または縮小すること、心音波形の周期に応じて時間軸について拡大または縮小すること、心音波形の周期に応じて振幅と周期の拡大や縮小の比率を変えること、又は心音の間隔に合わせて時間軸のみ拡大または縮小することにより、予め登録されている正規化された波形パターンと比較する。さらに、比較部34が、心音波形及び呼吸による圧力波形の少なくともいずれかにおいて振幅及び周期の少なくともいずれかのゆらぎを検出できない場合には、使用者が本人ではないという判定結果を出力することもできる。
【0032】
続いて比較部34の判定結果が、判定出力部36に送出される。判定出力部36は、任意の通信手段により端末装置3と通信可能であり、判定出力部36と端末装置3とは、直接接続されていてもよいし、また、bluetoothのような無線等を介して接続されてもよい。
【0033】
端末装置3は、判定出力部36から判定結果を受け取り、当該結果に応じて自ら動作を変更する。端末装置3は、個人認証装置30が使用者を本人でないと判定した場合に、認証できない旨の表示を示すことができる。さらに端末装置3は、個人認証装置30が使用者の心音波形、呼吸による圧力波形、及び運動音の少なくともいずれかを検出して、本人であると判定した後でも、その使用者に対して、氏名、生年月日、住所、電話番号、本籍等の識別のための情報をさらに問いかけ、当該問いに対する返事を、予め取得した本人のものと比較することでさらに認証を行うことができる。端末装置3は、圧力検出装置20と通信可能であり、端末装置3が圧力検出装置20を起動させ、本人が端末装置3を利用しているかどうかを確認することができる。
【0034】
個人情報データ外部記憶部5は、個人情報データ記憶部38と通信可能であり、心音波形及び呼吸波形の少なくともいずれかと、当該波形の特徴量と、運動音波形と、当該運動音波形の特徴量とを記憶することができる。個人情報データ外部記憶部5は、ネットワークを介するものでもよく、磁気テープ、磁気ディスク、光ディスク、固体メモリ、ICチップ、マイクロチップ、サーバ、その他公知のものである。
【0035】
本発明に係る個人認証方法及び装置のその他の実施の形態について説明する。分析部32は、検出された波形より心拍の周期を求めることができる。この周期を求めるためには、波形が一定のレベルとなるタイミングを抽出して、そのタイミングの繰り返し周期を用いることができる。この周期を求めれば、分析部32は、さらに1周期の波形パターンを圧力変動の波形から切り出すこともできる。分析部32は、このようにして求めた心拍周期と、複数の波形パターンより求めた心拍周期の平均とを個人情報データ記録部38に送出する。次に、比較部34が検出された波形の心拍周期と予め登録されている心拍周期又は心拍周期の平均とを比較する。本発明の個人認証方法及び装置は、比較部34が検出された心拍周期と予め登録されている心拍周期とを同一であると判別した場合に、使用者を本人であると認証する。また、認証後に、規定された回数だけ判別を繰り返すことができる。加えて、使用者が一度本人であると認証されていても、規定された間隔で認証を繰り返すことができる。
【0036】
また、本発明の個人認証方法及び装置では、検出された波形を1周期分だけ切り出した波形パターンを複数回取得して、個人情報データ記録部38が予め当該複数個の波形パターンをデータとして記録することができる。比較部34は、当該複数個のデータそれぞれに対して検出された波形の波形パターンを比較し、差が所定値以上のデータを予め定めた回数検出した場合に、記録されている波形と検出された波形とが同一で無いと判定することができる。
【0037】
次に、本発明の実施の形態における心音及び呼吸の少なくともいずれかを利用し、ウェーブレット変換を用いた個人認証装置の処理のフローチャートを図5に示す。この処理においては、まず、個人認証データ記憶部38が予め登録データを取得する(図示しない)。次に、圧力検出部20が心音及び呼吸による圧力の少なくともいずれかを検出する(ステップ502)。出力部200では、検出された心音及び呼吸による圧力を、心音波形及び呼吸による圧力波形として圧力検出回路26が検出する(ステップ504)。このとき、波形分離部28は、心音波形と呼吸による圧力波形とを予備的に分離することができるが、ここではこの処理は行われない。続いて出力部200は、分析部32と個人情報データ記憶部38とに前記波形を送出する(ステップ506)。そして、分析部32は、ウェーブレット変換を用いて圧力検出回路26からの波形を分析し、当該波形に含まれている波長帯域別の波形情報を抽出する(ステップ508)。次に、分析部32は、比較部34と個人情報データ記憶部38とに分析データを送出する(ステップ510)。そして、比較部34は、検出された波形の特徴量と予め登録されている波形の特徴量とを比較し、検出された波形と予め登録されている波形とが同一であるかどうか判定する(ステップ512)。ここで、同一である場合は、端末機器3を利用可能とし(ステップ514)、同一でない場合において、端末機器3が利用可能な状態であるときは、端末機器3を利用不可にする(ステップ516)。
【0038】
次に、本発明の実施の形態における運動音を利用した個人認証装置の処理のフローチャートを図6に示す。準備として、予め個人認証データ記憶部38が予め登録データを取得する(図示しない)。動作を開始すると、圧力検出部20が運動音を検出する(ステップ602)。出力部200では、圧力検出回路26が検出された運動音を運動音波形として検出する(ステップ604)。出力部200は、分析部32と個人情報データ記憶部38とにその運動音波形を送出する(ステップ606)。そして、分析部32は、運動音波形から特徴量を抽出し(ステップ608)、さらに、比較部34と個人情報データ記憶部38とに特徴量を送出する(ステップ610)。比較部34は、検出された運動音の特徴量と予め登録されている運動音の特徴量とを比較し、検出された運動音と予め登録されている運動音とが同一であるかどうか判定する(ステップ612)。同一である場合は、端末機器3を利用可能とする(ステップ614)。同一でない場合において、端末機器3が利用可能な状態であるときは、端末機器3を利用不可にする(ステップ616)。
【0039】
次に、本発明の実施の形態における心音及び呼吸の少なくともいずれかを利用し、波形パターンを正規化する個人認証装置の処理のフローチャートを図7に示す。この場合にも、準備として、個人認証データ記憶部38が予め登録データを取得する(図示しない)。動作を開始すると、圧力検出部20が心音及び呼吸による圧力の少なくともいずれかを検出する(ステップ702)。そして、出力部200では、圧力検出回路26が検出された心音及び呼吸による圧力を、心音波形及び呼吸による圧力波形として検出する(ステップ704)。出力部200は、分析部32と個人情報データ記憶部38とに前記波形を送出する(ステップ706)。分析部32は、前記波形より1周期の波形パターンを取り出し、当該波形パターンを振幅及び周期の少なくともいずれかで正規化する(ステップ708)。次いで、分析部32が、比較部34と個人情報データ記憶部38とに正規化された波形データを送出する(ステップ710)。その後、比較部34は、検出された波形の正規化されたデータと、予め登録されている波形の正規化されたデータとを比較し、検出された波形と予め登録されている波形とが同一であるかどうか判定する(ステップ712)。これらの波形が同一である場合は、端末機器3を利用可能とし(ステップ714)、同一でない場合において、端末機器3が利用可能な状態であるときは、端末機器3を利用不可にする(ステップ716)。
【0040】
本発明の実施の形態における心音及び呼吸の少なくともいずれかを利用し、ゆらぎ検出を用いた個人認証装置の処理のフローチャートを図8に示す。個人認証データ記憶部38が予め登録データを取得するのはこれまでのものと同様である(図示しない)。まず、圧力検出部20が心音及び呼吸による圧力の少なくともいずれかを検出する(ステップ802)。出力部200では、圧力検出回路26が検出された心音及び呼吸による圧力とを、心音波形及び呼吸による圧力波形として検出する(ステップ804)。出力部200は、さらに分析部32と個人情報データ記憶部38とに前記波形を送出する(ステップ806)。次に、分析部32は、振幅及び周期の少なくともいずれかのゆらぎについて、前記波形を分析する(ステップ808)。分析部32は、比較部34と個人情報データ記憶部38とに分析データを送出する(ステップ810)。ゆらぎを検出した場合は、端末機器3を利用可能とする(ステップ812)。ゆらぎを検出しない場合において、端末機器3が利用可能な状態であるときは、端末機器3を利用不可能にする(ステップ814)。
【0041】
次に、本発明に係る心音波形、呼吸波形、及び運動音波形の少なくともいずれかを利用した個人認証装置の実施例について説明する。本発明の個人認証装置は、分析部32と、比較部34と、認証出力部36と、個人情報データ記憶部38とを端末装置3に備えることができる。例えば、コンピュータが、分析部32と、比較部34と、認証出力部36と、個人情報データ記憶部38とを備え、コンピュータに接続されたマウスが圧力検出部20を備えるように構成することができる。マウスに圧力検出部20を設けるのに代えて、例えば、電子印鑑、机、椅子、リストパッド、アームパッド等のパッド等、クッション等の布団、コンピュータ、携帯電話、電子機器、カードホルダ等に、圧力検出部20を設けることもできる。また、圧力検出部20と、出力部200と、分析部32と、比較部34と、認証出力部36と、個人情報データ記憶部38とを、例えば、腕時計、携帯電話、PDA(携帯情報端末)、又はカードホルダ等に設けておいて、圧力検出部20からの信号を受信できるようにすることもできる。
【0042】
本発明の個人認証装置は、携帯電話に設けることもできる。このような携帯電話は、さらにその携帯電話のメモリを利用して銀行等の口座番号等の情報を記憶することができる。この情報は、携帯電話の通信機能により、いずれかのデータサーバから取得するものであってもよい。このような構成においては、銀行等でATM(自動現金預払機)を利用する際には、本人がキャッシュカード及び暗証番号を記憶する必要がなく、携帯電話をATM等に近づける等により、微弱な電波等により口座番号と心音波形及び呼吸波形の少なくともいずれかによる判定結果とを送信させることができる。
【0043】
本発明の個人認証装置は、カードを格納するためのカードホルダに設けることもできる。このようなカードホルダは、キャッシュカード、クレジットカード、又は住基カード(住民基本台帳カード)等を一枚又は複数枚格納することができ、これらのカードに記録されたデータの読取手段も備えている。このため、このカードホルダは、当該カードホルダに格納されたカード等より口座番号等の情報を取得することができる。この個人認証装置を備えたカードホルダは、カード情報と認証の認証結果とを、利用しようとする端末機器に送出することができる。加えて、このカードホルダには、格納するカードを機械的に取り出せなくするような機構も備えられている。この機構は、認証結果に応じてカードの取り出し可否を制御する。このように構成することにより、上記カードホルダが認証を用いることにより、本人以外がカードホルダ内のカードを取り出せないように構成することもできる。
【0044】
本発明の個人認証システムは、人間以外の動物等にも利用できる。例えば、動物園等において、動物の健康管理、無線等によって接続可能な領域内における動物数等を計測することもできる。
【0045】
本発明の個人認証装置は、本人の心音波形及び呼吸波形の少なくともいずれかを、連続して又は複数回記録したり、分析することができ、こうして得られた波形が普段と異なる心音波形及び呼吸波形の少なくともいずれかを示す場合に、端末装置を利用不可能にすることができる。さらに、普段と異なる心音波形及び呼吸による圧力波形の少なくともいずれかとを検出することにより、緊張、心機能、血管等に異常がある可能性があるものとして、個人認証装置と通信可能な端末装置が本人に対してその可能性を知らせることができる。
【0046】
本発明の個人認証装置は、心音波形に含まれる種々の音を検出することにより、本人の健康状態を調べることができる。図6には、心臓の弁の機能に関する異常が見られる心音図60を示す。心音は、聴域において、高低のある音を含み、種々の弁の動作に伴って強弱やそのタイミングに特徴が表れる。正常な心臓の心音は、第I音62と、第II音64とを含んでいる。これに対し、異常のある心臓の心音は、これらに加えて、第III音66と、第IV音68を含んでいる。この第III音は、心室が急速に血液で充たされるために生じる音であり、第IV音は心尖部において第I音の直前に聴取されるものである。本発明の個人認証装置は、認証中に、異常な心音波形を検出し、本人の健康状態に異常が生じた場合には、その個人認証装置と通信可能な端末装置が警告を本人に発することが可能である。なお、第I音は心室収縮期の始めに、房室弁(僧帽弁と三尖弁)が閉じる際に発する音であり、第II音は心室収縮期の直後に、動脈弁(大動脈弁と肺動脈弁)が閉じる際に発する音である。
【0047】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形、変更及び組合せが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)本発明に係る個人認証方法及び装置を実現するために用いられる圧力検出手段の一部断面平面図である。(b) 図1に示した圧力検出手段の図1A−A線に沿う断面図である。
【図2】圧力検出部と出力部との構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る個人認証装置に関する基本構成例を示すブロック図である。
【図4】ウェーブレット変換を説明する概要図である。
【図5】本発明の実施の形態における心音波形及び呼吸波形の少なくともいずれかを利用し、ウェーブレット変換を用いた個人認証装置に関するフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における運動音波形を利用した個人認証装置に関するフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態における心音波形及び呼吸波形の少なくともいずれかを利用し、正規化された1周期の波形パターンを用いた個人認証装置に関するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における心音波形及び呼吸波形の少なくともいずれかを利用し、ゆらぎ検出を用いた個人認証装置に関するフローチャートである。
【図9】心音図と当該心音の時間周波数グラフを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 本人
3 端末機器
5 個人情報データ外部記憶部
20 圧力検出部
200 出力部
21 エアーパッド
22 発泡ウレタン樹脂
23 表皮
230 裏面の表皮
24 圧電センサ
25 可撓性を有するパイプ
26 圧力検出回路
27 連通接続可能な通路
28 波形分離部
29 硬質の板材
30 個人認証装置
32 分析部
34 比較部
36 判定出力部
38 個人情報データ記憶部
40 マザーウェーブレット関数
42 検出された波形
44 分析する波形
60 心音波形
62 第I音
64 第II音
66 第III音
68 第IV音

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体のいずれかの部分に接触している圧力検出手段により、該使用者の身体の圧力変動の波形を検知する圧力検出ステップと、
前記波形に含まれる経時的特徴を分析し、当該波形に含まれ、使用者を特定することができる特徴量を抽出する分析ステップと、
前記検出された波形の特徴量と予め登録されている波形の特徴量とを比較する比較ステップと、
前記検出された波形の特徴量と前記予め登録されている波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定したときに、前記使用者による利用を許可する許可ステップと
を含む個人認証方法。
【請求項2】
前記分析ステップは、時間周波数解析を用いて前記波形を分析する、請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項3】
前記分析ステップは、前記波形を1回以上時間微分し、時間周波数解析を用いて前記波形を分析する、請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項4】
前記分析ステップは、前記波形を1周期の波形パターンとし、当該波形パターンを振幅及び周期の少なくともいずれかについて正規化する、請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項5】
前記分析ステップは前記波形において振幅及び周期の少なくともいずれかのゆらぎを検出する、請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項6】
前記圧力変動の波形が、使用者の心音波形と呼吸による圧力波形との少なくともいずれかを含んでおり、前記圧力検出ステップは、使用者の身体のいずれかの部分に接触させた前記圧力波検出手段により、心音波形と呼吸による圧力波形との少なくともいずれかを検知するステップである、請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項7】
前記端末装置は、前記検出された波形の特徴量と前記予め登録されている波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定された場合に、使用者に対して識別のための情報入力を求め、さらに認証を行う、請求項1〜6のいずれかに記載の個人認証方法。
【請求項8】
前記圧力検出ステップは、使用者の運動音をさらに検知し、
前記分析ステップは、前記運動音波形に含まれる経時的特徴を分析して、特徴量を抽出し、
前記比較ステップは、前記検出された運動音波形の特徴量と予め登録されている運動音波形の特徴量とを比較し、
前記許可ステップは、前記検出された運動音波形の特徴量と前記予め登録されている運動音波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定したときに、前記使用者による利用を許可するものである、請求項1に記載の個人認証方法。
【請求項9】
前記端末装置は、前記検出された運動音波形の特徴量と前記予め登録されている運動音波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定された場合に、使用者に対して識別のための情報入力を求め、さらに認証を行う、請求項8に記載の個人認証方法。
【請求項10】
前記圧力検出ステップは、前記圧力変動を連続して又は複数回検出する、請求項1〜9のいずれかに記載の個人認証方法。
【請求項11】
前記端末装置は、前記圧力検出手段と通信可能であり、該圧力検出手段を起動させることができる、請求項1〜10のいずれかに記載の個人認証方法。
【請求項12】
使用者の身体のいずれかの部分に接触可能に構成され、該使用者の身体の圧力変動を検出する圧力検出部と、
前記圧力検出部からの前記圧力変動の信号を処理して、その後の処理に用いるための波形を出力する出力部と、
前記波形に含まれる経時的特徴を分析し、当該波形に含まれ、使用者を特定することができる特徴量を抽出する分析部と、
前記検出された波形の特徴量と予め登録されている波形の特徴量とを比較する比較部と
を備え、前記検出された波形の特徴量と前記予め登録されている波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定したときに、前記比較部と通信可能にされている端末機器に、前記使用者による利用を受け付けさせる個人認証装置。
【請求項13】
前記分析部は時間周波数解析を用いて前記波形を分析する、請求項12に記載の個人認証装置。
【請求項14】
前記分析部は前記波形を1回以上時間微分し、時間周波数解析を用いて前記波形を分析する、請求項12に記載の個人認証装置。
【請求項15】
前記分析部は、前記波形を1周期の波形パターンとし、当該波形パターンを振幅及び周期の少なくともいずれかについて正規化する、請求項12に記載の個人認証装置。
【請求項16】
前記分析部は、前記波形において振幅及び周期の少なくともいずれかのゆらぎを検出する、請求項12に記載の個人認証装置。
【請求項17】
前記圧力変動の波形は、使用者の心音波形と呼吸による圧力波形との少なくともいずれかを含んでおり、前記圧力検出部は、使用者の身体のいずれかの部分から、心音波形と呼吸による圧力波形との少なくともいずれかを接触により検知する、請求項12に記載の個人認証装置。
【請求項18】
前記端末装置は、前記検出された波形の特徴量と前記予め登録されている波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定された場合に、使用者に対して識別のための情報入力を求め、さらに認証を行う、請求項12〜17のいずれかに記載の個人認証装置。
【請求項19】
前記圧力検出部は、使用者の運動音をさらに検知し、
前記出力部は、前記運動音を運動音波形としてさらに出力し、
前記分析部は、前記運動音波形に含まれる経時的特徴を分析して、特徴量を抽出し、
前記比較部は、前記検出された運動音波形の特徴量と予め登録されている運動音波形の特徴量とを比較し、
前記検出された運動音波形の特徴量と前記予め登録されている運動音波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定したときに、前記使用者による利用を許可するものである、請求項12に記載の個人認証装置。
【請求項20】
前記端末装置は、前記検出された運動音波形の特徴量と前記予め登録されている運動音波形の特徴量との差があるしきい値以下であると判定された場合に、使用者に対して識別のための情報入力を求め、さらに認証を行う、請求項19に記載の個人認証装置。
【請求項21】
前記圧力検出部は、前記圧力変動を連続して又は複数回検出する、請求項12〜20のいずれかに記載の個人認証装置。
【請求項22】
前記端末装置は、前記圧力検出部と通信可能であり、該圧力検出部を起動させることができる、請求項12〜21のいずれかに記載の個人認証装置。
【請求項23】
電子印鑑、電子ペン、机、椅子、パッド、布団、コンピュータ、携帯電話、電子機器、カードホルダの身体接触部位に配設されていることを特徴とする請求項12〜22のいずれかに記載の個人認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−346221(P2006−346221A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177048(P2005−177048)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(505227135)ハートメトリクス株式会社 (2)
【出願人】(302051762)アミタテクノロジー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】