説明

偏光板およびその製造方法

【課題】ポリビニルアルコール系偏光フィルムの少なくとも片面に接着剤層を介して保護フィルムが積層されてなる偏光板において、接着剤層を改良することによって偏光フィルムと保護フィルムとの間の接着性および耐温水性が向上された偏光板を提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系偏光フィルムの少なくとも片面に接着剤層を介して保護フィルムが積層されてなり、前記接着剤層は、オキシジルコニウム塩の水溶液からなる接着剤組成物を用いて形成されたものである偏光板、およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムの少なくとも片面に接着剤層を介して保護フィルムが積層されてなる偏光板、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板は、通常、二色性色素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムの片面または両面に、接着剤層を介して、保護フィルムを積層した構成となっている。偏光板は、液晶表示装置の構成部品として、必要により他の光学系フィルムを介して、液晶セルに粘着剤で貼り合わせられる。
【0003】
液晶表示装置は、その用途が拡大するにつれて、様々な環境で使用されるようになってきている。そのため、液晶表示装置を構成する部品には高い耐環境性が要求されている。たとえば、携帯電話に代表されるモバイル用途の液晶表示装置では、湿熱下での使用も可能であることが要望され、そこに使用される偏光板についても、高い耐湿熱耐久性が要求されている。しかしながら、従来の構成の偏光板では、特に湿熱環境下に長時間曝されると、偏光性能が低下しやすく、また、偏光フィルムと保護フィルムの界面が剥離しやすくなるという問題があった。
【0004】
このような問題に対し、偏光板の保護フィルムとして熱可塑性シクロオレフィン系樹脂を用いることが提案されている。たとえば、特開平5−212828号公報(特許文献1)には、ポリビニルアルコール系シートの少なくとも片面に、アクリル系粘着剤層を介して熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂シートを積層し、加熱圧着して偏光板(複合シート)とする技術が開示されている。しかしながら、アクリル系などの粘着剤(感圧接着剤とも呼ばれる)は、それ自体の厚みが10〜50μm程度になるため、液晶表示装置が厚くならざるを得なかった。また、ドライラミネート用接着剤や、スチレンブタジエンゴム系接着剤、エポキシ系二液硬化型接着剤などは、有機溶剤を含有しており、環境上、作業者の健康上の問題があった。さらに、このような有機溶剤を含有する接着剤を、従来の有機溶剤を用いない偏光板製造設備に適用しようとすると、防爆設備の新設など、設備改造の煩雑さを伴った。
【0005】
また、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、接着剤層を介してシクロオレフィン系樹脂フィルムを貼り合わせることも知られており、たとえば特開2005−70140号公報(特許文献2)、特開2005−181817号公報(特許文献3)および特開2005−208456号公報(特許文献4)には、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに、ウレタン樹脂、特にポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を含む水系の接着剤を介して、シクロオレフィン系樹脂フィルムを積層することが記載されている。これによって、ロール・トゥ・ロール方法によりポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムにシクロオレフィン系保護フィルムを直接積層することができる。
【0006】
一方、特開平9−318814号公報(特許文献5)、特開2005−173440号公報(特許文献6)および特開2005−10760号公報(特許文献7)には、偏光板の保護フィルムとして、トリアセチルセルロースに代表されるセルロース系樹脂で形成された透明樹脂フィルムを用い、当該保護フィルムをポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに貼り合わせるための各種接着剤が提案されている。ここで、フィルム間に塗布する接着剤にはアセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂とメチロール基を有する化合物を特定の配合比で混合させたもの、メチロール基含有化合物を配合した上でpHを調整したもの、あるいはグリオキザール樹脂を配合させたもの、あるいは金属アルコキシド化合物を配合してなる接着剤が記載されており、これにより耐水性の高い偏光板を得ることができる。
【0007】
これらのうち、特許文献4には、ポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムの一方の面に、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物とを含有する水系の第1の接着剤を介してシクロオレフィン系樹脂フィルムを積層し、他方の面には、前記第1の接着剤とは異なる組成を有する水系の第2の接着剤、たとえばポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を介して、酢酸セルロース系フィルムを積層し、偏光板とすることが開示されている。また、特許文献2,3のそれぞれの実施例2には、ポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムの一方の面にシクロオレフィン系樹脂の一種であるノルボルネン系樹脂のフィルムを、他方の面にはトリアセチルセルロースフィルムを、それぞれウレタン系の接着剤を介して貼合し、偏光板としたことが記載されている。
【0008】
また特開2005−352011号公報(特許文献8)にも、偏光フィルムの片面にシクロオレフィン系樹脂フィルムを、反対側の面に酢酸セルロース系フィルムを積層した偏光板が開示されている。
【特許文献1】特開平5−212828号公報
【特許文献2】特開2005−70140号公報
【特許文献3】特開2005−181817号公報
【特許文献4】特開2005−208456号公報
【特許文献5】特開平9−318814号公報
【特許文献6】特開2005−173440号公報
【特許文献7】特開2005−10760号公報
【特許文献8】特開2005−352011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムの少なくとも片面に接着剤層を介して保護フィルムが積層されてなる偏光板において、接着剤層を改良することによって偏光フィルムと保護フィルムとの間の接着性および耐温水性が向上された偏光板を提供することである。
【0010】
本発明はまた、実質的に有機溶剤を含まない水系の接着剤を用いて、ポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムと保護フィルムとを強固に接着できる偏光板の製造方法を提供することもその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、かかる目的のもとで鋭意研究を行った結果、偏光フィルムと保護フィルムとを接合する接着剤として、特定の成分を配合した水系の接着剤組成物を用いることにより、偏光フィルムと保護フィルムとの接着速度が速くなり、貼合後の接着性・耐水性に優れた偏光板が得られることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0012】
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムの少なくとも片面に接着剤層を介して保護フィルムが積層され、前記接着剤層が、オキシジルコニウム塩の水溶液からなる接着剤組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする。
【0013】
本発明の偏光板において、接着剤組成物中におけるオキシジルコニウム塩と水との重量比は0.1〜10:100であることが、好ましい。
【0014】
また、本発明の偏光板は、保護フィルムが、酢酸セルロース系樹脂またはシクロオレフィン系樹脂で構成されたものであることが好ましく、偏光フィルムの一方側の片面に酢酸セルロース系樹脂から構成された保護フィルムが積層され、偏光フィルムの他方側の片面にシクロオレフィン系樹脂から構成された保護フィルムが積層されたものであることがより好ましい。
【0015】
本発明はまた、ポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムの少なくとも片面に、オキシジルコニウム塩の水溶液からなる接着剤組成物を介して、保護フィルムを積層させる偏光板の製造方法についても提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、偏光フィルムと保護フィルムとの接着性に優れ、従来品と比較して耐温水性が遥かに優れた偏光板を製造できる。また本発明によれば、偏光板の製造に際して有機溶剤を使う必要がないことから、環境面、安全衛生面で優れるとともに、従来からの保護フィルム/偏光フィルムからなる偏光板と同じ設備で製造することができ、大きな設備投資をする必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの少なくとも片面に接着剤層を介して保護フィルムが積層されてなる構成を基本的に備えるものである。以下、本発明の偏光板の各構成について詳細に説明する。
【0018】
<偏光フィルム>
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、たとえば、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、たとえばアルデヒド類で変性されたポリビニルポリマール、ポリビニルアセタールなども使用し得る。また、偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、通常1000〜10000、好ましくは1500〜5000である。
【0019】
かかるポリビニルアルコール系樹脂をフィルム状に製膜したもの(ポリビニルアルコール系樹脂フィルム)が、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの膜厚は特に限定されないが、たとえば10〜150μmである。
【0020】
偏光フィルムは通常、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色してその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびこのホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て、製造される。
【0021】
一軸延伸は、染色の前に行ってもよいし、染色と同時に行ってもよいし、染色の後に行ってもよい。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。勿論、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行うなどの乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍である。
【0022】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色するには、たとえば二色性色素を含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬すればよい。二色性色素として具体的には、ヨウ素、二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
【0023】
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1800秒である。
【0024】
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、水100重量部あたり、通常1×10-4〜10重量部、好ましくは1×10-3〜1重量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1800秒である。
【0025】
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常60〜1200秒、好ましくは150〜600秒、さらに好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
【0026】
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、たとえば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃であり、浸漬時間は、通常1〜120秒である。水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は通常、熱風乾燥機、遠赤外線ヒータを用いて行われる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒であり、好ましくは120〜600秒である。
【0027】
こうして、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色およびホウ酸処理が施されて、偏光フィルムが得られる。この偏光フィルムの厚みは、通常5〜40μmの範囲内、好ましくは10〜35μmの範囲内である。
【0028】
<接着剤層>
本発明の偏光板は、上述した偏光フィルムと、当該偏光フィルムの少なくとも片面に積層される保護フィルムとの間に介在される接着剤層が、オキシジルコニウム塩の水溶液からなる接着剤組成物を用いて形成されたものであることを特徴とする。このような本発明における接着剤層は、環境上、作業者の健康上の障害を引き起こすことのない、実質的に有機溶剤を含有しない水系の接着剤組成物で形成された接着剤層でありながらも、ポリビニルアルコール系で形成された偏光フィルムと保護フィルムとを強固に接着できるものである。
【0029】
本発明に用いられる接着剤組成物は、オキシジルコニウム塩の水溶液からなる。ここで、「オキシジルコニウム塩」とは、ZrOで表される正2価の基(ジルコニルと呼ばれる)を含む塩を指し、たとえば、オキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO32)、オキシ酢酸ジルコニウム(ZrO(C2322)、オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2)、オキシ硫酸ジルコニウム(ZrOSO4)、オキシ炭酸ジルコニウム(ZrOCO3)、オキシ炭酸ジルコニウムアンモニウム((NH42ZrO(CO32)、オキシオクチル酸ジルコニウム(ZrO(C81522)、水酸化オキシジルコニウム(ZrO(OH)2)、水酸化オキシ塩化ジルコニウム(ZrO(OH)Cl)、オキシ炭酸ジルコニウムカリウム(K2〔ZrO(CO32〕)などが挙げられる。上述した中でも、密着性、密着速度、耐水性の観点からは、オキシ硝酸ジルコニウムまたはオキシ酢酸ジルコニウムが好ましい。
【0030】
上述したオキシジルコニウム塩は、適宜の市販品、たとえば、ジルコゾールZN、ジルコゾールAC−7、酸塩化ジルコニウム、ジルコゾールZC、ジルコゾールZC−2、硫酸ジルコニール、ジルコゾールZA、ジルコゾールZA−30、ジルコゾールZA−20、ジルコゾールZK−10、オクチル酸ジルコニール、炭酸ジルコニール、水酸化ジルコニウム、R水酸化ジルコニウム、NN水酸化ジルコニウム(以上、いずれも第一稀元素化学工業(株)製)などを好適に用いることができる。
【0031】
本発明に用いられる接着剤組成物は、オキシジルコニウム塩と水との重量比が0.1〜10:100である。水100に対しオキシジルコニウム塩が重量比で0.1未満である場合には、耐水性が十分に発現できない傾向にあり、また、水100に対しオキシジルコニウム塩が重量比で10を超える場合には、得られる偏光板の光学特性が低下しやすい傾向にある。接着剤組成物中のオキシジルコニウム塩と水との重量比は、0.2〜5:100であるのが好ましい。なお、本発明における接着剤組成物に用いられる水は、純水、超純水、水道水など特に制限されないが、形成される接着剤層の均一性、透明性を保つ観点からは、純水または超純水が好ましい。
【0032】
本発明に用いられる接着剤組成物は、pHに関係なく強固な接着性を発揮できるものであり、pHについては特に制限されるものではない。なお、接着剤組成物のpHは、たとえば、pHメータ(D−51型、HORIBA製)およびpH電極(9621−10D型、HORIBA製)を用い、pH電極を接着剤組成物の液(23℃)に漬けることで測定することができる。
【0033】
本発明における接着剤層は、その厚みは特に制限されるものではないが、0.01〜5μmであることが好ましく、0.01〜2μmであることがより好ましい。接着剤層の厚みが0.01μm未満である場合には、十分な接着性が得られにくい傾向にあり、また、接着剤層の厚みが5μmを超える場合には、偏光板の外観不良となりやすい傾向にあるためである。
【0034】
本発明における接着剤層は、上述した接着剤組成物に、本発明の効果を阻害しない範囲で、たとえば、架橋剤、可塑剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、微粒子など、従来公知の適宜の添加剤を添加したものを用いて形成されたものであってもよい。
【0035】
<保護フィルム>
本発明の偏光板は、上述した偏光フィルムの少なくとも片面に、上述した接着剤層を介して保護フィルムが積層されてなる。本発明の偏光板における保護フィルムとしては、たとえば酢酸セルロース系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂などの当分野において従来より保護フィルムの形成材料として広く用いられている適宜の材料にて構成された保護フィルムを特に制限なく用いることができる。量産性、接着性の観点からは、上記中でも、酢酸セルロース系樹脂またはシクロオレフィン系樹脂で構成された保護フィルムを備えることが好ましい。また、表面処理層を設けることの容易性および光学特性の観点から、本発明の偏光板は、偏光フィルムの一方側の片面に酢酸セルロース系樹脂から構成された保護フィルムが積層され、偏光フィルムの他方側の片面にシクロオレフィン系樹脂から構成された保護フィルムが積層された構造とすることもできる。
【0036】
本発明における保護フィルムに好適に用いられ得るシクロオレフィン系樹脂とは、たとえばノルボルネン、多環ノルボルネン系モノマーのような、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する熱可塑性の樹脂である(熱可塑性シクロオレフィン系樹脂とも呼ばれる)。このシクロオレフィン系樹脂は、上記シクロオレフィンの開環重合体、2種以上のシクロオレフィンを用いた開環共重合体の水素添加物であってもよく、シクロオレフィンと鎖状オレフィン、ビニル基などを有する芳香族化合物などとの付加重合体であってもよい。また、極性基が導入されているものも有効である。
【0037】
シクロオレフィンと鎖状オレフィン、ビニル基を有する芳香族化合物との共重合体を用いて保護フィルムを構成する場合、鎖状オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなどが挙げられ、またビニル基を有する芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、核アルキル置換スチレンなどが挙げられる。このような共重合体において、シクロオレフィンからなるモノマーのユニットが50モル%以下(好ましくは15〜50モル%)であってもよい。特に、シクロオレフィンと鎖状オレフィンとビニル基を有する芳香族化合物との三元共重合体を用いて保護フィルムを構成する場合、シクロオレフィンからなるモノマーのユニットは、上述したように比較的少ない量とすることができる。かかる三元共重合体において、鎖状オレフィンからなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%、ビニル基を有する芳香族化合物からなるモノマーのユニットは、通常5〜80モル%である。
【0038】
シクロオレフィン系樹脂は、適宜の市販品、たとえばTopas(Ticona社製)、アートン(JSR(株)製)、ゼオノア(ZEONOR)(日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(ZEONEX)(日本ゼオン(株)製)、アペル(三井化学(株)製)などを好適に用いることができる。このようなシクロオレフィン系樹脂を製膜してフィルムとする際には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法が適宜用いられる。また、たとえばエスシーナ(積水化学工業(株)製)、SCA40(積水化学工業(株)製)、ゼオノアフィルム((株)オプテス製)などの予め製膜されたシクロオレフィン系樹脂製のフィルムの市販品を保護フィルムとして用いてもよい。
【0039】
シクロオレフィン系樹脂で構成された保護フィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものであってもよい。この場合の延伸倍率は、通常、1.1〜5倍、好ましくは1.1〜3倍である。
【0040】
また本発明における保護フィルムに好適に用いられ得る酢酸セルロース系樹脂は、セルロースの部分または完全酢酸エステル化物であって、たとえばトリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルムなどが挙げられる。
【0041】
このような酢酸セルロース系樹脂としては、適宜の市販品、たとえばフジタックTD80(富士写真フィルム(株)製)、フジタックTD80UF(富士写真フィルム(株)製)、フジタックTD80UZ(富士写真フィルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC8UY(コニカミノルタオプト(株)製)などの酢酸セルロース系樹脂製のフィルムを好適に用いることができる。
【0042】
本発明の偏光板に用いられる保護フィルムは、その厚みは小さい方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向にあり、また、厚すぎると、透明性が低下したり、偏光板の重量が大きくなる傾向にある。このような観点から、本発明の偏光板における保護フィルムの厚みは、シクロオレフィン系樹脂で構成された保護フィルムの場合には、通常5〜200μm、好ましくは10〜150μm、より好ましくは20〜100μmであり、また酢酸セルロース系樹脂で構成された保護フィルムの場合には、通常20〜200μm、好ましくは30〜150μm、より好ましくは40〜100μmである。
【0043】
本発明の偏光板における保護フィルムは、偏光フィルムに貼着する面と反対側の面に、防眩処理、ハードコート処理、帯電防止処理、反射防止処理などの表面処理が施されたものであってもよい。また、保護フィルムの偏光フィルムに貼着する面と反対側の面に、液晶性化合物、その高分子量化合物などからなるコート層が形成されていてもよい。
【0044】
また、本発明の偏光板における保護フィルムは、偏光フィルムに貼着する面と反対側の面に、粘着剤層を介して、光学機能性フィルムが貼着されていてもよい。粘着剤とは、押さえるだけで他物質の表面に接着し、またこれを被着面から引き剥がす場合には、被着物に強度さえあればほとんど痕跡を残すことなく除去できる粘弾性体であって、感圧接着剤とも呼ばれるものである。光学機能性フィルムとしては、たとえば、基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルム、ある種の偏光を透過し、それと逆の性質を示す偏光を反射する反射型偏光分離フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止処理付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能を併せ持つ半透過反射フィルムなどが挙げられる。
【0045】
基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、たとえばWVフィルム(富士写真フィルム(株)製)、NHフィルム(新日本石油(株)製)、NRフィルム(新日本石油(株)製)などが挙げられる。また、ある種の偏光を透過し、それと逆の性質を示す偏光を反射する反射型偏光分離フィルムに相当する市販品としては、たとえばDBEF(住友スリーエム(株)製)などが挙げられる。また、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としてアートン(JSR(株)製)、エスシーナ(積水化学工業(株)製)、ゼオノアフィルム((株)オプテス製)などが挙げられる。
【0046】
<偏光板の製造方法>
本発明はまた、ポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムの少なくとも片面に、オキシジルコニウム塩の水溶液からなる接着剤組成物を介して、保護フィルムを積層させる偏光板の製造方法についても提供する。上述した本発明の偏光板は、その製造方法は特に制限されるものではなく、このような本発明の偏光板の製造方法によって製造されたものに限定されるものではないが、本発明の偏光板の製造方法によって好適に製造することができる。
【0047】
本発明の偏光板の製造方法では、まず、水に上述したオキシジルコニウム塩を配合して接着剤組成物を調製する。本発明の偏光板の製造方法においても、上述したように、接着剤組成物に含まれるオキシジルコニウム塩としては、オキシ硝酸ジルコニウムまたはオキシ酢酸ジルコニウムが好ましい。
【0048】
このような接着剤組成物を用いた偏光フィルムと保護フィルムとの接合は、従来公知の適宜の方法で行うことができ、たとえば流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などにより、偏光フィルムおよび/または保護フィルムの接着面に接着剤組成物を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物である偏光フィルムまたは保護フィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤組成物を流下して拡布させる方法である。接着剤組成物を塗布した後、偏光フィルムと保護フィルムとをニップロールにより挟んで、貼り合わせる。
【0049】
また、接着性を上げるため、偏光フィルムおよび/または保護フィルムの表面に、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
【0050】
偏光フィルムと保護フィルムを積層した後は、乾燥処理が施される。乾燥処理は、たとえば熱風を吹き付けることにより行われるが、そのときの温度は40〜100℃、好ましくは60〜100℃の範囲から適宜選択される。乾燥時間は、通常20〜1200秒である。
【0051】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0052】
<実施例1>
厚さ75μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルム(平均重合度:1700、ケン化度:99.9モル%以上)に一軸延伸を施し(延伸倍率:5倍)、緊張状態に保ったまま、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含む水溶液(ヨウ素:ヨウ化カリウム:水=0.05:5:100(重量比))に60秒間浸漬した。次にヨウ化カリウムおよびホウ酸を含む65℃の水溶液(ヨウ化カリウム:ホウ酸:水=2.5:7.5:100(重量比))に300秒浸漬した。25℃の純水で20秒水洗した後、50℃で乾燥してポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムを得た。
【0053】
溶解槽内に、水100重量部に対し、オキシ硝酸ジルコニウム(ジルコゾールZN、第一稀元素化学工業(株)製)を1重量部溶解し、接着剤組成物を調製した。調製した接着剤組成物について、pHメータ(D−51型、HORIBA製)およびpH電極(9621−10D型、HORIBA製)を用い、pH電極を接着剤組成物の液(23℃)に漬けて、pHを測定したところ、1.6であった。室温(23℃)の雰囲気下で、偏光フィルムの両面に接着剤組成物を塗布し、その一方に、表面ケン化処理を施した厚み80μmのトリアセチルセルロースで構成された保護フィルムAを、もう一方には環状ポリオレフィン系樹脂を延伸して得られた厚み70μmの保護フィルムBを貼合した。これを80℃で30秒間乾燥して偏光板を作製した。
【0054】
<実施例2>
水100重量部に対し、オキシ炭酸ジルコニウムアンモニウム(ジルコゾールAC−7、第一稀元素化学工業(株)製)を1重量部溶解して調製した接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。なお、実施例1と同様にして測定された接着剤組成物のpHは8.9であった。
【0055】
<実施例3>
水100重量部に対し、水酸化オキシ塩化ジルコニウム(ジルコゾールZC−2、第一稀元素化学工業(株)製)を1重量部溶解して調製した接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。なお、実施例1と同様にして測定された接着剤組成物のpHは1.9であった。
【0056】
<実施例4>
水100重量部に対し、オキシ塩化ジルコニウム(ジルコゾールZC、第一稀元素化学工業(株)製)を1重量部溶解して調製した接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。なお、実施例1と同様にして測定された接着剤組成物のpHは1.7であった。
【0057】
<実施例5>
水100重量部に対し、オキシ酢酸ジルコニウム(ジルコゾールZA−20、第一稀元素化学工業(株)製)を1重量部溶解して調製した接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。なお、実施例1と同様にして測定された接着剤組成物のpHは3.7であった。
【0058】
<実施例6>
水100重量部に対し、オキシ炭酸ジルコニウムカリウム(ジルコゾールZK−10、第一稀元素化学工業(株)製)を1重量部溶解して調製した接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。なお、実施例1と同様にして測定された接着剤組成物のpHは9.2であった。
【0059】
<比較例1>
特開平9−318814号公報(特許文献5)の実施例2の記載に準じて、まず、溶解槽内に、ポリビニルアルコール系樹脂(ゴーセノールAH17、日本合成化学工業(株)製、ケン化度:97〜98.5モル%)100部を1900部の水に溶解して、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を調製した。次に、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド:アセチルアセトン=1:2(モル比)となるように、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシドをアセチルアセトンに添加したところ、沈殿が生じたたため、その上清のみ3部を、上述したポリビニルアルコール系樹脂の水溶液に攪拌しながら滴下し、室温(23℃)にて1時間混合させて接着剤組成物を調製した。このように調製した接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。
【0060】
<比較例2>
水100重量部に対し、硝酸銅水和物(Cu(NO32・3H2O)を1重量部溶解して調製した接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。なお、実施例1と同様にして測定された接着剤組成物のpHは4.3であった。
【0061】
<比較例3>
水100重量部に対し、過マンガン酸カリウム(KMnO4)を0.1重量部溶解して調製した接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。なお、実施例1と同様にして測定された接着剤組成物のpHは6.5であった。
【0062】
<比較例4>
水100重量部に対し、硝酸アルミニウム水和物(Al(NO33・9H2O)を1重量部溶解して調製した接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。なお、実施例1と同様にして測定された接着剤組成物のpHは3.4であった。
【0063】
<比較例5>
水100重量部に対し、塩化コバルト水和物(CoCl2・6H2O)を1重量部溶解して調製した接着剤組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。なお、実施例1と同様にして測定された接着剤組成物のpHは5.5であった。
【0064】
<評価試験>
実施例1〜6、比較例1〜5で作製した偏光板について、以下の評価試験を行った。結果を表1に示す。
【0065】
〔1〕外観評価(発泡・変色)
目視にて各偏光板における接着剤層の外観を評価し、発泡、変色が無いものを「無し」、有るものを「有り」と評価した。
【0066】
〔2〕接着性(カッター評価)
各偏光板を1時間常温で放置した後、偏光板の各フィルム間(偏光フィルムと保護フィルムAとの間および偏光フィルムと保護フィルムBとの間)にカッターの刃を入れ、刃を押し進めたときの刃の入り方を以下の基準で評価した。
【0067】
A:カッターの刃がフィルム間にほとんど入らない。
B:カッターの刃を押し進めたとき、フィルム間に刃が4〜5mm入ったところで止まる。
【0068】
C:カッターの刃を押し進めたときに、フィルム間に刃が無理なく入る。
〔3〕耐水性
23℃、相対湿度55%の環境下で24時間放置した各偏光板について、以下の耐温水性試験(温水浸漬試験)を行い、耐水性を評価した。まず、偏光板の吸収軸(延伸方向)を長辺として5cm×2cmの短冊状に偏光板をカットしてサンプルを作製し、長辺方向の寸法を正確に測定した。ここで、サンプルは、偏光フィルムに吸着されたヨウ素に起因して、全面にわたって均一に特有の色を呈している。ここで、図1は、耐水性の評価試験方法を模式的に示す図であり、図1(A)は温水浸漬前のサンプル1、図1(B)は温水浸漬後のサンプル1を示している。図1(A)に示すように、サンプルの一短辺側を把持部5で把持し、長手方向の8割ほどを60℃の水槽に浸漬し、4時間保持した。その後、サンプル1を水槽から取り出し、水分を拭き取った。
【0069】
温水浸漬により、偏光板の偏光フィルム4は収縮する。この偏光フィルム4の収縮程度を、サンプル1の短辺中央におけるサンプル1の端1a(保護フィルムの端)から収縮した偏光フィルム4の端までの距離を測定することにより評価し、収縮長さとした。また図1(B)に示されるように、温水浸漬により、偏光板の真中に位置する偏光フィルム4が縮むことにより、保護フィルム間に偏光フィルム4が存在しない領域2が形成される。また、温水浸漬によって、温水に接する偏光フィルム4の周縁部からヨウ素が溶出し、サンプル1の周縁部に色が抜けた部分3が生じる。この色抜け程度を、サンプル1の短辺中央における収縮した偏光フィルム4の端から偏光板特有の色が残っている領域までの距離を測定することにより評価し、ヨウ素抜け長さとした。また、上記収縮長さとヨウ素抜け長さとの合計を総侵食長さXとした。すなわち、総侵食長さXとは、サンプル1の短辺中央における、サンプル1の端1a(保護フィルムの端)から偏光板特有の色が残っている領域までの距離である。収縮長さ、ヨウ素抜け長さおよび総侵食長さXが小さいほど、水存在下における接着性(耐水性)が高いと判断することができる。
【0070】
【表1】

【0071】
表1中、PVAはポリビニルアルコール系樹脂を表している。表1から、本発明の偏光板は、乾燥時間を短くしても十分な接着性を示し、かつ、温水浸漬試験でも端部からの侵食が小さいことが分かる。
【0072】
今回開示された実施の形態および実施例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】耐水性の評価試験方法を模式的に示す図であり、図1(A)は温水浸漬前のサンプル1、図1(B)は温水浸漬後のサンプル1を示している。
【符号の説明】
【0074】
1 サンプル、2 保護フィルム間の偏光フィルムが存在しない領域、3 偏光板周縁部の色が抜けた部分、4 収縮した偏光フィルム、5 把持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムの少なくとも片面に接着剤層を介して保護フィルムが積層されてなる偏光板であって、
前記接着剤層は、オキシジルコニウム塩の水溶液からなる接着剤組成物を用いて形成されたものである、偏光板。
【請求項2】
接着剤組成物中におけるオキシジルコニウム塩と水との重量比が0.1〜10:100である、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
保護フィルムが、酢酸セルロース系樹脂またはシクロオレフィン系樹脂で構成されたものである、請求項1または2に記載の偏光板。
【請求項4】
偏光フィルムの一方側の片面に酢酸セルロース系樹脂から構成された保護フィルムが積層され、偏光フィルムの他方側の片面にシクロオレフィン系樹脂から構成された保護フィルムが積層された、請求項3に記載の偏光板。
【請求項5】
ポリビニルアルコール系樹脂で形成された偏光フィルムの少なくとも片面に、オキシジルコニウム塩の水溶液からなる接着剤組成物を介して、保護フィルムを積層させる、偏光板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−42384(P2009−42384A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205632(P2007−205632)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】