説明

偏光板用UV吸収層

【課題】低複屈折性保護ポリマーフィルムから移動UV色素を取り除くまたは低減すること。
【解決手段】低複屈折性保護ポリマーフィルム188と、ポリ(ビニルアルコール)への接着を促進する層とを含み、UV吸収ポリマーを含む少なくとも1つの機能層186を含む保護カバーシート189。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、偏光板のための保護カバーシートに使用される低複屈折性保護ポリマーフィルム、偏光板を製造するための改良された方法、およびそれを使用した電子表示装置に関する。
より詳細には、本発明は、ポリビニルアルコール含有二色性フィルムへの接着を促進する層を含む1つまたは複数の機能層を含む保護カバーシートに関し、ここで、UV吸収ポリマーは、機能層の少なくとも1つに含まれている。
【背景技術】
【0002】
透明樹脂フィルムは、様々な光学用途に使用される。
例えば、液晶ディスプレイ(「LCD」)の多くの異なる光学素子は、樹脂フィルムから形成することができる。
LCDの構造は、液晶セル、1つまたは複数の偏光板および1つまたは複数の照明管理フィルムを含むことができる。
液晶セルは、垂直配向(VA)、面内スイッチング(IPS)、2つの電極基板間のねじれネマチック(TN)または超ねじれネマチック(STN)材料などの液晶を封止することにより形成される。
偏光板は、一般的には、樹脂フィルムを含む多層素子である。
特に、偏光板は、低複屈折性保護ポリマーフィルムを含む2枚の保護カバーシート間にはさまれた偏光フィルムを含むことができる。
【0003】
偏光フィルムは通常、透明で非常に均一なアモルファス樹脂フィルムから製造され、それは続いてポリマー分子を配向させるために延伸され、次いで色素で着色されて二色性フィルムを生成する。
偏光フィルムの形成に適する樹脂の例は、完全に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)(PVA)である。
偏光子を形成するために使用される延伸PVAフィルムは、非常に脆弱であり寸法的に不安定であるため、通常、支持および摩耗抵抗の両方を提供するために、PVAフィルムの両側に保護カバーシートが積層される。
【0004】
偏光板に使用される保護カバーシートは、高い均一性、良好な寸法安定性、化学安定性および高い透明性を有することが要求される。
保護カバーシートは、元々ガラスから形成されていたが、今日では軽量で柔軟な偏光子を製造するために多くの樹脂フィルムが使用されている。
セルロース樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィンポリマー、ポリカーボネート樹脂およびスルホン樹脂を含む多くの樹脂が、保護カバーシートで使用するために提案されている。
しかし、アセチルセルロースポリマーが、偏光板用の保護カバーシートに最も一般的に使用される。
アセチルセルロースタイプのポリマーは、セルロース骨格上のヒドロキシル基のアシル置換度や、分子量がさまざまなものが市販されている。
これらのうち、完全に置換されたポリマーであるトリアセチルセルロース(TAC)は、偏光板用の保護カバーシートに使用される樹脂フィルムを製造するために一般的に使用される。
【0005】
カバーシートは、通常、PVA二色性フィルムへの良好な接着を保証するために表面処理を必要とする。
TACを偏光板の保護カバーフィルムとして使用する場合、TACフィルムをアルカリ槽内で処理し、TAC表面をけん化して、PVA二色性フィルムに適切な接着を提供する。
アルカリ処理は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物を含む水溶液を使用する。
アルカリ処理後、セルロースアセテートフイルムを、一般的には弱酸性溶液で洗浄し、次いで、水ですすぎ乾燥する。
このけん化プロセスは、厄介で時間がかかる。
【0006】
米国特許第2,362,580号は、それぞれ硝酸セルロースを含む表層を有する2つのセルロースエステルフィルムと、変性PVAとがPVAフィルムの両側に接着される薄層構造について記載している。
特開平06−094915号は、保護フィルムが、PVAフィルムに接着を提供する親水性層を有する偏光板用保護フィルムを開示している。
2004年5月4日に出願された同一出願人による係属中の米国特許出願第10/838,841号は、取り除くことが可能なキャリア基板と、低複屈折性保護ポリマーフィルムを含むカバーシートと、キャリア基板上のけん化プロセスの必要性を取り除く低複屈折性保護ポリマーフィルムと同じ側でポリ(ビニルアルコール)への接着を促進する層とを有する保護カバーシートについて記載している。
【0007】
保護カバーシートは、アンチグレア層、反射防止層、反汚染層、補償層または帯電防止層などの他の機能層(本明細書では、補助層と称する)を含む複合材料または多層フィルムとすることができる。
一般的には、これらの機能層は、低複屈折性保護ポリマーフィルムの製造とは別であるが、後に複合フィルムを形成するために適用することが可能な工程段階で適用される。
機能的または補助的フィルムは、1枚より多い機能層の機能を組み合わせることができ、または、保護ポリマーフィルムは、機能層の機能も果たすことができる。
【0008】
例えば、LCD装置によっては、低複屈折性保護ポリマーフィルムを含むものもあり、該フィルムは、画像の視角を向上させるために補償フィルムとしての機能を果たす。
補償フィルム(つまり、位相差フィルム)は、例えば、一軸延伸によって、またはディスコティック色素で被覆することによって、通常、複屈折性が抑制されたレベルのアモルファスフィルムから製造される。
延伸による補償フィルムの形成のために提案された適切な樹脂としては、ポリ(ビニルアルコール)類、ポリカーボネート類およびスルホン類が挙げられる。
色素によるの処理によって製造された補償フィルムは、通常、TACおよび環状オレフィンポリマーなどの低複屈折性を有する非常に透明なフィルムを必要とする。
【0009】
キャスティング法によって準備された光学フィルムの例としては、次のものが挙げられる:(1)Haritaの米国出願公開第2001/0039319号およびSanefujiの米国特許出願第2002/001700号における最近の開示および、Landの米国特許第4,895,769号およびCaelの米国特許第5,925,289号に開示されるような、光偏光フィルムを製造するために使用される酢酸セルロースシート;(2)Iwataの米国特許第5,695,694号に開示されるような光偏光フィルム用の保護カバーに使用される三酢酸セルロースシート;(3)Yoshidaの米国特許第5,818,559号、およびTaketaniの米国特許第5478,518号および第5,561,180号に開示されるような、光偏光フィルム用または位相差板用保護カバーに使用されるポリカーボネートシート;(4)Shiroの米国特許第5,759,449号および第5,958,305号に開示されるような光偏光フィルム用または位相差板用保護カバーに使用されるポリエーテルスルフォンシート。
【0010】
表示装置における光出力の量を増加させるために、フィルムおよび保護カバーシートの光学的性質をさらに向上させることが望ましい。
先行技術のUV色素を使用すると、表面にマイグレーションの問題が引き起こされて表面曇りおよび光散乱が生じ、カバーシートの光透過率が低減する。
【0011】
また、樹脂フィルムからの偏光板の製造において、アルカリ槽内での前処理を含む積層プロセス、次いで接着剤、圧力および高温の適用を必要とする保護カバーシートのけん化の必要性を回避することは非常に有利である。
そのようなけん化操作を回避することは、生産性を向上し、シートの運搬および処理の必要性を低減する。
これは、一般的に、保護カバーシートには有利であるが、比較的薄い保護カバーシートには特に望ましいこととなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、低複屈折性保護ポリマーフィルムから移動UV色素を取り除くまたは低減することである。
【0013】
被覆/乾燥工程条件にあまり敏感でないフィルム表面外観および曇りレベル(haze level)を有する低複屈折性保護ポリマーフィルムを提供することをさらなる目的とする。
【0014】
本発明の目的は、先行技術の偏光子カバーシートの制限を克服し、偏光板の製造に先立って、けん化などの複雑な表面処理の必要性を取り除く改良されたカバーシートを提供することである。
【0015】
さらなる目的は、本発明の新規なカバーシートを使用して、偏光板の製造のための改良されたプロセスを提供することである。
【0016】
本発明のこれらの目的および他の目的は、低複屈折性保護ポリマーフィルムにポリビニルアルコールを接着するための改良された接着促進層、および同一の機能層または他の機能層中のUV吸収層の存在によって成し遂げられる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
特に、本発明は、低複屈折性保護ポリマーフィルムおよび1つまたは複数の機能層を含む多層保護カバーシートを対象とし、それら機能層は、互いに隣接するかまたは隣接せず、1つまたは複数の機能層は、低複屈折性保護ポリマーフィルムにポリ(ビニルアルコール)含有フィルムを接着するための少なくとも1つの接着促進層を含み、1つまたは複数の機能層の少なくとも1つは、UV吸収ポリマーを含む。
【0018】
また、本発明は、キャリア基板と、そのような多層保護カバーシートとを含む保護カバーシート複合材料を対象とする。
【0019】
また、最後に、本発明は、以下を含む偏光板を形成する方法を対象とする:
(A)2枚の保護カバーシート複合材料を提供するステップであって、各保護カバーシート複合材料は、(i)キャリア基板と、(ii)本明細書に記載されるような本発明による多層保護カバーシートとを含み; (B)ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムを提し供;
(C)各保護カバーシート中のポリ(ビニルアルコール)含有フィルムへの接着を促進する層が、上記ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムと接触するように、上記ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムと各保護カバーシートを同時にまたは連続して接触させる。
【0020】
本発明による保護カバーシートは、有利に、後の被覆プロセスおよびフィルム特性に悪影響を及ぼす可能性があるUV色素の移動を取り除くか、低減する。
保護カバーシートは、被覆または乾燥工程条件に低い感度を示すフィルム表面外観および曇りレベルによって特徴づけられる。
【0021】
接着吸収層を含む本発明の保護カバーシートは、ポリビニルアルコール含有二色性フィルムに優れた接着を提供し、二色性フィルムへの積層に先立って、カバーシートをアルカリ処理する必要性を取り除き、それによって、偏光板製造のプロセスを単純化する。
【0022】
任意に、多層保護カバーシートは、機能層または補助層のさまざまな組み合わせ、例えば、耐磨耗性層、アンチグレア層、低反射層、反射防止層、帯電防止層、視角補償層および/または防湿層、またはそれらの組み合わせを含むことができ、本発明のカバーシートに使用されてもよい。
【0023】
1つの実施の形態では、本発明は、特に、本発明の他と比べて非常に薄いカバーシートの製造に有利であり、それは、乾燥工程の間に湿ったカバーシートフィルムを支持し、先行技術に記載されたキャスティング法で一般的に行なわれるような最終乾燥ステップに先立って、金属バンドまたはドラムからシートを剥離する必要性を取り除く不連続なキャリア基板上にカバーシート被覆形成を適用することにより促進される。
もっと正確に言えば、カバーシートは、キャリア基板からの分離前に、実質的に完全に乾燥される。
実際、カバーシートおよびキャリア基板を含む複合材料は、好ましくはロール状に巻かれ、偏光板の製造に必要とされるまで保存される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の方法を実施する場合に使用することができる例示の被覆・乾燥装置の概略図である。
【図2】図1と同様であるが、代替の巻き取り操作が、さらに、剥離性保護層の適用を含むステーションを含む例示の被覆・乾燥装置の概略図である。
【図3】本発明の実施で使用することができる例示の多重スロット被覆装置の概略図である。
【図4】本発明の実施で使用することができる例示のキャスティング装置の概略図である。
【図5】本発明の3層カバーシートの断面説明図を示す。
【図6】3層カバーシートおよび部分的に剥離されたキャリア基板を含む本発明の保護カバーシートの断面説明図を示す。
【図7】4層カバーシートおよび部分的に剥離されたキャリア基板を含む本発明の保護カバーシートの断面説明図を示す。
【図8】4層カバーシート、および剥離層が形成されて、部分的に剥離されたキャリア基板を含む本発明の保護カバーシートの断面説明図を示す。
【図9】本発明の保護カバーシート複合材料を使用して、偏光板を製造する方法の概略図を示す。
【図10】本発明によるセルの両側偏光板を備えた液晶セルの断面説明図を示す。部材リスト
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の定義は、本明細書での説明に適用する。

層の面内位相遅延Rinは、(nx−ny)dによって定義された量であり、ここで、nxおよびnyは、x方向およびy方向の屈折率であり、xは、x−y平面での最大屈折率の方向とし、y方向は、それに垂直とする。
x−y平面は、層の表面の平面と平行であり、dは、z方向の層の厚さである。
量(nx−ny)は、面内複屈折Δninと称する。
Δninの値は、波長λ=550nmとして与えられる。
【0026】
層の面外位相遅延Rthは、[nz−(nx+ny)/2]dで定義された量であり、ここで、nzは、z方向の屈折率である。
量[nz−(nx+ny)/2]は、面外複屈折Δnthと称する。
nz>(nx+ny)/2なら、Δnthは、正(正の複屈折)であり、したがって、対応するRthも正である。
nz<(nx+ny)/2なら、Δnthは、負(負の複屈折)であり、Rthも負である。
Δnthの値は、λ=550nmとして与えられる。
【0027】
ポリマーの固有複屈折Δintは、(ne−no)で定義される量をいい、ここで、neおよびnoは、それぞれ、ポリマーの異常指数および通常指数である。
ポリマー層の実際の複屈折(面内Δinまたは面外Δth)は、それを形成する過程、したがって、パラメーターΔintに依存する。
【0028】
アモルファスは、長距離秩序の欠如と定義される。
したがって、アモルファスポリマーは、x線回折などの技術によって測定すると長距離秩序を示さない。
【0029】
透過率は、光透過率を測定する量である。
それは、入力光強度Iinに対する出力光強度Ioutの百分率比率からIout/Iinxl00として与えられる。
【0030】
光軸は、伝搬光が複屈折を示さない方向をいう。
【0031】
1軸は、3つの屈折率の2つと定義され、nx、nyおよびnzは、実質的に同じである。
【0032】
2軸は、3つの屈折率と定義され、nx、nyおよびnzは、すべて異なる。
【0033】
液晶ディスプレイで使用されるカバーシートは、一般的に、低光学複屈折性を有する重合体シートであり、二色性フィルムの寸法安定性を維持し、二色性フィルムを湿気およびUV劣化から保護するために、二色性PVAフィルムの各側に使用される。
以下の説明では、保護カバーシートは、取り除き可能な保護キャリア基板上に配置されるカバーシートを意味する。
カバーシートの両側が、偏光板でのその使用に先立って保護されるように、剥離性保護フィルムも、キャリア基板とは反対側のカバーシートの側に使用されてもよい。
【0034】
PVAへの接着を促進する層は、低複屈折性ポリマーフィルムの適用とは別にまたは同時に、被覆ステップで適用される異なる層である。
PVAへの接着を促進する層は、PVAフィルムへの積層に先立って、カバーシートのけん化などの湿式前処理を必要とせず、PVA二色性フィルム(液晶ディスプレイ適用において)にカバーシートの許容可能な接着を提供する。
【0035】
本発明は、低複屈折性保護ポリマーフィルムにポリビニルアルコールを接着するための改良された接着促進層を対象とする。
本発明の接着促進層は、水溶性ポリマーおよび疎水性ポリマー粒子を含む。
特に、本発明は、低複屈折性保護ポリマーフィルムと、水溶性ポリマーおよびポリビニルアルコール含有二色性フィルムへの接着を促進するポリマー粒子を含む層とを含む偏光板のための保護カバーシートを提供する。
【0036】
上述するように、本発明のカバーシートは、また、耐磨耗性ハードコート層、アンチグレア層、抗汚染層または耐汚染層、反射防止層、低反射層、帯電防止層、視角補償層および防湿層などの1つまたは複数の補助層を含むことができる。
【0037】
本発明は、また、キャリア基板、低複屈折性ポリマーフィルム、水溶性ポリマーおよびポリビニルアルコールへの接着を促進するポリマー粒子を含む層、任意に、低複屈折性ポリマーフィルムとして上記キャリア基板の同じ側の1つまたは複数の補助層を含む保護カバーシート複合材料を提供する。
任意に、本発明の保護カバーシート複合材料は、また、キャリア基板の反対のカバーシート側に剥離性保護層を含む。
保護カバーシート複合材料は、低複屈折性保護ポリマーフィルムが比較的薄い、例えば、その厚さが約40μm以下、特に、15〜30μmである場合、特に有効である。
【0038】
以下、図1に戻って、本発明のカバーシートの製造に適する例示的な公知の被覆・乾燥システム10の概略図を示す。
被覆・乾燥システム10を使用して、移動キャリア基板12に非常に薄いフィルムを適用し、続いて、乾燥機14内で溶媒を取り除くことができる。
単一被覆装置16は、システム10が、被覆適用点を1つ、および乾燥機14を1つ有するように示されるが、対応する乾燥部を有する2または3(もしくは6)のさらなる被覆適用点が、複合材料の薄膜を製造する場合に公知である。
連続適用および乾燥プロセスは、タンデム被覆操作として当技術分野で公知である。
【0039】
被覆・乾燥システム10は、被覆が被覆装置16によって適用されるバックアップローラー20のまわりの移動キャリア基板12を供給するために、巻出しステーション18を含む。
次いで、被覆基板22は、乾燥機14を通って進む。
本発明の1つの実施の形態で、基板12上にカバーシートを含む保護カバーシート複合材料24は、巻取りステーション26でロール状に巻かれる。
【0040】
図示したように、例示の4層被覆物は、移動ウェブ12に適用される。
各層の被覆液は、それぞれの被覆供給容器28、30、32、34内に保持されている。
被覆液は、導管44、46、48、50を介して、被覆供給容器から被覆装置16に、ポンプ36、38、40、42によってそれぞれ運ばれる。
さらに、被覆・乾燥システム10は、また、被覆物の適用に先立って、基板12を改良するために、コロナまたはグロー放電装置52などの放電装置または極性放電補助装置54を含んでいてもよい。
【0041】
次に、図2を参照して、剥離性保護層を適用するために、代替の巻き取り操作で、図1に示される同じ例示的な被覆・乾燥システム10の概略図を示す。
従って、巻き取り操作まで図に同じように番号を付ける。
本発明の実施では、適用されたカバーシートを有するキャリア基板(樹脂フィルム、紙、樹脂被覆紙または金属であってもよい)を含む保護カバーシート複合材料24は、対向するニップローラー56、58間を搬送される。
保護カバーシート複合材料24は、巻出しステーション62から供給される予め形成された剥離性保護層60に、粘着的に接着または静電気的に接着されており、予め形成された剥離性保護層60を含む保護カバーシート複合材料は、巻取りステーション64でロール状に巻かれている。
本発明の好ましい実施の形態では、ポリオレフィンまたはポリエチレンフタレート(PET)は、予め形成された剥離性保護層60として使用される。
保護カバーシート複合材料24または保護層60は、保護カバーシート複合材料24への保護層60の静電気引力を高めるために、帯電発生器で予め処理されていてもよい。
【0042】
移動基板12に被覆液を送るために使用される被覆装置16は、例えば、Russellの米国特許第2,761,791号に教示されるようなスライドビードホッパーやHughesの米国特許第3,508,947号に教示されるようなスライドカーテンホッパーなどの多層アプリケータであってもよい。
あるいは、被覆装置16は、スロットダイビードホッパーやジェットホッパーなどの単一層アプリケータであってもよい。
本発明の好ましい実施の形態では、被覆装置16は、多層スライドビードホッパーである。
【0043】
図1、2に示すように、被覆・乾燥システム10は、被覆フィルムから溶媒を取り除くために、一般的に乾燥室となる乾燥機14を含む。
本発明の方法の実施で使用される例示の乾燥機14は、第1の乾燥部66を含み、温度および空気流の独立制御を可能とする8つのさらなる乾燥部68〜82が続く。
9つの独立した乾燥部を有するように、乾燥機14を示すが、より少ない区画を備えた乾燥室は公知であり、本発明の方法を実施するために使用してもよい。
本発明の好ましい実施の形態では、乾燥機14は、少なくとも2つの独立した乾燥ゾーンまたは乾燥部を有する。
【0044】
各乾燥部66〜82は、独立した温度を有し、空気流を制御することが好ましい。
各部で、温度は、5℃〜150℃の間に調節することができる。
ウェット層の表面硬化またははがれからの乾燥の欠陥を最小限にするために、最適乾燥速度は、乾燥機14の初期部に必要である。
初期乾燥ゾーンでの温度が不適当な場合、不適切な結果が多く生じる。
ゾーン66、68、70の温度を25℃に設定する場合、例えば、セルロースアセテートフイルムの曇りや変色が観察される。
高蒸気圧溶媒(塩化メチレンおよびアセトン)を被覆液で使用する場合、この変色の欠陥は、特に問題である。
初期乾燥部66、68、70内の95℃の非常な高温は、キャリア基板からのカバーシートの時期尚早の層間剥離を引き起こす傾向がある。
初期乾燥部内の高温は、また、カバーシートの表面硬化、網目パターンおよび水疱形成などの他の不適切な結果に関係する。
【0045】
本発明の1つの好ましい実施の形態では、第1の乾燥部66は、被覆基板22の液状塗料上に直接空気が衝突することなく、約25℃以上95℃未満の温度で操作される。
本発明の方法の他の好ましい実施の形態では、乾燥部68、70も、約25℃以上95℃未満の温度で操作される。
約30℃〜約60℃の温度で初期乾燥部66、68を操作することが好ましい。
約30℃〜約50℃の温度で初期乾燥部66、68を操作することが最も好ましい。
乾燥部66、68内の実際の乾燥温度は、当業者によってこれらの範囲内で経験的に最適化されてもよい。
【0046】
以下、図3を参照して、例示の被覆装置16の概略図を詳細に示す。
側面断面図で概略的に示される被覆装置16は、前部92、第2部94、第3部96、第4部98およびバックプレート100を含む。
ポンプ106を介して第1の計測スロット104に被覆液を供給するための第2部94への入口102があり、それによって、最下層108を形成する。
層116を形成するためにポンプ114を介して第2の計測スロット112に被覆液を供給するための第3部96への入口110がある。
層124を形成するためにポンプ122を介して計測スロット120に被覆液を供給するための第4部98への入口118がある。
層132を形成するためにポンプ130を介して計測スロット128に被覆液を供給するためのバックプレート100への入口126がある。
各スロット104、112、120、128は、横断分散穴を含む。
前部92は、傾斜スライド面134および被覆リップ136を含む。
第2部94上に第2の傾斜スライド面138がある。
第3部96上に第3の傾斜スライド面140がある。
第4部98上に第4の傾斜スライド面142がある。
バックプレート100は、傾斜スライド面142上を延在し、バックランド面144を形成する。
ウェブ12がそのまわりを搬送される被覆バックアップローラー20は、被覆装置またはホッパー16に隣接して存在する。
被覆層108、116、124、132は、リップ136と基板12との間で被覆ビーズ146を形成する多層複合シートを形成する。
一般的には、被覆ホッパー16は、非被覆位置から被覆バックアップローラー20の方に、および被覆位置内に移動可能である。
4つの計測スロットを有するように被覆装置16を示すが、これより多くの計測スロット(9以上ほど)を有する被覆ダイは公知であり、本発明の方法を実施するために使用してもよい。
【0047】
本発明の目的において、低複屈折性保護ポリマーフィルム用の被覆液は、主に、有機溶媒に溶解されたポリマーバインダーで構成されている。
特に好ましい実施の形態では、低複屈折性保護ポリマーフィルムは、セルロースエステルである。
これらは、セルロース骨格上のヒドロキシル基のアルキル置換の種類および程度や、分子量がさまざまなものがで市販されている。
セルロースエステルの例としては、アセチル基、プロピオニル基およびブチリル基を有するものが挙げられる。
特に興味深いのは、酢酸セルロースとして知られているアセチル置換を有するセルロースエステル族である。
これらのうち、約58.0〜62.5%の結合した酢酸含有量の完全アセチル置換セルロースは、トリアセチルセルロース(TAC)として知られており、電子表示装置で使用されるカバーシートを製造するために一般的に好ましい。
【0048】
TAC用有機溶媒に関しては、適切な溶媒としては、例えば、塩素系溶媒(塩化メチレンおよび1,2ジクロロエタン)、アルコール類(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコールおよびシクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン)、エステル類(メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、イソブチルアセテート、n−ブチルアセテート、メチルアセトアセテート)、芳香族化合物類(トルエンおよびキシレン)およびエーテル類(1,3−ジオキソラン、1,2−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,5−ジオキサン)が挙げられる。
用途によっては、少量の水を使用してもよい。
通常、TAC溶液は、1または複数の上記溶媒を混合して調製される。
好ましい主な溶媒としては、塩化メチレン、アセトン、メチルアセテートおよび1,3−ジオキサンが挙げられる。
主な溶媒を使用するための好ましい共溶媒としては、メタノール、エタノール、n−ブタノールおよび水が挙げられる。
【0049】
また、被覆形成物は、可塑剤を含んでいてもよい。
TACフィルムのための適切な可塑剤としては、フタル酸エステル類(ジメチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジデシルフタレートおよびブチルオクチルフタレート)、アジピン酸エステル類(アジピン酸ジオクチル)、リン酸エステル類(リン酸トリクレジル、リン酸ビフェニリルジフェニル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリブチルおよびリン酸トリフェニル)およびグリコール酸エステル類(トリアセチン、トリブチリン、グリコール酸ブチルフタリルブチル、グリコール酸エチルフタリルエチルおよびグリコール酸メチルフタリルエチル)が挙げられる。
非芳香性エステル可塑剤は、2004年9月20日に出願された同一出願人による同時出願継続中の米国特許出願第10/945,305号にも例示されている。
可塑剤は、最終フィルムの物理的性質および機械的性質を改善するために通常使用される。
特に、可塑剤は、セルロースアセテートフイルムの柔軟性および寸法安定性を向上させることが知られている。
しかし、可塑剤は、また、被覆ホッパーで、時期尚早のフィルム凝固を最小限にし、ウェットフィルムの乾燥性を向上させるために、変換操作において被覆補助としてここで使用される。
本発明の方法では、可塑剤は、乾燥操作中のTACフィルムの水疱形成、カール、層間剥離を最小限にするために使用される。
本発明の好ましい実施の形態では、可塑剤は、最終TACフィルムの欠陥を緩和するために、ポリマーの濃度に対して50重量%以内の合計濃度で被覆液に添加される。
【0050】
上述するように、本発明の重要な態様では、保護カバーシートが、低複屈折性保護ポリマーフィルム、さらには、好ましくは被覆された低複屈折性保護ポリマーに加えて、1つまたは複数の比較的薄い機能層を含み、機能層または複数の機能層は、互いに隣接するか隣接しておらず、1つまたは複数の機能層は、低複屈折性保護ポリマーフィルムにポリ(ビニルアルコール)含有フィルムを接着するために少なくとも1つの接着促進層を含み、1つまたは複数の機能層の少なくとも1つは、UV吸収ポリマーを含む。
UV吸収ポリマーは、接着促進層内にあってもよい。
【0051】
本発明の1つの実施の形態では、UV吸収ポリマーは、粒子の形態で、例えば、10〜500nmの平均粒子径を有するラテックスであることが好ましく、10〜150nmの平均粒子径を有することがさらに好ましい。
UV吸収ポリマーは、有機溶媒中で水分散性または水溶解性とすることができる。
【0052】
さらに、1つの実施の形態のUV吸収ポリマーは、未架橋なら、10,000より大きい、好ましくは、100,000より大きく5,000,0000以下の重量平均分子量を有し、任意に架橋することができる。
【0053】
UV吸収ポリマーは、UV吸収ポリマーを含む20重量%より多い機能層を含む。
【0054】
UV吸収ポリマーは、好適には、UV吸収能を有する構造ユニットを含むポリマー類から選択することができる。
例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メチル−2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン等を含む2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ −5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}、2−{2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシ)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(アクリロイルオキシブチル)フェニル]−5−メチルベンゾトリアゾール、[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(アクリロイルオキシエトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール等を含む2−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル誘導体;サリチル酸フェニル、サリチル酸p−t−ブチルフェニル、サリチル酸p−オクチルフェニル等のサリチル酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
UV吸収ポリマーは、300〜400nmの範囲に最大吸収波長を有することが好ましい。
【0056】
UV吸収ポリマーは、UV吸収ビニルモノマーと1つまたは複数の共重合性相溶性ビニルモノマーとの混合物の反応生成物である共重合体であることが好ましく、ここで、UV吸収ビニルモノマーは、上述するようなUV吸収能を有する構造ユニットを含む。
共重合性ビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アルキルアクリル酸(メタクリル酸など)、アクリル酸から誘導されるエステルまたはアミド(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、n−ブチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、b−ヒドロキシルメタクリレートなど)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなど)、アクリロニトリル、メタクリロイルニトリル、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレンおよびその誘導体、例えば、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルアセトフェノン、スルホスチレンなど)、イラコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、塩化ビニリデン、ビニルアルキルエーテル(例えば、ビニルエチルエーテルなど)、マレイン酸、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピリジン、2−または4−ビニルピリジンなどのエステル、モノマーを含むスルホン酸(例えば、アクリルアミド−2,2’−ジメチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレートなど)が挙げられる。
これらのモノマーのうち、アクリル酸のエステル類、メタクリル酸のエステル類および芳香族ビニル化合物類が好ましい。
好ましいコモノマーの具体例としては、ブチルアクリレート;2−エチルヘキシルアクリレート;2−エトキシエチルアクリレート;2−メトキシエチルアクリレート;アクリル酸;メタクリル酸;アクリルアミド;2−ヒドロキシエチルアクリレート;酢酸ビニル;スチレン;N−ビニル−2−ピロリドン;2−スルホエチルメタクリレートおよびその金属塩類;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその金属塩類が挙げられる。
【0057】
本発明の好ましい実施の形態で、重合体UV吸収材料は、以下の繰り返し単位を含む。
【0058】
【化1】

【0059】
は、HまたはCHを表す。
はH、ハロゲン、アルコキシ、または1〜約8の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を表す。
はH、Cl、1〜約4の炭素原子を有するアルコキシまたはアルキル基を表す。
Xは、COO、CONHまたはアリール基を表す。
Yは、約2〜約10の炭素原子を有するアルキレン基または(CHOを表し、ここで、nは1〜約4である。
【0060】
UV吸収ポリマーの好ましい1つの実施の形態は構造Iによって表され、ここで、RはCHを表し、RはHを表し、RはHを表し、XはCOOを表し、YはCHCHを表す。
【0061】
他の好ましい実施の形態では、UV吸収ポリマーは、構造Iによって表され、ここで、RはHを表し、RはHを表し、RはClを表し、XはCOOを表し、YはCHCHCHを表す。
【0062】
本発明で有用な重合体UV吸収繰り返し単位の具体例としては、以下のものが挙げられる:
【化2】

【0063】
ここで、官能基は、以下の表1に規定される。
【0064】
【表1】

【0065】
表1で説明するUV吸収繰り返し単位は、また、2つ以上のコモノマーの存在下で重合することができる。
例えば、アクリル酸エチルとアクリルアミド−2,2’−ジメチルプロパンスルホン酸モノマーの組み合わせは、上記UV吸収繰り返し単位UV−1と共重合することができる。
本発明に有用な重合体UV吸収材料の具体例を以下にまとめる:UVL−1:ポリ−(UV−1)−co−エチルアクリレート−co−2−スルホ−1,1−ジメチルエチルアクリルアミド、ナトリウム塩(1:1:0.05モル比);UVL−2:ポリ−(UV−2)−co−エチルアクリレート−2−スルホ−1,1−ジメチルエチルアクリルアミド、ナトリウム塩(1:1:0.05モル比);UVL−3:ポリ−(UV−3)−co−ブチルアクリレート−co−2−スルホ−1,1ジメチルエチルアクリルアミドナトリウム塩(1:2:0.05モル比)。
【0066】
本発明で使用される重合体UV吸収材料は、約0.05〜約4.0g/m、好ましくは約0.20〜約1.5g/mの量で使用することができる。
【0067】
上述するように、UV吸収ポリマーを含む機能層は、低複屈折性保護ポリマーフィルムにポリ(ビニルアルコール)含有フィルムを接着するための接着促進層である。
または、UV吸収ポリマーを含む機能層は、上記低複屈折性保護ポリマーフィルムとポリ(ビニルアルコール)含有フィルムへの接着を促進する上記層との間の連結層である。
また他の実施の形態では、接着促進層および連結層の両方は、同一または異なっていてもよいUV吸収ポリマーを含む。
上述するように、接着促進層は、さらに、UV吸収ポリマーを含む他の機能層内のUV吸収ポリマーのための架橋化合物を含むことができる。
【0068】
低複屈折性保護ポリマーフィルムは、1つまたは複数の低分子量UV吸収非重合体または重合体化合物を含む。
そのような化合物は、非重合体とすることができ、または500未満、好ましくは350未満の分子量を有することができる。
【0069】
低複屈折性保護ポリマーフィルム自体のための被覆形成物は、また、UVフィルタ素子性能を提供する、および/または低複屈折性保護ポリマーフィルム用UV安定剤の役割をする1つまたは複数のUV吸収化合物を含んでいてもよい。
紫外線吸収化合物は、一般に、紫外線吸収剤を含まないポリマー100重量部に対して、0.01〜20重量部の量で、好ましくは、0.01〜10重量部の量で、特に、0.05〜2重量部の量でポリマーに含まれる。
様々な重合体素子での使用のために記載された様々な紫外線吸収化合物のいずれも、ヒドロキシフェニル−s−トリアジン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ホルムアミジンまたはベンゾフェノン化合物などの本発明の重合体素子で使用することができる。
引用によって本明細書に援用する同一出願人による米国特許第6,872,766号に記載されるように、上記に記載されたものなどの第2のUV吸収化合物と組み合わせて、ジベンゾイルメタン紫外線吸収化合物を使用することは、特に、より多くのUVスペクトルにわたって強化された保護と同様に、UVスペクトル領域と可視光線スペクトル領域との間の吸収での鋭いカットオフを提供することに関して利点があると分かった。
使用できる他のUV吸収剤としては、4−t−ブチルフェニルサリチレートや[2,2’−チオビス−(4−t−オクチルフェノラート)]n−ブチルアミンニッケル(II)などのサリチレート化合物が挙げられる。
最も好ましくは、ヒドロキシフェニル−s−トリアジンまたはヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール化合物とジベンゾイルメタン化合物との組み合わせである。
【0070】
使用可能なジベンゾイルメタン紫外線吸収化合物としては、式(M−I)の化合物が挙げられる:
【化3】

【0071】
ここで、R1〜R5は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロまたはヒドロキシル、またはさらに置換または未置換のアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ、アシルオキシ、エステル、カルボキシル、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルニトリル、アリールニトリル、アリールスルホニル、または5〜6員複素環基である。
そのような各官能基は、20以下の炭素原子を含むことが好ましい。
さらに、好ましくは、化学式IVのR1〜R5は、式I−Aに従って位置する。
【0072】
【化4】

【0073】
式I−Aの化合物が特に好ましく、ここで、R1およびR5は1〜6の炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基を表し、R2〜R4は水素原子を表す。
【0074】
本発明の要素に従って使用可能な式(I−A)の代表的な化合物としては、以下のものが挙げられる:(IV−1):4−(1,1−ジメチルエチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(PARSOL1789);(IV−2):4−イソプロピルジベンゾイルメタン(EUSOLEX8020);(IV−3):ジベンゾイルメタン(RHODIASTAB83)。
【0075】
本発明の要素において使用可能なヒドロキシフェニル−s−トリアジン紫外線吸収化合物は、例えば、米国特許第4,619,956号に記載されるようなトリス−アリール−s−トリアジン化合物であってもよい。
そのような化合物は、式IIによって表すことができる。
【0076】
【化5】

【0077】
X、YおよびZは、それぞれ、3未満の6員環芳香族炭素環ラジカルであり、X、Y、Zの少なくとも1つは、トリアジン環への連結点にオルトのヒドロキシ基によって置換され、R1〜R9のそれぞれは、水素、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、スルホン、カルボキシ、ハロ、ハロアルキルおよびアクリルアミノからからなる群から選択される。
式II−Aのヒドロキシフェニル−s−トリアジン類が特に好ましい。
【0078】
【化6】

【0079】
ここで、Rは、水素または1〜18の炭素原子のアルキルである。
【0080】
本発明の要素において使用可能なヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール化合物は、例えば、式IIIによって表される化合物の誘導体とすることができる:
【化7】

【0081】
ここで、R1〜R5は、独立して水素、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、またはさらに置換または未置換のアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ、アシルオキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、モノまたはジアルキルアミノ、アシルアミノ、複素環基であってもよい。
本発明により使用可能なベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール;オクチル5−tert−ブチル−3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼンプロピオネート;2−(ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0082】
本発明の要素において使用可能なホルムアミジン紫外線吸収化合物は、例えば、米国特許第4,839,405号に記載されるようなホルムアミジン化合物であってもよい。
そのような化合物は、式IVまたは式Vによって表すことができる:
【化8】

【0083】
R1は、1〜約5の炭素原子を含むアルキル基であり、Yは、H、OH、Clまたはアルコキシ基であり、R2は、1〜約9の炭素原子を含むフェニル基またはアルキル基であり、Xは、H、カルボアルコキシ、アルコキシ、アルキル、ジアルキルアミノ、ハロゲンからなる群から選択され、Zは、H、アルコキシ、ハロゲンからなる群から選択される。
【0084】
【化9】

【0085】
ここで、Aは、−COOR、−COOH、−CONR’R”、−NR’COR、−CNまたはフェニル基であり;Rは、1から約8の炭素原子のアルキル基であり、R’およびR”は、それぞれ独立して、水素または1〜約4の炭素原子の低級アルキル基である。
本発明で使用可能なホルムアミジン化合物の具体例としては、米国特許第4,839,405号に記載されたもの、および特に、4−[[(メチルフェニルアミノ)メチレン]アミノ]−エチルエステルが挙げられる。
【0086】
本発明の要素において使用可能なベンゾフェノン化合物としては、例えば、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンおよび2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノンが挙げられる。
【0087】
また、被覆形成物は、被覆後にフローと関係する不適切な結果を抑制するために、被覆補助として界面活性剤を含んでいてもよい。
被覆現象後にフローによって生じる不適切な結果としては、斑点、撥水性、オレンジピール(バーナードセル)、端部脱離が挙げられる。
被覆の不適切な結果の後、フローを抑制するために使用する界面活性剤としては、シロキサンおよびフッ素化合物が挙げられる。
シロキサンタイプの市販の界面活性剤の例としては、(1)Dow CorningのDC200Fluidなどのポリジメチルシロキサン類、(2)Dow CorningのDC510Fluidなどのポリ(ジメチル、メチルフェニル)シロキサン類、(3)Union CarbideのL7000SILWETシリーズ(L7000、L7001、L7004、L7230)と同様に、Dow CorningのDC190およびDC1248などのポリアルキル置換ポリジメチルシロキサン類、(4)General ElectricのSF1023などのポリアルキル置換ポリ(ジメチル,メチルフェニル)シロキサンが挙げられる。
市販のフッ素系界面活性剤の例としては、(1)3M社のFLUORADシリーズ(FC430、FC431)などのフッ素化アルキルエステル、(2)DuPontのZONYLシリーズ(FSN、FSN100、FSO、FSO100)などのフッ素化ポリオキシエチレンエーテル、(3)NOF社のFシリーズ(F270、F600)などのアクリル酸:ポリパーフルオロアルキルエチルアクリレート、(4)旭硝子(株)のSURFLONシリーズ(S383、S393、S8405)などのパーフルオロアルキル誘導体が挙げられる。
本発明の方法では、界面活性剤は、一般に、非イオンタイプである。
本発明の好ましい実施の形態では、シロキサンまたはフッ素化タイプのいずれかの非イオン化合物は、最上層に加えられる。
【0088】
界面活性剤の分散の点では、界面活性剤が多層被覆の最上層にある場合、最も有効である。
最上層内で、界面活性剤の濃度は、0.001〜1.000重量%が好ましく、最も好ましくは、0.010〜0.500重量%である。
さらに、最下層への界面活性剤の拡散を最小限にするために、より少ない量の界面活性剤を第2の最上層で使用してもよい。
第2の最上層内の界面活性剤の濃度は、0.000〜0.200重量%であることが好ましく、0.000〜0.100重量%が最も好ましい。
界面活性剤は、最上層において必要なだけであるので、最終乾燥フィルムに残る界面活性剤の全量は小さい。
【0089】
界面活性剤は、本発明の方法を実施するために必要ではないが、界面活性剤は、被覆フィルムの均一性を向上させる。
特に、斑点不均一性は、界面活性剤を使用することによって低下する。
透明セルロースアセテートフイルムでは、斑点不均一性は、平常検査で容易に目に見えない。
斑点の不適切な結果を目に見えるようにするために、有機色素を最上層に加えて、被覆フィルムに色を加えてもよい。
これらの染めたフィルムについては、不均一性を目視し定量化するのは容易である。
このように、有効な界面活性剤のタイプおよび度合いは、最適なフィルム均一性のために選択することができる。
【0090】
低複屈折性保護ポリマーフィルムを作成するための図3の例示的な被覆法および装置の代わりに、キャスティング法および装置を使用することができる。
以下、図4を参照して、本発明のカバーシートの製造に適する例示的なキャスティング・乾燥システムの概略図を示す。
低複屈折性保護ポリマーを含む粘着性ドープ塗料は、フィードライン200を介して、ポンプ206によって加圧タンク204から押し出しホッパー202に伝えられる。
ドープ塗料は、乾燥室212の第1の乾燥部210内に位置する高度に研磨された金属ドラム208上に流し込まれる。
キャストポリマーフィルム214は、移動金属ドラム208上で部分的に乾燥されることができ、次いで、金属ドラム208から剥離される。
次いで、キャストポリマーフィルム214は最終乾燥部216に伝えられて、残存する溶媒が取り除かれる。
最終的に乾燥された低複屈折性保護ポリマーフィルム218を、次いで、巻取りステーション220でロール状に巻く。
キャストポリマーフィルムは、一般的に、40〜200μmの範囲の厚さを有する。
【0091】
図3に示すような被覆法は、各技術に必要な工程段階によって、図4に示すようなキャスティング法と区別される。
これらの工程段階は、同様に、各方法に特有の液体粘性、変換補助剤、基板およびハードウェアなどの多くの実体に影響する。
一般的に、被覆法は、薄いフレキシブル基板に希釈された低粘度の液体を適用し、乾燥室内で溶媒を蒸発させ、乾燥フィルム/基板複合材料をロールに巻くことを含む。
対照的に、キャスティング法は、高度に研磨された金属ドラムまたはバンドに、濃縮された粘着性ドープ塗料を適用し、金属基板上のウェットフィルムを部分的に乾燥し、基板から部分的に乾燥したフィルムを剥離し、乾燥室で、部分的に乾燥したフィルムからさらに溶媒を取り除き、乾燥したフィルムをロール状に巻くことを含む。
粘性に関して、被覆法は、5,000cp未満の非常に低い粘度の液体を必要とする。
本発明では、被覆した液体の粘性は、一般に、2000cp未満であり、最も多くの場合には、1500cp未満である。
さらに、被覆法では、最下層の粘性は、200cp未満であることが好ましく、高速被覆適用のために、100cp未満が最も好ましい。
対照的に、キャスティング法は、実際の操作速度に関して、10,000〜100,000cpのオーダーの粘性を有す高濃度ドープ塗料を必要とする。
変換補助剤に関して、被覆法は、一般に、斑点、反発性、オレンジピールおよび端部の脱落などの被覆の不適切な結果後に、フローを制御するために、変換補助剤として界面活性剤の使用を含む。
対照的に、キャスティング法は、界面活性剤を必要としない。
そうではなく、変換補助剤は、キャスティング法での剥離操作を助けるために使用されるだけである。
例えば、n−ブタノールは、金属ドラムからのTACフィルムの剥離を促進するために、TACフィルムのキャスティングにおいて変換補助剤として使用されることがある。
基板に関しては、被覆法は、一般的に、薄い(10〜250μm)柔軟な支持体を利用する。
対照的に、キャスティング法は、厚くて(1〜100mm)連続的で高度に研磨された金属ドラムまたは固定バンドを使用する。
工程段階におけるこれらの差の結果、被覆に使用されるハードウェアは、図1、4にそれぞれ示される概略図の比較からわかるように、キャスティングにおいて使用されるものとは著しく異なる。
【0092】
また、本発明は、キャリア基板と、低複屈折性保護ポリマーフィルムおよび1つまたは複数の機能層を含む多層保護カバーシートとを含み、それら機能層は、互いに隣接するか隣接しておらず、1つまたは複数の機能層は、低複屈折性保護ポリマーフィルムに対して、上記キャリア基板上の低複屈折性ポリマーフィルムと同じ側に、ポリ(ビニルアルコール)含有フィルムを接着するための少なくとも1つの接着促進層を含み、1つまたは複数の機能層の少なくとも1つは、UV吸収ポリマーを含み、該UV吸収ポリマーは、接着促進層と同一または異なっていてもよい保護カバーシート複合材料を対象とする。
また、本発明のカバーシートまたは保護カバーシート複合材料の製造は、(被覆またはキャスティングプロセスによって)予め準備したフィルムを被覆するステップを含んでいてもよい。
例えば、図1および2に示す被覆・乾燥システム10は、既存の低複屈折性保護ポリマーフィルムまたはカバーシート複合材料に、第2のフィルムまたは多層フィルムを被覆するために使用することができる。
フィルムまたはカバーシート複合材料が、後の被覆を適用する前にロール状に巻かれる場合、そのプロセスは、多重パス被覆操作と称する。
多重被覆ステーションおよび乾燥室を備えた機械で、被覆および乾燥操作を連続して行う場合、そのプロセスは、タンデム被覆操作と称する。
このように、非常に厚いウェットフィルムから大量の溶媒を取り除くことに関連する問題がなく、高ライン速度で、厚い低複屈折性保護ポリマーフィルムを製造することができる。
または、タンデム、多重パス被覆操作によって被覆された補助層の様々な組み合わせを有する様々なカバーシート構成を作成することができる。
さらに、多重パスまたはタンデム被覆の実施は、また、筋の重大性、斑点の重大性および全面的なフィルムの不均一性などの他の不適切な結果を最小限にするという長所を有する。
【0093】
次に、図5〜8を参照して、本発明で可能な様々なカバーシートおよび保護カバーシート複合材料の構成を示す断面説明図を示す。
図5は、最下層186、中間層187、188、最上層190を有するカバーシート189を示す。
この説明では、層186は、PVAへの接着を促進する層とすることができ、187は、連結層とすることができ、層188は、低複屈折性保護ポリマーフィルムとすることができ、層190は、視角補償層、防湿層、耐磨耗層などの補助層、または例えば他のタイプの補助層とすることができる。
カバーシートは、従来のキャスティング法、または上記に記載するようなキャリア基板を使用する被覆法によって製造することができる。
【0094】
図6では、最下層162、中間層164および最上層168を有する3層カバーシート171を含む保護カバーシート複合材料151を、キャリア基板170から部分的に剥離して示す。
この説明では、層162は、PVAへの接着を促進する層とすることができ、層164は、連結層とすることができ、層168は、低複屈折性保護ポリマーフィルムとすることができる。
層162、164、168は、キャリア基板170上に3つの別個の液体層を適用し乾燥する、または2つまたは3つの層すべてを同時に適用し、次いで、単一の乾燥操作でそれらの同時に適用された層を乾燥することによって形成することができる。
【0095】
1つの好ましい実施の形態では、PVAへの接着を促進する層は、水系被覆形成物を使用して、連結層および低複屈折性保護ポリマーフィルムとは別に、被覆、乾燥される。
カバーシート171が、図6に示されるように、キャリア基板170上に被覆することによって作製される場合、PVAへの接着を促進する層が、キャリア基板170上に被覆され、次いで、低複屈折性保護ポリマーフィルムの適用に先立って、乾燥されることが一般に好ましい。
補助層は、低複屈折性保護ポリマーフィルムと同時に、または後の被覆および乾燥操作中に適用されてもよい。
【0096】
図7は、カバーシート173を含む別の保護カバーシート複合材料153を示し、カバーシート173は、例えば、キャリア支持体170に最も近い最下層162、2つの中間層164、166、最上層168を含む4つの組成的に別の層で構成されている。
また、図7は、多層カバーシート173全体が、キャリア基板170から剥離され得ることを示す。
この説明では、例えば、層162は、PVAへの接着を促進する層とすることができ、層164は、連結層とすることができ、層166は、低複屈折性保護ポリマーフィルムとすることができ、層168は、耐磨耗性層などの補助層とすることができる。
【0097】
図8は、カバーシート179を含むさらなる保護カバーシート複合材料159を示し、該カバーシート179は、例えば、キャリア基板182に最も近い最下層174、2つの中間層176、178、最上層180を含む4つの組成的に別の層で構成されている。
キャリア基板182は、剥離層184で処理されて、カバーシート最下層174と基板182との間の接着を改良する。
剥離層184は、ポリビニルブチラール類、セルロース類、ポリアクリレート類、ポリカーボネート類およびポリ(アクリロニトリル−co−塩化ビニリデン−co−アクリル酸)などの多くのポリマー材料で構成することができる。
剥離層に使用される材料の選択は、当業者によって経験的に最適化されてもよい。
【0098】
図5〜8は、上述した詳細な教示に基づいて構成することができる保護カバーシート複合材料のいくつかを説明するものであり、それらは、本発明のあらゆる変形を包括することを意図しない。
当業者であれば、ディスプレイ用偏光板の製造に使用される保護カバーシート複合材料として有用である他の多くの層の組み合わせを着想することができる。
【0099】
以下、図9を参照して、本発明の保護カバーシート複合材料から偏光板を製造する方法の概要の説明を示す。
カバーシート171およびキャリア基板170を含む保護カバーシート複合材料151(図6参照)、カバーシート173およびキャリア基板170を含む保護カバーシート複合材料153(図7参照)は、供給ロール232、234からそれぞれ供給される。
PVA二色性フィルムは、供給ロール236から供給される。
対向するピンチローラー242、244間の積層ニップに入る前に、キャリア基板170を、保護カバーシート複合材料151、153から剥離して、最下層を露出する(図6、7の場合には、これは、層162であり、それが実施例においては、PVAへの接着を促進する層である)。
剥離されたキャリアシート170は、巻き取りロール240でロール状に巻かれる。
接着剤溶液は、任意に、シートおよびフィルムがピンチローラー242、244間のニップに入るのに先立って、PVA二色性フィルムの両側またはカバーシート171、173の最下層に適用することができる。
次いで、対向するピンチローラー242、244間の圧力(および任意に熱)を適用して、カバーシート171、173をPVA二色性フィルムの一方の側に積層すると、シート状の偏光板250がもたらされる。
次いで、偏光板250を、加熱して乾燥し、必要となるまでロール状に巻いておく。
使用される保護カバーシート複合材料のための特有の層構成によって、補助層の様々な組み合わせを備えたカバーシートを有する種々様々な偏光板を製造することができる。
【0100】
本発明のカバーシートに関して、低複屈折性保護ポリマーフィルムを従来のキャスティングプロセス(ここで、ポリマードープ塗料は、連続的な金属ホイールまたはドラム上に被覆され、次いで、乾燥工程の完成前に剥離される)によって作製し、連結層およびPVAへの接着を促進する層は、後の被覆操作で適用されるため、偏光板を製造する方法は、図9で表わされるものと比較して単純化されている。
この場合、キャリア基板は使用されないので、図9に示されるようなキャリア基板を剥離し、巻くステップは必要ではない。
そうではなく、カバーシートは、ロールの形態で供給されることが好ましく、単に、図9に示すローラー242、244と類似する1対のピンチローラー間に形成された積層ニップに、巻かれずに供給されるだけでよい。
前述のように、接着剤溶液は、PVA二色性フィルムの両側または、ピンチローラー間のニップにカバーシートおよびフィルムが入る前に、PVAへの接着を促進する層に任意に被覆されてもよい。
【0101】
カバーシートは、PVAへの接着を促進する層が、PVA二色性フィルムと接触するカバーシートの側にあるように、PVA二色性フィルムに積層される。
カバーフィルムおよびPVA二色性フィルムを積層するために有用な接着剤溶液は、特に限定されず、一般に使用される例は、PVAまたはその誘導体などの溶解されたポリマー、および硼酸などのホウ素化合物を含む水/アルコール溶液である。
または、溶液は、溶解されたポリマーがない、または実質的になくてもよく、PVAを架橋する試薬を含んでいてもよい。
試薬は、イオン結合的にまたは共有結合的にPVAを架橋することが可能であり、また、両方のタイプの試薬の組み合わせを使用することができる。
適切な架橋イオンとしては、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、ホウ素イオン、ベリリウムイオン、アルミニウムイオン、鉄イオン、銅イオン、コバルトイオン、鉛イオン、銀イオン、ジルコニウムイオンおよび亜鉛イオンなどの陽イオンが挙げられるが、それらに限定されない。
硼酸などのホウ素化合物および硝酸ジルコニウムまたは炭酸ジルコニウムなどのジルコニウム化合物が、特に好ましい。
共有結合架橋試薬の例としては、ポリカルボン酸類または無水物類;ポリアミン類:エピハロヒドリン類;ジエポキシド類;ジアルデヒド類;ジオール類;カルボン酸ハロゲン化物、ケテン類および類似の化合物が挙げられる。
フィルム上に適用された溶液の量は、その組成に従って広範囲に変えることができる。
例えば、低くて1cc/m、および高くて100cc/mのウエットフィルムの被覆率が可能である。
低いウェットフィルムの被覆率は、必要とされる乾燥時間を低減するために望ましい。
【0102】
本発明での使用に適する低複屈折性保護ポリマーフィルムは、高光透過率(つまり、>85%)で高明瞭フィルムを形成する低固有複屈折Δnintを有するポリマー材料を含む。
好ましくは、低複屈折性保護ポリマーフィルムは、約1×10−4未満の面内複屈折Δninおよび0.005〜−0.005の面外複屈折Δnthを有する。
【0103】
低複屈折性保護ポリマーフィルムに使用される例示的なポリマー材料としては、セルロースエステル類(トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが挙げられる)、ポリカーボネート類(General Electric社のLEXAN、ビスフェノール−A−トリメチルシクロへキサン−ポリカーボネート、ビスフェノール−A−フタレート−ポリカーボネート)、ポリスルホン類(Amoco Performance Products社のUDELなど)、ポリアクリレート類、環状オレフィンポリマー類(JSR社のARTONなど、日本ゼオンのZEONEXおよびZEONOR、Ticonaによって供給されるTOPAS)が挙げられる。
本発明の低複屈折性保護ポリマーフィルムは、それらの商業的入手性および優れた光学的性質から、TAC、ポリカーボネート、または環状オレフィンポリマーを含むことが好ましい。
【0104】
低複屈折性保護ポリマーフィルムは、約5〜200μmの厚みを有し、約5〜80μmの厚みがより好ましく、約20〜80μmが最も好ましい。
厚さが20〜80μmのフィルムは、コスト、取り扱いおよびより薄い偏光板を製造する性能のために最も好ましい。
本発明の好ましい実施の形態では、本発明のカバーシートから組み立てられた偏光板は、120μm未満の全体厚さを有し、80μm未満が最も好ましい。
【0105】
PVAへの接着を促進する層は、例えば、合成および天然ポリマーの両方を含む本発明の目的に適切な1つまたは複数の水溶性ポリマーを含むことができる。
天然ポリマーとしては、タンパク質、タンパク質誘導体、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル類)、多糖類、カゼイン等が挙げられ、合成ポリマーとしては、ポリビニルラクタム、アクリルアミドポリマー、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、加水分解ポリビニルアセテート類、アルキル、スルホアルキルアクリレート類のポリマー、およびメタクリレート類、ポリアミド類、ポリビニルピリジン、アクリル酸ポリマー、無水マレイン酸共重合体、ポリアルキレン酸化物、メタクリルアミド共重合体、ポリビニルオキサゾリジノン類、マレイン酸共重合体、ビニルアミン共重合体、メタクリル酸共重合体、アクリロイルオキシアルキルスルホン酸共重合体、ビニルイミダゾール共重合体、ビニル硫化物共重合体、スチレンスルホン酸を含むホモポリマーまたは共重合体等が挙げられる。
最も好ましいポリマーは、ポリビニルアルコールおよびその誘導体である。
【0106】
特に好ましいポリビニルアルコールポリマーは、75〜100%の加水分解度を有し、10,000より大きい重量平均分子量を有する。
【0107】
接着促進層に有用な疎水性ポリマー粒子は、水分散ポリマーおよびポリマーラテックスを含む。
PVAとの相互作用を促進するために、疎水性ポリマー粒子は、水素結合基を含み、それは、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、またはスルホニル部位を含む。
適切な疎水性ポリマー粒子は、アクリル酸を含むアクリレート類、メタクリル酸を含むメタクリレート類、アクリルアミド類およびメタクリルアミド類、イタコン酸およびその半エステル、ジエステル類、置換スチレン類、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを含むスチレン類、酢酸ビニル類、ビニルエーテル類、ビニルおよびビニリデンハロゲン化物、およびオレフィン類などのエチレン性不飽和モノマーから作製された付加タイプのポリマーおよび共重合体(インターポリマーを含む)を含むことができる。
さらに、1,4−ブチレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼンなどの架橋およびグラフト結合モノマーを使用してもよい。
他の適切なポリマー分散物は、ポリウレタン分散物またはポリエステルアイオノマー分散物、ポリウレタン/ビニルポリマー分散物およびフッ素ポリマー分散物である。
本発明のポリマー粒子に使用されるポリマーは、約10,000より大きな重量平均分子量および約25℃未満のガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。
一般に、高分子量で低Tgのポリマー粒子は、PVA二色性フィルムおよび低複屈折性ポリマーフィルムの両方に、よりよい層の接着を提供する。
【0108】
10nm〜1μm、好ましくは10から500nm、最も好ましくは10〜200nmの範囲の平均粒子径を有する疎水性ポリマー粒子の分散物を使用することができる。
ポリマー粒子は、PVAへの接着を促進する層を10〜40重量%含むことが好ましい。
【0109】
接着促進層は、透明度が高いことが好ましく、90%、好ましくは95%より大きい光透過率を有する。
【0110】
また、PVAへの接着を促進する層は、架橋剤を含んでいてもよい。
本発明の実施に有用な架橋剤は、水溶性ポリマーおよび/またはポリマー粒子上に存在する反応部位と反応することができる任意の化合物を含む。
そのような架橋剤としては、アルデヒド類および関連する化合物、ピリジニウム類、ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテルなどのオレフィン類、カルボジイミド類、エポキシド類、トリアジン類、多官能アジリジン類、メトキシアルキルメラミン類、ポリイソシアネート類等が挙げられる。
これらの化合物は、有機合成化学の当業者に容易に明らかとなる公表された合成手順を使用し、または方法に慣習的な変更を加えて、容易に作製することができる。
PVAへの接着を促進する層に連続して使用可能なさらなる架橋剤としては、亜鉛、カルシウム、ジルコニウムおよびチタンなどの多価金属イオンが挙げられる。
【0111】
PVAへの接着を促進する層は、一般的に、5〜300mg/ft(50〜3000mg/m)、好ましくは、5〜100mg/ft(50〜1000mg/m)の乾燥被覆重量で適用する。
層は、低複屈折性フィルムに対して、カバーシートの一方の側にあってもよい。
本発明の保護カバーシート複合材料については、PVAへの接着を促進する層は、キャリア基板と低複屈折性フィルムとの間にあることが好ましい。
PVAへの接着を促進する層は、キャリア基板、またはキャリア基板上の下塗り層上に直接適用されることが最も好ましい。
PVAへの接着を促進する層は、別の被覆用途で被覆されてもよく、また、それは、1つまたは複数の他の層と同時に適用されもよい。
【0112】
本発明のカバーシートをPVA二色性フィルムに積層するために使用可能な水性接着剤によって良好な濡れ性を提供するために、本発明のPVAの接着促進層は、20度未満の水接触角を有することが好ましい。
本発明の接着促進層は、良好な接触、および可能であれば接着剤および/またはPVA二色性フィルムと接着促進層との混合を促進するために、20〜1000%の水膨潤を有することが好ましい。
【0113】
接着促進層の1つの実施の形態は、2004年11月22日に出願された米国特許出願第10/994,710号に開示されている。
【0114】
連結層は、2004年11月22日に出願され、引用によって本明細書に援用する、同一出願人による出願係属中の米国特許出願第10/994,711号に開示されるような接着促進層の前に、低複屈折性保護ポリマーフィルムに適用することができる。
【0115】
本発明での使用に適するキャリア基板としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリスチレンおよび他の重合体フィルムが挙げられる。
さらなる基板としては、紙、紙および重合体フィルムの積層物、ガラス、布、アルミニウムおよび他の金属支持体を挙げることができる。
キャリア基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)を含むポリエステルフィルムであることが好ましい。
キャリア基板の厚さは、約20〜200μm、一般的に、約40〜100μmである。
キャリア基板が薄い方が、コストおよび保護カバーシート複合材料のロール当たりの重量の両方により望ましい。
しかし、約20μm未満のキャリア基板は、カバーシートのために十分な寸法安定性または保護を提供しないことがある。
【0116】
キャリア基板は、1つまたは複数の下塗り層で被覆されてもよく、また、塗布液によって基板の濡れ性を向上させるために、放電装置で予め処理してもよい。
キャリア基板から結局カバーシートを剥離しなければならないので、カバーシートと基板との間の接着は、重要な検討事項である。
また、下塗り層および放電装置は、キャリア基板へのカバーシートの接着を改良するために使用してもよい。
したがって、基板へのカバーシートの接着を改良するために、下塗り層は、濡れ性を向上させる下塗層または剥離層のいずれかとして機能することができる。
キャリア基板は、2つの下塗り層で被覆することができ、第1の層は、濡れ性を向上させるために下塗層の役割をし、第2の層は、剥離層の役割をする。
下塗り層の厚さは、一般的に、0.05〜5μmであり、0.1〜1μmであることが好ましい。
【0117】
接着性に乏しいカバーシート/基板複合材料は、多重パス操作において、第2または第3の液状塗料の適用後に水疱を形成する傾向にある。
水泡欠陥を回避するためには、接着は、カバーシートの第1パス層とキャリア基板との間で約0.3N/mより大きくしなければならない。
既に述べたように、接着レベルは、様々な下塗り層および様々な放電処理を含む様々なウェブ処理によって改良されてもよい。
しかし、カバーシートが後の剥離操作中に破損する可能性があるので、カバーシートと基板との間の過度の接着もまた望ましくない。
特に、あまりに大きな接着力を有するカバーシート/基板複合材料は、剥離が失敗する可能性がある。
許容範囲にある剥離挙動を可能とする最大接着力は、カバーシートの厚さおよび引張特性に依存する。
一般的には、カバーシートと基板との間の接着力が、約300N/mより大きいと、剥離が失敗する可能性がある。
そのような過度によく接着された複合材料は、カバーシートの破れおよび/またはシート内の粘着性の不具合により欠陥を示す。
本発明の好ましい実施の形態では、カバーシートとキャリア基板との間の接着は、250N/m未満である。
さらに好ましくは、カバーシートとキャリア基板との間の接着は、0.5〜25N/mである。
【0118】
本発明の好ましい実施の形態では、キャリア基板は、塩化ビニリデン共重合体を含む第1の下塗り層(下塗層)、およびポリビニルブチラールを含む第2の下塗り層(剥離層)を有するポリエチレンテレフタレートフィルムである。
本発明の他の好ましい実施の形態では、キャリア基板は、カバーシートの適用に先立って、予めコロナ放電処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0119】
また、基板は、静電気および吸塵を抑制するために、様々なポリマー結合剤および導電性の付加物を含む帯電防止層などの機能層を有していてもよい。
帯電防止層は、キャリア基板の一方の側にあってもよく、それは、カバーシートと反対のキャリア基板の側にあるのが好ましい。
【0120】
カバーシートと反対の基板の側に、バック層を、良好な巻き特性および運搬特性のための適切な粗さおよび摩擦係数を有する表面を提供するために使用してもよい。
特に、バック層は、シリカビーズやポリマービーズなどのつや消し剤を含むポリウレタンまたはアクリルポリマーなどの重合体バインダーを含む。
つや消し剤は、輸送および保存の間に、背面に保護カバーシート複合材料の正面側が張りつくことを防ぐのに役立つ。
また、バック層は、約0.2〜0.4の摩擦係数を提供するために潤滑剤を含んでいてもよい。
例示的な潤滑剤としては、例えば、(1)流動パラフィンおよびカルナウバワックス、天然ワックスおよび合成ワックス、石油ワックス、鉱ワックス等の材料などのパラフィンまたはワックス;(2)米国特許第2,454,043号;第2,732,305号;第2,976,148号;第3,206,311号;第3,933,516号;第2,588,765号;第3,121,060号;第3,502,473号;第3,042,222号;第4,427,964号、英国特許第1,263,722号;第1,198,387号;第1,430,997号;第1,466,304号;第1,320,757号;第1,320,565号;第1,320,756号、ドイツ特許第1,284,295号、第1,284,294号に開示された高級脂肪酸および誘導体、高級アルコール類および誘導体、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸エステル類、高級脂肪酸アミド類、高級脂肪酸の多価アルコールエステル類等;および(3)ポリ(テトラフロオロエチレン)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン−co−塩化ビニル)、ペルフルオロアルキル側基を含むポリ(メタ)アクリレート類またはポリ(メタ)アクリルアミド類等を含むペルフルオロ−またはフルオロ−またはフルオロクロロ−含有材料が挙げられる。
しかし、潤滑性を持続させるために、ADDITIVE31などの重合可能な潤滑剤であるメタクリロイルオキシ機能性シリコーンポリエーテル共重合体(Dow Corning社製)が好ましい。
【0121】
好ましい実施の形態では、保護カバーシート複合材料は、キャリア基板の反対のカバーシートの表面上に剥離性保護層を含む。
剥離性保護層は、層を被覆することにより適用されてもよく、また、それは、予め形成された保護層を粘着的に接着することにより、または静電気的に接着することにより適用されてもよい。
保護層は、透明ポリマー層であることが好ましい。
ある特定の実施の形態では、保護層は、保護層を取り除く必要なしに、カバーシートの光学検査を可能とする低複屈折性層である。
保護層に使用される特に有用なポリマーとしては、セルロースエステル類、アクリル類、ポリウレタン類、ポリエステル類、環状オレフィンポリマー類、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート等が挙げられる。
予め形成された保護層を使用する場合、それは、ポリエステル、ポリスチレンまたはポリオレフィンフィルムの層であることが好ましい。
【0122】
剥離性保護層は、一般的に、厚さが5〜100μmである。
好ましくは、保護層は、擦過傷に対する適切な抵抗および摩擦を保証し、保護層を取り除く間の取り扱いを容易にするために、厚さが20〜50μmである。
【0123】
剥離性保護層が、被覆法によって適用される場合、それは、既に被覆され乾燥されたカバーシートに適用してもよく、また、保護層は、カバーシートを含む1つまたは複数の層と同時に被覆してもよい。
【0124】
剥離性保護層が、予め形成された層である場合、それは、保護層が従来の積層技術を使用して保護カバーシート複合材料に粘着的に積層できるようにする表面上に、感圧接着剤層を有していてもよい。
または、予め形成された保護層は、カバーシートまたは予め形成された保護層の表面に静電気を生成し、次いで、2つの材料をローラーニップで接触させることにより適用してもよい。
帯電は、任意の公知の帯電発生器、例えば、コロナ充電器、摩擦充電器、導電性高電位回転帯電発生器または接触充電器、静電気発生器等によって生成することができる。
カバーシートまたは予め形成された保護層は、2つの表面間の適切なレベルの電荷付着を生成するために、DC充電またはDC充電後にAC充電で帯電してもよい。
カバーシートと予め形成された保護層との間に十分な結合を提供するために適用された帯電レベルは、少なくとも50ボルト超、好ましくは少なくとも200ボルト超である。
カバーシートまたは保護層の帯電された表面は、帯電が長く続くことを保証するために、少なくとも約1012Ω/□、好ましくは少なくとも約1016Ω/□の抵抗を有する。
【0125】
各保護カバーシートは、液晶ディスプレイの性能を向上させるのに必要な様々な補助層を有していてもよい。
液晶ディスプレイは、一般的には、2枚の偏光板を使用し、液晶セルの各側に1つ配置される。
各偏光板は、同様に、2枚のカバーシートを使用し、PVA二色性フィルムの各側に1つ配置される。
これらのカバーシートは、異なってもよく、例えば、使用可能な補助層の異なる一部を含む。
【0126】
本発明のカバーシートに使用される有用な補助層としては、例えば、耐磨耗性ハードコート層、アンチグレア層、反汚染層、耐汚染層、反射防止層、低反射層、帯電防止層、視角補償層、防湿層が挙げられる。
一般的には、観察者に最も近いカバーシートは、以下の補助層の1つまたは複数を含む:耐磨耗性層、反汚染層または耐汚染層、反射防止層およびアンチグレア層。
液晶セルに最も近いカバーシートの1つまたは両方は、一般的には、視角補償層を含む。
LCDに使用される4枚のカバーシートのうちのいずれかまたはすべては、任意に、帯電防止層および防湿層を含んでいてもよい。
【0127】
本発明のカバーシートは、PVAへの接着を促進する層に対して、低複屈折性保護ポリマーフィルムの反対側に耐磨耗性層を含んでいてもよい。
【0128】
本発明で使用される特に有効な耐磨耗性層は、放射線または熱により硬化された組成を含み、該組成は、放射線硬化されることが好ましい。
紫外線(UV)放射および電子線放射は、最も一般に使用される放射線硬化方法である。
UV硬化性組成は、本発明の耐磨耗性層を生成するために特に役立ち、2つの主なタイプの硬化反応、遊離基反応およびカチオン反応を使用して硬化することが可能である。
アクリレートモノマー(反応性希釈剤)およびオリゴマー(反応性樹脂およびラッカー)は、遊離基に基づく組成の主成分であり、硬化された被覆に、その物理的特性のほとんどを付与する。
光重合開始剤は、UV光エネルギーを吸収して、分解して遊離基を形成し、アクリレート基C=C二重結合を攻撃して、重合を開始するために必要である。
カチオン反応は、主成分として脂環式エポキシ樹脂およびビニルエーテルモノマーを利用する。
光重合開始剤は、UV光を吸収してルイス酸を形成し、それは、エポキシ環を攻撃して重合を開始する。
UV硬化は、紫外線硬化を意味し、280〜420nm、好ましくは320〜410nmの波長のUV放射線の使用を含む。
【0129】
本発明に有用な耐磨耗性層に使用可能なUV放射線硬化性樹脂およびラッカーの例は、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またはネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートおよびそれらの混合物などの(メタ)アクリレート官能基を有する多価アルコールなどの多官能化合物およびそれらの誘導体のアクリレートおよびメタクリレートオリゴマー(本明細書で使用される用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを称する)などの光重合性モノマーおよびオリゴマー、および低分子量ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、スピロアセタール樹脂、エポキシアクリレート類、ポリブタジエン樹脂およびポリチオール−ポリエン樹脂等、それらの混合物、および比較的大量の反応性希釈剤を含むイオン放射線硬化性樹脂から誘導されたアクリレートおよびメタクリレートオリゴマーから得られるものである。
本明細書で使用可能な反応性希釈剤としては、エチル(メタ)アクリレート、エチルへキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエンおよびN−ビニルピロリドンなどの単官能モノマー、および多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレートまたはネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0130】
特に、本発明では、耐磨耗性層での使用のために便利に用いられる放射線硬化性ラッカーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。
これらは、オリゴ(ポリ)エステルまたはオリゴ(ポリ)エーテルポリオールとジイソシアネート類とを反応させてイソシアネート末端ウレタンを生成することから生じる。
次いで、ヒドロキシ末端アクリレートを、末端イソシアネート基と反応させる。
このアクリレート化は、オリゴマーの末端に不飽和を提供する。
ウレタンアクリレートの脂肪族または芳香族の性質は、ジイソシアネート類の選択によって決まる。
トルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートは、芳香族ウレタンアクリレートオリゴマーを生成する。
脂肪族ウレタンアクリレートは、イソホロンジイソシアネートまたはヘキシルメチルジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートの選択に起因する。
イソシアネートの選択よりも、ポリオール骨格は、オリゴマーの最終性能を決定する際に極めて重要な役割を果たす。
ポリオール類は、エステル類、エーテル類またはこれら2つの組み合わせとして一般に分類される。
オリゴマー骨格は、2つ以上のアクリレートまたはメタクリレートユニットによって終端され、フリーラジカル開始重合のための反応サイトとして機能する。
イソシアネート類、ポリオール類およびアクリレートまたはメタクリレート末端ユニットの選択は、ウレタンアクリレートオリゴマー類の生成における相当な自由度を可能とする。
ウレタンアクリレート類は、ほとんどのオリゴマーと同様に、分子量および粘性が一般的に高い。
これらのオリゴマーは、多官能であり、多数の反応サイトを含む。
反応サイト数が多いので、硬化速度は向上し、最終生産物は架橋される。
オリゴマーの官能性は、2から6までである。
【0131】
特に、耐磨耗性層の使用のために便利に用いられる放射線硬化性樹脂としては、イソホロンジイソシアネートから誘導されたペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびペンタエリスリトールトリアクリレート官能化脂肪族ウレタン類などのペンタエリスリトールのアクリレート誘導体の混合物などの多価アルコール類およびそれらの誘導体から誘導された多官能アクリル酸化合物も挙げられる。
本発明の実施に使用される市販のウレタンアクリレートオリゴマーのいくつかの例としては、Sartomer社(Exton、PA)のオリゴマーが挙げられる。
本発明の実施において便利に使用される樹脂の例としては、Sartomer社のCN968が挙げられる。
【0132】
1つの実施の形態では、耐磨耗性層としては、アセトフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物、Michlerのベンゾイルベンゾエート、α−アミルオキシムエステルまたはチオキサントン化合物などの光重合開始剤が挙げられ、n−ブチルアミン、トリエチルアミンまたはトリ−n―ブチルホスフィンまたはそれらの混合物などの光線感作物質は、紫外線放射硬化組成に組み入れられる。
本発明では、便利に使用される開始剤は、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンおよび2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1である。
【0133】
耐磨耗性層は、低複屈折性保護ポリマーフィルムを被覆し乾燥した後、一般的に適用される。
本発明の耐磨耗性層は、一般的に、有機溶媒をも含む被覆組成物として適用される。
有機溶媒の濃度は、好ましくは被覆組成物全体の1〜99重量%である。
【0134】
本発明の耐磨耗性層を被覆するために使用可能な溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエンおよびキシレンなどの溶媒、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテートなどのエステル類、およびそれらの混合物が挙げられる。
溶媒の適切な選択で、低複屈折性保護ポリマーフィルムからの可塑剤および他の付加物の移動を最小限にしながら、耐磨耗性層の接着を向上させることができ、耐磨耗性層の硬度を維持することが可能となる。
TAC低複屈折性保護ポリマーフィルムに適する溶媒は、トルエンおよびプロピルアセテートなどの芳香族炭化水素およびエステル溶媒である。
【0135】
UV重合性モノマーおよびオリゴマーを被覆し乾燥し、次いで、UV放射線に晒して光学的に透明な架橋耐磨耗性層を形成する。
好ましいUV硬化量は、50〜1000mJ/cmである。
【0136】
耐磨耗性層の厚さは、一般的には、約0.5〜50μmであり、好ましくは1〜20μmであり、より好ましくは2〜10μmである。
【0137】
耐磨耗性層は、無色であることが好ましいが、この層は、オーバーコートを介してディスプレイの形成または鑑賞に不利に影響しない限り、色補正の目的または特殊効果のために、何らかの色を有することができることが特に検討される。
したがって、色を付与するポリマー色素を組み入れることができる。
さらに、添加剤をポリマーに組み入れ、層に所望の特性を付与することができる。
他のさらなる化合物を被覆組成物に添加することができ、該化合物としては、界面活性剤、乳化剤、被覆補助剤、潤滑剤、つや消し粒子、レオロジー調整剤、架橋剤、かぶり防止剤、導電性および非導電性金属酸化物粒子などの無機充填材、色素、磁性粒子、殺生剤等が挙げられる。
【0138】
本発明の耐磨耗性層は、一般的には、少なくとも2H、好ましくは2H〜8Hの鉛筆硬度(ペンシルテストASTM D3363による硬度に関する標準テスト方法を使用する)を有する層を提供する。
【0139】
本発明のカバーシートは、キャリア基板上の低複屈折性保護ポリマーフィルムと同じ側に、アンチグレア層、低反射層または反射防止層を含んでいてもよい。
アンチグレア層、低反射層または反射防止層は、PVAへの接着を促進する層に対して低複屈折性保護ポリマーフィルムの反対側に配置される。
そのような層は、特に、明るい間接照明で見る場合、ディスプレイの鑑賞特性を向上させるためにLCDで使用される。
耐摩耗性ハードコートの屈折率は、周囲空気の屈折率が1.00である場合、約1.50である。
屈折率の差は、約4%の表面からの反射を生成する。
【0140】
アンチグレア被覆は、正反射を低減するために使用される粗いまたはざらつきのある表面を提供する。
望まれない反射光は、すべて、まだ存在するが、鏡面反射ではなく、散乱される。
本発明においては、アンチグレア被覆は、有機または無機(つや消し)粒子の添加によって、または表面をエンボス加工にすることによって、ざらつきのあるまたは粗い表面を有する放射線硬化組成物を含むことが好ましい。
耐磨耗性層のために上記した放射線硬化組成物も、アンチグレア層に効果的に使用される。
表面粗さは、放射線硬化組成物に対して、つや消し粒子の添加によって得られることが好ましい。
適切な粒子としては、金属の酸化物、窒化物、硫化物またはハロゲン化物を有する無機化合物が挙げられ、金属酸化物が特に好ましい。
金属原子として、Na、K、Mg、Ca、Ba、Al、Zn、Fe、Cu、Ti、Sn、In、W、Y、Sb、Mn、Ga、V、Nb、Ta、Ag、Si、B、Bi、Mo、Ce、Cd、Be、PbおよびNiが適切であり、Mg、Ca、BおよびSiがより好ましい。
2つのタイプの金属を含む無機化合物も使用することができる。
特に好ましい無機化合物は、二酸化ケイ素、すなわち、シリカである。
【0141】
本発明のアンチグレア層に使用するのに適切なさらなる粒子としては、2003年10月21日に出願された同一出願人による米国特許出願第10/690,123号に記載された層状粘土が挙げられる。
最も適切な層状粒子としては、高アスペクト比の板形の材料が挙げられる。
アスペクト比とは、非対称粒子において短方向に対する長方向の比率である。
好ましい層状粒子は、天然粘土であり、特に、層状複水酸化物またはハイドロタルサイト類に加えて、モンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコアイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、ソボカイト、ステベンサイト、スビンホーダイト、ハロイサイト、マガディアイト、ケニヤアイトおよびバーミキュライトなどの天然スメクタイト粘土であることが好ましい。
最も好ましい粘土材料としては、それらの材料の商業的入手性のために、天然モンモリロナイト、ヘクトライトおよびハイドロタルサイト類が挙げられる。
【0142】
アンチグレア層に適する層状材料は、フィロシリケート類、例えば、モンモリロナイト、特に、ナトリウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイトおよび/またはカルシウムモンモリロナイト、ノントロナイト、バイデライト、ボルコンスコアイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、ソボカイト、ステベンサイト、スビンホーダイト、バーミキュライト、マガディアイト、ケニヤアイト、タルク、マイカ、カオリナイトおよびそれらの混合物を含んでいてもよい。
他の有用な層状材料としては、上記層状材料を有するイライト類のレデイカイトおよび混合物などの混合層状イライト/スメクタイト鉱物が挙げられる。
他の有用な層状材料、特に陰イオンマトリックスポリマーで有用な層状材料としては、MgAl3.4(OH)18.8(CO1.7Oなどの層状複水酸化物粘土またはハイドロタルサイト類が挙げられ、それらは、層間のスペースに、プラスに帯電した層および交換可能な陰イオンを有する。
好ましい層状材料は、他の物質、すなわち一般に有機イオンまたは分子が広がるように、すなわち、挿入および/または剥離するように、膨張可能であり、層状材料は、無機相の望ましい分散をもたらす。
これらの膨張可能な層状材料としては、文献(例えば、H.Van Olphen、John Wiley & Sons出版による「粘土コロイド化学への入門」)に定義されるように、2:1タイプのフィロシリケート類が挙げられる。
100gあたり50〜300ミリ当量のイオン交換容量を有する代表的フィロシリケート類が好ましい。
一般に、アンチグレア被覆にプレートレット粒子を導入する前に、紡錘体とも呼ばれる小さな結晶にプレートレット粒子の凝集体を分離するために、選択された粘土材料を処理することが望ましい。
また、プレートレット粒子をあらかじめ分散させる、または分離することは、バインダー/プレートレット界面を改善する。
上記の目標を達成するいかなる処理を使用してもよい。
有用な処理の例としては、水溶性または水不溶性ポリマー、有機試薬またはモノマー類、シラン化合物類、金属類または有機金属、陽イオン交換を生じる有機陽イオンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0143】
アンチグレア層に使用されるさらなる粒子は、本技術分野において公知のポリマーつや消し粒子またはビーズを含む。
ポリマー粒子は、中実のまたは多孔性の、好ましくは架橋されたポリマー粒子であってもよい。
アンチグレア層に使用される多孔性ポリマー粒子は、2003年11月18日に出願された同一出願人による米国特許出願第10/715,706号に記載されている。
【0144】
好ましい実施の形態では、アンチグレア層に使用される粒子は、平均粒子サイズが、2〜20μmであり、好ましくは2〜15μmであり、最も好ましくは4〜10μmである。
それらは、2重量パーセント以上50重量パーセント未満の量で層内に存在し、一般的に、約2〜40重量パーセント、好ましくは、2〜20パーセント、最も好ましくは、2〜10パーセントである。
【0145】
アンチグレア層は、厚さが、一般的に、約0.5〜50μmであり、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。
【0146】
アンチグレア層は、ASTM D523によれば、60°光沢値が100未満であり、90未満が好ましく、透過曇り値は、ASTM D−1003およびJIS K−7105法によれば、50%未満であり、好ましくは30%未満である。
【0147】
本発明の別の実施の形態では、低反射層または反射防止層は、耐摩耗性ハードコート層またはアンチグレア層と組み合わせて使用される。
低反射被覆または反射防止被覆は、耐摩耗性層またはアンチグレア層上に適用される。
一般的には、低反射層は、2%未満の平均正反射(分光測光器によって測定され、450〜650nmの波長領域で平均される)を提供する。
反射防止層は、1%未満の平均正反射値を提供する。
【0148】
本発明で使用される適切な低反射層は、1.48未満の屈折率を有するフッ素含有ホモポリマーまたは共重合体を含み、約1.35〜1.40の屈折率を有するものが好ましい。
適切なフッ素含有ホモポリマーおよび共重合体としては、以下のものが挙げられる:フルオロ−オレフィン類(例えば、フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、テトラフロオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体、部分または完全フッ素化ビニルエーテル類等。
層の有効性は、被覆内の隙間の空気細孔を引き起こすサブミクロンサイズの無機粒子またはポリマー粒子を組み込むことによって改良されてもよい。
この技術は、さらに、米国特許第6,210,858号および米国特許第5,919,555号に記載されている。
2003年11月18日に出願された同一出願人による米国特許出願第10/715,655号に記載されるように、低反射層の有効性のさらなる向上は、低減された被覆曇りの不利益を有するサブミクロンサイズのポリマー粒子の内部粒子空間に対する空気細孔を制限することによって実現されてもよい。
【0149】
低反射層の厚さは、0.01〜1μmであり、0.05〜0.2μmがより好ましい。
【0150】
反射防止層は、単層または多層を含んでいてもよい。
単層を含む反射防止層は、単一波長だけで(450〜650nmの広範囲内)、一般的には、1%未満の反射率値を提供する。
本発明での使用に適する一般に使用される単層反射防止被覆は、フッ化マグネシウム(MgF)などの金属フッ化物層を含む。
層は、公知の真空蒸着技術、またはゾルゲル技術によって適用されてもよい。
一般的には、そのような層は、最小限の反射率が望まれる波長で、およそ4分の1の波長の光学的厚さ(つまり、層の屈折率と層の厚さとの積)を有する。
【0151】
単層は、非常に狭い波長領域内で光の反射を効果的に低減することができるが、互いに重ねられたいくつかの(一般的に、金属酸化物ベースの)透明層を含む多層は、広い波長領域にわたって反射を低減する(つまり、広帯域反射制御)ために使用される。
そのような構造のために、半波長層は、性能を向上させるために、4分の1波長層と交互に重ねられる。
多層反射防止被覆は、2、3、4またはそれより多くの層を含んでいてもよい。
この多層の形成は、一般的には、層の数に相当する多くの蒸着手順またはゾルゲル被覆を含む複雑なプロセスを必要とし、各層は、所定の屈折率および厚みを有する。
各層の厚さの正確な制御は、これらの干渉層に必要である。
本発明で使用される適切な多層反射防止被覆の設計は、特許技術や技術文献において公知であり、様々な教科書、例えば、H.A.Macleod、「Thin Film Optical Filters」、Adam Hilger株式会社、Bristol 1985およびJames D.Rancourt、「Optical Thin Films User’s Handbook」、Macmillan Publishing社、1987年に記載されている。
【0152】
また、本発明のカバーシートは、防湿層を含んでいてもよい。
防湿層は、低透湿性を有する塩化ビニリデンポリマー、フッ化ビニリデンポリマー、ポリウレタン、ポリオレフィン、フッ素化ポリオレフィン、ポリカーボネート等の疎水性ポリマーを含む。
疎水性ポリマーは、塩化ビニリデンを含むことが好ましい。
疎水性ポリマーは、70〜99重量パーセントの塩化ビニリデンを含むことがより好ましい。
防湿層は、有機溶媒系または水性被覆形成物の適用によって適用されてもよい。
有効な防湿特性を提供するために、層は、厚さが少なくとも1μmであるべきであり、1〜10μmが好ましく、2〜8μmの厚さが最も好ましい。
防湿層を含む本発明のカバーシートは、1000g/m/日未満のASTMF−1249による透湿速度(MVTR)を有し、好ましくは、800g/m/日未満であり、最も好ましくは、500g/m/日未満である。
本発明のカバーシートにおけるそのような障壁層の使用は、特に、厚さが約40μm未満のTACカバーシートに関して、カバーシートを含む偏光板の湿度の変化に対する抵抗を向上させ、耐久性を向上させる。
【0153】
本発明のカバーシートは、透明帯電防止層を含んでいてもよい。
帯電防止層は、カバーシート複合材料の製造および使用中に生じる可能性がある静電気の抑制に役立つ。
静電気の有効な抑制は、カバーシート複合材料に対する汚れやほこりを誘引する傾向を低減する。
本発明の保護カバーシート複合材料は、特に、キャリア基板からカバーシートを剥離する間に摩擦電気帯電する傾向がある。
カバーシートと基板との分離に起因するいわゆる「分離帯電」は、約1×1011Ω/□未満、好ましくは約1×1010Ω/□未満、最も好ましくは約1×10Ω/□未満の抵抗を有する帯電防止層によって効果的に抑制することができる。
【0154】
様々な重合体バインダーおよび導電材料を、帯電防止層に使用してもよい。
帯電防止層に有用な重合体バインダーとしては、被覆技術の分野で一般に使用されるポリマーのいずれか、例えば、エチレン性不飽和モノマーのインターポリマー、セルロース誘導体、ポリウレタン類、ポリエステル類、ゼラチンなどの親水コロイド類、ポリ(ビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0155】
帯電防止層に使用される導電材料はイオン導電性または電子伝導性のどちらであってもよい。
イオン導電性材料としては、無機単塩類、界面活性剤のアルカリ金属塩類、アルカリ金属塩類を含む重合体電解質、および(金属塩類によって安定された)コロイド金属酸化物ゾルが挙げられる。
これらのうち、スチレンスルホン酸共重合体の陰イオンアルカリ金属塩類や、米国特許第4,070,189号のカチオン第四アンモニウムポリマーなどのイオン導電性ポリマーや、シリカ、酸化スズ、チタニア、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、アルミナ被覆シリカ、アルミナ、ベーマイトおよびスメクタイト粘土などのイオン導電性コロイド金属酸化物ゾルが好ましい。
【0156】
本発明で使用される帯電防止層は、湿度および温度に依存しない導電性により、好ましくは電子伝導材料を含む。
適切な材料としては、以下のものが挙げられる: (1)ドナーをドープした金属酸化物、酸素欠乏を含む金属酸化物および導電性窒化物、炭化物および臭化物を含む電子伝導性金属含有粒子。
特に有用な粒子の具体例としては、導電性SnO、InO、ZnSb、InSbO、TiB、ZrB、NbB、TaB、CrB、MoB、WB、LaB、ZrN、TiN、WC、HfC、HfNおよびZrCが挙げられる。
これら導電性粒子について記載する特許の例としては、米国特許第4,275,103号;第4,394,441号;第4,416,963号;第4,418,141号;第4,431,764号;第4,495,276号;第4,571,361号;第4,999,276号;第5,122,445号;第5,368,995号が挙げられる; (2)例えば、米国特許第4,845,369号および第5,166,666号に記載されるような非導電性チタン酸カリウムウィスカー上に被覆されたアンチモンをドープした酸化スズ、米国特許第5,719,016号および第5,0731,119号に記載されたアンチモンをドープした酸化スズファイバーまたはウィスカー、および米国特許第4,203,769号に記載された銀をドープした五酸化バナジウムファイバーを含む繊維状電子伝導性粒子; (3)電子伝導性ポリアセチレン類、ポリチオフェン類およびポリピロール類、好ましくは、米国特許第5,370,981号に記載され、BAYTRON POLYETHYLENE DIOXYTHIOPHENEとしてBayer社から市販されているポリエチレンジオキシチオフェン。
【0157】
帯電防止層に使用される導電剤の量は、使用される導電剤に依存して広範囲に変えることができる。
例えば、有用な量は、約0.5mg/m〜約1000mg/mの範囲であり、約1mg/m〜約500mg/mが好ましい。
帯電防止層の厚さは、高い透明性を保証するために、0.05〜5μm、好ましくは、0.1〜0.5μmである。
【0158】
本発明のカバーシートは、米国特許第5,583,679号;第5,853,801号;第5,619,352号;第5,978,055号;第6,160,597号に開示されるように、PVA二色性フィルムと液晶セルとの間に、適切な光学的性質を有する視角補償層(補償層、遅延層または位相差層とも称する)を含んでいてもよい。
負の複屈折性を有するディスコティック液晶に基づく米国特許第5,583,679号および第5,853,801号による補償フィルムが広く使用される。
【0159】
補償フィルムは、視角特性を向上させるために使用され、視覚特性とは、異なる視角からのコントラスト比の変化をいう。
幅広く変化する視角から同じ画像を観察することができることが望ましく、この能力は、液晶ディスプレイ装置の欠点であった。
液晶ディスプレイのコントラストを制限する主な要因は、液晶素子またはセルを介して光の「リーク」の傾向であり、それは、ダークまたは「ブラック」画素状態である。
さらに、液晶ディスプレイの漏出、および従ってコントラストは、また、ディスプレイスクリーンを見る方向に依存する。
一般的に、最適なコントラストは、ディスプレイに対する正常な入射を中心とする狭い視角範囲内でのみ観察され、観察方向がディスプレイ標準から外れるので、急速に減少する。
カラーディスプレイでは、漏出の問題は、コントラストを低下させるだけでなく、色再現の悪化と関連して、色または色調の変化を引き起こす。
【0160】
本発明に有用な視角補償層は、光学的異方性層である。
光学的異方性視角補償層は、正の複屈折性材料または負の複屈折性材料を含んでいてもよい。
補償層は、光学的に1軸性または2軸性であってもよい。
補償層は、層に垂直な平面でその光軸を傾けてもよい。
光軸の傾斜は、層の厚み方向で一定であってもよく、また、光軸の傾斜は、層の厚み方向で変化してもよい。
【0161】
本発明で有用な光学異方性視角補償層は、米国特許第5,583,679号および第5,853,801号に記載された負の複屈折性ディスコティック液晶;米国特許第6,160,597号に記載された正の複屈折性ネマチック液晶;2003年12月23日に出願され、同一出願人による米国特許公開第2004/0021814号および米国特許出願第10/745,109号に記載された負の複屈折性アモルファスポリマーを含んでいてもよい。
これらの後者の2つの特許出願は、ポリマー骨格中にビニル基、カルボニル基、アミド基、イミド基、エステル基、カルボネート基、スルホン基、アゾ基および芳香族基(つまり、ベンゼン、ナフタレート、ビフェニル、ビスフェノールA)などの非可視発色団を含み、好ましくは180℃より高いガラス転移温度を有するポリマーを含む補償層について記載する。
そのようなポリマーは、本発明の補償層に特に有用である。
そのようなポリマーとしては、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類およびポリチオフェン類が挙げられる。
これらのうち、本発明での使用に特に好ましいポリマーとしては、以下のものが挙げられる:(1)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン−ビスフェノール)テレフタレート−co−イソフタレート;(2)ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデンビスフェノール)テレフタレート;(3)ポリ(4,4−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラクロロビスフェノール)テレフタレート−co−イソフタレート;(4)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビスフェノール−co−(2−ノルボルニリデン)−ビスフェノールテレフタレート;(5)ポリ(4,4’−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−5−イリデン)−ビスフェノール−co−(4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラブロモ)−ビスフェノールテレフタレート;(6)ポリ(4,4’−イソプロピリデン−ビスフェノール−co−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−co−イソフタレート;(7)ポリ(4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン−ビスフェノール−co−4,4’−(2−ノルボルニリデン)ビスフェノール)テレフタレート−co−イソフタレート;または(8)上記のいずれか2つ以上の共重合体。
これらのポリマーを含む補償層は、一般的には、面外遅延Rthを有し、それは、−20nmより負であり、Rthは、−60〜−600nmであることが好ましく、Rthは、−150〜−500nmであることが最も好ましい。
【0162】
本発明に適する他の補償層は、特開平11−095208に記載されるような重合体バインダーにおける剥離された無機粘土材料を含む光学異方性層を含む。
【0163】
本発明の補助層は、浸せきコーティング、ロッドコーティング、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、グラビアコーティング、ミクログラビアコーティング、リバースロールコーティング、スロットコーティング、押出コーティング、スライドコーティング、カーテンコーティングなどの多くの公知の液体コーティング技術のいずれか、または真空蒸着技術によって適用することができる。
液体コーティングの場合には、ウェット層は、一般的に、単純な蒸発によって乾燥され、それは、対流熱などの公知技術によって加速されてもよい。
補助層は、下塗り層や低複屈折性保護ポリマーフィルムなどの他の層と同時に適用してもよい。
いくつかの異なる補助層は、同時に、スライドコーティングを使用して被覆してもよく、例えば、帯電防止層は、防湿層と同時に被覆してもよく、また、防湿層は、視角補償層と同時に被覆してもよい。
公知の被覆・乾燥方法は、1989年12月に刊行されたResearch Disclosure308119、1007〜1008頁に、さらに詳細に記載されている。
【0164】
本発明のカバーシートは、種々様々のLCD表示装置モード、例えば、ねじれネマチック(TN)、超ねじれネマチック(STN)、光学補償ベンド(OCB)、インプレーンスイッチング(IPS)または垂直配向(VA)液晶ディスプレイでの使用に適する。
これら様々な液晶ディスプレイ技術は、米国特許第5,619,352号(Kochら)、第5,410,422号(Bos)および第4,701,028号(Clercら)で検討されている。
【0165】
図10は、偏光板252、254を両側に配置した典型的液晶セル260の1実施の形態を示す断面の説明を示す。
偏光板254は、観察者に近いLCDセルの側にある。
各偏光板は、2枚のカバーシートを使用する。
説明のために、偏光板254は、PVAへの接着を促進する層261を含む最上層カバーシート(これは、観察者に最も近いカバーシートである)、連結層262、低複屈折性保護ポリマーフィルム264、障壁層266およびアンチグレア層268で示される。
偏光板254に含まれる最下層カバーシートは、PVAへの接着を促進する層261、連結層262、低複屈折性保護ポリマーフィルム264、障壁層266および視角補償層272を含む。
LCDセルの反対側において、偏光板252は、最上層カバーシートで示され、それは、説明のために、PVAへの接着を促進する層261、連結層262、低複屈折性保護ポリマーフィルム264、障壁層266および視角補償層272を含む。
また、偏光板252は、PVAへの接着を促進する層261を含む最下層カバーシートと、連結層262と、低複屈折性保護ポリマーフィルム264と、障壁層266とを有する。
【0166】
本発明の別の態様は、偏光板を形成する方法を対象とし、該方法は、
(A)2枚の保護カバーシート複合材料を準備するステップであり、各保護カバーシート複合材料は、(i)キャリア基板と、(ii)請求項1の保護カバーシートとを含むステップと、
(B)ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムを準備するステップと、
(C)各保護カバーシートのポリ(ビニルアルコール)含有フィルムへの接着を促進する層が、ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムと接触するように、各保護カバーシートをポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムと同時にまたは連続して接触させるステップとを有する。
【0167】
また、本発明は、キャリアシートを含まない方法を対象とし、該方法は、上記するような2つのカバーシートを準備するステップを含む偏光板を形成するステップと、ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルム準備するステップと、2つの各カバーシートのポリビニルアルコールへの接着を促進する層が、ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムと接触するように、カバーシートをポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムと同時にまたは連続して接触させるステップとを有する。
以下の限定しない実施例によって、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0168】
(UV吸収ポリマーの合成)
UV吸収ポリマーラテックス1:
水125gおよびRhodaplex(登録商標)CO−436界面活性剤(58%固形分)4.3gを含む撹拌反応装置を85℃に加熱し、0.5時間Nで清浄した。
次いで、カリウム過硫酸塩1.25gおよびナトリウムメタ重硫酸塩0.25gを反応装置に加えた。
脱イオン水600gを含む乳剤、NORBLOC 7966(Ciba)UVモノマー188g、アクリル酸エチル50g、メタクリル酸12.5g、RHODAPLEX CO−436(58%固形分)界面活性剤4.3g、カリウム過硫酸塩1.25gおよびナトリウム0.25gを、1時間連続的に加えた。
反応装置を室温に冷却する前に、さらに4時間、その反応を継続させた。
UV吸収ポリマーラテックスをすべての凝塊を取り除くためにガラス繊維を介してろ過した。
得られたUV吸収ポリマーラテックスは、固形分約25%を有しており、粒子は、平均サイズが約80nm、Norbloc(登録商標)7966を75重量%、アクリル酸エチル20重量%、メタクリル酸5重量%の組成を有していた。
【0169】
UV吸収ポリマーラテックス2:
水125gおよびRhodaplex(登録商標)CO−436界面活性剤(58%固形分)4.3gを含む撹拌反応装置を85℃に加熱し、0.5時間Nで清浄した。
次いで、カリウム過硫酸塩1.25gおよびナトリウムメタ重硫酸塩0.25gを、反応装置に加えた。
脱イオン水600g、NOBLOC 7966(Ciba)188g、アクリル酸エチル50g、メタクリルアミド12.5g、RHODAPLEX CO−436(58%固形分)4.3g、カリウム過硫酸塩1.25g、ナトリウム0.25gを含む乳剤を、1時間連続的に加えた。
反応装置を室温に冷却する前に、さらに4時間その反応を継続させた。
UV吸収ポリマーラテックスをすべての凝塊を取り除くためにガラス繊維を介してろ過した。
得られたUV吸収ポリマーラテックスは、固形分約25%を有しており、粒子は、平均サイズが約80nm、Norbloc(登録商標)7966を75重量%、アクリル酸エチル20重量%、メタクリルアミド5重量%の組成を有していた。
【0170】
(例1:本発明)
帯電防止バック層(背面)を有する100μmの厚みのポリ(エチレンテレフタレート)(PET)キャリア基板を、約100mg/ft(1000mg/m)の乾燥被覆重量を有するCERVOL 205PVA(Celanese社製、約88〜89%の加水分解度を有するポリビニルアルコール)を含む接着促進層および、約83mg/ft(830mg/m)の乾燥被覆重量を有する上記のUV吸収ラテックスポリマー1で、その前面を被覆する。
次いで、乾燥層を、以下の3層を含むトリアセチルセルロース(TAC)形成物で上塗りした:約208mg/ft(2080mg/m)の乾燥被覆重量を有するCA−438−80S(Eastman Chemicalのトリアセチルセルロース)と、約20.8mg/ft(208mg/m)の乾燥被覆重量を有するフタル酸ジエチルと、約21mg/ft(210mg/m)の乾燥被覆重量を有するSURFLON S−8405−S50(Semi Chemical社のフッ素化界面活性剤)とを含む表層;約1899mg/ft(18990mg/m)の乾燥被覆重量を有するCA−438−80Sと、約29.5mg/ft(295mg/m)の乾燥被覆重量を有するSURFLON S−8405−S50と、約284mg/ft(2840mg/m)の乾燥被覆重量を有するフタル酸ジエチルと、約83mg/ft(830mg/m)の乾燥被覆重量を有するTINUVIN326とを含む中間層;酢酸セルローストリメリテート(Sigma−Aldlich)とホウ酸トリメチルとの95:5混合物を含み、約100mg/ft(1000mg/m)の乾燥被覆重量を有する連結層としての下層。
被覆溶媒として塩化メチレンとメタノールの混合物を使用して、多重スロットスライドホッパーでTAC形成物を被覆した。
【0171】
乾燥TAC被覆物を、キャリア基板の正面側とPVAフィルムへの接着を促進する層との間の界面でPETキャリア基板から剥離した。
剥離は、非常にスムーズであり、剥離したTACフィルムは、曇りが非常に低く、しわのない良好な外観を有していた。
【0172】
(例2:本発明)
接着促進層が、約100mg/ft(1000mg/m)の乾燥被覆重量を有するCERVOL 205PVA(Celanese社の約88〜89%の加水分解度を有するポリビニルアルコール)、および、約83mg/ft(830mg/m)の乾燥被覆重量を有する上記のUV吸収ラテックスポリマー2を含む以外、本実施例は、本発明の実施例1と同様の方法で作製した。
【0173】
乾燥TAC被覆物を、キャリア基板の正面側と、PVAフィルムへの接着を促進する層との間の界面でPETキャリア基板から剥離した。
剥離は、非常にスムーズであり、剥離されたTACフィルムは、曇りが非常に低く、しわがない良好な外観を有していた。
【0174】
(例3:比較例)
接着促進層が、約100mg/ft(1000mg/m)の乾燥被覆重量のCERVOL 205PVA、および約1899mg/ft(18990mg/m)の乾燥被覆重量を有するCA−438−80S、約29.5mg/ft(295mg/m)の乾燥被覆重量を有するSURFLON S−8405−S50、約284mg/ft(2840mg/m)の乾燥被覆重量を有するフタル酸ジエチル、約65mg/ft(650mg/m)の乾燥被覆重量を有するTINUVIN8515UV吸収剤、約6.5mg/ft(65mg/m)の乾燥被覆重量を有するPARSOL 1789UV吸収剤を含む中間層のみを含むことを除いて、比較例2を本発明の実施例1と同様の方法で作製した。
【0175】
乾燥TAC被覆物を、キャリア基板の正面側と、PVAフィルムへの接着を促進する層との間の界面でPETキャリア基板から剥離した。
剥離は非常にスムーズであり、剥離したTACフィルムは、しわのない良好な外観を有していたが、許容できないレベルの曇りがみられた。
【0176】
上記実施例は、本発明が、先行技術の偏光子カバーシートの制限を克服して、偏光板の製造の前に、けん化などの複雑な表面処理の必要性を取り除いたことを明確に実証する。
【符号の説明】
【0177】
10:被覆・乾燥システム
12:移動キャリア基板/ウェブ
14:乾燥機
16:被覆装置
18:巻出しステーション
20:バックアップローラー
22:被覆基板
24:保護カバーシート複合材料
26:巻取りステーション
28:被覆供給容器
30:被覆供給容器
32:被覆供給容器
34:被覆供給容器
36:ポンプ
38:ポンプ
40:ポンプ
42:ポンプ
44:導管
46:導管
48:導管
50:導管
52:放電装置
54:極性放電補助装置
56:ニップローラー
58:ニップローラー
60:予め形成された剥離性保護層
62:巻出しステーション
64:巻取りステーション
66:乾燥部
68:乾燥部
70:乾燥部
72:乾燥部
74:乾燥部
76:乾燥部
78:乾燥部
80:乾燥部
82:乾燥部
92:前部
94:第2部
96:第3部
98:第4部
100:バックプレート
102:入口
104:第1の計測スロット
106:ポンプ
108:最下層
110:入口
112:第2の計測スロット
114:ポンプ
116:層
118:入口
120:計測スロット
122:ポンプ
124:層
126:入口
128:計測スロット
130:ポンプ
132:層
134:傾斜スライド面
136:被覆リップ
138:第2の傾斜スライド面
140:第3の傾斜スライド面
142:第4の傾斜スライド面
144:バックランド面
146:被覆ビーズ
151:保護カバーシート複合材料
153:保護カバーシート複合材料
159:保護カバーシート複合材料
162:最下層
164:中間層
166:中間層
168:最上層
170:キャリア基板
171:カバーシート
173:カバーシート
174:最下層
176:中間層
178:中間層
179:カバーシート
180:最上層
182:キャリア基板
184:剥離層
186:最下層
187:中間層
188:中間層
189:カバーシート
190:最上層
200:フィードライン
202:押し出しホッパー
204:加圧タンク
206:ポンプ
208:金属ドラム
210:第1の乾燥部
212:乾燥室
214:キャストフィルム
216:最終乾燥部
218:最終乾燥フィルム
220:巻取りステーション
232:保護カバーシート複合材料供給ロール
234:保護カバーシート複合材料供給ロール
236:PVA二色性フィルム供給ロール
240:キャリア基板巻き取りロール
242:ピンチローラー
244:ピンチローラー250:偏光板
252:偏光板
254:偏光板
260:LCDセル
261:PVAへの接着を促進する層
262:連結層
264:低複屈折性保護ポリマーフィルム
266:障壁層
268:アンチグレア層
272:視角補償層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低複屈折性保護ポリマーフィルムと、さらに、1つまたは複数の比較的薄い機能層とを含み、該機能層は、互いに隣接する、または隣接しない多層保護カバーシートであって、
前記1つまたは複数の機能層は、前記低複屈折性保護ポリマーフィルムにポリ(ビニルアルコール)含有フィルムを接着するための少なくとも1つの接着促進層を含み、
前記機能層の少なくとも1つは、UV吸収ポリマーを含む、多層保護カバーシート。
【請求項2】
前記UV吸収ポリマーは、前記接着促進層内にある、請求項1の保護カバーシート。
【請求項3】
前記UV吸収ポリマーは、平均粒子径が10〜500nmである粒子の形態である、請求項1の保護カバーシート。
【請求項4】
前記UV吸収ポリマーは、平均粒子径が10〜150nmである粒子の形態である、請求項1の保護カバーシート。
【請求項5】
前記UV吸収ポリマーは、前記UV吸収ポリマーを含む機能層を20重量%より多く含む、請求項1の保護カバーシート。
【請求項6】
前記UV吸収ポリマーは、重量平均分子量が10,000より大きい、請求項1の保護カバーシート。
【請求項7】
前記UV吸収ポリマーは、2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、2−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル誘導体およびサリチル酸誘導体からなるモノマーの群から誘導される繰り返し単位を含む、請求項1の保護カバーシート。
【請求項8】
前記UV吸収ポリマーは、下記繰り返し単位を含み、
【化1】

ここで、
はHまたはCHを表し、
はH、ハロゲン、アルコキシ、または1〜約8の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基を表し、
はH、Cl、1〜約4の炭素原子を有するアルコキシまたはアルキル基を表し、
Xは、COO、CONHまたはアリール基を表し、
Yは、約2〜約10の炭素原子を有するアルキレン基または(CHOを表し、ここで、nは、1〜約4である、請求項1の保護カバーシート。
【請求項9】
はCHを表し、RはHを表し、RはHを表し、XはCOOを表し、YはCHCHを表す、請求項8の保護カバーシート。
【請求項10】
はHを表し、RはHを表し、RはClを表し、XはCOOを表し、YはCHCHCHを表す、請求項8の保護カバーシート。
【請求項11】
前記UV吸収ポリマーは、モノマーの混合物の反応生成物である共重合体であり、その少なくとも1つは、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}、2−{2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシ)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(アクリロイルオキシブチル)フェニル]−5−メチルベンゾトリアゾール、[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(アクリロイルオキシエトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールからなる群から選択される、請求項1の保護カバーシート。
【請求項12】
前記ポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸、またはそれらのエステル、または芳香族ビニル化合物との共重合体である、請求項1の保護カバーシート。
【請求項13】
前記UV吸収ポリマーは、300〜400nmの範囲に最大吸収波長を有する、請求項1の保護カバーシート。
【請求項14】
前記UV吸収ポリマーは、有機溶媒中で水分散性または水溶解性である、請求項1の保護カバーシート。
【請求項15】
前記UV吸収ポリマーを含む機能層は、前記低複屈折性保護ポリマーフィルムにポリ(ビニルアルコール)含有フィルムを接着するための接着促進層である、請求項1の保護カバーシート。
【請求項16】
前記UV吸収ポリマーを含む機能層は、前記低複屈折性保護ポリマーフィルムと前記接着促進層との間の連結層である、請求項1の保護カバーシート。
【請求項17】
前記接着促進層、およびさらに別の連結層は、各々、UV吸収ポリマーを含み、該UV吸収ポリマーは、同一または異なっていてもよい、請求項1の保護カバーシート。
【請求項18】
前記低複屈折性保護ポリマーフィルムは、1つまたは複数の低分子量UV吸収非重合体化合物または重合体化合物を含む、請求項1の保護カバーシート。
【請求項19】
1つまたは複数の低分子量UV吸収化合物は、ジベンゾイルメタン、ヒドロキシフェニル−s−トリアジン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール化合物、ホルムアミジンおよびベンゾフェノン化合物の群から選択される、請求項18の保護カバーシート。
【請求項20】
前記接着促進層は、ポリ(ビニルアルコール)を含み、乾燥重量が、5と50〜3000mg/mとの間である、請求項1の保護カバーシート。
【請求項21】
前記接着促進層は、さらに、前記UV吸収ポリマーを含む別の機能層内に前記UV吸収ポリマーのための架橋化合物を含む、請求項20の保護カバーシート。
【請求項22】
キャリア基板と、
低複屈折性保護ポリマーフィルムと、さらに、1つまたは複数の比較的薄い機能層とを含み、該機能層は、互いに隣接する、または隣接しない多層保護カバーシートと、を含む保護カバーシート複合材料であって、
前記1つまたは複数の機能層は、前記低複屈折性保護ポリマーフィルムにポリ(ビニルアルコール)含有フィルムを接着するための少なくとも1つの接着促進層を含み、
前記接着促進層は、前記キャリア基板上の前記低複屈折性保護ポリマーフィルムと同じ側にあり、
1つまたは複数の機能層の少なくとも1つは、UV吸収ポリマーを含むUV吸収層であり、
任意に、前記UV吸収層および前記接着促進層は、同一の機能層になり得る、保護カバーシート複合材料。
【請求項23】
偏光板を形成する方法であって、
(A)(i)キャリア基板と、(ii)請求項1の保護カバーシートとを含む少なくとも1つの保護カバーシート複合材料を準備するステップと、
(B)ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムを準備するステップと、
(C)前記保護カバーシート内の前記接着促進層が、前記ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムに接触するように、前記保護カバーシートを前記ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムと接触させるステップと、を含む方法。
【請求項24】
偏光板を形成する方法であって、
請求項1の2つのカバーシートを準備するステップと、
ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムを準備するステップと、
2つの各カバーシートにおいて、前記低複屈折性保護ポリマーにポリ(ビニルアルコール)含有フィルムを接着するための接着促進層が、前記ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムと接触するように、前記カバーシートを前記ポリ(ビニルアルコール)含有二色性フィルムと同時にまたは連続して接触させるステップと、を含む方法。
【請求項25】
請求項1の保護カバーシートを含む偏光板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−123512(P2011−123512A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5927(P2011−5927)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【分割の表示】特願2008−506535(P2008−506535)の分割
【原出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】