説明

健康シート

【課題】製造が容易で、安価な健康シートの製造方法及び健康シートを提供する。
【解決手段】フェノール樹脂を除いた炭化水素を主要構成成分とする人工高分子化合物あるいはフェノール樹脂を除いた炭化水素を主要成分とする有機固形廃棄物の無酸素乾留熱分解物である一次の炭化物、あるいは当該炭化物を賦活化処理した二次の活性炭のうち少なくとも一種もしくはこれらの混合物と、シリコンゴムとを混練する工程と、成形型に入れて加圧する工程と、180℃〜200℃にて5分間の1次加熱する工程と、180℃にて3〜4時間の2次加熱する工程と、成形型から取り出し裁断する工程とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイナスイオン効果及び遠赤外線効果を有する活性炭化物を用いた健康シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化、環境汚染や食の安全性等の問題により、社会における健康志向が一層高まる状況の中、自然界において森林の中や滝壷の近傍の空中にはマイナスイオンが多く、これが健康に良いと言われている。
【0003】
ところで、木炭、竹炭等の活性炭においてマイナスイオン発生作用と共に遠赤外線発生作用があるとされ、その活用に注目が集まっている。即ち、マイナスイオンは、生体の細胞を活性化し自律神経や内分泌機能を調整して人体の精神安定、免疫力向上、疲労軽減などの所謂マイナスイオン効果を奏すると言われている。同様に、遠赤外線が人体の皮下深層の温度の上昇や、微細血管の拡張、血行促進、新陳代謝の強化などの所謂遠赤外線効果を奏すると言われている。
【0004】
これらのマイナスイオン効果や遠赤外線効果を有する活性炭を使用した繊維等を使用して製造された衣料や寝装具又は、サポータ、マスク等と言った健康具に関する提案がされている(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−9049号公報
【特許文献2】特開2005−245851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1に記載されている発明は、サマリウム−鉄−窒素の異方性磁性粉末と合成ゴム又は熱可塑性樹脂を混入し加熱軟化させ、成形機で成形した磁石を使用するものである。柔軟性があり磁界配向により高磁力・高特性を発揮させることができ、人体又は衣類・装身具・寝具・靴製品に装着することで磁気治療器となる。しかし、このサマリウム鉄系ボンド磁石は装着時に、折れ易いために皮膚と接する際の違和感を防ぐために熱可塑性樹脂エラストマーにて被覆する必要があり、製造に工数が多くかかり、そのために高価なものとなっていた。
【0007】
特許文献2に記載されている発明は、人体のツボ箇所に貼付して使用するお灸シートである。このお灸シートにおいては、既知の天然繊維及び/又は人造繊維から成るフィルムないしシート、又、高分子材料から成るフィルムないしシートとを適宜選択して用いることが出来る支持体の一方面上に、人体への粘着可能な粘着剤層を形成し、この粘着層に粒状の活性炭が担持されてなる。前記活性炭は、粉末状の活性炭(椰子殻活性炭50〜80メッシュ)とポリエチレンの粉末(平均粒径約45メッシュ)とを重量比で2対1の割合で混合し、この混合物を、直径2.5cm、深さ1.5mmの円形となるように折曲加工した網体(目穴150メッシュ)に充填し、この一方面から多方面に向かって温度180℃の水蒸気を20秒間透過させることによって直径2.5cm、厚さ1.5mmに成形した粒状物である。粘着層を形成してある支持体に、前記粒状の活性炭を担持させて成るお灸シートを、人体のツボ箇所の皮膚表面に貼付して使用するものである。お灸シートを皮膚表面にしばらく貼付しておくと、粒状の活性炭の厚さが1.5mmもあるので、皮膚に痒みを伴う圧痕が残り、不具合であった。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フェノール樹脂を除く炭化水素を主要構成成分とする人工高分子化合物あるいはフェノール樹脂を除く炭化水素を主要成分とする有機固形廃棄物(例えば、炭化水素を主体とする人工高分子化合物である廃タイヤ等のプラスチック製品廃棄物を裁断したチップ状裁断物)の原料を無酸素熱分解して得られる無酸素乾留熱分解物である一次の活性炭又は活性炭化物と、前記無酸素熱分解して得られる前記一次の活性炭又は活性炭化物を更に賦活化処理して得られる二次の活性炭又は活性炭化物とのうち少なくとも一種からなる活性炭又は活性炭化物を、シリコンゴムに混合して練り込んだ健康シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の場合、フェノール樹脂を除く炭化水素を主要成分とする人工高分子化合物あるいはフェノール樹脂を除く炭化水素を主要成分とする有機固形廃棄物の無酸素乾留熱分解物である一次の炭化物と、一次の炭化物を更に賦活化処理して得られる二次の活性炭とのうち少なくとも一種からなる炭化物、活性炭又は炭化物と活性炭の混合物20〜60重量%を、シリコンゴム40〜80重量%に混ぜて練り合わせる工程と、成形型に入れて加圧する工程と、180℃〜200℃にて5分間の1次加熱する工程と、180℃にて3〜4時間の2次加熱する工程と、成形型から取り出し裁断する工程からなることを特徴とする健康シートの製造方法である。
請求項2の発明の場合、請求項1の方法により製造したことを特徴とする健康シートである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の健康シートに含まれる一次又は二次、あるいは一次と二次の混合物の何れかの活性炭又は活性炭化物において、炭素の純度は、竹炭や稲藁活性炭の炭素の純度よりかなり高い(炭素の純度は90.0%以上である)。即ち、この一次又は二次、あるいは一次と二次の混合物の何れかの炭化物、活性炭又は炭化物と活性炭の混合物は、陽イオンの吸着能力が極めて強いため、この健康シートの周囲は相対的に陰イオン(いわゆるマイナスイオンとも言う)が多い状態となる。この健康シートは、表面のゴム硬度が軟らかくて柔軟性があり、身体に違和感なく馴染みやすくて良い感触の健康シートである。そして、この健康シートを身体に接触したり装着して使用することにより、生体の細胞を活性化し自律神経や内分泌機能を調整して人体の精神安定、免疫力向上、疲労軽減などの効果(マイナスイオン効果)を受けることが可能である。更に、この一次又は二次、あるいは一次と二次の混合物の何れかの活性炭又は活性炭化物は、遠赤外線放射作用があるために、この健康シートを身体に接触したり装着して使用することにより、皮膚温度が上昇し、血行が良くなり筋肉の凝りや痛みや疲れを解消ないし抑えたり、即ち、疲労の回復や筋肉痛や神経痛を解消したり抑制するなどの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る、実施例1の健康シート本体の正面図である。
【図2】本発明に係る、実施例2の健康シートを含む座布団の正面図である。
【図3】本発明に係る、実施例3の健康シートを含むシーツの正面図である。
【図4】図4(a)は本発明に係る、実施例4の健康シート本体の正面図であり、図4(b)は側面図である。
【図5】図5(a)は本発明に係る、実施例5の健康シートの正面図であり、図5(b)は側面図である。
【図6】健康シート使用前の、62歳女性の手の甲のサーモグラフである。
【図7】実施例5の健康シート使用後44秒経過の、62歳女性の手の甲のサーモグラフである。
【図8】実施例5の健康シート使用後10分経過の、62歳女性の手の甲のサーモグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
請求項1の発明の場合、図1は、本発明に係る実施例1の健康シート1の正面図である。図1を参照して、フェノール樹脂を除いた炭化水素を主要成分とする人工高分子化合物あるいはフェノール樹脂を除く炭化水素を主要成分とする有機固形廃棄物の無酸素乾留熱分解物である一次の活性炭又は活性炭化物と、一次の炭化物を更に賦活化処理して得られる二次の活性炭とのうち少なくとも一種からなる炭化物、活性炭又は炭化物と活性炭の混合物40重量%を、シリコンゴム60重量%に混ぜて練り合わせる工程と、成形型に入れて厚さ0.4mm〜0.6mm望ましくは0.5mmに加圧する工程と、180℃〜200℃にて5分間の1次加熱する工程と、180℃にて3〜4時間の2次加熱する工程と、成形型から取り出し輪郭2を整え切断し(ここでは長方形であるが動物の形や花の形等種々の形が考えられる。)、更に、複数の丸孔3を打ち抜く裁断工程からなることを特徴とする健康シート1である。
【0014】
本発明の健康シート1に含まれる一次又は二次、あるいは一次と二次の混合物の何れかの活性炭又は活性炭化物において、炭素の純度は、竹炭や稲藁活性炭の炭素の純度よりかなり高い(炭素の純度は94.4%である)。即ち、この一次又は二次、あるいは一次と二次の混合物の何れかの炭化物、活性炭又は炭化物と活性炭の混合物は、陽イオンの吸着能力が極めて強いため、この健康シート1の周囲は相対的に陰イオン(いわゆるマイナスイオンとも言う)が多い状態となる。この健康シート1は、表面のゴム硬度が軟らかくて柔軟性があり、身体に違和感なく馴染みやすくて良い感触の健康シート1である。そして、この健康シート1を身体に接触したり装着して使用することにより、生体の細胞を活性化し自律神経や内分泌機能を調整して人体の精神安定、免疫力向上、疲労軽減などの効果(マイナスイオン効果)を受けることが可能である。更に、この一次又は二次、あるいは一次と二次の混合物の何れかの炭化物、活性炭又は炭化物と活性炭の混合物は、遠赤外線放射作用があるために、この健康シート1を身体に接触したり装着して使用することにより、皮膚温度が上昇し、血行が良くなり筋肉の凝りや痛みや疲れを解消ないし抑えたり、即ち、疲労の回復や筋肉痛や神経痛を解消したり抑制するなどの効果を奏する。
【実施例2】
【0015】
図2は、本発明に係る、実施例2の健康シート1を含む座布団10の正面図である。布団カバー11を構成する布地の内側に接着剤にて健康シート1を(ここでは9枚)を貼付してある。座布団10においては、前記健康シート1と同様な効果を有すると共に、図示してないが、座布団カバー11の一側端部に設けてあるファスナーを開くことにより、布団カバー11を取り外して、洗濯が可能である。特に車椅子用の座布団カバー11においては、洗濯して清潔な座布団カバー11を着用した座布団が使えて使用者が気持ち良く車椅子を使用できて便利である。
【実施例3】
【0016】
図3は本発明に係る、実施例3の健康シート1を含むシーツ15の正面図である。1面側に熱溶着用の接着剤が塗布してある一方の布(第1の布帛)16と1面側に熱溶着用の接着剤が塗布してある他方の布(第2の布帛)17とを、互いに熱溶着用の接着剤面側を対向させて、間に健康シート1(ここでは25枚)を挟持するように配置して、アイロンをかけて、一方の布(第1の布帛)16と他方の布(第2の布帛)17とを重ね合わせて接着してシーツ15が仕上がっている。このシーツ15は、健康シート1と同様な効果を有すると共に、このままの状態で洗濯できて便利である。
【実施例4】
【0017】
図4(a)は本発明に係る、実施例4の健康シート4の正面図であり、図4(b)は健康シート4の側面図である。この粒状の健康シート4は、図1の丸穴3を、プレス機にて丸穴3を開けた際の打ち抜き部材を利用するものである。
【実施例5】
【0018】
図5(a)は本発明に係る、実施例5の貼付形健康シート20の正面図であり、図5(b)は、その側面図である。この貼付形健康シート20においては、既知の天然繊維及び/又は人造繊維から成るフィルムないしシート、又、高分子材料から成るフィルムないしシートとを適宜選択して用いることが出来る支持体21の一方面上に、人体への粘着可能な粘着剤層21aを形成し、この粘着層21aに粒状の健康シート4が担持されてなる。
【0019】
この貼付形健康シート20を人体に貼付して使用すると、本発明の貼付形健康シート20に含まれる一次又は二次、あるいは一次と二次の混合物の何れかの炭化物、活性炭又は炭化物と活性炭の混合物において、炭素の純度は、竹炭や稲藁活性炭の炭素の純度よりかなり高い(炭素の純度は90.0%以上である)。即ち、この一次又は二次、あるいは一次と二次の混合物の何れかの炭化物、活性炭又は炭化物と活性炭の混合物は、陽イオンの吸着能力が極めて強いため、この貼付形健康シート20の周囲は相対的に陰イオン(いわゆるマイナスイオンとも言う)が多い状態となる。この貼付形健康シート20は、表面のゴム硬度が軟らかくて柔軟性があり、身体に違和感なく馴染みやすくて良い感触の貼付形健康シート20である。そして、この貼付形健康シート20を身体に接触したり装着して使用することにより、生体の細胞を活性化し自律神経や内分泌機能を調整して人体の精神安定、免疫力向上、疲労軽減などの効果(マイナスイオン効果)を受けることが可能である。更に、この一次又は二次、あるいは一次と二次の混合物の何れかの炭化物、活性炭又は炭化物と活性炭の混合物は、遠赤外線放射作用があるために、この貼付形健康シート20を身体に接触したり装着して使用することにより、皮膚温度が上昇し、血行が良くなり筋肉の凝りや痛みや疲れを解消ないし抑えたり、即ち、疲労の回復や筋肉痛や神経痛を解消したり抑制するなどの効果を奏する。
【0020】
(実験1)図6は62歳の女性、左手の甲、リュウマチにより手指関節に変形あり、実施例5の貼付形健康シート20を小指先と薬指にそれぞれ貼着けた。その時、小指の先の温度は20.83℃、薬指の先の温度は18.83℃であった。
図7は図6の女性において、実施例5の貼付形健康シート20を小指先と薬指にそれぞれ貼着けてから、44秒経過後の小指の先の温度は21.89℃、薬指の先の温度は19.61℃であった。
図8は図6の女性において、実施例5の貼付形健康シート20を小指先と薬指にそれぞれ貼着けてから、10分経過後の小指の先の温度は27.33℃、薬指の先の温度は28.22℃であった。
小指22で6.5℃温度上昇し、薬指23で8.61℃上昇した。実施例5の貼付形健康シート20の効果が確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の健康シートは、医療用の寝具や、座布団は車椅子等の福祉用座布団や、下着類メーカ等に幅広く貢献できる。
【符号の説明】
【0022】
1 健康シート
2 輪郭
3 丸孔
4 粒状の健康シート
10 座布団
11 座布団カバー
15 シーツ
16 第1の布帛
17 第2の布帛
20 貼付形健康シート
21 支持体
21a 粘着剤層
22 小指
23 薬指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール樹脂を除いた炭化水素を主要構成成分とする人工高分子化合物あるいはフェノール樹脂を除いた炭化水素を主要成分とする有機固形廃棄物の無酸素乾留熱分解物である一次の炭化物と、
前記一次の炭化物を更に賦活化処理して得られる二次の活性炭とのうち少なくとも一種からなる炭化物、活性炭又は炭化物と活性炭の混合物20〜60重量%を、シリコンゴム40〜80重量%に混ぜて練り合わせる工程と、
成形型に入れて加圧する工程と、
180℃〜200℃にて5分間の1次加熱する工程と、
180℃にて3〜4時間の2次加熱する工程と、
成形型から取り出し裁断する工程とからなることを特徴とするシリコンゴムシートの製造方法。
【請求項2】
請求項1の方法により製造したシリコンゴムシートを用いた健康シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−187778(P2010−187778A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33109(P2009−33109)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(505094102)
【Fターム(参考)】