説明

健康データ収集装置

【課題】高齢者を含めた幅広いユーザーが使いやすい簡易なユーザーインターフェースを持ちながら多くの情報を収集することができ、より質の高い健康管理が行える健康データ収集装置を提供する。
【解決手段】健康管理提供者が提供した設問に対し、健康管理対象者が音声または画像で回答した内容が、音声入力回路161・画像入力回路151で音声データ・画像データに変換され、一旦メモリ180に記憶される。メモリ180に記憶された音声データ・画像データは、通信制御装置121により通信ネットワーク400を経由してセンターサーバ301に転送され、データベースサーバ311に蓄積される。健康管理提供者は医師端末201を用い、それらの音声データ・画像データをデータベースサーバ311から取り出して再生し、問診等の回答に対し音声や画像によって情報を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在宅などにおいて血圧や血糖などの健康情報を収集する健康データ収集装置に関し、更に詳しくは、これらの健康情報を、医師等の健康管理提供者が遠隔的に患者等の健康管理対象者の健康状態を把握するために利用する健康データ収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような健康データ収集装置として、データ入力部と通信部を備え、通信回線によって外部の通信先と通信を行うものがあった(特許文献1参照) 。図9に従来の健康データ収集装置の構成を示す。
【0003】
従来の健康データ収集装置は、大きく分けて健康管理対象者である患者側に設置される患者端末100と、患者端末100により収集されたデータを蓄積するデータベースサーバ310を備えたセンターサーバ300と、データベースサーバ310に蓄積されたデータを健康管理提供者である医師等が参照するための医師端末200とを備え、これらの端末とサーバが通信ネットワーク400で接続された構成となっている。
【0004】
患者端末100は、体温計や血圧計などの患者の生体データを収集するための測定手段としてバイタルセンサ110と、バイタルセンサ110で収集されたデータを記憶するメモリ111と、通信制御装置120を備えている。なお、図示しないが、通信制御装置120は、被測定者が操作するための操作手段と、メモリ111に記憶したデータを、通信ネットワーク400を介してセンターサーバ300に伝送するための通信手段を備えている。患者端末100には、このほかに画像と音声を使用して医師端末200と通信ができるTV電話装置130が備えられている。
【0005】
一方、医師端末200は、センターサーバ300と通信を行う通信手段と医師がデータを参照するために表示を行う出力手段とを備えた通信制御装置210と、患者端末100のTV電話装置130と通話を行うためのTV電話装置220が備えられている。
【0006】
図10に患者端末100の外観を示す。患者端末100には患者に対し表示を行うための液晶表示器140と、その前面に患者が操作をするためのタッチパネル170と、バイタルセンサの一つとして体温計112が接続され、更に患者端末のTV電話装置130の音声入力手段としてのマイク160と、画像入力手段としてのカメラ150が備えられている。
【0007】
図11に患者端末100の液晶表示器140に表示されている操作メニューのイメージを示す。患者端末100では、前述した体温計112などのバイタルセンサ110を用いて生体情報を収集する測定のほか、いろいろな機能が使用できるようになっている。中でも生体情報を収集することに次いで役立つ機能として問診機能がある。
【0008】
図11に示したメインメニューにおいて、問診キー141が表示されている画面に触れると、タッチパネル170により操作が受け付けられ問診の機能が動作する。
【0009】
図12に問診の機能が動作しているときの画面の一例を示す。画面には医師があらかじめ設定した設問11と、それに対する回答12〜14が表示されている。患者は画面の設問11に対する回答が示されている部分12〜14のいずれか、たとえば13の「2.あまり眠れなかった」に触れれば、回答が受け付けられるようになっている。受け付けられた回答は患者端末100の通信制御装置120を経てセンターサーバ300内のデータベースサーバ310に蓄えられる。
【0010】
医師は、データベースサーバ310に蓄積された問診データを取り出して医師端末200の表示手段で閲覧することにより、患者の状態を把握することができる。図13に医師端末200で問診回答を表示している状態の画面を示す。画面の左側に問診の設問番号15が表示され、右側にその患者が回答した内容16が表示されている。医師はこの画面をみると、たとえば設問Q1については回答が2であったことがわかり、患者があまりよく眠れていないことがわかる。
【0011】
このように問診機能を使えば、遠隔地にいても生体情報以外の患者の状態を把握することができ、健康管理に役立つ。
【0012】
更に従来の健康データ収集装置には、医師側から患者にメッセージを伝える手段も用意されている。図11のアドバイスキー142に触れたときに動作するアドバイス機能がこれにあたる。この機能はあらかじめ医師により設定されたメッセージを表示するためのもので、医師側から患者側への簡易な電子メール機能となっている。
【0013】
図11のアドバイスキー142に触れると、患者端末100には図14のような画面が表示される。この場合、医師から患者へ血圧測定に対するアドバイスが表示されている。患者はメッセージ17を読んで、内容を理解したら終了キー18を押して画面を閉じる。このように、アドバイス機能は医師から患者に対してメッセージを送り、きめこまやかな健康管理をするために役立てる。
【0014】
更に、従来の健康データ収集装置には、医師側から患者のスケジュールを設定する機能がある。図11のスケジュールキー143に触れたときに動作するスケジュール機能がこれにあたる。
【0015】
この機能は、あらかじめ医師により設定されたスケジュールを表示するもので、日時を指定して患者に対して確実な指示を与えることができるものである。臨床の場では直接患者に会って指示を与えることができるが、遠隔での健康管理ではそれが十分にできない。決まった時間に決まったことを行うことは健康管理の基本であり、これができないと健康管理が十分にできない場合があるので、スケジュール機能は非常に有用な機能である。
【0016】
図11のスケジュールキー143に触れると、図15のような画面が表示される。19〜21の欄にそれぞれの日時に対して患者が行うべき内容が表示されており、患者はこの画面を参照し、決められたスケジュールどおり行動することにより、確実な健康管理をすることができる。
【0017】
このように従来の健康データ収集装置は、医師と患者に物理的距離がある場合でも、体温などの生体データ以外に問診機能により患者の健康状態を医師が把握できた。更に、医師からの指示はアドバイス機能により患者に伝わるとともに、スケジュール機能で患者に指示を与えることができるので、医師と患者が相互に行き来することが充分できない場合でも、健康ケアができる環境を提供することができた。
【特許文献1】特開2002ー83066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、健康管理対象者は高齢者の場合が多く、操作手段として簡易なものを用いる必要があるため、上記従来の健康データ収集装置では以下のような間題点があった。
【0019】
まず問診機能においては、医師があらかじめ設定した設問に対する回答を選択肢として用意している。これは、前述のとおり操作手段として簡単なものしか用意できないという制約から、逆に簡単な設問や数字で解答できるような設問しか用意できないということになってしまう。
【0020】
例えば、前述した図12の「よく眠れましたか」という設問に対しては、図に示すような選択肢が用意してあるが、患者としては、「よく眠れたほどではないが、あまり眠れなかったわけではない」のように選択肢と微妙に異なる回答の場合もあるし、「2.あまり眠れなかった」の内容も「眠っていたが眠りが浅かった」や「夜中よく目がさめる」などとさまざまな回答が考えられる。
【0021】
逆に、これらをすべて選択肢として用意すると回答が膨大になり、回答するだけで疲れてしまうような状況も発生しうる。このように、操作をシンプルにしてあるため、問診の設問はどうしても内容に制約が生じてしまう。
【0022】
次にアドバイス機能であるが、この機能は基本的に医師側から患者に対するメッセージを送る機能である。この機能は簡易な電子メールの機能と言え、医師は短いメッセージの中で確実に患者に伝わるようメッセージを考えて送信することになる。
【0023】
例えば、図14における血圧測定についてのメッセージに対して、それをそのまま患者が理解できればよいが、場合によってはメッセージに対して質問したいこともあると考えられる。
【0024】
通常の電子メールの場合、送られてきたメッセージに対する質問などがあれば、それに対する返信として文字でメッセージを返すことになる。しかしながら、前述した健康データ収集装置の患者端末100は、高齢者が使用することを想定しているため、キーボードなどの文字入力をするためのデバイスが省略されており、操作はできるだけシンプルにしてある。したがって、患者側からの文字情報による返信は事実上不可能なので、返信の機能が省かれている。このため、この機能は医師側からの一方的な情報発信のみしかできない。
【0025】
また、スケジュール機能であるが、この機能は医師から患者に対して指示を与えるものであるが、スケジュールを参照してそのとおり実行しているかどうかは患者にしかわからず、医師はその状態を把握することができない。
【0026】
健康データ収集装置は、患者と医師が遠隔地にいることが想定されているので、医師が患者のスケジュール実行状態を確認しようとすれば、電話などの通信手段に頼らざるを得ない。この場合、スケジュールごとに毎回実行したかどうかを確認することは困難なため、たとえば数日ごとの内容を確認することになる。このような状況では、患者も実行したかどうかを覚えていることも大変であるし、医師側も状況を把握しかねるので、十分効果的な健康管理ができない。
【0027】
本発明は上記課題を解決するため、高齢者でも扱いやすいユーザーインターフェースを維持しながら、患者側からの詳細な情報発信を可能とすることにより遠隔地での健康管理をより簡単にし、更に、患者と医師の間のコミュニケーションを円滑にして、より健康管理の質を高める健康データ収集装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記目的を達成するために、本発明の第1の健康データ収集装置は、
健康管理提供者があらかじめ設定した質問に関する第1のデータ、および前記第1のデータに関連した第2のデータを蓄積するサーバと、
通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1のデータを読み出して第1の表示手段に表示するとともに、健康管理対象者が前記第1の表示手段に表示された質問に対して音声または画像で行った回答を音声データまたは画像データに変換し、この変換データを、前記通信ネットワークを介し、前記第2のデータとして前記サーバに転送する第1の端末と、
前記通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1および第2のデータを読み出し、少なくとも前記第2のデータである音声データまたは画像データを音声または画像に変換する第2の端末とを備えたものである。
【0029】
本発明の第1の健康データ収集装置において、前記第2のデータは、前記音声データまたは画像データに加えて、質問に対し健康管理対象者が選択した回答の内容を含むことが好ましい。
【0030】
また、上記目的を達成する本発明の第2の健康データ収集装置は、
健康管理提供者が入力したメッセージに関する第1のデータ、ならびに前記第1のデータに関連した第2のデータを蓄積するサーバと、
通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1のデータを読み出して第1の表示手段に表示するとともに、前記第1の表示手段に表示された内容に対して健康管理対象者が音声または画像で行った返事を音声データまたは画像データに変換し、この変換データを、前記通信ネットワークを介し、前記第2のデータとして前記サーバに転送する第1の端末と、
前記通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1および第2のデータを読み出し、少なくとも前記第2のデータである音声データまたは画像データを音声または画像に変換する第2の端末とを備えたものである。
【0031】
更に、上記目的を達成する本発明の第3の健康データ収集装置は、
健康管理提供者があらかじめ設定したスケジュールに関する第1のデータ、ならびに前記第1のデータに関連した第2のデータを蓄積するサーバと、
通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1のデータを読み出して第1の表示手段に表示するとともに、前記表示手段に表示したスケジュールを健康管理対象者が実行したかどうかの回答に関連して健康管理対象者が音声または画像で行ったコメントを音声データまたは画像データに変換し、この変換データを、前記通信ネットワークを介し、前記第2のデータとして前記サーバに転送する第1の端末と、
前記通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1および第2のデータを読み出し、少なくとも前記第2のデータである音声データまたは画像データを音声または画像に変換する第2の端末とを備えたものである。
【0032】
本発明の第3の健康データ収集装置において、前記第2のデータは、前記音声データまたは画像データに加えて、健康管理対象者が前記スケジュールで指示された内容を実行したかどうかの回答を含んでいることが好ましい。
【0033】
また本発明の各健康データ収集装置において、前記第1の端末は、健康管理対象者が操作する操作手段を備え、前記操作手段はタッチパネルまたは押しボタンで構成されていることが好ましい。もしくは、前記第1の端末は、健康管理対象者の音声を認識して操作信号に変換する音声認識手段を備えていてもよい。
【0034】
また本発明の各健康データ収集装置において、前記第1の端末は、健康管理対象者が前記操作手段により画像で回答する指示を行った後、一定時間後に画像を取り込む遅延手段を備えていることが好ましい。この場合、前記遅延手段は、更に画像を取り込むタイミングを報知するタイミング報知手段を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明の健康データ収集装置によれば、健康データ収集端末の各機能に対する回答を音声または画像による情報とすることにより、従来から使用されている簡単な操作で使用できるユーザーインターフェースを踏襲しながら、医師等に提供する情報量を格段に増やすことができる。従って、高齢者にとって扱いにくいキーボードやマウスなどといった入力装置を使用することなく、健康管理対象者から実用性の高い情報発信をすることができる。
【0036】
このことにより医師側にとっては、数値データや単純な選択肢データだけでは判断しにくい情報でも、音声や画像による回答を組み合わせて総合的に判断することによって、より適切な判断を行うことができる。
【0037】
また、健康管理対象者にとっても、従来、わざわざ電話等で医師に相談するほどではないが、ほんのちょっと伝えたいことなどを手軽に医師に伝えることができる。従って、医師側、患者側双方のコミュニケーションが円滑に行え、信頼関係をより密にすることができるため、遠隔での健康管理の質を格段に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における健康データ収集装置の構成を示すブロック図である。図中、図9の従来装置と同一機能を有するブロックには同一符号を付し、具体的説明はそれらを援用する。
【0040】
図1において、健康データ収集装置は、大きく分けて、健康管理対象者である患者側に設置される患者端末101と、患者端末101により収集されたデータを蓄積するデータベースサーバ311を備えたセンターサーバ301と、センターサーバ301に蓄積されたデータを健康管理提供者である医師等が参照するための医師端末201と、これらの端末とサーバ間を接続する通信ネットワーク400で構成されている。
【0041】
患者端末101は、患者に対して情報を表示する液晶表示器140と、患者が操作するためのタッチパネル170と、患者の音声を入力するマイク160と、マイク160からの音声信号を音声データに変換する音声入力回路161と、音声入力回路161からの音声データをメモリ180に記憶するとともに、メモリ180に記憶されたデータを読み出し、通信ネットワーク400を介してセンターサーバ301へ送る通信制御装置121で構成されている。
【0042】
更に、患者端末101は、画像を入力するカメラ150を備え、カメラ150からの画像は、健康管理対象者から画像取り込みの操作を受け付けてから画像を取り込むタイミングを一定時間遅らせる遅延回路152を経て、画像を画像データに変換する画像入力回路151に入力する。画像入力回路151で変換された画像データは通信制御装置121を介して一旦メモリ180に記憶される。
【0043】
なお、遅延回路152には、遅延のタイミングを報知する手段としてブザー153ならびに表示ランプ154が備えられている。更に、音声入力回路161からの音声データは、音声認識回路162に入力されて操作信号に変換され、通信制御装置121に入力される。
【0044】
本実施の形態の患者端末101が、図9に示した従来の患者端末100と異なる主な点は、音声入力回路161、画像入力回路151およびメモリ180を備え、音声と映像を音声データと画像データに変換してメモリ180に記憶する点である。
【0045】
一方、医師端末201は、センターサーバ301と通信を行う通信制御装置211、医師がデータを参照するために表示を行うCRTディスプレイ230、データベースサーバ311から読み出したデータを記憶するメモリ240、およびメモリ240に記憶された音声データを音声に変換し、スピーカ251から出力する音声再生回路250で構成されている。
【0046】
なお、上記本実施の形態の健康データ収集装置において、患者端末101は本発明の第1の端末、医師端末は本発明の第2の端末を構成し、また液晶表示器140は本発明の第1の表示手段を、CRTディスプレイ230は本発明の第2の表示手段を構成する。更に、タッチパネル170は本発明の操作手段を、音声認識回路162は本発明の音声認識手段を、遅延回路152は本発明の遅延手段を、ブザー153および表示ランプ154は本発明のタイミング報知手段を構成する。
【0047】
次に、本実施の形態における健康データ収集装置の動作について説明する。最初に、同装置で発揮しうる機能のうち問診機能について説明する。なお患者端末101における操作メニューは、図11に示した従来の健康データ収集装置と同じであるとして説明を行う。
【0048】
図11における問診キー141に触れると、液晶表示器140に図2に示す画面が表示される。図中11は医師によりあらかじめ設定された設問であり、回答として、従来装置と同じく選択肢12〜14が表示されている。患者は、この画面を見ながら選択肢と合致するものがあれば、選択肢エリア12〜14のいずれかの部分に触れると、タッチパネル170によってその回答が選択される。
【0049】
ここで従来と異なる点は、選択肢の1つに音声回答23が用意されている点にある。もし、患者が12〜14の選択肢以外の回答をしたいと思ったとき、患者は音声回答キー23に触れ、マイク160に向かって回答を話せばよい。
【0050】
このとき患者端末101の内部では、マイク160から音声信号が音声入力回路161に入力され、ここで音声データに変換されて一旦メモリ180に記憶された後、通信制御装置121より通信ネットワーク400を通じてセンターサーバ301に転送され、データベースサーバ311に蓄えられる。
【0051】
本実施の形態において、音声回答は他の選択肢と独立して操作してもよいし、他の選択肢をどれか選択した後、数秒以内に音声信号キー23に触れて音声回答をすれば、その両方のデータがセンターサーバ301に送信される。たとえば、患者が選択肢13の「2.あまり眠れなかった」を選択した後、数秒以内に音声回答キー23に触れて「夜中に何度も目がさめます」と回答すれば、選択肢13を選択したデータと音声データがデータベースサーバ311に蓄えられることになる。個々の音声データはそれぞれファイルに格納され、設問内容や患者の選んだ選択肢の番号と関連付けてデータベースサーバ311に蓄積される。なお、音声回答キー23に触れた後に他の選択肢のキーを押しても同様に関連付けて蓄積される。
【0052】
医師は医師端末201を操作し、通信ネットワーク400を通じてデータベースサーバ311から該当する患者のデータを取り出し、一旦メモリ240に記憶するとともに、CRTディスプレイ230に表示する。このときの医師端末201の画面イメージを図3に示す。
【0053】
図3に示すように、問診結果として、問診の設問番号24と患者が選んだ選択肢の結果25が表示される。従来と異なる点は、選択肢以外に音声回答マーク26が表示される点である。これは、前述したとおり、患者が選択肢13を選択した後、音声回答キー23に触れて「夜中に何度も目がさめます」と音声で回答したためである。
【0054】
医師が、図示しないマウス等を用いて画面上の音声回答マーク26にポインタを当ててクリックすると、通信制御装置211はメモリ240に記憶されたデータから音声回答マーク26に対応するファイルの音声データを読み出して音声再生回路250に出力する。音声再生回路250では音声データを音声に変換してスピーカ251に出力する。従って、医師は患者の音声データとして「夜中に何度も目がさめます」という音声を聞きとることができる。
【0055】
これによって、「よく眠れましたか?」という問診設問に対して患者が「あまり眠れなかった」ことがわかり、更にその中身として、「夜中に何度も目がさめる」という情報を得ることができるため、医師はこの情報を基に、従来より更に適切な対応を行うことができる。なお、医師端末201に問診結果を表示するにあたり、問診の設問番号24、選択肢の結果25に触れるかマウス等でクリックすると、音声合成で設問内容等を音声として出力するようにしてもよい。こうすることで、設問内容と患者の音声回答とが対応付けて聞くことができ、情報が的確に伝わり、誤判断を防ぐことができる。
【0056】
次にアドバイス機能について説明する。図11のメニュー画面のアドバイスキー142に触れるとアドバイス機能が起動し、液晶表示器140に図4の画面が表示される。
【0057】
この例では、従来例と同じく血圧測定に関する医師からのアドバイスがアドバイスエリア17に表示されている。従来と異なる点は、返事を録音する録音キー27があることである。もし、患者がこのアドバイスをアドバイスエリア17内で読み取り、これに対する返事をしたい場合、画面上の録音キー27に触れ、返事をマイク160に向かって話す。
【0058】
このとき患者端末101の内部では、マイク160から音声信号が音声入力回路161に伝わり、音声入力回路161で音声データに変換された後、一旦メモリ180に記憶され、その後、通信制御装置121により通信ネットワーク400を通じてセンターサーバ301に転送され、データベースサーバ311に蓄えられる。
【0059】
例えば、患者が図4に示すアドバイスに対して「血圧測定前はなぜ安静にしないといけないのですか?」と質問をしたとする。医師が医師端末201を操作して、該当する患者の返事を読み出せば上記音声が再生されるので、医師はそれに対して適切な回答を、再度アドバイスメッセージを登録することによって返せばよい。
【0060】
次にスケジュール機能について説明する。図11のメニュー画面のスケジュールキー143に触れるとスケジュール機能が起動し、練晶表示器140に図5の画面が表示される。画面上には、従来と同じく日付と時間およびスケジュール内容が表示されるエリア19〜21に加え、それぞれのエリアに対し回答手段としての実行キー28と音声キー29が付加されている。それぞれのキーは下記のように使用する。
【0061】
患者がスケジュールエリア19の血圧の測定を実行したとする。患者は血圧測定のあと実行キー28に触れると、そのスケジュールが実行されたことがメモリ180に記憶された後、通信制御装置121によって通信ネットワーク400を通じてセンターサーバ301に転送され、データベースサーバ311に蓄えられる。
【0062】
医師が医師端末201を操作して、データベースサーバ311から該当する患者のデータを取り出し、CRTディスプレイ230にそのデータを表示してスケジュール実行状態を確認すれば、実行キー46が押されたことが確認できるので、医師は患者に対し指示が伝わっていることを確認できる。
【0063】
更に、例えば、患者が図5におけるエリア20の「薬を飲んでください」の指示を実行しようとしたときに、薬の残りが最後の1回分であることに気づいたとする。このとき、患者は音声キー29に触れて「薬が最後の1回分でした」というコメントをマイク160に向かって話す。患者端末101の内部では、マイク160より音声信号が音声入力回路161に伝わり、ここで音声データに変換されて一旦メモリ180に記憶された後、通信制御装置121によって通信ネットワーク400を通じてセンターサーバ301に転送され、データベースサーバ311に蓄えられる。
【0064】
このケースの場合、医師が医師端末201を操作して、データベースサーバ311から該当する患者のスケジュール実行状態に関するデータを取り出し、それをCRTディスプレイ230に表示してスケジュール実行状態を確認すれば、医師は患者に対し指示が伝わっていることが確認できるとともに、音声によって薬が切れてしまったことが確認でき、次の薬の準備など適切な処置をすることができる。
【0065】
このように、本実施の形態の健康データ収集装置において、問診機能にあっては、問診の回答を音声データとして記憶し、それを医師端末201側で再生できるようにしたため、被測定者側から実用性の高い情報発信をすることができ、問診で得られる情報量を格段に増加させることができる。
【0066】
更に、患者端末101側にはタッチパネル170のようなシンプルなインターフェースを用いることができ、キーボードやマウスなどといった高齢者が扱いづらい入力装置を使用することなく上記目標を達成できる。
【0067】
これにより、医師にとっては問診の選択肢だけでは判断しにくい情報でも、音声による回答を組み合わせて総合的に判断することによって、より適切な判断をすることができる。また、患者側にとっても、従来、わざわざ電話等で医師に相談するほどではないが、ほんのちょっと伝えたいことなどを手軽に医師に伝えることができる。このため、医師側、患者側双方のコミュニケーションが円滑に行え、信頼関係をより密にすることができるなど、遠隔での健康管理の質を格段に向上させることができる。
【0068】
またアドバイス機能にあっては、医師側からのアドバイスに対する患者側からの返事の音声データを記憶し、それを医師端末201側で再生できるようにしたため、患者側からタッチパネル170のようなシンプルなインターフェースを用いて返事を返すことができ、キーボードやマウスなどといった高齢者が扱いづらい入力装置を使用することなく、医師に対し自らの不安点、疑問点などを伝えることができる。
【0069】
これにより、患者側からすれば、自らの思いを医師に伝えられることによる安心感を得ることができ、また医師側にとっては、患者の考えていることがよくわかるようになり、医師側、患者側双方のコミュニケーションが円滑に行える。このため、医師と患者の間の信頼関係をより密にすることができ、遠隔での健康管理の質を格段に向上させることができる。
【0070】
更にスケジュール機能にあっては、医師側から設定されたスケジュールを患者が実行しているかどうかのデータと、その実行状況を示す音声データを記憶し、それを医師端末201側に出力できるようにした。このため、患者側へ医師の指示が確実に伝わっていることが確認でき、更に音声によって患者側の実行状況を把握することができるので、よりきめ細かい健康管理を提供することができる。
【0071】
次に、画像データの入力について説明する。たとえば問診に対して画像で回答するケースを例に挙げる。図6にそのときの問診画面を表示する。
【0072】
設問は31に示すように「どこか痛いところはありますか」となっており、回答として腕や足などが上げられている。健康管理対象者はこの画面を見ながら、たとえば腕であれば選択肢32に触れ、「腕が痛い」を選択することができる。
【0073】
しかしながら、腕といっても範囲が広くもう少し詳細を伝えたいと思った場合、画像回答35を選択する。このとき、図1においてカメラ150から画像信号が入力される。遅延回路152では、健康管理対象者が図示しない画像回答ボタンを押してから10秒間、画像信号を画像入力回路151に送るのを遅延する。同時に、遅延回路152からの信号によって、遅延中は表示ランプ154が点灯し、ブザー153が1秒毎に0.2秒間鳴動し、撮影前の待機時間であることを健康管理対象者に知らせる。10秒経過時点で表示ランプ154が消灯し、ブザー153が1秒間鳴動し、同時に画像信号が画像入力回路151に送られ、ここで画像データに変換された後、一旦メモリ180に記憶される。
【0074】
健康管理対象者はこの動作により、画像回答をする操作を行ってから自分の腕の中で痛い部位をもう一方の手で指し示すしぐさをしながらカメラ150に向かっていれば、表示ランプ154とブザー153の状態により、遅延中(待機中、準備中)および画像データが送られたタイミングを把握することができる。
【0075】
このように画像を用いて問診に回答する場合、選択肢を用いて問診に回答する従来の方法に比較して格段に表現力が増す。前述の例で言えば、従来では「腕が痛い」という情報だけであったが、文字によっても説明しにくい場所などでも、指し示した画像を表示するという簡単な操作で、健康管理対象者側からの情報量が飛躍的に増し、その結果として非常にきめこまやかな健康管理が実現できる。
【0076】
また、このときの操作を画面に触れることなく、音声による指示で行うこともできる。この場合、健康管理対象者はマイク160に向かい、「画像回答」と音声を発する。マイク160に入力された音声は音声認識回路162で文字に変換された後、通信制御装置121に入力され、前述の動作のうち画像回答35を画面上で操作したのと同等の指示を受け付けることができる。以下の動作は、画像データの入力の場合と同様の動作となるので、詳細な説明は省く。なお、音声による操作は、この例にあげた画像回答のみならず、問診への回答全般に適用してもよいし、健康データ収集装置そのものの操作に用いてもかまわない。
【0077】
このように音声認識回路162を設けて音声による操作を行うことができれば、手が使えないような場合や、操作がうまくできないような状態においても、音声を発声することさえできれば機器の操作が可能となるため、より多くの人が健康データ収集装置により健康管理の対象となる。
【0078】
音声による機器の操作は、現在では一般化しつつある技術であるが、本実施の形態のように音声や画像による問診への解答、アドバイスへの返事、スケジュールの実行状況の確認などと組み合わせて用いることで、機器を操作するためだけに音声入力回路等を備える必要もなく、比較的容易に実現できる。また健康管理対象者は高齢の場合や四肢が不自由のケースが多く、この技術を健康データ収集装置に適用することは、それらの人々に広く普及させることができるという効果も持っている。
【0079】
なお以上の説明では、説明を容易にするために、音声による回答、画像による回答、音声認識による操作などを個別に説明したが、それぞれを組み合わせることになんら制限はなく、本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0080】
(実施の形態2)
図7に、本発明の実施の形態2における健康データ収集装置の患者端末102の外観を示す。実施の形態1と異なるのは、液晶表示器141の表示部分にはタッチパネルがなく、ここから操作の指示を入力することはできない点である。操作部分は数字ボタン191、キャンセルボタン192、OKボタン193、上下ボタン194のそれぞれの押しボタンである。また、実施の形態1と同じくマイク160が備えられており、音声を入力することができる。
【0081】
図8に本実施の形態における画面のイメージを示す。この例では、実施の形態1と同じ問診を行う画面を示す。画面は設問エリア36と選択肢37〜39および音声録音メニュー40からなる。患者端末102の基本操作は、画面を見ながら上下ボタン194によってメニュー項目を選択した後、OKボタン193によってメニューを確定するが、選択されている項目は白黒が反転されて表示される。この例の場合、音声録音メニュー40が反転しているので、これを選択していることになる。この状態で被測定者がOKボタン193を押せば録音が開始され、被測定者がマイク160に向かって話せばそれが録音される。以後の動作は実施の形態1と同様のため省略する。
【0082】
このように、本実施の形態の健康データ収集装置によれば、文字情報しか表示できない表示器と押しボタンのような簡易な入力手段によって患者側から多くの情報を送ることができるため、健康管理に役立てる情報量が増え、より充実した健康管理サービスが提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明にかかる健康データ収集装置によれば、従来から使用されている簡単な操作で使用できるユーザーインターフェースを踏襲しながら、収集する情報量を格段に増やすことができる。このため、高齢者にとって扱いにくいキーボードやマウスなどといった入力装置を使用することなく、健康管理対象者から実用性の高い情報発信をすることができるので、遠隔地医療面での活用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態1における健康データ収集装置のブロック図
【図2】同健康データ収集装置の問診機能動作時の患者端末の画面イメージ図
【図3】同健康データ収集装置の医師端末の画面イメージ図
【図4】同健康データ収集装置のアドバイス機能動作時の患者端末の画面イメージ図
【図5】同健康データ収集装置のスケジュール機能動作時の患者端末の画面イメージ図
【図6】同健康データ収集装置の問診機能動作時の患者端末の画面イメージ図
【図7】本発明の実施の形態2における健康データ収集装置の患者端末の外観図
【図8】同健康データ収集装置の患者端末の画面イメージ図
【図9】従来の健康データ収集装置のブロック図
【図10】従来の健康データ収集装置の外観図
【図11】従来の健康データ収集装置の患者端末のメインメニュー画面イメージ図
【図12】従来の健康データ収集装置の問診機能動作時の患者端末の画面イメージ図
【図13】従来の健康データ収集装置の医師端末の画面イメージ図
【図14】従来の健康データ収集装置のアドバイス機能動作時の患者端末の画面イメージ図
【図15】従来の健康データ収集装置のスケジュール機能動作時の患者端末の画面イメージ図
【符号の説明】
【0085】
101 患者端末
121、211 通信制御装置
140、141 液晶表示器
150 カメラ
151 画像入力回路
152 遅延回路
153 ブザー
154 表示ランプ
160 マイク
161 音声入力回路
162 音声認識回路
170 タッチパネル
180、240 メモリ
201 医師端末
230 CRTディスプレイ
250 音声再生回路
251 スピーカ
301 センターサーバ
311 データベースサーバ
400 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康管理提供者があらかじめ設定した質問に関する第1のデータ、および前記第1のデータに関連した第2のデータを蓄積するサーバと、
通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1のデータを読み出して第1の表示手段に表示するとともに、健康管理対象者が前記第1の表示手段に表示された質問に対して音声または画像で行った回答を音声データまたは画像データに変換し、この変換データを、前記通信ネットワークを介し、前記第2のデータとして前記サーバに転送する第1の端末と、
前記通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1および第2のデータを読み出し、少なくとも前記第2のデータである音声データまたは画像データを音声または画像に変換する第2の端末と
を備えた健康データ収集装置。
【請求項2】
前記第2のデータは、前記音声データまたは画像データに加えて、質問に対し健康管理対象者が選択した回答の内容を含む請求項1に記載の健康データ収集装置。
【請求項3】
健康管理提供者が入力したメッセージに関する第1のデータ、ならびに前記第1のデータに関連した第2のデータを蓄積するサーバと、
通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1のデータを読み出して第1の表示手段に表示するとともに、前記第1の表示手段に表示された内容に対して健康管理対象者が音声または画像で行った返事を音声データまたは画像データに変換し、この変換データを、前記通信ネットワークを介し、前記第2のデータとして前記サーバに転送する第1の端末と、
前記通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1および第2のデータを読み出し、少なくとも前記第2のデータである音声データまたは画像データを音声または画像に変換する第2の端末と
を備えた健康データ収集装置。
【請求項4】
健康管理提供者があらかじめ設定したスケジュールに関する第1のデータ、ならびに前記第1のデータに関連した第2のデータを蓄積するサーバと、
通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1のデータを読み出して第1の表示手段に表示するとともに、前記表示手段に表示したスケジュールを健康管理対象者が実行したかどうかの回答に関連して健康管理対象者が音声または画像で行ったコメントを音声データまたは画像データに変換し、この変換データを、前記通信ネットワークを介し、前記第2のデータとして前記サーバに転送する第1の端末と、
前記通信ネットワークを介し、前記サーバから前記第1および第2のデータを読み出し、少なくとも前記第2のデータである音声データまたは画像データを音声または画像に変換する第2の端末と
を備えた健康データ収集装置。
【請求項5】
前記第2のデータは、前記音声データまたは画像データに加えて、健康管理対象者が前記スケジュールで指示された内容を実行したかどうかの回答を含む請求項4に記載の健康データ収集装置。
【請求項6】
前記第1の端末は、健康管理対象者が操作する操作手段を備え、前記操作手段はタッチパネルで構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の健康データ収集装置。
【請求項7】
前記第1の端末は、健康管理対象者が操作する操作手段を備え、前記操作手段は押しボタンで構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の健康データ収集装置。
【請求項8】
前記第1の端末は、健康管理対象者の音声を認識して操作信号に変換する音声認識手段を備えた請求項1〜5のいずれかに記載の健康データ収集装置。
【請求項9】
前記第1の端末は、健康管理対象者が前記操作手段により画像で回答する指示を行った後、一定時間後に画像を取り込む遅延手段を備えた請求項6〜8のいずれかに記載の健康データ収集装置。
【請求項10】
前記遅延手段は、更に画像を取り込むタイミングを報知するタイミング報知手段を備えた請求項9に記載の健康データ収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−18136(P2008−18136A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193888(P2006−193888)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】