説明

健康食品及び健康飲料

【課題】 通常の食事を取りながら、無理なく摂取可能であると共に、少量で高い血圧降下作用を得ることが可能な食品を提供する。
【解決手段】 米糠を発酵栄養源として生産されるγ−アミノ酪酸と、鹿角霊芝抽出物とを含有する食品または飲料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ−アミノ酪酸(γ-aminobutiric acid:GABA)を含有する食品又は飲料において、特に血圧上昇抑制作用を有する食品及び飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積に加え、高血糖、高血圧、脂質代謝異常のうち二以上を合併して発生している状態を指し、近年においては、40歳から74歳の中高年男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームの予備軍であるとされ、大きな社会的問題になっている。
一方、血糖値及び血圧値の上昇を抑制し、メタボリックシンドロームの予防、改善を図る効果を有する食品及び飲料が昨今流通している。
【0003】
上記食品及び飲料において、有効成分の一つとして、アミノ酸の一種であるγ-アミノ酪酸を含有しているものが知られている。
γ−アミノ酪酸(γ-aminobutiric acid)は、神経伝達物質として機能し、その略称である「GABA(ギャバ)」と称されることが多い。
一般的にγ−アミノ酪酸は、グルタミン酸ナトリウムを、乳酸菌、酵母等によって発酵させることによって生産され、γ−アミノ酪酸を多く含有する食品としては、茶葉を窒素ガス環境下で一定期間保存することによって、茶葉に含有されるグルタミン酸をγ-アミノ酪酸に変化させた「ギャバロン茶」が知られており、上記ギャバロン茶に血圧上昇を抑制する作用がある旨の研究報告がなされている。
しかしながら、γ−アミノ酪酸の摂取量と血圧上昇抑制作用の発現との関連性については、現在までに明確な提示がされていない。
またギャバロン茶の茶葉には、約150mg/100g程度のγ−アミノ酪酸が含有されているが、茶葉を直接摂取するのではなく、浸出液である茶液を摂取こととなるため、浸出液に含有されるγ−アミノ酪酸の量は上記量よりも減少すると考えられ、一般的には500〜600mlの浸出液の摂取が推奨されている。
従って、上記の量を毎日確実に摂取ことが困難であると共に、茶葉の煮出し作業等の手間を要していた。
【0004】
また、鹿角霊芝とは、マンネンタケ属に属する茸であり、鹿の角に似た形状を有し、傘が開かない点で一般的な霊芝と形状が異なる。
霊芝には元来より血圧上昇を抑制する効果を有する旨が報告されており、また含有成分であるβ−グルカンに抗腫瘍効果がある旨も報告されている。
しかし、γ−アミノ酪酸と同様、摂取量と有効性の発現との関連性を明示されておらず、またγ−アミノ酪酸との相乗効果についても具体的に報告されているものは無い。
【0005】
また、γ−アミノ酪酸、及びきのこ由来成分を有効成分とする生理活性組成物について、アスパラガスから抽出されたγ−アミノ酪酸と、ハナビラダケの粉末とを混合した組成物を餌に混入させ、上記餌をラットに摂取させることによって、一定の血圧降下作用を得ることが可能である旨が開示されている(特許文献1)。
しかしながら、上記特許文献1の発明に係る組成物は、薬剤若しくは、食品添加物として使用することを想定しており、推奨量を摂取する為には、上記組成物が添加された食品を、毎日一定量以上食する必要があるため、推奨量をコンスタントに摂取することは困難であった。
【特許文献1】特開2000−50296号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の解決する課題は、通常の食事を取りながら、無理なく摂取可能であると共に、少量で高い血圧降下作用を得ることが可能な食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明にかかる食品は、米糠を発酵栄養源として生産されるγ−アミノ酪酸と、鹿角霊芝抽出物とを含有することを特徴とする。
【0008】
本発明におけるγ−アミノ酪酸は、米糠に所定量のグルタミン酸ナトリウムを添加した培地に乳酸菌を添加し、上記米糠を唯一の栄養源として所定期間発酵させることで、上記グルタミン酸ナトリウムが変換されて得られるものである。
本方法によれば、非常に高い変換効率で、グルタミン酸ナトリウムがγ−アミノ酪酸に変換され、容易にγ−アミノ酪酸の高含有抽出液を得ることが可能である。
従って、少量の抽出液で多量のγ−アミノ酪酸を摂取することが可能である。
また、熱水抽出液として添加される鹿角霊芝には、高濃度のβ‐グルカンが含まれ、免疫力の活性化、血液循環の改善、及び抗酸化作用を有することから、γ−アミノ酪酸の血圧降下作用に相乗的に作用し、γ−アミノ酪酸の血圧降下作用を強める働きがある。
【0009】
また、請求項2の発明に係る食品は、上記食品には、カシス濃縮液が含有されることを特徴とする。
従って、上記カシス濃縮液に含まれるポリフェノールによって、体内に発生する活性酸素が除去される。
【0010】
また、請求項3の発明に係る食品は、米黒酢が含有されていることを特徴とする。
米黒酢に含まれる酢酸は、圧降下作用を有する旨が報告されている。
従って、上記γ−アミノ酪酸との相乗的に作用することによって、血圧降下作用を向上させる。
【0011】
また、請求項4の発明に係る食品は、上記食品には、アカシヤ蜂蜜が含有されることを特徴とする。
蜂蜜は消化吸収が非常に良く、栄養素も豊富であると共に、摂取しても血糖値の急激な上昇が発生することがない。
【0012】
また、請求項5の発明に係る食品は、上記食品には、ガラクトオリゴ糖が含有されていることを特徴とする。
ガラクトオリゴ糖は母乳にも含まれ、腸内善玉菌を選択的に増加させる作用を有すると共に、免疫力の強化及び血中コレステロールの低下作用を有する。
【0013】
また、請求項6の発明に係る食品は、飲料であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明に係る食品は、米糠を発酵栄養源として使用して生産されるγ−アミノ酪酸と、鹿角霊芝抽出物とを含有することから、高濃度のγ−アミノ酪酸を含有し、少量の摂取で多量のγ−アミノ酪酸を摂取可能である。
従って、通常の食事を取りつつ、無理なくγ−アミノ酪酸を摂取することが可能であると共に、鹿角霊芝抽出物との相乗効果によって、少量で高い血圧降下作用を得ることが可能な食品を提供することが可能となる。
【0015】
また、請求項2の発明に係る食品は、カシス濃縮液が含有されることによって、請求項1の効果に加え、上記カシス濃縮液に含まれるポリフェノールによって、体内に発生する活性酸素が除去され、上記活性酸素に起因すると考えられる様々な疾患を予防しうると共に、抹消血管の血流の改善によって肩こり、冷え性に対しても有効な食品を提供することが可能となる。
【0016】
また、請求項3の発明に係る食品は、米黒酢が含有されていることから、請求項1の効果に加え、黒酢の主要成分である酢酸の血圧降下作用とγ−アミノ酪酸の血圧降下作用とが相乗的に機能し、より少量の摂取で高い血圧降下作用を有する食品を提供することが可能となる。
【0017】
また、請求項4の発明に係る食品は、アカシヤ蜂蜜が含有されることから、請求項1の効果に加え、栄養価が高く、また摂取によって血糖値の急激な上昇が発生しないため、高血糖の者であっても、安全に摂取可能な食品を提供することが可能となる。
【0018】
また、請求項5の発明に係る食品は、ラクトオリゴ糖が含有されていることから、請求項1の効果に加え、腸内環境を整え、免疫力の向上させる共に、毛血中コレステロールの低下作用を期待できる食品を提供することが可能となる。
【0019】
また請求項6の発明に係る食品は、飲料である為、老人や子供にも飲み易い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例の実験における、ラットの体重の増減を示す折線図である。
【図2】本発明の実施例の実験における、ラットの摂食量の増減を示す折線図である。
【図3】本発明の実施例の実験における、ラットの血圧値の変化を示す折線図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施する為の最適な形態を、図表を用いて説明する。
本実施例に係る食品は飲料であり、表1に示すように、米糠を発酵栄養源として使用して生産されるγ−アミノ酪酸を含有する抽出液125gと、鹿角霊芝抽出液212gと、カシス濃縮液45gと、米黒酢63gと、アカシヤ蜂蜜300gを混合して形成され、夫々の重量比は全体100に対し、γ−アミノ酪酸含有抽出液約15.2%、鹿角霊芝抽出液約25.9%、カシス濃縮液約5.5%、米黒酢約7.7%、アカシヤ蜂蜜36.6%である。
また、表2に示すように夫々の原料の体積比は、全体100に対し、γ−アミノ酪酸含有抽出液約17.4%、鹿角霊芝抽出液約29.4%、カシス濃縮液約5.8%、米黒酢8.8%、アカシヤ蜂蜜30.8%である。
【表1】

【表2】

【実施例1】
【0022】
以下に、図表を用いて本実施例に係る飲料を実験動物に摂取させた場合の効果検証実験について詳細を説明する。
(1)試料
試験用試料は、上記に示したように、γ−アミノ酪酸を含有する抽出液と、
鹿角霊芝抽出液と、カシス濃縮液と、米黒酢と、アカシヤ蜂蜜が上記表1及び表2に記載した割合で混合された溶液であり、詳細成分組成は表3に示すとおりである。
【表3】

また、比較対照用の溶液として、表2に示すように全体100に対して、ア
カシヤ蜂蜜を30.8%と水を69.2%の割合で混合した溶液を使用した。
(2)実験対象動物
実験対象となる動物には、高血圧自然発祥ラットSHR/Izm(12週齢、
雄)用いた。
上記実験動物12匹を、温度24±2℃、湿度50±10%、1日12時間(7:00〜19:00)人工照明照射の飼育室環境下で1週間の予備飼育の後、血圧を測定して試料群(6匹)と試料群(6匹)の群間血圧がほぼ均一となるように群分けした。
飼育期間は8週間とし、試験開始日から試験終了日まで毎日1回、試料群には試料溶液。対照群には対象溶液を強制投与した。
試料の投与量はラット体重1kg当たり4mL(250gラットの場合1mL)とし、飼育期間中は、体重、摂食量を試験開始時、終了時、及び試験期間中1週間に1回測定した。
また、摂食量は、前日の給餌量と翌日の残餌量の差を一日当たりの摂食量とし、血圧は試験開始時と終了時、及び試験期間中は2週間に1回測定した。
なお、血圧の測定は小動物用非観血式血圧測定装置UR5000(ウエダ製作所製)を使用し、テイルカフ法で行った。
【0023】
表3に示すように、試験溶液には2.52mg/mlのγ−アミノ酪酸が含有されていたが、対照溶液のγ−アミノ酪酸は検出限界以下であった。
上記ラットには1日1回体重1kg当たり4mlの溶液を経口投与することから、試料群のラット異は10.1mg/kg 体重/日のγ−アミノ酪酸を摂取したこととなる。
【0024】
図1に示すように試験期間中において、ラットの体重の増減については、試料群と対照群との間に際は認められなかったが、摂食量については、図2に示すように6週目において試料群と対照群との間に統計的な有意差が認められた。
【0025】
また、図3に示すように、試験期間中において、対照群に対して試料群は3週目から低値を示し、試験開始7週目の血圧は対照群の234±5.1mmHgに対し試料群は218±2.8mmHgであり、有意な低値を示した。
【0026】
また、表4及び表5に示すように、内臓組織の重量及び血液生化学値については両群に有意な差は認められなかった。
【表4】

【表5】

【0027】
以上の結果を考察すると、試験期間中ラットの体重は一度も減少することなく少しずつ増加した。これに対し摂食量は試験開始後両群とも2〜4g程度減少している。投与溶液の熱量を計算すると、試料群で6.0kcal/kg体重/日、対照群で8.9kcal/kg体重/日となる。
給餌飼料の熱量は359.2kcal/100gであるため、飼料摂食量の減少分2〜3gはほぼこのようと溶液由来のエネルギーと一致する、
従って、ラットの摂食量の減少は投与溶液の成分に起因するものではなく、投与されている溶液から活動に必要なエネルギーの一部を摂取していることによるものと考えられる。
上記に加え、飼育中のラットの外見的異常が発生せず、且つ上記表4及び5に示すように、内臓重量、血液生化学値に両群間で差異が生じていないことから、ラットに投与した試料溶液の安全性は高いと考えられる。
【0028】
また、試料群のラットの血圧値は、上記に示すような有意な低値を示したことから、本試料溶液には含有されるγ−アミノ酪酸は血圧上昇抑制作用を発現するのに十分な量であるといえる。
更に、試験溶液に含まれている鹿角霊芝抽出液、及び黒酢中の酢酸も上述のように血圧上昇抑制作用が報告されていることから、γ−アミノ酪酸に加えこれらの成分が相加的あるいは相乗的に作用して血圧の上昇が抑制された可能性が高い。
【0029】
また、本試料溶液のヒトに対する効果については、日本食品化学工学会誌51(2)79−86(2004年)において、梶本らによって報告されているように、軽症高血圧及び正常高値血圧のヒトボランティアを用いた研究において、12.3mgのγ−アミノ酪酸を含む発酵乳飲料を一日一本、4週間以上摂取させると血圧が有意に低下するとある。
本試料溶液の一日の推奨摂取量は30mlであり、本量中には、表3より75.6mgのγ−アミノ酪酸が含有されている。
上記量は、上記報告にて血圧低下作用が認められた際のγ−アミノ酪酸の一日の摂取量を大きく越えていることから、本実験によってラットに発現した血圧上昇抑制作用は、ヒトでも同様に発現しうると考えられる。
【0030】
また、上記の30mlという摂取量は、一日の飲食量に比して非常に少量であることから、通常の食事には全く影響を与えることなく、無理なく摂取可能であると共に、少量で高い血圧降下作用を得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、γ−アミノ酪酸を含有する食品又は飲料において、特に血圧上昇抑制作用を有する食品及び飲料に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米糠を発酵栄養源として生産されるγ−アミノ酪酸と、鹿角霊芝抽出物とを含有することを特徴とする食品。
【請求項2】
上記食品には、カシス濃縮液が含有されることを特徴とする請求項1記載の食品。
【請求項3】
上記食品には、米黒酢が含有されていることを特徴とする請求項1または2いずれか1項記載の食品。
【請求項4】
上記食品には、アカシヤ蜂蜜が含有されることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の食品。
【請求項5】
上記食品にはガラクトオリゴ糖が含有されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の食品。
【請求項6】
上記食品は飲料であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の食品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−4695(P2011−4695A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153298(P2009−153298)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(591070598)株式会社ローズメイ (1)
【Fターム(参考)】