説明

健康食品及び皮膚炎緩和剤

【目的】 本発明は、人間が本来有する自然治癒力を高め、各種病気の予防・回復、骨粗しょう症・痴呆などの老化の防止、肝臓や腎臓などの内臓の機能向上及びアトピーや慢性鼻炎、喘息などのアレルギー症状の予防・体質改善に役立つ健康食品及び皮膚炎緩和剤を提供することを目的とするものである。
【構成】 ココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理したものを有効成分として配合したことを特徴とする健康食品及び皮膚炎緩和剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間が本来有する自然治癒力を高め、各種病気の予防・回復、骨粗しょう症・痴呆などの老化の防止、肝臓や腎臓などの内臓の機能向上及びアトピーや慢性鼻炎、喘息などのアレルギー症状の予防・体質改善に役立つ健康食品及び皮膚炎緩和剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨーグルトに代表される乳酸菌発酵飲料・乳酸菌発酵食品には、整腸効果はもちろん、アレルギーの抑制や抗癌作用も有することが認められており、安価で手軽に摂取できる健康食品として人気が高まってきている。
【0003】
このような乳酸菌発酵飲料や乳酸菌発酵食品に対し、このような注目が集められた理由としては、乳酸菌発酵飲料や乳酸菌発酵食品の持つ即効性を挙げることができ、即ち、乳酸菌発酵飲料や乳酸菌発酵食品を摂取したその日ないし翌日には、胃腸の調子が改善されたり、便秘が解消されたりするというような効果がはっきりと現れるのであり、又、乳酸菌発酵飲料や乳酸菌発酵食品を摂取することにより喘息の発作が緩和されたとする報告もある。
【0004】
そのため、最近では、前記ヨーグルトに代表される乳酸菌発酵飲料・乳酸菌発酵食品が種々開発されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−069935
【特許文献2】特開2003−038122
【特許文献3】特開2004−154086
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの特許文献に開示されている乳酸菌発酵飲料や乳酸菌発酵食品においては、原料として主に牛乳を使用しているため、乳酸菌による発酵・処理の最中に、牛乳中の脂肪分やたんぱく質が腐敗したり、大腸菌の繁殖が発生し易く、そのため、原料としての牛乳の保存・鮮度維持や、製造工場内の設備に対する殺菌・消毒に相当の注意が必要となる。
【0007】
又、牛乳は脂肪分を多く含むために比較的カロリーが高く、そのためこのようなカロリーの高い牛乳を原料とする健康食品についても一般にカロリーが高くなる傾向があり、近年、カロリーが高くなってきているといわれる食事と共に継続的に多量に摂取すると必然的にカロリーオーバーとなるといった問題もある。
【0008】
そこで、本発明者が前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理したものを有効成分として配合したことを特徴とする本発明の健康食品を開発するに至ったのである。
【0009】
即ち、本発明者は、ココヤシ水には、デンプンは比較的多く含まれるが、たんぱく質や脂肪分の含有量が0.1%程度以下である点に着目し、ココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理すれば、比較的簡単に低カロリーの健康食品を得られるとの知見を得、このようなココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理し、これを有効成分とする健康食品を経口的に体内に取り込めば、カロリーオーバーを気にすることなく、即効性のある整腸効果、アレルギーの抑制や抗癌作用を得ることができるとの知見得たのである。
【0010】
同時に、ココヤシ水には、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン及び鉄などのミネラル成分も豊富に含むことから、このようなココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理し、これを有効成分とする健康食品を経口的に体内に取り込めば、ミネラル不足に起因する種々の疾患の予防・改善も可能にすることができるとの知見も得たのである。
【0011】
又、前述のようにココヤシ水に含まれるたんぱく質や脂肪分は0.1%程度以下であり、そのため、乳酸菌による発酵・処理の最中に腐敗や大腸菌の発生がし難く、原料としてのココヤシ水の保存や鮮度維持などの取扱が比較的簡便であるとの知見も得たのである。
【0012】
更に、現在のココヤシの利用の殆んどは、スリランカでは、収穫したココヤシの胚乳からココヤシミルクやヤシ油を搾り取るだけで、ココヤシ水については、ほんの少量現地で消費されているくらいで、残りの大部分はほぼ廃棄されており、その廃棄量は1日当たり40〜50万tにもおよぶことから、このようなココヤシの廃棄物であるココヤシ水を利用すれば、多量の健康食品を安価に提供することができるとの知見を得たのである。
【0013】
本発明は上記知見に基づき完成されたものであって、人間が本来有する自然治癒力を高め、各種病気の予防・回復、骨粗しょう症・痴呆などの老化の防止、肝臓や腎臓などの内臓の機能向上及びアトピーや慢性鼻炎、喘息などのアレルギー症状の予防・体質改善に役立つ健康食品及び皮膚炎緩和剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、本発明における健康食品においては、ココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理したものを有効成分として配合したことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の健康食品の原料として、このような「ココヤシ水」を用いた理由は、上述の如く、ココヤシ水にはデンプンは比較的多く含まれるが、脂肪分の含有量が0.1%以下であり、このような低脂肪のココヤシ水を原料とすれば、比較的簡単に低カロリーの健康食品を得られるからである。
【0016】
又、ココヤシ水には、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン及び鉄などのミネラル成分も豊富に含むのであり、このようなココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理し、これを有効成分とする健康食品を経口的に体内に取り込めば、カロリーオーバーを気にすることがなく、即効性のある整腸効果、アレルギーの抑制や抗癌作用を得ることができる上、ミネラル不足に起因する種々の疾患の予防・改善も可能にすることができるからである。
【0017】
更に、低脂肪のココヤシ水を原料とすれば、乳酸菌による発酵・処理の最中に腐敗や大腸菌の発生がし難く、原料としてのココヤシ水の保存や鮮度維持などの取扱が比較的簡便にできるからである。
【0018】
加えて、現在のココヤシの利用の殆んどは、スリランカでは、収穫したココヤシの胚乳からココヤシミルクやヤシ油を搾り取るだけであって、ココヤシ水はほぼ廃棄されるだけで、殆ど有効利用が行われていないのであり、その廃棄量は1日当たり40〜50万tにもおよぶことから、このようなココヤシの廃棄物であるココヤシ水を利用すれば、多量の健康食品を安価に提供することができるからである。
【0019】
本発明における健康食品は、上記ココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理し、これを有効成分として配合したことを特徴とするものであり、ココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理する手段としては、乳酸菌類接種による醗酵であれば、特に制限されるものではなく、各乳酸菌類の発酵条件、発酵温度、ココヤシ水のpH、発酵時間等を適宜調整して決定して行えばよいのである。
【0020】
なお、このとき、デンプンをはじめとする各種の栄養素やpH調製のための酸、アルカリ等を適宜加えても良く、又、その醗酵は、混合醗酵でも、連続醗酵でも良いのである。
【0021】
そして、醗酵後は濾過し、所望により、滅菌処理、pH調整、イオン交換樹脂、活性炭カラム、透析膜などを利用し、脱臭、脱色等の精製処理を行っても良い。
【0022】
ここで、本発明において用いられる「乳酸菌類」とは、乳酸桿菌科乳酸桿菌属、放線菌科ビフィダス菌属、有胞子桿菌科有胞子乳酸桿菌属、レンサ球菌科ペディオコッカス属、エンテロコッカス・フェカリス、レンサ球菌属、ロイコノストック属等のことであり、前記「乳酸桿菌科乳酸桿菌属菌類」としては、乳酸桿菌科(Lactobacillaceae)、乳酸桿菌属(Lactobacillus)の菌類:Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus brevis、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus casei、Lactobacillus delbruckii、Lactobacillus fermenti、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus jugurti、Lactobacillus lactis、Lactobacillus plantarumなどを挙げることができる。
【0023】
又、前記「放線菌科ビフィダス菌属菌類」としては、放線菌科(Actinomycetaceae)、ビフィダス菌属(Bifidobacterium)の菌類:Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium lactentis、Bifidobacterium liberorum、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium parvulorum、Bifidobacterium pseudolongum、Bifidobacterium thermophilumなどを挙げることができるのであり、前記「有胞子桿菌科有胞子乳酸桿菌属菌類」としては、有胞子桿菌科、有胞子乳酸桿菌属(Sporolactobacillus)の菌類:Sporolactobacillus inulinusなどを挙げることができる。
【0024】
更に、前記「レンサ球菌科ペディオコッカス属菌類」としては、レンサ球菌科(Streptococcaceae)、ペディオコッカス属(Pediococcus)の菌類、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)の乳酸球菌:Pediococcus acidilactis、Pediococcus cerevisiae、Pediococcus halophilus、Pediococcus pentosaceusなどを挙げることができるのであり、前記「レンサ球菌科レンサ球菌属菌類」としては、レンサ球菌科(Streptococcaceae)、レンサ球菌属(Streptococcus)の菌類:Streptococcus cremoris、Streptococcus diacetilactis、Streptococcus faecalis、Streptococcus faecium、Streptococcus lactis、Streptococcus lactis sub−sp. diacetylactis、Streptococcusthermophilus、Streptococcus uberisなどを挙げることができる。
【0025】
加えて、「レンサ球菌科ロイコノストック属菌類」としては、レンサ球菌科(Streptococcaceae)、ロイコノストック属(Leuconostoc)の菌類:Leuconostoc citrovorum、Leuconostoc cremoris、Leuconostoc dextranicum、Leuconostoc mesenteroidesなどを挙げることができる。
【0026】
その他、本発明においては、前記乳酸菌類の同属種を用いることもできるのであり、また、これら任意の交配種のものも使用することができる。
【0027】
そして、本発明の健康食品は、このようなココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理したものを有効成分とするものであり、これをそのままの状態で最終的な商品としても良いが、所望により、ろ過抽出や水分を飛ばしてその含まれる成分を濃縮しても良い。
【0028】
又、本発明における健康食品においては、ココヤシ水にココヤシの樹液を加えて当該ココヤシの樹液に含まれる乳酸菌で発酵・処理し、これを有効成分として配合したものも有益なのである。
【0029】
この際、本発明の健康食品の品質を維持すべく、外気(酸素)に極力触れない作業条件や低温条件下で行うことが好ましく、例えば、窒素雰囲気下や低温条件下、或いはフリーズドライ等の手段を用いて、有効成分の活性を劣化することのない条件で乾燥することが好ましい。
【0030】
又、濃縮の程度としては、その後の健康食品としての形態に応じて適宜調節すれば良いのであり、ある程度の水分を飛ばした濃縮液の状態としても良く、完全に水分を飛ばして粉末状としても良いのである。
【0031】
そして、本発明における健康食品は、ココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理したものであるから、人間が本来有する自然治癒力を高めるといわれる乳酸菌代謝物はもちろん各種ミネラル成分を豊富に含むものとなるのであるが、ココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理したもののみを配合したものに限られるものではなく、糖、アルコール、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ビタミン、微量元素、アミノ酸、神経伝達物質、刺激剤、血流を刺激する化合物又は植物抽出物などの添加物を適宜配合しても良いのである。
【0032】
これらの添加物としては、具体的に例えば、アセチルコリンの分泌を促すDHA(ドコサヘキサエン酸)、神経細胞からの命令を他へ伝えるビタミンB12、活性酸素を還元化するビタミンE、アセチルコリンの合成を促すと共に鉄分の吸収を促進するビタミンC、アセチルコリン生成を助長するパンテント酸カルシウム、血液中のコレステロール量を整える乳酸菌、脳血流の増加を促進するクエン酸第一鉄ナトリウムやイチョウ葉エキス、血流を良くするニンニク末、その他亜鉛やカキ殻粉末などのミネラル成分を挙げることができる。
【0033】
又、その他の活性成分として、ロディオラ、チョウセンニンジン、チョウセンゴミシ、スマ、カモミール、シダレヤナギ、マオウ、トケイソウ、カバカバ、オトギリソウ、カノコソウ、ニンニク、レイシタケ及び/又はガラナからの活性物質、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、タウリン、セリン、カルニチン、フェニルアラニン、メラトニン、チロシン、テアニン、エタノール、クレアチンクエン酸、クレアチンピルビン酸、バルビツル酸(誘導体)、並びにそれらの混合物などを適宜選択して配合することもできる。
【0034】
本発明における健康食品は、最終的には、例えば、粉末剤、錠剤、ドリンク剤及びカプセル剤等として成形され、その商品形態としては特に制限されるものではないが、空気中に暴露した状態で長期間保存すると、酸化・変質する虞があることから、特に、カプセルに封入したカプセル型の健康食品とすることが好ましい。
【0035】
この健康食品を充填するカプセル基剤としては、現在、一般的に使用されている既知のカプセル基剤を好適に用いることができ、例えば、ゼラチン製の硬質カプセルに封入したり、ゼラチンにグリセリンなどを加えて柔軟にした2枚のゼラチン基剤の間にココヤシ水の濃縮成分を置き、型にのせ、温時圧搾して球形若しくは楕円体に成型したりする方法が挙げられる。
【0036】
なお、本発明においては、それぞれの商品形態に応じて、特に適切な製剤用助剤を適宜配合してもよく、この製剤用助剤としては、メチルセルロースなどの炭水化物や、SiO2、ステアリン酸塩、可溶化剤、染料や香味料、防腐剤や分離剤、並びに滑沢剤などを挙げることができる。
【0037】
ところで、本発明の健康食品は、経口的に摂取することを前提とするものであるが、本発明の健康食品をそのままないし水、エタノール、エチレングリコールなどの各種溶媒に溶解させたものを皮膚表面に展延し、経皮吸収的に摂取しても良いのであり、皮膚表面の良好な保湿性を維持することから、特に、アトピー性皮膚炎に代表されるアレルギー性の皮膚炎に対して有効な皮膚炎緩和剤となるのである。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、上記構成を有する新規な健康食品であり、ココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理したものを有効成分として配合したことを特徴とする。
【0039】
即ち、本発明の健康食品は、その原料として、「ココヤシ水」を用いているから、比較的簡単に低カロリーの健康食品を得られるのである。
【0040】
又、ココヤシ水には、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン及び鉄などのミネラル成分も豊富に含むことから、このようなココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理し、これを有効成分とする本発明の健康食品を経口的に体内に取り込めば、カロリーオーバーを気にすることなく、即効性のある整腸効果、アレルギーの抑制や抗癌作用を得ることができる上、ミネラル不足に起因する種々の疾患の予防・改善も可能にすることができるのである。
【0041】
更に、ココヤシ水が低脂肪であることから、乳酸菌による発酵・処理の最中に腐敗や大腸菌の発生がし難く、原料としてのココヤシ水の保存や鮮度維持などの取扱が比較的簡便となるのである。
【0042】
加えて、現在のココヤシの利用の殆んどは、スリランカでは、収穫したココヤシの胚乳からココヤシミルクやヤシ油を搾り取るだけであって、ココヤシ水はほぼ廃棄されるだけで、殆ど有効利用が行われていないのであり、その廃棄量は1日当たり40〜50万tにもおよぶことから、このようなココヤシの廃棄物であるココヤシ水を利用すれば、多量の健康食品を安価に製造することができるのである。
【0043】
一方、本発明の皮膚炎緩和剤は、本発明の健康食品をそのままないし水、エタノール、エチレングリコールなどの各種溶媒に溶解させたものを皮膚表面に展延して使用することを特徴とするものであり、本発明の健康食品に含まれる各種有効成分を経皮吸収的に摂取することができる上、皮膚表面の良好な保湿性を維持することから、特に、アトピー性皮膚炎に代表されるアレルギー性の皮膚炎に対して有効な皮膚炎緩和剤となるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
本実施例において使用したココヤシ水100g当たりに含有される成分を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表1の値から、ココヤシ水は炭水化物(デンプン)を非常に多く含む一方で、たんぱく質や脂肪分が非常に少ないことを確認することができる。
【0048】
又、ココヤシ水には、ミネラル成分もバランスよく含まれていることも確認することができる。
【0049】
そして、このココヤシ水(1kg)に対し、乳酸菌(Lactobacillus casei(0.5kg)を加え、37℃程度の一定温で一晩醗酵することにより、本発明の健康食品を得た。
【実施例1】
【0050】
腹水ガンを移植したマウス20匹を、10匹ずつグループAとグループBの2群に分け、グループAには前記本発明の健康食品を30重量%添加した餌を充分な量毎日与え、一方、グループBには何も添加していない通常の餌をグループAと同量毎日与え、それぞれのグループについて比較試験した。
【0051】
その結果、グループBにおけるマウスの平均生存日数は13.5日であったのに対し、グループAのマウスの平均生存日数は21.0日であり、これよりグループAの延命率は155.5%と計算される。
【0052】
即ち、この比較試験より、本発明の健康食品の発現する抗癌作用が認められ、本発明の健康食品がガンの進行を遅延し、延命率を著しく高めることが確認された。
【実施例2】
【0053】
アトピー性皮膚炎に悩むパネラー50名を25名ずつグループAとグループBの2群に分け、本発明の健康食品を皮膚に展延した際の皮膚炎緩和効果を判定した。
【0054】
なお、試験前に上記パネラーの角質水分量の指標として、50名全ての皮膚表面の高周波電気伝導度(皮膚表面コンダクタンス)を測定したところ、パネラー50名の皮膚表面コンダクタンスの平均値は4.5[μモウ(mho)]であり、皮膚表面の性状としては、部分的な角質の剥離が見られるいわゆる肌荒れの状態であることが確認された。
【0055】
前記本発明の健康食品(皮膚炎緩和剤)を、グループAの25名に対して、毎朝の洗顔後及び就寝前の入浴後に使用するように指示し、30日目にその顔面に対する皮膚炎緩和効果を判定した。
【0056】
その結果、本発明の健康食品(皮膚炎緩和剤)の繰り返し使用により、顔面の痒みや炎症が緩和されたと認めたものが16名有り、顔面の痒みや炎症がある程度緩和されたと認めたものが5名有り、残りの3名も顔面の痒みや炎症が幾分緩和されたと主張した。
【0057】
一方、グループBの25名に対して、毎朝の洗顔後及び就寝前の入浴後に市販の化粧水を使用するように指示し、30日目にその顔面に対する皮膚炎緩和効果を判定したところ、顔面の痒みや炎症につき何らの変化も認められなかった。
【0058】
又、試験後に、グループAの25名及びグループBの25名の皮膚表面コンダクタンスを測定したところ、グループAにおけるパネラー25名の皮膚表面コンダクタンスの平均値は6.5[μモウ(mho)]と向上しており、皮膚表面の性状としては、皮溝・皮丘が明瞭な美しい肌の状態に改善されていることが確認されたのに対し、グループBにおけるパネラー25名の皮膚表面コンダクタンスの平均値は4.5[μモウ(mho)]のままであり、皮膚表面の性状の改善は全く確認されなかった。
【0059】
以上の結果より、本発明の健康食品を皮膚に展延して使用する皮膚炎緩和剤は、アトピー性皮膚炎などの皮膚炎に対して優れた緩和作用を有し、更に、皮膚角質水分量を正常化し、皮膚の恒常性機能回復にする優れた保湿力を発現することが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココヤシ水を乳酸菌で発酵・処理したものを有効成分として配合したことを特徴とする健康食品。
【請求項2】
乳酸菌がココヤシの樹液に含まれる乳酸菌である請求項1に記載の健康食品。
【請求項3】
添加剤として、糖、アルコール、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ビタミン、微量元素、アミノ酸、神経伝達物質、刺激剤、血流を刺激する化合物又は植物抽出物から選ばれた少なくとも1種以上が配合されてなる請求項1又は2に記載の健康食品。
【請求項4】
活性成分として、ロディオラ、チョウセンニンジン、チョウセンゴミシ、スマ、カモミール、シダレヤナギ、マオウ、トケイソウ、カバカバ、オトギリソウ、カノコソウ、ニンニク、レイシタケ及び/又はガラナからの活性物質、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、タウリン、セリン、カルニチン、フェニルアラニン、メラトニン、チロシン、テアニン、エタノール、クレアチンクエン酸、クレアチンピルビン酸、バルビツル酸(誘導体)、並びにそれらの混合物から選ばれた少なくとも1種以上が配合されてなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の健康食品。
【請求項5】
粉末剤、錠剤、ドリンク剤又はカプセル剤のいずれかの形態に成形されてなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の健康食品。
【請求項6】
製剤用助剤として、メチルセルロースなどの炭水化物や、SiO2、ステアリン酸塩、可溶化剤、染料、香味料、防腐剤、分離剤又は滑沢剤から選ばれた少なくとも1種以上が配合されてなる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の健康食品。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の健康食品を、皮膚表面に展延して使用することを特徴とする皮膚炎緩和剤。

【公開番号】特開2006−262768(P2006−262768A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−85238(P2005−85238)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(505107631)株式会社上田ホールディングス (14)
【出願人】(505107642)株式会社ユー・イー・エス (5)
【Fターム(参考)】