偽毛包炎を治療するための方法及び装置
毛髪を治療するための方法及び装置を開示する。この方法は、1または複数の毛髪にエネルギーを供給して毛髪の少なくとも一部の形状及び/または化学構造を変更するべく電磁放射線(EMR)を皮膚治療部位に照射するステップを含む。放射線の照射により、毛尖を加熱してその形状を修正する(例えば、尖りを鈍くする)ことができる。毛髪の修正では、熱によって毛尖、毛幹、及び/または毛母基の形状、組成、または機能を変更し、皮膚に再進入し難くすることを含み得る。本発明の方法及び装置は、治療部位における偽毛包(PFB)を治療及び/または予防することができる。1200nm〜1400nmの範囲の波長を用いて毛髪の成長を制御する方法も開示する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
優先権
本願は、2003年2月19日出願の米国仮特許出願第60/448,762号の優先権を主張するものである。
【0002】
発明の背景
本発明は、毛髪の治療に関し、詳細には、電磁放射線を用いて偽毛包炎(PFB)を治療及び予防するための方法及び装置に関する。
【0003】
偽毛包炎(PFB)は、成長する毛髪が表皮に再進入するヒゲ部分の慢性丘疹膿疱性皮膚炎である。PFBは、縮毛の人(男性及び女性)で起こりやすい。また、皮膚の色が濃いタイプ(IV‐VI)人が特にこの症状を起こしやすい。疫学的研究(PKペリー(PK Perry)ら著、「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・アカデミー・オブ・ダーマトロジー(J. Am. Acad. Dermatol)」、46:S113‐119、2002年)により、黒人の45%〜83%で発症するという推定値が得られた。
【0004】
PFBの病因は毛髪構造である。湾曲したパターンの毛髪の成長が、症状が始まる主な原因である。毛髪がこのようなパターンの人では、皮膚表面から出た毛髪が表皮の方向に曲がる。完全な円を形成するかのようにこの方向に毛髪が成長すると毛髪が皮膚に刺入する(すなわち、毛包外刺入)。異物型炎症反応の後に複数の丘疹及び連続的な膿疱が起こる。或いは、皮膚の上を弧を描いてから皮膚に再進入するのではなく新生毛髪が毛包壁に刺入する(すなわち、毛包内刺入)。
【0005】
従来の治療法には、(1)ヒゲ成長法、(2)PFB用ヒゲ剃り法、(3)除毛剤及び局所クリームの塗布(例えば米国特許第6,352,690号)、及び(4)皮膚に刺入する毛髪を処置する電気分解法(例えば米国特許第5,419,344号)が含まれる。
【0006】
近年、当初は除毛のために開発されたレーザー治療法がPFBの治療に用いられるようになってきた。しかしながら、従来の治療法には様々な欠点がある。具体的には、ヒゲ成長法は多くの職業に向かないし、PFB用ヒゲ剃り法は面倒で時間がかかり効果が十分でない場合が多い。局所除毛剤は、使用が困難であり、重度の皮膚炎を起こして症状を悪化させることもある。電気分解法は、訓練を受けた専門家だけが実施でき、高価であって著しく時間がかかる。レーザー方式は、問題を解消する治療を行うことができるが、現在は利用できるのが医療施設のみであり、既存のシステムは肌の色が濃いタイプの患者には最適とは言えないであろう。
【0007】
従って、安全かつ効率的、そして自己医療可能なPFBの治療法が当分野で要望されている。
【0008】
発明の要約
ある態様では、本発明は、電磁放射線(EMR)を皮膚治療部位に照射してその治療部位の1または複数の毛尖にエネルギーを供給し、毛尖の少なくとも一部を変更するステップを含む毛髪の治療方法を提供する。放射線の照射により、例えば皮膚表面の下側約0.2mmから皮膚表面の上側約1mmまで延びた毛尖を加熱して、例えば毛尖の尖りを鈍くするなど、毛尖の形状を変更することができる。毛尖の変更では、毛尖が皮膚に再進入し難くする(すなわち、治療した毛尖を実質的に丸い端部にする)毛尖の形状の熱による変化を伴い得る。従って、放射線の照射により、治療部位の偽毛包炎(PFB)を治療及び/または予防することができる。具体的には、毛尖の形状の変更により、毛尖による毛包外及び/または毛包内への刺入を防止することができる。ある実施形態では、放射線の照射により、毛尖の皮質及び/または毛小皮に不可逆的な熱損傷を与えることができる。
【0009】
放射線の照射により、毛尖の温度を約50℃〜300℃まで上昇させることができる。放射線のパラメータは、毛尖の温度が約50℃〜約300℃まで上昇する一方で、治療部位における表皮の温度が約65℃未満、好ましくは60℃または55℃に維持されるように選択することができる。約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量が治療部位にさらされるように複数の電磁パルスを治療部位に照射することができる。このようなパルスは、約1ナノ秒〜約5分または約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有することができる。パルスは、0.1Hz〜約10MHzの範囲の繰返し数を有することができる。一般に、1cm2の治療部位に対して約1ナノ秒〜約100秒かかる治療の間にパルスを照射する。照射する放射線は、毛尖のメラニンによって吸収される波長成分を含むのが好ましい。例えば、放射線は、約280nm〜約100,000nmの範囲、より好ましくは約360nm〜約600nmの範囲の波長成分を含むのが好ましい。
【0010】
関連する態様では、毛髪治療法は、例えば表皮に対する毛尖の選択的な加熱を促進するべく治療部位の表皮を冷却するステップを含むことができる。この冷却ステップは、治療部位への放射線の照射の前、最中、または後に行うことができ、これにより表皮の温度が危険すなわち不快なレベル(100℃超)まで上昇しないようにすることができる。
【0011】
本発明の方法は更に、放射線によって光活性化して毛尖の形状の変更を促進する局所物質を皮膚治療部位に適用するステップを含むことができる。局所物質は、少なくとも1種類の外来発色団を含み、場合によっては、治療部位の毛髪または毛髪の毛包脂腺管へ外来発色団を供給するための媒介物を含むことができる。外来発色団は、毛尖の加熱を促進するように照射する放射線の波長に少なくとも部分的に一致する吸収スペクトルを有するように選択することができる。
【0012】
更なる態様では、毛髪の治療方法は、治療部位を除毛するステップを含むことができる。除毛は、ヒゲ剃り、切り落とし、除毛クリームの適用、別の電磁放射線の照射、または他の任意の好適な方法によって行うことができる。例えば、皮膚の表面から突き出た毛尖部分を除去することができる除毛ステップは、電磁放射線の治療パルスを照射する前、後、または実質的に同時に複数の電磁パルスを治療部位に照射して行うことができる。
【0013】
毛髪の治療方法は、治療の前または最中に皮膚治療部位を引き伸ばすステップを含むこともできる。この方法はまた、照射する放射線が毛尖に到達し易いように皮膚治療部位を持ち上げるステップを含むことができる。機械式、真空式、または静電気式の機構などの任意の好適な機構を用いて毛尖自体を持ち上げて、照射する放射線を毛尖に直接接触させることができる。
【0014】
別の態様では、本発明はまた、毛幹を修正するのに十分な温度に上昇するまで皮膚治療部位の1または複数の毛幹を加熱するべく、皮膚治療部位に電磁放射線を照射して毛髪を治療する方法を提供する。毛幹の修正により、毛幹の縮れを軽減することができる(すなわち、毛幹を実質的にストレートにする)。この修正はまた、毛幹の柔軟性を高めるステップ、毛髪の直径または形状を変更するステップ、毛髪の引張り強さを増大させるステップ、及び/または毛髪の弾性を高めるステップを含むことができる。温度上昇は、例えば、約50℃〜約300℃の範囲にすることができる。放射線により、毛幹の引張り強さを変化させることができる。毛幹の引張り強さは、約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で変化させることができる。放射線により、治療部位の偽毛包炎を治療、予防、または軽減するのに十分な毛幹の変化(すなわち、毛幹の縮れの軽減)を起こすことができる。照射する電磁放射線は、約380nm〜約2700nm、好ましくは約600nm〜約1400nm、または約800nm〜約1350nmの範囲の波長成分を有する複数の電磁パルスによって皮膚治療部位に照射することができる。更に、治療部位の表皮を、治療の前、最中、及び/または後に冷却することができる。加えて、治療部位の毛髪は、電磁放射線を照射する前に実質的にストレートにすることができ、かつ/または放射線によって光活性化できる局所物質を治療部位に適用して毛幹の軟化及び/またはストレート化を促すことができる。
【0015】
別の態様では、本発明は、約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射して毛髪の成長を調節して制御する方法を提供する。放射線の照射により、毛髪の成長を減速及び/または停止させることができる。ある実施形態では、放射線の照射により毛髪の成長を刺激することができる。例えば、治療部位が約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量の放射線にさらされるように約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する複数の電磁パルスを治療部位に照射することができる。照射する放射線の時間及び流束量は、毛髪の少なくとも一部を約47℃よりも高い温度に加熱するように選択することができる。更に、治療部位の表皮を冷却することもできる。放射線によって光活性化し得る局所物質を治療部位に適用して毛髪の成長の調節を容易にすることができる。
【0016】
更に別の態様では、本発明は、変更された毛髪を毛母基が生成できるようにするのに適した流束量及び波長の放射線で複数の毛包を照射するステップを含む毛髪の治療方法を提供する。放射線により、毛球、角質形成帯、及び毛包の球状部分を加熱して、縮れが少なく、細く、かつ/または柔軟な毛髪を毛母基が生成するようにできる。変更された毛髪の引張り強さは、治療前の毛髪に対して約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で変化させることができる。変更された細い毛髪は、治療前の毛髪に対して約1μm〜約60μmの範囲で直径を小さくすることができる。約380nm〜約2700nm、好ましくは約600nm〜約1400nmの範囲の波長成分、及び例えば約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する複数の電磁パルスを用いて、約0.1J/cm2〜約1000J/cm2、好ましくは約5J/cm2〜約50J/cm2の範囲の流束量に治療部位がさらされるように電磁放射線を皮膚治療部位に照射することができる。
【0017】
別の態様では、本発明は、皮膚治療部位を治療するための装置を提供する。この装置は、1または複数の電磁放射線(EMR)を皮膚治療部位に照射して1または複数の毛尖にエネルギーを加え、毛尖の少なくとも一部を変更(すなわち、形状、引張り強さ、滑らかさ、柔軟性、または真直度を変更)する放射線源と、皮膚治療部位の少なくとも一部を除毛する除毛機構を含む。この除毛機構は、ヒゲ剃り器具、除毛クリームを適用する器具、別の電磁放射線を放射する器具、または当分野で周知の任意の除毛機構を含むことができる。放射線源は、約300nm〜約1900nmの範囲の波長成分を有する電磁パルスを生成することができる。この装置は、治療部位の表皮を、治療の前、最中、及び/または後に冷却するための冷却機構を含むこともできる。この装置はまた、皮膚表面から突き出た毛尖の除去を検出するセンサ及び/または切断機構による毛尖の保持を容易にするリフト機構を含むこともできる。このリフト機構は、機械式及び/または静電気式とすることができる。
【0018】
別の態様では、本発明はまた、毛髪の成長を制御する装置を提供する。この装置は、毛髪の成長を調節するべく皮膚治療部位の1または複数の毛包に約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を照射するための放射線源を含む。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、毛尖の少なくとも一部の形状を変更するための装置を提供する。この装置は、皮膚治療部位における少なくとも一部の毛尖の形状を変更するべく、約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で皮膚治療部位を照射するために約280nm〜約100,000nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成する少なくとも1つの放射線源を含む。本発明はまた、毛幹の縮れを軽減するための装置を提供する。この装置は、皮膚治療部位における少なくとも一部の毛幹の縮れを軽減するべく、約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で皮膚治療部位を照射するために約380nm〜約2700nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成する1または複数の放射線源を含む。別の実施形態では、本発明は毛髪の成長を制御するための装置を提供する。この装置は、毛髪の成長を調節するべく皮膚治療部位における1または複数の毛包に照射するために約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を生成する少なくとも1つの放射線源を含む。この放射線源は、LED、レーザーダイオード、フィルター付きアークランプ、またはフィルター付きハロゲンランプとすることができる。本発明の装置はまた、皮膚表面から突き出た毛尖部分を除去するための機構を含むこともできる。加えて、この装置は、治療のために毛髪を配置するための配置機構を含むことができる。配置機構は、放射された放射線が毛髪に最適に照射されるように毛髪の一部を移動させることができる機械式、静電気式、及び/または真空源式の機構とすることができる。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、毛幹の弾性を調節するための装置を提供する。この装置は、治療部位における少なくとも一部の毛幹の弾性を調節するべく、約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で皮膚治療部位を照射するために約600nm〜約1400nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成する1または複数の放射線源を含む。
【0021】
更に別の実施形態では、本発明は、皮膚用システムを提供する。この皮膚用システムは、皮膚治療部位上をスキャンするように適合されたヘッド部分を備え、少なくとも1つの放射線源を含むアプリケータと、スキャンの際にヘッド部分の位置を示す信号を生成するためにヘッド部分に結合されたトラッカーと、トラッカー及び放射線源に結合され、前記トラッカーから受信した位置信号に基づいて放射線源を周期的に作動させる制御装置とを含む。この制御装置は、位置信号に基づいた放射線源の前の作動からヘッド部分が移動した距離を決定する。この制御装置はまた、移動距離が閾値を超えると放射線源を作動させる。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、PFBの原因すなわち毛髪の引き抜きやヒゲ剃りによる毛髪端部の尖り及び毛髪の縮れに直接対処するべく毛幹を修正する方法を開示する。このような有望な毛幹修正法は、単純かつ安価にPFBを治療できるという利点がある。本発明の開示により、毛幹修正法は、次に記載する少なくとも1つの方法で行うことができる。
(1)毛髪の縮れを軽減するべく毛幹の構造を熱で変形させて毛髪の引張り特性を変更する方法。
(2)熱で毛幹を収縮させて外毛根鞘(ORS)と付随層(companion layer)との間の牽引力を減少させ、除毛を促進する方法。
(3)熱で付随層を変形させて付随層とORSとの間の牽引力を減少させ、除毛を促進する方法。
(4)毛髪の形状を熱で変形させて(すなわち尖りを鈍くする)毛包外刺入及び/または毛包内刺入の可能性を減少させる方法。
【0023】
本発明の態様に従えば、PFBは、治療部位の複数の毛包またはその一部に電磁放射線(EMR)を照射して治療または予防することができる。本発明に従ったPFBの治療法では、皮膚のPFB部分を検査して識別し、このようなPFB部分にEMRを選択的に照射するステップが含まれる。
【0024】
PFBは、ヒゲ剃りでPFBの発生因子となる遺伝的な毛髪または毛包の特徴を有する個々人に対する環境的な圧迫によって悪化する皮膚の症状である。更に、PFBは、病原微生物が病因に関係しないため真の毛包炎ではない。むしろ、病因の元は異物型炎症反応である。密着したヒゲ剃りの後、毛幹の鋭利な縁が、毛包の壁部を切開するまたは表皮に再進入する。本発明は、患者のPFBを軽減、予防、及び/または治療できる方法及びそのような方法を行うための装置を開示する。
【0025】
本発明の一態様では、毛尖の形状を修正するべく複数の毛髪先端に電磁放射線(EMR)を照射する。ここで用いる当分野で周知の語「毛尖」は通常、皮膚表面近傍の皮膚表面の下側から皮膚表面の上側に延びた毛髪部分を指す。例えば、毛尖は、皮膚表面の下側約0.2mmから上側約1.0mmまで延びた毛幹部分を指すことができる。毛尖に選択的に熱を加えて毛尖の毛皮質及び/または毛小皮に一時的または不可逆的な熱損傷を与え、毛尖の形状を修正する。毛尖の修正では、熱で毛尖の形状を修正して毛髪が再進入し難くする。より具体的には、この修正形状は、修正前の毛尖よりも尖っていない形状、例えば丸くするのが好ましい。一例として、図1Aと図1Bに、本発明の開示に従って処置する前の毛尖と、詳細を後述するように本発明の開示に従って電磁放射線が照射されて丸くなった毛尖との比較が示されている。毛尖の形状の修正は、皮膚治療部位を除毛しながらまたは除毛と同時に行うことができる。
【0026】
一実施形態では、毛尖が約50℃〜約300℃の範囲の温度に到達するように毛尖にEMRを照射する。ある実施形態では、毛尖の温度が約100℃を超えるのが望ましい。別の実施形態では、毛尖の温度が約200℃を超えるのが望ましい。
【0027】
本発明のこの態様に従った毛尖の修正は、約280nmを超える波長を有するEMRを用いて達成することができる。波長は、好ましくは約280nm〜約100,000nmの範囲、より好ましくは約280nm〜約1400nmの範囲、最も好ましくは約380nm〜約600nmの範囲である。毛髪中のメラニン及び/または水分に吸収される波長を加熱のために利用することができる。
【0028】
毛尖の加熱は、下側の皮膚が損傷を受けないように選択的に行うことができる。この選択性は、毛尖と皮膚の熱放散特性の差によって得られる。表皮もメラニン部分を含むが、メラニンは、その殆どが皮膚の深い位置にある基底膜にあり、表皮は高い温度で周囲組織と熱接触するため、EMRは基底膜に到達する前に表皮の上層で減衰し、毛尖に比べて熱放散が著しい。
【0029】
更に、皮膚組織(表皮)の熱は、周囲組織の熱伝導性が高いため、毛尖の熱よりも効率的に除去することができる。熱放散により、表皮の温度は毛尖の温度よりも低くなる。ある実施形態では、処置前に皮膚表面の汚れを取って、毛尖及び/または周囲領域からあらゆる熱伝導物質を除去し、皮膚に対する毛尖の選択的な加熱を促進することができる。ある実施形態では、表皮からの熱放散を更に促すために皮膚表面を冷却することもできる。例えば、冷却空気または室温の空気を冷媒として用いることができる。別の実施態様では、気流で毛髪を乾燥させて毛尖からの熱束を減少させる。別の実施形態では、治療の前、最中、及び/または後に治療部位に室温の空気または加熱空気を供給することができる。
【0030】
図5に、様々な波長での照射後の毛尖の温度と表皮の温度の変化を比較したグラフが示されている。毛尖の選択的な加熱に最も適した波長は、UV及び紫スペクトルの範囲である。この治療に適した一般的なパラメータは、皮膚の基底層への光の透過を制限するために波長範囲が約280nm〜約100,000nm、好ましくは360nm〜600nmの範囲であり、流束量は約0.01J/cm2〜1000J/cm2、より好ましくは約0.5J/cm2〜約50J/cm2の範囲である。ある実施形態では、好適な波長を有する複数の電磁パルスを治療部位に照射して、電磁エネルギーを治療部位に照射する。このパルス幅は、毛尖の熱緩和時間よりも短いのが好ましい。毛尖の熱緩和時間は、周囲媒体の直径及び乾燥度によって異なるが、例えば1ミリ秒〜10秒とすることができる。一般に、患者の状態を満たし易いように短いパルス幅が望ましい。特定の用途に対して選択される特定のパルス幅、流束量、及び波長は、限定するものではないが皮膚のタイプや毛髪の色などを含む様々な特性によって異なる。ある実施形態では、ある患者に対して選択されるパルス幅、流束量、及び波長は通常、毛髪の成長抑制または除毛に必要なEMRよりも少ないEMRを照射する。一般に、約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅が用いられる。
【0031】
様々なEMR源を用いて本発明を実施することができる。EMR源の例として、限定するものではないが、量子カスケードレーザー、固体レーザー、LEDまたは他の固体照明、LEDのマトリックスまたはアレイ、アークランプ、ハロゲンランプ、ファイバーレーザー、メタルハライドランプ、白熱ランプ、RF発生器、及びマイクロ波発生器などを含め、ダイオードレーザーを挙げることができる。EMR源は、パルス放射線または連続的な放射線を生成することができる。一般に、EMRの照射には、上記したパラメータに従ってEMRを照射する任意の好適な装置を用いることができる。例えば、米国特許第6517,532号、同第6,508,813号、米国特許出願第10/154,756号(2002年5月23日出願、名称「光線美容装置用の冷却システム(Cooling system for Photocosmetic Device)」)、同第10/702,104号(2003年11月4日出願、名称「低出力光線治療を行うための方法及び装置(Methods and Apparatus for Delivering Low Powered Optical Treatments)」)、同第10/080,652号(2002年2月22日出願、名称「光線美容及び光線皮膚治療に用いる装置及び方法(Apparatus and Method for Photocosmetic and Photodermatological Treatment)」)、同第10/706,721号(2003年11月12日出願、名称「光線皮膚治療を行うための方法及び装置(Method and Apparatus for Performing Optical Dermatology)」)、及び米国特許第6,514,242号(名称「レーザー除毛の方法及び装置(Method and Apparatus for Laser Removal of Hair)」)に開示されているような装置に類似した構造を有することができる。
【0032】
ある実施形態では、EMRは、皮膚表面に対して直角または様々な角度で照射する。例えば、光を斜めまたはかすめ角で照射して、皮膚表面に対して斜角で延びている毛髪にEMRが結合し易くするのが適当であろう。
【0033】
好適な実施形態では、皮膚治療部位を除毛してからEMRを照射する。EMRは、ヒゲ剃りの度に照射するまたは必要に応じて(例えば、ひげ剃りの後1回おきに)照射することができる。除毛は、皮膚から突き出た毛尖の少なくとも一部を除去する任意の好適な機構を用いて達成することができる。好適な除毛の機構には、限定するものではないが、ヒゲ剃り、切り落とし、除毛クリームの塗布、及び別の電磁放射線の照射が含まれる。好適な実施形態では、除毛は、任意の好適な装置(例えば、剃刀または電気剃刀)を用いたヒゲ剃りによって達成される。一般に、EMRの照射時に、毛尖の位置は、皮膚表面の下側0.2mmの深さから皮膚表面の上側1.0mmの範囲である。
【0034】
ある実施形態では、皮膚は、照射するEMRが毛尖に到達し易いように治療前に皮膚を引き伸ばす。別の実施形態では、機械式または電気式の毛尖を保持する手段を用いて、治療に最適な位置に移動させる。別法では、EMRが、切断器具として機能し、1回の通過で切り落としと毛尖治療を行うことができる。EMR照射の前に、加熱された気流、冷却された気流、または室温の気流を皮膚治療部位に供給して毛尖を乾燥させることができる。
【0035】
ある実施形態では、毛幹がEMRによって加熱されて柔軟になった後に整直器具(straightening implement)を用いて毛幹をストレートにすると同時または直前にEMRを照射することができる。このような器具は、例えば、機械的な作用、静電気作用、または化学作用(またはこれらの組合せ)を用いることができる。別法では、毛髪をストレートにできる局所物質を、EMR治療の前、最中、または後に皮膚治療部位に適用することができる。様々な毛髪ストレート剤が当分野で知られている(例えば、米国特許第6,537,564号及び同第6,517,822号を参照)。最も一般的な毛髪ストレート剤は、活性成分として例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化カリウムなどの水酸化物系、またはチオグリコール酸アンモニウム系である。
【0036】
ある実施形態では、電磁放射線による治療を促進するために局所適用発色団を用いる。その発色団の吸収スペクトルに少なくとも部分的に一致するようにEMRの波長を最適にすることができる。また、供給システムを用いて発色団を適用して毛包脂腺管及び/または毛幹内へ発色団を進入させて治療を促進することができる。発色団は、媒介物と組合せた有機または非有機染料とすることができる。ある実施形態では、局所適用除毛剤を適用して治療を促進することができる。このような除毛剤は、感光性または感熱性として、毛尖の深さでEMRを集中(例えば集束)させて除毛剤を毛尖部分で選択的に作動させることができる。場合によっては、局所組成物が、EMRの発色剤と除毛剤の両方を含むことができる。このような発色剤は、染料、金属、イオン、着色粒子、感光染料、感光物質、カーボン粒子、導電スキンローション、電解質スプレー、導電電解ゲル、及び酸化物からなる群から選択することができる。局所物質の例は、例えば、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする米国特許第6,685,927号及び米国特許出願第10/693,682号(2003年10月23日出願、名称「クーラント及び局所物質を使用する光線治療装置(Phototreatment Device for Use with Coolants and Topical Substances)」)に開示されている。
【0037】
本発明の別の態様では、毛幹の縮れを緩和する。ここで用いる語「縮れた」または「縮れ」は、湾曲した線(ループ)を形成する性質と毛幹の弾性欠如を組み合わせたものを指す。毛髪の縮れが弱くなると、好ましくは漏斗部分における毛髪の柔軟性、毛髪の直径または形状の変化、毛髪の引張り強さの増大、及び/または毛髪の弾性の増大が起こり得る。従って、EMRの照射により毛尖を約50℃〜300℃、好ましくは100℃超、より好ましくは200℃超の温度まで加熱して毛幹の物理的性質及び化学的性質を変える。この治療の一般的なパラメータには、約380nm〜約2700nm、好ましくは約600nm〜約1400nm、より好ましくは約800nm〜約1350nmの範囲の波長が含まれる。加熱によって毛尖の成分が柔軟になると、その毛尖の構造が変化することができる。ここで用いる語「柔軟な」または「柔軟にする」は、毛小皮、皮質、または毛幹の細胞間質の構造を熱で変形させて毛尖の縁の硬度を下げることを指す。柔軟性は、例えば、毛幹の引張り強さを測定して求めることができる。本発明のある実施形態では、照射する放射線により、毛幹の引張り強さを、約1MPa〜約200MPaの破壊応力の範囲、好ましくは約5MPa〜約100MPaの破壊応力の範囲で変化させることができる。ある実施形態では、照射する放射線により、毛髪の質感が変化する毛幹の物理的性質及び化学的性質の変化だけでなく、上記したように毛尖の形状も変化させることができる。
【0038】
毛尖を選択的に加熱して、毛尖の皮質及び/または毛小皮に一時的または不可逆的な熱損傷を起こし変形させることができる。この治療の結果、毛小皮及び/または皮質及び/または細胞間質が変化(すなわち損傷)し、毛髪の縮れが減少し、毛髪が柔軟になり、毛髪が細くなり、毛髪の引張り強さが増大し、かつ/または毛髪の弾性が増大する。本発明の態様に従った毛尖の皮質及び/または毛小皮の変化は、波長が380nmを超えるEMRを用いて達成することができる。この波長は、好ましくは約380nm〜約2700nmの範囲、より好ましくは約600nm〜約1400nmの範囲である。光の波長は、脂質、水分、メラニン、及び/またはケラチン(すなわち、毛幹の成分)を選択的に目標とするように選択することができる。表皮の事前冷却及びEMRの照射と同時の表皮の冷却(「平行」冷却と呼ばれる)を行って、このような治療の深さ選択性を改善することができる。冷却は、高い含水率から毛幹よりも熱伝導性が著しく高い真皮や表皮などの熱伝導性が高い組織で冷却効率が高い。従って、皮膚表面の冷却は、毛幹よりも真皮で効率が高いため、選択的に毛幹を加熱することができる。熱伝導率の低い毛幹の選択的な加熱は、約380nm〜約2700nmの範囲の波長を用いて達成することができる。
【0039】
この治療の一般的なパラメータには、約380nm〜約2700nmの範囲の波長、約1ナノ秒〜約1分のパルス幅、そして約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の流束量が含まれる。特定の患者に対して選択されるパルス幅、流束量、及び波長は通常、除毛または毛髪の減少に必要なEMRよりも少ないEMRを供給する。図2に、波長が800nm、パルス幅が20ミリ秒、そして流束量が7.5J/cm2である複数の放射線パルスを用いた皮膚タイプVIに対するこの方式の治療の例示的な結果が示されている。この治療の結果、約0mm〜0.8mmの深さの毛幹が最大200℃まで加熱されるが、表皮の温度は65℃を超えない。ある実施形態では、ビーム幅は、毛幹の深さまで進入するのを制限するために比較的細くなるように選択することができる。ビームは、散乱を利用して進入を制限するように円形、直線、または任意の好適な形状にすることができる。ある実施形態では、EMRが所望の深さに集中するようにビームを集束させることができる。
【0040】
本発明の別の態様では、加熱または冷却により新しい発毛に変化を起こして毛球、角質形成帯、及び/または毛包の球状部分(bulbar)を変形させる方法が提供される。このような加熱または冷却により毛母基の機能に影響を与えることができる。具体的には、発毛過程が変更され、毛髪が再生する性質が変化し得る。例えば、新規に生えた毛髪が柔軟になり、かつ/または毛髪の形状が変化し(断面積が小さくなる、すなわち細くなり、楕円率が増大して丸くなる)、これにより縮れにくくなる。また、新規に生えた毛髪の化学構造を変更して毛幹を実質的にストレートにすることができる。毛球及び毛包の球状部分の選択的な加熱のために、波長が約380nm〜約2700nm、より好ましくは約600nm〜約1400nmの範囲、パルス幅が約1ナノ秒〜約1分、そして流束量が約0.1J/cm2〜約1000J/cm2、より好ましくは約1J/cm2〜約100J/cm2の範囲のEMRを照射することができる。
【0041】
図3A及び図3Bに、毛幹の化学的特性及び物理的特性を変更するための本発明の使用が例示されている。EMRでの処置した後の小型化された毛髪の例が、図3A(治療前)及び図3B(治療後)の差で示されている。EMR治療は、広帯域源(波長が530nm〜1200nmの範囲、流束量が約12J/cm2、そしてパルス幅が20ミリ秒)を用いて行った。特定の患者に用いるパルス幅、流束量、及び波長は通常、その患者の除毛または毛髪の減少に必要なEMRよりも少ないEMRを供給する。周囲組織に対する毛包の球状部分の選択的な吸収性及び/または伝導性及び/または熱特性により毛包の球状部分の選択的な加熱が可能となる。
【0042】
ある実施形態では、毛母基及び/または真皮乳頭及び/または血管ループがEMR治療で選択的に治療されるように皮下領域を毛球(hair bulbar)の深さで約5℃〜約30℃まで冷却することができる。冷却は、冷却物質(例えば、冷却された空気または液体)のスプレー、相変化物質の使用、または標的部と冷却要素との接触などの当分野で周知の様々な方法で達成することができる。例えば、接触冷却(すなわち、冷却要素を皮膚表面に接触させる)を用いることができる。別法では、局所物質を治療部位の一部を選択的に冷却するべく皮膚表面に適用することができる(例えば、米国特許出願第10/154,756号(2002年5月23日出願、名称「光線美容装置用の冷却システム(Cooling system for a Photocosmetic Device)」)及び同第10/693,682号(2003年10月23日出願、名称「クーラント及び局所物質を使用する光線治療装置(Phototreatment Device for Use with Coolants and Topical Substances)」を参照されたい)。
【0043】
更に、本発明の上記した態様と同様に、例えばローションなどの局所剤を皮膚治療部位に適用して、毛球及び/または角質形成帯及び/または毛包の球状部分の加熱を促進することができる。このような局所剤は、毛包の少なくとも一部の中に進入可能な外来発色団に含めることができる。好ましくは、外来発色団は、毛幹の加熱を促進するように照射する放射線の波長に少なくとも部分的に一致する吸収スペクトルを有することができる。
【0044】
別の態様では、本発明は、患者の毛髪の成長を変更するための方法を提供する。除毛のため(例えば、米国特許第5,595,568号を参照)及び毛髪の成長速度を低下させるため(例えば、国際特許出願第2003/077783を参照)のEMRの使用は当分野で周知であるが、本発明はこの目的のために新規の波長範囲の使用を開示する。従来の方法及び装置は、1200nm未満の波長の光照射を使用する。しかしながら、色が濃い皮膚のタイプの場合、1200nm未満の波長での治療により、表皮損傷などの不所望の副作用が起こることがある。このような欠点を解消するべく、本発明は、約1200nm〜約1400nmの範囲の波長を用いて毛髪の成長を変更できることを見出した。パルス幅、流束量、及び/または出力を調節して、約1200nm〜約1400nmの範囲の波長を用いて毛髪の成長を遅くする、毛髪の成長を止める、または毛髪の成長を刺激することができる。
【0045】
図4は、メラニンが近赤外スペクトルの光を吸収することを示すメラニンの1000nm〜1400nmの範囲の吸収スペクトルである。メラニン含有標的を加熱するために1200nmよりも長い波長を使用できることを例1に示す。波長が1200nm〜1400nmの範囲の光放射線の毛包マトリックスへの透過が毛包構造における導波管効果によって促進される。導波管効果は、毛幹、内側毛根鞘、外側毛根鞘、及び周囲組織における屈折率の差によって起こる。具体的には、毛幹、内側毛根鞘、及び外側毛根鞘の屈折率は周囲組織の屈折率よりも有意に高い。従って、インフルビダム(infulbidum)を介して毛包に結合した約1200nm〜1400nmの範囲の波長を有する光が、刺入深さを効率的に増大させる一連の全内部反射(TIRs)で毛包内に伝播され得る。この効果は、毛包密度が100本/cm2と高くなることもある顔の組織などの毛包密度の高い部分で著しい。例えば皮膚の30%を超える部分が毛包に占有されているような毛包密度の高い部分では、大きなビームを使用すると、導波管効果が得られ、光が多数の毛包導波管を透過して真皮内に分散される。コヒーレントレーザービームの場合、この構造が、一定の波長に対して導波管効果を増幅する光学結晶と類似の機能を果たす。
【0046】
図6A及び図6Bに、毛球に伝送される光エネルギーの量に対するこの導波管効果の影響が例示されている。図6Aは、(1)導波管効果を考慮した場合と(2)導波管効果を考慮しない場合の2つのケースの波長の関数として皮膚表面から毛球(1つの毛包の)位置までのEMRの透過率を示すグラフである。
【0047】
図6Bは、波長の関数として導波管効果のない皮膚の透過率に対する導波管効果のある皮膚の透過率の比を示すグラフである。図6Bは、照射する放射線の波長が例えば1200nmよりも長くなると、導波管効果が最も得られ、特に有利であることを示している。従って、波長が1200nm〜1400nmの範囲での毛髪の成長の実質的な遅延は、約1J/cm2〜500J/cm2の流束量及び約1ナノ秒〜10分のパルス幅で達成することができる。
【0048】
本発明はまた、後述するように皮膚治療部位を除毛しEMRを照射するための装置を提供する。ある実施形態では、除毛装置とEMR照射装置が1つの装置に設けられており、1回のストロークで除毛と同時またはその後にEMRを照射することができる。除毛装置は、ヒゲ剃り機構(例えば、剃刀または電気剃刀)、毛抜き機構(すなわち、皮膚治療部位を通過する時に毛髪を抜く回転装置)、除毛クリームのアプリケータ、電気分解、または別の電磁放射線のアプリケータなどの当分野で周知の任意の好適な除毛装置を含むことができる。好適な実施形態では、EMRは、1回の通過で切り落としと先端処理を行う切断器具として機能することができる。本装置はまた、治療のために最適な位置に毛尖を移動させるべく毛尖を捕捉する機械的または静電気的な機構を含むこともできる。本発明の更に別の実施形態では、本装置は、EMR照射の前に毛尖を乾燥させるために空気を送る送風機構及び/またはEMR治療の前に皮膚治療部位を引き伸ばすためのストレッチ機構を含むことができる。
【0049】
上記したように本発明の方法を実施するための実施装置に様々なデザインを採用することができる。具体的には、本発明の方法を実施するための様々な実施形態では、様々な方法で皮膚治療部位に電磁放射線を照射することができる。例として、図7A‐図7Cに、皮膚治療部位に電磁放射線を照射する3つの例示的な方法が模式的に示されている。図7Aに示されているように、スタンピング方式で、1または複数の電磁放射線源を含むアプリケータ(ハンドピース)71を皮膚72の選択された部位に配置し、電磁放射線73のパルスをその部位の組織に照射することができる。次いで、ハンドピースを別の治療部位に移動させてEMRパルスをその部位に照射することができる。これを繰り返して、電磁パルスを治療部位の全てに照射することができる。
【0050】
図7Bに、ここではスキャン方式と呼ぶ治療部位に電磁放射線を照射する別の方式が模式的に示されている。この方式では、1または複数の電磁放射線源を含むハンドピースが皮膚表面に沿って連続的に移動して、治療部位の組織に電磁エネルギーを照射する。多くの実施形態では、このスキャン方式に電磁エネルギーの連続波(CW)源を用いることができる。別の実施形態では、詳細を後述するように、スキャン方式に電磁エネルギーのパルス源を用いることができる。
【0051】
図7Cに、治療部位に電磁放射線を照射するマトリックス方式が模式的に例示されている。具体的には、本発明の実施形態に従った装置76は、同時、順次、または選択されたパターンで作動させることができるLEDなどの個々にアドレス指定可能なEMR源のアレイなどとして形成された複合EMR源77を含む。顔全体などの大きな治療部位などの治療部位を装置76のパネル75に近接または接触させて、アレイ状のEMR源からの放射線を照射する。更に、場合によってはビーム整形及び/または冷却器具78を用いて、治療部位への電磁放射線の照射を最適にすることができる。
【0052】
ある実施形態では、スキャン方式でEMRのパルス源を用いるのが有利であろう。図8に模式的に示されているように、このような実施形態は、パルス源84、トラッキング装置85、及びコンピュータなどのトリガー装置86を含むシステムを用いることができる。このシステムは更に、治療部位82に電磁放射線を照射するハンドピース(アプリケータ)81を含む。パルス源をハンドピースと一体にしても一体にしなくても良い。一体にしない場合、放射線が別のエネルギーガイド87を介してハンドピースに供給される。アプリケータは、手動スキャンのためにハンドル83を備えることができる。別法では、機械式スキャンを用いることもできる。治療は、アプリケータを皮膚表面に配置し、第1のパルス88を発射して開始することができる。次いで、アプリケータを皮膚表面に沿って連続的に移動させて目的の治療部位をスキャンする。トラッキング装置85が、アプリケータの位置を連続的に監視し、トリガー装置86にデータを送信する。これらの装置は、ハンドピースと、または互いに一体にしても一体にしなくても良い。
【0053】
図9に模式的に示されているように、トリガー装置は、所定のトリガー条件に基づいて次のパルスの発射を開始するべく、最後の発射位置91とハンドピースの現在位置92とを比較する。好適な一実施形態では、トリガー装置は、アプリケータのフレーム上に基準点(RP)を選択し、第1のパルスの前にその位置をマークし、次いで最後に発射した位置93とRPの現在位置94(スキャンによって常に移動する)との距離drを監視する。例えば、トリガー装置は次に示す条件を監視することができる。
dr≧lh−l0=lh(1−α) (1)
この式において、α=l0/lhは所望の重複の程度であり、l0は重複の長さ(mm)であり、lhはハンドピースの動作部分の長さ(mm)である。式(1)の条件が満たされると、トリガー装置がパルス源に次の発射命令を発することができる。治療部位全体を治療するまでこれを繰り返す。この発射命令は、アナログまたはデジタルパルス(または一連のパルス)の形態にすることができ、様々な機構(例えば、電気的、機械的、または光学的)を介してパルス源に送ることができる。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、他のトリガーアルゴリズムを考案することもできるであろう。
【0054】
トラッキング装置85は、様々な技術を用いて実施することができる。例えば、一実施形態では、トラッキング装置は、一連のホイール、及びホイールの角度位置を読み取ることができる読取りモジュールを含むことができる。式(1)に一致する回転が成されると、発射命令が発せられる。ある好適な実施形態は、トラッキング装置が非接触光学装置であって、皮膚表面を照明し、制限部分の画像を十分な周波数(例えば、2kHz)で撮ることができる。次いで、連続的な各画像を処理し、フレームの差を分析してフレームが撮られた瞬間のカメラ位置間の移動を決定する。このようにして、RPの位置を確実に監視することができる。ある好適な実施形態では、トラッキング装置は、市販の光学マウス(場合によっては、用途の特定の構造に一致するように変更された光学マウス)とすることができる。トラッキング装置は、接触センサの機能を果たすこともできる。
【0055】
トリガー装置86は、機械式、電気機械式、電気式、電子式、光学式、または任意の他の好適なデザインとすることができる。トリガー装置86はまた、アナログまたはデジタルとすることができる。ある好適な実施形態では、トリガー装置は電子デジタル装置である。
【0056】
ある実施形態では、スタンピング式またはスキャン式で選択された皮膚治療部位に放射線を照射するための複合EMR源を用いることができる。図10に示されているように、一例では、複数のEMR源101をハンドピース102内に直線状のアレイに配置することができる。ハンドピース102が皮膚表面に沿ってスキャンする時に、タイミング装置103が、EMR源の全てまたは選択された一部を作動させるべくプログラムされた順序に従ってEMR源101に発射パルスを送ることができる。この方式では、標的に対する所望の効果を、複合EMR源からの複数のパルスの蓄積作用によって達成することができる。発射順序は、例えばトラッキング装置104によって監視されたスキャン速度または皮膚の状態(色素沈着または紅斑など)によって瞬時に変更することができる。ある実施形態では、装置は、治療のために毛髪を配置するための配置機構105を有することもできる。この配置機構は、放射された放射線が毛髪に最適に照射されるように毛髪の一部を移動させることができる機械式、静電気式、及び/または真空源式の機構とすることができる。
【0057】
別法では、図11に示されているように、EMR源111を回転ドラム112内に配置することができる。タイミング装置113は、EMR源が治療部位に面する底部位置114に来たと同時にEMRを発射するような発射順序にすることができる。ビーム整形及び/または冷却器具115をハンドピースハウジングと一体にすることができる。当業者であれば、EMR源を他の配置のアレイにできるであろう。
【0058】
本発明の開示に従った装置のある実施形態は、治療の効果及び/または安全性を更に高めるように別の器具を含むことができる。例えば、図12に示されているように、本装置は、局所組成物注出器具121、冷却器具122、フィードバック(皮膚の状態の監視)器具123、及び毛髪整直器具124を含むことができる。加えて、本装置は、治療部位を除毛するための剃刀などの器具を含むことができる。
【0059】
ある実施形態では、本発明の開示に従った2つ以上の処置を実施するために1つの装置を用いることができる。
【0060】
次に示す例により、本発明の開示に従った毛髪の治療方法の一部の態様を更に理解できるであろう。
【0061】
例1.メラニン含有標的(毛髪)の加熱における1208nmの波長に対する1060nmの波長の効果の比較
図13に模式的に示されている実験的な設備を用いて、メラニン含有率の低い毛髪(白髪)及びメラニン含有率の高い毛髪(黒髪)の加熱における1060nmの放射線源を用いた場合に対する1208nmの放射線源を用いた場合の効率を比較した。
【0062】
CW Ramanファイバーレーザー131を用いて、1060nmの波長及び1208nmの波長の放射線を生成した。2mmの開口136を用いて、放射ビーム134の最大強度(フラットトップ)を有する部分を選択した。脱水を避けるために測定直前に採取した黒髪132及び白髪133を、ビームの中心点に対してできるだけ対称にビーム経路に配置した。全放射電力を、240mWで2つ波長に一致させた(すなわち、7.6W/cm2の照射量)。パルス発生器によって制御される電子シャッター135を用いて、両方の波長で最大200ミリ秒のパルスを生成した(流束量は最大1.5J/cm2)。コンピュータ138によって制御される赤外線サーマルカメラ137のピントを毛髪のある平面に合わせて、両方の毛髪における最大の温度上昇点を選択した。これらの点における時間的温度プロファイルを記録した。
【0063】
結果
図14A及び図14Bのそれぞれに、それぞれの波長に対する2つの経時的な温度変化が示されている。更に、以下の表1に、2つの波長における両方の毛髪についての平均温度のデータが要約されている。
【表1】
【0064】
黒髪と白髪の温度上昇における比が2つの波長で有意差がないため、メラニンが1208nmの波長でも主な吸収成分であることが分かる。そうではない場合は、比の変化は、図15に示されている水に対するメラニンの吸収比における変化に近いであろう。
【0065】
1208nmでの温度上昇に対する1060nmでの温度上昇の比は、赤外線でのメラニン吸収スペクトルに一致している(図4を参照)。データは更に、1208nmにおけるメラニンの吸収は、効果的に加熱するのに十分であることを示している(現在の設定で最大8℃/(J/cm2))。
【0066】
当業者であれば、上記した実施形態から本発明の更なる特徴及び利点を理解でき、通常の実験でこれを確認できるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除いて、特定の記載及び図に限定されるものではない。ここで言及した全ての刊行物及び参照文献は、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1A】EMR治療前の毛尖を示す絵画図である。
【図1B】EMR治療後の毛尖を示す絵画図である。
【図2】皮膚タイプVIのEMR治療の結果を例示するグラフである。
【図3A】治療前の患者の足の部分の写真である。
【図3B】毛幹の変化を示す治療後3ヶ月の患者の足の部分の写真である。
【図4】1000nm〜1400nmの範囲におけるメラニンの吸収スペクトルである。
【図5】様々な波長での照射の後の皮膚の基底層と毛尖の温度の変化を比較するグラフである。
【図6A】(1)色が薄い毛髪における導波管効果のある皮膚、(2)色が濃い毛髪における導波管効果のある皮膚、及び(3)導波管効果のない皮膚に対する波長の関数として皮膚表面から毛球への皮膚の透過率を示すグラフである。
【図6B】(1)色が薄い毛髪及び(2)色が濃い毛髪に対する波長の関数として、導波管効果を考慮した表皮の基底層の温度上昇に対する毛母基の温度上昇の比(安全率)を示すグラフである。
【図7A】スタンピング方式での皮膚治療部位への電磁放射線の照射を示す模式図である。
【図7B】スキャン方式での皮膚治療部位への電磁放射線の照射を示す模式図である。
【図7C】マトリックス方式での皮膚治療部位への電磁放射線の照射を示す模式図である。
【図8】スキャン方式でEMRのパルス源を用いた本発明の実施形態の模式図である。
【図9】所定のトリガー条件に基づいて新しいEMRパルスが発射される本発明の実施形態の模式図である。
【図10】複数のEMR源がハンドピース内で直線状のアレイに整列された本発明の実施形態の模式図である。
【図11】EMR源が回転ドラムに配置された本発明の実施形態の模式図である。
【図12】追加の器具が装置に配置された本発明の実施形態の模式図である。
【図13】例1に用いられる実験設備の模式図である。
【図14A】1060nmでのEMR治療の後の毛髪の温度プロファイルのグラフである。
【図14B】1208nmでのEMR治療の後の毛髪の温度プロファイルのグラフである。
【図15】波長の関数としての水の吸収に対するメラニンの吸収の比を示すグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
優先権
本願は、2003年2月19日出願の米国仮特許出願第60/448,762号の優先権を主張するものである。
【0002】
発明の背景
本発明は、毛髪の治療に関し、詳細には、電磁放射線を用いて偽毛包炎(PFB)を治療及び予防するための方法及び装置に関する。
【0003】
偽毛包炎(PFB)は、成長する毛髪が表皮に再進入するヒゲ部分の慢性丘疹膿疱性皮膚炎である。PFBは、縮毛の人(男性及び女性)で起こりやすい。また、皮膚の色が濃いタイプ(IV‐VI)人が特にこの症状を起こしやすい。疫学的研究(PKペリー(PK Perry)ら著、「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・アカデミー・オブ・ダーマトロジー(J. Am. Acad. Dermatol)」、46:S113‐119、2002年)により、黒人の45%〜83%で発症するという推定値が得られた。
【0004】
PFBの病因は毛髪構造である。湾曲したパターンの毛髪の成長が、症状が始まる主な原因である。毛髪がこのようなパターンの人では、皮膚表面から出た毛髪が表皮の方向に曲がる。完全な円を形成するかのようにこの方向に毛髪が成長すると毛髪が皮膚に刺入する(すなわち、毛包外刺入)。異物型炎症反応の後に複数の丘疹及び連続的な膿疱が起こる。或いは、皮膚の上を弧を描いてから皮膚に再進入するのではなく新生毛髪が毛包壁に刺入する(すなわち、毛包内刺入)。
【0005】
従来の治療法には、(1)ヒゲ成長法、(2)PFB用ヒゲ剃り法、(3)除毛剤及び局所クリームの塗布(例えば米国特許第6,352,690号)、及び(4)皮膚に刺入する毛髪を処置する電気分解法(例えば米国特許第5,419,344号)が含まれる。
【0006】
近年、当初は除毛のために開発されたレーザー治療法がPFBの治療に用いられるようになってきた。しかしながら、従来の治療法には様々な欠点がある。具体的には、ヒゲ成長法は多くの職業に向かないし、PFB用ヒゲ剃り法は面倒で時間がかかり効果が十分でない場合が多い。局所除毛剤は、使用が困難であり、重度の皮膚炎を起こして症状を悪化させることもある。電気分解法は、訓練を受けた専門家だけが実施でき、高価であって著しく時間がかかる。レーザー方式は、問題を解消する治療を行うことができるが、現在は利用できるのが医療施設のみであり、既存のシステムは肌の色が濃いタイプの患者には最適とは言えないであろう。
【0007】
従って、安全かつ効率的、そして自己医療可能なPFBの治療法が当分野で要望されている。
【0008】
発明の要約
ある態様では、本発明は、電磁放射線(EMR)を皮膚治療部位に照射してその治療部位の1または複数の毛尖にエネルギーを供給し、毛尖の少なくとも一部を変更するステップを含む毛髪の治療方法を提供する。放射線の照射により、例えば皮膚表面の下側約0.2mmから皮膚表面の上側約1mmまで延びた毛尖を加熱して、例えば毛尖の尖りを鈍くするなど、毛尖の形状を変更することができる。毛尖の変更では、毛尖が皮膚に再進入し難くする(すなわち、治療した毛尖を実質的に丸い端部にする)毛尖の形状の熱による変化を伴い得る。従って、放射線の照射により、治療部位の偽毛包炎(PFB)を治療及び/または予防することができる。具体的には、毛尖の形状の変更により、毛尖による毛包外及び/または毛包内への刺入を防止することができる。ある実施形態では、放射線の照射により、毛尖の皮質及び/または毛小皮に不可逆的な熱損傷を与えることができる。
【0009】
放射線の照射により、毛尖の温度を約50℃〜300℃まで上昇させることができる。放射線のパラメータは、毛尖の温度が約50℃〜約300℃まで上昇する一方で、治療部位における表皮の温度が約65℃未満、好ましくは60℃または55℃に維持されるように選択することができる。約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量が治療部位にさらされるように複数の電磁パルスを治療部位に照射することができる。このようなパルスは、約1ナノ秒〜約5分または約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有することができる。パルスは、0.1Hz〜約10MHzの範囲の繰返し数を有することができる。一般に、1cm2の治療部位に対して約1ナノ秒〜約100秒かかる治療の間にパルスを照射する。照射する放射線は、毛尖のメラニンによって吸収される波長成分を含むのが好ましい。例えば、放射線は、約280nm〜約100,000nmの範囲、より好ましくは約360nm〜約600nmの範囲の波長成分を含むのが好ましい。
【0010】
関連する態様では、毛髪治療法は、例えば表皮に対する毛尖の選択的な加熱を促進するべく治療部位の表皮を冷却するステップを含むことができる。この冷却ステップは、治療部位への放射線の照射の前、最中、または後に行うことができ、これにより表皮の温度が危険すなわち不快なレベル(100℃超)まで上昇しないようにすることができる。
【0011】
本発明の方法は更に、放射線によって光活性化して毛尖の形状の変更を促進する局所物質を皮膚治療部位に適用するステップを含むことができる。局所物質は、少なくとも1種類の外来発色団を含み、場合によっては、治療部位の毛髪または毛髪の毛包脂腺管へ外来発色団を供給するための媒介物を含むことができる。外来発色団は、毛尖の加熱を促進するように照射する放射線の波長に少なくとも部分的に一致する吸収スペクトルを有するように選択することができる。
【0012】
更なる態様では、毛髪の治療方法は、治療部位を除毛するステップを含むことができる。除毛は、ヒゲ剃り、切り落とし、除毛クリームの適用、別の電磁放射線の照射、または他の任意の好適な方法によって行うことができる。例えば、皮膚の表面から突き出た毛尖部分を除去することができる除毛ステップは、電磁放射線の治療パルスを照射する前、後、または実質的に同時に複数の電磁パルスを治療部位に照射して行うことができる。
【0013】
毛髪の治療方法は、治療の前または最中に皮膚治療部位を引き伸ばすステップを含むこともできる。この方法はまた、照射する放射線が毛尖に到達し易いように皮膚治療部位を持ち上げるステップを含むことができる。機械式、真空式、または静電気式の機構などの任意の好適な機構を用いて毛尖自体を持ち上げて、照射する放射線を毛尖に直接接触させることができる。
【0014】
別の態様では、本発明はまた、毛幹を修正するのに十分な温度に上昇するまで皮膚治療部位の1または複数の毛幹を加熱するべく、皮膚治療部位に電磁放射線を照射して毛髪を治療する方法を提供する。毛幹の修正により、毛幹の縮れを軽減することができる(すなわち、毛幹を実質的にストレートにする)。この修正はまた、毛幹の柔軟性を高めるステップ、毛髪の直径または形状を変更するステップ、毛髪の引張り強さを増大させるステップ、及び/または毛髪の弾性を高めるステップを含むことができる。温度上昇は、例えば、約50℃〜約300℃の範囲にすることができる。放射線により、毛幹の引張り強さを変化させることができる。毛幹の引張り強さは、約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で変化させることができる。放射線により、治療部位の偽毛包炎を治療、予防、または軽減するのに十分な毛幹の変化(すなわち、毛幹の縮れの軽減)を起こすことができる。照射する電磁放射線は、約380nm〜約2700nm、好ましくは約600nm〜約1400nm、または約800nm〜約1350nmの範囲の波長成分を有する複数の電磁パルスによって皮膚治療部位に照射することができる。更に、治療部位の表皮を、治療の前、最中、及び/または後に冷却することができる。加えて、治療部位の毛髪は、電磁放射線を照射する前に実質的にストレートにすることができ、かつ/または放射線によって光活性化できる局所物質を治療部位に適用して毛幹の軟化及び/またはストレート化を促すことができる。
【0015】
別の態様では、本発明は、約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射して毛髪の成長を調節して制御する方法を提供する。放射線の照射により、毛髪の成長を減速及び/または停止させることができる。ある実施形態では、放射線の照射により毛髪の成長を刺激することができる。例えば、治療部位が約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量の放射線にさらされるように約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する複数の電磁パルスを治療部位に照射することができる。照射する放射線の時間及び流束量は、毛髪の少なくとも一部を約47℃よりも高い温度に加熱するように選択することができる。更に、治療部位の表皮を冷却することもできる。放射線によって光活性化し得る局所物質を治療部位に適用して毛髪の成長の調節を容易にすることができる。
【0016】
更に別の態様では、本発明は、変更された毛髪を毛母基が生成できるようにするのに適した流束量及び波長の放射線で複数の毛包を照射するステップを含む毛髪の治療方法を提供する。放射線により、毛球、角質形成帯、及び毛包の球状部分を加熱して、縮れが少なく、細く、かつ/または柔軟な毛髪を毛母基が生成するようにできる。変更された毛髪の引張り強さは、治療前の毛髪に対して約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で変化させることができる。変更された細い毛髪は、治療前の毛髪に対して約1μm〜約60μmの範囲で直径を小さくすることができる。約380nm〜約2700nm、好ましくは約600nm〜約1400nmの範囲の波長成分、及び例えば約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する複数の電磁パルスを用いて、約0.1J/cm2〜約1000J/cm2、好ましくは約5J/cm2〜約50J/cm2の範囲の流束量に治療部位がさらされるように電磁放射線を皮膚治療部位に照射することができる。
【0017】
別の態様では、本発明は、皮膚治療部位を治療するための装置を提供する。この装置は、1または複数の電磁放射線(EMR)を皮膚治療部位に照射して1または複数の毛尖にエネルギーを加え、毛尖の少なくとも一部を変更(すなわち、形状、引張り強さ、滑らかさ、柔軟性、または真直度を変更)する放射線源と、皮膚治療部位の少なくとも一部を除毛する除毛機構を含む。この除毛機構は、ヒゲ剃り器具、除毛クリームを適用する器具、別の電磁放射線を放射する器具、または当分野で周知の任意の除毛機構を含むことができる。放射線源は、約300nm〜約1900nmの範囲の波長成分を有する電磁パルスを生成することができる。この装置は、治療部位の表皮を、治療の前、最中、及び/または後に冷却するための冷却機構を含むこともできる。この装置はまた、皮膚表面から突き出た毛尖の除去を検出するセンサ及び/または切断機構による毛尖の保持を容易にするリフト機構を含むこともできる。このリフト機構は、機械式及び/または静電気式とすることができる。
【0018】
別の態様では、本発明はまた、毛髪の成長を制御する装置を提供する。この装置は、毛髪の成長を調節するべく皮膚治療部位の1または複数の毛包に約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を照射するための放射線源を含む。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、毛尖の少なくとも一部の形状を変更するための装置を提供する。この装置は、皮膚治療部位における少なくとも一部の毛尖の形状を変更するべく、約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で皮膚治療部位を照射するために約280nm〜約100,000nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成する少なくとも1つの放射線源を含む。本発明はまた、毛幹の縮れを軽減するための装置を提供する。この装置は、皮膚治療部位における少なくとも一部の毛幹の縮れを軽減するべく、約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で皮膚治療部位を照射するために約380nm〜約2700nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成する1または複数の放射線源を含む。別の実施形態では、本発明は毛髪の成長を制御するための装置を提供する。この装置は、毛髪の成長を調節するべく皮膚治療部位における1または複数の毛包に照射するために約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を生成する少なくとも1つの放射線源を含む。この放射線源は、LED、レーザーダイオード、フィルター付きアークランプ、またはフィルター付きハロゲンランプとすることができる。本発明の装置はまた、皮膚表面から突き出た毛尖部分を除去するための機構を含むこともできる。加えて、この装置は、治療のために毛髪を配置するための配置機構を含むことができる。配置機構は、放射された放射線が毛髪に最適に照射されるように毛髪の一部を移動させることができる機械式、静電気式、及び/または真空源式の機構とすることができる。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、毛幹の弾性を調節するための装置を提供する。この装置は、治療部位における少なくとも一部の毛幹の弾性を調節するべく、約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で皮膚治療部位を照射するために約600nm〜約1400nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成する1または複数の放射線源を含む。
【0021】
更に別の実施形態では、本発明は、皮膚用システムを提供する。この皮膚用システムは、皮膚治療部位上をスキャンするように適合されたヘッド部分を備え、少なくとも1つの放射線源を含むアプリケータと、スキャンの際にヘッド部分の位置を示す信号を生成するためにヘッド部分に結合されたトラッカーと、トラッカー及び放射線源に結合され、前記トラッカーから受信した位置信号に基づいて放射線源を周期的に作動させる制御装置とを含む。この制御装置は、位置信号に基づいた放射線源の前の作動からヘッド部分が移動した距離を決定する。この制御装置はまた、移動距離が閾値を超えると放射線源を作動させる。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、PFBの原因すなわち毛髪の引き抜きやヒゲ剃りによる毛髪端部の尖り及び毛髪の縮れに直接対処するべく毛幹を修正する方法を開示する。このような有望な毛幹修正法は、単純かつ安価にPFBを治療できるという利点がある。本発明の開示により、毛幹修正法は、次に記載する少なくとも1つの方法で行うことができる。
(1)毛髪の縮れを軽減するべく毛幹の構造を熱で変形させて毛髪の引張り特性を変更する方法。
(2)熱で毛幹を収縮させて外毛根鞘(ORS)と付随層(companion layer)との間の牽引力を減少させ、除毛を促進する方法。
(3)熱で付随層を変形させて付随層とORSとの間の牽引力を減少させ、除毛を促進する方法。
(4)毛髪の形状を熱で変形させて(すなわち尖りを鈍くする)毛包外刺入及び/または毛包内刺入の可能性を減少させる方法。
【0023】
本発明の態様に従えば、PFBは、治療部位の複数の毛包またはその一部に電磁放射線(EMR)を照射して治療または予防することができる。本発明に従ったPFBの治療法では、皮膚のPFB部分を検査して識別し、このようなPFB部分にEMRを選択的に照射するステップが含まれる。
【0024】
PFBは、ヒゲ剃りでPFBの発生因子となる遺伝的な毛髪または毛包の特徴を有する個々人に対する環境的な圧迫によって悪化する皮膚の症状である。更に、PFBは、病原微生物が病因に関係しないため真の毛包炎ではない。むしろ、病因の元は異物型炎症反応である。密着したヒゲ剃りの後、毛幹の鋭利な縁が、毛包の壁部を切開するまたは表皮に再進入する。本発明は、患者のPFBを軽減、予防、及び/または治療できる方法及びそのような方法を行うための装置を開示する。
【0025】
本発明の一態様では、毛尖の形状を修正するべく複数の毛髪先端に電磁放射線(EMR)を照射する。ここで用いる当分野で周知の語「毛尖」は通常、皮膚表面近傍の皮膚表面の下側から皮膚表面の上側に延びた毛髪部分を指す。例えば、毛尖は、皮膚表面の下側約0.2mmから上側約1.0mmまで延びた毛幹部分を指すことができる。毛尖に選択的に熱を加えて毛尖の毛皮質及び/または毛小皮に一時的または不可逆的な熱損傷を与え、毛尖の形状を修正する。毛尖の修正では、熱で毛尖の形状を修正して毛髪が再進入し難くする。より具体的には、この修正形状は、修正前の毛尖よりも尖っていない形状、例えば丸くするのが好ましい。一例として、図1Aと図1Bに、本発明の開示に従って処置する前の毛尖と、詳細を後述するように本発明の開示に従って電磁放射線が照射されて丸くなった毛尖との比較が示されている。毛尖の形状の修正は、皮膚治療部位を除毛しながらまたは除毛と同時に行うことができる。
【0026】
一実施形態では、毛尖が約50℃〜約300℃の範囲の温度に到達するように毛尖にEMRを照射する。ある実施形態では、毛尖の温度が約100℃を超えるのが望ましい。別の実施形態では、毛尖の温度が約200℃を超えるのが望ましい。
【0027】
本発明のこの態様に従った毛尖の修正は、約280nmを超える波長を有するEMRを用いて達成することができる。波長は、好ましくは約280nm〜約100,000nmの範囲、より好ましくは約280nm〜約1400nmの範囲、最も好ましくは約380nm〜約600nmの範囲である。毛髪中のメラニン及び/または水分に吸収される波長を加熱のために利用することができる。
【0028】
毛尖の加熱は、下側の皮膚が損傷を受けないように選択的に行うことができる。この選択性は、毛尖と皮膚の熱放散特性の差によって得られる。表皮もメラニン部分を含むが、メラニンは、その殆どが皮膚の深い位置にある基底膜にあり、表皮は高い温度で周囲組織と熱接触するため、EMRは基底膜に到達する前に表皮の上層で減衰し、毛尖に比べて熱放散が著しい。
【0029】
更に、皮膚組織(表皮)の熱は、周囲組織の熱伝導性が高いため、毛尖の熱よりも効率的に除去することができる。熱放散により、表皮の温度は毛尖の温度よりも低くなる。ある実施形態では、処置前に皮膚表面の汚れを取って、毛尖及び/または周囲領域からあらゆる熱伝導物質を除去し、皮膚に対する毛尖の選択的な加熱を促進することができる。ある実施形態では、表皮からの熱放散を更に促すために皮膚表面を冷却することもできる。例えば、冷却空気または室温の空気を冷媒として用いることができる。別の実施態様では、気流で毛髪を乾燥させて毛尖からの熱束を減少させる。別の実施形態では、治療の前、最中、及び/または後に治療部位に室温の空気または加熱空気を供給することができる。
【0030】
図5に、様々な波長での照射後の毛尖の温度と表皮の温度の変化を比較したグラフが示されている。毛尖の選択的な加熱に最も適した波長は、UV及び紫スペクトルの範囲である。この治療に適した一般的なパラメータは、皮膚の基底層への光の透過を制限するために波長範囲が約280nm〜約100,000nm、好ましくは360nm〜600nmの範囲であり、流束量は約0.01J/cm2〜1000J/cm2、より好ましくは約0.5J/cm2〜約50J/cm2の範囲である。ある実施形態では、好適な波長を有する複数の電磁パルスを治療部位に照射して、電磁エネルギーを治療部位に照射する。このパルス幅は、毛尖の熱緩和時間よりも短いのが好ましい。毛尖の熱緩和時間は、周囲媒体の直径及び乾燥度によって異なるが、例えば1ミリ秒〜10秒とすることができる。一般に、患者の状態を満たし易いように短いパルス幅が望ましい。特定の用途に対して選択される特定のパルス幅、流束量、及び波長は、限定するものではないが皮膚のタイプや毛髪の色などを含む様々な特性によって異なる。ある実施形態では、ある患者に対して選択されるパルス幅、流束量、及び波長は通常、毛髪の成長抑制または除毛に必要なEMRよりも少ないEMRを照射する。一般に、約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅が用いられる。
【0031】
様々なEMR源を用いて本発明を実施することができる。EMR源の例として、限定するものではないが、量子カスケードレーザー、固体レーザー、LEDまたは他の固体照明、LEDのマトリックスまたはアレイ、アークランプ、ハロゲンランプ、ファイバーレーザー、メタルハライドランプ、白熱ランプ、RF発生器、及びマイクロ波発生器などを含め、ダイオードレーザーを挙げることができる。EMR源は、パルス放射線または連続的な放射線を生成することができる。一般に、EMRの照射には、上記したパラメータに従ってEMRを照射する任意の好適な装置を用いることができる。例えば、米国特許第6517,532号、同第6,508,813号、米国特許出願第10/154,756号(2002年5月23日出願、名称「光線美容装置用の冷却システム(Cooling system for Photocosmetic Device)」)、同第10/702,104号(2003年11月4日出願、名称「低出力光線治療を行うための方法及び装置(Methods and Apparatus for Delivering Low Powered Optical Treatments)」)、同第10/080,652号(2002年2月22日出願、名称「光線美容及び光線皮膚治療に用いる装置及び方法(Apparatus and Method for Photocosmetic and Photodermatological Treatment)」)、同第10/706,721号(2003年11月12日出願、名称「光線皮膚治療を行うための方法及び装置(Method and Apparatus for Performing Optical Dermatology)」)、及び米国特許第6,514,242号(名称「レーザー除毛の方法及び装置(Method and Apparatus for Laser Removal of Hair)」)に開示されているような装置に類似した構造を有することができる。
【0032】
ある実施形態では、EMRは、皮膚表面に対して直角または様々な角度で照射する。例えば、光を斜めまたはかすめ角で照射して、皮膚表面に対して斜角で延びている毛髪にEMRが結合し易くするのが適当であろう。
【0033】
好適な実施形態では、皮膚治療部位を除毛してからEMRを照射する。EMRは、ヒゲ剃りの度に照射するまたは必要に応じて(例えば、ひげ剃りの後1回おきに)照射することができる。除毛は、皮膚から突き出た毛尖の少なくとも一部を除去する任意の好適な機構を用いて達成することができる。好適な除毛の機構には、限定するものではないが、ヒゲ剃り、切り落とし、除毛クリームの塗布、及び別の電磁放射線の照射が含まれる。好適な実施形態では、除毛は、任意の好適な装置(例えば、剃刀または電気剃刀)を用いたヒゲ剃りによって達成される。一般に、EMRの照射時に、毛尖の位置は、皮膚表面の下側0.2mmの深さから皮膚表面の上側1.0mmの範囲である。
【0034】
ある実施形態では、皮膚は、照射するEMRが毛尖に到達し易いように治療前に皮膚を引き伸ばす。別の実施形態では、機械式または電気式の毛尖を保持する手段を用いて、治療に最適な位置に移動させる。別法では、EMRが、切断器具として機能し、1回の通過で切り落としと毛尖治療を行うことができる。EMR照射の前に、加熱された気流、冷却された気流、または室温の気流を皮膚治療部位に供給して毛尖を乾燥させることができる。
【0035】
ある実施形態では、毛幹がEMRによって加熱されて柔軟になった後に整直器具(straightening implement)を用いて毛幹をストレートにすると同時または直前にEMRを照射することができる。このような器具は、例えば、機械的な作用、静電気作用、または化学作用(またはこれらの組合せ)を用いることができる。別法では、毛髪をストレートにできる局所物質を、EMR治療の前、最中、または後に皮膚治療部位に適用することができる。様々な毛髪ストレート剤が当分野で知られている(例えば、米国特許第6,537,564号及び同第6,517,822号を参照)。最も一般的な毛髪ストレート剤は、活性成分として例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化カリウムなどの水酸化物系、またはチオグリコール酸アンモニウム系である。
【0036】
ある実施形態では、電磁放射線による治療を促進するために局所適用発色団を用いる。その発色団の吸収スペクトルに少なくとも部分的に一致するようにEMRの波長を最適にすることができる。また、供給システムを用いて発色団を適用して毛包脂腺管及び/または毛幹内へ発色団を進入させて治療を促進することができる。発色団は、媒介物と組合せた有機または非有機染料とすることができる。ある実施形態では、局所適用除毛剤を適用して治療を促進することができる。このような除毛剤は、感光性または感熱性として、毛尖の深さでEMRを集中(例えば集束)させて除毛剤を毛尖部分で選択的に作動させることができる。場合によっては、局所組成物が、EMRの発色剤と除毛剤の両方を含むことができる。このような発色剤は、染料、金属、イオン、着色粒子、感光染料、感光物質、カーボン粒子、導電スキンローション、電解質スプレー、導電電解ゲル、及び酸化物からなる群から選択することができる。局所物質の例は、例えば、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする米国特許第6,685,927号及び米国特許出願第10/693,682号(2003年10月23日出願、名称「クーラント及び局所物質を使用する光線治療装置(Phototreatment Device for Use with Coolants and Topical Substances)」)に開示されている。
【0037】
本発明の別の態様では、毛幹の縮れを緩和する。ここで用いる語「縮れた」または「縮れ」は、湾曲した線(ループ)を形成する性質と毛幹の弾性欠如を組み合わせたものを指す。毛髪の縮れが弱くなると、好ましくは漏斗部分における毛髪の柔軟性、毛髪の直径または形状の変化、毛髪の引張り強さの増大、及び/または毛髪の弾性の増大が起こり得る。従って、EMRの照射により毛尖を約50℃〜300℃、好ましくは100℃超、より好ましくは200℃超の温度まで加熱して毛幹の物理的性質及び化学的性質を変える。この治療の一般的なパラメータには、約380nm〜約2700nm、好ましくは約600nm〜約1400nm、より好ましくは約800nm〜約1350nmの範囲の波長が含まれる。加熱によって毛尖の成分が柔軟になると、その毛尖の構造が変化することができる。ここで用いる語「柔軟な」または「柔軟にする」は、毛小皮、皮質、または毛幹の細胞間質の構造を熱で変形させて毛尖の縁の硬度を下げることを指す。柔軟性は、例えば、毛幹の引張り強さを測定して求めることができる。本発明のある実施形態では、照射する放射線により、毛幹の引張り強さを、約1MPa〜約200MPaの破壊応力の範囲、好ましくは約5MPa〜約100MPaの破壊応力の範囲で変化させることができる。ある実施形態では、照射する放射線により、毛髪の質感が変化する毛幹の物理的性質及び化学的性質の変化だけでなく、上記したように毛尖の形状も変化させることができる。
【0038】
毛尖を選択的に加熱して、毛尖の皮質及び/または毛小皮に一時的または不可逆的な熱損傷を起こし変形させることができる。この治療の結果、毛小皮及び/または皮質及び/または細胞間質が変化(すなわち損傷)し、毛髪の縮れが減少し、毛髪が柔軟になり、毛髪が細くなり、毛髪の引張り強さが増大し、かつ/または毛髪の弾性が増大する。本発明の態様に従った毛尖の皮質及び/または毛小皮の変化は、波長が380nmを超えるEMRを用いて達成することができる。この波長は、好ましくは約380nm〜約2700nmの範囲、より好ましくは約600nm〜約1400nmの範囲である。光の波長は、脂質、水分、メラニン、及び/またはケラチン(すなわち、毛幹の成分)を選択的に目標とするように選択することができる。表皮の事前冷却及びEMRの照射と同時の表皮の冷却(「平行」冷却と呼ばれる)を行って、このような治療の深さ選択性を改善することができる。冷却は、高い含水率から毛幹よりも熱伝導性が著しく高い真皮や表皮などの熱伝導性が高い組織で冷却効率が高い。従って、皮膚表面の冷却は、毛幹よりも真皮で効率が高いため、選択的に毛幹を加熱することができる。熱伝導率の低い毛幹の選択的な加熱は、約380nm〜約2700nmの範囲の波長を用いて達成することができる。
【0039】
この治療の一般的なパラメータには、約380nm〜約2700nmの範囲の波長、約1ナノ秒〜約1分のパルス幅、そして約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の流束量が含まれる。特定の患者に対して選択されるパルス幅、流束量、及び波長は通常、除毛または毛髪の減少に必要なEMRよりも少ないEMRを供給する。図2に、波長が800nm、パルス幅が20ミリ秒、そして流束量が7.5J/cm2である複数の放射線パルスを用いた皮膚タイプVIに対するこの方式の治療の例示的な結果が示されている。この治療の結果、約0mm〜0.8mmの深さの毛幹が最大200℃まで加熱されるが、表皮の温度は65℃を超えない。ある実施形態では、ビーム幅は、毛幹の深さまで進入するのを制限するために比較的細くなるように選択することができる。ビームは、散乱を利用して進入を制限するように円形、直線、または任意の好適な形状にすることができる。ある実施形態では、EMRが所望の深さに集中するようにビームを集束させることができる。
【0040】
本発明の別の態様では、加熱または冷却により新しい発毛に変化を起こして毛球、角質形成帯、及び/または毛包の球状部分(bulbar)を変形させる方法が提供される。このような加熱または冷却により毛母基の機能に影響を与えることができる。具体的には、発毛過程が変更され、毛髪が再生する性質が変化し得る。例えば、新規に生えた毛髪が柔軟になり、かつ/または毛髪の形状が変化し(断面積が小さくなる、すなわち細くなり、楕円率が増大して丸くなる)、これにより縮れにくくなる。また、新規に生えた毛髪の化学構造を変更して毛幹を実質的にストレートにすることができる。毛球及び毛包の球状部分の選択的な加熱のために、波長が約380nm〜約2700nm、より好ましくは約600nm〜約1400nmの範囲、パルス幅が約1ナノ秒〜約1分、そして流束量が約0.1J/cm2〜約1000J/cm2、より好ましくは約1J/cm2〜約100J/cm2の範囲のEMRを照射することができる。
【0041】
図3A及び図3Bに、毛幹の化学的特性及び物理的特性を変更するための本発明の使用が例示されている。EMRでの処置した後の小型化された毛髪の例が、図3A(治療前)及び図3B(治療後)の差で示されている。EMR治療は、広帯域源(波長が530nm〜1200nmの範囲、流束量が約12J/cm2、そしてパルス幅が20ミリ秒)を用いて行った。特定の患者に用いるパルス幅、流束量、及び波長は通常、その患者の除毛または毛髪の減少に必要なEMRよりも少ないEMRを供給する。周囲組織に対する毛包の球状部分の選択的な吸収性及び/または伝導性及び/または熱特性により毛包の球状部分の選択的な加熱が可能となる。
【0042】
ある実施形態では、毛母基及び/または真皮乳頭及び/または血管ループがEMR治療で選択的に治療されるように皮下領域を毛球(hair bulbar)の深さで約5℃〜約30℃まで冷却することができる。冷却は、冷却物質(例えば、冷却された空気または液体)のスプレー、相変化物質の使用、または標的部と冷却要素との接触などの当分野で周知の様々な方法で達成することができる。例えば、接触冷却(すなわち、冷却要素を皮膚表面に接触させる)を用いることができる。別法では、局所物質を治療部位の一部を選択的に冷却するべく皮膚表面に適用することができる(例えば、米国特許出願第10/154,756号(2002年5月23日出願、名称「光線美容装置用の冷却システム(Cooling system for a Photocosmetic Device)」)及び同第10/693,682号(2003年10月23日出願、名称「クーラント及び局所物質を使用する光線治療装置(Phototreatment Device for Use with Coolants and Topical Substances)」を参照されたい)。
【0043】
更に、本発明の上記した態様と同様に、例えばローションなどの局所剤を皮膚治療部位に適用して、毛球及び/または角質形成帯及び/または毛包の球状部分の加熱を促進することができる。このような局所剤は、毛包の少なくとも一部の中に進入可能な外来発色団に含めることができる。好ましくは、外来発色団は、毛幹の加熱を促進するように照射する放射線の波長に少なくとも部分的に一致する吸収スペクトルを有することができる。
【0044】
別の態様では、本発明は、患者の毛髪の成長を変更するための方法を提供する。除毛のため(例えば、米国特許第5,595,568号を参照)及び毛髪の成長速度を低下させるため(例えば、国際特許出願第2003/077783を参照)のEMRの使用は当分野で周知であるが、本発明はこの目的のために新規の波長範囲の使用を開示する。従来の方法及び装置は、1200nm未満の波長の光照射を使用する。しかしながら、色が濃い皮膚のタイプの場合、1200nm未満の波長での治療により、表皮損傷などの不所望の副作用が起こることがある。このような欠点を解消するべく、本発明は、約1200nm〜約1400nmの範囲の波長を用いて毛髪の成長を変更できることを見出した。パルス幅、流束量、及び/または出力を調節して、約1200nm〜約1400nmの範囲の波長を用いて毛髪の成長を遅くする、毛髪の成長を止める、または毛髪の成長を刺激することができる。
【0045】
図4は、メラニンが近赤外スペクトルの光を吸収することを示すメラニンの1000nm〜1400nmの範囲の吸収スペクトルである。メラニン含有標的を加熱するために1200nmよりも長い波長を使用できることを例1に示す。波長が1200nm〜1400nmの範囲の光放射線の毛包マトリックスへの透過が毛包構造における導波管効果によって促進される。導波管効果は、毛幹、内側毛根鞘、外側毛根鞘、及び周囲組織における屈折率の差によって起こる。具体的には、毛幹、内側毛根鞘、及び外側毛根鞘の屈折率は周囲組織の屈折率よりも有意に高い。従って、インフルビダム(infulbidum)を介して毛包に結合した約1200nm〜1400nmの範囲の波長を有する光が、刺入深さを効率的に増大させる一連の全内部反射(TIRs)で毛包内に伝播され得る。この効果は、毛包密度が100本/cm2と高くなることもある顔の組織などの毛包密度の高い部分で著しい。例えば皮膚の30%を超える部分が毛包に占有されているような毛包密度の高い部分では、大きなビームを使用すると、導波管効果が得られ、光が多数の毛包導波管を透過して真皮内に分散される。コヒーレントレーザービームの場合、この構造が、一定の波長に対して導波管効果を増幅する光学結晶と類似の機能を果たす。
【0046】
図6A及び図6Bに、毛球に伝送される光エネルギーの量に対するこの導波管効果の影響が例示されている。図6Aは、(1)導波管効果を考慮した場合と(2)導波管効果を考慮しない場合の2つのケースの波長の関数として皮膚表面から毛球(1つの毛包の)位置までのEMRの透過率を示すグラフである。
【0047】
図6Bは、波長の関数として導波管効果のない皮膚の透過率に対する導波管効果のある皮膚の透過率の比を示すグラフである。図6Bは、照射する放射線の波長が例えば1200nmよりも長くなると、導波管効果が最も得られ、特に有利であることを示している。従って、波長が1200nm〜1400nmの範囲での毛髪の成長の実質的な遅延は、約1J/cm2〜500J/cm2の流束量及び約1ナノ秒〜10分のパルス幅で達成することができる。
【0048】
本発明はまた、後述するように皮膚治療部位を除毛しEMRを照射するための装置を提供する。ある実施形態では、除毛装置とEMR照射装置が1つの装置に設けられており、1回のストロークで除毛と同時またはその後にEMRを照射することができる。除毛装置は、ヒゲ剃り機構(例えば、剃刀または電気剃刀)、毛抜き機構(すなわち、皮膚治療部位を通過する時に毛髪を抜く回転装置)、除毛クリームのアプリケータ、電気分解、または別の電磁放射線のアプリケータなどの当分野で周知の任意の好適な除毛装置を含むことができる。好適な実施形態では、EMRは、1回の通過で切り落としと先端処理を行う切断器具として機能することができる。本装置はまた、治療のために最適な位置に毛尖を移動させるべく毛尖を捕捉する機械的または静電気的な機構を含むこともできる。本発明の更に別の実施形態では、本装置は、EMR照射の前に毛尖を乾燥させるために空気を送る送風機構及び/またはEMR治療の前に皮膚治療部位を引き伸ばすためのストレッチ機構を含むことができる。
【0049】
上記したように本発明の方法を実施するための実施装置に様々なデザインを採用することができる。具体的には、本発明の方法を実施するための様々な実施形態では、様々な方法で皮膚治療部位に電磁放射線を照射することができる。例として、図7A‐図7Cに、皮膚治療部位に電磁放射線を照射する3つの例示的な方法が模式的に示されている。図7Aに示されているように、スタンピング方式で、1または複数の電磁放射線源を含むアプリケータ(ハンドピース)71を皮膚72の選択された部位に配置し、電磁放射線73のパルスをその部位の組織に照射することができる。次いで、ハンドピースを別の治療部位に移動させてEMRパルスをその部位に照射することができる。これを繰り返して、電磁パルスを治療部位の全てに照射することができる。
【0050】
図7Bに、ここではスキャン方式と呼ぶ治療部位に電磁放射線を照射する別の方式が模式的に示されている。この方式では、1または複数の電磁放射線源を含むハンドピースが皮膚表面に沿って連続的に移動して、治療部位の組織に電磁エネルギーを照射する。多くの実施形態では、このスキャン方式に電磁エネルギーの連続波(CW)源を用いることができる。別の実施形態では、詳細を後述するように、スキャン方式に電磁エネルギーのパルス源を用いることができる。
【0051】
図7Cに、治療部位に電磁放射線を照射するマトリックス方式が模式的に例示されている。具体的には、本発明の実施形態に従った装置76は、同時、順次、または選択されたパターンで作動させることができるLEDなどの個々にアドレス指定可能なEMR源のアレイなどとして形成された複合EMR源77を含む。顔全体などの大きな治療部位などの治療部位を装置76のパネル75に近接または接触させて、アレイ状のEMR源からの放射線を照射する。更に、場合によってはビーム整形及び/または冷却器具78を用いて、治療部位への電磁放射線の照射を最適にすることができる。
【0052】
ある実施形態では、スキャン方式でEMRのパルス源を用いるのが有利であろう。図8に模式的に示されているように、このような実施形態は、パルス源84、トラッキング装置85、及びコンピュータなどのトリガー装置86を含むシステムを用いることができる。このシステムは更に、治療部位82に電磁放射線を照射するハンドピース(アプリケータ)81を含む。パルス源をハンドピースと一体にしても一体にしなくても良い。一体にしない場合、放射線が別のエネルギーガイド87を介してハンドピースに供給される。アプリケータは、手動スキャンのためにハンドル83を備えることができる。別法では、機械式スキャンを用いることもできる。治療は、アプリケータを皮膚表面に配置し、第1のパルス88を発射して開始することができる。次いで、アプリケータを皮膚表面に沿って連続的に移動させて目的の治療部位をスキャンする。トラッキング装置85が、アプリケータの位置を連続的に監視し、トリガー装置86にデータを送信する。これらの装置は、ハンドピースと、または互いに一体にしても一体にしなくても良い。
【0053】
図9に模式的に示されているように、トリガー装置は、所定のトリガー条件に基づいて次のパルスの発射を開始するべく、最後の発射位置91とハンドピースの現在位置92とを比較する。好適な一実施形態では、トリガー装置は、アプリケータのフレーム上に基準点(RP)を選択し、第1のパルスの前にその位置をマークし、次いで最後に発射した位置93とRPの現在位置94(スキャンによって常に移動する)との距離drを監視する。例えば、トリガー装置は次に示す条件を監視することができる。
dr≧lh−l0=lh(1−α) (1)
この式において、α=l0/lhは所望の重複の程度であり、l0は重複の長さ(mm)であり、lhはハンドピースの動作部分の長さ(mm)である。式(1)の条件が満たされると、トリガー装置がパルス源に次の発射命令を発することができる。治療部位全体を治療するまでこれを繰り返す。この発射命令は、アナログまたはデジタルパルス(または一連のパルス)の形態にすることができ、様々な機構(例えば、電気的、機械的、または光学的)を介してパルス源に送ることができる。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、他のトリガーアルゴリズムを考案することもできるであろう。
【0054】
トラッキング装置85は、様々な技術を用いて実施することができる。例えば、一実施形態では、トラッキング装置は、一連のホイール、及びホイールの角度位置を読み取ることができる読取りモジュールを含むことができる。式(1)に一致する回転が成されると、発射命令が発せられる。ある好適な実施形態は、トラッキング装置が非接触光学装置であって、皮膚表面を照明し、制限部分の画像を十分な周波数(例えば、2kHz)で撮ることができる。次いで、連続的な各画像を処理し、フレームの差を分析してフレームが撮られた瞬間のカメラ位置間の移動を決定する。このようにして、RPの位置を確実に監視することができる。ある好適な実施形態では、トラッキング装置は、市販の光学マウス(場合によっては、用途の特定の構造に一致するように変更された光学マウス)とすることができる。トラッキング装置は、接触センサの機能を果たすこともできる。
【0055】
トリガー装置86は、機械式、電気機械式、電気式、電子式、光学式、または任意の他の好適なデザインとすることができる。トリガー装置86はまた、アナログまたはデジタルとすることができる。ある好適な実施形態では、トリガー装置は電子デジタル装置である。
【0056】
ある実施形態では、スタンピング式またはスキャン式で選択された皮膚治療部位に放射線を照射するための複合EMR源を用いることができる。図10に示されているように、一例では、複数のEMR源101をハンドピース102内に直線状のアレイに配置することができる。ハンドピース102が皮膚表面に沿ってスキャンする時に、タイミング装置103が、EMR源の全てまたは選択された一部を作動させるべくプログラムされた順序に従ってEMR源101に発射パルスを送ることができる。この方式では、標的に対する所望の効果を、複合EMR源からの複数のパルスの蓄積作用によって達成することができる。発射順序は、例えばトラッキング装置104によって監視されたスキャン速度または皮膚の状態(色素沈着または紅斑など)によって瞬時に変更することができる。ある実施形態では、装置は、治療のために毛髪を配置するための配置機構105を有することもできる。この配置機構は、放射された放射線が毛髪に最適に照射されるように毛髪の一部を移動させることができる機械式、静電気式、及び/または真空源式の機構とすることができる。
【0057】
別法では、図11に示されているように、EMR源111を回転ドラム112内に配置することができる。タイミング装置113は、EMR源が治療部位に面する底部位置114に来たと同時にEMRを発射するような発射順序にすることができる。ビーム整形及び/または冷却器具115をハンドピースハウジングと一体にすることができる。当業者であれば、EMR源を他の配置のアレイにできるであろう。
【0058】
本発明の開示に従った装置のある実施形態は、治療の効果及び/または安全性を更に高めるように別の器具を含むことができる。例えば、図12に示されているように、本装置は、局所組成物注出器具121、冷却器具122、フィードバック(皮膚の状態の監視)器具123、及び毛髪整直器具124を含むことができる。加えて、本装置は、治療部位を除毛するための剃刀などの器具を含むことができる。
【0059】
ある実施形態では、本発明の開示に従った2つ以上の処置を実施するために1つの装置を用いることができる。
【0060】
次に示す例により、本発明の開示に従った毛髪の治療方法の一部の態様を更に理解できるであろう。
【0061】
例1.メラニン含有標的(毛髪)の加熱における1208nmの波長に対する1060nmの波長の効果の比較
図13に模式的に示されている実験的な設備を用いて、メラニン含有率の低い毛髪(白髪)及びメラニン含有率の高い毛髪(黒髪)の加熱における1060nmの放射線源を用いた場合に対する1208nmの放射線源を用いた場合の効率を比較した。
【0062】
CW Ramanファイバーレーザー131を用いて、1060nmの波長及び1208nmの波長の放射線を生成した。2mmの開口136を用いて、放射ビーム134の最大強度(フラットトップ)を有する部分を選択した。脱水を避けるために測定直前に採取した黒髪132及び白髪133を、ビームの中心点に対してできるだけ対称にビーム経路に配置した。全放射電力を、240mWで2つ波長に一致させた(すなわち、7.6W/cm2の照射量)。パルス発生器によって制御される電子シャッター135を用いて、両方の波長で最大200ミリ秒のパルスを生成した(流束量は最大1.5J/cm2)。コンピュータ138によって制御される赤外線サーマルカメラ137のピントを毛髪のある平面に合わせて、両方の毛髪における最大の温度上昇点を選択した。これらの点における時間的温度プロファイルを記録した。
【0063】
結果
図14A及び図14Bのそれぞれに、それぞれの波長に対する2つの経時的な温度変化が示されている。更に、以下の表1に、2つの波長における両方の毛髪についての平均温度のデータが要約されている。
【表1】
【0064】
黒髪と白髪の温度上昇における比が2つの波長で有意差がないため、メラニンが1208nmの波長でも主な吸収成分であることが分かる。そうではない場合は、比の変化は、図15に示されている水に対するメラニンの吸収比における変化に近いであろう。
【0065】
1208nmでの温度上昇に対する1060nmでの温度上昇の比は、赤外線でのメラニン吸収スペクトルに一致している(図4を参照)。データは更に、1208nmにおけるメラニンの吸収は、効果的に加熱するのに十分であることを示している(現在の設定で最大8℃/(J/cm2))。
【0066】
当業者であれば、上記した実施形態から本発明の更なる特徴及び利点を理解でき、通常の実験でこれを確認できるであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除いて、特定の記載及び図に限定されるものではない。ここで言及した全ての刊行物及び参照文献は、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1A】EMR治療前の毛尖を示す絵画図である。
【図1B】EMR治療後の毛尖を示す絵画図である。
【図2】皮膚タイプVIのEMR治療の結果を例示するグラフである。
【図3A】治療前の患者の足の部分の写真である。
【図3B】毛幹の変化を示す治療後3ヶ月の患者の足の部分の写真である。
【図4】1000nm〜1400nmの範囲におけるメラニンの吸収スペクトルである。
【図5】様々な波長での照射の後の皮膚の基底層と毛尖の温度の変化を比較するグラフである。
【図6A】(1)色が薄い毛髪における導波管効果のある皮膚、(2)色が濃い毛髪における導波管効果のある皮膚、及び(3)導波管効果のない皮膚に対する波長の関数として皮膚表面から毛球への皮膚の透過率を示すグラフである。
【図6B】(1)色が薄い毛髪及び(2)色が濃い毛髪に対する波長の関数として、導波管効果を考慮した表皮の基底層の温度上昇に対する毛母基の温度上昇の比(安全率)を示すグラフである。
【図7A】スタンピング方式での皮膚治療部位への電磁放射線の照射を示す模式図である。
【図7B】スキャン方式での皮膚治療部位への電磁放射線の照射を示す模式図である。
【図7C】マトリックス方式での皮膚治療部位への電磁放射線の照射を示す模式図である。
【図8】スキャン方式でEMRのパルス源を用いた本発明の実施形態の模式図である。
【図9】所定のトリガー条件に基づいて新しいEMRパルスが発射される本発明の実施形態の模式図である。
【図10】複数のEMR源がハンドピース内で直線状のアレイに整列された本発明の実施形態の模式図である。
【図11】EMR源が回転ドラムに配置された本発明の実施形態の模式図である。
【図12】追加の器具が装置に配置された本発明の実施形態の模式図である。
【図13】例1に用いられる実験設備の模式図である。
【図14A】1060nmでのEMR治療の後の毛髪の温度プロファイルのグラフである。
【図14B】1208nmでのEMR治療の後の毛髪の温度プロファイルのグラフである。
【図15】波長の関数としての水の吸収に対するメラニンの吸収の比を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの放射線源を含む、毛尖の少なくとも一部の形状を変更するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛尖の形状を変更するように約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約280nm〜約100,000nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項2】
更に、前記毛尖の皮膚表面から突き出た部分を除去する機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
1または複数の放射線源を含む、毛幹の縮れを軽減するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛幹の縮れを軽減するように約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約380nm〜約2700nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項4】
更に、毛尖の皮膚表面から突き出た部分を除去する機構を含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの放射線源を含み、毛髪の成長を制御するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射して毛髪の成長を調節するように約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を生成し、
前記放射線源を、LED、レーザーダイオード、フィルター付きアークランプ、及びフィルター付きハロゲンランプの何れかとすることができることを特徴とする装置。
【請求項6】
1または複数の放射線源を含む、毛幹の弾性を変更するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛幹の弾性を変更するように約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約600nm〜約1400nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項7】
皮膚用システムであって、
皮膚治療部位上をスキャンするように適合されたヘッド部分を備え、少なくとも1つの放射線を含むアプリケータと、
スキャンの際に前記ヘッド部分の位置を示す信号を生成するために前記ヘッド部分に結合されたトラッカーと、
前記トラッカー及び前記放射線源に結合され、前記トラッカーから受信した位置信号に基づいて前記放射線源を周期的に作動させる制御装置とを含むことを特徴とする皮膚用システム。
【請求項8】
前記制御装置が、前記位置信号に基づいた前記放射線源の前の作動から前記ヘッド部分が移動した距離を決定することを特徴とする請求項7に記載の皮膚用システム。
【請求項9】
前記制御装置が、前記移動距離が閾値を超えると前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項8に記載の皮膚用システム。
【請求項10】
毛髪の治療方法であって、
皮膚治療部位の1または複数の毛尖にエネルギーを加えて前記毛尖の少なくとも一部の形状を変更するべく電磁放射線(EMR)を前記治療部位に照射するステップを含むことを特徴とする治療方法。
【請求項11】
電磁放射線を照射する前記ステップが、複数のEMRパルスを前記治療部位の少なくとも一部に照射するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放射線の照射により前記毛尖を加熱して前記毛尖の尖りが鈍くすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記放射線の照射により前記毛尖の形状を実質的に丸い形状にすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記放射線の照射により、前記毛尖が毛包外及び/または毛包内に刺入しないように前記毛尖の形状を変形させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線の照射により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)を治療し、かつ/または予防することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記放射線の照射により、前記毛尖の温度を約50℃〜約300℃上昇させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
更に、前記毛尖の温度を約50℃〜約300℃上昇させる一方、前記治療部の上皮温度を約65℃未満に維持するように前記照射する放射線を選択するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記パルスが約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記パルスが約1マイクロ秒〜約100ミリ秒の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記パルスが約0.1Hz〜約1MHzの範囲の繰返し数を有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記放射線により、約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量が前記治療部位に照射されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記照射する放射線が約280nm〜約100000nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記照射する放射線が約380nm〜約600nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記照射する放射線が、前記毛尖におけるメラニン、水分、及びケラチンの少なくとも1つに吸収される波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項25】
更に、前記電磁放射線を照射する前に前記治療部位の毛尖を乾燥させるステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項26】
更に、前記毛尖を乾燥させるために前記治療部位に気流を供給するステップを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項28】
前記治療部位に前記放射線を照射する前、最中、または後に前記冷却ステップを行うことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、前記皮膚治療部位に局所物質を適用するステップを含み、前記局所物質が、前記放射線によって化学的または熱的に光活性化して前記毛尖の変形を促進することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項30】
前記局所物質が少なくとも1種類の発色団を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記局所物質が、前記治療部位における毛髪の毛包脂腺管に前記発色団を供給するための媒介物を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記毛尖が、皮膚表面の下側約0.2mmから前記皮膚表面の上側約1mmまで延びていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項33】
更に、前記放射線を照射する前に、前記毛尖の皮膚表面の上に突き出た部分を除去するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項34】
突き出た毛尖部分を除去する前記ステップを、前記電磁放射線を照射するステップと実質的に同時に行うことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
突き出た毛尖部分を除去する前記ステップが、ヒゲ剃り、切り落とし、除毛クリームの適用、または別の電磁放射線の照射からなる群から選択されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が更に、前記皮膚治療部位を引き伸ばすステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が更に、前記皮膚治療部位の毛髪を持ち上げるステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項38】
毛髪を治療する方法であって、
皮膚治療部位における1または複数の毛幹の弾性を変化させるべく、前記治療部位に電磁放射線を照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
前記放射線の照射により前記毛幹の弾性を増大させることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記放射線の照射により、前記毛幹の引張り強さを、約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で変化させることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記放射線の照射により、前記毛幹が実質的にストレートにすることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記毛幹の前記弾性の変化により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)の予防または治療が促進されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記放射線の照射による温度上昇が約50℃〜約300℃の範囲であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項44】
電磁放射線を照射する前記ステップが、前記治療部位に複数の電磁パルスを照射するステップを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記放射線が約380nm〜約2700nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記放射線が約600nm〜約1400nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記パルスが約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記パルスが約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量を供給することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項50】
更に、前記治療部位に局所物質を適用するステップを含み、前記局所物質が前記放射線によって光活性化されて前記毛幹を柔軟にすることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項51】
毛髪の成長を制御する方法であって、
毛髪の成長を調節するべく約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
前記放射線の照射により毛髪の成長を遅らせることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記放射線の照射により毛髪の成長を停止させることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記放射線の照射により毛髪の成長を刺激することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記毛髪の成長の前記調節により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)を予防または治療することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項56】
更に、前記照射する放射線を約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量に選択することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項57】
放射線を照射する前記ステップが、約1ナノ秒〜約1000秒の範囲のパルス幅を有する複数の放射線パルスを前記皮膚治療部位に照射するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項58】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項59】
更に、前記毛包の少なくとも一部を加熱するように前記照射する放射線の時間及び流束量を選択するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項60】
毛髪を治療する方法であって、
毛髪の少なくとも一部の縮れを軽減するのに適した流束量及び波長の放射線で治療部位における複数の毛包を照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
前記毛包の照射部分が、毛球、角質形成帯、及び毛包の球状部分(bulbar)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記放射線の照射により、毛母基が細い毛髪を発毛するようにすることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項63】
縮れが軽減された前記毛髪が、治療前の毛髪に対して約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で引張り強さが変化することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項64】
縮れが軽減された前記毛髪が、処置前の毛髪に対して約1μm〜約60μmの範囲で直径が小さくなることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項65】
更に、前記波長を約380nm〜約2700nmの範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項66】
更に、前記波長を約600nm〜約1400nmの範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項67】
更に、前記流束量を約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記照射するステップが、前記治療部位に複数の電磁パルスを照射するステップを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項69】
前記パルスが、約1ナノ秒〜約10分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの放射線源を含む、毛尖の少なくとも一部の形状を変更するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛尖の形状を変更するように約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約280nm〜約100,000nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項2】
更に、前記毛尖の皮膚表面から突き出た部分を除去する機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
更に、前記皮膚治療部位上をスキャンするように適合されたヘッド部分を備え、少なくとも1つの放射線を含むアプリケータと、
スキャンの際に前記ヘッド部分の位置を示す信号を生成するために前記ヘッド部分に結合されたトラッカーと、
前記トラッカー及び前記放射線源に結合され、前記トラッカーから受信した位置信号に基づいて前記放射線源を周期的に作動させる制御装置とを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御装置が、前記放射線源の前の作動が前記位置信号に基づいていることから前記ヘッド部分が移動した距離を決定することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御装置が、前記移動距離が閾値を超えると前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線源が、前記皮膚治療部位を照射するべく約380nm〜約2700nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
更に、毛尖の皮膚表面から突き出た部分を除去する機構を含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
放射線パルスを生成する前記少なくとも1つの放射線源が、
皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射して毛髪の成長を調節するように約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を生成する少なくとも1つの放射線源を含み、
前記放射線源を、LED、レーザーダイオード、フィルター付きアークランプ、及びフィルター付きハロゲンランプの何れかとすることができることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの放射線源が、
約600nm〜約1400nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成する少なくとも1つの放射線源を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
毛髪の治療方法であって、
皮膚治療部位の1または複数の毛尖にエネルギーを加えて前記毛尖の少なくとも一部の形状を変更するべく電磁放射線(EMR)を前記治療部位に照射するステップを含むことを特徴とする治療方法。
【請求項11】
電磁放射線を照射する前記ステップが、複数のEMRパルスを前記治療部位の少なくとも一部に照射するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放射線の照射により前記毛尖を加熱して前記毛尖の尖りが鈍くすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記放射線の照射により前記毛尖の形状を実質的に丸い形状にすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記放射線の照射により、前記毛尖が毛包外及び/または毛包内に刺入しないように前記毛尖の形状を変形させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線の照射により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)を治療し、かつ/または予防することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記放射線の照射により、前記毛尖の温度を約50℃〜約300℃上昇させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
更に、前記毛尖の温度を約50℃〜約300℃上昇させる一方、前記治療部の上皮温度を約65℃未満に維持するように前記照射する放射線を選択するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記パルスが約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記パルスが約1マイクロ秒〜約100ミリ秒の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記パルスが約0.1Hz〜約1MHzの範囲の繰返し数を有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記放射線により、約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量が前記治療部位に照射されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記照射する放射線が約280nm〜約100000nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記照射する放射線が約380nm〜約600nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記照射する放射線が、前記毛尖におけるメラニン、水分、及びケラチンの少なくとも1つに吸収される波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項25】
更に、前記電磁放射線を照射する前に前記治療部位の毛尖を乾燥させるステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項26】
更に、前記毛尖を乾燥させるために前記治療部位に気流を供給するステップを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項28】
前記治療部位に前記放射線を照射する前、最中、または後に前記冷却ステップを行うことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、前記皮膚治療部位に局所物質を適用するステップを含み、前記局所物質が、前記放射線によって化学的または熱的に光活性化して前記毛尖の変形を促進することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項30】
前記局所物質が少なくとも1種類の発色団を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記局所物質が、前記治療部位における毛髪の毛包脂腺管に前記発色団を供給するための媒介物を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記毛尖が、皮膚表面の下側約0.2mmから前記皮膚表面の上側約1mmまで延びていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項33】
更に、前記放射線を照射する前に、前記毛尖の皮膚表面の上に突き出た部分を除去するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項34】
突き出た毛尖部分を除去する前記ステップを、前記電磁放射線を照射するステップと実質的に同時に行うことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
突き出た毛尖部分を除去する前記ステップが、ヒゲ剃り、切り落とし、除毛クリームの適用、または別の電磁放射線の照射からなる群から選択されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が更に、前記皮膚治療部位を引き伸ばすステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が更に、前記皮膚治療部位の毛髪を持ち上げるステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項38】
毛髪を治療する方法であって、
皮膚治療部位における1または複数の毛幹の弾性を変化させるべく、前記治療部位に電磁放射線を照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
前記放射線の照射により前記毛幹の弾性を増大させることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記放射線の照射により、前記毛幹の引張り強さを、約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で変化させることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記放射線の照射により、前記毛幹が実質的にストレートにすることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記毛幹の前記弾性の変化により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)の予防または治療が促進されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記放射線の照射による温度上昇が約50℃〜約300℃の範囲であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項44】
電磁放射線を照射する前記ステップが、前記治療部位に複数の電磁パルスを照射するステップを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記放射線が約380nm〜約2700nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記放射線が約600nm〜約1400nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記パルスが約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記パルスが約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量を供給することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項50】
更に、前記治療部位に局所物質を適用するステップを含み、前記局所物質が前記放射線によって光活性化されて前記毛幹を柔軟にすることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項51】
毛髪の成長を制御する方法であって、
毛髪の成長を調節するべく約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
前記放射線の照射により毛髪の成長を遅らせることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記放射線の照射により毛髪の成長を停止させることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記放射線の照射により毛髪の成長を刺激することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記毛髪の成長の前記調節により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)を予防または治療することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項56】
更に、前記照射する放射線を約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量に選択することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項57】
放射線を照射する前記ステップが、約1ナノ秒〜約1000秒の範囲のパルス幅を有する複数の放射線パルスを前記皮膚治療部位に照射するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項58】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項59】
更に、前記毛包の少なくとも一部を加熱するように前記照射する放射線の時間及び流束量を選択するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項60】
毛髪を治療する方法であって、
毛髪の少なくとも一部の縮れを軽減するのに適した流束量及び波長の放射線で治療部位における複数の毛包を照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
前記毛包の照射部分が、毛球、角質形成帯、及び毛包の球状部分(bulbar)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記放射線の照射により、毛母基が細い毛髪を発毛するようにすることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項63】
縮れが軽減された前記毛髪が、治療前の毛髪に対して約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で引張り強さが変化することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項64】
縮れが軽減された前記毛髪が、処置前の毛髪に対して約1μm〜約60μmの範囲で直径が小さくなることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項65】
更に、前記波長を約380nm〜約2700nmの範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項66】
更に、前記波長を約600nm〜約1400nmの範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項67】
更に、前記流束量を約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記照射するステップが、前記治療部位に複数の電磁パルスを照射するステップを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項69】
前記パルスが、約1ナノ秒〜約10分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項70】
皮膚用システムであって、
皮膚治療部位上をスキャンするように適合されたヘッド部分を備え、少なくとも1つの放射線を含むアプリケータと、
スキャンの際に前記ヘッド部分の位置を示す信号を生成するために前記ヘッド部分に結合されたトラッカーと、
前記トラッカー及び前記放射線源に結合され、前記トラッカーから受信した位置信号に基づいて前記放射線源を周期的に作動させる制御装置とを含むことを特徴とする皮膚用システム。
【請求項71】
前記制御装置が、前記位置信号に基づいた前記放射線源の前の作動から前記ヘッド部分が移動した距離を決定することを特徴とする請求項70に記載の皮膚用システム。
【請求項72】
前記制御装置が、前記移動距離が閾値を超えると前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項71に記載の皮膚用システム。
【請求項73】
1または複数の放射線源を含む、毛幹の縮れを軽減するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛幹の縮れを軽減するように約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約380nm〜約2700nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項74】
更に、毛尖の皮膚表面から突き出た部分を除去する機構を含むことを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項75】
少なくとも1つの放射線源を含み、毛髪の成長を制御するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射して毛髪の成長を調節するように約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を生成し、
前記放射線源を、LED、レーザーダイオード、フィルター付きアークランプ、及びフィルター付きハロゲンランプの何れかとすることができることを特徴とする装置。
【請求項76】
1または複数の放射線源を含む、毛幹の弾性を変更するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛幹の弾性を変更するように約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約600nm〜約1400nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項77】
前記制御装置が、前記アプリケータ上に基準点(RP)を選択し、前記放射線源の作動前及び作動後にRPの位置をマークし、現在位置のRPと前の位置のRPとの間の距離(dr)を監視することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項78】
前記制御装置が、dr≧lh−l0=lh(1−α)の場合に前記放射線源を作動させ、
この式において、drが距離であり、α=l0/lhが所望の重複の程度であり、l0が重複の長さであり、lhが動作部分の長さであることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項79】
前記トラッカーが、一連のホイール、及び前記ホイールの角度位置を読み取ることができる読取りモジュールを含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項80】
前記トラッカーが、非接触光学装置、光学センサ、及び接触センサからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項81】
前記制御装置が、アナログまたはデジタルパルスの少なくとも一方で前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項82】
前記制御装置が、スタンピング方式、スキャン方式、及びマトリックス方式からなる群から選択される方式で前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項83】
前記制御装置が、プログラムされた順序に従って前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項84】
前記トラッカーが皮膚の状態を監視することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項85】
前記制御装置が、監視した皮膚の状態に基づいて前記少なくとも1つの放射線源を作動させることを特徴とする請求項84に記載の装置。
【請求項86】
前記装置が更に、個々にアドレス指定可能な放射線源のアレイを含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項87】
前記制御装置が、前記個々にアドレス指定可能な放射線源を同時に作動させることを特徴とする請求項86に記載の装置。
【請求項88】
前記制御装置が、前記個々にアドレス指定可能な放射線源を順次作動させることを特徴とする請求項86に記載の装置。
【請求項89】
前記制御装置が、前記個々にアドレス指定可能な放射線源を選択したパターンで作動させることを特徴とする請求項86に記載の装置。
【請求項90】
前記装置が更に、前記毛尖を配置できる配置機構を含み、
前記配置機構が前記ヘッド部分に結合されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項1】
少なくとも1つの放射線源を含む、毛尖の少なくとも一部の形状を変更するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛尖の形状を変更するように約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約280nm〜約100,000nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項2】
更に、前記毛尖の皮膚表面から突き出た部分を除去する機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
1または複数の放射線源を含む、毛幹の縮れを軽減するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛幹の縮れを軽減するように約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約380nm〜約2700nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項4】
更に、毛尖の皮膚表面から突き出た部分を除去する機構を含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの放射線源を含み、毛髪の成長を制御するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射して毛髪の成長を調節するように約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を生成し、
前記放射線源を、LED、レーザーダイオード、フィルター付きアークランプ、及びフィルター付きハロゲンランプの何れかとすることができることを特徴とする装置。
【請求項6】
1または複数の放射線源を含む、毛幹の弾性を変更するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛幹の弾性を変更するように約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約600nm〜約1400nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項7】
皮膚用システムであって、
皮膚治療部位上をスキャンするように適合されたヘッド部分を備え、少なくとも1つの放射線を含むアプリケータと、
スキャンの際に前記ヘッド部分の位置を示す信号を生成するために前記ヘッド部分に結合されたトラッカーと、
前記トラッカー及び前記放射線源に結合され、前記トラッカーから受信した位置信号に基づいて前記放射線源を周期的に作動させる制御装置とを含むことを特徴とする皮膚用システム。
【請求項8】
前記制御装置が、前記位置信号に基づいた前記放射線源の前の作動から前記ヘッド部分が移動した距離を決定することを特徴とする請求項7に記載の皮膚用システム。
【請求項9】
前記制御装置が、前記移動距離が閾値を超えると前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項8に記載の皮膚用システム。
【請求項10】
毛髪の治療方法であって、
皮膚治療部位の1または複数の毛尖にエネルギーを加えて前記毛尖の少なくとも一部の形状を変更するべく電磁放射線(EMR)を前記治療部位に照射するステップを含むことを特徴とする治療方法。
【請求項11】
電磁放射線を照射する前記ステップが、複数のEMRパルスを前記治療部位の少なくとも一部に照射するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放射線の照射により前記毛尖を加熱して前記毛尖の尖りが鈍くすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記放射線の照射により前記毛尖の形状を実質的に丸い形状にすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記放射線の照射により、前記毛尖が毛包外及び/または毛包内に刺入しないように前記毛尖の形状を変形させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線の照射により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)を治療し、かつ/または予防することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記放射線の照射により、前記毛尖の温度を約50℃〜約300℃上昇させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
更に、前記毛尖の温度を約50℃〜約300℃上昇させる一方、前記治療部の上皮温度を約65℃未満に維持するように前記照射する放射線を選択するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記パルスが約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記パルスが約1マイクロ秒〜約100ミリ秒の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記パルスが約0.1Hz〜約1MHzの範囲の繰返し数を有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記放射線により、約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量が前記治療部位に照射されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記照射する放射線が約280nm〜約100000nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記照射する放射線が約380nm〜約600nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記照射する放射線が、前記毛尖におけるメラニン、水分、及びケラチンの少なくとも1つに吸収される波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項25】
更に、前記電磁放射線を照射する前に前記治療部位の毛尖を乾燥させるステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項26】
更に、前記毛尖を乾燥させるために前記治療部位に気流を供給するステップを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項28】
前記治療部位に前記放射線を照射する前、最中、または後に前記冷却ステップを行うことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、前記皮膚治療部位に局所物質を適用するステップを含み、前記局所物質が、前記放射線によって化学的または熱的に光活性化して前記毛尖の変形を促進することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項30】
前記局所物質が少なくとも1種類の発色団を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記局所物質が、前記治療部位における毛髪の毛包脂腺管に前記発色団を供給するための媒介物を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記毛尖が、皮膚表面の下側約0.2mmから前記皮膚表面の上側約1mmまで延びていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項33】
更に、前記放射線を照射する前に、前記毛尖の皮膚表面の上に突き出た部分を除去するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項34】
突き出た毛尖部分を除去する前記ステップを、前記電磁放射線を照射するステップと実質的に同時に行うことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
突き出た毛尖部分を除去する前記ステップが、ヒゲ剃り、切り落とし、除毛クリームの適用、または別の電磁放射線の照射からなる群から選択されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が更に、前記皮膚治療部位を引き伸ばすステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が更に、前記皮膚治療部位の毛髪を持ち上げるステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項38】
毛髪を治療する方法であって、
皮膚治療部位における1または複数の毛幹の弾性を変化させるべく、前記治療部位に電磁放射線を照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
前記放射線の照射により前記毛幹の弾性を増大させることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記放射線の照射により、前記毛幹の引張り強さを、約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で変化させることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記放射線の照射により、前記毛幹が実質的にストレートにすることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記毛幹の前記弾性の変化により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)の予防または治療が促進されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記放射線の照射による温度上昇が約50℃〜約300℃の範囲であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項44】
電磁放射線を照射する前記ステップが、前記治療部位に複数の電磁パルスを照射するステップを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記放射線が約380nm〜約2700nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記放射線が約600nm〜約1400nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記パルスが約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記パルスが約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量を供給することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項50】
更に、前記治療部位に局所物質を適用するステップを含み、前記局所物質が前記放射線によって光活性化されて前記毛幹を柔軟にすることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項51】
毛髪の成長を制御する方法であって、
毛髪の成長を調節するべく約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
前記放射線の照射により毛髪の成長を遅らせることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記放射線の照射により毛髪の成長を停止させることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記放射線の照射により毛髪の成長を刺激することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記毛髪の成長の前記調節により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)を予防または治療することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項56】
更に、前記照射する放射線を約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量に選択することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項57】
放射線を照射する前記ステップが、約1ナノ秒〜約1000秒の範囲のパルス幅を有する複数の放射線パルスを前記皮膚治療部位に照射するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項58】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項59】
更に、前記毛包の少なくとも一部を加熱するように前記照射する放射線の時間及び流束量を選択するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項60】
毛髪を治療する方法であって、
毛髪の少なくとも一部の縮れを軽減するのに適した流束量及び波長の放射線で治療部位における複数の毛包を照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
前記毛包の照射部分が、毛球、角質形成帯、及び毛包の球状部分(bulbar)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記放射線の照射により、毛母基が細い毛髪を発毛するようにすることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項63】
縮れが軽減された前記毛髪が、治療前の毛髪に対して約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で引張り強さが変化することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項64】
縮れが軽減された前記毛髪が、処置前の毛髪に対して約1μm〜約60μmの範囲で直径が小さくなることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項65】
更に、前記波長を約380nm〜約2700nmの範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項66】
更に、前記波長を約600nm〜約1400nmの範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項67】
更に、前記流束量を約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記照射するステップが、前記治療部位に複数の電磁パルスを照射するステップを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項69】
前記パルスが、約1ナノ秒〜約10分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの放射線源を含む、毛尖の少なくとも一部の形状を変更するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛尖の形状を変更するように約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約280nm〜約100,000nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項2】
更に、前記毛尖の皮膚表面から突き出た部分を除去する機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
更に、前記皮膚治療部位上をスキャンするように適合されたヘッド部分を備え、少なくとも1つの放射線を含むアプリケータと、
スキャンの際に前記ヘッド部分の位置を示す信号を生成するために前記ヘッド部分に結合されたトラッカーと、
前記トラッカー及び前記放射線源に結合され、前記トラッカーから受信した位置信号に基づいて前記放射線源を周期的に作動させる制御装置とを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記制御装置が、前記放射線源の前の作動が前記位置信号に基づいていることから前記ヘッド部分が移動した距離を決定することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御装置が、前記移動距離が閾値を超えると前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線源が、前記皮膚治療部位を照射するべく約380nm〜約2700nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
更に、毛尖の皮膚表面から突き出た部分を除去する機構を含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
放射線パルスを生成する前記少なくとも1つの放射線源が、
皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射して毛髪の成長を調節するように約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を生成する少なくとも1つの放射線源を含み、
前記放射線源を、LED、レーザーダイオード、フィルター付きアークランプ、及びフィルター付きハロゲンランプの何れかとすることができることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの放射線源が、
約600nm〜約1400nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成する少なくとも1つの放射線源を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
毛髪の治療方法であって、
皮膚治療部位の1または複数の毛尖にエネルギーを加えて前記毛尖の少なくとも一部の形状を変更するべく電磁放射線(EMR)を前記治療部位に照射するステップを含むことを特徴とする治療方法。
【請求項11】
電磁放射線を照射する前記ステップが、複数のEMRパルスを前記治療部位の少なくとも一部に照射するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放射線の照射により前記毛尖を加熱して前記毛尖の尖りが鈍くすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記放射線の照射により前記毛尖の形状を実質的に丸い形状にすることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記放射線の照射により、前記毛尖が毛包外及び/または毛包内に刺入しないように前記毛尖の形状を変形させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線の照射により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)を治療し、かつ/または予防することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記放射線の照射により、前記毛尖の温度を約50℃〜約300℃上昇させることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
更に、前記毛尖の温度を約50℃〜約300℃上昇させる一方、前記治療部の上皮温度を約65℃未満に維持するように前記照射する放射線を選択するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記パルスが約1ナノ秒〜約5分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記パルスが約1マイクロ秒〜約100ミリ秒の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記パルスが約0.1Hz〜約1MHzの範囲の繰返し数を有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記放射線により、約0.01J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量が前記治療部位に照射されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記照射する放射線が約280nm〜約100000nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記照射する放射線が約380nm〜約600nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記照射する放射線が、前記毛尖におけるメラニン、水分、及びケラチンの少なくとも1つに吸収される波長成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項25】
更に、前記電磁放射線を照射する前に前記治療部位の毛尖を乾燥させるステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項26】
更に、前記毛尖を乾燥させるために前記治療部位に気流を供給するステップを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項28】
前記治療部位に前記放射線を照射する前、最中、または後に前記冷却ステップを行うことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
更に、前記皮膚治療部位に局所物質を適用するステップを含み、前記局所物質が、前記放射線によって化学的または熱的に光活性化して前記毛尖の変形を促進することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項30】
前記局所物質が少なくとも1種類の発色団を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記局所物質が、前記治療部位における毛髪の毛包脂腺管に前記発色団を供給するための媒介物を含むことを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記毛尖が、皮膚表面の下側約0.2mmから前記皮膚表面の上側約1mmまで延びていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項33】
更に、前記放射線を照射する前に、前記毛尖の皮膚表面の上に突き出た部分を除去するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項34】
突き出た毛尖部分を除去する前記ステップを、前記電磁放射線を照射するステップと実質的に同時に行うことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
突き出た毛尖部分を除去する前記ステップが、ヒゲ剃り、切り落とし、除毛クリームの適用、または別の電磁放射線の照射からなる群から選択されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が更に、前記皮膚治療部位を引き伸ばすステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が更に、前記皮膚治療部位の毛髪を持ち上げるステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項38】
毛髪を治療する方法であって、
皮膚治療部位における1または複数の毛幹の弾性を変化させるべく、前記治療部位に電磁放射線を照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
前記放射線の照射により前記毛幹の弾性を増大させることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記放射線の照射により、前記毛幹の引張り強さを、約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で変化させることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記放射線の照射により、前記毛幹が実質的にストレートにすることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記毛幹の前記弾性の変化により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)の予防または治療が促進されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記放射線の照射による温度上昇が約50℃〜約300℃の範囲であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項44】
電磁放射線を照射する前記ステップが、前記治療部位に複数の電磁パルスを照射するステップを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記放射線が約380nm〜約2700nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記放射線が約600nm〜約1400nmの範囲の波長成分を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記パルスが約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記パルスが約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量を供給することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項50】
更に、前記治療部位に局所物質を適用するステップを含み、前記局所物質が前記放射線によって光活性化されて前記毛幹を柔軟にすることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項51】
毛髪の成長を制御する方法であって、
毛髪の成長を調節するべく約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
前記放射線の照射により毛髪の成長を遅らせることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記放射線の照射により毛髪の成長を停止させることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記放射線の照射により毛髪の成長を刺激することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記毛髪の成長の前記調節により、前記治療部位における偽毛包炎(PFB)を予防または治療することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項56】
更に、前記照射する放射線を約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量に選択することを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項57】
放射線を照射する前記ステップが、約1ナノ秒〜約1000秒の範囲のパルス幅を有する複数の放射線パルスを前記皮膚治療部位に照射するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項58】
更に、前記治療部位の表皮を冷却するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項59】
更に、前記毛包の少なくとも一部を加熱するように前記照射する放射線の時間及び流束量を選択するステップを含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項60】
毛髪を治療する方法であって、
毛髪の少なくとも一部の縮れを軽減するのに適した流束量及び波長の放射線で治療部位における複数の毛包を照射するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
前記毛包の照射部分が、毛球、角質形成帯、及び毛包の球状部分(bulbar)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記放射線の照射により、毛母基が細い毛髪を発毛するようにすることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項63】
縮れが軽減された前記毛髪が、治療前の毛髪に対して約1Mpa〜約200Mpaの破壊応力の範囲で引張り強さが変化することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項64】
縮れが軽減された前記毛髪が、処置前の毛髪に対して約1μm〜約60μmの範囲で直径が小さくなることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項65】
更に、前記波長を約380nm〜約2700nmの範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項66】
更に、前記波長を約600nm〜約1400nmの範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項67】
更に、前記流束量を約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲に選択することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記照射するステップが、前記治療部位に複数の電磁パルスを照射するステップを含むことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項69】
前記パルスが、約1ナノ秒〜約10分の範囲のパルス幅を有することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項70】
皮膚用システムであって、
皮膚治療部位上をスキャンするように適合されたヘッド部分を備え、少なくとも1つの放射線を含むアプリケータと、
スキャンの際に前記ヘッド部分の位置を示す信号を生成するために前記ヘッド部分に結合されたトラッカーと、
前記トラッカー及び前記放射線源に結合され、前記トラッカーから受信した位置信号に基づいて前記放射線源を周期的に作動させる制御装置とを含むことを特徴とする皮膚用システム。
【請求項71】
前記制御装置が、前記位置信号に基づいた前記放射線源の前の作動から前記ヘッド部分が移動した距離を決定することを特徴とする請求項70に記載の皮膚用システム。
【請求項72】
前記制御装置が、前記移動距離が閾値を超えると前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項71に記載の皮膚用システム。
【請求項73】
1または複数の放射線源を含む、毛幹の縮れを軽減するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛幹の縮れを軽減するように約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約380nm〜約2700nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項74】
更に、毛尖の皮膚表面から突き出た部分を除去する機構を含むことを特徴とする請求項73に記載の装置。
【請求項75】
少なくとも1つの放射線源を含み、毛髪の成長を制御するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の1または複数の毛包に照射して毛髪の成長を調節するように約1200nm〜約1400nmの範囲の波長成分を有する電磁放射線を生成し、
前記放射線源を、LED、レーザーダイオード、フィルター付きアークランプ、及びフィルター付きハロゲンランプの何れかとすることができることを特徴とする装置。
【請求項76】
1または複数の放射線源を含む、毛幹の弾性を変更するための装置であって、
前記放射線源が、皮膚治療部位の少なくとも一部の毛幹の弾性を変更するように約0.1J/cm2〜約1000J/cm2の範囲の流束量で前記治療部位を照射するべく、約600nm〜約1400nmの範囲の波長及び約1ナノ秒〜約1分の範囲のパルス幅を有する放射線パルスを生成することを特徴とする装置。
【請求項77】
前記制御装置が、前記アプリケータ上に基準点(RP)を選択し、前記放射線源の作動前及び作動後にRPの位置をマークし、現在位置のRPと前の位置のRPとの間の距離(dr)を監視することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項78】
前記制御装置が、dr≧lh−l0=lh(1−α)の場合に前記放射線源を作動させ、
この式において、drが距離であり、α=l0/lhが所望の重複の程度であり、l0が重複の長さであり、lhが動作部分の長さであることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項79】
前記トラッカーが、一連のホイール、及び前記ホイールの角度位置を読み取ることができる読取りモジュールを含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項80】
前記トラッカーが、非接触光学装置、光学センサ、及び接触センサからなる群から選択されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項81】
前記制御装置が、アナログまたはデジタルパルスの少なくとも一方で前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項82】
前記制御装置が、スタンピング方式、スキャン方式、及びマトリックス方式からなる群から選択される方式で前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項83】
前記制御装置が、プログラムされた順序に従って前記放射線源を作動させることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項84】
前記トラッカーが皮膚の状態を監視することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項85】
前記制御装置が、監視した皮膚の状態に基づいて前記少なくとも1つの放射線源を作動させることを特徴とする請求項84に記載の装置。
【請求項86】
前記装置が更に、個々にアドレス指定可能な放射線源のアレイを含むことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項87】
前記制御装置が、前記個々にアドレス指定可能な放射線源を同時に作動させることを特徴とする請求項86に記載の装置。
【請求項88】
前記制御装置が、前記個々にアドレス指定可能な放射線源を順次作動させることを特徴とする請求項86に記載の装置。
【請求項89】
前記制御装置が、前記個々にアドレス指定可能な放射線源を選択したパターンで作動させることを特徴とする請求項86に記載の装置。
【請求項90】
前記装置が更に、前記毛尖を配置できる配置機構を含み、
前記配置機構が前記ヘッド部分に結合されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【公表番号】特表2006−518266(P2006−518266A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503769(P2006−503769)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/005174
【国際公開番号】WO2004/073537
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(504464748)パロマー・メディカル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】PALOMAR MEDICAL TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】82 Cambridge Street,Burlington,MA 01803,U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/005174
【国際公開番号】WO2004/073537
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(504464748)パロマー・メディカル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】PALOMAR MEDICAL TECHNOLOGIES,INC.
【住所又は居所原語表記】82 Cambridge Street,Burlington,MA 01803,U.S.A.
【Fターム(参考)】
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