説明

偽造防止策が施された番号印刷媒体

【課題】OCR番号等が印刷されている、有価証券類等の番号印刷媒体において、特別な機械等を使用することなしに、この番号印刷の機械読取りと真贋判定が可能で、かつ偽造が困難な偽造防止策が施された番号印刷媒体の提供にある。
【解決手段】一連の番号20が蛍光インキで印刷されていて、その蛍光インキでなる番号は、短波長蛍光インキでなる番号(20c)と長波長蛍光インキでなる番号20dとでなり、2種類のブラックランプで真贋判定が可能な偽造防止策が施された番号印刷媒体とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽造防止策が施された番号印刷媒体に関するものであり、さらに詳細には、有価証券類等に採用される、OCR番号等が印刷されていて、この番号印刷に偽造が困難な偽造防止策が施された番号印刷媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品券、金券、株券、債券等有価証券類に採用されている「番号印刷」は、番号器を有する印刷機を用いた凸版印刷方式にて行われていて、それに用いるインキは、カーボンブラック(顔料)を含有する凸版用墨インキであり、その印刷物は、凸版印刷特有の微エンボス跡が発生している(基材が紙の場合)ものが知られている。
【0003】
この「番号印刷」の機械読み取りは、OCR(Optical Character
Reader)が一般的であり、この「番号印刷」の偽造防止策としては、上記のカーボンブラック(顔料)を含有する凸版用墨インキ中に磁性体を分散せしめたインキを用い、専用の読み取り装置:MICR(Magnetic Ink Character Reader)にて読み取り、その真偽判定をするとともに機械処理がなされるようになっている。
【0004】
また、印刷される番号の文字列の中には、番号自体の整合性を確認するためのチェックデジットが含まれる場合が多くあり、金券、株券等では1枚の券中に複数の番号列を施し、それぞれの整合性が確認できるようになっている。
【0005】
上記のような番号印刷が施された番号印刷物(媒体)は、この番号印刷以外の偽造防止策(例えば、ホログラム箔の貼込み、パールインキ、マイクロ文字など)が施されているが、この「番号印刷」が唯一の偽造防止策となる例は極めて稀である。但し、真贋(本物と偽者)の判定時にはこの「番号印刷」は、その特殊性から真贋の有力な根拠となるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記番号印刷に係る従来技術において、この番号印刷自体の複製(偽造)は、例えばスキャナー等を利用すれば、比較的簡単に成すことができ、また磁性体を含有するMICR用の特殊インキを用いた番号印刷の場合でも、例えば、磁性体が含有しているモノクロプリンター用トナーによって再現(複製)することができ、機械読み取りも可能となるという問題点があった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、OCR番号等が印刷されている、有価証券類で代表される番号印刷媒体において、特別な機械等を使用することなしに(従来の番号印刷機を用いて)、この番号印刷が機械読取りと真贋判定が可能で、かつ偽造が困難な偽造防止策が施された番号印刷媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、紙を基材とし、該基材上に、1乃至複数列の一連の番号が印刷されている、有価証券類で代表される番号印刷媒体において、少なくとも前記1列の一連の番号のうちの全部もしくは一部が蛍光インキで印刷されていることを特徴とする偽造防止策が施された番号印刷媒体としたもので
ある。
【0009】
また、請求項2の発明では、前記蛍光インキで印刷されている番号印刷のPCS濃度は、Aフィルターで0.2以下であることを特徴とする請求項1記載の偽造防止策が施された番号印刷媒体としたものである。
【0010】
また、請求項3の発明では、前記蛍光インキは、短波長蛍光および長波長蛍光の波長領域で発光する2種類のインキでなることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載の偽造防止策が施された番号印刷媒体としたものである。
【0011】
また、請求項4の発明では、前記一連の番号が一つの版胴に複数の堰で仕切られた区画部分の前記各種インキを付けるレインボー印刷方式で印刷されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の偽造防止策が施された番号印刷媒体としたものである。
【0012】
また、請求項5の発明では、紙を基材とし、該基材上に、1乃至複数列の一連の番号が印刷されている、有価証券類で代表される番号印刷媒体において、少なくとも前記1列の一連の番号が赤外線を透過する混色墨インキと赤外線を吸収するカーボンブラック含有の墨インキとで構成されていることを特徴とする偽造防止策が施された番号印刷媒体としたものである。
【0013】
また、請求項6の発明では、前記一連の番号が一つの版胴に複数の堰で仕切られた区画部分の前記各種インキを付けるレインボー印刷方式で印刷されていることを特徴とする請求項4記載の偽造防止策が施された番号印刷媒体としたものである。
【0014】
上記請求項2でいうPCS濃度とは、Print Contrast Signalの略で、コントラストを番号印刷の画線と基材(被印刷体)の相対反射率で表し、次式で計算される値であって、
PCS=(被印刷体の反射率)−(画線の反射率)/(被印刷体の反射率)
で表される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0016】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、紙を基材とし、該基材上に、1乃至複数列の一連の番号が印刷されている、有価証券類で代表される番号印刷媒体において、少なくとも前記1列の一連の番号のうちの全部もしくは一部が蛍光インキで印刷されていることによって、可視光下では視認が困難であるが、専用の紫外線の照射装置(ブラックライト)では読取可能な偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができ、偽造を企てる者には可視光下では視認できない部分があるので、この番号印刷媒体の番号(OCR番号等)の偽造を困難にするものである。
【0017】
また、紙を基材としているので、可視光下では視認が困難な番号印刷に番号器特有の微エンボス跡が発生するので、この微エンボス跡が偽造防止に貢献する偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることもできる。
【0018】
また、上記請求項2に係る発明によれば、前記蛍光インキで印刷されている番号印刷のPCS濃度は、Aフィルターで0.2以下であることによって、可視光線下では番号印刷の視認が困難で、偽造を企てる者を混乱させ、より偽造を困難にする偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる。
【0019】
上記蛍光インキで印刷されている番号印刷のPCS濃度が、Aフィルターで0.2を越えると、可視光線下では番号印刷の存在とその内容が目視で判別可能となり、偽造を企てる者には、類似の蛍光インキを用いた偽造をも可能にする危惧があるので好ましくないものとなる。
【0020】
また、上記請求項3に係る発明によれば、前記蛍光インキを、短波長蛍光および長波長蛍光の波長領域で発光する2種類のインキとすることによって、可視光下では視認が困難であるが、それを読み取る専用の紫外線の照射装置(ブラックライト)が、短波長蛍光か長波長蛍光を発するものかの選択が必要になり、この蛍光インキで印刷された番号が、たとえ蛍光インキで印刷されていると気付かれたとしても、偽造を企てる者には、蛍光インキの種類とブラックライトの種類までは気付かないので、偽造をより困難にする偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる。
【0021】
また、上記請求項4に係る発明によれば、前記一連の番号を一つの版胴に複数の堰で仕切られた区画部分の前記各種インキを付けるレインボー印刷方式で印刷されたものとすることによって、隣合う各種インキ、すなわち蛍光インキと有色インキあるいは2種類の蛍光インキで印刷された境界となる番号が両者のインキ(蛍光と有色等)が混じり合ったものとなるので、より偽造による再現が困難な偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる。
【0022】
また、上記請求項5に係る発明によれば、紙を基材とし、該基材上に、1乃至複数列の一連の番号が印刷されている、有価証券類で代表される番号印刷媒体において、少なくとも前記1列の一連の番号が赤外線を透過する混色墨インキと赤外線を吸収するカーボンブラック含有の墨インキとで構成されているため、可視光線下ではいずれの番号も黒色として視認されるので、偽造を企てる者には、このからくりが分からず、一連の番号をカーボンブラック含有の墨インキで偽造すると、この偽造物を専用の赤外モニターで観察すると、一連の番号全部が視認されるものとなり、この赤外線を透過する混色墨インキと赤外線を吸収するカーボンブラック含有の墨インキとで構成されている番号では、混色墨インキの部分が視認(観察)されずカーボンブラック含有の墨インキの部分のみが観察されるようになるので、真贋の判定が容易な偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる。
【0023】
さらにまた、上記請求項6に係る発明によれば、前記一連の番号が一つの版胴に複数の堰で仕切られた区画部分の前記各種インキ、すなわち赤外線を透過する混色墨インキと赤外線を吸収するカーボンブラック含有の墨インキを付けるレインボー印刷方式で印刷されていることによって、隣合う混色墨インキとカーボンブラック含有の墨インキで印刷された境界の番号が両者のインキが混じり合ったものとなるので、より偽造による再現が困難な偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる。
【0024】
従って本発明は、一連の番号が印刷されている商品券、金券、株券、債券等有価証券類で代表される偽造防止策が施された番号印刷媒体として、優れた実用上の効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
本発明は、例えば、図1の平面図に示すように、証券用紙等でなる基材(10)上に、一連のOCR番号(20)が印刷されている、商品券等有価証券類で代表される番号印刷媒体であって、その一連のOCR番号(20)に偽造防止策が施されている番号印刷媒体
(1)に関するものである。
【0027】
上記請求項1に係る発明では、例えば、図2(a)に示すように、一連のOCR番号(20)が、可視光線下では視認できない蛍光インキで印刷されている番号(20a)で構成されている偽造防止策が施された番号印刷媒体とするもので、この蛍光インキで印刷されている番号(20a)に紫外光線を発する読取装置(ブラックライト)で照射すると、例えば、図2(b)に示すように、蛍光インキで印刷されている番号(20a)が蛍光を発し、読取可能なOCR番号(20)となる偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる。
【0028】
また、上記請求項1に係る発明では、例えば、図6の平面図に示すように、証券用紙などでなる基材(10)上に一連のOCR番号(20)が上下2列で構成されていて、上列の「5678901234」が蛍光インキで印刷されている番号(20a)でなり、下列の「1234567890」が有色インキで印刷されている番号(20b)でなるものとし、この下列の番号(20b)のうちの下1桁の「0」をチェックデジット(22)とした偽造防止策が施された番号印刷媒体(1)とすることもできる。
【0029】
さらにまた、上記請求項1に係る発明では、例えば、図3(a)に示すように、一連のOCR番号(20)のうちの一部「5」が可視光線下では視認できない蛍光インキで印刷されているチェックデジット(22)として、他の番号「12345、67890」は有色インキで印刷されている番号(20b)で構成されている偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることもできる。
【0030】
上記一連のOCR番号(20)に紫外光線を発する読取装置(ブラックライト)で照射すると、例えば、図3(b)に示すように、一連のOCR番号(20)の中央の桁を、この一連のOCR番号(20)の正当性を確認するためのチェックデジット(22)となる「5」のみが発光して読み取ることができるようにする偽造防止策が施された番号印刷媒体である。
【0031】
また、上記請求項2に係る発明では、例えば、図2(a)に示すような可視光線下では視認できない蛍光インキで印刷されている番号(20a)のPCS濃度がAフィルターで0.2以下とする偽造防止策が施された番号印刷媒体である。
【0032】
上記蛍光インキで印刷されている番号(20a)のPCS濃度が0.2を越えると可視光線下でも一連のOCR番号(20)の存在とその内容が明確になるので、例えば、類似の蛍光インキで偽造されるなどの危惧があるので好ましくない。
【0033】
また、上記請求項3に係る発明では、例えば、図4(a)に示すように、一連のOCR番号(20)が可視光線下では視認できない蛍光インキで印刷されていて、その蛍光インキは、254nm前後の波長領域で発光する短波長蛍光インキと340nm近傍の波長領域で発光する長波長蛍光インキとでなるもので、前者の短波長蛍光インキでは、「12345」の番号(20c)を、後者の長波長蛍光インキでは、「67890」の番号(20d)を印刷した偽造防止策が施された番号印刷媒体とするものである。
【0034】
上記図4(a)に示す可視光線下では視認できない2種類の蛍光インキでなる番号(20c、20d)に、短波長(254nm前後)蛍光の読取装置(ブラックライト)で照射すると、例えば、図4(b)に示すように、「1234567890」の一連のOCR番号(20)の全部(20c、20d)が蛍光色を発するようになる。
【0035】
また、上記図4(a)に示す可視光線下では視認できない2種類の蛍光インキでなる番
号(20c、20d)に、長波長(340nm近傍)蛍光の読取装置(ブラックライト)で照射すると、例えば、図4(c)に示すように、短波長蛍光インキで印刷されている番号(20c)の「12345」は発光せず、長波長蛍光インキで印刷されている番号(20d)の「67890」が蛍光色を発するようになる。
【0036】
このように読取装置(ブラックライト)の種類を変えることにより、蛍光色を発する部分が変るようになるので、番号印刷媒体の真偽判定を確実に容易にし、かつ図2(a)に示すような1種類の蛍光インキでなる番号(20a)に比べ偽造(複製)が困難な偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる。すなわち偽造を企てる者が、たとえ蛍光インキで印刷されていると気付いたとしても、このような「からくり」までは気付かないようにしたものである。
【0037】
さらにまた、上記請求項4に係る発明では、例えば、図4(a)に示すような一連のOCR番号(20)を一つの版胴に、堰で仕切られた区画部分の短波長蛍光インキと長波長蛍光インキとを付けるレインボー印刷方式で印刷された偽造防止策が施された番号印刷媒体とするものである。
【0038】
上記のように短波長蛍光インキでなる番号(20c)「12345」と長波長蛍光インキでなる番号(20d)「67890」をレインボー印刷方式で印刷すると、両者の境界となる番号(「5」と「6」)が両者のインキが混じり合ったものとなり、これに長波長蛍光のブラックライトで照射すると、例えば、図4(d)に示すように、短波長蛍光インキで印刷されている番号(20c)のうちの「1234」が発光せず、長波長蛍光インキでなる番号(20d)のうちの「7890」が蛍光色を発するようになるもので、両者のインキが混じりあった番号(「5」と「6」)が僅かの蛍光色を発するようにすることができ、このようにレインボー印刷方式で印刷されたものは、より偽造による再現が困難な偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる。
【0039】
また、例えば、図3(a)に示すような一連のOCR番号(20)のうちの一部「5」が可視光線下では視認できない蛍光インキで印刷されているチェックデジット(22)として、他の番号「12345、67890」は有色インキで印刷されている番号(20b)で構成されているものを、レインボー印刷方式で印刷すると、両者の境界となる有色インキでなる番号(20bの「5」と「6」)およびチェックデジット(22)となる番号「5」が両者のインキが混じり合ったものとなり、可視光線下では、チェックデジット(22)となる「5」が薄い有色となり、これらにブラックライトで照射すると、例えば、図3(c)に示すように、有色インキで印刷されている番号(20bの「5」と「6」)およびチェックデジット(22)となる番号「5」が僅かの蛍光色を発するようにすることもでき、より偽造による再現が困難な偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる。
【0040】
上記蛍光インキのうちの短波長(254nm前後)で蛍光を発する蛍光物質(顔料)としては、例えば、Zn2 SiO4 :Mn、Ca2 B5 O9 Cl:Eu2+、CawO4 、ZnO:Zn、Y2 O2 S:Ag、YVO4 :Eu、Gd2 O2 S:Tb、LaO2 S:Tb、Y3 Al5 O12:Ceなどが挙げられ、これら単体あるいは数種類混合されて使用することができる。
【0041】
また、上記蛍光インキのうちの長波長(340nm近傍)の蛍光を発する蛍光物質(顔料)としては、芳香族ヘテロ環誘導体などの蛍光染料の樹脂固溶体であり、その樹脂としてはポリメタクリル酸エステル、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂、塩化ビニル、塩ビ・酢ビ共重合体、アルキッド樹脂およびそれらを変性したものが挙げられる。
【0042】
上記蛍光染料としては、例えば、芳香族ヘテロ環誘導体としてのフルオレセン、エオシン、ローダミンB、ローダミン6G、チオフラビンなどの色素、ジアミノスチルベンジスルホン酸、イミダゾール、クマリン、トリアゾール、カルバゾール、ピリジン、ナフタル酸、イミダゾロンなどの誘導体、アントラセンなどのベンゼン環を有する化合物などが挙げられる。
【0043】
また、上記請求項5に係る発明では、例えば、図5(a)に示すように、一連のOCR番号(20)のうちの「12345」が赤外線が透過するプロセスインキのイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)が混合された混色墨インキでなる番号(20e)でなり、「67890」が赤外線を吸収するカーボンブラック入りの墨インキでなる番号(20f)でなる偽造防止策が施された番号印刷媒体としたものである。
【0044】
また、上記請求項5に係る発明では、例えば、図7の平面図に示すように、証券用紙などでなる基材(10)上に一連のOCR番号(20)が上下2列で構成されていて、上列の「5678901234」のうちの「56789」が赤外線が透過するプロセスインキのイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)が混合された混色墨インキでなる番号(20e)と、「01234」が赤外線を吸収するカーボンブラック入りの墨インキでなる番号(20f)でなり、下列の「1234567890」が有色インキで印刷されている番号(20b)でなるものとし、この下列の番号(20b)のうちの下1桁の「0」をチェックデジット(22)とした偽造防止策が施された番号印刷媒体(1)とすることもできる。
【0045】
上記混色墨インキでなる番号(20e)とカーボンブラック入りの墨インキでなる番号(20f)とでなる一連のOCR番号(20)を、専用の読取装置(赤外モニター)で観察すると、図5(b)に示すように、混色墨インキでなる番号(20e)の部分「12345」が観察されず、カーボンブラック入りの墨インキでなる番号(20f)の「67890」のみが観察されるようになる偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる。
【0046】
以上のように、通常の可視光線下では黒色を呈する一連のOCR番号(20)として視認されるが、それら一連のOCR番号(20)の真偽判定は、上記の赤外モニター(赤外カメラ内蔵)や半導体レーザーによる波長750nm、780nm、810nm、830nm、905nm等のレーザー光を照射して可視領域の光をカットしたセンサーによって行うことができる。
【0047】
さらにまた、上記請求項6に係る発明では、例えば、図5(a)に示すような一連のOCR番号(20)を一つの版胴に、堰で仕切られた区画部分のプロセスインキY、M、Cの混合でなる混色墨インキとカーボンブラックが含有する墨インキとを付けるレインボー印刷方式で印刷された偽造防止策が施された番号印刷媒体とするものである。
【0048】
上記のように混色墨インキでなる番号(20e)「12345」とカーボンブラックが含有する墨インキでなる番号(20f)「67890」をレインボー印刷方式で印刷すると、両者の境界となる番号(「5」と「6」)が両者のインキが混じり合ったものとなり、これらを赤外モニターで観察すると、例えば、図5(c)に示すように、混色墨インキで印刷されている番号(20e)のうちの「1234」は全く観察されず、カーボンブラックが含有する墨インキでなる番号(20f)のうちの「7890」がくっきりと浮き上がって観察されるようになり、両者のインキが混じりあった番号(「5」と「6」)が僅かに観察されるようにすることができ、このようにレインボー印刷方式で印刷されたものは、より偽造による再現が困難な偽造防止策が施された番号印刷媒体とすることができる

【0049】
以上のような本発明の偽造防止策が施された番号印刷媒体(1)は、商品券、商品券、金券、株券、債券等有価証券類に好適に採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の偽造防止策が施された番号印刷媒体の一実施の形態を示す平面図である。
【図2】本発明の偽造防止策が施された番号印刷媒体の番号印刷の一事例を示すもので、(a)は、蛍光インキで印刷され、可視光線下で観察されたものであり、(b)は、ブラックライトで照射されたときの形態を示すものである。
【図3】本発明の偽造防止策が施された番号印刷媒体の実施の形態を示すもので、(a)は、一連の番号のうちの一部が蛍光インキで印刷されているものであり、(b)は、(a)にブラックライトで照射されたときの形態を示す図であり、(c)は、(a)をレインボー印刷したものにブラックライトで照射されたときの形態を示す図である。
【図4】本発明の偽造防止策が施された番号印刷媒体の実施の形態を示すもので、(a)は、2種類の蛍光インキで印刷された番号を可視光下で観察される図であり、(b)は、(a)を短波長蛍光を発するブラックライトで照射したときの状態を示す図であり、(c)は、(a)を長波長蛍光を発するブラックライトで照射したときの状態を示す図であり、(d)は、レインボー印刷したときの(a)を長波長蛍光を発するブラックライトで照射したときの状態を示す図である。
【図5】本発明の偽造防止策が施された番号印刷媒体の実施の形態を示すもので、(a)は、2種類の墨インキで印刷された番号を可視光下で観察される図であり、(b)は、(a)を赤外モニターで観察したときの状態を示す図であり、(c)は、レインボー印刷したときの(a)を赤外モニターで観察したときの状態を示す図である。
【図6】本発明の偽造防止策が施された番号印刷媒体の他の一実施の形態を説明する平面図である。
【図7】本発明の偽造防止策が施された番号印刷媒体の他の一実施の形態を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0051】
1‥‥偽造防止策が施された番号印刷媒体
10‥‥基材
20‥‥OCR番号
20a‥‥蛍光インキで印刷された番号
20b‥‥有色インキで印刷された番号
20c‥‥短波長蛍光インキで印刷された番号
20d‥‥長波長蛍光インキで印刷された番号
20e‥‥混色墨インキで印刷された番号
20f‥‥カーボンブラック含有の墨インキで印刷された番号
22‥‥チェックデジット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を基材とし、該基材上に、1乃至複数列の一連の番号が印刷されている、有価証券類で代表される番号印刷媒体において、少なくとも前記1列の一連の番号のうちの全部もしくは一部が蛍光インキで印刷されていることを特徴とする偽造防止策が施された番号印刷媒体。
【請求項2】
前記蛍光インキで印刷されている番号印刷のPCS濃度は、Aフィルターで0.2以下であることを特徴とする請求項1記載の偽造防止策が施された番号印刷媒体。
【請求項3】
前記蛍光インキは、短波長蛍光および長波長蛍光の波長領域で発光する2種類のインキでなることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載の偽造防止策が施された番号印刷媒体。
【請求項4】
前記一連の番号が一つの版胴に複数の堰で仕切られた区画部分の前記各種インキを付けるレインボー印刷方式で印刷されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の偽造防止策が施された番号印刷媒体。
【請求項5】
紙を基材とし、該基材上に、1乃至複数列の一連の番号が印刷されている、有価証券類で代表される番号印刷媒体において、少なくとも前記1列の一連の番号が赤外線を透過する混色墨インキと赤外線を吸収するカーボンブラック含有の墨インキとで構成されていることを特徴とする偽造防止策が施された番号印刷媒体。
【請求項6】
前記一連の番号が一つの版胴に複数の堰で仕切られた区画部分の前記各種インキを付けるレインボー印刷方式で印刷されていることを特徴とする請求項4記載の偽造防止策が施された番号印刷媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−205500(P2006−205500A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19378(P2005−19378)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】