説明

備蓄ボックス

【課題】オフィス等において備蓄品を備蓄するのに好適な備蓄ボックスを提供する。
【解決手段】引き出しに収納可能な寸法をなし上面に開口部2Cを有したボックス本体2と、前記ボックス本体2の内部を上部空間2A及び下部空間2Bに分割する仕切部材3とを具備し、前記仕切部材3により前記開口部2Cから隔離された下部空間2Bに備蓄品4を収納していることを特徴とする備蓄ボックス1を構成した。本備蓄ボックス1を引き出しの中に収めておけば、オフィス内に必要な備蓄品4を備蓄できる上、ボックス本体2の上部空間2Aを日常業務において利用することができる。従って、本備蓄ボックス1が引き出しの中で邪魔にならず、またその存在を忘却することなく非常時に確実に備蓄品4を役立てることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に非常時の備えとしてオフィス内に各種備蓄品を保管、運用するための備蓄ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の大規模自然災害の発生時、被災地への救援の到着には数日を要すると一般に想定されている。その間、被災者は自力で生活を維持しなければならない。周知の通り、各家庭において数日分の物資を蓄えておくことが推奨されており、少なからぬ家庭で非常用袋等を保管している。
【0003】
尤も、オフィスで働くビジネスパーソンは日中の殆どをオフィスで過ごしており、災害発生時にオフィスにいる可能性が高く、オフィスから帰宅できないおそれもある。であるから、家庭に物資を蓄えておくことが推奨されるのと同じ理由で、オフィスにも物資を蓄えておくことが望ましいといえる。
【0004】
人員数の多い企業では、多人数分の生活物資を集積する努力を行っており、そのための専用コンテナ等も提案されている(例えば、下記特許文献を参照)。
【0005】
しかしながら、多くのオフィスでは、前述したような専用コンテナを用いることはできない。オフィスに物資を蓄えるには、通常の倉庫や収納庫を使用したり、各人がデスク等の引き出しの中に物資を保管しておいたりするのが現状である。
【特許文献1】特開2005−224018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
倉庫や収納庫を使用している場合には、日々多忙な中でその存在を忘却してしまうおそれがあり、肝心な時に物資を役立てられないといったことにもなりかねない。
【0007】
デスク等に各人が物資を保管しておくと、それは日常業務では不要品であり、むしろ邪魔になりがちである。
【0008】
上記の事情は、防災用品以外の物品、日常業務ではほぼ用いられないが念のため備蓄しておくべきものについても当てはまる。
【0009】
以上に着目してなされた本発明は、オフィス等において備蓄品を備蓄するのに好適な備蓄ボックスを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、デスクやワゴン等のオフィス家具の引き出しに収納可能な寸法をなし上面に開口部を有したボックス本体と、前記ボックス本体の内部を上部空間及び下部空間に分割する仕切部材とを具備し、前記仕切部材により前記開口部から隔離された下部空間に備蓄品を収納していることを特徴とする備蓄ボックスを構成した。ここで、備蓄品とは、日常業務では使用または消費される機会の少ない、非常時に備えて保有しておくべき物品をいい、例えば災害対策用品、防犯用品、または停電、断水といった自然災害以外の故障に対応するための物品がこれに当たる。
【0011】
本備蓄ボックスを引き出しの中に収めておけば、オフィス内に必要な備蓄品を備蓄できる上、ボックス本体の上部空間を日常業務において利用することができる。例えば、文房具やその他の小物類の収納用とすることができる。従って、本備蓄ボックスが引き出しの中で邪魔にならず、またその存在を忘却することなく非常時に確実に備蓄品を役立てることができる。
【0012】
なお、ボックス本体の上部空間に、ユーザが選定した任意の備蓄品を収納しておくこともできる。即ち、各自の嗜好や事情に合わせた備蓄品の備蓄が可能である。
【0013】
本備蓄ボックスは防災用品、例えば飲料水、食料品、非常用トイレ、燃料、電灯、バッテリ、医薬品、ラジオ等の災害対策用品の備蓄に極めて好適である。
【0014】
前記仕切部材がトレー形状をなしていれば、比較的底の深い引き出しに本備蓄ボックスを収めることで、仕切部材により実質的に底の浅い部分を作ることができる。この仕切部材を、例えば小物入れとして利用することができる。即ち、引き出しに実質的に小物入れの機能を付加することができる。
【0015】
前記ボックス本体の対向する周壁に、部材を内側に切り起こすことによって窓を形成し、その切り起こした部材で前記仕切部材を支持するようにしていれば、簡便な構造で仕切部材をボックス本体の底から浮上させておくことができる。しかも、窓はユーザが本備蓄ボックスを持ち出す際に取手となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、オフィス等において備蓄品を備蓄するのに好適な備蓄ボックスを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の備蓄ボックス1は、ボックス内の下部空間2Bに備蓄品4を収納したものであり、これをデスクの袖やワゴン等の引き出しに収納することでオフィス等における備蓄品4の備蓄を可能としている。
【0018】
詳述すると、本備蓄ボックス1は、図1ないし図5に示すように、引き出しに収納可能な寸法をなし上面に開口部2Cを有したボックス本体2と、ボックス本体2の内部を上部空間2A及び下部空間2Bに分割する仕切部材3と、仕切部材3により開口部2Cから隔離された下部空間2Bに収納した備蓄品4とを構成要素とする。
【0019】
ボックス本体2は、周壁即ち前壁21、後壁22、左側壁23及び右側壁24により内部空間を包囲し、底壁25により内部空間の下方を閉塞した、上方に開口する箱体である。ボックス本体2は通常、紙製である。後壁22の上縁からは開口部2Cを開閉する蓋26が、左側壁23及び右側壁24の上縁からは開口部2Cに臨むフラップ27、28が延び出している。開口部2Cを閉じる際には、左右のフラップ27、28をそれぞれ内側方に折り倒し、蓋26を前方に折り倒して、その蓋26の前縁から突き出す差込片261を下方に屈曲させて開口部2Cの前縁に差し入れる。
【0020】
また、前壁21の上縁から延び出した折り畳み板29を、折り畳んで前壁21の背面に接合している。但し、左右方向の中央部位は切り抜いてあり、折り畳まれずに上方に突き出した舌片292となっている。この舌片292を後方に屈曲させ、蓋26と差込片261との境界部に切り設けたスリット262に挿入することで、閉じた蓋26の保定を行い得る。
【0021】
ボックス本体2の対向する周壁には、部材を内側に切り起こして形成した窓232、242が存在する。本実施形態では、左側壁23及び右側壁24にそれぞれ窓232、242を形成している。これらの窓232、242は、ボックス本体2の高さ方向の中間領域に位置し、互いにほぼ対向している。窓232、242の周縁に連なる切り起こし片231、241の上端の高さも、ほぼ揃っている。
【0022】
加えて、前壁21の裏面に接合した折り畳み板29からも、内側に切り起こし片291を切り起こしてある。この切り起こし片291の上端の高さも、上記の切り起こし片231、241のそれにほぼ揃っている。
【0023】
ボックス本体2の外形寸法は、標準的なファイルボックス、例えばA4サイズのフォルダを複数個収納可能なファイルボックスの外形寸法にほぼ等しい。また、ボックス本体2の幅寸法は、デスクの袖やワゴン等の引き出しの幅方向の内寸にほぼ等しい。このため、デスク等の引き出しの中に収めておくのに都合がよい。
【0024】
仕切部材3は、前板31、後板32、左側板33、右側板34及び底板35を有し、上方に開放したトレー形状をなす。但し、既存の(デスクの引き出し等に付帯している)ペントレー形状としてもよい。仕切部材3は、紙製であってもよく、樹脂製であってもよく、あるいは他の素材を用いたものであってもよい。仕切部材3の前後寸法及び幅寸法は、ボックス本体2の内部空間の前後寸法及び幅寸法にほぼ等しい。
【0025】
仕切部材3をボックス本体2内部に収容したとき、その底板35の下面に切り起こし片231、241、291の上端が当たって接し、これを所定の高さ位置に維持する。この仕切部材3により、ボックス本体2の内部が上部空間2Aと下部空間2Bとに区画されるとともに、下部空間2Bがボックス本体2の開口部2Cから隔絶される。
【0026】
備蓄品4は、ボックス本体2の下部空間2Bに収納している。備蓄品4は防災用品、例えば飲料水、食料品、非常用トイレ、燃料、電灯、バッテリ、医薬品、ラジオ等である。図示例では、長期保存水41、非常食42三食分、非常用トイレ43三回分を収めてある。
【0027】
本実施形態の備蓄ボックス1は、図6に示すように、引き出しの最手前に収めた状態で使用するのに適している。とりわけ、互いにほぼ等しい高さの上下二段の引き出しを備える袖またはワゴンと組み合わせるのに好適であり、その場合上段の引き出しに本備蓄ボックス1を収めるのがよい。備蓄ボックス1を引き出しに収めたとき、仕切部材3が引き出しの底よりも高位置に配置される。換言すれば、引き出しに底の浅い部分が追加されることになる。日常業務において、この仕切部材3を小物入れ等に利用することができる。
【0028】
本実施形態によれば、デスクやワゴン等のオフィス家具の引き出しに収納可能な寸法をなし上面に開口部2Cを有したボックス本体2と、前記ボックス本体2の内部を上部空間2A及び下部空間2Bに分割する仕切部材3とを具備し、前記仕切部材3により前記開口部2Cから隔離された下部空間2Bに備蓄品4を収納していることを特徴とする備蓄ボックス1を構成したため、オフィス内に必要な備蓄品4を備蓄できる上、ボックス本体2の上部空間2Aを日常業務において利用することができる。例えば、文房具やその他の小物類の収納用とすれば、開口部2Cを介して上部空間2Aに小物類を適宜出し入れでき、またその小物類が備蓄品4と混ざるおそれもない。従って、備蓄品4を引き出し内に備蓄していることによる収納スペース減少のデメリットを緩和ないし回避できる。故に、備蓄ボックス1が引き出しの中で邪魔にならず、しかも備蓄ボックス1の存在を忘却することもなく、非常時に確実に備蓄品4を役立てることができる。
【0029】
本備蓄ボックス1は防災用品、例えば飲料水、食料品、非常用トイレ、燃料、電灯、バッテリ、医薬品、ラジオ等の災害対策用品の備蓄に極めて好適である。
【0030】
前記仕切部材3がトレー形状をなしているため、比較的底の深い引き出しに本備蓄ボックス1を収めることで、仕切部材3により実質的に底の浅い部分を作ることができる。即ち、底の深い引き出しに実質的に小物入れの機能を付加することができる。
【0031】
前記ボックス本体2の対向する周壁に、部材を内側に切り起こすことによって窓232、242を形成し、その切り起こした部材で前記仕切部材3を支持するようにしているため、簡便な構造で仕切部材3をボックス本体2の底から浮上させておくことができる上、窓232、242が備蓄ボックス1を持ち出す際の取手にもなる。
【0032】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。下部空間2Bに収納する備蓄品4は、災害対策用品には限られず、防犯用品、または停電、断水といった自然災害以外の故障に対応するための物品であってもよい。
【0033】
本発明に係る備蓄ボックス1は、基本的に、下部空間2Bに予め所要の備蓄品4を収納した状態で市場に流通させることを想定しているが、下部空間2Bに備蓄品4を収めていない状態のボックスを市場に流通させて、下部空間2Bに収納する備蓄品4をユーザに選択させるようにしてもよい。
【0034】
ボックス本体2の上部空間2Aに、ユーザが選定した任意の備蓄品4を収納しておくこともできる。
【0035】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態の備蓄ボックスを示す斜視図。
【図2】同備蓄ボックスを示す斜視図。
【図3】同備蓄ボックスの下部空間に収納した備蓄品を示す、ボックス本体の一部を破断した分解斜視図。
【図4】同備蓄ボックスを示す正断面図。
【図5】同備蓄ボックスを示す側断面図。
【図6】同備蓄ボックスをデスク等の二段引き出しの上段最手前に配した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1…備蓄ボックス
2…ボックス本体
2A…上部空間
2B…下部空間
2C…開口部
232、242…窓
3…仕切部材
4…備蓄品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き出しに収納可能な寸法をなし上面に開口部を有したボックス本体と、
前記ボックス本体の内部を上部空間及び下部空間に分割する仕切部材とを具備し、
前記仕切部材により前記開口部から隔離された下部空間に備蓄品を収納していることを特徴とする備蓄ボックス。
【請求項2】
前記ボックス本体の対向する周壁に、部材を内側に切り起こすことによって窓を形成し、その切り起こした部材で前記仕切部材を支持するようにした請求項1記載の備蓄ボックス。
【請求項3】
前記仕切部材がトレー形状をなす請求項1または2記載の備蓄ボックス。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の備蓄ボックスを構成するために用いられるものであって、
引き出しに収納可能な寸法をなし上面に開口部を有したボックス本体と、
前記ボックス本体の内部を上部空間及び下部空間に分割する仕切部材とを具備するボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−6401(P2010−6401A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166476(P2008−166476)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】