説明

傾斜組成物バリア

一般に、本開示は、低下された水蒸気透過率を有するバリアアセンブリと、このバリアアセンブリの製造プロセスとに関する。バリアアセンブリは、基材と、基材に隣接して配置された無機層とを備える。無機層は、無機層の厚さ全体にわたって変化する組成物を有する。組成物は、少なくとも第1及び第2の無機材料を含み、組成物中の第1の無機材料と第2の無機材料との相対的な割合が無機層の厚さ全体にわたって変化する。バリアアセンブリの製造プロセスは、異なる元素組成物を有する対のターゲットのデュアルACスパッタリングを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレー及び二セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)の様な薄膜太陽電池等の新興用途は、水蒸気からの保護を必要とする。現在、これらの用途は、ガラスのカプセル封入材料を使用しており、これはガラスが水蒸気からの非常に良好なバリア性能を有し、また光学的に透明なためである。しかしながら、ガラスは重く、可撓性を有さず、個々のガラス部分の取り扱いに使用される1つ1つのプロセスにより費用がかかる。ガラス様のバリア性能を有する透明可撓性基材を開発して、それら及び他の用途においてガラスを代替することの興味が存在している。
【0002】
敏感な材料を水蒸気による損傷から保護するために、非常に透明な多層バリアコーティングが開発されてきた。水に敏感な材料は、有機、無機、及びハイブリッド有機/無機半導体デバイス等の電子構成成分であり得る。多層バリアコーティングは敏感な材料上に直接堆積されてもよく、又はポリマーフィルム等の可撓性透明基材上に堆積されてもよい。そのようなバリアフィルムは、より軽量で潜在的に可撓性を有するディスプレー及び太陽電池、並びにより費用効率の高いロール・ツー・ロールのカプセル封入加工を可能にし得る。
【0003】
多層バリアコーティングに関する手法の1つは、ポリマーフィルム保護層が組み入れられた酸化アルミニウム又は酸化ケイ素等の多層酸化物コーティングを生成することである。酸化物/ポリマーフィルムの各対は、多くの場合「ダイアド」と称され、酸化物/ポリマーの交互の多層構造は、水分及び酸素に対する十分な保護を提供するために数個のダイアドを含み得る。数個のダイアドの作製には塗布機を介した数回の通過が必要なことが多く、そのため製造コストが高くなり、フィルム損傷の可能性が増大する。代替的に、複数のコーティングゾーンを有する特殊な塗布機は、塗布機を介した1回の通過で数個のダイアドを作製するよう設計され得る。そのような透明多層バリアコーティング及びプロセスの例は、例えば米国特許第5,440,446号(Shawら)、同第7,018,713号(Padiyathら)及び同第6,413,645号(Graffら)に見出すことができる。それらの多層酸化物コーティング中の酸化物層は、組成及びミクロ構造において均質である。
【0004】
別の手法は、米国特許第7,015,640号(Schaepkensら)に記載されているように、様々な化学蒸着(CVD)法を用いて、段階的なバリアスタック中に、混合された無機及び有機層の多層を作製することであった。この手法では、有機層と酸化物層との間の遷移が徐々に変化して、急な有機/酸化物の遷移において発生し得る応力を低下させると思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の方法で作製された多層バリアコーティングは、フィルムを介した水分及び酸素透過を多大に低下させ得るが、記載された方法を用いて達成できるものを越える、更なるバリア特性の改良が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般に、本開示は、低下された水蒸気透過率を有するバリアアセンブリと、このバリアアセンブリの製造プロセスとに関する。
【0007】
本開示の一態様では、バリアアセンブリは、第1の表面を有する基材と、第1の表面に隣接する無機層とを備える。無機層は第1の無機材料及び第2の無機材料を含み、第1の無機材料の第2の無機材料に対する比は、基材の第1の表面に直交する方向にて変化する。一実施形態において、バリアアセンブリは、無機層に隣接して配置され、基材の第1の表面の反対側にある保護分子層を更に備える。別の実施形態では、バリアアセンブリは、第1の表面と無機層との間に配置された平滑化高分子層を更に備える。
【0008】
本開示の別の態様では、バリアアセンブリは、第1の表面を有する基材と、第1の表面に隣接する無機酸化物層とを備える。無機酸化物組成物は、第1の原子の第1の酸化物と、第2の原子の第2の酸化物とを含む。第1の原子の第2の原子に対する原子比は、第1の表面に直交する方向にて変化する。一実施形態において、バリアアセンブリは、無機酸化物組成物に隣接して配置され、基材の第1の表面の反対側にある保護高分子層を更に備える。別の実施形態では、バリアアセンブリは、第1の表面と無機酸化物組成物との間に配置された平滑化高分子層を更に備える。
【0009】
本開示の別の態様において、バリアアセンブリの製造プロセスは、基材を提供し、基材上に平滑化高分子層を形成し、平滑化高分子層上に無機層を形成し、無機層上に保護高分子層を形成する、ことを含む。無機層は、無機層の厚さ全体にわたって変化する無機組成物を含む。
【0010】
本出願のこれら及び他の態様は下記の詳細な説明から明らかとなろう。しかし、決して、上記「課題を解決するための手段」は、請求された主題に関する限定として解釈されるべきでなく、主題は、手続処理の間補正することができるような添付の「特許請求の範囲」及びそれらの等価物によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書全体にわたって、類似の参照数字が類似の又は同様の要素を指す添付図面が参照される。
【図1】バリアアセンブリの概略断面図。
【図2】無機層における組成の変化を示すプロット。
【0012】
図面は、必ずしも縮尺にしたがうものではない。図面に使用される類似の数字は、類似又は同様の構成成分を指す。ただし、与えられた図の構成成分を示す数字の使用は、同じ数字を付された別の図の構成成分を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本記載は、水蒸気及び酸素の透過を低下させ得る改良されたバリアアセンブリを開示する。この改良されたバリアアセンブリは、少なくとも1つの無機層を含み、前記無機層は、層の厚さ方向に変化する組成物、即ち傾斜組成物を有する。無機層は少なくとも2つの無機材料を含み、2つ無機材料の比は、無機層の厚さ全体にわたって変化する。2つ無機材料の比とは、それぞれの無機材料の相対的割合を指す。比は、例えば質量比、容積比、濃度比、モル比、表面積比又は原子比であってもよい。
【0014】
傾斜組成物中の無機材料のそれぞれは、異なる原子の酸化物、窒化物、炭化物又はホウ化物を含む。得られた傾斜無機層は、均質な単一構成成分層を改良するものである。バリア及び光学特性における更なる利益は、薄い真空堆積ポリマーフィルムと組み合わされた際に実現され得る。多層傾斜無機−ポリマーバリアスタックは、光学特性及びバリア特性を向上させるよう形成され得る。
【0015】
一態様において、バリアアセンブリは基材を含み、無機層は基材に隣接して配置されている。無機層の厚さ方向は、基材の表面に直交する方向にあり、無機層の組成物は、基材に直交する方向にて変化する。一実施形態において、基材は電子デバイス等の感湿材料を含んでもよい。無機層は厚さ方向にわたって一定の濃度に留まっても、又は留まらなくてもよい追加の有機又は無機材料を更に含んでもよいことが理解される。
【0016】
一実施形態において、バリアアセンブリは、基材と無機層との間に配置された平滑化高分子層を更に備える。別の実施形態では、バリアアセンブリは、無機層上に配置された保護高分子層を更に備える。無機層と保護高分子層とは「ダイアド」を形成し、一実施形態において、バリアアセンブリは2つ以上のダイアドを備えて多層バリアアセンブリを形成してもよい。2つ以上のダイアドを備えるバリアアセンブリ等の多層バリアアセンブリのそれぞれの無機層は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0017】
バリアアセンブリは米国特許第5,440,446号(Shawら)及び同第7,018,713号(Padiyathら)に記載されているシステムと同様のロール・ツー・ロール真空チャンバ内で、基材上に様々な層を堆積させることにより作製されてもよい。層の堆積はインラインで、システムを通した1回の通過であってもよい。いくつかの場合、バリアアセンブリはシステムを数回通過して、数個のダイアドを有する多層バリアアセンブリが形成され得る。
【0018】
第1及び第2の無機材料は、金属若しくは非金属原子、又は金属若しくは非金属原子の組み合わせの酸化物、窒化物、炭化物又はホウ化物であってもよい。「金属又は非金属」原子という表現は、周期律表IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、IB、若しくはIIB族、又はIIIB、IVB若しくはVB族の金属、希土類金属、又はそれらの組み合わせから選択される原子を意味する。好適な無機材料には、例えば、シリカ等の酸化ケイ素、アルミナ等の酸化アルミニウム、チタニア等の酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(「ITO」)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオビウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化窒化アルミニウム、酸化窒化ケイ素、酸化窒化ホウ素、酸化ホウ化ジルコニウム、酸化ホウ化チタン、及びこれらの組み合わせ等の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物、金属酸化ホウ化物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ITOは、それぞれの元素成分を適切に選択することによって導電性になり得るセラミック材料の特殊部類の一例である。
【0019】
明確さのため、以下の説明に記載される無機層は、酸化物の組成物に向けられているが、組成物は、上述したように酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、オキシ窒化物、オキシホウ化物等の任意のものを含んでもよいことを理解するべきである。
【0020】
無機層の一実施形態において、第1の無機材料は酸化ケイ素であり、第2の無機材料は酸化アルミニウムである。この実施形態では、ケイ素とアルミニウムとの原子比が無機層の厚さ全体にわたって変化し、例えば、無機層の第1の表面の付近ではアルミニウムよりもケイ素が多く、第1の表面からの距離が増大するにつれてケイ素よりもアルミニウムの方が徐々に多くなる。一実施形態において、ケイ素のアルミニウムに対する原子比は、第1の表面からの距離が増大するにつれて単調に変化してもよく、即ち比は第1の表面からの距離が増大するにつれて増大又は低下するが、第1の表面からの距離が増大するにつれて増大及び低下することはない。別の実施形態では、比は単調に増大又は低下せず、即ち比は、第1の表面からの距離が増大するにつれて、第1の部分内で増大し、第2の部分内で低下してもよい。この実施形態では、第1の表面からの距離が増大するにつれて、比が数回増大及び低下してもよく、比は非単調である。1つの酸化物種から他の酸化物種への、無機層の厚さ全体にわたる無機酸化物濃度の変化は、水蒸気透過率により測定して、バリア性能の改良をもたらす。
【0021】
バリア性能の改良に加えて、傾斜組成物は、改良されたバリア性能を保持する一方で他の独特の光学性能を有するよう作製され得る。層の組成物中の傾斜変化は、層を通した屈折率における対応する変化を生じる。高い屈折率から低い屈折率に、又はその逆に変化するように、材料を選択することができる。例えば、高い屈折率から低い屈折率になることにより、一方向に移動する光が層を容易に通過する一方、逆方向に移動する光が層により反射され得ることを可能にし得る。屈折率変化を用いて、層で保護されている発光デバイスからの光抽出を高めるように層を設計することができる。屈折率変化は、代わりに、層を通して太陽電池等の光回収デバイス内に光を通過させるのに使用することができる。改良されたバリア性能を維持する一方でバンドパスフィルタ等の他の光学的構造も層中に組み込むことができる。
【0022】
図1は、本開示の一態様によるバリアアセンブリ100の概略断面図を示す。一実施形態において、バリアアセンブリ100は、第1の表面115を有する基材110と、第1の表面115に隣接して配置された無機層130とを備える。別の実施形態では、バリアアセンブリ100は、無機層130と第1の表面115との間に配置された任意の平滑化高分子層120と、任意の平滑化高分子層120上に配置されたダイアド160とを更に備える。一実施形態において、ダイアド160は、無機層130に隣接して、基材110の反対側に配置された任意の保護高分子層150と、無機層130と保護高分子層150との間に配置された任意の追加の無機層140とを含む。別の実施形態では、バリアアセンブリ100は、保護高分子層150の頂部表面155に隣接して配置された追加のダイアド(図示されないが、ダイアド160と類似する)を備える多層バリアアセンブリを形成してもよい。
【0023】
基材110は、可撓性の光透過性高分子フィルム等の可撓性の透明基剤であってもよい。可撓性の光透過性高分子フィルムは、550nmで約70%を越える可視光透過率を有してもよい。高分子フィルムは、熱硬化、張力下でのアニーリング、又は高分子フィルムが拘束されていない場合に少なくとも熱安定化温度まで収縮を抑制するその他の技術を使用して熱安定化されてもよい。ポリエチレンテレフタレート(PET)を使用することができるが、熱安定化ポリエチレンテレフタレート(HSPET)を使用することが好ましい場合がある。他の高分子フィルムには、例えばポリエステル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、スチレン/アクリロニトリル(SAN)、スチレン/無水マレイン酸(SMA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、熱安定化PEN(HSPEN)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルナフタレン(PVN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、高Tgフルオロポリマー類(例えば、DYNEON(商標)、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン及びエチレンのHTEターポリマー)、ポリカーボネート(PC)、ポリα−メチルスチレン、ポリアリーレート(PAR)、ポリスルホン(PSul)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリールスルホン(PAS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド及びポリフタルアミドを挙げることができる。材料の費用が重要であるいくつかの実施形態では、PET、HSPET、PEN及びHSPENから形成されたポリマーフィルムを使用し得る。バリア性能が最も重要であるいくつかの実施形態では、より高価な材料から形成されたポリマーフィルムを使用し得る。ポリマーフィルムは、任意の好適な厚さ、例えば約0.01〜約1mmの厚さを有し得る。
【0024】
再び図1を参照すると、無機層130は、基材110の第1の表面115に隣接した第1の無機表面132と、第2の無機表面138とを含む。無機層130は第1の無機材料134と第2の無機材料136とを含む組成物を有する。第1の無機材料134と第2の無機材料136との相対的な割合は、基材110の第1の表面115に直交する方向へ、例えば第1の無機表面132から第2の無機表面138へ、無機層130の厚さ全体にわたる傾斜として変化する。図1は、概略断面図であり、したがって図示された第1の無機材料134及び第2の無機材料136の両方のサイズ、形状及び分布は、厚さ全体にわたる組成変化を示し、材料の実際のサイズ、形状又は分布のいかなる制限をも示すものではない。(図示した)一実施形態において、第2の無機材料136の第1の無機材料134に対する比は、第1の無機表面132の近くでより大きく、比は第2の無機表面138に向かう方向に低下する。別の実施形態(図示せず)では、第1の無機材料134の第2の無機材料136に対する比は、第1の無機表面132の近くでより大きく、第2の無機表面138に向かう方向に低下する。
【0025】
無機層は、スパッタリング(例えば、カソード又は平面マグネトロンスパッタリング)、蒸着(例えば、抵抗又は電子ビーム蒸着)、化学蒸着、めっき等のようなフィルム金属化技術に採用される技術を使用して形成されてもよい。一態様では、無機層は、スパッタリング、例えば反応性スパッタリングを使用して形成される。従来の化学蒸着プロセスなどの低エネルギー技術と比較して、スパッタリング等の高エネルギー堆積技術によって無機層が形成される場合のバリア特性の向上が観察されている。理論に束縛されるものではないが、特性の向上は、基材に到達する種を、スパッタリングで生じるようなより大きな運動エネルギーで凝縮することによるものであり、圧縮の結果としてより低い空隙率につながると考えられる。
【0026】
一態様では、スパッタ堆積プロセスは、不活性気体及び反応性気体、例えばそれぞれアルゴン及び酸素を有する気体雰囲気の存在下、交流(AC)電源により電力を供給されるデュアルターゲットを使用し得る。AC電源は、デュアルターゲットのそれぞれに対する極性を交替し、したがってACサイクルの半分において、一方のターゲットはカソードであり、他方のターゲットはアノードである。次のサイクルでは、デュアルターゲットの間で極性が切り替わる。この切り替えは、設定周波数、例えば約40kHzにて生じるが、他の周波数を使用してもよい。プロセスに導入される酸素は、無機組成物を受容する両方の基材上に酸化物層を形成し、またターゲットの表面上にも形成する。スパッタリング中に誘電酸化物が帯電されて、スパッタ堆積プロセスを破壊し得る。極性の切り替えは、ターゲットからスパッタされている表面材料を中和することができ、また、均一性を提供し、堆積材料をより良好に制御することができる。
【0027】
一態様では、デュアルACスパッタリングに用いられるターゲットのそれぞれは、単一の金属若しくは非金属元素、又は金属又は/若しくは非金属要元素の混合物を含んでもよい。移動する基材に最も近い無機層の第1の部分は、スパッタリングターゲットの第1のセットを使用して堆積される。次いで、基材はスパッタリングターゲットの第2のセットに近接して移動し、スパッタリングターゲットの第2のセットを使用して、第1の部分上に無機層の第2の部分が堆積される。無機層の組成物の厚さは、層を通した方向に変化する。
【0028】
別の態様では、スパッタ堆積プロセスは、不活性気体及び反応性気体、例えばそれぞれアルゴン及び酸素を有する気体雰囲気の存在下、直流(DC)電源により電力を供給されるターゲットを使用し得る。DC電源は、他の電源とは独立して電力(例えば、パルス電力)を各カソードターゲットに供給する。この態様では、個々のカソードターゲットのそれぞれと、対応する材料とは、異なるレベルの電力でスパッタされ、層の厚さ全体にわたって組成物の更なる制御を提供することができる。DC電源のパルス局面は、ACスパッタリングの周波数局面と類似し、酸素のような反応性気体種の存在下での高速スパッタリングの制御を可能にする。脈動するDC電源により、極性の切り替えが可能となり、ターゲットからスパッタされている表面材料を中和することができ、また、均一性を提供し、堆積材料をより良好に制御することができる。
【0029】
一実施形態において、スパッタリング中の制御は、各ターゲット中に元素の混合物、又は原子組成物を使用することにより改善することができ、例えば、ターゲットはアルミニウムとケイ素との混合物を含んでもよい。別の実施形態では、無機層全体にわたる様々な原子比を容易に提供するように、それぞれのターゲット中の元素の相対的割合が異なり得る。一実施形態において、例えばデュアルACスパッタリングターゲットの第1のセットは、ケイ素とアルミニウムとの90/10混合物を含んでもよく、デュアルACスパッタリングターゲットの第2のセットは、アルミニウムとケイ素との75/25混合物を含んでもよい。この実施形態では、無機層の第1の部分は90%Si/10%Alターゲットにより堆積され得、第2の部分は75%Al/25%Siターゲットにより堆積され得る。得られた無機層は、無機層の厚さ全体にわたって約90% Si〜約25% Si(逆に約10% Al〜約75% Al)に変化する傾斜組成物を有する。
【0030】
典型的なデュアルACスパッタリングでは、均質な酸化物層が形成され、これらの均質な酸化物層のバリア性能は、層中のミクロ及びナノスケールの欠陥により悪化する。これら小スケールの欠陥の原因の1つは、本質的に酸化物の粒界構造への成長の仕方によるものであり、この粒界構造は次にフィルムの厚さを通して伝搬する。理論に束縛されるものではないが、いくつかの効果が本明細書に記載する傾斜組成物バリアのバリア特性の改良に寄与すると思われる。1つの効果は、傾斜領域内に混合酸化物のより高い緻密化が生じ、水蒸気が通過し得る酸化物の任意の通路が、この緻密化により遮断されることである。別の効果は、酸化物材料の組成を変更することにより粒界形成が混乱され、その結果、同様に酸化物層の厚さを通して変更するフィルムのミクロ構造が生じることである。別の効果は、1つの酸化物の濃度が、他の酸化物濃度が厚さを通して増大するにつれて徐々に低下されて、小スケール欠陥部位の形成の可能性が低下することであり得る。欠損部位の減少により、水浸透の透過率が低下されたコーティングが生じ得る。
【0031】
図1を参照すると、任意の平滑化高分子層120と任意の保護高分子層150とは、薄フィルム中の堆積に適した任意のポリマーを含むことができる。一態様では、例えば、平滑化高分子層120及び保護高分子層の両方は、ウレタンアクリレート類、イソボルニルアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート類、エポキシアクリレート類、スチレンとブレンドされたエポキシアクリレート類、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート類、ジエチレングリコールジアクリレート類、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ペンタアクリレートエステル類、ペンタエリトリトールテトラアクリレート類、ペンタエリトリトールトリアクリレート類、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート類、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート類、アルコキシル化三官能性アクリレートエステル類、ジプロピレングリコールジアクリレート類、ネオペンチルグリコールジアクリレート類、エトキシル化(4)ビスフェノールAジメタクリレート類、シクロヘキサンジメタノールジアクリレートエステル類、イソボルニルメタクリレート、環状ジアクリレート類及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート等のアクリレート類又はメタクリレート類、前述のメタクリレート類のアクリレート類、並びに前述のアクリレート類のメタクリレート類を含む様々なモノマーから形成されてもよい。
【0032】
平滑化高分子層及び保護高分子層は、モノマー又はオリゴマーの層を基材に塗布し、層を架橋し、例えばフラッシュ蒸着及び放射線架橋可能なモノマーの蒸着によってその位置でポリマーを形成し、続いて例えば、電子ビームデバイス、UV光源、放電デバイス、又はその他の適したデバイスを使用して架橋することによって形成することができる。コーティング効率は、基材を冷却することによって向上させることができる。モノマー又はオリゴマーは、上記に明確に記載されるように、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)、又はスプレーコーティング(例えば、静電気スプレーコーティング)等の従来のコーティング方法を使用して基材に塗布され、続いて架橋され得る。両方のポリマー層は、溶媒中にオリゴマー又はポリマーを含む層を塗布し、溶媒を除去するために、その塗布された層を乾燥することによって形成され得る。いくつかの場合、プラズマ重合も使用することができる。最も好ましくは、ポリマー層は、例えば米国特許第4,696,719号(Bischoff)、同第4,722,515号(Ham)、同第4,842,893号(Yializisら)、同第4,954,371号(Yializis)、同第5,018,048号(Shawら)、同第5,032,461号(Shaw ら)、同第5,097,800号(Shawら)、同第5,125,138号(Shaw ら)、同第5,440,446号(Shawら)、同第5,547,908号(Furuzawaら)、同第6,045,864号(Lyonsら)、同第6,231,939号(Shawら)及び同第6,214,422号(Yializis);公開された国際出願第WO 00/26973号(Delta V Technologies,Inc.);D.G.Shaw及びM.G.Langlois、「A New Vapor Deposition Process for Coating Paper and Polymer Webs」、6th International Vacuum Coating Conference(1992);D.G.Shaw及びM.G.Langlois、「A New High Speed Process for Vapor Depositing Acrylate Thin Film:An Update」、Society of Vacuum Coaters 36th Annual Technical Conference Proceedings(1993);D.G.Shaw及びM.G.Langlois、「Use of Vapor Deposited Acrylate Coatings to Improve the Barrier Properties of Metallized Film」、Society of Vacuum Coaters 37th Annual Technical Conference Proceedings(1994);D.G.Shaw、M.Roehrig、M.G.Langlois及びC.Sheehan、「Use of Evaporated Acrylate Coatings to Smooth Surface of Polyester and Polypropylene Film Substrates」、RadTech(1996);J.Affinito、P.Martin、M.Gross、C.Coronado及びE.Greenwell、「Vacuum deposited polymer/metal multilayer films for optical application」、Thin Solid Films 270,43〜48(1995);並びにJ.D.Affinito、M.E.Gross、C.A.Coronado、G.L.Graff、E.N.Greenwell及びP.M.Martin、「Polymer−Oxide Transparent Barrier Layers」、Society of Vacuum Coaters 39th Annual Technical Conference Proceedings(1996)に記載されているようなフラッシュ蒸着と、続くその位置での架橋により形成される。
【0033】
各ポリマー層(及び各無機層も)の滑らかさ及び連続性、並びに下に横たわる層に対する接着性は、好ましくは適切な前処理により向上されてもよい。好適な前処理レジメンの例は、好適な反応性又は非反応性雰囲気の存在下での放電(例えば、プラズマ、グロー放電、コロナ放電、誘電体バリア放電又は大気圧放電)、化学的前処理又はフレーム前処理を含む。これらの前処理は、続いて適用される高分子(又は無機)層の形成に対する、下に横たわる層の表面の受容力を高めることを助ける。プラズマ前処理は特に有用であり得る。また高分子層とは異なる組成を有してもよい別個の接着促進層を、下に横たわる層の上部に使用して、層間接着を改善してもよい。接着促進層は、例えば別個のポリマー層、又は金属、金属酸化物、金属窒化物若しくは金属オキシナイトライドの層等の金属含有層であってもよい。接着促進層は、数nm(例えば、1又は2nm)〜約50nmの厚さを有してもよく、所望であれば、より厚くてもよい。
【0034】
平滑化高分子層の所望の化学組成及び厚さは、基材の性質及び表面トポグラフィーに部分的に依存するであろう。厚さは、次の無機層を適用できる、滑らかな欠陥のない表面を提供するに十分であることが好ましい。例えば、平滑化高分子層は、数nm(例えば、2又は3nm)〜約5マイクロメートルの厚さを有してもよく、所望であれば、より厚くてもよい。
【0035】
他の箇所に記載されているように、バリアアセンブリは、感湿デバイスを含む基材上に直接堆積される無機層を含んでもよく、このプロセスは、多くの場合、直接カプセル封入(encapsulation)と称される。感湿デバイスは、例えば、例えばCIGS等の光起電デバイス;OLED、エレクトロクロミック若しくは電気泳動ディスプレー等ディスプレーデバイス;OLED若しくは他のエレクトロルミネセント固体照明デバイス、又はその他を含む有機、無機、又はハイブリッド有機/無機半導体デバイスであってもよい。可撓性電子デバイスは、傾斜組成物酸化物層で直接カプセル封入されてもよい。例えば、デバイスは可撓性キャリア基材に取り付けられ、マスクを堆積させて電気接続を無機層堆積から保護してもよい。平滑化高分子層及び無機層は、他の箇所に記載されているように堆積され、次いでマスクを除去して電気接続を露出させてもよい。
【0036】
ここで代表的な実施形態は、以下の図示した実施例に説明され、すべての割合及び百分率はすべて指示がない限り重量による。
【実施例】
【0037】
バリアアセンブリの実施例は、米国特許第5,440,446号(Shawら)及び同第7,018,713号(Padiyathら)に記載されている塗布機と類似した真空塗布機上で作製された。傾斜無機酸化物層は2つの40kHzデュアルAC電源を使用する2つのデュアルAC反応性スパッタ堆積カソードにより作製された。デュアルカソードの各対は、別個の電源に接続された2つのSi(90%)/Al(10%)ターゲットと2つのAl(75%)/Si(25%)ターゲットとを有した。スパッタリング中のカソードの各対に関する電圧はフィードバック制御ループにより制御され、前記制御ループは電圧と、制御された酸素流とを、電圧が高く維持され、ターゲットの電圧をクラッシュさせないよう監視した。
【0038】
実施例1:ポリエチレンテレフタレート(PET)上のバリアアセンブリ
PET基材フィルムを、アクリレート平滑化層、傾斜無機酸化物(GIO)、酸化ケイ素(SiO)及びアクリレート保護層のスタックで覆った。GIOは、平滑化層に隣接するケイ素に富んだ酸化物と、保護層に隣接するアルミニウムに富んだ酸化物との間で変更される、深さ方向の組成を有した。個々の層は以下のように形成された。
【0039】
(層1−平滑化高分子層)厚さ0.051mm×幅305mmのHLA PETフィルム(DuPont−Teijinから市販されているフィルム)からなる長さ244メートルのロールを、ロール・ツー・ロール真空加工チャンバ内に負荷した。チャンバを圧力7×10−5トール(9.3mPa)に揚送した。フィルムの背部と、−10℃に冷却された塗布ドラムとの接触を維持しながら、ウェブ速度を3メートル/分に維持した。フィルムがドラムと接触した状態で、フィルム表面にトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Sartomerから市販されているSR−833S)を塗布した。ジアクリレートを塗布前に20mトール(2.7Pa)で真空脱ガスし、周波数60kHzで作動された超音波噴霧器を介して、260℃に維持した加熱気化チャンバ内に流速0.7mL/分で揚送した。得られたモノマー気化蒸気をフィルム表面に凝縮させ、9.5kV及び2.9mAで作動されたプラズマ−生成ビームを使用して電子ビーム架橋させて、830nmのアクリレート層を形成した。
【0040】
(層2−無機層)アクリレート堆積の直後、フィルムが尚ドラムと接触した状態で、長さ162メートルのアクリレート−塗布ウェブ表面上にGIO層をスパッタ堆積した。2つの交流(AC)電源を使用して2つの対のカソードを制御し、各カソードは2つのターゲットを収容した。第1のカソードは、2つの90% Si/10% Alターゲットを含み、第2のカソードは、2つの75% Al/25% Siターゲットを含んでいた(ターゲットは、Academy Precision Materialsから市販されている)。スパッタ堆積中、各電源からの電圧信号を比例−積分−差動制御ループに関する入力として使用して、各カソードに対する所定の酸素の流れを維持した。第1のAC電源は、5000ワットの電力を使用して、90% Si/10% Alターゲットをスパッタ圧2ミリトール(0.27Pa)でスパッタし、気体混合物は130sccmのアルゴンと40sccmの酸素とを含んでいた。第2のAC電源は、5000ワットの電力を使用して、対の75% Al/25% Siターゲットを2ミリトール(0.27Pa)でスパッタし、気体混合物は130sccmのアルゴンと、23sccmの酸素とを含んでいた。これは層1のアクリレート上に厚さ35nmのGIO層を提供した。
【0041】
(層3−無機層)GIO堆積の直後、フィルムが尚ドラムと接触した状態で、ケイ素の亜酸化物(SiOx、式中x<2)タイ層を、99.999% Siターゲット(Academy Precision Materialsから市販されている)を使用して、同一の長さ162メートルのGIO及びアクリレート塗布ウェブ表面上にスパッタ堆積した。SiOは500ワットの電力を使用して、スパッタ圧1.5ミリトール(0.20Pa)でスパッタされて、ほぼ厚さ1〜3nmのSiO層を層2上に提供し、気体混合物は200sccmのアルゴンと5sccmの酸素とを含んでいた。
【0042】
(層4−保護高分子層)SiO層堆積の直後、フィルムが尚ドラムと接触した状態で、第2のアクリレート(層1と同一のアクリレート)を塗布し、以下の例外で層1と同一の一般的な条件を用いて、同一の長さ162メートルのウェブ上にて架橋した。電子ビーム架橋は、9kV及び2.06mAで作動されたマルチフィラメントキュアガン(multi-filament cure gun)を使用して行った。これは、層3上に830nmのアクリレート層を提供した。
【0043】
得られた高分子基材上の4層スタックは、0°入射角で測定して、平均スペクトル透過率Tvis=89%(400nm〜700nmの間でパーセント透過率Tを平均して決定)を有した。水蒸気透過率は、ASTM F−1249に従って50℃及び100% RHで測定し、結果はMOCON PERMATRAN−W(登録商標)Model 700 WVTR試験システム(MOCON,Incから市販されている)の検出下限である0.005g/m/日を下回った。
【0044】
実施例2:傾斜無機層の深さプロファイル。
【0045】
ポリマー基材上の3層スタックを、実施例1と同様の方法で層1、2及び3を堆積することにより調製したが、層4のアクリレートは堆積しなかった。頂部層のアクリレートの不在により、得られた3層スタックをTOF−SIMS計器(ION−TOF,Germanyから市販されている)上での飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)を用いて測定することができた。パルス25keV Bi一次イオンビームを用いて陽イオン分析を行い、ビーム径は約3μm、分析範囲は250μm×250μmであった。深さプロファイルは、10×10mmでラスターした2keV O2イオンビームを使用して行った。図2は、無機層中での組成変化を示すプロットである。スパッタ時間(x軸)の関数としてのアルミニウム及びケイ素の濃度(y軸)を図2に示す。TOF−SIMS機器におけるスパッタ時間は、コーティングを通した深さと相関する。図2は、最後の堆積材料(プロットの左、図1に示した任意の追加の無機層140に対応する)から最初の堆積材料(プロットの右、図1に示した第1の無機表面132に対応する)まで測定した、無機酸化物層の組成のプロットである。図2に示すように、およそ90分後にアルミニウム(Al)の濃度が低下し、ケイ素(Si)の濃度の増大が開始する。
【0046】
開示したバリアアセンブリは、OLED、エレクトロクロミック、又は電気泳動を使用したもの等のディスプレー;光起電デバイス及び薄膜トランジスタ等の半導体デバイス;電子ペーパー;標識;OLED及び他のエレクトロルミネセント固体照明を含む照明;食品、医薬及び化学的包装を含む包装;等を含むがこれらに限定されない、水分からの保護が所望されるいずれの場所でも使用することができる。
【0047】
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用されている、特徴のサイズ、量及び物理的性質を表す全ての数は、用語「約」により加減されていることを理解するべきである。したがって、別途指示がない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に示されている数値パラメータは、当業者が本明細書に開示した教示を用いて獲得しょうと努める所望の性質に応じて変化し得る近似値である。
【0048】
本明細書で引用した全ての参考文献及び公報は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。本明細書において特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、多様な代替及び/又は同等の実施が、本開示の範囲から逸脱することなく、図示され説明された特定の実施形態と置き換えられ得ることは、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書で説明された特定の実施形態のいかなる翻案又は変形をも包含すべく意図されている。したがって、本開示が「特許請求の範囲」及びその同等物によってのみ限定されることを、意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリアアセンブリであって、
第1の表面を有する基材と、
前記第1の表面に隣接する無機層と、を備え、前記無機層が、
第1の無機材料と、
第2の無機材料と、を含み、
前記第1の無機材料の前記第2の無機材料に対する比は、前記第1の表面に直交する方向にて変化する、バリアアセンブリ。
【請求項2】
前記無機層に隣接して、前記基材の前記第1の表面の反対側に配置された保護高分子層を更に備える、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の表面と前記無機層との間に配置された平滑化高分子層を更に備える、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項4】
前記無機層が可視光透過性である、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の無機材料及び前記第2の無機材料が、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、IB、若しくはIIB族からの原子、IIIB、IVB若しくはVB族の金属、希土類金属、又はそれらの組み合わせの酸化物、窒化物、炭化物又はホウ化物を含む、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の無機材料が第1の原子を含み、前記第2の無機材料が前記第1の原子とは異なる第2の原子を含み、前記比は、前記第1の原子の前記第2の原子に対する原子比である、請求項5に記載のバリアアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の原子がケイ素を含み、前記第2の原子がアルミニウムを含む、請求項6に記載のバリアアセンブリ。
【請求項8】
前記比が、前記第1の表面に直交する方向にて0.9越から0.1未満に変化する、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項9】
前記比が、前記第1の表面に直交する方向にて0.7越から0.3未満に変化する、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項10】
前記比が、前記第1の表面に直交する方向にて単調に変化する、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項11】
前記無機層と前記保護高分子層との間に配置された第3の無機材料を更に備える、請求項2に記載のバリアアセンブリ。
【請求項12】
前記第3の無機材料が、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、IB、若しくはIIB族の原子、IIIB、IVB、若しくはVB族の金属、希土類金属、又はそれらの組み合わせの酸化物、窒化物、炭化物又はホウ化物を含む、請求項11に記載のバリアアセンブリ。
【請求項13】
水蒸気透過率が、50℃及び100%相対湿度で0.005g/m/日未満である、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項14】
水蒸気透過率が、85℃及び100%相対湿度で0.005g/m/日未満である、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項15】
前記基材が、電子デバイスを含む、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項16】
前記電子デバイスが、有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED)、電気泳動デバイス、光起電デバイス、薄膜トランジスタデバイス、又はそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載のバリアアセンブリ。
【請求項17】
前記基材が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、熱安定化PET、熱安定化PEN、ポリオキシメチレン、ポリビニルナフタレン、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロポリマー、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリα−メチルスチレン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド若しくはポリフタルアミド、又はそれらのブレンドを含む高分子基材である、請求項1に記載のバリアアセンブリ。
【請求項18】
前記保護高分子層上に配置された、又は前記無機層上に配置された、又は前記保護高分子層及び前記無機層の両方上に配置された透明な導電性酸化物を更に備える、請求項2に記載のバリアアセンブリ。
【請求項19】
前記透明な導電性酸化物が、酸化インジウムスズを含む、請求項18に記載のバリアアセンブリ。
【請求項20】
バリアアセンブリであって、
第1の表面を有する基材と、
前記第1の表面に隣接して配置された無機酸化物組成物と、を備え、前記無機酸化物組成物が、
第1の原子の第1の酸化物と、
第2の原子の第2の酸化物と、を含み、
前記第1の原子の前記第2の原子に対する原子比が、前記第1の表面に直交する方向にて変化する、バリアアセンブリ。
【請求項21】
前記無機酸化物組成物に隣接して、前記基材の前記第1の表面の反対側に配置された保護分子層を更に備える、請求項20に記載のバリアアセンブリ。
【請求項22】
前記第1の表面と前記無機酸化物組成物との間に配置された平滑化高分子層を更に備える、請求項20に記載のバリアアセンブリ。
【請求項23】
前記無機酸化物組成物と前記保護高分子層との間に配置された第3の無機酸化物を更に備える、請求項21に記載のバリアアセンブリ。
【請求項24】
前記第1の原子の前記酸化物、前記第2の原子の前記酸化物、及び前記第3の無機酸化物が、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムを含む、請求項23に記載のバリアアセンブリ。
【請求項25】
バリアアセンブリの製造プロセスであって、
基材を提供することと、
前記基材上に平滑化高分子層を形成することと、
前記平滑化高分子層上に無機層を形成することと(前記無機層は、前記無機層の厚さ全体にわたって変化する無機組成物を含む)、
前記無機層上に保護高分子層を形成すること、とを含む、方法。
【請求項26】
前記無機層の形成が、第1の対のスパッタリングターゲットのデュアル交流(AC)スパッタリングと、続く第2の対のスパッタリングターゲットのデュアルACスパッタリングと、を含む請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記第1の対のスパッタイングターゲットが第1の原子組成物を含み、前記第2の対のスパッタリングターゲットが前記第1の原子組成物とは異なる第2の原子組成物を含む、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記第1の対のスパッタリングターゲットが、第1の気体雰囲気内に存在し、前記第2の対のスパッタリングターゲットが、第1の気体雰囲気とは異なる第2の気体雰囲気内に存在する、請求項26に記載のプロセス。
【請求項29】
前記第1の原子組成物及び前記第2の原子組成物が、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、IB、若しくはIIB族の原子、IIIB、IVB、若しくはVB族の金属、希土類金属、又はそれらの組み合わせを含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項30】
前記基材がロール上に提供され、前記形成工程が、前記基材が展開されるにつれて、順次連続的に行われる、請求項25に記載のプロセス。
【請求項31】
請求項1に記載のバリアアセンブリを備える、光起電デバイス。
【請求項32】
請求項1に記載のバリアアセンブリを備える、ディスプレーデバイス。
【請求項33】
請求項1に記載のバリアアセンブリを備える、固体照明デバイス。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−509203(P2012−509203A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536382(P2011−536382)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/062944
【国際公開番号】WO2010/056559
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】