説明

充填体

【課題】 チップ材のような細粒または細片の充填材が表皮材内に充填された充填体の製造方法を提供する。
【解決手段】 細粒または細片からなる充填材が表皮材内に充填され,充填材同士,充填材と表皮材の裏面とが接着する充填体を製造する方法は,細粒または細片からなる充填材に水反応性バインダーを混合する工程と,混合された充填材を,袋状の表皮材内に充填し,充填体を形成する工程と,該充填体に水蒸気を通す工程とを含む。充填体内を通る水蒸気によりバインダーは反応し,充填材同士,充填材と表皮材の裏面とが接着する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,充填体の成形に関し,とくに,いわゆるチップ材が袋状の表皮材に充填された充填体,その製造方法,およびその製造に使用する成形型に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】ウレタンチップ材に,水に反応するウレタン系バインダーを混合した後,それに水蒸気(スチーム)を通すことで,所望の三次元形状に固めたチップ成形品を成形し,それを袋状の表皮材で被覆したクッション体が自動車用ヘッドレストやアームレストとして利用されている。
【0003】しかし,このように固められたチップ成形品は表面に平滑性がなく,またバインダーにより固められてはいるものの,その表面からチップ材が剥落し易い。そのため袋状表皮材での被覆作業は簡単ではない。
【0004】また,チップ成形品の表面は,滑りにくいため,表皮材の被覆作業に多大な時間がかかり,生産性が悪いばかりでなく,被せずれにより表皮材に皺が発生したり,縫製ラインが蛇行するため,品質上の問題もある。
【0005】さらに,チップ成形品の形状に凹面形状部分があるものについては,表皮材の浮き上がりを防止するために,表皮材の裏面とチップ成形品の凹面形状部分との接着等の特別な処置が必要となるが,処置面が袋状表皮材の内部であるため,かかる処置作業は困難である。
【0006】前記表皮材の表面の滑りの悪さやそこからの剥落問題はチップ材が硬くなるしてがって顕著となる。このため従来は,チップ材の素材として軟質のウレタンフォームが使用されている。
【0007】自動車用座席や内装品の製造過程において,表面にスキンが付いたウレタンフォームの細片(いわゆるパン屑)や,表皮材の裁断屑が大量に発生し,この再利用が唱えられているものの,上記理由からチップ材としての利用は困難とされている。
【0008】そこで,本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり,チップ材のような細粒または細片の充填材を,その硬さや材質如何にかかわらず,容易にしかも安定した品質で袋状の表皮材内に充填してなる(自動車用ヘッドレスト,アームレストに代表される)充填体,およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】本発明の他の目的は,充填材同士,充填材と表皮材とが接着し,凹面形状部分があっても,表皮材が充填材から浮き上がらない上記充填材およびその製造方法を提供することである。
【0010】さらに,本発明の目的は,上記方法を実施するための成形型を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】細粒または細片からなる充填材が表皮材内に充填され,充填材同士,充填材と表皮材の裏面とが接着する充填体を製造する本発明の方法は,細粒または細片からなる充填材に水反応性バインダーを混合する工程と,混合された充填材を,袋状の表皮材内に充填し,充填体を形成する工程と,該充填体に水蒸気を通す工程とを含む。充填体内を通る水蒸気によりバインダーは反応し,充填材同士,充填材と表皮材の裏面とが接着する。
【0012】ここで,水蒸気を通す工程の前に,所定のキャビティーを有する成形型内に配置することで,所定の大きさの形状をもつ充填体を成形できる。
【0013】細粒または細片からなる充填材を袋状の表皮材に投入して充填体を形成する,本発明の方法は,充填材を取り入れる開口部を有し,かつ少なくとも一部に通気性を有する袋状の表皮材を用意し,内部空洞を有し,さらに該空洞と排気源とを連通するための吸引口と,開口部と整合し充填材を投入するための投入口と,を有する排気充填容器内に,表皮材を開口部と投入口とを整合させて配置する工程と,排気源を駆動し,投入口に整合した開口部から表皮材内部を通り,吸引口へと流れる空気流を発生させる工程と,充填材を空気流によって,所定量の充填材を表皮材内に投入して充填体を形成する工程と,を含む。
【0014】ここで,充填材に予め水反応性バインダーを混合し,充填体を所定のキャビティーを有する成形型内に配置し,成形型内に水蒸気を通すことで,通った水蒸気により反応したバインダーによって,充填材同士,充填材と表皮材の裏面とが接着した充填体を得ることができる。
【0015】細粒または細片からなる充填材が表皮材内に充填され,充填材同士,充填材と表皮材の裏面とが接着する充填体を製造する本発明の方法は,充填材に予め水反応性バインダーを混合する工程と,充填材を取り入れる開口部を有し,かつ少なくとも一部に通気性を有する袋状の表皮材を用意し,閉じた位置と開いた位置との間で可動な可動部を有し,内部にキャビティーが形成される充填成形型であって,開口部と整合し充填材を投入するための投入口を有し,かつ可動部が閉じた位置にあるとき,内部のキャビティーが所定の大きさに形成され,可動部が開いた位置にあるときに,キャビティーと排気源とが連通する吸引口を有するところの充填成形型内に,表皮材を開口部と投入口とを整合させて配置する工程と,可動部を開いた位置に配置しながら,排気源を駆動し,投入口にある開口部から表皮材内部を通り,吸引口へと流れる空気流を発生させる工程と,充填材を空気流によって,所定量の充填材を表皮材内に投入して充填体を形成する工程と,可動部を閉じた位置へ移動させる工程と,充填成形型内に水蒸気を通す工程と,を含む。
【0016】細粒または細片からなる充填材が表皮材内に充填され,充填材同士,充填材と表皮材の裏面とが接着する充填体を製造する本発明の他の方法は,細粒または細片からなる充填材に予め水反応性バインダーを混合する工程と,充填材を取り入れる開口部を有し,かつ少なくとも一部に通気性を有する袋状の表皮材を用意し,内部空洞を有し,さらに該空洞と排気源とを連通する排気口と,外部と連通する口部とを有する排気容器内に配置される,内部にキャビティーを有する充填型であって,開口部と整合し充填材を投入するための投入口を有し,かつキャビティーと空洞とを連通する吸引口を有するところの充填型内に,表皮材を開口部と投入口とを整合させて配置する工程と,排気源を駆動し,口部と投入口とを接続する接続手段を介して,投入口に整合した開口部から表皮材内部を通り,そして吸引口から排気口へと流れる空気流を発生させる工程と,空気流によって,所定量の充填材を表皮材内に投入して充填体を形成する工程と,充填体を,所定の大きさのキャビティーを有する成形型内に配置する工程と,成形型内に水蒸気を通す工程と,を含む。ここで,接続手段として,ファーナルが利用されることが望ましい。
【0017】
【実施例】本発明が解決しようとする課題において説明したように,チップ材を固めた成形品に表皮材を組み付けることは問題が多く,また,これらチップ材は弾性があり,これを圧縮しながら袋状にした表皮材に詰め込むことに多くの手間がかかる。このような問題が生ずることなく,チップ材を充填して充填体を製造する本発明の方法を,図1をもって説明する。
【0018】図1は,排気充填容器1内に表皮材を配置し,充填材であるチップ材Tを投入する状態を示す。容器1は,本体部2と,内部を気密に密封できる蓋部3とからなる。本体部2には,真空排気装置(図示せず)と連通する吸引口4を有する。吸引口4とは反対側で,本体部2と蓋部3との接合部に,チップ材Tを投入する投入口5を有する。
【0019】チップTが充填される表皮材10は,通気性を有し,チップ材Tを内部に投入する開口部11を有する袋状のものである。開口部11は,容器1の投入口5と整合できる大きさとなっている。
【0020】この表皮材10の開口部11と投入口5とが整合するように,表皮材10を本体部2内に配置して,蓋部3を閉じる。このとき内部は気密状態となる。さらに,チップ材Tの容易な投入のためにファーナル12を,開口部11と投入口5を貫通するように容器1に挿入する。
【0021】この状態で,真空排気装置を駆動すると,容器内の空気が排気され,負圧になり,そのためファーナル12を介して,投入口5,開口部11を通って外部から内部へと空気が入り込む。かくして,投入口5から表皮材10の内部,そして吸引口4へ空気流が形成される。
【0022】そこで,ファーナル12にチップ材Tを近づけると,チップ材Tはこの空気流にそって表皮材10内部へと投入される。所定量のチップTが投入された後,真空排気装置を切り,蓋部3をあけ,チップ材が充填された表皮材を取り出す。かくして,チップ材が充填された充填体23(図2)が形成される。
【0023】ここで使用するチップ材である充填材は,以下で説明するような,ウレタンフォームのパン屑,裁断された布といったものだけでなく,たとえば,羽毛枕,羽毛蒲団の羽毛ように,非常に軽く,扱いにくい材料も表皮材内に充填することができる。また,粉体,とくに微粉末のような,袋体に投入しようとすると,舞い上がって取り扱いにくいものも上記方法により充填することができる。
【0024】上記表皮材は全体が通気性のあるものであるが,チップ材を空気流にしたがって投入できればよいことから,かかる空気流を発生させるだけの通気性をもたせればよく,たとえば表皮材の一部に通気性をもたせ,残りは非通気性となってもよい。
【0025】表皮材内に充填するチップ材同士,チップ材と表皮材の裏面とを接着させた充填体を成形するときは,チップ材に予め水蒸気に反応するバインダーを混合しておき,それを上述したように表皮材内に投入し,開口部を閉じ充填体を形成する。
【0026】そして,図2に示すような所定のキャビティーを有する成形型20(上型21,下型22)内に,上記充填体23を配置し,上型を閉じて,内部に水蒸気(スチーム)を通す(図で3)。バインダーは水蒸気と反応し,チップ材同士,チップ材と表皮材の裏面と接着する。かくして,所望の形状をもち,表皮材と一体となった充填体が成形される。
【0027】このように,充填体が成形されたときに,既に表皮材が被覆された完成品となっていることから,表皮材を組み付ける作業がなくなり,従来のような表皮材を組み付ける際の,チップ成形品の表面の滑り難さや,表面からのチップ材の剥落にともなって,作業に多大の時間がかかるという問題がなく,製造コストを大幅に軽減できると同時に,表皮材の被せずれによる,表皮材の皺の発生や,縫製ラインの蛇行などの品質の問題も発生しない。
【0028】さらに,この充填体は,投入されたチップ材と表皮材とが接着することから,表皮材がチップ材から浮き上がることもなく,また使用中にずれたりすることもなく,安定した外観を維持することができる。
【0029】実施例1図4〜図7は,上記した本発明を適用した自動車用座席のヘッドレストの製造方法を示す。
【0030】図4aは,自動車用座席のヘッドレストの表皮材の正面図,図4bはその底面図である。ここで利用するヘッドレストHの表皮材40は,通気性のある繊維材で,その裏面は軟質のスラブウレタンフォーム41がラミネート加工されている。表皮材40の底部には,ステーの通し孔42,42が設けられ,さらに,チップ材を投入する開口部となるスリット43が設けられている。このスリット43は,図4cに表皮材の底部の部分断面が示されているように,通常は閉じた状態にある。
【0031】この表皮材40にまず,ステー44を挿入して,図5に示すように,排気充填容器1の本体部2内に,スリット43と投入口5とが整合するように,配置する。そして,蓋部3を閉じ,スリット43と投入口5とを貫通するようにファーナル14を挿入する(図6)。
【0032】ここで使用するチップ材Tは,自動車用座席に製造過程で発生した,軟質モールドウレタンフォームの,いわゆるパン屑,座席の表皮材の裁断屑を,それぞれ粉砕機にかけ,5mmのスクリーンメッシュ径を通したものを,それぞれを重量比50%の比率で混ぜた混合物である。このチップ材に,重量比で20%のイソシアネートプレポリマー(N C O:15%)からなるウレタン系バインダーを噴霧し,十分に攪拌する。
【0033】このウレタン系バインダーは,水と反応して,接着材となるものである。
【0034】次に,排気口4に接続された真空排気装置が駆動すると,ファーナル14を介して,投入口5,スリット43を通って,表皮材40へと,そして吸引口4へと空気流が形成される。この空気流にそって,上記準備したチップ材Tを所定量(通常のヘッドレストの場合,240g),表皮材40内へと投入,充填し,充填体46を形成する。この充填体46は,表皮材40が所定の形状に形成していても,チップ材が投入されることで,所定の形状以上に膨らんだ形をとるのが一般的である。
【0035】この充填体46を,図7に示されているように,所定のキャビティーをもつ成形型70(上型71,下型72)内に,配置する。この成形型70には,水蒸気を通すための通気孔73(図では下型71に設けられている)が設けられている。
【0036】充填体46は成形型70内に配置されることで,その形状は所望に整え,その状態で,成形型70に,たとえば5kg/cm2の水蒸気(スチーム)を1分間投入する。この水蒸気により,バインダーは反応硬化し,チップ材同士を接着させて全体に固めると同時に,表皮材の裏面に接着させる。
【0037】成形型から充填体を取り出し,完成した成形品となる。
【0038】充填材を表皮材の中に充填する前に、予め表皮材の裏面やインサート材の充填材との接触面に水反応性バインダーを塗布しておくと、充填材と表皮材の裏面間、若しくは充填材とインサート材(ヘッドレストの例ではステー)間の接着強度および接着信頼性をさらに高めることができる。
【0039】実施例2上記実施例では,吸引容器と,成形型とを用意して,充填体の成形を行ったが,図8乃至11を参照して,一つの充填成形型を使用して充填体を製造する方法を説明する。
【0040】図8に示されている充填成形型80は,互いに蝶着された上型81と下型82とからなり,内部にキャビティーを形成することができる。上型81には,可動部81aが移動可能に設けられ,さらに真空排気装置と連通する吸引口84が設けられている。上型81と下型の接触縁には,表皮材40のスリット43と整合する投入口85(ならびにステーが位置するための穴または溝(図示せず))が形成されている。
【0041】可動部81aは,上型81を閉じたとき,型80内で気密に,開いた位置と閉じた位置との間で移動することができるもので,開いた位置にあるときは,吸引口84が内部のキャビティーと連通することでき,閉じた位置にあるときは,内部のキャビティーが所定の大きさとなる。
【0042】図8に示されているように,この充填成形型80内に,スリット43と投入口85とが整合するように,ステーが挿入された表皮材40を配置する。そして,図9に示されているように,上型81を閉じる。このとき,可動部81aは開いた位置にあり,内部のキャビティーは吸引口84と連通している。
【0043】次に,図10に示されているように,ファーナル86を投入口85とスリット43とを貫通するように挿入する。そして,真空排気装置を駆動すると,ファーナル86を介して,投入口85,スリット43から表皮材40内へ,そして内部キャビティーから吸引口84とへ空気流が形成される。この空気流にそって,実施例1の場合と同様に準備された,バインダーが混合されたチップ材Tが,内部へと吸い込まれて,投入される。所定量のチップ材Tが投入されたところで,真空排気装置が停止し,充填体が形成される。
【0044】次に,図11に示されているように,可動部81aが閉じた位置へと押し込まれる。これにより,充填体は所定の形状に整えられる。そして,水蒸気(スチーム)を充填成形型80に投入することで,実施例1と同様に成形品が完成することになる。
【0045】実施例3図12は,排気充填容器を使用して,充填体を形成する方法を示す。この排気充填容器120は,排気容器121内に,完成後の成形品の形状よりやや大きいキャビティーを内部にする充填型122(上型122a,下型122b)が配置されているが,下型122bは容器121内に固定されている。容器121には,真空排気装置と(図示せず)連通する排気口121aを有し,さらに口部121bを有する。
【0046】充填型122には,表皮材40のスリット43と整合する投入口123が設けられているが,さらに,内部キャビティーと型の外と連通する孔124が設けられている。この孔124を通して,容器121内が排気されるにしたがって,キャビティー内の空気は充填型122の外へと排気される。したがって,この孔124は,キャビティー内の空気流の方向を定めることから,この孔124の位置を適宜決定することで,表皮材内へのチップ材の均等な充填を行うことができる。
【0047】充填体を形成するためには,まず,容器121内の充填型122に,ステーが挿入された表皮材40を配置して,上型122aを閉じる。次に,容器121の口部121bから,スリット43と整合する投入口123へとファーナル126を挿入する。
【0048】つぎに,容器121内を気密にし,真空排気装置を駆動することで,排気口121aを通して内部空気が排気される。そのため,充填型122のキャビティー内の空気は,孔124を通して排気される。したがって,ファーナル126を介して,口部121bから,投入口123,スリット43へ,そして表皮材内へと空気流が形成される。この空気流にそって,所定に準備されたチップ材を投入する。
【0049】かくして,チップ材が充填された充填体が形成されるが,これを図7に図示の成形型内に配置し,実施例1と同様にして充填体の成形品が完成する。
【0050】
【効果】本発明にしたがうことにより,袋状の表皮材で被覆された充填体を,充填材の硬さや材質の如何にかかわらず,容易にかつ表皮材に皺や縫い目蛇行のない安定した品質で,製造することができる。
【0051】また,充填材同士,充填材と表皮材とを接着させることにより,凹面形状をもっていても表皮材が浮き上がることのない充填体を製造することができる。
【0052】さらに,自動車用座席の製造過程で生じたウレタンフォームのパン屑,表皮材の裁断屑などのチップ材,さらに微粉末,羽毛などさまざまな形態の細粒や細片の充填材を容易に,袋上の表皮材の中に,充填することができ,とくに,従来,廃棄されていたパン屑,裁断屑をリサイクル材として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は吸引容器内に配置された表皮材内に,充填材が投入される状態を示す。
【図2】図2は,図1により形成された充填体を成形型内に配置する状態を示す。
【図3】図3は,充填体が配置された成形型内に水蒸気(スチーム)を投入した状態を示す。
【図4】図4は,本発明の方法により製造されている,自動車用座席のヘッドレストを示し,図4aはヘッドレスト用の表皮材の正面図を,図4bはヘッドレスト用の表皮材の底面図を,図4cは,ヘッドレストへチップを投入するスリットを示すための,ヘッドレストの表皮材の部分縦断面図を示す。
【図5】図5は,表皮材を,蓋部があけられた吸引容器内に配置した状態を示す。
【図6】図6は,吸引容器に蓋部をして,内部を排気することで,チップ材が表皮材内に投入される状態を示す。
【図7】図7は,充填された充填体を,成形型内に配置し,さらに水蒸気(スチーム)を成形型内に投入した状態を示す。
【図8】図8は,上型が開いた充填成形型内に,ステーが挿入された表皮材を配置した状態を示す。
【図9】図9は,ステーが挿入された表皮材が配置され,可動部が開いた位置にある上型を閉じた充填成形型を示す。
【図10】図10は,可動部が開いた状態で,充填成形型内を排気し,表皮材内にチップ材を投入した状態を示す。
【図11】図11は,チップ材を投入し,充填した後に,可動部を閉じた位置へと移動した状態で,水蒸気(スチーム)を成形型に通した状態を示す。
【図12】図12は,本発明の他の成形型を使用して,表皮材内にチップ材を投入する状態を示す。
【符号の説明】
1 排気充填容器
2 本体部
3 蓋部
4 排気口
5 投入口
10 表皮材
11 開口部
12 ファーナル
T チップ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 充填体を製造する方法であって,細粒または細片からなる充填材に水反応性バインダーを混合する工程と,混合された充填材を,袋状の表皮材内に充填し,充填体を形成する工程と,該充填体に水蒸気を通す工程と,を含み,通った水蒸気により反応した前記バインダーは充填材同士,充填材と表皮材の裏面とを接着する,ところの方法。
【請求項2】 請求項1に記載の方法であって,前記水蒸気を通す工程の前に,所定のキャビティーを有する成形型内に配置する工程を含む,ところの方法。
【請求項3】 充填体を製造する方法であって,細粒または細片からなる充填材を取り入れる開口部を有し,かつ少なくとも一部に通気性を有する袋状の表皮材を用意し,内部空洞を有し,さらに該空洞と排気源とを連通するための排気口と,前記開口部と整合し前記充填材を投入するための投入口と,を有する排気充填容器内に,前記表皮材を前記開口部と前記投入口とを整合させて配置する工程と,前記排気源を駆動し,前記投入口と整合した前記開口部から前記表皮材内部を通り,前記吸引口へと流れる空気流を発生させる工程と,前記空気流によって,所定量の前記充填材を前記表皮材内に投入して充填体を形成する工程と,を含む方法。
【請求項4】 請求項3に記載の方法であって,前記充填材に予め水反応性バインダーを混合する工程を含み,さらに,前記充填体を,所定のキャビティーを有する成形型内に配置する工程と,前記成形型内に水蒸気を通す工程と,を含み,通った水蒸気により反応した前記バインダーは充填材同士,充填材と前記表皮材の裏面とを接着する,ところの方法。
【請求項5】 充填体を製造する方法であって,細粒または細片からなる充填材に予め水反応性バインダーを混合する工程と,前記充填材を取り入れる開口部を有し,かつ少なくとも一部に通気性を有する袋状の表皮材を用意し,閉じた位置と開いた位置との間で可動な可動部を有し,内部にキャビティーが形成される充填成形型であって,前記開口部と整合し前記充填材を投入するための投入口を有し,かつ前記可動部が前記閉じた位置にあるとき,内部のキャビティーが所定の大きさに形成され,前記可動部が開いた位置にあるときに,前記キャビティーと排気源とが連通する吸引口を有するところの充填成形型内に,前記表皮材を前記開口部と前記投入口とを整合させて配置する工程と,前記可動部を前記開いた位置に配置しながら,前記排気源を駆動し,前記投入口に整合した前記開口部から前記表皮材内部を通り,前記吸引口へと流れる空気流を発生させる工程と,前記空気流によって,所定量の前記充填材を前記表皮材内に投入して充填体を形成する工程と,前記可動部を前記閉じた位置へ移動させる工程と,前記充填成形型内に水蒸気を通す工程と,を含み,通った水蒸気により反応した前記バインダーは充填材同士,充填材と表皮材の裏面とを接着する,ところの方法。
【請求項6】 充填体を製造する方法であって,細粒または細片からなる充填材に予め水反応性バインダーを混合する工程と,前記充填材を取り入れる開口部を有し,かつ少なくとも一部に通気性を有する袋状の表皮材を用意し,内部空洞を有し,さらに該空洞と排気源とを連通する排気口と,外部と連通する口部とを有する排気容器内に配置される,内部にキャビティーを有する充填型であって,前記開口部と整合し前記充填材を投入するための投入口を有し,かつ前記キャビティーと前記空洞とを連通する吸引口を有するところの充填型内に,前記表皮材を前記開口部と前記投入口とを整合させて配置する工程と,前記排気源を駆動し,前記口部と前記投入口とを接続する接続手段を介して,前記投入口に整合した前記開口部から前記表皮材内部を通り,そして前記吸引口から前記排気口へと流れる空気流を発生させる工程と,前記空気流によって,所定量の前記充填材を前記表皮材内に投入して充填体を形成する工程と,前記充填体を,所定の大きさのキャビティーを有する成形型内に配置する工程と,前記成形型内に水蒸気を通す工程と,を含み,通った水蒸気により反応した前記バインダーは充填材同士,充填材と表皮材の裏面とを接着する,ところの方法。
【請求項7】 請求項6に記載の方法であって,前記接続手段として,ファーナルが利用される,ところの方法。
【請求項8】 請求項1,3,5または6に記載の方法であって,前記充填材として,ウレタンフォーム,布材,もしくはプラスチック材の粉砕片または粉砕粒,またはこれらの混合物が使用され,前記バインダーとして,ウレタン系バインダーが使用される,ところの方法。
【請求項9】 水反応性バインダーが混合した,細粒または細片からなる充填材が,袋状の表皮材内に充填されてなる充填体に,水蒸気を通すことにより,充填材同士,充填材と前記表皮材の裏面とが接着して形成された充填形成体。
【請求項10】 請求項9に記載の充填体であって,所定のキャビティーを有する成形型内に配置された前記充填体に対して水蒸気が通される,ところの充填形成体。
【請求項11】 内部にキャビティーを有する充填成形型であって,閉じた位置と開いた位置との間で可動な可動部を有し,細粒または細片からなる充填材が充填される,少なくとも一部に通気性を有する表皮材の,前記充填材の取り入れ開口部と整合し,前記充填材を投入するための投入口を有し,前記可動部が前記閉じた位置にあるとき,前記キャビティーが所定の大きさに形成され,前記可動部が開いた位置にあるときに,前記キャビティーと排気源とが連通する吸引口を有する,ところの充填成形型。
【請求項12】 請求項11に記載の充填成形型であって,前記可動部が前記開いた位置に配置され,前記排気源が駆動すると,前記投入口に整合した前記開口部から前記表皮材内部を通り,前記吸引口へと流れる空気流が発生し,該空気流により,前記充填材が前記表皮材に投入され,前記可動部が前記閉じた位置に配置されると,前記充填成形型内に位置し,前記表皮材内に所定量の充填材が充填されて形成された充填体が,前記所定の大きさのキャビティー形状に成形される,ところの充填成形型。
【請求項13】 請求項12に記載の充填成形型であって,投入される充填材に水反応性バインダーが混合されているときには,水蒸気が通過できる孔を有する,ところの充填成形型。
【請求項14】 充填体を形成する排気容器であって,内部空洞を有し,さらに該空洞と排気源とを連通する排気口と,外部と連通する口部とを有し,内部にキャビティーを有する充填型であって,細粒または細片からなる充填材が充填される,少なくとも一部に通気性を有する表皮材の,前記充填材の取り入れ開口部と整合し,前記充填材を投入するための投入口を有し,かつ前記キャビティーと前記空洞とを連通する吸引口を有する,前記空洞内に配置される充填型を有する,ところの排気容器
【請求項15】 請求項14に記載の排気容器であって,ファーナルにより前記開口部と前記口部とが連通する,ところの排気容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2001−104667(P2001−104667A)
【公開日】平成13年4月17日(2001.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−289480
【出願日】平成11年10月12日(1999.10.12)
【出願人】(000225887)難波プレス工業株式会社 (38)
【Fターム(参考)】