説明

充填装置

【課題】容器の検査結果を、当該容器に中間製品を充填した充填口の検査結果として管理可能な充填装置を提供することを課題とする。
【解決手段】個体識別情報が付与された缶容器2に複数のフィラーバルブ22aで飲料を充填するフィラー22と、缶容器2を入味検査する入味検査装置23と、を備える充填装置21とする。そして、フィラー22で個体識別情報を読み取る個体管理部210と、個体管理部210が読み取った個体識別情報にフィラーバルブ22aの充填口特定情報を関連付ける充填制御装置220と、入味検査装置23で個体識別情報を読み取る個体管理部230を備え、充填制御装置220は、個体管理部230が読み取った個体識別情報が付与された缶容器2を入味検査装置23が検査した検査結果を、当該個体識別情報に関連付けられた充填口特定情報で特定されるフィラーバルブ22aの検査結果として管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に中間製品を入れて最終製品を生産する充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や化粧品など、液体や気体の中間製品が缶容器等の容器に封入された最終製品や、菓子や錠剤など、小型固形物の中間製品が袋容器等の容器に封入された最終製品の生産工程では、充填装置によって中間製品を容器に入れている。
このような充填装置は、中間製品を容器に入れるために複数の充填口が備わり、1つの充填口から1つの容器に中間製品が入れられるように構成されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−362519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、充填部(フィラー)に取り込まれた容器に中間製品(液体)を入れる充填口(フィラーバルブ)の番号を取得して当該充填口で容器に中間製品を入れる動作を、容器の送りのタイミングに同期して順次実行する容器生産ラインが記載されている。
特許文献1に記載される容器生産ラインでは、中間製品が入れられて充填部から搬出された後でも容器が充填口の番号順(配置順)に並んでいる。そして、充填部の先にある検査装置(X線液量検査装置)で、容器の並び順に液量を検査することによって、検査した容器に液体を入れた充填口の番号を特定し、当該容器の検査結果に充填口の番号をリンクして管理できる。つまり、容器の検査結果に充填口を対応させて管理できる。
【0005】
しかしながら、抜き取り検査や脱落等で容器の1つ以上が抜けるなどして、容器が充填口の番号順に並んでいる状態が乱れると、つまり、容器の並び順が乱れると、その後の容器は充填口の番号順に並んでいない状態となるため、検査装置では、検査する容器に液体を入れた充填口の番号を特定できなくなる。そして、容器の検査結果に充填口を対応させることができなくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、中間製品が充填された後の容器の並び順が変わっても、容器の検査結果を、当該容器に中間製品を充填した充填口の検査結果として適切に管理可能な充填装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、個体を識別する個体識別情報が付与された容器に中間製品を充填する複数の充填口が備わり、1つの前記充填口に前記容器を1つづつ対応させて前記中間製品を前記容器に順次充填する充填部と、前記容器に充填された前記中間製品の充填量を検査する充填量検査部と、を備える充填装置とする。そして、前記充填部で前記中間製品が充填される前記容器に付与されている前記個体識別情報を読み取る第1読取装置と、前記第1読取装置が読み取った前記個体識別情報に、当該個体識別情報が付与された前記容器に対応する前記充填口を特定する充填口特定情報を関連付ける制御装置と、前記充填量検査部で検査する前記容器に付与されている前記個体識別情報を読み取る第2読取装置と、をさらに備え、前記制御装置は、前記第2読取装置が読み取った前記個体識別情報が付与された前記容器に対して前記充填量検査部が検査した検査結果を、当該個体識別情報に関連付けられた前記充填口特定情報で特定される前記充填口の検査結果として管理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、中間製品が充填された後の容器の並び順が変わっても、容器の検査結果を、当該容器に中間製品を充填した充填口の検査結果として適切に管理可能な充填装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る充填装置を含む生産管理システムの一構成例を示す図である。
【図2】(a)〜(c)は、缶容器の缶底に印字される中間製品管理情報と識別情報記号を示す図である。
【図3】充填装置を模式的に平面視した図である。
【図4】(a)、(b)は、缶容器管理データの一例を示す図である。
【図5】(a)は、時系列に判定結果が登録される缶容器管理データの一例を示す図、(b)は、フィラーバルブごとの充填量の分散の一例を示す図である。
【図6】(a)は、入味検査装置が並列に配置された充填装置の一構成例を示す図、(b)は、缶容器を一時ストックするストッカを備えた充填装置の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、飲料を缶容器に充填封入する生産管理システムを例に、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る充填装置21が備わる生産管理システム1は、空缶搬送工程10、充填工程20、滅菌工程30、検査工程40、梱包・出荷工程50および倉入工程60からなり、図示しない他の工程で生産される飲料(中間製品)を缶容器2に充填封入して缶入飲料(最終製品)を生産する工程である。以下、空缶搬送工程10の側を上流、倉入工程60の側を下流とする。
【0011】
飲料が充填封入される缶容器2は、例えば生産者から納品された後、空缶搬送工程10から検査工程40までは缶容器2を搬送するために敷設されるコンベア装置1aによって上流から下流に向かって正立した状態(つまり、缶容器2の底部(缶底)が下方を向く状態)で搬送されて各工程が実行され、梱包・出荷工程50と倉入工程60は、缶容器2が箱詰めされた梱包箱2bを運搬する運搬装置(図示せず)によって運搬される。
【0012】
なお、本実施形態に係る生産管理システム1で飲料が充填封入される缶容器2には、缶容器2を個別に識別可能な情報(以下、個体識別情報と称する)が缶容器2のそれぞれに付与されていることが好適である。缶容器2に付与される個体識別情報は、缶容器2の製造番号など、1つの缶容器2にユニークに1つ付与される情報であることが好ましい。個体識別情報は、例えば缶容器2が生産される工程で缶容器2ごとに付与されることが好ましいが、例えば、生産者から缶容器2が納品されたときに、図1に示す空缶搬送工程10で缶容器2ごとに付与する構成であってもよい。
【0013】
また、個体識別情報は、生産管理システム1の各工程で必要に応じて読み取り可能であることが好ましい。このため、例えば個体識別情報が書き込まれたICチップが缶容器2に取り付けられる構成としてもよい。しかしながら、ICチップが缶容器2に取り付けられると、その部分が微小に盛り上がるなど、缶容器2の外観に少なからず影響が出る場合がある。また、ICチップの部品代や取り付けコストなどが必要になり、缶容器2の生産コストが高くなる。そこで、個体識別情報を缶容器2に印字する方法が好ましい。
【0014】
ところで、缶容器2の生産量は非常に膨大であり、1つの缶容器2にユニークに1つの個体識別情報を付与する場合、個体識別情報の情報量は膨大なものになる。つまり、個体識別情報を文字列で印字すると非常に多くの文字数が必要になり、缶容器2の外観に印字することは困難である。そこで、個体識別情報を例えば二次元コードなどの記号(以下、識別情報記号2d(図2の(a)参照))に記号化して缶容器2に印字する構成としてもよい。この構成によると、生産管理システム1の各工程ではバーコードリーダ等の読取装置によって識別情報記号2dの読み取りが可能であり、容易に個体識別情報を取得できる。
【0015】
そして、缶容器2に識別情報記号2dが印字される場合、図2の(a)に示すように、缶容器2の底部(缶底)に、可視光に対して透明で、消費者等が可視光下で視認不可能な不可視インク(ステルスインク)が使用される構成が好ましい。
このようなステルスインクとして、例えば、紫外線が照射されたときにルミネッセンス現象で可視光を発光して可視化し、可視光下では消費者等が視認することができない性質のインクがある。
【0016】
前記したように、缶容器2に付与される個体識別情報は生産管理システム1の各工程で必要に応じて読み取り可能であることが好ましく、識別情報記号2dが缶容器2に印字される場合は、識別情報記号2dが読取装置によって読み取られる構成が好ましい。
識別情報記号2dを缶容器2の側面に印字した場合は、下記の理由によって識別情報記号2dを読み取ることが容易ではなくなる。
缶容器2は略円筒形であり、生産管理システム1(図1参照)で缶容器2はコンベア装置1a(図1参照)で搬送されるときに正立した状態で回転する場合がある。例えば、識別情報記号2dを読み取る読取装置が缶容器2の側面と対面するように配置される場合、缶容器2が識別情報記号2dの読取装置の位置にあるとき、缶容器2の側面の任意の位置が読取装置に対面する。したがって、識別情報記号2dが缶容器2の側面に印字されている場合、識別情報記号2dの読取装置に識別情報記号2dを対面させる必要があり、そのための装置が必要になる。
または、識別情報記号2dの読取装置が、缶容器2の側面から識別情報記号2dを抽出する機能を備える必要がある。いずれにしても、生産管理システム1で識別情報記号2dを読み取るための読取装置の構成が複雑になる。
【0017】
これに対し、生産管理システム1(図1参照)において、正立した缶容器2の缶底は常に下方を向くことから、識別情報記号2dの読取装置に缶底を対面させることは容易である。したがって、缶容器2の缶底に印字された識別情報記号2dと読取装置を容易に対面させることができ、生産管理システム1で識別情報記号2dを読み取るための読取装置を簡単な構成とすることができる。
【0018】
また、前記したように缶容器2は生産管理システム1(図1参照)で搬送されるときに正立した状態で回転する場合があり、このとき円形の缶底は周方向に回転する。したがって、識別情報記号2dが缶底の中心部からずれた周縁部に印字されていると、識別情報記号2dの読取装置は、缶容器2ごとに異なる可能性のある識別情報記号2dの印字位置を判定してから識別情報記号2dを抽出するため、複雑な画像処理が必要になる。
これに対し、図2の(a)に示すように缶容器2の缶底の略中心部に識別情報記号2dが印字されていると、缶容器2ごとに識別情報記号2dの印字位置が異なることがなく、識別情報記号2dを読み取る読取装置は、常に缶底の中心部から識別情報記号2dを読み取ることができ、識別情報記号2dの印字位置を判定するための処理を省くことができる。このことによって、読取装置が実行する画像処理を単純化することができる。
以上の理由によって識別情報記号2dは、図2の(a)に示すように、所定の印字面を缶容器2の缶底とし、缶底の略中心部に印字されることが好ましい。
【0019】
また、後記するが図1に示す検査工程40では、缶容器2の缶底に中間製品管理情報2cが印字される。このとき、中間製品管理情報2cは、図2の(b)に示すように、識別情報記号2dと互いに重なる部分を有するように上書きされる。検査工程40で中間製品管理情報2cの印字に使用されるインクは、熱硬化インク、紫外線硬化インクなどの可視インクであり、消費者等が中間製品管理情報2cを視認可能に構成される。
【0020】
したがって、識別情報記号2dが可視インクで印字されると、図2の(b)に示すように中間製品管理情報2cと識別情報記号2dが重る部分は、消費者等が中間製品管理情報2cを識別することが困難になる。また、可視光下で読取装置が識別情報記号2dを識別することが困難になり、読み取りのエラー発生率が高くなることが予測される。
【0021】
これに対し、識別情報記号2dがステルスインクで印字されると、可視光下で消費者等は識別情報記号2dを視認することができず、図2の(c)に示すように、中間製品管理情報2cのみ視認することができる。したがって、消費者等は、賞味期限等を含む中間製品管理情報2cを容易に読み取ることができる。
また、例えば紫外線の照射で発光するステルスインクとすると、可視光を遮光した環境で紫外線を照射することで識別情報記号2dのみ発光させることができ、読取装置が識別情報記号2dを容易に識別することが可能で、読み取りのエラー発生率を低く抑えることができる。
以上の理由によって、識別情報記号2dはステルスインクで印字されることが好ましい。
【0022】
このような個体識別情報が付与され、個体識別情報を記号化した識別情報記号2d(図2の(a)参照)が印字された缶容器2は、図1に示す空缶搬送工程10において搬送装置11で洗浄されると充填工程20に進む。充填工程20では充填装置21で缶容器2に飲料が充填されて、蓋部2aが取り付けられ(巻き締められ)、入味検査される。
充填装置21には、例えば複数のフィラーバルブ22aが備わり、中間製品である飲料がフィラーバルブ22aから缶容器2に充填される。このように、複数のフィラーバルブ22aを備えることによって、複数の缶容器2に同時に飲料を充填できる。なお、図1には図の簡略化のため1つのフィラーバルブ22aのみを図示している。
【0023】
また、充填装置21は、例えば、X線検査部23aで缶容器2にX線を照射して入味検査(バルブ入味検査)する。バルブ入味検査は、缶容器2に充填封入された飲料の充填量を充填装置21のフィラーバルブ22aごとに検査する工程である。
【0024】
次に缶容器2は滅菌工程30に進み、滅菌装置31で、例えば加熱されて滅菌され、検査工程40に進む。
検査工程40では、生産検査装置41による内圧検査、入味検査(製品入味検査)、外観検査が終了したのち、缶容器2の例えば缶底など所定の印字面に必要な情報が印字される。
【0025】
生産検査装置41は、例えばX線検査部42aで缶容器2にX線を照射し、X線画像によって飲料の充填量を検査する。また、生産検査装置41は、缶容器2の外観を、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどの撮像装置43aで撮像し、撮像した画像(光学画像)と予め登録してある基準の印字情報とのマッチングによって、主に外観の汚れ、印刷ずれ、ラベルの貼り付け位置ずれなど、外観の異常の有無を検査する。
【0026】
また、生産検査装置41は、例えばインクジェットプリンタなどの印字装置で、缶容器2の缶底の表面に、製造ロット番号、製造工場、製造年月日、賞味期限(消費期限)など、必要な情報を文字情報として印字する。これらの情報をまとめて中間製品管理情報2cと称する。
中間製品管理情報2cは、生産単位(例えば、製造ロット)ごとに統一されて中間製品である飲料に付与される情報であり、生産管理システム1の管理運用者や消費者等が直接視認できることが好ましい情報である。したがって、中間製品管理情報2cの印字には、熱硬化インク、紫外線硬化インクなど、可視光で視認可能なインク(可視インク)が使用される。
【0027】
そして、生産検査装置41は、缶容器2に印字された中間製品管理情報2cの印字状態を検査する。生産検査装置41は、印字した中間製品管理情報2cを光学画像として撮像装置45aで撮像し、撮像した文字情報(印字パターン)と予め登録されている基準の印字情報とのマッチングによって、印字位置のずれ、文字のかすれや印字漏れなどの印字不良等を検査する。
【0028】
梱包・出荷工程50では、飲料が充填封入された缶容器2が梱包装置51によって梱包箱2bに箱詰めされる。その後、梱包箱2bは封印されて重量検査される。ここでは、規格外の重量の梱包箱2bが不良品と判定されて排除され、良品と判定された梱包箱2bには必要な製品情報が文字情報として印字される。ここでいう製品情報は、検査工程40で缶容器2の缶底に印字される中間製品管理情報2cと同じであってもよいが、缶容器2に印字される中間製品管理情報2cと異なった情報を含んでいてもよい。例えば、梱包箱2bを個別に識別する梱包箱識別符号2e1が付加されていてもよい。
そして、不良品と判定された梱包箱2bに梱包された缶容器2を特定するため、梱包箱識別符号2e1と缶容器2の個体識別情報が関連付けられて管理される構成であってもよい。
【0029】
その後、梱包装置51は、梱包箱2bに印字された文字情報の状態を検査する。梱包装置51は、例えば、梱包箱2bに印字された印字情報などを光学画像として撮像装置54aで撮像し、撮像された印字パターンと予め登録されている基準の印字情報とのマッチングによって、印字位置のずれ、文字のかすれや印字漏れなどの印字不良等を検査する。
【0030】
さらにその後、倉入工程60に進み、缶容器2が箱詰めされた梱包箱2bは倉入装置61によってパレット単位2eにまとめられ、所定の倉庫等に搬送される。
【0031】
パレット単位2eは所定数の梱包箱2bが集められた単位(ユニット)であり、缶容器2に充填封入される商品の種類、流通量等によって、1つのパレット単位2eを構成する梱包箱2bの数は適宜決定される。そして、例えば、倉入装置61でパレット単位2eごとにパレット識別符号2e2が付与される。パレット識別符号2e2は、梱包箱2bに印字される必要はないが、梱包箱2bに印字する構成であってもよい。パレット識別符号2e2は、パレット単位2eを識別するための符号であってパレット単位2eごとに個別に付与される。
【0032】
そこで、例えば、倉入装置61は梱包装置51で梱包箱2bに印字された梱包箱識別符号2e1を読み取るとともに、パレット単位2eに付与するパレット識別符号2e2と梱包箱識別符号2e1とをリンクしたパレット管理情報を作成して管理する構成とすれば、任意のパレット単位2eに含まれる梱包箱2bを管理することができる。
なお、一例として、梱包装置51では、梱包箱識別符号2e1をバーコードで梱包箱2bに印字し、倉入装置61にバーコードリーダを備える構成にすれば、パレット管理情報を作成する倉入装置61を簡単な構成にすることができる。
【0033】
このように、生産管理システム1は空缶搬送工程10から倉入工程60までの工程で、缶容器2に飲料(中間製品)を充填封入し、缶入飲料(最終製品)を生産する。
【0034】
このうち、充填工程20では充填装置21によって飲料が缶容器2に充填されて蓋部2aが巻き締められ、さらに、飲料の充填量がX線検査部23aで検査(入味検査)される。そのため、図3に示すように充填装置21は、充填口(フィラーバルブ22a)で缶容器2に飲料を充填する充填部(フィラー22)、蓋部を巻き締めるシーマ24、およびX線検査部23aを備えて缶容器2を入味検査する充填量検査部(入味検査装置23)を含んで構成され、制御装置(充填制御装置220)によって制御される。
【0035】
フィラー22は、缶容器2に飲料を充填する充填口となるフィラーバルブ22aを複数備え、各フィラーバルブ22aには例えば番号など、フィラーバルブ22aを個別に特定可能な特定情報(充填口特定情報)が付与されている。図3には、充填口特定情報として「1」から「8」までの番号が付された8つのフィラーバルブ22aが備わるフィラー22が例示されている。もちろん、フィラーバルブ22aの数は8つに限定されるものではなく、また、充填口特定情報も番号に限定されるものではない。
【0036】
缶容器2はコンベア装置1aによってフィラー入口22INまで搬送されるとフィラー22に取り込まれ、そのときにフィラー入口22INに位置しているフィラーバルブ22aによって飲料が充填される。フィラー22内で缶容器2は、フィラーバルブ22aとともにフィラー入口22INからフィラー出口22OUTまで移動する間にフィラーバルブ22aから飲料が充填され、フィラー出口22OUTに到達するときに缶容器2には規定量の飲料が充填されるように構成される。
そして、缶容器2はフィラー出口22OUTからコンベア装置1aによってシーマ24を経由して入味検査装置23まで搬送される。
【0037】
例えば、フィラー入口22INに着荷センサ22sが備わり、着荷センサ22sが缶容器2を検出すると、そのときにフィラー入口22INに位置するフィラーバルブ22a(図3の例では「3」のフィラーバルブ)に缶容器2が装着されて飲料の充填が開始される。さらに、缶容器2が装着されたフィラーバルブ22aに並んで配置されるフィラーバルブ22a(図3の例では「4」のフィラーバルブ)がフィラー入口22INまで移動するように、全てのフィラーバルブ22aが順送りに移動する。このときの移動量は、フィラーバルブ22aの配置間隔(バルブピッチ)に相当する量である。
そして、缶容器2がフィラー入口22INに到達するたびにフィラーバルブ22aへの装着と移動が繰り返され、缶容器2が装着されたフィラーバルブ22aがフィラー出口22OUTに到達すると、缶容器2はフィラーバルブ22aから外され、コンベア装置1aによってシーマ24まで搬送される。
シーマ24では、缶容器2に蓋部2aが巻き締められて飲料が缶容器2に封入される。
このように、フィラー22では、1つのフィラーバルブ22aに缶容器2を1つづつ対応させて、飲料を缶容器2に順次充填する。
【0038】
フィラー22には、フィラー入口22INに位置するフィラーバルブ22aを特定するセンサ(バルブ位置検出センサ22b)が充填口特定手段として備わっている。バルブ位置検出センサ22bは、例えば、フィラーバルブ22aがバルブピッチに相当する移動量だけ移動したことを検出可能なセンサであればよい。
【0039】
この構成によると、例えば、初期状態においてフィラー入口22INに「3」のフィラーバルブ22aが位置していることをバルブ位置検出センサ22bに予め設定しておけば、バルブピッチに相当する移動量のフィラーバルブ22aの移動を検出したとき、バルブ位置検出センサ22bは、フィラー入口22INに「4」のフィラーバルブ22aが位置していることを検出できる。さらに、バルブ位置検出センサ22bによりフィラーバルブ22aの移動を検出することによって、フィラー入口22INに位置するフィラーバルブ22aを順次検出できる。このようにして、バルブ位置検出センサ22bは、フィラー入口22INに位置するフィラーバルブ22aを特定できる。そして、特定したフィラーバルブ22aの充填口特定情報を充填制御装置220に通知する構成とすれば、充填制御装置220は、フィラー入口22INに位置し、フィラー入口22INに搬送された缶容器2に対応するフィラーバルブ22aの充填口特定情報を取得できる。そして充填制御装置220は、フィラー入口22INに搬送された缶容器2に対応するフィラーバルブ22aを特定できる。
【0040】
さらに、本実施形態に係る充填装置21には、個体識別情報が付与された缶容器2を個別管理するため、2つの固体管理部210,230が備わっている。
個体管理部210は、フィラー入口22INに配置されて缶容器2に付与される個体識別情報を読み取る第1読取装置であって、缶容器2の缶底に向かって紫外線を照射する紫外線照射手段(照明装置210a)と、照明装置210aから照射される紫外線で発光する二次元コードを読み取るバーコードリーダ(高速BCR210b)と、を含んで構成され、ステルス印字読取部210cによって制御される。
また、個体管理部230は、シーマ24と入味検査装置23の間に配置されて缶容器2に付与される個体識別情報を読み取る第2読取装置であって、その構成は、固体管理部210と同等である。
なお、個体識別情報は必ずしもステルスインクで印字される必要はなく、可視インクで印字される構成であってもよい。この場合、個体管理部210(第1読取装置)や個体管理部230(第2読取装置)は照明装置210aを備える必要がなく、高速BCR210bが備わっていればよい。このことによって、個体管理部210(第1読取装置)や個体管理部230(第2読取装置)の構成を簡素にすることができる。
【0041】
固体管理部210の照明装置210aは、例えば、可視光が遮光された暗室の内部で紫外線を照射するように構成され、高速BCR210bは、暗室の内部で紫外線の照射によって発光する識別情報記号2d(図2の(a)参照)を読み取るように構成される。さらに、缶容器2はコンベア装置1aによって暗室の内部に搬送されるように構成される。
なお、照明装置210aが紫外線を照射する環境は、可視光線が充分(視認可能なインクで缶容器2に印字される中間製品管理情報2cが高速BCR210bに認識されない程度)に遮光される環境であれば、可視光が完全に遮光された暗室でなくてもよい。
【0042】
また、個体管理部210は、缶容器2が照明装置210aに到達したことを検出する着荷センサ210dを備え、着荷センサ210dが缶容器2を検出すると、ステルス印字読取部210cは照明装置210aを駆動して紫外線を照射し、高速BCR210bは、紫外線によって発光する識別情報記号2d(図2の(a)参照)を読み取ってステルス印字読取部210cに通知する。なお、照明装置210aは充填装置21の作動時は常時紫外線を照射するように構成されていてもよい。
【0043】
ステルス印字読取部210cは、高速BCR210bから通知された識別情報記号2d(図2の(a)参照)を解析して缶容器2の個体識別情報を抽出し、充填制御装置220に通知する。
この構成によって、充填制御装置220は固体管理部210に到達した缶容器2の個体識別情報を取得できる。つまり、缶容器2の個体を識別できる。
【0044】
高速BCR210bが識別情報記号2d(図2の(a)参照)を読み取った後、缶容器2はフィラー入口22INまで搬送される。そして、着荷センサ22sが缶容器2を検出したことを充填制御装置220に通知すると、充填制御装置220はバルブ位置検出センサ22bが特定しているフィラーバルブ22aの充填口特定情報を取得する。図3に示す例では、フィラーバルブ22aの充填口特定情報として「3」を取得する。
充填制御装置220は、ステルス印字読取部210cから通知された缶容器2の個体識別情報に、バルブ位置検出センサ22bから取得したフィラーバルブ22aの充填口特定情報をリンクして、例えば図4の(a)に示す「缶容器管理データ」を作成する。このようにして、充填制御装置220は、缶容器2の個体識別情報にフィラーバルブ22aの充填口特定情報を関連付ける。
なお、図4の(a)は、「1」〜「8」の番号(充填口特定情報)のフィラーバルブ22aを有するフィラー22で、「A」〜「H」の個体識別情報を有する8つの缶容器2が飲料を充填された場合の缶容器管理データを例示している。また、この段階で検査実績データは登録されない。
【0045】
そして、図3に示すように、フィラー22で飲料が充填された缶容器2はシーマ24で蓋部2aが巻き締められた後、個体管理部230を経由して入味検査装置23まで搬送され入味検査が実施される。個体管理部230では、個体管理部210と同じ動作によって蓋部2aが巻き締められた缶容器2の個体識別情報を抽出し、入味検査装置23のX線検査部23aに通知する。
【0046】
X線検査部23aは、入味検査装置23に備わる図示しない着荷センサが缶容器2を検出すると缶容器2にX線を照射し、缶容器2における飲料の充填量を検査する。そして、飲料の充填量が規定の範囲内にあるときは良品(GOOD)と判定し、飲料の充填量が規定の範囲内にない場合は不良品(NG)と判定する。
さらにX線検査部23aは、予め設定される基準充填量に対する缶容器2の飲料の充填量の誤差を計測し、その計測結果を検査データとして取得する構成であってもよい。この場合、X線検査部23aは、飲料の充填量が基準充填量より少ない缶容器2(すなわち、マイナス誤差の缶容器2)を不良品と判定する。
そしてX線検査部23aは、個体管理部230から通知された缶容器2の個体識別情報と、当該缶容器2の判定結果(GOODまたはNG)と、検査データ(基準充填量に対する誤差値)を検査実績データとして充填制御装置220に通知する。
検査データは基準充填量を「0」とし、基準充填量より多い充填量を「+」、基準充填量より少ない充填量を「−」としている。また、数値は、例えば基準充填量のときの缶容器2における液面高さとの差である。
【0047】
充填制御装置220は、図4の(a)に示す缶容器管理データの検査実績データの欄に、X線検査部23aから通知された検査実績データを登録する。
このとき、充填制御装置220は、X線検査部23aから検査実績データとともに通知される缶容器2の個体識別情報が登録された、缶容器管理データの検査実績データの欄に、通知された検査実績データを登録する。例えば、X線検査部23aから個体識別情報として「F」が通知され、さらに、検査実績データとして「判定結果:GOOD」、「検査データ:+3」が通知された場合、充填制御装置220は図4の(b)に示すように、個体識別情報として「F」が登録されているバルブの充填口特定情報が「5」の検査実績データの欄(斜線の欄)に、通知された判定結果「GOOD」と検査データ「+3」を登録する。
【0048】
このように、缶容器管理データに検査実績データが登録されると、図3に示す充填制御装置220は、例えば、「F」という個体識別情報が付与された缶容器2に飲料を充填したフィラーバルブ22aを、充填口特定情報「5」が付されたフィラーバルブ22aと特定することができ、さらに、当該フィラーバルブ22aでの飲料の充填結果を判定できる。
【0049】
また、充填制御装置220(図3参照)は、各フィラーバルブ22a(図3参照)について、缶容器2に対する飲料の充填量を統計処理することができる。
1つのフィラーバルブ22aは複数の缶容器2に繰り返し飲料を充填する。したがって、缶容器管理データには、1つのフィラーバルブ22aで飲料を充填した缶容器2の充填量(検査データ)を複数登録できる。例えば図5の(a)に示すように、充填口特定情報が「1」のフィラーバルブ22aに関し、複数の缶容器2(個体識別情報がA1〜A6など)に飲料を充填したときの検査実績データ(検査データ)を時系列に登録できる。
図5の(a)において「t=0」は、最新のデータを示し、「t=−1」から「t=−5」に向かって古いデータを示す。つまり、入味検査装置23(図3参照)が缶容器2(図3参照)の入味検査をして検査実績データが充填制御装置220(図3参照)に通知されるたびに、缶容器2の個体識別情報と検査実績データが順送りに更新されて蓄積される。
なお、この欄には具体的な日時(例えば、入味検査装置23が入味検査をした日時)が登録される構成であってもよい。
また、図5の(a)において、缶容器管理データの缶容器2の個体識別情報はA1〜A6まで順に整列しているが、これは図を簡略化するための一例であって、個体識別情報が順に整列した状態でなくてもよいことはいうまでもない。
【0050】
そして、このように蓄積されるフィラーバルブ22a(図3参照)ごとの検査データの分布を演算することによって、充填制御装置220(図3参照)は、各フィラーバルブ22aについて、缶容器2に対する飲料の充填量を統計処理できる。例えば、充填制御装置220は、図5の(b)に示すように、フィラーバルブ22aごとに充填量の分布を演算でき、さらに、標準偏差等を演算して統計処理できる。
その結果として、例えば充填量のバラツキが大きなフィラーバルブ22a(例えば、図5の(b)に破線で示されるフィラーバルブ「2」)や、充填量がマイナス側に偏ったフィラーバルブ22a(例えば、図5の(b)に一点鎖線で示されるフィラーバルブ「3」)がある場合は、生産管理システム1(図1参照)の管理運用者に通知するような構成であってもよい。
【0051】
また、充填量が大きくプラス側に偏ったフィラーバルブ22a(図3参照)や大きくマイナス側に偏ったフィラーバルブ22aがある場合、これらのフィラーバルブ22aの開度を調整する調整装置(図示せず)に対して、当該フィラーバルブ22aの開度を調整するように指令を与える構成であってもよい。具体的に、充填量が大きくプラス側に偏ったフィラーバルブ22aは開度を小さくするように図示しない調整装置に指令を与え、充填量が大きくマイナス側に偏ったフィラーバルブ22aは開度を大きくするように図示しない調整装置に指令を与える構成であってもよい。
【0052】
また、例えば充填量がマイナスにならないようにフィラーバルブ22a(図3参照)の開度が調整されている場合に、充填量がマイナスの缶容器2(図3参照)があったときに、充填制御装置220(図3参照)が生産管理システム1(図1参照)の管理運用者に通知するような構成であってもよい。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る充填装置21の充填制御装置220(図3参照)は、フィラー22(図3参照)で飲料が充填される缶容器2(図3参照)の個体識別情報を取得することができる。そして、缶容器2に飲料を充填するフィラーバルブ22a(図3参照)の充填口特定情報と、缶容器2の個体識別情報をリンクして(関連付けして)管理できる。したがって、充填制御装置220は、缶容器2に飲料を充填したフィラーバルブ22aを特定できる。つまり、缶容器2に、飲料を充填するフィラーバルブ22aを対応させることができる。
【0054】
さらに、入味検査装置23(図3参照)で缶容器2の入味検査を実施した結果を示す検査実績データ(判定結果、検査データ)と当該缶容器2の個体識別情報をリンクして(関連付けして)管理できる。前記したように、充填制御装置220は、缶容器2に飲料を充填したフィラーバルブ22aを特定可能であることから、検査実績データにフィラーバルブ22aを対応させることができる。つまり、缶容器2の検査結果である検査実績データにフィラーバルブ22aを対応させることができ、入味検査装置23における缶容器2の検査結果を、当該缶容器2の個体識別情報に関連付けられた充填口特定情報で特定されるフィラーバルブ22a(缶容器2に対応したフィラーバルブ22a)の検査結果として管理できる。この構成によって充填制御装置220は、任意の缶容器2に飲料を充填したフィラーバルブ22aの状態(充填量など)を判定できる。
そして、充填制御装置220は、フィラーバルブ22aの状態に異常がある場合に、例えば生産管理システム1(図1参照)の管理運用者に通知するように構成することによって、フィラーバルブ22aの異常を速やかに解消できる。
【0055】
例えば前記した特許文献1に記載される容器生産ラインでは、フィラーから搬出された容器がフィラーバルブの番号順(配置順)に並んでいる場合に限って、容器に液体を充填したフィラーバルブを特定できる。したがって、X線液量検査装置で液量を検査する場合には、フィラーバルブの配置順に容器の液量を検査することによって、制御システムが当該容器に液体を充填したフィラーバルブの状態を判定できる。換言すると、フィラーから搬出された容器の並び順が乱れると、制御システムは、容器に液体を充填したフィラーバルブの状態を判定不可能となる。
例えば、2台のX線液量検査装置で並行して容器の液量検査をする構成は、どの容器がどちらのX線液量検査装置で液量検査するかが確実でない場合があり、制御システムは容器に液体を充填したフィラーバルブの状態を判定不可能となる。
【0056】
これに対し、本実施形態に係る充填装置21の充填制御装置220(図3参照)は、個体管理部210(図3参照)を備えることによって、缶容器2(図3参照)の個体識別情報とフィラーバルブ22aの充填口特定情報をリンクして管理することができ、さらに、個体管理部230(図3参照)を備えることによって、缶容器2の個体識別情報と検査実績データ(判定結果、検査データ)をリンクして管理できる。したがって、入味検査装置23で、フィラーバルブ22aの並び順に限定することなく任意の順番で缶容器2が入味検査されても、充填制御装置220は缶容器2の個体識別情報と検査実績データをリンクして管理できる。さらに、個体識別情報とリンクした検査実績データを、当該個体識別情報を有する缶容器2に飲料を充填したフィラーバルブ22aの状態を示すデータとすることができる。つまり、充填制御装置220は、入味検査装置23から通知される検査実績データに基づいて、フィラーバルブ22aの状態を判定できる。
【0057】
例えば、フィラー22(図3参照)の処理能力(単位時間当たりの充填本数)に比べて、入味検査装置23(図3参照)の処理能力(単位時間当たりの検査本数)が低い場合、図6の(a)に示すように、2台(またはそれ以上)の入味検査装置23と個体管理部230を並列に配置し、入味検査を並行して実施する構成としても、缶容器2が各入味検査装置23まで搬送されたときに個体管理部230で個体識別情報を取得し、検査実績データ(判定結果、検査データ)とともに、取得した個体識別情報を充填制御装置220に通知する構成とすれば、充填制御装置220は、任意の個体識別情報を有する缶容器2に飲料を充填したフィラーバルブ22aの状態を判定できる。
そして、1台あたりの処理能力の低い入味検査装置23を使用して充填装置21を構成することができる。処理能力の低い入味検査装置23を2台(またはそれ以上)備えることによって、処理能力の高い入味検査装置23を1台備えるよりも処理能力を高めることができる場合がある。
また、複数の入味検査装置23を備える場合、1台の入味検査装置23が故障しても他の入味検査装置23による縮退運転が可能となる。
また、図示はしないが、複数のフィラー22を並列に配置し、2台(または、それ以上)のフィラー22で並行して缶容器2に飲料を充填する構成も可能である。
【0058】
また、フィラー22(図3参照)の処理能力に比べて、入味検査装置23(図3参照)の処理能力が低い場合、図6の(b)に示すように、シーマ24で蓋部2a(図3参照)を巻き締めた後、ストッカ240に缶容器2を一時ストックし、入味検査装置23の処理能力に応じてストッカ240から缶容器2を取り出して入味検査する構成としてもよい。この場合、ストッカ240では缶容器2の並び順が乱れる場合があるが、缶容器2が入味検査装置23まで搬送されたときに個体管理部230で個体識別情報を取得し、検査実績データ(判定結果、検査データ)とともに、取得した個体識別情報を充填制御装置220に通知する構成とすれば、充填制御装置220は、任意の個体識別情報を有する缶容器2に飲料を充填したフィラーバルブ22aの状態を判定できる。
【0059】
また、本実施形態は缶容器2(図1参照)に飲料を充填する充填装置21(図1参照)について説明したが、例えば、液封可能な樹脂製のボトル(樹脂ボトル)に化粧液等の液体を充填する充填装置(図示せず)に本発明を適用することも可能である。この場合、図示しない樹脂ボトル等に個体識別情報を付与して印字し、図示しない充填装置で印字された個体識別情報を読み取り、さらに、読み取った個体識別情報と当該樹脂ボトルに液体を充填する充填口を示す情報をリンクして管理する構成とすればよい。この場合もステルスインクで個体識別情報を樹脂ボトルに印字することで、消費者等が可視光下で視認不可能に個体識別情報を印字できる。
【0060】
また、例えば、図示しない袋状の容器に個体識別情報を付与して印字することによって、袋状の容器に固体状の製品を充填する充填装置(図示せず)に本発明を適用することも可能である。
【0061】
さらに、缶容器2(図1参照)、樹脂製ボトル(図示せず)、袋状の容器(図示せず)の外観に対する制約が小さい場合(例えば、多少の凹凸が許容される場合)には、個体識別情報を書き込んだICチップをこれらの容器に取り付ける構成も可能である。
そして、このような構成を実現する方法として、例えばRFID(Radio Frequency Identification)のシステムを利用することも可能である。
また、可視光下で不透明な可視インクによって、これらの容器に識別情報記号2d(図2の(a)参照)を印字することも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 生産管理システム
2 缶容器(容器)
21 充填装置
22 フィラー(充填部)
22a フィラーバルブ(充填口)
22b バルブ位置検出センサ(充填口特定手段)
22IN フィラー入口(充填部の入口)
23 入味検査装置(充填量検査部)
210 個体管理部(第1読取装置)
220 充填制御装置(制御装置)
230 個体管理部(第2読取装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体を識別する個体識別情報が付与された容器に中間製品を充填する複数の充填口が備わり、1つの前記充填口に前記容器を1つづつ対応させて前記中間製品を前記容器に順次充填する充填部と、
前記容器に充填された前記中間製品の充填量を検査する充填量検査部と、を備える充填装置であって、
前記充填部で前記中間製品が充填される前記容器に付与されている前記個体識別情報を読み取る第1読取装置と、
前記第1読取装置が読み取った前記個体識別情報に、当該個体識別情報が付与された前記容器に対応する前記充填口を特定する充填口特定情報を関連付ける制御装置と、
前記充填量検査部で検査する前記容器に付与されている前記個体識別情報を読み取る第2読取装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記第2読取装置が読み取った前記個体識別情報が付与された前記容器に対して前記充填量検査部が検査した検査結果を、当該個体識別情報に関連付けられた前記充填口特定情報で特定される前記充填口の検査結果として管理することを特徴とする充填装置。
【請求項2】
前記充填部の入口に搬送された前記容器に対応する前記充填口に付与された前記充填口特定情報を前記制御装置に通知する充填口特定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
略円筒状の缶容器からなり、
前記個体識別情報を示す識別情報記号が、可視光に対して透明で紫外線または赤外線が照射されたときに前記第1読取装置および前記第2読取装置に読み取られる不可視インクで底部に印字されている前記容器に前記充填部で前記中間製品を充填し、前記充填量検査部で当該容器を検査することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充填装置。
【請求項4】
前記識別情報記号が、前記個体識別情報を二次元コードにコード化した記号であることを特徴とする請求項3に記載の充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−1431(P2013−1431A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135479(P2011−135479)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【特許番号】特許第4832607号(P4832607)
【特許公報発行日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】