充放電判定装置及びプログラム
【課題】自然エネルギーを電力供給源として電力系統網に組み込んだ場合に、電力系統網を安定化させる。
【解決手段】
実施形態にかかる充放電判定装置は、自然エネルギー発電装置が実際に供給した電力の値である実績値を取得する系統情報取得部と、蓄電池からが充放電電力量情報を取得する電池情報取得部と、自然エネルギー発電装置が供給する電力の計画値と実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、電力発電所に対して供給電力を変更する指示メッセージを送信すると共に、電力発電所の供給電力を変更するために要する遅延時間及び計画値と実績値との差から求められる不足電力量若しくは超過電力量と複数の蓄電池各々の充放電電力量情報から求まる充放電電力量とを比べて、複数の蓄電池のうち、充放電電力量が不足電力量若しくは超過電力量を上回る蓄電池を充放電を行うべき蓄電池と判定する判定部を備える。
【解決手段】
実施形態にかかる充放電判定装置は、自然エネルギー発電装置が実際に供給した電力の値である実績値を取得する系統情報取得部と、蓄電池からが充放電電力量情報を取得する電池情報取得部と、自然エネルギー発電装置が供給する電力の計画値と実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、電力発電所に対して供給電力を変更する指示メッセージを送信すると共に、電力発電所の供給電力を変更するために要する遅延時間及び計画値と実績値との差から求められる不足電力量若しくは超過電力量と複数の蓄電池各々の充放電電力量情報から求まる充放電電力量とを比べて、複数の蓄電池のうち、充放電電力量が不足電力量若しくは超過電力量を上回る蓄電池を充放電を行うべき蓄電池と判定する判定部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、充放電判定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力供給源として発電所とともに自然エネルギーが大きな電力供給源となっている。
【0003】
自然エネルギーは電力供給の出力変動が大きい。例えば、太陽光発電において天候が悪い場合や、風力発電において風が吹かない場合は自然エネルギーの発電量が少なくなる。例えば、自然エネルギーの電力供給量が急激に下がった場合、電力系統網としての電力供給量の実績値は、計画値より大幅に低い値となる。
【0004】
このような場合、計画値と実績値とを合わせるために、電力事業者の給電指令所を通じて発電所の供給量を変更させる必要がある。発電所の供給量を変更するためには、ボイラーの回転数を変更する必要がある。変更を指示してから、ボイラーが変更後の回転数とするまでには、一定時間が必要となる。変更を指示してから、指示反映までの間には、電力供給量が計画値より低い値となってしまい、停電事故につながるおそれがある。
【0005】
それを防ぐためには、不足分の電力量を、たとえば蓄電池システムが供給する電力で補うことになる。
【0006】
複数種類の蓄電池システム群が存在する場合、システムによって充電残量の状態が異なる。したがって、例えば、選択した蓄電池システムの充電残量が、ボイラーの回転数を変更するために要する時間内で必要な電力量を、下回る可能性があった。つまり、蓄電池システムに切り替えたとしても停電事故等を起こす虞があり、電力系統網が不安定であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4347277号公報
【特許文献2】特開2007-110809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一側面は、自然エネルギーを電力供給源として電力系統網に組み込んだ場合に、電力系統網を安定化させることができる充放電判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点による充放電判定装置は、自然エネルギー発電装置と電力発電所と複数の蓄電池を管理する装置であって、前記自然エネルギー発電装置が実際に供給した電力の値である実績値を取得する系統情報取得部と、前記複数の蓄電池から、前記蓄電池が充放電可能とする電力量を求めることが可能な情報である充放電電力量情報を取得する電池情報取得部と、前記自然エネルギー発電装置が供給する電力の予測値である計画値と前記実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、前記電力発電所に対して供給電力を変更する指示メッセージを送信すると共に、前記電力発電所の供給電力を変更するために要する遅延時間及び前記計画値と前記実績値との差から求められる不足電力量若しくは超過電力量と前記複数の蓄電池各々の前記充放電電力量情報から求まる充放電電力量とを比べて、前記複数の蓄電池のうち、前記充放電電力量が前記不足電力量若しくは前記超過電力量を上回る蓄電池を充放電を行うべき蓄電池と判定する判定部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるシステムを示す図。
【図2】1実施形態にかかる蓄電池システムを示すブロック図。
【図3】1実施形態にかかるシステムであって、蓄電池システムが複数ある図。
【図4】第1の実施形態にかかる「上げ指令」に関する通信メッセージ。
【図5】第1の実施形態にかかる「下げ指令」に関する通信メッセージ。
【図6】第1の実施形態にかかる放電指示に関する通信メッセージ。
【図7】第1の実施形態にかかる充電指示に関する通信メッセージ。
【図8】第1の実施形態にかかる放電指示に関する通信メッセージ。
【図9】第1の実施形態にかかる充電指示に関する通信メッセージ。
【図10】第1の実施形態にかかる充放電判定装置を示すブロック図。
【図11】第1の実施形態にかかる電池情報に関する通信メッセージ。
【図12】第1の実施形態にかかる電池情報に関する通信メッセージ。
【図13】第1の実施形態にかかる充放電制御装置のブロック図。
【図14】SOCから充放電可能時間を求めるための図。
【図15】第1の実施形態にかかるシステムの動作シーケンス図。
【図16】図3で示すシステムにおいて、不足電力量と充放電電力量との関係を示す図。
【図17】第1の実施形態にかかる充放電判定装置の動作フローチャート。
【図18】第1の実施形態にかかる充放電制御装置の動作を示すフローチャート。
【図19】EVシステムのブロック図。
【図20】第2の実施形態において、蓄電池システムが充放電判定装置に送信する最適充放電率の範囲に係る通信メッセージ。
【図21】本発明の第2の実施形態において、蓄電池システムの充放電前後の充電率と充放電させる蓄電池システムとの対応関係を示した図。
【図22】第2の実施形態にかかる充放電判定装置の動作を示すフローチャート。
【図23】蓄電池システム40A,B,Cそれぞれの放電前後の充電率が、最適充電率の範囲内にあるか否かを示した図。
【図24】。第2の実施形態の第1変形例で、蓄電池システムが、電池情報として通知するメッセージ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかるシステムを示す図である。
【0013】
第1の実施形態にかかるシステムは、発電所10(給電指令所)と、EMS20(Energy Management System)と、自然エネルギー発電装置30と、蓄電池システム40と、家110とを備える。家110は、スマートメータ50と、HEMS60(Home Energy Management System)と、自然エネルギー発電装置70と、蓄電池システム80とを備える。
【0014】
発電所10(給電指令所)と、EMS20(Energy Management System)と、自然エネルギー発電装置30と、蓄電池システム40と家110は電力系統網100及び通信網90によって互いに接続されている。
【0015】
家110内でも、スマートメータ50と、HEMS60(Home Energy Management System)と、自然エネルギー発電装置70と、蓄電池システム80とは互いに電力系統網100及び通信網90によって接続されている。
【0016】
発電所10(給電指令所)は、火力や原子力等の動力によって電力を生成し、電力を、電力系統網100を介して家110に供給する。
【0017】
自然エネルギー発電装置30は、風力や太陽光といった自然界に存在するエネルギーを元に電力を生成し、電力を、電力系統網100を介して家10に供給する。本実施例のシステムは、このように自然エネルギー発電装置30が電力を供給するため、発電所10の負担を減らして効率的に運用させることが出来る。
【0018】
蓄電池システム40は、発電所10や自然エネルギー発電装置30が生成した電力の内、余剰電力を貯蔵する。30余剰電力は、発電所10(給電指令所)及び自然エネルギー発電装置30が生成した電力のうち、電力系統網100を介して電力の需要者に供給されずに余った電力である。例えば、本実施例では、需用者は家110である。また、蓄電池システム40は、貯蔵した電力を家110に供給する。蓄電池システム40は、図2に示すように、電池41(BMU: Battery Management Unit)と制御部42とを備える構成である。また、制御部42は、充放電制御装置420を備える。電池41(BMU)、制御部42、充放電制御装置420については後述する。
【0019】
EMS20は、図1のシステム全体を制御するものである。具体的には、発電所10や自然エネルギー発電装置30が供給する供給電力の制御と、家110で消費する負荷電力の制御と、蓄電池システム40に貯蔵させる余剰電力の制御とを、電力系統網100及び通信網90を介して行う。
【0020】
また、EMS20は、後述する充放電判定装置200である。充放電判定装置200は、発電所10や自然エネルギー発電装置30が供給する電力(実績値)と、供給すると計画していた供給電力(計画値)との差の絶対値が所定の閾値を上回った場合に、発電所10に対して供給電力を上げる指示を出すとともに、当該差の分の電力を充放電させる蓄電池システム40を決定し、充放電させる。充放電判定装置200の詳細な構成及び機能は後述する。
【0021】
スマートメータ50は、家110内に位置する。スマートメータ50は、家110内で消費した電力量を計測し、定期的に電力事業者の管理サーバに通知する。一般に当該電力事業者の管理サーバはMDMS (Metering Data Management System)と呼ばれるが、図1中では図示を省略している。EMS20はMDMSと連携して、家110の消費電力量の総量を算出する。
【0022】
自然エネルギー発電装置30は、家110内に位置する自然エネルギー発電装置である。風力や太陽光といった自然界に存在するエネルギーを元に電力を生成する。生成された電力は、家100内で消費、若しくは蓄電池システム80に貯蔵される。
【0023】
蓄電池システム80は、家110内に位置する蓄電池システムである。蓄電池システム80は、家内にあることが蓄電池システム40と異なり、機能は同様である。蓄電池システム110は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30から供給された電力の一部、または家70内の自然エネルギー発電装置70が生成した電力を貯蔵する。
【0024】
HEMS60は、家110内の消費電力量を調整制御する。
【0025】
図1では、発電所10(給電指令所)、EMS20、自然エネルギー発電装置30、蓄電池システム40、家110がそれぞれ一つである例を示したが、複数あってもよい。
【0026】
図3に、蓄電池システム40が複数ある例を示す。尚、図3では、家110の図示を省略している。以下では、蓄電池システム40が複数ある例をもって説明する。
【0027】
EMS20の主な役割は、自然エネルギー発電装置30の電力供給が変動した場合に停電を防ぐことである。EMS20は、供給電力の不足もしくは超過を検出した場合、通信網を介して、供給電力の不足若しくは超過を発電所10に通知する。供給が少ない場合は「上げ指令」通信メッセージを送信し、供給電力が多い場合は「下げ指令」通信メッセージを送信する。図4及び図5に通信メッセージの例を示す。発電所10は、通信メッセージを受信すると、自然エネルギー発電装置30の供給電力の不足若しくは超過と合わせて、発電所10のボイラー回転数の変更制御を開始する。発電所10が、ボイラー回転の回転数を変更するためには一定時間を要する。この間、発電所10と自然エネルギー発電装置30が供給する供給電力は、計画値より超過若しくは不足となってしまう。その結果、このままでは、停電が発生してしまう。そこで、蓄電池システム40に不足若しくは超過分を充放電させることで、停電を防ぐ。
【0028】
EMS20は、供給電力の計画値と実績値との差が大きい場合に、発電所10に供給電力の「上げ指令」若しくは「下げ指令」を通知するとともに、発電所10の供給電力変更に要する時間、不足若しくは超過電力を供給できる蓄電池システム40を選択して充放電させる装置である。
【0029】
一般に、蓄電池システム40の充放電可能な電力量は時間によって変化する。電池セルは自然放電によって貯蔵電力量が減少する特徴があるためである。また、蓄電池システム40は、電力事業者だけでなく、地域のインフラを管理する事業者や、インフラを利用する需要家によって共用されることが想定できるためである。
【0030】
したがって、EMS20は、通信網90を通じて、蓄電池システム40の電池41(BMU)をリアルタイムに監視、状態把握を実施して、発電所10の供給電力変更に要する時間及び不足若しくは超過電力と照らし合わせて、充放電可能な蓄電池システム40を選択する。
【0031】
EMS20は、充放電させる蓄電池システム40を決めると、当該蓄電池システム40に対して充放電開始指示に関する通信メッセージを送信する。蓄電池システム40の制御部(PCS: Power Conditioning System)42は通信メッセージを受信すると、充放電を開始して電力供給の安定化を支援する制御を直ちに行う。このようなEMS20が蓄電池システム40に送信する通信メッセージの構成を図6~9に示す。
【0032】
図10は、EMS20として動作する充放電判定装置200の一例を示すブロック図である。
【0033】
充放電判定装置200は、供給計画部201と、系統情報取得部202と、電池情報取得部203と、系統情報通信部206と、電池情報通信部205と、通信部207と、判定部203とを備える。
【0034】
供給計画部201は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30による供給電力の計画値を管理する。ここで、供給電力の計画値とは、今後供給されると予測される供給電力である。供給電力の計画値は、例えば、同時刻の過去に実際に供給した電力から予測算出する。また、自然エネルギー発電装置30の供給電力の計画値は、自然エネルギー発電時の気象予測を元に算出する方法もある。供給計画部201は、また、発電所10が供給電力を変更するために要する時間である遅延時間を算出するための情報を管理する。遅延時間を算出するための情報とは、遅延時間そのものであってもよい。ここで、遅延時間とは、例えば、発電所10が、供給電力を変更するために、ボイラーの回転数を変更するために要する時間である。例えば、回転変更を指示してから、指示反映までの時間である。
【0035】
系統情報取得部202は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30が、家110に供給する供給電力の実績値を取得する。ここで、供給する電力の実績値とは、発電所10及び自然エネルギー発電装置30が実際に供給している供給電力の値である。系統情報取得部202は、供給電力の実績値をリアルタイムに取得する。系統情報取得部202は、実績値を、例えば、通信網90を介して、発電所10及び自然エネルギー発電装置30からの通信メッセージにより取得する。また、系統情報取得部202は、実績値を、電力系統網100を介して、周波数変動や電圧変動の監視を元に電力量を算出することもできる。
【0036】
系統情報通信部206は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30からの通信メッセージの受信処理を行う。通信メッセージとしては、例えばIEC 61850等の電力情報用通信プロトコルが使用される。また、系統情報通信部206は、MDMSやスマートメータ50と通信を行うこともある。例えば、上述した計画値及び実績値の際、家110の消費電力を加味して算出する場合である。この場合、系統情報通信部206は、MDMSやスマートメータ50と、例えば、ANSI C12.19/22等の遠隔検針用通信プロトコルを用いて通信する。
【0037】
電池情報取得部203は、蓄電池システム40から、蓄電池システム40内の電池41(BMU)に関する情報(伊以下、電池情報と称する。)の通信メッセージを取得する。電池情報としては、例えば、定格容量(単位:アンペア時間(Ah))、定格電圧(単位:ボルト(V))、最大充放電電流(単位:アンペア(A))、充電率SOC(単位:パーセント(%)を含む。電池情報としては、少なくとも電池41の充放電可能電力量を算出するための情報を含む。具体的には、定格電圧(単位:ボルト(V))、最大充放電電流(単位:アンペア(A))、充電率SOC(単位:パーセント(%)である。また、充電率SOCの代わりに、SOCから求まる充放電可能時間を含めてもよい。
【0038】
図11及び12は蓄電池システム40(内の充放電制御装置420)が生成して、充放電判定装置200に送信する電池情報を含む通信メッセージである。
【0039】
図11に示すように、電池情報を含む通信メッセージは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)ヘッダ、識別子、定格容量、定格電圧、最大充電電流、最大放電電流、充電率(SOC)の情報を含む。
【0040】
TCP/IPヘッダは、インターネットやイントラネットで標準的に使用されるTCP/IPプロトコルの通信制御情報である。識別子は、蓄電池システムを一意に特定するための情報で、製造番号等の情報を用いる。定格容量(単位:アンペア時間(Ah))は、既定の温度、放電電流及び終始電圧で完全充電状態から取り出せる電気量の基準値である。定格電圧(単位:ボルト(V))は、電池電圧の表示に用いられる電圧情報で、JISD0114(電気自動車用語(電池))の例では公称電圧と表示されている。
【0041】
一般的な定電流充電方式においては、後述する充電率(SOC)が所定の閾値に達するまで、電池パック内の電池セルに流入する電流は一定の線形状態で推移する。この電流の充電時における最大値を最大充電電流(単位:アンペア(A))、放電時における最大値を最大放電電流(単位:アンペア(A))と定める。電池41に関するメッセージとしては、更に、SOCに対応付けられた充放電可能時間を付加してもよい。この充放電可能時間についての詳細は後述する。
【0042】
電池情報取得部203は、通信メッセージに含まれる情報から、当該蓄電池システム40が、充放電可能な電力(単位:ワット(W))や充放電可能な電力量(単位:ワット時(Wh))を算出する。
【0043】
また、電池情報を含む通信メッセージは、充放電可能電力を含む情報であってもよいし、充放電可能電力量を含む情報であってもよい。蓄電池システム40内の充放電制御装置420が、充放電可能電力や充放電可能電力量を算出した場合である。通信メッセージの例を、図12に示す。
【0044】
電池情報通信部205は蓄電池システム40内の充放電制御装置420が送信した電池情報を含む通信メッセージの受信処理を行う。
【0045】
通信部207は、例えば、光ファイバや電話線、イーサネット(登録商標)等の有線通信媒体によって実現される。尚、通信部207は有線通信媒体に限られない。
【0046】
判定部203は、供給電力の計画値と実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、発電所に対して供給電力を変更する指示メッセージを送信すると共に、計画値と実績値との差及び遅延時間から求められる不足電力量若しくは超過電力量と複数の蓄電池システム各々の充放電可能電力量とを比べて、複数の蓄電池システムのうち、充放電可能電力量が不足電力量若しくは超過電力量を上回る蓄電池を充放電を行うべき蓄電池システムと判定する。また、充放電を行うべき蓄電池システムに対して充放電させる。尚、判定部203は、不足若しくは超過電力と蓄電池システム40の充放電可能電力との大小関係を比較し、更に、遅延時間と蓄電池システム40の充放電可能時間との大小関係を比較して、充放電させる蓄電池システム40を決定しても良い。
【0047】
図4及び5に、充放電判定装置(EMS20)が、発電所10(給電指令所)に対して送信する供給電力を変更する指示メッセージを示す。図4は、「上げ指令」に関する通信メッセージであり、TCP/IPヘッダ、不足電力量(単位:ワット時(Wh))の情報を含む。図5は、「下げ指令」に関する通信メッセージであり、TCP/IPヘッダ、超過電力量(単位:ワット時(Wh))の情報を含む。
【0048】
前述のように、発電所10では、充放電判定装置200(EMS20)からの「上げ指令」「下げ指令」通信メッセージを受信した際、不足電力量に対応したタービン回転数増、超過電力量に対応したタービン回転数減の制御を開始する。
【0049】
図6〜図9は、充放電を行うべき蓄電池システムに対して充放電させる際に、充放電判定装置(EMS20)が蓄電池システム40に送信する充放電開始指示に関する通信メッセージである。
【0050】
図6の放電指示に関する通信メッセージは、TCP/IPヘッダ、識別子、要求放電電圧、要求放電電流、要求放電時間の情報を含む。TCP/IPヘッダ及び識別子は図11及び12の通信メッセージの情報と同義である。要求放電電圧(単位:ボルト(V))、要求放電電流(単位:アンペア(A))は、各々定格電圧、最大放電電流の値より小さいものとする。要求放電電圧と要求放電電流と要求放電時間(単位:時間(h))の積によって要求放電電力量(単位:ワット時(Wh))が算出出来る。
【0051】
図8は、充放電判定装置(EMS20)が算出した要求放電電力量を含む通信メッセージを生成したものである。本発明の実施において、図6及び図8の通信メッセージはいずれの方法を用いても良い。図7の充電指示に関する通信メッセージは、TCP/IPヘッダ、識別子、要求充電電圧、要求充電電流、要求充電時間の情報を含む。要求充電電圧(単位:ボルト(V))、要求充電電流(単位:アンペア(A))は、各々定格電圧、最大充電電流の値より小さいものとする。要求充電電圧と要求充電電流と要求充電時間(単位:時間(h))の積によって要求充電電力量(単位:ワット時(Wh))が算出出来る。
【0052】
図9は、充放電判定装置(EMS20)が算出した要求放電電力量の情報を元に通信メッセージを生成したものである。本発明の実施において、図7及び図9の通信メッセージはいずれの方法を用いても良い。また、図6、7のような詳細情報を扱う通信メッセージでは、単位時間(秒単位、分単位、時間単位)毎に、要求充放電電圧及び要求充放電電流を対応させて複数情報を集約して記載する方法を適用しても良い。例えば、充電指示の場合、情報1(70V、40A、1分間)、情報2(50V、30A、1分間)と時系列上に詳細情報を指定する方法が考えうる。最終的には要求充電電力量に帰着するため、いずれの方法を適用しても良い。これらの通信メッセージは、充電制御装置として動作する蓄電池システム40の電池情報通信部423、充放電判定装置として動作するEMS20の電池情報通信部205が取り扱う。
【0053】
図2は、蓄電池システム40のブロック図である。
【0054】
蓄電池システム40は、電池41(BMU)及び制御部42(PCS)を備える。
【0055】
電池41(BMU)は、複数の電池セルを備える電池パックと、電池セルを備える電池パックの状態を管理する内部プロセッサとを備える。電池41(BMU)は、制御部(PCS)42からの充放電指示に基づいて電力の充放電を行う。
【0056】
電池41(BMU)は、制御部42に対して、電池41の電池情報(定格電圧や充放電時の最大電流値、SOC(State Of Charge:充電率)、SOH(State Of Health:寿命率)など)を通知する。
【0057】
制御部(PCS)42は、後述する充放電制御装置420の機能を備える。
【0058】
制御部(PCS)42は、電池41(BMU)に対して、充放電制御を行うとともに、情報の送受信を行う。電池41(BMU)との情報通信には、例えば、CAN43(Controller Area Network)を用いる。尚、情報通信には、イーサネット(登録商標)等の通信媒体なども用いることができる。
【0059】
制御部(PCS)42は、EMS20と通信する。制御部(PCS)42は、EMS20に対して、通信網90を介して、電池41(BMU)に関する電池情報を送信する。制御部(PCS)42が、通信網90を介して、電池41(BMU)に関する情報を送信するため、時々刻々と変化する、電池41(BMU)の状態をリアルタイムに通知できる。
【0060】
EMS20は、通信網90を介して、電池41の状態の情報を取得できるため、リアルタイムに把握でき、電池41の状態を適切に把握できる。これによって、EMS20は適切に充放電させるべく蓄電池システム40を判定することができる。
【0061】
制御部(PCS)42は、さらに、電池が充放電する電力の直流交流変換や電圧変動抑制を行う。直流交流変換や電圧変動抑制は、PCSに接続した外部プロセッサ上で実現してもよい。
【0062】
図13は、第1の実施形態にかかる充放電制御装置420のブロック図である。
【0063】
充放電制御装置420は、制御部(PCS)42が含む機能である。
【0064】
充放電制御装置420は、電池41(BMU)に関する電池情報を充放電判定装置200に送信するとともに、充放電判定装置200の指示により、電池41(BMU)の充放電制御を行う。
【0065】
充放電制御装置420は、電力供給部421と、充放電制御部422と、電池情報取得部424と、電池情報通信部423と、第一通信部426と、第二通信部425とを備える。
【0066】
第二通信部425は、電池41(BMU)と通信を行うインターフェースである。例えば、電池41(BMU)の標準的なインターフェース規格であるCAN43である。また、イーサネット(登録商標)等の通信媒体でも良い。
【0067】
電池情報取得部424は、第二通信部425を介して、電池41(BMU)に関する電池情報を取得する。電池情報取得部424は、少なくとも、電池41の充放電可能電力量を求めるための情報(最大充放電電流、定格電圧、SOC)を取得する。ここで、電池情報は、固有の固定情報である特性情報(定格電圧、定格容量、充放電終始電圧、上限温度、下限温度、最大充放電電流等)がある。また、電池情報は、電池41(BMU)動作時に時々刻々と変化する変動情報である状態情報(SOH、SOC、充放電電流、充放電電圧)がある。まここで、を定期的に取得する。ここで、特性情報は、時間により変化しない情報であり、状態情報は、時間により変化する情報である。電池情報取得部424は、少なくとも変動情報は、定期的に取得する。
【0068】
また、電池情報取得部424は、取得したSOCをもとに、電池41(BMU)の充放電可能時間(単位:時間(h)を算出する。例えば、図14のグラフを用いて求める。一般的な充電方式である定電流充電方式では、SOCが所定の閾値に達するまで、電池41(BMU)が入出力する電流は一定値となる。この一定値は、電池41の特性情報である最大充放電電流である。定電流充電では、SOCが所定の閾値を超えた後は充電に必要な電流量が極小化する。
【0069】
例えば、図14の例のように、電池41(BMU)の入出力する電流の値が最大充放電電流で維持されるSOCが、0%から90%であるとする。また、現在のSOCを50%であるとする(図14で△で示した位置。)。そして、SOCが、残り40%分の充電を行うために必要な時間を、図の実線矢印で示す充電可能時間として推定することが出来る。また、同条件において50%分の放電を行うために必要な時間を放電可能時間として推定することが出来る。尚、電流の値が最大充放電電流で維持されるSOCは、電池の種類によって異なり、0%や90%に限られない、
充放電制御装置420は、電池41(BMU)からSOCの値を取得することで、SOCに対応付けられた充電可能時間及び放電可能時間(グラフの横軸)、充放電に必要な最大充放電電流(グラフの縦軸)を求めることができる。
【0070】
また、電池情報取得部424は、算出した充放電可能時間と定格電圧と最大充電電流との積を実行し、充放電可能電力量(単位:ワット時(Wh))を算出することもできる。また、充放電可能電力も算出する。
【0071】
電池情報通信部423は、電池41(BMU)に関する充電池情報を含む通信メッセージを生成し、第一通信部426を介して充放電判定装置200に対して送信する。通信メッセージは、例えば、図11に示すように、定格電圧、最大充放電電流、SOC(充電率)を含む情報である。この場合、前述した充放電可能時間は、充放電判定装置200が、SOCをもとに算出する。また、充放電判定装置200が、定格電圧、最大充放電電流、充放電可能時間を基に充放電可能電力量を算出する。
【0072】
また、通信メッセージは、図12に示すように、充放電可能電力量を含むメッセージでもよい。また、充放電可能電力を含むメッセージでも良い。この場合、充放電可能時間、充放電可能電力量及び充放電可能電力を、充放電制御装置420が算出する。
【0073】
電池情報通信部423は、前述した通信メッセージは、一度だけでなく、周期的に、あるいは充放電判定装置200からの要求に基づいて通知する。前述したように、電池セルは自然放電する特徴を持つことため、SOCや、SOCを基に算出される充放電可能電力量は、時々刻々と変化するためである。
【0074】
第一通信部426は、通信網90を介して充放電判定装置200に接続されている。第一通信部426は、例えば、光ファイバや電話線、イーサネット(登録商標)等の有線通信媒体である。また、無線通信媒体であってもよい。
【0075】
充放電制御部422は、充放電判定装置200から充放電指示に関する通信メッセージを受信し、充放電制御を実行することが指示されている場合、電池41(BMU)に対する充放電制御を実行するよう電力供給部421に指示をする。
【0076】
電力供給部421は、充放電制御部422からの指示に基づき、電池41(BMU)に対する電力制御を行う。また、電力供給部421は、直流交流の変換、電力の周波数検出、電圧変動検出や抑制等を行う。
【0077】
図15は、図3のシステムにおける動作を示すシーケンス図である。図3のシステムにおいて、蓄電池システム40は3つ存在するが、代表して一つの蓄電池システムの動作を示すこととする。また、自然エネルギー発電装置30も図示を省略する。
【0078】
充放電判定装置200(EMS20)は、事前に発電所10及び自然エネルギー発電装置50の供給電力の計画値を取得しているものとする。
【0079】
まず、蓄電池システム40の制御部(PCS)42は、CAN43を介して電池41(BMU)に関する電池情報を取得する(S101)。
【0080】
次に、制御部(PCS)42は、通信網90を介して、充放電判定装置(EMS20)に対して、電池情報に係わる通信メッセージを生成して送信する。
【0081】
充放電判定装置200(EMS20)は、電池情報に係わる情報を含む通信メッセージを元に、蓄電池システム40が充放電可能な電力量を算出する(S103)。
【0082】
充放電判定装置200(EMS20)は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30による供給電力の実績値を取得する。そして、充放電判定装置200(EMS20)は、計画値と実績値の差分の絶対値が所定の閾値を超える場合に変動を検出、過不足判定処理に移行する。過不足判定は、計画値-実績値が正であるか負であるかで行う。電力が不足する場合は正であり、超過する場合、負である。
【0083】
次に、充放電判定装置200は、超過若しくは不足を検出すると、充放電を依頼する蓄電池システムを判定する。充放電判定装置200は、事前に取得した発電所10の電力変更のための遅延時間と不足電力若しくは超過電力とから算出する電力量と、充放電可能電力量とを比較して、充放電させる蓄電池システム40を決定する(S105)。
【0084】
充放電判定装置(EMS20)は、通信網90を介して、発電所10に対して、供給電力の「上げ指令」又は「下げ指令」に係る通信メッセージを送信する。図15の例では、「上げ指令」に係る通信メッセージを送信している様子を示している(S106)。ボイラーは、電力の増加のため回転数を増加させる(S107)。
【0085】
充放電判定装置(EMS20)は、S105で決定した充放電させる蓄電池システム40に対して、充放電制御を指示する通信メッセージ送信する。図15の例では、放電指示の通信メッセージを送信している様子を示している(S108)。
【0086】
蓄電池システム40の制御部42は、充放電判定装置(EMS20)から送られた通信メッセージの内容を解析し、電池41に対して充電あるいは放電制御を開始させる(S109)。図15の例では、放電制御を開始する様子を示している。
【0087】
電池41が放電制御することで(S310)、遅延時間の間、前述した不足電力を補う。
【0088】
遅延時間経過後、電池41は放電制御を終了する。また、発電所10は、不足電力分増加した供給電力の供給を開始する。
【0089】
次に、図16及び図17を用いて、充放電判定装置200の詳細動作を説明する。
【0090】
図17は、充電判定装置200の動作を示すフローチャートである。
【0091】
図16は、図3で示すシステムにおいて、不足電力量と充放電電力量との関係を示す図である。
【0092】
図16(a)は、発電所10の供給電力変更のためのボイラー回転変更に要する遅延時間T(単位:時間(h))を示す図である。
【0093】
図16(b)は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30の供給電力の不足電力量(Wh)を示す図である。ここで、不足電力は、計画値と実績値との差分(不足電力L(単位:ワット(W)))と図16(a)で示した遅延時間T(との積で示される。図16(b)において、計画値は実線グラフ、実績値は点線グラフで表されている。
【0094】
図16(c)、(d)は、それぞれ蓄電池システム40A、蓄電池システム40Bの充放電可能電力量(Wh)を示す図である。充放電可能電力量は、出力電力と充放電可能時間の積で表される。図16(c)においては、蓄電池システム40Aにおける放電可能時間をt1(単位:時間(h)) 、放電制御時の出力電力をl1(単位:ワット時(W))であり、放電可能電力量は、t1 ×l1である。また、図16(b)においては、蓄電池システム40Bにおける放電可能時間をt2(単位:時間(h))、蓄電池システム40Bにおける放電制御時の出力電力量をl2(単位:ワット時(W))であり、放電可能電力量は、t2 ×l2である。
【0095】
以下では、図16の状態における、充放電判定装置200の動作を、図17を用いて説明する。
【0096】
まず、充放電判定装置(EMS20)は、蓄電池システム40から電池情報を取得し、発電所10及び自然エネルギー発電装置30の系統情報(供給電力の計画値と実績値と遅延時間を含む情報)を取得する(S201)。電池情報、系統情報のうち、時々刻々と変化する情報については、周期的に取得する。また、電池情報、系統情報のうち、時間とともに変化しない固定情報は、一度取得すれば良い。
【0097】
次に、充放電判定装置200(EMS20)は、供給電力の計画値と実績値との差分の絶対値が特定の閾値を超える場合に変動を検出し(S202)、過不足判定処理に移行する。
【0098】
充放電判定装置200は、過不足判定において(S203)、供給電力の計画値が100kワット(W)で、実績値が80kワット(W)の場合であって、閾値が10kワット(W)の場合、不足と判定する。また、充放電判定装置200は、計画値が100kワット(W)で、実績値が120kワット(W)の場合であって、閾値が10kワット(W)の場合、超過と判定する。
【0099】
前述したように、図16の例においては、供給電力が不足している。供給電力が不足している場合、S204に処理が進む。
【0100】
S204において、充放電判定装置200は、発電所10に対して供給電力を上げることを指示するメッセージである「上げ指令」メッセージを送信する。
【0101】
次に、充放電判定装置200は、放電させる蓄電池システム40を決定する。図16に示したように、発電所10は、供給電力変更のための回転変更に要する遅延時間はTであり、供給電力の計画値と実績値との差である不足電力はLである。したがって、充放電判定装置200は、遅延時間Tの期間、不足電力Lを供給できる蓄電池システム40を放電させる蓄電池システム40として決定する。図16の例では、蓄電池システム40Aは、放電時間t1>遅延時間T及び出力電力l1>不足電力Lという条件を満たす。一方、蓄電池システムは、放電時間t2<遅延時間Tであり、条件を満たさない。したがって、充放電判定装置200は、蓄電池システム40Aに放電させることを決定する(S205)。
【0102】
その後、充放電判定装置200は、蓄電池システム40Aに対して、放電指示に関する通信メッセージを送信する(S206)。蓄電池システム40Aは、放電指示に関する通信メッセージを受信すると、直ちに放電処理を開始、電力系統網90に対する電力供給を実施する。例えば、電力系統網90を介して家110に電力供給をする。
【0103】
尚、以上の例では、供給電力不足時の放電制御(S204205,206)の例を説明したが、供給電力超過時の充電制御(S207,208,209)についても同様の手順で実施することができる。
【0104】
次に、図18を用いて、充放電制御装置420の詳細動作を説明する。
【0105】
図18は、第1の実施形態にかかる充放電制御装置420の動作を示すフローチャートである。
【0106】
充放電制御装置420は、まず、電池41(BMU)から電池情報(定格電圧(単位:ボルト(V))、最大充放電電流(単位:アンペア(A))、SOC(単位:百分率(%)))などの情報を取得する(S301)。次に、充放電制御装置420は、SOCを用いて、SOCに対応付けられた充放電可能時間(単位:時間(h))を算出する。
【0107】
次に、充放電制御装置420は、電池情報(少なくとも最大充放電電流と充放電可能時間を含む情報)を含む通信メッセージを生成し、充放電判定装置200に送信する(S302)。
【0108】
充放電制御装置420は、充放電判定装置200から充放電をするかしないかの判定結果を受信し(S303)、充放電が指示された場合、電池41(BMU)に対する充放電制御を行う(S304)。充放電制御とは、具体的には、電池セルへの電力入出力制御である。
【0109】
以上、第1の実施形態にかかる充放電判定装置200によれば、自然エネルギー発電装置30を電力供給源として電力系統網に組み込んだ場合であっても、停電を防ぎ、電力系統網を安定化させることができる。
【0110】
尚、第1の実施形態の蓄電池電池システム40の一例として、EVシステム50も用いることができる。EVシステム50は、車載用途を主に想定した蓄電池システムである。
【0111】
図19にEVシステム50の構成を示す。EVシステム50は、蓄電池システム40と同様、電池(BMU)41と制御部51を備える構成である。しかし、EVシステムに充電器52(PCS)が接続されている点が、蓄電池システム40と異なる。
【0112】
また、EVシステム50における制御部51は、蓄電池システム40の制御部42と機能が異なる。具体的には、EVシステムにおける制御部51は、制御部42と異なり、電池(BMU)41と充電器52(PCS)間の充電制御及び情報通知の中継を行う機能を備え、EMS20と通信するための通信機能は備えない。蓄電池システム40の制御部42の主機能は、充電器52に移行されている。より具体的には、制御部42の充放電制御装置420の機能は充電器52に設けられている。尚、充電器の充放電制御装置420の機能は、制御部42の充放電制御装置420の機能と同様である。
【0113】
尚、EVシステム50の制御部51を蓄電池システム40の制御部42と同様の機能を備えることとすることもできる。つまり、EVシステム50の制御部51が、制御部42の充放電制御装置420の機能を備える構成としてもよい。
【0114】
また、電池41(BMU)に対する充放電に係わるアルゴリズム処理は制御部に集約する形態、充電器に集約する形態、構内のHEMS60や電力系統網のEMS20に集約する形態等複数存在するが、いずれの形態を用いても本発明は同様の枠組みを用いて実現することが出来る。
【0115】
また、本実施例では、充放電判定装置は、自然エネルギー発電装置30及び発電所10の供給電力の計画値と実績値の差を見て、不足若しくは電力を算出していたが、自然エネルギー発電装置30の供給電力の計画値と実績値の差を見て、不足電力を算出してもよい。供給電力の実績値が計画値と大きく異なることが想定できるのは、自然エネルギー発電装置30の方であるからである。
【0116】
また、本実施例では、自然エネルギー発電装置30及び発電所10の供給電力の計画値と実績値の差を見て、発電所10に供給電力変更を指示し、蓄電池システムに充放電を指示していたが、供給電力でなく一定時間の供給電力量の計画値と実績値の差を見て、判断しても良い。
【0117】
また、本実施例では、充放電させる蓄電池システムを選択する際、蓄電池システムの充放電電力が、不足電力(若しくは超過電力)を上回り、かつ蓄電池システムの充放電可能時間が、発電所10が供給電力にかかるための時間である遅延時間を上回った場合に、蓄電池システムに充放電させる例を示した。しかし、以下の判断方法を用いても良い。例えば、蓄電池システムの充放電可能電力量(充放電可能時間と充放電可能電力との積)が、不足電力量(若しくは超過電力量)(不足電力(若しくは超過電力)と遅延時間の積)を上回る場合がある。また、例えば、蓄電池システムの充放電可能時間が、遅延時間を上回る場合に、充放電を依頼してもよい。この例は、例えば、蓄電池システムの充放電可能電力が不足電力を上回っていることがすでに分かっている場合などである。また、例えば、蓄電池システムの充放電可能電力が、不足電力(若しくは超過電力)を上回る場合に、充放電を依頼してもよい。この例は、例えば、複数の蓄電池システムに充放電を依頼する場合である。この場合、遅延時間を複数の蓄電池システムの充放電可能時間の和が上回っていれば良い。
【0118】
第1の実施形態では、電力消費する消費者として家110を例にしたが、ビルや工場も消費者として存在する例もある。ビルが電力消費する場合、ビル内には、家110が備えるHEMS60の代わりに、BEMS (Building Energy Management System)を備え、BEMSがビル内の電力消費量を制御する役目を担う。また、工場内には、FEMS(Factory Management System)を備え、FEMSが工場内の電力消費量を制御する役目を担う。
【0119】
また、充放電判定装置200の機能は、家庭構内に設置するHEMS60も備えることができる。また、充放電判定装置200の機能は、BEMS、FEMS、スマートメータ50も同様に備えることができる。
【0120】
また、本実施例では、自然エネルギー発電装置30及び発電所10及び家110が一つである例を示したが、それぞれ複数存在してもよい。
【0121】
また、本実施例では、電力供給する自然エネルギー発電装置30及び充放電させる蓄電池システム40は、家110の外にある自然エネルギー発電装置30及び蓄電池システム40を例に説明したが、家110内の自然エネルギー発電装置70及び蓄電池システム80にも同様に適用できる。
【0122】
また、第1の実施形態では、充放電判定装置(EMS20)が充放電を指示する蓄電池システム40は1つの場合の例を提示してきたが、複数の蓄電池システム40に対し同時に充放電を指示する方法を適用出来る。
【0123】
また、本実施例では、電池の充放電可能電力量を求める際、定格電圧、最大充放電電流を用いて算出すると説明したが、必ずしも、これらの電圧を用いなくてもよい。
【0124】
尚、充放電判定装置200は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、供給計画部201、系統情報取得部202、電池情報取得部203、系統情報通信部206、電池情報通信部205、通信部207、判定部203、は、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、充放電判定装置200は、上記のプログラムをコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶して、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。
【0125】
(第2の実施形態)
第2の実施形態にかかるシステムは、図1で示した第1の実施形態と同様のシステムである。第2の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420の構成は、それぞれ第1の実施形態で示した図10、図13の構成と同様である。
【0126】
第2の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420は、第1の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420と一部機能が異なる。以下では、一部機能が異なる点を中心として説明する。
【0127】
第2の実施形態にかかる充放電判定装置200(EMS20)は、充放電させる蓄電池システム40を選択する際、第1の実施形態にかかる充放電判定装置200の判定基準(蓄電池システムの充放電可能電力量と供給電力の不足若しくは超過電力量との対比)に加えて、蓄電池システム40の電池寿命(ライフサイクル)を考慮して、蓄電池システム40を選択する。
【0128】
以下では、蓄電池システム40の選択の際、長寿命化を考慮して選択する方法の概要を説明する。
【0129】
蓄電池システム40は、一般に、充放電を行う際、電池41(BMU)内の電池セルを完全充電(SOCが100%)あるいは完全放電(SOCが0%)させるより、電池セルの特性に応じた最適充電率の範囲内(上限をα%、下限をβ%としてα%とβ%の範囲内に収まるか否か)で充放電制御を行う方が、長寿命化が実現出来る。
【0130】
したがって、本実施例では、充放電させる蓄電池システム40の選択の際、蓄電池システム40が充放電後も、充電率が最適充電率の範囲内に収まる蓄電池システムを選択する。
【0131】
例えば、充放電判定装置200は、図11で示した電池情報の通信メッセージを取得すると、供給電力の過不足の電力量に加えて、蓄電池システム40の定格容量、定格電圧、最大充放電電流、現時点の充電率を元に、充放電後の予測充電率を算出する。また、充放電判定装置200は、蓄電池システム40の最適充電率の範囲を取得し、予測充電率が最適充電率の範囲内にある蓄電池システム40を充放電させる蓄電池システム40として選択する。ここで、最適充放電率の範囲は蓄電池システム40毎に固有な値である。
【0132】
図20は、蓄電池システム40が充放電判定装置(EMS20)に送信する最適充放電率の範囲に係る通信メッセージの一例である。図20の通信メッセージは、TCP/IPヘッダ、識別子、最適充電率上限、最適充電率下限の情報で構成される。最適充電率上限(単位:百分率(%))と最適充電率下限(単位:百分率(%))は、各々後述する図21におけるβ%、α%に対応する。尚、図20の通信メッセージは、図11で示した通信メッセージと別々のメッセージとして取得してもよいが、一つのメッセージとして取得してもよい。
【0133】
図21の例を用いて説明する。
【0134】
図21は、蓄電池システム40の充放電前後の充電率と充放電後の予測充電率させる蓄電池システム40との対応関係を示した図である。
【0135】
図21の例においては、最適充電率の範囲は、上限がβ%であり、下限が、α%である。図21で示したように、充放電前の充電率にかかわらず、充放電後の予測充電率(SOC)が最適充電率の範囲内に含まれる場合、充放電させ、含まれない場合、充放電させない。
【0136】
図22は、第2の実施形態にかかる充放電判定装置200(EMS20)の動作を示すフローチャートである。図22において、図17と同様な動作は、同じ符号で示し、異なる動作は、異なる符号で示した。
【0137】
S401において、電池情報と系統情報を取得する点は、第1の実施例でのS201と同様である。S401の動作においては、電池情報として、更に電池の最適充電率の範囲を取得する。
【0138】
また、S402においては、第1の実施形態でのS205と同様、放電させる蓄電池システムを決定する。また、蓄電池システムの決定の際、放電可能時間が遅延時間より長いこと、出力電力が不足電力より大きいことを見る点は共通である。第2の実施形態でのS402では更に、予測充電率が最適充電率の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にある蓄電池システム40を放電させる蓄電池システム40として決定する。図23に、図3のシステムに存在する蓄電池システム40A,B,Cそれぞれの放電前後の充電率が、最適充電率の範囲内にあるか否かを示した図である。図23の例では、蓄電池システム40Aの放電後の充電率(予測充電率)が範囲内にある。したがって、蓄電池システム40Aを放電させる蓄電池システムとする。
【0139】
S403においても、充電させる蓄電池システム40の決定の際、充電可能時間と充電可能電力量だけでなく、予測充電率が最適充電率の範囲内にあるか否かを判定している点は同様である。その他の動作は、図17と同様であるため、説明を省略する。
【0140】
一般に、定置型用途の蓄電池システムは導入コストが高く、電池寿命による頻繁なリプレースは避けることが好ましい。第2の実施形態にかかる充放電判定装置200によれば、蓄電池システム40内の電池41(BMU)の電池寿命を延ばすことができ、交換期間を延ばすことが出来、電力系統網から家に至る電力インフラの運用コストを削減することが可能となる。
【0141】
(変形例)
本発明の第2の実施形態の変形例は、蓄電池システム40が、最適充電率の範囲を基に、最適充電率の範囲内での充放電可能電力及び充放電可能時間を算出する。
【0142】
蓄電池システム40は、例えば、蓄電池システム40の現時点の充電率が50%で、最適充電率の上限が80%で、最適充電率の下限が20%の場合、充放電判定装置(EMS20)に送信する電池情報を補正する。第1の実施例では、50%分完全放電する場合の充放電可能電力と充放電可能時間を通知していたが、第2の実施例の変形例では、現時点での充電率と最適充電率の下限20%との差分である30%分を放電する際の放電可能電力と放電可能時間を通知する。図24に、本変形例で、蓄電池システム40が、電池情報として通知するメッセージの例を示す。
【0143】
充放電判定装置200は、充放電制御装置420から、最適充電率の範囲を考慮して補正された充放電可能電力と充放電可能時間を取得すること以外は、第1の実施形態と同様の動作で、充放電を実行させる蓄電池システム40を決定することができる。
【0144】
尚、本変形例においては、電池情報として、最適充電率の範囲を考慮した充放電可能電力と充放電可能時間を通知する例を示したが、最適充電率の範囲を考慮した充放電可能電力量を通知してもよい。この場合も、充放電判定装置200は、充放電制御装置420から、最適充電率の範囲を考慮して補正された充放電可能電力量を取得すること以外は、第1の実施形態と同様の動作で、充放電を実行させる蓄電池システム40を決定することができる。
【0145】
(第3の実施形態)
第3の実施形態にかかるシステムは、図1で示した第1の実施形態と同様のシステムである。第3の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420の構成は、それぞれ第1の実施形態で示した図10、図13の構成と同様である。
【0146】
第3の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420は、第1の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420と一部機能が異なる。以下では、一部機能が異なる点を中心として説明する。
【0147】
第3の実施形態にかかる充放電判定装置200(EMS20)は、充放電させる蓄電池システム40を選択する際、第1の実施形態にかかる充放電判定装置200の判定基準(蓄電池システムの充放電可能電力量と供給電力の不足若しくは超過電力量との対比)に加えて、蓄電池システム40の電池寿命(ライフサイクル)を考慮して、蓄電池システム40を選択する。
【0148】
以下では、蓄電池システム40の選択の際、長寿命化を考慮して選択する方法の概要を説明する。
【0149】
蓄電池システム40を長寿命化させるために、本実施例では、蓄電池システム40の充放電の実施回数と、蓄電池を長寿命化させるための最適充放電回数の上限とを元に、充放電させる蓄電池システム40を判定する。
【0150】
蓄電池システム40の電池は、種別に応じて充放電可能な上限回数である寿命回数が定められている。
【0151】
したがって、蓄電池システム40のうち、過去の充放電の実施回数が寿命回数に近い電池より、実施回数が寿命回数より遠い電池を選択する方が長寿命化の観点で望ましい。
【0152】
本実施例では、蓄電池システム40の寿命回数に応じて寿命回数より小さい回数である最適充放電回数の上限を定める。例えば、ある電池の充放電の寿命回数が8000回である場合、長寿命化のための最適充放電回数の上限を5000回とする。
【0153】
充放電判定装置200は、充放電させる蓄電池システム40の充放電の実施回数が、最適充放電回数の上限以内である場合、当該蓄電池システム40に充放電を実行させる。一方、実施回数が、最適充放電回数の上限より大きい場合、当該蓄電池システム40に充放電を実行させない。例えば、最適充放電回数の上限が5000回の場合であって、蓄電池システム40の実行回数の履歴が6000回の場合は充放電を禁止、実行回数の履歴が4000回の場合は充放電を許可する。
【0154】
第3の実施形態にかかる充放電判定装置200によれば、蓄電池システム40内の電池41(BMU)の電池寿命を延ばすことができ、交換期間を延ばすことが出来、電力系統網から家に至る電力インフラの運用コストを削減することが可能となる。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0156】
以上説明した本実施形態によれば、自然エネルギーを電力供給源として電力系統網に組み込んだ場合に、電力系統網を安定化させることができる充放電判定装置を提供することができる。より具体的には、充放電を行うべき蓄電池を適切に判定することができ、電力系統網の停電事故を防止することができる。
【符号の説明】
【0157】
10・・・発電所、20・・・EMS、30、70・・・自然エネルギー発電装置、40,40A、40B、40C、80・・・蓄電池システム、50・・・スマートメータ、60・・・HEMS、90・・・通信網、100・・・電力系統網、110・・・家、40・・・蓄電池システム、41・・・電池、42、51・・・制御部、43・・・CAN、200・・・充放電判定装置、201・・・供給計画部、202・・・電池情報取得部、203・・・判定部、204・・・系統情報取得部、205・・・電池情報通信部、206・・・系統情報通信部、207・・・通信部、420・・・充放電制御装置、421・・・電力供給部、422・・・充放電制御部、423・・・電池情報通信部、424・・・電池情報取得部、425・・・第二通信部、426・・・第一通信部、50・・・EVシステム、52・・・充電器。
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、充放電判定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力供給源として発電所とともに自然エネルギーが大きな電力供給源となっている。
【0003】
自然エネルギーは電力供給の出力変動が大きい。例えば、太陽光発電において天候が悪い場合や、風力発電において風が吹かない場合は自然エネルギーの発電量が少なくなる。例えば、自然エネルギーの電力供給量が急激に下がった場合、電力系統網としての電力供給量の実績値は、計画値より大幅に低い値となる。
【0004】
このような場合、計画値と実績値とを合わせるために、電力事業者の給電指令所を通じて発電所の供給量を変更させる必要がある。発電所の供給量を変更するためには、ボイラーの回転数を変更する必要がある。変更を指示してから、ボイラーが変更後の回転数とするまでには、一定時間が必要となる。変更を指示してから、指示反映までの間には、電力供給量が計画値より低い値となってしまい、停電事故につながるおそれがある。
【0005】
それを防ぐためには、不足分の電力量を、たとえば蓄電池システムが供給する電力で補うことになる。
【0006】
複数種類の蓄電池システム群が存在する場合、システムによって充電残量の状態が異なる。したがって、例えば、選択した蓄電池システムの充電残量が、ボイラーの回転数を変更するために要する時間内で必要な電力量を、下回る可能性があった。つまり、蓄電池システムに切り替えたとしても停電事故等を起こす虞があり、電力系統網が不安定であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4347277号公報
【特許文献2】特開2007-110809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一側面は、自然エネルギーを電力供給源として電力系統網に組み込んだ場合に、電力系統網を安定化させることができる充放電判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点による充放電判定装置は、自然エネルギー発電装置と電力発電所と複数の蓄電池を管理する装置であって、前記自然エネルギー発電装置が実際に供給した電力の値である実績値を取得する系統情報取得部と、前記複数の蓄電池から、前記蓄電池が充放電可能とする電力量を求めることが可能な情報である充放電電力量情報を取得する電池情報取得部と、前記自然エネルギー発電装置が供給する電力の予測値である計画値と前記実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、前記電力発電所に対して供給電力を変更する指示メッセージを送信すると共に、前記電力発電所の供給電力を変更するために要する遅延時間及び前記計画値と前記実績値との差から求められる不足電力量若しくは超過電力量と前記複数の蓄電池各々の前記充放電電力量情報から求まる充放電電力量とを比べて、前記複数の蓄電池のうち、前記充放電電力量が前記不足電力量若しくは前記超過電力量を上回る蓄電池を充放電を行うべき蓄電池と判定する判定部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるシステムを示す図。
【図2】1実施形態にかかる蓄電池システムを示すブロック図。
【図3】1実施形態にかかるシステムであって、蓄電池システムが複数ある図。
【図4】第1の実施形態にかかる「上げ指令」に関する通信メッセージ。
【図5】第1の実施形態にかかる「下げ指令」に関する通信メッセージ。
【図6】第1の実施形態にかかる放電指示に関する通信メッセージ。
【図7】第1の実施形態にかかる充電指示に関する通信メッセージ。
【図8】第1の実施形態にかかる放電指示に関する通信メッセージ。
【図9】第1の実施形態にかかる充電指示に関する通信メッセージ。
【図10】第1の実施形態にかかる充放電判定装置を示すブロック図。
【図11】第1の実施形態にかかる電池情報に関する通信メッセージ。
【図12】第1の実施形態にかかる電池情報に関する通信メッセージ。
【図13】第1の実施形態にかかる充放電制御装置のブロック図。
【図14】SOCから充放電可能時間を求めるための図。
【図15】第1の実施形態にかかるシステムの動作シーケンス図。
【図16】図3で示すシステムにおいて、不足電力量と充放電電力量との関係を示す図。
【図17】第1の実施形態にかかる充放電判定装置の動作フローチャート。
【図18】第1の実施形態にかかる充放電制御装置の動作を示すフローチャート。
【図19】EVシステムのブロック図。
【図20】第2の実施形態において、蓄電池システムが充放電判定装置に送信する最適充放電率の範囲に係る通信メッセージ。
【図21】本発明の第2の実施形態において、蓄電池システムの充放電前後の充電率と充放電させる蓄電池システムとの対応関係を示した図。
【図22】第2の実施形態にかかる充放電判定装置の動作を示すフローチャート。
【図23】蓄電池システム40A,B,Cそれぞれの放電前後の充電率が、最適充電率の範囲内にあるか否かを示した図。
【図24】。第2の実施形態の第1変形例で、蓄電池システムが、電池情報として通知するメッセージ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかるシステムを示す図である。
【0013】
第1の実施形態にかかるシステムは、発電所10(給電指令所)と、EMS20(Energy Management System)と、自然エネルギー発電装置30と、蓄電池システム40と、家110とを備える。家110は、スマートメータ50と、HEMS60(Home Energy Management System)と、自然エネルギー発電装置70と、蓄電池システム80とを備える。
【0014】
発電所10(給電指令所)と、EMS20(Energy Management System)と、自然エネルギー発電装置30と、蓄電池システム40と家110は電力系統網100及び通信網90によって互いに接続されている。
【0015】
家110内でも、スマートメータ50と、HEMS60(Home Energy Management System)と、自然エネルギー発電装置70と、蓄電池システム80とは互いに電力系統網100及び通信網90によって接続されている。
【0016】
発電所10(給電指令所)は、火力や原子力等の動力によって電力を生成し、電力を、電力系統網100を介して家110に供給する。
【0017】
自然エネルギー発電装置30は、風力や太陽光といった自然界に存在するエネルギーを元に電力を生成し、電力を、電力系統網100を介して家10に供給する。本実施例のシステムは、このように自然エネルギー発電装置30が電力を供給するため、発電所10の負担を減らして効率的に運用させることが出来る。
【0018】
蓄電池システム40は、発電所10や自然エネルギー発電装置30が生成した電力の内、余剰電力を貯蔵する。30余剰電力は、発電所10(給電指令所)及び自然エネルギー発電装置30が生成した電力のうち、電力系統網100を介して電力の需要者に供給されずに余った電力である。例えば、本実施例では、需用者は家110である。また、蓄電池システム40は、貯蔵した電力を家110に供給する。蓄電池システム40は、図2に示すように、電池41(BMU: Battery Management Unit)と制御部42とを備える構成である。また、制御部42は、充放電制御装置420を備える。電池41(BMU)、制御部42、充放電制御装置420については後述する。
【0019】
EMS20は、図1のシステム全体を制御するものである。具体的には、発電所10や自然エネルギー発電装置30が供給する供給電力の制御と、家110で消費する負荷電力の制御と、蓄電池システム40に貯蔵させる余剰電力の制御とを、電力系統網100及び通信網90を介して行う。
【0020】
また、EMS20は、後述する充放電判定装置200である。充放電判定装置200は、発電所10や自然エネルギー発電装置30が供給する電力(実績値)と、供給すると計画していた供給電力(計画値)との差の絶対値が所定の閾値を上回った場合に、発電所10に対して供給電力を上げる指示を出すとともに、当該差の分の電力を充放電させる蓄電池システム40を決定し、充放電させる。充放電判定装置200の詳細な構成及び機能は後述する。
【0021】
スマートメータ50は、家110内に位置する。スマートメータ50は、家110内で消費した電力量を計測し、定期的に電力事業者の管理サーバに通知する。一般に当該電力事業者の管理サーバはMDMS (Metering Data Management System)と呼ばれるが、図1中では図示を省略している。EMS20はMDMSと連携して、家110の消費電力量の総量を算出する。
【0022】
自然エネルギー発電装置30は、家110内に位置する自然エネルギー発電装置である。風力や太陽光といった自然界に存在するエネルギーを元に電力を生成する。生成された電力は、家100内で消費、若しくは蓄電池システム80に貯蔵される。
【0023】
蓄電池システム80は、家110内に位置する蓄電池システムである。蓄電池システム80は、家内にあることが蓄電池システム40と異なり、機能は同様である。蓄電池システム110は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30から供給された電力の一部、または家70内の自然エネルギー発電装置70が生成した電力を貯蔵する。
【0024】
HEMS60は、家110内の消費電力量を調整制御する。
【0025】
図1では、発電所10(給電指令所)、EMS20、自然エネルギー発電装置30、蓄電池システム40、家110がそれぞれ一つである例を示したが、複数あってもよい。
【0026】
図3に、蓄電池システム40が複数ある例を示す。尚、図3では、家110の図示を省略している。以下では、蓄電池システム40が複数ある例をもって説明する。
【0027】
EMS20の主な役割は、自然エネルギー発電装置30の電力供給が変動した場合に停電を防ぐことである。EMS20は、供給電力の不足もしくは超過を検出した場合、通信網を介して、供給電力の不足若しくは超過を発電所10に通知する。供給が少ない場合は「上げ指令」通信メッセージを送信し、供給電力が多い場合は「下げ指令」通信メッセージを送信する。図4及び図5に通信メッセージの例を示す。発電所10は、通信メッセージを受信すると、自然エネルギー発電装置30の供給電力の不足若しくは超過と合わせて、発電所10のボイラー回転数の変更制御を開始する。発電所10が、ボイラー回転の回転数を変更するためには一定時間を要する。この間、発電所10と自然エネルギー発電装置30が供給する供給電力は、計画値より超過若しくは不足となってしまう。その結果、このままでは、停電が発生してしまう。そこで、蓄電池システム40に不足若しくは超過分を充放電させることで、停電を防ぐ。
【0028】
EMS20は、供給電力の計画値と実績値との差が大きい場合に、発電所10に供給電力の「上げ指令」若しくは「下げ指令」を通知するとともに、発電所10の供給電力変更に要する時間、不足若しくは超過電力を供給できる蓄電池システム40を選択して充放電させる装置である。
【0029】
一般に、蓄電池システム40の充放電可能な電力量は時間によって変化する。電池セルは自然放電によって貯蔵電力量が減少する特徴があるためである。また、蓄電池システム40は、電力事業者だけでなく、地域のインフラを管理する事業者や、インフラを利用する需要家によって共用されることが想定できるためである。
【0030】
したがって、EMS20は、通信網90を通じて、蓄電池システム40の電池41(BMU)をリアルタイムに監視、状態把握を実施して、発電所10の供給電力変更に要する時間及び不足若しくは超過電力と照らし合わせて、充放電可能な蓄電池システム40を選択する。
【0031】
EMS20は、充放電させる蓄電池システム40を決めると、当該蓄電池システム40に対して充放電開始指示に関する通信メッセージを送信する。蓄電池システム40の制御部(PCS: Power Conditioning System)42は通信メッセージを受信すると、充放電を開始して電力供給の安定化を支援する制御を直ちに行う。このようなEMS20が蓄電池システム40に送信する通信メッセージの構成を図6~9に示す。
【0032】
図10は、EMS20として動作する充放電判定装置200の一例を示すブロック図である。
【0033】
充放電判定装置200は、供給計画部201と、系統情報取得部202と、電池情報取得部203と、系統情報通信部206と、電池情報通信部205と、通信部207と、判定部203とを備える。
【0034】
供給計画部201は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30による供給電力の計画値を管理する。ここで、供給電力の計画値とは、今後供給されると予測される供給電力である。供給電力の計画値は、例えば、同時刻の過去に実際に供給した電力から予測算出する。また、自然エネルギー発電装置30の供給電力の計画値は、自然エネルギー発電時の気象予測を元に算出する方法もある。供給計画部201は、また、発電所10が供給電力を変更するために要する時間である遅延時間を算出するための情報を管理する。遅延時間を算出するための情報とは、遅延時間そのものであってもよい。ここで、遅延時間とは、例えば、発電所10が、供給電力を変更するために、ボイラーの回転数を変更するために要する時間である。例えば、回転変更を指示してから、指示反映までの時間である。
【0035】
系統情報取得部202は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30が、家110に供給する供給電力の実績値を取得する。ここで、供給する電力の実績値とは、発電所10及び自然エネルギー発電装置30が実際に供給している供給電力の値である。系統情報取得部202は、供給電力の実績値をリアルタイムに取得する。系統情報取得部202は、実績値を、例えば、通信網90を介して、発電所10及び自然エネルギー発電装置30からの通信メッセージにより取得する。また、系統情報取得部202は、実績値を、電力系統網100を介して、周波数変動や電圧変動の監視を元に電力量を算出することもできる。
【0036】
系統情報通信部206は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30からの通信メッセージの受信処理を行う。通信メッセージとしては、例えばIEC 61850等の電力情報用通信プロトコルが使用される。また、系統情報通信部206は、MDMSやスマートメータ50と通信を行うこともある。例えば、上述した計画値及び実績値の際、家110の消費電力を加味して算出する場合である。この場合、系統情報通信部206は、MDMSやスマートメータ50と、例えば、ANSI C12.19/22等の遠隔検針用通信プロトコルを用いて通信する。
【0037】
電池情報取得部203は、蓄電池システム40から、蓄電池システム40内の電池41(BMU)に関する情報(伊以下、電池情報と称する。)の通信メッセージを取得する。電池情報としては、例えば、定格容量(単位:アンペア時間(Ah))、定格電圧(単位:ボルト(V))、最大充放電電流(単位:アンペア(A))、充電率SOC(単位:パーセント(%)を含む。電池情報としては、少なくとも電池41の充放電可能電力量を算出するための情報を含む。具体的には、定格電圧(単位:ボルト(V))、最大充放電電流(単位:アンペア(A))、充電率SOC(単位:パーセント(%)である。また、充電率SOCの代わりに、SOCから求まる充放電可能時間を含めてもよい。
【0038】
図11及び12は蓄電池システム40(内の充放電制御装置420)が生成して、充放電判定装置200に送信する電池情報を含む通信メッセージである。
【0039】
図11に示すように、電池情報を含む通信メッセージは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)ヘッダ、識別子、定格容量、定格電圧、最大充電電流、最大放電電流、充電率(SOC)の情報を含む。
【0040】
TCP/IPヘッダは、インターネットやイントラネットで標準的に使用されるTCP/IPプロトコルの通信制御情報である。識別子は、蓄電池システムを一意に特定するための情報で、製造番号等の情報を用いる。定格容量(単位:アンペア時間(Ah))は、既定の温度、放電電流及び終始電圧で完全充電状態から取り出せる電気量の基準値である。定格電圧(単位:ボルト(V))は、電池電圧の表示に用いられる電圧情報で、JISD0114(電気自動車用語(電池))の例では公称電圧と表示されている。
【0041】
一般的な定電流充電方式においては、後述する充電率(SOC)が所定の閾値に達するまで、電池パック内の電池セルに流入する電流は一定の線形状態で推移する。この電流の充電時における最大値を最大充電電流(単位:アンペア(A))、放電時における最大値を最大放電電流(単位:アンペア(A))と定める。電池41に関するメッセージとしては、更に、SOCに対応付けられた充放電可能時間を付加してもよい。この充放電可能時間についての詳細は後述する。
【0042】
電池情報取得部203は、通信メッセージに含まれる情報から、当該蓄電池システム40が、充放電可能な電力(単位:ワット(W))や充放電可能な電力量(単位:ワット時(Wh))を算出する。
【0043】
また、電池情報を含む通信メッセージは、充放電可能電力を含む情報であってもよいし、充放電可能電力量を含む情報であってもよい。蓄電池システム40内の充放電制御装置420が、充放電可能電力や充放電可能電力量を算出した場合である。通信メッセージの例を、図12に示す。
【0044】
電池情報通信部205は蓄電池システム40内の充放電制御装置420が送信した電池情報を含む通信メッセージの受信処理を行う。
【0045】
通信部207は、例えば、光ファイバや電話線、イーサネット(登録商標)等の有線通信媒体によって実現される。尚、通信部207は有線通信媒体に限られない。
【0046】
判定部203は、供給電力の計画値と実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、発電所に対して供給電力を変更する指示メッセージを送信すると共に、計画値と実績値との差及び遅延時間から求められる不足電力量若しくは超過電力量と複数の蓄電池システム各々の充放電可能電力量とを比べて、複数の蓄電池システムのうち、充放電可能電力量が不足電力量若しくは超過電力量を上回る蓄電池を充放電を行うべき蓄電池システムと判定する。また、充放電を行うべき蓄電池システムに対して充放電させる。尚、判定部203は、不足若しくは超過電力と蓄電池システム40の充放電可能電力との大小関係を比較し、更に、遅延時間と蓄電池システム40の充放電可能時間との大小関係を比較して、充放電させる蓄電池システム40を決定しても良い。
【0047】
図4及び5に、充放電判定装置(EMS20)が、発電所10(給電指令所)に対して送信する供給電力を変更する指示メッセージを示す。図4は、「上げ指令」に関する通信メッセージであり、TCP/IPヘッダ、不足電力量(単位:ワット時(Wh))の情報を含む。図5は、「下げ指令」に関する通信メッセージであり、TCP/IPヘッダ、超過電力量(単位:ワット時(Wh))の情報を含む。
【0048】
前述のように、発電所10では、充放電判定装置200(EMS20)からの「上げ指令」「下げ指令」通信メッセージを受信した際、不足電力量に対応したタービン回転数増、超過電力量に対応したタービン回転数減の制御を開始する。
【0049】
図6〜図9は、充放電を行うべき蓄電池システムに対して充放電させる際に、充放電判定装置(EMS20)が蓄電池システム40に送信する充放電開始指示に関する通信メッセージである。
【0050】
図6の放電指示に関する通信メッセージは、TCP/IPヘッダ、識別子、要求放電電圧、要求放電電流、要求放電時間の情報を含む。TCP/IPヘッダ及び識別子は図11及び12の通信メッセージの情報と同義である。要求放電電圧(単位:ボルト(V))、要求放電電流(単位:アンペア(A))は、各々定格電圧、最大放電電流の値より小さいものとする。要求放電電圧と要求放電電流と要求放電時間(単位:時間(h))の積によって要求放電電力量(単位:ワット時(Wh))が算出出来る。
【0051】
図8は、充放電判定装置(EMS20)が算出した要求放電電力量を含む通信メッセージを生成したものである。本発明の実施において、図6及び図8の通信メッセージはいずれの方法を用いても良い。図7の充電指示に関する通信メッセージは、TCP/IPヘッダ、識別子、要求充電電圧、要求充電電流、要求充電時間の情報を含む。要求充電電圧(単位:ボルト(V))、要求充電電流(単位:アンペア(A))は、各々定格電圧、最大充電電流の値より小さいものとする。要求充電電圧と要求充電電流と要求充電時間(単位:時間(h))の積によって要求充電電力量(単位:ワット時(Wh))が算出出来る。
【0052】
図9は、充放電判定装置(EMS20)が算出した要求放電電力量の情報を元に通信メッセージを生成したものである。本発明の実施において、図7及び図9の通信メッセージはいずれの方法を用いても良い。また、図6、7のような詳細情報を扱う通信メッセージでは、単位時間(秒単位、分単位、時間単位)毎に、要求充放電電圧及び要求充放電電流を対応させて複数情報を集約して記載する方法を適用しても良い。例えば、充電指示の場合、情報1(70V、40A、1分間)、情報2(50V、30A、1分間)と時系列上に詳細情報を指定する方法が考えうる。最終的には要求充電電力量に帰着するため、いずれの方法を適用しても良い。これらの通信メッセージは、充電制御装置として動作する蓄電池システム40の電池情報通信部423、充放電判定装置として動作するEMS20の電池情報通信部205が取り扱う。
【0053】
図2は、蓄電池システム40のブロック図である。
【0054】
蓄電池システム40は、電池41(BMU)及び制御部42(PCS)を備える。
【0055】
電池41(BMU)は、複数の電池セルを備える電池パックと、電池セルを備える電池パックの状態を管理する内部プロセッサとを備える。電池41(BMU)は、制御部(PCS)42からの充放電指示に基づいて電力の充放電を行う。
【0056】
電池41(BMU)は、制御部42に対して、電池41の電池情報(定格電圧や充放電時の最大電流値、SOC(State Of Charge:充電率)、SOH(State Of Health:寿命率)など)を通知する。
【0057】
制御部(PCS)42は、後述する充放電制御装置420の機能を備える。
【0058】
制御部(PCS)42は、電池41(BMU)に対して、充放電制御を行うとともに、情報の送受信を行う。電池41(BMU)との情報通信には、例えば、CAN43(Controller Area Network)を用いる。尚、情報通信には、イーサネット(登録商標)等の通信媒体なども用いることができる。
【0059】
制御部(PCS)42は、EMS20と通信する。制御部(PCS)42は、EMS20に対して、通信網90を介して、電池41(BMU)に関する電池情報を送信する。制御部(PCS)42が、通信網90を介して、電池41(BMU)に関する情報を送信するため、時々刻々と変化する、電池41(BMU)の状態をリアルタイムに通知できる。
【0060】
EMS20は、通信網90を介して、電池41の状態の情報を取得できるため、リアルタイムに把握でき、電池41の状態を適切に把握できる。これによって、EMS20は適切に充放電させるべく蓄電池システム40を判定することができる。
【0061】
制御部(PCS)42は、さらに、電池が充放電する電力の直流交流変換や電圧変動抑制を行う。直流交流変換や電圧変動抑制は、PCSに接続した外部プロセッサ上で実現してもよい。
【0062】
図13は、第1の実施形態にかかる充放電制御装置420のブロック図である。
【0063】
充放電制御装置420は、制御部(PCS)42が含む機能である。
【0064】
充放電制御装置420は、電池41(BMU)に関する電池情報を充放電判定装置200に送信するとともに、充放電判定装置200の指示により、電池41(BMU)の充放電制御を行う。
【0065】
充放電制御装置420は、電力供給部421と、充放電制御部422と、電池情報取得部424と、電池情報通信部423と、第一通信部426と、第二通信部425とを備える。
【0066】
第二通信部425は、電池41(BMU)と通信を行うインターフェースである。例えば、電池41(BMU)の標準的なインターフェース規格であるCAN43である。また、イーサネット(登録商標)等の通信媒体でも良い。
【0067】
電池情報取得部424は、第二通信部425を介して、電池41(BMU)に関する電池情報を取得する。電池情報取得部424は、少なくとも、電池41の充放電可能電力量を求めるための情報(最大充放電電流、定格電圧、SOC)を取得する。ここで、電池情報は、固有の固定情報である特性情報(定格電圧、定格容量、充放電終始電圧、上限温度、下限温度、最大充放電電流等)がある。また、電池情報は、電池41(BMU)動作時に時々刻々と変化する変動情報である状態情報(SOH、SOC、充放電電流、充放電電圧)がある。まここで、を定期的に取得する。ここで、特性情報は、時間により変化しない情報であり、状態情報は、時間により変化する情報である。電池情報取得部424は、少なくとも変動情報は、定期的に取得する。
【0068】
また、電池情報取得部424は、取得したSOCをもとに、電池41(BMU)の充放電可能時間(単位:時間(h)を算出する。例えば、図14のグラフを用いて求める。一般的な充電方式である定電流充電方式では、SOCが所定の閾値に達するまで、電池41(BMU)が入出力する電流は一定値となる。この一定値は、電池41の特性情報である最大充放電電流である。定電流充電では、SOCが所定の閾値を超えた後は充電に必要な電流量が極小化する。
【0069】
例えば、図14の例のように、電池41(BMU)の入出力する電流の値が最大充放電電流で維持されるSOCが、0%から90%であるとする。また、現在のSOCを50%であるとする(図14で△で示した位置。)。そして、SOCが、残り40%分の充電を行うために必要な時間を、図の実線矢印で示す充電可能時間として推定することが出来る。また、同条件において50%分の放電を行うために必要な時間を放電可能時間として推定することが出来る。尚、電流の値が最大充放電電流で維持されるSOCは、電池の種類によって異なり、0%や90%に限られない、
充放電制御装置420は、電池41(BMU)からSOCの値を取得することで、SOCに対応付けられた充電可能時間及び放電可能時間(グラフの横軸)、充放電に必要な最大充放電電流(グラフの縦軸)を求めることができる。
【0070】
また、電池情報取得部424は、算出した充放電可能時間と定格電圧と最大充電電流との積を実行し、充放電可能電力量(単位:ワット時(Wh))を算出することもできる。また、充放電可能電力も算出する。
【0071】
電池情報通信部423は、電池41(BMU)に関する充電池情報を含む通信メッセージを生成し、第一通信部426を介して充放電判定装置200に対して送信する。通信メッセージは、例えば、図11に示すように、定格電圧、最大充放電電流、SOC(充電率)を含む情報である。この場合、前述した充放電可能時間は、充放電判定装置200が、SOCをもとに算出する。また、充放電判定装置200が、定格電圧、最大充放電電流、充放電可能時間を基に充放電可能電力量を算出する。
【0072】
また、通信メッセージは、図12に示すように、充放電可能電力量を含むメッセージでもよい。また、充放電可能電力を含むメッセージでも良い。この場合、充放電可能時間、充放電可能電力量及び充放電可能電力を、充放電制御装置420が算出する。
【0073】
電池情報通信部423は、前述した通信メッセージは、一度だけでなく、周期的に、あるいは充放電判定装置200からの要求に基づいて通知する。前述したように、電池セルは自然放電する特徴を持つことため、SOCや、SOCを基に算出される充放電可能電力量は、時々刻々と変化するためである。
【0074】
第一通信部426は、通信網90を介して充放電判定装置200に接続されている。第一通信部426は、例えば、光ファイバや電話線、イーサネット(登録商標)等の有線通信媒体である。また、無線通信媒体であってもよい。
【0075】
充放電制御部422は、充放電判定装置200から充放電指示に関する通信メッセージを受信し、充放電制御を実行することが指示されている場合、電池41(BMU)に対する充放電制御を実行するよう電力供給部421に指示をする。
【0076】
電力供給部421は、充放電制御部422からの指示に基づき、電池41(BMU)に対する電力制御を行う。また、電力供給部421は、直流交流の変換、電力の周波数検出、電圧変動検出や抑制等を行う。
【0077】
図15は、図3のシステムにおける動作を示すシーケンス図である。図3のシステムにおいて、蓄電池システム40は3つ存在するが、代表して一つの蓄電池システムの動作を示すこととする。また、自然エネルギー発電装置30も図示を省略する。
【0078】
充放電判定装置200(EMS20)は、事前に発電所10及び自然エネルギー発電装置50の供給電力の計画値を取得しているものとする。
【0079】
まず、蓄電池システム40の制御部(PCS)42は、CAN43を介して電池41(BMU)に関する電池情報を取得する(S101)。
【0080】
次に、制御部(PCS)42は、通信網90を介して、充放電判定装置(EMS20)に対して、電池情報に係わる通信メッセージを生成して送信する。
【0081】
充放電判定装置200(EMS20)は、電池情報に係わる情報を含む通信メッセージを元に、蓄電池システム40が充放電可能な電力量を算出する(S103)。
【0082】
充放電判定装置200(EMS20)は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30による供給電力の実績値を取得する。そして、充放電判定装置200(EMS20)は、計画値と実績値の差分の絶対値が所定の閾値を超える場合に変動を検出、過不足判定処理に移行する。過不足判定は、計画値-実績値が正であるか負であるかで行う。電力が不足する場合は正であり、超過する場合、負である。
【0083】
次に、充放電判定装置200は、超過若しくは不足を検出すると、充放電を依頼する蓄電池システムを判定する。充放電判定装置200は、事前に取得した発電所10の電力変更のための遅延時間と不足電力若しくは超過電力とから算出する電力量と、充放電可能電力量とを比較して、充放電させる蓄電池システム40を決定する(S105)。
【0084】
充放電判定装置(EMS20)は、通信網90を介して、発電所10に対して、供給電力の「上げ指令」又は「下げ指令」に係る通信メッセージを送信する。図15の例では、「上げ指令」に係る通信メッセージを送信している様子を示している(S106)。ボイラーは、電力の増加のため回転数を増加させる(S107)。
【0085】
充放電判定装置(EMS20)は、S105で決定した充放電させる蓄電池システム40に対して、充放電制御を指示する通信メッセージ送信する。図15の例では、放電指示の通信メッセージを送信している様子を示している(S108)。
【0086】
蓄電池システム40の制御部42は、充放電判定装置(EMS20)から送られた通信メッセージの内容を解析し、電池41に対して充電あるいは放電制御を開始させる(S109)。図15の例では、放電制御を開始する様子を示している。
【0087】
電池41が放電制御することで(S310)、遅延時間の間、前述した不足電力を補う。
【0088】
遅延時間経過後、電池41は放電制御を終了する。また、発電所10は、不足電力分増加した供給電力の供給を開始する。
【0089】
次に、図16及び図17を用いて、充放電判定装置200の詳細動作を説明する。
【0090】
図17は、充電判定装置200の動作を示すフローチャートである。
【0091】
図16は、図3で示すシステムにおいて、不足電力量と充放電電力量との関係を示す図である。
【0092】
図16(a)は、発電所10の供給電力変更のためのボイラー回転変更に要する遅延時間T(単位:時間(h))を示す図である。
【0093】
図16(b)は、発電所10及び自然エネルギー発電装置30の供給電力の不足電力量(Wh)を示す図である。ここで、不足電力は、計画値と実績値との差分(不足電力L(単位:ワット(W)))と図16(a)で示した遅延時間T(との積で示される。図16(b)において、計画値は実線グラフ、実績値は点線グラフで表されている。
【0094】
図16(c)、(d)は、それぞれ蓄電池システム40A、蓄電池システム40Bの充放電可能電力量(Wh)を示す図である。充放電可能電力量は、出力電力と充放電可能時間の積で表される。図16(c)においては、蓄電池システム40Aにおける放電可能時間をt1(単位:時間(h)) 、放電制御時の出力電力をl1(単位:ワット時(W))であり、放電可能電力量は、t1 ×l1である。また、図16(b)においては、蓄電池システム40Bにおける放電可能時間をt2(単位:時間(h))、蓄電池システム40Bにおける放電制御時の出力電力量をl2(単位:ワット時(W))であり、放電可能電力量は、t2 ×l2である。
【0095】
以下では、図16の状態における、充放電判定装置200の動作を、図17を用いて説明する。
【0096】
まず、充放電判定装置(EMS20)は、蓄電池システム40から電池情報を取得し、発電所10及び自然エネルギー発電装置30の系統情報(供給電力の計画値と実績値と遅延時間を含む情報)を取得する(S201)。電池情報、系統情報のうち、時々刻々と変化する情報については、周期的に取得する。また、電池情報、系統情報のうち、時間とともに変化しない固定情報は、一度取得すれば良い。
【0097】
次に、充放電判定装置200(EMS20)は、供給電力の計画値と実績値との差分の絶対値が特定の閾値を超える場合に変動を検出し(S202)、過不足判定処理に移行する。
【0098】
充放電判定装置200は、過不足判定において(S203)、供給電力の計画値が100kワット(W)で、実績値が80kワット(W)の場合であって、閾値が10kワット(W)の場合、不足と判定する。また、充放電判定装置200は、計画値が100kワット(W)で、実績値が120kワット(W)の場合であって、閾値が10kワット(W)の場合、超過と判定する。
【0099】
前述したように、図16の例においては、供給電力が不足している。供給電力が不足している場合、S204に処理が進む。
【0100】
S204において、充放電判定装置200は、発電所10に対して供給電力を上げることを指示するメッセージである「上げ指令」メッセージを送信する。
【0101】
次に、充放電判定装置200は、放電させる蓄電池システム40を決定する。図16に示したように、発電所10は、供給電力変更のための回転変更に要する遅延時間はTであり、供給電力の計画値と実績値との差である不足電力はLである。したがって、充放電判定装置200は、遅延時間Tの期間、不足電力Lを供給できる蓄電池システム40を放電させる蓄電池システム40として決定する。図16の例では、蓄電池システム40Aは、放電時間t1>遅延時間T及び出力電力l1>不足電力Lという条件を満たす。一方、蓄電池システムは、放電時間t2<遅延時間Tであり、条件を満たさない。したがって、充放電判定装置200は、蓄電池システム40Aに放電させることを決定する(S205)。
【0102】
その後、充放電判定装置200は、蓄電池システム40Aに対して、放電指示に関する通信メッセージを送信する(S206)。蓄電池システム40Aは、放電指示に関する通信メッセージを受信すると、直ちに放電処理を開始、電力系統網90に対する電力供給を実施する。例えば、電力系統網90を介して家110に電力供給をする。
【0103】
尚、以上の例では、供給電力不足時の放電制御(S204205,206)の例を説明したが、供給電力超過時の充電制御(S207,208,209)についても同様の手順で実施することができる。
【0104】
次に、図18を用いて、充放電制御装置420の詳細動作を説明する。
【0105】
図18は、第1の実施形態にかかる充放電制御装置420の動作を示すフローチャートである。
【0106】
充放電制御装置420は、まず、電池41(BMU)から電池情報(定格電圧(単位:ボルト(V))、最大充放電電流(単位:アンペア(A))、SOC(単位:百分率(%)))などの情報を取得する(S301)。次に、充放電制御装置420は、SOCを用いて、SOCに対応付けられた充放電可能時間(単位:時間(h))を算出する。
【0107】
次に、充放電制御装置420は、電池情報(少なくとも最大充放電電流と充放電可能時間を含む情報)を含む通信メッセージを生成し、充放電判定装置200に送信する(S302)。
【0108】
充放電制御装置420は、充放電判定装置200から充放電をするかしないかの判定結果を受信し(S303)、充放電が指示された場合、電池41(BMU)に対する充放電制御を行う(S304)。充放電制御とは、具体的には、電池セルへの電力入出力制御である。
【0109】
以上、第1の実施形態にかかる充放電判定装置200によれば、自然エネルギー発電装置30を電力供給源として電力系統網に組み込んだ場合であっても、停電を防ぎ、電力系統網を安定化させることができる。
【0110】
尚、第1の実施形態の蓄電池電池システム40の一例として、EVシステム50も用いることができる。EVシステム50は、車載用途を主に想定した蓄電池システムである。
【0111】
図19にEVシステム50の構成を示す。EVシステム50は、蓄電池システム40と同様、電池(BMU)41と制御部51を備える構成である。しかし、EVシステムに充電器52(PCS)が接続されている点が、蓄電池システム40と異なる。
【0112】
また、EVシステム50における制御部51は、蓄電池システム40の制御部42と機能が異なる。具体的には、EVシステムにおける制御部51は、制御部42と異なり、電池(BMU)41と充電器52(PCS)間の充電制御及び情報通知の中継を行う機能を備え、EMS20と通信するための通信機能は備えない。蓄電池システム40の制御部42の主機能は、充電器52に移行されている。より具体的には、制御部42の充放電制御装置420の機能は充電器52に設けられている。尚、充電器の充放電制御装置420の機能は、制御部42の充放電制御装置420の機能と同様である。
【0113】
尚、EVシステム50の制御部51を蓄電池システム40の制御部42と同様の機能を備えることとすることもできる。つまり、EVシステム50の制御部51が、制御部42の充放電制御装置420の機能を備える構成としてもよい。
【0114】
また、電池41(BMU)に対する充放電に係わるアルゴリズム処理は制御部に集約する形態、充電器に集約する形態、構内のHEMS60や電力系統網のEMS20に集約する形態等複数存在するが、いずれの形態を用いても本発明は同様の枠組みを用いて実現することが出来る。
【0115】
また、本実施例では、充放電判定装置は、自然エネルギー発電装置30及び発電所10の供給電力の計画値と実績値の差を見て、不足若しくは電力を算出していたが、自然エネルギー発電装置30の供給電力の計画値と実績値の差を見て、不足電力を算出してもよい。供給電力の実績値が計画値と大きく異なることが想定できるのは、自然エネルギー発電装置30の方であるからである。
【0116】
また、本実施例では、自然エネルギー発電装置30及び発電所10の供給電力の計画値と実績値の差を見て、発電所10に供給電力変更を指示し、蓄電池システムに充放電を指示していたが、供給電力でなく一定時間の供給電力量の計画値と実績値の差を見て、判断しても良い。
【0117】
また、本実施例では、充放電させる蓄電池システムを選択する際、蓄電池システムの充放電電力が、不足電力(若しくは超過電力)を上回り、かつ蓄電池システムの充放電可能時間が、発電所10が供給電力にかかるための時間である遅延時間を上回った場合に、蓄電池システムに充放電させる例を示した。しかし、以下の判断方法を用いても良い。例えば、蓄電池システムの充放電可能電力量(充放電可能時間と充放電可能電力との積)が、不足電力量(若しくは超過電力量)(不足電力(若しくは超過電力)と遅延時間の積)を上回る場合がある。また、例えば、蓄電池システムの充放電可能時間が、遅延時間を上回る場合に、充放電を依頼してもよい。この例は、例えば、蓄電池システムの充放電可能電力が不足電力を上回っていることがすでに分かっている場合などである。また、例えば、蓄電池システムの充放電可能電力が、不足電力(若しくは超過電力)を上回る場合に、充放電を依頼してもよい。この例は、例えば、複数の蓄電池システムに充放電を依頼する場合である。この場合、遅延時間を複数の蓄電池システムの充放電可能時間の和が上回っていれば良い。
【0118】
第1の実施形態では、電力消費する消費者として家110を例にしたが、ビルや工場も消費者として存在する例もある。ビルが電力消費する場合、ビル内には、家110が備えるHEMS60の代わりに、BEMS (Building Energy Management System)を備え、BEMSがビル内の電力消費量を制御する役目を担う。また、工場内には、FEMS(Factory Management System)を備え、FEMSが工場内の電力消費量を制御する役目を担う。
【0119】
また、充放電判定装置200の機能は、家庭構内に設置するHEMS60も備えることができる。また、充放電判定装置200の機能は、BEMS、FEMS、スマートメータ50も同様に備えることができる。
【0120】
また、本実施例では、自然エネルギー発電装置30及び発電所10及び家110が一つである例を示したが、それぞれ複数存在してもよい。
【0121】
また、本実施例では、電力供給する自然エネルギー発電装置30及び充放電させる蓄電池システム40は、家110の外にある自然エネルギー発電装置30及び蓄電池システム40を例に説明したが、家110内の自然エネルギー発電装置70及び蓄電池システム80にも同様に適用できる。
【0122】
また、第1の実施形態では、充放電判定装置(EMS20)が充放電を指示する蓄電池システム40は1つの場合の例を提示してきたが、複数の蓄電池システム40に対し同時に充放電を指示する方法を適用出来る。
【0123】
また、本実施例では、電池の充放電可能電力量を求める際、定格電圧、最大充放電電流を用いて算出すると説明したが、必ずしも、これらの電圧を用いなくてもよい。
【0124】
尚、充放電判定装置200は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、供給計画部201、系統情報取得部202、電池情報取得部203、系統情報通信部206、電池情報通信部205、通信部207、判定部203、は、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、充放電判定装置200は、上記のプログラムをコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶して、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。
【0125】
(第2の実施形態)
第2の実施形態にかかるシステムは、図1で示した第1の実施形態と同様のシステムである。第2の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420の構成は、それぞれ第1の実施形態で示した図10、図13の構成と同様である。
【0126】
第2の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420は、第1の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420と一部機能が異なる。以下では、一部機能が異なる点を中心として説明する。
【0127】
第2の実施形態にかかる充放電判定装置200(EMS20)は、充放電させる蓄電池システム40を選択する際、第1の実施形態にかかる充放電判定装置200の判定基準(蓄電池システムの充放電可能電力量と供給電力の不足若しくは超過電力量との対比)に加えて、蓄電池システム40の電池寿命(ライフサイクル)を考慮して、蓄電池システム40を選択する。
【0128】
以下では、蓄電池システム40の選択の際、長寿命化を考慮して選択する方法の概要を説明する。
【0129】
蓄電池システム40は、一般に、充放電を行う際、電池41(BMU)内の電池セルを完全充電(SOCが100%)あるいは完全放電(SOCが0%)させるより、電池セルの特性に応じた最適充電率の範囲内(上限をα%、下限をβ%としてα%とβ%の範囲内に収まるか否か)で充放電制御を行う方が、長寿命化が実現出来る。
【0130】
したがって、本実施例では、充放電させる蓄電池システム40の選択の際、蓄電池システム40が充放電後も、充電率が最適充電率の範囲内に収まる蓄電池システムを選択する。
【0131】
例えば、充放電判定装置200は、図11で示した電池情報の通信メッセージを取得すると、供給電力の過不足の電力量に加えて、蓄電池システム40の定格容量、定格電圧、最大充放電電流、現時点の充電率を元に、充放電後の予測充電率を算出する。また、充放電判定装置200は、蓄電池システム40の最適充電率の範囲を取得し、予測充電率が最適充電率の範囲内にある蓄電池システム40を充放電させる蓄電池システム40として選択する。ここで、最適充放電率の範囲は蓄電池システム40毎に固有な値である。
【0132】
図20は、蓄電池システム40が充放電判定装置(EMS20)に送信する最適充放電率の範囲に係る通信メッセージの一例である。図20の通信メッセージは、TCP/IPヘッダ、識別子、最適充電率上限、最適充電率下限の情報で構成される。最適充電率上限(単位:百分率(%))と最適充電率下限(単位:百分率(%))は、各々後述する図21におけるβ%、α%に対応する。尚、図20の通信メッセージは、図11で示した通信メッセージと別々のメッセージとして取得してもよいが、一つのメッセージとして取得してもよい。
【0133】
図21の例を用いて説明する。
【0134】
図21は、蓄電池システム40の充放電前後の充電率と充放電後の予測充電率させる蓄電池システム40との対応関係を示した図である。
【0135】
図21の例においては、最適充電率の範囲は、上限がβ%であり、下限が、α%である。図21で示したように、充放電前の充電率にかかわらず、充放電後の予測充電率(SOC)が最適充電率の範囲内に含まれる場合、充放電させ、含まれない場合、充放電させない。
【0136】
図22は、第2の実施形態にかかる充放電判定装置200(EMS20)の動作を示すフローチャートである。図22において、図17と同様な動作は、同じ符号で示し、異なる動作は、異なる符号で示した。
【0137】
S401において、電池情報と系統情報を取得する点は、第1の実施例でのS201と同様である。S401の動作においては、電池情報として、更に電池の最適充電率の範囲を取得する。
【0138】
また、S402においては、第1の実施形態でのS205と同様、放電させる蓄電池システムを決定する。また、蓄電池システムの決定の際、放電可能時間が遅延時間より長いこと、出力電力が不足電力より大きいことを見る点は共通である。第2の実施形態でのS402では更に、予測充電率が最適充電率の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にある蓄電池システム40を放電させる蓄電池システム40として決定する。図23に、図3のシステムに存在する蓄電池システム40A,B,Cそれぞれの放電前後の充電率が、最適充電率の範囲内にあるか否かを示した図である。図23の例では、蓄電池システム40Aの放電後の充電率(予測充電率)が範囲内にある。したがって、蓄電池システム40Aを放電させる蓄電池システムとする。
【0139】
S403においても、充電させる蓄電池システム40の決定の際、充電可能時間と充電可能電力量だけでなく、予測充電率が最適充電率の範囲内にあるか否かを判定している点は同様である。その他の動作は、図17と同様であるため、説明を省略する。
【0140】
一般に、定置型用途の蓄電池システムは導入コストが高く、電池寿命による頻繁なリプレースは避けることが好ましい。第2の実施形態にかかる充放電判定装置200によれば、蓄電池システム40内の電池41(BMU)の電池寿命を延ばすことができ、交換期間を延ばすことが出来、電力系統網から家に至る電力インフラの運用コストを削減することが可能となる。
【0141】
(変形例)
本発明の第2の実施形態の変形例は、蓄電池システム40が、最適充電率の範囲を基に、最適充電率の範囲内での充放電可能電力及び充放電可能時間を算出する。
【0142】
蓄電池システム40は、例えば、蓄電池システム40の現時点の充電率が50%で、最適充電率の上限が80%で、最適充電率の下限が20%の場合、充放電判定装置(EMS20)に送信する電池情報を補正する。第1の実施例では、50%分完全放電する場合の充放電可能電力と充放電可能時間を通知していたが、第2の実施例の変形例では、現時点での充電率と最適充電率の下限20%との差分である30%分を放電する際の放電可能電力と放電可能時間を通知する。図24に、本変形例で、蓄電池システム40が、電池情報として通知するメッセージの例を示す。
【0143】
充放電判定装置200は、充放電制御装置420から、最適充電率の範囲を考慮して補正された充放電可能電力と充放電可能時間を取得すること以外は、第1の実施形態と同様の動作で、充放電を実行させる蓄電池システム40を決定することができる。
【0144】
尚、本変形例においては、電池情報として、最適充電率の範囲を考慮した充放電可能電力と充放電可能時間を通知する例を示したが、最適充電率の範囲を考慮した充放電可能電力量を通知してもよい。この場合も、充放電判定装置200は、充放電制御装置420から、最適充電率の範囲を考慮して補正された充放電可能電力量を取得すること以外は、第1の実施形態と同様の動作で、充放電を実行させる蓄電池システム40を決定することができる。
【0145】
(第3の実施形態)
第3の実施形態にかかるシステムは、図1で示した第1の実施形態と同様のシステムである。第3の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420の構成は、それぞれ第1の実施形態で示した図10、図13の構成と同様である。
【0146】
第3の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420は、第1の実施形態に係る充放電判定装置200と充放電制御装置420と一部機能が異なる。以下では、一部機能が異なる点を中心として説明する。
【0147】
第3の実施形態にかかる充放電判定装置200(EMS20)は、充放電させる蓄電池システム40を選択する際、第1の実施形態にかかる充放電判定装置200の判定基準(蓄電池システムの充放電可能電力量と供給電力の不足若しくは超過電力量との対比)に加えて、蓄電池システム40の電池寿命(ライフサイクル)を考慮して、蓄電池システム40を選択する。
【0148】
以下では、蓄電池システム40の選択の際、長寿命化を考慮して選択する方法の概要を説明する。
【0149】
蓄電池システム40を長寿命化させるために、本実施例では、蓄電池システム40の充放電の実施回数と、蓄電池を長寿命化させるための最適充放電回数の上限とを元に、充放電させる蓄電池システム40を判定する。
【0150】
蓄電池システム40の電池は、種別に応じて充放電可能な上限回数である寿命回数が定められている。
【0151】
したがって、蓄電池システム40のうち、過去の充放電の実施回数が寿命回数に近い電池より、実施回数が寿命回数より遠い電池を選択する方が長寿命化の観点で望ましい。
【0152】
本実施例では、蓄電池システム40の寿命回数に応じて寿命回数より小さい回数である最適充放電回数の上限を定める。例えば、ある電池の充放電の寿命回数が8000回である場合、長寿命化のための最適充放電回数の上限を5000回とする。
【0153】
充放電判定装置200は、充放電させる蓄電池システム40の充放電の実施回数が、最適充放電回数の上限以内である場合、当該蓄電池システム40に充放電を実行させる。一方、実施回数が、最適充放電回数の上限より大きい場合、当該蓄電池システム40に充放電を実行させない。例えば、最適充放電回数の上限が5000回の場合であって、蓄電池システム40の実行回数の履歴が6000回の場合は充放電を禁止、実行回数の履歴が4000回の場合は充放電を許可する。
【0154】
第3の実施形態にかかる充放電判定装置200によれば、蓄電池システム40内の電池41(BMU)の電池寿命を延ばすことができ、交換期間を延ばすことが出来、電力系統網から家に至る電力インフラの運用コストを削減することが可能となる。
【0155】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0156】
以上説明した本実施形態によれば、自然エネルギーを電力供給源として電力系統網に組み込んだ場合に、電力系統網を安定化させることができる充放電判定装置を提供することができる。より具体的には、充放電を行うべき蓄電池を適切に判定することができ、電力系統網の停電事故を防止することができる。
【符号の説明】
【0157】
10・・・発電所、20・・・EMS、30、70・・・自然エネルギー発電装置、40,40A、40B、40C、80・・・蓄電池システム、50・・・スマートメータ、60・・・HEMS、90・・・通信網、100・・・電力系統網、110・・・家、40・・・蓄電池システム、41・・・電池、42、51・・・制御部、43・・・CAN、200・・・充放電判定装置、201・・・供給計画部、202・・・電池情報取得部、203・・・判定部、204・・・系統情報取得部、205・・・電池情報通信部、206・・・系統情報通信部、207・・・通信部、420・・・充放電制御装置、421・・・電力供給部、422・・・充放電制御部、423・・・電池情報通信部、424・・・電池情報取得部、425・・・第二通信部、426・・・第一通信部、50・・・EVシステム、52・・・充電器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギー発電装置と電力発電所と複数の蓄電池を管理する装置であって、
前記自然エネルギー発電装置が実際に供給した電力の値である実績値を取得する系統情報取得部と、
前記複数の蓄電池から、前記蓄電池が充放電可能とする電力量を求めることが可能な情報である充放電電力量情報を取得する電池情報取得部と、
前記自然エネルギー発電装置が供給する電力の予測値である計画値と前記実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、前記電力発電所に対して供給電力を変更する指示メッセージを送信すると共に、前記電力発電所の供給電力を変更するために要する遅延時間及び前記計画値と前記実績値との差から求められる不足電力量若しくは超過電力量と前記複数の蓄電池各々の前記充放電電力量情報から求まる充放電電力量とを比べて、前記複数の蓄電池のうち、前記充放電電力量が前記不足電力量若しくは前記超過電力量を上回る蓄電池を充放電を行うべき蓄電池と判定する判定部を備える充放電判定装置。
【請求項2】
前記充放電電力量情報は、前記蓄電池の電圧情報と電流情報と充放電可能時間を含む情報である請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項3】
前記電圧情報は、前記蓄電池の定格電圧であり、前記電流情報は、前記蓄電池の最大充放電電流であり、前記充放電可能時間は、前記蓄電池の充電率に対応付けられた充放電可能時間である請求項2記載の充放電判定装置。
【請求項4】
前記充放電電力量情報は、前記蓄電池の充放電可能電力、充放電可能時間を含む情報である請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記計画値と前記実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合であって、前記計画値と前記実績値の差から電力不足を検出した場合に、前記不足電力量と前記複数の蓄電池各々の前記充放電電力情報から求まる充電電力量とを比べて、前記複数の蓄電池のうち、前記充電電力量が前記不足電力量を上回る蓄電池を充電を行うべき蓄電池と判定する請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記計画値と前記実績値の差が所定の閾値を超えた場合であって、前記計画値と前記実績値の差から電力超過を検出した場合に、前記超過電力量と前記複数の蓄電池各々の前記充放電電力情報から求まる放電電力量とを比べて、前記複数の蓄電池のうち、前記放電電力量が前記超過電力量を上回る蓄電池を放電を行うべき蓄電池と判定する請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記充放電電力量情報から求まる充放電電力が、前記不足電力若しくは前記超過電力を上回る蓄電池を、充放電を行うべき蓄電池と判定する請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記充放電電力量情報から求まる充放電可能時間が、前記遅延時間を上回る蓄電池を、充放電を行うべき蓄電池と判定する請求項7記載の充放電判定装置。
【請求項9】
前記実績値は、 前記自然エネルギー発電装置が実際に供給した電力の値と前記電力発電所が実際に供給した電力の値との和であり、
前記計画値は、前記自然エネルギー発電装置が供給する電力の予測値と前記電力発電所が実際に供給した電力の値との和である請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項10】
前記電池情報取得部は、前記複数の蓄電池から、前記蓄電池を長寿命化させるために必要な範囲の充電率である最適充電率を取得し、
前記判定部は、前記蓄電池が、前記不足電力量若しくは前記超過電力量を放電若しくは充電した後の予測充電率が、前記最適充電率の範囲内となる蓄電池を充放電を行うべき蓄電池と判定する請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項11】
前記電池情報取得部は、前記複数の蓄電池から、前記蓄電池を長寿命化させるための充電回数の上限である最適充電回数を取得し、
前記判定部は、前記複数の蓄電池のうち、前記蓄電池の充放電を実施した実施回数が前記最適充電回数より小さい蓄電池を前記充放電を行うべき蓄電池と判定する請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項12】
前記電池情報取得部が、前記複数の蓄電池から取得する前記充放電電力量情報から求まる充放電電力量は、前記蓄電池が、前記充放電電力量を放電若しくは充電した後の充電率である予測充電率が、前記蓄電池を長寿命化させるために必要な範囲の最適充電率の範囲内となる電力量である請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項13】
自然エネルギー発電装置と電力発電所と複数の蓄電池を管理する充放電判定装置を制御するプログラムであって、
前記自然エネルギー発電装置が実際に供給した電力の値である実績値を取得する系統情報取得機能と、
前記複数の蓄電池から、前記蓄電池が充放電可能とする電力量を求めることが可能な情報である充放電電力量情報を取得する電池情報取得機能と、
前記自然エネルギー発電装置が供給する電力の予測値である計画値と前記実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、前記電力発電所に対して供給電力を変更する指示メッセージを送信すると共に、前記電力発電所の供給電力を変更するために要する遅延時間及び前記計画値と前記実績値との差から求められる不足電力量若しくは超過電力量と前記複数の蓄電池各々の前記充放電電力量情報から求まる充放電電力量とを比べて、前記複数の蓄電池のうち、前記充放電電力量が前記不足電力量若しくは前記超過電力量を上回る蓄電池を充放電を行うべき蓄電池と判定する判定機能を備えるプログラム。
【請求項1】
自然エネルギー発電装置と電力発電所と複数の蓄電池を管理する装置であって、
前記自然エネルギー発電装置が実際に供給した電力の値である実績値を取得する系統情報取得部と、
前記複数の蓄電池から、前記蓄電池が充放電可能とする電力量を求めることが可能な情報である充放電電力量情報を取得する電池情報取得部と、
前記自然エネルギー発電装置が供給する電力の予測値である計画値と前記実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、前記電力発電所に対して供給電力を変更する指示メッセージを送信すると共に、前記電力発電所の供給電力を変更するために要する遅延時間及び前記計画値と前記実績値との差から求められる不足電力量若しくは超過電力量と前記複数の蓄電池各々の前記充放電電力量情報から求まる充放電電力量とを比べて、前記複数の蓄電池のうち、前記充放電電力量が前記不足電力量若しくは前記超過電力量を上回る蓄電池を充放電を行うべき蓄電池と判定する判定部を備える充放電判定装置。
【請求項2】
前記充放電電力量情報は、前記蓄電池の電圧情報と電流情報と充放電可能時間を含む情報である請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項3】
前記電圧情報は、前記蓄電池の定格電圧であり、前記電流情報は、前記蓄電池の最大充放電電流であり、前記充放電可能時間は、前記蓄電池の充電率に対応付けられた充放電可能時間である請求項2記載の充放電判定装置。
【請求項4】
前記充放電電力量情報は、前記蓄電池の充放電可能電力、充放電可能時間を含む情報である請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記計画値と前記実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合であって、前記計画値と前記実績値の差から電力不足を検出した場合に、前記不足電力量と前記複数の蓄電池各々の前記充放電電力情報から求まる充電電力量とを比べて、前記複数の蓄電池のうち、前記充電電力量が前記不足電力量を上回る蓄電池を充電を行うべき蓄電池と判定する請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記計画値と前記実績値の差が所定の閾値を超えた場合であって、前記計画値と前記実績値の差から電力超過を検出した場合に、前記超過電力量と前記複数の蓄電池各々の前記充放電電力情報から求まる放電電力量とを比べて、前記複数の蓄電池のうち、前記放電電力量が前記超過電力量を上回る蓄電池を放電を行うべき蓄電池と判定する請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記充放電電力量情報から求まる充放電電力が、前記不足電力若しくは前記超過電力を上回る蓄電池を、充放電を行うべき蓄電池と判定する請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記充放電電力量情報から求まる充放電可能時間が、前記遅延時間を上回る蓄電池を、充放電を行うべき蓄電池と判定する請求項7記載の充放電判定装置。
【請求項9】
前記実績値は、 前記自然エネルギー発電装置が実際に供給した電力の値と前記電力発電所が実際に供給した電力の値との和であり、
前記計画値は、前記自然エネルギー発電装置が供給する電力の予測値と前記電力発電所が実際に供給した電力の値との和である請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項10】
前記電池情報取得部は、前記複数の蓄電池から、前記蓄電池を長寿命化させるために必要な範囲の充電率である最適充電率を取得し、
前記判定部は、前記蓄電池が、前記不足電力量若しくは前記超過電力量を放電若しくは充電した後の予測充電率が、前記最適充電率の範囲内となる蓄電池を充放電を行うべき蓄電池と判定する請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項11】
前記電池情報取得部は、前記複数の蓄電池から、前記蓄電池を長寿命化させるための充電回数の上限である最適充電回数を取得し、
前記判定部は、前記複数の蓄電池のうち、前記蓄電池の充放電を実施した実施回数が前記最適充電回数より小さい蓄電池を前記充放電を行うべき蓄電池と判定する請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項12】
前記電池情報取得部が、前記複数の蓄電池から取得する前記充放電電力量情報から求まる充放電電力量は、前記蓄電池が、前記充放電電力量を放電若しくは充電した後の充電率である予測充電率が、前記蓄電池を長寿命化させるために必要な範囲の最適充電率の範囲内となる電力量である請求項1記載の充放電判定装置。
【請求項13】
自然エネルギー発電装置と電力発電所と複数の蓄電池を管理する充放電判定装置を制御するプログラムであって、
前記自然エネルギー発電装置が実際に供給した電力の値である実績値を取得する系統情報取得機能と、
前記複数の蓄電池から、前記蓄電池が充放電可能とする電力量を求めることが可能な情報である充放電電力量情報を取得する電池情報取得機能と、
前記自然エネルギー発電装置が供給する電力の予測値である計画値と前記実績値との差の絶対値が所定の閾値を超えた場合に、前記電力発電所に対して供給電力を変更する指示メッセージを送信すると共に、前記電力発電所の供給電力を変更するために要する遅延時間及び前記計画値と前記実績値との差から求められる不足電力量若しくは超過電力量と前記複数の蓄電池各々の前記充放電電力量情報から求まる充放電電力量とを比べて、前記複数の蓄電池のうち、前記充放電電力量が前記不足電力量若しくは前記超過電力量を上回る蓄電池を充放電を行うべき蓄電池と判定する判定機能を備えるプログラム。
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図1】
【図2】
【図3】
【図15】
【図16】
【図19】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図1】
【図2】
【図3】
【図15】
【図16】
【図19】
【公開番号】特開2012−205436(P2012−205436A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69145(P2011−69145)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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