説明

充放電制御装置、電力管理装置、電力管理方法および電力管理システム

【課題】蓄電設備を用いて電力取引を行う者が電力市場における価格変動リスクを被ることを抑制することができる充放電制御装置、電力管理装置、電力管理方法および電力管理システムを提供する。
【解決手段】充放電制御装置は、蓄電池とともに蓄電設備を構成し、蓄電池における充放電を管理する電力管理装置からの蓄電池における充放電の指示を受信する通信部と、指示に基づき蓄電池における充放電を制御する制御部と、制御部による制御に従い、電力網からの電力を蓄電池に供給し、蓄電池に蓄えられた電力を電力網へ伝送するパワーコンディショナとを備える。電力管理装置は、蓄電池とともに蓄電設備を構成する充放電制御装置から送信される、蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を受信する通信部と、蓄電情報で示される蓄電量に応じたポイントを蓄電設備ごとに発行するポイント発行部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、充放電制御装置、電力管理装置、電力管理方法および電力管理システムに関し、詳しくは、電力を蓄える蓄電設備における充放電制御装置、電力管理装置、電力管理方法および電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電力の充電または放電を行うことができる蓄電池を備え、自然エネルギー発電により発電した電力、または電力会社から購入した電力を蓄えることができる蓄電設備の導入が企業、一般家庭などにおいても進んでいる。
【0003】
蓄電設備に蓄えられる電力のうち、蓄電設備の保有者が消費する電力を超える電力については、現在は電力会社が買取りを行なっている。しかし、蓄電設備が更に普及するであろう将来においては、電力自由化の進展と共に電力は電力取引市場において取引されることになり、その電力取引に参加する蓄電設備の保有者数も増加すると考えられる。電力市場への参加することにより利益を得ることができる可能性が高いのであれば、蓄電設備を導入し、電力市場へ参加しようとする者が増えると考えられる。
【0004】
そこで、電力価格の変動をアルゴリズに従って予測し、低価格と予測した際には電力を買って蓄電設備に蓄電し、高価格と予測した際には、蓄電設備に蓄電された電力を売り、利益を得ようとする蓄電システムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−233053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された蓄電システムにおいては、電力が高価格であると予想される場合に売電を行うため、蓄電システムを利用する者は利益を期待することができる。これにより、企業だけに限らず、一般家庭にも蓄電設備を導入しようというインセンティブを与えることができる。
【0007】
しかし、電力市場には様々な思惑をもった参加者が多数いることなどにより、どんなに優秀な予測アルゴリズムであっても、予測を誤る可能性を排除できない。したがって、蓄電設備を保有し電力取引に参加する者に損失が発生する場合があり得る。
【0008】
これは、そもそも特許文献1における蓄電システムは電力価格変動により利益を得ようとするものであるから、価格変動リスクはこのシステムの大前提であるとも言え、避けることができないものである。つまり、特許文献1の蓄電システムにおいては、価格変動があることによって利益を期待できる一方、その価格変動自体をリスクが高いとして嫌う者は、蓄電設備を導入しないと考えられる。
【0009】
電力価格の変動が大きいと、蓄電設備の保有者は電力取引により損失を被る可能性があるため、蓄電設備の導入および電力取引への参加を躊躇してしまう。これにより蓄電設備の普及が妨げられることとなる。そのため、蓄電設備の普及を促進するためには、そのような電力市場における電力価格変動によるリスクを抑制するための施策が必要である。
【0010】
したがって、本技術の目的は、蓄電設備を用いる者が電力市場における価格変動リスクを被ることを抑制することができる充放電制御装置、電力管理装置、電力管理方法および電力管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、第1の技術は、蓄電池とともに蓄電設備を構成し、蓄電池における充放電を管理する電力管理装置からの蓄電池における充放電の指示を受信する通信部と、指示に基づき蓄電池における充放電を制御する制御部と、制御部による制御に従い、電力網からの電力を蓄電池に供給し、蓄電池に蓄えられた電力を電力網へ伝送するパワーコンディショナとを備える充放電制御装置である。
【0012】
また、第2の技術は、蓄電池とともに蓄電設備を構成する充放電制御装置から送信される、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を受信する通信部と、前記蓄電情報で示される蓄電量に応じたポイントを前記蓄電設備ごとに発行するポイント発行部とを備える
電力管理装置である。
【0013】
また、第3の技術は、蓄電池を備える蓄電設備から送信される、蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を受信し、蓄電情報で示される蓄電量に応じたポイントを蓄電設備ごとに発行する電力管理方法である。
【0014】
さらに、第4の技術は、蓄電池とともに蓄電設備を構成し、蓄電池における充放電を管理する電力管理装置からの蓄電池における充放電の指示を受信するとともに、電力管理装置へ蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を送信する通信部と、指示に基づき蓄電池における充放電を制御する制御部と、制御部による制御に従い、電力網からの電力を蓄電池に供給し、蓄電池に蓄えられた電力を電力網へ伝送するパワーコンディショナとを備える充放電制御装置と、充放電制御装置から送信される、蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を受信する通信部と、蓄電情報で示される蓄電量に応じたポイントを蓄電設備ごとに発行するポイント発行部と、充放電制御装置に対して、蓄電池に蓄電された電力の電力網への伝送および電力網からの電力の蓄電池への供給の指示する電力管理部とを備える電力管理装置とからなる電力管理システムである。
【発明の効果】
【0015】
本技術によれば、蓄電設備の保有者が電力市場における価格変動リスクを被ることを抑制することができる。これにより、蓄電設備の導入を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、電力管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】図2は、充放電制御装置を備える蓄電設備の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、電力・ポイント管理サーバの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、電力・ポイント管理サーバにより行われる電力管理処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5は、電力・ポイント管理サーバにより行われるポイント発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、平均電力価格の算出の一例を説明するための図である。
【図7】図7は、平均電力価格の算出の他の例を説明するための図である。
【図8】図8は、ポイント発行処理の具体例を示す図である。
【図9】図9は、充放電制御装置により行われる充放電制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本技術の実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本技術は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.実施の形態>
[1−1.電力管理システムの構成]
[1−2.充放電制御装置および蓄電設備の構成]
[1−3.電力・ポイント管理サーバおよびポイント交換サーバの構成]
[1−4.電力・ポイント管理サーバにおける処理:電力管理処理]
[1−5.電力・ポイント管理サーバにおける処理:ポイント発行処理]
[1−6.充放電制御装置における処理]
<2.変形例>
【0018】
<1.実施の形態>
[1−1.電力管理システムの構成]
図1は、本技術に係る電力管理システムの全体構成を示す図である。電力管理システムは、蓄電設備100を構成する充放電制御装置10と、蓄電設備100における充放電の指示および蓄電設備100における蓄電量に応じてポイントの発行を行う電力・ポイント管理サーバ200とから構成されている。電力・ポイント管理サーバ200が特許請求の範囲における電力管理装置に相当するものである。
【0019】
本技術に係る電力管理システムは、夜間など比較的電力市場における電力価格が低いときに電力市場から電力を購入することにより蓄電を行い、電力価格が高いときに蓄電設備100に蓄電された電力を電力市場に売却することにより利益を得ようとするものである。
【0020】
電力市場とは、売電を希望する者と買電を希望する者が電力取引を行うことにより形成される市場である。従来は、一般電気会社が地域毎に独占的に電力の供給を行ってきたが、近年、既存の電力会社以外でも電力を自由に売買できるようにする規制緩和の動きが活発化している。
【0021】
蓄電設備100は、電力を蓄えるための蓄電池モジュールを有し、充電および放電が可能な蓄電用の設備である。蓄電設備100は個人住宅、マンションなどの集合住宅、企業または各種団体のビル、施設などに備え付けられる。蓄電設備100は蓄電池モジュールにおける充放電を制御する充放電制御装置10を備える。蓄電設備100は電力網に接続されており、電力・ポイント管理サーバ200による管理に従い、電力網からの電力による充電および電力網への放電が行われる。蓄電設備100および充放電制御装置10の詳細については後述する。なお、以下の説明において蓄電設備100を保有する者を企業、一般家庭など種類を問わず、蓄電設備保有者と称する。
【0022】
電力・ポイント管理サーバ200は、ネットワークを介して蓄電設備100の充放電制御装置10と接続されており、蓄電設備100の蓄電量に応じて蓄電設備保有者ごとにポイントを発行するものである。また、電力・ポイント管理サーバ200は、ネットワークを介して電力市場と接続されており、電力市場における電力価格を取得し、その電力価格に基づいて、充放電制御装置10に対して充放電の指示も行う。蓄電設備100への充電は電力・ポイント管理サーバ200の管理のもと電力市場における買電により行われ、蓄電設備100からの放電により電力市場に対する売電が行われる。
【0023】
電力・ポイント管理サーバ200は、蓄電設備保有者に対してポイントサービスの提供を行う企業、業者など(以下、ポイント発行者と称する。)のビル、施設などに設置される。電力は蓄電設備保有者が有する蓄電設備100に蓄えられるが、その蓄電設備100における充放電による売買電は電力・ポイント管理サーバ200による管理のもと行われる。よって、電力市場における電力取引はポイント発行者が担うこととなる。ポイント発行者は、蓄電設備100に充電された電力を電力市場に売却することにより電力市場における電力価格に応じた代金を取得し、利益を得る。電力・ポイント管理サーバ200は多数の蓄電設備をその管理下に置くのが好ましい。
【0024】
電力の売買は電力・ポイント管理サーバ200の管理のもと行われるため、蓄電設備保有者は、電力市場における電力価格を気にすることなく、電力市場に参加することができる。蓄電設備100における蓄電量に応じて電力・ポイント管理サーバ200からポイントが付与される。このポイントは後述するように、財・サービスとの交換することができるため、これにより蓄電設備保有者は利益を得ることができる。このように、本技術において、ポイントは蓄電量に応じてあたかも貨幣のような働きをする。
【0025】
なお、蓄電設備保有者とポイント発行者との間で個別の契約を締結してもよい。例えば、蓄電池モジュールへの蓄電は、価格の安い深夜電力からのみ行うか否か、蓄電池モジュールに充電された電力を蓄電設備保有者が自己の電気機器などを動作させる電力として利用(以下、自家消費と称する。)できるか否か、蓄電設備保有者の意思で自由に売電することができるか否かなどである。
【0026】
また、蓄電設備保有者の指示により電力を自家消費している場合、または、蓄電設備保有者の意思で売電している場合に電力・ポイント管理サーバ200から充電、放電の指示があった場合、どちらの指示を優先するかも契約で定めることができるのが好ましい。また、電力・ポイント管理サーバ200から蓄電設備100の動作停止が指示されている場合に蓄電設備保有者が自らの意思で充放電を行うことが可能か否かも契約で定めることができるのが好ましい。
【0027】
なお、このような蓄電設備保有者とポイント発行者との間で個別の契約は、例えば、ポイント発行者が複数の契約内容を蓄電設備保有者に提示して、蓄電設備保有者がいずれかを選択することにより締結される。
【0028】
電力管理システムは上述のように構成されているが、電力管理システムにおいて蓄電設備保有者に付与されるポイントの利用のためには、ポイント交換者および財・サービス提供者が存在することが望ましい。
【0029】
ポイント交換者は、蓄電設備保有者が有するポイントと財・サービス提供者により提供された財・サービスとの交換を行う交換所を開設し、蓄電設備保有者の求めに応じてポイントと財・サービスとの交換を行う者である。交換所は、実際の店舗、商業施設のような形態であってもよいし、電子商取引サーバのような電子的な情報交換によって、財・サービスを提供する形態であってもよい。
【0030】
ポイント交換者は、ポイントと財・サービスとの交換が行われたことにより有することとなったポイントをポイント発行者に譲渡することによりポイント発行者から代金を得る。これによりポイント交換者は利益を得ることができる。ポイントと代金の交換レートはポイント発行者とポイント交換者との間であらかじめ定めておくとよい。なお、ポイント発行者とポイント交換者は同一の者であってもよい。その場合にはポイントと代金の交換は不要となる。
【0031】
財・サービス提供者は、ポイント交換者に財・サービスを提供する。財・サービス提供者は、ポイント交換者により蓄電設備保有者が保有するポイントと財・サービスとの交換が行われた場合、交換されたポイントに相当する代金をポイント交換者から受け取る。これにより、財・サービス提供者は利益を得ることができる。
【0032】
財・サービスとは、物質的・精神的に何らかの効用や満足などを提供するものであり、その中で有形のものが財であり、売買した後にモノが残らない無形のものがサービスである。
【0033】
財としては、例えば物品、金券などが挙げられる。さらに詳しくは、物品としては、例えば、日用雑貨、家電、電子機器、食品などが挙げられる。金券としては、商品券、ビール券、旅行券、図書券、航空券、イベント鑑賞券などが挙げられる。サービスとしては、レジャーサービス、医療サービス、宿泊サービス、教育サービス、運輸サービス、外食サービス、コンサルティングサービスなどが挙げられる。また、ポイントをマイレージなど他のポイントサービスのポイントに交換することができてもよい。財・サービスは上述したものに限られず、経済的な取引の対象となるものであればどのようなものでもよい。
【0034】
財・サービス提供者が提供する各種財・サービスとの交換に必要なポイント数はポイント発行者とポイント交換者との間で定められたポイントと代金の交換レートに基づいて財・サービス提供者が決定するとよい。なお、財・サービス提供者はポイント交換者と同一の者であってもよい。また、財・サービス提供者、ポイント発行者およびポイント交換者が同一の者であってもよい。
【0035】
また、上述のポイント交換者の説明においては、財・サービスはポイント交換者を介して蓄電設備保有者に提供されると説明した。ただし、財・サービスの提供方法はこれに限られるものではない。例えば、財・サービス提供者が実際に店舗、商業施設などを所有・経営している場合は、その店舗などに蓄電設備保有者が訪れて、蓄電設備保有者と財・サービス提供者との間でその店舗などで販売されている財・サービスとポイントとの交換を行うようにしてもよい。そして、財・サービス提供者はその交換で得たポイントをポイント発行者に渡し、そのポイント数に応じた代金を受け取るようにしてもよい。
【0036】
財・サービスの交換所が電子商取引サーバである場合においては、財・サービスは財・サービス提供者から蓄電設備保有者に直接提供されるようにしてもよい。例えば、財が動画、音楽、電子書籍などのネットワークを介して提供可能なコンテンツなどである場合にはそれらをネットワークを介して財・サービス提供者から蓄電設備保有者に直接提供するようにしてもよい。
【0037】
[1−2. 充放電制御装置および蓄電設備の構成]
次に、充放電制御装置10および蓄電設備100の構成について説明する。図2は充放電制御装置10および蓄電設備100の構成を示すブロック図である。なお、図2において、各ブロックを接続する線のうち、太線はDC電力線を示し、細線はAC電力線を示し、破線は制御信号または情報信号の伝送線を示す。
【0038】
蓄電設備100は充放電制御装置10と蓄電池モジュール30とから構成されている。蓄電池モジュール30は、電力を蓄えるバッテリセル31と、バッテリセル31の管理制御を行うセル制御部32とから構成されている。バッテリセル31を構成する電池としては、チウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素電池など充放電を行うことができるものであればいかなるものを採用してもよい。なお、図2においては、バッテリセル31は1つのブロックで示されているが、バッテリセル31の数は1つに限られず、複数のバッテリセル31を用いてもよい。セル制御部32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)、バッテリセル31の状態(温度、充電量など)の管理を行うセンサなどから構成されている。セル制御部32は、バッテリセル31の管理を行うとともに、バッテリセル31の状態を示す情報を充放電制御装置10の制御部11に送信する。
【0039】
充放電制御装置10は、制御部11、通信部12およびパワーコンディショナ13から構成されている。充放電制御装置10は、ポイント発行者側に設けられた電力・ポイント管理サーバ200による管理に従って、蓄電設備100における充放電の制御を行うものである。
【0040】
制御部11は、通信部12、パワーコンディショナ13に接続されている。制御部11は、例えば、CPU、RAMおよびROMなどから構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれるプログラムが格納されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに格納されているプログラムに基づき様々な処理を実行することによって充放電制御装置10全体の制御を行う。さらに、通信部12により受信した電力・ポイント管理サーバ200からの充電を指示するコマンド(以下、充電コマンドと称する。)、放電を指示するコマンド(以下、放電コマンドと称する。)、停止を指示するコマンド(以下、停止コマンドと称する)に対応して制御信号を送信し、パワーコンディショナ13におけるモード切り替え制御も行う。
【0041】
通信部12は、例えば、所定のプロトコルに基づいてインターネット、専用回線などのネットワークを介してポイント発行者側の電力・ポイント管理サーバ200との通信を行うためのネットワークインターフェースである。通信方式は有線通信、無線LAN(Local Area Network)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、3G回線を用いた通信など、どのようなものでもよい。充放電制御装置10は、通信部12を介して電力・ポイント管理サーバ200から送信されてくる充電コマンド、放電コマンド、停止コマンドを受信する。
【0042】
また、制御部11による制御のもと、通信部12は蓄電池モジュール30に蓄えられた蓄電量を示す蓄電量情報を電力・ポイント管理サーバ200に送信する。なお、蓄電量情報の送信は電力・ポイント管理サーバ200からの求めに応じて行われる。
【0043】
さらに、通信部12は、蓄電設備保有者が有するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話機などの端末装置50とネットワークを介して通信を行う。これにより、蓄電設備保有者が外出先などにおいても蓄電状況、放電状況などの確認、動作モードの設定などを行うことができる。
【0044】
パワーコンディショナ13は、蓄電池モジュール30とDC電力線で接続されている。また、パワーコンディショナ13は、AC電力線で配電盤110および買電メータ120を介して系統電力140に接続されている。また、パワーコンディショナ13はAC電力線で売電メータ130を介して系統電力140に接続されている。
【0045】
パワーコンディショナ13は、双方向インバータを備え、系統電力140からの交流電力を直流電力に変換して蓄電池モジュール30に出力する。これにより蓄電池モジュール30への充電が行われる。また、蓄電池モジュール30から取り出した直流電力を交流変換して系統電力140へ出力する。これにより蓄電池モジュール30からの放電が行われる。
【0046】
パワーコンディショナ13は、電力を蓄電池モジュール30に蓄えるモード(充電モード)、蓄電池モジュール30から放電を行うモード(放電モード)、蓄電池モジュール30における充放電を行わないモード(停止モード)の3つのモードで動作する。パワーコンディショナ13における動作モードの切り替えは、制御部11からの制御信号により行われる。また、パワーコンディショナ13は、蓄電池モジュール30からの放電の際には放電した電力量を測定し、蓄電池モジュール30への充電の際には充電される電力量を測定する。
【0047】
本実施の形態においては、電力網からの電力を蓄電池モジュール30へ供給することにより買電による充電が行われる。また、パワーコンディショナ13が蓄電池モジュール30から取り出した電力を系統電力140を介して電力網へ送ることにより売電が行われる。
【0048】
なお、パワーコンディショナ13から系統電力140へ電力を出力することにより売電を行う場合、売電メータ130によって、パワーコンディショナ13から系統電力140に出力される電力量(売電力量)が計測される。売電メータ130は電力量を測定すると共に、測定を行った時刻を測定するようにしてもよい。売電メータ130は制御部11に接続されており、測定した売電力量を制御部11に通知する。なお、売電メータ130は測定結果の信頼性の担保のために、ポイント発行者などによる所定の認証などを受けておくとよい。
【0049】
なお、パワーコンディショナ13と蓄電池モジュール30とを接続するDC電力線には通過する電力を測定する電力測定器(センサ)が設けられているのが好ましい。また、パワーコンディショナ13は蓄電池モジュール30の温度の変化を検知する温度センサなど、蓄電池モジュール30における異常を検知するためのセンサを有しているのが好ましい。
【0050】
充放電制御装置10は上述のように構成されているが、充放電制御装置10の制御部11にはさらに入力部21、表示部22および記憶部23が接続されている。入力部21は、ユーザが充放電制御装置10への指示を入力するために用いる入力手段である。入力部21は例えば、表示部22と一体に構成されたタッチスクリーン、ボタン、スイッチ、ダイヤルなどにより構成される。入力部21に対して入力がなされると、その入力に対応した制御信号が生成されて制御部11に出力される。そして、制御部11によりその制御信号に対応した演算処理や制御が行われる。
【0051】
表示部22は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)パネルなどにより構成された表示手段である。表示部22には、蓄電設備100における充電状況、放電状況、ポイント発行者から付与されたポイント、蓄電設備保有者とポイント発行者との契約情報などの各種情報が表示される。
【0052】
記憶部23は、ハードディスク、フラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。記憶部23は、ポイント発行者から発行されるポイントを示すポイント情報、蓄電設備保有者とポイント発行者間における契約内容を示す契約情報、電力・ポイント管理サーバ200との認証に用いる認証情報などを記憶保持するものである。記憶部23に記憶されるポイント情報、契約情報などは表示部22によって表示される。これにより、蓄電設備保有者は自分が現在保有するポイント、過去のポイント増減の履歴、契約内容などを確認することができる。記憶部23に記憶される契約情報としては、例えば、充放電制御装置10は蓄電設備保有者からの指示と電力・ポイント管理サーバ200からの指示のどちらを優先するかというという情報がある。この契約情報は制御部11による充放電制御において用いられる。
【0053】
なお、ポイント発行者とポイント交換者とが同一の企業、団体などあり、電力管理システムに係るサービスがインターネット上におけるいわゆるクラウドサービスとして提供される場合には記憶部23は不要である。上述した各種情報は全てポイント発行者側の電力・ポイント管理サーバ200において管理保持される。
【0054】
以上のようにして充放電制御装置10および蓄電設備100が構成されている。なお、パワーコンディショナ13と系統電力140との間に設けられた配電盤110には複数の外部電気機器が接続されている。系統電力140からの電力が配電盤110を介して電気機器に送られることにより、蓄電設備保有者は電気機器を使用することができる。また、蓄電池モジュール30に蓄えられた電力がパワーコンディショナ13および配電盤110を介して電気機器に送られることによっても蓄電設備保有者は電気機器を使用することができる。
【0055】
電気機器は、一般家庭においては、テレビジョン受像機、オーディオ機器などの電子機器、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、空調機器などの家電などがある。また、企業であれば、パーソナルコンピュータ、コピー機、ファクシミリ、プリンタ、空調機器などがある。さらに、店舗、商業施設などにおいては照明機器、空調機器、エレベーターなどの輸送機器などがある。
【0056】
[1−3.電力・ポイント管理サーバおよびポイント交換サーバの構成]
次に、ポイント発行者側において用いられる電力・ポイント管理サーバ200について説明する。図3Aは電力・ポイント管理サーバ200の構成を示すブロック図である。電力・ポイント管理サーバ200は、通信部210、制御部220、電力管理部221、ポイントレート決定部222、ポイント発行部223、保有者データベース230、交換者データベース240とから構成されている。
【0057】
通信部210は、例えば、所定のプロトコルに基づいてインターネットなどのネットワークを介して蓄電設備100との通信を行うためのネットワークインターフェースである。通信方式は有線通信、無線LAN、Wi−Fi、3G回線を用いた通信などどのようなものでもよい。通信部210は、電力管理部221が発行する充電コマンド、放電コマンドおよび停止コマンドを充放電制御装置10に対して送信する。また、通信部210は、充放電制御装置10から送信された蓄電池モジュール30に蓄えられた蓄電量を示す蓄電量情報を受信する。なお、充放電制御装置10における蓄電量情報の送信は電力・ポイント管理サーバ200からの求めに応じて行われる。また、通信部210は、ネットワークを介して電力市場における電力会社のサーバ、または、電力市場において電力取引を仲介するブローカーなどのサーバに接続され、電力市場における電力価格情報を取得する。さらに、電力管理部221の指示のもと、電力会社のサーバなどと電力市場に対する売り注文など、電力取引に必要な通信も行う。
【0058】
制御部220は、例えば、CPU、RAMおよびROMなどから構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれるプログラムが格納されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに格納されているプログラムに基づき様々な処理を実行することによって電力・ポイント管理サーバ200全体の制御を行う。また、所定のプログラムを実行することにより、電力管理部221、ポイントレート決定部222およびポイント発行部223として機能する。
【0059】
電力管理部221は、通信部210によって受信した電力価格情報を用いて、所定のアルゴリズムにより電力の電力市場への伝送量、伝送時期を決定し、充電コマンド、放電コマンドおよび停止コマンドを発行する。発行されたコマンドは通信部210により充放電制御装置10に送信される。コマンド発行の詳細については後述する。
【0060】
ポイントレート決定部222は、蓄電設備保有者に付与されるポイントと、蓄電量情報で示される蓄電池モジュール30の蓄電量とのレート(以下、ポイントレートと称する。)を決定するものである。本実施の形態においては、蓄電池モジュール30における蓄電量に応じて蓄電設備保有者にポイントが付与される。ポイントレートを示すポイントレート情報は、ポイント発行部223に供給される。
【0061】
ポイント発行部223は、蓄電量情報で示される蓄電池モジュール30の蓄電量およびポイントレート決定部222から供給されるポイントレート情報に基づいてポイントを発行するものである。発行されたポイントは保有者データベース230などにおいて蓄電設備保有者ごとに管理される。また、発行されたポイントを示すポイント情報をネットワークを介して充放電制御装置10に送信するようにしてもよい。ポイントレート決定およびポイント管理の詳細については後述する。
【0062】
保有者データベース230は、蓄電設備100を保有する蓄電設備保有者に関する情報である保有者情報を格納する。保有者情報としては、蓄電設備保有者の氏名、住所、電話番号、蓄電設備識別情報、認証情報などが挙げられる。ただし、保有者情報はそれらに限られるものではない。蓄電設備保有者との間で情報の取得について合意が得られ、ポイント発行者側で利用することができると考えられる情報であればどのようなものでもよい。
【0063】
また、ポイント発行者と蓄電設備保有者間の契約内容を示す契約情報も保有者データベース230に格納される。電力管理部221は電力管理処理の際にその契約情報を参照することができる。
【0064】
保有者情報は、例えば、蓄電設備保有者とポイント発行者との契約時において、書面などによって蓄電設備保有者が提示し、ポイント発行者が保有者データベース230に入力することにより格納される。また、蓄電設備保有者による電力管理システムの利用開始時に、表示部22に充放電制御装置10の表示部22に蓄電設備保有者に保有者情報の入力を促す入力画面を表示させるようにしてもよい。蓄電設備保有者が入力画面の指示に従い入力部21を用いて入力を行うと、入力された保有者情報がネットワークを介して保有者データベース230に送信されて格納される。
【0065】
交換者データベース240は、ポイント交換者に関する情報である交換者情報を格納する。交換者情報としては、ポイント交換者の氏名、企業名、団体名、住所、電話番号、契約内容などが挙げられる。ただし、交換者情報はそれらに限られるものではない。ポイント交換者との間で情報の取得について合意が得られ、ポイント発行者側で利用することができると考えられる情報であればどのようなものでもよい。
【0066】
交換者情報は、例えば、ポイント発行者とポイント交換者の契約時において、書面などによってポイント交換者が提示し、ポイント発行者が交換者データベース240に入力することにより格納される。また、ネットワークを介して送受信を行い交換者データベース240に格納するようにしてもよい。なお、ポイント発行者とポイント交換者とが同一の企業、団体などが運営する場合には交換者情報および交換者データベース240は不要である。
【0067】
次に、ポイント交換者側において用いられるポイント交換サーバ300について説明する。図3Bはポイント交換サーバ300の構成を示すブロック図である。ポイント交換サーバ300は、制御部310、通信部320、保有者データベース330、発行者データベース340とから構成されている。
【0068】
制御部310は、CPU、RAMおよびROMなどから構成されており、プログラムに基づき様々な処理を実行することによってポイント交換サーバ300全体の制御を行う。
【0069】
通信部320は、例えば、所定のプロトコルに基づいてインターネットなどのネットワークを介して蓄電設備100との通信を行うためのネットワークインターフェースである。ポイント交換サーバ300は、ネットワークを介して蓄電設備保有者と接続されている。これにより、ネットワークを介してポイント、財・サービスのやり取りを行うことができる。ただし、電力管理システムに係るサービスがクラウドサービスとして提供される場合には、ポイントは蓄電設備保有者の指示のもとポイント発行者からポイント交換者に送られる。また、通信部320によって、財・サービスのうちネットワークを介して提供可能なもの(電子書籍、音楽コンテンツ、映像コンテンツ、各種クーポンなど)を提供するようにしてもよい。なお、上述のように、ポイントと財・サービスの交換は実際の交換所などで行うようにしてもよい。
【0070】
保有者データベース330は、蓄電設備保有者に関する情報である保有者情報を格納する。保有者情報としては、蓄電設備保有者の氏名、住所、電話番号、登録番号、財・サービスの交換履歴などが挙げられる。ただし、保有者情報はそれらに限られるものではない。蓄電設備保有者との間で情報の取得について合意が得られ、ポイント交換者側で利用することができると考えられる情報であればどのようなものでもよい。なお、保有者情報は電力・ポイント管理サーバ200の保有者データベース330に格納されているものと共有するようにしてもよい。
【0071】
発行者データベース340は、ポイント発行者に関する情報である発行者情報を格納する。交換者情報としては、ポイント交換者の氏名、企業名、団体名、住所、電話番号、契約内容などが挙げられる。ただし、交換者情報はそれらに限られるものではない。ポイント交換者との間で情報の取得について合意が得られ、ポイント交換者側で利用することができると考えられる情報であればどのようなものでもよい。
【0072】
[1−4.電力・ポイント管理サーバにおける処理:電力管理処理]
次に、電力・ポイント管理サーバ200により行われる処理について説明する。電力・ポイント管理サーバ200における処理は、買電による蓄電池モジュール30への充電、または、売電のための蓄電池モジュール30からの放電を指示する電力管理処理と、蓄電設備保有者に対してポイントの発行を行うポイント発行処理とに分けられる。
【0073】
まず、電力管理処理について説明する。図4は、電力管理処理の流れを示すフローチャートである。まず、ステップS11で、電力市場における電力会社のサーバ、または、電力市場において電力取引を仲介するブローカーなどから電力市場における電力価格情報を取得する。次にステップS12で、充放電制御装置10から蓄電池モジュール30における蓄電量を示す蓄電量情報を取得する。なお、蓄電量情報の取得は電力管理処理を行う場合に限られず常時定期的に行うようにしてもよい。その場合、電力管理処理ではその時点における最新の蓄電量情報で示される蓄電量に基づいて処理を行う。
【0074】
次にステップS13で、買電による充電を行うのが適切か否かが判定される。買電が適切であるか否かは、例えば、予め所定の買電閾価格を定めておき、電力市場における電力価格と買電閾価格とを比較することにより行うことができる。電力市場における電力価格が買電閾価格よりも低い場合には買電が適切であると判定される。また、買電が適切か否かは例えば、特開2002−233053号公報記載の以下の方法を用いても行うことができる。
【0075】
まず、上述のステップS11で受信した電力価格情報の時系列データを蓄積し、電力価格変動の分析及び経時変動予測を行い、最適な電力の購入量、購入時期を決定する。まず、過去の電力価格の時系列データの分析を行うことにより、電力価格の変動予測値(基準予測値)を算出する。過去の時系列データから将来の値を予測する方法としては例えば、ニューラルネットワークによるパターン分析がある。さらに、精度の高い予測を行うため、過去の気象情報、電力需要動向などの外的要因が生じた場合の電力価格の相関関係を用いて電力価格の変動感度を算出し、予測に反映ようにしてもよい。例えば、気温が1℃上昇すると電力価格が1円/kWh上昇すると分かっている場合、この気象条件に対する変動感度は1円/(kWh・℃)となる。この変動感度を基準予測値に反映することにより、気象条件、電力需要動向などの外的要因を考慮した電力価格の予測値(購入電力価格予測値)を下記の式1を用いて算出する。
【0076】
[式1]購入電力価格予測値=基準予測値(時系列データから算出)×気象条件に対する感度×外的要因に対する感度
【0077】
さらに、算出した購入電力価格予測値及び過去の電力価格の時系列データを統計処理し、ある一定の時期までの電力価格の最小値の期待値(電力購入基準価格)を算出する。そして、電力価格情報が示す電力市場における電力価格がこの電力購入基準価格を下回っている場合に買電が適切であると判断される。一方、電力価格情報が示す電力価格がこの電力購入基準価格を上回っている場合には買電は適切ではないと判断される。
【0078】
なお、充電の判断に用いるアルゴリズムは上述のものに限られず、電力市場の価格変動、及びその予測値と販売可能な電力量から、販売量、販売時期を決定するアルゴリズムであれば、どのようなものでもよい。例えば,既存の他の市場、例えば株式市場で自動売買に使われているプログラムを、電力市場に合うように改変して用いることも可能である。
【0079】
ステップS13で買電が適切であると判定された場合、処理はステップS14に進む(ステップS13のYes)。そしてステップS14で管理下にある充放電制御装置10に対して充電を指示する充電コマンドを送信する。なお、充電コマンドでは、充電指示とともに、充電時間、充電する電力量なども指示するようにするとよい。
【0080】
一方、ステップS13で買電が適切ではないと判断された場合、処理はステップS15に進む(ステップS13のNo)。そして、ステップS15で売電が適切であるか否かが判定される。売電が適切であるか否かは、例えば、予め所定の売電閾価格を定めておき、電力市場における電力価格と売電閾価格とを比較することにより行うことができる。電力市場における電力価格が売電閾価格よりも高い場合には売電が適切であると判定される。また、売電が適切か否かの判定は例えば、特開2002−233053号公報記載の以下の方法を用いても行うことができる。
【0081】
売電価格は、蓄電量に電力価格をかけることによって定められる。また、蓄電には蓄電装置運転に伴うコストが発生する。説明を簡単にするため、この蓄電に要するコストは毎日一定の金額必要となるものと仮定する。蓄電システムの運用による利益は、下記の式により求まる。
[式2]
蓄電システムの運用による利益=電力販売料金−電力購入料金−蓄電コスト
[式3]
電力購入料金=購入電力量×購入時期における電力価格
[式4]
電力販売料金=購入電力量×(100−放電率(%/日)×蓄電日数)×販売時期における電力価格
[式5]
蓄電コスト=コスト単価(¥/日)×蓄電日数
【0082】
電力価格の経時的変動予測は、上述のものと同様の方法で行い、蓄電システム運用による利益の予測値(電力の販売利益予測値)を計算する。この予測値を統計処理することにより、ある一定の時期までの利益の最大値の期待値(電力販売基準利益)を求め、ある時刻に算出した利益が電力販売基準利益を上回った場合に、売電が適切であると判定する。
【0083】
なお、売電の判断に用いるアルゴリズムは上述のものに限られず、電力市場の価格変動、及びその予測値と販売可能な電力量から、販売量、販売時期を決定するアルゴリズムであれば、どのようなものでもよい。例えば,既存の他の市場、例えば株式市場で自動売買に使われているプログラムを、電力市場に合うように改変して用いることも可能である。
【0084】
ステップS15で売電が適切であると判定された場合、処理はステップS16に進む(ステップS15のYes)。次にステップS16で、電力市場に対して売り注文を発行する。そして、電力市場との間で売買取引が成立後、ステップS17で充放電制御装置10に対して放電コマンドを送信する。なお、放電コマンドでは、放電指示とともに、放電時間、放電する電力量なども指示するようにするとよい。
【0085】
一方、ステップS15で売電が適切ではないと判断された場合、処理はステップS18に進む(ステップS15のNo)。処理がステップS18に進む場合とは、買電が適切ではなく、さらに売電も適切ではないと判定された場合である。この場合には蓄電設備100を停止状態とするための充放電制御装置10に対して停止コマンドを送信する。
【0086】
以上のようにして電力管理処理が行われる。蓄電設備100に蓄えられた電力は電力・ポイント管理サーバ200により電力市場における電力価格との関係を判断して売買される。これにより、ポイント発行者は利益を得ることができる。また、蓄電設備保有者は電力市場における電力価格を気にする必要がない。
【0087】
[1−5.電力・ポイント管理サーバにおける処理:ポイント発行処理]
次に、ポイント発行処理について説明する。図5は、ポイント発行処理の流れを示すフローチャートである。ポイント発行処理は蓄電池モジュール30における蓄電量に応じて蓄電設備保有者にポイントを付与する処理である。まず、ステップS21で、蓄電池モジュール30における蓄電量情報の取得が行われる。なお、蓄電量情報の取得はポイント発行処理を行う場合に限られず常時定期的に行うようにしてもよい。その場合、ポイント発行処理ではその時点における最新の蓄電量情報で示される蓄電量に基づいて処理を行う。
【0088】
次にステップS22で、ポイントレートが決定される。ここで、ポイントレートの決定方法について説明する。まず、財・サービス提供者により提供される財・サービスの価格と、その財・サービスを得るために必要なポイントとにおけるレート(財・サービスレートと称する。)を固定する。
【0089】
次に、電力市場価格の平均価格を算出する。この平均電力価格がポイントレート算出の基準となる。平均電力価格は、例えば、単位電力量当たりの単価として算出される。
【0090】
平均電力価格の算出は様々な方法で行うことができる。図6および図7にその例を示す。図6は縦軸を電力価格、横軸を日数として、10日間における移動平均を算出した例を示すものである。細線が電力市場価格を示し、太線が移動平均を示す。この場合、ポイントレートも変動することになるが、変動の大きさは電力市場価格の変動に比べて小さい。よって、電力市場価格の変動による価格変動リスクを低減することができる。
【0091】
例えば、ポイントレートの決定は毎日深夜0時に行い、その後の24時間はそのポイントレートを用いるようにしてもよい。なお、ポイントレートの決定を週一回、月一回、年一回など所定の時間間隔を空けて行い、次のポイントレート決定時まではそのポイントレートを用いるようにするとよい。
【0092】
また、図7は、10日ごとに日々の電力市場価格の過去10日分における平均電力価格を算出し、その平均電力価格を次の10日間におけるポイントレート算出の基準とする場合である。細線が電力価格を示し、太線が平均電力価格を示す。この場合も、ポイントレートの変動の大きさは電力市場価格の変動に比べて小さい。よって、電力市場価格の変動による価格変動リスクを低減することができる。この平均電力価格を算出するための期間は10日間に限られず、1週間、1ヶ月、1年などでもよい。
【0093】
そして、このようにして算出した平均電力価格を財・サービスレートに基づいてポイントに変換する。これにより、蓄電量とポイントのレートであるポイントレートが決定される。
【0094】
例えば、財・サービスである1000円の商品券と交換するのに必要なポイントが100ポイントとする場合、財・サービスレートは1ポイント10円となる。そして、電力市場価格の所定の期間における平均電力価格が1kwh当たり10円であるとすると、ポイントレートは1kwh当たり1ポイントとなる。蓄電設備100に1kwhの電力が蓄えられた場合、蓄電設備保有者には1ポイントが付与されることとなる。ただし、このレートは、説明のために示す一例である。
【0095】
このように、電力市場において変動する電力市場価格を平均した平均電力価格を基準としてポイントレートを設定することにより、ポイントレートの変動は電力市場価格の変動に比べて小さくなる。したがって、蓄電設備保有者が電力価格変動リスクを被ることを防止することができる。これにより、一般家庭や企業に対して蓄電設備を導入し、さらに、本技術に係るシステムを介して電力市場へ参加しようとするインセンティブを与えることができる。
【0096】
また、上述したように蓄電設備保有者とポイント発行者との間で個別の契約がある場合には、その契約内容もポイントレートの決定の基準とすることができる。個別の契約とは例えば、蓄電池モジュール30への蓄電は価格の安い深夜電力からのみ行うか否か、蓄電池モジュール30に充電された電力を蓄電設備保有者が自家消費できるか否か、保有者の意思で自由に売電することができるか否かなどである。
【0097】
基本的には、蓄電設備保有者の自由度が低い契約である場合には蓄電設備保有者がより利益を得ることができるようにポイントレートを高く設定するのが好ましい。自由度が低い場合とは例えば、蓄電池モジュール30に充電された電力を蓄電設備保有者が自家消費できず、自由に売買もできない契約である場合(すなわち、蓄えられた電力は全てポイント発行者側の電力・ポイント管理サーバ200による管理のもと売電にのみ用いられる。)である。この場合、売買電の決定は全て電力・ポイント管理サーバ200で行われ、蓄電設備保有者の意思は反映されないため、高いポイントレートを設定するのが好ましい。
【0098】
一方、蓄電設備保有者の自由度が高い契約である場合にはポイント発行者が有利となるようにポイントレートを低く設定するのが好ましい。例えば、蓄電池モジュール30に充電された電力を蓄電設備保有者が自家消費できる契約である場合、ポイント発行者が売電を行おうとしても蓄電池モジュール30の蓄電量が意図する売電量に満たないというような場合があり得る。したがって、このような場合にはポイント発行者が有利となるようにポイントレートを設定するのが好ましい。
【0099】
図5のフローチャートの説明に戻る。次にステップS23で、蓄電池モジュール30における蓄電量が前回取得した蓄電量に比べて増加しているか否かが判定される。蓄電量が増加していると判定された場合、処理はステップS24に進む(ステップS23のYes)。
【0100】
そして、ステップS24で、ステップS22で決定されたポイントレートに基づいてポイント発行部223によってポイントが発行され、ポイントが加算される。なお、ポイントは蓄電量そのものに対して加算されるのではなく、前回のポイント発行時における蓄電量に対する増加分に対して加算される。ポイント発行部223は、現在のポイント数などを示すポイント情報を管理するとともに、ポイントの増減の履歴なども管理するようにしてもよい。また、ネットワークおよび通信部12を介してポイント情報を充放電制御装置10に送信するようにしてもよい。
【0101】
一方、ステップS23で蓄電量が増加していないと判定された場合、処理はステップS25に進む(ステップS23のNo)。次にステップS25で蓄電量が前回取得した蓄電量に比べて減少したか否かが判定される。蓄電量が減少していないと判定された場合、処理はステップS26に進む(ステップS25のNo)。
【0102】
上述したステップS23で蓄電量が増加していないと判定され、さらに、ステップS25で蓄電量が減少していないと判定された場合とは、すなわち蓄電量に変化はないということである。したがって、すなわちステップS26ではポイントの増減は行われない。
【0103】
説明はステップS25に戻る。ステップS25で蓄電量が前回取得した蓄電量に比べて減少したと判定された場合、処理はステップS27に進む(ステップS25のYes)。次にステップS27で蓄電量の減少は電力・ポイント管理サーバ200の指示に基づく売電によるものであるか否かが判定される。
【0104】
蓄電量の減少が電力・ポイント管理サーバ200の指示に基づく売電によるものではないと判定された場合(ステップS27のNo)、処理はステップS28に進む。そして、ステップS28でポイント発行部223によりマイナスのポイントが発行されることにより、ポイントの減算が行われる。蓄電量の減少が電力・ポイント管理サーバ200の指示に基づく売電によるものではない場合とは、蓄電設備保有者が自家消費により電力を消費して蓄電量が減少した場合である。または、蓄電設備保有者が自らの意思で売電を行った場合である。それはポイント発行者が売電を行うことができる電力が蓄電設備保有者により減らされたと考えられるため、ポイントを減算する。ポイントの減算は、前回のポイント発行時における蓄電量に対する減少分に対して行われる。
【0105】
一方、蓄電量の減少が売電によるものであると判定された場合(ステップS27のYes)、処理はステップS26に進み、ポイントの増減は行われない。売電によって蓄電量が減少した場合とは、売電によってポイント発行者が利益を得た場合であるため、そのような場合に蓄電設備保有者のポイントを減少させるのは不合理だからである。なお、蓄電設備保有者が自家消費することができない契約である場合にはステップS27の処理は必要ない。
【0106】
このようにしてポイント発行処理が行われる。次に、図8を参照して上述したポイント発行処理について具体的な例を挙げて説明する。
【0107】
図8は、縦軸を蓄電量とし、横軸を時間として、ある期間内における蓄電量の変化を示したグラフである。横軸に対応して下方向に延びる矢印はポイント発行処理を行った時点を示す。この矢印で示すように、蓄電量の取得とそれに基づくポイント発行は定期的に行われている。なお、説明の理解を容易にするため、ポイントレートは蓄電量1kwh当たり1ポイントとする。
【0108】
まず、電力・ポイント管理サーバ200から充電を指示する充電コマンドが充放電制御装置10に送信されると買電による充電が行われる(期間(1))。そして、電力・ポイント管理サーバ200から停止を指示する停止コマンドが充放電制御装置10に送信されると蓄電設備100は充電を停止する(期間(2))。期間(1)に示す充電が停止するまでの間に2回のポイント発行処理が行われている。
【0109】
1回目のポイント発行においては初期値(0kwh)から蓄電量が2kwh増加しているため、2ポイント加算される。次に、2回目のポイント発行時においては、蓄電量が1回目のポイント発行時と比較して2kwh増加しているため、2ポイント加算される。
【0110】
また、期間(2)に示す停止中に3回目のポイント発行処理が行われている。3回目のポイント発行時においては2回目のポイント発行時と比較して蓄電量1kwh増加しているため、+1ポイント加算される。
【0111】
再び電力・ポイント管理サーバ200から充電コマンドが送信されると、買電による充電が行われる(期間(3))。充電が行われている期間(3)の間に2回のポイント発行処理が行われている。4回目のポイント発行時においては3回目のポイント発行時と比較して蓄電量が1kwh増加しているため、1ポイント加算される。次に、5回目のポイント発行時においては4回目のポイント発行時と比較して蓄電量が2kwh増加しているため、+2ポイント加算される。
【0112】
次に、電力・ポイント管理サーバ200から売電を指示する売電コマンドが送信されて、売電により蓄電量が減少する(期間(4))。なお、売電を指示する場合、売電可能な蓄電量および売電した電力量を正確に把握するために、電力・ポイント管理サーバ200は、ポイント発行のための蓄電量取得とは別に売電開始直前および売電終了直後の蓄電量を取得しておくとよい。
【0113】
期間(4)に示す間に6回目のポイント発行処理が行われる。6回目のポイント発行時においては5回目のポイント発行時と比較して蓄電量が6kwh減少している。しかし、これは売電による減少であるため、ポイントの増減はない。
【0114】
再び、電力・ポイント管理サーバ200から充電コマンドが送信されると充電が行われて蓄電量が増加する(期間(5))。期間(5)の間には7回目のポイント発行処理が行われている。7回目のポイント発行時においては6回目のポイント発行時と比較して蓄電量が2kwh増加しているため、2ポイント加算される。
【0115】
次の期間(6)では蓄電設備保有者が蓄電設備100に蓄えられた電力を使用する自家消費が行われる。この期間(6)の間に2回のポイント発行処理が行われている。8回目のポイント発行時においては7回目のポイント発行時と比較して蓄電量は同じであるため、ポイントの増減はない。続いて、9回目のポイント発行時においては8回目のポイント発行時と比較して蓄電量が2kwh減少している。これは自家消費による減少であるため、2ポイント減算される。すなわち2ポイント分、蓄電設備保有者が保有しているポイントを減らす。
【0116】
そして、電力・ポイント管理サーバ200から充電コマンドが送信されると充電が行われて蓄電量が増加していく(期間(7))。なお、自家消費モードに切り替えられた場合、制御部11は自家消費モード前の動作モードを記憶しておき、自家消費が終了した場合には電力・ポイント管理サーバ200からのコマンドがなくても自家消費モード前の動作モードに戻るようにしておいてもよい。
【0117】
期間(7)の間に10回目のポイント発行処理が行われている。10回目のポイント発行時においては、9回目のポイント発行時と比較して蓄電量は同じであるため、ポイントの増減はない。
【0118】
以上のようにして、電力・ポイント管理サーバ200による処理が行われる。
【0119】
[1−6.充放電制御装置における処理]
次に、充放電制御装置10において行われる充放電制御処理について説明する。図9は充放電制御装置10において行われる処理を示すフローチャートである。上述したように、充放電制御処理は電力・ポイント管理サーバ200からのコマンドに従い、制御部11によって行われる。
【0120】
まず、ステップS31で電力・ポイント管理サーバ200からのコマンドを受信したか否かが判定される。コマンドを受信していない場合には処理は行われない(ステップS31のNo)。コマンドを受信した場合、処理はステップS32に進み(ステップS31のYes)、蓄電設備100が蓄電設備保有者の指示により動作中であるか否かが判定される。
【0121】
蓄電設備100が蓄電設備保有者の指示により動作中である場合、処理はステップS33に進む(ステップS32のYes)。そして、ステップS33で蓄電設備保有者とポイント発行者との契約は蓄電設備保有者の指示が優先される契約であるか否かが判定される。蓄電設備保有者の指示が優先される契約であるか否かの判定は、記憶部23に保存されている契約内容を示す契約情報を参照することにより行うことができる。または、ネットワークを介して電力・ポイント管理サーバ200にアクセスし、保有者データベース230格納されている契約情報を参照することにより行うことができる。蓄電設備保有者の指示が優先される場合には電力・ポイント管理サーバ200からのコマンドに応じた動作制御は行われないため処理は終了となる(ステップS33のYes)。
【0122】
一方、蓄電設備保有者の指示が優先されない契約である場合には処理はステップS34に進む(ステップS33のNo)。また、上述したステップS32において、蓄電設備100が蓄電設備保有者の指示により動作中ではない場合もステップS34に進む(ステップS32のNo)。
【0123】
次にステップS35で、電力・ポイント管理サーバ200からのコマンドが充電コマンドであるか否かが判定される。コマンドが充電コマンドである場合には処理はステップS36に進み、パワーコンディショナ13を充電モードで動作させる。これにより蓄電池モジュール30への充電が行われる。一方、コマンドが充電コマンドではない場合(ステップS35のNo)、処理はステップS36に進み、コマンドが放電コマンドであるか否かが判定される。
【0124】
そして、コマンドが放電コマンドである場合、処理はステップS37に進み(ステップS36のYes)、パワーコンディショナ13を放電モードで動作させることにより蓄電池モジュール30からの放電が行われる。これにより電力市場への売電が行われる。一方、コマンドが放電コマンドではない場合(ステップS36のNo)、処理はステップS38に進む。コマンドが充電コマンドと放電コマンドの何れでもない場合とはコマンドが停止コマンドである場合であるので、ステップS38でパワーコンディショナ13を停止モードとする。このようにして、電力・ポイント管理サーバ200からのコマンドに基づく充放電制御が行われる。
【0125】
なお、蓄電設備保有者とポイント発行者との間において、蓄電設備保有者が自己の指示により蓄電設備100を動作させることができない場合にはステップS32およびステップS33は不要である。
【0126】
また、蓄電設備100が動作中に蓄電設備保有者から動作指示がなされた場合には、蓄電設備保有者の指示を優先する契約の場合には蓄電設備保有者が指示した動作が行われる。一方、蓄電設備保有者の指示が優先されない契約の場合には、蓄電設備保有者が指示した動作は行われず、それまで行っていた動作が継続して行われる。
【0127】
以上のようにして本技術における充放電、ポイント発行が行われる。現状の電力市場は大口の取引に限られており、例えば、一般家庭に設置するような小規模な蓄電設備100に蓄えられる電力量では、電力取引に参加することができない。例えば、日本卸電力取引所の取引単位は、電力1000kw、時間30分である。したがって、取引可能な最小の電力量は500kwhとなる。一方、家庭用蓄電池の蓄電容量は多くても数十kwh程度であり出力も大きくて数kw程度である。よって、一般家庭などにおいて蓄電設備100の導入が広まっても一般家庭が単独で電力取引に参加するのは難しい。これが電力取引への参加を妨げる要因の一つとなっている。
【0128】
本技術においては、電力・ポイント管理サーバ200を有するポイント発行者が蓄電設備100を保有する多数の蓄電設備保有者を管理下に置くことが望ましい。そして、多数の蓄電設備100と電力市場間における売買電は電力・ポイント管理サーバ200の管理のもと行われる。これにより、複数の蓄電設備100における売買電をまとめて行うことにより、電力の取引量が大きくなり、あたかも大口の取引を行っているようになる。したがって、電力市場が小口の取引では参加しにくい場合にも、多数の蓄電設備保有者を束ねることにより、有利な条件での大口の取引が可能となる。
【0129】
蓄電設備100は蓄電設備保有者が保有しているが、蓄電設備100における充放電による売買電は電力・ポイント管理サーバ200の管理のもと行われる。そして、電力・ポイント管理サーバ200は電力市場における電力価格に基づいて売買電を行う。さらに、蓄電設備保有者には蓄電量に応じたポイントが発行される。したがって、蓄電設備保有者は、電力市場における電力価格を気にせず、価格変動リスクを被ることなく、蓄電量に応じたポイントによる利益を得ることができる。これにより、蓄電設備保有者に対する電力価格の価格変動リスクを抑制することができるため、社会全体における蓄電設備の導入を促進させることができる。
【0130】
また、本技術においては、ポイント発行者が適切なタイミングで適切な価格で電力を売却することにより収益を上げられる。したがって、ポイント発行者は本技術に係るシステムを利用することによりシステム運営コストを賄うことが可能となる。
【0131】
また、本技術を用いることにより、財・サービスを提供する財・サービス提供者にも多くの利益をもたらすことができる。一般的に、環境に配慮した商品サービスは通常の商品サービスに比べて割高である。これらの割高な商品・サービスを購入する顧客は、環境意識の高い顧客であると考えられる。
【0132】
本技術に係るシステムに参加する蓄電設備保有者は環境意識が高いと考えられるから、環境配慮商品・サービスを販売したい企業が財・サービス提供者になれば売上の増大を期待できる。また、環境配慮商品・サービスを取り扱っていない企業であっても、本技術に係るシステムに参加すること自体が環境活動に貢献していることになるため、その企業が環境に配慮していることを社会にアピールすることができる。
【0133】
本技術は、以上のような様々な効果を奏することにより、本技術に係るシステムに参加する者それぞれに利益を与えることができるため、蓄電設備の導入を促進する事が可能となる。
【0134】
<2.変形例>
以上、本技術の一実施の形態について具体的に説明したが、本技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能であり、本技術は以下のような構成も取ることができる。
【0135】
(1)蓄電池とともに蓄電設備を構成し、
前記蓄電池における充放電を管理する電力管理装置からの前記蓄電池における充放電の指示を受信する通信部と、
前記指示に基づき前記蓄電池における充放電を制御する制御部と、
該制御部による制御に従い、電力網からの電力を前記蓄電池に供給し、前記蓄電池に蓄えられた電力を前記電力網へ伝送するパワーコンディショナと
を備える
充放電制御装置。
【0136】
(2)前記通信部は、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を前記電力管理装置に送信する
前記(1)に記載の充放電制御装置。
【0137】
(3)前記制御部は、前記指示に基づき前記パワーコンディショナの動作を切り替えることにより前記蓄電池における充放電を制御する
前記(1)または(2)に記載の充放電制御装置。
【0138】
(4)蓄電池とともに蓄電設備を構成する充放電制御装置から送信される、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を受信する通信部と、
前記蓄電情報で示される蓄電量に応じたポイントを前記蓄電設備ごとに発行するポイント発行部と、
を備える
電力管理装置。
【0139】
(5)さらに、前記蓄電池に蓄えられた電力の電力網への伝送および電力網からの電力の前記蓄電池への供給の指示を生成する電力管理部を備え、
前記通信部は前記電力管理部による指示を前記充放電制御装置に送信する
前記(4)に記載の電力管理装置。
【0140】
(6)前記ポイント発行部は、前記蓄電情報で示される前記蓄電量が増加している場合には、前記ポイントを増加させる
前記(4)または(5)に記載の電力管理装置。
【0141】
(7)前記ポイント発行部は、前記蓄電量が前記蓄電設備の保有者による電力の使用により減少した場合には、前記ポイントを減少させる
前記(4)から(6)のいずれかに記載の電力管理装置。
【0142】
(8)前記ポイント発行部は、前記蓄電量が前記電力管理部による放電の指示により減少した場合には、前記ポイントの増減は行わない
前記(4)から(7)のいずれかに記載の電力管理装置。
【0143】
(9)前記電力管理部は、電力市場における電力価格に基づいて、前記蓄電池に蓄えられた電力の電力網への伝送および電力網からの電力の蓄電池への供給の指示を生成する
前記(5)から(8)のいずれかに記載の電力管理装置。
【0144】
(10)前記電力管理部は、前記電力市場における前記電力価格が所定の価格より低い場合には、前記電力網からの電力を前記蓄電池へ供給する指示を生成する
前記(9)に記載の電力管理装置。
【0145】
(11)前記電力管理部は、前記電力市場における前記電力価格が所定の価格より高い場合には、前記蓄電池に蓄電された電力を電力網への伝送する指示を生成する
前記(9)または(10)に記載の電力管理装置。
【0146】
(12)前記蓄電量と前記ポイントとのレートを決定するポイントレート決定部をさらに備える
前記(4)から(11)のいずれかに記載の電力管理装置。
【0147】
(13)前記ポイントレート決定部は、電力市場における電力価格の平均値に基づいて前記レートを決定する
前記(12)に記載の電力管理装置。
【0148】
(14)蓄電池を備える蓄電設備から送信される、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を受信し、
前記蓄電情報で示される蓄電量に応じたポイントを前記蓄電設備ごとに発行する
電力管理方法。
【0149】
(15)蓄電池とともに蓄電設備を構成し、
前記蓄電池における充放電を管理する電力管理装置からの前記蓄電池における充放電の指示を受信するとともに、前記電力管理装置へ前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を送信する通信部と、
前記指示に基づき前記蓄電池における充放電を制御する制御部と、
該制御部による制御に従い、電力網からの電力を前記蓄電池に供給し、前記蓄電池に蓄えられた電力を前記電力網へ伝送するパワーコンディショナと
を備える充放電制御装置と、
該充放電制御装置から送信される、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を受信する通信部と、
前記蓄電情報で示される蓄電量に応じたポイントを前記蓄電設備ごとに発行するポイント発行部と、
前記充放電制御装置に対して、前記蓄電池に蓄電された電力の電力網への伝送および電力網からの電力の前記蓄電池への供給の指示する電力管理部と、
を備える電力管理装置
とからなる
電力管理システム。
【符号の説明】
【0150】
10・・・充放電制御装置
11・・・制御部
12・・・通信部
13・・・パワーコンディショナ
30・・・蓄電池モジュール
100・・蓄電設備
200・・電力・ポイント管理サーバ
210・・通信部
220・・制御部
221・・電力管理部
222・・ポイントレート決定部
223・・ポイント発行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池とともに蓄電設備を構成し、
前記蓄電池における充放電を管理する電力管理装置からの前記蓄電池における充放電の指示を受信する通信部と、
前記指示に基づき前記蓄電池における充放電を制御する制御部と、
該制御部による制御に従い、電力網からの電力を前記蓄電池に供給し、前記蓄電池に蓄えられた電力を前記電力網へ伝送するパワーコンディショナと
を備える
充放電制御装置。
【請求項2】
前記通信部は、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を前記電力管理装置に送信する
請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記指示に基づき前記パワーコンディショナの動作を切り替えることにより前記蓄電池における充放電を制御する
請求項1に記載の充放電制御装置。
【請求項4】
蓄電池とともに蓄電設備を構成する充放電制御装置から送信される、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を受信する通信部と、
前記蓄電情報で示される蓄電量に応じたポイントを前記蓄電設備ごとに発行するポイント発行部と、
を備える
電力管理装置。
【請求項5】
さらに、前記蓄電池に蓄えられた電力の電力網への伝送および電力網からの電力の前記蓄電池への供給の指示を生成する電力管理部を備え、
前記通信部は前記電力管理部による指示を前記充放電制御装置に送信する
請求項4に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記ポイント発行部は、前記蓄電情報で示される前記蓄電量が増加している場合には、前記ポイントを増加させる
請求項4に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記ポイント発行部は、前記蓄電量が前記蓄電設備の保有者による電力の使用により減少した場合には、前記ポイントを減少させる
請求項4に記載の電力管理装置。
【請求項8】
前記ポイント発行部は、前記蓄電量が前記電力管理部による放電の指示により減少した場合には、前記ポイントの増減は行わない
請求項5に記載の電力管理装置。
【請求項9】
前記電力管理部は、電力市場における電力価格に基づいて、前記蓄電池に蓄えられた電力の電力網への伝送および電力網からの電力の蓄電池への供給の指示を生成する
請求項5に記載の電力管理装置。
【請求項10】
前記電力管理部は、前記電力市場における前記電力価格が所定の価格より低い場合には、前記電力網からの電力を前記蓄電池へ供給する指示を生成する
請求項9に記載の電力管理装置。
【請求項11】
前記電力管理部は、前記電力市場における前記電力価格が所定の価格より高い場合には、前記蓄電池に蓄電された電力を電力網への伝送する指示を生成する
請求項9に記載の電力管理装置。
【請求項12】
前記蓄電量と前記ポイントとのレートを決定するポイントレート決定部をさらに備える
請求項4に記載の電力管理装置。
【請求項13】
前記ポイントレート決定部は、電力市場における電力価格の平均値に基づいて前記レートを決定する
請求項12に記載の電力管理装置。
【請求項14】
蓄電池を備える蓄電設備から送信される、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を受信し、
前記蓄電情報で示される蓄電量に応じたポイントを前記蓄電設備ごとに発行する
電力管理方法。
【請求項15】
蓄電池とともに蓄電設備を構成し、
前記蓄電池における充放電を管理する電力管理装置からの前記蓄電池における充放電の指示を受信するとともに、前記電力管理装置へ前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を送信する通信部と、
前記指示に基づき前記蓄電池における充放電を制御する制御部と、
該制御部による制御に従い、電力網からの電力を前記蓄電池に供給し、前記蓄電池に蓄えられた電力を前記電力網へ伝送するパワーコンディショナと
を備える充放電制御装置と、
該充放電制御装置から送信される、前記蓄電池における蓄電量を示す蓄電情報を受信する通信部と、
前記蓄電情報で示される蓄電量に応じたポイントを前記蓄電設備ごとに発行するポイント発行部と、
前記充放電制御装置に対して、前記蓄電池に蓄電された電力の電力網への伝送および電力網からの電力の前記蓄電池への供給の指示する電力管理部と、
を備える電力管理装置
とからなる
電力管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−210073(P2012−210073A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73974(P2011−73974)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】