説明

充放電検査装置

【課題】充電検査装置のリップルを低減する。
【解決手段】DC/DCコンバータ8は、検査対象の2次電池1を充放電するための充放電検査装置に利用される。制御装置20は、N個のスイッチング回路10を2π/Nの位相差で順にサイクリックに制御する。制御装置20は、インダクタL1に流れる電流に応じた検出値が目標値と一致するようにスイッチング回路10を制御する第1モードと、出力端子P2に生ずる出力電圧Voutに応じた検出値が目標値と一致するようにスイッチング回路10を制御する第2モードとが切りかえ可能に構成される。整数Nは、2次電池1の端子電圧Vbatが目標電圧VFULL付近に達した状態において、各インダクタに流れるコイル電流がゼロクロスするように定められている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次電池を検査する充放電検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池、ニッケル水素電池をはじめとする繰り返し充電可能な2次電池が広く利用されている。2次電池はその出荷前に、充放電検査装置を用いて正常に機能するかが検査される(特許文献1)。一般的に2次電池は、はじめに一定電流で充電する方式(定電流充電)によって充電され、その後2次電池が満充電状態に近づくと、端子電圧が一定となるように充電する方式(定電圧充電)によって充電される。
【0003】
充放電検査装置の最終段には、DC/DCコンバータが設けられる。定電流充電では、DC/DCコンバータの出力電流が一定となるようにフィードバック制御され、定電圧充電では、DC/DCコンバータの出力電圧が一定となるようにフィードバック制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−319334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
2次電池の端子電圧が目標電圧(満充電状態)に近づくと、DC/DCコンバータは、定電流充電から定電圧充電に切りかえられ、2次電池の端子電圧を目標電圧に保ち続ける。検査対象の2次電池を高精度で検査、測定するためには、DC/DCコンバータの出力電流、すなわち出力電圧のリップルが小さいことが要求される。
【0006】
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、リップルを低減した充電検査装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、検査対象の2次電池を充放電するための充放電検査装置に関する。充放電検査装置は、DC/DCコンバータを備える。DC/DCコンバータは、直流入力電圧が入力される入力端子と、2次電池の一端と接続されるべき出力端子と、その第1端子が出力端子と接続され、その第2端子が固定電圧端子と接続された出力キャパシタと、それぞれの第1端子が出力端子と接続されたN個(Nは2以上の整数)のインダクタと、N個のインダクタごとに設けられ、それぞれが、入力端子と対応するインダクタの第2端子との間に設けられたハイサイドトランジスタと、対応するインダクタの第2端子と固定電圧端子の間に設けられたローサイドトランジスタと、を含むN個のスイッチング回路と、N個のスイッチング回路を2π/Nの位相差で順にサイクリックに制御する制御装置と、を備える。制御装置は、インダクタに流れる電流に応じた検出値が目標値と一致するようにスイッチング回路を制御する第1モードと、出力端子に生ずる出力電圧に応じた検出値が目標値と一致するようにスイッチング回路を制御する第2モードとが切りかえ可能に構成される。整数Nは、2次電池の端子電圧が目標電圧付近に達した状態において、各インダクタに流れるコイル電流がゼロクロスするように定められている。
【0008】
各相のインダクタに流れるコイル電流は、2次電池に供給すべき充電電流の1/N倍となる。したがって相数Nを適切に決めることにより、各相のコイル電流の直流成分(時間平均値)がコイル電流のリップル量より小さくなりゼロクロスが発生する。コイル電流がゼロクロスすると、DC/DCコンバータは不連続モードで動作するため、各コイル電流のリップル量が低減され、それらが位相シフトして足し合わされる結果、出力キャパシタに流れ込む総電流のリップル量を低減することができる。
【0009】
整数Nは、DC/DCコンバータの入力電圧に対する出力電圧の降圧比と略等しくてもよい。降圧比と略等しい個数のインダクタ等を設けることにより、最大のリップル低減効果を得ることができる。
【0010】
制御装置は、降圧比に応じて駆動するスイッチング回路の個数を変化させてもよい。降圧比が変化する場合には、それに応じて動作するスイッチング回路の個数を変化させることにより、リップル量を好適に低減できる。
【0011】
制御装置は、2次電池を第1の電流値にて定電流充電し、続いて、2次電池を第2の電流値にて定電流充電し、2次電池の端子電圧が目標電圧付近に達すると、定電圧充電を行うよう構成されてもよい。第2の電流値は、各インダクタに流れるコイル電流がゼロクロスするように定められてもよい。
満充電状態に近づくにしたがい、定電流充電の目標電流を積極的に絞り込むことにより、リップル量をさらに低減できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、DC/DCコンバータのリップル量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態に係る充放電検査装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2(a)、(b)は、一般的なDC/DCコンバータの回路図およびその動作波形図である。
【図3】実施の形態に係るDC/DCコンバータの構成を示す回路図である。
【図4】図4(a)は、実施の形態に係るDC/DCコンバータの動作波形図であり、図4(b)は比較技術に係るDC/DCコンバータの動作波形図である。
【図5】充放電検査装置の検査シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施の形態に係る充放電検査装置2の全体構成を示すブロック図である。充放電検査装置2は、検査対象の2次電池1を充電し、あるいは放電することにより、2次電池1の電気的特性が仕様を満たしているかを検査する。2次電池1は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などが例示されるが、特に限定されない。
【0015】
充放電検査装置2は、電源回生コンバータ4、および多段コンバータ6、8を備える。電源回生コンバータ4は200V商用交流電源を受け、それを全波整流、平滑化して284Vの直流電圧Vdcに変換する。充放電検査装置2は2次電池1を充電してその後放電するため、電源回生コンバータ4によって2次電池1に蓄えたエネルギーを回収する。
【0016】
第1のDC/DCコンバータ6は、電源回生コンバータ4からの直流電圧Vdcを降圧し、直流電圧Vinを生成する。たとえば直流電圧inは、数十V程度、具体的には40V程度に安定化される。
【0017】
第2のDC/DCコンバータ8は、直流電圧Vinを受け、2次電池1に充電電流ICHGを供給して2次電池1を充電する。DC/DCコンバータ8は、以下の2つの方式で2次電池1を充電する。
【0018】
1. 定電流(CC:Constant Current)充電
2次電池1に対して、一定の充電電流ICHGが供給され、2次電池1の端子電圧Vbatが時間とともに急速に上昇する。この方式は、主として2次電池1の端子電圧Vbatが低い状態で利用される。
【0019】
2. 定電圧(CV:Constant Voltage)充電
2次電池1の端子電圧Vbatが目標電圧VFULLに近づくと、言い換えれば満充電状態に近づくとこの方式が利用される。この方式では、2次電池1の端子電圧Vbatが目標電圧VFULLに保たれるように、充電電流ICHGが調節される。
【0020】
充放電検査装置2は、定電流充電と定電圧充電および放電のサイクルを、所定のシーケンスで行うことにより、2次電池1の電気的な特性を検査する。本発明者は、このような充放電検査装置2に一般的なDC/DCコンバータを用いると、以下の問題が生ずることを認識した。
【0021】
図2(a)、(b)は、一般的なDC/DCコンバータの回路図およびその動作波形図である。図2(a)の構成は一般的であるため、詳細な説明は省略する。いま、2次電池1の端子電圧Vbatが目標電圧(満充電電圧ともいう)VFULLに達した後に、充放電検査装置2が定電圧充電によって2次電池1の端子電圧Vbatを満充電電圧VFULLに保つ状況を考える。この状況において、2次電池1に負荷が接続されていないとすれば、2次電池1からのエネルギーの放出は自然放電によるものとなるため、非常に小さい。したがって、端子電圧Vbatを一定に保つためにDC/DCコンバータ8aが2次電池1に供給すべき充電電流ICHGは小さくなる。
【0022】
図2(b)に示すようにインダクタL1に流れるコイル電流IL1の時間平均値は、2次電池1に供給される充電電流ICHGに相当しており、またコイル電流IL1は、ハイサイドトランジスタMHまたはローサイドトランジスタMLの相補的なオン、オフ動作と同期して脈流する。TはハイサイドトランジスタMHのオン時間を、TはローサイドトランジスタMLのオン時間を、TSWは、スイッチング周期を示す。DC/DCコンバータ8が連続モードで動作するときのコイル電流IL1のリップル量は、
(Vin−Vout)・Duty/(fSW・L) …(1)
で与えられる。VinはDC/DCコンバータ8の入力電圧、VoutはDC/DCコンバータ8の出力電圧、fSWはスイッチング周波数、LはインダクタL1のインダクタンス値を表す。Dutyは、スイッチング周期TSWに対するハイサイドトランジスタMHのオン時間Tの比(デューティ比)T/TSWであり、およそVout/Vinで与えられる。
【0023】
充放電検査装置2には、2次電池1の端子電圧Vbatを高い精度で一定に保つことが要求されるところ、図2(a)に示すような一般的なDC/DCコンバータ8aを用いると、式(1)のリップル量が要求に比べて大きくなりすぎるという問題がある。
【0024】
図3は、実施の形態に係るDC/DCコンバータ8の構成を示す回路図である。DC/DCコンバータ8は、入力端子P1、出力端子P2、N個(Nは2以上の整数)のインダクタL1〜L1、N個のスイッチング回路10〜10および制御装置20を備える。図3のDC/DCコンバータ8を、並列位相コンバータとも称する。
【0025】
入力端子P1には、前段のDC/DCコンバータ6からの直流入力電圧Vinが入力される。出力端子P2は、2次電池1の一端と接続される。一般的なDC/DCコンバータでは、出力端子P2と接地端子の間に、平滑用の出力キャパシタが設けられるが、充放電検査装置2では、負荷である2次電池1が容量性であるため、出力キャパシタは省略される。なお、必要な場合には出力キャパシタを設けてもよい。
【0026】
N個のインダクタL1〜L1それぞれの第1端子は、出力端子P2と共通に接続される。スイッチング回路10〜10は、インダクタL1〜L1ごとに設けられる。各スイッチング回路10(1≦i≦N)は、ハイサイドトランジスタ(スイッチングトランジスタともいう)MHとローサイドトランジスタ(同期整流トランジスタともいう)MLを備える。ハイサイドトランジスタMHとローサイドトランジスタMLは、入力端子P1と接地端子P3の間に順に直列に設けられる。ハイサイドトランジスタMHとローサイドトランジスタMLの接続点は、対応するインダクタL1の第2端子と接続される。ハイサイドトランジスタMH、MLと並列な経路には整流用のダイオードDH、DLが設けられる。図3には、ハイサイドトランジスタMHとローサイドトランジスタMLとしてIGBTを利用する場合を示すが、これらはMOSFETであってもよいし、バイポーラトランジスタであってもよい。
【0027】
電圧検出回路22は、入力端子P1に入力される入力電圧Vinを検出し、その値を示す信号S1を制御装置20に出力する。電流検出回路24は、複数のインダクタL1のうちのひとつL1に流れる電流IL1を検出し、その値に応じたフィードバック信号S2を制御装置20に出力する。電圧検出回路26は、2次電池1に供給されるDC/DCコンバータ8の出力電圧Vout(つまり2次電池1の端子電圧Vbat)を検出し、その値に応じたフィードバック信号S3を制御装置20に出力する。
【0028】
制御装置20は、制御信号S1〜S3に応じて、N個のスイッチング回路10〜10を順にサイクリックに、位相を2π/Nずつシフトしながら駆動制御する。定電流充電を行うとき制御装置20は第1モードとなり、インダクタL1に流れる電流に応じた検出値S2が目標値と一致するように、各スイッチング回路10におけるハイサイドトランジスタMHとローサイドトランジスタMLのオン時間の比(デューティ比)を調節する。定電圧充電を行うとき制御装置20は第2モードとなり、出力端子P2に生ずる出力電圧Voutに応じた検出値S3がVFULLに応じた目標値と一致するようにスイッチング回路10を制御する。制御装置20については公知の技術を利用すればよいため、その詳細な構成の説明は省略する。
【0029】
実施の形態に係るDC/DCコンバータ8では、2次電池1の端子電圧Vbatが目標電圧付近に近づいたときに、不連続モードで動作するように相数Nが決められる。
いまDC/DCコンバータ8全体の出力電流がICHGであるとき、各相のインダクタL1には、時間平均値IDCがICHG/Nで与えられるコイル電流Iが流れる。DC/DCコンバータ8が不連続モードで動作するためには、コイル電流Iがゼロクロスすることが条件となる。つまり式(1)で与えられるリップル量がコイル電流Iの時間平均値IDCより大きければよい。不連続モードで動作する条件は、式(2)、(3)で与えられる。
CHG/N<(Vin−Vout)・Duty/(fSW・L) …(2)
N>(fSW・L)×ICHG/{(Vin−Vout)・Duty} …(3)
【0030】
CHGは、2次電池1の自然放電(リーク電流)などによる損失に相当し、あらかじめ見積もることができる。そこで必要な相数Nは、式(3)から求めることができる。
【0031】
不連続モードにおいて、制御装置20は、わずかなオン期間の間、ハイサイドトランジスタMHをオンし、インダクタL1にエネルギーを蓄えて充電電流ICHGを供給し、2次電池1の端子電圧Vbatを増大させる。インダクタL1に蓄えられたエネルギーがすべて2次電池1に転送されると、自然放電によって端子電圧Vbatが低下しはじめる。端子電圧Vbatがあるしきい値Vthまで低下すると、再びハイサイドトランジスタMHがオンし、充電電流ICHGが供給される。つまり不連続モードでは、コイル電流Iつまり充電電流ICHGが不連続に流れる。
【0032】
本実施の形態において、スイッチング回路10の個数Nは、DC/DCコンバータ8の入力電圧Vinに対する出力電圧Voutの降圧比と略等しい。略等しいとは、降圧比が非整数の場合に、それと近い整数、具体的には±1の範囲を含むことを示している。たとえば入力電圧Vinが50V、出力電圧Voutが5Vのとき、降圧比は5/50=1/10となるため、10個のスイッチング回路10を設けることが好ましい。
【0033】
以上が充放電検査装置2の構成である。続いてその動作を説明する。
図4(a)は、図3のDC/DCコンバータ8の動作波形図を、図4(b)は比較技術の動作波形図を示す。
【0034】
はじめに実施の形態に係るDC/DCコンバータ8の効果を明確とするために、図4(b)を参照して比較技術について説明する。比較技術に係るDC/DCコンバータ8は、軽負荷状態においても連続モードで動作するような相数Nを有している。
【0035】
いまDC/DCコンバータ8全体の出力電流がICHGであるとき、各相のインダクタL1には、時間平均値IDCがICHG/Nで与えられるコイル電流Iが流れる。DC/DCコンバータ8が連続モードで動作するためには、コイル電流Iがゼロクロスしないことが条件となる。連続モードで動作する条件として式(4)を得る。
CHG/N>(Vin−Vout)・Duty/(fSW・L) …(4)
【0036】
図4(b)は、式(4)を満たすようなNを用いて構成されたDC/DCコンバータ8の動作を示し、具体的にはN=2の場合が示される。いま充電電流ICHGの時間平均値が1Aであるとすると、各相のコイルにはそれぞれ、時間平均値が0.5Aのコイル電流IL1、IL2が流れ、それらの位相は互いに2π/N=πシフトしている。また各相のコイル電流IL1、IL2のリップル量は、それぞれ1Aである。この場合、2次電池1に流れ込む総電流(IL1+IL2)のリップル量は0.89Aとなり、図2(a)の1相のDC/DCコンバータ8aに比べて優位性はない。
【0037】
続いて実施の形態に係るDC/DCコンバータ8の動作を説明する。図4(a)は、不等式(3)を満たすようなNを用いて構成されたDC/DCコンバータ8の動作を示し、具体的にはN=10の場合が示される。図4(b)と同様に充電電流ICHGの時間平均値が1Aであるとすると、各相のコイルにはそれぞれ、時間平均値が0.1Aのコイル電流IL1〜IL10が流れ、それらの位相は互いに2π/N(=π/5)シフトしている。
【0038】
不連続モードで動作するとき、各相のコイル電流IL1〜IL10それぞれのリップル量は、連続モード時のそれよりも小さくなる。そして、それらを足し合わせて得られる2次電池1に流れ込む総電流(IL1+IL2+・・・+IL10)のリップル量は0.22Aとなり、図4(b)に示す比較技術に比べて格段に改善される。
【0039】
このように、実施の形態に係るDC/DCコンバータ8によれば、2次電池1の端子電圧Vbatが目標電圧付近に到達したときに、各相が不連続モードで動作するような相数Nにて2次電池1を充電することにより、リップル量を大幅に低減することができる。
【0040】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0041】
入力電圧Vinが変化する場合や、満充電電圧VFULLが異なる電池を試験する場合には、DC/DCコンバータ8の降圧比が変化することが想定される。この場合、制御装置20は、降圧比に応じて駆動するスイッチング回路10の個数を変化させてもよい。
これにより、さまざまな状況において、適切な相数Nで2次電池1を充電できるため、リップル量を低減することができる。
【0042】
実施の形態では、定電圧充電を行う際に、DC/DCコンバータ8を不連続モードで動作させる場合を説明したが、定電流状態においてもDC/DCコンバータ8を不連続モードで動作させてもよい。図5は、充放電検査装置2の検査シーケンスの一例を示す図である。制御装置20は、まず2次電池1を第1の電流値ICHG1にて定電流充電する(期間T1)。続いて、2次電池1の端子電圧Vbatが目標電圧VFULLに近づくと、第2の電流値ICHG2にて定電流充電する(期間T2)。2次電池1の端子電圧Vbatが目標電圧VFULL付近に達すると、定電圧充電を行う(期間T3)。
【0043】
期間T2における第2の電流値ICHG2は、各相のコイル電流Iがゼロクロスするように、すなわちDC/DCコンバータ8が不連続モードで動作するように定められてもよい。この場合、期間T2において充電電流ICHGを積極的に絞り込むことにより、リップル量を低減することが可能となる。
【0044】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0045】
1…2次電池、2…充放電検査装置、4…電源回生コンバータ、6…DC/DCコンバータ、8…DC/DCコンバータ、P1…入力端子、P2…出力端子、P3…接地端子、10…スイッチング回路、L1…インダクタ、20…制御装置、MH…ハイサイドトランジスタ、ML…ローサイドトランジスタ、22…電圧検出回路、24…電流検出回路、26…電圧検出回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の2次電池を充放電するための充放電検査装置であって、DC/DCコンバータを備え、当該DC/DCコンバータは、
直流入力電圧が入力される入力端子と、
前記2次電池の一端と接続されるべき出力端子と、
その第1端子が前記出力端子と接続され、その第2端子が固定電圧端子と接続された出力キャパシタと、
それぞれの第1端子が前記出力端子と接続されたN個(Nは2以上の整数)のインダクタと、
N個のインダクタごとに設けられ、それぞれが、前記入力端子と対応する前記インダクタの第2端子との間に設けられたハイサイドトランジスタと、対応する前記インダクタの第2端子と前記固定電圧端子の間に設けられたローサイドトランジスタと、を含む、N個のスイッチング回路と、
前記N個のスイッチング回路を2π/Nの位相差で順にサイクリックに制御する制御装置であって、前記インダクタに流れる電流に応じた検出値が目標値と一致するように前記スイッチング回路を制御する第1モードと、前記出力端子に生ずる出力電圧に応じた検出値が目標値と一致するように前記スイッチング回路を制御する第2モードとが切りかえ可能に構成される制御装置と、
を備え、
整数Nは、前記2次電池の端子電圧が目標電圧付近に達した状態において、各インダクタに流れるコイル電流がゼロクロスするように定められていることを特徴とする充放電検査装置。
【請求項2】
整数Nは、前記DC/DCコンバータの入力電圧に対する前記出力電圧の降圧比と略等しいことを特徴とする請求項1に記載の充放電検査装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記降圧比に応じて駆動するスイッチング回路の個数を変化させることを特徴とする請求項2に記載の充放電検査装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記2次電池を第1の電流値にて定電流充電し、続いて、前記2次電池を第2の電流値にて定電流充電し、前記2次電池の端子電圧が目標電圧付近に達すると、定電圧充電を行うよう構成され、
かつ前記第2の電流値は、各インダクタに流れるコイル電流がゼロクロスするように定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の充放電検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−229315(P2011−229315A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98157(P2010−98157)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】