説明

充電コネクタ及び電源システム

【課題】充電作業において安全を確保した上でシステムのインタロック機能を解除する。
【解決手段】車両の動力源となるバッテリに接続される電源コネクタ40と、バッテリを充電する外部電源に接続される充電コネクタ70と、を結合させると、電源コネクタ40の導電部42は、充電コネクタ70の挿入孔72に挿入される。電源コネクタ40のインタロックピン44は、充電コネクタ70の内部にスライド可能に設けられたインタロックピン74を押し出し、インタロックピン74は、インタロックピン42の長さ分だけ充電コネクタ70の外部に突出する。突出部分76は、車両負荷に接続されるPCU側コネクタ50のインタロックジャック54に挿入され、突出部分76の先端は、インタロックジャック54の端部56に接触する。この接触をセンサ60が検出すると、電源システムのインタロック機能は解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電コネクタ及び電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車及び電気自動車などの電動車両には、車両の動力源となる高電圧のバッテリが搭載される。このバッテリを充電する際には、外部電源からの電力供給が用いられる。外部電源を用いてバッテリを充電するには、バッテリから負荷への電力供給経路を一旦遮断した上で、外部電源からバッテリへの電力供給経路を新たに形成する必要がある。このように電力供給経路を切り替える作業は、通常、作業者の手作業により行われる。例えば、作業者は、バッテリとバッテリから電力供給を受ける車両負荷とを結合するコネクタを分離し、その後、バッテリ側のコネクタと外部電源側のコネクタとを結合する。
【0003】
バッテリを充電する際の電力供給経路の切り替え作業において、作業者が高電圧に触れることのないように安全を確保する技術がある。例えば、特許文献1に開示される電源装置では、バッテリと車両負荷との間にサービスプラグが設けられ、サービスプラグとバッテリとの間に第1のリレーが設けられ、プラグと車両負荷との間に第2のリレーが設けられる。バッテリに外部充電器を取り付ける際には、まず、第1及び第2のリレーを非導通状態とすることでサービスプラグが高電圧系から絶縁された状態で、サービスプラグを取り外す。次に、サービスプラグが取り付けられていた位置に外部充電器のプラグを装着する。そして、車両負荷とプラグとの間の第2のリレーは非導通状態のまま、バッテリと電源との間の第1のリレーを導通状態とすることでバッテリを充電する。
【0004】
また、コネクタ同士の嵌合検知を行う技術の例として、特許文献2には、雌コネクタ側にインタロック用雄端子を設け、雄コネクタ側にインタロック用雌端子を設け、雄雌のコネクタの結合時にインタロック用雄端子がインタロック用雌端子に接続されることで、雌雄の各コネクタに接続される電線同士が接続されて通電が可能となる一対のコネクタが開示されている。
【0005】
また例えば、特許文献3には、安全装置付きのコンセントが開示されている。特許文献3に記載のコンセントは、その内部にボタン上のスイッチである安全装置が設けられ、ソケットを確実に差し込むことによってのみ、この安全装置が解除されてソケットに電力が供給される。
【0006】
【特許文献1】特開2007−124813号公報
【特許文献2】特開2007−149420号公報
【特許文献3】特開平7−65889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車などに搭載される電源システムは、バッテリと車両負荷との間を接続するコネクタが取り外された際に、その状態を検出してバッテリからの電力供給を遮断するインタロック機能を備える場合がある。このようなインタロック機能を備えるシステムにおいて、外部電源を用いてバッテリを充電する場合、例えば、まず作業者によってバッテリと車両負荷との間を接続するコネクタが取り外されると、インタロック機能によりバッテリからの電力供給が遮断される。次に、バッテリ側のコネクタと外部電源のコネクタとを結合させた後は、バッテリと外部電源との間を電気的に接続する必要がある。したがって、バッテリの充電のためには、一旦作動したインタロック機能を解除する必要がある。一方、インタロック機能を解除する際には、作業者が高電圧系に触れることのないように安全を確保することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様の充電コネクタは、二次電池を充電する外部電源に接続される充電コネクタであって、前記二次電池に接続される電源コネクタと結合される充電コネクタにおいて、前記電源コネクタが備えるインタロック解除手段と、前記二次電池から電力供給を受ける負荷に接続される負荷コネクタが備えるインタロック解除検出手段と、の間の接続を可能とする媒介手段を備え、前記インタロック解除検出手段は、前記インタロック解除手段との接続を検出する手段であり、前記インタロック解除手段は、前記負荷コネクタと前記電源コネクタとが結合されて前記電源コネクタが備える導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記インタロック解除検出手段に接続され、前記媒介手段は、前記充電コネクタと前記電源コネクタとが結合されて前記電源コネクタの導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記インタロック解除手段と前記インタロック解除検出手段との間の接続を可能とするように設けられる、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の1つの態様の充電コネクタにおいて、前記電源コネクタの前記インタロック解除手段は、前記電源コネクタにおいて前記負荷コネクタと結合される面に設けられる突起部であり、前記負荷コネクタは、前記突起部が挿入される差込穴であって前記突起部の形状に対応する形状の差込穴を備え、前記負荷コネクタの前記インタロック解除検出手段は、前記差込穴において、前記突起部の挿入方向の端部であって前記負荷コネクタの前記電源コネクタとの結合面と反対側の端部に設けられる接触センサを備え、前記負荷コネクタと前記電源コネクタとが結合されて前記電源コネクタが備える導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記突起部の先端は、前記差込部の前記接触センサが設けられる端部に接触し、前記充電コネクタの前記媒介手段は、前記充電コネクタの内部にスライド可能に設けられるスライド部材を備え、前記スライド部材は、前記電源コネクタの前記突起部の突出方向と平行な方向にスライド可能であり、前記充電コネクタが前記電源コネクタと結合されて前記電源コネクタの前記導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記電源コネクタの前記突起部に押し出されて前記突起部の突出方向の長さだけ前記充電コネクタの外部に突出するものであってよい。
【0010】
本発明の他の1つの態様の充電コネクタにおいて、前記負荷コネクタの前記インタロック解除検出手段は、互いに開放された第1接点及び第2接点に接続される検出回路を備え、前記電源コネクタの前記インタロック解除手段は、前記電源コネクタと前記負荷コネクタとが結合されて前記電源コネクタの前記導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記第1接点と前記第2接点との間を短絡させるように設けられた通電部を備え、前記インタロック解除検出手段は、前記第1接点と前記第2接点との間が短絡されたことを前記検出回路が検出した場合に、前記インタロック解除手段との接続を検出し、前記充電コネクタの前記媒介手段は、前記充電コネクタと前記電源コネクタとが結合されて前記電源コネクタの前記導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記第1接点及び前記第2接点のそれぞれと、前記インタロック解除手段の通電部と、の間を電気的に接続可能とする回路を備えていてよい。
【0011】
本発明の1つの態様の電源システムは、上述のいずれかの態様の充電コネクタと、前記二次電池と前記電源コネクタとの間に設けられるリレーと、前記リレーの開閉を制御する制御部であって、前記インタロック解除検出手段が前記インタロック解除手段との接続を検出している場合は前記リレーを閉じることを許可し、前記インタロック解除検出手段が前記インタロック解除手段との接続を検出していない場合は前記リレーを閉じることを禁止する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、インタロック機能を備える電源システムに含まれるバッテリの充電作業において、作業者の安全を確保した上でインタロック機能を解除してバッテリと外部電源との間の接続を確立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に、電源システムの構成の一例を示す。図1の例の電源システム1は、ハイブリッド自動車又は電気自動車などの電動車両に搭載される。電源システム1は、電池モジュール10及び制御部12を含む。電源システム1は、車両負荷に対して電力を供給する。車両負荷は、モータ20及びPCU(Power Control Unit)30を含む。
【0014】
電池モジュール10は、高圧直流電源として機能する。電池モジュール10は、バッテリ14と、バッテリ14の正極及び負極のそれぞれに接続される電源ケーブル(電源線)16a,16bと、を含む。電源ケーブル16a,16bは、絶縁ケーブルなどからなり、車体による接地との電気的絶縁を確保した上で車両負荷などへの配線が行われる。各電源ケーブル16a,16bには、制御部12からの制御信号に従って開閉するリレー18a,18bが設けられる。
【0015】
なお、バッテリ14及びリレー18a,18bは、例えば、絶縁体からなる箱体に収容され、各電源ケーブル16a,16bにおいて各リレー18a,18bに対してバッテリ14と反対側に位置する部分のみが箱体の外部に露出する。したがって、リレー18a,18bが開かれている場合、バッテリ14と電池モジュール10の外部とは電気的に遮断される。
【0016】
制御部12は、リレー18a,18bの開閉を制御する。制御部12は、例えば、車両の各要素の動作を制御するECU(Electronic Control Unit)の機能の一部として実現される。
【0017】
モータ20は、例えば、車両の駆動用のモータである。また、電源システム1がハイブリッド自動車に搭載される場合、モータ20は、ハイブリッド自動車のエンジンに連結され、エンジンの回転力によって発電する発電機又はエンジンの始動を行うことのできる電動機として機能するモータ20であってもよい。
【0018】
PCU30は、モータ20を駆動する駆動システムである。PCU30は、昇圧コンバータ32及びインバータ34を含む。PCU30は、昇圧コンバータ32の正極及び負極のそれぞれに接続されるコネクタ部36a,36bを備える。各コネクタ部36a,36bにおいて、バッテリ14の各極に接続される電源ケーブル16a,16bの端部に設けられる電源コネクタ(図示しない)とPCU側コネクタ(図示しない)とを結合させることで、バッテリ14と昇圧コンバータ32とが電気的に接続される。
【0019】
昇圧コンバータ32は、バッテリ14から供給される入力電圧の電圧レベルを変換し、変換後の出力電圧をインバータ34へ供給する。インバータ34は、昇圧コンバータ32から供給された直流電圧を交流電圧に変換し、モータ20を駆動する。
【0020】
電源システムのバッテリ14を外部電源(図示しない)によって充電する場合、まず、各電源ケーブル16a,16bの各電源コネクタがPCU30のコネクタ部36a,36bから取り外される。そして、外部電源の正極及び負極にそれぞれ接続される充電コネクタと各電源コネクタとを結合することで、バッテリ14と外部電源とを電気的に接続してバッテリ14の充電を行う。
【0021】
以下、制御部12によるリレー18a,18bの開閉制御の例について説明する。
【0022】
図1の例では、リレーは、それぞれ、制御部12からの制御信号SMR1,SMR2に従って開閉する。本例では、制御信号SMR1,SMR2は、ONレベル又はOFFレベルの値をとる論理信号であり、リレー18a,18bは、それぞれ、ONレベルのSMR1,SMR2を受けた場合に閉じられ、OFFレベルのSMR1,SMR2を受けた場合に開かれる。
【0023】
制御部12は、例えば、車両のイグニッションのON又はOFFを表すイグニッション信号IGに従って、リレー18a,18bを開閉する。例えば、車両のイグニッションがONにされたことを表すイグニッション信号IGを受けると、制御部12は、ONレベルの制御信号SMR1,SMR2を生成して各リレー18a,18bに対して出力する。このONレベルの制御信号SMR1,SMR2を受けて各リレー18a,18bは閉じられ、バッテリ14とPCU30の昇圧コンバータ32とが電気的に接続される。逆に、車両のイグニッションがOFFにされたことを表すイグニッション信号IGを受けると、制御部12は、OFFレベルの制御信号SMR1,SMR2を生成して各リレー18a,18bに対して出力する。このOFFレベルのSMR1,SMR2の制御信号を受けて各リレー18a,18bは開かれ、バッテリ14は電池モジュール10の外部から電気的に遮断される。
【0024】
また、制御部12は、電源システム1のインタロック機能を実現する。例えば、制御部12は、PCU側コネクタに設けられるセンサ(図示しない)の出力信号CN1,CN2に従って、リレーを閉じることを許可又は禁止する制御を行う。本例では、出力信号CN1,CN2は、ONレベル又はOFFレベルの値をとる論理信号であるとする。また、以下の説明では、各コネクタ部36a,36bのPCU側コネクタに設けられるセンサは、PCU側コネクタと電源コネクタとの間の結合を検出した場合にONレベルの出力信号CN1,CN2を出力し、PCU側コネクタと電源コネクタとの間の結合を検出していない場合にOFFレベルの出力信号CN1,CN2を出力するものとする。
【0025】
例えば、制御部12は、OFFレベルの出力信号CN1,CN2を受け取った場合に、対応するリレー18a,18bに対して、OFFレベルの制御信号SMR1,SMR2を出力する。これにより、リレー18a,18bは開かれ、バッテリ14からの電力供給は遮断される。さらに、制御部12は、OFFレベルの出力信号CN1,CN2を受信している間は、対応するリレー18a,18bを閉じることを禁止する制御を行う。つまり、OFFレベルの出力信号CN1,CN2を受信している間は、対応するリレー18a,18bを閉じる制御(ONレベルの制御信号SMR1,SMR2の出力)を行わない。例えば、通常、制御部12は、イグニッションのONを示すイグニッション信号IGを受け取ると、上述のようにリレー18a,18bを閉じる制御を行うが、OFFレベルの出力信号CN1,CN2を受信している間は、イグニッションのONを示すイグニッション信号IGを受信しても、対応するリレー18a,18bを閉じる制御を行わない。
【0026】
制御部12は、ONレベルの出力信号CN1,CN2を受信している場合は、対応するリレー18a,18bを閉じることを許可する制御を行う。例えば、ONレベルの出力信号CN1,CN2を受信していれば、制御部12は、イグニッションのONを示すイグニッション信号IGを受信した場合に、リレー18a,18bを閉じる制御を行う。
【0027】
なお、制御部12は、出力信号CN1,CN2のいずれか一方がOFFレベルであり、他方がONレベルである場合に、OFFレベルの出力信号CNに対応するリレー18a,18bを閉じることを禁止するだけでなく、リレー18a,18bの両方について、当該リレーを閉じることを禁止してもよい。
【0028】
以上で説明したような制御を制御部12が行うことで、電源コネクタがPCU側コネクタから取り外されている場合にバッテリ14からの電力供給を遮断して安全を確保するインタロック機能が実現される。
【0029】
図2は、PCU30の各コネクタ部36a,36bにおいて互いに結合される電源コネクタ40及びPCU側コネクタ50の例を示す。コネクタ部36a,36bのそれぞれにおいて同様に、図2の例の電源コネクタ40とPCU側コネクタ50とが結合される。
【0030】
図2を参照し、電源コネクタ40は、電池モジュール10の電源ケーブル16の端部に設けられる。電源コネクタ40は、導電部42及びインタロックピン44を備える。導電部42は、バッテリ14からの電力を伝える部分であり、インタロックピン44は、制御部12のインタロック機能を解除するインタロック解除手段である。インタロックピン44によるインタロック機能の解除については後述する。
【0031】
PCU側コネクタ50は、電源コネクタ40の導電部42に対応する挿入孔52及びインタロックピン44に対応するインタロックジャック54を備える。インタロックジャック54の昇圧コンバータ32側の端部56には、接触を検出するセンサ60が設けられる。このセンサ60が出力信号CN1又はCN2を制御部12に対して出力する。
【0032】
図2に例示するように、電源コネクタ40とPCU側コネクタ50とが結合されていない状態では、インタロックジャック54の端部56に接触するものはなく、センサ60は、OFFレベルの出力信号CN1(又はCN2)を制御部12に対して出力する。OFFレベルの出力信号CN1,CN2を受信した制御部12は、上述のように、リレー18a,18bを閉じることを禁止する制御を行い、電源システム1のインタロック機能が働く。
【0033】
電源コネクタ40とPCU側コネクタ50とを結合すると、電源コネクタ40の導電部42及びインタロックピン44がそれぞれPCU側コネクタ50の挿入孔52及びインタロックジャック54に挿入され、インタロックピン44の先端がインタロックジャック54の端部56に接触する。センサ60は、インタロックジャック54の端部56にインタロックピン44の先端が接触したことを検出すると、ONレベルの出力信号CN1(又はCN2)を制御部12に対して出力する。このONレベルの出力信号CN1,CN2を受信すると、制御部12は、上述のように、対応するリレー18a,18bを閉じることを許可する制御を行う。これによって、電源システム1のインタロック機能は解除され、リレー18a,18bは必要に応じて閉じられてバッテリ14から車両負荷に対して電力が供給される。
【0034】
図3は、図2に例示する電源コネクタ40に結合される充電コネクタの構成の例を示す。図3を参照し、充電コネクタ70は、バッテリ14を充電する外部電源の正極又は負極に接続されるコネクタである。図3(a)を参照し、充電コネクタ70は、電源コネクタ40の導電部42に対応する挿入孔72と、インタロックピン74と、を備える。充電コネクタ70のインタロックピン74は、充電コネクタ70の内部にスライド可能に設けられ、充電コネクタ70と電源コネクタ40とが結合されていない状態では、充電コネクタ70の内部に収容される。電源コネクタ40のインタロックピン44と充電コネクタ70のインタロックピン74とは、導電部42の挿入孔72への挿入方向に対して垂直な断面において同様の形状を有する。
【0035】
図3(b)を参照し、電源コネクタ40と充電コネクタ70とを結合させると、電源コネクタ40の導電部42は充電コネクタ70の挿入孔72に挿入され、電源コネクタ40のインタロックピン44は、充電コネクタ70のインタロックピン74を押し出して充電コネクタ70の内部に収容される。充電コネクタ70のインタロックピン74は、電源コネクタ40のインタロックピン44の挿入方向の長さの分だけスライドされて充電コネクタ70の外部に突出する。充電コネクタ70のインタロックピン74の突出部分76は、電源コネクタ40のインタロックピン44と同様の形状を有する。
【0036】
図3(c)を参照し、充電コネクタ70のインタロックピン74の突出部分76をPCU側コネクタ50のインタロックジャック54に挿入すると、充電コネクタ70のインタロックピン74の先端は、インタロックジャック54の端部56に接触する。図3(c)の状態において、センサ60は、端部56におけるインタロックピン74の接触を検出してONレベルの出力信号CN1(又はCN2)を制御部12に対して出力する。このONレベルの出力信号CN1,CN2を受けると、制御部12によって電源システム1のインタロック機能は解除され、リレー18a,18bが閉じられて外部電源からバッテリ14への電力供給が可能となる。
【0037】
図3の例では、電源コネクタ40と充電コネクタ70とを結合して電源コネクタ40の導電部42が外部に露出しない状態となって初めて、充電コネクタ70のインタロックピン74は、PCU側コネクタ50のインタロックジャック54の端部56に到達する長さだけ充電コネクタ70の外部に突出する。したがって、インタロック機能が解除される際には、電源コネクタ40の導電部42は外部に露出していない状態であり、充電作業を行う作業者の安全が確保される。
【0038】
図4は、各コネクタ部36a,36bにおいて互いに結合される電源コネクタ40及びPCU側コネクタ50の他の一例を示す。図4を参照し、電源コネクタ40は、図2と同様の導電部42を備える。また、電源コネクタ40は、インタロック解除手段として、突出部46を備える。突出部46には、互いに短絡された2つの接点c1,c2が設けられる。
【0039】
PCU側コネクタ50は、電源コネクタ40の導電部42に対応する挿入孔52と電源コネクタ40の突出部46の形状に対応する形状の凹部58とを備える。凹部58には、電源コネクタ40の突出部46における2つの接点c1,c2の位置にそれぞれ対応する接点d1,d2が設けられる。接点d1,d2は、PCU側コネクタ50に設けられる検出回路62に接続される。検出回路62は、電源64、負荷66、及びセンサ68を含む。接点d1は、電源64の正極に接続され、接点d2は、電源64の負極に負荷66を介して接続される。接点d1及び接点d2は、互いに開放されている。センサ68は、負荷66における電流又は電圧を検出するセンサである。センサ68が出力信号CN1又はCN2を制御部12に対して出力する。センサ68は、負荷66において所定値以上の電流又は電圧を検出している場合に、ONレベルの出力信号CN1,CN2を出力し、負荷66において所定値以上の電流又は電圧を検出していない場合に、OFFレベルの出力信号CN1,CN2を出力する。
【0040】
図4に例示するように、電源コネクタ40とPCU側コネクタ50とが結合されていない状態では、PCU側コネクタ50の検出回路62の接点d1,d2は互いに開放されているため、センサ68は負荷66において電流又は電圧を検出せず、OFFレベルの出力信号CN1,CN2を制御部12に対して出力する。OFFレベルの出力信号CN1,CN2を受信した制御部12は、上述のように、リレー18a,18bを閉じることを禁止する制御を行い、電源システム1のインタロック機能が働く。
【0041】
電源コネクタ40とPCU側コネクタ50とを結合すると、電源コネクタ40の導電部42がPCU側コネクタ50の挿入孔52に挿入され、電源コネクタ40の突出部46の接点c1,c2は、それぞれ、PCU側コネクタ50の凹部58に設けられる接点d1,d2に接続される。すると、接点c1と接点c2とは互いに短絡されているため、検出回路62において接点d1と接点d2とは互いに短絡される。したがって、電源コネクタ40とPCU側コネクタ50とが結合されている状態では、負荷66に電流が流れ、センサ68はONレベルの出力信号CN1,CN2を制御部12に対して出力する。これにより、制御部12は、リレー18a,18bを閉じることを許可する制御を行い、電源システム1のインタロック機能は解除される。
【0042】
図5を参照し、図4の例の電源コネクタ40及びPCU側コネクタ50が用いられる場合の充電コネクタの例を示す。図5(a)を参照し、充電コネクタ70は、電源コネクタ40の導電部42に対応する挿入孔72と、電源コネクタ40の突出部46の形状に対応する形状を有する凹部78と、PCU側コネクタ50の凹部58の形状に対応する形状の突出部80と、を備える。また、充電コネクタ70の凹部78において、電源コネクタ40の突出部46上の接点c1,c2の位置にそれぞれ対応する位置に接点e1,e2が設けられ、充電コネクタ70の突出部80において、PCU側コネクタ50の凹部58上の接点d1,d2の位置にそれぞれ対応する位置に接点f1,f2が設けられる。接点e1と接点f1とは互いに短絡され、接点e2と接点f2とは互いに短絡される。なお、接点e1及び接点f1を接続する線と接点e2及び接点f2を接続する線との間は電気的に絶縁される。
【0043】
図5(b)を参照し、電源コネクタ40と充電コネクタ70とを結合させると、電源コネクタ40の導電部42は充電コネクタ70の挿入孔72に挿入され、電源コネクタ40の突出部46に設けられる接点c1,c2は、それぞれ、充電コネクタ70の凹部78に設けられる接点e1,e2と接続される。さらに、充電コネクタ70をPCU側コネクタ50と結合させると、充電コネクタ70の突出部80に設けられる接点f1,f2は、それぞれ、PCU側コネクタ50の凹部58に設けられる接点d1,d2に接続される。図5(b)に例示するように、電源コネクタ40と充電コネクタ70とを結合させ、さらに充電コネクタ70とPCU側コネクタ50とを結合させると、PCU側コネクタ50に設けられる検出回路62を含む閉回路が形成される。すると、検出回路62中のセンサ68(図4参照)は、負荷66(図4参照)における電流又は電圧を検出してONレベルの信号CN1,CN2を制御部12に対して出力する。これによって、制御部12において、電源システム1のインタロック機能は解除される。
【0044】
図5の例によると、電源コネクタ40と充電コネクタ70とを結合させずに、充電コネクタ70のみをPCU側コネクタ50に結合させ、充電コネクタ70の突出部80の各接点f1,f2とPCU側コネクタ50の凹部の各接点d1,d2に接続させたとしても、検出回路62を含む閉路は形成されない。したがって、充電コネクタ70のみをPCU側コネクタ50に結合させた場合、検出回路62のセンサ68は負荷66における電流又は電圧を検出せず、出力信号CN1,CN2はOFFレベルとなり、制御部12は、電源システム1のインタロック機能を解除しない。
【0045】
PCU側コネクタ50において、コネクタが結合されていない状態では開放されている接点間の短絡を検出することでコネクタ同士の結合を検出する構成の場合、例えば、図6に示すように、電源コネクタ40、PCU側コネクタ50、及び充電コネクタ70を構成してもよい。図6を参照し、電源コネクタ40、PCU側コネクタ50、及び充電コネクタ70において、図4及び図5の例の突出部46,80及び凹部58,78は設けられていない。図6に例示する電源コネクタ40、PCU側コネクタ50、及び充電コネクタ70の各接点c1,c2,d1,d2,e1,e2,f1,f2とPCU側コネクタ50の検出回路62とは、図4及び図5を参照して説明した例の各接点及び検出回路62と同様に機能する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】電源システムの構成の例を示す図である。
【図2】電源コネクタ及びPCU側コネクタの構成の一例を示す図である。
【図3】図2に例示する電源コネクタ及びPCU側コネクタに結合される充電コネクタの構成の例を示す図である。
【図4】電源コネクタ及びPCU側コネクタの構成の他の一例を示す図である。
【図5】図4に例示する電源コネクタ及びPCU側コネクタに結合される充電コネクタの構成の例を示す図である。
【図6】電源コネクタ、PCU側コネクタ、及び充電コネクタの構成の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 電源システム、10 電池モジュール、12 制御部、14 バッテリ、16a,16b 電源ケーブル、18a,18b リレー、20 モータ、32 昇圧コンバータ、34 インバータ、36a,36b コネクタ部、40 電源コネクタ、42 導電部、44 インタロックピン、50 PCU側コネクタ、54 インタロックジャック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を充電する外部電源に接続される充電コネクタであって、前記二次電池に接続される電源コネクタと結合される充電コネクタにおいて、
前記電源コネクタが備えるインタロック解除手段と、前記二次電池から電力供給を受ける負荷に接続される負荷コネクタが備えるインタロック解除検出手段と、の間の接続を可能とする媒介手段を備え、
前記インタロック解除検出手段は、前記インタロック解除手段との接続を検出する手段であり、
前記インタロック解除手段は、前記負荷コネクタと前記電源コネクタとが結合されて前記電源コネクタが備える導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記インタロック解除検出手段に接続され、
前記媒介手段は、前記充電コネクタと前記電源コネクタとが結合されて前記電源コネクタの導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記インタロック解除手段と前記インタロック解除検出手段との間の接続を可能とするように設けられる、
ことを特徴とする充電コネクタ。
【請求項2】
前記電源コネクタの前記インタロック解除手段は、前記電源コネクタにおいて前記負荷コネクタと結合される面に設けられる突起部であり、
前記負荷コネクタは、前記突起部が挿入される差込穴であって前記突起部の形状に対応する形状の差込穴を備え、
前記負荷コネクタの前記インタロック解除検出手段は、前記差込穴において、前記突起部の挿入方向の端部であって前記負荷コネクタの前記電源コネクタとの結合面と反対側の端部に設けられる接触センサを備え、
前記負荷コネクタと前記電源コネクタとが結合されて前記電源コネクタが備える導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記突起部の先端は、前記差込部の前記接触センサが設けられる端部に接触し、
前記充電コネクタの前記媒介手段は、前記充電コネクタの内部にスライド可能に設けられるスライド部材を備え、
前記スライド部材は、前記電源コネクタの前記突起部の突出方向と平行な方向にスライド可能であり、前記充電コネクタが前記電源コネクタと結合されて前記電源コネクタの前記導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記電源コネクタの前記突起部に押し出されて前記突起部の突出方向の長さだけ前記充電コネクタの外部に突出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電コネクタ。
【請求項3】
前記負荷コネクタの前記インタロック解除検出手段は、互いに開放された第1接点及び第2接点に接続される検出回路を備え、
前記電源コネクタの前記インタロック解除手段は、前記電源コネクタと前記負荷コネクタとが結合されて前記電源コネクタの前記導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記第1接点と前記第2接点との間を短絡させるように設けられた通電部を備え、
前記インタロック解除検出手段は、前記第1接点と前記第2接点との間が短絡されたことを前記検出回路が検出した場合に、前記インタロック解除手段との接続を検出し、
前記充電コネクタの前記媒介手段は、前記充電コネクタと前記電源コネクタとが結合されて前記電源コネクタの前記導電部が外部に露出しない状態である場合に、前記第1接点及び前記第2接点のそれぞれと、前記インタロック解除手段の通電部と、の間を電気的に接続可能とする回路を備えることを特徴とする請求項1に記載の充電コネクタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の充電コネクタと、
前記二次電池と前記電源コネクタとの間に設けられるリレーと、
前記リレーの開閉を制御する制御部であって、前記インタロック解除検出手段が前記インタロック解除手段との接続を検出している場合は前記リレーを閉じることを許可し、前記インタロック解除検出手段が前記インタロック解除手段との接続を検出していない場合は前記リレーを閉じることを禁止する制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−231171(P2009−231171A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77240(P2008−77240)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】