充電用コネクタ
【課題】充電用コネクタを大型化させることなく保護キャップを取り付ける。
【解決手段】本発明は、車両に設けられた車両側コネクタに接続されて同車両に搭載されたバッテリへの充電を行う充電用コネクタ10であって、車両側コネクタと嵌合可能な嵌合部13が設けられたコネクタ本体11と、絶縁材からなり、車両側コネクタから離脱された嵌合部13に被着される保護キャップ30と、コネクタ本体11の内部から外部に引き出されて電源に接続される電線Wとを備え、保護キャップ30は、嵌合部13を車両側コネクタに嵌合させるに際して同嵌合部13から外されて電線Wに取り付けられる構成としたところに特徴を有する。
【解決手段】本発明は、車両に設けられた車両側コネクタに接続されて同車両に搭載されたバッテリへの充電を行う充電用コネクタ10であって、車両側コネクタと嵌合可能な嵌合部13が設けられたコネクタ本体11と、絶縁材からなり、車両側コネクタから離脱された嵌合部13に被着される保護キャップ30と、コネクタ本体11の内部から外部に引き出されて電源に接続される電線Wとを備え、保護キャップ30は、嵌合部13を車両側コネクタに嵌合させるに際して同嵌合部13から外されて電線Wに取り付けられる構成としたところに特徴を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた車両側コネクタに接続されて同車両に搭載されたバッテリへの充電を行う充電用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の充電用コネクタとして、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。このものは、車両側コネクタと嵌合可能なコネクタ嵌合部を有している。このようなコネクタ嵌合部は、ケース体の前端部に設けられており、ケース体の後端下部には、電源に接続される電線が引き出されている。コネクタ嵌合部の内部には、電源からの電力を車両側コネクタに供給する電源端子などの端子金具が複数設けられており、これらの端子金具は、車両側コネクタに設けられた車両側端子と接続可能なようにケース体の前方に臨んで配置されている。また、ケース体には、コネクタ嵌合部に嵌合される保護キャップが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−290831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の保護キャップはベルトを介してケース体のグリップ部分に取り付けられており、グリップ部分にはベルトを引っ掛けるフックが設けられている。このような場合、グリップ部分のうちフックが設けられた部分を握ることができないため、グリップ部分には、フックが設けられた部分とは別に、握る部分を設ける必要がある。これでは、グリップ部分が大きくなって見栄えが悪くなる上に、充電用コネクタが大型化してしまう。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、充電用コネクタを大型化させることなく保護キャップの取り付けを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両に設けられた車両側コネクタに接続されて同車両に搭載されたバッテリへの充電を行う充電用コネクタであって、車両側コネクタと嵌合可能な嵌合部が設けられたケース体と、絶縁材からなり、車両側コネクタから離脱された嵌合部に被着される保護キャップと、ケース体の内部から外部に引き出されて電源に接続される電線とを備え、保護キャップは、嵌合部を車両側コネクタに嵌合させるに際して同嵌合部から外されて電線に取り付けられる構成としたところに特徴を有する。
【0007】
このような構成によると、嵌合部から外した保護キャップを電線に取り付けることができるため、保護キャップを取り付けるための取付部をケース体に設ける必要がなく、充電用コネクタを大型化させなくてもよい。また、保護キャップを電線に取り付けることができるため、保護キャップが車両のボディに接触するなどして傷付くことを防止できる。
【0008】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
保護キャップは、嵌合部と嵌合方向に対向して同嵌合部を覆う対向壁と、この対向壁の周縁から嵌合部の外面に沿って嵌合方向に延びる周壁とを備えて構成され、この周壁の端縁から取付溝が切り欠かれており、この取付溝は、電線を半周以上に亘って囲む形態とされている構成としてもよい。
このような構成によると、取付溝で電線を抱え込むことにより保護キャップを電線に取り付けることができる。
【0009】
嵌合部は、電力供給用の電源端子を有し、この電源端子を他の端子と隔離する隔離壁が対向壁の対向面から嵌合方向に立設されている一方、周壁に一対の取付溝が対向して設けられており、隔離壁は、一対の取付溝に架け渡された電線に沿う形態とされている構成としてもよい。
このような構成によると、両取付溝に加えて隔離壁も電線に引っ掛けることができるため、より強固に保護キャップを電線に取り付けることができる。
【0010】
車両側コネクタと嵌合部を嵌合状態にロックするロック部を備え、保護キャップは、ロック部を保護する保護部を一体に備え、この保護部は、電線に引っ掛かるフック状とされている構成としてもよい。
このような構成によると、保護部によってロック部を保護することができる上に、この保護部を電線に引っ掛けるようにして保護キャップを電線に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、充電用コネクタを大型化させることなく保護キャップを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1における保護キャップを嵌合部に嵌合させた状態を示す側面図
【図2】保護キャップを電線に取り付けた状態を示す側面図
【図3】図1における保護キャップと嵌合部の内部構造を示す側面図
【図4】保護キャップを嵌合部に嵌合させた状態を示す底面図
【図5】保護キャップを電線に取り付けた状態を示す底面図
【図6】保護キャップを嵌合部に取り付けた状態を示す正面図
【図7】保護キャップを嵌合部に取り付ける様子を示す断面図
【図8】保護キャップを嵌合部から取り外す様子を示す側面図
【図9】保護キャップの平面図
【図10】保護キャップの底面図
【図11】保護キャップの側面図
【図12】保護キャップの正面図
【図13】保護キャップの背面図
【図14】図13におけるA−A線断面図
【図15】実施形態2における保護キャップを電線に取り付けた状態を示す背面図
【図16】保護キャップを電線に取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図
【図17】保護キャップの平面図
【図18】保護キャップの側面図
【図19】実施形態2において図3に対応する断面図
【図20】保護キャップの背面図
【図21】保護キャップの正面図
【図22】実施形態3における保護キャップを電線に取り付けた状態を示す背面図
【図23】保護キャップを電線に取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図
【図24】保護キャップの平面図
【図25】保護キャップの側面図
【図26】実施形態3において図3に対応する断面図
【図27】保護キャップの背面図
【図28】保護キャップの正面図
【図29】実施形態4における保護キャップの背面図
【図30】上段側に位置する一対の端子金具が中間壁によって電気的に絶縁された状態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図14の図面を参照しながら説明する。本実施形態における充電用コネクタ10は、図1に示すように、全体としてピストル形状(ガン形状)をなしており、略前半部分を構成するコネクタ本体11と、このコネクタ本体11の後端部から斜め下方に延びるグリップ12とを備えて構成されている。コネクタ本体11とグリップ12は一体に成形され、いずれも合成樹脂製とされており、一対の半割ケース体を組み付けて複数のボルト締結部17で固定することによって組み立てられている。なお、本発明の「ケース体」は、コネクタ本体11とグリップ12とに対応している。
【0014】
コネクタ本体11の前端部には、円筒状をなして前方に突出する嵌合部13が装着されている。また、コネクタ本体11の内部における上側には、レバー14が収容されており、レバー14の前端部に設けられたロック部14Aがコネクタ本体11から前方に突出して外部に臨んでいる。このロック部14Aは、下方に突出する爪部14Cを有している。一方、レバー14の後端部には、レバー14の解除操作を行うための解除操作部14Bが設けられている。この解除操作部14Bは、コネクタ本体11の上面における後端に貫通して形成された挿通孔18を通してコネクタ本体11の外部に突出している。
【0015】
嵌合部13は、コネクタ本体11とは別部材として形成され、図示しない係止手段によってコネクタ本体11に固定されている。この嵌合部13は、前方に開口するフード部13Aを有し、このフード部13Aの奥壁13Bには、図3に示すように、円筒状をなす複数の端子収容部15が前方に突出して設けられている。これらの端子収容部15は、フード部13Aによって全周に亘って覆われている。端子収容部15の内部には、端子金具20を収容するキャビティが形成されている。
【0016】
複数の端子金具20は、上段側の端子金具20と、下段側の端子金具20とから構成され、上段側の端子金具20は、電力供給用の電源端子とされている一方、下段側の端子金具20は、電気信号を送受信するための信号端子とされている。グリップ12の端部には電線Wが引き出されており、電線Wの一端は電源に接続されている一方、電線Wの他端は上段側の端子金具20に接続されている。これにより、本実施形態の充電用コネクタ10は、車両に設けられた車両側コネクタ(図示せず)に接続され、上段側の端子金具20が、車両側コネクタに設けられた車両側端子金具(図示せず)に接続されて同車両に搭載されたバッテリ(図示せず)への充電が行われるようになっている。
【0017】
さて、嵌合部13には、絶縁材からなる保護キャップ30が被着されており、この保護キャップ30によって端子金具20が外部と電気的に絶縁された状態に保護されている。保護キャップ30の材質としては、ゴム硬度が40程度の可撓性を有するエラストマーが好ましい。保護キャップ30には、ゴム紐31が一体に成形されており、このゴム紐31によって保護キャップ30がコネクタ本体11に連結されている。これにより、保護キャップ30とコネクタ本体11を一体として扱うことができ、保護キャップ30がコネクタ本体11から脱落することを規制できる。
【0018】
ゴム紐31の端部には、コネクタ本体11の下面における後部に貫通して形成された水抜き孔16に嵌め込まれてゴム紐31の端部をコネクタ本体11に保持する保持部32が設けられている。保持部32におけるコネクタ本体11の内部に収容された部分は、図3に示すように、水抜き孔16の孔径よりも大径をなす平板状の抜止片33とされている。なお、本実施形態では、抜止片33を予め水抜き孔16に嵌め込んだ状態でコネクタ本体11の組み立てを行うことで保持部32を抜け止め状態に保持しているものの、抜止片を先細り状に形成することでコネクタ本体11を組み立てた状態とした後に水抜き孔16に挿入できるようにしてもよい。
【0019】
ゴム紐31は、図4または図6に示すように、保護キャップ30が嵌合部13に嵌合した状態では波状とされており、この結果、図1に示すように、ゴム紐31がコネクタ本体11から垂れ下がることをできるだけ抑制し、ゴム紐31をコネクタ本体11の近傍に配置するようにしている。これは、充電作業を開始する際に、誤ってゴム紐31を掴んで充電用コネクタ10を持ち上げる作業が行われることを防止するためである。
【0020】
ところで、充電作業を開始する際には、保護キャップ30を離脱させて嵌合部13を外部に露出させることになるが、このとき保護キャップ30をコネクタ本体11からぶら下げた状態にしておくと、保護キャップ30が車両のボディに接触するなどしてボディを傷付けてしまうおそれがある。そのため、本実施形態では、図2または図5に示すように、嵌合部13から外された保護キャップ30を充電用コネクタ10の電線Wに取り付けることができるようにしてある。このようにすれば、保護キャップ30がボディに接触することを規制できる。なお、保護キャップ30が電線Wに取り付けられた状態では、ゴム紐31が伸ばされた状態となってグリップ12の近傍に配置されるようになっている。
【0021】
保護キャップ30は、図9ないし図14に示すように、円形の対向壁30Aと、この対向壁30Aの周縁から立ち上がる周壁30Bとを備えて構成されている。対向壁30Aは、図3に示すように、嵌合部13と保護キャップ30の嵌合方向に対してやや傾斜した配置とされている。これに伴って、周壁30Bの上面側は、下面側よりも前後方向に短めとなっている。また、周壁30Bの上面には、ロック部14Aの爪部14Cに後方から引っ掛かることで保護キャップ30を嵌合部13に保持する係止突部34が上方に突出して形成されている。この係止突部34は、図9に示すように、周壁30Bの周方向に長い楕円形状とされている。
【0022】
対向壁30Aは、図3に示すように、嵌合部13と前後方向(嵌合方向)に対向してフード部13Aの前端開口を塞ぐように配置されており、フード部13Aの先端が対向壁30Aにおける嵌合部13との対向面に当接している。一方、周壁30Bは、嵌合部13のフード部13Aの外周面に沿って後方に延びる形態とされている。対向壁30Aの対向面には、図13に示すように、半円状をなして後方に立ち上がる隔離壁35が立設されている。隔離壁35は、図3に示すように、上段側の端子金具20を全周に亘って覆うように配置されている。この隔離壁35のうち直線部分35Aが上段側の端子金具20と下段側の端子金具20との間に挿入されることで、上下の端子金具20が電気的に絶縁された状態に保持されている。なお、直線部分35Aの高さ寸法は、上下の端子金具20が電気的に絶縁された状態に保持可能でかつ電線Wに引っ掛けることができるように設定されている。
【0023】
なお、保護キャップ30の内部には、図13に示すように、位置決め溝37が前後方向に延びて形成されている。この位置決め溝37は、周壁30Bの下端部から下方に膨出して形成され、嵌合部13のフード部13Aの下端部に突出して設けられた位置決めリブ19を受け入れ可能とされている。位置決めリブ19が位置決め溝37に嵌合することにより保護キャップ30の嵌合部13に対する周方向の位置決めが行われる。
【0024】
周壁30Bの両側面には、図11に示すように、一対の取付溝36が切り欠き形成されている。この取付溝36は、周壁30Bの端縁から対向壁30A側に周壁30Bを円弧状に湾曲して切り欠くことで形成されており、この取付溝36を挟んで下側の周壁30Bが上側の周壁30Bよりも後方に張り出している。取付溝36は、電線Wを半周以上(本実施形態では3/4周程度)に亘って囲む形態とされている。このため、電線Wに取付溝36を装着すると、図5に示すように、電線Wが取付溝36によって半周以上に亘って囲まれた状態となり、保護キャップ30が電線Wに引っ掛けられた状態で取り付けられる。また、隔離壁35の直線部分35Aは、両取付溝36間に架け渡された電線Wに沿って配置され、両取付溝36による電線Wの挟持に加えて隔離壁35の直線部分35Aに沿って電線Wが当接することにより、電線Wに対して保護キャップ30を引っ掛けることができるため、より強固に保護キャップ30を電線Wに取り付けることができる。
【0025】
保護キャップ30を嵌合部13に嵌合させるに際しては、図7に示すように、保護キャップ30の周壁30Bの下面側を嵌合部13のフード部13Aの下面側に宛うようにして嵌合作業が行われる。また、周壁30Bの上面側の前後方向の寸法は、下面側の前後方向の寸法よりも小さくなっているため、保護キャップ30を傾けた姿勢で周壁30Bの下面側を嵌合部13の下面側に当接させておき、この当接部分を支点として保護キャップ30を起こしながら嵌合部13へ取り付ける際、周壁30Bの上面側が爪部14Cに干渉しにくくなることにより、保護キャップ30が嵌合部13に嵌合させにくくなることを抑止できる。一方、保護キャップ30を嵌合部13から離脱させるに際しては、図8に示すように、保護キャップ30における取付溝36よりも上側部分を嵌合部13から引き抜くようにして離脱作業が行われる。この離脱作業によって保護キャップ30のうち取付溝36の周縁と対向壁30Aとの間の部分が撓み変形し、取付溝36の開口部分が開き変形することになる。
【0026】
以上のように本実施形態では、保護キャップ30の取付溝36を電線Wに嵌め込むことで保護キャップ30を電線Wに取り付けることができる。したがって、保護キャップ30を取り付ける取付部をコネクタ本体11やグリップ12に設ける必要がなく、充電用コネクタ10を大型化させることがない。また、保護キャップ30を嵌合部13から外した後にこの保護キャップ30を電線Wに取り付けることにより、保護キャップ30が車両のボディに接触するなどして傷付くことを防止できる。
【0027】
また、上段側の端子金具20と下段側の端子金具20との間に挿入される隔離壁35の直線部分35Aに沿って電線Wが当接することにより、電線Wに対して保護キャップ30を引っ掛けることができるため、両取付溝36による電線Wの挟持だけで電線Wを受けるよりも電線Wに対する取り付け強度を高めることができる。さらに、隔離壁35によって保護キャップ30における取付溝36の上側部分が補強されているため、この上側部分を撓み変形させることなく取付溝36を開き変形させつつ、この取付溝36と隣接する対向壁30Aのみを屈曲させることができる。
【0028】
また、電源端子である上段側の端子金具20と信号端子である下段側の端子金具20とを隔離する隔離壁35の直線部分35Aが電線Wに沿って配置されているため、この直線部分35Aを電線Wに接触させることによっても保護キャップ30を支持することができる。
【0029】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図15ないし図21の図面を参照しながら説明する。本実施形態は、実施形態1における保護キャップ30の構成を一部変更したものであって、その他の構成については同じである。したがって、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとし、実施形態1と同じ構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1の保護キャップ30と同じ構成については、10の位を3から4に変更した符号を用いるものとする。
【0030】
本実施形態の保護キャップ40は、図18に示すように、周壁40Bに取付溝36が設けられておらず、その代わりに対向壁40Aの上縁からフック状をなして上方に立ち上がる引掛け部46が設けられている。この引掛け部46は円弧状をなし、対向壁40Aの上縁から折り返し状に後方に向かう形態である。このため、保護キャップ40を嵌合部13に嵌合させると、図19に示すように、引掛け部46がロック部14Aの爪部14Cを覆うように配置される。これにより、ロック部14Aは、引掛け部46によって外部から保護された状態となる。
【0031】
さて、保護キャップ40を電線Wに取り付ける際には、図15に示すように、引掛け部46を電線Wに巻き付けるようにして保護キャップ40を電線Wに固定する。すなわち、引掛け部46は、電線Wを半周以上に亘って囲む形態とされ、かつ、引掛け部46の先端が径方向内側に向けて突出してやや肉厚に形成されている。また、引掛け部46の先端と係止突部44の突出端との間の間隔は、電線Wの径寸法よりも小さめとされている。このため、引掛け部46が電線Wに引っ掛かった状態に保持され、保護キャップ40が電線Wに取り付けられる。
【0032】
なお、係止突部44は、図17に示すように、引掛け部46と同幅で形成されており、実施形態1の係止突部34よりも幅方向に短めで、かつ引掛け部46の先端と平行をなしている。
【0033】
以上のように本実施形態では、保護キャップ40を嵌合部13に嵌合させることで引掛け部46がロック部14Aを保護するようにしたから、電線Wに対する取付部とロック部14Aの保護部とを引掛け部46で兼用させることができる。
【0034】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図22ないし図28の図面を参照しながら説明する。本実施形態の保護キャップ50は、実施形態2の保護キャップ40と同様に、実施形態1における保護キャップ30の構成を一部変更したものであって、その他の構成については同じである。したがって、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとし、実施形態1と同じ構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1の保護キャップ30と同じ構成については、10の位を3から5に変更した符号を用いるものとする。
【0035】
本実施形態の保護キャップ50は、図22および図23に示すように、周壁50Bに取付溝36が設けられておらず、その代わりに対向壁50Aの上縁からフック状をなして上方に立ち上がる引掛け部56が設けられている。この引掛け部56は、周壁50Bの上端部から上方に立ち上がった後に周壁50Bの周方向に延びる形態をなしている。また、保護キャップ50を嵌合部13に嵌合させると、図26に示すように、引掛け部56がロック部14Aの爪部14Cを覆うように配置される。これにより、ロック部14Aは、引掛け部56によって外部から保護された状態となる。
【0036】
引掛け部56の先端と周壁50Bとの間の間隔は、電線Wの径寸法よりも小さめとされている。このため、引掛け部56が電線Wに引っ掛かった状態に保持され、保護キャップ50が電線Wに取り付けられる。なお、引掛け部56は、図24に示すように、周壁50Bの立ち上がり寸法(前後方向における寸法)の半分以下とされ、係止突部54と上下方向に重ならないように係止突部54の前方に配置されている。
【0037】
以上のように本実施形態では、実施形態2と同様に、電線Wに対する取付部とロック部14Aの保護部とを引掛け部56で兼用させることができることに加えて、実施形態2の引掛け部46よりも小さい引掛け部56を形成することができるため、実施形態2の保護キャップ40よりも保護キャップ50を小型化することができる。
【0038】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図29および図30の図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において実施形態1と同様の構成については同一の符号を用いるものとする。
本実施形態の保護キャップ60は、実施形態1の保護キャップ30における隔離壁35の内部に中間壁38を追加したものであって、この中間壁38によって上段側に位置する一対の端子金具20が電気的に絶縁された状態に隔離されるようになっている。つまり、上段側の端子金具20はいずれも電源端子であって家庭用の交流電源に接続されることから、両端子の間でスパークが発生することを中間壁38によって阻止することができる。また、上段側に位置する両端子金具20の間に中間壁38を挿入することにより、保護キャップ60の周壁30Bに沿った回り方向における位置決めを行うこともできる。
【0039】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では保護キャップがゴム紐31を介してコネクタ本体11に連結されているものの、本発明によると、保護キャップとコネクタ本体11を別体としてもよく、ゴム紐がないものでもよい。
【0040】
(2)上記実施形態では電線Wを挟み付ける取付溝や電線Wに引っ掛けられる引掛け部を例示しているものの、本発明によると、磁石などを用いて保護キャップを電線Wに取り付けてもよい。
【0041】
(3)上記実施形態では可撓性を有するエラストマーからなる保護キャップを例示しているものの、本発明によると、合成樹脂製の保護キャップを用いてもよく、材質は問わない。
【0042】
(4)上記実施形態1ないし3では半円状をなす隔離壁35を例示しているものの、本発明によると、直線部分のみからなる隔離壁を設けてもよく、この場合には、直線部分の両端部が両取付溝36,36付近に配置されるように直線部分の長さを設定することが好ましい。また、隔離壁は、直線部分と円弧部分が異なる高さで形成されているものでもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…充電用コネクタ
11…コネクタ本体(ケース体)
12…グリップ(ケース体)
13…嵌合部
14A…ロック部
20…端子金具(電源端子、他の端子)
30,40,50…保護キャップ
30A,40A,50A…対向壁
30B,40B,50B…周壁
35,45,55…隔離壁
36…取付溝
46,56…引掛け部(保護部)
W…電線
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた車両側コネクタに接続されて同車両に搭載されたバッテリへの充電を行う充電用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の充電用コネクタとして、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。このものは、車両側コネクタと嵌合可能なコネクタ嵌合部を有している。このようなコネクタ嵌合部は、ケース体の前端部に設けられており、ケース体の後端下部には、電源に接続される電線が引き出されている。コネクタ嵌合部の内部には、電源からの電力を車両側コネクタに供給する電源端子などの端子金具が複数設けられており、これらの端子金具は、車両側コネクタに設けられた車両側端子と接続可能なようにケース体の前方に臨んで配置されている。また、ケース体には、コネクタ嵌合部に嵌合される保護キャップが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−290831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の保護キャップはベルトを介してケース体のグリップ部分に取り付けられており、グリップ部分にはベルトを引っ掛けるフックが設けられている。このような場合、グリップ部分のうちフックが設けられた部分を握ることができないため、グリップ部分には、フックが設けられた部分とは別に、握る部分を設ける必要がある。これでは、グリップ部分が大きくなって見栄えが悪くなる上に、充電用コネクタが大型化してしまう。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、充電用コネクタを大型化させることなく保護キャップの取り付けを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両に設けられた車両側コネクタに接続されて同車両に搭載されたバッテリへの充電を行う充電用コネクタであって、車両側コネクタと嵌合可能な嵌合部が設けられたケース体と、絶縁材からなり、車両側コネクタから離脱された嵌合部に被着される保護キャップと、ケース体の内部から外部に引き出されて電源に接続される電線とを備え、保護キャップは、嵌合部を車両側コネクタに嵌合させるに際して同嵌合部から外されて電線に取り付けられる構成としたところに特徴を有する。
【0007】
このような構成によると、嵌合部から外した保護キャップを電線に取り付けることができるため、保護キャップを取り付けるための取付部をケース体に設ける必要がなく、充電用コネクタを大型化させなくてもよい。また、保護キャップを電線に取り付けることができるため、保護キャップが車両のボディに接触するなどして傷付くことを防止できる。
【0008】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
保護キャップは、嵌合部と嵌合方向に対向して同嵌合部を覆う対向壁と、この対向壁の周縁から嵌合部の外面に沿って嵌合方向に延びる周壁とを備えて構成され、この周壁の端縁から取付溝が切り欠かれており、この取付溝は、電線を半周以上に亘って囲む形態とされている構成としてもよい。
このような構成によると、取付溝で電線を抱え込むことにより保護キャップを電線に取り付けることができる。
【0009】
嵌合部は、電力供給用の電源端子を有し、この電源端子を他の端子と隔離する隔離壁が対向壁の対向面から嵌合方向に立設されている一方、周壁に一対の取付溝が対向して設けられており、隔離壁は、一対の取付溝に架け渡された電線に沿う形態とされている構成としてもよい。
このような構成によると、両取付溝に加えて隔離壁も電線に引っ掛けることができるため、より強固に保護キャップを電線に取り付けることができる。
【0010】
車両側コネクタと嵌合部を嵌合状態にロックするロック部を備え、保護キャップは、ロック部を保護する保護部を一体に備え、この保護部は、電線に引っ掛かるフック状とされている構成としてもよい。
このような構成によると、保護部によってロック部を保護することができる上に、この保護部を電線に引っ掛けるようにして保護キャップを電線に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、充電用コネクタを大型化させることなく保護キャップを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1における保護キャップを嵌合部に嵌合させた状態を示す側面図
【図2】保護キャップを電線に取り付けた状態を示す側面図
【図3】図1における保護キャップと嵌合部の内部構造を示す側面図
【図4】保護キャップを嵌合部に嵌合させた状態を示す底面図
【図5】保護キャップを電線に取り付けた状態を示す底面図
【図6】保護キャップを嵌合部に取り付けた状態を示す正面図
【図7】保護キャップを嵌合部に取り付ける様子を示す断面図
【図8】保護キャップを嵌合部から取り外す様子を示す側面図
【図9】保護キャップの平面図
【図10】保護キャップの底面図
【図11】保護キャップの側面図
【図12】保護キャップの正面図
【図13】保護キャップの背面図
【図14】図13におけるA−A線断面図
【図15】実施形態2における保護キャップを電線に取り付けた状態を示す背面図
【図16】保護キャップを電線に取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図
【図17】保護キャップの平面図
【図18】保護キャップの側面図
【図19】実施形態2において図3に対応する断面図
【図20】保護キャップの背面図
【図21】保護キャップの正面図
【図22】実施形態3における保護キャップを電線に取り付けた状態を示す背面図
【図23】保護キャップを電線に取り付けた状態を斜め前方から見た斜視図
【図24】保護キャップの平面図
【図25】保護キャップの側面図
【図26】実施形態3において図3に対応する断面図
【図27】保護キャップの背面図
【図28】保護キャップの正面図
【図29】実施形態4における保護キャップの背面図
【図30】上段側に位置する一対の端子金具が中間壁によって電気的に絶縁された状態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図14の図面を参照しながら説明する。本実施形態における充電用コネクタ10は、図1に示すように、全体としてピストル形状(ガン形状)をなしており、略前半部分を構成するコネクタ本体11と、このコネクタ本体11の後端部から斜め下方に延びるグリップ12とを備えて構成されている。コネクタ本体11とグリップ12は一体に成形され、いずれも合成樹脂製とされており、一対の半割ケース体を組み付けて複数のボルト締結部17で固定することによって組み立てられている。なお、本発明の「ケース体」は、コネクタ本体11とグリップ12とに対応している。
【0014】
コネクタ本体11の前端部には、円筒状をなして前方に突出する嵌合部13が装着されている。また、コネクタ本体11の内部における上側には、レバー14が収容されており、レバー14の前端部に設けられたロック部14Aがコネクタ本体11から前方に突出して外部に臨んでいる。このロック部14Aは、下方に突出する爪部14Cを有している。一方、レバー14の後端部には、レバー14の解除操作を行うための解除操作部14Bが設けられている。この解除操作部14Bは、コネクタ本体11の上面における後端に貫通して形成された挿通孔18を通してコネクタ本体11の外部に突出している。
【0015】
嵌合部13は、コネクタ本体11とは別部材として形成され、図示しない係止手段によってコネクタ本体11に固定されている。この嵌合部13は、前方に開口するフード部13Aを有し、このフード部13Aの奥壁13Bには、図3に示すように、円筒状をなす複数の端子収容部15が前方に突出して設けられている。これらの端子収容部15は、フード部13Aによって全周に亘って覆われている。端子収容部15の内部には、端子金具20を収容するキャビティが形成されている。
【0016】
複数の端子金具20は、上段側の端子金具20と、下段側の端子金具20とから構成され、上段側の端子金具20は、電力供給用の電源端子とされている一方、下段側の端子金具20は、電気信号を送受信するための信号端子とされている。グリップ12の端部には電線Wが引き出されており、電線Wの一端は電源に接続されている一方、電線Wの他端は上段側の端子金具20に接続されている。これにより、本実施形態の充電用コネクタ10は、車両に設けられた車両側コネクタ(図示せず)に接続され、上段側の端子金具20が、車両側コネクタに設けられた車両側端子金具(図示せず)に接続されて同車両に搭載されたバッテリ(図示せず)への充電が行われるようになっている。
【0017】
さて、嵌合部13には、絶縁材からなる保護キャップ30が被着されており、この保護キャップ30によって端子金具20が外部と電気的に絶縁された状態に保護されている。保護キャップ30の材質としては、ゴム硬度が40程度の可撓性を有するエラストマーが好ましい。保護キャップ30には、ゴム紐31が一体に成形されており、このゴム紐31によって保護キャップ30がコネクタ本体11に連結されている。これにより、保護キャップ30とコネクタ本体11を一体として扱うことができ、保護キャップ30がコネクタ本体11から脱落することを規制できる。
【0018】
ゴム紐31の端部には、コネクタ本体11の下面における後部に貫通して形成された水抜き孔16に嵌め込まれてゴム紐31の端部をコネクタ本体11に保持する保持部32が設けられている。保持部32におけるコネクタ本体11の内部に収容された部分は、図3に示すように、水抜き孔16の孔径よりも大径をなす平板状の抜止片33とされている。なお、本実施形態では、抜止片33を予め水抜き孔16に嵌め込んだ状態でコネクタ本体11の組み立てを行うことで保持部32を抜け止め状態に保持しているものの、抜止片を先細り状に形成することでコネクタ本体11を組み立てた状態とした後に水抜き孔16に挿入できるようにしてもよい。
【0019】
ゴム紐31は、図4または図6に示すように、保護キャップ30が嵌合部13に嵌合した状態では波状とされており、この結果、図1に示すように、ゴム紐31がコネクタ本体11から垂れ下がることをできるだけ抑制し、ゴム紐31をコネクタ本体11の近傍に配置するようにしている。これは、充電作業を開始する際に、誤ってゴム紐31を掴んで充電用コネクタ10を持ち上げる作業が行われることを防止するためである。
【0020】
ところで、充電作業を開始する際には、保護キャップ30を離脱させて嵌合部13を外部に露出させることになるが、このとき保護キャップ30をコネクタ本体11からぶら下げた状態にしておくと、保護キャップ30が車両のボディに接触するなどしてボディを傷付けてしまうおそれがある。そのため、本実施形態では、図2または図5に示すように、嵌合部13から外された保護キャップ30を充電用コネクタ10の電線Wに取り付けることができるようにしてある。このようにすれば、保護キャップ30がボディに接触することを規制できる。なお、保護キャップ30が電線Wに取り付けられた状態では、ゴム紐31が伸ばされた状態となってグリップ12の近傍に配置されるようになっている。
【0021】
保護キャップ30は、図9ないし図14に示すように、円形の対向壁30Aと、この対向壁30Aの周縁から立ち上がる周壁30Bとを備えて構成されている。対向壁30Aは、図3に示すように、嵌合部13と保護キャップ30の嵌合方向に対してやや傾斜した配置とされている。これに伴って、周壁30Bの上面側は、下面側よりも前後方向に短めとなっている。また、周壁30Bの上面には、ロック部14Aの爪部14Cに後方から引っ掛かることで保護キャップ30を嵌合部13に保持する係止突部34が上方に突出して形成されている。この係止突部34は、図9に示すように、周壁30Bの周方向に長い楕円形状とされている。
【0022】
対向壁30Aは、図3に示すように、嵌合部13と前後方向(嵌合方向)に対向してフード部13Aの前端開口を塞ぐように配置されており、フード部13Aの先端が対向壁30Aにおける嵌合部13との対向面に当接している。一方、周壁30Bは、嵌合部13のフード部13Aの外周面に沿って後方に延びる形態とされている。対向壁30Aの対向面には、図13に示すように、半円状をなして後方に立ち上がる隔離壁35が立設されている。隔離壁35は、図3に示すように、上段側の端子金具20を全周に亘って覆うように配置されている。この隔離壁35のうち直線部分35Aが上段側の端子金具20と下段側の端子金具20との間に挿入されることで、上下の端子金具20が電気的に絶縁された状態に保持されている。なお、直線部分35Aの高さ寸法は、上下の端子金具20が電気的に絶縁された状態に保持可能でかつ電線Wに引っ掛けることができるように設定されている。
【0023】
なお、保護キャップ30の内部には、図13に示すように、位置決め溝37が前後方向に延びて形成されている。この位置決め溝37は、周壁30Bの下端部から下方に膨出して形成され、嵌合部13のフード部13Aの下端部に突出して設けられた位置決めリブ19を受け入れ可能とされている。位置決めリブ19が位置決め溝37に嵌合することにより保護キャップ30の嵌合部13に対する周方向の位置決めが行われる。
【0024】
周壁30Bの両側面には、図11に示すように、一対の取付溝36が切り欠き形成されている。この取付溝36は、周壁30Bの端縁から対向壁30A側に周壁30Bを円弧状に湾曲して切り欠くことで形成されており、この取付溝36を挟んで下側の周壁30Bが上側の周壁30Bよりも後方に張り出している。取付溝36は、電線Wを半周以上(本実施形態では3/4周程度)に亘って囲む形態とされている。このため、電線Wに取付溝36を装着すると、図5に示すように、電線Wが取付溝36によって半周以上に亘って囲まれた状態となり、保護キャップ30が電線Wに引っ掛けられた状態で取り付けられる。また、隔離壁35の直線部分35Aは、両取付溝36間に架け渡された電線Wに沿って配置され、両取付溝36による電線Wの挟持に加えて隔離壁35の直線部分35Aに沿って電線Wが当接することにより、電線Wに対して保護キャップ30を引っ掛けることができるため、より強固に保護キャップ30を電線Wに取り付けることができる。
【0025】
保護キャップ30を嵌合部13に嵌合させるに際しては、図7に示すように、保護キャップ30の周壁30Bの下面側を嵌合部13のフード部13Aの下面側に宛うようにして嵌合作業が行われる。また、周壁30Bの上面側の前後方向の寸法は、下面側の前後方向の寸法よりも小さくなっているため、保護キャップ30を傾けた姿勢で周壁30Bの下面側を嵌合部13の下面側に当接させておき、この当接部分を支点として保護キャップ30を起こしながら嵌合部13へ取り付ける際、周壁30Bの上面側が爪部14Cに干渉しにくくなることにより、保護キャップ30が嵌合部13に嵌合させにくくなることを抑止できる。一方、保護キャップ30を嵌合部13から離脱させるに際しては、図8に示すように、保護キャップ30における取付溝36よりも上側部分を嵌合部13から引き抜くようにして離脱作業が行われる。この離脱作業によって保護キャップ30のうち取付溝36の周縁と対向壁30Aとの間の部分が撓み変形し、取付溝36の開口部分が開き変形することになる。
【0026】
以上のように本実施形態では、保護キャップ30の取付溝36を電線Wに嵌め込むことで保護キャップ30を電線Wに取り付けることができる。したがって、保護キャップ30を取り付ける取付部をコネクタ本体11やグリップ12に設ける必要がなく、充電用コネクタ10を大型化させることがない。また、保護キャップ30を嵌合部13から外した後にこの保護キャップ30を電線Wに取り付けることにより、保護キャップ30が車両のボディに接触するなどして傷付くことを防止できる。
【0027】
また、上段側の端子金具20と下段側の端子金具20との間に挿入される隔離壁35の直線部分35Aに沿って電線Wが当接することにより、電線Wに対して保護キャップ30を引っ掛けることができるため、両取付溝36による電線Wの挟持だけで電線Wを受けるよりも電線Wに対する取り付け強度を高めることができる。さらに、隔離壁35によって保護キャップ30における取付溝36の上側部分が補強されているため、この上側部分を撓み変形させることなく取付溝36を開き変形させつつ、この取付溝36と隣接する対向壁30Aのみを屈曲させることができる。
【0028】
また、電源端子である上段側の端子金具20と信号端子である下段側の端子金具20とを隔離する隔離壁35の直線部分35Aが電線Wに沿って配置されているため、この直線部分35Aを電線Wに接触させることによっても保護キャップ30を支持することができる。
【0029】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図15ないし図21の図面を参照しながら説明する。本実施形態は、実施形態1における保護キャップ30の構成を一部変更したものであって、その他の構成については同じである。したがって、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとし、実施形態1と同じ構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1の保護キャップ30と同じ構成については、10の位を3から4に変更した符号を用いるものとする。
【0030】
本実施形態の保護キャップ40は、図18に示すように、周壁40Bに取付溝36が設けられておらず、その代わりに対向壁40Aの上縁からフック状をなして上方に立ち上がる引掛け部46が設けられている。この引掛け部46は円弧状をなし、対向壁40Aの上縁から折り返し状に後方に向かう形態である。このため、保護キャップ40を嵌合部13に嵌合させると、図19に示すように、引掛け部46がロック部14Aの爪部14Cを覆うように配置される。これにより、ロック部14Aは、引掛け部46によって外部から保護された状態となる。
【0031】
さて、保護キャップ40を電線Wに取り付ける際には、図15に示すように、引掛け部46を電線Wに巻き付けるようにして保護キャップ40を電線Wに固定する。すなわち、引掛け部46は、電線Wを半周以上に亘って囲む形態とされ、かつ、引掛け部46の先端が径方向内側に向けて突出してやや肉厚に形成されている。また、引掛け部46の先端と係止突部44の突出端との間の間隔は、電線Wの径寸法よりも小さめとされている。このため、引掛け部46が電線Wに引っ掛かった状態に保持され、保護キャップ40が電線Wに取り付けられる。
【0032】
なお、係止突部44は、図17に示すように、引掛け部46と同幅で形成されており、実施形態1の係止突部34よりも幅方向に短めで、かつ引掛け部46の先端と平行をなしている。
【0033】
以上のように本実施形態では、保護キャップ40を嵌合部13に嵌合させることで引掛け部46がロック部14Aを保護するようにしたから、電線Wに対する取付部とロック部14Aの保護部とを引掛け部46で兼用させることができる。
【0034】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図22ないし図28の図面を参照しながら説明する。本実施形態の保護キャップ50は、実施形態2の保護キャップ40と同様に、実施形態1における保護キャップ30の構成を一部変更したものであって、その他の構成については同じである。したがって、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとし、実施形態1と同じ構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1の保護キャップ30と同じ構成については、10の位を3から5に変更した符号を用いるものとする。
【0035】
本実施形態の保護キャップ50は、図22および図23に示すように、周壁50Bに取付溝36が設けられておらず、その代わりに対向壁50Aの上縁からフック状をなして上方に立ち上がる引掛け部56が設けられている。この引掛け部56は、周壁50Bの上端部から上方に立ち上がった後に周壁50Bの周方向に延びる形態をなしている。また、保護キャップ50を嵌合部13に嵌合させると、図26に示すように、引掛け部56がロック部14Aの爪部14Cを覆うように配置される。これにより、ロック部14Aは、引掛け部56によって外部から保護された状態となる。
【0036】
引掛け部56の先端と周壁50Bとの間の間隔は、電線Wの径寸法よりも小さめとされている。このため、引掛け部56が電線Wに引っ掛かった状態に保持され、保護キャップ50が電線Wに取り付けられる。なお、引掛け部56は、図24に示すように、周壁50Bの立ち上がり寸法(前後方向における寸法)の半分以下とされ、係止突部54と上下方向に重ならないように係止突部54の前方に配置されている。
【0037】
以上のように本実施形態では、実施形態2と同様に、電線Wに対する取付部とロック部14Aの保護部とを引掛け部56で兼用させることができることに加えて、実施形態2の引掛け部46よりも小さい引掛け部56を形成することができるため、実施形態2の保護キャップ40よりも保護キャップ50を小型化することができる。
【0038】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図29および図30の図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において実施形態1と同様の構成については同一の符号を用いるものとする。
本実施形態の保護キャップ60は、実施形態1の保護キャップ30における隔離壁35の内部に中間壁38を追加したものであって、この中間壁38によって上段側に位置する一対の端子金具20が電気的に絶縁された状態に隔離されるようになっている。つまり、上段側の端子金具20はいずれも電源端子であって家庭用の交流電源に接続されることから、両端子の間でスパークが発生することを中間壁38によって阻止することができる。また、上段側に位置する両端子金具20の間に中間壁38を挿入することにより、保護キャップ60の周壁30Bに沿った回り方向における位置決めを行うこともできる。
【0039】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では保護キャップがゴム紐31を介してコネクタ本体11に連結されているものの、本発明によると、保護キャップとコネクタ本体11を別体としてもよく、ゴム紐がないものでもよい。
【0040】
(2)上記実施形態では電線Wを挟み付ける取付溝や電線Wに引っ掛けられる引掛け部を例示しているものの、本発明によると、磁石などを用いて保護キャップを電線Wに取り付けてもよい。
【0041】
(3)上記実施形態では可撓性を有するエラストマーからなる保護キャップを例示しているものの、本発明によると、合成樹脂製の保護キャップを用いてもよく、材質は問わない。
【0042】
(4)上記実施形態1ないし3では半円状をなす隔離壁35を例示しているものの、本発明によると、直線部分のみからなる隔離壁を設けてもよく、この場合には、直線部分の両端部が両取付溝36,36付近に配置されるように直線部分の長さを設定することが好ましい。また、隔離壁は、直線部分と円弧部分が異なる高さで形成されているものでもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…充電用コネクタ
11…コネクタ本体(ケース体)
12…グリップ(ケース体)
13…嵌合部
14A…ロック部
20…端子金具(電源端子、他の端子)
30,40,50…保護キャップ
30A,40A,50A…対向壁
30B,40B,50B…周壁
35,45,55…隔離壁
36…取付溝
46,56…引掛け部(保護部)
W…電線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた車両側コネクタに接続されて同車両に搭載されたバッテリへの充電を行う充電用コネクタであって、
前記車両側コネクタと嵌合可能な嵌合部が設けられたケース体と、
絶縁材からなり、前記車両側コネクタから離脱された前記嵌合部に被着される保護キャップと、
前記ケース体の内部から外部に引き出されて電源に接続される電線とを備え、
前記保護キャップは、前記嵌合部を前記車両側コネクタに嵌合させるに際して同嵌合部から外されて前記電線に取り付けられることを特徴とする充電用コネクタ。
【請求項2】
前記保護キャップは、前記嵌合部と嵌合方向に対向して同嵌合部を覆う対向壁と、この対向壁の周縁から前記嵌合部の外面に沿って嵌合方向に延びる周壁とを備えて構成され、この周壁の端縁から取付溝が切り欠かれており、この取付溝は、前記電線を半周以上に亘って囲む形態とされていることを特徴とする請求項1に記載の充電用コネクタ。
【請求項3】
前記嵌合部は、電力供給用の電源端子を有し、この電源端子を他の端子と隔離する隔離壁が前記対向壁の対向面から嵌合方向に立設されている一方、前記周壁に一対の前記取付溝が対向して設けられており、前記隔離壁は、前記一対の取付溝に架け渡された前記電線に沿う形態とされていることを特徴とする請求項2に記載の充電用コネクタ。
【請求項4】
前記車両側コネクタと前記嵌合部を嵌合状態にロックするロック部を備え、
前記保護キャップは、前記ロック部を保護する保護部を一体に備え、この保護部は、前記電線に引っ掛かるフック状とされていることを特徴とする請求項1に記載の充電用コネクタ。
【請求項1】
車両に設けられた車両側コネクタに接続されて同車両に搭載されたバッテリへの充電を行う充電用コネクタであって、
前記車両側コネクタと嵌合可能な嵌合部が設けられたケース体と、
絶縁材からなり、前記車両側コネクタから離脱された前記嵌合部に被着される保護キャップと、
前記ケース体の内部から外部に引き出されて電源に接続される電線とを備え、
前記保護キャップは、前記嵌合部を前記車両側コネクタに嵌合させるに際して同嵌合部から外されて前記電線に取り付けられることを特徴とする充電用コネクタ。
【請求項2】
前記保護キャップは、前記嵌合部と嵌合方向に対向して同嵌合部を覆う対向壁と、この対向壁の周縁から前記嵌合部の外面に沿って嵌合方向に延びる周壁とを備えて構成され、この周壁の端縁から取付溝が切り欠かれており、この取付溝は、前記電線を半周以上に亘って囲む形態とされていることを特徴とする請求項1に記載の充電用コネクタ。
【請求項3】
前記嵌合部は、電力供給用の電源端子を有し、この電源端子を他の端子と隔離する隔離壁が前記対向壁の対向面から嵌合方向に立設されている一方、前記周壁に一対の前記取付溝が対向して設けられており、前記隔離壁は、前記一対の取付溝に架け渡された前記電線に沿う形態とされていることを特徴とする請求項2に記載の充電用コネクタ。
【請求項4】
前記車両側コネクタと前記嵌合部を嵌合状態にロックするロック部を備え、
前記保護キャップは、前記ロック部を保護する保護部を一体に備え、この保護部は、前記電線に引っ掛かるフック状とされていることを特徴とする請求項1に記載の充電用コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
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【図18】
【図19】
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【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−164487(P2012−164487A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23129(P2011−23129)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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