説明

充電装置、電気機器、および、クーロンカウンタ

【課題】充電池の状態をより正確に検出して、充電池の充電を行なう。
【解決手段】電気機器1において、コントローラ101は、電池50の充電中、充電電流と電池50の電圧と充電開始からの時間とを検出し、そして、これらの検出値と参照用のデータとを利用して、電池50が正常であるか異常であるかを判断する。そして、正常であると判断すれば、電池50の充電を続行する。一方、異常であると判断すると、電池50の充電を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置、電気機器、および、クーロンカウンタに関し、特に、充電池を充電するための充電装置、そのような充電装置を備えた電気機器、および、そのような充電装置と通信可能なクーロンカウンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、充電池の充電の終期の決定について、種々の技術が提案されてきた。たとえば、特許文献1(特開2009−254055号公報)には、フォークリフト等の車両に利用される充電池の充電について、定電流制御と定電圧制御の後、最終的な定電流制御においてタイマ制御することにより、充電に関する制御の簡略化を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−254055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に開示された技術では、フォークリフト等の、充電中に繰返し使用されることを考え難い充電池が対象とされている。なお、家電や携帯端末などに充電地が組み込まれた場合など、充電中にも電池が繰り返し使用されるような場合には、上記特許文献1に記載の技術が適用されると、満充電に達することなくタイマにより充電が停止するという事態が想定される。
【0005】
近年の携帯端末のように画面の大型化や多機能化によって電力消費が上昇する一方、ユーザにおいて、より確実に満充電まで充電を完了させ、より長時間、充電することなく携帯端末を利用する要望がある。また、携帯端末に限らず、コードレスで利用できるテレビや掃除機などの、家電製品についても、さらには、すでに実用化が進んでいる電気自動車についても、このような要望がある。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、充電池の状態をより正確に検出して充電処理が行なえる充電装置、電気機器、および、クーロンカウンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った充電装置は、二次電池を充電するための充電装置であって、二次電池に、当該二次電池の充電のために給電するための制御手段と、制御手段によって二次電池の充電が開始されてからの時間を測定するための計時手段と、二次電池の充電における充電電流を検出するための第1の検出手段と、二次電池の電圧を検出するための第2の検出手段と、二次電池の温度を検出するための第3の検出手段と、二次電池の充電における、充電時間と充電電流と二次電池の電圧と温度の関係についての情報を記憶するための記憶手段とを備え、制御手段は、二次電池の充電中に、計時手段が測定した時間と、第1の検出手段が検出した充電電流と、第2の検出手段が検出した二次電池の電圧と、第3の検出手段が検出した温度が、記憶手段に記憶された関係にあるか否かに基づいて、二次電池の充電を継続するか否かを決定する。
【0008】
好ましくは、二次電池に充電された電気量を検出する第4の検出手段をさらに備え、制御手段は、第4の検出手段が検出した電気量に基づいて、二次電池の充電が完了したか否かを判断する。
【0009】
好ましくは、制御手段は、二次電池についての電圧値と残容量特性とを関連付ける情報に基づき、第2の検出手段が検出した二次電池の電圧を利用して、二次電池の充電の残り時間を算出する。
【0010】
好ましくは、制御手段は、二次電池に充電のための給電を開始してから、特定時間が経過したことを条件として、当該二次電池への給電を終了させる。
【0011】
好ましくは、制御手段は、第3の検出手段が検出した温度に基づいて、第1の検出手段が検出した充電電流と第2の検出手段が検出した電圧の少なくとも一方を補正する。
【0012】
好ましくは、制御手段は、第2の検出手段が検出した電圧に基づいて二次電池の残容量を算出し、当該残容量が特定の容量以下となったことを条件として、二次電池への給電を開始させる。
【0013】
好ましくは、制御手段は、二次電池の残容量が、一定時間継続して、特定の容量以下となったことを条件として、二次電池への給電を開始させる。
【0014】
好ましくは、記憶手段は、関係を、二次電池の充電の回数ごとに記憶し、制御手段は、記憶手段において、二次電池の回数に対応して記憶された関係に基づいて、二次電池の充電を継続するか否かを決定する。
【0015】
本発明に従った電気機器は、上記したような充電装置と、充電装置において充電される二次電池から電力を供給されることにより所定の機能を実現する動作部とを備える。
【0016】
本発明に従ったクーロンカウンタは、二次電池を充電するための充電装置と通信可能なクーロンカウンタである。上記充電装置は、二次電池に、当該二次電池の充電のために給電するための制御手段と、制御手段によって二次電池の充電が開始されてからの時間を測定するための計時手段とを備える。そして、上記クーロンカウンタは、二次電池の充電における充電電流を検出するための第1の検出手段と、二次電池の電圧を検出するための第2の検出手段とを備える。また、上記充電装置は、二次電池の温度を検出するための第3の検出手段と、二次電池の充電における、充電時間と充電電流と二次電池の電圧と温度の関係についての情報を記憶するための記憶手段とをさらに備える。そして、充電装置の制御手段は、二次電池の充電中に、計時手段が測定した時間と、第1の検出手段が検出した充電電流と、第2の検出手段が検出した二次電池の電圧と、第3の検出手段が検出した温度が、記憶手段に記憶された関係にあるか否かに基づいて、二次電池の充電を継続するか否かを決定する。
【0017】
好ましくは、上記クーロンカウンタは、二次電池に充電された電気量を検出する第4の検出手段をさらに備える。そして、充電装置の制御手段は、第4の検出手段が検出した電気量に基づいて、二次電池の充電が完了したか否かを判断する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、二次電池の充電の際に、充電電流と二次電池の電圧の関係が、充電時間に応じた適した関係にあるか否かに基づいて、二次電池の充電を継続するか否かが決定される。
【0019】
これにより、二次電池が充電を繰り返されること等によりその内部インピーダンスが高くなっているような場合に、充電を停止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の電気機器の一実施の形態である電気機器の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の電気機器において充電装置を構成する部分の電気的構成を模式的に示す図である。
【図3】図1の電気機器において利用されるデータの例を模式的に示す図である。
【図4】図1の電気機器において、電池の充電の際に実行される処理のフローチャートである。
【図5】図1に示された充電装置の変形例を示す図である。
【図6】図1に示された充電装置の他の変形例を示す図である。
【図7】図4のフローチャートに示された処理の変形例を説明するための図である。
【図8】図1の電気機器の全体構成の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の電気機器の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能および作用を有する要素については、同じ符号を付し、重複する説明を繰返さない。
【0022】
<電気機器の概略構成>
図1は、本発明の電気機器の一実施の形態である電気機器の全体構成を模式的に示す図である。
【0023】
図1を参照して、電気機器1は、充電用の電池(二次電池)50を備えている。そして、電気機器1では、外部電源90から電力の供給を受けて、電池50が充電される。
【0024】
また、電気機器1は、外部電源90から供給される電力を電池50の充電のための電力に変換するAC(Alternating Current)アダプタ70と、電池50への電力の供給を制御するPMIC(Power Management Integrated Circuit)100と、電池50の電圧等を計測するためのFGIC(Fuel Gauge Integrated Circuit)300と、電池50近傍の温度を検出するための温度センサ20と、電気機器1の本質的な機能を発揮するための内部システム60とを備える。内部システム60は、電池50から電力を供給される。
【0025】
電気機器1の本質的な機能としては、たとえば電気機器1が電話機であれば、通話機能を含む。この場合、内部システム60は、音声の入力および出力のためのマイクロフォンおよびスピーカや、音声入力回路および音声出力回路、ならびに、音声の送受信のための通信のための回路を含む。また、当該電話機がメールの送受信やウェブの閲覧等のためのデータの送受信の機能を有する場合には、内部システム60は、そのようなデータを送受信するための通信のための回路やデータの変換を行なう回路(ソフトウェアと当該ソフトウェアを実現するための演算回路)を含む。
【0026】
電気機器1が掃除機であれば、上記した本質的な機能は、ごみを吸引する機能を含む。この場合、内部システム60は、当該機能を実現するためのモータや、当該モータへの電力の供給を制御するための回路を含む。
【0027】
電気機器1がテレビであれば、映像を表示する機能を含む。この場合、内部システム60は、当該映像を受信するための回路や、当該映像を表示するための回路(表示装置の動作を制御するための回路)、当該映像に付随して受信した音声を出力するための回路を含む。
【0028】
電気機器1が電気自動車であれば、走行機能を含む。この場合、内部システム60は、車輪を回転させるためのモータや、当該モータへの電力の供給を制御するための回路を含む。
【0029】
電気機器1では、外部電源90からの電力は、PMIC100を介して、内部システム60と電池50とに供給される。PMIC100は、内部システム60へ供給する電流(負荷電流)と、電池50に供給する電流(充電電流)を制御する。
【0030】
PMIC100は、電池50の充電電流と、放電電流(電池50から内部システム60へ供給する電流)とを計測する。PMIC100とFGIC300とは、IC(Inter-Integrated Circuit)で通信する。
【0031】
FGIC300は、電池50とアース(接地)との間に設けられた抵抗40の間にかかる電圧により電池50の電圧と、放電電流を測定する。また、FGIC300は、PMIC100から電池50の充電電流を取得し、当該充電電流と放電電流に基づいて、電池50に充電された電気量を算出するクーロンカウンタとして機能する。
【0032】
電気機器1では、電池50の充電を制御するための部分を充電装置と呼ぶ。具体的には、電気機器1において、電気機器1における、内部システム60および電池50以外の部分が充電装置を含む。
【0033】
<充電装置の構成>
図2は、電気機器1において充電装置を構成する部分の電気的構成を模式的に示す図である。
【0034】
図2を参照して、電気機器1では、PMIC100とFGIC300は、それぞれ、IC通信するためのICインターフェース103,303を含む。
【0035】
また、PMIC100は、電池50の充電等の種々の動作を制御するためのコントローラ101を含む。コントローラ101は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置および当該演算装置が実行するプログラムを記憶する記憶装置を含む。コントローラ101は、たとえば上記演算装置が上記プログラムを実行することにより、本明細書に記載の機能を実現する。なお、上記記憶装置は、PMIC100の本体に対して着脱可能に構成されていても良い。
【0036】
また、PMIC100は、上記負荷電流および/または上記充電電流を調整するための充電制御部110を含む。さらに、PMIC100は、計時機能を有するタイマ104を含む。
【0037】
FGIC300は、PMIC100との通信等の種々の動作を制御するためのコントローラ301を含む。コントローラ301は、CPU等の演算装置および当該演算装置が実行するプログラムを記憶する記憶装置を含む。コントローラ301は、たとえば上記演算装置が上記プログラムを実行することにより、本明細書に記載の機能を実現する。なお、上記記憶装置は、FGIC300の本体に対して着脱可能に構成されていても良い。
【0038】
FGIC300は、また、上記のように電池50の電圧を測定する電圧検出部312を含む。
【0039】
コントローラ301は、上記したように、PMIC100で検出された充電電流と放電電流に基づいて、電池50において充電された電気量を算出する。そして、コントローラ301は、当該電気量を、当該コントローラ301の記憶装置に格納し、そして、PMIC100へ送信する。なお、コントローラ301は、当該電気量を、記憶装置に格納することなく直接PMIC100へ送信しても良い。
【0040】
コントローラ101は、後述するステップS40において、FGIC300において格納された電気量の、充電開始からの積算量を算出することにより、充電開始から電池50に充電された電気量を算出する。
【0041】
<参照用のデータ>
本実施の形態では、コントローラ101は、電池50の充電中、充電電流と電池50の電圧と充電開始からの時間とを検出し、そして、これらの検出値と参照用のデータとを利用して、電池50が正常であるか異常であるかを判断する。そして、正常であると判断すれば、電池50の充電を続行する。一方、異常であると判断すると、電池50の充電を停止する。
【0042】
図3(A)〜図3(C)は、電池50が正常であるか異常であるかを判断するための参照用のデータの一例を模式的に示す図である。
【0043】
図3(A)〜図3(C)に示されたデータは、t1〜t2℃,t2〜t3℃,t3〜t4℃…の複数の温度範囲のそれぞれについての、充電電流(電流値)と電圧(電圧値)と充電開始からの時間(充電時間)のそれぞれの範囲についての1以上の組合せを含む。図3(A)はt1〜t2℃についてのデータを示し、図3(B)はt2〜t3℃についてのデータを示し、図3(C)はt3〜t4℃についてのデータを示す。
【0044】
図3(A)〜図3(C)の各温度範囲のデータでは、電流値と電圧値と充電時間の組合せが、行ごとに並べられている。たとえば、t1〜t2℃の温度範囲についてのデータ(図3(A))では、電流値の範囲(At11〜At12)と電圧値の範囲(Vt11〜Vt12)と充電時間の範囲(Tt11〜Tt12)とが、1つの組合せを構成している。
【0045】
なお、本実施の形態において、参照用のデータは、温度範囲ごとに、電流値と電圧値と充電時間の組み合わせを特定できる情報であればよく、図3(A)〜図3(C)に挙げたような表形式に限定されるものではない。参照用のデータは、たとえば、ある温度において電流値が検出されたとき、当該温度とその時点での充電時間において、検出された電流値に対応するべき電圧値(または電圧値の範囲)および充電時間(または充電時間の範囲)を特定できる関数のデータであっても良い。また、本実施の形態では、図3(A)〜図3(C)に示されたように3種類の温度範囲についてのデータが説明されているが、参照用のデータが含む温度範囲の種類は、3種類に限定されない。
【0046】
<充電制御処理>
図4は、PMIC100において、電池50の充電の際に実行される処理(制御処理)のフローチャートである。
【0047】
図4を参照して、コントローラ101は、ACアダプタ70が外部電源90に接続される等のタイミングで、ステップS10を実行する。ステップS10で、コントローラ101は、電池50の充電を開始する。具体的には、コントローラ101は、外部電源90から供給される電力の電池50への供給を開始する。
【0048】
次に、ステップS20で、コントローラ101は、温度センサ20における検出温度、電池50の充電電流、および、電池50の電圧を取得して、ステップS30へ処理を進める。なお、ステップS20では、コントローラ101は、FGIC300から、電池50の電圧値を取得する。
【0049】
ステップS30では、コントローラ101は、ステップS20で取得したデータと、図3(A)〜図3(C)を参照して説明したような参照用のデータとに基づいて、電池50が正常であるか否かを判断する。この判断の具体的としては、たとえば、まず、図3(A)〜図3(C)に示されたような複数の温度範囲から、ステップS20において取得した温度センサ20の検出温度が属する温度範囲(たとえば、図3(A)〜図3(C)のいずれであるか、等)を特定する。そして、当該温度範囲のデータにおいて、ステップS10での充電開始からの経過時間が含まれる充電時間の範囲を特定する。そして、ステップS20で取得した電流値が、上記のように特定された充電時間の範囲に対応する電流値の範囲に属し、かつ、ステップS20で取得した電圧値が、上記のように特定された充電時間の範囲に対応する電圧値の範囲に属する場合、電池50が正常であると判断する。一方、電流値と電圧値の少なくとも一方が、範囲に属さないと判断すると、電池50が異常であると判断する。
【0050】
そして、ステップS30において、コントローラ101は、電池50が正常であると判断するとステップS40へ処理を進め、異常であると判断するとステップS70へ処理を進める。なお、ステップS20において取得した温度センサ20の検出温度が参照用のデータにおいて記憶された温度の範囲に属さない場合にも、コントローラ101は、ステップS70へ処理を進める。
【0051】
ステップS70では、コントローラ101は、電池50の充電を停止させ、また、電池50の充電を終了したことを報知して、処理を終了させる。充電の停止とは、外部電源90からの電力の電池50への供給を停止することである。また、報知とは、たとえば、上記した充電装置に設けられた所定のランプの点灯、または、内部システム60に対する、電池50の充電が異常終了した旨のメッセージの表示の指示、である。なお、ステップS70では、少なくとも電池50の充電が停止されればよく、報知動作は省略されても良い。
【0052】
ステップS40では、コントローラ101は、電池50の充電が完了しているか否かを判断する。当該判断は、たとえば、上記したような、ステップS10における充電開始から充電された電気量を算出することによって行なわれる。具体的には、当該電気量が、電池50に対して予め定められた電気量(以下、「終了電気量」という)に到達していれば充電が完了したと判断し、まだ当該予め定められた電気量に到達していなければ充電は完了していないと判断する。そして、コントローラ101は、充電が完了したと判断するとステップS50へ処理を進め、まだ充電が完了していないと判断するとステップS60へ処理を進める。
【0053】
ステップS50では、コントローラ101は、電池50への電力の供給することにより電池50の充電を終了させて、図4に示した処理を終了させる。
【0054】
ステップS60では、コントローラ101は、充電の残り時間を算出し、表示させて、ステップS20へ処理を戻す。なお、コントローラ101は、たとえばPMIC100が表示装置を備えていない場合には、内部システム60に対して当該残り時間を表示するよう指示を出しても良い。コントローラ101は、たとえば、上記終了電気量と、ステップS40で取得した、充電開始から電池50に充電された電気量との差として得られる電気量(以下、「差分電気量」という)を算出し、当該差分電気量を、最新のステップS20で取得された充電電流および電池50の電圧値で充電するのに要する時間を算出することによって、算出される。
【0055】
なお、コントローラ101は、上記した残り時間を、電池50についての電圧−残容量特性に基づき、電池50の最大電気容量とステップS20において取得される電圧値とを利用して、算出することもできる。具体的には、コントローラ101は、最大電気容量と、上記特性においてステップS20で取得された電圧値に対応する残容量との差を求め、当該差分の容量を、ステップS20で取得された充電電流および電池50の電圧値で充電するために要する時間を算出することにより、残り時間を算出する。
【0056】
電池50の最大電気容量および電圧−残容量特性は、たとえば、予めコントローラ101の記憶装置において記憶されていても良い。もしくは、当該記憶装置には、複数種類の二次電池についての最大電気容量および電圧−残容量特性が格納され、そして、コントローラ101は、電気機器1に装着された電池50の種類を取得した上で、上記した残り時間を算出するために使用する、当該取得した種類に対応した、最大電気容量および電圧−残容量特性を選択しても良い。なお、コントローラ101は、たとえば、外部から情報の入力を受付けることにより、または、装着された電池50(の表面等)に記録された情報を読取る等により、装着された電池50の種類を取得する。
【0057】
また、電気機器1では、コントローラ101またはコントローラ301は、ステップS20において取得された電池50の充電電流および/または電圧を、環境(たとえば、温度センサ20によって検出される温度)に応じて補正しても良い。コントローラ101またはコントローラ301は、その記憶装置に、たとえば温度に関連付けられた補正のための手段(たとえば、補正値または補正関数)を格納し、当該手段を利用して、充電電流および/または電圧を補正する。なお、コントローラ101は、ステップS20でFGIC300から充電電流と電圧を取得した後であって、ステップS30における判断の前に、補正を行なう。また、コントローラ301は、充電電流と電圧を取得した後、PMIC100に送信するまでに、補正を行なう。
【0058】
以上図4を参照して説明した充電制御処理では、二次電池(電池50)の充電中に、充電開始からの時間と、充電電流と、電池50の電圧とが、参照用データにおいて特定される関係にあるか否かの判断(ステップS30)の結果に基づいて、電池50の充電を継続するか否かを決定する。そして、特定される関係にないと判断された場合、電池50の充電が停止される(ステップS70)。一方、参照用データにおいて特定される関係にあると判断された場合、充電された電気量が「終了電気量」に到達するまで充電が継続される。具体的には、ステップS20〜ステップS60の処理が繰り返される。
【0059】
ここで、電気機器1では、コントローラ101は、上述した充電制御処理を、ACアダプタ70が外部電源90に接続されたことを条件として開始しても良い。
【0060】
また、上記充電制御処理の終了後、ACアダプタ70と外部電源90の接続が継続されている場合に、コントローラ101は、定期的にステップS20と同様の手法で電池50の電圧値を取得し、そして、上記した電圧−残容量特性においてこのように取得した電圧値に対応する残容量が特定の容量以下となったことを条件として、上記充電制御処理を再開させても良い。これにより、電気機器1において、放電によって電池50の残容量が低下した場合でも、適宜、電池50の充電を開始することができる。
【0061】
電池50の残容量の値に基づいて充電制御処理を開始する場合、コントローラ101は、一定時間、継続して電池50の残容量が上記特定の容量以下となったことを条件として、上記充電制御処理を開始させても良い。これにより、電池50の電圧値の検出誤差等による、一時的で不自然な電池50の残容量の増減によって充電制御処理が開始されることを回避できる。
【0062】
また、上記充電制御処理において、ステップS20〜ステップS60の処理は、所定時間ごとに繰り返される。具体的には、ステップS20において取得される電流値は、たとえば、当該所定時間における充電電流(当該所定時間において外部電源90から電池50に送られた電荷の積算値)である。また、ステップS20において取得される電圧値は、当該所定時間のある時点で検出された電圧値である。なお、当該所定時間に含まれる複数の時点で検出された電圧値の平均値であっても良い。
【0063】
また、本実施の形態において、電気機器1は、内部システム60と、電池50と、充電装置とが一体的に構成されていても良いし、図5に示されるように、電池50とそれ以外の部分が別体で構成されても良い。つまり、電池50は、図5に示されるように、電気機器1Aに対して、着脱可能に、そして、電気機器1Aに対して交換可能に、構成される場合が有り得る。
【0064】
また、充電装置についても、図6に示されるように、内部システム60と別体で構成されても良い。図6では、充電装置1Bは、電池50を充電するための装置として、そして、内部システム60に対して独立して、構成される場合が有り得る。この場合、充電装置1Bは、内部システム60とは別に、単独で、取引される場合も有り得る。そして、電池50は、充電装置1Bで充電された後、充電装置1Bから取外され、内部システム60に装着されて、内部システム60に対して電力を供給する。
【0065】
また、本実施の形態の電気機器1では、図7に示されるように、ステップS10で充電を開始してから特定時間が経過したことに基づいて、強制的に充電が終了するように構成されていても良い。図7に示された処理では、コントローラ101は、ステップS40において充電が完了していないと判断した後、ステップS41で、タイマ104の計時時間を参照することにより、ステップS10で充電が開始されてから特定時間が経過したか否かを判断する。そして、コントローラ101は、当該特定時間が経過したと判断すると、ステップS50で充電を終了させる。一方、まだ経過していないと判断すると、コントローラ101は、ステップS60へ処理を進める。これにより、電気機器1では、電池50に対して、特定時間以上継続して、充電のために給電されることが、確実に回避される。なお、当該特定時間の具体的な値は、電池50として使用される二次電池の種類に応じて変更されても良い。
【0066】
上記充電制御処理では、図3(A)〜図3(C)を参照して説明されたように、電池50が正常であるか異常であるかの判断が、各温度範囲ごとに設定された電流値と電圧値と充電時間の組合せについての基準値に基づいて判断された。なお、このような基準値は、電池50の充電回数ごとに設定されていても良い。なお、同じ温度範囲の同じ充電時間についての基準値の傾向としては、電流値については充電回数が増えると低下し、電圧値については充電回数が増えると上昇する傾向にある。この場合、コントローラ101は、ステップS10で充電を開始するたびに、充電回数を計数するカウンタのカウント値を1加算更新する。そして、コントローラ101は、ステップS30では、当該カウンタにおけるカウント値に対応した充電回数についての、図3を参照して説明したような基準値を用いて、電池50が正常であるか否かを判断する。これにより、電池50の充電回数が多くなり、電池50の劣化が想定される場合に、当該劣化した電池50に応じた基準値に応じて、当該電池50の正常/異常を判断できる。
【0067】
また、本実施の形態の電気機器1では、図8に示されるように、FGIC300は、電気機器1(充電装置)に対して、着脱可能に構成され、独立に取引対象とされる場合が有り得る。
【0068】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1,1A 電気機器、1B 充電装置、20 温度センサ、40 抵抗、50 電池、60 内部システム、70 ACアダプタ、90 外部電源、100 PMIC、101,301 コントローラ、103,303 ICインターフェース、104 タイマ、110 充電制御部、300 FGIC、312 電圧検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を充電するための充電装置であって、
前記二次電池に、当該二次電池の充電のために給電するための制御手段と、
前記制御手段によって前記二次電池の充電が開始されてからの時間を測定するための計時手段と、
前記二次電池の充電における充電電流を検出するための第1の検出手段と、
前記二次電池の電圧を検出するための第2の検出手段と、
前記二次電池の温度を検出するための第3の検出手段と、
前記二次電池の充電における、充電時間と充電電流と前記二次電池の電圧と温度の関係についての情報を記憶するための記憶手段とを備え、
前記制御手段は、前記二次電池の充電中に、前記計時手段が測定した時間と、前記第1の検出手段が検出した充電電流と、前記第2の検出手段が検出した前記二次電池の電圧と、前記第3の検出手段が検出した温度が、前記記憶手段に記憶された前記関係にあるか否かに基づいて、前記二次電池の充電を継続するか否かを決定する、充電装置。
【請求項2】
前記二次電池に充電された電気量を検出する第4の検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第4の検出手段が検出した電気量に基づいて、前記二次電池の充電が完了したか否かを判断する、請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記二次電池についての電圧値と残容量特性とを関連付ける情報に基づき、前記第2の検出手段が検出した前記二次電池の電圧を利用して、前記二次電池の充電の残り時間を算出する、請求項1または請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記二次電池に充電のための給電を開始してから、特定時間が経過したことを条件として、当該二次電池への給電を終了させる、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の充電装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第3の検出手段が検出した温度に基づいて、前記第1の検出手段が検出した充電電流と前記第2の検出手段が検出した電圧の少なくとも一方を補正する、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の充電装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2の検出手段が検出した電圧に基づいて前記二次電池の残容量を算出し、当該残容量が特定の容量以下となったことを条件として、前記二次電池への給電を開始させる、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の充電装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記二次電池の残容量が、一定時間継続して、前記特定の容量以下となったことを条件として、前記二次電池への給電を開始させる、請求項6に記載の充電装置。
【請求項8】
前記記憶手段は、前記関係を、前記二次電池の充電の回数ごとに記憶し、
前記制御手段は、前記記憶手段において、前記二次電池の回数に対応して記憶された前記関係に基づいて、前記二次電池の充電を継続するか否かを決定する、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の充電装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の充電装置と、
前記充電装置において充電される二次電池から電力を供給されることにより所定の機能を実現する動作部とを備える、電気機器。
【請求項10】
二次電池を充電するための充電装置と通信可能なクーロンカウンタであって、
前記充電装置は、
前記二次電池に、当該二次電池の充電のために給電するための制御手段と、
前記制御手段によって前記二次電池の充電が開始されてからの時間を測定するための計時手段とを備え、
前記クーロンカウンタは、
前記二次電池の充電における充電電流を検出するための第1の検出手段と、
前記二次電池の電圧を検出するための第2の検出手段とを備え、
前記充電装置は、
前記二次電池の温度を検出するための第3の検出手段と、
前記二次電池の充電における、充電時間と充電電流と前記二次電池の電圧と温度の関係についての情報を記憶するための記憶手段とをさらに備え、
前記充電装置の前記制御手段は、前記二次電池の充電中に、前記計時手段が測定した時間と、前記第1の検出手段が検出した充電電流と、前記第2の検出手段が検出した前記二次電池の電圧と、前記第3の検出手段が検出した温度が、前記記憶手段に記憶された関係にあるか否かに基づいて、前記二次電池の充電を継続するか否かを決定する、クーロンカウンタ。
【請求項11】
前記二次電池に充電された電気量を検出する第4の検出手段をさらに備え、
前記充電装置の前記制御手段は、前記第4の検出手段が検出した電気量に基づいて、前記二次電池の充電が完了したか否かを判断する、請求項10に記載のクーロンカウンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−115862(P2013−115862A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257539(P2011−257539)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】