説明

充電装置及び充電方法

【課題】二次電池の充電に要する時間を極力短縮することができる充電装置及び充電方法を提供する。
【解決手段】充電装置1は、二次電池Bに接続可能に構成され、二次電池Bに接続された状態で二次電池からの電力が入力される電力回路(スイッチ13及び抵抗14)と、二次電池Bの充電中に、上記の電力回路を所定時間だけ二次電池Bに接続して二次電池Bに充電された電力を電力回路に放電させる制御を行う充電制御装置18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の充電を行う充電装置及び充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機を始めとした携帯性を有する電子機器は、再充電が可能なリチウムイオン二次電池等の二次電池を電源として用いるものが殆どである。また、動力発生源としてエンジンとモータとを併用するハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)や、動力発生源としてモータのみを用いる電気自動車(EV:Electric Vehicle)においても、二次電池が用いられている。このように、近年においては様々な用途に二次電池が用いられている。
【0003】
二次電池の充電は、一般的にCC/CV(Constant-Current/Constant-Voltage:定電流/定電圧)充電法を用いて行われる。ここで、CC/CV充電法とは、二次電池の電圧が定格電圧に達するまで一定の電流で充電(CC充電)し、二次電池の電圧が定格電圧に達した後は二次電池に印加される電圧を一定に保って充電(CV充電)する充電法である。図4は、従来のCC/CV充電法により充電される二次電池の充電状態の変化例を示す図である。
【0004】
図4に示す例では、充電が開始された時刻t100から二次電池の電圧が定格電圧(例えば、最大電圧の90%の電圧)に達する時刻t101まではCC充電が行われ、時刻t101以後はCV充電が行われている。この図4を参照すると、CC充電が行われている間は時間の経過とともに二次電池の充電量が増加するが、CV充電に切り替わると充電量の増加量が極端に小さくなり、満充電に達するまでに長い時間(例えば、1時間程度)要するのが分かる。尚、二次電池が満充電状態になった時刻t102以後は、CV充電により満充電状態が維持される。
【0005】
以下の特許文献1には、二次電池の充電を短時間で行い得る充電方法の一例が開示されている。具体的に、この引用文献1に開示された充電方法は、二次電池の電圧が予め設定された第1電圧に達するまで行うCC充電と、二次電池の電圧が第1電圧から第2電圧に低下するまでの充電休止とを繰り返し、充電休止の期間が所定値以上になった場合にCV充電を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3213399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1に開示された充電方法を用いれば、二次電池の充電に要する時間を、従来よりは短縮することができると考えられる。しかしながら、上記の特許文献1では、二次電池の充電を休止している期間において、二次電池の電圧が第1電圧から第2電圧に低下するのを待つ必要があるため、充電に要する時間が十分に短縮されているとは言い難い。
【0008】
現状において、前述した電気自動車やハイブリッド自動車(所謂、プラグイン・ハイブリッド車)は、二次電池の充電に長時間を要する点が短所の1つとして挙げられている。近年においては、地球環境の保護の観点から、旧来のガソリン車等に代わって電気自動車等の早急な普及が望まれている状況であり、上記の短所を解消して電気自動車等の普及を促進するのが極めて重要である。また、携帯電話機等の電子機器においても、二次電池が短時間で充電できれば利便性が高まると考えられる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、二次電池の充電に要する時間を極力短縮することができる充電装置及び充電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の充電装置は、二次電池(B)の充電を行う充電装置(1、2)において、前記二次電池に接続可能に構成され、前記二次電池に接続された状態で前記二次電池からの電力が入力される電力回路(13、14、21〜26)と、前記二次電池の充電中に、前記電力回路を所定時間だけ前記二次電池に接続して前記二次電池に充電された電力を前記電力回路に放電させる制御を行う制御装置(18、27)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の充電装置は、前記二次電池の電圧を測定する電圧計(15)を備えており、前記制御装置が、前記二次電池の充電中に、前記電圧計の測定電圧が予め設定された所定の閾電圧に達した場合に、前記電力回路を所定時間だけ前記二次電池に接続する制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の充電装置は、前記制御装置が、前記所定時間の経過後に、前記電力回路を前記二次電池から切り離す制御を行うことを特徴としている。
また、本発明の充電装置は、前記電力回路が、前記二次電池に接続可能に構成され、前記二次電池から放電される電力を消費する抵抗(14)を備えることを特徴としている。
また、本発明の充電装置は、前記電力回路が、前記二次電池に接続可能に構成され、前記二次電池から放電される電力を蓄えるコンデンサ(26)を備えることを特徴としている。
また、本発明の充電装置は、前記制御装置が、前記所定時間の経過後に、前記コンデンサに蓄えられた電力を用いて前記二次電池を充電する制御を行うことを特徴としている。
本発明の充電方法は、二次電池(B)の充電を行う充電方法であって、前記二次電池の充電を開始する第1ステップと、前記二次電池の充電中に、前記二次電池に充電された電力を所定時間だけ放電させる第2ステップとを有することを特徴としている。
また、本発明の充電方法は、前記第2ステップの後に、前記第2ステップで前記二次電池から放電された電力を用いて前記二次電池を充電する第3ステップを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、二次電池の充電中に電力回路を所定時間だけ二次電池に接続して二次電池に充電された電力を電力回路に放電させて二次電池の開放端子電圧を低下させているため、二次電池の充電に要する時間を従来よりも短縮することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態による充電装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態による充電装置により充電される二次電池の充電状態の変化例を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態による充電装置の要部構成を示すブロック図である。
【図4】従来のCC/CV充電法により充電される二次電池の充電状態の変化例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による充電装置及び充電方法について詳細に説明する。
【0014】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による充電装置の要部構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の充電装置1は、充電器11、スイッチ12、スイッチ13(電力回路)、抵抗14(電力回路)、電圧計15、電流計16,17、及び充電制御装置18(制御装置)を備えており、充電器11の出力端(正出力端、負出力端)の各々に接続される端子T1,T2間に接続されるリチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の二次電池Bの充電を行う。
【0015】
充電器11は、端子T1,T2間に接続される二次電池Bに対し、その二次電池Bを充電するための直流電力を供給する。この充電器11は、例えばコンバータ、インバータ、及び整流器等を備えており、電圧が100V(或いは、200V)の商用交流電源から二次電池Bの充電に必要となる直流電力を生成する。尚、充電器11は、その出力電圧が二次電池Bの特性に合わせた電圧に設定されており、CC充電及びCV充電を行うことができる。
【0016】
スイッチ12は、充電器11の正出力端と、二次電池Bの正電極が接続される端子T1との間に設けられており、充電制御装置18の制御の下で、充電器11の正出力端と端子T1との間を導通状態又は非導通状態にする。具体的に、充電器11の正出力端と端子T1との間は、スイッチ12がオン状態になると導通状態になり、スイッチ12がオフ状態になると非導通状態になる。
【0017】
スイッチ13は、二次電池Bの正電極が接続される端子T1と抵抗14の一端との間に設けられており、充電制御装置18の制御の下で、端子T1と抵抗14の一端との間を導通状態又は非導通状態にする。具体的に、端子T1と抵抗14の一端との間は、スイッチ13がオン状態になると導通状態になり、スイッチ13がオフ状態になると非導通状態になる。
【0018】
抵抗14は、一端がスイッチ13を介して二次電池Bの正電極が接続される端子T1に接続されるとともに、他端が二次電池Bの負電極が接続される端子T2に接続されており、二次電池Bの充電中に二次電池Bから放電される電力を消費するために設けられる。ここで、二次電池Bに充電された電力の一部を二次電池Bの充電中に放電させるのは、二次電池Bの充電に要する時間を短縮するためである。
【0019】
二次電池Bの電圧(開放端子電圧)は、一般的に電流に対してヒステリシス特性を有しており、充電容量が同じであっても放電後の開放端子電圧は充電後の開放端子電圧よりも低くなる。二次電池Bの充電中に充電された電力の一部を短時間(例えば、10秒程度)放電することによって二次電池Bの開放端子電圧を低下させることができるため、その後の充電電流を大きくすることが可能となり、これにより二次電池Bの充電に要する時間を短縮することができる。
【0020】
電圧計15は、充電器11の正出力端とスイッチ12との間に設けられており、二次電池Bが充電されているときの二次電池Bの電圧を測定する。この電圧計15で測定された電圧(測定電圧)は充電制御装置18に入力される。電流計16は、充電器11の負出力端と端子T2との間に設けられており、二次電池Bの充電中に二次電池Bに流れる電圧を測定する。電流計17は、抵抗14の他端と端子T2との間に設けられており、二次電池Bを放電する際に抵抗14に流れる電流を測定する。これら電流計16,17で測定された電流(測定電流)は充電制御装置18に入力される。
【0021】
充電制御装置18は、電圧計15及び電流計16,17の測定結果を参照しつつ、スイッチ12,13を制御することにより、二次電池Bの充電制御を行う。具体的に、充電制御装置18は、二次電池Bを充電する場合にはスイッチ12をオン状態にするとともにスイッチ13をオフ状態にして二次電池Bを充電器11に接続する。二次電池Bの充電を終了する場合にはスイッチ12,13を共にオフ状態にして二次電池Bを充電器11及び抵抗14から切り離す。
【0022】
また、二次電池Bの放電を行う場合には、スイッチ12をオフ状態にするとともにスイッチ13をオン状態にして二次電池Bを抵抗14に接続する。尚、二次電池Bの放電が終了した場合には、充電制御装置18は、スイッチ12をオン状態にするとともにスイッチ13をオフ状態にして抵抗14を二次電池Bから切り離しつつ二次電池Bを充電器11に接続する。
【0023】
ここで、充電制御装置18は、二次電池Bの充電中に電圧計15及び電流計16の測定結果に基づいて、二次電池Bの電圧及び充電量を求める。また、電圧計15の測定電圧が予め設定された所定の閾電圧(例えば、二次電池Bの最大電圧の90%の電圧)に達した場合に、充電制御装置18は、スイッチ12をオフ状態にするとともにスイッチ13をオン状態にして二次電池Bを放電させる。二次電池Bの放電が行われている間は、充電制御装置18は、電流計17の測定電流に基づいて二次電池Bから放電された電力量を求める。
【0024】
次に、上記構成における充電装置1の動作について説明する。図2は、本発明の第1実施形態による充電装置により充電される二次電池の充電状態の変化例を示す図である。まず、充電すべき二次電池Bを充電装置1に接続し、二次電池Bの正電極及び負電極を充電装置1の端子T1,T2にそれぞれ導通させる。尚、二次電池Bの充電が開始される前の初期状態においては、充電装置1に設けられたスイッチ12,13が共にオフ状態になっており、二次電池Bの充電量は0%であるとする。
【0025】
二次電池Bの接続が完了し、充電制御装置18に対して充電開始の指示が行われると、充電制御装置18の制御によって、スイッチ12がオン状態にされるとともにスイッチ13がオフ状態にされる。これによって、二次電池Bが充電器11に接続され、充電器11から供給される直流電力によって二次電池Bの充電(CC充電)が開始される(時刻t0:第1ステップ)。二次電池Bの充電が開始されると、図2に示す通り、時間の経過とともに二次電池Bの充電量が増加する。尚、二次電池Bの充電中は、電圧計15及び電流計16の測定結果に基づいて、二次電池Bの電圧及び充電量が充電制御装置18により求められる。
【0026】
二次電池Bの充電量が増加するにつれて二次電池Bの電圧も上昇する。二次電池Bの充電中において、充電制御装置18は電圧計15の測定電圧を常時モニタしており、電圧計15の測定電圧が閾電圧を超えたか否かを判断している。電圧計15の測定電圧が閾電圧を超えたと判断すると、充電制御装置18の制御によって、スイッチ12がオフ状態にされるとともにスイッチ13がオン状態にされる。これにより、二次電池Bが抵抗14に接続され、二次電池Bに充電された電力が放電されて抵抗14によって消費される(時刻t1)。
【0027】
充電制御装置18は、以上の状態を時刻t2まで短時間(例えば、10秒程度)維持し、二次電池Bに充電された電力を放電させて抵抗14に消費させる(第2ステップ)。これにより、図2に示す通り、時刻t2における二次電池Bの充電量は、時刻t1における二次電池Bの充電量よりも低下する。また、この充電量の低下に伴って、二次電池Bの電圧も低下する。尚、二次電池Bの放電中は、電流計17の測定結果に基づいて、二次電池Bの放電量が充電制御装置18により求められる。
【0028】
時刻t2が経過すると、充電制御装置18によってスイッチ13がオフ状態にされるとともにスイッチ12がオン状態にされる。これにより、抵抗14が二次電池Bから切り離されて二次電池Bが充電器11に接続され、充電器11から供給される直流電力によって二次電池Bの充電(CC充電)が再開される。二次電池Bの充電が再開されると、図2に示す通り、時間の経過とともに二次電池Bの充電量が増加する(時刻t2〜t3)。
【0029】
ここで、時刻t1〜t2の間に行われた放電によって二次電池Bの開放端子電圧は低下しており、上記の閾電圧に比べて二次電池Bの電圧は小さくなっている。また、二次電池Bの開放端子電圧が低下したことにより、時刻t2〜t3の期間で二次電池Bの充電を再度行うときの電流を大きくすることができる。このため、図2に示す通り、再充電が完了した時刻t3における二次電池Bの充電量を、放電を開始する時刻t1の充電量よりも多くすることができる。
【0030】
時刻t3において電圧計15の測定電圧が閾電圧を超えたとすると、充電制御装置18の制御によってスイッチ12がオフ状態にされるとともにスイッチ13がオン状態にされる。これにより、二次電池Bが抵抗14に再び接続され、二次電池Bに充電された電力が放電されて抵抗14によって消費される。充電制御装置18は、前述したt1〜t2の期間の長さと同じ時間(例えば、10秒程度)だけ二次電池Bに充電された電力を放電させて抵抗14に消費させる(時刻t3〜t4)。
【0031】
時刻t4が経過すると、充電制御装置18によってスイッチ13がオフ状態にされるとともにスイッチ12がオン状態にされる。これにより、抵抗14が二次電池Bから切り離されて二次電池Bが充電器11に接続され、充電器11から供給される直流電力によって二次電池Bの充電(CC充電)が再開される。このようにして、本実施形態では、二次電池Bに対するCC充電と二次電池Bの放電とが繰り返される。そして、二次電池Bの充電量が、放電を実施してもCC充電ができない充電量に達したらCC充電からCV充電に切り替えられ、最大容量まで二次電池BのCV充電が行われる。
【0032】
以上の通り、本実施形態では、二次電池Bの充電中に抵抗14を二次電池Bに接続し、二次電池Bに充電された電力の一部を抵抗14で消費させることで二次電池Bの開放端子電圧を低下させている。そして、二次電池Bの開放端子電圧が低下した状態で二次電池Bの充電を再開している。二次電池Bの開放端子電圧が下がることによって、二次電池Bの充電を再度行うときの電流を大きくすることができるため、二次電池Bの充電に要する時間を短縮することができる。
【0033】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態による充電装置の要部構成を示すブロック図である。図3に示す通り、本実施形態の充電装置2は、図1に示す充電装置1が備えるスイッチ13、抵抗14、及び充電制御装置18に代えてトランジスタ21,22(電力回路)、ダイオード23,24(電力回路)、コイル25(電力回路)、コンデンサ26(電力回路)、及び充電制御装置27(制御装置)を備える。
【0034】
トランジスタ21は、二次電池Bの正電極が接続される端子T1とコイル25の一端との間に設けられており、充電制御装置27の制御の下で端子T1とコイル25の一端との間を導通状態又は非導通状態にする。具体的に、端子T1とコイル25の一端との間は、トランジスタ21がオン状態になると導通状態になり、トランジスタ21がオフ状態になると非導通状態になる。
【0035】
トランジスタ22は、コイル25の一端と二次電池Bの負電極が接続される端子T2との間に設けられており、充電制御装置27の制御の下でコイル25の一端と端子T2との間を導通状態又は非導通状態にする。具体的に、コイル25の一端と端子T2との間は、トランジスタ22がオン状態になると導通状態になり、トランジスタ22がオフ状態になると非導通状態になる。
【0036】
上記のトランジスタ21,22としては、バイポーラトランジスタ或いはFETトランジスタ(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等を用いることが可能である。尚、本実施形態では、トランジスタ21,22がバイポーラトランジスタである場合を例に挙げて説明する。ダイオード23,24は、トランジスタ21,22のコレクタ・エミッタ間にそれぞれ設けられた整流のための素子である。
【0037】
コイル25は、一端にトランジスタ21,22が接続されるとともに他端にコンデンサ26の一方の電極が接続されている。コンデンサ26は、一方の電極がコイル25の他端に接続されるとともに、他方の電極が二次電池Bの負電極が接続される端子T2に接続されており、二次電池Bの充電中に二次電池Bから放電される電力を蓄えるために設けられる。
【0038】
つまり、前述した第1実施形態では、二次電池Bの充電に要する時間を短縮するために二次電池Bに充電された電力の一部を放電させて抵抗14で消費していた。これに対し、本実施形態では、二次電池Bから放電された電力をコンデンサ26に一時的に蓄積し、二次電池Bの放電終了後にコンデンサ26に蓄積された電力を用いて二次電池Bを充電することで、エネルギーの有効利用を図っている。
【0039】
充電制御装置27は、電圧計15及び電流計16,17の測定結果を参照しつつ、スイッチ12及びトランジスタ21,22を制御することにより、二次電池Bの充電制御を行う。具体的に、充電制御装置27は、二次電池Bを充電する場合にはスイッチ12をオン状態にするとともにトランジスタ21,22をオフ状態にして二次電池Bを充電器11に接続する。二次電池Bの充電を終了する場合にはスイッチ12及びトランジスタ21,22の全てをオフ状態にして二次電池Bを充電器11並びにコイル25及びコンデンサ26等から切り離す。
【0040】
また、二次電池Bの放電を行う場合には、スイッチ12及びトランジスタ22をオフ状態にするとともにトランジスタ21をオン状態にして二次電池Bをコイル25及びコンデンサ26に接続する。二次電池Bの放電が終了した場合には、充電制御装置27は、トランジスタ21をオフ状態にするとともに、トランジスタ22をごく短時間だけオン状態にし、コンデンサ26に蓄えられた電力を用いて二次電池Bを充電(パルス充電)する。
【0041】
ここで、パルス充電とは、二次電池20に対してごく短時間の充電と休止とを繰返す充電方法をいう。このパルス充電では、二次電池20の温度や電池容量によって二次電池20に供給する電流値やパルスの最適化が図られる。尚、コンデンサ26に蓄えられた電力が無くなった場合には、充電制御装置27は、スイッチ12をオン状態にするとともにトランジスタ21,22をオフ状態にして二次電池Bを充電器11に接続する。
【0042】
充電制御装置27は、図1に示す充電制御装置18と同様に、二次電池Bの充電中に電圧計15及び電流計16の測定結果に基づいて、二次電池Bの電圧及び充電量を求める。また、電圧計15の測定電圧が予め設定された所定の閾電圧(例えば、二次電池Bの最大電圧の90%の電圧)に達した場合に、充電制御装置27は、スイッチ12及びトランジスタ22をオフ状態にするとともにトランジスタ23をオン状態にして二次電池Bを放電させる。また、充電制御装置27は、二次電池Bの放電が行われている間は電流計17の測定電流に基づいて二次電池Bから放電された電力量を求め、コンデンサ26に蓄えられた電力による二次電池Bの充電が行われている間は電流計17の測定電流に基づいてコンデンサ26から放電された電力量を求める。
【0043】
次に、上記構成における充電装置2の動作について説明する。本実施形態の充電装置2は、前述した第1実施形態の充電装置1と同様に、二次電池Bに充電された電力の一部を放電させて二次電池Bの開放端子電圧を低下させ、その後に二次電池Bの充電を再開している。但し、本実施形態では、二次電池Bから放電された電流をコンデンサ26に一時的に蓄え、コンデンサ26に蓄えられた電力を用いて二次電池Bの充電を再開している。以下、詳細に説明する。
【0044】
まず、前述した第1実施形態と同様に、充電すべき二次電池Bを充電装置2に接続し、二次電池Bの正電極及び負電極を充電装置2の端子T1,T2にそれぞれ導通させる。二次電池Bの接続が完了した後に、充電制御装置27に対して充電開始の指示が行われると、充電制御装置27の制御によって、スイッチ12がオン状態にされるとともにトランジスタ21,22がオフ状態にされる。これによって、二次電池Bが充電器11に接続され、充電器11から供給される直流電力によって二次電池Bの充電(CC充電)が開始される(第1ステップ)。二次電池Bの充電が開始されると、第1実施形態と同様に、時間の経過とともに二次電池Bの充電量が増加し、これに伴って二次電池Bの電圧が上昇する。
【0045】
ここで、電圧計15の測定電圧が閾電圧を超えたと判断すると、充電制御装置27の制御によって、スイッチ12がオフ状態にされるとともにトランジスタ21が短時間(例えば、10秒程度)の間だけオン状態にされる。これにより、二次電池Bがコイル25及びコンデンサ26に接続され、二次電池Bに充電された電力が放電されてコンデンサ26に蓄えられる(第2ステップ)。尚、二次電池Bが放電されることにより、二次電池Bの開放端子電圧が低下する。
【0046】
以上の放電期間が経過すると、充電制御装置27によってトランジスタ21がオフ状態にされるとともに、トランジスタ22がごく短時間だけオン状態され、コンデンサ26に蓄えられた電力を用いて二次電池Bが充電(パルス充電)される(第3ステップ)。二次電池Bがパルス充電されている間、充電制御装置27は、電流計17の測定電流に基づいてコンデンサ26から放電された電力量を求め、コンデンサ26に蓄えられた電力が零になったか否かを判断している。
【0047】
コンデンサ26に蓄えられた電力が零になったと判断した場合には、充電制御装置27の制御によって、トランジスタ21,22がオフ状態にされるとともにスイッチ12がオン状態にされる。これにより、コイル25及びコンデンサ26が二次電池Bから切り離されて二次電池Bが充電器11に接続され、充電器11から供給される直流電力によって二次電池Bの充電(CC充電)が再開される。
【0048】
このように、本実施形態では、二次電池Bから放電される電力がコンデンサ26に蓄えられる点、及びコンデンサ26に蓄えられた電力を用いて二次電池Bの充電(パルス充電)が行われる点を除いて、第1実施形態と同様の動作により二次電池Bが充電される。このため、本実施形態においても二次電池Bの充電に要する時間を短縮することができる。加えて、本実施形態では、コンデンサ26に蓄えられた電力を用いて二次電池Bの充電を行っているためエネルギーの有効利用を図ることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態による充電装置及び充電方法について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、予め設定された時間(例えば、10秒)の間スイッチ13又はトランジスタ21をオン状態にすることで、二次電池Bの放電量を制御する例について説明した。しかしながら、電流計17の測定結果から求められる放電量に応じてスイッチ13又はトランジスタ21をオン状態にすることで、二次電池Bの放電量を制御しても良い。
【符号の説明】
【0050】
1,2 充電装置
13 スイッチ
14 抵抗
15 電圧計
18 充電制御装置
21,22 トランジスタ
23,24 ダイオード
25 コイル
26 コンデンサ
27 充電制御装置
B 二次電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の充電を行う充電装置において、
前記二次電池に接続可能に構成され、前記二次電池に接続された状態で前記二次電池からの電力が入力される電力回路と、
前記二次電池の充電中に、前記電力回路を所定時間だけ前記二次電池に接続して前記二次電池に充電された電力を前記電力回路に放電させる制御を行う制御装置と
を備えることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記二次電池の電圧を測定する電圧計を備えており、
前記制御装置は、前記二次電池の充電中に、前記電圧計の測定電圧が予め設定された所定の閾電圧に達した場合に、前記電力回路を所定時間だけ前記二次電池に接続する制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載の充電装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記所定時間の経過後に、前記電力回路を前記二次電池から切り離す制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の充電装置。
【請求項4】
前記電力回路は、前記二次電池に接続可能に構成され、前記二次電池から放電される電力を消費する抵抗を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の充電装置。
【請求項5】
前記電力回路は、前記二次電池に接続可能に構成され、前記二次電池から放電される電力を蓄えるコンデンサを備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の充電装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記所定時間の経過後に、前記コンデンサに蓄えられた電力を用いて前記二次電池を充電する制御を行うことを特徴とする請求項5記載の充電装置。
【請求項7】
二次電池の充電を行う充電方法であって、
前記二次電池の充電を開始する第1ステップと、
前記二次電池の充電中に、前記二次電池に充電された電力を所定時間だけ放電させる第2ステップと
を有することを特徴とする充電方法。
【請求項8】
前記第2ステップの後に、前記第2ステップで前記二次電池から放電された電力を用いて前記二次電池を充電する第3ステップを有することを特徴とする請求項7記載の充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−239578(P2011−239578A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109281(P2010−109281)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】