説明

先行車追従走行制御装置及び先行車追従走行方法

【課題】先行車追従走行中において、渋滞状況以外で並走する側方車両が存在する状況の場合では、運転者によって選定された車間設定方法で設定される目標車間距離に固執せずに、自車両が側方車両の運転手の死角に入らない様に目標車間距離を一時的に柔軟に変更することができる先行車追従走行制御装置及び先行車追従走行方法を提供する。
【解決手段】目標車間距離設定部14で、自車両が渋滞状況にあるときを除いて、周辺車両状況の安全性の高低を左側並走車の有無と右側並走車の有無に基づいて判定すると共に、この判定で安全性が低いと判定された場合に、車間設定選択部13で選択された車間設定方法(i=n)で設定される目標車間距離Dnより長い並走時目標車間距離DLに変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先行車を認識して一定の車間距離を保ちつつ追従走行するための先行車追従制御装置及び先行車追従走行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転する運転者の負担を軽減し、運転疲労を抑え、燃費の向上に貢献するために、先行車がいない場合には予め設定した設定車速で定速走行を行い、先行車が現れた場合には、先行車の車速を測定し、設定車速より遅い場合には、自車両を減速して、安全な車間距離を保ちながら追従走行し、先行車に接近した場合には、補助ブレーキにより減速すると共に、警報ブザーによりフットブレーキ操作を促し、更に、アクセル操作した場合には、アクセル操作を優先して加速し、アクセル操作を終えると設定車速で定速走行する車両の速度制御装置が開発されている。
【0003】
この先行車との車間距離を適正な距離に保ちながら走行するための先行車追従制御装置として、自車両と先行車両の状態に基づき、自車両を先行車両に追従させるための目標加速度を求め、その目標加速度に対して、車両のアクセル開度アクチュエータ又は自動ブレーキアクチュエータ等の制動装置を制御するものが知られている。
【0004】
例えば、車間距離制御(追従走行制御)機能を有する車両の速度制御装置に関し、目標車間距離を車速に対応して可変とする車速対応車間距離制御と車速の如何に関わらず固定した目標車間距離を得る固定車間距離制御とを運転車(ドライバー)の好みにより選択可能とすると共に走行状況によっては安全性の高い前者の制御を強制的に実行させるために、車速対応車間距離制御モードと固定車間距離制御モードとの選択切替えができるようにしておき、車速が低速のときは制御モードの選択の如何に関わらず車速対応車間距離制御モードを強制的に選択する車両の速度制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この装置の目標車間距離設定手段では、運転者(ドライバー)が任意の車間距離をボリューム(ツマミ)あるいはロータリースイッチ等で数値を選択して設定しているが、運転者が車間距離の数値を入れるのは難しいという問題がある。
そのため、「非常に近い」、「近い」、「普通」、「遠い」、「非常に遠い」の5段階の感覚的な表現での車間設定方法から運転者が希望する車間設定方法を選択することで、この感覚的な表現から選択された車間設定方法に対応させて実際の制御のための数値(具体的な目標車間距離)を得ることが行われている。
【0006】
つまり、自車両を先行車両に追従させるための目標車間距離は、最初に、運転者の嗜好に従って、「非常に近い」〜「非常に遠い」の5段階から希望の車間設定方法が選択される。これに対応して、「非常に近い」〜「非常に遠い」の各段階(i段階とする。i=1〜5)ごとに決められた目標車間距離関数Fi(V)に自車速度Vを代入して目標車間距離Diを算出し設定する。
【0007】
この目標車間距離Diを自車速度Vの関数で設定する目標車間距離関数Fi(V)は、例えば、自車速度Vの2次式で表現すると、「Di=Fi(V)=ai×V×V+bi×V+ci」(ただし、ai,bi,ciは研究開発時に決定された定数)となる。
【0008】
また、この目標車間距離関数の別の設定方法として、簡単な構成で相対速度ΔVが過大又は過少にならないように目標車間距離L*に収束させるために、車間距離検出値Lと目標車間距離L*との偏差(L*−L)に第1のゲインfdを乗じた値と、相対速度検出値ΔVに第2のゲインfvを乗じた値との線形結合を含む形で目標車速V*を、先行車速度Vtとして「V*=Vt−(fd×(L*−L)+fv×ΔV)」で演算する先行車追従制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
しかしながら、一般的に、図4に示すように、先行車追従制御装置10Xは、自車両情報検出部11、先行車両情報検出部12、車間設定方法選択部13、目標車間距離設定部14、制動制御部15、アクセル開度アクチュエータ16aやブレーキアクチュエータ16b等の制動装置16で構成される。
【0010】
そして、図5に示すように、自車両情報検出部11で入手した自車両の速度の情報と、先行車両情報検出部12で入手した先行車両の速度の情報と先行車両との車間距離の情報に基づいて、車間設定方法選択部13で運転者によって複数の車間設定方法から選択された一つの車間設定方法に従って、目標車間距離設定部14で目標車間距離を算出して設定し(図5のステップS31)、この目標車間距離になるように、制動制御部15で制動装置16を制動制御して目標車間距離の保持制御(図5のステップS32)を行っている。この制御では、先行車両との空間位置関係だけに基づいて制御されており、自車両の側方車両などの総合的な自車両の周辺状況を考慮していないという問題がある。
【0011】
例えば、図6に示すように、自車両Aの走行する車線を先行する先行車両Bの後方を運転中で、隣接する走行車線を走行している側方車両Cとほぼ同速度で並走している場合を考えると、側方車両Cの運転者が車線変更をする際に、自車両Aが先行車追従制御装置を使用中で、自車両Aが側方車両Cの運転者の死角に入っていると、側方車両Cの車線変更により、自車両Aと側方車両Cが接触する事故が発生する可能性が生じる
このような状況で、熟練した運転者が手動運転する際には、自車両Aが側方車両Cの運転手の死角に入らない位置になるような運転を心がけるため、このような接触事故が起こる可能性は低い。そのため、この様な車線変更に伴う接触事故は、先行車追従制御装置を使用していたが故に起きてしまう事故と考えられる。
【0012】
先行車追従制御装置を使用する前提は「危険を伴わない制御」であるので、この図6に示すような場合であっても安全に先行車追従制御装置を使用することができるようにすることが重要となる。
【0013】
この側方車両を考慮した制御に関しては、自車両の走行車線に隣接する車線を走行する先行車両候補車両を検出する先行者候補検出手段を備え、先行車候補車両を検出しているときは、所定の制限時間の間、自車両の加速度を、先行車候補車両を検出していないときよりも、小さな値に制限することで、先行車候補車両に加速度合が大きな状態で接近することによる違和感を運転者に与えることを回避できると共に、制限時間経過後は加速度の制限を解除するようにして、その後は速やかに設定車速まで増速することができる追従走行制御装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0014】
しかしながら、この場合の制御は、自車両の走行車線に隣接する車線に他車両が存在する場合の、先行車に追従して走行する追従走行から、設定車速で走行する定速走行への移行を運転者に違和感を与えることなく適切に行うためのものであり、自車両の車線に先行車両が存在しない場合において、側方車両を先行車両の候補車両とするものであり、図6に示すような、先行車両に加えて、側方車両がある並走走行状況にある場合における、自車両の車線に存在する先行車を追従する制御に関するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平6−3053402号公報
【特許文献2】特開平10−272963号公報
【特許文献3】特開2004−114906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、先行車追従走行中において、渋滞状況以外で並走する側方車両が存在する状況の場合では、運転者によって選定された車間設定方法で設定される目標車間距離に固執せずに、自車両が側方車両の運転手の死角に入らない様に目標車間距離を一時的に柔軟に変更することができる先行車追従走行制御装置及び先行車追従走行方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記のような目的を達成するための本発明の先行車追従走行制御装置は、自車両の速度の情報を入手する自車両情報検出部と、先行車両の速度の情報と、前記先行車両との車間距離の情報を入手する先行車両情報検出部と、運転者による車間設定方法の入力又は選択を受けて、複数の車間設定方法から一つの車間設定方法を選択する車間設定方法選択部と、前記車間設定方法選択部で選択された車間設定方法に基づいて目標車間距離を算出して設定する目標車間距離設定部と、前記目標車間距離設定部で算出された目標車間距離と、前記自車両情報検出部から入手した前記自車両の速度と、前記先行車情報検出部から入手した前記先行車両の速度と車間距離に基づいて、制動装置を制御する制動制御部を備えた先行車追従走行制御装置において、左側方の並走車との車間距離を入手し、且つ、予め設定した第1時間以上、前記左側方の並走車との車間距離が判定用左側方車間距離以下の場合、左側並走車ありと判定する左側方車両情報検出部と、右側方の並走車との車間距離を入手し、且つ、予め設定した第1時間以上、前記右側方の並走車との車間距離が判定用右側方車間距離以下の場合、右側並走車ありと判定する右側方車両情報検出部とを設けると共に、前記目標車間距離設定部を、自車両が渋滞状況にあるときを除いて、周辺車両状況の安全性の高低を左側並走車の有無と右側並走車の有無に基づいて判定すると共に、この判定で安全性が低いと判定された場合に、前記車間設定選択部で選択された車間設定方法で設定される目標車間距離より長い並走時目標車間距離に変更するように構成する。なお、この第1時間は、実験等によって予め設定される値であり、1秒〜30秒程度である。
【0018】
この車間設定方法選択部の複数の車間設定方法は、例えば、目標車間距離Diを設定する目標車間距離関数Fi(V)を、自車速度Vの2次式「Di=Fi(V)=ai×V×V+bi×V+ci」(ただし、ai,bi,ciは研究開発時に決定された定数)で表現し、この定数ai,bi,ciを運転者の嗜好に合うように、例えば、5段階(i=1〜5)の「非常に近い(i=1)」、「近い(i=2)」、「普通(i=3)」、「遠い(i=4)」、「非常に遠い(i=5)」の感覚的な表現の車間設定方法に対応させて設定しておくことで、得ることができる。この場合には、運転者はその嗜好に合わせて「非常に近い」などの感覚的な表現で希望する車間設定方法を選択することができる。なお、本発明は、この目標車間距離関数Fi(V)で目標車間距離Diを算出することに限定されず、各種の方法で目標車間距離Diを算出する車間設定方法に適用できる。
【0019】
この構成によれば、先行車両との間の目標車間距離を設定する車間距離設定方法を、運転者の嗜好と、車両側で検出した周辺車両状況との両方を加味して選択して、周辺車両状況が安全と判定したときは自動的に運転者の嗜好によって選択された車間設定方法で設定される目標車間距離とし、周辺車両状況が安全でないと判定したときは自動的に安全な目標車間距離に目標車間距離を変更して設定し直すことができるので、違和感無くかつ安全に走行することができる。
【0020】
つまり、並走する側方車両が存在する状況では、運転者の嗜好で選択された車間設定方法に固執せずに、目標車間距離を一時的に柔軟に安全な目標車間距離に変更して設定し直す。ここで、「一時的に」というのは、目標車間距離を長い安全な目標車間距離にしておくよりも、この安全でない状況が解決された後は問題点が解決されている状況になるので、その状況になったら運転者の嗜好により選択された車間設定方法で設定される目標車間距離に戻す方が、運転者の嗜好に近く、望ましいからである。
【0021】
なお、自車両が渋滞状況にあるときを除く理由は、渋滞状況では側方車両と並走する状況は一般的である上に、かつ、渋滞状況で車線変更する際は、側方車両と自車両の各運転者には方車両等の周辺の状況をよく確認する余裕があるため、車線変更時の衝突等のような事故は起こり難いからである。また、この自車両が渋滞状況にあるか否かは、自車両の車速が予め設定された速度(例えば、15km/h)以下であるか否か等により容易に判定できる。
【0022】
上記の先行車追従走行制御装置において、前記目標車間距離設定部を、左側並走車と右側並走車の両方がない場合には、前記車間設定方法選択部で選択された車間設定方法に基づいて目標車間距離を設定すると共に、自車両が渋滞状況にあるときを除いて、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、前記車間設定方法選択部で選択された車間設定方法に基づいて設定された目標車間距離よりも長い並走時目標車間距離を目標車間距離に設定するように構成する。
【0023】
この構成によれば、自車両が渋滞状況にあるときを除いて、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合を安全でないと判定し、その場合は、並走時目標車間距離を目標車間距離に設定し直すので、比較的簡単なアルゴリズムにより、安全な目標車間距離を設定することができる。
【0024】
上記の先行車追従走行制御装置において、前記目標車間距離設定部を、自車両が渋滞状況にあるときを除いて、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、車間設定方法を、前記車間設定方法選択部で選択された車間設定方法よりも一段階高い段階の車間設定方法とし、この一段階高い車間設定方法で設定される目標車間距離を前記並走時目標車間距離とするように構成すると共に、新たに設定された並走時目標車間距離で走行して、予め設定した第2時間を経過した後に、左側並走車の有無と右側並走車の有無とを判定して、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、車間設定方法を現状の車間設定方法よりも一段階高い段階の車間設定方法とし、この一段階高い車間設定方法で設定される目標車間距離を前記並走時目標車間距離とするように構成する。なお、この第2時間は、実験等によって予め設定される値であり、1分〜2分程度である。
【0025】
この構成によれば、並走時目標車間距離を、感覚的表現が一段階高い、言い換えれば、設定される目標車間距離が一段階長くなる車間設定方法で設定される目標車間距離に設定するので、非常に簡単なアルゴリズムにより、安全な目標車間距離を設定及び更新することができる。
【0026】
そして、上記のような目的を達成するための本発明の先行車追従走行方法は、自車両の速度情報と、先行車の速度情報と、先行者との車間距離の情報を入手する情報入手ステップと、運転者による車間設定の入力又は選択を受けて、複数の車間設定方法から一つの車間設定方法を選択する車間設定方法選択ステップと、選択された車間設定方法に基づいて目標車間距離を算出して設定する目標車間距離設定ステップと、算出された目標車間距離と自車両の速度と先行車両の速度と車間距離に基づいて、制動装置を制御する制動制御ステップとを備える先行車追従走行方法において、前記目標車間距離ステップでは、自車両が渋滞状況にあるときを除いて、左側方の並走車との車間距離を入手し、且つ、予め設定した第1時間以上、前記左側方の並走車との車間距離が判定用左側方車間距離以下の場合、左側並走車ありと判定し、右側方の並走車との車間距離を入手し、且つ、予め設定した第1時間以上、前記右側方の並走車との車間距離が判定用右側方車間距離以下の場合、右側並走車ありと判定し、更に、周辺車両状況の安全性の高低を左側並走車の有無と右側並走車の有無に基づいて判定すると共に、この判定で安全性が低いと判定された場合に、前記車間設定方法選択ステップで選択された車間設定方法で設定される目標車間距離より長い並走時目標車間距離に変更することを特徴とする方法である。
【0027】
この方法によれば、先行車両との間の目標車間距離を設定する車間距離設定方法を、運転者の嗜好と、車両側で検出した周辺車両状況との両方を加味して選択して、周辺車両状況が安全なときは自動的に運転者の嗜好によって選択された車間設定方法で設定される目標車間距離とし、周辺車両状況が安全でないときは自動的に安全な目標車間距離に目標車間距離を設定することができるので、違和感無くかつ安全に走行することができる。
【0028】
また、上記の先行車追従走行方法で、前記目標車間距離設定ステップにおいて、左側並走車と右側並走車の両方がない場合には、前記車間設定方法選択ステップで選択された車間設定方法に基づいて目標車間距離を設定すると共に、自車両が渋滞状況にあるときを除いて、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、前記車間設定選択ステップで選択された車間設定方法に基づいて設定された目標車間距離よりも長い並走時目標車間距離を目標車間距離に設定すると、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合を安全でないと判定し、その場合は、並走時目標車間距離を目標車間距離に設定するので、比較的簡単なアルゴリズムにより、安全な目標車間距離を設定することができる。
【0029】
また、上記の先行車追従走行方法で、前記目標車間距離設定ステップにおいて、自車両が渋滞状況にあるときを除いて、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、車間設定方法を、前記車間設定方法ステップで選択された車間設定方法よりも一段階高い段階の車間設定方法とし、この一段階高い車間設定方法で設定される目標車間距離を前記並走時目標車間距離とするように構成すると共に、新たに設定された前記並走時目標車間距離で走行して、予め設定した第2時間を経過した後に、左側並走車の有無と右側並走車の有無とを判定して、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、車間設定方法を現状の車間設定方法よりも一段階高い段階の車間設定方法とし、この一段階高い車間設定方法で設定される目標車間距離を前記並走時目標車間距離とすると、並走時目標車間距離を一段階高い車間設定方法で設定される目標車間距離に設定するので、非常に簡単なアルゴリズムにより、安全な目標車間距離を設定及び更新することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る先行車追従制御装置及び先行車追従方法によれば、先行車追従走行時において、普段は運転者の嗜好する車間設定方法で設定される目標車間距離を保つが、渋滞状況を除いてほぼ同速度で並走する側方車両が存在する状況等の安全でない状態においては、目標車間距離を自動的に安全な目標車間距離に変更する。これにより、自車両が側方車両の運転手の死角に入る時間を減少させるなど、安全対策をすることができ、より安全に先行車追従を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態の先行車両追従走行制御装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の先行車両追従走行方法の制御フローの一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態の他の先行車両追従走行方法の制御フローの一例を示す図である。
【図4】従来技術における先行車両追従走行制御装置の構成の一例を示す図である。
【図5】従来技術における先行車両追従走行方法の制御フローの一例を示す図である。
【図6】並走走行の状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施の形態の先行車追従制御装置及び先行車追従方法について、図面を参照しながら説明する。ここでは、車間設定方法として、「非常に近い」〜「非常に遠い」の5段階の表示、及び、目標車間距離関数Fi(V)を用いているが、本発明はこれに限定されることなく、各種の車間設定方法に適用できる。
【0033】
図1に示すように、本発明に係る実施の形態の先行車追従制御装置10は、自車両情報検出部(自車センシング部)11、先行車両情報検出部(先行車センシング部)12、車間設定方法選択部(ドライバ嗜好車間設定部)13、目標車間距離設定部14、制動制御部(アクチュエータ制御部)15、制動装置16を備えると共に、更に、左側方車両情報検出部(左側方センシング部)17と右側方車両情報検出部(右側方センシング部)18と現在の車間設定方法取得部19とを備えて構成される。
【0034】
自車両情報検出部11は、自車両の速度の情報を入手するための手段であり、先行車両情報検出部12は、先行車両の速度の情報と、前記先行車両との車間距離の情報を入手する手段である。また、車間設定方法選択部13は、運転者による車間設定方法の入力又は選択を受けて、複数の車間設定方法から一つの車間設定方法を選択する手段である。つまり、運転者の嗜好により、運転者が例えば「非常に近い」〜「非常に遠い」の5段階から希望の車間設定を行うことができるように構成される。
【0035】
この車間設定方法選択部13の複数の車間設定方法は、例えば、目標車間距離Diを設定する目標車間距離関数Fi(V)を、自車速度Vの2次式「Di=Fi(V)=ai×V×V+bi×V+ci」(ただし、ai,bi,ciは研究開発時に決定された定数)で表現し、この定数ai,bi,ciを運転者の嗜好に合うように、例えば、5段階(i=1〜5)の「非常に近い(i=1)」、「近い(i=2)」、「普通(i=3)」、「遠い(i=4)」、「非常に遠い(i=5)」の感覚的な表現の車間設定方法に対応させて設定する。これにより、運転者はその嗜好に合わせて、例えば「非常に近い」などの感覚的な表現で希望する車間設定方法(例えばi=1)を選択することができるようになる。
【0036】
目標車間距離設定部14は、車間設定方法選択部13で選択された車間設定方法に基づいて、言い換えれば、目標車間距離関数Fi(V)を用いて、目標車間距離Diを算出して設定するように構成される。また、制動制御部15は、目標車間距離設定部14で算出された目標車間距離Diと、自車両情報検出部11から入手した自車両の速度Vと、先行車情報検出部から入手した先行車両の速度Vbと車間距離Dmに基づいて、制動装置16を制御する。制動装置16は、アクセル開度アクチュエータ16aとブレーキアクチュエータ16b等で構成され、制動制御部15によって制動制御される。
【0037】
左側方車両情報検出部17は、図6に示すような左側方の並走車Cとの車間距離をクリアランスソナーなどにより入手し、且つ、予め設定した第1時間(例えば、1秒〜30秒程度)以上、左側方の並走車Cとの車間距離が判定用左側方車間距離(閾値)以下の場合、左側並走車ありと判定するように構成される。また、同様に、右側方車両情報検出部18は、右側方の並走車との車間距離をクリアランスソナーなどにより入手し、且つ、予め設定した第1時間以上、右側方の並走車との車間距離が判定用右側方車間距離(閾値)以下の場合、右側並走車ありと判定するように構成される。 現在の車間設定取得部19は、現状の車間設定方法が複数の車間設定方法(「非常に近い」〜「非常に遠い」)のいずれであるか(より具体的には、現状のiの数値)を取得する手段である。
【0038】
上記のような制御方法及び先行車追従方法は、図2又は図3に示すような制御フローによって実施できる。この図2又は図3の制御フローは、運転者によって先行車追従走行制御が選択され、先行車追従走行制御装置10のスイッチがONされると、これを上位の制御フローで検出して、この上位の制御フローから、図2又は図3の制御フローが呼び出されて、目標車間距離を設定し、この目標車間距離を保持する制御を実施する制御を、先行車追従走行制御装置10のスイッチがOFFされてリターンするまで、繰り返すものとして示している。
【0039】
図2の制御フローが上位の制御フローから呼ばれてスタートすると、ステップS11で、運転者によって選定された車間設定方法により、目標車間距離を設定する。例えば、5段階(i=1〜5)の「非常に近い(i=1)」、「近い(i=2)」、「普通(i=3)」、「遠い(i=4)」、「非常に遠い(i=5)」の中から、運転者の嗜好により、i=n(n=1〜5)が選択された場合には、目標車間距離関数Fn(V)を用いて、「Dn=Fn(V)=an×V×V+bn×V+cn」で目標車間距離Dnが算出されて設定される。また、経過時間tの値を第2時間t2よりも大きい適当な値taにセットしておく(t=ta>t2)。
【0040】
次のステップS12で、自車両が渋滞状態にあるか否かを判定する。この判定は、自車両情報検出部11により検出された自車両の速度Vが予め設定された速度V0(例えば、15km/h)以下の場合には、渋滞状態であるとし(YES)、ステップS15に行く。また、自車両の速度Vが予め設定された速度V0(例えば、15km/h)より大きい場合には、渋滞状態ではないとし(NO)、ステップS13で、左側並走車と右側並走車のいずれかがある並走走行状態であるか、左側並走車と右側並走車の両方がない非並走走行状態であるかを判定する。
【0041】
このステップS13の判定で、並走走行状態でない場合、即ち、非並走走行状態である場合(NO)の場合には、ステップS15に行く。また、この判定で、並走走行状態である場合には(YES)、ステップS14で、車間設定方法を変更して、目標車間距離Dnを並走時目標車間距離DLに置き換えて、新たな目標車間距離DLとして、ステップS15に行く。また、このステップS14では、経過時間tをゼロにリセット(t=0)して、この経過時間tのカウントを開始する。この並走時目標車間距離DLは、目標車間距離Dnに対応させて予め設定しておくか、マップデータ化しておくか、目標車間距離Dnから並走時目標車間距離DLを算出できる計算方法を設定しておく。
【0042】
ステップS15では、このステップS15までに設定された目標車間距離Dn(又はDL)に車間距離が保持されるように、制動制御部15が制動装置16を予め設定された所定の時間(各判定のインターバルに関係する時間)Δtの間制御する。また、経過時間をカウントする(t=t+Δt)。
【0043】
次のステップS16では、ステップS14を経過して来た場合には、ステップS14でカウントを開始した経過時間tが予め設定された第2時間(例えば、1分〜2分程度)t2を経過したか否かを判定し、この経過時間tが第2時間t2を経過するまで(t≦t2)の間は、ステップS15で同じ目標車間距離DLで車間距離を保持するように制御され、経過時間tが第2時間t2を経過すると、ステップS11に戻る。
【0044】
一方、ステップS14を経過して来ていない場合は、ステップS11でt=ta>t2にセットされているので、ステップS16の判定はYESとなり、ステップS11に戻る。
【0045】
そして、ステップS11〜S16を繰り返し実施し、先行車追従走行制御装置10のスイッチがOFFされると(ステップS17)、これによりステップS18の割り込みが発生し、ステップS11〜S16のどの段階であってもリターンに行き、上位の制御フローに戻る。そして、この図2の制御フローは上位の制御フローの終了と共に終了する。
【0046】
この図2の制御フローにより、目標車間距離設定部14で、左側並走車と右側並走車の両方がない場合には、車間設定方法選択部13で選択された車間設定方法(i=n)に基づいて目標車間距離Dnを設定することができ(ステップS11)、それと共に、渋滞状態ではなく(ステップS12のNO)、かつ、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には(ステップS13のYES)、車間設置方法を変更して、この変更された車間設置方法で算出され、かつ、車間設定方法選択部13で選択された車間設定方法(i=n)に基づいて設定された目標車間距離Dnよりも長い並走時目標車間距離DLに目標車間距離Dnを設定し直して(ステップS14)、この目標車間距離DLで、第2時間t2を経過するまで(t≦t2)、車間距離Dmを目標車間距離DLになるように保持する(ステップS15)ように制御することができ、第2時間t2を経過した後は(t>t2)、車間設定方法選択部13で選択された車間設定方法(i=n)に基づいて設定された目標車間距離Dnで(ステップS11)、車間距離Dmを目標車間距離Dnになるように保持する(ステップS15)ように制御することができる。
【0047】
なお、渋滞状態である場合(ステップS12のYES)、又は、左側並走車と右側並走車の両方ともない場合には(ステップS13のNO)、車間設定方法選択部13で選択された車間設定方法(i=n)に基づいて設定された目標車間距離Dnで(ステップS11)、車間距離Dmを目標車間距離Dnになるように保持する(ステップS15)ように制御することができる。
【0048】
次に、図3の制御フローによる制御方法及び先行車追従方法について説明する。この図3の制御フローが上位の制御フローから呼ばれてスタートすると、ステップS21で、運転者によって選択された車間設置方法を入力する。つまり、5段階(i=1〜5)の内の選ばれた番号(ここではnとする。つまり、i=n)を入力する。
【0049】
次のステップS22で、現状の車間設定方法の情報を取得する。つまり、現状の車間設定方法の番号(i)を入力する。この番号は、ステップS21の直後では(i=n)となるが、ステップS27から戻った場合には、別の番号(例えば、i=n+1、i=n+2等)になる場合もある。また、同じくステップS22で、先に取得した情報(i)に基づいて現状の車間設定方法(i=i)により目標車間距離Diを算出し設定する。また、経過時間tの値を第2時間t2よりも大きい適当な値taにセットしておく(t=ta>t2)。
【0050】
次のステップS23で、非渋滞状態でかつ並走走行状態にあるか否かを判定する。この判定は、自車両情報検出部11により検出された自車両の速度Vが予め設定された速度V0(例えば、15km/h)より大きく、かつ、左側並走車と右側並走車のいずれかがある並走走行状態である場合には、非渋滞状態でかつ並走走行状態にある(YES)と判定し、その他の場合には、非渋滞状態でかつ並走走行状態にない(NO)と判定する。
【0051】
このステップS23で、非渋滞状態でかつ並走走行状態にある場合は(YES)、ステップS24で、現状の車間設定方法(i=i)を一つ上の車間設定方法に繰り上げて(i=i+1)変更する。なお、図3の制御フローには示していないが、現状の車間設定方法が「非常に遠い(i=5)」の場合にはそれより上がないので、i=5のままとする。また、このステップS14では、経過時間tをゼロにリセット(t=0)して、この経過時間tのカウントを開始する。
【0052】
そして、変更後の車間設定方法(i)により目標車間距離Diを算出し設定し直してステップS25に行く。これにより、非渋滞状態でかつ並走走行状態にある場合に(YES)、現状の段階(i=i)の車間設定方法よりも一段階高い段階(i=i+1)の車間設定方法で設定される目標車間距離Diを並走時目標車間距離DLとすることができる。一方、ステップS23で、非渋滞状態でかつ並走走行状態にない場合は(NO)、ステップS22で設定された目標車間距離DiのままステップS25に行く。
【0053】
ステップS25では、このステップS25までに設定された目標車間距離Diに車間距離が保持されるように、制動制御部15が制動装置16を予め設定された所定の時間(各判定のインターバルに関係する時間)Δtの間制御する。また、経過時間をカウントする(t=t+Δt)。
【0054】
次のステップS26では、ステップS24を経過して来た場合には、ステップS24でカウントを開始した経過時間tが予め設定された第2時間(例えば、1分〜2分程度)t2を経過したか否かを判定し、この経過時間tが第2時間t2を経過するまで(t≦t2)の間は、ステップS25で同じ目標車間距離Diで車間距離Dmを保持するように制御され、経過時間tが第2時間t2を経過すると、ステップS27に行く。
【0055】
一方、ステップS24を経過して来ていない場合は、ステップS22でt=ta>t2にセットされているので、ステップS26の判定はYESとなり、ステップS27に行く。
【0056】
ステップS27では、ステップS23と同様に、非渋滞状態でかつ並走走行状態にあるか否かを判定する。この判定で、非渋滞状態でかつ並走走行状態にある場合は(YES)と判定し、その他の場合には、非渋滞状態でかつ並走走行状態にない(NO)と判定する。
【0057】
このステップS23で、非渋滞状態でかつ並走走行状態にある場合は(YES)、以前として、並走走行状態が解除されないので、もう一度、ステップS22〜ステップS26を繰り返し、再度、車間設定方法(i=i)を一つ上の車間設定方法に繰り上げて(i=i+1)変更して、目標車間距離Diの保持制御を行う。一方、このステップS23で、非渋滞状態でかつ並走走行状態にない場合は(NO)、並走走行状態が解除されたものとして、ステップS21に戻り、車間設定方法を、運転者によって選定された車間設定方法(i=n)に戻してから、ステップS22〜ステップS26を繰り返す。
【0058】
そして、ステップS21〜S27、又は、ステップS22〜ステップS27を繰り返し実施し、先行車追従走行制御装置10のスイッチがOFFされると(ステップS28)、これによりステップS29の割り込みが発生し、ステップS21〜S27のどの段階であってもリターンに行き、上位の制御フローに戻る。そして、この図3の制御フローは上位の制御フローの終了と共に終了する。
【0059】
この図3の制御フローにより、この目標車間距離DLを車間設定方法選択部13で選択された車間設定方法(i=n)よりも一段階高い段階の車間設定方法(i=n+1)で設定される目標車間距離Diを並走時目標車間距離DLとすることができ、更に、新たに設定された並走時目標車間距離DLで走行して、予め設定した第2時間t2を経過した後に、左側並走車の有無と右側並走車の有無とを判定して、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、車間設定方法(i)を現状の車間設定方法(i=n+1)よりも一段階高い段階の車間設定方法(i=i+1=n+2)とし、この一段階高い車間設定方法(i=n+2)で設定される目標車間距離Diを並走時目標車間距離DLとすることができる。
【0060】
そして、これらの制御により、目標車間距離設定部14で、自車両が渋滞状況にあるときを除いて、周辺車両状況の安全性の高低を左側並走車の有無と右側並走車の有無に基づいて判定すると共に、この判定で安全性が低いと判定された場合に、車間設定選択部13で選択された車間設定方法(i=n)で設定される目標車間距離Dnより長い並走時目標車間距離DLに変更することができる。
【0061】
従って、上記の先行車追従制御装置10、及び、先行車追従方法によれば、先行車追従走行時において、普段は運転者の嗜好する車間設定方法で設定される目標車間距離Dn(又はDi)を保つが、渋滞状況を除いてほぼ同速度で並走する側方車両が存在する状況等の安全でない状態においては、目標車間距離Dn(又はDi)を自動的に安全な目標車間距離DLに変更する。これにより、自車両が側方車両の運転手の死角に入る時間を減少させるなど、安全対策をすることができ、より安全に先行車追従を行うことができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の先行車追従走行制御装置及び先行車追従走行方法によれば、渋滞状況以外で並走する側方車両が存在する状況の場合では、先行車追従走行の目標車間距離に固執せずに、自車両が側方車両の運転手の死角に入らない様に車間距離を一時的に柔軟に変更することができるので、多くの車両の先行車追従走行制御装置及び先行車追従走行方法として利用できる。
【符号の説明】
【0063】
10 先行車追従制御装置
11 自車両情報検出部(自車センシング部)
12 先行車両情報検出部(先行車センシング部)
13 車間設定方法選択部(ドライバ嗜好車間設定部)
14 目標車間距離設定部
15 制動制御部(アクチュエータ制御部)
16 制動装置
17 左側方車両情報検出部(左側方センシング部)
18 右側方車両情報検出部(右側方センシング部)
19 現在の車間設定方法取得部
DL 並走時目標車間距離
Di、Dn 目標車間距離
Dm 車間距離
Fi(V)、Fn(V) 目標車間距離関数
V 自車両の速度
Vb 先行車両の速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の速度の情報を入手する自車両情報検出部と、
先行車両の速度の情報と、前記先行車両との車間距離の情報を入手する先行車両情報検出部と、
運転者による車間設定方法の入力又は選択を受けて、複数の車間設定方法から一つの車間設定方法を選択する車間設定方法選択部と、
前記車間設定方法選択部で選択された車間設定方法に基づいて目標車間距離を算出して設定する目標車間距離設定部と、
前記目標車間距離設定部で算出された目標車間距離と、前記自車両情報検出部から入手した前記自車両の速度と、前記先行車情報検出部から入手した前記先行車両の速度と車間距離に基づいて、制動装置を制御する制動制御部を備えた先行車追従走行制御装置において、
左側方の並走車との車間距離を入手し、且つ、予め設定した第1時間以上、前記左側方の並走車との車間距離が判定用左側方車間距離以下の場合、左側並走車ありと判定する左側方車両情報検出部と、
右側方の並走車との車間距離を入手し、且つ、予め設定した第1時間以上、前記右側方の並走車との車間距離が判定用右側方車間距離以下の場合、右側並走車ありと判定する右側方車両情報検出部とを設けると共に、
前記目標車間距離設定部を、
自車両が渋滞状況にあるときを除いて、
周辺車両状況の安全性の高低を左側並走車の有無と右側並走車の有無に基づいて判定すると共に、この判定で安全性が低いと判定された場合に、前記車間設定選択部で選択された車間設定方法で設定される目標車間距離より長い並走時目標車間距離に変更するように構成することを特徴とする先行車追従走行制御装置。
【請求項2】
前記目標車間距離設定部を、
左側並走車と右側並走車の両方がない場合には、前記車間設定方法選択部で選択された車間設定方法に基づいて目標車間距離を設定すると共に、
自車両が渋滞状況にあるときを除いて、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、前記車間設定方法選択部で選択された車間設定方法に基づいて設定された目標車間距離よりも長い並走時目標車間距離を目標車間距離に設定するように構成することを特徴とする請求項1に記載の先行車追従走行制御装置。
【請求項3】
前記目標車間距離設定部を、
自車両が渋滞状況にあるときを除いて、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、車間設定方法を、前記車間設定方法選択部で選択された車間設定方法よりも一段階高い段階の車間設定方法とし、この一段階高い車間設定方法で設定される目標車間距離を前記並走時目標車間距離とするように構成すると共に、
新たに設定された並走時目標車間距離で走行して、予め設定した第2時間を経過した後に、左側並走車の有無と右側並走車の有無とを判定して、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、車間設定方法を現状の車間設定方法よりも一段階高い段階の車間設定方法とし、この一段階高い車間設定方法で設定される目標車間距離を前記並走時目標車間距離とするように構成することを特徴とする請求項2に記載の先行車追従走行制御装置。
【請求項4】
自車両の速度情報と、先行車の速度情報と、先行者との車間距離の情報を入手する情報入手ステップと、
運転者による車間設定の入力又は選択を受けて、複数の車間設定方法から一つの車間設定方法を選択する車間設定方法選択ステップと、
選択された車間設定方法に基づいて目標車間距離を算出して設定する目標車間距離設定ステップと、
算出された目標車間距離と自車両の速度と先行車両の速度と車間距離に基づいて、制動装置を制御する制動制御ステップとを備える先行車追従走行方法において、
前記目標車間距離ステップでは、
自車両が渋滞状況にあるときを除いて、
左側方の並走車との車間距離を入手し、且つ、予め設定した第1時間以上、前記左側方の並走車との車間距離が判定用左側方車間距離以下の場合、左側並走車ありと判定し、
右側方の並走車との車間距離を入手し、且つ、予め設定した第1時間以上、前記右側方の並走車との車間距離が判定用右側方車間距離以下の場合、右側並走車ありと判定し、
更に、周辺車両状況の安全性の高低を左側並走車の有無と右側並走車の有無に基づいて判定すると共に、この判定で安全性が低いと判定された場合に、前記車間設定方法選択ステップで選択された車間設定方法で設定される目標車間距離より長い並走時目標車間距離に変更することを特徴とする先行車追従走行方法。
【請求項5】
前記目標車間距離設定ステップにおいて、
左側並走車と右側並走車の両方がない場合には、前記車間設定方法選択ステップで選択された車間設定方法に基づいて目標車間距離を設定すると共に、
自車両が渋滞状況にあるときを除いて、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、前記車間設定選択ステップで選択された車間設定方法に基づいて設定された目標車間距離よりも長い並走時目標車間距離を目標車間距離に設定することを特徴とする請求項4に記載の先行車追従走行方法。
【請求項6】
前記目標車間距離設定ステップにおいて、
自車両が渋滞状況にあるときを除いて、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、車間設定方法を、前記車間設定方法ステップで選択された車間設定方法よりも一段階高い段階の車間設定方法とし、この一段階高い車間設定方法で設定される目標車間距離を前記並走時目標車間距離とするように構成すると共に、
新たに設定された前記並走時目標車間距離で走行して、予め設定した第2時間を経過した後に、左側並走車の有無と右側並走車の有無とを判定して、左側並走車と右側並走車のいずれかがある場合には、車間設定方法を現状の車間設定方法よりも一段階高い段階の車間設定方法とし、この一段階高い車間設定方法で設定される目標車間距離を前記並走時目標車間距離とすることを特徴とする請求項5に記載の先行車追従走行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−18298(P2013−18298A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150684(P2011−150684)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】