説明

先進材料処理応用のためのピコ秒−ナノ秒パルス用高エネルギ光ファイバ増幅器

【課題】高エネルギピコ秒、ナノ秒パルス用ファイバベース光源の構築を目的とする。
【解決手段】ファイバ増幅器での非線形エネルギ制限を最小化することで、光ファイバの損傷閾値に近いパルスエネルギが発生され得る。少なくとも一つの非線形ファイバ増幅器を含む増幅器チェーンと共に最適化されたシード光源を実施することは、バンド幅制限近い高エネルギピコ秒パルスの発生を可能にする。高エネルギパルス化されるファイバ増幅器の最適化シード光源は、半導体レーザも伸長モードロックファイバレーザも含む。ファイバ増幅器から得られるパルスエネルギの最大化は、さらに高繰り返し周期で高エネルギ紫外、赤外パルスの発生を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは、1998年7月16日に出願した米国出願No.09/116,241の一部分の継続である2003年8月22日に出願した米国出願No.10/645,662の一部分の継続である。この出願は、また35U.S.C.111(b)に準じて2003年8月27日に出願された仮出願No.60/498,056の出願日の35U.S.C.119(e)(1)に準じて利益を要求する。米国出願No.10/645,662及び米国仮出願No.60/498,056の開示は、各々文献によってことごとく編入される。
【0002】
本発明は、高エネルギファイバレーザパルスの小型光源の構築に関し、この光源は、ピコ秒−ナノ秒範囲のパルス幅を発生し、材料のレーザ処理に応用できる。
【背景技術】
【0003】
過去数年間、ファイバレーザと増幅器は、その独特の構築の単純性により、産業用途としてのパルス光源の最も見込みのある候補とみなされてきた。大きなコアファイバ増幅器、及び特に大きなコアの回折限界マルチモード増幅器(Fermann他に交付された米国特許No.5,818,630)は、微細加工及びマーキングのようなレーザ処理応用が可能になるレベルへの光信号の増幅を可能する( Galvanauskas他、米国特許出願No.09/317,221、現在放棄された米国特許出願No.10/645,662)。レーザマーキング及び微細加工は、高ピークパワーパルスの供給に依存するので、たとえば、マイクロチップレーザ、半導体レーザ或いは他の一般的なQスイッチ光源で供給されるナノ秒領域及びピコ秒領域シードパルスの増幅にそのようなファイバ増幅器を使用することが、有利である。周波数変調半導体レーザで発生されたパルスの高パワーファイバ増幅器は、Galvanauskasに交付された米国特許No.5,400,350にすでに記載された。ところが、マイクロチップレーザシード光源は、米国特許出願No.09/317,221、現在放棄された米国特許出願No.10/645,662に記載された。
【0004】
高パワーファイバ増幅器で発生され得る最大パルスエネルギは、1ナノ秒パルスの場合、大よそF≒100J/cmのフルーエンスに相当するシリカガラスのバルク損傷閾値で通常制限される。30マイクロメートルの基本モード径を持つファイバにとって、F=100J/cmは、1ナノ秒パルスの場合700マイクロジュールのパルスエネルギに相当する。
【0005】
しかしながら、高パルスエネルギを発生させるために最適化された通常のファイバ増幅器では、得ることができる最も高いパルスエネルギが、光損傷でより、むしろ、実施されたシード光源に依存するラマン散乱、ブリリアン散乱、或いは自己位相変調で制限される。たとえば、1ナノ秒のパルス幅のパルスを増幅するとき、ラマン散乱は、有効増幅器長が20センチメートルを超えるときに得られるパルスエネルギを制限する。
【0006】
一方、ブリリアン利得バンド幅(シリカファイバでは100MHzに相当する)に等しいか或いはそれより小さいバンド幅を持つパルスを増幅するとき、得られるパルスエネルギは、さらに誘導ブリリアン散乱の始まりで制限される。ブリリアン散乱は、10ナノ秒より大きな幅を持つバンド幅制限パルスにとって、得られるパルスエネルギを制限する典型的に優勢なメカニズムである。様々な方法が、ブリリアン散乱を抑制するために使われる。これらの方法は、一般的に半導体レーザの周波数動揺(Hansen他に交付された米国特許No.5,473,625)、周波数変調器の実施(Cotterに交付された米国特許No.4,560,246)、或いは線−狭小化増幅自然放出光源の使用(Huberに交付された米国特許No.5,295,209)、によって注入光信号のバンド幅を増加させる。
【0007】
しかしながら、一方向チャープパルス光源を持つ誘導ブリリアン散乱の抑制は、今日まで考えられてこなかった。
【0008】
今日までの市販のレーザ微細加工システムで優勢な100ピコ秒から10ナノ秒の範囲のパルス幅では、自己位相変調が通常ファイバ増幅器での著しいスペクトル拡がりを導き、ブリリアン散乱の効果を軽減し且つパルスエネルギの増加をラマン限界まで可能にする。フェムト秒シードパルスの場合(Fermann他に交付された米国特許No.5,880877及び6,014,249)、自己位相変調が、スペクトル圧縮にも使用されることが以前示された。ピコ秒シードパルスの場合(Spectral narrowing of ultrashort laser pulses by self-phase modulation in optical faibers, Applied Physics Letters, Vol.63,1993,pp.1017-19;and Limpert et al.,SPM induced spectral compression of picosecond pulses in a single-mode Yb-doped faiber amplifier, Optical Society of America TOPS, Vol.68,2002,pp.168-75)、スペクトル圧縮が、2、3ピコ秒の幅を持つバンド幅制限近いパルスを発生させるために使用され得ることが以前示された。負チャープパルスを正分散光ファイバに注入することは、スペクトル圧縮を誘起する。すなわち、パルスを注入することで、ブルースペクトル成分がレッドスペクトル成分に対して進められる。自己位相変調は、パルスエッジでのスペクトル成分をパルススペクトルの中心に移動させることができ、ある伝播距離の後、バンド幅制限近いパルスを作る。
【0009】
しかしながら、今日まで、スペクトル圧縮技術を20ピコ秒より大きなパルス幅を持つ高エネルギバンド幅制限近いパルスの発生に適合させる方法は、記述されたことが無かった。さらに、これまでの技術の全ては、複雑なバルクレーザシード光源の使用に基づいていた。この光源は、必要なパルスチャープをスペクトル圧縮用に作るために付加的な大寸法バルク光学パルス伸長器で伸長された。これまでの技術の実施は、産業で実行可能なシステムへの関連性を生まなかった。同様に、これまでの技術はどれも、数マイクロジュールを超えるエネルギの光パルスを発生するためにスペクトル圧縮技術を使用すること、或いは光ファイバのバルク損傷閾値近いパルスエネルギのパルスを作るためにスペクトル圧縮技術を使用すること、を暗示しなかった。
【0010】
ナノ秒パルスを使うレーザ微細加工及び材料処理は、今日広く実施されているが、多くの応用は、高パワーピコ秒、フェムト秒パルスに頼る必要がある。Galvanauskas他に交付された米国特許No.5,499,134とGalvanauskas他に交付された米国特許No.5,847,863で議論されたように、チャープパルス増幅は、ファイバ増幅器からフェムト秒とピコ秒パルスを発生させるために容易に実施され得る。或いは、ファイバと固体増幅器で増幅されたマイクロチップレーザでポンプされるパラメトリックチャープパルス増幅が使用され得る。この場合、Galvanauskas他によってDiode-pumped parametric chirped Pulse amplification system with 1 mJ output energies, 12th,Conf. on Ultrafast Phenomena, pp.617-18(2004)に記載されたと同じシステムの一部としてファイバ増幅器を使うことでフェムト秒とピコ秒のパルスが発生される。
【0011】
今日まで、従来技術は、10マイクロジュールを超えるエネルギを持つパルス発生のための固体ブースター増幅器と合同するファイバベースチャープパルス増幅システムを提案しなかった。好ましくは、チャープパルス増幅システムは、シード光源と増幅器チェーンとの間の複雑な周波数変換機構の必要性を避けるために、広バンド幅シード光源とオーバラップする利得バンド幅を持つ増幅器チェーンとを有する。シードと増幅器チェーンの間の複雑な周波数変換機構を有するそのようなシステムは、Ebert他に交付された米国特許No.6,760,356ですでに説明された。Galvanauskas他は、Diode pumped parametric chirped pulse amplification system with mJ output energies, Optical Society of America, pp.617-19(2000)で、固体増幅器とマイクロチップレーザと合同してファイバ増幅器の使用を開示しているが、圧縮できる高エネルギパルスを得るべく非線形結晶へのパラメトリック増幅の使用に頼っている。そのようなパラメトリック増幅器は、1ナノ秒オーダのパルス幅を持つ高エネルギポンプパルスの使用を必要とする。ポンプパルスとシード光源との同期要求と、容易に利用できる高エネルギ短パルスポンプレーザの欠乏とは、そのようなシステムの使用を複雑にする。さらに別のシステムのために、Hofer他は、Regenerative Nd:glass amplifier seeded with a Nd:fiber laser , Optics Letters, Vol.17, Issue 11, Page 807 (June 1992)の中で、Nd:ファイバ発振器でシードされたバルクNd:ガラス再生増幅器を説明している。しかしながら、シーダーの後に適当なパルス伸長ステージを欠いたシステムであるため、たった10マイクロジュールのパルスエネルギが得られただけである。
【0012】
フェムト秒とピコ秒のパルスレーザは、様々な材料のレーザ微細加工に大きな利益の精密さと清潔さを提供する。しかしながら、ナノ秒とピコ秒のパルス幅を持つ紫外(UV)レーザを使うレーザ微細加工は、相当の場合、フェムト秒レーザに良好な選択肢を与える。たとえば、有機材料のより早い精密な加工は、ナノ秒とピコ秒の範囲の幅を持つ紫外パルスで達成されるが、光ファイバの厳しい非線形制限のため、今日まで高パワー紫外パルスは、発生され得なかった。むしろ、最近の紫外レーザ技術は、たとえば、Pieterse他に交付された米国特許No.5,835,513に記載されたような周波数上方変換バルクQスイッチ固体レーザに基づいている。
【0013】
先行する技術のファイバ関連研究では、386ナノメートルの波長で僅か2.5マイクロジュールのパルスエネルギが、773ナノメートルの波長で9マイクロジュールパルスエネルギが、周波数上方変換Er増幅器チェーンで得られただけである(H. Kawai et al., UV light source using fiber amplifier and nonlinear wavelength conversion, Conf. on Lasers and Electro-Optics, CLEO, 2003, paper CtuT4)。関連する研究では、Erファイバレーザを備えるYbファイバレーザの和周波発生によって、630ナノメートルの波長で僅か1マイクロジュールのパルスエネルギが得られただけである(P. Chambert et al., 3.5 W sum frequency, 630 nm generation of synchronously seeded Yb-Er fiber amplifiers in PPKTP, Conf. on Advanced Solid State Photonics, ASSP, 2003, paper TuC3)。他の先行技術は、Ybファイバ増幅器からの出力の周波数逓倍による波長530ナノメートルのパルスエネルギ約1マイクロジュールを報告した(P. A. Chambert et al., Deep ultraviolet, tandem harmonic generation using kW peak power Yb fiber source, Electronics Letters, Vol. 38, No. 13(2002), pp. 627-28)。 その同じ文献は、波長265ナノメートルで20ナノジュールのパルスエネルギを報告し、CLBO或いはBBOのような最適化された4倍化結晶を用いることで60ナノジュールのパルスエネルギ発生の可能性について推測した。明らかに、先行技術で報告された周波数変換ファイバ増幅器チェーンからのパルスエネルギは、非最適化ファイバを用いることと適当な偏光制御の欠乏との理由で、厳しく制限された。たとえば、Chambert他によって説明された紫外光源は、周波数変換結晶で最適周波数変換に必要な偏光状態を得るために偏光制御器に頼らなければならなかった。
【0014】
関連する研究(Galvanauskas他に交付された米国特許No.6,181,463)の中で、高パワーファイバ増幅器チェーンが、光パラメトリック増幅器のポンピングために記述された。しかしながら、増幅器チェーンの周波数2倍化が考えられたが、増幅器チェーンで発生されたパルスの周波数変換の他の方法は、記述されなかった。高エネルギファイバパルス増幅器に関する他の先行研究(米国特許出願N0.2004/0036957)の中で、周波数3倍化、4倍化、光パラメトリック発生と増幅、のようなより一般的な周波数変換の仕組みが、ファイバシステムの波長カバー範囲を広げるために言及された。しかしながら、高エネルギ周波数変換パルスを発生させるための、ファイバ増幅器と共に最適なシードレーザを有する最適なシステム構成は、全然暗示されなかった。
【0015】
したがって、シリカファイバの損傷閾値に接近して動作する20ピコ秒〜10ナノ秒のパルス幅範囲で動作し、紫外波長範囲での光発生のために最適化されたファイバベース高エネルギパルス光源は、はっきりしない。同様に、高エネルギ周波数降下変換パルスの発生のためにファイバベースシステムを使用する従来技術は無い。さらに、バルク固体レーザ増幅器とそのような光源の組み合わせは、今日まで考えられなかった。
【発明の開示】
【0016】
本発明は、高パワーファイバ増幅器での誘導ブリリアン散乱を抑制するべく十分なバンド幅を持つ一方向にチャープしたパルスを作る、低振幅リップルチャープファイバ格子、及び通常の固体コアファイバ、或いはピコ秒パルス光源からのパルスをピコ秒−ナノ秒範囲の幅に伸長すべく穴あき或いは空気−穴ファイバ、の使用に関する。20マイクロジュールを越えるエネルギを持つパルスは、100ピコ秒を越える伸長パルス幅を大モードファイバ増幅器と共に組み入れることで、得られる。シングルモード固体ファイバに基づく大モードファイバ増幅器、穴のあるファイバ及び回折限界近いマルチモードファイバが、組み入れられる。特に効率のよい高パワー増幅器は、Ybドープ二重クラッドファイバ増幅器に基づく。マルチモードファイバ増幅器からの回折限界近い出力は、マルチモードファイバ増幅器(ここでのファイバは、通常の固体ファイバか或いは穴あきファイバである。)への基本モードの優先的な入射によって得られる。追加のモードフィルタは、米国仮出願No.60/536,914に記載されたように、マルチモードファイバ増幅器のモード品質をさらに改善する。これらのモードフィルタは、順々に変化する曲げ半径を持つ断熱的に曲げられたファイバから作られる。
【0017】
高エネルギパルスは、通常の非線形2倍化、3倍化、4倍化、その他、結晶を使って、さらに周波数上昇変換され得る。高エネルギ周波数上昇変換パルスは、材料処理に使われる。周波数降下変換は、同様に実施され、ファイバベースシステムのリモートセンシングへの応用を可能にする。
【0018】
負の一方向チャープを実施することで、高パワーファイバ増幅器チェーンでのスペクトル圧縮は、周波数上昇及び下降変換の効率を最大にするべくバンド幅限界近いピコ秒−ナノ秒パルスを発生するために、活用され得る。ファイバベースピコ秒パルスシード光源を使用することで、特にコンパクトな装置が得られる。スペクトル圧縮のための最適なシードパルスの幅は、共振器鏡としてチャープファイバブラッグ格子を使うファイバシード光源の分散を制御することで、選択される。ファイバ伸長器格子、穴あきファイバ及び空気穴ファイバ伸長器と共に低振幅リップルシード光源を織り込むことは、スペクトル圧縮において、増幅器チェーンでの任意のスペクトル振幅変調の回避と同じように、スペクトルペデスタルを最小化する。スペクトルペデスタルは、放物線形状の伸長パルスの結合によりさらに最小化される。
【0019】
一方向にチャープしたパルスの特に単純な光源は、繰り返し周期を自由に選択できるナノ秒台(nanosecond regime)チャープパルスを発生する周波数変調分布ブラッグ反射器ダイオードシードレーザの結合によって作られる。負チャープパルスを実施することで、増幅パルスのバンド幅は、スペクトル圧縮によって最小化され得る。
【0020】
光ファイバのバルク損傷閾値を超えるパルスエネルギに増加させるために、Nd:バナジウム酸塩、Nd:YAG、Nd:YLF、Yb:ガラス、KGW、KYW、S-FAP、YALO、YCOB、GdCOB及びその他のようなバルクブースター増幅器が結合され、そこでは、バルク増幅器バンド幅をファイバ増幅器チェーンで発生されたパルスのバンド幅に合わせるためにスペクトル圧縮が実施される。追加の周波数上昇変換は、高平均パワーで動作する高繰り返し周期紫外、赤外光源の作製を可能にする。
【0021】
高エネルギピコ秒、フェムト秒パルスは、適当なパルス伸長器及び圧縮器と共にファイバベースチャープパルス光源を持つバルクブースター増幅器を結合することで、も得られる。狭バンドバルクブースター増幅器の場合、グリズム(grism)ベースパルス圧縮器の使用は、特に小型装置を可能にする。
【0022】
本発明の第1実施例は、繰り返し周期が1kHz以上で、20ピコ秒と20ナノ秒の間のパルス幅及び10マイクロジュール以上のパルスエネルギを持つパルスを発生させるパルス光源を有する。該パルス光源は、シードパルスを作るシード光源と、該シード光源からのパルスを受けて1マイクロジュール以上のパルスエネルギを持つパルスを作るファイバ増幅器チェーンと、を有する。該ファイバ増幅器チェーンは、12マイクロメートル以上のコア径を持つ大コアクラッドポンプ偏光保持ファイバ増幅器を少なくとも一つ含む。該パルス光源は、また、バルク光学素子を少なくとも一つ含む。
【0023】
第1実施例の該シード光源は、増幅自然放出の半導体光源と増幅自然放出のファイバベース光源の一つを含むことができる。さらに、該シード光源は、半導体レーザ、マイクロチップレーザ及びファイバレーザの一つを含むことができる。好ましくは、該半導体レーザシード光源は、前記半導体レーザシード光源から放出されるパルスのスペクトルバンド幅を増大させる手段を含む。該ファイバレーザシード光源は、モードロックされ、且つファイバ格子、穴あきファイバ或いは空気穴ファイバパルス伸長器をさらに含むことができる。
【0024】
第1実施例の該ファイバ増幅器チェーンは、Nd、Yb、Er/Yb、Nd/Yb及びTmドープ増幅器ファイバを一つ含む。該ファイバ増幅器チェーンは、900−1600ナノメートルと1500−3000ナノメートルの波長台のパルスを増幅する。好ましくは、該ファイバ増幅器チェーンから出てくるパルスのバンド幅は、0.1ナノメートルより大きいか或いは1ナノメートル未満である。該ファイバ増幅器から出てくる該パルスは、矩形の時間強度プロフィール、或いは任意の強度プロフィールを持つことができる。
【0025】
第1実施例の該バルク光学素子は、ファイバ増幅器チェーンで作られたパルスを周波数変換する、すなわち、周波数降下変換をできるようにする。該バルク光学素子は、また周波数3倍化、周波数4倍化及び周波数5倍化することもできる。
【0026】
本発明の第2実施例は、繰り返し周期が1kHz以上で、20ピコ秒と20ナノ秒の間のパルス幅及び10マイクロジュール以上のパルスエネルギを持つパルスを発生させるパルス光源を有する。該パルス光源は、シードパルスを作るシード光源と、該シードパルスを受けて1マイクロジュール以上のパルスエネルギを持つパルスを作るファイバ増幅器チェーンと、を有する。該ファイバ増幅器チェーンは、12マイクロメートル以上のコア径を持つ大コアクラッドポンプ偏光保持ファイバ増幅器を少なくとも一つ含む。該パルス光源は、さらに、該ファイバ増幅器チェーンで作られた該パルスを増幅するバルク光学素子を少なくとも一つ含む。
【0027】
第2実施例の該シード光源は、増幅自然放出の半導体光源と増幅自然放出のファイバベース光源の一つを含むことができる。さらに、該シード光源は、半導体レーザ、マイクロチップレーザ及びファイバレーザの一つを含むことができる。好ましくは、該半導体レーザシード光源は、前記半導体レーザシード光源から放出されるパルスのスペクトルバンド幅を増大させる手段を含む。該ファイバレーザシード光源は、モードロックされ、且つファイバ格子、穴あきファイバ或いは空気穴ファイバパルス伸長器をさらに含むことができる。
【0028】
第2実施例の該ファイバ増幅器チェーンは、Nd、Yb、Er/Yb、Nd/Yb及びTmドープ増幅器ファイバを一つ含む。該ファイバ増幅器チェーンは、900−1600ナノメートルと1500−3000ナノメートルの波長台のパルスを増幅する。好ましくは、該ファイバ増幅器チェーンから出てくるパルスのバンド幅は、0.1ナノメートルより大きいか或いは1ナノメートル未満である。該ファイバ増幅器から出てくる該パルスは、矩形の時間強度プロフィール、或いは任意の強度プロフィールを持つことができる。
【0029】
第2実施例の該バルク光学素子は、希土類ドープ結晶或いは遷移金属ドープ結晶を含むことができる。特に、該バルク光学素子は、Nd:バナジウム酸塩、Nd:YAG、Nd:YLF、Yb:ガラス、KGW、KYW、S-FAP、YALO、YCOB、及びGdCOB増幅器の一つを含むことができる。
【0030】
本発明の第3実施例は、20ピコ秒と20ナノ秒の間のパルス幅を持つパルスを発生させるパルス光源を有する。該パルス光源は、所定のスペクトル幅を持つシードパルスを作るシード光源と、該シード光源パルスを受けて1マイクロジュール以上のパルスエネルギを持つパルスを作るファイバ増幅器チェーンと、を有する。該増幅器チェーンから出てくるパルスのスペクトル幅は、好ましくは、該シード光源から出射される該シードパルスのスペクトル幅より小さい。該増幅器チェーンの最後の増幅器は、さらに進んで放物線強度プロフィールになることができる負チャープパルスを受けることができる。
【0031】
第3実施例の該シード光源は、増幅自然放出の半導体光源と増幅自然放出のファイバベース光源の一つを含むことができる。さらに、該シード光源は、半導体レーザ、マイクロチップレーザ及びファイバレーザの一つを含むことができる。好ましくは、該半導体レーザシード光源は、前記半導体レーザシード光源から放出されるパルスのスペクトルバンド幅を増大させる手段を含む。該ファイバレーザシード光源は、モードロックされ、且つファイバ格子パルス伸長器、通常の固体コアファイバ伸長器、或いは穴あき或いは空気穴ファイバ伸長器をさらに含むことができ、該モードロックファイバレーザは、負チャープファイバ格子パルス伸長器或いは負分散ファイバ伸長器で好ましくは伸長されるシードパルスを放射する。好ましくは、該格子の反射リップルは、該格子のピーク反射率の10%未満であり、より好ましくは、該格子のピーク反射率の1%未満である。該シード光源は、負チャープパルスを作る3−区分半導体分布ブラッグ反射器レーザを含むこともできる。
【0032】
第3実施例の該ファイバ増幅器チェーンは、Nd、Yb、Er/Yb、Nd/Yb及びTmドープ増幅器ファイバを一つ含む。該ファイバ増幅器チェーンは、900−1600ナノメートルと1500−3000ナノメートルの波長台のパルスを増幅する。好ましくは、該ファイバ増幅器チェーンから出てくるパルスのバンド幅は、0.1ナノメートルより大きいか或いは1ナノメートル未満である。該ファイバ増幅器から出てくる該パルスは、矩形の時間強度プロフィール、或いは任意の強度プロフィールを持つことができる。
【0033】
第3実施例の該パルス光源は、さらに、希土類ドープ結晶或いは遷移金属ドープ結晶を含むことができるバルク光増幅器を有する。特に、該バルク光増幅器は、Nd:バナジウム酸塩、Nd:YAG、Nd:YLF、Yb:ガラス、KGW、KYW、S-FAP、YALO、YCOB、及びGdCOB増幅器の一つを含むことができる。
【0034】
第3実施例の該パルス光源は、周波数変換のためのバルク光学素子を含むことができる。該バルク光学素子は、ファイバ増幅器チェーンで作られたパルスを周波数変換する、すなわち、周波数降下変換をできるようにする。該バルク光学素子は、また周波数3倍化、周波数4倍化及び周波数5倍化することもできる。
【0035】
本発明の第4実施例は、10フェムト秒と1000ピコ秒の間のパルス幅を持つパルスを発生させるパルス光源を有する。該パルス光源は、200ピコ秒以下のパルス幅を持つシードパルスを作るシード光源と、該シード光源で作られた該パルスを所定のファクタ、好ましくは約30のファクタより大きいファクタで伸長するパルス伸長器と、を有する。該パルス光源は、該パルス伸長器から該伸長パルスを受ける少なくとも一つのファイバ増幅器を結合するファイバ増幅器チェーンを含むこともでき、200マイクロジュール以上のパルスエネルギを持つパルスを作る。少なくとも一つの増幅器は、主発振器パワー増幅器配列に配置され、パルス伸長が少なくとも一つの増幅器でのパルス増幅の後で実施され得る。
【0036】
該パルス光源は、また、該ファイバ増幅器チェーンから放射された該パルスを第2所定ファクタ、好ましくは10のファクタより大きいファクタで増幅する少なくとも一つのバルク光学増幅器を有する。該パルス光源は、また、該バルク光学増幅器素子から放射された該パルスをバンド幅制限近くまで再圧縮するためのパルス圧縮器を有する。
【0037】
第4実施例の該シード光源は、好ましくは、モードロックファイバレーザを含む。該ファイバレーザシード光源は、好ましくは、ファイバ格子パルス伸長器、或いは、通常の固体コアファイバ伸長器、又は穴あき或いは空気穴ファイバ伸長器、を含み、該モードロックファイバレーザは、ファイバ格子パルス伸長器或いは該ファイバ伸長器で伸長されたシードパルスを放射する。
【0038】
第4実施例の該ファイバ増幅器チェーンは、Nd、Yb、Er/Yb、Nd/Yb及びTmドープ増幅器ファイバを一つ含むことができる。該ファイバ増幅器チェーンは、900−1600ナノメートルと1500−3000ナノメートルの波長台のパルスを増幅する。
【0039】
第4実施例の該バルク光増幅器素子は、希土類ドープ結晶或いは遷移金属ドープ結晶を含むことができるバルク光学増幅器素子を有する。特に、該バルク光学増幅器は、Nd:バナジウム酸塩、Nd:YAG、Nd:YLF、Yb:ガラス、KGW、KYW、S-FAP、YALO、YCOB、及びGdCOB増幅器の一つを含むことができる。
【0040】
マルチ−パスと再生増幅器配置の両方が実施され得る。
【0041】
第4実施例の該パルス圧縮器は、グリズム(grism)素子或いはトレーシ(Treacy)圧縮器のような通常のパルス圧縮器を含むことができる。
【0042】
第4実施例の該パルス光源は、周波数変換のためのバルク光学素子を有することができる。該バルク光学素子は、該増幅器システムで作られたパルスを周波数変換する、すなわち、周波数降下変換をできるようにする。該バルク光学素子は、また周波数3倍化、周波数4倍化及び周波数5倍化することもできる。
本発明の概念は、詳細に記載する模範的な非限定の実施例によって、その実施例の添付図面と関連してより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】低振幅リップルファイバ格子パルス伸長器を使って一方向にチャープしたパルスを発生させるための概略構成図である。
【図2a】螺旋状に巻かれた高パワーファイバ増幅器の図である。
【図2b】双円錐状に巻かれた高パワー増幅器の図である。
【図3】周波数変調ダイオードレーザシード光源を使って一方向にチャープしたパルスを発生させるための概略構成図である。
【図4】高エネルギ紫外パルスの発生のためのファイバベース光源の図である。
【図5】固体ブースター増幅器を使って高エネルギパルスを発生するためのファイバベース光源の図である。
【図6】固体ブースター増幅器を使って高エネルギフェムト秒、ピコ秒パルスを発生させるためのファイバベース光源の図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、光ファイバ中での一方向にチャープしたパルスの増幅のための本発明の模範的な実施例を示す。一方向チャープは、パルス幅の間中主に正或いは負であるチャープである。小型システム100は、光パルスのパルス列を発生するモードロックファイバレーザ発振器101を有する。適切なファイバ発振器デザインは、米国出願No.10/627,069と米国仮出願No.60/519,447に記載されており、これら文献の各々は、参照によって完全にここに組み込まれている。特に、ファイバフェムト秒、ピコ秒マスター発振器−パワー増幅器構成は、米国仮出願No.60/519,447に記載されているように有益である。何故なら、それらは、非常に簡単な構成から高エネルギパルスを作ることができるからである。
【0045】
数ピコ秒までのパルス持続時間を持つチャープパルスだけでなくバンド幅制限近いパルスも放射するファイバ発振器が、使われる。該パルス列は、光サーキュレータ102によって入力ポート103からサーキュレータポート104に接続されたパルス伸長器106に回され、反射して戻され、且つサーキュレータのポート105を出る。別の実施において、該光サーキュレータは、ポート103からの該ビームをポート104を経由してポート105に伝えるために、単純な偏光ビームスプリッタと適当な波長板とファラデー回転子とで置き換えられる。そのような実施は、現状技術でよく知られており、ここには示されない。さらに別の選択肢として、固体コア、穴あき或いは空気穴ファイバがパルス伸長器として結合され得る。そのようなファイバ伸長器との接合では、サーキュレータは必要とされない。むしろ、ファイバ伸長器は、任意の非交互光素子の必要性なしに、ポート103と105の間に直接挿入され得る。
【0046】
伸長器106は、該光パルスに一方向チャープを賦課する。好ましい実施例では、該パルス伸長器106は、チャープファイバブラッグ格子である。パルス伸長器106としてチャープファイバブラッグ格子を使用することは、小型サイズと調整鈍感の優位性を持つ。好ましくは、該チャープファイバブラッグ格子は、スムーズな反射率プロフィールを持ち、ここでは、ファイバ増幅器108と109で代表されるその後のパワー増幅器での自己位相変調による任意のスペクトル広がりを最小化するべく最小の振幅リップルを持つ伸長パルスを発生させる。例えば、該ファイバブラッグ格子の反射率プロフィールにおける任意の変調は、ピーク反射率の10%より小さく、好ましくはピーク反射率の1%未満である。該ファイバ格子の適当なアポダイゼーション(apodization)は、そのような小さい反射率リップルを容易に得るであろう。該ファイバブラッグ格子で発生されたチャープも該格子バンド幅も、さらに、その後の増幅器チェーンでの誘導ブリリアン散乱の攻撃を抑制するべく選定される。例えば、パルスを10ナノ秒に伸長させることができ、格子バンド幅が100GHzより大きな周波数バンド幅に相当する1050ナノメートルで0.5ナノメートルである長さ1メートルのファイバ格子は、100MHzのバンド幅を持つ10ナノ秒のバンド幅制限パルスに比べ、ブリリアン閾値を約1000倍増大させる。パルス伸長にファイバを使用すると、伸長パルスでの任意の振幅リップルがさらに最小化され得る。何故なら、そのようなファイバは、波長と共にスムーズに変化する透過スペクトルを持つことができるからである。該ファイバ伸長器での偽の衛星パルスの発生による振幅リップルの生成を避けるために、好ましくはシングルモードファイバ伸長器が結合される。
【0047】
好ましい実施例において、伸長パルス列の繰り返し周期は、モードロックファイバレーザの典型的な繰り返し周期10MHz〜100MHzから25kHz〜10MHzの繰り返し周期に、パルス間引器107(或いは光ゲート)で減らされる。繰り返し周期を減らすことは、一定の増幅器ポンプパワーでの増幅パルスのより高いパルスエネルギ/平均パワー比という優位性を持つ。例えば、音響光学或いは電気光学変調器が、パルス間引器107として役立つことができる。これらの光学部品は、技術的によく知られており、さらなる記述はしない。個々の増幅器ステージの間での増幅された自然放出光を抑制するために、追加の適当な同期光ゲート及び光アイソレータ(図示せず)が実施される。図1を参照すれば、追加のパルス間引器110を備える代表的な追加のパワー増幅器106が示される。発振器パルス繰り返し周期直接の高繰り返し周期で高パワーパルスの増幅が可能であれば、パルス間引器107は省略され得る。コリメーション光学系111が、該ファイバ増幅器からの光ビーム出射をコリメートするために使用される。
【0048】
好ましい実施例において、該“シード”パルスは、高パワーマルチモードダイオードレーザでポンプされる二重クラッドファイバに基づくファイバ増幅器108及び109(或いは代わりの増幅器チェーン)で増幅される。もっとも、高パワーシングルモードレーザでポンプされるより普通のシングルクラッドファイバ増幅器も実施され得るが。二重クラッドファイバ増幅器の場合、Goldberg に交付された米国特許No.5,854,867、Snitzer他に交付された米国特許No.4,815,079及びDiGiovanni他に交付された米国特許No.5,864,644に記載されたように、端面ポンプ或いは側面ポンプ増幅器形態が実施され得る。これらポンプ構成は、技術的によく知られており、さらなる議論はされない。
【0049】
該増幅パルスのスペクトルと時間領域での該リップルを最小化するために、代表的な増幅器チェーンの任意の主線形増幅器は、好ましくは、近似シングルモード偏光保持ファイバで作られる。ここで、線形増幅器は、最小自己位相変調、すなわち、任意の増幅パルスの非線形位相遅れが5より小さい、自己位相変調を持つ増幅器と特徴づけられる。非線形偏光混乱(nonlinear polarization scrambling)を防止するために、最後の該非線形パワー増幅器(すなわち、増幅パルスの非線形位相遅れが5を越える増幅器)は、好ましくは偏光保持ファイバで作られ、且つまたマルチモードでよい。回折限界近い出力を得るために、例えば、Fermann他に交付された米国特許NO.5,818,630で議論されたような技術を使って、基本モードが該非線形パワー増幅器に結合される。
【0050】
図1に示すような非線形パワー増幅器と線形前置増幅器を備えるシステムの場合、ファイバ増幅器108は、非偏光保持でシングルモードに近いファイバに基づくことができ、増幅器109は、偏光保持回折限界マルチモードファイバに基づくことができる。該非線形ファイバ増幅器に線形偏光状態を優先的に入射させるために、付加的なバルク或いはファイバ偏光制御器が、さらに該線形ファイバ増幅器の出力端に挿入され得る。これら偏光制御器は、技術的によく知られており、ここではさらなる議論はなされない。該増幅器チェーンの出力にいくらかのスペクトルリップルが許容されるときは、全ての該増幅器チェーンは、偏光保持ファイバで作られ得る。そのことは、製作で優位性を持つ。何故なら、システム中の偏光制御器の数が最小化されるからである。
【0051】
代表的な実施例において、ファイバ発振器101は、Ybファイバで作られ、中心波長1040ナノメートル、スペクトルバンド幅0.5ナノメートルの3.5ピコ秒パルスを発生する。該パルスのエネルギは、繰り返し周期50MHzで2ナノジュールである。該発振器パルスは、ファイバ格子106で1ナノ秒の長さに伸長され、繰り返し周期100kHzのファイバ増幅器108で、1マイクロジュールのパルスエネルギに増幅される。パワー増幅器109は、ピークパワー100kWに相当する100マイクロジュールに至るまでのエネルギと0.6ナノメートルのスペクトルバンド幅とを持つパルスを発生する。ファイバ増幅器108は、12マイクロメートルのコア径を持ち、ファイバ増幅器109は、2メートルの長さを持ち、そのコア径は、波長1050ナノメートルで約5.4のV値を持つ30マイクロメートルである。
【0052】
最適なモード品質は、Fermann他に交付された米国特許No.5,818,630で議論されたように、大きなモードのマルチモードファイバから基本モードを優先的に入射させることで得られる。技術的によく知られ、且つまた米国特許No.5,818,630に記載されているように、追加のモードクリーニングは、ファイバテーパ及びファイバコイルのようなモードフィルタを実施することで得られる。しかしながら、巻き付けられたファイバは、様々な効果により、波長と曲率の周期関数である曲げ損失を持つ。例えば、光ファイバでの曲率半径の急変は、モード結合と、“遷移損失”として知られる効果である励振モード間の位相エボルーション(phase evolution)に依存する周期損失と、をもたらす。曲げられたファイバでのその他の周期損失は、Gambling et al., Radiation Losses from Curved Single-mode Fibre, Electronics Letters, vol. 12, No. 12, (1976), pp. 567-69.で議論されたように、ファイバコアを伝搬する光のクラッド領域への周期的な突き抜け(或いは結合)から起きる。最適な巻き付けモードフィルタは、したがって曲率半径の急激な変化を避けるべきであり(すなわち、断熱的な曲げを考慮すべきであり)、さらに高次モードの光は、変化する度合いの曲率で巻き付けられたファイバの長さの中で減衰されるべきである。Koplow 他に交付された米国特許No.6,496,301は、ファイバの曲げで誘起される周期的なファイバ損失を無視し、したがって、モードフィルタとして動作するべく、これまでよく知られた均一に巻き付けられたファイバデザインの使用を繰り返したということを忘れないように。
【0053】
断熱的な曲げの要求と、損失を曲率半径の範囲に曝されるファイバ長に分布させる要求と、に従う様々な実施が考えられる。代表的な実施例のそのようなモードフィルタ112が、図2aに示されている。ファイバ113は、二つの螺線114と115に螺線形状に巻き付けられ、それにより、螺線114の中で大きな曲率半径から小さな曲率半径への滑らかな移行が行われる。滑らかに変化する曲率半径を持つ移行領域は、螺線114、115の間にあり、小さな曲率半径から大きな曲率半径への二番目の滑らかな移行は、螺線115の中で行われる。
【0054】
滑らかに変化する曲率半径を持つ巻き付けファイバの別の実施例116が、図2bに示されており、ここでは、ファイバ117が、双円錐形状に巻き付けられる。図2aと2bに示す二つの実施例は、単に例を与えるだけであり、沢山の別の形態が容易に考えられる。二つの重要なパラメータは、1)ファイバの至る所で曲率半径が滑らかに変化すること、2)ファイバが曲げ損失を経験する全ファイバ長の至る所で曲率半径が滑らかに変化すること、である。
【0055】
図1を参照すると、正チャープシードパルスに対して、増幅プロセスでの自己位相変調が、スペクトル広がりと、増大したパルスチャープを持つ出力パルスの発生と、をもたらす。負チャープファイバパルス伸長器格子106を選定することで、自己位相変調が、スペクトル狭小化を引き起こし、その結果として入射スペクトル幅より小さいスペクトル出力幅を持つパルスの発生とパルスチャープの減少とをもたらす。伸長パルスの時間及びスペクトルの振幅リップルの最小化は、増幅されたパルスのスペクトル密度の最大化を要求される。すなわち、10%未満及び理想的には1%未満の反射率リップルを持つファイバ格子パルス伸長器の使用が好ましい。さらに、偏光混乱によるリップル生成を最小化するために、非偏光保持線形増幅器の使用も望ましい。もっともそれらは絶対的に必要ではないが。
【0056】
出力パルスのスペクトル密度は、時間領域で放物線プロフィールを持つパルスの入射により、さらに最大化される(或いは任意のスペクトルペデスタルが最小化される)。放物線状パルスは、発振器パルスバンド幅より小さいバンド幅の放物線反射プロフィールを持つファイバ格子を使って、sech或いはガウシアン型発振器パルスから生成される。特殊加工用途の場合、ファイバ格子反射率プロフィールの制御が、矩形或いは三角形パルスのような他のパルス形状を容易に生成させる。
【0057】
図3は、一方向にチャープしたパルスの発生と増幅のためのさらに一層コンパクトな実施例200を表示している。モノリシック高速波長可変ダイオードレーザ201が、ファイバ増幅器202或いは等価なファイバ増幅器チェーンで増幅される広いバンド幅の一方向チャープ光パルスの発生に使用される。該高速波長可変ダイオードレーザ201は、Galvanauskas他に交付された米国特許No.5,400,350に記載されたような3区分分布ブラッグ反射器(DBR)ダイオードレーザとして実施される。該DBRダイオードレーザは、活性利得区分、位相制御区分、及びブラッグ反射器区分を有する。このレーザの位相制御とブラッグ反射器区分に対する各レーザパルスでの電流パルスの印加は、レーザ放射中での波長シフトをもたらす。このチューニングのための大きさとタイミングの適当な制御により、100ピコ秒も短いパルス幅を持つ負或いは正チャープパルスが発生される。約20−40GHzに制限される数THz以上のスペクトルバンド幅が、通常の位相変調器でスペクトルを広げる能力を大きく超えて発生される。したがって、そのようなパルス光源は、高パワーファイバ増幅器でのブリリアン散乱による非線形パワー制限を軽減するのに理想的である。Hansen他に交付された米国特許No.5,473,625とは著しく異なり、半導体レーザからの出力波長の非揺動が実施されるが、むしろその波長は一方向にのみ優勢に変えられるということを忘れないように。
【0058】
半導体レーザは、自己位相変調のあるファイバ増幅器でスペクトル圧縮するための負チャープパルス発生に特に有効である。適当なファイバ増幅器チェーンは、図1と3に関して議論されたと同じ設計原理に従う。該DBRの優位性は、該DBRダイオードレーザのパルス列を電気的に自由に選ぶことができるということである。特に、数10kHzから1GHzまでの繰り返し周期は、現在のDBRレーザダイオード技術で可能である。したがって、特殊な加工用途に最適化された任意に隔てられたパルス列が発生され得る。
【0059】
図1と3に関して説明された該高パワー増幅器は、たとえば、以前議論したような非線形スペクトル狭小化によって生成された狭いスペクトル幅を持つパルスと特に関連して、十分な周波数上方変換を可能にする。図4は、第3高調波発生に適用された高パワー光ファイバ増幅器の実施例を表示している。効率のよい第3高調波発生がレーザ(1.0マイクロメートル波長領域で動作する)から出発するための実行可能な機構は、技術的によく知られており、一般的にR.S. Craxton, High Efficiency Frequency Tripling Schemes for High Power Nd:Glass Lasers, IEEE Journal of Quantum Electronics, Vol. 17(1981), p. 1771に記載されている二つの非線形結晶に依存する。高変換効率のために、Chuangtian 他に交付された米国特許No.4,826,283及びWu et al., Highly efficient ultraviolet generation at 355nm in LiB3O5, Optics Letters, Vol. 14(1989), p.1080に記載された非線形結晶LiB3O5(LBO)の使用が望ましい。
【0060】
図4に示す実施例で、該ファイバ増幅器システム301は、好ましくはNd或いはYbファイバ増幅器に基づき、第3高調波発生に使用される。該ファイバ増幅器システム301は、該小型システム100(図1)或いは該DBRシステム200(図3)の一つとして実現される。ファイバ増幅器システム301の出力パルスは、ビーム調整光学系302を通過し、第2高調波発生結晶303で部分的に第2高調波に変換される。該変換されなかった基本波と該発生した第2高調波とは、該ビーム調整光学系304を通過し、第3高調波発生のために該第3高調波発生結晶305で周波数混合される。該第3高調波は、該コリメーション光学系306でコリメーションされ、該残っている基本波と第2高調波とから該2色ミラー307で分離される。該2色ミラー307は、該第3高調波に対する高い反射率と、該基本波及び該第2高調波に対する高い透過率と、を持つ。該ビーム調整光学系302及び303は、効率よい波長変換のために該高調波発生結晶303及び305に最適なビームサイズを与える。該ビーム調整光学系302及び304は、該高調波発生結晶に該入射波の最適な偏光を与えるための波長板を有する。該ビーム調整光学系304は、また該第2高調波発生過程で生ずる該基本波と該第2高調波との間の空間的なウォークオフ(walk off)を補償するための素子を有することもできる。別の実施例(示されない)では、該第3高調波発生結晶305は、該第2高調波を第4高調波に変換する第4高調波発生結晶で置き換えられる。該2色ミラー307は、該第4高調波に対する高い反射率と、該基本波及び該第2高調波に対する高い透過率と、を持つ。
【0061】
両実施例での、狭いスペクトル幅、高パルスエネルギファイバ増幅器の使用は、幾つかの優位性を持つ。効率のよい非線形変換のためには、高ピークパワーで数ミリメートル長さの非線形結晶が必要である。高調波発生用非線形結晶の許容バンド幅と使用可能長さの積は、ほぼ一定である。該小型システム100或いは該DBRシステム200に記載された該ファイバ増幅器システムは、効率のよい波長変換のために、数mm長さの非線形結晶にマッチする該高ピークパワー及び狭スペクトルバンド幅を提供するべくデザインされる。
【0062】
動作例において、Ybファイバ増幅器システムの該中心波長は、1030ナノメートルである。第2高調波発生結晶303は、θ=90°、φ=0°カットLBOとして実現される。該結晶は、約467Kに該結晶を加熱することで非臨界位相整合されるタイプIである。非臨界位相整合は、該基本波と該第2高調波との間のウォークオフなしの優位性を持つ。該第3高調波発生結晶305は、θ〜53.3°、φ=90°カットLBOとして実現される。該結晶は、臨界位相整合されたタイプIIであり、約350Kに加熱される。この動作例において、許容バンド幅は、第3高調波発生過程での許容バンド幅で制限され、基本波に対する結晶のミリメートル長さで除した11.54ナノメートルと計算される。これは、長さ19ミリメートルの第3高調波発生LBO結晶の場合、中心波長1030ナノメートルの基本波の許容バンド幅0.6ナノメートルに相当する。図1の動作例に関して上で議論したように、0.6ナノメートルのスペクトルバンド幅は、30マイクロメートルのコア径を持つクラッドポンプYbファイバ増幅器及び適当に選択された狭スペクトル注入線幅、すなわち0.5ナノメートルより小さいスペクトル線幅を使用するとき、100ナノジュールより大きいエネルギを持つ1ナノ秒のパルスに対して達成される。これらYbパワー増幅器は、好ましくは偏光保持であり、ここで、偏光保持マルチモード、偏光保持穴あきファイバと偏光保持大コア空気クラッドファイバの両方が実施され得る。スラブタイプコアを持つファイバはもちろん、多重コア、リング−コアを有する一層エキゾチックなファイバデザインさえも、考えられる。
【0063】
スペクトル圧縮を利用すると、0.6ナノメートルのスペクトル線幅が、100ピコ秒から1ナノ秒の範囲の幅を持つ100マイクロジュールのパルスに対して得られ、該増加したパルスピークパワーによって改善された第3高調波発生効率を可能にする。
【0064】
一般に、最近の技術は、バルクQスイッチレーザ或いはバルク増幅モードロックレーザを、紫外スペクトル領域までの高調波発生に使用する。バルクQスイッチレーザは、最近の技術において、相対的に高パルスエネルギであるが、150kHz に制限される繰り返し周期のパルスを放出する。他方、バルクモードロックレーザは、代表的な繰り返し周期100MHz で、相対的に低いパルスエネルギを放出する。図4に示す実施例は、高調波発生のために、100kHzから1MHzの範囲の繰り返し周期で高エネルギパルスを供給する能力を持ち、これは、現状技術のQスイッチ或いはモードロックレーザ光源で容易に近づきやすくない。同じ考えは、高繰り返し周期高エネルギIRパルスの発生にも当てはまる。たとえば、高エネルギIRパルスは、周期分極LiNbO3及びGaAsでのパラメトリック過程によって発生される。
【0065】
ファイバベース光源は、高エネルギ紫外、IRパルスの発生に理想的であるが、1ナノ秒パルスの場合、1−10ミリジュールを超えるパルスエネルギレベルは、最適化されたファイバデザインでも容易に近づけない。この場合、図5に示すように、固体ブースター増幅器で出力パルスエネルギを高めることが有効である。ファイバ増幅器システム501は、図1と3に記載された該小型システム100或いは該DBRシステム200の一つとして実現される。該ファイバ増幅器システム501の出力パルスは、ビーム調整光学系502で該固体増幅器503の基本モードにモード整合される。該固体増幅器503は、スラブ、ディスク或いはロッド増幅器及び好ましくは再生増幅器であり、それらは、好ましくは直接ダイオードポンプされる。固体増幅器は、技術的によく知られており、更なる記載はされない。
【0066】
図5に表示する実施例は、該固体増幅器の利得バンド幅が該ファイバ増幅器システムに整合され得るという優位性を持つ。たとえば、1064ナノメートルの波長に中心化された0.6ナノメートルのスペクトルバンド幅と100マイクロジュールを超えるパルスエネルギを持つ1ナノ秒パルスは、約0.9ナノメートルのスペクトルバンド幅を持つNd:YVO4増幅器に注入するために、ダイオードシードレーザと合同してファイバ増幅器で生成され得る。別の例として、1064ナノメートルの中心波長と数ナノメートルのバンド幅とを持つモードロックYbファイバ発振器が増幅され、実施例100に記載されたようにスペクトル狭小化され、該Nd:YVO4固体増幅器の利得バンド幅に整合される。したがって、約100マイクロジュール及びそれより高いエネルギを持つ100ピコ秒パルスが、ファイバ増幅器チェーンで生成され、次の固体増幅器で効率よく増幅される。スペクトル狭小化の利用なしの場合、バルクNd:YVO4増幅器で100ピコ秒パルスの増幅のためにデザインされたファイバ増幅器チェーンからのパルスエネルギは、バルク増幅器でのスペクトル切り取りを避けるために減少されなければならない。スペクトル狭小化は、実際狭い線幅の固体増幅器に対して高エネルギシードパルスを供給するために例外なく適用できる。バルクNd:YVO4増幅器の例の場合、スペクトル狭小化は、好ましくは、20ピコ秒から1000ピコ秒の範囲のパルス幅に対して実施される。
【0067】
バルク固体ブースター増幅器は、ファイバベースチャープパルス増幅システムで生成されたパルスのエネルギを増加させるのに有効でもある。チャープパルス増幅は、一般に光増幅器での非線形性を減らすために用いられる。チャープパルス増幅の実施は、50ピコ秒未満の幅のパルスの生成に最も有効である。チャープパルス増幅機構で達成されるパルス伸長と圧縮の限定された量により、1−5ナノ秒を超える幅の伸長パルスは、一般に実施されない。したがって、光損傷が、現状技術のファイバベースチャープパルス増幅システム(30マイクロメートルのコア径を持つファイバパワー増幅器を仮定する)から得られるパルスエネルギを約1ミリジュールに制限する。1段のバルク固体増幅器は、得られるパルスエネルギを10−1000の別のファクターだけ増加させ、さらに高いパルスエネルギさえも多段及び再生バルク増幅器で得られる。
【0068】
バルク光学増幅器におけるファイバベースチャープパルス増幅システムの一般的な機構500が、図6に示されている。2、3百ピコジュールのパルスエネルギを持つ短いフェムト秒パルスが、ファイバ発振器501で発生される。該発振器からのパルスは、パルス伸長器502で5ピコ秒から5ナノ秒の幅に伸長される。該パルス伸長器は、好ましくは図1に関して議論されたようなチャープファイバ格子パルス伸長器で作られ、また技術的によく知られているようなバルク光学格子はもちろん、単純に長いソリッドコア、穴あき、或いは空気穴ファイバでも作られる。パルス間引器503は、増幅されたパルスのパルスエネルギを増加させるために、該発振器の繰り返し周期を1kHz−1MHzに減少させる。単一ファイバ504で描かれたファイバ増幅器チェーンは、該パルスエネルギをマイクロジュール−ミリジュールレベルまで増加させるためにさらに使用される。
【0069】
該増幅器チェーンは、十分なパルスエネルギが該発振器から得られるときは除かれ得る。一般に、1000−1100ナノメートル波長範囲で動作する通常の再生増幅器のシード用の例では、1ナノジュールの桁のシードパルスエネルギが望まれる。Ti:サファイア再生増幅器の場合、より低いパルスエネルギだけで増幅過程での増幅自然放出を十分抑制することができた(Hariharan et al., Injection of Ultrafast Regenerative Amplifiers with Low Energy Femtosecond Pulses from an Er-doped Fiber Laser, Opt. Communications, Vol. 132, pp. 469-73(1996) )。しかしながら実際は、実際の市販再生増幅器シーダーに、より高いシードパルスエネルギが望まれる。明らかに、より高いシードエネルギを供給することで、より大きな光学損失及びシーダーと再生増幅器の間の幾つかの光学調整ミスが大目に見られる。1ナノジュールの桁の適当なパルスエネルギは、モードロックファイバ発振器、モードロックファイバレーザを組み込むファイバMOPA或いはたった一つの追加孤立ファイバ増幅器と接続するファイバ発振器から直接発生され得る。
【0070】
適当なモード整合光学系506が、増幅器チェーン504の出力をバルク固体増幅器505に結合するために使用される。薄いディスクコンセプトはもちろん、ロッド及びスラブに基づくバルク固体増幅器が実施され得る。適当なバルク増幅器材料は、たとえば、Nd:バナジウム酸塩、Nd:YAG、Nd:YLF、Yb:YAG、Nd及びYb:ガラス、KGW、KYW、S-FAP、YALO、YCOB、GdCOB、及びその他に基づく。適当なバルク増幅器材料及びデザインは、技術的によく知られており、更なる記載はなされない。コリメーションレンズ507は、該バルク固体増幅器の出力を圧縮器アッセンブリの入力端に向ける。Nd:YAG、Nd:YLF、Nd:YVO4のような狭バンド幅Nd-ベース結晶を採用するチャープパルス増幅システムのサイズを最小化するために、グリズム圧縮器が好ましくは実施される。特に、Yb:ガラス、Yb:KGW、及びYb:KYWのような広バンド幅材料の場合、標準的光学部品が必要とされるだけであるので、トレーシー圧縮器が容易に組み入れられる。代わりに、グリズムベース圧縮器の使用が実施され得る。トレーシー圧縮器の使用は、これが技術的によく知られているので、ここではさらなる議論はされない。
【0071】
光ビームは、ミラー508でグリズム509に向けられ、追加の曲げグリズム510が該圧縮器のサイズを最小化するために使用される。これらの圧縮器アッセンブリは、広バンド幅チャープパルス増幅システム(すなわち、5ナノメートルより大きいバンド幅のチャープパルス増幅システム)での3次分散を補償するために以前から使用されてきた。狭バンド幅チャープパルス増幅システム(すなわち、5ナノメートル未満のスペクトルバンド幅の増幅器を有するチャープパルス増幅システム)にグリズム技術を適用する従来技術は無い。
【0072】
模範的な実施例において、ファイバ発振器501は、5ピコ秒のパルスを発生し、そのパルスは、チャープファイバ格子伸長器で1ナノ秒の幅に伸長される。該ファイバ増幅器チェーンでの増幅後、50マイクロジュールのパルスエネルギが、10kHzの繰り返し周期で得られる。Nd:YVO4固体ブースター増幅器でのさらなる増幅は、2ミリジュールのパルスエネルギを生成する。バルク格子圧縮器での圧縮後、1ミリジュールのエネルギを持つ10ピコ秒のパルスが、得られる。該バルク格子圧縮器の小型デザインを確実にするために、好ましくは、2800本/mmの溝密度を持つグリズムが実施される。全体の圧縮器は、光ビームパスを1回だけ折り曲げることで約0.6×0.2メートルの領域に収まる。
【0073】
ここで議論された該高エネルギファイバベースパルス光源は、様々な微細処理応用に申し分ない。多くの産業中の小型化の要求は、非常に小さい部品を作ったり処理したりするためにレーザに新しい挑戦を巻き起こした。微細処理応用のキー局面は、処理表面に照射されるある閾値フルーエンスより高いフルーエンスを達成するために十分なエネルギを持つビームを非常に鋭く集光することを要求する。また、周辺領域への熱的損傷が最小で、できるだけクリーンな材料処理は、大いに好ましい。これが実現されてしまうと、製造業の将来見通しから、より高い繰り返し周期のレーザは、増大するスループットの応用に常に魅力的である。上述の高エネルギレーザファイバベースレーザ光源は、短いパルス幅、(周辺領域への熱的損傷が最小で材料のクリーンな除去を達成するべく)、最高のビーム品質(ターゲットで最小の集光レーザビーム径を達成するべく)、及び高繰り返し周期(より高いスループットを達成するべく)の理想的な組み合わせを与える。さらに、上記の大いに好ましい特性を持つパルスを紫外波長域で供給する能力は、これらレーザの及ぶ範囲を金属、非金属及び有機材料処理まで広げる。
【0074】
上述されたレーザで達成される微細処理応用の具体例は、
・ ピコ秒とフェムト秒パルスを出力する高エネルギレーザデザインは、薄い材料の修飾処理、材料の非常に薄い層が処理される必要がある、マスク修復、チップ修復、ディスプレイ(LCD)修復、表面の微細マーキング、表面硬化、他のような用途に好ましい。
・ フェムト秒パルスを出力するレーザデザインは、透明材料の表面下の修飾に好ましい。ガラス或いは他の透明材料の表面下マーキング、透明材料の表面下導波路作製、微細フルイディック用表面下チャンネル、或いはバイオチップタイプ応用、他のような応用が、表面下材料修飾の例である。
・ 高エネルギ紫外パルス及び特にピコ秒の幅の高エネルギ紫外パルスを出力するレーザデザインは、有機材料のアブレーションに好ましい。微細電子部品の作製、インクジェットノズルの穴あけ、ポリイミド、ポリカーボネート、PMMA、他のような有機材料処理を必要とするポリマー材料への導波路チャンネルの作製は、高エネルギ紫外パルスを必要とする有機材料のアブレーション処理の例である。
・ 上述されたレーザのどれもが一般的な微細加工応用−様々な部品の微細加工が必要とされるMEMS、フォトニクス、半導体、他のような沢山の分野がある−に使われる。特殊な例は、バルクシリコンでの加工の特徴、シリコンのダイシング及びガラスや他の透明材料での加工の特徴を有するが、限定はされない。
を有する。
【0075】
上述の好ましい実施例は、例として与えられた。与えられた開示から、当業者は、本発明と付随する優位性を理解するだけでなく、開示された構造と方法に対する明白な様々な変形態様と修正態様とを見い出すだろう。したがって、添付のクレームとその等価事項で定義される本発明の精神と目的に属するように、そのような変形態様や修正態様の全てを取り扱うことが求められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20ピコ秒と20ナノ秒の間のパルス幅と10マイクロジュール以上の
パルスエネルギとを持つパルスを1kHz以上の繰り返し周期で発生するパルス光源であって、
シードパルスを作るシード光源と、
前記シード光源から前記シードパルスを受けて1マイクロジュール以上のパルスエネルギを持つパルスを作るファイバ増幅器チェーンと、
少なくとも一つのバルク光学素子と、を有し、
前記ファイバ増幅器チェーンは、コア径が12マイクロメートル以上の少なくとも一つの大コア径クラッドポンプ偏光保持ファイバ増幅器を備え、
前記バルク光学素子は、前記ファイバ増幅器チェーンで作られた前記パルスを増幅するパルス光源。
【請求項2】
前記バルク光学増幅素子は、Nd:ガラス、Yb:ガラス、Nd:YLF、Nd:YVO4、Nd:KGW、Yb:YAG、Nd:YAG、KYW、S-FAP、YALO、YCOB及びGdCOB増幅器の一つを含む請求項1のパルス光源。
【請求項3】
20ピコ秒と20ナノ秒の間のパルス幅を持つパルスを発生するパルス光源であって、
所定のスペクトル幅を持つシードパルスを作るシード光源と、
前記シードパルスを受けて10ミリジュール以上のパルスエネルギを持つパルスを作るファイバ増幅器チェーンと、を有し、
前記ファイバ増幅器チェーンから出てくるパルスのスペクトル幅は、前記シード光源から入射される前記シードパルスのスペクトル幅より小さいパルス光源。
【請求項4】
前記増幅器チェーンで作られたパルスは、バルク光学増幅器でさらに増幅される請求項のパルス光源。
【請求項5】
前記バルク光学増幅器は、Nd:ガラス、Yb:ガラス、Nd:YLF、Nd:YVO4、Nd:KGW、Yb:YAG、Nd:YAG、KYW、S-FAP、YALO、YCOB及びGdCOB増幅器を少なくとも一つ含む請求項のパルス光源。
【請求項6】
前記増幅器チェーンで作られたパルスは、バルク光学素子で周波数変換される請求項或いはのパルス光源。
【請求項7】
前記シード光源は、負チャープファイバ格子パルス伸長器で伸長されるシードパルスを出射するモードロックファイバレーザを含む請求項のパルス光源。
【請求項8】
10フェムト秒と50ピコ秒の間のパルス幅を持つパルスを発生するパルス光源であって
50ピコ秒以下の幅を持つシードパルスを作るシード光源と、
前記シード光源で作られた前記パルスを第1所定ファクタだけ伸長するパルス伸長器と、
前記パルス伸長器から前記伸長パルスを受けて20ナノジュール以上のパルスエネルギを持つパルスを作るファイバ増幅器チェーンと、
前記ファイバ増幅器チェーンから放射されるパルスを第2所定ファクタだけ増幅する少なくとも一つのバルク光学増幅素子と、
前記バルク光学増幅素子から放射されるパルスをバンド幅制限近くまで再圧縮するためのパルス圧縮器と、を有するパルス光源。
【請求項9】
前記第1所定ファクタは30に等しく、前記第2所定ファクタは2に等しい請求項のパルス光源。
【請求項10】
前記バルク光学増幅素子は、Nd:ガラス、Yb:ガラス、Nd:YLF、Nd:YVO4、Nd:KGW、Yb:YAG、Nd:YAG、KYW、S-FAP、YALO、YCOB及びGdCOB増幅器を少なくとも一つ含む請求項のパルス光源。
【請求項11】
前記パルス伸長器は、チャープファイバ格子に基づく請求項のパルス光源。
【請求項12】
前記パルス圧縮器は、少なくとも一つのグリズム(grism)素子を含む請求項のパルス光源。
【請求項13】
さらに少なくとも一つのバルク光学素子を有し、該バルク光学素子は、前記ファイバ増幅器チェーンで作られたパルスを周波数変換する請求項のパルス光源。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−283392(P2010−283392A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209309(P2010−209309)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【分割の表示】特願2006−524863(P2006−524863)の分割
【原出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(593185670)イムラ アメリカ インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】