説明

光の送達を制御するシステムおよび方法

光源からの光を再分配するシステムおよび方法。コントローラは、光源の放射照度プロフィールがより均一になり、また、この放射照度プロフィールと流体流量プロフィールが一致するように光を再分配することができる。放射照度プロフィールは、複数の導波路からの光漏れを改変することによって、あるいは、反射体および/またはレンズの光方向づけ特性を変更することによって制御し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の送達を制御して、送達される光の均一性および/または放射照度プロフィールを改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
流体の流れを可能にするダクト構造その他の部材では、光送達システムからの光によって活性化される表面上に光触媒材料が配設されていることがある。光反応器の効率は、1つには、この部材を照明する光の均一性、ならびに、流体流量プロフィールと光送達システムによって生成される光の照射プロフィールとの一致度によって決まる。しかし、光源の形状と照明される表面の形状の幾何学的な差により、当然のことながら、ある表面は他の表面よりも多くの光を受け取ることがある(例えば、光源により近い表面は、光源からより離れた表面よりもより多くの照明を受けることになる)。
【0003】
さらに、このシステムでは、理想的には照射プロフィールと流体流量プロフィールを一致させる。不均一な放射照度プロフィールおよび/または照射プロフィールと流体流量プロフィールとの不一致により、光エネルギーが最適に利用されないことがある。例えば、放射照度プロフィールに対して過剰な流体流量を受ける区域は、過剰な標的化学種を受け取ることになり、放出光内の光子は、これら過剰な標的化学種を触媒するのに十分ではない。同様に、流体流量が少ない区域では、放出光内の光子よりも標的化学種が少なく、そのため、光子が無駄になる。反応器の効率がこのように最適状態には及ばない状態は、光源から光子を案内するのに用いる個々の方法(例えば、自由空間送達、内部全反射など)にかかわらず生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光反応器の効率を改善し得る光送達システムおよび光送達方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、光源からの光を再配分する光分配器を使用して、物体への光の送達を制御するシステムおよび方法を対象とする。この光分配器は、受動的なものとすることもできるし、代替形態では、電子回路またはマイクロプロセッサによって能動的に制御することもできる。この光分配器は、光の放射照度プロフィールがより均一になるように、あるいは、光源が光反応器内にある場合には、反応器内で放射照度プロフィールと流体流量プロフィールとが一致し、かつ/または、均一な照射プロフィールの光が生成されるように、光を再分配することができる。
【0006】
一実施形態では、放射照度プロフィールは、複数の導波路からの光の漏れを改変することによって制御することができる。所定の導波路の光漏れ特性は、導波路の曲率半径を変更すること、導波路の断面寸法を変更すること、所定の導波路上のクラッドの屈折率を変更すること、導波路の表面粗さを変えること、かつ/または、導波路内での散乱中心の密度および/またはサイズを変化させることによって改変することができる。
【0007】
別の実施形態では、放射照度プロフィールは、反射体および/またはレンズの光方向づけ特性を変更することによって制御することができる。コントローラは、例えば、1つまたは複数の反射体またはレンズの向きまたは形状を変更し得る。
【0008】
光を制御する個々の方式にかかわらず、本発明は、受け取る光の量が少なくなるほど光源から十分に離れた区域に光を方向変更することができ、それによって、光の分布、したがって、この分布を反映する放射照度プロフィールが、所望の空間にわたってより均一になる。さらに、本発明は、放射照度プロフィールと流体流量が一致するように、受け取った流体流量データに基づいて光を制御して、反応器の効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の様々な実施形態を組み込むことができる光反応器100の代表的な図である。光反応器100は、例えば、HVACダクト、またはハニカム構造などの他の基板104上の光触媒表面コーティング102を触媒するのに使用する。光触媒表面コーティング102は、光反応器100内で光分配器106が光源107からの光を分配し、そのため、標的化学種の存在下で、(例えば、可視光、紫外光などの)光エネルギーによってこのコーティングが照明されるときに、所望の化学反応を触媒する。光分配器106と光源107は、互いに完全に離すこともできるし、合わせて一体化して単一のコンポーネントとすることもできる。
【0010】
一実施形態では、任意選択の流体流量センサ110が、光反応器100内に配設されて、流体(例えば、光反応器内で反応させる化学物質を含む空気その他の流体)の流れを監視し、1つまたは複数の任意選択の光センサ112が、光源107からの光エネルギーの照射プロフィールを監視する。次いで、センサ110、112からのデータをプロセッサ114に送って解析することができる。流体流量センサ110は、流体の流量を直接測定する1つまたは複数の任意の装置とし得る。あるいは、流体流量センサ110は、反応器動作状態(例えば、ダクトダンパ位置、空気速度など)を測定する任意の装置または測定装置の組合せとすることができ、この動作状態から流体の流量を推定または推測し得る。
【0011】
流体流量プロフィールが、すでに既知であるか、あるいは、システム100の動作状態および特性に基づいて適切に推定し得る場合、センサ110、112を取り除くことができることに留意されたい。光分配器106は、光触媒102に到達する光の放射照度プロフィールを均一にし、かつ/または、照射プロフィールと流体流量プロフィールを一致させるように受動的に光を再分配する特性を有し得る。照射プロフィールと流体流量プロフィールを一致させる際に、汚染物質プロフィール(すなわち、反応させる化学種のプロフィール)は流体流量プロフィールに比例すると仮定し得る。これは、ほとんどの場合、流体内の汚染物質濃度が流体の異なる区域で一定になるからである。そのため、光反応器の所定のポイントを通過する汚染物質の量は、このポイントを通過する流体の体積に比例することになる。
【0012】
あるいは、センサ110、112からの情報に基づいて、プロセッサ114はコントローラ116に信号を出力することもできる。コントローラ116は、必要な場合には、プロセッサ114から受け取ったデータに基づいて光分配器106を能動的に制御して光を再分配し、それによって光触媒102上に放射する光の放射照度プロフィールを変更する。この実施形態では、光分配器106の分配特性を能動的かつ動的に制御することができる。
【0013】
以下の残りの図および説明では、光分配器106の様々な構造と、光分配器106が放射照度プロフィールをより均一にし、かつ/または、放射照度プロフィールと流体流量プロフィールを一致させる様々なやり方とを説明する。本発明は、光触媒102に到達する光の放射照度プロフィールを変更する光分配器106を対象とする。光分配器106は、様々な構造をとり得る。以下で説明する例では、図2〜図6に、光分配器106が1つまたは複数の導波路である実施形態を示し、図7に、光分配器106が1つまたは複数の反射体である実施形態を示し、図8に、光分配器106が1つまたは複数のレンズである実施形態を示す。
【0014】
図2は、本発明による光分配システムの一実施形態の代表的な上面図である。当技術分野では周知のように、光導波路は、内部全反射の原理で動作する。この場合、導波路内で入射光が内部に反射する臨界角ΘCは、ΘC=arcsin(N2/N1)で定義される。ただし、N1は導波路のコアの屈折率であり、N2は導波路のクラッドの屈折率である。入射光がコア/クラッド界面に当たる角度を変更することは、導波路内で反射する光の量および導波路から漏れる光の量を制御する一方法である。
【0015】
この実施形態では、複数の光導波路150が、光源107から光触媒102への光の送達を制御する光分配器として働く。例えば、光触媒被覆ガラスなどの内部全反射型導波路の場合、導波路150からの光の漏れは、導波路のコア151とクラッド154の界面における光ビームの入射角、ならびに光ビームの入射放射照度の関数である。図4に、参考として、コア151およびクラッド154の構成のより詳細な例を示す。
【0016】
ある場合には、放射照度プロフィールは、光源107に最も近い位置で最大になることがある。反応器100内での放射照度プロフィールをより均一にするために、導波路150の曲率を変化させて導波路の光漏れ特性を変更し、それによって、光源107からより離れた区域で光漏れを多くすることができる。図に示す実施形態では、導波路150を巻いて導波路内で光がコア/クラッド界面に当たる角度を変化させ、導波路からの光漏れの量を選択する。光源107からさらに離れた区域は、より小さな曲率半径rが得られるように曲げることができ、それによって、光漏れをより多くすることができる。こうすると、放射照度プロフィールが均衡し、光触媒102全体にわたって均一な漏れ放射照度が実現される。
【0017】
あるいは、またはそれに加えて、導波路150の曲率半径rは、流体流量センサ110が検出する光触媒表面上の流体流量がより多い区域では短くすることができ、それによって、光触媒102内で追加の標的化学種を触媒するための追加の光子が生成される。曲率rは、システム100の製作中に形成することができ、そのため、導波路150で形成される光分配器106は、光の分配を受動的に制御することができる。別の実施形態では、導波路150の曲率半径は、検出される流体流量プロフィールが変化するときに光の送達が変化し得るように動的に制御することができる。
【0018】
導波路150自体は、任意の形状および組成とすることができる。この形状および組成には、プレート、円筒(例えば、光ファイバ)、および泡状(foamed)材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。各導波路150の形状は、導波路150の曲率半径を変化させて、反応器100内での選択した区域における導波路150からの光漏れの量を変化させるのに利用する個々の構造に影響を及ぼすことになる。先に述べたように、各導波路150の曲率半径は、製作中に選択することができ、それによって、得られる光分配器106は、受動的に光を再配分することができる。あるいは、曲率半径を動的に変化させて光の分配を能動的に制御するために、導波路150の端部を1つまたは複数のアクチュエータ152に接続することができる。アクチュエータ152は、導波路150を捩ってその曲率半径をきつく、またゆるやかにすることができる。アクチュエータ152は、所望の放射照度プロフィールに基づいてコントローラ116によって制御される。
【0019】
図3に、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態では、導波路150の断面寸法を変化させて部材への光の送達を制御し、それによって、放射照度プロフィールを均一にし、かつ/または、放射照度プロフィールと流体流量プロフィールを一致させることができる。例えば、光の伝播方向にほぼ直交する方向の導波路の断面積を小さくすると、導波路からの光漏れが増加する。そのため、放射照度プロフィールが他の区域に対して相対的に低い区域、および/または、流体流量プロフィールが高い区域の導波路は、導波路の断面積を小さくして光漏れを増大させることができ、したがって、これらの区域で光子の数が増加する。他の実施形態と同様に、静的な導波路150を形成する製作過程で、あるいは、動的導波路150としてのこのシステム自体の動作中に、この実施形態でのこれらの変化を実施することができる。
【0020】
導波路150の断面積を小さくするのに使用する装置は(例えば、導波路が弾性材料でできている場合には)、例えば、導波路を伸ばし、かつ/または捩る装置を含み得る。図に示す動的な実施形態では、導波路150を弾性材料で製作し、両端を固定することができる。少なくとも1つの導波路150がアクチュエータ152に連結され、アクチュエータ152は、この導波路150を伸ばすか、または解放するように動くことができ、それによってそれぞれ、その断面積が小さく、または大きくなる。アクチュエータ152は、伸ばす量または解放する量が所望の放射照度プロフィールに対応するようにコントローラ116によって制御される。アクチュエータ152は、伸びおよび解放を容易にする任意のやり方で、かつ任意の方向に動かすことができる。図に示す実施形態では、アクチュエータ152はピンの形態であり、これらのピンはそれらの上からの動作を受けて、所定の区域で導波路150が伸びるか、または解放される。
【0021】
導波路150がガラスプレートである別の例では、例えば、2枚のプレート間の距離、したがって空隙を変更することによって断面積を変更することができる。先に述べたように、放射照度プロフィールと流体流量プロフィールを一致させることは、1回の設定、あるいは流体流量プロフィールが変化するときに変化する動的プロセスとして実施し得る。
【0022】
図4に、本発明のさらに別の実施形態を示す。導波路150の曲率または断面積を変化させるのではなく、この実施形態では、導波路のクラッド154の屈折率を変化させる。先に述べたように、導波路150からの光漏れは、導波路150のコア151とクラッド154の相対屈折率の関数である。一般に、コア151の屈折率のほうが、クラッド154の屈折率よりも高く、その異なる程度は様々である。コア151の屈折率に近い値になるようにクラッド154の屈折率を改変することによって、これら2つの屈折率の差を小さくすると、コア151からクラッド154に漏れる光が多くなる。この改変は、静的な光分配器106を形成する導波路の製作過程で実施し得る。
【0023】
動的な光分配器106では、導波路150のクラッド154は複屈折材料を含む。複屈折材料の光の伝播特性は、アクチュエータ152として働く電磁界発生器(field generator)によって導波路150の近傍で生成される電界または磁界158の特性に基づいて変化し得る。したがって、コントローラ116は、この電磁界の特性を変調することによって、クラッド154の屈折率を変化させることができる。そのため、クラッド154の屈折率を大きくすることを、放射照度プロフィールが比較的低い区域、かつ/または、流体流量が光触媒表面上で最も多い区域での入射光漏れの割合を大きくするために用いることができる。この屈折率は、温度、圧力、または機械的な歪みなど、他の作用によっても変化させることができる。
【0024】
図5に、本発明のさらに別の実施形態を示す。図5に示す実施形態では、導波路150の表面粗さを変化させて光漏れを制御することに注目する。表面粗さを変化させることは、本質的には、曲率を局所的に変化させることである。例えば、導波路の表面粗さの密度を大きくし、かつ表面粗さの局所的な変化のサイズを小さくすると、光漏れを増大させることができる。前の実施形態のように、例えば、照射プロフィールを引き上げて光源107に近いところでの高いプロフィールについて補償する必要があるかどうか、あるいは、流体流量プロフィールが所定の区域でより大きく、それによってその区域で光漏れを多くして反応器の効率を最適化する必要があるかどうかに基づいて、表面粗さの改変について特定の導波路150を選択する。図に示すように、導波路の製作中に、導波路表面上で粗くした区域160を選択した区域に配設して、これらの区域における光漏れを変化させることができる。
【0025】
表面粗さは、例えば、導波路150の選択した区域に対して、サンドブラストを行うことによって、あるいは、材料の塊を追加することによって、導波路の製作中に制御することができる。この実施形態では、導波路150は、コア材料だけを含み、クラッドは含まず、それによって、静的な光分配器106を形成する製作過程で光漏れ特性をより大きく制御することができる。
【0026】
図6に、本発明のさらなる実施形態を示す。この実施形態では、導波路150は、光を散乱させて導波路150から出すことによって導波路150からの光漏れに影響を及ぼす散乱中心202を有すると仮定する。見やすいように、この例での導波路150をプレート状の形状として示すが、この実施形態は、任意の形状の導波路に適用することができる。
【0027】
局所散乱中心202は、例えば、導波路材料内で分散させた中空領域(例えば、気泡)または中実粒子とすることができ、各散乱中心は、光を散乱させる1つの気泡または粒子を含む。散乱中心を生成するこれらの領域および/または粒子は、所望の光漏れ作用に応じて任意の(例えば、規則的、不規則的、巨視的、微視的などの)形状およびサイズをとり得る。一実施形態では、アクチュエータ152は、導波路内での散乱中心202の密度およびサイズを変化させるだけでなく、完全に散乱中心202を生成し、また除去することができる。例えば、光源107から離れた区域で散乱中心202の密度を高くすると、内部照射の減少を補償する助けとなり、それによって、部材104の光触媒表面への光の送達がより均一になる。同様に、流体流量プロフィールの値が比較的高い区域で散乱中心202の密度を高くすると、光漏れが多くなり、したがって光子の数が増加して、流体流量が多いことによる追加の標的化学種に対応できる。これらの散乱中心202は、静的な光分配器106用の導波路の製作中に形成し得る。
【0028】
動的な光分配器の例では、導波路150は、環境温度に応じて粒子が析出し、また、溶解して導波路材料150内に戻る析出特性を示す粒子202で形成される1つまたは複数の散乱中心を含み得る。析出粒子と同様に、温度変化に応答する位相変化材料の局所的な区域も、温度制御型散乱中心として働くことができる。したがって、コントローラ116は、導波路150の様々な区域における温度を変化させることによって放射照度プロフィールを改変することができる。別の例では、導波路150は、電界の向きおよび/または強さによって光透過特性が制御される液晶材料粒子202を含み得る。こうすると、コントローラ116は、電場を変化させて液晶粒子202の向きを変化させることによって、散乱中心の光漏れ特性を変化させることができる。
【0029】
上記で説明した実施形態では、導波路150は、任意の形状をとることができ、図に示す円筒形状に限定されない。例えば、これらの導波路は、真っ直ぐなあるいは湾曲した円筒、プレート、光学発泡体、または円形断面、湾曲断面、または多角形断面を有するファイバとして形成することができる。
【0030】
図7に、上記で説明した導波路の例のように内部全反射によって光が案内されないシステムに適用可能な本発明のさらに別の実施形態の側面図を示す。この実施形態では、放射照度プロフィールは、光源107の近傍の1つまたは複数の反射体210によって制御される。反射体210は、放射照度プロフィールが均一になり、かつ/または、流体流量プロフィールに一致するように整形し得る。一実施形態では、反射体210は弾性反射性材料でできている。この弾性反射性材料は、反射体210により、放射照度プロフィールと流体流量プロフィールが一致するように、検出された流体流量プロフィールに基づいて曲げ、整形し直すことができる。あるいは、またはそれに加えて、コントローラ116は、任意の所定の時点で、既知の適応型光学技術を利用して、選択した反射体210の向きを変更して、光源107からの光を様々な方向に反射させることができる。
【0031】
図8に、光を案内するのに内部全反射を利用しないシステムに適用可能な本発明の別の実施形態の側面図を示す。この実施形態では、1つまたは複数のレンズ220を使用して、光源107からの光を光触媒表面に案内する。レンズ220の形状および/または向きにより、放射照度プロフィールを改変して、均一性を改善し、かつ/または、流体流量プロフィールに一致させることができる。レンズ220の向きは、所望の放射照度プロフィールに基づいてコントローラ116によって制御することができる。同じ反応器100内でレンズ220および反射体210を一緒に使用して、放射照度プロフィールをより大きく制御し得ることに留意されたい。
【0032】
光送達システムの放射照度プロフィールを制御するのに用いる個々の実施形態にかかわらず、本発明のシステムを使用して、静的に(この場合には、放射照度プロフィールが、ある選択した時点の流体流量プロフィールを反映する)、あるいは動的に(この場合には、放射照度プロフィールが流体流量の変化とともに変化する)、放射照度プロフィールと流体流量プロフィールを一致させることができ、かつ、反応器100の、光源107から離れた区域での放射照度プロフィールの値が低いことを補償することもできる。
【0033】
上記で説明した実施形態を別々の実施形態として説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、同じ反応器100内で2つ以上の実施形態を組み合わせることが可能である。また、上記の例では光反応器用の光送達システムを説明したが、この光送達システムは、本発明の範囲から逸脱することなく、他の応用例で使用することができる。光反応器以外の応用例で望まれる光送達システムは、均一な放射照度プロフィールを有し、かつ/または、所望の放射照度プロフィールと一致するように制御し得るプロフィールを有し得るものであることが当業者には理解されよう。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく、上記で具体的に述べたもの以外の方法およびシステムを利用して放射照度プロフィールを制御し得ることが当業者には理解されよう。
【0034】
本発明を実施するのに、本明細書で説明した本発明の実施形態の様々な代替形態を採用し得ることを理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義され、これらの特許請求の範囲に含まれる方法および装置ならびにそれらの均等物が本発明に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を組み込んだ光反応器の代表的な側面図。
【図2】本発明の実施形態の代表的な上面図。
【図3】本発明の別の実施形態の代表的な図。
【図4】本発明のさらなる実施形態の代表的な図。
【図5】本発明のさらに別の実施形態の代表的な図。
【図6】本発明の別の実施形態の代表的な図。
【図7】本発明のさらなる実施形態の代表的な図。
【図8】本発明のさらに別の実施形態の代表的な図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反応器用の光送達制御システムであって、
ある放射照度プロフィールの光を生成する光源と、
前記光源の前記放射照度プロフィールが改変されるように前記光源からの光を分配する光分配器と、
を備えることを特徴とする光送達制御システム。
【請求項2】
前記光分配器は少なくとも1つの導波路であることを特徴とする請求項1記載の光送達制御システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの導波路の曲率半径により、前記放射照度プロフィールを改変することを特徴とする請求項2記載の光送達制御システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの導波路は、円筒、プレート、発泡体、円形断面のファイバ、湾曲断面のファイバ、および多角形断面のファイバから成る群より選択される構造を有することを特徴とする請求項2記載の光送達制御システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの導波路は、少なくとも1つの散乱中心を有することを特徴とする請求項2記載の光送達制御システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの散乱中心は、前記導波路の少なくとも一部に分散した中空領域、中実粒子、および液晶材料から成る群より選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項5記載の光送達制御システム。
【請求項7】
前記光分配器は少なくとも1つの反射体を備えることを特徴とする請求項1記載の光送達制御システム。
【請求項8】
前記光分配器は少なくとも1つのレンズを備えることを特徴とする請求項1記載の光送達制御システム。
【請求項9】
流体流量センサおよび光センサの少なくとも1つと、
前記流体流量センサおよび前記光センサの前記少なくとも1つからデータを受け取り、前記放射照度プロフィールが改変されるように前記受け取ったデータに基づいて前記光分配器を制御するコントローラと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の光送達制御システム。
【請求項10】
前記光分配器は少なくとも1つの導波路であることを特徴とする請求項9記載の光送達制御システム。
【請求項11】
前記コントローラによって制御されかつ前記少なくとも1つの導波路に動作可能に結合するアクチュエータをさらに備え、前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの導波路の曲率半径を制御することによって前記少なくとも1つの導波路からの光漏れの量を制御することを特徴とする請求項10記載の光送達制御システム。
【請求項12】
前記コントローラによって制御されかつ前記導波路に動作可能に結合するアクチュエータをさらに備え、前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの導波路の断面積を制御することによって前記少なくとも1つの導波路からの光漏れの量を制御することを特徴とする請求項10記載の光送達制御システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの導波路は、第1の屈折率を有するコアおよび第2の屈折率を有するクラッドを含み、前記システムはさらに、前記コントローラによって制御されかつ前記少なくとも1つの導波路に動作可能に結合するアクチュエータを備え、前記アクチュエータは、前記第1の屈折率と第2の屈折率の関係を制御することによって前記少なくとも1つの導波路からの光漏れの量を制御することを特徴とする請求項10記載の光送達制御システム。
【請求項14】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの導波路の近傍の区域における温度、圧力、機械的な歪み、電界、および磁界の少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項13記載の光送達制御システム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの導波路は、少なくとも1つの散乱中心を有し、前記システムはさらに、前記コントローラによって制御されかつ前記少なくとも1つの導波路に動作可能に結合するアクチュエータを備え、前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの散乱中心の特性を制御することによって前記少なくとも1つの導波路からの光漏れの量を制御することを特徴とする請求項10記載の光送達制御システム。
【請求項16】
前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの散乱中心の生成、除去、および改変の群から選択されるステップを実施することによって、前記少なくとも1つの散乱中心の前記特性を制御することを特徴とする請求項15記載の光送達制御システム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの散乱中心は、粒子、気泡、および液晶材料から成る群より選択され、前記アクチュエータは、前記少なくとも1つの導波路の近傍の区域における温度、電界、および磁界の少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項15記載の光送達制御システム。
【請求項18】
前記光分配器は少なくとも1つの反射体を備え、前記システムはさらに、前記コントローラによって制御されるアクチュエータを備え、前記アクチュエータは、前記放射照度プロフィールが改変されるように、前記光源に対する前記反射体の形状、位置、および向きの少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項9記載の光送達制御システム。
【請求項19】
前記光分配器は少なくとも1つのレンズを備え、前記システムはさらに、前記コントローラによって制御されるアクチュエータを備え、前記アクチュエータは、前記放射照度プロフィールが改変されるように、前記光源に対する前記少なくとも1つのレンズの形状、位置、および向きの少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項9記載の光送達制御システム。
【請求項20】
前記光分配器は少なくとも1つの反射体をさらに備え、前記アクチュエータはさらに、前記放射照度プロフィールが改変されるように、前記光源に対する前記反射体の形状、位置、および向きの少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項19記載の光送達制御システム。
【請求項21】
光触媒表面への光の送達を制御する方法であって、
前記光触媒表面を照明するための所望の放射照度プロフィールを決定し、
前記所望の放射照度プロフィールと光源の放射照度プロフィールを比較し、
前記所望の放射照度プロフィールと一致するように前記放射照度プロフィールを改変する、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記所望の放射照度プロフィールは、ほぼ均一な放射照度プロフィールであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
流体流量プロフィールを監視することをさらに含み、前記所望の放射照度プロフィールは、前記流体流量プロフィールに基づくものであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記改変ステップは、前記放射照度プロフィールと前記流体流量プロフィールを一致させることを含むことを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記光触媒表面への前記光の送達は、複数の導波路によって行われ、前記改変ステップは、前記複数の導波路の少なくとも1つからの光漏れの量を制御することを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項26】
光漏れの量を制御する前記ステップは、少なくとも1つの導波路の曲率半径を制御することを含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
光漏れの量を制御する前記ステップは、前記少なくとも1つの導波路の断面積を制御することを含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記複数の導波路の少なくとも1つは、第1の屈折率を有するコアおよび第2の屈折率を有するクラッドを含み、光漏れの量を制御する前記ステップは、前記第1の屈折率と第2の屈折率の関係を制御することを含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記屈折率を制御する前記ステップは、前記少なくとも1つの導波路の近傍の区域における温度、圧力、機械的な歪み、電界、および磁界の少なくとも1つを制御することを含むことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記複数の導波路の少なくとも1つは、少なくとも1つの散乱中心を有し、光漏れの量を制御する前記ステップは、前記少なくとも1つの散乱中心の特性を制御することを含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの散乱中心の前記特性を制御する前記ステップは、前記少なくとも1つの散乱中心の生成、除去、および改変の群から選択されるステップを実施することを含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの散乱中心は、粒子、気泡、および液晶材料から成る群より選択され、前記制御ステップは、前記少なくとも1つの導波路の近傍の区域における温度、電界、および磁界の少なくとも1つを制御することを含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項33】
前記光分配器は少なくとも1つの反射体を備え、光漏れの量を制御する前記ステップは、前記光源に対する前記反射体の形状、位置、および向きの少なくとも1つを制御することを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項34】
前記光分配器は少なくとも1つのレンズを備え、光漏れの量を制御する前記ステップは、前記放射照度プロフィールが改変されるように、前記光源に対する前記少なくとも1つのレンズの形状、位置、および向きの少なくとも1つを制御することを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−532983(P2007−532983A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509495(P2007−509495)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/011608
【国際公開番号】WO2005/106430
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(591003493)キャリア コーポレイション (161)
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
【Fターム(参考)】