光コネクタおよびその組立方法
【課題】挿入光ファイバの被覆除去を容易に実現できる光コネクタおよびその組立方法を提供する。
【解決手段】内蔵光ファイバ12の先端部が内蔵されたフェルール10と、フェルール10の後方でフェルール10との間に内蔵光ファイバ12のたわみ変形可能な空間18を確保して設けられ、内蔵光ファイバ12の後端部12dと挿入光ファイバ1の被覆2の除去により露出した裸光ファイバ3との突き合わせ部Pを把持固定可能な第1クランプ部20と、第1クランプ部20の後方で挿入光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部31とを備え、挿入光ファイバ1を挿入して前進させて、裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12の後端部12dに突き合わせ、さらに押圧して内蔵光ファイバ12を空間18でたわみ変形させ、その状態で、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との突き合わせ部Pを第1クランプ部20によって把持固定可能である。
【解決手段】内蔵光ファイバ12の先端部が内蔵されたフェルール10と、フェルール10の後方でフェルール10との間に内蔵光ファイバ12のたわみ変形可能な空間18を確保して設けられ、内蔵光ファイバ12の後端部12dと挿入光ファイバ1の被覆2の除去により露出した裸光ファイバ3との突き合わせ部Pを把持固定可能な第1クランプ部20と、第1クランプ部20の後方で挿入光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部31とを備え、挿入光ファイバ1を挿入して前進させて、裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12の後端部12dに突き合わせ、さらに押圧して内蔵光ファイバ12を空間18でたわみ変形させ、その状態で、裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との突き合わせ部Pを第1クランプ部20によって把持固定可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルールに内蔵した内蔵光ファイバの後端に光ファイバを突き合わせ接続して、前記光ファイバに組み立てられる現場組立形の光コネクタおよびその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ心線を突き合わせ接続する作業においては、心線先端部の被覆を除去して裸光ファイバを露出させ、裸光ファイバ同士を突き合わせ接続することが広く行われている。特許文献1には、被覆付き光ファイバに装着される光コネクタであって、被覆付き光ファイバを挿通し固定する光ファイバ保持孔を有するフェルールを備え、光ファイバ保持孔は、被覆付き光ファイバを収容する第1孔部と、被覆付き光ファイバの被覆を剥がした裸光ファイバを収容する第2孔部と、第1孔部と第2孔部との間に位置して剥がした被覆を収容する被覆受け部とを備えていることを特徴とする光コネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−128422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、挿入光ファイバの被覆除去を容易に実現できる光コネクタおよびその組立方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、内蔵光ファイバの先端部が内蔵されたフェルールと、前記フェルールの後方で前記フェルールとの間に前記内蔵光ファイバのたわみ変形可能な空間を確保して設けられ、前記内蔵光ファイバの後端部と挿入光ファイバの被覆の除去により露出した裸光ファイバとの突き合わせ部を把持固定可能な第1クランプ部と、前記第1クランプ部の後方で前記挿入光ファイバの被覆を除去する被覆除去部とを備え、前記挿入光ファイバを挿入して前進させて、前記被覆除去部による前記被覆の除去により露出した前記裸光ファイバを前記内蔵光ファイバの後端部に突き合わせ、さらに押圧して前記内蔵光ファイバを前記空間でたわみ変形させ、その状態で、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとの突き合わせ部を前記第1クランプ部によって把持固定可能である光コネクタである。
第2の発明は、前記フェルールと前記第1クランプ部との間に、前記内蔵光ファイバを挿通する第1挿通穴を有する第1ストレータと、前記第1ストレータの後方で前記第1挿通穴の延長方向に沿って前記内蔵光ファイバを挿通する第2挿通穴を有する第2ストレータと、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間に前記内蔵光ファイバの長手方向に沿って前記内蔵光ファイバがたわみ変形可能な空間を確保しつつ前記第1ストレータ及び前記第2ストレータを支持するストレータ支持部とを有し、前記内蔵光ファイバは、前記フェルール及び前記第1クランプ部内では予め被覆を除去した裸光ファイバであり、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間では被覆付き光ファイバである第1の発明に係る光コネクタである。
第3の発明は、前記第2ストレータは、前記第1クランプ部内に向けて突出した前記裸光ファイバからなる前記内蔵光ファイバの後端部を、その長手方向に沿って案内可能な裸光ファイバ挿通穴を有する第2の発明に係る光コネクタである。
第4の発明は、前記光コネクタは、前記内蔵光ファイバのたわみ変形可能な空間に配置した前記内蔵光ファイバをハウジングの外部から目視可能にする観察窓を有する第1の発明に係る光コネクタである。
第5の発明は、前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバを把持固定可能な第2クランプ部を備える第1の発明に係る光コネクタである。
第6の発明は、前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバの外周面をその周囲から挿通孔の内面壁部に当接させることで前記挿入光ファイバのたわみを規制しながらその挿入方向を前記被覆除去部に向けて案内する可動ガイドを備える第1の発明に係る光コネクタである。
【0006】
第7の発明は、挿入光ファイバを前進させて、前記挿入光ファイバの先端部の被覆を被覆除去部によって除去し、前記被覆除去部によって被覆の除去された裸光ファイバを、前記被覆除去部の前方に配したフェルールに内蔵された内蔵光ファイバの後端部に突き合わせ、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとが突き合わされた状態で、さらに前記挿入光ファイバを前進させ、前記内蔵光ファイバの後端部を押圧して、前記内蔵光ファイバを前記フェルールと第1クランプ部との間に確保された空間でたわみ変形させ、その状態で、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとの突き合わせ部を第1クランプ部によって把持固定する光コネクタの組立方法である。
第8の発明は、前記フェルールと前記第1クランプ部との間に、前記内蔵光ファイバを挿通する第1挿通穴を有する第1ストレータと、前記第1ストレータの後方で前記第1挿通穴の延長方向に沿って前記内蔵光ファイバを挿通する第2挿通穴を有する第2ストレータと、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間に前記内蔵光ファイバの長手方向に沿って前記内蔵光ファイバがたわみ変形可能な空間を確保しつつ前記第1ストレータ及び前記第2ストレータを支持するストレータ支持部とを有し、前記内蔵光ファイバは、前記フェルール及び前記第1クランプ部内では予め被覆を除去した裸光ファイバであり、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間では被覆付き光ファイバである第7の発明に係る光コネクタの組立方法である。
第9の発明は、前記第2ストレータは、前記第1クランプ部内に向けて突出した前記裸光ファイバからなる前記内蔵光ファイバの後端部を、その長手方向に沿って案内可能な裸光ファイバ挿通穴を有する第8の発明に係る光コネクタの組立方法である。
第10の発明は、前記内蔵光ファイバをたわみ変形させた後、前記突き合わせ部を前記第1クランプ部によって把持固定する前に、前記内蔵光ファイバのたわみ変形を目視で確認する第7の発明に係る光コネクタの組立方法である。
第11の発明は、前記突き合わせ部を第1クランプ部によって把持固定した後、前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバを第2クランプ部で把持固定する第7の発明に係る光コネクタの組立方法である。
第12の発明は、前記被覆除去部による被覆除去中に、前記挿入光ファイバの先端部を、前記被覆除去部の後側に配した可動ガイドの案内部に挿通させてたわみを規制しつつ前進させる第7の発明に係る光コネクタの組立方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、先端部の被覆を除去していない被覆付き光ファイバを被覆除去部に向かって前進させるだけで、挿入光ファイバ先端の被覆を除去し、この裸光ファイバの内蔵光ファイバ後端に対する突き合わせ接続を簡単に実現できる。したがって、挿入光ファイバ先端部に光コネクタを組み立てる作業において、光コネクタに挿入する被覆付き光ファイバ先端の被覆を除去する(裸光ファイバを予め口出しする)必要が無く、光コネクタの組み立てを簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の光コネクタの一例を示す斜視図である。
【図2】図1の光コネクタを後方から示した斜視図である。
【図3】図1の光コネクタを下方から示した斜視図である。
【図4】図1の光コネクタの分解斜視図である。
【図5】(a)図1の光コネクタのコネクタ本体の斜視図、(b)分解斜視図である。
【図6】(a)挿入光ファイバの先端部近傍を把持した光ファイバ把持部の断面図、(b)組立前のコネクタ本体の断面図、(c)組立後のコネクタ本体の断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、被覆除去部材の機能を説明する断面図である。
【図8】被覆除去部材の一例を示す(a)斜視図、(b)平面図、(c)断面図である。
【図9】(a)、(b)は、クランプ部と介挿部材の機能を説明する断面図である。
【図10】図1の光コネクタのカバー部材の機能を説明する側面図である。
【図11】(a)、(b)は、図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図12】(a)、(b)は、図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図13】(a)、(b)は、図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図14】(a)、(b)は、図1の光コネクタの組立後の状態を示す断面図である。
【図15】押圧部材受け部の一例を示す模式的断面図である。
【図16】コネクタ本体と後部ハウジングとを接着する構成を例示する断面図である。
【図17】コネクタ本体と後部ハウジングとを係合する構成を例示する断面図である。
【図18】図17に対応する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1〜3に、本発明の光コネクタの一例を示す。図4に、光コネクタ100の分解斜視図を示す。図5(a)に、コネクタ本体101の斜視図を示す。図5(b)に、コネクタ本体101の分解斜視図を示す。
なお、光コネクタ100及びコネクタ本体101について、図6〜8及び図10〜図15において、左側を前、右側を後として説明する。
図1〜図4に示すように、この光コネクタ100は、フェルール10の後側に被覆除去部材30(後述)等を設けて組み立てたコネクタ本体101をスリーブ状のハウジング100Hに収納した概略構成となっている。
【0010】
図1〜図3に示すように、ハウジング100Hは、フェルール10が収容される前側ハウジング60と、前側ハウジング60の外周に組み付けられたカップリング65と、前側ハウジング60に後方から組み付けられた後側ハウジング70とにより構成されている。
本実施例では、一例として、フェルール10、前側ハウジング60、カップリング65等の基本構造は、SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling、JIS C 5973に規定されるもの等)に従っている。前側ハウジング60はSC形光コネクタのプラグフレームであり、カップリング65はSC形光コネクタのツマミである。
但し、ハウジングとしては、上述の構成に限定されない。ハウジングとしては、例えば上述のハウジングからカップリング65を省略した構成等も採用できる。
【0011】
図5(a)及び図6(b)に示すように、コネクタ本体101は、光ファイバ12が内挿固定されたフェルール10を有している。フェルール10に内挿固定された光ファイバ12を、以下、内蔵光ファイバとも言う。
コネクタ本体101は、フェルール10先端(前端)の突き合わせ接合用の接合端面11とは反対の後側に、光コネクタ100の後方から挿入される単心の光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部材30を有する。被覆除去部材30は、被覆付き光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部31(被覆除去刃)を有する。また、被覆除去部材30は、フェルール10の後端部から後側へ延出する後側延出片102に固定して、フェルール10後端から後側に離隔させて設けられている。
【0012】
内蔵光ファイバ12は、フェルール10を貫通する微細孔10aに内挿固定されており、その先端(前端)の端面を、フェルール10の接合端面11に揃えて設けられている。微細孔10aは、真っ直ぐな中心軸線を以てフェルール10を前後方向に貫設する貫通孔である。また、内蔵光ファイバ12は、フェルール10後端から後側に突出する後側突出部12aを有している。内蔵光ファイバ12は、その後端12bが被覆除去部材30よりも前側に位置する短尺の光ファイバである。この内蔵光ファイバ12は、後側突出部12aから前側の部分をフェルール10の微細孔10aに内挿固定して設けられている。フェルール10と被覆除去部材30との間には、内蔵光ファイバ12の後端12bと挿入光ファイバ1の先端部との突き合わせ部Pを把持固定する第1クランプ部20(後述)が設けられる。
【0013】
コネクタ本体101のフェルール10は、例えば、ジルコニアなどのセラミックスやガラス等の硬質の材料によってキャピラリ状に形成された単心用フェルールである。このフェルール10としては、例えば、SC形光コネクタに用いられるものや、MU形光コネクタ(JIS C 5983に制定されるF14形光コネクタ。MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)に用いられるものを採用できる。また、フェルール10としては、その一部又は全部を合成樹脂で成形したものを採用することもできる。
図6(b)に示すように、フェルール10の後端部は、後側延出片102の先端に設けられたフランジ部17に固定されている。フランジ部17の内面17aへのフェルール10の固定方法としては、例えば接着剤による接着固定やインサート成形等が挙げられる。内蔵光ファイバ12の先端部は、例えば接着剤による接着固定等によってフェルール10に固定されている。
【0014】
図4及び図14に示すように、光コネクタ100は、フェルール10をコネクタ前側へ弾性付勢して、他の光コネクタとの突き合わせ接続時の突き当て力を与えるスプリング61を有する。このスプリング61は、具体的にはコイルスプリングであり、フェルール10後端部の外周に突設されたフランジ部17の後側に設けられ、フランジ部17とストップリング(スプリング押し)62との間に介挿されている。
図4及び図14に示すように、ストップリング62の前面62aを前側ハウジング60の内部の段差60aに当接させると共に、ストップリング62の係合突起62bを、前側ハウジング60の両側壁部60cに形成された係合穴60bに係合することで、ストップリング62が前側ハウジング60の内部に収容及び固定されている。
【0015】
図14(a)に示すように、フェルール10は、このスプリング61によってコネクタ前側に弾性付勢されて、フランジ部17が、ハウジング100Hの前端部(具体的には前側ハウジング60)の内側に突設されているストッパ壁部60dにその後側から当接する前側移動限界位置に配置されている。フランジ部17には、周方向の一部にキー溝17k(図5参照)を有する。ストッパ壁部60dの後方へ突出形成されたキー60k(図14(b)参照)をキー溝17kに挿入することで、フランジ部17がフェルール10側面の周方向に回転することを防止し、フェルール10の回り止めとなる。
【0016】
コネクタ本体101は、フェルール10にその前方から後方への押圧力(押し込み力)を作用させたときに、図14(b)に示すように、スプリング61を押し縮めながら、ハウジング100H(詳しくは前側ハウジング60、ストップリング62、カップリング65)に対してコネクタ後側へ押し込み可能である。このとき、フランジ部17はストッパ壁部60dの後側から離隔する。なお、図14に示す例では、後側延出片102及び後側ハウジング70は、後述するようにフェルール10に一体化されているため、フェルール10に連動して前後移動する。
【0017】
コネクタ本体101は、フェルール10の後側に、微細孔10aの延長方向に沿って内蔵光ファイバ12を挿通する第1挿通穴14aを有する第1ストレータ14と、第1ストレータ14の後方で第1挿通穴14aの延長方向に沿って内蔵光ファイバ12を挿通する第2挿通穴15aを有する第2ストレータ15と、第1ストレータ14及び第2ストレータ15の間に内蔵光ファイバ12の長手方向に沿って内蔵光ファイバ12がたわみ変形可能な空間18を確保しつつ第1ストレータ14及び第2ストレータ15を支持するストレータ支持部16とからなるたわみ収容部13を有する。
【0018】
図6(b)に示すように、内蔵光ファイバ12の後端部12dは第2挿通穴15aに挿通され、内蔵光ファイバ12の後端12bは、第2ストレータ15の後方に位置する。内蔵光ファイバ12の先端部は、フェルール10内に固定されている。このため、後側突出部12aは、第1ストレータ14に固定される必要は必ずしもない。
【0019】
また、内蔵光ファイバ12の後端部12dは第2ストレータ15に対して非固定であり、後端部12dが、その長手方向にスライド移動可能とされている。これにより、詳しくは後述するが、後端12bがフェルール10に向けて押圧されると、図6(c)に示すように、第1ストレータ14と第2ストレータ15の間の部分12cがたわみ変形可能である。このたわみ変形する部分12cは、たわみ変形による弾性力を増大すると共に光ファイバへの損傷を抑制するため、被覆付き光ファイバであることが好ましい。内蔵光ファイバ12が被覆付き光ファイバである部分を、以下、被覆部とも言う。
【0020】
被覆部12cの前後両端は、ストレータ14,15の挿通穴14a,15aに挿入されている。このため、挿通穴14a,15aの内径は、被覆部12cの外径(被覆付き光ファイバの被覆径)と同程度であることが望ましい。また、第2ストレータ15は、その前面に開口した第2挿通穴15aの後端と連通して、第2ストレータ15の後面(第1クランプ部20側の面)に裸光ファイバ挿通穴15bを開口させ、裸光ファイバである内蔵光ファイバ12の後端部12dを案内可能に構成することができる。
裸光ファイバ挿通穴15bは、裸光ファイバである内蔵光ファイバ12の後端部12dを第1クランプ部20(後述)の第1ベース部材21の調心溝23上において挿入光ファイバ1の先端部と同軸上に位置決めすることに鑑みて、光ファイバの長手方向に沿って形成された円形孔であることが好ましい。その断面(裸光ファイバ挿通穴15bの中心軸線に垂直の断面)は、挿入光ファイバ1の後端部12dの裸ファイバの断面(その長手方向に垂直の断面)と概ね一致している。この場合、後端部12dのスライド移動を許容可能な範囲で、裸光ファイバ挿通穴15bの内径は、後端部12dの外径(裸光ファイバ径)と同程度(若干大きい程度)に設定することが好ましい。
【0021】
図5及び図6に示す例では、ストレータ支持部16は、後側延出片102の一部として設けられ、内蔵光ファイバ12を収容する収容溝16aが、ストレータ支持部16におけるストレータ14,15の取付面16bに形成されている。収容溝16aは、コネクタ前後方向に延在形成されている。収容溝16aとしては、特に限定されるものではないが、内蔵光ファイバ12の被覆部12cをストレータ14,15の挿通穴14a,15aと同軸上に位置決めすることに鑑みて、例えばU溝、半円溝、V溝などを採用できる。
ストレータ14,15は、それぞれストレータ支持部16の取付面16bから窪んで形成された取付用凹部16c,16dに嵌合や接着等によって固定されている。
内蔵光ファイバ12の被覆部12cが収容溝16a内でストレータ支持部16上に載置されているので、被覆部12cに引張方向の張力を加えなくても、被覆部12cの垂れ下がりが抑制される。
【0022】
図14に示すように、たわみ収容部13の周囲は、上述のストップリング62内を前後方向に貫通する収容穴62c(図4参照)に収容されている。図1、図2及び図4に示すように、ストップリング62、前側ハウジング60及びカップリング65の上部には、両ストレータ14,15間の内蔵光ファイバ12の被覆部12cをハウジング100Hの外部から目視可能にする観察窓63,64,66が設けられている。図示例では前側ハウジング60及びカップリング65の観察窓64,66は厚さ方向を貫通する穴であり、これらのハウジング部材を構成する材質の透明性が低くても適用可能である。
ストップリング62の観察窓63も貫通穴とすることができるが、ストップリング62を可視光に対して透明な材質で構成した場合、貫通穴を設けなくてもストップリング62の該当部分を観察窓63として用いることができる。この場合、たわみ収容部13内に観察窓63を通して塵埃等の異物がハウジング100H内部に侵入したり、異物が被覆部12c等の動作に悪影響を与えたりすることを抑制でき、好ましい。ストップリング62の観察窓63を透明な材質で塞ぎ、収容穴62cの内面を平滑にすると、被覆部12cがたわみ変形時に収容穴62cの内面に接触しても引っ掛かり等の不具合が防止される。
また、観察窓の部分のみを、目視に十分な透明性を有する材質で構成することも可能である。例えば図示例では貫通穴とした観察窓64,66の少なくとも一つを、十分な透明性を有する材質で塞ぐ構成とする構成も可能である。
あるいは、また、ストップリング62、観察窓64,66を塞いだ構成の前側ハウジング60,カップリング65の少なくとも1つの全体を、十分な透明性を有する材質とする構成も可能である。
【0023】
被覆部12cを外部から目視可能な観察窓63,64,66を設けることにより、内蔵光ファイバ12を第1ストレータ14と第2ストレータ15の間の空間18でたわみ変形させた工程において、例えば突き合わせ部Pを第1クランプ部20によって把持固定する前に、観察窓を通して内蔵光ファイバ12のたわみ変形を容易に確認することができる。この際、内蔵光ファイバ12にたわみ変形が確認されない場合は、例えば挿入光ファイバ1の被覆除去等に不具合が生じている可能性があるため、挿入光ファイバ1を抜き出したり、場合によっては別の光コネクタに交換したりする等、やり直しに速やかに着手できる。
【0024】
第2ストレータ15の後方には、被覆除去部31により被覆2が除去された裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12の後端12bに突き合わせた突き合わせ部Pを把持固定する第1クランプ部20が設けられている。被覆除去部31は、第1クランプ部20の後方に設けられている。被覆除去部31の後方には、被覆付き光ファイバ1(被覆2が除去されていない部分。被覆部)を把持固定する第2クランプ部25が設けられている。
なお、光コネクタ100のクランプ部に対して挿入される被覆付き光ファイバ1を、以下、挿入光ファイバ1とも言う。
【0025】
図5及び図6に示すように、第1クランプ部20は、第1ベース部材21と、第1ベース部材21に対向して配置された第1蓋部材22と、第1蓋部材22を第1ベース部材21に向かって閉じる方向に付勢する第1クランプばね24とを有する。第1ベース部材21は、第1蓋部材22に対向する合わせ面21b(図5(b)参照)に、コネクタ前後方向に延在形成された第1案内溝23を有する。
第1案内溝23は、挿入光ファイバ1の先端部である裸光ファイバ3を、内蔵光ファイバ12の後端12bに対して突き合わせ接続可能に位置決め、調心する調心溝である。なお、第1案内溝23を、以下、調心溝とも言う。調心溝23としては例えばV溝であるが、これに限定されずU溝、半円溝なども採用可能である。なお、第1蓋部材22の第1ベース部材21に対向する合わせ面22b(図9(a)参照)にも裸光ファイバ3を案内する溝23a(図6(b)参照)を設けて、該溝23aを調心溝23と対向させた構成の光ファイバ案内部とすることもできる。
【0026】
内蔵光ファイバ12の後端12bには、(ゲル状、グミ状、フィルム状等)の低流動性(半固体状ないし固体状)の屈折率整合材を付着させておくこともできる。両光ファイバ3,12の端面間に上記屈折率整合材を介在させることにより、端面間に生じた隙間を屈折率整合材が埋めることで、接続損失の増大を抑制することができる。また、端面間の滑り性が向上し、端面間の押圧力が強くでも、光ファイバのコアが軸ずれした状態で端面同士が噛み合うことを抑制できる。したがって、第1蓋部材22を第1ベース部材21に向かって閉じるときに、光ファイバ同士の軸合わせが円滑になる。
【0027】
図5及び図6に示すように、第2クランプ部25は、第2ベース部材26と、第2ベース部材26に対向して配置された第2蓋部材27と、第2蓋部材27を第2ベース部材26に向かって閉じる方向に付勢する第2クランプばね29とを有する。第2ベース部材26は、第2蓋部材27に対向する合わせ面26b(図5(b)参照)に、コネクタ前後方向に延在形成された第2案内溝28を有する。
第2案内溝28は、被覆除去部材30に向けて挿入光ファイバ1を案内する案内溝であると共に、挿入後は、挿入光ファイバ1を収容する収容溝でもある。第2案内溝28としては、特に限定されるものではないが、本実施例では、単心の挿入光ファイバ1を後述する固定ガイド35の被覆付き光ファイバ挿通孔34と同軸上に位置決めすることに鑑みて、例えばU溝、半円溝、V溝などを採用可能である。なお、第2蓋部材27の第2ベース部材26に対向する合わせ面27b(図9(a)参照)にも、挿入光ファイバ1を案内及び収容する溝28a(図6(b)参照)を設けて、該溝28aを第2案内溝28と対向させた構成の光ファイバ案内部及び収容部とすることもできる。
なお、第1ベース部材21と第2ベース部材26を総称して、以下、クランプベース部材とも言う。
【0028】
第2案内溝28は、調心溝23の延長上に設けられている。第2案内溝28は、挿入光ファイバ1の挿入時にこれを案内するだけでなく、挿入後に挿入光ファイバ1を収納し、かつ、第2蓋部材27が第2クランプばね29でクランプされたときに、挿入光ファイバ1をしっかりとクランプ固定できる形状になっている。挿入光ファイバ1を第2案内溝28に沿って第2クランプ部25に挿入すると、第2案内溝28を経て、固定ガイド35の被覆付き光ファイバ挿通孔34に誘導される。
第2クランプ部25は、挿入光ファイバ1が後述するように光ファイバケーブル5の外被6内に収容されている場合、環境温度(組立後の光コネクタを設置した箇所の周囲の温度)の温度変化により、光ファイバケーブル5内部では、外被6、被覆2、裸光ファイバ3等、光ファイバケーブル5を構成する各部の熱膨張係数(伸縮方向)の違いにより層間にずれが生じることがある。このとき、外被6から挿入光ファイバ1の突き出しや引き込みを抑制するため、挿入光ファイバ1を把持固定する長さを十分に確保することが好ましい。一例として、第2クランプ部25による挿入光ファイバ1の把持固定長は約7mmである。詳しくは後述するが、挿入光ファイバ1を被覆除去する際のたわみを規制するため、第2クランプ部25の前後には、可動ガイド40と固定ガイド35が設けられる。これにより、第2クランプ部25の把持固定長が長くても、第2クランプ部25内で挿入光ファイバ1がたわみ変形を起こすおそれはない。なお、挿入光ファイバ1が第2案内溝28外へはみ出すとたわみ変形を起こすおそれがあるが、後述する第2ベース部材26と第2蓋部材27の合わせ面26b,27bの間隔(第2案内溝28の外側における間隔)は、挿入光ファイバ1の外径(被覆径)より小さくすることで、前記はみ出しを防止することができる。
【0029】
クランプベース部材21,26と蓋部材22,27との間には、挿入光ファイバ1を挿入する隙間27aやその裸光ファイバ3を挿入する隙間22aを確保する介挿部材が抜き去り可能に介挿されている。図3及び図4に示すように、介挿部材50,55はコネクタ前後方向に並んで設けられている。前側の第1介挿部材50は、第1クランプ部20に取り付けられる。後側の第2介挿部材55は、第2クランプ部25に取り付けられる。
光コネクタ100は、介挿部材50,55の介挿片51,56をクランプ部20,25に予め挿入しておくことにより、介挿部材50,55をコネクタ本体101に取り付けた状態(介挿部材付き光コネクタの状態)で、販売、携帯等を行うことが可能である。この場合、配線現場における作業時に、光コネクタに合った介挿部材(楔)を用意したり、介挿片51,56をクランプ部20,25に割り入れたりする手間が省略できる。
図示例では、クランプベース部材21,26は、後側延出片102に設けられ、各案内溝23,28が後側延出片102の同じ側の面に形成されている。これにより、両案内溝23,28を同軸線上に成形しやすくなる。なお、各クランプベース部材21,26を別部材とし、それぞれハウジング内の所定位置に取り付けて構成することも可能である。
【0030】
図6に示すように、フェルール10先端(前端)の突き合わせ接合用の接合端面11とは反対の後端部から後側へ延出する後側延出片102は、フェルール10の中心軸線(及びその延長)に沿う前後方向を長手方向とする細長形状に形成されている。
図示例では、ストレータ支持部16及びクランプベース部材21,26は、それぞれ後側延出片102の一部として形成されている。また、第1ストレータ14、第2ストレータ15、被覆除去部材30、固定ガイド35が、後側延出片102の同じ側の面に設けられている。これにより、各部の位置決めが容易になる。なお、ストレータ支持部16や各クランプベース部材21,26を別部材とし、それぞれハウジング内の所定位置に取り付けて構成することも可能である。
【0031】
光コネクタ100には、図9(a)に示すように、蓋部材22,27がクランプばね24,29の押圧力に抗してクランプベース部材21,26との間に隙間22a,27aを確保するため、介挿部材50,55の介挿片51,56が、クランプベース部材21,26と蓋部材22,27の間に介挿されている。図9(b)に示すように、介挿部材50,55をクランプ部20,25から抜き去ることにより、クランプばね24,29の押圧力によって蓋部材22,27がクランプベース部材21,26に向かって閉じ、案内溝23,28上の光ファイバFを把持固定する。
クランプばね24,29としては、特に限定は無いが、例えば図5に示すようなスリーブ状のものを採用できる。スリーブ状のクランプばね24としては、例えば、その断面形状(中心軸線に垂直の断面形状)がC字形やコ字形のもの等が採用できる。本実施例のクランプ部20,25は、それぞれ1つのクランプばね24,29の内側に、クランプベース部材21,26と、コネクタ前後方向に配列設置した蓋部材22,27とを収納した構成となっている。なお、クランプばね24,29を一体化した構成も採用可能である。
【0032】
光コネクタ100は、後側延出片102の後側に、挿入光ファイバ1を挿通可能な光ファイバ挿通孔41が前後方向に形成された可動ガイド40を有している。この可動ガイド40は、例えば後側延出片102の後端に形成された可動ガイド保持部19を案内部材として、後側延出片102から後側に離隔した初期位置(図6(b)参照)からフェルール10に向かって前進可能に設けられている。なお、可動ガイド40の初期位置からの前進動を案内する案内部材としては後側延出片102に限定されず、例えば、不図示のハウジングに設けられた案内部材などを用いても良い。
【0033】
可動ガイド40は、光ファイバ挿通孔41が開口された前面43と、光ファイバ挿通孔41に向けて先細りのテーパ状に窪むテーパ状凹部42が開口された後面44とを有する。ここで、光ファイバ挿通孔41は、テーパ状凹部42の前端(奥端)から可動ガイド40の前面43までの間に形成された部分である。テーパ状凹部42により、挿入光ファイバ1の先端部が光ファイバ挿通孔41に誘導される。可動ガイド40は、挿入光ファイバ1の挿入中、挿入光ファイバ1の外周面がその周囲から光ファイバ挿通孔41の内面壁部に当接させることにより、第2クランプ部25と押圧用固定部材120の中間における挿入光ファイバ1のたわみを規制しながらその挿入方向を第2クランプ部25の第2ベース部材26と第2蓋部材27の間に案内することができる。挿入光ファイバ1のたわみをより確実に規制するため、光ファイバ挿通孔41は、挿入光ファイバ1の外径(被覆径)と同程度の内径を有することが望ましい。
挿入光ファイバ1は、第2蓋部材27と第2案内溝28の溝底との間隔方向に確保された隙間27aに、光ファイバ挿通孔41を介して挿入される。挿入光ファイバ1の挿入時、第2クランプ部25の該隙間27aは、挿入光ファイバ1の挿入を妨げない程度に確保される。
【0034】
次に、図7に示す被覆除去部材30について説明する。この被覆除去部材30の被覆除去部31は、その後側から挿入光ファイバ1が押圧されることで、挿入光ファイバ1の被覆2を除去して裸光ファイバ3を口出しする被覆除去刃である。以下、この被覆除去部31を被覆除去刃とも言う。
図8に例示した被覆除去刃31は、裸光ファイバ挿通孔33が貫通する筒状に形成され、裸光ファイバ挿通孔33の後端開口の縁が刃先とされた環状刃部31aである。図8に例示した環状刃部31a(被覆除去部31)は、その前端側から後側に行くに従って先細りのテーパ筒状に形成されている。
【0035】
図6及び図7に示すように、第2案内溝28にその後側から挿入した挿入光ファイバ1の先端を環状刃部31aの後端に押圧し、挿入光ファイバ1をフェルール10に向かって前進させることで、環状刃部31aによって挿入光ファイバ1の被覆2を除去できる。被覆除去部材30は、挿入光ファイバ1の前進によって被覆除去が進行するに伴い、被覆除去によって挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33に挿入されていく構成となっている。環状刃部31aは、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ3の周囲の被覆2を裸光ファイバ3から環状刃部31aの外周へ分離させる。裸光ファイバ3は、環状刃部31aの内側に開口した裸光ファイバ挿通孔33に挿入される。裸光ファイバ挿通孔33は、光ファイバの長手方向に沿って形成された円形孔である。その断面(裸光ファイバ挿通孔33の中心軸線に垂直の断面)は、裸光ファイバ3の断面(裸光ファイバ3の長手方向に垂直の断面)と概ね一致している。
【0036】
また、図示例の被覆除去部材30は、その前後方向中央部に、被覆除去部材30を前後方向に直交する方向に貫通する窓孔32を有している。環状刃部31aは、被覆除去部材30の前側の壁部36から窓孔32内に突設されたテーパ筒状の突部である。また、図示例の被覆除去部材30は、窓孔32から後側の壁部37を貫通して被覆除去部材30の後端に開口する被覆付き光ファイバ挿通孔34を有している。この被覆付き光ファイバ挿通孔34は、裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に形成されている。被覆付き光ファイバ挿通孔34の前端は環状刃部31a後端から若干後側に位置している。コネクタ前後方向における被覆付き光ファイバ挿通孔34前端と被覆除去刃31との間の離隔距離は、被覆除去中に環状刃部31aの後端(刃先)に押圧される挿入光ファイバ1の直進性維持の点では、出来るだけ小さくすることが好ましい。また、被覆付き光ファイバ挿通孔34の後端は、第2ベース部材26の案内溝28に対して、案内溝28から挿入光ファイバ1を挿入可能に位置決めされている。
【0037】
被覆付き光ファイバ挿通孔34は、光ファイバの長手方向に沿って形成された円形孔である。その断面(被覆付き光ファイバ挿通孔34の中心軸線に垂直の断面)は、挿入光ファイバ1の断面(挿入光ファイバ1の長手方向に垂直の断面)と概ね一致している。この被覆付き光ファイバ挿通孔34を有する固定ガイド35は、挿入光ファイバ1を裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に位置決めし、被覆除去のために環状刃部31a後端に向かって押圧した挿入光ファイバ1の座屈を防ぎ、除去ムラの発生を防止するとともに、円滑な被覆除去の実現に有効に寄与する。固定ガイド35は、挿入光ファイバ1の挿入中、挿入光ファイバ1の外周面がその周囲から被覆付き光ファイバ挿通孔34の内面壁部に当接させることで、挿入光ファイバ1のたわみを規制しながらその挿入方向を被覆除去部31に向けて案内することができる。
被覆付き光ファイバ挿通孔34後端の入口(ファイバ入口)には、外から内へ向けて径が縮小するテーパ穴34aが設けられている。被覆付き光ファイバ1の先端がテーパ穴34aに案内されることにより、被覆付き光ファイバ挿通孔34への差込みがより確実になる。
【0038】
第2クランプ部25において閉じ位置にある第2蓋部材27が第2ベース部材26の第2案内溝28上に対向配置され、第2クランプ部25の前後に挿入光ファイバ1の直進性を案内する固定ガイド35と可動ガイド40を配置することにより、挿入光ファイバ1を第2案内溝28に押さえ込んで、挿入中の挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制することができる。
なお、図示例では、被覆付き光ファイバ挿通孔34を有する固定ガイド35を、被覆除去部31及び裸光ファイバ挿通孔33を有する被覆除去部材30と一体化したが、特にこれに限定されるものではなく、固定ガイド35を被覆除去部31と別体で構成することも可能である。固定ガイド35を被覆除去部材30と一体成形することにより、裸光ファイバ挿通孔33と被覆付き光ファイバ挿通孔34を高精度に同軸で形成することが容易になる。図5及び図6に示すように、被覆除去部材30及び固定ガイド35は、後側延出片102(詳しくは第1ベース部材21と第2ベース部材26の間の取付ベース部39)に窪んで形成された取付用凹部38に嵌合や接着等によって固定されている。
図8に示す被覆除去部材30の被覆除去部31は、裸光ファイバ挿通孔33の周囲にテーパ状に形成された環状刃部31aと、窓孔32の形成方向に対して垂直に形成された水平刃部31bを有する。
【0039】
図7(a)に示すように、固定ガイド35に向けて挿入光ファイバ1を前進させると、挿入光ファイバ1先端は被覆付き光ファイバ挿通孔34に挿入される。被覆付き光ファイバ挿通孔34は直線状であり、挿入光ファイバ1を被覆除去部31に向けて真っ直ぐ位置決めすることができる。挿入光ファイバ1は、その先端が被覆付き光ファイバ挿通孔34を通過すると、図7(b)に示すように、窓孔32を横断して、先端が被覆除去部31に当接する。そして、挿入光ファイバ1は、その先端が被覆除去刃31に向けて押圧されることにより、図7(c)に示すように、被覆2が除去されて、裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33に挿入される。このとき、裸光ファイバ3と被覆2との間に環状刃部31aが差し込まれることにより、被覆2を裸光ファイバ3から容易に剥離することができる。また、裸光ファイバ3から円筒状に剥離された被覆2を水平刃部31bで2つに分断することにより、不要な被覆2を窓孔32の上下から容易に排出することができる。
裸光ファイバ挿通孔33の出口には、内から外へ向けて径が拡大するテーパ穴33aが設けられている。裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33から出る方向に若干の余裕があることにより、裸光ファイバ挿通孔33から調心溝23へ裸光ファイバ3を容易に誘導することができる。
【0040】
コネクタ本体101は、可動ガイド40が前進限界位置(例えば可動ガイド40の前面43が第2クランプ部25の後端に当接する位置)に到達するまで押圧用固定部材120を前進させることで、裸光ファイバ3を突き合わせ開始位置よりさらに前進させ、内蔵光ファイバ12をたわみ変形させる。詳しくは後述するが、図6(b)に組立後のコネクタ本体101を示す。
【0041】
光コネクタ100の後側ハウジング70は、図4等に示すように、その前側に、クランプ部20,25を収容するクランプ収容部71を有し、その後側に、押圧用固定部材120を受け入れる押圧部材受け部75を有する。
図14に示すように、クランプ収容部71は、円筒状のクランプ収容穴71aと、後側に向けて径を拡大するテーパ穴71bを有する。後側ハウジング70には、その肉厚を貫通して、クランプ収容穴71a内の第1クランプ部20に第1介挿部材50の介挿片51を介挿する第1連通穴78(図15参照)と、テーパ穴71b内の第2クランプ部25に第2介挿部材55の介挿片56を介挿する第2連通穴79(図15参照)を有する。クランプ収容部71の両側面には、それぞれ対向する位置に、突起状の回転軸72が形成されている。なお、図15は、図11〜14と直交する面に沿った断面図であり、コネクタ後部を示す。
押圧部材受け部75は、図2に示すように、底板部76とその両側に対向して配される一対の側板部77を有する。
【0042】
図1〜図3に示すように、図示例の光コネクタ100は、押圧用固定部材120の引き留め手段として、後側ハウジング70に枢着された引き留めカバー80を有している。この引き留めカバー80は、後側ハウジング70の後端部の押圧部材受け部75に収納された押圧用固定部材120に上から被せるカバー板81と、その両側に細長形状の回動アーム82,82が互いに平行に設けられた構成である。一対の回動アーム82は、後側ハウジング70の両側部の回転軸72が挿入される軸受穴82aを有する。この引き留めカバー80は、回転軸72を軸受穴82aに挿入することで、後側ハウジング70に対してその左右方向(押圧部材受け部75の一対の側板部77の間隔方向)の回転軸線を以て回動可能に枢着している。
なお、ここでは軸受穴82aは回動アーム82を肉厚方向に貫通する貫通穴であるが、有底の穴でもよい。また、枢着部の具体的構造は特に限定されず、軸受穴を後側ハウジング70に、回転軸突起を回動アーム82に形成する等の構成も採用可能である。
【0043】
図10に示すように、回転軸72を中心にして引き留めカバー80を回動させることで、押圧部材受け部75に収納された押圧用固定部材120上にカバー板81を被せることができる(図13、図14参照)。このときの押圧部材受け部75に対する引き留めカバー80の位置(図10の実線部)を被せ位置とも言う。また、この引き留めカバー80は、押圧部材受け部75に対して被せ位置に配置したときに、カバー板81が押圧部材受け部75の底板部76に沿う向きとなる。
挿入光ファイバ1に対する光コネクタ100の組立前は、図1〜図3に示すように、引き留めカバー80は、押圧部材受け部75との間に押圧用固定部材120を挿入しやすいように開いている。このときの押圧部材受け部75に対する引き留めカバー80の位置(図10の鎖線部)を開き位置とも言う。
【0044】
図2及び図3に示すように、後側ハウジング70の側面には引き留めカバー80が開き位置から被せ位置に移行するのを規制するため、規制突起73が突設されている。規制突起73が引き留めカバー80の前端部84(図3参照)に当接することで、引き留めカバー80が開き位置に維持される。引き留めカバー80に力を加えて回動させる際、引き留めカバー80の前端部84が規制突起73を乗り越えることで、開き位置から被せ位置に移行させることができる。規制突起73は、開き位置から被せ位置への回動時に前端部84に対向する側に、前端部84を幅方向の外側へ押し広げる方向に傾斜した斜面73aを有するので、規制突起73を乗り越えるために要する力が軽減される。被せ位置においては、規制突起73は引き留めカバー80の内面に形成された凹部82c(図2参照)に収容される。
【0045】
図1等に示すように、引き留めカバー80は、被せ位置に配置したときに、後端側に突設されている後退規制片83を、押圧用固定部材120の後側に配置することができる。後退規制片83は、押圧用固定部材120の後端部123に切欠部83aを有する。
図13及び図14に示すように、後退規制片83を押圧用固定部材120の後側に配置することにより、コネクタ本体101に対する押圧用固定部材120の後退を規制することができる。光コネクタ100の後端から突出する光ファイバケーブル5は、切欠部83aの間に配置されるので、後退規制片83を光ファイバケーブル5の左右両側に設け、押圧用固定部材120の後端部123のより広い範囲を覆うことができる。
引き留めカバー80の回動アーム82には、押圧部材受け部75の側板部77の外面に突出された係合突起77bに係合する係合穴82bを有する。係合突起77bを係合穴82bに係合させることにより、押圧部材受け部75に対して引き留めカバー80を被せ位置に維持することができる。
引き留めカバー80を被せ位置に配置することにより、コネクタ本体101(後側延出片102)に対する押圧用固定部材120の後退を規制する引き留め作業を行うことができる。これにより、押圧用固定部材120と可動ガイド40と可動ガイド保持部19が一体化された状態が維持される。
【0046】
図4に示すように、スライダ85は、後側ハウジング70の下部に形成されたスライダ案内部74に挿入し、スライダ85の両側面に形成された係合突起85aを、スライダ案内部74の係合穴74aに係合することで、後側ハウジング70に取り付ける。スライダ85の上面に形成された一対の柱部86,86の間に、コネクタ本体101(詳しくは図11(a)に示すように第2クランプ部25)を挟み込む。なお、柱部86,86の間は、第2ベース部材26と第2蓋部材27の間が開いた状態(図11(a)参照)でも、第2ベース部材26と第2蓋部材27の間が閉じた状態(図14(a)参照)でも、第2クランプ部25を収容可能な寸法を有する。スライダ85上において柱部86,86の後方には台部87が形成されている。
【0047】
フェルール10から第2クランプ部25までに至る部分であるコネクタ本体101(図6(b)参照)は、接着、係合、嵌合等の手法により、後側ハウジング70と固定一体化される。例えば、図16に示すように、後側延出片102に被覆除去部材30が取り付けられる取付ベース部39(図5参照)の裏面に接着剤103を用いて後側ハウジング70(詳しくはクランプ収容部71のクランプ収容穴71aの内周壁部)に接着固定する方法が挙げられる。
【0048】
図17及び図18に、係合や嵌合等によってコネクタ本体101を後側ハウジング70と固定する例を示す。図示例では、後側延出片102(詳しくは取付ベース部39)の側面に突設されたラッチ部104を、後側ハウジング70(詳しくはクランプ収容部71のクランプ収容穴71aの内周面)に形成された係合穴105に嵌合させることで、コネクタ本体101に対する後側ハウジング70の後退を規制している。
この構成では、引き留めカバー80の後退規制片83を押圧用固定部材120の後側に配置することにより、コネクタ本体101(後側延出片102)に対する押圧用固定部材120の後退を規制し、押圧用固定部材120が可動ガイド40を挟み込んで可動ガイド保持部19と一体化される。後退規制片83が押圧用固定部材120の後端部に当接することにより、コネクタ本体101に対する後側ハウジング70の前進も規制される。
係合や嵌合によってコネクタ本体101に対して後側ハウジング70を位置決めした後、接着剤等を用いた接着により固定する手法も採用可能である。
【0049】
図11〜14は、可動ガイド40をその後側から押圧して前進させる押圧用固定部材120を先端部近傍に固定した挿入光ファイバ1を用い、この挿入光ファイバ1の先端部に光コネクタ100を組み立てる、光コネクタの組立方法を例示している。本実施例は、より具体的には、挿入光ファイバ1と、可撓性を有する線状の抗張力体(図示略)とを互いに並行になるように合成樹脂製の外被6によって一括被覆した光ファイバケーブル5の端末に、光コネクタ100を組み立てる場合を示す。
光ファイバケーブル5としては、インドアケーブル、ドロップケーブル等が挙げられる。抗張力体としては、例えばアラミド繊維等の抗張力繊維からなるもの、鋼線等を挙げることができる。挿入光ファイバ1は、この光ファイバケーブル5端末に口出しした部分をコネクタ本体101への挿入に用いる。
【0050】
図6(a)に示すように、押圧用固定部材120として、光ファイバケーブル5端末をその両側から把持して光ファイバケーブル5端末に固定される外被把持形のものを用いている。すなわち、この押圧用固定部材120は、光ファイバケーブル5の外被を除去した挿入光ファイバ1(被覆付き光ファイバ1)の被覆2を把持する光ファイバ把持部121としてだけでなく、光ファイバケーブル5の外被6を把持する外被把持部122としても機能するものである。この押圧用固定部材120では、光ファイバ把持部121と外被把持部122とが一体化されている。光ファイバケーブル5から口出しされた挿入光ファイバ1と、光ファイバケーブル5の外被6とが、環境温度の変化などにより長手方向に相対的にずれる恐れがある。にもかかわらず、光ファイバ把持部121と外被把持部122とが一体化されているので、挿入光ファイバ1および外被6を相対的なずれが生じないように確実に保持することができる。
押圧用固定部材120の先端部125は、可動ガイド40のテーパ状凹部42に面接触可能な曲面とされた外周面を有する。これにより、図6(b)に示すように、押圧用固定部材120の先端部125を可動ガイド40のテーパ状凹部42に密着させて間の隙間を最小限にすることができる。
【0051】
光ファイバケーブル5端末には、光ファイバケーブル5先端の外被6を除去して露出させた(口出しした)挿入光ファイバ1が突出されている。挿入光ファイバ1は、光ファイバケーブル5端末に固定されている押圧用固定部材120から突出されている。
挿入光ファイバ1は、裸光ファイバ3の外周面(側面)を被覆2で覆った構成の被覆付き光ファイバであり、例えば光ファイバ心線や光ファイバ素線等が挙げられる。裸光ファイバ3は、例えば石英系光ファイバである。また、被覆2は、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆である。
【0052】
図6(b)に示すように、内蔵光ファイバ12は、フェルール10及び第1クランプ部20内では予め被覆を除去した裸光ファイバであり、第1ストレータ14と第2ストレータ15の間では、被覆付き光ファイバ(上述の被覆部12c)である。内蔵光ファイバ12の被覆は、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆であり、裸光ファイバは、例えば石英系光ファイバである。
【0053】
光ファイバケーブル5の端末に光コネクタ100を組み立てるには、挿入光ファイバ1の先端部近傍を押圧用固定部材120に把持させ、挿入光ファイバ1の押圧用固定部材120から突出させた部分(突出部4)を、光コネクタ100の後側から、可動ガイド40の光ファイバ挿通孔41を介して第2クランプ部25及び固定ガイド35に挿入し、フェルール10に向かって押し込んでいく。
このとき、挿入光ファイバ1は、突出部4先端の被覆除去による裸光ファイバ3の口出しを行うことなく、突出部4全長が被覆2によって覆われた被覆付き光ファイバの状態のまま、可動ガイド40の光ファイバ挿通孔41から第2クランプ部25の第2ベース部材26及び第2蓋部材27の間(案内溝28上)に挿入される。
【0054】
押圧用固定部材120を前進させる際には、図15に示すように、長板状のスライダ85を押圧部材受け部75の後方に引き出して、スライダ85の上に押圧用固定部材120を載置し、スライダ85をスライダ案内部74に沿ってコネクタの前後方向にスライド移動させることができる。これにより、押圧用固定部材120の前進方向を案内させ、挿入光ファイバ1の被覆除去、内蔵光ファイバ12との突き合わせを円滑に行うための挿入作業補助片として機能する。
スライダ85は、スライダ85の前端85bから長手方向に沿って設けられた切欠部88(図4参照)を有する。スライダ案内部74に沿ってスライダ85を前進させる際、クランプ収容部71の連通穴78,79に挿通されている介挿部材50,55の介挿片51,56は切欠部88内に入るため、介挿部材50,55をクランプ部20,25に介挿させたままスライダ85を移動させることができる。
【0055】
図11(a)に、挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部31に到達した状態の一例を示す。詳しくは、挿入光ファイバ1先端を環状刃部31a後端(図7参照)に当接させた状態を示す。
図6(b)に示すように、光コネクタ100の可動ガイド40は、案内溝28の後端から後側に挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L1で離隔する初期位置から前進可能とされている。案内溝28の後端とは、第2クランプ部25の後端25bから先細りのテーパ状に窪むテーパ状凹部25aの前端(奥端)を意味する。距離L1は、前記案内溝28の後端から光ファイバ挿通孔41の前端(可動ガイド40の前面43)までの距離である。可動ガイド40の光ファイバ挿通孔41は、挿入光ファイバ1を、被覆除去部材30の被覆除去刃31の裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に位置決めして、可動ガイド40後側から第2クランプ部25の案内溝28への挿入光ファイバ1の挿入を円滑にする案内部として機能する。
【0056】
挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部31に到達したときの押圧用固定部材120の位置は、図11(a)に示すように、挿入光ファイバ1先端が被覆除去部31後端に当接したときに、可動ガイド40の光ファイバ挿通孔41後端から後側へ、挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L2で離隔した位置とする。光ファイバ挿通孔41の後端とは、可動ガイド40の後面44から先細りのテーパ状に窪むテーパ状凹部42の前端(奥端)を意味する。距離L2は、前記光ファイバ挿通孔41の後端から光ファイバ把持部121が挿入光ファイバ1を把持する把持部先端124までの距離である。
なお、距離L1および距離L2は、いずれも、挿入光ファイバ1の後述するたわみ幅になることから、2.5mm以下あるいは2.1mm以下とする必要がある。これにより、第2クランプ部25と可動ガイド40の間及び可動ガイド40と押圧用固定部材120の間において挿入光ファイバ1のたわみを規制しつつ、押圧用固定部材120を前進させ、被覆除去部31による挿入光ファイバ1の被覆2を除去することができる。
【0057】
挿入光ファイバ1の突出部4を第2クランプ部25の案内溝28及び固定ガイド35の被覆付き光ファイバ挿通孔34に挿入し、押圧用固定部材120を光コネクタ100のフェルール10に向かって前進させると、図7に示すように、被覆除去部31の環状刃部31a後端に当接した挿入光ファイバ1の前進に伴い、環状刃部31aによって挿入光ファイバ1先端の被覆2が除去される。その結果、挿入光ファイバ1先端に被覆2が除去された裸光ファイバ3が口出しされていく。
被覆除去部31による挿入光ファイバ1の被覆除去は、図11(a)に示すように挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部31に到達したときから開始し、図12(b)に示すように可動ガイド40がその前進限界位置に到達するまで、挿入光ファイバ1が被覆除去部31に対して前進する間、継続する。
【0058】
図11(b)に示すように、挿入光ファイバ1先端に口出しされて被覆除去部材30の裸光ファイバ挿通孔33に挿入された裸光ファイバ3は、被覆除去の進行に伴い被覆除去部材30から前側に突出され(図7(c)参照)、被覆除去部材30前側に位置する第1クランプ部20の案内溝(調心溝)23に挿入される。調心溝23に挿入された裸光ファイバ3は、調心溝23によって内蔵光ファイバ12の後端12bに対して突き合わせ接続可能に位置決め、調心される。
被覆除去中、押圧用固定部材120は、前進によって可動ガイド40に当接する(図11(b)参照)。押圧用固定部材120の先端部125は、可動ガイド40のテーパ状凹部42に面接触可能な曲面とされた外周面を有する。これにより、押圧用固定部材120の先端部125を可動ガイド40のテーパ状凹部42に密着させて間の隙間を最小限にすることができる。
【0059】
さらに押圧用固定部材120は、可動ガイド40をその後側から押圧しながら可動ガイド40がその前進限界位置に到達(図12(b)参照)するまで前進する。図示例においては、可動ガイド40を直接操作する必要はなく、押圧用固定部材120を介して間接的に可動ガイド40を前進させることができる。被覆除去部31による被覆除去中に、可動ガイド40を押圧用固定部材120によって後側から押して、可動ガイド40と第2クランプ部25との間の隙間45を短縮しつつ、可動ガイド40を前進させる。
可動ガイド40と第2クランプ部25との間の距離を短縮するのであれば、第2クランプ部25の後端25bを可動ガイド40の前進限界位置とする必要はないが、図示例では、第2クランプ部25の後端25bに当接する位置を可動ガイド40の前進限界位置としている。これにより、最終的に可動ガイド40の前面43が第2クランプ部25の後端25bに当接させて隙間を最小限にし、組立後の光コネクタ内において挿入光ファイバ1をよりしっかりと保持することができる。
【0060】
図12(a)は、被覆除去部31によって被覆2が除去された裸光ファイバ3の内蔵光ファイバ12の後端部12dに対する突き合わせが開始された状態の一例を示す。
可動ガイド40の前進中に、被覆除去部31によって被覆2の除去された裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12の後端12bに突き合わせる。図12(a)のP1は、突き合わせ開始時における両光ファイバ3,12dの突き合わせ位置を示す。突き合わせ開始時の突き合わせ位置P1は、図11(a)における組立前の内蔵光ファイバ12の後端12bの位置に相当する。なお、後述するように内蔵光ファイバ12のたわみ変形は、突き合わせが開始すると直ちに開始するので、両光ファイバ3,12dの突き合わせ位置も、直ちに移動を開始することになる。
図12(a)における可動ガイド40と第2クランプ部25との間の隙間45は、可動ガイド40の前進距離の分、図11(b)における当該隙間45よりも短縮している。
【0061】
挿入光ファイバ1の突出部4の押圧用固定部材120からの突出長(図6(a)参照)は、内蔵光ファイバ12の後端12bから、突き合わせ接続開始時の押圧用固定部材120までの離隔距離よりも若干長く設定する。これにより、挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3が内蔵光ファイバ12に突き当たった後も、押圧用固定部材120によって後側から押圧されながら前進する可動ガイド40が、さらに前進限界位置(図12(b)参照)に達するまで若干の前進が許容される。
【0062】
図12(a)に示すように、挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3の内蔵光ファイバ12後端に対する突き当ての達成後、押圧用固定部材120によって押圧された可動ガイド40のさらなる前進によって、内蔵光ファイバ12をたわみ変形させる。詳しくは、図12(a)に示すように内蔵光ファイバ12の後端12bと裸光ファイバ3の突き合わせが開始してから、図12(b)に示すように可動ガイド40が前進限界位置に到達するまでの間、内蔵光ファイバ12は、その後端12bに突き合わせがされた裸光ファイバ3の前進により押し込まれる。これにより、内蔵光ファイバ12(詳しくは被覆部12c)を第1ストレータ14及び第2ストレータ15の間の空間18でたわみ変形させる。
【0063】
これにより、第1ストレータ14と第2ストレータ15の間の被覆部12cが、ストレータ支持部16の収容溝16aから浮き上がるように、内蔵光ファイバ12にたわみ変形が生じる。また、内蔵光ファイバ12は、被覆部12cの前後両端がストレータ14,15の挿通穴14a,15a(図6参照)に挿通されているので、ストレータ14,15内の裸光ファイバ12a,12dへの負荷を防ぎ、内蔵光ファイバ12の損失増大や損傷等を抑制することができる。
【0064】
図12(b)には、可動ガイド40が前進限界位置(図12(b)参照)に到達した状態の一例を示す。なお、図示例では、可動ガイド40の前面43が第2クランプ部25の後端に当接する位置を、可動ガイド40の前進限界位置としている。これにより、裸光ファイバ3の前進が規制され、被覆除去部31による挿入光ファイバ1の被覆除去が停止(完了)する。図12(b)のP2は、被覆除去完了時における両光ファイバ3,12dの突き合わせ位置を示す。図12(b)のP2の位置は、図12(a)のP1の位置よりも前進している。被覆除去完了時の突き合わせ位置P2は、図13(b)のクランプ時の突き合わせ部Pの位置に相当する。
【0065】
次いで、可動ガイド40が前進限界位置に位置する状態を保ったまま、図13(a)に示すように、引き留め手段を用いて、押圧用固定部材120のフェルール10及び後側延出片102に対する後退を規制する引き留め作業を行っても良い。これにより、押圧用固定部材120と可動ガイド40と可動ガイド保持部19が一体化された状態が維持されるので、後述するクランプ部20,25によるクランプ作業が容易になる。
【0066】
また、可動ガイド40が前進限界位置に到達させた後には、上述した観察窓63,64,66(図1及び図2参照)を通して内蔵光ファイバ12のたわみ変形を目視で確認する工程を設けることができる。ここで、目視とは、肉眼に限定されるものではなく、眼鏡や拡大鏡等の視力を矯正又は補助する器具を使用する場合も含むものとする。
可動ガイド40が前進限界位置に到達させた後、内蔵光ファイバ12の被覆部12cが第1ストレータ14と第2ストレータ15の間の空間18でたわみ変形したか否かを確認するため、観察窓を通じてハウジング100Hの内部を目視確認することが好ましい。これにより、もし内蔵光ファイバ12にたわみ変形が確認されない場合は、例えば挿入光ファイバ1の被覆除去等に不具合が生じている可能性があるため、挿入光ファイバ1を抜き出したり、場合によっては別の光コネクタに交換する等、作業をやり直すかどうかをより早く判断できる。ハウジング100Hの内部を目視確認は、上述した引き留め作業の前でも後でも、あるいは引き留め作業と同時でもよい。
また、突き合わせ部Pを第1クランプ部20によって把持固定する前に被覆部12cのたわみ変形を確認すれば、異常確認時に挿入光ファイバ1を抜き出したり、把持固定以後の工程を省略したりする等の種々の対応が可能になる。なお、把持固定作業後や、さらには光コネクタの組立完了後(使用時を含む)にも被覆部12cのたわみ変形の有無を確認することができるので、万が一光ファイバ等の取り付けに緩み等の異常があって、たわみ変形が消失していても、光コネクタ100を分解することなく非破壊的に確認することができる。
【0067】
クランプ作業は、第1クランプ部20による裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との突き合わせ部Pの把持固定を先に行い、突き合わせ部Pの把持固定後に、第2クランプ部25により挿入光ファイバ1(被覆付き光ファイバの部分)を把持固定する。
第1介挿部材50を第1クランプ部20から抜き去ることにより、第1クランプ部20によって挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との突き合わせ部Pを把持固定することができる。図13(b)に、第1クランプ部20を閉じて両光ファイバ3,12を把持固定した状態を示す。
【0068】
次いで、第2介挿部材55を第2クランプ部25から抜き去ることにより、第2クランプ部25によって挿入光ファイバ1(被覆付き光ファイバである部分)を把持固定することができる。図示例の場合、図3に示すように光コネクタ100のハウジング100H外に露出された操作片52,57を引き抜くことで、介挿部材50,55をクランプ部20,25から抜き去ることができる。図14(a)に、第2クランプ部25を閉じて挿入光ファイバ1を把持固定した状態を示す。
これにより、光ファイバケーブル5端末(挿入光ファイバ1先端部)への光コネクタ100の組み立てが完了する。
【0069】
図14に示すように、第2クランプ部25が挿入光ファイバ1を把持固定する長さを十分に確保し、また、第2クランプ部25の後端と可動ガイド40と押圧用固定部材120の間を密着させているので、挿入光ファイバ1が光コネクタ100内部で動きにくく保持される。これにより、引き留めカバー80の後方に露出された光ファイバケーブル5に対してサイドプル等の外力が作用したり、光ファイバの各部の熱膨張係数(伸縮方向)の違いによる層間ずれが生じても、光ファイバケーブル5(詳しくは外被6)からの挿入光ファイバ1の突き出しや引き込みを抑制できる。
【0070】
この光コネクタ100によれば、被覆除去部31により被覆2を除去する間は、第2蓋部材27及びガイド手段(固定ガイド35、可動ガイド40)により、挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制することができる。このため、この光コネクタ100は、被覆除去中の挿入光ファイバ1の屈曲を抑制して、被覆2の除去に必要な強い押圧力を、確実に被覆除去部31に伝達することができる。
【0071】
被覆2の除去に必要な挿入光ファイバ1の被覆除去部31に対する押圧力は、非特許文献(小山良、中島和秀、高谷雅昭、倉嶋利雄、“被覆付き光ファイバ心線の突合せ接続に関する考察”、2009年電子情報通信学会通信ソサエティ大会、B−13−8)の図1(たわみ幅と最大挿入力との関係)に記載されているように、例えば5〜6N(500〜600g)程度とされる。挿入光ファイバ1のたわみ幅が2.5mm以下あるいは2.1mm以下となることにより、被覆2の除去に必要な押圧力を、挿入光ファイバ1の被覆2と被覆除去部31との間に発生することができる。なお、上記たわみ幅とは、挿入光ファイバ1に押圧力が付与されて撓む可能性がある部分の長さをいう。
【0072】
裸光ファイバ3の口出し長は、組立前の内蔵光ファイバ12の後端12bから被覆除去部31後端までの距離(図11(a)参照)よりも長いので、その距離差に応じて内蔵光ファイバ12の後端12bが裸光ファイバ3の先端に押し込まれる。たわみ収容部13に設けられたストレータ14,15により、その間で挿入光ファイバ1が側方にたわみ変形することが可能な空間18が確保されている。また、内蔵光ファイバ12は、その先端部がフェルール10内に固定され、後端部は第2ストレータ15の挿通穴15aに対して非固定(その長手方向にスライド移動可能)とされている。
内蔵光ファイバ12の後端12bに挿入光ファイバ1が突き当たると、内蔵光ファイバ12の後端12bが裸光ファイバ3の先端の押し込みに追従して移動し、内蔵光ファイバ12がたわみ変形する。この場合、挿入光ファイバ1の被覆2を除去した裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との端面同士の間には、被覆2の除去に必要な押圧力に相当する強い荷重が加わることが回避される。
両光ファイバ3,12の端面間の荷重が緩和されることにより、もし両光ファイバ3,12の間に「軸ズレ」等の突き合わせ不良が生じていた場合には、第1クランプばね24の付勢力によって、両光ファイバ3,12の光軸が一致するように裸光ファイバ3を変位させることができる。
【0073】
内蔵光ファイバ12の後端12bが裸光ファイバ3の先端から押圧されると、内蔵光ファイバ12自身の弾性に抗してその被覆部12c(被覆付き光ファイバである部分)にたわみ変形が自発的に形成される。内蔵光ファイバ12自身の弾性力は、内蔵光ファイバ12の後端12bを挿入光ファイバ1の押し込みとは反対の方向(すなわち後方)に裸光ファイバ3の先端に押し付けるように作用するので、内蔵光ファイバ12と挿入光ファイバ1との突き合わせ接続状態が維持される。これにより、挿入光ファイバ1が被覆除去部31からの反力を受けても、両光ファイバ3,12の端面間に突き合わせ接続が維持される程度の適度なレベルで押圧力を維持することができる。
これにより、端面間の荷重を適正にして第1クランプ部20の蓋部材22を閉じることができ、第1クランプ部20で挟み込んだ後の裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との突き合わせ接続状態を良好にすることができる。その結果、光学特性の良好な光コネクタの組立が容易になる。
【0074】
また、既述のように、この実施例の光コネクタ100の可動ガイド40は、第2クランプ部25の案内溝28後端から後側に挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L1で離隔する初期位置から前進可能である。また、挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部31に当接した際の可動ガイド40の挿通孔41後端から押圧用固定部材120の先端部125までの距離は挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L2に設定されている。このため、図11(a)に示すように、案内溝28に挿入した挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部31に当接した後、可動ガイド40とその後側へ離隔する押圧用固定部材120との間の距離よりも長い距離を前進可能とし、挿入光ファイバ1先端の被覆除去長(裸光ファイバ3の口出し長)を確保できる。
【0075】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば光コネクタの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。光コネクタを組み立てる具体的手順も、光コネクタの具体的構成に応じて改変可能である。
【0076】
クランプ部は、光ファイバを調心して端面同士の突き合わせ接続をクランプ保持する構成であれば、構造や形状は特に限定されるものではない。例えば、素子の基体に対向する蓋体の個数は1個でも複数個でもよい。
本発明は、フェルールに複数の内蔵光ファイバが内挿固定された光コネクタに適用することもできる。この場合、クランプ部に設けられる位置決め溝などの調心機構は、少なくとも、内蔵光ファイバの本数分設ければ、該光コネクタによってコネクタ成端される光ファイバのそれぞれを、調心機構によって内蔵光ファイバと光接続させることができる。
挿入光ファイバに固定する押圧用固定部材としては、光ファイバケーブル端末を把持して該光ファイバケーブル端末に取り付けられる外被把持部材に限定されない。押圧用固定部材としては、挿入光ファイバとして用いる被覆付き光ファイバを直接把持して該被覆付き光ファイバに取り付けることができる構成も採用可能である。
光コネクタとしては、フェルールを収納するハウジングを有していないものも採用可能である。例えば、上述の実施形態の光コネクタ100のコネクタ本体101自体を光コネクタとして用いることも可能である。
【0077】
また、上述の実施形態では、可動ガイドを具備する構成の光コネクタを例示したが、本発明に係る光コネクタとしては、可動ガイドを具備していないものも採用可能である。
すなわち、本発明に係る組立方法を適用する光コネクタとしては、被覆除去部によって被覆除去された裸光ファイバと内蔵光ファイバとの突き合わせが開始した後に、さらに挿入光ファイバが前進して、内蔵光ファイバの中間部(フェルールと第1クランプ部との間)にたわみ変形させることが可能な構成のものであれば良い。
そして、光コネクタは、かかる構成により、被覆除去された裸光ファイバと内蔵光ファイバとの突き合わせ部に作用する押圧力を緩和して、挿入光ファイバ先端の裸光ファイバと内蔵光ファイバとの突き合わせ接続をより良好にすることができる。
【0078】
また、挿入光ファイバは、必ずしも光ファイバ把持部を固定したものである必要は無く、光ファイバ把持部を取り付けていない挿入光ファイバを使用しても良い。
光ファイバ把持部(押圧用固定部材)としては、光ファイバに着脱可能に固定できる構成も採用可能である。この点、挿入光ファイバの先端部に組み立てた光コネクタとしては、光ファイバ把持部を具備する構成のものの他、光ファイバ把持部を具備していない構成も採り得る。すなわち、光ファイバ把持部は、挿入光ファイバの先端部に組み立てた光コネクタの構成要件に含まれる場合と、含まれない場合とがある。
【符号の説明】
【0079】
P…突き合わせ部、1…挿入光ファイバ、2…被覆、3…裸光ファイバ、10…フェルール、12…内蔵光ファイバ、14…第1ストレータ、15…第2ストレータ、16…ストレータ支持部、17…フランジ部、20…第1クランプ部、21…第1ベース部材、22…第1蓋部材、25…第2クランプ部、26…第2ベース部材、27…第2蓋部材、31…被覆除去部、34…被覆付き光ファイバ挿通孔、35…固定ガイド、40…可動ガイド、41…光ファイバ挿通孔、61…スプリング、62…ストップリング、63,64,66…観察窓、100…光コネクタ、100H…ハウジング、120…押圧用固定部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルールに内蔵した内蔵光ファイバの後端に光ファイバを突き合わせ接続して、前記光ファイバに組み立てられる現場組立形の光コネクタおよびその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ心線を突き合わせ接続する作業においては、心線先端部の被覆を除去して裸光ファイバを露出させ、裸光ファイバ同士を突き合わせ接続することが広く行われている。特許文献1には、被覆付き光ファイバに装着される光コネクタであって、被覆付き光ファイバを挿通し固定する光ファイバ保持孔を有するフェルールを備え、光ファイバ保持孔は、被覆付き光ファイバを収容する第1孔部と、被覆付き光ファイバの被覆を剥がした裸光ファイバを収容する第2孔部と、第1孔部と第2孔部との間に位置して剥がした被覆を収容する被覆受け部とを備えていることを特徴とする光コネクタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−128422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、挿入光ファイバの被覆除去を容易に実現できる光コネクタおよびその組立方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、内蔵光ファイバの先端部が内蔵されたフェルールと、前記フェルールの後方で前記フェルールとの間に前記内蔵光ファイバのたわみ変形可能な空間を確保して設けられ、前記内蔵光ファイバの後端部と挿入光ファイバの被覆の除去により露出した裸光ファイバとの突き合わせ部を把持固定可能な第1クランプ部と、前記第1クランプ部の後方で前記挿入光ファイバの被覆を除去する被覆除去部とを備え、前記挿入光ファイバを挿入して前進させて、前記被覆除去部による前記被覆の除去により露出した前記裸光ファイバを前記内蔵光ファイバの後端部に突き合わせ、さらに押圧して前記内蔵光ファイバを前記空間でたわみ変形させ、その状態で、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとの突き合わせ部を前記第1クランプ部によって把持固定可能である光コネクタである。
第2の発明は、前記フェルールと前記第1クランプ部との間に、前記内蔵光ファイバを挿通する第1挿通穴を有する第1ストレータと、前記第1ストレータの後方で前記第1挿通穴の延長方向に沿って前記内蔵光ファイバを挿通する第2挿通穴を有する第2ストレータと、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間に前記内蔵光ファイバの長手方向に沿って前記内蔵光ファイバがたわみ変形可能な空間を確保しつつ前記第1ストレータ及び前記第2ストレータを支持するストレータ支持部とを有し、前記内蔵光ファイバは、前記フェルール及び前記第1クランプ部内では予め被覆を除去した裸光ファイバであり、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間では被覆付き光ファイバである第1の発明に係る光コネクタである。
第3の発明は、前記第2ストレータは、前記第1クランプ部内に向けて突出した前記裸光ファイバからなる前記内蔵光ファイバの後端部を、その長手方向に沿って案内可能な裸光ファイバ挿通穴を有する第2の発明に係る光コネクタである。
第4の発明は、前記光コネクタは、前記内蔵光ファイバのたわみ変形可能な空間に配置した前記内蔵光ファイバをハウジングの外部から目視可能にする観察窓を有する第1の発明に係る光コネクタである。
第5の発明は、前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバを把持固定可能な第2クランプ部を備える第1の発明に係る光コネクタである。
第6の発明は、前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバの外周面をその周囲から挿通孔の内面壁部に当接させることで前記挿入光ファイバのたわみを規制しながらその挿入方向を前記被覆除去部に向けて案内する可動ガイドを備える第1の発明に係る光コネクタである。
【0006】
第7の発明は、挿入光ファイバを前進させて、前記挿入光ファイバの先端部の被覆を被覆除去部によって除去し、前記被覆除去部によって被覆の除去された裸光ファイバを、前記被覆除去部の前方に配したフェルールに内蔵された内蔵光ファイバの後端部に突き合わせ、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとが突き合わされた状態で、さらに前記挿入光ファイバを前進させ、前記内蔵光ファイバの後端部を押圧して、前記内蔵光ファイバを前記フェルールと第1クランプ部との間に確保された空間でたわみ変形させ、その状態で、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとの突き合わせ部を第1クランプ部によって把持固定する光コネクタの組立方法である。
第8の発明は、前記フェルールと前記第1クランプ部との間に、前記内蔵光ファイバを挿通する第1挿通穴を有する第1ストレータと、前記第1ストレータの後方で前記第1挿通穴の延長方向に沿って前記内蔵光ファイバを挿通する第2挿通穴を有する第2ストレータと、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間に前記内蔵光ファイバの長手方向に沿って前記内蔵光ファイバがたわみ変形可能な空間を確保しつつ前記第1ストレータ及び前記第2ストレータを支持するストレータ支持部とを有し、前記内蔵光ファイバは、前記フェルール及び前記第1クランプ部内では予め被覆を除去した裸光ファイバであり、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間では被覆付き光ファイバである第7の発明に係る光コネクタの組立方法である。
第9の発明は、前記第2ストレータは、前記第1クランプ部内に向けて突出した前記裸光ファイバからなる前記内蔵光ファイバの後端部を、その長手方向に沿って案内可能な裸光ファイバ挿通穴を有する第8の発明に係る光コネクタの組立方法である。
第10の発明は、前記内蔵光ファイバをたわみ変形させた後、前記突き合わせ部を前記第1クランプ部によって把持固定する前に、前記内蔵光ファイバのたわみ変形を目視で確認する第7の発明に係る光コネクタの組立方法である。
第11の発明は、前記突き合わせ部を第1クランプ部によって把持固定した後、前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバを第2クランプ部で把持固定する第7の発明に係る光コネクタの組立方法である。
第12の発明は、前記被覆除去部による被覆除去中に、前記挿入光ファイバの先端部を、前記被覆除去部の後側に配した可動ガイドの案内部に挿通させてたわみを規制しつつ前進させる第7の発明に係る光コネクタの組立方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、先端部の被覆を除去していない被覆付き光ファイバを被覆除去部に向かって前進させるだけで、挿入光ファイバ先端の被覆を除去し、この裸光ファイバの内蔵光ファイバ後端に対する突き合わせ接続を簡単に実現できる。したがって、挿入光ファイバ先端部に光コネクタを組み立てる作業において、光コネクタに挿入する被覆付き光ファイバ先端の被覆を除去する(裸光ファイバを予め口出しする)必要が無く、光コネクタの組み立てを簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の光コネクタの一例を示す斜視図である。
【図2】図1の光コネクタを後方から示した斜視図である。
【図3】図1の光コネクタを下方から示した斜視図である。
【図4】図1の光コネクタの分解斜視図である。
【図5】(a)図1の光コネクタのコネクタ本体の斜視図、(b)分解斜視図である。
【図6】(a)挿入光ファイバの先端部近傍を把持した光ファイバ把持部の断面図、(b)組立前のコネクタ本体の断面図、(c)組立後のコネクタ本体の断面図である。
【図7】(a)〜(c)は、被覆除去部材の機能を説明する断面図である。
【図8】被覆除去部材の一例を示す(a)斜視図、(b)平面図、(c)断面図である。
【図9】(a)、(b)は、クランプ部と介挿部材の機能を説明する断面図である。
【図10】図1の光コネクタのカバー部材の機能を説明する側面図である。
【図11】(a)、(b)は、図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図12】(a)、(b)は、図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図13】(a)、(b)は、図1の光コネクタの組立中の状態を示す断面図である。
【図14】(a)、(b)は、図1の光コネクタの組立後の状態を示す断面図である。
【図15】押圧部材受け部の一例を示す模式的断面図である。
【図16】コネクタ本体と後部ハウジングとを接着する構成を例示する断面図である。
【図17】コネクタ本体と後部ハウジングとを係合する構成を例示する断面図である。
【図18】図17に対応する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1〜3に、本発明の光コネクタの一例を示す。図4に、光コネクタ100の分解斜視図を示す。図5(a)に、コネクタ本体101の斜視図を示す。図5(b)に、コネクタ本体101の分解斜視図を示す。
なお、光コネクタ100及びコネクタ本体101について、図6〜8及び図10〜図15において、左側を前、右側を後として説明する。
図1〜図4に示すように、この光コネクタ100は、フェルール10の後側に被覆除去部材30(後述)等を設けて組み立てたコネクタ本体101をスリーブ状のハウジング100Hに収納した概略構成となっている。
【0010】
図1〜図3に示すように、ハウジング100Hは、フェルール10が収容される前側ハウジング60と、前側ハウジング60の外周に組み付けられたカップリング65と、前側ハウジング60に後方から組み付けられた後側ハウジング70とにより構成されている。
本実施例では、一例として、フェルール10、前側ハウジング60、カップリング65等の基本構造は、SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling、JIS C 5973に規定されるもの等)に従っている。前側ハウジング60はSC形光コネクタのプラグフレームであり、カップリング65はSC形光コネクタのツマミである。
但し、ハウジングとしては、上述の構成に限定されない。ハウジングとしては、例えば上述のハウジングからカップリング65を省略した構成等も採用できる。
【0011】
図5(a)及び図6(b)に示すように、コネクタ本体101は、光ファイバ12が内挿固定されたフェルール10を有している。フェルール10に内挿固定された光ファイバ12を、以下、内蔵光ファイバとも言う。
コネクタ本体101は、フェルール10先端(前端)の突き合わせ接合用の接合端面11とは反対の後側に、光コネクタ100の後方から挿入される単心の光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆付き光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部材30を有する。被覆除去部材30は、被覆付き光ファイバ1の被覆2を除去する被覆除去部31(被覆除去刃)を有する。また、被覆除去部材30は、フェルール10の後端部から後側へ延出する後側延出片102に固定して、フェルール10後端から後側に離隔させて設けられている。
【0012】
内蔵光ファイバ12は、フェルール10を貫通する微細孔10aに内挿固定されており、その先端(前端)の端面を、フェルール10の接合端面11に揃えて設けられている。微細孔10aは、真っ直ぐな中心軸線を以てフェルール10を前後方向に貫設する貫通孔である。また、内蔵光ファイバ12は、フェルール10後端から後側に突出する後側突出部12aを有している。内蔵光ファイバ12は、その後端12bが被覆除去部材30よりも前側に位置する短尺の光ファイバである。この内蔵光ファイバ12は、後側突出部12aから前側の部分をフェルール10の微細孔10aに内挿固定して設けられている。フェルール10と被覆除去部材30との間には、内蔵光ファイバ12の後端12bと挿入光ファイバ1の先端部との突き合わせ部Pを把持固定する第1クランプ部20(後述)が設けられる。
【0013】
コネクタ本体101のフェルール10は、例えば、ジルコニアなどのセラミックスやガラス等の硬質の材料によってキャピラリ状に形成された単心用フェルールである。このフェルール10としては、例えば、SC形光コネクタに用いられるものや、MU形光コネクタ(JIS C 5983に制定されるF14形光コネクタ。MU:Miniature-Unit coupling optical fiber connector)に用いられるものを採用できる。また、フェルール10としては、その一部又は全部を合成樹脂で成形したものを採用することもできる。
図6(b)に示すように、フェルール10の後端部は、後側延出片102の先端に設けられたフランジ部17に固定されている。フランジ部17の内面17aへのフェルール10の固定方法としては、例えば接着剤による接着固定やインサート成形等が挙げられる。内蔵光ファイバ12の先端部は、例えば接着剤による接着固定等によってフェルール10に固定されている。
【0014】
図4及び図14に示すように、光コネクタ100は、フェルール10をコネクタ前側へ弾性付勢して、他の光コネクタとの突き合わせ接続時の突き当て力を与えるスプリング61を有する。このスプリング61は、具体的にはコイルスプリングであり、フェルール10後端部の外周に突設されたフランジ部17の後側に設けられ、フランジ部17とストップリング(スプリング押し)62との間に介挿されている。
図4及び図14に示すように、ストップリング62の前面62aを前側ハウジング60の内部の段差60aに当接させると共に、ストップリング62の係合突起62bを、前側ハウジング60の両側壁部60cに形成された係合穴60bに係合することで、ストップリング62が前側ハウジング60の内部に収容及び固定されている。
【0015】
図14(a)に示すように、フェルール10は、このスプリング61によってコネクタ前側に弾性付勢されて、フランジ部17が、ハウジング100Hの前端部(具体的には前側ハウジング60)の内側に突設されているストッパ壁部60dにその後側から当接する前側移動限界位置に配置されている。フランジ部17には、周方向の一部にキー溝17k(図5参照)を有する。ストッパ壁部60dの後方へ突出形成されたキー60k(図14(b)参照)をキー溝17kに挿入することで、フランジ部17がフェルール10側面の周方向に回転することを防止し、フェルール10の回り止めとなる。
【0016】
コネクタ本体101は、フェルール10にその前方から後方への押圧力(押し込み力)を作用させたときに、図14(b)に示すように、スプリング61を押し縮めながら、ハウジング100H(詳しくは前側ハウジング60、ストップリング62、カップリング65)に対してコネクタ後側へ押し込み可能である。このとき、フランジ部17はストッパ壁部60dの後側から離隔する。なお、図14に示す例では、後側延出片102及び後側ハウジング70は、後述するようにフェルール10に一体化されているため、フェルール10に連動して前後移動する。
【0017】
コネクタ本体101は、フェルール10の後側に、微細孔10aの延長方向に沿って内蔵光ファイバ12を挿通する第1挿通穴14aを有する第1ストレータ14と、第1ストレータ14の後方で第1挿通穴14aの延長方向に沿って内蔵光ファイバ12を挿通する第2挿通穴15aを有する第2ストレータ15と、第1ストレータ14及び第2ストレータ15の間に内蔵光ファイバ12の長手方向に沿って内蔵光ファイバ12がたわみ変形可能な空間18を確保しつつ第1ストレータ14及び第2ストレータ15を支持するストレータ支持部16とからなるたわみ収容部13を有する。
【0018】
図6(b)に示すように、内蔵光ファイバ12の後端部12dは第2挿通穴15aに挿通され、内蔵光ファイバ12の後端12bは、第2ストレータ15の後方に位置する。内蔵光ファイバ12の先端部は、フェルール10内に固定されている。このため、後側突出部12aは、第1ストレータ14に固定される必要は必ずしもない。
【0019】
また、内蔵光ファイバ12の後端部12dは第2ストレータ15に対して非固定であり、後端部12dが、その長手方向にスライド移動可能とされている。これにより、詳しくは後述するが、後端12bがフェルール10に向けて押圧されると、図6(c)に示すように、第1ストレータ14と第2ストレータ15の間の部分12cがたわみ変形可能である。このたわみ変形する部分12cは、たわみ変形による弾性力を増大すると共に光ファイバへの損傷を抑制するため、被覆付き光ファイバであることが好ましい。内蔵光ファイバ12が被覆付き光ファイバである部分を、以下、被覆部とも言う。
【0020】
被覆部12cの前後両端は、ストレータ14,15の挿通穴14a,15aに挿入されている。このため、挿通穴14a,15aの内径は、被覆部12cの外径(被覆付き光ファイバの被覆径)と同程度であることが望ましい。また、第2ストレータ15は、その前面に開口した第2挿通穴15aの後端と連通して、第2ストレータ15の後面(第1クランプ部20側の面)に裸光ファイバ挿通穴15bを開口させ、裸光ファイバである内蔵光ファイバ12の後端部12dを案内可能に構成することができる。
裸光ファイバ挿通穴15bは、裸光ファイバである内蔵光ファイバ12の後端部12dを第1クランプ部20(後述)の第1ベース部材21の調心溝23上において挿入光ファイバ1の先端部と同軸上に位置決めすることに鑑みて、光ファイバの長手方向に沿って形成された円形孔であることが好ましい。その断面(裸光ファイバ挿通穴15bの中心軸線に垂直の断面)は、挿入光ファイバ1の後端部12dの裸ファイバの断面(その長手方向に垂直の断面)と概ね一致している。この場合、後端部12dのスライド移動を許容可能な範囲で、裸光ファイバ挿通穴15bの内径は、後端部12dの外径(裸光ファイバ径)と同程度(若干大きい程度)に設定することが好ましい。
【0021】
図5及び図6に示す例では、ストレータ支持部16は、後側延出片102の一部として設けられ、内蔵光ファイバ12を収容する収容溝16aが、ストレータ支持部16におけるストレータ14,15の取付面16bに形成されている。収容溝16aは、コネクタ前後方向に延在形成されている。収容溝16aとしては、特に限定されるものではないが、内蔵光ファイバ12の被覆部12cをストレータ14,15の挿通穴14a,15aと同軸上に位置決めすることに鑑みて、例えばU溝、半円溝、V溝などを採用できる。
ストレータ14,15は、それぞれストレータ支持部16の取付面16bから窪んで形成された取付用凹部16c,16dに嵌合や接着等によって固定されている。
内蔵光ファイバ12の被覆部12cが収容溝16a内でストレータ支持部16上に載置されているので、被覆部12cに引張方向の張力を加えなくても、被覆部12cの垂れ下がりが抑制される。
【0022】
図14に示すように、たわみ収容部13の周囲は、上述のストップリング62内を前後方向に貫通する収容穴62c(図4参照)に収容されている。図1、図2及び図4に示すように、ストップリング62、前側ハウジング60及びカップリング65の上部には、両ストレータ14,15間の内蔵光ファイバ12の被覆部12cをハウジング100Hの外部から目視可能にする観察窓63,64,66が設けられている。図示例では前側ハウジング60及びカップリング65の観察窓64,66は厚さ方向を貫通する穴であり、これらのハウジング部材を構成する材質の透明性が低くても適用可能である。
ストップリング62の観察窓63も貫通穴とすることができるが、ストップリング62を可視光に対して透明な材質で構成した場合、貫通穴を設けなくてもストップリング62の該当部分を観察窓63として用いることができる。この場合、たわみ収容部13内に観察窓63を通して塵埃等の異物がハウジング100H内部に侵入したり、異物が被覆部12c等の動作に悪影響を与えたりすることを抑制でき、好ましい。ストップリング62の観察窓63を透明な材質で塞ぎ、収容穴62cの内面を平滑にすると、被覆部12cがたわみ変形時に収容穴62cの内面に接触しても引っ掛かり等の不具合が防止される。
また、観察窓の部分のみを、目視に十分な透明性を有する材質で構成することも可能である。例えば図示例では貫通穴とした観察窓64,66の少なくとも一つを、十分な透明性を有する材質で塞ぐ構成とする構成も可能である。
あるいは、また、ストップリング62、観察窓64,66を塞いだ構成の前側ハウジング60,カップリング65の少なくとも1つの全体を、十分な透明性を有する材質とする構成も可能である。
【0023】
被覆部12cを外部から目視可能な観察窓63,64,66を設けることにより、内蔵光ファイバ12を第1ストレータ14と第2ストレータ15の間の空間18でたわみ変形させた工程において、例えば突き合わせ部Pを第1クランプ部20によって把持固定する前に、観察窓を通して内蔵光ファイバ12のたわみ変形を容易に確認することができる。この際、内蔵光ファイバ12にたわみ変形が確認されない場合は、例えば挿入光ファイバ1の被覆除去等に不具合が生じている可能性があるため、挿入光ファイバ1を抜き出したり、場合によっては別の光コネクタに交換したりする等、やり直しに速やかに着手できる。
【0024】
第2ストレータ15の後方には、被覆除去部31により被覆2が除去された裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12の後端12bに突き合わせた突き合わせ部Pを把持固定する第1クランプ部20が設けられている。被覆除去部31は、第1クランプ部20の後方に設けられている。被覆除去部31の後方には、被覆付き光ファイバ1(被覆2が除去されていない部分。被覆部)を把持固定する第2クランプ部25が設けられている。
なお、光コネクタ100のクランプ部に対して挿入される被覆付き光ファイバ1を、以下、挿入光ファイバ1とも言う。
【0025】
図5及び図6に示すように、第1クランプ部20は、第1ベース部材21と、第1ベース部材21に対向して配置された第1蓋部材22と、第1蓋部材22を第1ベース部材21に向かって閉じる方向に付勢する第1クランプばね24とを有する。第1ベース部材21は、第1蓋部材22に対向する合わせ面21b(図5(b)参照)に、コネクタ前後方向に延在形成された第1案内溝23を有する。
第1案内溝23は、挿入光ファイバ1の先端部である裸光ファイバ3を、内蔵光ファイバ12の後端12bに対して突き合わせ接続可能に位置決め、調心する調心溝である。なお、第1案内溝23を、以下、調心溝とも言う。調心溝23としては例えばV溝であるが、これに限定されずU溝、半円溝なども採用可能である。なお、第1蓋部材22の第1ベース部材21に対向する合わせ面22b(図9(a)参照)にも裸光ファイバ3を案内する溝23a(図6(b)参照)を設けて、該溝23aを調心溝23と対向させた構成の光ファイバ案内部とすることもできる。
【0026】
内蔵光ファイバ12の後端12bには、(ゲル状、グミ状、フィルム状等)の低流動性(半固体状ないし固体状)の屈折率整合材を付着させておくこともできる。両光ファイバ3,12の端面間に上記屈折率整合材を介在させることにより、端面間に生じた隙間を屈折率整合材が埋めることで、接続損失の増大を抑制することができる。また、端面間の滑り性が向上し、端面間の押圧力が強くでも、光ファイバのコアが軸ずれした状態で端面同士が噛み合うことを抑制できる。したがって、第1蓋部材22を第1ベース部材21に向かって閉じるときに、光ファイバ同士の軸合わせが円滑になる。
【0027】
図5及び図6に示すように、第2クランプ部25は、第2ベース部材26と、第2ベース部材26に対向して配置された第2蓋部材27と、第2蓋部材27を第2ベース部材26に向かって閉じる方向に付勢する第2クランプばね29とを有する。第2ベース部材26は、第2蓋部材27に対向する合わせ面26b(図5(b)参照)に、コネクタ前後方向に延在形成された第2案内溝28を有する。
第2案内溝28は、被覆除去部材30に向けて挿入光ファイバ1を案内する案内溝であると共に、挿入後は、挿入光ファイバ1を収容する収容溝でもある。第2案内溝28としては、特に限定されるものではないが、本実施例では、単心の挿入光ファイバ1を後述する固定ガイド35の被覆付き光ファイバ挿通孔34と同軸上に位置決めすることに鑑みて、例えばU溝、半円溝、V溝などを採用可能である。なお、第2蓋部材27の第2ベース部材26に対向する合わせ面27b(図9(a)参照)にも、挿入光ファイバ1を案内及び収容する溝28a(図6(b)参照)を設けて、該溝28aを第2案内溝28と対向させた構成の光ファイバ案内部及び収容部とすることもできる。
なお、第1ベース部材21と第2ベース部材26を総称して、以下、クランプベース部材とも言う。
【0028】
第2案内溝28は、調心溝23の延長上に設けられている。第2案内溝28は、挿入光ファイバ1の挿入時にこれを案内するだけでなく、挿入後に挿入光ファイバ1を収納し、かつ、第2蓋部材27が第2クランプばね29でクランプされたときに、挿入光ファイバ1をしっかりとクランプ固定できる形状になっている。挿入光ファイバ1を第2案内溝28に沿って第2クランプ部25に挿入すると、第2案内溝28を経て、固定ガイド35の被覆付き光ファイバ挿通孔34に誘導される。
第2クランプ部25は、挿入光ファイバ1が後述するように光ファイバケーブル5の外被6内に収容されている場合、環境温度(組立後の光コネクタを設置した箇所の周囲の温度)の温度変化により、光ファイバケーブル5内部では、外被6、被覆2、裸光ファイバ3等、光ファイバケーブル5を構成する各部の熱膨張係数(伸縮方向)の違いにより層間にずれが生じることがある。このとき、外被6から挿入光ファイバ1の突き出しや引き込みを抑制するため、挿入光ファイバ1を把持固定する長さを十分に確保することが好ましい。一例として、第2クランプ部25による挿入光ファイバ1の把持固定長は約7mmである。詳しくは後述するが、挿入光ファイバ1を被覆除去する際のたわみを規制するため、第2クランプ部25の前後には、可動ガイド40と固定ガイド35が設けられる。これにより、第2クランプ部25の把持固定長が長くても、第2クランプ部25内で挿入光ファイバ1がたわみ変形を起こすおそれはない。なお、挿入光ファイバ1が第2案内溝28外へはみ出すとたわみ変形を起こすおそれがあるが、後述する第2ベース部材26と第2蓋部材27の合わせ面26b,27bの間隔(第2案内溝28の外側における間隔)は、挿入光ファイバ1の外径(被覆径)より小さくすることで、前記はみ出しを防止することができる。
【0029】
クランプベース部材21,26と蓋部材22,27との間には、挿入光ファイバ1を挿入する隙間27aやその裸光ファイバ3を挿入する隙間22aを確保する介挿部材が抜き去り可能に介挿されている。図3及び図4に示すように、介挿部材50,55はコネクタ前後方向に並んで設けられている。前側の第1介挿部材50は、第1クランプ部20に取り付けられる。後側の第2介挿部材55は、第2クランプ部25に取り付けられる。
光コネクタ100は、介挿部材50,55の介挿片51,56をクランプ部20,25に予め挿入しておくことにより、介挿部材50,55をコネクタ本体101に取り付けた状態(介挿部材付き光コネクタの状態)で、販売、携帯等を行うことが可能である。この場合、配線現場における作業時に、光コネクタに合った介挿部材(楔)を用意したり、介挿片51,56をクランプ部20,25に割り入れたりする手間が省略できる。
図示例では、クランプベース部材21,26は、後側延出片102に設けられ、各案内溝23,28が後側延出片102の同じ側の面に形成されている。これにより、両案内溝23,28を同軸線上に成形しやすくなる。なお、各クランプベース部材21,26を別部材とし、それぞれハウジング内の所定位置に取り付けて構成することも可能である。
【0030】
図6に示すように、フェルール10先端(前端)の突き合わせ接合用の接合端面11とは反対の後端部から後側へ延出する後側延出片102は、フェルール10の中心軸線(及びその延長)に沿う前後方向を長手方向とする細長形状に形成されている。
図示例では、ストレータ支持部16及びクランプベース部材21,26は、それぞれ後側延出片102の一部として形成されている。また、第1ストレータ14、第2ストレータ15、被覆除去部材30、固定ガイド35が、後側延出片102の同じ側の面に設けられている。これにより、各部の位置決めが容易になる。なお、ストレータ支持部16や各クランプベース部材21,26を別部材とし、それぞれハウジング内の所定位置に取り付けて構成することも可能である。
【0031】
光コネクタ100には、図9(a)に示すように、蓋部材22,27がクランプばね24,29の押圧力に抗してクランプベース部材21,26との間に隙間22a,27aを確保するため、介挿部材50,55の介挿片51,56が、クランプベース部材21,26と蓋部材22,27の間に介挿されている。図9(b)に示すように、介挿部材50,55をクランプ部20,25から抜き去ることにより、クランプばね24,29の押圧力によって蓋部材22,27がクランプベース部材21,26に向かって閉じ、案内溝23,28上の光ファイバFを把持固定する。
クランプばね24,29としては、特に限定は無いが、例えば図5に示すようなスリーブ状のものを採用できる。スリーブ状のクランプばね24としては、例えば、その断面形状(中心軸線に垂直の断面形状)がC字形やコ字形のもの等が採用できる。本実施例のクランプ部20,25は、それぞれ1つのクランプばね24,29の内側に、クランプベース部材21,26と、コネクタ前後方向に配列設置した蓋部材22,27とを収納した構成となっている。なお、クランプばね24,29を一体化した構成も採用可能である。
【0032】
光コネクタ100は、後側延出片102の後側に、挿入光ファイバ1を挿通可能な光ファイバ挿通孔41が前後方向に形成された可動ガイド40を有している。この可動ガイド40は、例えば後側延出片102の後端に形成された可動ガイド保持部19を案内部材として、後側延出片102から後側に離隔した初期位置(図6(b)参照)からフェルール10に向かって前進可能に設けられている。なお、可動ガイド40の初期位置からの前進動を案内する案内部材としては後側延出片102に限定されず、例えば、不図示のハウジングに設けられた案内部材などを用いても良い。
【0033】
可動ガイド40は、光ファイバ挿通孔41が開口された前面43と、光ファイバ挿通孔41に向けて先細りのテーパ状に窪むテーパ状凹部42が開口された後面44とを有する。ここで、光ファイバ挿通孔41は、テーパ状凹部42の前端(奥端)から可動ガイド40の前面43までの間に形成された部分である。テーパ状凹部42により、挿入光ファイバ1の先端部が光ファイバ挿通孔41に誘導される。可動ガイド40は、挿入光ファイバ1の挿入中、挿入光ファイバ1の外周面がその周囲から光ファイバ挿通孔41の内面壁部に当接させることにより、第2クランプ部25と押圧用固定部材120の中間における挿入光ファイバ1のたわみを規制しながらその挿入方向を第2クランプ部25の第2ベース部材26と第2蓋部材27の間に案内することができる。挿入光ファイバ1のたわみをより確実に規制するため、光ファイバ挿通孔41は、挿入光ファイバ1の外径(被覆径)と同程度の内径を有することが望ましい。
挿入光ファイバ1は、第2蓋部材27と第2案内溝28の溝底との間隔方向に確保された隙間27aに、光ファイバ挿通孔41を介して挿入される。挿入光ファイバ1の挿入時、第2クランプ部25の該隙間27aは、挿入光ファイバ1の挿入を妨げない程度に確保される。
【0034】
次に、図7に示す被覆除去部材30について説明する。この被覆除去部材30の被覆除去部31は、その後側から挿入光ファイバ1が押圧されることで、挿入光ファイバ1の被覆2を除去して裸光ファイバ3を口出しする被覆除去刃である。以下、この被覆除去部31を被覆除去刃とも言う。
図8に例示した被覆除去刃31は、裸光ファイバ挿通孔33が貫通する筒状に形成され、裸光ファイバ挿通孔33の後端開口の縁が刃先とされた環状刃部31aである。図8に例示した環状刃部31a(被覆除去部31)は、その前端側から後側に行くに従って先細りのテーパ筒状に形成されている。
【0035】
図6及び図7に示すように、第2案内溝28にその後側から挿入した挿入光ファイバ1の先端を環状刃部31aの後端に押圧し、挿入光ファイバ1をフェルール10に向かって前進させることで、環状刃部31aによって挿入光ファイバ1の被覆2を除去できる。被覆除去部材30は、挿入光ファイバ1の前進によって被覆除去が進行するに伴い、被覆除去によって挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33に挿入されていく構成となっている。環状刃部31aは、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ3の周囲の被覆2を裸光ファイバ3から環状刃部31aの外周へ分離させる。裸光ファイバ3は、環状刃部31aの内側に開口した裸光ファイバ挿通孔33に挿入される。裸光ファイバ挿通孔33は、光ファイバの長手方向に沿って形成された円形孔である。その断面(裸光ファイバ挿通孔33の中心軸線に垂直の断面)は、裸光ファイバ3の断面(裸光ファイバ3の長手方向に垂直の断面)と概ね一致している。
【0036】
また、図示例の被覆除去部材30は、その前後方向中央部に、被覆除去部材30を前後方向に直交する方向に貫通する窓孔32を有している。環状刃部31aは、被覆除去部材30の前側の壁部36から窓孔32内に突設されたテーパ筒状の突部である。また、図示例の被覆除去部材30は、窓孔32から後側の壁部37を貫通して被覆除去部材30の後端に開口する被覆付き光ファイバ挿通孔34を有している。この被覆付き光ファイバ挿通孔34は、裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に形成されている。被覆付き光ファイバ挿通孔34の前端は環状刃部31a後端から若干後側に位置している。コネクタ前後方向における被覆付き光ファイバ挿通孔34前端と被覆除去刃31との間の離隔距離は、被覆除去中に環状刃部31aの後端(刃先)に押圧される挿入光ファイバ1の直進性維持の点では、出来るだけ小さくすることが好ましい。また、被覆付き光ファイバ挿通孔34の後端は、第2ベース部材26の案内溝28に対して、案内溝28から挿入光ファイバ1を挿入可能に位置決めされている。
【0037】
被覆付き光ファイバ挿通孔34は、光ファイバの長手方向に沿って形成された円形孔である。その断面(被覆付き光ファイバ挿通孔34の中心軸線に垂直の断面)は、挿入光ファイバ1の断面(挿入光ファイバ1の長手方向に垂直の断面)と概ね一致している。この被覆付き光ファイバ挿通孔34を有する固定ガイド35は、挿入光ファイバ1を裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に位置決めし、被覆除去のために環状刃部31a後端に向かって押圧した挿入光ファイバ1の座屈を防ぎ、除去ムラの発生を防止するとともに、円滑な被覆除去の実現に有効に寄与する。固定ガイド35は、挿入光ファイバ1の挿入中、挿入光ファイバ1の外周面がその周囲から被覆付き光ファイバ挿通孔34の内面壁部に当接させることで、挿入光ファイバ1のたわみを規制しながらその挿入方向を被覆除去部31に向けて案内することができる。
被覆付き光ファイバ挿通孔34後端の入口(ファイバ入口)には、外から内へ向けて径が縮小するテーパ穴34aが設けられている。被覆付き光ファイバ1の先端がテーパ穴34aに案内されることにより、被覆付き光ファイバ挿通孔34への差込みがより確実になる。
【0038】
第2クランプ部25において閉じ位置にある第2蓋部材27が第2ベース部材26の第2案内溝28上に対向配置され、第2クランプ部25の前後に挿入光ファイバ1の直進性を案内する固定ガイド35と可動ガイド40を配置することにより、挿入光ファイバ1を第2案内溝28に押さえ込んで、挿入中の挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制することができる。
なお、図示例では、被覆付き光ファイバ挿通孔34を有する固定ガイド35を、被覆除去部31及び裸光ファイバ挿通孔33を有する被覆除去部材30と一体化したが、特にこれに限定されるものではなく、固定ガイド35を被覆除去部31と別体で構成することも可能である。固定ガイド35を被覆除去部材30と一体成形することにより、裸光ファイバ挿通孔33と被覆付き光ファイバ挿通孔34を高精度に同軸で形成することが容易になる。図5及び図6に示すように、被覆除去部材30及び固定ガイド35は、後側延出片102(詳しくは第1ベース部材21と第2ベース部材26の間の取付ベース部39)に窪んで形成された取付用凹部38に嵌合や接着等によって固定されている。
図8に示す被覆除去部材30の被覆除去部31は、裸光ファイバ挿通孔33の周囲にテーパ状に形成された環状刃部31aと、窓孔32の形成方向に対して垂直に形成された水平刃部31bを有する。
【0039】
図7(a)に示すように、固定ガイド35に向けて挿入光ファイバ1を前進させると、挿入光ファイバ1先端は被覆付き光ファイバ挿通孔34に挿入される。被覆付き光ファイバ挿通孔34は直線状であり、挿入光ファイバ1を被覆除去部31に向けて真っ直ぐ位置決めすることができる。挿入光ファイバ1は、その先端が被覆付き光ファイバ挿通孔34を通過すると、図7(b)に示すように、窓孔32を横断して、先端が被覆除去部31に当接する。そして、挿入光ファイバ1は、その先端が被覆除去刃31に向けて押圧されることにより、図7(c)に示すように、被覆2が除去されて、裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33に挿入される。このとき、裸光ファイバ3と被覆2との間に環状刃部31aが差し込まれることにより、被覆2を裸光ファイバ3から容易に剥離することができる。また、裸光ファイバ3から円筒状に剥離された被覆2を水平刃部31bで2つに分断することにより、不要な被覆2を窓孔32の上下から容易に排出することができる。
裸光ファイバ挿通孔33の出口には、内から外へ向けて径が拡大するテーパ穴33aが設けられている。裸光ファイバ3が裸光ファイバ挿通孔33から出る方向に若干の余裕があることにより、裸光ファイバ挿通孔33から調心溝23へ裸光ファイバ3を容易に誘導することができる。
【0040】
コネクタ本体101は、可動ガイド40が前進限界位置(例えば可動ガイド40の前面43が第2クランプ部25の後端に当接する位置)に到達するまで押圧用固定部材120を前進させることで、裸光ファイバ3を突き合わせ開始位置よりさらに前進させ、内蔵光ファイバ12をたわみ変形させる。詳しくは後述するが、図6(b)に組立後のコネクタ本体101を示す。
【0041】
光コネクタ100の後側ハウジング70は、図4等に示すように、その前側に、クランプ部20,25を収容するクランプ収容部71を有し、その後側に、押圧用固定部材120を受け入れる押圧部材受け部75を有する。
図14に示すように、クランプ収容部71は、円筒状のクランプ収容穴71aと、後側に向けて径を拡大するテーパ穴71bを有する。後側ハウジング70には、その肉厚を貫通して、クランプ収容穴71a内の第1クランプ部20に第1介挿部材50の介挿片51を介挿する第1連通穴78(図15参照)と、テーパ穴71b内の第2クランプ部25に第2介挿部材55の介挿片56を介挿する第2連通穴79(図15参照)を有する。クランプ収容部71の両側面には、それぞれ対向する位置に、突起状の回転軸72が形成されている。なお、図15は、図11〜14と直交する面に沿った断面図であり、コネクタ後部を示す。
押圧部材受け部75は、図2に示すように、底板部76とその両側に対向して配される一対の側板部77を有する。
【0042】
図1〜図3に示すように、図示例の光コネクタ100は、押圧用固定部材120の引き留め手段として、後側ハウジング70に枢着された引き留めカバー80を有している。この引き留めカバー80は、後側ハウジング70の後端部の押圧部材受け部75に収納された押圧用固定部材120に上から被せるカバー板81と、その両側に細長形状の回動アーム82,82が互いに平行に設けられた構成である。一対の回動アーム82は、後側ハウジング70の両側部の回転軸72が挿入される軸受穴82aを有する。この引き留めカバー80は、回転軸72を軸受穴82aに挿入することで、後側ハウジング70に対してその左右方向(押圧部材受け部75の一対の側板部77の間隔方向)の回転軸線を以て回動可能に枢着している。
なお、ここでは軸受穴82aは回動アーム82を肉厚方向に貫通する貫通穴であるが、有底の穴でもよい。また、枢着部の具体的構造は特に限定されず、軸受穴を後側ハウジング70に、回転軸突起を回動アーム82に形成する等の構成も採用可能である。
【0043】
図10に示すように、回転軸72を中心にして引き留めカバー80を回動させることで、押圧部材受け部75に収納された押圧用固定部材120上にカバー板81を被せることができる(図13、図14参照)。このときの押圧部材受け部75に対する引き留めカバー80の位置(図10の実線部)を被せ位置とも言う。また、この引き留めカバー80は、押圧部材受け部75に対して被せ位置に配置したときに、カバー板81が押圧部材受け部75の底板部76に沿う向きとなる。
挿入光ファイバ1に対する光コネクタ100の組立前は、図1〜図3に示すように、引き留めカバー80は、押圧部材受け部75との間に押圧用固定部材120を挿入しやすいように開いている。このときの押圧部材受け部75に対する引き留めカバー80の位置(図10の鎖線部)を開き位置とも言う。
【0044】
図2及び図3に示すように、後側ハウジング70の側面には引き留めカバー80が開き位置から被せ位置に移行するのを規制するため、規制突起73が突設されている。規制突起73が引き留めカバー80の前端部84(図3参照)に当接することで、引き留めカバー80が開き位置に維持される。引き留めカバー80に力を加えて回動させる際、引き留めカバー80の前端部84が規制突起73を乗り越えることで、開き位置から被せ位置に移行させることができる。規制突起73は、開き位置から被せ位置への回動時に前端部84に対向する側に、前端部84を幅方向の外側へ押し広げる方向に傾斜した斜面73aを有するので、規制突起73を乗り越えるために要する力が軽減される。被せ位置においては、規制突起73は引き留めカバー80の内面に形成された凹部82c(図2参照)に収容される。
【0045】
図1等に示すように、引き留めカバー80は、被せ位置に配置したときに、後端側に突設されている後退規制片83を、押圧用固定部材120の後側に配置することができる。後退規制片83は、押圧用固定部材120の後端部123に切欠部83aを有する。
図13及び図14に示すように、後退規制片83を押圧用固定部材120の後側に配置することにより、コネクタ本体101に対する押圧用固定部材120の後退を規制することができる。光コネクタ100の後端から突出する光ファイバケーブル5は、切欠部83aの間に配置されるので、後退規制片83を光ファイバケーブル5の左右両側に設け、押圧用固定部材120の後端部123のより広い範囲を覆うことができる。
引き留めカバー80の回動アーム82には、押圧部材受け部75の側板部77の外面に突出された係合突起77bに係合する係合穴82bを有する。係合突起77bを係合穴82bに係合させることにより、押圧部材受け部75に対して引き留めカバー80を被せ位置に維持することができる。
引き留めカバー80を被せ位置に配置することにより、コネクタ本体101(後側延出片102)に対する押圧用固定部材120の後退を規制する引き留め作業を行うことができる。これにより、押圧用固定部材120と可動ガイド40と可動ガイド保持部19が一体化された状態が維持される。
【0046】
図4に示すように、スライダ85は、後側ハウジング70の下部に形成されたスライダ案内部74に挿入し、スライダ85の両側面に形成された係合突起85aを、スライダ案内部74の係合穴74aに係合することで、後側ハウジング70に取り付ける。スライダ85の上面に形成された一対の柱部86,86の間に、コネクタ本体101(詳しくは図11(a)に示すように第2クランプ部25)を挟み込む。なお、柱部86,86の間は、第2ベース部材26と第2蓋部材27の間が開いた状態(図11(a)参照)でも、第2ベース部材26と第2蓋部材27の間が閉じた状態(図14(a)参照)でも、第2クランプ部25を収容可能な寸法を有する。スライダ85上において柱部86,86の後方には台部87が形成されている。
【0047】
フェルール10から第2クランプ部25までに至る部分であるコネクタ本体101(図6(b)参照)は、接着、係合、嵌合等の手法により、後側ハウジング70と固定一体化される。例えば、図16に示すように、後側延出片102に被覆除去部材30が取り付けられる取付ベース部39(図5参照)の裏面に接着剤103を用いて後側ハウジング70(詳しくはクランプ収容部71のクランプ収容穴71aの内周壁部)に接着固定する方法が挙げられる。
【0048】
図17及び図18に、係合や嵌合等によってコネクタ本体101を後側ハウジング70と固定する例を示す。図示例では、後側延出片102(詳しくは取付ベース部39)の側面に突設されたラッチ部104を、後側ハウジング70(詳しくはクランプ収容部71のクランプ収容穴71aの内周面)に形成された係合穴105に嵌合させることで、コネクタ本体101に対する後側ハウジング70の後退を規制している。
この構成では、引き留めカバー80の後退規制片83を押圧用固定部材120の後側に配置することにより、コネクタ本体101(後側延出片102)に対する押圧用固定部材120の後退を規制し、押圧用固定部材120が可動ガイド40を挟み込んで可動ガイド保持部19と一体化される。後退規制片83が押圧用固定部材120の後端部に当接することにより、コネクタ本体101に対する後側ハウジング70の前進も規制される。
係合や嵌合によってコネクタ本体101に対して後側ハウジング70を位置決めした後、接着剤等を用いた接着により固定する手法も採用可能である。
【0049】
図11〜14は、可動ガイド40をその後側から押圧して前進させる押圧用固定部材120を先端部近傍に固定した挿入光ファイバ1を用い、この挿入光ファイバ1の先端部に光コネクタ100を組み立てる、光コネクタの組立方法を例示している。本実施例は、より具体的には、挿入光ファイバ1と、可撓性を有する線状の抗張力体(図示略)とを互いに並行になるように合成樹脂製の外被6によって一括被覆した光ファイバケーブル5の端末に、光コネクタ100を組み立てる場合を示す。
光ファイバケーブル5としては、インドアケーブル、ドロップケーブル等が挙げられる。抗張力体としては、例えばアラミド繊維等の抗張力繊維からなるもの、鋼線等を挙げることができる。挿入光ファイバ1は、この光ファイバケーブル5端末に口出しした部分をコネクタ本体101への挿入に用いる。
【0050】
図6(a)に示すように、押圧用固定部材120として、光ファイバケーブル5端末をその両側から把持して光ファイバケーブル5端末に固定される外被把持形のものを用いている。すなわち、この押圧用固定部材120は、光ファイバケーブル5の外被を除去した挿入光ファイバ1(被覆付き光ファイバ1)の被覆2を把持する光ファイバ把持部121としてだけでなく、光ファイバケーブル5の外被6を把持する外被把持部122としても機能するものである。この押圧用固定部材120では、光ファイバ把持部121と外被把持部122とが一体化されている。光ファイバケーブル5から口出しされた挿入光ファイバ1と、光ファイバケーブル5の外被6とが、環境温度の変化などにより長手方向に相対的にずれる恐れがある。にもかかわらず、光ファイバ把持部121と外被把持部122とが一体化されているので、挿入光ファイバ1および外被6を相対的なずれが生じないように確実に保持することができる。
押圧用固定部材120の先端部125は、可動ガイド40のテーパ状凹部42に面接触可能な曲面とされた外周面を有する。これにより、図6(b)に示すように、押圧用固定部材120の先端部125を可動ガイド40のテーパ状凹部42に密着させて間の隙間を最小限にすることができる。
【0051】
光ファイバケーブル5端末には、光ファイバケーブル5先端の外被6を除去して露出させた(口出しした)挿入光ファイバ1が突出されている。挿入光ファイバ1は、光ファイバケーブル5端末に固定されている押圧用固定部材120から突出されている。
挿入光ファイバ1は、裸光ファイバ3の外周面(側面)を被覆2で覆った構成の被覆付き光ファイバであり、例えば光ファイバ心線や光ファイバ素線等が挙げられる。裸光ファイバ3は、例えば石英系光ファイバである。また、被覆2は、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆である。
【0052】
図6(b)に示すように、内蔵光ファイバ12は、フェルール10及び第1クランプ部20内では予め被覆を除去した裸光ファイバであり、第1ストレータ14と第2ストレータ15の間では、被覆付き光ファイバ(上述の被覆部12c)である。内蔵光ファイバ12の被覆は、例えば紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などを1層または複数層、ほぼ同心円状に被覆した樹脂被覆であり、裸光ファイバは、例えば石英系光ファイバである。
【0053】
光ファイバケーブル5の端末に光コネクタ100を組み立てるには、挿入光ファイバ1の先端部近傍を押圧用固定部材120に把持させ、挿入光ファイバ1の押圧用固定部材120から突出させた部分(突出部4)を、光コネクタ100の後側から、可動ガイド40の光ファイバ挿通孔41を介して第2クランプ部25及び固定ガイド35に挿入し、フェルール10に向かって押し込んでいく。
このとき、挿入光ファイバ1は、突出部4先端の被覆除去による裸光ファイバ3の口出しを行うことなく、突出部4全長が被覆2によって覆われた被覆付き光ファイバの状態のまま、可動ガイド40の光ファイバ挿通孔41から第2クランプ部25の第2ベース部材26及び第2蓋部材27の間(案内溝28上)に挿入される。
【0054】
押圧用固定部材120を前進させる際には、図15に示すように、長板状のスライダ85を押圧部材受け部75の後方に引き出して、スライダ85の上に押圧用固定部材120を載置し、スライダ85をスライダ案内部74に沿ってコネクタの前後方向にスライド移動させることができる。これにより、押圧用固定部材120の前進方向を案内させ、挿入光ファイバ1の被覆除去、内蔵光ファイバ12との突き合わせを円滑に行うための挿入作業補助片として機能する。
スライダ85は、スライダ85の前端85bから長手方向に沿って設けられた切欠部88(図4参照)を有する。スライダ案内部74に沿ってスライダ85を前進させる際、クランプ収容部71の連通穴78,79に挿通されている介挿部材50,55の介挿片51,56は切欠部88内に入るため、介挿部材50,55をクランプ部20,25に介挿させたままスライダ85を移動させることができる。
【0055】
図11(a)に、挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部31に到達した状態の一例を示す。詳しくは、挿入光ファイバ1先端を環状刃部31a後端(図7参照)に当接させた状態を示す。
図6(b)に示すように、光コネクタ100の可動ガイド40は、案内溝28の後端から後側に挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L1で離隔する初期位置から前進可能とされている。案内溝28の後端とは、第2クランプ部25の後端25bから先細りのテーパ状に窪むテーパ状凹部25aの前端(奥端)を意味する。距離L1は、前記案内溝28の後端から光ファイバ挿通孔41の前端(可動ガイド40の前面43)までの距離である。可動ガイド40の光ファイバ挿通孔41は、挿入光ファイバ1を、被覆除去部材30の被覆除去刃31の裸光ファイバ挿通孔33と同軸上に位置決めして、可動ガイド40後側から第2クランプ部25の案内溝28への挿入光ファイバ1の挿入を円滑にする案内部として機能する。
【0056】
挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部31に到達したときの押圧用固定部材120の位置は、図11(a)に示すように、挿入光ファイバ1先端が被覆除去部31後端に当接したときに、可動ガイド40の光ファイバ挿通孔41後端から後側へ、挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L2で離隔した位置とする。光ファイバ挿通孔41の後端とは、可動ガイド40の後面44から先細りのテーパ状に窪むテーパ状凹部42の前端(奥端)を意味する。距離L2は、前記光ファイバ挿通孔41の後端から光ファイバ把持部121が挿入光ファイバ1を把持する把持部先端124までの距離である。
なお、距離L1および距離L2は、いずれも、挿入光ファイバ1の後述するたわみ幅になることから、2.5mm以下あるいは2.1mm以下とする必要がある。これにより、第2クランプ部25と可動ガイド40の間及び可動ガイド40と押圧用固定部材120の間において挿入光ファイバ1のたわみを規制しつつ、押圧用固定部材120を前進させ、被覆除去部31による挿入光ファイバ1の被覆2を除去することができる。
【0057】
挿入光ファイバ1の突出部4を第2クランプ部25の案内溝28及び固定ガイド35の被覆付き光ファイバ挿通孔34に挿入し、押圧用固定部材120を光コネクタ100のフェルール10に向かって前進させると、図7に示すように、被覆除去部31の環状刃部31a後端に当接した挿入光ファイバ1の前進に伴い、環状刃部31aによって挿入光ファイバ1先端の被覆2が除去される。その結果、挿入光ファイバ1先端に被覆2が除去された裸光ファイバ3が口出しされていく。
被覆除去部31による挿入光ファイバ1の被覆除去は、図11(a)に示すように挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部31に到達したときから開始し、図12(b)に示すように可動ガイド40がその前進限界位置に到達するまで、挿入光ファイバ1が被覆除去部31に対して前進する間、継続する。
【0058】
図11(b)に示すように、挿入光ファイバ1先端に口出しされて被覆除去部材30の裸光ファイバ挿通孔33に挿入された裸光ファイバ3は、被覆除去の進行に伴い被覆除去部材30から前側に突出され(図7(c)参照)、被覆除去部材30前側に位置する第1クランプ部20の案内溝(調心溝)23に挿入される。調心溝23に挿入された裸光ファイバ3は、調心溝23によって内蔵光ファイバ12の後端12bに対して突き合わせ接続可能に位置決め、調心される。
被覆除去中、押圧用固定部材120は、前進によって可動ガイド40に当接する(図11(b)参照)。押圧用固定部材120の先端部125は、可動ガイド40のテーパ状凹部42に面接触可能な曲面とされた外周面を有する。これにより、押圧用固定部材120の先端部125を可動ガイド40のテーパ状凹部42に密着させて間の隙間を最小限にすることができる。
【0059】
さらに押圧用固定部材120は、可動ガイド40をその後側から押圧しながら可動ガイド40がその前進限界位置に到達(図12(b)参照)するまで前進する。図示例においては、可動ガイド40を直接操作する必要はなく、押圧用固定部材120を介して間接的に可動ガイド40を前進させることができる。被覆除去部31による被覆除去中に、可動ガイド40を押圧用固定部材120によって後側から押して、可動ガイド40と第2クランプ部25との間の隙間45を短縮しつつ、可動ガイド40を前進させる。
可動ガイド40と第2クランプ部25との間の距離を短縮するのであれば、第2クランプ部25の後端25bを可動ガイド40の前進限界位置とする必要はないが、図示例では、第2クランプ部25の後端25bに当接する位置を可動ガイド40の前進限界位置としている。これにより、最終的に可動ガイド40の前面43が第2クランプ部25の後端25bに当接させて隙間を最小限にし、組立後の光コネクタ内において挿入光ファイバ1をよりしっかりと保持することができる。
【0060】
図12(a)は、被覆除去部31によって被覆2が除去された裸光ファイバ3の内蔵光ファイバ12の後端部12dに対する突き合わせが開始された状態の一例を示す。
可動ガイド40の前進中に、被覆除去部31によって被覆2の除去された裸光ファイバ3を内蔵光ファイバ12の後端12bに突き合わせる。図12(a)のP1は、突き合わせ開始時における両光ファイバ3,12dの突き合わせ位置を示す。突き合わせ開始時の突き合わせ位置P1は、図11(a)における組立前の内蔵光ファイバ12の後端12bの位置に相当する。なお、後述するように内蔵光ファイバ12のたわみ変形は、突き合わせが開始すると直ちに開始するので、両光ファイバ3,12dの突き合わせ位置も、直ちに移動を開始することになる。
図12(a)における可動ガイド40と第2クランプ部25との間の隙間45は、可動ガイド40の前進距離の分、図11(b)における当該隙間45よりも短縮している。
【0061】
挿入光ファイバ1の突出部4の押圧用固定部材120からの突出長(図6(a)参照)は、内蔵光ファイバ12の後端12bから、突き合わせ接続開始時の押圧用固定部材120までの離隔距離よりも若干長く設定する。これにより、挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3が内蔵光ファイバ12に突き当たった後も、押圧用固定部材120によって後側から押圧されながら前進する可動ガイド40が、さらに前進限界位置(図12(b)参照)に達するまで若干の前進が許容される。
【0062】
図12(a)に示すように、挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3の内蔵光ファイバ12後端に対する突き当ての達成後、押圧用固定部材120によって押圧された可動ガイド40のさらなる前進によって、内蔵光ファイバ12をたわみ変形させる。詳しくは、図12(a)に示すように内蔵光ファイバ12の後端12bと裸光ファイバ3の突き合わせが開始してから、図12(b)に示すように可動ガイド40が前進限界位置に到達するまでの間、内蔵光ファイバ12は、その後端12bに突き合わせがされた裸光ファイバ3の前進により押し込まれる。これにより、内蔵光ファイバ12(詳しくは被覆部12c)を第1ストレータ14及び第2ストレータ15の間の空間18でたわみ変形させる。
【0063】
これにより、第1ストレータ14と第2ストレータ15の間の被覆部12cが、ストレータ支持部16の収容溝16aから浮き上がるように、内蔵光ファイバ12にたわみ変形が生じる。また、内蔵光ファイバ12は、被覆部12cの前後両端がストレータ14,15の挿通穴14a,15a(図6参照)に挿通されているので、ストレータ14,15内の裸光ファイバ12a,12dへの負荷を防ぎ、内蔵光ファイバ12の損失増大や損傷等を抑制することができる。
【0064】
図12(b)には、可動ガイド40が前進限界位置(図12(b)参照)に到達した状態の一例を示す。なお、図示例では、可動ガイド40の前面43が第2クランプ部25の後端に当接する位置を、可動ガイド40の前進限界位置としている。これにより、裸光ファイバ3の前進が規制され、被覆除去部31による挿入光ファイバ1の被覆除去が停止(完了)する。図12(b)のP2は、被覆除去完了時における両光ファイバ3,12dの突き合わせ位置を示す。図12(b)のP2の位置は、図12(a)のP1の位置よりも前進している。被覆除去完了時の突き合わせ位置P2は、図13(b)のクランプ時の突き合わせ部Pの位置に相当する。
【0065】
次いで、可動ガイド40が前進限界位置に位置する状態を保ったまま、図13(a)に示すように、引き留め手段を用いて、押圧用固定部材120のフェルール10及び後側延出片102に対する後退を規制する引き留め作業を行っても良い。これにより、押圧用固定部材120と可動ガイド40と可動ガイド保持部19が一体化された状態が維持されるので、後述するクランプ部20,25によるクランプ作業が容易になる。
【0066】
また、可動ガイド40が前進限界位置に到達させた後には、上述した観察窓63,64,66(図1及び図2参照)を通して内蔵光ファイバ12のたわみ変形を目視で確認する工程を設けることができる。ここで、目視とは、肉眼に限定されるものではなく、眼鏡や拡大鏡等の視力を矯正又は補助する器具を使用する場合も含むものとする。
可動ガイド40が前進限界位置に到達させた後、内蔵光ファイバ12の被覆部12cが第1ストレータ14と第2ストレータ15の間の空間18でたわみ変形したか否かを確認するため、観察窓を通じてハウジング100Hの内部を目視確認することが好ましい。これにより、もし内蔵光ファイバ12にたわみ変形が確認されない場合は、例えば挿入光ファイバ1の被覆除去等に不具合が生じている可能性があるため、挿入光ファイバ1を抜き出したり、場合によっては別の光コネクタに交換する等、作業をやり直すかどうかをより早く判断できる。ハウジング100Hの内部を目視確認は、上述した引き留め作業の前でも後でも、あるいは引き留め作業と同時でもよい。
また、突き合わせ部Pを第1クランプ部20によって把持固定する前に被覆部12cのたわみ変形を確認すれば、異常確認時に挿入光ファイバ1を抜き出したり、把持固定以後の工程を省略したりする等の種々の対応が可能になる。なお、把持固定作業後や、さらには光コネクタの組立完了後(使用時を含む)にも被覆部12cのたわみ変形の有無を確認することができるので、万が一光ファイバ等の取り付けに緩み等の異常があって、たわみ変形が消失していても、光コネクタ100を分解することなく非破壊的に確認することができる。
【0067】
クランプ作業は、第1クランプ部20による裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との突き合わせ部Pの把持固定を先に行い、突き合わせ部Pの把持固定後に、第2クランプ部25により挿入光ファイバ1(被覆付き光ファイバの部分)を把持固定する。
第1介挿部材50を第1クランプ部20から抜き去ることにより、第1クランプ部20によって挿入光ファイバ1先端の裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との突き合わせ部Pを把持固定することができる。図13(b)に、第1クランプ部20を閉じて両光ファイバ3,12を把持固定した状態を示す。
【0068】
次いで、第2介挿部材55を第2クランプ部25から抜き去ることにより、第2クランプ部25によって挿入光ファイバ1(被覆付き光ファイバである部分)を把持固定することができる。図示例の場合、図3に示すように光コネクタ100のハウジング100H外に露出された操作片52,57を引き抜くことで、介挿部材50,55をクランプ部20,25から抜き去ることができる。図14(a)に、第2クランプ部25を閉じて挿入光ファイバ1を把持固定した状態を示す。
これにより、光ファイバケーブル5端末(挿入光ファイバ1先端部)への光コネクタ100の組み立てが完了する。
【0069】
図14に示すように、第2クランプ部25が挿入光ファイバ1を把持固定する長さを十分に確保し、また、第2クランプ部25の後端と可動ガイド40と押圧用固定部材120の間を密着させているので、挿入光ファイバ1が光コネクタ100内部で動きにくく保持される。これにより、引き留めカバー80の後方に露出された光ファイバケーブル5に対してサイドプル等の外力が作用したり、光ファイバの各部の熱膨張係数(伸縮方向)の違いによる層間ずれが生じても、光ファイバケーブル5(詳しくは外被6)からの挿入光ファイバ1の突き出しや引き込みを抑制できる。
【0070】
この光コネクタ100によれば、被覆除去部31により被覆2を除去する間は、第2蓋部材27及びガイド手段(固定ガイド35、可動ガイド40)により、挿入光ファイバ1のたわみ変形を規制することができる。このため、この光コネクタ100は、被覆除去中の挿入光ファイバ1の屈曲を抑制して、被覆2の除去に必要な強い押圧力を、確実に被覆除去部31に伝達することができる。
【0071】
被覆2の除去に必要な挿入光ファイバ1の被覆除去部31に対する押圧力は、非特許文献(小山良、中島和秀、高谷雅昭、倉嶋利雄、“被覆付き光ファイバ心線の突合せ接続に関する考察”、2009年電子情報通信学会通信ソサエティ大会、B−13−8)の図1(たわみ幅と最大挿入力との関係)に記載されているように、例えば5〜6N(500〜600g)程度とされる。挿入光ファイバ1のたわみ幅が2.5mm以下あるいは2.1mm以下となることにより、被覆2の除去に必要な押圧力を、挿入光ファイバ1の被覆2と被覆除去部31との間に発生することができる。なお、上記たわみ幅とは、挿入光ファイバ1に押圧力が付与されて撓む可能性がある部分の長さをいう。
【0072】
裸光ファイバ3の口出し長は、組立前の内蔵光ファイバ12の後端12bから被覆除去部31後端までの距離(図11(a)参照)よりも長いので、その距離差に応じて内蔵光ファイバ12の後端12bが裸光ファイバ3の先端に押し込まれる。たわみ収容部13に設けられたストレータ14,15により、その間で挿入光ファイバ1が側方にたわみ変形することが可能な空間18が確保されている。また、内蔵光ファイバ12は、その先端部がフェルール10内に固定され、後端部は第2ストレータ15の挿通穴15aに対して非固定(その長手方向にスライド移動可能)とされている。
内蔵光ファイバ12の後端12bに挿入光ファイバ1が突き当たると、内蔵光ファイバ12の後端12bが裸光ファイバ3の先端の押し込みに追従して移動し、内蔵光ファイバ12がたわみ変形する。この場合、挿入光ファイバ1の被覆2を除去した裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との端面同士の間には、被覆2の除去に必要な押圧力に相当する強い荷重が加わることが回避される。
両光ファイバ3,12の端面間の荷重が緩和されることにより、もし両光ファイバ3,12の間に「軸ズレ」等の突き合わせ不良が生じていた場合には、第1クランプばね24の付勢力によって、両光ファイバ3,12の光軸が一致するように裸光ファイバ3を変位させることができる。
【0073】
内蔵光ファイバ12の後端12bが裸光ファイバ3の先端から押圧されると、内蔵光ファイバ12自身の弾性に抗してその被覆部12c(被覆付き光ファイバである部分)にたわみ変形が自発的に形成される。内蔵光ファイバ12自身の弾性力は、内蔵光ファイバ12の後端12bを挿入光ファイバ1の押し込みとは反対の方向(すなわち後方)に裸光ファイバ3の先端に押し付けるように作用するので、内蔵光ファイバ12と挿入光ファイバ1との突き合わせ接続状態が維持される。これにより、挿入光ファイバ1が被覆除去部31からの反力を受けても、両光ファイバ3,12の端面間に突き合わせ接続が維持される程度の適度なレベルで押圧力を維持することができる。
これにより、端面間の荷重を適正にして第1クランプ部20の蓋部材22を閉じることができ、第1クランプ部20で挟み込んだ後の裸光ファイバ3と内蔵光ファイバ12との突き合わせ接続状態を良好にすることができる。その結果、光学特性の良好な光コネクタの組立が容易になる。
【0074】
また、既述のように、この実施例の光コネクタ100の可動ガイド40は、第2クランプ部25の案内溝28後端から後側に挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L1で離隔する初期位置から前進可能である。また、挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部31に当接した際の可動ガイド40の挿通孔41後端から押圧用固定部材120の先端部125までの距離は挿入光ファイバ1が被覆除去中に座屈しない距離L2に設定されている。このため、図11(a)に示すように、案内溝28に挿入した挿入光ファイバ1の先端が被覆除去部31に当接した後、可動ガイド40とその後側へ離隔する押圧用固定部材120との間の距離よりも長い距離を前進可能とし、挿入光ファイバ1先端の被覆除去長(裸光ファイバ3の口出し長)を確保できる。
【0075】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば光コネクタの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。光コネクタを組み立てる具体的手順も、光コネクタの具体的構成に応じて改変可能である。
【0076】
クランプ部は、光ファイバを調心して端面同士の突き合わせ接続をクランプ保持する構成であれば、構造や形状は特に限定されるものではない。例えば、素子の基体に対向する蓋体の個数は1個でも複数個でもよい。
本発明は、フェルールに複数の内蔵光ファイバが内挿固定された光コネクタに適用することもできる。この場合、クランプ部に設けられる位置決め溝などの調心機構は、少なくとも、内蔵光ファイバの本数分設ければ、該光コネクタによってコネクタ成端される光ファイバのそれぞれを、調心機構によって内蔵光ファイバと光接続させることができる。
挿入光ファイバに固定する押圧用固定部材としては、光ファイバケーブル端末を把持して該光ファイバケーブル端末に取り付けられる外被把持部材に限定されない。押圧用固定部材としては、挿入光ファイバとして用いる被覆付き光ファイバを直接把持して該被覆付き光ファイバに取り付けることができる構成も採用可能である。
光コネクタとしては、フェルールを収納するハウジングを有していないものも採用可能である。例えば、上述の実施形態の光コネクタ100のコネクタ本体101自体を光コネクタとして用いることも可能である。
【0077】
また、上述の実施形態では、可動ガイドを具備する構成の光コネクタを例示したが、本発明に係る光コネクタとしては、可動ガイドを具備していないものも採用可能である。
すなわち、本発明に係る組立方法を適用する光コネクタとしては、被覆除去部によって被覆除去された裸光ファイバと内蔵光ファイバとの突き合わせが開始した後に、さらに挿入光ファイバが前進して、内蔵光ファイバの中間部(フェルールと第1クランプ部との間)にたわみ変形させることが可能な構成のものであれば良い。
そして、光コネクタは、かかる構成により、被覆除去された裸光ファイバと内蔵光ファイバとの突き合わせ部に作用する押圧力を緩和して、挿入光ファイバ先端の裸光ファイバと内蔵光ファイバとの突き合わせ接続をより良好にすることができる。
【0078】
また、挿入光ファイバは、必ずしも光ファイバ把持部を固定したものである必要は無く、光ファイバ把持部を取り付けていない挿入光ファイバを使用しても良い。
光ファイバ把持部(押圧用固定部材)としては、光ファイバに着脱可能に固定できる構成も採用可能である。この点、挿入光ファイバの先端部に組み立てた光コネクタとしては、光ファイバ把持部を具備する構成のものの他、光ファイバ把持部を具備していない構成も採り得る。すなわち、光ファイバ把持部は、挿入光ファイバの先端部に組み立てた光コネクタの構成要件に含まれる場合と、含まれない場合とがある。
【符号の説明】
【0079】
P…突き合わせ部、1…挿入光ファイバ、2…被覆、3…裸光ファイバ、10…フェルール、12…内蔵光ファイバ、14…第1ストレータ、15…第2ストレータ、16…ストレータ支持部、17…フランジ部、20…第1クランプ部、21…第1ベース部材、22…第1蓋部材、25…第2クランプ部、26…第2ベース部材、27…第2蓋部材、31…被覆除去部、34…被覆付き光ファイバ挿通孔、35…固定ガイド、40…可動ガイド、41…光ファイバ挿通孔、61…スプリング、62…ストップリング、63,64,66…観察窓、100…光コネクタ、100H…ハウジング、120…押圧用固定部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵光ファイバの先端部が内蔵されたフェルールと、前記フェルールの後方で前記フェルールとの間に前記内蔵光ファイバのたわみ変形可能な空間を確保して設けられ、前記内蔵光ファイバの後端部と挿入光ファイバの被覆の除去により露出した裸光ファイバとの突き合わせ部を把持固定可能な第1クランプ部と、前記第1クランプ部の後方で前記挿入光ファイバの被覆を除去する被覆除去部とを備え、
前記挿入光ファイバを挿入して前進させて、前記被覆除去部による前記被覆の除去により露出した前記裸光ファイバを前記内蔵光ファイバの後端部に突き合わせ、さらに押圧して前記内蔵光ファイバを前記空間でたわみ変形させ、その状態で、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとの突き合わせ部を前記第1クランプ部によって把持固定可能である光コネクタ。
【請求項2】
前記フェルールと前記第1クランプ部との間に、前記内蔵光ファイバを挿通する第1挿通穴を有する第1ストレータと、前記第1ストレータの後方で前記第1挿通穴の延長方向に沿って前記内蔵光ファイバを挿通する第2挿通穴を有する第2ストレータと、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間に前記内蔵光ファイバの長手方向に沿って前記内蔵光ファイバがたわみ変形可能な空間を確保しつつ前記第1ストレータ及び前記第2ストレータを支持するストレータ支持部とを有し、前記内蔵光ファイバは、前記フェルール及び前記第1クランプ部内では予め被覆を除去した裸光ファイバであり、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間では被覆付き光ファイバである請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記第2ストレータは、前記第1クランプ部内に向けて突出した前記裸光ファイバからなる前記内蔵光ファイバの後端部を、その長手方向に沿って案内可能な裸光ファイバ挿通穴を有する請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記光コネクタは、前記内蔵光ファイバのたわみ変形可能な空間に配置した前記内蔵光ファイバをハウジングの外部から目視可能にする観察窓を有する請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバを把持固定可能な第2クランプ部を備える請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバの外周面をその周囲から挿通孔の内面壁部に当接させることで前記挿入光ファイバのたわみを規制しながらその挿入方向を前記被覆除去部に向けて案内する可動ガイドを備える請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項7】
挿入光ファイバを前進させて、前記挿入光ファイバの先端部の被覆を被覆除去部によって除去し、
前記被覆除去部によって被覆の除去された裸光ファイバを、前記被覆除去部の前方に配したフェルールに内蔵された内蔵光ファイバの後端部に突き合わせ、
前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとが突き合わされた状態で、さらに前記挿入光ファイバを前進させ、前記内蔵光ファイバの後端部を押圧して、前記内蔵光ファイバを前記フェルールと第1クランプ部との間に確保された空間でたわみ変形させ、その状態で、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとの突き合わせ部を第1クランプ部によって把持固定する光コネクタの組立方法。
【請求項8】
前記フェルールと前記第1クランプ部との間に、前記内蔵光ファイバを挿通する第1挿通穴を有する第1ストレータと、前記第1ストレータの後方で前記第1挿通穴の延長方向に沿って前記内蔵光ファイバを挿通する第2挿通穴を有する第2ストレータと、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間に前記内蔵光ファイバの長手方向に沿って前記内蔵光ファイバがたわみ変形可能な空間を確保しつつ前記第1ストレータ及び前記第2ストレータを支持するストレータ支持部とを有し、前記内蔵光ファイバは、前記フェルール及び前記第1クランプ部内では予め被覆を除去した裸光ファイバであり、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間では被覆付き光ファイバである請求項7に記載の光コネクタの組立方法。
【請求項9】
前記第2ストレータは、前記第1クランプ部内に向けて突出した前記裸光ファイバからなる前記内蔵光ファイバの後端部を、その長手方向に沿って案内可能な裸光ファイバ挿通穴を有する請求項8に記載の光コネクタの組立方法。
【請求項10】
前記内蔵光ファイバをたわみ変形させた後、前記突き合わせ部を前記第1クランプ部によって把持固定する前に、前記内蔵光ファイバのたわみ変形を目視で確認する請求項7に記載の光コネクタの組立方法。
【請求項11】
前記突き合わせ部を第1クランプ部によって把持固定した後、前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバを第2クランプ部で把持固定する請求項7に記載の光コネクタの組立方法。
【請求項12】
前記被覆除去部による被覆除去中に、前記挿入光ファイバの先端部を、前記被覆除去部の後側に配した可動ガイドの案内部に挿通させてたわみを規制しつつ前進させる請求項7に記載の光コネクタの組立方法。
【請求項1】
内蔵光ファイバの先端部が内蔵されたフェルールと、前記フェルールの後方で前記フェルールとの間に前記内蔵光ファイバのたわみ変形可能な空間を確保して設けられ、前記内蔵光ファイバの後端部と挿入光ファイバの被覆の除去により露出した裸光ファイバとの突き合わせ部を把持固定可能な第1クランプ部と、前記第1クランプ部の後方で前記挿入光ファイバの被覆を除去する被覆除去部とを備え、
前記挿入光ファイバを挿入して前進させて、前記被覆除去部による前記被覆の除去により露出した前記裸光ファイバを前記内蔵光ファイバの後端部に突き合わせ、さらに押圧して前記内蔵光ファイバを前記空間でたわみ変形させ、その状態で、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとの突き合わせ部を前記第1クランプ部によって把持固定可能である光コネクタ。
【請求項2】
前記フェルールと前記第1クランプ部との間に、前記内蔵光ファイバを挿通する第1挿通穴を有する第1ストレータと、前記第1ストレータの後方で前記第1挿通穴の延長方向に沿って前記内蔵光ファイバを挿通する第2挿通穴を有する第2ストレータと、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間に前記内蔵光ファイバの長手方向に沿って前記内蔵光ファイバがたわみ変形可能な空間を確保しつつ前記第1ストレータ及び前記第2ストレータを支持するストレータ支持部とを有し、前記内蔵光ファイバは、前記フェルール及び前記第1クランプ部内では予め被覆を除去した裸光ファイバであり、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間では被覆付き光ファイバである請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記第2ストレータは、前記第1クランプ部内に向けて突出した前記裸光ファイバからなる前記内蔵光ファイバの後端部を、その長手方向に沿って案内可能な裸光ファイバ挿通穴を有する請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記光コネクタは、前記内蔵光ファイバのたわみ変形可能な空間に配置した前記内蔵光ファイバをハウジングの外部から目視可能にする観察窓を有する請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバを把持固定可能な第2クランプ部を備える請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバの外周面をその周囲から挿通孔の内面壁部に当接させることで前記挿入光ファイバのたわみを規制しながらその挿入方向を前記被覆除去部に向けて案内する可動ガイドを備える請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項7】
挿入光ファイバを前進させて、前記挿入光ファイバの先端部の被覆を被覆除去部によって除去し、
前記被覆除去部によって被覆の除去された裸光ファイバを、前記被覆除去部の前方に配したフェルールに内蔵された内蔵光ファイバの後端部に突き合わせ、
前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとが突き合わされた状態で、さらに前記挿入光ファイバを前進させ、前記内蔵光ファイバの後端部を押圧して、前記内蔵光ファイバを前記フェルールと第1クランプ部との間に確保された空間でたわみ変形させ、その状態で、前記裸光ファイバと前記内蔵光ファイバとの突き合わせ部を第1クランプ部によって把持固定する光コネクタの組立方法。
【請求項8】
前記フェルールと前記第1クランプ部との間に、前記内蔵光ファイバを挿通する第1挿通穴を有する第1ストレータと、前記第1ストレータの後方で前記第1挿通穴の延長方向に沿って前記内蔵光ファイバを挿通する第2挿通穴を有する第2ストレータと、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間に前記内蔵光ファイバの長手方向に沿って前記内蔵光ファイバがたわみ変形可能な空間を確保しつつ前記第1ストレータ及び前記第2ストレータを支持するストレータ支持部とを有し、前記内蔵光ファイバは、前記フェルール及び前記第1クランプ部内では予め被覆を除去した裸光ファイバであり、前記第1ストレータ及び前記第2ストレータの間では被覆付き光ファイバである請求項7に記載の光コネクタの組立方法。
【請求項9】
前記第2ストレータは、前記第1クランプ部内に向けて突出した前記裸光ファイバからなる前記内蔵光ファイバの後端部を、その長手方向に沿って案内可能な裸光ファイバ挿通穴を有する請求項8に記載の光コネクタの組立方法。
【請求項10】
前記内蔵光ファイバをたわみ変形させた後、前記突き合わせ部を前記第1クランプ部によって把持固定する前に、前記内蔵光ファイバのたわみ変形を目視で確認する請求項7に記載の光コネクタの組立方法。
【請求項11】
前記突き合わせ部を第1クランプ部によって把持固定した後、前記被覆除去部の後方で前記挿入光ファイバを第2クランプ部で把持固定する請求項7に記載の光コネクタの組立方法。
【請求項12】
前記被覆除去部による被覆除去中に、前記挿入光ファイバの先端部を、前記被覆除去部の後側に配した可動ガイドの案内部に挿通させてたわみを規制しつつ前進させる請求項7に記載の光コネクタの組立方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−15787(P2013−15787A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150432(P2011−150432)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591044647)株式会社 スズキ技研 (36)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591044647)株式会社 スズキ技研 (36)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]