説明

光コネクタ取付用工具

【課題】光ファイバの種類毎に光コネクタ取付用工具を用意する必要性を無くすことができる光コネクタ取付用工具を提供する。
【解決手段】本発明の光コネクタ取付用工具10は、光コネクタ50をセットするための光コネクタセット部16と、光コネクタセット部16に対して光コネクタ50の軸方向にスライド可能に設けられると共に、光ファイバ80の先端部よりも後端側を支持するための基台20と、基台20の第一固定部32に取付可能とされ光ファイバ80を軸方向に案内する第一ファイバ案内部22と、第一固定部32に取付可能とされ光ファイバ80を基台20に固定する第一ファイバ固定部26と、基台20の第二固定部34に取付可能とされ光ファイバ80を軸方向に案内する第二ファイバ案内部24と、第二固定部34に取付可能とされ光ファイバ80を基台20に固定する第二ファイバ固定部28と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタ取付用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の光コネクタ取付用工具では、挿入補助用工具に光コネクタを取り付けると共に、アタッチメント用工具に光ファイバを取り付けた状態で、挿入補助用工具に対してアタッチメント用工具をスライドさせて光コネクタの内部に光ファイバを挿入し、この光ファイバと、光コネクタの内部に設けられた内蔵光ファイバとを突き合わせ接続するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−121863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の光コネクタ取付用工具では、光ファイバと内蔵光ファイバとが所定の突き当て力で突き当てられるようにするために光ファイバの一部にたわみを形成するようになっている。ところが、光ファイバの種類(外径や剛性)が異なる場合でも一定の長さのたわみを形成した場合には、突き当て力が過大となるか又は不足する場合がある。そして、突き当て力が過大となった場合には、光ファイバや内蔵光ファイバに欠け等が生じ、突き当て力が不足した場合には、所望の光学特性を得られなくなるなどの不都合が生じる虞がある。
【0005】
従って、光ファイバの種類(外径や剛性)が異なる場合には、これに応じてたわみの長さを適切長さに調節する必要があるが、上記特許文献1に記載の光コネクタ取付用工具を用いる場合には、この光コネクタ取付用工具を光ファイバの種類毎に用意する必要がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、光ファイバの種類毎に光コネクタ取付用工具を用意する必要性を無くすことができる光コネクタ取付用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の光コネクタ取付用工具は、光コネクタの内部に形成された溝に光ファイバの先端部を挿入して前記溝に保持された内蔵光ファイバの後端と前記光ファイバの先端とを突き合わせた状態で前記光ファイバの先端部に前記光コネクタを固定するための光コネクタ取付用工具であって、前記光コネクタをセットするための光コネクタセット部と、前記光コネクタセット部に対して前記光コネクタの軸方向にスライド可能に設けられると共に、前記光ファイバの前記先端部よりも後端側を支持するためのスライド部と、前記スライド部における第一の領域において前記光ファイバが軸方向以外の方向へ移動することを規制しつつ前記光ファイバを前記スライド部に対して軸方向に案内すると共に、前記スライド部における前記第一の領域よりも前記光ファイバの後端側の第二の領域において前記光ファイバを前記スライド部に固定する第一保持状態と、前記第一の領域において前記光ファイバを前記スライド部に固定する第二保持状態とに成り得るファイバ保持部と、を備え、前記光コネクタセット部に前記光コネクタがセットされると共に前記スライド部が前記光コネクタセット部側の移動限に位置されているときの前記溝の挿入口と前記第一の領域との間の距離と、前記第一の領域と前記第二の領域との間の距離とが異なって設定されている。
【0008】
この光コネクタ取付用工具によれば、例えば、次の要領で光ファイバの先端部に光コネクタを固定することができる。すなわち、先ず、光コネクタセット部に光コネクタをセットする。また、光ファイバの先端部よりも後端側をスライド部に支持させ、この光ファイバの先端部よりも後端側をファイバ保持部によってスライド部に保持する。そして、この状態で、スライド部を光コネクタ側にスライドさせて、光ファイバの先端部を光コネクタの内部の溝に挿入する。
【0009】
次いで、内蔵光ファイバの後端と光ファイバの先端とが突き当てられて光ファイバの先端部よりも後端側にたわみが形成されるまで、スライド部と共に光ファイバを光コネクタ側にスライドさせる。そして、光ファイバと内蔵光ファイバとが突き当てられて光ファイバの先端部よりも後端側にたわみが形成された段階で、スライド部を制止させ、光ファイバの先端部に光コネクタを固定する。以上の要領で光ファイバの先端部に光コネクタを固定することができる。
【0010】
ここで、この光コネクタ取付用工具では、ファイバ保持部を第一保持状態と第二保持状態とに切り替えることができるようになっている。つまり、ファイバ保持部が第一保持状態と成りたときには、光ファイバは、スライド部における第一の領域において軸方向以外の方向への移動が規制されつつスライド部に対して軸方向に案内されると共に、スライド部における第二の領域においてスライド部に固定される。従って、ファイバ保持部が第一保持状態とされた場合、内蔵光ファイバの後端と光ファイバの先端とを突き当てて光ファイバの先端部よりも後端側にたわみを形成する際には、第一の領域と第二の領域との間でたわみが形成される。
【0011】
一方、ファイバ保持部が第二保持状態とされたときには、光ファイバは、スライド部における第一の領域においてスライド部に固定される。従って、ファイバ保持部が第二保持状態とされた場合、内蔵光ファイバの後端と光ファイバの先端とを突き当てて光ファイバの先端部よりも後端側にたわみを形成する際には、溝の挿入口と第一の領域との間でたわみが形成される。
【0012】
そして、この光コネクタ取付用工具では、光コネクタセット部に光コネクタがセットされると共にスライド部が光コネクタセット部側の移動限に位置されているときの溝の挿入口と第一の領域との間の距離と、第一の領域と第二の領域との間の距離とが異なって設定されている。従って、第一の領域と第二の領域との間で形成されるたわみの長さと、溝の挿入口と第一の領域との間で形成されるたわみの長さを異ならせることができる。
【0013】
このように、この光コネクタ取付用工具によれば、たわみの長さを異ならせることができるので、光ファイバの種類(外径や剛性)が異なる場合でも、この光ファイバの種類に応じてたわみの長さを異ならせることにより、適切な突き当て力で光ファイバと内蔵光ファイバとを突き合わせ接続することができる。これにより、光ファイバの種類毎に光コネクタ取付用工具を用意する必要性を無くすことができる。
【0014】
請求項2に記載の光コネクタ取付用工具は、請求項1に記載の光コネクタ取付用工具において、前記ファイバ保持部が、前記第一の領域に取付可能とされ、前記第一の領域に取り付けられた場合に、前記光ファイバが軸方向以外の方向へ移動することを規制しつつ前記光ファイバを前記スライド部に対して軸方向に案内するファイバ案内部と、前記第一の領域に取付可能とされ、前記第一の領域に取り付けられた場合に、前記光ファイバを前記スライド部に固定する第一のファイバ固定部と、前記第二の領域に取付可能とされ、前記第二の領域に取り付けられた場合に、前記光ファイバを前記スライド部に固定する第二のファイバ固定部と、を有し、前記第一の領域に前記ファイバ案内部が取り付けられると共に前記第二の領域に前記第二のファイバ固定部が取り付けられることにより前記第一保持状態と成り、前記第一の領域に前記第一のファイバ固定部が取り付けられることにより前記第二保持状態と成る構成とされている。
【0015】
この光コネクタ取付用工具によれば、スライド部の第一の領域にファイバ案内部を取り付けると共にスライド部の第二の領域に第一のファイバ固定部を取り付けた状態と、スライド部の第一の領域に第二のファイバ固定部を取り付けた状態とに切り替えることにより、たわみの長さを異ならせることができる。
【0016】
請求項3に記載の光コネクタ取付用工具は、請求項1に記載の光コネクタ取付用工具において、前記ファイバ保持部が、前記第一の領域に取付可能とされ、前記第一の領域に取り付けられた場合に、前記光ファイバが軸方向以外の方向へ移動することを規制しつつ前記光ファイバを前記スライド部に対して軸方向に案内するファイバ案内部と、前記第一の領域及び前記第二の領域に選択的に取付可能とされ、前記第一の領域又は前記第二の領域に取り付けられた場合に、前記光ファイバを前記スライド部に固定するファイバ固定部と、を有し、前記第一の領域に前記ファイバ案内部が取り付けられると共に前記第二の領域に前記ファイバ固定部が取り付けられることにより前記第一保持状態と成り、
前記第一の領域に前記ファイバ固定部が取り付けられることにより前記第二保持状態と成る構成とされている。
【0017】
この光コネクタ取付用工具によれば、スライド部の第一の領域にファイバ案内部を取り付けると共にスライド部の第二の領域にファイバ固定部を取り付けた状態と、スライド部の第一の領域にファイバ固定部を取り付けた状態とに切り替えることにより、たわみの長さを異ならせることができる。
【0018】
請求項4に記載の光コネクタ取付用工具は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光コネクタ取付用工具において、前記スライド部における前記光ファイバの前記先端部よりも後端側を支持する支持面には、前記第一の領域と前記第二の領域との間に凸部が形成された構成とされている。
【0019】
この光コネクタ取付用工具によれば、上述の如く光ファイバの先端部よりも後端側にたわみを形成する際に、この凸部によりたわみの形成方向を規定することができ、内蔵光ファイバの後端と光ファイバの先端とに過剰な力が作用することを抑制することができる。
【0020】
前記課題を解決するために、請求項5に記載の光コネクタ取付用工具は、光コネクタの内部に形成された溝に光ファイバの先端部を挿入して前記溝に保持された内蔵光ファイバの後端と前記光ファイバの先端とを突き合わせた状態で前記光ファイバの先端部に前記光コネクタを固定するための光コネクタ取付用工具であって、前記光コネクタをセットするための光コネクタセット部と、前記光コネクタセット部に対して前記光コネクタの軸方向にスライド可能に設けられると共に、前記光ファイバの前記先端部よりも後端側を支持するためのスライド部と、前記光ファイバの前記先端部よりも後端側が軸方向以外の方向へ移動することを規制しつつ前記光ファイバを前記スライド部に対して軸方向に案内するファイバ案内部と、前記ファイバ案内部よりも前記光ファイバの後端側において前記光ファイバを前記スライド部に固定するファイバ固定部と、を備え、前記ファイバ案内部によって前記光ファイバが案内される位置と、前記ファイバ固定部によって前記光ファイバが固定される位置との間の距離が変更可能とされている。
【0021】
この光コネクタ取付用工具によれば、例えば、次の要領で光ファイバの先端部に光コネクタを固定することができる。すなわち、先ず、光コネクタセット部に光コネクタをセットする。また、光ファイバの先端部よりも後端側をスライド部に支持させた状態で、この光ファイバの先端部よりも後端側をファイバ案内部によってスライド部に対して案内すると共に、このファイバ案内部よりも光ファイバの後端側において光ファイバをファイバ固定部によってスライド部に固定する。そして、この状態で、スライド部を光コネクタ側にスライドさせて、光ファイバの先端部を光コネクタの内部の溝に挿入する。
【0022】
次いで、内蔵光ファイバの後端と光ファイバの先端とが突き当てられて光ファイバの先端部よりも後端側にたわみが形成されるまで、スライド部と共に光ファイバを光コネクタ側にスライドさせる。そして、光ファイバと内蔵光ファイバとが突き当てられて光ファイバの先端部よりも後端側にたわみが形成された段階で、スライド部を制止させ、光ファイバの先端部に光コネクタを固定する。以上の要領で光ファイバの先端部に光コネクタを固定することができる。
【0023】
ここで、この光コネクタ取付用工具では、光ファイバの先端部よりも後端側をファイバ案内部によってスライド部に対して案内すると共に、このファイバ案内部よりも光ファイバの後端側において光ファイバをファイバ固定部によってスライド部に固定する。従って、内蔵光ファイバの後端と光ファイバの先端とを突き当てて光ファイバの先端部よりも後端側にたわみを形成する際には、光ファイバをスライド部に対して案内するファイバ案内部と、光ファイバをスライド部に固定するファイバ固定部との間でたわみが形成される。
【0024】
そして、この光コネクタ取付用工具では、ファイバ案内部によって光ファイバが案内される位置と、ファイバ固定部によって光ファイバが固定される位置との間の距離が変更可能とされている。従って、この間で形成されるたわみの長さを変更することができる。
【0025】
このように、この光コネクタ取付用工具によれば、たわみの長さを変更することができるので、光ファイバの種類(外径や剛性)が異なる場合でも、この光ファイバの種類に応じてたわみの長さを変更することにより、適切な突き当て力で光ファイバと内蔵光ファイバとを突き合わせ接続することができる。これにより、光ファイバの種類毎に光コネクタ取付用工具を用意する必要性を無くすことができる。
【0026】
請求項6に記載の光コネクタ取付用工具は、請求項5に記載の光コネクタ取付用工具において、前記ファイバ案内部及び前記ファイバ固定部の少なくとも一方が、前記光ファイバの軸方向に移動可能とされ、前記ファイバ案内部によって前記光ファイバが案内される位置と、前記ファイバ固定部によって前記光ファイバが固定される位置との間の距離が、前記ファイバ案内部及び前記ファイバ固定部の少なくとも一方が前記光ファイバの軸方向に移動されることにより変更される構成とされている。
【0027】
この光コネクタ取付用工具によれば、ファイバ案内部及びファイバ固定部の少なくとも一方を光ファイバの軸方向に移動させることにより、たわみの長さを変更することができる。
【0028】
請求項7に記載の光コネクタ取付用工具は、請求項5に記載の光コネクタ取付用工具において、前記ファイバ案内部及び前記ファイバ固定部の少なくとも一方は、前記光ファイバの軸方向に複数設けられ、前記ファイバ案内部によって前記光ファイバが案内される位置と、前記ファイバ固定部によって前記光ファイバが固定される位置との間の距離は、前記複数の前記ファイバ案内部のうち前記光ファイバを案内するファイバ案内部が切り替えられるか、又は、前記複数の前記ファイバ固定部のうち前記光ファイバを固定するファイバ固定部が切り替えられることにより変更される構成とされている。
【0029】
この光コネクタ取付用工具によれば、複数のファイバ案内部のうち光ファイバを案内するファイバ案内部を切り替えるか、又は、複数のファイバ固定部のうち光ファイバを固定するファイバ固定部を切り替えることにより、たわみの長さを変更することができる。
【0030】
請求項8に記載の光コネクタ取付用工具は、請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の光コネクタ取付用工具において、前記スライド部における前記光ファイバの前記先端部よりも後端側を支持する支持面には、前記ファイバ案内部と前記ファイバ固定部との間に凸部が形成された構成とされている。
【0031】
この光コネクタ取付用工具によれば、上述の如く光ファイバの先端部よりも後端側にたわみを形成する際に、この凸部によりたわみの形成方向を規定することができ、内蔵光ファイバの後端と光ファイバの先端とに過剰な力が作用することを抑制することができる。
【0032】
請求項9に記載の光コネクタ取付用工具は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の光コネクタ取付用工具において、前記ファイバ固定部が、プラスチックにより形成されると共に、弾性変形を伴って前記光ファイバを前記スライド部とで挟持する構成とされたものである。
【0033】
この光コネクタ取付用工具によれば、本体部の弾性変形を伴って光ファイバを本体部とスライド部とで挟持することができるので、光ファイバをスライド部へ保持する保持力を確保することができる。
【発明の効果】
【0034】
以上詳述したように、本発明によれば、光ファイバの種類毎に光コネクタ取付用工具を用意する必要性を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第一実施形態に係る光コネクタ取付用工具を外径の大きい光ファイバに適用した状態を示す図である。
【図2】図1に示される光コネクタ取付用工具を外径の小さい光ファイバに適用した状態を示す図である。
【図3】図1に示される光ファイバホルダの斜視図であって、(A)は第一ファイバ案内部及び第二ファイバ固定部を開状態とした図、(B)は第一ファイバ案内部及び第二ファイバ固定部を閉状態とした図である。
【図4】図2に示される光ファイバホルダの斜視図であって、(A)は第一ファイバ固定部及び第二ファイバ案内部を開状態とした図、(B)は第一ファイバ固定部及び第二ファイバ案内部を閉状態とした図である。
【図5】図1に示される光ファイバホルダの正面断面図であって、(A)は光ファイバを基台にセットしていない状態、(B)は光ファイバを基台にセットした状態を示す図である。
【図6】図1に示される光コネクタの平面断面図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係る光コネクタ取付用工具の変形例を示す図である。
【図8】本発明の第二実施形態に係る光コネクタ取付用工具を外径の大きい光ファイバに適用した状態を示す図である。
【図9】図8に示される光コネクタ取付用工具を外径の小さい光ファイバに適用した状態を示す図である。
【図10】本発明の第三実施形態に係る光コネクタ取付用工具を外径の大きい光ファイバに適用した状態を示す図である。
【図11】図10に示される光コネクタ取付用工具を外径の小さい光ファイバに適用した状態を示す図である。
【図12】本発明の第三実施形態に係る光コネクタ取付用工具の変形例を示す図である。
【図13】本発明の第四実施形態に係る光コネクタ取付用工具を外径の大きい光ファイバに適用した状態を示す図である。
【図14】図13に示される光コネクタ取付用工具を外径の小さい光ファイバに適用した状態を示す図である。
【図15】本発明の第五実施形態に係る光コネクタ取付用工具を外径の大きい光ファイバに適用した状態を示す図である。
【図16】図15に示される光コネクタ取付用工具を外径の小さい光ファイバに適用した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
【0037】
図1,図2に示されるように、本発明の第一実施形態に係る光コネクタ取付用工具10は、光コネクタホルダ12と、光ファイバホルダ14とを備えている。
【0038】
光コネクタホルダ12は、長尺状に形成されており、その長手方向一方側には、光コネクタ50をセットするための光コネクタセット部16が形成され、その長手方向他方側には、後述する基台20をスライド可能に支持するためのスライド支持部18が形成されている。
【0039】
光ファイバホルダ14は、長尺状に形成されたスライド部としての基台20と、いずれもプラスチックにより形成された第一ファイバ案内部22と、第二ファイバ案内部24と、第一ファイバ固定部26と、第二ファイバ固定部28とを有して構成されている。
【0040】
基台20は、光ファイバ80の先端部よりも後端側を支持するための溝30(図3,図4も参照)を有しており、スライド支持部18にセットされた状態では、このスライド支持部18に対して光コネクタ50の軸方向にスライド可能に支持されるように構成されている。また、この基台20は、図1〜図4に示されるように、第一の領域としての第一固定部32と、この第一固定部32よりも光ファイバ80の後端側の第二の領域としての第二固定部34とを有している。
【0041】
第一ファイバ案内部22及び第一ファイバ固定部26は、第一固定部32に選択的に取り付けられるようになっており、第二ファイバ案内部24及び第二ファイバ固定部28は、第二固定部34に選択的に取り付けられるようになっている。
【0042】
つまり、図1,図3では、第一ファイバ案内部22が第一固定部32に取り付けられると共に、第二ファイバ固定部28が第二固定部34に取り付けられているが、図2,図4に示されるように、第一ファイバ固定部26が第一固定部32に取り付けられると共に、第二ファイバ案内部24が第二固定部34に取り付けられることも可能となっている。
【0043】
また、第一ファイバ案内部22及び第二ファイバ固定部28は、第一固定部32及び第二固定部34にそれぞれ回動可能に取り付けられる回動部36,38を有しており、基台20に対して図3(A)に示される開状態と図3(B)に示される閉状態とに成り得るようになっている。同様に、第一ファイバ固定部26及び第二ファイバ案内部24も、第一固定部32及び第二固定部34にそれぞれ回動可能に取り付けられる回動部36,38を有しており、基台20に対して図4(A)に示される開状態と図4(B)に示される閉状態とに成り得るようになっている。
【0044】
また、これら第一ファイバ案内部22、第一ファイバ固定部26、第二ファイバ案内部24、及び、第二ファイバ固定部28は、基台20に対して閉状態とされたときに基台20に固定される固定部40,42をそれぞれ有している。
【0045】
さらに、第一ファイバ案内部22及び第二ファイバ案内部24は、ガイド溝44を有しており、基台20に取り付けられて閉状態とされたときには、光ファイバ80が軸方向以外の方向へ移動することを規制しつつ、この光ファイバ80を基台20に対して軸方向に案内する構成とされている。
【0046】
一方、図5に示されるように、第二ファイバ固定部28は、回動部38と固定部42との間に本体部46を有している。この本体部46と溝30との間のクリアランスは、この溝30に挿入される光ファイバ80の外径よりも小さく設定されている。
【0047】
そして、これにより、第二ファイバ固定部28は、基台20に取り付けられて閉状態とされたときには、本体部46が弾性変形を伴って光ファイバ80を基台20とで挟持し、これにより、光ファイバ80を基台20に対して軸方向に移動不能に固定する構成とされている。なお、第一ファイバ固定部26も、第二ファイバ固定部28と同様に構成されている。
【0048】
さらに、図1,図2に示されるように、この光コネクタ取付用工具10では、光コネクタセット部16に光コネクタ50がセットされると共に基台20が光コネクタセット部16側の移動限に位置されているときの光コネクタ50の後端50A(後述する溝69の挿入口69A)と第一固定部32との間の距離L1と、第一固定部32と第二固定部34との間の距離L2とが異なって設定されている。つまり、距離L1の方が距離L2よりも短く設定されている。
【0049】
なお、本実施形態では、第一ファイバ案内部22、第一ファイバ固定部26、第二ファイバ案内部24、及び、第二ファイバ固定部28によって本発明におけるファイバ保持部が構成されている。
【0050】
また、図1,図3に示されるように、光ファイバ80の先端部よりも後端側を第一ファイバ案内部22及び第二ファイバ固定部28によって基台20に保持する状態が、本発明におけるファイバ保持部の第一保持状態に相当し、図2,図4に示されるように、光ファイバ80の先端部よりも後端側を第一ファイバ固定部26及び第二ファイバ案内部24によって基台20に保持する状態が、本発明におけるファイバ保持部の第二保持状態に相当する。
【0051】
光コネクタ50は、図6に示されるように、所謂、メカニカル接続型とされており、プラグ52と、スプリング54と、フレーム56と、支持部材58と、スライダ60とを有して構成されている。
【0052】
プラグ52は、フェルール62及びファイバ接続部64を有して構成されている。フェルール62は、内蔵光ファイバ66を有しており、後述するファイバ接続部64の基板68に一体に組み付けられている。
【0053】
ファイバ接続部64は、基板68と、一対の蓋部材70と、押圧部材72とを有して構成されている。基板68の表面部には、光コネクタ50の軸方向に沿って断面V字状の溝69が形成されており、この溝69には、上述の内蔵光ファイバ66の後端側が挿入されている。
【0054】
一対の蓋部材70は、溝69の長手方向に並んで配置されると共に、それぞれこの溝69が形成された基板68の表面部を覆う大きさ及び形状で構成されている。また、この一対の蓋部材70は、押圧部材72に形成された一対の押圧片72Aによって基板68側にそれぞれ押圧されている。
【0055】
なお、基板68及び一対の蓋部材70には、図1,図2に示される楔74に形成された凸部を挿入可能な凹部(いずれも不図示)が形成されている。そして、この凹部に凸部を挿入することで押圧部材72の押圧力に抗して基板68から一対の蓋部材70を離間させることが可能となっている。
【0056】
フレーム56は、プラグ52を軸方向にスライド可能に収納しており、スプリング54は、フレーム56の内部に設けられて、フレーム56に対してプラグ52を先端側に付勢している。また、支持部材58は、フレーム56の外周部に組み付けられており、スライダ60は、支持部材58の外側に設けられると共に、この支持部材58にスライド可能に支持されている。
【0057】
次に、この光コネクタ取付用工具10を用いて光ファイバ80の先端部に光コネクタ50を固定する方法と併せて、その作用及び効果を説明する。
【0058】
はじめに、光ファイバ80の外径がφ0.9mmで被覆の材料がナイロン(登録商標)とされた場合の光ファイバ80の先端部に光コネクタ50を固定する方法を説明する。先ず、図3(A)に示されるように、光ファイバ80の先端部における先端側の被覆を除去して裸ファイバ82を露出させると共に、この裸ファイバ82の先端を切断する。
【0059】
また、第一ファイバ案内部22及び第二ファイバ固定部28を基台20に取り付けてそれぞれ開状態とし、光ファイバ80の先端部よりも後端側を基台20の溝30に挿入する。
【0060】
そして、図3(B)に示されるように、第一ファイバ案内部22及び第二ファイバ固定部28を閉状態として、この光ファイバ80の先端部よりも後端側を第一ファイバ案内部22及び第二ファイバ固定部28によって基台20に保持する。
【0061】
また、図1に示されるように、光コネクタセット部16に光コネクタ50をセットする。そして、この状態で、基台20を光コネクタ50側にスライドさせて、光ファイバ80の先端部を光コネクタ50の内部の溝69に挿入する。
【0062】
次いで、内蔵光ファイバ66の後端と光ファイバ80の先端とが突き当てられて、図1に示されるように、第一ファイバ案内部22と第二ファイバ固定部28との間で光ファイバ80にたわみ84が形成されるまで、基台20と共に光ファイバ80を光コネクタ50側にスライドさせる。
【0063】
そして、光ファイバ80と内蔵光ファイバ66とが突き当てられて光ファイバ80にたわみ84が形成された段階で、基台20を制止させ、楔74を光コネクタ50から取り外す。これにより、図6に示されるように、押圧部材72によって蓋部材70が基板68側に押圧されて光ファイバ80の先端部がファイバ接続部64に固定される。以上の要領で光ファイバ80の先端部に光コネクタ50を固定することができる。
【0064】
次に、光ファイバ80の外径がφ0.25mmで被覆の材料が紫外線硬化樹脂とされた場合の光ファイバ80の先端部に光コネクタ50を固定する方法を説明する。先ず、上記と同様に、図4(A)に示されるように、光ファイバ80の先端部における先端側の被覆を除去して裸ファイバ82を露出させると共に、この裸ファイバ82の先端を切断する。
【0065】
また、第一ファイバ固定部26及び第二ファイバ案内部24を基台20に取り付けてそれぞれ開状態とし、光ファイバ80の先端部よりも後端側を基台20の溝30に挿入する。
【0066】
そして、図4(B)に示されるように、第一ファイバ固定部26及び第二ファイバ案内部24を閉状態として、この光ファイバ80の先端部よりも後端側を第一ファイバ固定部26及び第二ファイバ案内部24によって基台20に保持する。
【0067】
また、図2に示されるように、光コネクタセット部16に光コネクタ50をセットする。そして、この状態で、基台20を光コネクタ50側にスライドさせて、光ファイバ80の先端部を光コネクタ50の内部の溝69に挿入する。
【0068】
次いで、内蔵光ファイバ66の後端と光ファイバ80の先端とが突き当てられて、図2に示されるように、光コネクタ50の後端50A(溝69の挿入口69A)と第一ファイバ固定部26との間で光ファイバ80にたわみ84が形成されるまで、基台20と共に光ファイバ80を光コネクタ50側にスライドさせる。
【0069】
そして、光ファイバ80と内蔵光ファイバ66とが突き当てられて光ファイバ80にたわみ84が形成された段階で、基台20を制止させ、楔74を光コネクタ50から取り外す。これにより、図6に示されるように、押圧部材72によって蓋部材70が基板68側に押圧されて光ファイバ80の先端部がファイバ接続部64に固定される。以上の要領で光ファイバ80の先端部に光コネクタ50を固定することができる。
【0070】
ここで、この光コネクタ取付用工具10では、図1に示されるように、光ファイバ80の先端部よりも後端側を第一ファイバ案内部22及び第二ファイバ固定部28によって基台20に保持したときには、第一ファイバ案内部22と第二ファイバ固定部28との間、すなわち、第一固定部32と第二固定部34との間でたわみ84が形成される。
【0071】
一方、図2に示されるように、光ファイバ80の先端部よりも後端側を第一ファイバ固定部26及び第二ファイバ案内部24によって基台20に保持したときには、光コネクタ50の後端50A(溝69の挿入口69A)と第一ファイバ固定部26との間、すなわち、光コネクタ50の後端50Aと第一固定部32との間でたわみ84が形成される。
【0072】
そして、この光コネクタ取付用工具10では、光コネクタセット部16に光コネクタ50がセットされると共に基台20が光コネクタセット部16側の移動限に位置されているときの光コネクタ50の後端50A(溝69の挿入口69A)と第一固定部32との間の距離L1の方が、第一固定部32と第二固定部34との間の距離L2よりも短く設定されている。このため、第一固定部32と第二固定部34との間で形成されるたわみ84の長さよりも、光コネクタ50の後端50Aと第一固定部32との間で形成されるたわみ84の長さを短くすることができる。
【0073】
従って、上述のように、光ファイバ80の外径が大きい場合や剛性が高い場合に、光ファイバ80の先端部よりも後端側を第一ファイバ案内部22及び第二ファイバ固定部28によって基台20に保持すれば、距離の長い第一固定部32と第二固定部34との間においてたわみ84を形成することができる。これにより、たわみ84の長さを十分に確保することができるので、突き当て力が過大となって光ファイバ80や内蔵光ファイバ66に欠け等が生じることを抑制することができる。
【0074】
一方、上述のように、光ファイバ80の外径が小さい場合や剛性が低い場合に、光ファイバ80の先端部よりも後端側を第一ファイバ固定部26及び第二ファイバ案内部24によって基台20に保持すれば、距離の短い光コネクタ50の後端50Aと第一固定部32との間においてたわみ84を形成することができる。これにより、たわみ84の長さを短くすることができるので、突き当て力が不足して所望の光学特性を得られなくなるなどの不都合が生じることを抑制することができる。
【0075】
このように、この光コネクタ取付用工具10によれば、光ファイバ80の種類(外径や剛性)が異なる場合でも、適切な突き当て力で光ファイバ80と内蔵光ファイバ66とを突き合わせ接続することができる。これにより、光ファイバ80の種類毎に光コネクタ取付用工具10を用意する必要性を無くすことができる。
【0076】
また、この光コネクタ取付用工具10によれば、第一ファイバ固定部26及び第二ファイバ固定部28が本体部46の弾性変形を伴って光ファイバ80を本体部46と基台20とで挟持することができるので、光ファイバ80を基台20へ保持する保持力を確保することができる。
【0077】
なお、本実施形態では、図2,図4に示されるように、光ファイバ80の外径が小さい場合や剛性が低い場合に、第二固定部34に第二ファイバ案内部24が取り付けられていたが、第二固定部34に第二ファイバ固定部28が取り付けられても良い。このようにしても、距離の短い光コネクタ50の後端50Aと第一固定部32との間においてたわみ84を形成することができる。
【0078】
また、本実施形態において、光ファイバホルダ14は、たわみ84の長さを短い状態と長い状態とに切替可能とされていたが、複数の固定部と、これらに取り付けられるファイバ案内部やファイバ固定部を有することにより、たわみ84の長さを三つ以上の状態に切替可能とされていても良い。
【0079】
また、本実施形態において、基台20に形成された溝30の底面(光ファイバ80の先端部よりも後端側を支持する支持面)には、図7に示されるように、第一固定部32と第二固定部34との間に凸部31が形成されていても良い。このように構成されていると、上述の如く光ファイバ80の先端部よりも後端側にたわみ84を形成する際に、この凸部31によりたわみ84の形成方向を規定することができ、内蔵光ファイバ66の後端と光ファイバ80の先端とに過剰な力が作用することを抑制することができる。
【0080】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0081】
図8,図9に示される本発明の第二実施形態に係る光コネクタ取付用工具90は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ取付用工具10に対し、次の如く構成が変更されている。
【0082】
すなわち、この光コネクタ取付用工具90は、ファイバ案内部92とファイバ固定部98を一つずつ有している。ファイバ案内部92は、第一固定部32及び第二固定部34のいずれにも選択的に取付可能とされており、同様に、ファイバ固定部98も、第一固定部32及び第二固定部34のいずれにも選択的に取付可能とされている。
【0083】
なお、ファイバ案内部92、ファイバ固定部98は、第一固定部32及び第二固定部34のいずれにも選択的に取付可能とされている以外は、上述の本発明の第一実施形態における第一ファイバ案内部22、第二ファイバ固定部28とそれぞれ同様の構成とされている。
【0084】
そして、この光コネクタ取付用工具90では、図8に示されるように、第一固定部32にファイバ案内部92が固定され、第二固定部34にファイバ固定部98が固定されたときには、ファイバ案内部92とファイバ固定部98との間、すなわち、第一固定部32と第二固定部34との間でたわみ84が形成される。
【0085】
一方、図9に示されるように、第一固定部32にファイバ固定部98が固定され、第二固定部34にファイバ案内部92が固定されたときには、光コネクタ50の後端50A(溝69の挿入口69A)とファイバ固定部98との間、すなわち、光コネクタ50の後端50Aと第一固定部32との間でたわみ84が形成される。
【0086】
従って、光ファイバ80の外径が大きい場合や剛性が高い場合に、ファイバ案内部92を第一固定部32に固定すると共にファイバ固定部98を第二固定部34に固定し、このファイバ案内部92及びファイバ固定部98によって光ファイバ80の先端部よりも後端側を基台20に保持すれば、距離の長い第一固定部32と第二固定部34との間においてたわみ84を形成することができる。これにより、たわみ84の長さを十分に確保することができるので、突き当て力が過大となって光ファイバ80や内蔵光ファイバ66に欠け等が生じることを抑制することができる。
【0087】
一方、光ファイバ80の外径が小さい場合や剛性が低い場合に、ファイバ固定部98を第一固定部32に固定すると共にファイバ案内部92を第二固定部34に固定し、このファイバ固定部98及びファイバ案内部92によって光ファイバ80の先端部よりも後端側を基台20に保持すれば、距離の短い光コネクタ50の後端50Aと第一固定部32との間においてたわみ84を形成することができる。これにより、たわみ84の長さを短くすることができるので、突き当て力が不足して所望の光学特性を得られなくなるなどの不都合が生じることを抑制することができる。
【0088】
このように、この光コネクタ取付用工具90によれば、光ファイバ80の種類(外径や剛性)が異なる場合でも、適切な突き当て力で光ファイバ80と内蔵光ファイバ66とを突き合わせ接続することができる。これにより、光ファイバ80の種類毎に光コネクタ取付用工具90を用意する必要性を無くすことができる。
【0089】
なお、本実施形態では、図9に示されるように、光ファイバ80の外径が小さい場合や剛性が低い場合に、第二固定部34にファイバ案内部92が取り付けられていたが、第二固定部34にファイバ固定部98と同様のファイバ固定部が取り付けられても良い。このようにしても、距離の短い光コネクタ50の後端50Aと第一固定部32との間においてたわみ84を形成することができる。
【0090】
また、本実施形態において、光ファイバホルダ14は、たわみ84の長さを短い状態と長い状態とに切替可能とされていたが、複数の固定部と、これらに取り付けられるファイバ案内部やファイバ固定部を有することにより、たわみ84の長さを三つ以上の状態に切替可能とされていても良い。
【0091】
また、特に図示しないが、本実施形態においても、基台20に形成された溝30の底面には、第一固定部32と第二固定部34との間に凸部31が形成されていても良い(図7参照)。このように構成されていると、上述の如く光ファイバ80の先端部よりも後端側にたわみ84を形成する際に、この凸部31によりたわみ84の形成方向を規定することができ、内蔵光ファイバ66の後端と光ファイバ80の先端とに過剰な力が作用することを抑制することができる。
【0092】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
【0093】
図10,図11に示される本発明の第三実施形態に係る光コネクタ取付用工具100は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ取付用工具10に対し、次の如く構成が変更されている。
【0094】
すなわち、この光コネクタ取付用工具100は、ファイバ案内部102とファイバ固定部108を一つずつ有している。また、第一固定部32は、ファイバ案内部102を基台20の長手方向にスライド可能に保持している。
【0095】
なお、ファイバ案内部102、ファイバ固定部108は、上述の本発明の第一実施形態における第一ファイバ案内部22、第二ファイバ固定部28とそれぞれ同様の構成とされている。また、第一固定部32も、ファイバ案内部102を基台20の長手方向にスライド可能に保持する以外は、上述の本発明の第一実施形態と同様の構成とされている。
【0096】
そして、この光コネクタ取付用工具100では、図10,図11に示されるように、ファイバ案内部102を基台20に対してスライドさせることにより、光ファイバ80におけるファイバ案内部102による案内位置とファイバ固定部108による固定位置との間の距離L3が変更可能とされている。そして、これにより、この間で形成されるたわみ84の長さを変更することができるようになっている。
【0097】
従って、図10に示されるように、光ファイバ80の外径が大きい場合や剛性が高い場合に、ファイバ案内部102を光コネクタ50に近づければ、たわみ84の長さを十分に確保することができるので、突き当て力が過大となって光ファイバ80や内蔵光ファイバ66に欠け等が生じることを抑制することができる。
【0098】
一方、図11に示されるように、光ファイバ80の外径が小さい場合や剛性が低い場合に、ファイバ案内部102を光コネクタ50から遠ざければ、たわみ84の長さを短くすることができるので、突き当て力が不足して所望の光学特性を得られなくなるなどの不都合が生じることを抑制することができる。
【0099】
このように、この光コネクタ取付用工具100によれば、光ファイバ80の種類(外径や剛性)が異なる場合でも、適切な突き当て力で光ファイバ80と内蔵光ファイバ66とを突き合わせ接続することができる。これにより、光ファイバ80の種類毎に光コネクタ取付用工具100を用意する必要性を無くすことができる。
【0100】
なお、本実施形態では、ファイバ案内部102が基台20の長手方向にスライドされることにより、たわみ84の長さが変更されていたが、ファイバ案内部102及びファイバ固定部108の双方が基台20の長手方向にスライドされるか、又は、ファイバ固定部108が基台20の長手方向にスライドされることにより、たわみ84の長さが変更されても良い。
【0101】
また、本実施形態において、基台20に形成された溝30の底面(光ファイバ80の先端部よりも後端側を支持する支持面)には、図12に示されるように、第一固定部32と第二固定部34との間(ファイバ案内部102とファイバ固定部108との間)に凸部31が形成されていても良い。このように構成されていると、上述の如く光ファイバ80の先端部よりも後端側にたわみ84を形成する際に、この凸部31によりたわみ84の形成方向を規定することができ、内蔵光ファイバ66の後端と光ファイバ80の先端とに過剰な力が作用することを抑制することができる。
【0102】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
【0103】
図13,図14に示される本発明の第四実施形態に係る光コネクタ取付用工具110は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ取付用工具10に対し、次の如く構成が変更されている。
【0104】
すなわち、この光コネクタ取付用工具110では、一対のファイバ案内部112A,112Bと、ファイバ固定部118とを有している。また、一対のファイバ案内部112A,112Bは、基台20の長手方向に並んで配置されている。
【0105】
なお、一対のファイバ案内部112A,112B、ファイバ固定部118は、上述の本発明の第一実施形態における第一ファイバ案内部22、第二ファイバ固定部28とそれぞれ同様の構成とされている。
【0106】
そして、この光コネクタ取付用工具110では、図13,図14に示されるように、一対のファイバ案内部112A,112Bのうち閉状態とされるファイバ案内部が切り替えられることにより、この閉状態とされたファイバ案内部によって光ファイバ80が案内される位置と、ファイバ固定部118によって光ファイバ80が固定される位置との間の距離L4が変更される構成とされている。そして、これにより、この間で形成されるたわみ84の長さを変更することができるようになっている。
【0107】
従って、図13に示されるように、光ファイバ80の外径が大きい場合や剛性が高い場合に、光コネクタ50に近い側のファイバ案内部112Aを閉状態とすれば、たわみ84の長さを十分に確保することができるので、突き当て力が過大となって光ファイバ80や内蔵光ファイバ66に欠け等が生じることを抑制することができる。
【0108】
一方、図14に示されるように、光ファイバ80の外径が小さい場合や剛性が低い場合に、光コネクタ50から遠い側のファイバ案内部112Bを閉状態とすれば、たわみ84の長さを短くすることができるので、突き当て力が不足して所望の光学特性を得られなくなるなどの不都合が生じることを抑制することができる。
【0109】
このように、この光コネクタ取付用工具110によれば、光ファイバ80の種類(外径や剛性)が異なる場合でも、適切な突き当て力で光ファイバ80と内蔵光ファイバ66とを突き合わせ接続することができる。これにより、光ファイバ80の種類毎に光コネクタ取付用工具110を用意する必要性を無くすことができる。
【0110】
なお、特に図示しないが、本実施形態においても、基台20に形成された溝30の底面には、第一固定部32と第二固定部34との間(ファイバ案内部112Bとファイバ固定部118との間)に凸部31が形成されていても良い(図12参照)。このように構成されていると、上述の如く光ファイバ80の先端部よりも後端側にたわみ84を形成する際に、この凸部31によりたわみ84の形成方向を規定することができ、内蔵光ファイバ66の後端と光ファイバ80の先端とに過剰な力が作用することを抑制することができる。
【0111】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
【0112】
図15,図16に示される本発明の第五実施形態に係る光コネクタ取付用工具120は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ取付用工具10に対し、次の如く構成が変更されている。
【0113】
すなわち、この光コネクタ取付用工具120では、ファイバ案内部112と、一対のファイバ固定部118A,118Bとを有している。また、一対のファイバ固定部118A,118Bは、基台20の長手方向に並んで配置されている。
【0114】
なお、ファイバ案内部112、一対のファイバ固定部118A,118Bは、上述の本発明の第一実施形態における第一ファイバ案内部22、第二ファイバ固定部28とそれぞれ同様の構成とされている。
【0115】
そして、この光コネクタ取付用工具120では、図15,図16に示されるように、一対のファイバ固定部118A,118Bのうち閉状態とされるファイバ固定部が切り替えられることにより、ファイバ案内部112によって光ファイバ80が案内される位置と、閉状態とされたファイバ固定部によって光ファイバ80が固定される位置との間の距離L5が変更される構成とされている。そして、これにより、この間で形成されるたわみ84の長さを変更することができるようになっている。
【0116】
従って、図15に示されるように、光ファイバ80の外径が大きい場合や剛性が高い場合に、ファイバ案内部112から遠い側のファイバ固定部118Bを閉状態とすれば、たわみ84の長さを十分に確保することができるので、突き当て力が過大となって光ファイバ80や内蔵光ファイバ66に欠け等が生じることを抑制することができる。
【0117】
一方、図16に示されるように、光ファイバ80の外径が小さい場合や剛性が低い場合に、ファイバ案内部112に近い側のファイバ固定部118Aを閉状態とすれば、たわみ84の長さを短くすることができるので、突き当て力が不足して所望の光学特性を得られなくなるなどの不都合が生じることを抑制することができる。
【0118】
このように、この光コネクタ取付用工具120によれば、光ファイバ80の種類(外径や剛性)が異なる場合でも、適切な突き当て力で光ファイバ80と内蔵光ファイバ66とを突き合わせ接続することができる。これにより、光ファイバ80の種類毎に光コネクタ取付用工具120を用意する必要性を無くすことができる。
【0119】
なお、本実施形態においては、本発明の第四実施形態のように、ファイバ案内部112の代わりに、一対のファイバ案内部112A,112Bが設けられ、一対のファイバ案内部112A,112Bのうち閉状態とされるファイバ案内部が切り替えられると共に、一対のファイバ固定部118A,118Bのうち閉状態とされるファイバ固定部が切り替えられることにより、たわみ84の長さが変更されても良い。
【0120】
また、特に図示しないが、本実施形態においても、基台20に形成された溝30の底面には、第一固定部32と第二固定部34との間(ファイバ案内部112とファイバ固定部118Bとの間)に凸部31が形成されていても良い(図12参照)。このように構成されていると、上述の如く光ファイバ80の先端部よりも後端側にたわみ84を形成する際に、この凸部31によりたわみ84の形成方向を規定することができ、内蔵光ファイバ66の後端と光ファイバ80の先端とに過剰な力が作用することを抑制することができる。
【0121】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0122】
10 光コネクタ取付用工具
16 光コネクタセット部
20 基台(スライド部)
22 第一ファイバ案内部(ファイバ案内部)
24 第二ファイバ案内部
26 第一ファイバ固定部(第一のファイバ固定部)
28 第二ファイバ固定部(第二のファイバ固定部)
31 凸部
32 第一固定部(第一の領域)
34 第二固定部(第二の領域)
90 光コネクタ取付用工具
92 ファイバ案内部
98 ファイバ固定部
100 光コネクタ取付用工具
102 ファイバ案内部
108 ファイバ固定部
110 光コネクタ取付用工具
112,112A,112B ファイバ案内部
118,118A,118B ファイバ固定部
120 光コネクタ取付用工具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタの内部に形成された溝に光ファイバの先端部を挿入して前記溝に保持された内蔵光ファイバの後端と前記光ファイバの先端とを突き合わせた状態で前記光ファイバの先端部に前記光コネクタを固定するための光コネクタ取付用工具であって、
前記光コネクタをセットするための光コネクタセット部と、
前記光コネクタセット部に対して前記光コネクタの軸方向にスライド可能に設けられると共に、前記光ファイバの前記先端部よりも後端側を支持するためのスライド部と、
前記スライド部における第一の領域において前記光ファイバが軸方向以外の方向へ移動することを規制しつつ前記光ファイバを前記スライド部に対して軸方向に案内すると共に、前記スライド部における前記第一の領域よりも前記光ファイバの後端側の第二の領域において前記光ファイバを前記スライド部に固定する第一保持状態と、前記第一の領域において前記光ファイバを前記スライド部に固定する第二保持状態とに成り得るファイバ保持部と、
を備え、
前記光コネクタセット部に前記光コネクタがセットされると共に前記スライド部が前記光コネクタセット部側の移動限に位置されているときの前記溝の挿入口と前記第一の領域との間の距離と、前記第一の領域と前記第二の領域との間の距離とが異なって設定されている光コネクタ取付用工具。
【請求項2】
前記ファイバ保持部は、
前記第一の領域に取付可能とされ、前記第一の領域に取り付けられた場合に、前記光ファイバが軸方向以外の方向へ移動することを規制しつつ前記光ファイバを前記スライド部に対して軸方向に案内するファイバ案内部と、
前記第一の領域に取付可能とされ、前記第一の領域に取り付けられた場合に、前記光ファイバを前記スライド部に固定する第一のファイバ固定部と、
前記第二の領域に取付可能とされ、前記第二の領域に取り付けられた場合に、前記光ファイバを前記スライド部に固定する第二のファイバ固定部と、
を有し、
前記第一の領域に前記ファイバ案内部が取り付けられると共に前記第二の領域に前記第二のファイバ固定部が取り付けられることにより前記第一保持状態と成り、
前記第一の領域に前記第一のファイバ固定部が取り付けられることにより前記第二保持状態と成る、
請求項1に記載の光コネクタ取付用工具。
【請求項3】
前記ファイバ保持部は、
前記第一の領域に取付可能とされ、前記第一の領域に取り付けられた場合に、前記光ファイバが軸方向以外の方向へ移動することを規制しつつ前記光ファイバを前記スライド部に対して軸方向に案内するファイバ案内部と、
前記第一の領域及び前記第二の領域に選択的に取付可能とされ、前記第一の領域又は前記第二の領域に取り付けられた場合に、前記光ファイバを前記スライド部に固定するファイバ固定部と、
を有し、
前記第一の領域に前記ファイバ案内部が取り付けられると共に前記第二の領域に前記ファイバ固定部が取り付けられることにより前記第一保持状態と成り、
前記第一の領域に前記ファイバ固定部が取り付けられることにより前記第二保持状態と成る、
請求項1に記載の光コネクタ取付用工具。
【請求項4】
前記スライド部における前記光ファイバの前記先端部よりも後端側を支持する支持面には、前記第一の領域と前記第二の領域との間に凸部が形成されている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光コネクタ取付用工具。
【請求項5】
光コネクタの内部に形成された溝に光ファイバの先端部を挿入して前記溝に保持された内蔵光ファイバの後端と前記光ファイバの先端とを突き合わせた状態で前記光ファイバの先端部に前記光コネクタを固定するための光コネクタ取付用工具であって、
前記光コネクタをセットするための光コネクタセット部と、
前記光コネクタセット部に対して前記光コネクタの軸方向にスライド可能に設けられると共に、前記光ファイバの前記先端部よりも後端側を支持するためのスライド部と、
前記光ファイバの前記先端部よりも後端側が軸方向以外の方向へ移動することを規制しつつ前記光ファイバを前記スライド部に対して軸方向に案内するファイバ案内部と、
前記ファイバ案内部よりも前記光ファイバの後端側において前記光ファイバを前記スライド部に固定するファイバ固定部と、
を備え、
前記ファイバ案内部によって前記光ファイバが案内される位置と、前記ファイバ固定部によって前記光ファイバが固定される位置との間の距離が変更可能とされている光コネクタ取付用工具。
【請求項6】
前記ファイバ案内部及び前記ファイバ固定部の少なくとも一方は、前記光ファイバの軸方向に移動可能とされ、
前記ファイバ案内部によって前記光ファイバが案内される位置と、前記ファイバ固定部によって前記光ファイバが固定される位置との間の距離は、前記ファイバ案内部及び前記ファイバ固定部の少なくとも一方が前記光ファイバの軸方向に移動されることにより変更される、
請求項5に記載の光コネクタ取付用工具。
【請求項7】
前記ファイバ案内部及び前記ファイバ固定部の少なくとも一方は、前記光ファイバの軸方向に複数設けられ、
前記ファイバ案内部によって前記光ファイバが案内される位置と、前記ファイバ固定部によって前記光ファイバが固定される位置との間の距離は、前記複数の前記ファイバ案内部のうち前記光ファイバを案内するファイバ案内部が切り替えられるか、又は、前記複数の前記ファイバ固定部のうち前記光ファイバを固定するファイバ固定部が切り替えられることにより変更される、
請求項5に記載の光コネクタ取付用工具。
【請求項8】
前記スライド部における前記光ファイバの前記先端部よりも後端側を支持する支持面には、前記ファイバ案内部と前記ファイバ固定部との間に凸部が形成されている、
請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の光コネクタ取付用工具。
【請求項9】
前記ファイバ固定部は、プラスチックにより形成されると共に、弾性変形を伴って前記光ファイバを前記スライド部とで挟持する構成とされている、
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の光コネクタ取付用工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−59140(P2011−59140A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205251(P2009−205251)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】