説明

光コネクタ

【課題】光ファイバどうしを突き合わせ接続する光コネクタにおいて、環境条件によらず、十分な光ファイバの突き当て力が得られる光コネクタを提供する。
【解決手段】フェルール1内の内蔵光ファイバ6が、別の光ファイバ13に突き合わせ接続されるコネクタ本体10と、光ファイバ13をたわませて内蔵光ファイバ6に向けて付勢した状態でコネクタ本体10に引き留める引留機構50とを備えた光コネクタ60。引留機構50は、光ファイバ13を保持する引留部品30と、引留部品30をコネクタ本体10に連結する連結部20とを備えている。連結部20は、光ファイバ13のたわみ部分14を押さえつけて前記付勢力を高める押圧部材22を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場組立型の光コネクタに関し、特に光ファイバ内蔵型の光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ先端への組立作業を接続現場にて行うことができる光コネクタの一例として、フェルールに予め内蔵光ファイバを内挿固定したものがある。
この光コネクタでは、フェルールの後端側に設けた接続機構において、成端するべき光ファイバの端部を、内蔵光ファイバの端部と突き合わせることにより接続する。
特許文献1には、内蔵光ファイバを備えたフェルールを有する光コネクタが開示されている。この光コネクタは、内蔵光ファイバが、スプライス部材の内部で被覆付き光ファイバと突き合わせ接続される。
【特許文献1】特開2005−345753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の光コネクタでは、接続損失を防ぐには、被覆付き光ファイバを十分な力で内蔵光ファイバに押し当てる必要がある。このため、被覆付き光ファイバを光コネクタ内でたわませ、その弾性力により内蔵光ファイバに押し当てることが行われている。
被覆付き光ファイバでは、被覆の機械的特性が弾性力に影響を及ぼすが、温度などの環境条件によっては、被覆の機械的特性が変化することによって弾性力が低下し、突き当て力が低くなって接続損失が増加するおそれがある。例えば、高温環境下に長時間置かれると、被覆の機械的特性が変化し、弾性力の低下が起こりやすい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、光ファイバどうしを突き合わせ接続する光コネクタにおいて、環境条件によらず、十分な光ファイバの突き当て力が得られる光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1にかかる光コネクタは、フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの後端部が、別の光ファイバの先端部に突き合わせ接続されるコネクタ本体と、前記別の光ファイバをたわませて前記内蔵光ファイバに向けて付勢した状態で前記コネクタ本体に引き留める引留機構と、を備え、前記引留機構が、前記別の光ファイバを保持する引留部品と、前記引留部品を前記コネクタ本体に連結する連結部とを備え、前記連結部が、前記別の光ファイバのたわみ部分を押さえつけて前記付勢力を高める押圧部材を備えていることを特徴とする。
本発明の請求項2にかかる光コネクタは、請求項1において、前記連結部が、前記たわみ部分を露出させる開口部を有する連結部本体と、前記開口部を開閉する蓋部とを有し、前記押圧部材が前記蓋部に設けられ、前記蓋部が前記開口部を塞ぐことによって前記たわみ部を押さえつけることを特徴とする。
本発明の請求項3にかかる光コネクタは、請求項1または2において、前記押圧部材が、弾性的に曲げ変形可能な板状に形成され、その弾性反発力によって前記たわみ部を押さえつけることを特徴とする。
本発明の請求項4にかかる光コネクタは、請求項1〜3のうちいずれか1項において、前記連結部が、前記別の光ファイバが挿入されて前記たわみ部分を前記押圧部材に向けるガイド溝が形成された保持部材を有することを特徴とする。
本発明の請求項5にかかる光コネクタは、請求項1〜4のうちいずれか1項において、前記フェルールの後端側に、前記フェルールの後端から突出された前記内蔵光ファイバの後端部を前記別の光ファイバの先端部に突き合わせ接続させる接続機構が設けられ、前記接続機構が、光ファイバ調心孔が形成された筒状のキャピラリを有し、前記光ファイバ調心孔内で前記内蔵光ファイバと前記別の光ファイバとを接続できることを特徴とする。
本発明の請求項6にかかる光コネクタは、請求項1〜5のうちいずれか1項において、前記内蔵光ファイバの後端部が、前記別の光ファイバの先端部にPC接続可能であることを特徴とする。
本発明の請求項7にかかる光コネクタは、フェルールに内挿固定された内蔵光ファイバの後端部が、別の光ファイバの先端部に突き合わせ接続されるコネクタ本体と、前記別の光ファイバをたわませて前記内蔵光ファイバに向けて付勢した状態を維持する機構と、を備え、前記機構が、前記別の光ファイバのたわみ部分を押さえつけて前記付勢力を確保する押圧部材を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の光コネクタによれば、引留部品をコネクタ本体に連結する連結部が、光ファイバのたわみ部分を押さえつけて付勢力を高める押圧部材を備えているので、前記光ファイバは、コネクタ本体の内蔵光ファイバに十分な力で突き当てられる。
この突き当て力によって、光ファイバの接続が安定に維持されるため、例えば高温環境で長時間使用した場合でも、接続不良の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である光コネクタ60を示す側断面図である。図2は、光コネクタ60の外観を示す側面図である。図3は、接続機構2を示す断面図である。図4は、連結部20の要部を示す断面図である。図5は、連結部20を示す分解斜視図である。図6は、引留部品30を示す斜視図である。図7は、引留部品30を示す分解斜視図である。図8および図9は、引留部品30の動作を説明する断面図である。図10は、図1に符号A1で示す光ファイバ接続部分を拡大した図である。
以下の説明において、図1における左方、すなわちフェルール1の先端方向を前方といい、右方を後方ということがある。
【0007】
図1に示すように、本発明の一実施形態である光コネクタ60は、コネクタ本体10と、光ファイバ13をコネクタ本体10に引き留める引留機構50とを備えている。
コネクタ本体10は、フェルール1と、フェルール1の後端側に設けられた接続機構2と、フェルール1の外側に装着されるプラグフレーム3と、付勢手段5と、プラグフレーム3の外側に設けられたツマミ11とを備えている。
【0008】
図1および図3に示すように、フェルール1には、中心軸線に沿って光ファイバ導入孔1b(微細孔)が形成され、この光ファイバ導入孔1b内には、内蔵光ファイバ6(光ファイバ裸線など)が挿入され固定されている。内蔵光ファイバ6の先端は、フェルール1の先端面1aに露出され、後端はフェルール1の後端から突出し、接続機構2内に挿入されている。
フェルール1は、例えば、ジルコニア等のセラミックや、ガラスで形成されている。これらの材料は使用環境に応じて選択使用され、例えば高温環境(例えば100℃以上)で用いる場合にはガラスが好適に用いられる。
フェルール1の後端部には、後端面から光ファイバ導入孔1bに向かって徐々に径が小さくなるテーパー状の孔部である導入部1dが形成されている。
【0009】
接続機構2は、内蔵光ファイバ6の後端部6aを、光ファイバ13の先端部13aに突き合わせ接続するものである。先端部13aは、光ファイバ心線、光ファイバ素線などの被覆13b付き光ファイバである光ファイバ13から口出しされた光ファイバであり、例えば光ファイバ裸線である。
接続機構2は、フェルール1の後端部1cが挿入される筒体7と、筒体7に挿入される第1キャピラリ8と、第2キャピラリ9とを備えている。
筒体7は、略円筒状に形成され、その前端部には、フランジ部7aが形成されている。
筒体7には前方からフェルール1の後端部1cが挿入され、後方から第1キャピラリ8が挿入されている。図示例では、筒体7の内径は、フェルール1および第1キャピラリ8の外径にほぼ等しくされている。
【0010】
第1キャピラリ8は、例えば、ジルコニア等のセラミックで形成することができる。このほか、ガラス、合成樹脂も使用できる。第1キャピラリ8は、略円筒状に形成することができる。
第1キャピラリ8には、中心軸線に沿って、光ファイバ調心孔8aが形成されている。光ファイバ調心孔8aは、光ファイバ6、13を挿脱自在に挿入することができる。光ファイバ調心孔8aは、内蔵光ファイバ6と、光ファイバ13の先端部13aとを位置決めして調心する調心機構として機能し、光ファイバ6、13を突き合わせ接続可能に形成されている。
【0011】
図3に示すように、第2キャピラリ9は、キャピラリ本体12aと、キャピラリ本体12aの前端部から前方に延びる筒状の延出筒部12bとを有する。
キャピラリ本体12aは、略円筒状に形成され、中心軸線に沿って、光ファイバ13が挿通する光ファイバ挿通孔9dが形成されている。
光ファイバ挿通孔9dは、光ファイバ13を第1キャピラリ8の光ファイバ調心孔8aに導いて被覆13bを収納する案内孔9aと、案内孔9aから後方に延びる導入孔9bと、導入孔9bから後方に延びる定径部9cとを有する。
【0012】
案内孔9aは、光ファイバ13を第1キャピラリ8の光ファイバ調心孔8aに導くものである。案内孔9aは、光ファイバ13の被覆13bの外径にほぼ等しいか、または若干大きい内径を有し、光ファイバ13の被覆13bを挿脱自在に収納するようになっている。
導入孔9bは、光ファイバ13を案内孔9aに導くものであり、第2キャピラリ9の後端から案内孔9aに向かって徐々に内径が小さくなるように形成されており、前端の内径は案内孔9aの内径にほぼ等しくするのが好ましい。定径部9cの内径は、ほぼ一定とされ、導入孔9bの最大径にほぼ等しいことが好ましい。
延出筒部12bには、第1キャピラリ8の後部が挿入可能である。
キャピラリ本体12aと延出筒部12bは、一体に成形されていることが好ましい。
第2キャピラリ9の材料は特に限定されないが、金属、プラスチックなどが使用できる。
【0013】
プラグフレーム3は、フェルール1を収納するスリーブ状に形成されている。
付勢手段5は、後述するストップリング部27内に設けられ、ストップリング部27に反力をとって接続機構2を前方に押圧することで、フェルール1を前方に付勢するものである。付勢手段5は、例えばコイルスプリングが使用でき、光コネクタ60を他の光コネクタに接続するときに、フェルール1に、相手側の光コネクタとの間の突き合わせ力を与える。
【0014】
コネクタ本体10の構成部材、例えばプラグフレーム3、ツマミ11等としては、例えばSC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector。JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ(光コネクタプラグ)など)に使用可能であるものが採用できる。
【0015】
図10および図1の符号A1に示すように、内蔵光ファイバ6の後端部6aの端面6b(接続端面)は、アーク放電などによって、湾曲した凸面状を有する形状とすることができる。端面6bの形状は、球面をなす形状であることが望ましいが、非球面状であってもよい。また、端面6bの全面が湾曲凸面状である場合に限らず、端面6bの一部が湾曲凸面状であってもよい。
端面6bは、アーク放電などにより溶融させることにより凸面状とすることができる。具体的には、光ファイバカッタにより切断された光ファイバの後端部6aをアーク放電などで加熱し溶融させることにより、端面6bを湾曲した凸面状とすることができる。
端面6bをこの形状とすることによって、この端面6bと光ファイバ13の先端面13cとを密着させ、PC接続(PC:physical contact)することができる。
【0016】
端面6bは、PC研磨によって凸面状に形成することもできる。本発明では、SPC研磨(S:Super)、AdPC研磨(Ad:Advanced)、APC研磨(A:Angled)もPC研磨に含まれる。
PC研磨とは、フレネル反射が低減するように、光ファイバ端面をPC接続できる湾曲凸面状に研磨することである。PC研磨加工は、光ファイバ6を固定治具に固定し、その先端を研磨盤により研磨加工する方法をとることができる。
PC接続の採用によって、屈折率整合剤が不要となり、接続作業が容易となる。また、気泡やダストの混入による接続損失も防止できる。
【0017】
後端部6aの端面6bの形状は、湾曲した凸面状に限定されず、端部に縮径部を有する形状としてもよい。図15〜図17は、縮径部を有する端面の例を模式的に示す概略構成図である。
図15に示す端面6bは、端部に向けて徐々に外径が小さくなる縮径部6cを有する。図示例では、縮径部6cは、光ファイバ軸方向に対する傾斜角度が端部に向けて徐々に大きくなるように形成されており、外面の断面形状は湾曲している。端面6bの中央部6dは平坦に形成されている。中央部6dは光ファイバ6のコアを含むように形成されるのが好ましい。図16に示す縮径部6eは、端部に向けて徐々に外径が小さくなっており、光ファイバ軸方向に対する傾斜角度はほぼ一定である。図17に示す縮径部6fの外径は、光ファイバ6の外径より小さく、かつ光ファイバ軸方向にほぼ一定である。
縮径部を有する端面6bは、コアを含む部分に突き当て力を集中させることができるため、PC接続を容易に実現できる。
図10に示すように、光ファイバ13の先端部13aの先端面13cは光ファイバカッターにより、ほぼ平坦に切断することができる。先端面13cは、図示例に限らず、湾曲した凸面状とすることもできる。
光ファイバ6、13としては、汎用の石英系光ファイバを使用できるが、種類は特に限定されない。
【0018】
引留機構50は、光ファイバ13をたわませて内蔵光ファイバ6に向けて付勢した状態を維持する機構であり、例えば、以下に説明するように、光ファイバ13をたわませた状態でコネクタ本体10に引き留めるように構成されている。
図1および図2に示すように、引留機構50は、光ファイバ13を保持する引留部品30と、引留部品30をコネクタ本体10に連結する連結部20とを備えている。
図4および図5に示すように、連結部20は、光ファイバ13が挿通可能な連結部本体25と、連結部本体25の開口部24を開閉する蓋部26と、連結部本体25内の光ファイバ13を押さえつける押圧部材22と、光ファイバ13を保持する保持部材23とを備えている。
【0019】
連結部本体25は、コネクタ本体10内に挿入されるストップリング部27と、ストップリング部27の後端側に形成された本体部28とを備えている。
ストップリング部27は、接続機構2を収納するスリーブ状に形成され、プラグフレーム3の後端に取り付けられる。
【0020】
本体部28は、コネクタ本体10の後方に延出する部分であり、上面側に開口部24が形成された収容部41と、引留部品30が挿入されて保持される挿入保持部42とを有する。
収容部41は、底板41aと、底板41aの両側縁に立設された側板41b、41bとを有し、これらに囲まれる内部空間41cに保持部材23が収容されるように構成される。収容部41の上部は、開口部24となっている。
挿入保持部42は、収容部41の後端側に形成され、底板42aと、その両側縁に立設された側板42b、42bと、側板42b、42bの内面側に形成された上部突起42c、42cとを備え、これらに囲まれる内部空間42dに引留部品30が挿入されるように構成される。
【0021】
保持部材23は、断面略矩形のブロック状に形成され、その上面23aには、長さ方向に沿ってガイド溝43が形成されている。
ガイド溝43は、光ファイバ13を位置決めし、押圧部材22による押圧が可能な状態とするものであって、連結部本体25の長さ方向(すなわち前後方向)に沿うように形成される。
ガイド溝43の幅は、後述するたわみ部分14の姿勢を、押圧部材22による押圧が可能な状態に保つことができるように設定される。すなわち、たわみ部分14の位置が側方にずれたり、傾いたりするのを防ぐことができる幅とされる。また、ガイド溝43の幅は、光ファイバ13の移動を妨げないように、光ファイバ13より若干広くするのが望ましい。
ガイド溝43の深さは、押圧部材22によるたわみ部分14の押圧が可能となるように設定される。具体的には、たわみ部分14の頂部14a付近が上面23aから上方に突出した状態となる深さとされる(図12を参照)。
図示例では、ガイド溝43は上面23aにほぼ垂直に形成されている。保持部材23を収容部41に収容した状態では、ガイド溝43は底板41aに対しほぼ垂直な方向となる。
【0022】
図1、図4および図5に示すように、押圧部材22は、たわみ部分14の付勢力を確保するためのものであって、たわみ部分14を適度な圧力で押圧できるものであればよく、特に、弾性的に曲げ変形可能な板状とするのが好ましい。
押圧部材22は、上方に弾性的に曲げ変形した状態で、その弾性反発力によりたわみ部分14を押圧するように構成すると、たわみ部分14に適正かつ安定した押圧力を作用させることができるため好ましい。押圧部材22の材質は、特に限定されず、金属、樹脂などが使用できる。
【0023】
図示例では、押圧部材22は、連結部本体25の長さ方向に沿う長板状に形成され、一端部(後端部)に固定用の開口部22aが形成されている。
押圧部材22は、開口部22aに挿通する固定具44によって、蓋部26の下面側に、蓋部26にほぼ平行に固定されている。
図示例では、押圧部材22は、蓋部26に固定される一端部(後端部)を除く部分が蓋部26から離間しており、先端22bが上下動するように弾性的に曲げ変形できる。
【0024】
図4および図5に示すように、蓋部26は、平面視略矩形の板状とされ、連結部本体25の開口部24を塞ぐことができるように構成されている。
蓋部26の後端部には、下方に突出する係止凸部26aが形成され、この係止凸部26aは、引留部品30の嵌合凹部33aに嵌合して、引留部品30の脱落を阻止できるように形成されている。
蓋部26は、前端部に形成されたヒンジ部26bを介して連結部本体25に回動自在に接続されており、ヒンジ部26bを以て回動することによって、開口部24を開閉することができる。
【0025】
図6〜図9に示すように、引留部品30は、素子ユニット31と、素子ユニット31に装着されるクランプバネ32とを備えている。
素子ユニット31は、先端側の挿入部33と、その後端側に設けられたクランプ部34とを有する。
挿入部33は、断面矩形の筒状に形成され、その外周面には嵌合凹部33aが形成されている。挿入部33内には、前方に向けて徐々に内径が大きくなる挿通孔33bが形成されている。挿入部33は、連結部20の挿入保持部42に、後端側から挿入できるように形成されている。
クランプ部34は、断面略矩形状に形成された本体部35と、その前端部および後端部に形成されたフランジ部36、37とを有する。フランジ部36、37は、本体部35の外面から外方に延出している。
【0026】
素子ユニット31は、2つの素子31a、31bからなり、クランプバネ32の弾性により、素子31a、31bの間に光ファイバ13を挟み込んで保持することができる。
クランプ部34の合わせ面34a、34bの一方または両方には、光ファイバ13が導入される導入溝31cが形成されている。
【0027】
図8および図9に示すように、引留部品30は、楔38を素子31a、31bの間に挿入し、素子31a、31bの隙間を広げた状態とすると、光ファイバ13を導入溝31cに導くことができる。楔38を引き抜くと、クランプバネ32のクランプ力によって、光ファイバ13は素子31a、31bの間に挟み込まれて保持される。
なお、あらかじめ素子31a、31b間に楔38を挿入して光コネクタ60に組み付けた状態(工具付き光コネクタ)で接続作業現場に搬入すれば、接続作業を効率よく行うことができる。
【0028】
次に、光コネクタ60の動作について説明する。
図11に示すように、連結部本体25の開口部24を開放した状態とし、収容部41内に保持部材23を配置しておく。
図12および図13に示すように、光ファイバ13を保持した引留部品30を連結部20に向けて前方移動させ、挿入部33を挿入保持部42に挿入する。
この際、光ファイバ13を連結部本体25内に導入し、保持部材23のガイド溝43を経てコネクタ本体10内に挿入する。
クランプ部34のフランジ部36が連結部本体25の後端部に当接すると、引留部品30のそれ以上の前方移動が規制される。
【0029】
図3に示すように、光ファイバ13の先端部13aは、第2キャピラリ9の光ファイバ挿通孔9dを経て第1キャピラリ8の光ファイバ調心孔8aに導入され、内蔵光ファイバ6と突き合わせ接続される。
【0030】
図12および図13に示すように、連結部本体25内の光ファイバ13は、若干たわんだ状態とする。このたわみによる光ファイバ13の弾性によって先端部13aは前方に付勢されるため、光ファイバ13が内蔵光ファイバ6に接続される。符号14はたわみ部分を示す。
たわみ部分14は、頂部14aを含む部分が略円弧状に湾曲しており、この部分が保持部材23の上面23aから上方に突出した状態となる。
図示する状態では、蓋部26が開放されているため、たわみ部分14が開口部24より露出している。
【0031】
図14に示すように、ヒンジ部26bを支点として、蓋部26を回動させ、開口部24を塞ぐ。
図1および図4に示すように、これによって、押圧部材22がたわみ部分14の頂部14aまたはその近傍の側面に当接して下方に押さえつける。たわみ部分14は、一部がガイド溝43内にあるため、その姿勢および位置が維持されることから、たわみ部分14には十分な押圧力が加えられる。
押圧部材22に押さえつけられることによって、たわみ部分14には、曲げが小さくなる方向の力が加えられるため、たわみ部分14による前方への付勢力は高められる。これによって、光ファイバ13の先端部13aは十分な力で内蔵光ファイバ6に突き当てられる。
この突き当て力によって、内蔵光ファイバ6に対する光ファイバ13の接続が安定に維持されるため、例えば高温環境で長時間使用した場合でも、接続不良の発生を防ぐことができる。
【0032】
光コネクタ60では、蓋部26が開口部24を塞ぐことにより、押圧部材22がたわみ部分14を押さえつけるように構成することによって、容易な操作でたわみ部分14に十分な押圧力を作用させることができる。
【0033】
なお、図示例では、弾性変形可能な板状の押圧部材22を使用したが、本発明では、たわみ部分を押さえつけることができるものであれば、これ以外の構成を採用することもできる。例えば、押圧部材が蓋部の内面に形成された凸部であり、この凸部がたわみ部分を押さえつける構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態である光コネクタを示す側断面図である。
【図2】図1に示す光コネクタの外観を示す側面図である。
【図3】図1に示す光コネクタの接続機構を示す断面図である。
【図4】図1に示す光コネクタの連結部の要部を示す断面図である。
【図5】図1に示す光コネクタの連結部を示す分解斜視図である。
【図6】図1に示す光コネクタの引留部品を示す斜視図である。
【図7】図1に示す光コネクタの引留部品を示す分解斜視図である。
【図8】図1に示す光コネクタの引留部品の動作を説明する断面図である。
【図9】図1に示す光コネクタの引留部品の動作を説明する断面図である。
【図10】図1に示す光コネクタの光ファイバ接続部分を拡大した図である。
【図11】図1に示す光コネクタの組み立て過程を説明する斜視図である。
【図12】図1に示す光コネクタの組み立て過程を説明する斜視図である。
【図13】図1に示す光コネクタ組み立て過程を説明する側断面図である。
【図14】図1に示す光コネクタの組み立てが完了した状態を示す斜視図である。
【図15】内蔵光ファイバの後端部の端面の他の例を示す図である。
【図16】内蔵光ファイバの後端部の端面の他の例を示す図である。
【図17】内蔵光ファイバの後端部の端面の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1・・・フェルール、2・・・接続機構、6・・・内蔵光ファイバ、6a・・・後端部、8・・・第1キャピラリ、8a・・・光ファイバ調心孔、10・・・コネクタ本体、13・・・光ファイバ(別の光ファイバ)、13a・・・先端部、20・・・連結部、22・・・押圧部材、23・・・保持部材、24・・・開口部、25・・・連結部本体、26・・・蓋部、30・・・引留部品、50・・・引留機構、60・・・光コネクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェルール(1)に内挿固定された内蔵光ファイバ(6)の後端部(6a)が、別の光ファイバ(13)の先端部(13a)に突き合わせ接続されるコネクタ本体(10)と、前記別の光ファイバをたわませて前記内蔵光ファイバに向けて付勢した状態で前記コネクタ本体に引き留める引留機構(50)と、を備え、
前記引留機構が、前記別の光ファイバを保持する引留部品(30)と、前記引留部品を前記コネクタ本体に連結する連結部(20)とを備え、
前記連結部は、前記別の光ファイバのたわみ部分(14)を押さえつけて前記付勢力を高める押圧部材(22)を備えていることを特徴とする光コネクタ(60)。
【請求項2】
前記連結部は、前記たわみ部分を露出させる開口部(24)を有する連結部本体(25)と、前記開口部を開閉する蓋部(26)とを有し、
前記押圧部材は、前記蓋部に設けられ、前記蓋部が前記開口部を塞ぐことによって前記たわみ部を押さえつけることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記押圧部材は、弾性的に曲げ変形可能な板状に形成され、その弾性反発力によって前記たわみ部を押さえつけることを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記連結部は、前記別の光ファイバが挿入されて前記たわみ部分を前記押圧部材に向けるガイド溝(43)が形成された保持部材(23)を有することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記フェルールの後端側に、前記フェルールの後端から突出された前記内蔵光ファイバの後端部を前記別の光ファイバの先端部に突き合わせ接続させる接続機構(2)が設けられ、
前記接続機構は、光ファイバ調心孔(8a)が形成された筒状のキャピラリ(8)を有し、前記光ファイバ調心孔内で前記内蔵光ファイバと前記別の光ファイバとを接続できることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記内蔵光ファイバの後端部は、前記別の光ファイバの先端部にPC接続可能であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の光コネクタ。
【請求項7】
フェルール(1)に内挿固定された内蔵光ファイバ(6)の後端部(6a)が、別の光ファイバ(13)の先端部(13a)に突き合わせ接続されるコネクタ本体(10)と、前記別の光ファイバをたわませて前記内蔵光ファイバに向けて付勢した状態を維持する機構(50)と、を備え、
前記機構が、前記別の光ファイバのたわみ部分(14)を押さえつけて前記付勢力を確保する押圧部材(22)を備えていることを特徴とする光コネクタ(60)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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