説明

光サブシステム及び光サブシステム制御方法

【課題】本発明は、使用する光部品の組み合わせが変わっても個別に設計及び製造する必要がなく、開発期間が短く且つ低コストである光サブシステム及び光サブシステム制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る光サブシステムは、論理制御機能部と物理的制御機能部を有し、論理的制御機能部が、IF機能部からの要求を解析し、状態遷移図を参照して上記要求の可否を判定し、可能な場合は、物理制御機能部に要求を送信し、物理的制御機能部が、光部品(分岐スイッチと合流スイッチ)と論理情報テーブルと物理情報テーブルを有し、論理的制御機能部からの要求を受信し、論理情報テーブルと物理情報テーブルに基づき、個々の光部品の設定要求に変換し、該光部品のドライバに変換済みの設定要求を送信し、各光部品のドライバが、光部品のデバイスを制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニックネットワークにおける光ノードを構成する光サブシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に従来のフォトニックNW(Network)の構成例を示す。図1に示すように、フォトニックNWは、複数の光ノードと光ノード間を接続する光ファイバで構成されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0003】
フォトニックNWを介してクライアント信号を転送する場合は、信号を送信する光ノードにおいてクライアント信号を光信号に変換し、変換した光信号を、前記送信する光ノードから光信号を受信する光ノードまで転送して、前記受信する光ノードにおいて光信号からクライアント信号に変換する。この際、送信光ノードから受信光ノードまでの光信号の経路を光パスと呼び、光信号を光パス信号と呼ぶ。
【0004】
図1に示すフォトニックNWにおいては、光ノードにROADM(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexer)ノードを用いている。ROADMノードは、隣接したROADMノードから転送された波長多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)信号から、波長単位で光パス信号の分岐・挿入を行い、別の隣接したROADMノードにWDM信号を転送することを可能にするノードである。ROADMノードには、2つの隣接したROADMノードと接続可能な2−degree ROADMと、3つ以上の隣接したROADMノードと接続可能なMulti−degree ROADMがある。これらのROADMノードにより、リングNW、マルチリングNW、メッシュNWを構築することが可能である。なお。2−degree ROADM、Multi−degree ROADM等における”degree”とは方路数を意味しており、当該ROADMノードが接続できる隣接したROADMノードの数に相当する。
【0005】
図2に従来のMulti−degree ROADMノードの構成例を示す。図2に示すように、当該Multi−degree ROADMノードは、隣接ノードに送信する、または、隣接ノードから受信するWDM信号を増幅する光アンプと、クライアント信号を光パス信号に変換して送信する送信機と、光パス信号を受信してクライアント信号に変換する受信機と、光パス信号の経路を切替える光パス切り替え手段で構成される。
【0006】
図2に示す構成例では、光パス信号の経路を切替える光パス切り替え手段として、光カプラ、1×9WSS、および9×1WSSを用いている。ここで、WSS(Wavelength Selective Switch:波長選択スイッチ)とは、各入出力ポートにおいてWDM信号を入出力し、スイッチ機能として波長単位で接続する入出力ポートを選択することが可能なスイッチである。入力1ポートと出力9ポートを備えるWSSが1×9WSSであり、入力9ポートと出力1ポートを備えるWSSが9×1WSSである。
【0007】
図2に示す構成例では、送信機において任意の波長の光パス信号を送信し、且つ、受信機において任意の波長の光パス信号を受信することが可能なカラーレス機能を備えている。なお、光ノードの構成としては、図2に示す構成の他、カラーレス機能の無いROADMノードや、2−degreeのROADMノードが報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】E.Bert.Basch,et.al,“Architectural Tradeoffs for Reconfigurable Dense Wavelength−Division Multiplexing Systems”,IEEE J.of selected topics in Quantum electronics. Vol.12,No.4,JULY/AUGUST 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光ノード製造者は、光ノードを構成する光アンプ、送受信機および光パス切り替え手段となる光スイッチなどの光部品を内製して光ノードを作製する場合もあるが、通常、各光部品製造者から光ノードの構成に必要となる光部品、または光部品を複数個組み合わせた光サブシステムの提供を受けて光ノードを製造する。しかしながら、この光サブシステムは、同一機能のROADMノードを作製する場合であっても、使用する光部品の組み合わせに応じて、異なる管理制御機能を備えるように設計及び作製する必要があった。具体的には、図2に示す構成において、光カプラに代えてWSSを利用することが可能であるが、この場合、受動部品である光カプラでは不要であった光パス切り替え制御機能の追加が必要となるため、結果として、異なる管理制御機能を備えた光サブシステムを作製する必要がある。また、図2に示す構成において、光カプラと1×9WSSの機能を1×N(Nは10以上の整数)WSSで置換することも可能であるが、この場合、光パス信号を他方路へ接続する光スイッチの制御と、自ノードの送受信機に接続する光スイッチの制御を統合する必要があり、結果として、異なる管理制御機能を備えた光サブシステムを作製する必要がある。すなわち、例示した光部品の組合せに対応するためには、合計3種類の異なる管理制御機能を備えた光サブシステムを提供する必要がある。
【0010】
このように従来、同一機能のROADMノードを作成する場合であっても、使用する光部品の組み合わせに応じて、異なる管理制御機能を備えた光サブシステムをそれぞれ個別に設計及び製造する必要があり、開発に膨大なコストや長い時間が必要という課題があった。
【0011】
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、使用する光部品の組み合わせが変わっても個別に設計及び製造する必要がなく、開発期間が短く且つ低コストである光サブシステム及び光サブシステム制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る光サブシステム及び光サブシステム制御方法は、管理制御機能を論理的制御と物理的制御に分離することとした。
【0013】
具体的には、本発明に係る光サブシステムは、
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポートを有する合流スイッチと、
論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
を備える光サブシステムであって、
前記論理的制御機能部は、
前記論理制御機能部に光パス設定要求があったときに、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図を参照して前記光パス設定要求の可否を判定し、
光パス設定が可能な場合、前記光パス設定要求を前記物理制御機能部に送信し、
前記物理制御機能部は、
前記論理的制御機能部から前記光パス設定要求を受信すると、前記分岐スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと前記合流スイッチの前記出力ポート及び前記入力ポートとの間で接続可能な組合せを記載した論理情報テーブル、及び前記分岐スイッチと前記合流スイッチの物理的情報を記載した物理情報テーブルを参照して前記光パス設定要求に物理構成変換を施し、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチのスイッチ設定の可否を判定し、
前記スイッチ設定が可能な場合、前記スイッチ設定を前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチのドライバに送信して前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチを駆動する
ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る光サブシステム制御方法は、
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポートを有する合流スイッチと、
論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
を備える光サブシステムの光サブシステム制御方法であって、
前記論理制御機能部に光パス設定要求があったときに、前記論理的制御機能部が、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図を参照して前記光パス設定要求の可否を判定し、
光パス設定が可能な場合、前記論理制御機能部が前記光パス設定要求を前記物理制御機能部に送信し、
前記光パス設定要求を受信した前記物理制御機能部が、前記分岐スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと前記合流スイッチの前記出力ポート及び前記入力ポートとの間で接続可能な組合せを記載した論理情報テーブル、及び前記分岐スイッチと前記合流スイッチの物理的情報を記載した物理情報テーブルを参照して前記光パス設定要求に物理構成変換を施し、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチのスイッチ設定の可否を判定し、
前記スイッチ設定が可能な場合、前記物理的制御機能部が、前記スイッチ設定を前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチのドライバに送信して前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチを駆動することを特徴とする。
【0015】
同一の光部品を組み合わせた光サブシステムであっても、論理情報テーブルと物理情報テーブルの設定を変更すれば、多様な光パス設定、監視設定、光強度制御、運用形態変更に対応することができる。光サブシステムは同一の光部品を組み合わせでよいので設計及び製造に必要となるコスト及び時間を低減できる。
【0016】
従って、本発明は、使用する光部品の組み合わせが変わっても個別に設計及び製造する必要がなく、開発期間が短く且つ低コストである光サブシステム及び光サブシステム制御方法を提供することができる。
【0017】
本発明に係る光サブシステムは、
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポートを有する合流スイッチと、
論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
前記分岐スイッチの前記入力ポート、前記分岐スイッチの少なくともM個の前記出力ポート、前記合流スイッチの前記出力ポート、及び前記合流スイッチの少なくともM個の前記入力ポートのそれぞれに配置された光レベルモニタと、
を備える光サブシステムであって、
前記論理的制御機能部は、
光信号レベルモニタ要求があったときに、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図及び前記光信号レベルモニタ要求の光信号レベルモニタ点の光レベル状態遷移図を参照して前記光信号レベルモニタ要求の可否を判定し、
光信号レベルモニタが可能な場合、前記光信号レベルモニタ要求を前記物理制御機能部に送信し、
前記物理制御機能部は、
前記論理的制御機能部から前記光信号レベルモニタ要求を受信すると、前記分岐スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと前記合流スイッチの前記出力ポート及び前記入力ポートとの間で接続可能な組合せを記載した論理情報テーブル、及び前記分岐スイッチと前記合流スイッチの物理的情報を記載した物理情報テーブルを参照して前記光信号レベルモニタ要求に物理構成変換を施し、前記光信号レベルモニタ要求の光信号レベルモニタ点での光信号レベル測定の可否を判定し、
前記光信号レベル測定が可能な場合、前記光信号レベルモニタ要求を前記光信号レベルモニタ点における前記光レベルモニタのドライバに送信して前記光レベルモニタを駆動し、前記光信号レベルモニタ点の光信号レベル測定値を取得し、
前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルを参照して取得した光信号レベルモニタ測定値に物理構成変換を施して前記論理制御機能部へ通知する
ことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る光サブシステム制御方法は、
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポートを有する合流スイッチと、
論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
前記分岐スイッチの前記入力ポート、前記分岐スイッチの一部又は全部の前記出力ポート、前記合流スイッチの前記出力ポート、及び前記合流スイッチの一部又は全部の前記入力ポートのそれぞれに配置された光レベルモニタと、
を備える光サブシステムの光サブシステム制御方法であって、
前記論理制御機能部に光信号レベルモニタ要求があったときに、前記論理的制御機能部が、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図及び前記光信号レベルモニタ要求の光信号レベルモニタ点の光レベル状態遷移図を参照して前記光信号レベルモニタ要求の可否を判定し、
光信号レベルモニタが可能な場合、前記論理制御機能部が前記光信号レベルモニタ要求を前記物理制御機能部に送信し、
前記光信号レベルモニタ要求を受信した前記物理制御機能部が、前記分岐スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと前記合流スイッチの前記出力ポート及び前記入力ポートとの間で接続可能な組合せを記載した論理情報テーブル、及び前記分岐スイッチと前記合流スイッチの物理的情報を記載した物理情報テーブルを参照して前記光信号レベルモニタ要求に物理構成変換を施し、前記光信号レベルモニタ要求の光信号レベルモニタ点での光信号レベル測定の可否を判定し、
前記光信号レベル測定が可能な場合、前記物理的制御機能部が、前記光信号レベルモニタ要求を前記光信号レベルモニタ点における前記光レベルモニタのドライバに送信して前記光レベルモニタを駆動し、前記光信号レベルモニタ点の光信号レベル測定値を取得し、
前記物理制御機能部が、前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルを参照して取得した光信号レベルモニタ測定値に物理構成変換を施して前記論理制御機能部へ通知することを特徴とする。
【0019】
本光サブシステムは、所定箇所に光レベルモニタをさらに備えるため、論理情報テーブルと物理情報テーブルの設定を変更すれば、多様な光信号の光強度の監視設定に対応することができる。
【0020】
本発明に係る光サブシステムは、
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポート、並びに前記出力ポートから出力する光信号の光強度を調整する光強度調整機能を有する合流スイッチと、 論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
前記合流スイッチの前記出力ポートに配置された光レベルモニタと、
を備える光サブシステムであって、
前記論理的制御機能部は、
ALC(Auto Level Control)要求があったときに、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図、前記光レベルモニタが配置された光信号レベルモニタ点の光レベル状態遷移図、及び前記ALC要求の前記出力ポートのALC遷移状態図を参照してALCの可否を判定し、
ALCが可能な場合、前記ALC要求を前記合流スイッチの前記物理制御機能部に通知し、
前記物理制御機能部は、
前記論理的制御機能部から前記ALC要求を通知されると、前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルを参照して前記ALC要求に物理構成変換を施した後、前記ALC要求を前記光信号レベルモニタ点での光信号のレベル測定要求として前記光レベルモニタのドライバに送信して前記光レベルモニタを駆動し、前記光信号レベルモニタ点の光信号レベル測定値を取得するとともに、予め設定されたALC目標値と前記光信号レベル測定値に基づき光信号の減衰量設定を決定し、前記減衰量設定を前記光強度調整機能のドライバに送信して前記光強度調整機能を駆動するフィードバックを行う、
ことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る光サブシステム制御方法は、
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポート、並びに前記出力ポートから出力する光信号の光強度を調整する光強度調整機能を有する合流スイッチと、
論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
前記合流スイッチの前記出力ポートに配置された光レベルモニタと、
を備える光サブシステムの光サブシステム制御方法であって、
ALC(Auto Level Control)要求があったときに、前記論理的制御機能部が、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図、前記光レベルモニタが配置された光信号レベルモニタ点の光レベル状態遷移図、及び前記ALC要求の前記出力方路のALC遷移状態図を参照してALCの可否を判定し、
ALCが可能な場合、前記論理制御機能部が前記ALC要求を前記合流スイッチの前記物理制御機能部に通知し、
前記ALC要求を通知された前記物理制御機能部が、前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルを参照して前記ALC要求に物理構成変換を施した後、前記ALC要求を前記光信号レベルモニタ点での光信号のレベル測定要求として前記光レベルモニタのドライバに送信して前記光レベルモニタを駆動し、前記光信号レベルモニタ点の光信号レベル測定値を取得するとともに、予め設定されたALC目標値と前記光信号レベル測定値に基づき光信号の減衰量設定を決定し、前記減衰量設定を前記光強度調整機能のドライバに送信して前記光強度調整機能を駆動するフィードバックを行う、
ことを特徴とする。
【0022】
本光サブシステムは、出力方路から出力する光信号の光強度を光レベルモニタで測定して調整できるため、論理情報テーブルと物理情報テーブルの設定を変更すれば、多様な光信号の光強度制御に対応することができる。
【0023】
本発明に係る光サブシステムは、前記物理的制御機能部の前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルの設定を変更することで設定可能な光パスの組み合わせを変更する設定変更機能部をさらに備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る光サブシステム制御方法は、前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルの設定を変更することで設定可能な光パスの組み合わせを変更することを特徴とする。
【0025】
本光サブシステムは、上位装置からのコマンドを入力することで、多様な光パス設定、監視設定、光強度制御、運用形態変更に対応することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、使用する光部品の組み合わせが変わっても個別に設計及び製造する必要がなく、開発期間が短く且つ低コストである光サブシステム及び光サブシステム制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】フォトニックネットワークの構成例を示す図である。
【図2】従来のM−degree ROADMノードの構成例を示す図である。
【図3】M−degree ROADMノードと光サブシステムの関係を示す図である。
【図4】本発明に係る光サブシステムの構成例を示す図である。
【図5】本発明に係る光サブシステムの分岐スイッチを構成する光部品とその接続方法の例を示す図である。
【図6】本発明に係る光サブシステムの合流スイッチを構成する光部品とその接続方法の例を示す図である。
【図7】本発明に係る光サブシステム制御方法を説明する制御フローである。
【図8】本発明に係る光サブシステムの分岐スイッチおよび合流スイッチの接続状態遷移を示す図である。
【図9】本発明に係る光サブシステムの論理物理変換テーブルを示す図である。
【図10】本発明に係る光サブシステムの構成例を示す図である。
【図11】本発明に係る光サブシステムの分岐スイッチにおける光信号レベルモニタを構成する光部品とその接続方法の例を示す図である。
【図12】本発明に係る光サブシステムの合流スイッチにおける光信号レベルモニタを構成する光部品とその接続方法の例を示す図である。
【図13】本発明に係る光サブシステム制御方法を説明する制御フローである。
【図14】本発明に係る光サブシステムの分岐スイッチおよび合流スイッチに関係する光パスにおける光信号レベルモニタの光レベル状態遷移を示す図である。
【図15】本発明に係る光サブシステムの論理物理変換テーブルを示す図である。
【図16】本発明に係る光サブシステムの構成例を示す図である。
【図17】本発明に係る光サブシステムの合流スイッチおよび光レベルモニタを製造するために必要な光部品とその接続方法の例を示す図である。
【図18】本発明に係る光サブシステム制御方法を説明する制御フローである。
【図19】本発明に係る光サブシステムの合流スイッチにおけるALC機能のALC状態遷移を示す図である。
【図20】本発明に係る光サブシステムの論理物理変換テーブルを示す図である。
【図21】本発明に係る光サブシステム制御方法を説明する制御フローである。
【図22】本発明に係る光サブシステムの各制御機能部間の情報交換経路を示す図である。
【図23】本発明に係る光サブシステムの合流スイッチにおける光信号レベルモニタを構成する光部品とその接続方法の例を示す図である。
【図24】本発明に係る光サブシステムの論理物理変換テーブルを示す図である。
【図25】本発明に係る光サブシステムの論理情報テーブルを示す図である。
【図26】本発明に係る光サブシステムの物理情報テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。また、枝番号を付さずに説明している場合は、当該符号の全ての枝番号に共通する説明である。
【0029】
(実施形態1)
[設定系処理:光パス設定]
ROADMノードを構成する光サブシステムにおける設定系処理として、光ノード内の光パス設定方法を例に挙げ、本光サブシステムの適用方法および効果を説明する。
【0030】
図3はM−degree ROADMノード(Mは2以上の整数)である光ノード401と、光ノード401を構成する光サブシステム11の関係を示した図である。光ノード401は、光ノード全体を管理するノード管理制御部10とM個の光サブシステム11から構成され、ノード管理制御部10が各光サブシステム11の制御を行う。なお、ノード管理制御部10は、必ずしも光ノード401内部に備える必要は無く、光ノード401の外部に備え、データ通信ネットワークを介して光ノード401と接続する構成としても良い。
【0031】
図4は光パス設定機能を備えた光サブシステム11の構成例を示す図である。光サブシステム11は、入力側の光パスとして方路m(1≦m≦M)と接続された分岐スイッチ21と、出力側の光パスとして方路mと接続された合流スイッチ22を有する。
【0032】
分岐スイッチ21は、分岐側方路選択スイッチ31と分岐側波長割当スイッチ32を有する。分岐側方路選択スイッチ31において、方路mの入力光パスを、方路mにおける受信機41に接続するか、もしくは、他方路m’(m≠m’)に接続するか、ノード管理制御部10からの命令に従いスイッチの出力ポートを選択して、スイッチの入力ポートと該当出力ポートを接続することで光パスを設定する。ここで、光パスを方路mにおける受信機41に接続する場合を、Drop状態と定義する。Dropの場合、分岐側波長割当スイッチ32において、光パスをどの受信機41に接続するか、ノード管理制御部10からの命令に従いスイッチの出力ポートを選択して、スイッチの入力ポートと該当出力ポートを接続することで光パスを設定する。
【0033】
合流スイッチ22は、合流側方路選択スイッチ33と合流側波長割当スイッチ34を有する。合流側方路選択スイッチ33において、方路mの出力光パスを、方路mにおける送信機42に接続するか、もしくは、他方路m’(m≠m’)に接続するか、ノード管理制御部10からの命令に従いスイッチの入力ポートを選択して、スイッチの出力ポートと該当入力ポートを接続することで光パスを設定する。ここで、光パスを方路mにおける送信機42に接続する場合を、Add状態と定義する。Addの場合、合流側波長割当スイッチ34において、光パスをどの送信機42に接続するか、ノード管理制御部10からの命令に従いスイッチの入力ポートを選択して、スイッチの出力ポートと該当入力ポートを接続することで光パスを設定する。
【0034】
以上で説明したように、光サブシステム11は4つのスイッチ機能(分岐側方路選択スイッチ31、分岐側波長割当スイッチ32、合流側方路選択スイッチ33および合流側波長割当スイッチ34)を有する。ただし、これらのスイッチは光サブシステム11におけるスイッチ機能を表しており、光サブシステム11を製造するために必要な光部品である光スイッチの配置や、前記光スイッチの入出力ポートの物理的な接続関係を示すものではない。
【0035】
図5はカラーレス機能を備える光サブシステム11が備える分岐スイッチ21を製造するために必要な光部品と、その接続方法を例示している。図5に示す例では、N個(Nは自然数)の受信機41と分岐スイッチ21が接続された構成となっている。図5aに示す例では、分岐側方路選択スイッチ31として1×M WSSを採用し、分岐側波長割当スイッチ32として1×N WSSを採用している。図5bに示す例では、分岐側方路選択スイッチ31と分岐側波長割当スイッチ32を1つの1×(M+N)WSSで構成する。1つのWSSにおいて、他方路へ接続する出力ポートと、自ノードの受信機41へ接続する出力ポートの両方を備えている点が図5aに示す例と異なる点である。図5cに示す例では、分岐側方路選択スイッチ31として1×M 光カプラ(Optical Coupler:OC)を採用し、分岐側波長割当スイッチ32として1×N WSSを採用している。ここで、光カプラ31は、入力光パス信号を全ての出力ポートに、同時に分配する機能を有する光部品である。図5に示すように、分岐スイッチ21において、3通りの光部品の組合せが考えられる。
【0036】
図6はカラーレス機能を備える光サブシステム11を構成する合流スイッチ22を製造するために必要な光部品と、その接続方法を例示している。図6に示す例では、N個(Nは自然数)の送信機42と合流スイッチ22が接続された構成となっている。図6aに示す例では、合流側方路選択スイッチ33としてM×1 WSSを採用し、合流側波長割当スイッチ34としてN×1 WSSを採用している。図6bに示す例では、合流側方路選択スイッチ33と合流側波長割当スイッチ34とを1つの(M+N)×1 WSSで構成している。1つのWSSにおいて、他方路と接続する入力ポートと、自ノードの送信機へ接続する入力ポートの両方を備えている点が図6aに示す例と異なる点である。図6cに示す例では、合流側方路選択スイッチ33としてM×1 光カプラを採用し、合流側波長割当スイッチ34としてN×1 WSSを採用している。図6に示すように、合流スイッチ22において、3通りの光部品の組合せが考えられる。
【0037】
図5および図6に示したように、分岐スイッチ21及び合流スイッチ22の光部品の組合せがそれぞれ3通りあるので、光サブシステム11を構成する光部品の組合せは合計で9通りとなる。ただし、図5cと図6cの光部品構成を組み合わせると、運用者が意図しない方路にも光パスが設定されてしまうため、構成として採用できない。したがって、図5および図6で示した光部品を採用する可能性がある場合、従来、光サブシステム製造者は8通りの光サブシステムとその制御方法を設計及び製造する必要があった。
【0038】
図7は、光サブシステム11の制御フローである。以下、方路mに関わる光パス信号の経路設定方法を、図7に例示した制御フローに沿って詳細に説明する。
(1)ノード管理制御部10からの光パス設定要求を、IF(Interface)機能部で受信する。
(2)IF機能部は論理制御機能部に対して、光パス設定を要求する。
(3)論理制御機能部は、IF機能部から受けた光パス設定要求を解析し、該当する分岐スイッチ21及び合流スイッチ22の接続状態遷移を参照して、光パス設定の可否を判定する。なお、分岐スイッチ21及び合流スイッチ22の接続状態遷移については後述する。光パス設定が不可能な場合、論理制御機能部はIF機能部に要求拒否を通知する。
(4)光パス設定が可能な場合は、光パス設定要求を分岐スイッチ21および合流スイッチ22の物理制御機能部に送信する。
(5)分岐スイッチ21および合流スイッチ22の物理制御機能部において、論理情報テーブルと物理情報テーブルとの組を参照してパス設定要求に物理構成変換を施し、光部品である光スイッチのスイッチ設定可否を判定する。なお、以下の説明では、「論理情報テーブルと物理情報テーブルとの組」を「論理物理変換テーブル」と記載することがある。また、論理物理変換テーブルを参照して光パス設定要求に物理構成変換を施す工程については後述する。スイッチ設定が不可能な場合、論理制御機能部を経由してIF機能部に要求拒否を通知する。
(6)スイッチ設定が可能な場合は、スイッチ設定要求を該当する光スイッチのドライバに送信する。
(7)光スイッチのドライバにおいて、スイッチ設定要求に基づいて光スイッチを駆動する。
(8)要求通りに光スイッチを駆動した場合、ACK(Acknowledgement)を論理制御機能部に通知する。
(9)論理制御機能部において、ACK通知に基づき、分岐スイッチ21、合流スイッチ22の接続状態遷移図における接続状態を更新する。
(10)論理制御機能部からIF機能部にACK通知する。
(11)IF機能部からノード制御管理部にACK通知する。
【0039】
次に、論理制御機能部において分岐スイッチ21および合流スイッチ22の状態を管理するために必要となる接続状態遷移について説明する。図8は光サブシステム11における分岐スイッチ21および合流スイッチ22の接続状態遷移図である。図8aは、ある波長λnの光パス信号を他方路m’に接続する場合の接続状態遷移を示している。光パスを他方路m’に設定することを考えた場合、分岐スイッチ21がとり得る状態は{OFF,XC}(XC:cross connect)であり、合流スイッチ22がとり得る状態は{OFF,XC}である。接続状態遷移図には分岐スイッチ21と合流スイッチ22がとり得る状態が示されており、図中の矢印で接続された状態間でスイッチ状態の遷移が可能であることを意味している。図8bは、ある波長λnの光パス信号を自ノードの送受信機nに接続する場合の接続状態遷移を示している。光パスを自ノードの送受信機nに設定することを考えた場合、分岐スイッチ21がとり得る状態は{OFF,drop}であり、合流スイッチ22がとり得る状態は{OFF,add}である。接続状態遷移図には分岐スイッチ21と合流スイッチ22がとり得る状態が示されており、図中の矢印で接続された状態間でスイッチ状態の遷移が可能であることを意味している。光サブシステム11における論理制御機能部では、接続状態遷移図に基づいてIF機能部から受信した光パス設定要求の可否を判定する。
【0040】
次に、論理物理変換テーブルを参照して光パス設定要求に物理構成変換を施す工程について説明する。図9は光サブシステム11の光パス設定における論理物理変換テーブルを示している。図9aは論理情報テーブルであり、XC状態で接続可能となる出力方路、Add−Drop状態で接続可能となる送受信機の送受信ポート番号がテーブルに記載されている。図9bは図5aに示した光部品で構成される分岐スイッチ21の物理情報テーブルである。例えば、論理制御機能部から、
“波長λnの光パス信号を出力方路Mに接続”
という光パス設定要求を受信した場合、論理情報テーブルのM行目と物理情報テーブルのM行目を照合させ、
“WSS#1の入力ポート1、出力ポートMを接続”
というスイッチ設定要求に変換して該当する光部品のドライバに送信する。また、例えば、論理制御機能部から、
“波長λnの光パス信号を受信ポートnに接続”
という光パス設定要求を受信した場合、論理情報テーブルの(M+n)行目と物理情報テーブルの(M+n)行目を照合させ、
“WSS#1の入力ポート1、出力ポートmを接続”
および
“WSS#2の入力ポート1、出力ポートnを接続”
というスイッチ設定要求に変換して、該当するそれぞれの光部品のドライバに送信する。
【0041】
図9cは図5bに示した光部品で構成される分岐スイッチ21の物理情報テーブルである。図9dは図5cに示した光部品で構成される分岐スイッチ21の物理情報テーブルである。図9dは、分岐側方路選択スイッチ31を構成する光カプラが受動部品であり、ドライバで駆動する必要がない点が図9bと異なる。例えば、論理制御機能部から、
“波長λnの光パス信号を出力方路Mに接続”
という光パス設定要求を受信した場合、論理情報テーブルのM行目と物理情報テーブルのM行目を照合させた結果、該当する光部品が光カプラであることがわかる。光カプラは常時方路Mに接続された状態であり制御する必要がないため、光パス設定要求はドライバへの要求に変換することなくマスクされる。例えば、論理制御機能部から、
“波長λnの光パス信号を受信ポートnに接続”
という光パス設定要求を受信した場合、論理情報テーブルの(M+n)行目と物理情報テーブルの(M+n)行目を照合させ、
“WSS#1の入力ポート1、出力ポートMを接続”
というスイッチ設定要求に変換して、該当する光部品のドライバに送信する。図9e、f、gは図6a、b、cに示した光部品で構成される合流スイッチの物理情報テーブルである。
【0042】
本制御方法の光サブシステム11を製造した場合の効果をまとめると次のようになる。例として、光サブシステム製造者が分岐スイッチ21として図5aの光部品構成を採用し、合流スイッチ22として図6aの光部品構成を採用して光サブシステム11を製造した場合を考える。例えば、別途、分岐スイッチ21として図5bの光部品構成を採用し、合流スイッチ22として図6bの光部品構成を採用する必要が生じた場合、本制御方法の光サブシステム11であれば、物理制御機能部の論理物理変換テーブルを変更するのみで、光部品および光部品を駆動するドライバを置換することが可能となる。論理物理変換テーブルの変更は、例えば、光サブシステム11を制御する上位装置からのコマンドにより書き換えることが可能である。図5および図6に挙げた光部品構成に対応する光サブシステム11を製造する場合、本制御方法を利用することで光サブシステム製造に必要となるコスト及び時間を1/8に低減することが可能である。勿論、光部品の多様化に伴い光部品構成の組合せは増加するので、本発明の効果はそれにともない、より顕著に発現する。
【0043】
(実施形態2)
[監視系処理:光信号レベルモニタ]
ROADMノードを構成する光サブシステムにおける監視系処理として、光ノード内の光信号レベルモニタ方法を例に挙げ、本光サブシステムの適用方法および効果を説明する。本実施例の光サブシステムとROADMノードの関係は、図3に示した実施形態1での説明と同じである。
【0044】
図10は光信号レベルモニタ機能を備えた光サブシステム11’の構成例を示す図である。光サブシステム11’は、図4の分岐側方路選択スイッチ31、分岐側波長割当スイッチ32、合流側方路選択スイッチ33および合流側波長割当スイッチ34に加え、光レベルモニタ(M1〜M8)を備える。光レベルモニタM1において分岐側方路選択スイッチ21に入力される光パス信号の光強度を監視し、光レベルモニタM2において分岐側方路選択スイッチから出力される光パス信号の光強度を監視し、光レベルモニタM3において分岐側波長割当スイッチ32に入力される光パス信号の光強度を監視し、光レベルモニタM4において分岐側波長割当スイッチ32から出力される光パス信号の光強度を監視し、光レベルモニタM5において合流側方路選択スイッチ33に入力される光パス信号の光強度を監視し、光レベルモニタM6において合流側方路選択スイッチ33から出力される光パス信号の光強度を監視し、光レベルモニタM7において合流側波長割当スイッチ34に入力される光パス信号の光強度を監視し、光レベルモニタM8において合流側波長割当スイッチ34から出力される光パス信号の光強度を監視する。ただし、これらの光レベルモニタ(M1〜M8)は光サブシステム11’を製造するために必要な光部品であるOCM(Optical Channel Monitor)の物理的な接続位置を示すものではない。
【0045】
図11は光サブシステム11’が備える分岐スイッチ21が有する光部品と、その接続方法を例示している。ここで、OCMは、複数経路の光信号レベルを測定することが可能であり、測定対象をセレクタにより切替えて、それぞれの経路における光信号レベルを検出する形態を想定している。図11a、b、cは、図5a、b、cに示した分岐スイッチ21を構成する光部品の組合せ例に対して、それぞれOCMを配置した例である。
【0046】
図12は光サブシステム11’が備える合流スイッチ22が有する光部品と、その接続方法を例示している。図12a、b、cは、図6a、b、cに示した分岐スイッチ22を構成する光部品の組合せ例に対して、それぞれOCMを配置した例である。
【0047】
図13は、光サブシステム11’の制御フローである。以下、方路mに関わる光パス信号の光信号レベルモニタ方法を、図13に例示した制御フローに沿って詳細に説明する。
(1)ノード管理制御部10からの光信号レベルモニタ要求を、IF機能部で受信する。
(2)IF機能部から論理制御機能部に対して、光信号レベルモニタを要求する。
(3)論理制御機能部は、IF機能部から受けた光信号レベルモニタ要求を解析し、該当するモニタ点の光レベル状態管理遷移と、該当するモニタ点を含む光信号パスの設定状態について実施形態1で説明した接続状態遷移を参照して、光信号レベルモニタの可否を判定する。なお、モニタ点における光レベル状態遷移の管理については後述する。光信号レベルモニタが不可能な場合、IF機能部に要求拒否を通知する。
(4)光信号レベルモニタが可能な場合は、光信号レベルモニタを分岐スイッチ21および合流スイッチ22の物理制御機能部に要求する。
(5)分岐スイッチ21および合流スイッチ22の物理制御機能部において、論理物理変換テーブルを参照して光信号レベルモニタ要求に物理構成変換を施す。なお、論理物理変換テーブルを参照して光信号レベルモニタ要求に物理構成変換を施す工程については後述する。光信号レベルモニタが不可能な場合は、論理制御機能部を経由してIF機能部に要求拒否を通知する。
(6)該当モニタ点の光信号レベル測定値を要求する。
(7)該当モニタ点のOCMドライバにおいて、該当モニタ点の光信号レベル測定値を読出し記録する。
(8)記録した光信号レベル測定値を分岐スイッチ21および合流スイッチ22の物理制御機能部にそれぞれ通知する。
(9)分岐スイッチ21および合流スイッチ22の物理制御機能部は、論理物理変換テーブルを参照して取得した光信号レベルモニタ測定値に物理構成変換を施す。
(10)物理構成変換を施した光信号レベルモニタ値を論理制御部に通知する。
(11)論理制御機能部は、光信号レベルモニタ値に基づき、分岐スイッチ21、合流スイッチ22に関係する光パスの光信号レベル状態について、それぞれの光レベル状態遷移図における光レベル状態を更新する。
(12)論理制御機能部は、更新した光レベル状態に応じてACKもしくはアラートをIF機能部に通知する。
(13)IF機能部は、ノード制御管理部にACKもしくはアラートを通知する。
【0048】
なお、図13の制御フローにおいて、IF機能部からのモニタ要求(2)はIF機能部から論理制御機能部に直接送られているが、この構成に限定されるものではない。例えば、実施形態1に示した光パス設定要求に基づき、設定系処理の論理制御機能部から光信号パスの光信号レベルモニタ要求を、本監視系処理の論理制御機能部に送る形態をとることも可能である。
【0049】
次に、論理制御機能部において分岐スイッチ21および合流スイッチ22に関係する光パスにおける光信号レベルモニタ状態を管理するために必要となる、光レベル状態遷移について説明する。図14は光サブシステム11’が備える分岐スイッチ21および合流スイッチ22での光パスにおける光レベル状態遷移図である。
【0050】
図14aは、ある波長λnの光パス信号を他方路m’に接続した場合の、光信号レベルモニタの光レベル状態遷移図を示している。光パスを他方路m’に設定することを考えた場合、光信号レベルモニタ結果のとり得る状態は{正常、異常、スタンバイ}である。正常とは、検出した光信号レベルが、予め設定した閾値よりも大きい場合に対応する。異常とは、検出した光信号レベルが、予め設定した閾値よりも小さい場合に対応しており、光信号パスに関与する光部品の故障などの可能性があるため、IF機能部にアラートを通知する場合がある。スタンバイとは光信号レベルの検出を停止している状態である。ここで述べた検出停止とは、必ずしも、光部品であるOCMが光信号レベルの測定を停止することを意味しているわけではない。例えば、OCMはノード管理制御部からの要求とは無関係に、常時光信号レベルの測定を実施して測定結果を記録装置に書き込む一方で、その書き込まれた光信号レベル値を物理制御機能部から論理制御機能部に通知しない状態もスタンバイ状態に該当する。光レベル状態遷移図には分岐スイッチ21および合流スイッチ22に関係する光パスにおける光信号レベルモニタ結果のとり得る状態がそれぞれ示されており、図中の矢印で接続された状態間でモニタ状態の遷移が可能であることを意味している。
【0051】
図14bは、ある波長λnの光パス信号を自ノードの送受信機nに接続する場合の、光信号レベルモニタの光レベル状態遷移図を示している。光パスを自ノードの送受信機nに設定することを考えた場合、光信号レベルモニタ結果のとり得る状態は{正常、異常、スタンバイ}である。図中の矢印で接続された状態間でモニタ状態の遷移が可能であることを意味している。光サブシステム11’における論理制御機能部では、光レベル状態遷移図に基づいてIF機能部から受信した光信号レベルモニタ要求の可否を判定する。また、物理制御機能部において論理物理変換テーブルを参照して物理構成変換を施した光信号レベルモニタ値と、予め設定された閾値との関係に基づいて光レベル状態遷移を更新する。
【0052】
次に、論理物理変換テーブルを参照して光信号レベルモニタ要求に物理構成変換を施す過程、および、論理物理変換テーブルを参照して取得した光信号レベルモニタ値に物理構成変換を施す過程について説明する。図15は光サブシステム11’の光信号レベルモニタにおける論理物理変換テーブルを示している。図15aは論理情報テーブルであり、XC状態で接続可能となる出力方路、add−drop状態で接続可能となる送受信機の送受信ポート番号がテーブルに記載されている。図15bは図11aに示した光部品で構成される光レベルモニタの物理情報テーブルである。
【0053】
例えば、論理制御部から、
“出力方路Mに接続された波長λnの光パス信号について、光信号レベルをモニタする”
というモニタ要求を受信した場合、論理情報テーブルのM行目と物理情報テーブルのM行目を照合させ、
“モニタ点M1としてOCM#1の値を読込む、モニタ点M2としてOCM#2のセレクタM番の値を読込む”
というモニタ要求に変換して該当する光信号レベル測定結果を取得する。
【0054】
また、例えば、論理制御機能部から、
“受信ポートnに接続された波長λnの光パス信号について、光信号レベルをモニタする”
というモニタ要求を受信した場合、論理情報テーブルの(M+n)行目と物理情報テーブルの(M+n)行目を照合させ、
“モニタ点M1としてOCM#1の値を読込む、モニタ点M2としてOCM#2のセレクタm番の値を読込む、モニタ点M3としてOCM#2のセレクタm番の値を読込む、モニタ点M4としてOCM#3のセレクタn番の値を読込む”
というモニタ要求に変換して該当する光信号レベル測定結果を取得する。
【0055】
図15cは図11bに示した光部品で構成される光レベルモニタの物理情報テーブルである。図15dは図11cに示した光部品で構成される光レベルモニタの物理情報テーブルである。図11cは、分岐側方路選択スイッチ31を構成する光カプラが受動部品であり、出力ポートにOCMを接続していない点で、図11bと異なる。
【0056】
例えば、論理制御部から、
“出力方路Mに接続された波長λnの光パス信号について、光信号レベルをモニタする”
というモニタ要求を受信した場合、論理情報テーブルのM行目と物理情報テーブルのM行目を照合させ、
“モニタ点M1としてOCM#1の値を読込む、モニタ点M2としてOCM#1の値を読込み3.1dBm引く”
というモニタ要求に変換して該当する光信号レベル測定結果を取得する。ここで、モニタ点2にはOCMが接続されていないため、モニタ点1の値に光カプラ出力の分岐に伴う原理損失(例としてM=2とする場合、約3dB)と、光カプラの過剰損失(例えば、0.1dBとする)の和を考慮して、光カプラの入力ポートにおける光信号レベルから3.1dBmを減じた値をモニタ点M2の値とする点が図16bと異なる。
【0057】
例えば、論理制御機能部から、
“受信ポートnに接続された波長λnの光パス信号について、光信号レベルをモニタする”
というモニタ要求を受信した場合、論理情報テーブルの(M+n)行目と物理情報テーブルの(M+n)行目を照合させ、
“モニタ点M1としてOCM#1の値を読込む、モニタ点M2としてOCM#1の値を読込み3.1dBm引く、モニタ点M3としてOCM#1の値を読込み3.1dBm引く、モニタ点M4としてOCM#2のセレクタn番の値を読込む”
というモニタ要求に変換して該当する光信号レベル測定結果を取得する。図16e、f、gは図12a、b、cに示した光部品で構成される光レベルモニタの物理情報テーブルである。
【0058】
本制御方法の光サブシステム11’を製造した場合の効果をまとめると次のようになる。例として、光サブシステム製造者が分岐スイッチ21に関わる光レベルモニタとして図11aの光部品構成を採用し、合流スイッチ22に関わる光レベルモニタとして図12aの光部品構成を採用して光サブシステム11’を製造した場合を考える。例えば、別途、分岐スイッチ21に関わる光レベルモニタとしてとして図11bの光部品構成を採用し、合流スイッチ22に関わる光レベルモニタとして図12bの光部品構成を採用する必要が生じた場合、本制御方法の光サブシステム11’であれば、物理制御機能部の論理物理変換テーブルを変更するのみで、光部品および光部品を駆動するドライバを置換することが可能となる。論理物理変換テーブルの変更は、例えば、光サブシステム11’を制御する上位装置からのコマンドにより書き換えることが可能である。図11および図12に挙げた光部品構成に対応する光サブシステム11’を製造する場合、本制御方法を利用することで光サブシステム製造に必要となるコスト及び時間を1/8に低減することが可能である。勿論、光部品の多様化に伴い光部品構成の組合せは増加するので、本発明の効果はそれにともない、より顕著に発現する。
【0059】
(実施形態3)
[制御系処理:合流側方路選択スイッチにおけるALC]
ROADMノードを構成する光サブシステムにおける制御系処理として、光ノード内の合流側方路選択スイッチにおけるALC(Auto Level Control)機能を例に挙げ、本光サブシステムの適用方法および効果を説明する。本光サブシステムとROADMノードの関係は、図3に示した実施形態1での説明と同じである。
【0060】
図16は出力方路mに接続する合流側方路選択スイッチ33がALC機能を備えた光サブシステム11”の構成例を示す図である。光サブシステム11”は、図4の分岐側方路選択スイッチ31、分岐側波長割当スイッチ32、合流側方路選択スイッチ33および合流側波長割当スイッチ34に加え、合流側方路選択スイッチ34から出力される光パス信号の光強度を監視する光レベルモニタM6を備える。合流側方路選択スイッチ33が備えるALC機能とは、光サブシステム11”から方路mに出力される光信号の強度を、予め設定した強度値に調整することを目的としている。具体的には、光レベルモニタM6において検出した光信号レベルと、あらかじめ設定した目標とする強度値を参照し、可変光減衰器(Variable Optical Attenuator:VOA)機能を備えた合流側方路選択スイッチ33においてFB(Feedback)制御を行う。
【0061】
図17は光サブシステム11”の合流スイッチ22および光レベルモニタM6に必要な光部品と、その接続方法を例示している。ここで、OCMは、複数波長の光信号レベルを個別に測定する形態を想定している。図17a、b、cは、図6a、b、cに示した合流スイッチ22を構成する光部品の組合せ例に対して、それぞれ、OCMとVOAを配置した例である。
【0062】
図18に、光サブシステム11”の制御フローを示す。以下、方路mに関わる光パス信号のALC実施方法を、図18に例示した制御フローに沿って詳細に説明する。
(1)ノード管理制御部10からのALC要求を、IF機能部で受信する。
(2)IF機能部から論理制御機能部に対して、ALCを要求する。
(3)論理制御機能部は、IF機能部から受けたALC要求を解析し、該当するALC機能のALC状態遷移と、該当する光信号パスの設定状態について実施形態1で説明した接続状態遷移を参照し、さらに、該当する光信号レベルモニタ点のモニタ状態について実施形態2で説明した光レベル状態管理遷移を参照して、ALCの可否を判定する。なお、ALC機能のALC状態遷移の管理については後述する。ALCが不可能な場合、IF機能部に要求拒否を通知する。
(4)ALCが可能な場合には、ALCを合流スイッチの物理制御機能部に要求する。
(5)合流スイッチ22の物理制御機能部において、論理物理変換テーブルを参照してALC要求に物理構成変換を施す。
(6)物理制御機能部のFB制御部にALCを要求する。
(7)FB制御部から、該当する光信号レベルモニタ点の光信号レベル測定値を要求する。
(8)該当モニタ点のOCMドライバは、光レベルモニタM6を駆動し、該当モニタ点の光信号レベル測定値を読出し、記録する。
(9)記録した光信号レベル測定値を、前記FB制御部に通知する。
(10)FB制御部において、予め設定されたALC目標値と光信号レベルモニタ値に基づき、VOA機能に要求する減衰量設定を決定する。
(11)VOA機能に減衰量設定値を通知する。
(12)VOA機能のドライバは、減衰量設定値に基づきVOAを駆動する。
(13)FB制御部から論理制御機能部に、FB制御状態に応じてACKもしくはアラートを通知する。
(14)論理制御機能部において、ACKもしくはアラートに応じて、ALC機能のALC状態遷移図における状態遷移を更新する。
(15)論理制御機能部から、更新したALC状態遷移に応じてACKもしくはアラートをIF機能部に通知する。
(16)IF機能部からノード制御管理部にACKもしくはアラートを通知する。
【0063】
FB制御は、予め設定した目標値と光信号レベル測定値の差分に許容量を設定し、目標値と光信号レベル測定値の差分が設定した許容量以内となるまで、(9)〜(11)のフローを反復する。
【0064】
なお、図18の本制御フローにおいて、IF機能部からのALC要求(2)はIF機能部から論理制御機能部に直接送られているが、本実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態1に示した光パス設定要求に基づき、設定系処理の論理制御機能部から光信号パスのALC要求を、本論理制御機能部に送る形態をとることも可能である。
【0065】
図21は本制御フローの他の例を示す図である。FB制御部が論理制御機能部に配置される点で、図18に示した制御フローと異なる。図21に示す制御フローでは、フロー(9)で表される光信号レベル値をFB制御部に通知する工程で、(17)に示す物理構成変換が施される。つまり、FB制御部は光信号レベルを測定する光部品を認識することなく、光サブシステム構成上の光レベルモニタM6の光信号レベルを取得する。また、フロー(11)で表されるFB制御部から光減衰量設定値を通知する工程で、(17)に示す物理構成変換が施される。つまり、FB制御部はVOA機能を発現する光部品を認識することなく、光サブシステム構成上のVOA機能に光減衰量設定値を通知する。図21に示す制御フローを採用した場合であっても、図18で説明した効果と同等の効果を得ることができる。
【0066】
次に、論理制御機能部において合流スイッチ22に関係する光パスにおけるALC状態を管理するために必要となるALC状態遷移について説明する。図19は光サブシステム11”におけるALC状態遷移図である。
【0067】
図19aは、ある波長λnの光パス信号を他方路m’に接続した場合の、ALC状態遷移図を示している。光パスを他方路m’に設定することを考えた場合、ALCのとり得る状態は{ALCモード、シャットダウン、OFF}である。ALCモードとは、図18に示した制御フロー(9)〜(11)の状態に対応する。シャットダウンとは、図18に示した制御フロー(9)で取得する光信号レベルモニタ値とは無関係に、予め設定した一定の減衰量に基づきVOAを駆動する状態である。OFFとは、VOAを駆動しない状態である。ALC状態遷移図にはALCのとり得る状態が示されており、図中の矢印で接続された状態間でALC状態の遷移が可能であることを意味している。
【0068】
図19bは、ある波長λnの光パス信号を自ノードの送受信機nに接続する場合の、ALC状態遷移図を示している。光パスを自ノードの送受信機nに設定することを考えた場合、ALCのとり得る状態は{ALCモード、シャットダウン、OFF}である。図中の矢印で接続された状態間でALC状態の遷移が可能であることを意味している。実施例3に係る光サブシステムにおける論理制御機能部では、ALC状態遷移図に基づいてIF機能部から受信したALC要求の可否を判定する。また、FB制御部からの通知に基づいてALC状態遷移を更新する。
【0069】
次に、論理物理変換テーブルを参照してALC要求に物理構成変換を施す工程について説明する。図20は光サブシステム11”のALC機能における論理物理変換テーブルを示している。図20aは論理情報テーブルであり、XC状態で接続可能となる出力方路、Add−Drop状態で接続可能となる送受信機の送受信ポート番号がテーブルに記載されている。図20bは図17aに示した光部品で構成されるVOAおよび光信号レベルモニタ点の物理情報テーブルである。ここで、VOA機能はWSSの入出力経路接続機構に組み込まれている形態を想定している。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用したWSSにおいては、入射光を反射するミラーの角度を制御することで、入出力経路接続機能とVOA機能を同時に発現することが公知である。
【0070】
例えば、論理制御部から、
“出力方路Mに接続された波長λnの光パス信号について、ALCを実施する”
というALC要求を受信した場合、論理情報テーブルのM行目と物理情報テーブルのM行目を照合させ、
“VOA機能としてWSS#1の入力ポート#Mを駆動し、モニタ点としてOCM#1の値を読込む”
というALC要求に変換して該当するFB制御部に要求する。また、例えば、論理制御機能部から、
“受信ポートnに接続された波長λnの光パス信号について、ALCを実施する”
というALC要求を受信した場合、
“VOA機能としてWSS#1の入力ポート#mを駆動し、モニタ点としてOCM#1の値を読込む”
というALC要求に変換して該当するFB制御部に要求する。
【0071】
図20cは図17bに示した光部品で構成されるVOAおよび光信号レベルモニタ点の物理情報テーブルである。図20dは図17cに示した光部品で構成されるVOAおよび光信号レベルモニタ点の物理情報テーブルである。図17dは、合流側方路選択スイッチが受動部品である光カプラで構成されており、VOA機能とスイッチ機能を同時に備えるWSSとは異なり、別途、光カプラの入力ポートにVOAを接続している点で、図17aと異なる。ここで、VOAは入力ポート1本と出力ポート1本を備えた形態と想定している。
【0072】
例えば、論理制御部から、
“出力方路Mに接続された波長λnの光パス信号について、ALCを実施する”
というALC要求を受信した場合、論理情報テーブルのM行目と物理情報テーブルのM行目を照合させ、
“VOA機能としてVOA#Mを駆動し、モニタ点としてOCM#1の値を読込む”
というALC要求に変換して該当するFB制御部に要求する。また、例えば、論理制御機能部から、
“受信ポートnに接続された波長λnの光パス信号について、ALCを実施する”
というALC要求を受信した場合、
“VOA機能としてVOA#mを駆動し、モニタ点としてOCM#1の値を読込む”
というALC要求に変換して該当するFB制御部に要求する。
【0073】
本制御方法の光サブシステム11”を製造した場合の効果をまとめると次のようになる。例として、光サブシステム製造者がALCに関わるVOAおよび光信号レベルモニタ点として図17aの光部品構成を採用して光サブシステム11”を製造した場合を考える。例えば、別途、ALCに関わるVOAおよび光信号レベルモニタ点として図17bの光部品構成を採用する必要が生じた場合、本制御方法の光サブシステム11”であれば、物理制御機能部の論理物理変換テーブルを変更するのみで、光部品および光部品を駆動するドライバを置換することが可能となる。論理物理変換テーブルの変更は、例えば、光サブシステム11”を制御する上位装置からのコマンドにより書き換えることが可能である。図17に挙げた光部品構成に対応する光サブシステム11”を製造する場合、本制御方法を利用することで光サブシステム製造に必要となるコスト・時間を1/3に低減することが可能である。勿論、光部品の多様化に伴い光部品構成の組合せは増加するので、本発明の効果はそれにともない、より顕著に発現する。
【0074】
図22は実施形態1、2、3でそれぞれ説明した、設定系処理、監視系処理、制御系処理の制御フローを同一光サブシステム内で同時に実施した場合における、各機能部間の情報交換経路を示す図である。
【0075】
(実施形態4)
[運用形態変更]
ROADMノードを構成する光サブシステムの運用形態を変更する場合について説明する。ここで、運用形態の変更とは、接続する方路数もしくはAdd/Drop状態で接続する送受信機数を変更することを意味している。具体的には、2−degree ROADMノードを構成する光サブシステムを、8−degree ROADMノード用の光サブシステムとして運用する場合を例として考える。なお、本実施形態では、運用形態の変更を実現するために、光サブシステムを構成する光部品を変更する方法ではなく、論理物理変換テーブルを変更する方法について説明する。つまり、本実施形態では、光部品を変更することなく、物理制御機能部における論理物理変換テーブルを変換するのみで、光サブシステムの運用形態変更が可能であることを説明する。
【0076】
図23は本実施形態の光サブシステムを構成する光部品を示している。図23(a)は分岐スイッチ21に対応しており、分岐側方路選択スイッチ31として1×43WSSを採用し、分岐側波長割当スイッチ32として前記1×43WSSを採用している。1つのWSSにおいて、他方路へ接続する出力ポートと、自ノードの受信機へ接続する出力ポートの両方を備えている。図23(b)は合流スイッチ22に対応しており、合流側方路選択スイッチ33として43×1WSSを採用し、合流側波長割当スイッチ34として前記43×1WSSを採用している。1つのWSSにおいて、他方路と接続する入力ポートと、自ノードの送信機へ接続する入力ポートの両方を備えている。なお、本実施形態では分岐スイッチ21および合流スイッチ22を構成する光部品として1×43WSSを例として説明するが、その効果は1×43WSSに限定されるものではなく、1×9WSSなどの他の光部品においても同様の効果が発現する。
【0077】
方路数を2から8に変更する運用形態変更を実現する方法について、実施形態1で説明した光パス設定要求に物理構成変換を施す工程(図7に示す制御工程(5))を説明する。なお、図7に示す制御工程(5)以外の制御工程については、運用形態変更に伴う変更はない。図24は光パス設定要求に物理構成変換を施す工程における論理物理変換テーブルを示している。
【0078】
はじめに、分岐スイッチ21について説明する。図24(a)は方路数を2とした運用形態における論理情報テーブルである。図24(c)は図23(a)に示した光部品で構成される分岐スイッチ21の物理情報テーブルである。図24(a)に示す論理情報テーブルと図24(c)に示す物理情報テーブルの組み合わせで構成される論理物理変換テーブルを利用することで、方路数2、最大送受信ポート数42の光サブシステムとして運用することが可能となる。一方、図24(b)は方路数を8とした運用形態における論理情報テーブルである。図24(b)に示す論理情報テーブルと図24(c)に示す物理情報テーブルの組み合わせで構成される論理物理変換テーブルを利用することで、方路数8、最大送受信ポート数36の光サブシステムとして運用することが可能となる。つまり、本実施形態の運用形態変更は、論理情報テーブルの変更のみで可能であり、光部品の変更、光パス設定要求に物理構成変換を施す工程における論理物理変換テーブル以外の制御工程の変更を必要としない。
【0079】
次に、合流スイッチ22について説明する。図24(d)は方路数を2とした運用形態における論理情報テーブルである。図24(f)は図23(b)に示した光部品で構成される合流スイッチ22の物理情報テーブルである。図24(d)に示す論理情報テーブルと図24(f)に示す物理情報テーブルの組み合わせで構成される論理物理変換テーブルを利用することで、方路数2、最大送受信ポート数42の光サブシステムとして運用することが可能となる。一方、図24(e)は方路数を8とした運用形態における論理情報テーブルである。図24(e)に示す論理情報テーブルと図24(f)に示す物理情報テーブルの組み合わせで構成される論理物理変換テーブルを利用することで、方路数8、最大送受信ポート数36の光サブシステムとして運用することが可能となる。つまり、本実施形態の運用形態変更は、論理情報テーブルの変更のみで可能であり、光部品の変更、光パス設定要求に物理構成変換を施す工程における論理物理変換テーブル以外の制御工程の変更を必要としない。
【0080】
方路数を2から8に変更する運用形態変更を実現する方法について、実施形態2で説明した光信号レベルモニタ要求に物理構成変換を施す工程(図13に示す制御工程(5))を説明する。なお、図13に示す制御工程(5)以外の制御工程については、運用形態変更に伴う変更はない。図25は光信号モニタ要求に物理構成変換を施す工程における論理物理変換テーブルを構成する論理情報テーブルを示している。図26は光信号モニタ要求に物理構成変換を施す工程における論理物理変換テーブルを構成する物理情報テーブルを示している。
【0081】
はじめに、分岐スイッチ21について説明する。図25(a)は方路数を2とした運用形態における論理情報テーブルである。図26(a)は図23(a)に示した光部品で構成される分岐スイッチ21の物理情報テーブルである。図25(a)に示す論理情報テーブルと図26(a)に示す物理情報テーブルの組み合わせで構成される論理物理変換テーブルを利用することで、方路数2、最大送受信ポート数42の光サブシステムとして運用することが可能となる。一方、図25(b)は方路数を8とした運用形態における論理情報テーブルである。図25(b)に示す論理情報テーブルと図26(b)に示す物理情報テーブルの組み合わせで構成される論理物理変換テーブルを利用することで、方路数8、最大送受信ポート数36の光サブシステムとして運用することが可能となる。つまり、本実施形態の運用形態変更は、論理情報テーブルおよび物理情報テーブルの変更のみで可能であり、光部品の変更、光パス設定要求に物理構成変換を施す工程における論理物理変換テーブル以外の制御工程の変更を必要としない。
【0082】
次に、合流スイッチ22について説明する。図25(c)は方路数を2とした運用形態における論理情報テーブルである。図26(c)は図23(b)に示した光部品で構成される合流スイッチ22の物理情報テーブルである。図25(c)に示す論理情報テーブルと図26(c)に示す物理情報テーブルの組み合わせで構成される論理物理変換テーブルを利用することで、方路数2、最大送受信ポート数42の光サブシステムとして運用することが可能となる。一方、図25(d)は方路数を8とした運用形態における論理情報テーブルである。図25(d)に示す論理情報テーブルと図26(d)に示す物理情報テーブルの組み合わせで構成される論理物理変換テーブルを利用することで、方路数8、最大送受信ポート数36の光サブシステムとして運用することが可能となる。つまり、本実施例の運用形態変更は、論理情報テーブルおよび物理情報テーブルの変更のみで可能であり、光部品の変更、光パス設定要求に物理構成変換を施す工程における論理物理変換テーブル以外の制御工程の変更を必要としない。
【0083】
本実施形態の光サブシステムの効果をまとめると、次のようになる。例として、光サブシステム製造者が分岐スイッチとして図23aの光部品構成を採用し、合流スイッチとして図23bの光部品構成を採用して光サブシステムを製造した場合を考える。例えば、方路数の異なる光サブシステムを製造する必要がある場合、本制御方法に基づく光サブシステムであれば、物理制御機能部の論理物理変換テーブルを変更するのみで、光部品および光部品を駆動するドライバや、論理物理変換テーブルに係る制御工程以外の制御工程および制御フローを変更する必要が生じない。論理物理変換テーブルの変更は、例えば、光サブシステムを制御する上位装置からのコマンドにより書き換えることが可能である。本発明の制御方法を利用することで、多様な方路数に1つの光サブシステムで対応することが可能となり、光サブシステム製造に必要となるコスト・時間を低減することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
10:ノード管理制御部
11、11’、11”:光サブシステム
21:分岐スイッチ
22:合流スイッチ
31:分岐側方路選択スイッチ
32:分岐側波長割当スイッチ
33:合流側方路選択スイッチ
34:合流側波長割当スイッチ
41:受信機
42:送信機
301〜303:光サブシステム
401:光ノード
M1〜M8:光レベルモニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポートを有する合流スイッチと、
論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
を備える光サブシステムであって、
前記論理的制御機能部は、
前記論理制御機能部に光パス設定要求があったときに、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図を参照して前記光パス設定要求の可否を判定し、
光パス設定が可能な場合、前記光パス設定要求を前記物理制御機能部に送信し、
前記物理制御機能部は、
前記論理的制御機能部から前記光パス設定要求を受信すると、前記分岐スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと前記合流スイッチの前記出力ポート及び前記入力ポートとの間で接続可能な組合せを記載した論理情報テーブル、及び前記分岐スイッチと前記合流スイッチの物理的情報を記載した物理情報テーブルを参照して前記光パス設定要求に物理構成変換を施し、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチのスイッチ設定の可否を判定し、
前記スイッチ設定が可能な場合、前記スイッチ設定を前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチのドライバに送信して前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチを駆動する
ことを特徴とする光サブシステム。
【請求項2】
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポートを有する合流スイッチと、
論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
前記分岐スイッチの前記入力ポート、前記分岐スイッチの少なくともM個の前記出力ポート、前記合流スイッチの前記出力ポート、及び前記合流スイッチの少なくともM個の前記入力ポートのそれぞれに配置された光レベルモニタと、
を備える光サブシステムであって、
前記論理的制御機能部は、
光信号レベルモニタ要求があったときに、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図及び前記光信号レベルモニタ要求の光信号レベルモニタ点の光レベル状態遷移図を参照して前記光信号レベルモニタ要求の可否を判定し、
光信号レベルモニタが可能な場合、前記光信号レベルモニタ要求を前記物理制御機能部に送信し、
前記物理制御機能部は、
前記論理的制御機能部から前記光信号レベルモニタ要求を受信すると、前記分岐スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと前記合流スイッチの前記出力ポート及び前記入力ポートとの間で接続可能な組合せを記載した論理情報テーブル、及び前記分岐スイッチと前記合流スイッチの物理的情報を記載した物理情報テーブルを参照して前記光信号レベルモニタ要求に物理構成変換を施し、前記光信号レベルモニタ要求の光信号レベルモニタ点での光信号レベル測定の可否を判定し、
前記光信号レベル測定が可能な場合、前記光信号レベルモニタ要求を前記光信号レベルモニタ点における前記光レベルモニタのドライバに送信して前記光レベルモニタを駆動し、前記光信号レベルモニタ点の光信号レベル測定値を取得し、
前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルを参照して取得した光信号レベルモニタ測定値に物理構成変換を施して前記論理制御機能部へ通知する
ことを特徴とする光サブシステム。
【請求項3】
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポート、並びに前記出力ポートから出力する光信号の光強度を調整する光強度調整機能を有する合流スイッチと、 論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
前記合流スイッチの前記出力ポートに配置された光レベルモニタと、
を備える光サブシステムであって、
前記論理的制御機能部は、
ALC(Auto Level Control)要求があったときに、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図、前記光レベルモニタが配置された光信号レベルモニタ点の光レベル状態遷移図、及び前記ALC要求の前記出力ポートのALC遷移状態図を参照してALCの可否を判定し、
ALCが可能な場合、前記ALC要求を前記合流スイッチの前記物理制御機能部に通知し、
前記物理制御機能部は、
前記論理的制御機能部から前記ALC要求を通知されると、前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルを参照して前記ALC要求に物理構成変換を施した後、前記ALC要求を前記光信号レベルモニタ点での光信号のレベル測定要求として前記光レベルモニタのドライバに送信して前記光レベルモニタを駆動し、前記光信号レベルモニタ点の光信号レベル測定値を取得するとともに、予め設定されたALC目標値と前記光信号レベル測定値に基づき光信号の減衰量設定を決定し、前記減衰量設定を前記光強度調整機能のドライバに送信して前記光強度調整機能を駆動するフィードバックを行う、
ことを特徴とする光サブシステム。
【請求項4】
前記物理的制御機能部の前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルの設定を変更することで設定可能な光パスの組み合わせを変更する設定変更機能部をさらに備えることを特徴とする請求項1から3に記載の光サブシステム。
【請求項5】
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポートを有する合流スイッチと、
論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
を備える光サブシステムの光サブシステム制御方法であって、
前記論理制御機能部に光パス設定要求があったときに、前記論理的制御機能部が、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図を参照して前記光パス設定要求の可否を判定し、
光パス設定が可能な場合、前記論理制御機能部が前記光パス設定要求を前記物理制御機能部に送信し、
前記光パス設定要求を受信した前記物理制御機能部が、前記分岐スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと前記合流スイッチの前記出力ポート及び前記入力ポートとの間で接続可能な組合せを記載した論理情報テーブル、及び前記分岐スイッチと前記合流スイッチの物理的情報を記載した物理情報テーブルを参照して前記光パス設定要求に物理構成変換を施し、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチのスイッチ設定の可否を判定し、
前記スイッチ設定が可能な場合、前記物理的制御機能部が、前記スイッチ設定を前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチのドライバに送信して前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチを駆動することを特徴とする光サブシステム制御方法。
【請求項6】
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポートを有する合流スイッチと、
論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
前記分岐スイッチの前記入力ポート、前記分岐スイッチの一部又は全部の前記出力ポート、前記合流スイッチの前記出力ポート、及び前記合流スイッチの一部又は全部の前記入力ポートのそれぞれに配置された光レベルモニタと、
を備える光サブシステムの光サブシステム制御方法であって、
前記論理制御機能部に光信号レベルモニタ要求があったときに、前記論理的制御機能部が、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図及び前記光信号レベルモニタ要求の光信号レベルモニタ点の光レベル状態遷移図を参照して前記光信号レベルモニタ要求の可否を判定し、
光信号レベルモニタが可能な場合、前記論理制御機能部が前記光信号レベルモニタ要求を前記物理制御機能部に送信し、
前記光信号レベルモニタ要求を受信した前記物理制御機能部が、前記分岐スイッチの前記入力ポート及び前記出力ポートと前記合流スイッチの前記出力ポート及び前記入力ポートとの間で接続可能な組合せを記載した論理情報テーブル、及び前記分岐スイッチと前記合流スイッチの物理的情報を記載した物理情報テーブルを参照して前記光信号レベルモニタ要求に物理構成変換を施し、前記光信号レベルモニタ要求の光信号レベルモニタ点での光信号レベル測定の可否を判定し、
前記光信号レベル測定が可能な場合、前記物理的制御機能部が、前記光信号レベルモニタ要求を前記光信号レベルモニタ点における前記光レベルモニタのドライバに送信して前記光レベルモニタを駆動し、前記光信号レベルモニタ点の光信号レベル測定値を取得し、
前記物理制御機能部が、前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルを参照して取得した光信号レベルモニタ測定値に物理構成変換を施して前記論理制御機能部へ通知することを特徴とする光サブシステム制御方法。
【請求項7】
1個の入力ポート及び複数の出力ポートを有する分岐スイッチと、
1個の出力ポート及び複数の入力ポート、並びに前記出力ポートから出力する光信号の光強度を調整する光強度調整機能を有する合流スイッチと、
論理的制御機能部と、
物理的制御機能部と、
前記合流スイッチの前記出力ポートに配置された光レベルモニタと、
を備える光サブシステムの光サブシステム制御方法であって、
ALC(Auto Level Control)要求があったときに、前記論理的制御機能部が、前記分岐スイッチ及び前記合流スイッチの接続に関する接続状態遷移図、前記光レベルモニタが配置された光信号レベルモニタ点の光レベル状態遷移図、及び前記ALC要求の前記出力方路のALC遷移状態図を参照してALCの可否を判定し、
ALCが可能な場合、前記論理制御機能部が前記ALC要求を前記合流スイッチの前記物理制御機能部に通知し、
前記ALC要求を通知された前記物理制御機能部が、前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルを参照して前記ALC要求に物理構成変換を施した後、前記ALC要求を前記光信号レベルモニタ点での光信号のレベル測定要求として前記光レベルモニタのドライバに送信して前記光レベルモニタを駆動し、前記光信号レベルモニタ点の光信号レベル測定値を取得するとともに、予め設定されたALC目標値と前記光信号レベル測定値に基づき光信号の減衰量設定を決定し、前記減衰量設定を前記光強度調整機能のドライバに送信して前記光強度調整機能を駆動するフィードバックを行う、
ことを特徴とする光サブシステム制御方法。
【請求項8】
前記論理情報テーブル及び前記物理情報テーブルの設定を変更することで設定可能な光パスの組み合わせを変更することを特徴とする請求項5から7に記載の光サブシステム制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−147151(P2012−147151A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2822(P2011−2822)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】