説明

光ダウンコンバータの較正

信号入力40において光入力信号30を受信し、基準入力50において光基準信号LOを受信し、複数の出力ノードR1〜R4において、光入力信号30を特徴付ける複数の特徴付け信号R1〜R4を提供するように構成されている、光ダウンコンバータ20を較正する装置。ダウンコンバータは、複数の受信器280A〜280D(各受信器は、少なくとも1つの光入力を有し、複数の出力ノードのうちの1つにおいて電気信号を提供し、それぞれの電気信号は、複数の特徴付け信号のうちの1つである)と、信号入力と複数の受信器の各入力との間の複数の光信号経路70、295A、100、295B、140、295Cと、基準入力と複数の受信器280A〜280Dの各入力との間の複数の光信号経路80、296A、130、296B、190、170、296Cと、複数の光信号経路のうちの1つにおいて結合されて、その入力とその出力との間に位相シフトをもたらすように構成される少なくとも1つの位相シフタ180、190とを備える。この装置は、複数の出力ノードに結合されて、複数の特徴付け信号を受信して解析するように構成されている信号解析ユニット290と、入力信号を選択的にイネーブル又はディセーブルする第1のスイッチと、基準信号を選択的にイネーブル又はディセーブルする第2のスイッチとを備える。信号解析ユニットは、入力信号及び基準信号のうちの少なくとも一方を選択的にイネーブル又はディセーブルすることから導出された前記複数の出力ノードにおいて求められる信号に基づいて補正値を導出するように構成される。信号解析ユニットは、導出した補正値で複数の特徴付け信号を補正するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に位相及び振幅についての光信号の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
高速光電気通信では、情報を伝送するための追加の自由度として、光信号の位相がますます重要となってきている。既知の概念は、通例、コヒーレント検出と呼ばれている。
【0003】
コヒーレント検出では、光受信器は、(時間依存性)電気信号を提供し、それによって、光信号の振幅及び位相に関して、光信号の時間に依存した項目(course)を求めることが可能になる。位相の、時間に依存した項目は、光信号のデジタルデータコンテンツを含む。
【0004】
光ファイバーシステムにおけるコヒーレント検出は、Ezra Ip、Alan Pak Tao Lau、Daniel J. F. Barros、Joseph M. Kahnによる論文「Coherent detection in optical fiber systems」(2008年1月21日、 第16巻、第2号、OPTICS EXPRESS、753頁以下)又はLeonid G. Kazovskyによる論文「Phase- and Polarization-Diversity Coherent Optical Techniques」(JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY、 第7巻、第2号、1989年2月、219頁以下)に概要が述べられている。
【発明の概要】
【0005】
(開示)
本発明の目的は、特に位相及び振幅に関して光信号の改良された検出を提供することである。この目的は、独立請求項(複数可)によって解決される。さらなる実施形態は、従属請求項(複数可)によって示されている。
【0006】
従来、光搬送波のパワーを検出することで十分であった。この検出は、パワーを電流に変換するフォトダイオードを用いて行うことができる。搬送波周波数ωを有する光搬送波Sの場合、位相φ及び実振幅Aを有する複素振幅を用いると、検出フォトダイオードは、信号とその複素共役との積に比例する電流Iphotoを生成する。
【0007】
【数1】

【0008】
見て取ることができるように、位相は、フォトダイオードを用いてパワーを検出する際に失われる。新たな変調方式には、位相φが測定可能であることが必要とされ、偏光多重信号の場合、偏光が分解されて、位相が測定されることさえあり得る。しかしながら、光搬送波の位相は、通常、直接測定可能でなく、位相基準に対して測定される。位相基準が利用可能であると、信号と位相基準との間の位相差をパワーに変換することが可能であり、そこから(例えば、従来の検出方法を用いることによって)そのパワーを電流に変換することが可能である。光搬送波Sが、それ自身の周波数及び振幅を有する位相基準Rと重畳されている場合、この重畳されたものは以下の式になる。
【0009】
【数2】

【0010】
この結果は、信号S及び位相基準Rのパワーを表す時間依存項を有し、さらに、一般にビート項と呼ばれる位相差Δφに依存する項もある。このとき、振幅変化及び位相変化は共に、光電流の変化をもたらす。これは、振幅変調が行われている状況下で位相の測定を実際に実現する際に、いくつかの意味合いを有する場合がある。現在検討されているほとんどの方法は、2つの信号を重畳する干渉計を用いて信号位相を基準位相と比較し、任意の位相差を振幅に変換して、最終的にフォトダイオードのような直接検出器で位相差を測定するというこの原理を用いている。
【0011】
位相測定用の位相差を得るには2つの基本原理がある。信号自体を用いて位相基準を生成することもできるし、位相基準として独立した信号源を用いることもできる。いわゆる遅延線干渉計では、信号自体の位相基準として遅延信号を適用することもできる。別の方法はいわゆる局部発振器を位相基準として用いる。局部発振器は、自励式とすることもできるし、送信器から送出することもできるし、送信器搬送波に或る程度ロックさせることもできる。
【0012】
上記に示したように、信号と基準信号とを重ね合わせたものの直接検出は、位相に全く依存していない部分を含む。位相独立部分の発生を防止するために、2つの光波を重ね合わせたものは、例えば部分反射ミラー又は光ファイバーカプラ(光ファイバー2×2カプラ等)を用いることによって得ることができる。このような干渉計の各アームにおけるフォトダイオードを結合し、それらのフォトダイオードの光電流の信号差を測定したものは以下の式になる。
【0013】
【数3】

【0014】
2つのフォトダイオードの光電流を減算すると、ビート項が保存される一方、時間独立項は相殺される。この理由は、カプラがその出力アーム間でさまざまな位相差を生み出すというカプラの一般的な性質によるものである。2×2カプラの場合、双方のアームにおける入力信号Sと入力信号Rとの間の相対的な位相差は、正確にπであるか又は複素数eiπ=−1として記述される。
【0015】
本発明の実施形態では、信号入力において測定される光入力信号を受信し、基準入力において光基準信号を受信し、かつ光入力信号を(例えば、該光入力信号の位相及び振幅について)特徴付ける複数の特徴付け信号を複数の出力ノードにおける出力として提供するように構成されている光ダウンコンバータが適用される。このようなダウンコンバータは複数の受信器を備え、該複数の受信器はバランス型受信器とすることができる。各受信器は、少なくとも1つの光入力を有し、複数の出力ノードのうちの1つにおいて電気信号を提供する。該電気信号は、複数の特徴付け信号のうちの1つであり、バランス型受信器の場合、電気信号はその2つの光入力において印加された信号間の信号差を表す。ダウンコンバータは、信号入力と複数の受信器の各入力との間の複数の光信号経路と、基準入力と複数の受信器の各入力との間の複数の光信号経路と、該複数の光信号経路のうちの1つにおいて結合され、その入力とその出力との間に位相シフト(移相)をもたらすように構成されている少なくとも1つの位相シフタ(移相器)とをさらに備える。
【0016】
本発明の実施形態は、このような光ダウンコンバータを較正する方法及び装置を提供する。
【0017】
一実施形態は、複数の出力ノードにおいて信号を求めること、及び該求めた信号から、複数の特徴付け信号を補正する第1の補正値セットを導出することを含む。該第1の補正値セットは、特徴付け信号の時間独立特性又は時間不変特性に関係し、該時間独立特性又は時間不変特性は、複数の光信号経路上の挿入損失とすることができる。
【0018】
一実施形態では、入力信号はディセーブルされ、複数の出力ノードにおいて第1の信号セットが求められる。次いで、基準信号がディセーブルされ、複数の出力ノードにおいて第2の信号セットが求められる。複数の特徴付け信号を補正する第1の補正値セットは、前記求められた第1の信号セット及び第2の信号セットから導出される。
【0019】
別の実施形態では、第1の補正値セットは、前記求められた信号を時間にわたって平均することから導出される。
【0020】
一実施形態では、各受信器はバランス型受信器であり、該バランス型受信器の前記提供される電気信号は、その光入力において印加された信号間の信号差を表し、各バランス型受信器は、2つの光入力のそれぞれについて光電変換をもたらすように構成されている。
【0021】
バランス型受信器を有するこのような実施形態の場合、入力信号をディセーブルし、各バランス型受信器の2つの光入力のそれぞれについての光電変換から第3の信号セットを求めることによって、第2の補正値セットを導出することができる。次いで、基準信号がディセーブルされ、光電変換から導出される第4の信号セットが、各バランス型受信器の2つの光入力のそれぞれについて求められる。複数の特徴付け信号を補正する第2の補正値セットは、前記求められた第3の信号セット及び第4の信号セットから導出される。
【0022】
バランス型受信器を有する実施形態は、複数の光入力経路のうちの1つにおいて少なくとも1つの偏光スプリッタをさらに備えることができる。各偏光スプリッタは、その入力において印加された信号を受信し、かつその入力において印加された該信号から導出された少なくとも1つの信号を出力するように構成され、各出力信号は異なる偏光状態を有する。このような実施形態では、入力信号をディセーブルし、各バランス型受信器の2つの光入力のそれぞれについての光電変換から導出される第3の信号セットを求めることによって(第2の補正値セットの代わりに)第3の補正値セットを導出することができる。この時、第4の信号セットを求める代わりに、入力信号及び基準信号をディセーブルし、無偏光信号を信号入力に結合し、各バランス型受信器の2つの光入力のそれぞれについての光電変換から導出される第6の信号セットを求める。ここで、無偏光信号は実質的にゼロの偏光度を有する。次いで、複数の特徴付け信号を補正する第3の補正値セットは、前記求めた第3の信号セット及び第6の信号セットから導出される。
【0023】
第2の補正値セット及び/又は第3の補正値セットは、特徴付け信号の時間依存特性又は時間変動特性に関係し、複数のバランス型受信器のうちの少なくとも1つによって求められた信号差における誤差、不平衡、及び不整合のうちの1つとすることができる。
【0024】
一実施形態では、信号入力に第1の波長信号を結合し、出力ノードのうちの1つにおいて、基準信号及び第1の波長信号から生じた第1の混合周波数を表す特徴付け信号の第1のビート周波数を求めることによって、第4の補正値セットを導出することができる。この時、第1の波長信号とは異なる波長を有する第2の波長信号を信号入力に結合し、出力ノードのうちの1つにおいて、基準信号及び第2の波長信号から生じた第2の混合周波数を表す特徴付け信号の第2のビート周波数を求める。次いで、複数の特徴付け信号を補正する第4の補正値セットは、前記求めた第1のビート周波数及び第2のビート周波数から導出される。第4の補正値セットは、光信号経路のうちの異なるものの間の走行時間の差に関係する。
【0025】
一実施形態では、信号入力に第1の波長信号を結合し、特徴付け信号のうちの2つの間の第1の位相差を求めることによって、第5の補正値セットを導出することができ、ここで、特徴付け信号のうちの1つは、位相シフタを有する光信号経路のうちの1つから導出される。この時、第1の波長信号とは異なる波長を有する第2の波長信号を信号入力に結合し、特徴付け信号のうちの2つの間の第2の位相差を求める。ここで、特徴付け信号のうちの1つは、位相シフタを有する光信号経路のうちの1つから導出される。次いで、複数の特徴付け信号を補正する第5の補正値セットは、前記求めた第1の位相差及び第2の位相差から導出される。第5の補正値セットは、位相シフタによってもたらされる位相シフトに関係する。
【0026】
求められる補正値が多くなるほど、より精度の高い補正を達成することができることは明らかである。しかしながら、用途に応じて、1つ又は複数の補正値セットを求めることができる。一実施形態では、例えば、コモンモード除去の場合、第1の補正値セットだけで十分である。例えば特徴付け信号の測定を向上させるために、第2〜第5の補正値セットのうちの1つ又は複数をさらに求めて適用することもできる。
【0027】
次いで、複数の特徴付け信号を前記導出した補正値セットのうちの1つ又は複数で補正することができる。該補正は、1つ又は複数の補正値セットを導出する複数の特徴付け信号のいずれかの測定に続く複数の特徴付け信号の測定に提供することができる。
【0028】
それぞれの信号を「求める」というとき、これは、該それぞれの信号を実際に測定することを含むことができる。
【0029】
光入力信号を解析する一実施形態では、複数の特徴付け信号は、ダウンコンバータの複数の出力ノードにおいて提供され、上述した実施形態のうちの1つ又は複数において導出された補正値を用いることによって補正される。該補正された複数の特徴付け信号に基づいて、光入力信号の位相、振幅、デジタルデータコンテンツ、及び波形のうちの少なくとも1つが求められ、(例えば、本明細書の導入部分で言及した文書によって説明されているような)その後の処理に用いることができる。
【0030】
一実施形態では、光ダウンコンバータを較正する装置が、複数の出力ノードに結合され、複数の特徴付け信号を受信して解析するように構成される信号解析ユニットを備える。該装置は、入力信号を選択的にイネーブル又はディセーブルする第1のスイッチと、基準信号を選択的にイネーブル又はディセーブルする第2のスイッチとをさらに備える。信号解析ユニットは、入力信号及び基準信号のうちの少なくとも一方を選択的にイネーブル又はディセーブルすることから導出された複数の出力ノードにおいて求められる信号に基づいて補正値(例えば第1の補正値セット)を導出するように構成されている。信号解析ユニットは、導出した補正値で複数の特徴付け信号を補正するように構成されている。
【0031】
一実施形態では、各受信器は、2つの光検出器を備えるバランス型受信器であり、前記提供される電気信号は、2つの光検出器によって提供される光電流間の信号差を表し、前記装置は、複数のバイアス回路をさらに備える。各バイアス回路は、光検出器を通じて光電流を測定する該光検出器のうちの1つに結合されている。信号解析ユニットは、測定された光電流に基づいて補正値を導出し、該導出した補正値で複数の特徴付け信号を補正するように構成されている。
【0032】
一実施形態は、複数の光信号経路のうちの1つにおける偏光スプリッタをさらに備える。該偏光スプリッタは、その入力において印加された信号を受信し、その入力において印加された該信号から導出された少なくとも1つの信号を出力するように構成され、各出力信号は異なる偏光状態を有する。信号源が設けられ、無偏光信号を信号入力に結合するように構成される。該無偏光信号は実質的にゼロの偏光度を有する。信号解析ユニットは、測定された光電流に基づいて第3の補正値セットを導出し、該第3の補正値セットで複数の特徴付け信号を補正するように構成することができる。
【0033】
本発明の実施形態は、1つ又は複数の適切なソフトウェアプログラムによって部分的又は全体的に実施又はサポートすることができる。該1つ又は複数の適切なソフトウェアプログラムは、任意の種類のデータキャリアに記憶することもできるし、任意の種類のデータキャリアによって別の方法で提供することもでき、任意の適切なデータ処理ユニットにおいて又は該データ処理ユニットによって実行することができる。
【0034】
本発明の他の目的及び本発明の実施形態の付随する利点の多くは、添付図面(複数可)と共に実施形態の以下のより詳細な説明を参照することによって容易に認識され、より良く理解される。実質的又は機能的に等しい又は類似した特徴は、同じ参照符号(複数可)によって参照される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】光ダウンコンバータ20の一実施形態を示す図である。
【図2】光ダウンコンバータ20の一実施形態を示す図である。
【図3】バランス型受信器280の概略図である。
【図4】ダウンコンバータ20への光フロントエンドの一実施形態を示す図である。
【図5】位相シフタによって提供される同相信号と直交信号との間の角度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、信号入力40において(測定される)光入力信号30を受信し、基準入力50において光基準信号LOを受信する光ダウンコンバータ20の一実施形態を示している。ダウンコンバータ20によって提供されるダウンコンバート(down-converting:下方変換)は、多くの場合、信号入力40の周波数と光基準信号LOの周波数とが等しい場合にホモダインと呼ばれる。そうでない場合、ダウンコンバートは、ヘテロダインと呼ばれることがある。
【0037】
ダウンコンバータ20の光学部は、光入力信号30と光基準信号LOとから導出された複数の光混合信号I1、I2、I3、I4、Q1、Q2、Q3、Q4を提供する。図1には、光混合信号I1、I2、I3、I4、Q1、Q2、Q3、Q4は、直接示されておらず、後に説明するように、それらの電気表現によってのみ示されている。
【0038】
光入力信号30は、偏光ビームスプリッタ(PBS)70に結合され、偏光ビームスプリッタ(PBS)70は、光入力信号30を、直交偏光(例えば直線水平及び直線垂直)を有する2つの信号STE及びSTMに分離する。光基準信号LOは、ビームスプリッタ80によってビームLO1及びLO2(例えば、50/50によって示されるような2つの実質的に等しい部分)に分離される。信号STE及びLO1は第1のコンバイナ90に結合され、信号STM及びLO2は第2のコンバイナ95に結合される。第1のコンバイナ90及び第2のコンバイナ95のそれぞれは、後に示すように、それぞれの入力信号を結合して、光混合信号I1、I2、I3、I4、Q1、Q2、Q3、Q4を提供する。
【0039】
図1の実施形態では、第1のコンバイナ90はビームスプリッタ100、110を備え、第2のコンバイナ95はビームスプリッタ120、130を備え、これらのビームスプリッタ100、110、120、及び130のそれぞれは、そのそれぞれの入来ビームを2つの実質的に等しい部分に分離する。第1のコンバイナ90は、分離されたビームをビームスプリッタ100、110から受信するコンバイナ140及び150をさらに備え、第2のコンバイナ95は、分離されたビームをビームスプリッタ120、130から受信するコンバイナ160及び170を備える。位相シフタ(移相器)180が、ビームスプリッタ110とコンバイナ150との間に結合されて、コンバイナ150に結合されるビームスプリッタ110の部分出力ビームに(コンバイナ140に結合される他方の部分出力ビームに対して)90度の位相シフト(移相)をもたらす。したがって、さらなる位相シフタ190が、ビームスプリッタ130とコンバイナ170との間に結合され、コンバイナ170に結合されるビームスプリッタ130の部分出力ビームに(コンバイナ160に結合される他方の部分出力ビームに対して)90度の位相シフトをもたらす。
【0040】
図1の実施形態に示すような光学配置は平面光波回路、光ファイバー部品、それらの組み合わせ等を用いた、自由空間光学通信(free space optics)等の任意の適切な形態で提供することができる。図1の実施形態は、光ファイバー素子を用いて例示として示されている。ビームスプリッタ100、110、120、及び130は、それぞれの光ファイバー2×2カプラによってそれぞれ実施されている。これらの光ファイバー2×2カプラでは、2つの入力のうちの一方のみが用いられ、他方はオープンにされている。コンバイナ140、150、160、及び170も、それぞれの光ファイバー2×2カプラによって実施されるが、双方の入力及び出力は、図1に示すように接続されている。
【0041】
さらに図1では、コンバイナ140から出力された光混合信号出力がフォトダイオード200に結合され、フォトダイオード200は、光混合信号I1を光電変換したものを表す電気信号I1を出力する。したがって、各フォトダイオード200〜270は、そのそれぞれの入力信号である光混合信号I1、I2、I3、I4、Q1、Q2、Q3、Q4を光電変換したものを提供する。上述したように、単純にするために、光電変換信号I1、I2、I3、I4、Q1、Q2、Q3、Q4のみが図1に示されている。
【0042】
光検出器200及び210の(電気)出力I1及びI2は、出力R1を有するバランス型受信器280Aをもたらすように結合され、光検出器220及び230の出力Q1及びQ2は、出力R2を有するバランス型受信器280Bをもたらすように結合され、光検出器240及び250の出力I3及びI4は、出力R3を有するバランス型受信器280Cをもたらすように結合され、光検出器260及び270の出力Q3及びQ4は、出力R4を有するバランス型受信器280Dをもたらすように結合される。それぞれの各バランス型受信器280の出力(R1〜R4)は、その2つの光入力において印加された信号間の信号差を表す。したがって、信号R1は信号I1とI2との信号差を表し、信号R2は信号Q1とQ2との信号差を表し、他の信号も同様である。
【0043】
図3は、そのようなバランス型受信器280の概略図を、バランス型受信器280Aについて例示として示している。各光検出器200及び210には、それぞれのバランス型受信器280Aにそれぞれのバイアス電流を供給するそれぞれのバイアス回路200A及び210Aが設けられる。光検出器200によって光混合信号I1から導出された光電流、及び光検出器210によって光混合信号I2から誘導された光電流は、ノードR1に(反対方向で)結合され、したがって、信号差I1−I2を表す。バイアス回路200A及び210A(共に図3に概略的に表されている)は、出力信号R1が、フォトダイオード210及び200によって光電変換される信号I2とI1との間の信号差を表すように動作される。
【0044】
他のバランス型受信器(280A〜280D)280B〜Dも準用により実施することができることは言うまでもない。
【0045】
出力信号R1〜R4は、信号解析ユニット290に結合することができる。信号解析ユニット290は、例えば実時間オシロスコープ又はサンプリングオシロスコープにあるような処理ユニットに接続された一組のアナログ/デジタル変換器とすることができる。信号解析ユニット290は、アナログ出力信号をデジタル領域に変換することができ、すべてのその後の信号処理をデジタル領域で行うことができる。
【0046】
図1に戻ると、光ダウンコンバータ20は、信号入力40と複数のバランス型受信器280A〜280Dの各入力との間に複数の光信号経路を提供する。一例が図1に示され、すなわち、光信号経路は、信号入力40から開始し、PBS70、PBS70とビームスプリッタ100との間のライン295A(例えば光ファイバー)、ビームスプリッタ100、ビームスプリッタ100とコンバイナ140との間のライン295B(例えば光ファイバー)、コンバイナ140、及びコンバイナ140と光検出器200との間のライン295C(例えば光ファイバー)によって提供される。
【0047】
光ダウンコンバータ20は、基準入力50と複数のバランス型受信器280A〜280Dの各入力との間に複数の光信号経路をさらに提供する。一例が図1に示され、すなわち、光信号経路は、基準入力50から開始し、ビームスプリッタ80、ビームスプリッタ80とビームスプリッタ130との間のライン296A(例えば光ファイバー)、ビームスプリッタ130、ビームスプリッタ130とコンバイナ170との間でかつ位相シフタ190も含むライン296B(例えば光ファイバー)、コンバイナ170、及びコンバイナ170と光検出器270との間のライン296C(例えば光ファイバー)によって提供される。
【0048】
図2は、光ダウンコンバータ20の別の実施形態を示している。この別の実施形態は図1の実施形態に実質的に対応し、異なる特徴のみを説明することにする。主な相違は、図2の実施形態が(図1の2つの位相シフタ180及び190の代わりに)1つの位相シフタ399のみを用いているということである。それに応じて光路を再構成しなければならず、光路は、図2に概略的に示すように配置された4つのカップラ300、310、320、及び330を備える。残りの構成要素は図1のように適用して用いることができる。
【0049】
図1の実施形態の光ダウンコンバータ20は、時間領域における検出と共にコヒーレント受信器を提供する。光ダウンコンバータ20は、位相変調信号及び振幅変調信号を検出するのに適用することができる。同じことは図2の実施形態にも当てはまるが、簡略化するために、図1についてのみ、以下で言及することにする。以下の式に戻る。
【0050】
【数4】

【0051】
この式は、出力R1〜R4のそれぞれの出力を表し、ビート項が局部発振器位相に対する信号位相の位相へのアクセスを与えることを見て取ることができる。2つの干渉計(ビームスプリッタ100、110とコンバイナ140、150との間に設けられる)を用いて、同相信号及び直交信号を作成することができる。図1の実施形態は、2つのさらなる干渉計(ビームスプリッタ120、130とコンバイナ160、170との間)を提供し、偏光多重信号の受信を可能にしている。4つの出力R1〜R4は、以下の信号を含む。
【0052】
【数5】

【0053】
上付きインデックスh及びvは、受信器の偏光フレームに関して信号30の水平偏光と垂直偏光とを区別するものである。搬送波30と局部発振器LOとの間の周波数オフセットに由来するこれらの信号に存在する時間依存性がまだ存在する。この周波数オフセットは、局部発振器LOが搬送波に光学的に位相ロックされている場合はゼロとなる。しかしながら、これは、先進変調フォーマットの多くが、ロックすることができるほど強い搬送波を含まないことから、かなり困難であることが分かる。今日の送信器レーザー及び局部発振器は、十分な安定性及び周波数正確度を提供し、数100MHz以内のオフセットを維持し、シンボル(すなわち、最小の情報単位)レートは、数GBaudと同じ高さであり、したがって、信号後処理によって周波数オフセット、換言すれば搬送波位相を回復することが可能である。後処理アルゴリズムの許容誤差は、実際の変調フォーマットに依存する。周波数オフセットの上限を推定することができ、或るアルゴリズムがこれを補償することができる。これは、同様の振幅を有する任意の2つのシンボルが位相軸に沿って有することができる最小の距離φoffset(例えばQPSKの場合はπ/2)を見つけることによって行うことができる。1シンボル期間内における周波数オフセットに起因した位相誤差は、その2分の1よりも小さくあるべきである。すなわち換言すれば、最大周波数オフセットは、以下によって与えられる。
【0054】
【数6】

【0055】
QPSK及び10GBaudのシンボルレートの上記例では、この結果、〜1.2GHz又はシンボルレートの12%となる。実際には、この数値はこれよりも僅かに小さくなる場合があり、QPSKではほぼ10%となる場合があり、BPSKのシンボル距離は位相軸に沿って2倍の大きさであるので、BPSKでは約20%となる場合がある。
【0056】
上記概略によって、光偏光制御を必要とすることなく、偏光多重信号の検出が可能になる。これは、信号が、光波の電界の尺度であり、パワーの尺度ではないことによる(電界振幅はその観点から線形である)。これによって、偏光不整合及び偏光モード分散を数学的に補償することが可能になる。例えば送信における色分散のようなさらに一般的な任意の線形歪も補償することができる。
【0057】
光混合信号I1、I2、I3、I4、Q1、Q2、Q3、Q4は、次のように表すことができる。
【0058】
【数7】

【0059】
しかしながら、上記で与えられた式は、理想的なシステムについてしか適用されない。実世界のシステムを記述するためには、複数の制約条件が導入される。複数の制約条件は、さまざまな光路(すなわち、信号入力40とそれぞれの各出力ノード60との間のそれぞれの経路、及び基準入力50とそれぞれの各出力ノード60との間のそれぞれの経路)の個々の損失値及びスキュー値を表す。したがって、Iの代わりに、以下の信号Imeasが測定され、Iの代わりに、以下の信号Imeasが測定され、それ以外の信号についても同様である。
【0060】
【数8】

【0061】
理想的な信号では、4つのバランス型受信器280A〜Dは以下の電圧を提供する。
【0062】
【数9】

【0063】
実世界の信号を考えると、8つのフォトダイオード200〜270並びに2つの入力40及び50についての16個の個々の損失を考慮に入れ、上記理想信号R(i=1,...,4)の代わりに以下の実際の信号Rmeas(i=1,...,4)が受信される。
【0064】
【数10】

【0065】
したがって、信号Rmeasは、経路又はフォトダイオード200〜270ごとに異なる損失値又は応答度、及び経路が異なるごとに異なる時間遅延のような非理想的な状況の場合における4つのバランス型受信器(280A〜280D)280A〜Dの出力を表す。
【0066】
measの上記項を解析すると、項のいくつかは時間独立であり、項のいくつかはωLO及びωが異なる場合に時間依存であることが分かる。この条件を前提とすると、時間独立項は、測定値を時間にわたって平均することによって測定値から計算することができ、第1の補正値セットを規定することができる。
【0067】
【数11】

【0068】
角括弧内の項(したがって、インデックスDCを有するパラメータ)は、時間にわたる平均を表す。第1の補正値セットは、特徴付け信号R1〜R4の時間独立(又は時間不変)特性に関係し、特に、複数の光信号経路上の挿入損失に関係する。
【0069】
この第1の補正値セットRDC(i=1,2,3,4とする)を測定された信号Rmeasから減算すると、スペクトルの望ましくないDCピークが抑制され、以下の数式が得られる。
【0070】
【数12】

【0071】
項RACは、信号解析ユニット290が、信号Rmeasを出力ノードRにおいて実際に測定して補正値RDCによって補正することにより導出する信号を表す。補正値RDCは、ここでは、時間不変誤差寄与のコモンモード除去を表している。
【0072】
周波数ωLO及びωが異なることが保証されない場合、スペクトルはDC部分を含むので、上記からDC項を単に差し引くと、誤差を導入する場合がある。その場合、より複雑な減算方法を用いて、スペクトルの不要なDC部分のみを除去することができる。これは、例えば光入力信号30を選択的にオフにスイッチングし、第1の信号セットを形成するバランス型検出器280の出力を測定することによって行うことができる。基準信号LOをオフにスイッチングし、バランス型検出器280のDC出力を測定することによって、第2の信号セットが形成される。バランス型受信器の出力の測定値Rmeas(i=1,...,4)を光入力信号30又は基準信号LOの光パワーで正規化すると、次のようになる。
【0073】
【数13】

【0074】
光入力信号30及び基準信号LOの光パワーの既知の値を用いると、代替的な第1の補正値セットを計算することができる。
【0075】
【数14】

【0076】
上記に規定した第1の補正値セットを測定信号から再び減算すると、スペクトルのうちの不要なDC部分が抑制され、以下の混合項が得られる。
【0077】
【数15】

【0078】
それでもなお、同相項(RAC,RAC)及び直交項(RAC,RAC)は、依然として異なる損失を受ける。スペクトルが、フーリエ変換を用いて上記4つの項から計算される場合、真のスペクトルは、ゴーストスペクトルによって歪を受ける可能性があり、このため、周波数軸が反転される。このスペクトルの歪は、不要なDC部分に起因した歪とは独立したものである。したがって、双方の補正は、独立又は同時に用いることができる。歪を受けていないスペクトルを測定可能にするようにゴーストスペクトルを抑圧するには、16個の損失値(p、以下を参照)を独立に測定しなければならない。これは、信号経路40及び局部発振器LOをスイッチング可能となるように設けること(すなわち、光入力信号30の入力40への結合又は入力40からの除去を行うことができ、基準信号LOの入力50への結合及び入力50からの除去を行うことができる)、並びにバランス型受信器280A〜Dの(図3のフォトダイオード200及び210による)個々のフォトダイオード200〜270の(バイアス回路200A〜270Aの)バイアス電流を測定(及び正規化)することによって行うことができる。
【0079】
バイアス電流の測定値は、それぞれのフォトダイオードにおける光パワーp〜p16を表す。信号30がオフにスイッチングされている場合にバランス型受信器280A〜Dを構成するフォトダイオードのバイアス電流の測定値は第3の信号セットを形成する一方、LOがオフにスイッチングされている場合の同じ測定値は第4の信号セットを形成する。この場合も、測定値は、信号入力30又はLOのそれぞれの光パワーを用いて正規化される。
【0080】
【数16】

【0081】
値pは、信号30がスイッチングオフされているときに測定されるバイアス回路200Aの電流の値を表す。値pは、信号LOがオフにスイッチングされているときに測定されるバイアス回路200Aの電流の値を表す。値pは、信号30がオフにスイッチングされているときに測定されるバイアス回路210Aの電流の値を表す。値pは、信号LOがオフにスイッチングされているときに測定されるバイアス回路210Aの電流の値を表す。したがって、値p及びpはバイアス回路220Aにおいて測定され、値p及びpはバイアス回路230Aにおいて測定され、他の値も同様に測定される。
【0082】
上記からの第3の信号セット及び第4の信号セットを用いて、第2の補正値セットG〜Gを計算することができる。
【0083】
【数17】

【0084】
混合項にそれぞれの補正値を乗算することによって、混合項は、ゴーストスペクトルのピークが効果的に抑制されたものとなる。
【0085】
【数18】

【0086】
図4は、システムを自己較正することを可能にするダウンコンバータ20への光フロントエンドの一実施形態を示している。LOがオフにスイッチングされて、第2の信号セット及び第4の信号セットが測定される。これは、LOを直接制御することにより又はLOとダウンコンバータ20との間の追加のスイッチ(図4に図示せず)により行うことができる。さらに、図4において、スイッチ400は、信号30と信号入力40との間に結合されている。無偏光信号410は、スイッチ400に結合され、スイッチ400は、信号30及び無偏光信号410の一方を信号入力40にスイッチングすることができる。無偏光信号410は、実質的にゼロの偏光度を有する無偏光信号を表し、図4の実施形態に示すように、例えば受動リオ型デポラライザ(passive Lyot-type depolarizer)といったデポラライザ430を用いて効果的に偏光を解消することができる短いコヒーレンス長を有する広帯域光源420によって実施することができる。広帯域光源の例はSLED(スーパールミネセント発光ダイオード)、ASE光源(増幅自然放出光源)、又は従来のLEDである。受動デポラライザの代わりに、光ファイバーの複屈折を変更するファイバーストレッチャ又は電気光学変調器を用いた能動デポラライザを用いることもできる。スイッチ400の後にカプラ450によって結合されたフォトダイオード440は、絶対パワーの観点から信号全体を較正するように適用することができる。
【0087】
第2の補正値セットを用いた補正によって、(下付き文字TE及びTMによって示す)2つの偏光のスペクトルが正規化される。2つのスペクトルのパワー比を維持するために、異なる補正を適用することもできる。その目的のために、入力信号の代わりに無偏光光がダウンコンバータに供給される。バイアス電流p2,d〜p16,dの測定値は第6の信号セットになる。第5の信号セットは第2の信号セットと同一である。
【0088】
【数19】

【0089】
上記からの第5(又は第3)の信号セット及び第6の信号セットは、第3の補正値セット(G1,d〜G4,d)を計算するのに用いることができる。
【0090】
【数20】

【0091】
混合項にそのそれぞれの補正値を乗算することによって、混合項は、ゴーストスペクトルのピークが効果的に抑制され、双方の偏光の項の比が維持されたものとなる。
【0092】
【数21】

【0093】
上記数式を見ると、第1の補正によって、スペクトルにDCピークをもたらす不要なDC項が除去され、第2の補正によって、スペクトルにゴーストピークをもたらす利得誤差が除去される。補正された値を真の値と比較した差が依然として残っている可能性がある。余弦の独立変数には、誤った光位相遅延及びチャネルのスキューに由来する追加の位相項がある。TE偏光の補正された信号RAC(同相)とRAC(直交)との間の位相差及びTM偏光のRAC(同相)とRAC(直交)との間の位相差を調べると、双方の偏光の光位相遅延φTE及びφTM並びにTE偏光のスキューtI1−tI2−tQ1−tQ2及びTM偏光のスキューtI3−tI4−tQ3−tQ4を測定することができる。
【0094】
【数22】

【0095】
それらの2つの式(各偏光につき1つ)は、周波数差ω−ωLOが縦座標であり、実際の位相差が横座標である直線を表し、その結果、周波数差及び位相差の2つの測定値によって、傾き(スキュー差)及びオフセット(光位相差)が与えられる。さまざまな値において位相差を測定するために、狭線幅光源(narrow line width source)が信号入力に接続される。信号入力源と局部発振器との間の波長差を調整することによって、周波数差を調整することができる。次いで、同相信号と直交信号とを比較することによって、位相差を測定することができる。
【0096】
少なくとも2つの異なる周波数差において行われる場合、傾き及びオフセット(光位相遅延及びスキュー)を測定から抽出することができる。局部発振器及び信号源のさまざまな平均波長値においてこの測定を繰り返すことによって、双方の量の波長依存性があれば明らかにすることができる。
【0097】
スキュー値は、測定器内で測定されないことがありかつ通常は経時的にも環境条件にも劇的に変化しない一般的な数値である。
【0098】
非常に簡単な手法では、オフセット(第1の補正値セット)及び相対利得補正(第2の補正値セット又は第3の補正値セット)を無視することができ、波長依存の可能性のある所与の工場較正値を用いることができる。用いられる実際の波長は局部発振器の波長とすべきである。
【0099】
位相シフタ180及び190によって提供されるような同相信号と直交信号との間の光位相角は、90度の理想的な値でない場合があるので、90度のデータ用の補正項を計算することができる。実際の測定されたデータは、以下の数学を用いて真のデータから計算することができる(α及びβが実際の波長に依存する場合があることに留意されたい)。
【0100】
【数23】

【0101】
図5は、角度の関係を示している。個々の誤差角α、βを測定することはできない。しかしながら、光位相遅延である角度φは、略図で描いたように測定することができ、これについて、以下の関係が当てはまる
【0102】
【数24】

【0103】
以下の選択は、上記関係を常に満たす。
【0104】
【数25】

【0105】
この選択を用いると、測定された値から以下を用いて真の値を計算することができる。
【0106】
【数26】

【0107】
較正は、定期的(例えば、ブート時(電源投入時)、周期的、一定の温度変化の後、各測定の前、又は上記条件の組み合わせ)に測定器内で行うことができ、或る特定の信号が入力に存在する必要はない場合がある。このいわゆる自己較正は、測定器の特性のあらゆる変化を緩和するのに非常に効果的であり、任意のタイプの劣化を監視する手段として用いることができる。他方、これは、或る特定の時間を消費するので、測定器の使いやすさに影響を与えるおそれがある。
【0108】
較正は、代替的又は付加的に、(すなわち、製造後又は例えば製造業者が提供することができる特定の較正サービスとして)工場で行うことができ、追加の測定器及び/又は信号を必要とすることがある。工場の較正は、較正された値の或る特定の安定性を示す値にとって特に役立つ。これは、(環境試験等)一定の試験によって証明することができる。通常、光ケーブル及びRFケーブルのケーブル長は、或る特定の正確度の限界内で安定するものと仮定することができる。
【符号の説明】
【0109】
20:光ダウンコンバータ
30:光入力信号
40:信号入力
50:基準入力
70:偏光ビームスプリッタ(PBS)
80:ビームスプリッタ
90:コンバイナ
95:コンバイナ
100:ビームスプリッタ
110:ビームスプリッタ
120:ビームスプリッタ
130:ビームスプリッタ
140:コンバイナ
150:コンバイナ
160:コンバイナ
170:コンバイナ
180:位相シフタ
190:位相シフタ
200:光検出器
210:光検出器
220:光検出器
230:光検出器
240:光検出器
250:光検出器
260:光検出器
270:光検出器
280A:バランス型受信器
280B:バランス型受信器
280C:バランス型受信器
280D:バランス型受信器
290:信号解析ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ダウンコンバータ(20)を較正する方法であって、
前記ダウンコンバータ(20)は、信号入力(40)において光入力信号(30)を受信し、基準入力(50)において光基準信号(LO)を受信し、複数の出力ノード(R1〜R4)において、前記光入力信号(30)を特徴付ける複数の特徴付け信号(R1〜R4)を提供するように構成され、
前記ダウンコンバータ(20)は、
それぞれ、少なくとも1つの光入力を有し、前記複数の出力ノード(R1〜R4)のうちの1つにおいて電気信号を提供する複数の受信器(280A〜280D)であって、それぞれの電気信号は、前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)のうちの1つである、複数の受信器(280A〜280D)と、
前記信号入力(40)と前記複数の受信器(280A〜280D)の各入力(200〜270)との間の複数の光信号経路(70、295A、100、295B、140、295C)と、
前記基準入力(50)と前記複数の受信器(280A〜280D)の各入力(200〜270)との間の複数の光信号経路(80、296A、130、296B、190、170、296C)と、
前記複数の光信号経路のうちの1つにおいて結合されて、その入力とその出力との間に位相シフトをもたらすように構成されている少なくとも1つの位相シフタ(180、190)と、
を備え、
前記方法は、
前記複数の出力ノード(R1〜R4)において信号を求めるステップと、
前記求めた信号から、前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を補正する第1の補正値セットを導出するステップであって、該第1の補正値セットは、前記特徴付け信号(R1〜R4)の時間独立特性として、前記複数の光信号経路上の挿入損失に関係する、導出するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の出力ノード(R1〜R4)において信号を求めるステップが、
前記入力信号(30)をディセーブルして、前記複数の出力ノード(R1〜R4)において第1の信号セットを求めるステップと、
前記基準信号をディセーブルして、前記複数の出力ノード(R1〜R4)において第2の信号セットを求めるステップと、
を含み、
前記求めた信号から前記第1の補正値セットを導出するステップが、
前記求めた第1の信号セットおよび第2の信号セットから前記第1の補正値セットを導出するステップ、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の補正値セットを導出するために、前記求めた信号を時間にわたって平均するステップ、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
光ダウンコンバータ(20)を較正する方法であって、
前記ダウンコンバータ(20)は、信号入力(40)において光入力信号(30)を受信し、基準入力(50)において光基準信号(LO)を受信し、複数の出力ノード(R1〜R4)において、前記光入力信号(30)を特徴付ける複数の特徴付け信号(R1〜R4)を提供するように構成され、
前記ダウンコンバータ(20)は、
それぞれ、少なくとも1つの光入力を有し、前記複数の出力ノード(R1〜R4)のうちの1つにおいて電気信号を提供する複数の受信器(280A〜280D)であって、それぞれの電気信号は、前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)のうちの1つである、複数の受信器(280A〜280D)と、
前記信号入力(40)と前記複数の受信器(280A〜280D)の各入力(200〜270)との間の複数の光信号経路(70、295A、100、295B、140、295C)と、
前記基準入力(50)と前記複数の受信器(280A〜280D)の各入力(200〜270)との間の複数の光信号経路(80、296A、130、296B、190、170、296C)と、
前記複数の光信号経路のうちの1つにおいて結合されて、その入力とその出力との間に位相シフトをもたらすように構成されている少なくとも1つの位相シフタ(180、190)と、
を備え、
各受信器(280A〜280D)はバランス型受信器であり、前記提供される電気信号は、その2つの光入力において印加される信号間の信号差を表し、各バランス型受信器(280A〜380D)は、前記2つの光入力の各々について光電変換をもたらすように構成され、
前記方法は、
前記入力信号(30)をディセーブルして、各バランス型受信器の前記2つの光入力の各々についての前記光電変換から導出される第3の信号セットを求めるステップと、
前記基準信号をディセーブルして、各バランス型受信器の前記2つの光入力の各々についての前記光電変換から導出される第4の信号セットを求めるステップと、
前記求めた第3の信号セットおよび第4の信号セットから、前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を補正するための第2の補正値セットを導出するステップと、
を含む、方法。
【請求項5】
前記ダウンコンバータ(20)は、前記複数の光入力経路のうちの1つにおいて偏光スプリッタ(70)を備え、該偏光スプリッタ(70)は、その入力において印加された信号を受信し、その入力において印加された該信号から導出される少なくとも1つの信号を出力するように構成され、各出力信号は異なる偏光状態を有し、
前記第4の信号セットを求める代わりに、前記方法は、
前記入力信号(30)および前記基準信号をディセーブルし、無偏光信号を前記信号入力(40)に結合して、各バランス型受信器の前記2つの光入力の各々についての前記光電変換から導出される第6の信号セットを求めるステップであって、前記無偏光信号は実質的にゼロの偏光度を有している、ステップ、
を含み、
前記第2の補正値セットを導出する代わりに、前記方法は、
前記求めた第3の信号セットおよび第6の信号セットから、前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を補正するための第3の補正値セットを導出するステップ、
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の補正値セットおよび前記第3の補正値セットのうちの少なくとも一方は、
前記特徴付け信号(R1〜R4)の時間依存特性と、
前記特徴付け信号(R1〜R4)の時間変動特性と、
前記複数のバランス型受信器(280A〜280D)のうちの少なくとも1つによって求められる前記信号差における誤差、不平衡、および不整合のうちの1つと、
のうちの少なくとも1つに関係する、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
光ダウンコンバータ(20)を較正する方法であって、
前記ダウンコンバータ(20)は、信号入力(40)において光入力信号(30)を受信し、基準入力(50)において光基準信号(LO)を受信し、複数の出力ノード(R1〜R4)において、前記光入力信号(30)を特徴付ける複数の特徴付け信号(R1〜R4)を提供するように構成され、
前記ダウンコンバータ(20)は、
それぞれ、少なくとも1つの光入力を有し、前記複数の出力ノード(R1〜R4)のうちの1つにおいて電気信号を提供する複数の受信器(280A〜280D)であって、それぞれの電気信号は、前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)のうちの1つである、複数の受信器(280A〜280D)と、
前記信号入力(40)と前記複数の受信器(280A〜280D)の各入力(200〜270)との間の複数の光信号経路(70、295A、100、295B、140、295C)と、
前記基準入力(50)と前記複数の受信器(280A〜280D)の各入力(200〜270)との間の複数の光信号経路(80、296A、130、296B、190、170、296C)と、
前記複数の光信号経路のうちの1つにおいて結合されて、その入力とその出力との間に位相シフトをもたらすように構成されている少なくとも1つの位相シフタ(180、190)と、
を備え、
前記方法は、
前記信号入力(40)に第1の波長信号を結合するステップと、
前記出力ノード(R1〜R4)のうちの1つにおいて、前記基準信号および前記第1の波長信号から生じた第1の混合周波数を表す前記特徴付け信号(R1〜R4)の第1のビート周波数を求めるステップと、
前記第1の波長信号とは異なる波長を有する第2の波長信号を前記信号入力(40)に結合するステップと、
前記出力ノード(R1〜R4)のうちの1つにおいて、前記基準信号および前記第2の波長信号から生じた第2の混合周波数を表す前記特徴付け信号(R1〜R4)の第2のビート周波数を求めるステップと、
前記求めた第1のビート周波数および第2のビート周波数から前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を補正するための第4の補正値セットを導出するステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記第4の補正値セットが、前記光信号経路のうちの異なるものの間の走行時間の差に関係する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記信号入力(40)に第1の波長信号を結合するステップと、
前記特徴付け信号(R1〜R4)のうちの2つの間の第1の位相差を求めるステップであって、前記特徴付け信号(R1〜R4)のうちの1つは、前記位相シフタ(180、190)を有する前記光信号経路のうちの1つから導出される、ステップと、
前記第1の波長信号とは異なる波長を有する第2の波長信号を前記信号入力(40)に結合するステップと、
前記特徴付け信号(R1〜R4)のうちの2つの間の第2の位相差を求めるステップであって、前記特徴付け信号(R1〜R4)のうちの1つは、前記位相シフタ(180、190)を有する前記光信号経路のうちの1つから導出される、ステップと、
前記求めた第1の位相差および第2の位相差から、前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を補正するための第5の補正値セットを導出するステップと、
を含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記第5の補正値セットが、前記位相シフタ(180、190)によってもたらされる前記位相シフトに関係する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記それぞれの信号を求めるステップが、該それぞれの信号を測定するステップを含む、請求項1または請求項2〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を前記導出した補正値セットのうちの1つまたは複数で補正するステップを含む、請求項1または請求項2〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記補正が、前記1つまたは複数の補正値セットを導出する前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)のいずれかの測定に続く前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)の測定に提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
光入力信号(30)を解析する方法であって、
ダウンコンバータ(20)の信号入力(40)において前記光入力信号(30)を受信し、前記ダウンコンバータ(20)の基準入力(50)において光基準信号を受信するステップであって、前記ダウンコンバータ(20)は、
それぞれ、少なくとも1つの光入力を有し、前記複数の出力ノード(R1〜R4)のうちの1つにおいて電気信号を提供する複数の受信器(280A〜280D)であって、それぞれの電気信号は、前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)のうちの1つである、複数の受信器(280A〜280D)と、
前記信号入力(40)と前記複数の受信器(280A〜280D)の各入力(200〜270)との間の複数の光信号経路(70、295A、100、295B、140、295C)と、
前記基準入力(50)と前記複数の受信器(280A〜280D)の各入力(200〜270)との間の複数の光信号経路(80、296A、130、296B、190、170、296C)と、
前記複数の光信号経路のうちの1つにおいて結合されて、その入力とその出力との間に位相シフトをもたらすように構成されている少なくとも1つの位相シフタ(180、190)と、
を備えている、受信するステップと、
前記ダウンコンバータ(20)の前記複数の出力ノード(R1〜R4)において前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を提供するステップと、
請求項1または請求項2〜13のいずれか1項において求められた補正値を用いることによって前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を補正するステップと、
前記補正した複数の特徴付け信号(R1〜R4)に基づいて、前記光入力信号(30)の位相、振幅、デジタルデータコンテンツ、および波形のうちの少なくとも1つを求めるステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
コンピュータのようなデータ処理システムで実行されると、請求項1または請求項2〜14のいずれか1項に記載の方法を制御または実行する、好ましくはデータキャリアに記憶されているソフトウェアプログラムまたはソフトウェア製品。
【請求項16】
光ダウンコンバータ(20)を較正する装置であって、
前記ダウンコンバータ(20)は、信号入力(40)において光入力信号(30)を受信し、基準入力(50)において光基準信号(LO)を受信し、複数の出力ノード(R1〜R4)において、前記光入力信号(30)を特徴付ける複数の特徴付け信号(R1〜R4)を提供するように構成され、
前記ダウンコンバータ(20)は、
それぞれ、少なくとも1つの光入力を有し、前記複数の出力ノード(R1〜R4)のうちの1つにおいて電気信号を提供する複数の受信器(280A〜280D)であって、それぞれの電気信号は、前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)のうちの1つである、複数の受信器(280A〜280D)と、
前記信号入力(40)と前記複数の受信器(280A〜280D)の各入力(200〜270)との間の複数の光信号経路(70、295A、100、295B、140、295C)と、
前記基準入力(50)と前記複数の受信器(280A〜280D)の各入力(200〜270)との間の複数の光信号経路(80、296A、130、296B、190、170、296C)と、
前記複数の光信号経路のうちの1つにおいて結合され、その入力とその出力との間に位相シフトをもたらすように構成されている少なくとも1つの位相シフタ(180、190)と、
を備え、
前記装置は、
前記複数の出力ノード(R1〜R4)に結合され、前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を受信して解析するように構成されている信号解析ユニット(290)と、
前記入力信号(30)を選択的にイネーブルまたはディセーブルする第1のスイッチと、
前記基準信号(LO)を選択的にイネーブルまたはディセーブルする第2のスイッチと、
を備え、
前記信号解析ユニット(290)は、前記入力信号(30)および前記基準信号(LO)のうちの少なくとも一方を選択的にイネーブルまたはディセーブルすることから導出された前記複数の出力ノード(R1〜R4)において求められる信号に基づいて補正値を導出するように構成され、
前記信号解析ユニット(290)は、前記導出した補正値で前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を補正するように構成されている、装置。
【請求項17】
各受信器(280A〜280D)が、2つの光検出器(200〜270)を有するバランス型受信器であり、前記提供される電気信号が、前記2つの光検出器(200〜270)によって提供される光電流間の信号差を表し、
前記装置は、
各バイアス回路(200A〜270A)が、前記光検出器(200〜270)を通じて前記光電流を測定する前記光検出器(200〜270)のうちの1つに結合されている、複数のバイアス回路(200A〜270A)、
を備え、
前記信号解析ユニット(290)は、前記測定された光電流に基づいて前記補正値を導出し、該導出した補正値で前記複数の特徴付け信号(R1〜R4)を補正するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の光信号経路のうちの1つにおける偏光スプリッタ(70)であって、その入力において印加された信号を受信し、その入力において印加された該信号から導出される少なくとも1つの信号を出力するように構成され、各出力信号は異なる偏光状態を有する、偏光スプリッタ(70)と、
無偏光信号を前記信号入力(40)に結合するように構成されている信号源であって、前記無偏光信号は実質的にゼロの偏光度を有する、信号源と、
を備えている、請求項17に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−521118(P2012−521118A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500082(P2012−500082)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053247
【国際公開番号】WO2010/105684
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【Fターム(参考)】