光ディスク、記録方法、情報記録装置、プログラム及び記録媒体
【課題】3層以上の記録層を有する光ディスクに安定した記録品質で記録を行う。
【解決手段】対象記録層に形成されている物理ピットを再生し(ステップ409)、正しく再生されたか否かを判断する(ステップ413)。そして、その判断の結果、物理ピットが正しく再生された場合に、情報が対象記録層に記録される(ステップ419)。すなわち、対象記録層が欠陥記録層でないことを確認してから情報を記録している。これにより、3層以上の記録層を有し、各記録層に物理ピットが形成された光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことが可能となる。
【解決手段】対象記録層に形成されている物理ピットを再生し(ステップ409)、正しく再生されたか否かを判断する(ステップ413)。そして、その判断の結果、物理ピットが正しく再生された場合に、情報が対象記録層に記録される(ステップ419)。すなわち、対象記録層が欠陥記録層でないことを確認してから情報を記録している。これにより、3層以上の記録層を有し、各記録層に物理ピットが形成された光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク、記録方法、情報記録装置、プログラム及び記録媒体に係り、さらに詳しくは、情報記録が可能な3つ以上の記録層を有する光ディスク、該光ディスクに情報を記録する記録方法及び情報記録装置、該情報記録装置に用いられるプログラム及び該プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の進歩及びデータ圧縮技術の向上に伴い、音楽、映画、写真及びコンピュータソフトなどの情報(以下「コンテンツ」ともいう)を記録するための媒体として、DVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、光ディスクを情報記録の対象媒体とする光ディスク装置が普及するようになった。
【0003】
ところで、コンテンツの情報量は、年々増加する傾向にあり、光ディスクの記録容量の更なる増加が期待されている。そこで、光ディスクの記録容量を増加させる手段の一つとして、記録層の多層化が考えられ、複数の記録層を有する光ディスク(以下「多層ディスク」ともいう)及び該多層ディスクをアクセス対象とする光ディスク装置の開発が盛んに行われている。
【0004】
また、光ディスクの欠陥対策についても、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)が、3層以上の記録層を有する多層ディスクでは、特許文献1〜特許文献3に開示されている欠陥対策では必ずしも適切な対策とはならない場合があった。
【0005】
現在のとこる、3層以上の記録層を有する多層ディスクは市販されていないが、今後、更なる記録容量の増加要求があると、市販されることも考えられる。その際には、3層以上の記録層を有する多層ディスクに安定した記録品質で情報を記録する方法が必要となる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−285607号公報
【特許文献2】特開2002−358647号公報
【特許文献3】特開2003−288759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、安定した記録品質での記録が可能な3層以上の記録層を有する光ディスクを提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことができる記録方法及び情報記録装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第3の目的は、情報記録装置の制御用コンピュータにて実行され、本発明の光ディスクへの安定した記録品質の記録を可能とするプログラム及びそのプログラムが記録された記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、情報記録が可能な3つ以上の記録層を有し、該記録層のそれぞれにスパイラル状又は同心円状のトラックが形成され、各記録層に予め設定されたパターン及びコンテンツ情報の少なくとも一方が物理ピットとして形成されている光ディスクである。
【0011】
これによれば、本発明の光ディスクがセットされた情報記録装置は、物理ピットを再生し、その再生状況によって各記録層の状態を判断することができる。従って、安定した記録品質での記録が可能となる。
【0012】
この場合において、請求項2に記載の光ディスクの如く、前記物理ピットは、各記録層の内周部及び外周部の少なくとも一方に形成されていることとすることができる。
【0013】
上記請求項1及び2に記載の各光ディスクにおいて、請求項3に記載の光ディスクの如く、前記3つ以上の記録層のうちの1つの記録層は、交替用の記録層であることとすることができる。
【0014】
上記請求項1及び2に記載の各光ディスクにおいて、請求項4に記載の光ディスクの如く、前記各記録層に、少なくとも1箇所の交替領域が設けられていることとすることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ディスクに情報記録装置を用いて情報を記録する記録方法であって、前記光ディスクにおける前記情報が記録される記録層である対象記録層に形成されている物理ピットを再生する工程と;前記物理ピットが正しく再生されたか否かを判断する工程と;前記判断の結果、前記物理ピットが正しく再生された場合に、前記情報を前記対象記録層に記録する工程と;を含む記録方法である。
【0016】
これによれば、対象記録層に形成されている物理ピットが再生され、正しく再生されたか否かが判断される。そして、その判断の結果、物理ピットが正しく再生された場合に、情報が対象記録層に記録される。すなわち、対象記録層が欠陥記録層でないことを確認してから情報を記録している。従って、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことができる。
【0017】
この場合において、請求項6に記載の記録方法の如く、前記対象記録層に記録された情報を再生する工程と;前記情報が正しく再生されたか否かを判断する工程と;前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むこととすることができる。
【0018】
この場合において、請求項7に記載の記録方法の如く、前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とする工程を更に含むこととすることができる。
【0019】
上記請求項6に記載の記録方法において、請求項8に記載の記録方法の如く、前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定する工程と;前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むこととすることができる。
【0020】
この場合において、請求項9に記載の記録方法の如く、前記指定する工程では、交替用の記録層となり得る記録層のうち、前記対象記録層に最も近い記録層を指定することとすることができる。
【0021】
上記請求項8及び9に記載の各記録方法において、請求項10に記載の記録方法の如く、前記指定された記録層に未記録領域がなくなると、交替用の記録層を新たに指定する工程と;前記新たに指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むこととすることができる。
【0022】
上記請求項5に記載の記録方法において、請求項11に記載の記録方法の如く、前記判断の結果、正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録する工程を、更に含むこととすることができる。
【0023】
上記請求項5〜11に記載の各記録方法において、請求項12に記載の記録方法の如く、前記物理ピットを再生する工程に先立って、対象記録層に応じて前記情報記録装置を構成する光学系の収差を補正する工程を更に含むこととすることができる。
【0024】
請求項13に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ディスクに情報の記録が可能な情報記録装置であって、光ピックアップ装置と;前記光ディスクにおける前記情報が記録される対象記録層に応じて前記光ピックアップ装置を構成する光学系の収差を補正する制御装置と;前記対象記録層に形成されている物理ピットを再生し、前記物理ピットが正しく再生されると、前記光ピックアップ装置を介して前記情報を前記対象記録層に記録する処理装置と;を備える情報記録装置である。
【0025】
これによれば、制御装置により対象記録層に応じて光ピックアップ装置を構成する光学系の収差が補正される。また、処理装置により物理ピットが再生され、正しく再生されると、光ピックアップ装置を介して情報が対象記録層に記録される。すなわち、対象記録層が欠陥記録層でないことを確認してから情報を記録している。従って、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことができる。
【0026】
この場合において、請求項14に記載の情報記録装置の如く、前記処理装置は、更に前記対象記録層に記録された情報を再生し、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録することとすることができる。
【0027】
この場合において、請求項15に記載の情報記録装置の如く、前記処理装置は、前記情報が正しく再生されなかった場合に、更に前記光ディスクにおける前記情報が記録された領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とすることとすることができる。
【0028】
上記請求項14に記載の情報記録装置において、請求項16に記載の情報記録装置の如く、
前記処理装置は、前記情報が正しく再生されなかった場合に、更に前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定するとともに、前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録することとすることができる。
【0029】
この場合において、請求項17に記載の情報記録装置の如く、前記処理装置は、前記指定に際して、交替用の記録層となり得る記録層のうち、前記対象記録層に最も近い記録層を指定することとすることができる。
【0030】
上記請求項16及び17に記載の各情報記録装置において、請求項18に記載の情報記録装置の如く、前記処理装置は、前記指定された記録層に未記録領域がなくなると、交替用の記録層を新たに指定するとともに、前記新たに指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録することとすることができる。
【0031】
上記請求項13に記載の情報記録装置において、請求項19に記載の情報記録装置の如く、前記処理装置は、更に前記物理ピットが正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録することとすることができる。
【0032】
請求項20に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ディスクに情報の記録が可能な情報記録装置に用いられるプログラムであって、前記光ディスクにおける前記情報が記録される記録層である対象記録層に形成されている物理ピットを再生する手順と;前記物理ピットが正しく再生されたか否かを判断する手順と;前記判断の結果、前記物理ピットが正しく再生された場合に、前記情報を前記対象記録層に記録する手順と;を前記情報記録装置の制御用コンピュータに実行させるプログラムである。
【0033】
これによれば、本発明のプログラムが所定のメモリにロードされ、その先頭アドレスがプログラムカウンタにセットされると、情報記録装置の制御用コンピュータは、対象記録層に形成されている物理ピットを再生し、該物理ピットが正しく再生されたか否かを判断し、その判断の結果、物理ピットが正しく再生された場合に、情報を対象記録層に記録する。すなわち、本発明のプログラムによれば、情報記録装置の制御用コンピュータに請求項5に記載の発明に係る記録方法を実行させることができ、これにより、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことが可能となる。
【0034】
この場合において、請求項21に記載のプログラムの如く、前記対象記録層に記録された情報を再生する手順と;前記情報が正しく再生されたか否かを判断する手順と;前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録する手順と;を前記制御用コンピュータに更に実行させることとすることができる。
【0035】
この場合において、請求項22に記載のプログラムの如く、前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とする手順を前記制御用コンピュータに更に実行させることとすることができる。
【0036】
上記請求項21に記載のプログラムにおいて、請求項23に記載のプログラムの如く、前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定する手順と;前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する手順と;を前記制御用コンピュータに更に実行させることとすることができる。
【0037】
上記請求項20に記載のプログラムにおいて、請求項24に記載のプログラムの如く、前記判断の結果、正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録する手順を、前記制御用コンピュータに更に実行させることとすることができる。
【0038】
上記請求項20〜24に記載の各プログラムにおいて、請求項25に記載のプログラムの如く、前記物理ピットを再生する手順に先立って、前記対象記録層に応じて前記情報記録装置を構成する光学系の収差を補正する手順を、前記制御用コンピュータに更に実行させることとすることができる。
【0039】
請求項26に記載の発明は、請求項20〜25のいずれか一項に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0040】
これによれば、請求項20〜25のいずれか一項に記載のプログラムが記録されているために、コンピュータに実行させることにより、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る情報記録装置としての光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0042】
この図1に示される光ディスク装置20は、光ディスク15を回転駆動するスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、該光ピックアップ装置23をスレッジ方向に駆動するシークモータ21、レーザ制御回路24、エンコーダ25、モータ制御回路26、サーボ制御回路27、再生信号処理回路28、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、光ディスク装置20は、複数の記録層を有する光ディスクに対応しているものとする。
【0043】
前記光ディスク15は、波長が約780nmの光束に対応し、一例として図2に示されるように、前記光ピックアップ装置23に近いほうから順に、L0、L1、L2の3つの記録層を有している。そして、各記録層には、予め設定されたパターンが物理ピットとして所定位置に形成されている。なお、物理ピットが記録層のアドレス情報及びコンテンツ情報などを含んでいても良い。また、各記録層には、それぞれ管理情報領域が設けられている。この管理情報領域には、一例として図3に示されるように、記録層に関する情報、欠陥情報、クローズ情報、後述するレイヤパラメータ、ユーザデータ領域に記録されているファイルに関する情報などが記録される管理領域(管理領域1、管理領域2)、及び適切な記録パワーを得る際に利用される試し書き領域などが設けられている。さらに、光ディスク15の基板材料はポリカーボネートである。
【0044】
なお、本実施形態では、一例として、各記録層では、ディスクの内周部及び外周部の2ヶ所に物理ピットが形成されている。ここでは、各物理ピットの半径位置は互いに異なっている。なお、本実施形態では、半径位置はディスクの回転中心からの距離を意味している。また、各記録層では、ディスクの内周部及び外周部の2ヶ所に管理情報領域が設けられている(図2参照)。
【0045】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15におけるアクセス対象の記録層(対象記録層)にレーザ光を照射するとともに、その対象記録層からの反射光を受光するための装置である。この光ピックアップ装置23は、一例として図4に示されるように、光源LD、コリメートレンズ52、プリズム53、ビームスプリッタ54、ビームエキスパンダ56、検出レンズ58、対物レンズ60、光検出器としての受光器PD、及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータ(いずれも図示省略))などを備えている。
【0046】
前記光源LDは、波長が約780nmのレーザ光束を出射する半導体レーザである。なお、光源LDから出射される光束の最大強度出射方向を+X方向とする。この光源LDの+X側に前記コリメートレンズ52が配置され、光源LDから出射された光束を略平行光とする。
【0047】
前記ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52の+X側に配置され、コリメートレンズ52からの光束を透過させるとともに、光ディスク15の対象記録層で反射した光束(戻り光束)を−Z方向に分岐する。
【0048】
前記ビームエキスパンダ56は、ビームスプリッタ54の+X側に配置され、負レンズとしての凹レンズ56aと、正レンズとしての凸レンズ56bと、前記凹レンズ56a及び凸レンズ56bの少なくとも一方を駆動し両レンズの間隔(以下「レンズ間隔」ともいう)を変更するレンズ駆動装置56cとを含んでいる。レンズ間隔が変化すると、ビームエキスパンダ56から出射される光束の発散角が変化し、球面収差が変化する。レンズ間隔は、CPU40からのレイヤパラメータ信号によって制御される。
【0049】
前記プリズム53はビームエキスパンダ56の+X側に配置され、ビームエキスパンダ56からの光束の光路を+Z方向に曲げる。なお、プリズム53に代えて反射ミラーを用いても良い。このプリズム53の+Z側には前記対物レンズ60が配置されている。
【0050】
前記ビームスプリッタ54の−Z側には、前記検出レンズ58が配置され、ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐された戻り光束を前記受光器PDの受光面に集光する。受光器PDは複数の受光領域(又は受光素子)を有し、その受光領域(又は受光素子)毎に受光量に応じた信号(光電変換信号)をそれぞれ出力する。
【0051】
前記フォーカシングアクチュエータ(図示省略)は、対物レンズ60の光軸方向であるフォーカス方向に対物レンズ60を微少駆動するためのアクチュエータである。前記トラッキングアクチュエータ(図示省略)は、トラックの接線方向に直交する方向であるトラッキング方向に対物レンズ60を微少駆動するためのアクチュエータである。
【0052】
なお、本実施形態では、対物レンズ60に略平行光が入射されたときに波面収差が最小となり、そのときの集光位置(以下「収差基準位置」ともいう)は光ディスク15の入射面から0.53mmの位置となるように設定されているものとする(図5参照)。なお、収差基準位置からの距離が大きくなると、ビームエキスパンダ56にて調整しても、一例として図5に示されるように、収差はほぼ線形に増加する。しかしながら、入射面からの距離が0.41mm〜0.65mmでは、収差を一般的に許容されている0.02RMS以下とすることができる。このことは、例えば層間距離が10μmであれば約25の記録層を有する多層ディスクにも対応可能であることを意味している。また、本実施形態では、入射面からの距離が0.41mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は12.3mm、入射面からの距離が0.45mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は11.2mm、入射面からの距離が0.49mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は9.8mm、入射面からの距離が0.53mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は8.5mm、入射面からの距離が0.57mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は6.8mm、入射面からの距離が0.61mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は5.0mm、入射面からの距離が0.65mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は2.6mm、である。
【0053】
そして、本実施形態では、光ディスク15の入射面から0.49mmの位置に記録層L0があり、入射面から0.53mmの位置に記録層L1があり、入射面から0.57mmの位置に記録層L2があるものとする。
【0054】
図1に戻り、前記再生信号処理回路28は、I/Vアンプ28a、サーボ信号検出回路28b、ウォブル信号検出回路28c、RF信号検出回路28d、デコーダ28e及びβ検出回路28fなどから構成されている。
【0055】
前記I/Vアンプ28aは、受光器PDの出力信号を電圧信号に変換するとともに、所定のゲインで増幅する。
【0056】
前記サーボ信号検出回路28bは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてフォーカスエラー信号及びトラックエラー信号などのサーボ信号を検出する。ここで検出されたサーボ信号は前記サーボ制御回路27に出力される。
【0057】
前記ウォブル信号検出回路28cは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてウォブル信号を検出する。ここで検出されたウォブル信号はデコーダ28eに出力される。
【0058】
前記RF信号検出回路28dは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてRF信号を検出する。ここで検出されたRF信号は、デコーダ28e及びβ検出回路28fに出力される。
【0059】
前記デコーダ28eは前記ウォブル信号からアドレス情報、同期信号、光ディスクのベンダー情報、ストラテジ情報などを抽出する。ここで抽出されたアドレス情報、ベンダー情報及びストラテジ情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。また、デコーダ28eは前記RF信号に対して復号処理及び誤り検出処理などを行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとして前記バッファマネージャ37を介して前記バッファRAM34に格納する。
【0060】
前記β検出回路28fは、前記RF信号のピークレベルとボトムレベルとに基づいて、いわゆるβ値を取得する。また、β検出回路28fは、RF信号の振幅を求め、CPU40に通知する。
【0061】
前記サーボ制御回路27は、ACTコントローラ27a、ACTドライバ27c、SAコントローラ27d、及びSAドライバ27eなどを有している。
【0062】
前記ACTコントローラ27aは、前記フォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成するとともに、前記トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成する。ここで生成されたフォーカス制御信号及びトラッキング制御信号は、それぞれ前記ACTドライバ27cに出力される。
【0063】
前記ACTドライバ27cは、前記フォーカス制御信号に応じてフォーカシングアクチュエータの駆動信号(駆動電流)を光ピックアップ装置23に出力し、前記トラッキング制御信号に応じてトラッキングアクチュエータの駆動信号(駆動電流)を光ピックアップ装置23に出力する。これにより、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。
【0064】
前記SAコントローラ27dは、CPU40からのレイヤパラメータ信号に基づいて、前記ビームエキスパンダ56を構成する両レンズの間隔を制御するためのレンズ間隔制御信号を生成する。ここで生成されたレンズ間隔制御信号は前記SAドライバ27eに出力される。
【0065】
前記SAドライバ27eは、前記レンズ間隔制御信号に応じた駆動信号(電流信号又は電圧信号)を、前記ビームエキスパンダ56を構成するレンズ駆動装置の駆動信号として光ピックアップ装置23に出力する。
【0066】
前記モータ制御回路26は、CPU40の指示に基づいて、スピンドルモータ22及びシークモータ21をそれぞれ駆動制御する。
【0067】
前記バッファRAM34には、光ディスク15に記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスク15から再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納される。このバッファRAM34へのデータの入出力は、前記バッファマネージャ37によって管理されている。
【0068】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、データの変調及びエラー訂正コードの付加等を行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成する。ここで生成された書き込み信号はレーザ制御回路24に出力される。
【0069】
前記レーザ制御回路24は、光源LDから出射されるレーザ光のパワーを制御する。例えば記録の際には、前記書き込み信号、記録条件、及び光源LDの発光特性などに基づいて光源LDの駆動信号がレーザ制御回路24にて生成される。なお、光源LDから出射されるレーザ光の一部はモニタ用の受光素子(不図示)で受光され、その受光量に応じた光電変換信号(以下では「モニタ信号」ともいう)がレーザ制御回路24に入力されるようになっている。そして、レーザ制御回路24は、上記モニタ信号に基づいて光源LDの駆動信号を補正する。
【0070】
前記インターフェース38は、ホスト(例えば、パソコン)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)、USB(Universal Serial Bus)及びSCSI(Small Computer System Interface)などの標準インターフェースに準拠している。
【0071】
前記フラッシュメモリ39には、CPU40にて解読可能なコードで記述された本発明に係るプログラムを含む各種プログラム、レイヤパラメータ情報、記録条件及び光源LDの発光特性などが格納されている。
【0072】
前記CPU40は、フラッシュメモリ39に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをRAM41に保存する。
【0073】
なお、選択記録層がL0、L1、L2のいずれであるかは、指定されたアドレスに基づいてCPU40によって判別される。従って、CPU40は、ホストから記録要求又は再生要求があると、対象記録層に関する情報を前記SAコントローラ27d及び前記ACTコントローラ27aなどに通知する。
【0074】
《記録処理》
次に、上記のようにして構成された光ディスク装置20にホストから記録要求があったときの、光ディスク装置20の動作について図6を用いて説明する。図6のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。ホストから記録要求コマンドを受信すると、フラッシュメモリ39に格納されている図6のフローチャートに対応するプログラム(以下、「記録処理プログラム」という)の先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
【0075】
最初のステップ401では、所定の線速度(又は角速度)で光ディスク15が回転するようにモータ制御回路26に指示するとともに、ホストから記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
【0076】
次のステップ403では、記録要求コマンドから指定アドレスを抽出し、その指定アドレスから、対象記録層が記録層L0、L1、L2のいずれであるかを特定する。
【0077】
次のステップ405では、フォーカスジャンプが必要であるか否かを判断する。フォーカスジャンプが必要であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ407に移行する。
【0078】
このステップ407では、対象記録層に応じてレイヤパラメータを設定するレイヤパラメータ設定処理を行う。なお、このレイヤパラメータ設定処理の詳細については後述する。
【0079】
このステップ409では、対象記録層に形成されている物理ピットを再生する。
【0080】
次のステップ413では、再生エラーか否かを判断する。再生エラーであれば、ここでの判断は肯定され、ステップ415に移行する。ここでは、一例として、RF信号の信号レベルが予め設定されているレベル以下であれば、再生エラーと判断される。
【0081】
このステップ415では、記録不可をホストに通知する。
【0082】
次のステップ417では、対象記録層が欠陥記録層であることを、対象記録層の管理情報領域に記録する。そして、記録処理を終了する。
【0083】
一方、上記ステップ413において、再生エラーでなければ、ここでの判断は否定され、ステップ419に移行する。
【0084】
このステップ419では、ユーザデータ記録処理を行う。なお、このユーザデータ記録処理の詳細については後述する。そして、記録処理を終了する。
【0085】
また、上記ステップ405において、フォーカスジャンプが必要でなければ、ここでの判断は否定され、前記ステップ409に移行する。
【0086】
《レイヤパラメータ設定処理》
次に、上記レイヤパラメータ設定処理について図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
【0087】
最初のステップ501では、対象記録層へのフォーカスジャンプを指示する。
【0088】
次のステップ503では、対象記録層に対するレイヤパラメータがフラッシュメモリ39に格納されているか否かを判断する。対象記録層に対するレイヤパラメータがフラッシュメモリ39に格納されていなければ、ここでの判断は否定され、ステップ505に移行する。
【0089】
このステップ505では、デフォルトのレイヤパラメータを設定する。そして、設定されたレイヤパラメータに対応するレイヤパラメータ信号をSAコントローラに出力する。これにより、ビームエキスパンダ56におけるレンズ間隔は、レイヤパラメータに応じた間隔となる。
【0090】
次のステップ507では、対象記録層の物理ピット位置へのシークを指示する。
【0091】
次のステップ509では、物理ピットを再生する。
【0092】
次のステップ511では、β検出回路28fを介してRF振幅を取得する。
【0093】
次のステップ513では、RF信号の振幅がほぼ最大値であるか否かを判断する。RF信号の振幅がほぼ最大値でなければ、ここでの判断は否定され、ステップ515に移行する。
【0094】
このステップ515では、レイヤパラメータに予め設定されている増分Δpを加算し、新たにレイヤパラメータに設定する。そして、設定されたレイヤパラメータに対応するレイヤパラメータ信号をSAコントローラに出力する。これにより、ビームエキスパンダ56におけるレンズ間隔が若干変化する。そして、上記ステップ509に戻る。
【0095】
そして、上記ステップ513において、RF信号の振幅がほぼ最大値であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ517に移行する。
【0096】
このステップ517では、現在設定されているレイヤパラメータを、対象記録層に対するレイヤパラメータとしてフラッシュメモリ39に格納する。そして、レイヤパラメータ設定処理を終了する。
【0097】
一方、上記ステップ503において、対象記録層に対応するレイヤパラメータがフラッシュメモリ39に格納されていれば、ここでの判断は肯定され、ステップ519に移行する。
【0098】
このステップ519では、対象記録層に対するレイヤパラメータを設定する。そして、設定されたレイヤパラメータに対応するレイヤパラメータ信号をSAコントローラに出力する。そして、レイヤパラメータ設定処理を終了する。
【0099】
すなわち、このレイヤパラメータ設定処理によって、収差補正が行われる。具体的には、対象記録層が、L0であればレンズ間隔は9.8mm、L1であればレンズ間隔は8.5mm、L2であればレンズ間隔は6.8mm、にセットされる。
【0100】
《ユーザデータ記録処理》
次に、上記ユーザデータ記録処理について図8のフローチャートを用いて説明する。図8のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
【0101】
なお、ここでは、一例として図9に示されるように、各記録層のユーザデータ領域にそれぞれ交替領域が予め設定されていることとする。
【0102】
最初のステップ601では、指定された領域にユーザデータを記録する。
【0103】
次のステップ603では、ユーザデータが記録された領域を再生する。
【0104】
次のステップ605では、再生エラーか否かを判断する。再生エラーであれば、ここでの判断は肯定され、ステップ611に移行する。ここでは、一例として、RF信号の信号レベルが予め設定されているレベル以下であれば、再生エラーと判断される。
【0105】
このステップ611では、交替可能であるか否かを判断する。対象記録層における交替領域に未記録領域があれば、ここでの判断は肯定され、ステップ613に移行する。
【0106】
次のステップ613では、ユーザデータを交替領域に記録する。
【0107】
このステップ617では、ユーザデータが記録された領域が欠陥領域であること、及びその交替領域を対象記録層の管理情報領域に記録する。
【0108】
次のステップ651では、ユーザデータの記録が完了したか否かを判断する。完了していなければ、ここでの判断は否定され、前記ステップ601に戻る。
【0109】
一方、ステップ651において、ユーザデータの記録が完了していればここでの判断は肯定され、ユーザデータ記録処理を終了する。
【0110】
なお、上記ステップ611において、対象記録層における交替領域に未記録領域がなければ、ここでの判断は否定され、ステップ661に移行する。
【0111】
このステップ661では、ホストに記録不可を通知する。
【0112】
次のステップ663では、対象記録層への書き込みを禁止することを対象記録層の管理情報領域に記録する。そして、ユーザデータ記録処理を終了する。
【0113】
また、上記ステップ605において、再生エラーでなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップ651に移行する。
【0114】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置20では、CPU40及び該CPU40にて実行されるプログラムとによって制御装置及び処理装置が実現されている。なお、CPU40によるプログラムに従う処理によって実現した制御装置及び設定装置の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
【0115】
また、本実施形態では、記録媒体としてのフラッシュメモリ39に記録されているプログラムのうち、図6〜図8に対応するプログラムによって、本発明に係るプログラムが実行されている。
【0116】
そして、上記記録処理にて、本発明に係る記録方法が実施されている。
【0117】
以上説明したように、本実施形態に係る光ディスク装置20によると、光ディスク15にユーザデータを記録する際に、対象記録層に形成されている物理ピットが再生され、正しく再生されたか否かが判断される。そして、その判断の結果、物理ピットが正しく再生された場合に、ユーザデータが対象記録層に記録される。すなわち、対象記録層が欠陥記録層でないことを確認してからユーザデータを記録している。従って、光ディスク15に安定した記録品質で記録を行うことができる。
【0118】
また、本実施形態によると、対象記録層に応じて光ピックアップ装置23における光学系の収差を補正しているため、対象記録層に適切な光スポットを形成することができる。
【0119】
また、本実施形態によると、対象記録層に記録されたユーザデータを再生し、ユーザデータが正しく再生されなかった場合に、ユーザデータが記録された領域が欠陥領域であることを対象記録層の管理情報領域に記録しているため、それ以降、その領域にユーザデータが記録されるのを防止することができる。
【0120】
また、本実施形態によると、物理ピットが正しく再生されなかった場合に、対象記録層が欠陥記録層であることを対象記録層の管理情報領域に記録しているため、それ以降、その記録層にユーザデータが記録されるのを防止することができる。
【0121】
また、本実施形態に係る光ディスク15によると、各記録層に物理ピットが形成されているため、光ディスク15がセットされた情報記録装置は、物理ピットを再生し、その再生状況によって各記録層の状態を判断することができる。従って、安定した記録品質での記録が可能となる。
【0122】
なお、上記実施形態では、各記録層にそれぞれ交替領域が設けられている場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0123】
《ユーザデータ記録処理の変形例1》
ユーザデータ記録処理の変形例1について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、上記実施形態におけるユーザデータ記録処理との相違点を中心に説明するとともに、前述した上記実施形態におけるユーザデータ記録処理と同一若しくは同等の処理を行うステップについては同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0124】
最初のステップ601では、指定された領域にユーザデータを記録する。
【0125】
次のステップ603では、ユーザデータが記録された領域を再生する。
【0126】
次のステップ605では、再生エラーであるか否かを判断する。再生エラーであれば、ここでの判断は肯定され、ステップ607に移行する。
【0127】
このステップ606では、交替記録層が既に指定されているか否かを判断する。指定されていなければ、ここでの判断は否定され、ステップ607に移行する。
【0128】
このステップ607では、光ディスク15における対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定する(図11参照)。ここでは、交替用の記録層となり得る記録層のうち、対象記録層に最も近い記録層が指定される。
【0129】
次のステップ608では、指定された記録層が交替用の記録層であることを、一例として、光ディスク15がセットされたときに最初にアクセスされる記録層の管理情報領域に記録する。
【0130】
次のステップ609では、交替用の記録層にフォーカスジャンプする。
【0131】
次のステップ611では、交替可能であるか否かを判断する。交替用の記録層に未記録領域がなければ、ここでの判断は否定され、ステップ621に移行する。
【0132】
このステップ621では、光ディスク15に未記録領域があるか否かを判断する。未記録領域があれば、ここでの判断は肯定され、ステップ623に移行する。
【0133】
このステップ623では、新たに交替用の記録層を指定する。
【0134】
次のステップ625では、指定された記録層が交替用の記録層であることを、一例として、光ディスク15がセットされたときに最初にアクセスされる記録層の管理情報領域に記録する。
【0135】
次のステップ627では、新たな交替用の記録層にフォーカスジャンプする。
【0136】
次のステップ613では、ユーザデータを交替領域に記録する。
【0137】
次のステップ617では、対象記録層にフォーカスジャンプし、ユーザデータが記録された領域が欠陥領域であること、及びその交替領域を対象記録層の管理情報領域に記録する。
【0138】
次のステップ651では、ユーザデータの記録が完了したか否かを判断する。完了していなければここでの判断は否定され、前記ステップ601に戻る。
【0139】
一方、ステップ651において、ユーザデータの記録が完了していればここでの判断は肯定され、ユーザデータ記録処理の変形例1を終了する。
【0140】
なお、上記ステップ621において、光ディスク15に未記録領域がなければ、ここでの判断は否定され、ステップ661に移行する。
【0141】
このステップ661では、ホストに記録不可を通知する。
【0142】
次のステップ665では、光ディスク15への書き込みを禁止することを、一例として、光ディスク15がセットされたときに最初にアクセスされる記録層の管理情報領域に記録する。そして、ユーザデータ記録処理の変形例1を終了する。
【0143】
また、上記ステップ611において、交替用の記録層に未記録領域があれば、ここでの判断は肯定され、上記ステップ613に移行する。
【0144】
また、上記ステップ606において、交替記録層が既に指定されていれば、ここでの判断は肯定され、上記ステップ609に移行する。
【0145】
また、上記ステップ605において、再生エラーでなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップ651に移行する。
【0146】
以上説明したように、ユーザデータ記録処理の変形例1では、ユーザデータが正しく再生されなかった場合に、光ディスク15における対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定し、指定された記録層が交替用の記録層であることを光ディスクに記録している。これにより、交替処理を円滑に行うことが可能となる。また、交替用の記録層を指定する際に、交替用の記録層となり得る記録層のうち、対象記録層に最も近い記録層を指定しているため、更に交替処理を迅速に行うことが可能となる。
【0147】
また、交替用の記録層に未記録領域がなくなると、交替用の記録層を新たに指定し、その新たに指定された記録層が交替用の記録層であることを光ディスクに記録している。これにより、ユーザデータを効率良く記録することが可能となる。
【0148】
《ユーザデータ記録処理の変形例2》
ユーザデータ記録処理の変形例2について、図12のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、上記実施形態におけるユーザデータ記録処理との相違点を中心に説明するとともに、前述した上記実施形態におけるユーザデータ記録処理と同一若しくは同等の処理を行うステップについては同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0149】
最初のステップ601では、指定された領域にユーザデータを記録する。
【0150】
次のステップ603では、ユーザデータが記録された領域を再生する。
【0151】
次のステップ605では、再生エラーであるか否かを判断する。再生エラーであれば、ここでの判断は肯定され、ステップ631に移行する。
【0152】
このステップ631では、対象記録層の上側に記録層があるか否かを判断する。上側に記録層があれば、ここでの判断は肯定され、ステップ633に移行する。
【0153】
このステップ633では、対象記録層の直上の記録層にフォーカスジャンプする。
【0154】
次のステップ635では、そこが未記録であるか否かを判断する。未記録であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ613に移行する。
【0155】
次のステップ613では、ユーザデータを交替領域に記録する。ここでは、記録後は、一例として図13(A)に示されるようになる。
【0156】
次のステップ617では、対象記録層にフォーカスジャンプし、ユーザデータが記録された領域が欠陥領域であること、及びその交替領域を対象記録層の管理情報領域に記録する。
【0157】
次のステップ651では、ユーザデータの記録が完了したか否かを判断する。完了していなければここでの判断は否定され、前記ステップ601に戻る。
【0158】
一方ステップ651において、ユーザデータの記録が完了していればここでの判断は肯定され、ユーザデータ記録処理の変形例2を終了する。
【0159】
なお、ステップ635において、未記録でなければ、ここでの判断は否定され、ステップ637に移行する。
【0160】
このステップ637では、対象記録層の下側に記録層があるか否かを判断する。下側に記録層があれば、ここでの判断は肯定され、ステップ639に移行する。
【0161】
このステップ639では、対象記録層の直下の記録層にフォーカスジャンプする。
【0162】
次のステップ641では、そこが未記録であるか否かを判断する。未記録であれば、ここでの判断は肯定され、前記ステップ613に移行する。なお、この場合には、記録後は、一例として図13(B)に示されるようになる。
【0163】
一方、このステップ641において、未記録でなければ、ここでの判断は否定され、ステップ643に移行する。
【0164】
このステップ643では、欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を探す。
【0165】
次のステップ645では、未記録領域があるか否かを判断する。未記録領域が見つかっていれば、ここでの判断は肯定され、ステップ647に移行する。
【0166】
このステップ647では、その未記録領域が属する記録層にフォーカスジャンプする。そして、前記ステップ613に移行する。なお、この場合には、記録後は、一例として図13(C)に示されるようになる。
【0167】
なお、上記ステップ645において、未記録領域がなければ、ここでの判断は否定され、ステップ661に移行する。
【0168】
このステップ661では、ホストに記録不可を通知する。
【0169】
次のステップ665では、光ディスク15への書き込みを禁止することを光ディスク15に記録する。そして、ユーザデータ記録処理の変形例2を終了する。
【0170】
また、上記ステップ637において、対象記録層の下側に記録層がなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップ643に移行する。
【0171】
また、上記ステップ631において、対象記録層の上側に記録層がなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップ637に移行する。
【0172】
また、上記ステップ605において、再生エラーでなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップ651に移行する。
【0173】
以上説明したように、ユーザデータ記録処理の変形例2では、ユーザデータが正しく再生されなかった場合に、光ディスクにおける欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域としているため、フォーカスジャンプの際にレイヤパラメータを変更しなくても、収差を許容範囲内とすることができる(図14参照)。すなわち、レンズ駆動装置56cを駆動する必要がないため、交替処理を迅速に行うことができる。
【0174】
一例として図15に示されるように、光ディスク装置20に25の記録層を有する光ディスクがセットされたときに、連続する5つの記録層では、レイヤパラメータを変更しなくても、収差を許容範囲内とすることが可能である。
【0175】
《ユーザデータ記録処理の変形例3》
また、ユーザデータを交替領域に記録する必要がない場合には、図16のフローチャートに示されるように、ステップ605において、正しく再生できていなければ、ステップ661に移行しても良い。
【0176】
なお、上記実施形態では、物理ピットがディスクの内周部及び外周部の2ヶ所に形成されている場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、例えば内周部のみに形成されていても良い。
【0177】
また、上記実施形態では、管理情報領域がディスクの内周部及び外周部の2ヶ所に設けられている場合について説明したが、例えば内周部のみに設けられていても良い。
【0178】
また、上記実施形態のレイヤパラメータ設定処理において、前記ステップ511ではRF振幅を取得する場合について説明したが、これに限らず、例えばジッタを求めても良い。この場合には、前記ステップ513では、ジッタがほぼ最小値であるか否かを判断し、ジッタがほぼ最小値でなければ、ステップ515に移行することとなる。
【0179】
また、上記実施形態では、RF信号の信号レベルに基づいて再生エラーであるか否かを判断しているが、これに限らず、例えば、ジッタやブロックエラーレートを用いても良い。すなわち、ジッタが予め設定されている値以上であれば再生エラーと判断しても良い。また、ブロックエラーレートが予め設定されている値以上であれば再生エラーと判断しても良い。さらに、正しいアドレスを取得できないときに再生エラーと判断しても良い。
【0180】
また、上記実施形態では、光ディスクが、波長が約780nmのレーザ光に対応している場合について説明したが、これに限らず、例えば、波長が約660nmのレーザ光に対応する光ディスク、及び波長が約405nmのレーザ光に対応する光ディスクであっても良い。
【0181】
また、上記実施形態では、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち、少なくとも情報の記録が可能な光ディスク装置であれば良い。
【0182】
また、上記実施形態では、光ディスクが3つの記録層を有する場合について説明したが、これに限らず、4つ以上の記録層を有していてもよい。
【0183】
また、上記実施形態では、光ピックアップ装置が1つの半導体レーザを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば互いに異なる波長の光束を発光する複数の半導体レーザを備えていても良い。この場合に、例えば波長が約405nmの光束を発光する半導体レーザ、波長が約660nmの光束を発光する半導体レーザ及び波長が約780nmの光束を発光する半導体レーザの少なくとも1つを含んでいても良い。すなわち、光ディスク装置が互いに異なる規格に準拠した複数種類の光ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。この場合に、少なくとも1つの光ディスクが3つ以上の記録層を有する光ディスクであっても良い。
【0184】
また、上記実施形態では、情報記録装置が光ディスク装置の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、光ディスクがDVDの規格に対応するときには、DVDレコーダであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0185】
以上説明したように、本発明の光ディスクによれば、3層以上の記録層を有し、安定した記録品質で記録をするのに適している。また、本発明の記録方法によれば、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うのに適している。また、本発明の情報記録装置によれば、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うのに適している。また、本発明のプログラム及び記憶媒体によれば、情報記録装置に、本発明の光ディスクへの安定した記録品質の記録をさせるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報記録装置としての光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における光ディスクを説明するための図である。
【図3】図2における管理情報領域を説明するための図である。
【図4】図1における光ピックアップ装置を説明するための図である。
【図5】図4におけるビームエキスパンダを説明するための図である。
【図6】図1の光ディスク装置における記録処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6におけるレイヤパラメータ設定処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図8】図6におけるユーザデータ記録処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8を説明するための図である。
【図10】図8のユーザデータ記録処理の変形例1を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10を説明するための図である。
【図12】図8のユーザデータ記録処理の変形例2を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13(A)〜図13(C)は、それぞれ図12を説明するための図である。
【図14】図1における光ディスクの収差を説明するための図である。
【図15】25の記録層を有する光ディスクにおける収差を説明するための図である。
【図16】図8のユーザデータ記録処理の変形例3を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0187】
15…光ディスク、20…光ディスク装置(情報記録装置)、23…光ピックアップ装置、39…フラッシュメモリ(記録媒体)、40…CPU(制御装置、処理装置)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク、記録方法、情報記録装置、プログラム及び記録媒体に係り、さらに詳しくは、情報記録が可能な3つ以上の記録層を有する光ディスク、該光ディスクに情報を記録する記録方法及び情報記録装置、該情報記録装置に用いられるプログラム及び該プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の進歩及びデータ圧縮技術の向上に伴い、音楽、映画、写真及びコンピュータソフトなどの情報(以下「コンテンツ」ともいう)を記録するための媒体として、DVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、光ディスクを情報記録の対象媒体とする光ディスク装置が普及するようになった。
【0003】
ところで、コンテンツの情報量は、年々増加する傾向にあり、光ディスクの記録容量の更なる増加が期待されている。そこで、光ディスクの記録容量を増加させる手段の一つとして、記録層の多層化が考えられ、複数の記録層を有する光ディスク(以下「多層ディスク」ともいう)及び該多層ディスクをアクセス対象とする光ディスク装置の開発が盛んに行われている。
【0004】
また、光ディスクの欠陥対策についても、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)が、3層以上の記録層を有する多層ディスクでは、特許文献1〜特許文献3に開示されている欠陥対策では必ずしも適切な対策とはならない場合があった。
【0005】
現在のとこる、3層以上の記録層を有する多層ディスクは市販されていないが、今後、更なる記録容量の増加要求があると、市販されることも考えられる。その際には、3層以上の記録層を有する多層ディスクに安定した記録品質で情報を記録する方法が必要となる。
【0006】
【特許文献1】特開2000−285607号公報
【特許文献2】特開2002−358647号公報
【特許文献3】特開2003−288759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、安定した記録品質での記録が可能な3層以上の記録層を有する光ディスクを提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことができる記録方法及び情報記録装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第3の目的は、情報記録装置の制御用コンピュータにて実行され、本発明の光ディスクへの安定した記録品質の記録を可能とするプログラム及びそのプログラムが記録された記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、情報記録が可能な3つ以上の記録層を有し、該記録層のそれぞれにスパイラル状又は同心円状のトラックが形成され、各記録層に予め設定されたパターン及びコンテンツ情報の少なくとも一方が物理ピットとして形成されている光ディスクである。
【0011】
これによれば、本発明の光ディスクがセットされた情報記録装置は、物理ピットを再生し、その再生状況によって各記録層の状態を判断することができる。従って、安定した記録品質での記録が可能となる。
【0012】
この場合において、請求項2に記載の光ディスクの如く、前記物理ピットは、各記録層の内周部及び外周部の少なくとも一方に形成されていることとすることができる。
【0013】
上記請求項1及び2に記載の各光ディスクにおいて、請求項3に記載の光ディスクの如く、前記3つ以上の記録層のうちの1つの記録層は、交替用の記録層であることとすることができる。
【0014】
上記請求項1及び2に記載の各光ディスクにおいて、請求項4に記載の光ディスクの如く、前記各記録層に、少なくとも1箇所の交替領域が設けられていることとすることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ディスクに情報記録装置を用いて情報を記録する記録方法であって、前記光ディスクにおける前記情報が記録される記録層である対象記録層に形成されている物理ピットを再生する工程と;前記物理ピットが正しく再生されたか否かを判断する工程と;前記判断の結果、前記物理ピットが正しく再生された場合に、前記情報を前記対象記録層に記録する工程と;を含む記録方法である。
【0016】
これによれば、対象記録層に形成されている物理ピットが再生され、正しく再生されたか否かが判断される。そして、その判断の結果、物理ピットが正しく再生された場合に、情報が対象記録層に記録される。すなわち、対象記録層が欠陥記録層でないことを確認してから情報を記録している。従って、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことができる。
【0017】
この場合において、請求項6に記載の記録方法の如く、前記対象記録層に記録された情報を再生する工程と;前記情報が正しく再生されたか否かを判断する工程と;前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むこととすることができる。
【0018】
この場合において、請求項7に記載の記録方法の如く、前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とする工程を更に含むこととすることができる。
【0019】
上記請求項6に記載の記録方法において、請求項8に記載の記録方法の如く、前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定する工程と;前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むこととすることができる。
【0020】
この場合において、請求項9に記載の記録方法の如く、前記指定する工程では、交替用の記録層となり得る記録層のうち、前記対象記録層に最も近い記録層を指定することとすることができる。
【0021】
上記請求項8及び9に記載の各記録方法において、請求項10に記載の記録方法の如く、前記指定された記録層に未記録領域がなくなると、交替用の記録層を新たに指定する工程と;前記新たに指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むこととすることができる。
【0022】
上記請求項5に記載の記録方法において、請求項11に記載の記録方法の如く、前記判断の結果、正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録する工程を、更に含むこととすることができる。
【0023】
上記請求項5〜11に記載の各記録方法において、請求項12に記載の記録方法の如く、前記物理ピットを再生する工程に先立って、対象記録層に応じて前記情報記録装置を構成する光学系の収差を補正する工程を更に含むこととすることができる。
【0024】
請求項13に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ディスクに情報の記録が可能な情報記録装置であって、光ピックアップ装置と;前記光ディスクにおける前記情報が記録される対象記録層に応じて前記光ピックアップ装置を構成する光学系の収差を補正する制御装置と;前記対象記録層に形成されている物理ピットを再生し、前記物理ピットが正しく再生されると、前記光ピックアップ装置を介して前記情報を前記対象記録層に記録する処理装置と;を備える情報記録装置である。
【0025】
これによれば、制御装置により対象記録層に応じて光ピックアップ装置を構成する光学系の収差が補正される。また、処理装置により物理ピットが再生され、正しく再生されると、光ピックアップ装置を介して情報が対象記録層に記録される。すなわち、対象記録層が欠陥記録層でないことを確認してから情報を記録している。従って、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことができる。
【0026】
この場合において、請求項14に記載の情報記録装置の如く、前記処理装置は、更に前記対象記録層に記録された情報を再生し、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録することとすることができる。
【0027】
この場合において、請求項15に記載の情報記録装置の如く、前記処理装置は、前記情報が正しく再生されなかった場合に、更に前記光ディスクにおける前記情報が記録された領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とすることとすることができる。
【0028】
上記請求項14に記載の情報記録装置において、請求項16に記載の情報記録装置の如く、
前記処理装置は、前記情報が正しく再生されなかった場合に、更に前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定するとともに、前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録することとすることができる。
【0029】
この場合において、請求項17に記載の情報記録装置の如く、前記処理装置は、前記指定に際して、交替用の記録層となり得る記録層のうち、前記対象記録層に最も近い記録層を指定することとすることができる。
【0030】
上記請求項16及び17に記載の各情報記録装置において、請求項18に記載の情報記録装置の如く、前記処理装置は、前記指定された記録層に未記録領域がなくなると、交替用の記録層を新たに指定するとともに、前記新たに指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録することとすることができる。
【0031】
上記請求項13に記載の情報記録装置において、請求項19に記載の情報記録装置の如く、前記処理装置は、更に前記物理ピットが正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録することとすることができる。
【0032】
請求項20に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光ディスクに情報の記録が可能な情報記録装置に用いられるプログラムであって、前記光ディスクにおける前記情報が記録される記録層である対象記録層に形成されている物理ピットを再生する手順と;前記物理ピットが正しく再生されたか否かを判断する手順と;前記判断の結果、前記物理ピットが正しく再生された場合に、前記情報を前記対象記録層に記録する手順と;を前記情報記録装置の制御用コンピュータに実行させるプログラムである。
【0033】
これによれば、本発明のプログラムが所定のメモリにロードされ、その先頭アドレスがプログラムカウンタにセットされると、情報記録装置の制御用コンピュータは、対象記録層に形成されている物理ピットを再生し、該物理ピットが正しく再生されたか否かを判断し、その判断の結果、物理ピットが正しく再生された場合に、情報を対象記録層に記録する。すなわち、本発明のプログラムによれば、情報記録装置の制御用コンピュータに請求項5に記載の発明に係る記録方法を実行させることができ、これにより、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことが可能となる。
【0034】
この場合において、請求項21に記載のプログラムの如く、前記対象記録層に記録された情報を再生する手順と;前記情報が正しく再生されたか否かを判断する手順と;前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録する手順と;を前記制御用コンピュータに更に実行させることとすることができる。
【0035】
この場合において、請求項22に記載のプログラムの如く、前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とする手順を前記制御用コンピュータに更に実行させることとすることができる。
【0036】
上記請求項21に記載のプログラムにおいて、請求項23に記載のプログラムの如く、前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定する手順と;前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する手順と;を前記制御用コンピュータに更に実行させることとすることができる。
【0037】
上記請求項20に記載のプログラムにおいて、請求項24に記載のプログラムの如く、前記判断の結果、正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録する手順を、前記制御用コンピュータに更に実行させることとすることができる。
【0038】
上記請求項20〜24に記載の各プログラムにおいて、請求項25に記載のプログラムの如く、前記物理ピットを再生する手順に先立って、前記対象記録層に応じて前記情報記録装置を構成する光学系の収差を補正する手順を、前記制御用コンピュータに更に実行させることとすることができる。
【0039】
請求項26に記載の発明は、請求項20〜25のいずれか一項に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0040】
これによれば、請求項20〜25のいずれか一項に記載のプログラムが記録されているために、コンピュータに実行させることにより、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る情報記録装置としての光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0042】
この図1に示される光ディスク装置20は、光ディスク15を回転駆動するスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、該光ピックアップ装置23をスレッジ方向に駆動するシークモータ21、レーザ制御回路24、エンコーダ25、モータ制御回路26、サーボ制御回路27、再生信号処理回路28、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、光ディスク装置20は、複数の記録層を有する光ディスクに対応しているものとする。
【0043】
前記光ディスク15は、波長が約780nmの光束に対応し、一例として図2に示されるように、前記光ピックアップ装置23に近いほうから順に、L0、L1、L2の3つの記録層を有している。そして、各記録層には、予め設定されたパターンが物理ピットとして所定位置に形成されている。なお、物理ピットが記録層のアドレス情報及びコンテンツ情報などを含んでいても良い。また、各記録層には、それぞれ管理情報領域が設けられている。この管理情報領域には、一例として図3に示されるように、記録層に関する情報、欠陥情報、クローズ情報、後述するレイヤパラメータ、ユーザデータ領域に記録されているファイルに関する情報などが記録される管理領域(管理領域1、管理領域2)、及び適切な記録パワーを得る際に利用される試し書き領域などが設けられている。さらに、光ディスク15の基板材料はポリカーボネートである。
【0044】
なお、本実施形態では、一例として、各記録層では、ディスクの内周部及び外周部の2ヶ所に物理ピットが形成されている。ここでは、各物理ピットの半径位置は互いに異なっている。なお、本実施形態では、半径位置はディスクの回転中心からの距離を意味している。また、各記録層では、ディスクの内周部及び外周部の2ヶ所に管理情報領域が設けられている(図2参照)。
【0045】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15におけるアクセス対象の記録層(対象記録層)にレーザ光を照射するとともに、その対象記録層からの反射光を受光するための装置である。この光ピックアップ装置23は、一例として図4に示されるように、光源LD、コリメートレンズ52、プリズム53、ビームスプリッタ54、ビームエキスパンダ56、検出レンズ58、対物レンズ60、光検出器としての受光器PD、及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータ(いずれも図示省略))などを備えている。
【0046】
前記光源LDは、波長が約780nmのレーザ光束を出射する半導体レーザである。なお、光源LDから出射される光束の最大強度出射方向を+X方向とする。この光源LDの+X側に前記コリメートレンズ52が配置され、光源LDから出射された光束を略平行光とする。
【0047】
前記ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52の+X側に配置され、コリメートレンズ52からの光束を透過させるとともに、光ディスク15の対象記録層で反射した光束(戻り光束)を−Z方向に分岐する。
【0048】
前記ビームエキスパンダ56は、ビームスプリッタ54の+X側に配置され、負レンズとしての凹レンズ56aと、正レンズとしての凸レンズ56bと、前記凹レンズ56a及び凸レンズ56bの少なくとも一方を駆動し両レンズの間隔(以下「レンズ間隔」ともいう)を変更するレンズ駆動装置56cとを含んでいる。レンズ間隔が変化すると、ビームエキスパンダ56から出射される光束の発散角が変化し、球面収差が変化する。レンズ間隔は、CPU40からのレイヤパラメータ信号によって制御される。
【0049】
前記プリズム53はビームエキスパンダ56の+X側に配置され、ビームエキスパンダ56からの光束の光路を+Z方向に曲げる。なお、プリズム53に代えて反射ミラーを用いても良い。このプリズム53の+Z側には前記対物レンズ60が配置されている。
【0050】
前記ビームスプリッタ54の−Z側には、前記検出レンズ58が配置され、ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐された戻り光束を前記受光器PDの受光面に集光する。受光器PDは複数の受光領域(又は受光素子)を有し、その受光領域(又は受光素子)毎に受光量に応じた信号(光電変換信号)をそれぞれ出力する。
【0051】
前記フォーカシングアクチュエータ(図示省略)は、対物レンズ60の光軸方向であるフォーカス方向に対物レンズ60を微少駆動するためのアクチュエータである。前記トラッキングアクチュエータ(図示省略)は、トラックの接線方向に直交する方向であるトラッキング方向に対物レンズ60を微少駆動するためのアクチュエータである。
【0052】
なお、本実施形態では、対物レンズ60に略平行光が入射されたときに波面収差が最小となり、そのときの集光位置(以下「収差基準位置」ともいう)は光ディスク15の入射面から0.53mmの位置となるように設定されているものとする(図5参照)。なお、収差基準位置からの距離が大きくなると、ビームエキスパンダ56にて調整しても、一例として図5に示されるように、収差はほぼ線形に増加する。しかしながら、入射面からの距離が0.41mm〜0.65mmでは、収差を一般的に許容されている0.02RMS以下とすることができる。このことは、例えば層間距離が10μmであれば約25の記録層を有する多層ディスクにも対応可能であることを意味している。また、本実施形態では、入射面からの距離が0.41mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は12.3mm、入射面からの距離が0.45mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は11.2mm、入射面からの距離が0.49mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は9.8mm、入射面からの距離が0.53mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は8.5mm、入射面からの距離が0.57mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は6.8mm、入射面からの距離が0.61mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は5.0mm、入射面からの距離が0.65mmのところの収差を調整するときのレンズ間隔は2.6mm、である。
【0053】
そして、本実施形態では、光ディスク15の入射面から0.49mmの位置に記録層L0があり、入射面から0.53mmの位置に記録層L1があり、入射面から0.57mmの位置に記録層L2があるものとする。
【0054】
図1に戻り、前記再生信号処理回路28は、I/Vアンプ28a、サーボ信号検出回路28b、ウォブル信号検出回路28c、RF信号検出回路28d、デコーダ28e及びβ検出回路28fなどから構成されている。
【0055】
前記I/Vアンプ28aは、受光器PDの出力信号を電圧信号に変換するとともに、所定のゲインで増幅する。
【0056】
前記サーボ信号検出回路28bは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてフォーカスエラー信号及びトラックエラー信号などのサーボ信号を検出する。ここで検出されたサーボ信号は前記サーボ制御回路27に出力される。
【0057】
前記ウォブル信号検出回路28cは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてウォブル信号を検出する。ここで検出されたウォブル信号はデコーダ28eに出力される。
【0058】
前記RF信号検出回路28dは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてRF信号を検出する。ここで検出されたRF信号は、デコーダ28e及びβ検出回路28fに出力される。
【0059】
前記デコーダ28eは前記ウォブル信号からアドレス情報、同期信号、光ディスクのベンダー情報、ストラテジ情報などを抽出する。ここで抽出されたアドレス情報、ベンダー情報及びストラテジ情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。また、デコーダ28eは前記RF信号に対して復号処理及び誤り検出処理などを行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとして前記バッファマネージャ37を介して前記バッファRAM34に格納する。
【0060】
前記β検出回路28fは、前記RF信号のピークレベルとボトムレベルとに基づいて、いわゆるβ値を取得する。また、β検出回路28fは、RF信号の振幅を求め、CPU40に通知する。
【0061】
前記サーボ制御回路27は、ACTコントローラ27a、ACTドライバ27c、SAコントローラ27d、及びSAドライバ27eなどを有している。
【0062】
前記ACTコントローラ27aは、前記フォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成するとともに、前記トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成する。ここで生成されたフォーカス制御信号及びトラッキング制御信号は、それぞれ前記ACTドライバ27cに出力される。
【0063】
前記ACTドライバ27cは、前記フォーカス制御信号に応じてフォーカシングアクチュエータの駆動信号(駆動電流)を光ピックアップ装置23に出力し、前記トラッキング制御信号に応じてトラッキングアクチュエータの駆動信号(駆動電流)を光ピックアップ装置23に出力する。これにより、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。
【0064】
前記SAコントローラ27dは、CPU40からのレイヤパラメータ信号に基づいて、前記ビームエキスパンダ56を構成する両レンズの間隔を制御するためのレンズ間隔制御信号を生成する。ここで生成されたレンズ間隔制御信号は前記SAドライバ27eに出力される。
【0065】
前記SAドライバ27eは、前記レンズ間隔制御信号に応じた駆動信号(電流信号又は電圧信号)を、前記ビームエキスパンダ56を構成するレンズ駆動装置の駆動信号として光ピックアップ装置23に出力する。
【0066】
前記モータ制御回路26は、CPU40の指示に基づいて、スピンドルモータ22及びシークモータ21をそれぞれ駆動制御する。
【0067】
前記バッファRAM34には、光ディスク15に記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスク15から再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納される。このバッファRAM34へのデータの入出力は、前記バッファマネージャ37によって管理されている。
【0068】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、データの変調及びエラー訂正コードの付加等を行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成する。ここで生成された書き込み信号はレーザ制御回路24に出力される。
【0069】
前記レーザ制御回路24は、光源LDから出射されるレーザ光のパワーを制御する。例えば記録の際には、前記書き込み信号、記録条件、及び光源LDの発光特性などに基づいて光源LDの駆動信号がレーザ制御回路24にて生成される。なお、光源LDから出射されるレーザ光の一部はモニタ用の受光素子(不図示)で受光され、その受光量に応じた光電変換信号(以下では「モニタ信号」ともいう)がレーザ制御回路24に入力されるようになっている。そして、レーザ制御回路24は、上記モニタ信号に基づいて光源LDの駆動信号を補正する。
【0070】
前記インターフェース38は、ホスト(例えば、パソコン)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)、USB(Universal Serial Bus)及びSCSI(Small Computer System Interface)などの標準インターフェースに準拠している。
【0071】
前記フラッシュメモリ39には、CPU40にて解読可能なコードで記述された本発明に係るプログラムを含む各種プログラム、レイヤパラメータ情報、記録条件及び光源LDの発光特性などが格納されている。
【0072】
前記CPU40は、フラッシュメモリ39に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをRAM41に保存する。
【0073】
なお、選択記録層がL0、L1、L2のいずれであるかは、指定されたアドレスに基づいてCPU40によって判別される。従って、CPU40は、ホストから記録要求又は再生要求があると、対象記録層に関する情報を前記SAコントローラ27d及び前記ACTコントローラ27aなどに通知する。
【0074】
《記録処理》
次に、上記のようにして構成された光ディスク装置20にホストから記録要求があったときの、光ディスク装置20の動作について図6を用いて説明する。図6のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。ホストから記録要求コマンドを受信すると、フラッシュメモリ39に格納されている図6のフローチャートに対応するプログラム(以下、「記録処理プログラム」という)の先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
【0075】
最初のステップ401では、所定の線速度(又は角速度)で光ディスク15が回転するようにモータ制御回路26に指示するとともに、ホストから記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
【0076】
次のステップ403では、記録要求コマンドから指定アドレスを抽出し、その指定アドレスから、対象記録層が記録層L0、L1、L2のいずれであるかを特定する。
【0077】
次のステップ405では、フォーカスジャンプが必要であるか否かを判断する。フォーカスジャンプが必要であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ407に移行する。
【0078】
このステップ407では、対象記録層に応じてレイヤパラメータを設定するレイヤパラメータ設定処理を行う。なお、このレイヤパラメータ設定処理の詳細については後述する。
【0079】
このステップ409では、対象記録層に形成されている物理ピットを再生する。
【0080】
次のステップ413では、再生エラーか否かを判断する。再生エラーであれば、ここでの判断は肯定され、ステップ415に移行する。ここでは、一例として、RF信号の信号レベルが予め設定されているレベル以下であれば、再生エラーと判断される。
【0081】
このステップ415では、記録不可をホストに通知する。
【0082】
次のステップ417では、対象記録層が欠陥記録層であることを、対象記録層の管理情報領域に記録する。そして、記録処理を終了する。
【0083】
一方、上記ステップ413において、再生エラーでなければ、ここでの判断は否定され、ステップ419に移行する。
【0084】
このステップ419では、ユーザデータ記録処理を行う。なお、このユーザデータ記録処理の詳細については後述する。そして、記録処理を終了する。
【0085】
また、上記ステップ405において、フォーカスジャンプが必要でなければ、ここでの判断は否定され、前記ステップ409に移行する。
【0086】
《レイヤパラメータ設定処理》
次に、上記レイヤパラメータ設定処理について図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
【0087】
最初のステップ501では、対象記録層へのフォーカスジャンプを指示する。
【0088】
次のステップ503では、対象記録層に対するレイヤパラメータがフラッシュメモリ39に格納されているか否かを判断する。対象記録層に対するレイヤパラメータがフラッシュメモリ39に格納されていなければ、ここでの判断は否定され、ステップ505に移行する。
【0089】
このステップ505では、デフォルトのレイヤパラメータを設定する。そして、設定されたレイヤパラメータに対応するレイヤパラメータ信号をSAコントローラに出力する。これにより、ビームエキスパンダ56におけるレンズ間隔は、レイヤパラメータに応じた間隔となる。
【0090】
次のステップ507では、対象記録層の物理ピット位置へのシークを指示する。
【0091】
次のステップ509では、物理ピットを再生する。
【0092】
次のステップ511では、β検出回路28fを介してRF振幅を取得する。
【0093】
次のステップ513では、RF信号の振幅がほぼ最大値であるか否かを判断する。RF信号の振幅がほぼ最大値でなければ、ここでの判断は否定され、ステップ515に移行する。
【0094】
このステップ515では、レイヤパラメータに予め設定されている増分Δpを加算し、新たにレイヤパラメータに設定する。そして、設定されたレイヤパラメータに対応するレイヤパラメータ信号をSAコントローラに出力する。これにより、ビームエキスパンダ56におけるレンズ間隔が若干変化する。そして、上記ステップ509に戻る。
【0095】
そして、上記ステップ513において、RF信号の振幅がほぼ最大値であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ517に移行する。
【0096】
このステップ517では、現在設定されているレイヤパラメータを、対象記録層に対するレイヤパラメータとしてフラッシュメモリ39に格納する。そして、レイヤパラメータ設定処理を終了する。
【0097】
一方、上記ステップ503において、対象記録層に対応するレイヤパラメータがフラッシュメモリ39に格納されていれば、ここでの判断は肯定され、ステップ519に移行する。
【0098】
このステップ519では、対象記録層に対するレイヤパラメータを設定する。そして、設定されたレイヤパラメータに対応するレイヤパラメータ信号をSAコントローラに出力する。そして、レイヤパラメータ設定処理を終了する。
【0099】
すなわち、このレイヤパラメータ設定処理によって、収差補正が行われる。具体的には、対象記録層が、L0であればレンズ間隔は9.8mm、L1であればレンズ間隔は8.5mm、L2であればレンズ間隔は6.8mm、にセットされる。
【0100】
《ユーザデータ記録処理》
次に、上記ユーザデータ記録処理について図8のフローチャートを用いて説明する。図8のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
【0101】
なお、ここでは、一例として図9に示されるように、各記録層のユーザデータ領域にそれぞれ交替領域が予め設定されていることとする。
【0102】
最初のステップ601では、指定された領域にユーザデータを記録する。
【0103】
次のステップ603では、ユーザデータが記録された領域を再生する。
【0104】
次のステップ605では、再生エラーか否かを判断する。再生エラーであれば、ここでの判断は肯定され、ステップ611に移行する。ここでは、一例として、RF信号の信号レベルが予め設定されているレベル以下であれば、再生エラーと判断される。
【0105】
このステップ611では、交替可能であるか否かを判断する。対象記録層における交替領域に未記録領域があれば、ここでの判断は肯定され、ステップ613に移行する。
【0106】
次のステップ613では、ユーザデータを交替領域に記録する。
【0107】
このステップ617では、ユーザデータが記録された領域が欠陥領域であること、及びその交替領域を対象記録層の管理情報領域に記録する。
【0108】
次のステップ651では、ユーザデータの記録が完了したか否かを判断する。完了していなければ、ここでの判断は否定され、前記ステップ601に戻る。
【0109】
一方、ステップ651において、ユーザデータの記録が完了していればここでの判断は肯定され、ユーザデータ記録処理を終了する。
【0110】
なお、上記ステップ611において、対象記録層における交替領域に未記録領域がなければ、ここでの判断は否定され、ステップ661に移行する。
【0111】
このステップ661では、ホストに記録不可を通知する。
【0112】
次のステップ663では、対象記録層への書き込みを禁止することを対象記録層の管理情報領域に記録する。そして、ユーザデータ記録処理を終了する。
【0113】
また、上記ステップ605において、再生エラーでなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップ651に移行する。
【0114】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置20では、CPU40及び該CPU40にて実行されるプログラムとによって制御装置及び処理装置が実現されている。なお、CPU40によるプログラムに従う処理によって実現した制御装置及び設定装置の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
【0115】
また、本実施形態では、記録媒体としてのフラッシュメモリ39に記録されているプログラムのうち、図6〜図8に対応するプログラムによって、本発明に係るプログラムが実行されている。
【0116】
そして、上記記録処理にて、本発明に係る記録方法が実施されている。
【0117】
以上説明したように、本実施形態に係る光ディスク装置20によると、光ディスク15にユーザデータを記録する際に、対象記録層に形成されている物理ピットが再生され、正しく再生されたか否かが判断される。そして、その判断の結果、物理ピットが正しく再生された場合に、ユーザデータが対象記録層に記録される。すなわち、対象記録層が欠陥記録層でないことを確認してからユーザデータを記録している。従って、光ディスク15に安定した記録品質で記録を行うことができる。
【0118】
また、本実施形態によると、対象記録層に応じて光ピックアップ装置23における光学系の収差を補正しているため、対象記録層に適切な光スポットを形成することができる。
【0119】
また、本実施形態によると、対象記録層に記録されたユーザデータを再生し、ユーザデータが正しく再生されなかった場合に、ユーザデータが記録された領域が欠陥領域であることを対象記録層の管理情報領域に記録しているため、それ以降、その領域にユーザデータが記録されるのを防止することができる。
【0120】
また、本実施形態によると、物理ピットが正しく再生されなかった場合に、対象記録層が欠陥記録層であることを対象記録層の管理情報領域に記録しているため、それ以降、その記録層にユーザデータが記録されるのを防止することができる。
【0121】
また、本実施形態に係る光ディスク15によると、各記録層に物理ピットが形成されているため、光ディスク15がセットされた情報記録装置は、物理ピットを再生し、その再生状況によって各記録層の状態を判断することができる。従って、安定した記録品質での記録が可能となる。
【0122】
なお、上記実施形態では、各記録層にそれぞれ交替領域が設けられている場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0123】
《ユーザデータ記録処理の変形例1》
ユーザデータ記録処理の変形例1について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、上記実施形態におけるユーザデータ記録処理との相違点を中心に説明するとともに、前述した上記実施形態におけるユーザデータ記録処理と同一若しくは同等の処理を行うステップについては同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0124】
最初のステップ601では、指定された領域にユーザデータを記録する。
【0125】
次のステップ603では、ユーザデータが記録された領域を再生する。
【0126】
次のステップ605では、再生エラーであるか否かを判断する。再生エラーであれば、ここでの判断は肯定され、ステップ607に移行する。
【0127】
このステップ606では、交替記録層が既に指定されているか否かを判断する。指定されていなければ、ここでの判断は否定され、ステップ607に移行する。
【0128】
このステップ607では、光ディスク15における対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定する(図11参照)。ここでは、交替用の記録層となり得る記録層のうち、対象記録層に最も近い記録層が指定される。
【0129】
次のステップ608では、指定された記録層が交替用の記録層であることを、一例として、光ディスク15がセットされたときに最初にアクセスされる記録層の管理情報領域に記録する。
【0130】
次のステップ609では、交替用の記録層にフォーカスジャンプする。
【0131】
次のステップ611では、交替可能であるか否かを判断する。交替用の記録層に未記録領域がなければ、ここでの判断は否定され、ステップ621に移行する。
【0132】
このステップ621では、光ディスク15に未記録領域があるか否かを判断する。未記録領域があれば、ここでの判断は肯定され、ステップ623に移行する。
【0133】
このステップ623では、新たに交替用の記録層を指定する。
【0134】
次のステップ625では、指定された記録層が交替用の記録層であることを、一例として、光ディスク15がセットされたときに最初にアクセスされる記録層の管理情報領域に記録する。
【0135】
次のステップ627では、新たな交替用の記録層にフォーカスジャンプする。
【0136】
次のステップ613では、ユーザデータを交替領域に記録する。
【0137】
次のステップ617では、対象記録層にフォーカスジャンプし、ユーザデータが記録された領域が欠陥領域であること、及びその交替領域を対象記録層の管理情報領域に記録する。
【0138】
次のステップ651では、ユーザデータの記録が完了したか否かを判断する。完了していなければここでの判断は否定され、前記ステップ601に戻る。
【0139】
一方、ステップ651において、ユーザデータの記録が完了していればここでの判断は肯定され、ユーザデータ記録処理の変形例1を終了する。
【0140】
なお、上記ステップ621において、光ディスク15に未記録領域がなければ、ここでの判断は否定され、ステップ661に移行する。
【0141】
このステップ661では、ホストに記録不可を通知する。
【0142】
次のステップ665では、光ディスク15への書き込みを禁止することを、一例として、光ディスク15がセットされたときに最初にアクセスされる記録層の管理情報領域に記録する。そして、ユーザデータ記録処理の変形例1を終了する。
【0143】
また、上記ステップ611において、交替用の記録層に未記録領域があれば、ここでの判断は肯定され、上記ステップ613に移行する。
【0144】
また、上記ステップ606において、交替記録層が既に指定されていれば、ここでの判断は肯定され、上記ステップ609に移行する。
【0145】
また、上記ステップ605において、再生エラーでなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップ651に移行する。
【0146】
以上説明したように、ユーザデータ記録処理の変形例1では、ユーザデータが正しく再生されなかった場合に、光ディスク15における対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定し、指定された記録層が交替用の記録層であることを光ディスクに記録している。これにより、交替処理を円滑に行うことが可能となる。また、交替用の記録層を指定する際に、交替用の記録層となり得る記録層のうち、対象記録層に最も近い記録層を指定しているため、更に交替処理を迅速に行うことが可能となる。
【0147】
また、交替用の記録層に未記録領域がなくなると、交替用の記録層を新たに指定し、その新たに指定された記録層が交替用の記録層であることを光ディスクに記録している。これにより、ユーザデータを効率良く記録することが可能となる。
【0148】
《ユーザデータ記録処理の変形例2》
ユーザデータ記録処理の変形例2について、図12のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、上記実施形態におけるユーザデータ記録処理との相違点を中心に説明するとともに、前述した上記実施形態におけるユーザデータ記録処理と同一若しくは同等の処理を行うステップについては同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0149】
最初のステップ601では、指定された領域にユーザデータを記録する。
【0150】
次のステップ603では、ユーザデータが記録された領域を再生する。
【0151】
次のステップ605では、再生エラーであるか否かを判断する。再生エラーであれば、ここでの判断は肯定され、ステップ631に移行する。
【0152】
このステップ631では、対象記録層の上側に記録層があるか否かを判断する。上側に記録層があれば、ここでの判断は肯定され、ステップ633に移行する。
【0153】
このステップ633では、対象記録層の直上の記録層にフォーカスジャンプする。
【0154】
次のステップ635では、そこが未記録であるか否かを判断する。未記録であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ613に移行する。
【0155】
次のステップ613では、ユーザデータを交替領域に記録する。ここでは、記録後は、一例として図13(A)に示されるようになる。
【0156】
次のステップ617では、対象記録層にフォーカスジャンプし、ユーザデータが記録された領域が欠陥領域であること、及びその交替領域を対象記録層の管理情報領域に記録する。
【0157】
次のステップ651では、ユーザデータの記録が完了したか否かを判断する。完了していなければここでの判断は否定され、前記ステップ601に戻る。
【0158】
一方ステップ651において、ユーザデータの記録が完了していればここでの判断は肯定され、ユーザデータ記録処理の変形例2を終了する。
【0159】
なお、ステップ635において、未記録でなければ、ここでの判断は否定され、ステップ637に移行する。
【0160】
このステップ637では、対象記録層の下側に記録層があるか否かを判断する。下側に記録層があれば、ここでの判断は肯定され、ステップ639に移行する。
【0161】
このステップ639では、対象記録層の直下の記録層にフォーカスジャンプする。
【0162】
次のステップ641では、そこが未記録であるか否かを判断する。未記録であれば、ここでの判断は肯定され、前記ステップ613に移行する。なお、この場合には、記録後は、一例として図13(B)に示されるようになる。
【0163】
一方、このステップ641において、未記録でなければ、ここでの判断は否定され、ステップ643に移行する。
【0164】
このステップ643では、欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を探す。
【0165】
次のステップ645では、未記録領域があるか否かを判断する。未記録領域が見つかっていれば、ここでの判断は肯定され、ステップ647に移行する。
【0166】
このステップ647では、その未記録領域が属する記録層にフォーカスジャンプする。そして、前記ステップ613に移行する。なお、この場合には、記録後は、一例として図13(C)に示されるようになる。
【0167】
なお、上記ステップ645において、未記録領域がなければ、ここでの判断は否定され、ステップ661に移行する。
【0168】
このステップ661では、ホストに記録不可を通知する。
【0169】
次のステップ665では、光ディスク15への書き込みを禁止することを光ディスク15に記録する。そして、ユーザデータ記録処理の変形例2を終了する。
【0170】
また、上記ステップ637において、対象記録層の下側に記録層がなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップ643に移行する。
【0171】
また、上記ステップ631において、対象記録層の上側に記録層がなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップ637に移行する。
【0172】
また、上記ステップ605において、再生エラーでなければ、ここでの判断は否定され、上記ステップ651に移行する。
【0173】
以上説明したように、ユーザデータ記録処理の変形例2では、ユーザデータが正しく再生されなかった場合に、光ディスクにおける欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域としているため、フォーカスジャンプの際にレイヤパラメータを変更しなくても、収差を許容範囲内とすることができる(図14参照)。すなわち、レンズ駆動装置56cを駆動する必要がないため、交替処理を迅速に行うことができる。
【0174】
一例として図15に示されるように、光ディスク装置20に25の記録層を有する光ディスクがセットされたときに、連続する5つの記録層では、レイヤパラメータを変更しなくても、収差を許容範囲内とすることが可能である。
【0175】
《ユーザデータ記録処理の変形例3》
また、ユーザデータを交替領域に記録する必要がない場合には、図16のフローチャートに示されるように、ステップ605において、正しく再生できていなければ、ステップ661に移行しても良い。
【0176】
なお、上記実施形態では、物理ピットがディスクの内周部及び外周部の2ヶ所に形成されている場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、例えば内周部のみに形成されていても良い。
【0177】
また、上記実施形態では、管理情報領域がディスクの内周部及び外周部の2ヶ所に設けられている場合について説明したが、例えば内周部のみに設けられていても良い。
【0178】
また、上記実施形態のレイヤパラメータ設定処理において、前記ステップ511ではRF振幅を取得する場合について説明したが、これに限らず、例えばジッタを求めても良い。この場合には、前記ステップ513では、ジッタがほぼ最小値であるか否かを判断し、ジッタがほぼ最小値でなければ、ステップ515に移行することとなる。
【0179】
また、上記実施形態では、RF信号の信号レベルに基づいて再生エラーであるか否かを判断しているが、これに限らず、例えば、ジッタやブロックエラーレートを用いても良い。すなわち、ジッタが予め設定されている値以上であれば再生エラーと判断しても良い。また、ブロックエラーレートが予め設定されている値以上であれば再生エラーと判断しても良い。さらに、正しいアドレスを取得できないときに再生エラーと判断しても良い。
【0180】
また、上記実施形態では、光ディスクが、波長が約780nmのレーザ光に対応している場合について説明したが、これに限らず、例えば、波長が約660nmのレーザ光に対応する光ディスク、及び波長が約405nmのレーザ光に対応する光ディスクであっても良い。
【0181】
また、上記実施形態では、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち、少なくとも情報の記録が可能な光ディスク装置であれば良い。
【0182】
また、上記実施形態では、光ディスクが3つの記録層を有する場合について説明したが、これに限らず、4つ以上の記録層を有していてもよい。
【0183】
また、上記実施形態では、光ピックアップ装置が1つの半導体レーザを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば互いに異なる波長の光束を発光する複数の半導体レーザを備えていても良い。この場合に、例えば波長が約405nmの光束を発光する半導体レーザ、波長が約660nmの光束を発光する半導体レーザ及び波長が約780nmの光束を発光する半導体レーザの少なくとも1つを含んでいても良い。すなわち、光ディスク装置が互いに異なる規格に準拠した複数種類の光ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。この場合に、少なくとも1つの光ディスクが3つ以上の記録層を有する光ディスクであっても良い。
【0184】
また、上記実施形態では、情報記録装置が光ディスク装置の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、光ディスクがDVDの規格に対応するときには、DVDレコーダであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0185】
以上説明したように、本発明の光ディスクによれば、3層以上の記録層を有し、安定した記録品質で記録をするのに適している。また、本発明の記録方法によれば、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うのに適している。また、本発明の情報記録装置によれば、本発明の光ディスクに安定した記録品質で記録を行うのに適している。また、本発明のプログラム及び記憶媒体によれば、情報記録装置に、本発明の光ディスクへの安定した記録品質の記録をさせるのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報記録装置としての光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における光ディスクを説明するための図である。
【図3】図2における管理情報領域を説明するための図である。
【図4】図1における光ピックアップ装置を説明するための図である。
【図5】図4におけるビームエキスパンダを説明するための図である。
【図6】図1の光ディスク装置における記録処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図6におけるレイヤパラメータ設定処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図8】図6におけるユーザデータ記録処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8を説明するための図である。
【図10】図8のユーザデータ記録処理の変形例1を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10を説明するための図である。
【図12】図8のユーザデータ記録処理の変形例2を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13(A)〜図13(C)は、それぞれ図12を説明するための図である。
【図14】図1における光ディスクの収差を説明するための図である。
【図15】25の記録層を有する光ディスクにおける収差を説明するための図である。
【図16】図8のユーザデータ記録処理の変形例3を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0187】
15…光ディスク、20…光ディスク装置(情報記録装置)、23…光ピックアップ装置、39…フラッシュメモリ(記録媒体)、40…CPU(制御装置、処理装置)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録が可能な3つ以上の記録層を有し、該記録層のそれぞれにスパイラル状又は同心円状のトラックが形成され、各記録層に予め設定されたパターン及びコンテンツ情報の少なくとも一方が物理ピットとして形成されている光ディスク。
【請求項2】
前記物理ピットは、各記録層の内周部及び外周部の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。
【請求項3】
前記3つ以上の記録層のうちの1つの記録層は、交替用の記録層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク。
【請求項4】
前記各記録層に、少なくとも1箇所の交替領域が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の光ディスクに情報記録装置を用いて情報を記録する記録方法であって、
前記光ディスクにおける前記情報が記録される記録層である対象記録層に形成されている物理ピットを再生する工程と;
前記物理ピットが正しく再生されたか否かを判断する工程と;
前記判断の結果、前記物理ピットが正しく再生された場合に、前記情報を前記対象記録層に記録する工程と;を含む記録方法。
【請求項6】
前記対象記録層に記録された情報を再生する工程と;
前記情報が正しく再生されたか否かを判断する工程と;
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の記録方法。
【請求項7】
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とする工程を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の記録方法。
【請求項8】
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定する工程と;
前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の記録方法。
【請求項9】
前記指定する工程では、交替用の記録層となり得る記録層のうち、前記対象記録層に最も近い記録層を指定することを特徴とする請求項8に記載の記録方法。
【請求項10】
前記指定された記録層に未記録領域がなくなると、交替用の記録層を新たに指定する工程と;
前記新たに指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の記録方法。
【請求項11】
前記判断の結果、正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録する工程を、更に含むことを特徴とする請求項5に記載の記録方法。
【請求項12】
前記物理ピットを再生する工程に先立って、対象記録層に応じて前記情報記録装置を構成する光学系の収差を補正する工程を更に含むことを特徴とする請求項5〜11のいずれか一項に記載の記録方法。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の光ディスクに情報の記録が可能な情報記録装置であって、
光ピックアップ装置と;
前記光ディスクにおける前記情報が記録される対象記録層に応じて前記光ピックアップ装置を構成する光学系の収差を補正する制御装置と;
前記対象記録層に形成されている物理ピットを再生し、前記物理ピットが正しく再生されると、前記光ピックアップ装置を介して前記情報を前記対象記録層に記録する処理装置と;を備える情報記録装置。
【請求項14】
前記処理装置は、更に前記対象記録層に記録された情報を再生し、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録することを特徴とする請求項13に記載の情報記録装置。
【請求項15】
前記処理装置は、前記情報が正しく再生されなかった場合に、更に前記光ディスクにおける前記情報が記録された領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とすることを特徴とする請求項14に記載の情報記録装置。
【請求項16】
前記処理装置は、前記情報が正しく再生されなかった場合に、更に前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定するとともに、前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録することを特徴とする請求項14に記載の情報記録装置。
【請求項17】
前記処理装置は、前記指定に際して、交替用の記録層となり得る記録層のうち、前記対象記録層に最も近い記録層を指定することを特徴とする請求項16に記載の情報記録装置。
【請求項18】
前記処理装置は、前記指定された記録層に未記録領域がなくなると、交替用の記録層を新たに指定するとともに、前記新たに指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録することを特徴とする請求項16又は17に記載の情報記録装置。
【請求項19】
前記処理装置は、更に前記物理ピットが正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録することを特徴とする請求項13に記載の情報記録装置。
【請求項20】
請求項1又は2に記載の光ディスクに情報の記録が可能な情報記録装置に用いられるプログラムであって、
前記光ディスクにおける前記情報が記録される記録層である対象記録層に形成されている物理ピットを再生する手順と;
前記物理ピットが正しく再生されたか否かを判断する手順と;
前記判断の結果、前記物理ピットが正しく再生された場合に、前記情報を前記対象記録層に記録する手順と;を前記情報記録装置の制御用コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項21】
前記対象記録層に記録された情報を再生する手順と;
前記情報が正しく再生されたか否かを判断する手順と;
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録する手順と;を前記制御用コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項20に記載のプログラム。
【請求項22】
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とする手順を前記制御用コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項21に記載のプログラム。
【請求項23】
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定する手順と;
前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する手順と;を前記制御用コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項21に記載のプログラム。
【請求項24】
前記判断の結果、正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録する手順を、前記制御用コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項20に記載のプログラム。
【請求項25】
前記物理ピットを再生する手順に先立って、前記対象記録層に応じて前記情報記録装置を構成する光学系の収差を補正する手順を、前記制御用コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項20〜24のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項26】
請求項20〜25のいずれか一項に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
情報記録が可能な3つ以上の記録層を有し、該記録層のそれぞれにスパイラル状又は同心円状のトラックが形成され、各記録層に予め設定されたパターン及びコンテンツ情報の少なくとも一方が物理ピットとして形成されている光ディスク。
【請求項2】
前記物理ピットは、各記録層の内周部及び外周部の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク。
【請求項3】
前記3つ以上の記録層のうちの1つの記録層は、交替用の記録層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク。
【請求項4】
前記各記録層に、少なくとも1箇所の交替領域が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の光ディスクに情報記録装置を用いて情報を記録する記録方法であって、
前記光ディスクにおける前記情報が記録される記録層である対象記録層に形成されている物理ピットを再生する工程と;
前記物理ピットが正しく再生されたか否かを判断する工程と;
前記判断の結果、前記物理ピットが正しく再生された場合に、前記情報を前記対象記録層に記録する工程と;を含む記録方法。
【請求項6】
前記対象記録層に記録された情報を再生する工程と;
前記情報が正しく再生されたか否かを判断する工程と;
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の記録方法。
【請求項7】
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とする工程を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の記録方法。
【請求項8】
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定する工程と;
前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の記録方法。
【請求項9】
前記指定する工程では、交替用の記録層となり得る記録層のうち、前記対象記録層に最も近い記録層を指定することを特徴とする請求項8に記載の記録方法。
【請求項10】
前記指定された記録層に未記録領域がなくなると、交替用の記録層を新たに指定する工程と;
前記新たに指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する工程と;を更に含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の記録方法。
【請求項11】
前記判断の結果、正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録する工程を、更に含むことを特徴とする請求項5に記載の記録方法。
【請求項12】
前記物理ピットを再生する工程に先立って、対象記録層に応じて前記情報記録装置を構成する光学系の収差を補正する工程を更に含むことを特徴とする請求項5〜11のいずれか一項に記載の記録方法。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の光ディスクに情報の記録が可能な情報記録装置であって、
光ピックアップ装置と;
前記光ディスクにおける前記情報が記録される対象記録層に応じて前記光ピックアップ装置を構成する光学系の収差を補正する制御装置と;
前記対象記録層に形成されている物理ピットを再生し、前記物理ピットが正しく再生されると、前記光ピックアップ装置を介して前記情報を前記対象記録層に記録する処理装置と;を備える情報記録装置。
【請求項14】
前記処理装置は、更に前記対象記録層に記録された情報を再生し、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録することを特徴とする請求項13に記載の情報記録装置。
【請求項15】
前記処理装置は、前記情報が正しく再生されなかった場合に、更に前記光ディスクにおける前記情報が記録された領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とすることを特徴とする請求項14に記載の情報記録装置。
【請求項16】
前記処理装置は、前記情報が正しく再生されなかった場合に、更に前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定するとともに、前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録することを特徴とする請求項14に記載の情報記録装置。
【請求項17】
前記処理装置は、前記指定に際して、交替用の記録層となり得る記録層のうち、前記対象記録層に最も近い記録層を指定することを特徴とする請求項16に記載の情報記録装置。
【請求項18】
前記処理装置は、前記指定された記録層に未記録領域がなくなると、交替用の記録層を新たに指定するとともに、前記新たに指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録することを特徴とする請求項16又は17に記載の情報記録装置。
【請求項19】
前記処理装置は、更に前記物理ピットが正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録することを特徴とする請求項13に記載の情報記録装置。
【請求項20】
請求項1又は2に記載の光ディスクに情報の記録が可能な情報記録装置に用いられるプログラムであって、
前記光ディスクにおける前記情報が記録される記録層である対象記録層に形成されている物理ピットを再生する手順と;
前記物理ピットが正しく再生されたか否かを判断する手順と;
前記判断の結果、前記物理ピットが正しく再生された場合に、前記情報を前記対象記録層に記録する手順と;を前記情報記録装置の制御用コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項21】
前記対象記録層に記録された情報を再生する手順と;
前記情報が正しく再生されたか否かを判断する手順と;
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記情報が記録された領域が欠陥領域であることを前記光ディスクに記録する手順と;を前記制御用コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項20に記載のプログラム。
【請求項22】
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記欠陥領域と同じ半径位置にある未記録領域のうち、前記対象記録層に最も近い記録層の未記録領域を交替領域とする手順を前記制御用コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項21に記載のプログラム。
【請求項23】
前記判断の結果、前記情報が正しく再生されなかった場合に、前記光ディスクにおける前記対象記録層を除く記録層のうちの1つの記録層を交替用の記録層に指定する手順と;
前記指定された記録層が交替用の記録層であることを前記光ディスクに記録する手順と;を前記制御用コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項21に記載のプログラム。
【請求項24】
前記判断の結果、正しく再生されなかった場合に、前記対象記録層が欠陥記録層であることを前記光ディスクに記録する手順を、前記制御用コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項20に記載のプログラム。
【請求項25】
前記物理ピットを再生する手順に先立って、前記対象記録層に応じて前記情報記録装置を構成する光学系の収差を補正する手順を、前記制御用コンピュータに更に実行させることを特徴とする請求項20〜24のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項26】
請求項20〜25のいずれか一項に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−244658(P2006−244658A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61890(P2005−61890)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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