説明

光ディスクドライブにおけるパワー較正

【課題】較正領域を効率的に利用する最適パワー較正手順を有することが有利である。
【解決手段】光記録担体に対し、較正領域の第1の組において、第1の記録速度で、パワー較正手順の第1の組を実行する工程と、その光記録担体に対し、上記の第1の記録速度とは異なる記録速度で、パワー較正手順のさらなる組を実行する工程とを含み、上記のパワー較正手順のさらなる組が、上記の較正領域の第1の組からの情報を部分的に利用するものであるような方法が開示される。この技術は、同一の光記録担体上において、2つ以上の速度で記録を行うことが必要とされる場合に有用である。この技術は、全体のパワー較正時間を短縮し、光記録担体上で行うことのできるパワー較正の回数を増大させる。この技術は、データ、オーディオおよびビデオレコーダに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、光ディスクドライブにおけるパワー較正に関し、より詳細には、マルチスピード記録をサポートしている光ディスクドライブにおけるパワー較正に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開20020089910号は、光ディスクに対して実行することのできる、最適パワー較正手順を開示している。最適パワー較正手順が複数の記録速度において実行されなくてはならない場合には、この最適パワー較正手順が、各記録速度に対して繰り返されなくてはならない。このことは、光ディスク上にかなりの量の較正領域(キャリブレーションエリア)を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
較正領域を効率的に利用する最適パワー較正手順を有することが有利である。また、較正領域を効率的に利用する最適パワー較正手順を実行する、光ドライブを有することも有利である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
光記録担体に対し、較正領域の第1の組において、第1の記録速度で、パワー較正手順の第1の組を実行する工程と、その光記録担体に対し、上記の第1の記録速度とは異なる記録速度で、パワー較正手順のさらなる組を実行する工程とを含み、上記のパワー較正手順のさらなる組が、上記の較正領域の第1の組からの情報を部分的に利用するものであるような方法が開示される。
【0005】
また、光記録担体に対し、較正領域の第1の組において、第1の記録速度で、パワー較正手順の第1の組を実行する手段と、その光記録担体に対し、上記の第1の記録速度とは異なる記録速度で、パワー較正手順のさらなる組を実行する手段とを含み、上記のパワー較正手順のさらなる組が、上記の較正領域の第1の組からの情報を部分的に利用するものであるような光ドライブが開示される。
【0006】
さらに、上記の方法は、コンピュータプログラムによっても実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】例示的な光ドライブを示した概略図
【図2】単一速度における例示的なパワー較正手順の詳細を示した模式図
【図3】マルチスピードにおける例示的なパワー較正手順の概略ブロック図
【図4】本発明の対象の1つの実施形態に係る、マルチスピードにおけるパワー較正手順の概略ブロック図
【図5−I】本発明の対象の1つの実施形態に係る、マルチスピードにおけるパワー較正手順の詳細フローチャート
【図5−II】本発明の対象の1つの実施形態に係る、マルチスピードにおけるパワー較正手順の詳細フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の上記およびその他の側面、特徴および利点は、図面を参照しながら、単なる例としての以下の記述により、さらに説明される。図中において、同一の参照番号は、同一または類似の部分を示している。
【0009】
図1を参照すると、光記録担体10(図1参照)は、スピンドルモータ52により、角速度一定(CAV)または線速度一定(CLV)で制御される。光ピックアップユニット54は、レーザーダイオードから発せられた(ある記録パワー値の)レーザー光を用いて、光記録担体10上にデータを記録する。データが記録される際には、エンコーダユニット58にデータが供給され、そのエンコーダユニット58により符号化されたデータは、レーザーダイオード駆動ユニット56に供給される。レーザーダイオード駆動ユニット56は、符号化されたデータに基づいて駆動信号を生成し、光ピックアップユニット54のレーザーダイオードにその駆動信号を供給する。加えて、制御ユニット59からの制御信号が、レーザーダイオード駆動ユニット56に供給され、その制御信号により、記録ストラテジおよび記録パワーが決定される。しかしながら、光記録担体10からデータが読み出される際には、光ピックアップユニット54のレーザーダイオードは、ある読出パワー(読出パワー<記録パワー)のレーザー光を発し、反射された光が受光される。受光された反射光は電気信号に変換され、読出RF信号が得られる。この読出RF信号は、RF信号処理ユニット50に供給される。
【0010】
RF信号処理ユニット50は、イコライザ−と、二値化ユニットと、位相ロックループ(PLL)ユニットとを含み、読出RF信号を二値化し、同期クロックを生成し、それらの信号をデコーダユニット57に供給する。デコーダユニット57は、これらの供給された信号に基づいてデータを復号し、復号されたデータを読出データとして出力する。
【0011】
装置500はまた、トラッキング誤差信号および/または焦点誤差信号のそれぞれと、光記録担体10上に形成されたウォブル信号(たとえば、アドレスの復調または回転数の制御のために用いられる)とを発生させることにより、焦点サーボおよび/またはトラッキングサーボを制御するための(データ読出用の)回路を含んでいる。サーボ制御機構は、従来の駆動システムにおける機構と同一であるので、ここでは詳細に説明しない。
【0012】
図1に示した構造は、光ドライブ500の一般的な動作に関連する部分のみを図解したものである。光ピックアップユニットを制御するためのサーボ回路、スピンドルモータ、スライドモータ、および制御回路は、従来のドライブシステムと同様の方法で構築されているので、それらに関する記載および詳細説明は、ここでは省略する。
【0013】
ある特定の速度における光記録担体上への記録に用いられるレーザーパワーおよび書込ストラテジを決定することは、記録の品質を決定するにあたり重要である。最適パワー制御(OPC;optimum power control)と呼ばれるプロセスによって、光ドライブ/光記録担体の各組合せにつき、ある記録速度における書込みのためのレーザーパワーが決定される。OPC手順は、一般的に、光記録担体上の予め規定された領域内で実行される。このことは、光記録担体上における相当量のスペースと、相当量のシステム時間とを必要とする。一般的に、特定の光記録担体上において実行することのできる較正手順の回数は、上記の予め規定された領域に割り当てられたサイズ、および記録が行われる速度の数によって制限される。いったん較正領域を使い切ると、たとえデータ記録領域内にまだスペースがあっても、さらなる記録を行うことはできない。
【0014】
一般的に、光記録担体(たとえば色素媒体)上には、パワー較正の目的のために規定された2つのテスト領域、すなわち内側テスト領域と外側テスト領域とが存在する。内側テスト領域は光記録担体の半径22.616mmの位置から開始し、外側テスト領域は58.139mmの位置から開始する。通常、光ドライブは、内側テスト領域をパワー較正の実行のために使用し、外側テスト領域は、マルチセッションや編集といった特別な場合において使用される。内側および外側テスト領域は、1024個のECCブロック分の長さを有し、これは、4096個(1024×4)のアドレス・イン・プリグルーブ(ADIP)フレームに等しい。いったんテスト領域が一杯になると、その光記録担体をさらに使用することはできなくなる。
【0015】
次に図2を参照すると、単一速度におけるOPC手順は、以下のステップを包含する。
i)最適パワー値を見出すために14個のADIPフレームにおいて行われる、A、B、Cにより示された初期OPC手順。OPC手順の完全なプロセスは、2回の回転を必要とする。第1の回転は、部分Aとして示されている完全な回転であり、第2の回転は、2つの部分、具体的には部分Cおよび部分Bに分かれている。光記録担体の内側の半径は、各回転につき7個のADIPフレームからなるので、部分Aは、7個のADIPフレームを必要とする。第2の回転中において、部分Bは4個のADIPフレームを必要とし、部分Cは3個のADIPフレームを必要とする。
ii)見出された最適パワー値を用いた、21個のADIPフレームに対する初期テスト記録手順。この初期テスト記録の目的は、必要な傾きおよび焦点オフセットの較正を行うための、記録済領域を提供することである。
iii)見出された傾きおよび焦点オフセット値を用いて、14個のADIPフレームにおいて実行される最終OPC手順。やはりA、B、Cにより示されている。
iv)フォワードセンス較正(forward sense calibration)のために用いられる、上記で見出された最適パワー値、傾きオフセット値および焦点オフセット値を用いた、22個のADIPフレームに対するテスト記録手順。
【0016】
1つの所与の速度でOPC手順を1回実行するには、約71個のADIPフレーム(14+21+14+22)が必要であることが、図2から見て取れる。
【0017】
図3は、マルチスピードで記録を行うように設計された、オーディオ、ビデオおよびデータレコーダ示している。上記で列挙したOPC手順の各ステップ(図2参照)は、通常、各々すべての速度に対して繰返し行われる。各速度においてOPC手順を実行するのに必要とされる4つのステップは、
ステップ1:14個のADIPフレームを必要とする初期OPC手順、
ステップ2:22個のADIPフレームを必要とする傾きおよび焦点オフセットの較正、
ステップ3:14個のADIPフレームを必要とする最終較正、および
ステップ4:22個のADIPフレームを必要とするフォワードセンス較正
である。上記の4つのステップすべてが、異なる速度(たとえば8.0x、4.0xおよび2.4x)において繰返し実行されなくてはならない。各速度におけるパワー較正は、約71個のADIPフレームを必要とする。そのため、3つの異なる記録速度(たとえば8.0x、4.0xおよび2.4x)をサポートしている光ドライブでは、必要とされる合計のパワー較正スペースは、約213個のADIPフレーム分となる(71個のADIPフレーム×3)。したがって、較正領域の使用量は、記録速度の数が増えるに従って増大する。いったん較正領域を使い切ると、たとえデータ記録領域内にまだ利用可能なスペースがあっても、さらなる記録を行うことはできない。
【0018】
光記録担体に対し、較正領域の第1の組において、第1の記録速度で、パワー較正手順の第1の組を実行する工程と、その光記録担体に対し、上記の第1の記録速度とは異なる記録速度で、パワー較正手順のさらなる組を実行する工程とを含み、上記のパワー較正手順のさらなる組が、上記の較正領域の第1の組からの情報を部分的に利用するものであるような方法が開示される。
【0019】
上記の開示方法は、較正領域の第1の組からの情報を利用し、かつ第1の記録速度由来の較正領域を後続の記録速度に再利用することにより、較正領域を効率的に利用する。この開示方法の利点は、
i)多様な記録速度において必要とされる全体のパワー較正時間の低減(結果として、記録準備完了までの時間を改善する)、
ii)パワー較正領域の効率的な利用の増大(これにより、光記録担体上において実行可能なパワー較正の回数を増やすことができる)、および
iii)必要な較正のみの実行
である。
【0020】
1つの実施形態では、パワー較正手順のさらなる組は、較正領域の第1の組(セット)のサブセットを利用して得られる。たとえば、記録速度が16xであり、かつ16xにおいてOPC手順が実行され、さらに8xに回転速度を落とす必要性が生じた場合には、ここで開示する方法によれば、完全なOPC手順を繰り返す必要はない。16xでのOPC手順の実行中に得られた、較正領域内にある利用可能な情報の一部を、8x、4xおよび2.4xといったより低い速度における傾きおよび焦点オフセット較正を実行するために、再利用することができる。したがって、最適パワーを見出すのに必要な時間および較正領域を、減らすことができる。
【0021】
1つのさらなる実施形態では、較正領域の第1の組は、
− 最適パワー較正のための領域、
− 傾きおよび焦点オフセット較正のための領域、および
− フォワードセンス較正のための領域
を含むものとされる。この実施形態は、第1の記録速度由来の較正情報を、後続の記録速度に利用することができるため、有利である。
【0022】
さらに別の実施形態では、パワー較正領域の第1の組のサブセットは、
− 傾きおよび焦点オフセット較正のための領域、および
− フォワードセンス較正のための領域
のうちの少なくとも1つを含むものとされる。この実施形態は、任意の選択された記録速度に対して、それぞれの傾きおよび焦点オフセット値が得られるため、有利である。
【0023】
さらに別の実施形態では、パワー較正手順のさらなる組は、フォワードセンス較正のためにより早い段階で記録された領域を利用して、さらなる最適パワー較正およびさらなるフォワードセンス較正を実行する処理を含む。この形態は、以下の利点を有する。
i)光記録担体上の利用可能なパワー較正領域の効率的な利用。
ii)光記録担体上で実現することのできるパワー較正の回数の増大。
iii)多様な記録速度において必要とされる全体のパワー較正時間の低減(結果として、記録準備完了までの時間を改善する)。
【0024】
さらに別の実施形態では、光記録担体に対し、第1の記録速度で、パワー較正手順の第1の組を実行する処理は、
1.初期最適パワー制御手順を実行し、初期最適パワー値を見出すステップと、
2.上記で見出された初期最適パワー値を用いて、傾きおよび焦点オフセット較正を実行し、傾きオフセット値と焦点オフセット値とを見出すステップと、
3.上記で見出された傾きオフセット値と上記で見出された焦点オフセット値とを用いて、最終最適パワー較正を実行し、最終的な最適パワー値を見出すステップと、
4.上記で見出された最適パワー値と、上記で見出された傾きオフセット値と、上記で見出された焦点オフセット値とを用いて、フォワードセンス較正を実行するステップと
を含むものとされる。この形態は、以下の利点を有する。
i)要求されている速度において、傾きオフセット値および焦点オフセット値を、厳密に較正することができる。
ii)所与の速度において較正された傾きオフセット値および焦点オフセット値を用いることにより、最終的な最適パワーを導出することができ、したがってこの処理から導出された最適パワーは、より信頼性が高い。
【0025】
さらに別の実施形態では、光記録担体に対し、第1の記録速度とは異なる記録速度で、パワー較正手順のさらなる組を実行する処理は、
1.パワー較正手順の第1の組と関連付けられたパワー較正領域の第1の組(セット)のサブセットを用いて、さらなる最適パワー較正を実行し、最適パワー値、傾きオフセット値ならびに焦点オフセット値を見出すステップ、および
2.上記で見出された最適パワー値を用いて、フォワードセンス較正を実行するステップ
を含むものとされる。
【0026】
図4は、8.0x速において、4つすべてのステップ、具体的には、
ステップ1:14個のADIPフレームを必要とする初期較正、
ステップ2:22個のADIPフレームを必要とする傾きおよび焦点オフセットの較正、
ステップ3:14個のADIPフレームを必要とする最終較正、および
ステップ4:22個のADIPフレームを必要とするフォワードセンス較正
が必要とされることを示している。
【0027】
図4より、速度4.0xおよび2.4xにおいては、ステップ1および2で使用された傾きおよび焦点オフセット較正領域が、最終較正を実行して最適パワー値を得るために再利用されていることが見て取れる。したがって、この開示方法は、結果として約36個のADIPフレームの節約をもたらす。較正目的に利用可能なテスト領域がDVD+Rと比較して顕著に少ないDVD−Rの場合には、このことは有利である。
【0028】
さらに別の実施形態では、さらなる最適パワー較正を実行するにあたり、光記録担体上に既に存在する記録済領域が再利用される。この記録済領域は、初期焦点オフセット較正領域、初期傾きオフセット較正領域、およびフォワードセンス較正領域のうちの、1つとされてもよい。たとえば、光記録担体の記録速度が16xであり、かつ16xにおいてOPC手順が実行され、さらに任意の時点で何らかの理由によりシステムが回転速度を落とす必要性が生じ、システムが8xに回転速度を落とした場合には、ここで開示する方法によれば、完全なOPC手順を実行する必要はない。先のOPC手順の実行中に使用された、傾きおよび焦点オフセットの較正領域を、8x、4xさらには2.4xといったより低い速度における傾きおよび焦点オフセット較正を実行するために、再利用することができる。あるいは、先のOPC由来のフォワードセンス領域も、傾きおよび焦点オフセット較正のために再利用することができる。上記の技術は、光記録担体のパワー較正領域の効率的な利用を可能とし、最適パワーを見出すための時間を減らすことができる。
【0029】
図5では、開示されているマルチスピードパワー較正手順が、以下のステップを含んでいることが見て取れる。
ステップ1:光記録担体を挿入した後に、起動手順を完了する。
ステップ2:記録速度を確認する。
ステップ3:従来の方法に従って、光記録担体が指定する速度において、OPC手順を実行する。
ステップ4:システムが回転速度を落とすことを要求した場合にはステップ5に進み、その他の場合にはステップ7に進む。
ステップ5:要求された次のより低い速度に、回転速度を落とす。
ステップ6:上記の要求されたより低い速度において、先行して行われたOPC手順の傾きおよび焦点オフセット較正領域を利用することにより、または先行して行われたOPC手順由来のフォワードセンス較正領域を利用することにより、傾きおよび焦点オフセット較正を実行し、その後、ステップ4に進む。
ステップ7:記録のための最適パワー値、および最適傾きオフセット値ならびに最適焦点オフセット値を用いて、上記の要求されたより低い速度において、記録を開始する。
【0030】
表1は、従来技術に対する、上記の開示技術の利点を示している。
【表1】

表1はまた、様々な記録速度において必要とされる較正時間と、較正の回数とを示している。表1より、上記の開示技術の利点は2つの面を有することが見て取れる。すなわち、可能なパワー較正の回数の増大、および種々の異なる速度における較正時間の短縮である。従来技術は288個のADIPフレームを必要とする一方、提唱技術は180個のADIPフレームしか必要としない。従来技術は、約14回の較正をサポート可能である一方、上記の開示技術を用いれば、22回の較正を実現することが可能である。さらに、従来技術は24秒の較正時間を必要とする一方、提唱技術は15秒の較正時間しか必要としない。
【0031】
図1の光ドライブは、上記の実施形態において開示したようなパワー較正方法を実行するように、適合化することができる。この目的のため、この光ドライブは、i)光記録担体に対し、較正領域の第1の組において、第1の記録速度で、パワー較正手順の第1の組を実行するように設定された手段60と、ii)その光記録担体に対し、上記の第1の記録速度とは異なる記録速度で、パワー較正手順のさらなる組を実行するように設定された手段62とを含むものとされ、上記のパワー較正手順のさらなる組は、上記の較正領域の第1の組からの情報を部分的に利用するものとされる。
【0032】
上記の実施形態で開示したような光ドライブを含むレコーダは、多様な記録速度において必要とされる全体のパワー較正時間を低減することができ、結果として、記録準備完了までの時間を改善することができる。かかるレコーダは、データレコーダであってもよいし、オーディオレコーダであってもよいし、ビデオレコーダであってもよい。
【0033】
以上、例示的な光ドライブおよびディスクを用いた実施形態によって、本発明の対象を説明してきたが、この技術は、あらゆるタイプの光ドライブおよび光記録担体、たとえば1回のみ書込可能な媒体および何度も書き込める記録可能タイプ(DVD−RW、DVD+RW、HD−DVD、ブルーレイディスク)に適用可能なものである。さらに、上記の技術は、片面記録担体に限定されるものではない。この技術は、片面二層記録担体(すなわちデュアルレイヤー記録担体)や、両面二層記録担体(すなわちデュアルレイヤー両面記録担体)にも適用可能なものである。当業者であれば、ソフトウェアによっても、ハードウェアおよびソフトウェアの両方によっても、上記で説明した実施形態を実施することができる。特許請求の範囲で規定する本発明の対象を実施する技術分野の当業者においては、本願の図面、明細書および特許請求の範囲を考慮することにより、上記で開示した実施形態に対する他のバリエーションも、理解し、実現することができる。「含む」または「備える」との動詞の使用は、請求項または明細書の記載中で述べたもの以外の要素の存在を排除するものではない。ある要素または工程に先行する「1つの」との不定冠詞の使用は、かかる要素または工程が複数存在することを排除するものではない。図面および明細書の記載は、単なる説明目的と捉えられるべきであり、本発明の対象を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光記録担体に対し、最適パワー較正のための領域と傾きおよび焦点オフセット較正のための領域とフォワードセンス較正のための領域とを含む較正領域の組において、第1の記録速度で、第1のパワー較正手順を実行する工程と、
前記光記録担体に対し、前記第1の記録速度とは異なる第2の記録速度で、第2のパワー較正手順を実行する工程とを含み、
前記第2のパワー較正手順は、前記第1のパワー較正手順の実行中に得られた、前記傾きおよび焦点オフセット較正のための領域ならびに前記フォワードセンス較正のための領域のうちの少なくとも1つを利用して、さらなる最適パワー較正を実行する処理を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のパワー較正手順が、
初期最適パワー制御手順を実行し、初期最適パワー値を見出す工程と、
見出された前記初期最適パワー値を用いて、傾きおよび焦点オフセット較正を実行し、傾きオフセット値と焦点オフセット値とを見出す工程と、
見出された前記傾きオフセット値と見出された前記焦点オフセット値とを用いて、最終最適パワー較正を実行し、最終的な最適パワー値を見出す工程と、
見出された前記最適パワー値と、見出された前記傾きオフセット値と、見出された前記焦点オフセット値とを用いて、フォワードセンス較正を実行する工程と
を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2のパワー較正手順が、
前記第1のパワー較正手順の実行中に得られた、前記傾きおよび焦点オフセット較正のための領域ならびに前記フォワードセンス較正のための領域のうちの少なくとも1つを用いて、前記さらなる最適パワー較正を実行し、最適パワー値を見出す工程、および
見出された前記最適パワー値を用いて、さらなるフォワードセンス較正を実行する工程
を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記さらなる最適パワー較正を実行するにあたり、前記光記録担体上に既に存在する記録済領域が再利用され、該記録済領域が、初期焦点オフセット較正領域、初期傾きオフセット較正領域、およびフォワードセンス較正領域のうちの、1つであることを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
光記録担体に対し、最適パワー較正のための領域と傾きおよび焦点オフセット較正のための領域とフォワードセンス較正のための領域とを含む較正領域の組において、第1の記録速度で、第1のパワー較正手順を実行する手段と、
前記光記録担体に対し、前記第1の記録速度とは異なる第2の記録速度で、第2のパワー較正手順を実行する手段とを含み、
前記第2のパワー較正手順は、前記第1のパワー較正手順の実行中に得られた、前記傾きおよび焦点オフセット較正のための領域ならびに前記フォワードセンス較正のための領域のうちの少なくとも1つを利用して、さらなる最適パワー較正を実行する処理を含むことを特徴とする光ドライブ。
【請求項6】
請求項5記載の光ドライブを含むことを特徴とするレコーダ。
【請求項7】
光記録担体に対し、最適パワー較正のための領域と傾きおよび焦点オフセット較正のための領域とフォワードセンス較正のための領域とを含む較正領域の組において、第1の記録速度で、第1のパワー較正手順を実行する工程と、
前記光記録担体に対し、前記第1の記録速度とは異なる第2の記録速度で、第2のパワー較正手順を実行する工程とを含む方法であって、
前記第2のパワー較正手順は、前記第1のパワー較正手順の実行中に得られた、前記傾きおよび焦点オフセット較正のための領域ならびに前記フォワードセンス較正のための領域のうちの少なくとも1つを利用して、さらなる最適パワー較正を実行する処理を含むような方法を、実行するためのコンピュータプログラムコード手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−I】
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【図5−II】
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【公開番号】特開2012−109023(P2012−109023A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−51152(P2012−51152)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2010−502627(P2010−502627)の分割
【原出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】