説明

光ディスク処理装置

【課題】光ディスクに対して情報の処理を行う際に、部品点数が少なく簡単な構造で、ディスク搬送機構を動作させないようにする。
【解決手段】ディスク搬送機構、ディスクチャック機構、およびピックアップ送り機構をそれぞれ単一のモータ10の駆動力で動作させる光ディスクプレーヤに、複数のギヤ41〜48から構成され、モータ10の駆動力を上記3つの機構に伝達する経路を有するギヤ列40と、ディスクチャック機構の一構成部品であり、モータ10の駆動力を受けてL、R方向へ往復移動するカムスライダ12を設ける。カムスライダ12はL、R方向へ移動することで、光ディスクをチャック状態またはチャック解除状態にし、ギヤ46に対して離間しまたは当接して、ギヤ46を軸方向へ移動させて、ギヤ47に噛み合わせずまたは噛み合わせ、ディスク搬送ローラ31へのモータ10の駆動力の伝達経路を切断状態または連結状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップにより光ディスクに対して情報の処理を行う光ディスク処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスク処理装置は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)のような光ディスクを装置の前面等に設けられた出し入れ部を通して装置の内部へ取り込み、ターンテーブルとクランパとを接近させて、これらの間に光ディスクを挟み込んで保持(チャック)する。そして、スピンドルモータによってターンテーブルを介して光ディスクを回転させながら、光ピックアップを光ディスクの径方向へ往復移動させて、光ピックアップから光ディスクの情報記録面にレーザー光を照射させることにより、光ディスクから情報を読み取って再生したり、光ディスクに情報を記録したりする。情報の処理が終了した後は、ターンテーブルとクランパとを離して、光ディスクのチャックを解除し、光ディスクを出し入れ部から装置の外部へ排出する。
【0003】
光ディスクを装置の内部または外部へ搬送するディスク搬送機構や、光ディスクを回転可能にチャックするディスクチャック機構や、光ピックアップを光ディスクの径方向へ移動させるピックアップ送り機構を動作させる駆動源としては、モータが一般的に用いられている。光ディスク処理装置には、3つのモータによって上記3つの機構をそれぞれ動作させるものがあるが、単一のモータによって上記3つの機構をそれぞれ動作させるものもある。単一のモータによって上記3つの機構をそれぞれ動作させる光ディスク処理装置では、光ディスクに対して情報の処理(例えば光ディスクの記録情報の再生)を行うために、ピックアップ送り機構によって光ピックアップを移動させたときに、ディスク搬送機構が同調して動作してしまうと、モータにかかる負荷が増大し、電力が無駄に消費され、騒音が発生するといった問題が生じる。
【0004】
ところで、下記の特許文献1〜3には、出し入れ部の近傍に光ディスクと接触可能に設けられた搬送ローラの回転により、出し入れ部に挿入された光ディスクを内部へ搬送し、または内部にある光ディスクを出し入れ部から外部へ突出するように搬送するスロットイン方式のディスク搬送機構と、当該ディスク搬送機構、ディスクチャック機構、およびピックアップ送り機構をそれぞれ動作させる単一のモータとを備えた光ディスク処理装置が開示されている。具体的には、特許文献1では、切り替えアームの回動により、単一のモータの駆動力をピックアップ送り機構とスライド部材とに切り替えて伝達し、スライド部材の移動により、スライド部材に伝達した駆動力をディスクチャック機構に伝達し、スライド部材の移動により、ローラアームを介して搬送ローラを移動させて、前記駆動力をディスク搬送機構に伝達する経路を切断しまたは連結している。ディスク搬送機構に伝達している。特許文献2では、トリガ部材と第2のスライダと第1のスライダの連続移動により、単一のモータの駆動力をディスクチャック機構に伝達するとともに、搬送ローラを移動させて、前記駆動力をディスク搬送機構に伝達する経路を切断しまたは連結し、スイングプレートとアイドラギヤの回動により、前記駆動力をピックアップ送り機構に伝達する経路を切断しまたは連結している。特許文献3では、トリガアームとトリガスライダと第1のスライダの連続移動により、単一のモータの駆動力をディスクチャック機構に伝達し、トリガアームとトリガスライダの連続移動およびサンギヤとロックアームの連続回動により、前記駆動力をピックアップ送り機構とディスク搬送機構とに切り替えて伝達している。
【0005】
また、下記の特許文献4〜6には、光ディスクが載置されるトレイの移動により、光ディスクを内部または外部へ搬送するトレイ方式のディスク搬送機構と、当該ディスク搬送機構、ディスクチャック機構、およびピックアップ送り機構をそれぞれ動作させる単一のモータとを備えた光ディスク処理装置が開示されている。具体的には、特許文献4では、複数のギヤの連続回動により、単一のモータの駆動力をピックアップ送り機構に伝達し、複数のギヤの連続回動および仲介レバーとアームジョイントの連続回動により、カムスライダを移動させて、前記駆動力をディスクチャック機構に伝達する経路とディスク搬送機構に伝達する経路とをそれぞれ切断しまたは連結している。特許文献5では、複数のギヤの連続回動により、単一のモータの駆動力をピックアップ送り機構に伝達し、複数のギヤの連続回動およびトリガプレートの移動により、カムスライダを移動させて、前記駆動力をディスクチャック機構に伝達し、カムスライダの移動により、トレイを移動させて、前記駆動力をディスク搬送機構に伝達する経路を切断しまたは連結している。特許文献6では、複数のギヤの連続回動により、単一のモータの駆動力をピックアップ送り機構に伝達し、複数のギヤの連続回動およびアームの回動により、前記駆動力をディスク搬送機構に伝達する経路を切断しまたは連結するとともに、ラックを移動させて、前記駆動力をディスクチャック機構に伝達している。なお、特許文献6には、ディスクチャック機構の詳細構造や詳細動作は開示されていない。
【0006】
さらに、下記の特許文献7には、出し入れ部から挿入された光ディスクを保持するホルダの移動により、光ディスクを内部または外部へ搬送するホルダ方式のディスク搬送機構と、当該ディスク搬送機構、ディスクチャック機構、およびピックアップ送り機構をそれぞれ動作させる単一のモータとを備えた光ディスク処理装置が開示されている。具体的には、特許文献7では、複数のギヤの連続回動と切替レバーの回動により、単一のモータの駆動力をスレッドスライダ等から構成されるピックアップ送り機構とローディングスライダやトレイ等から構成されるディスク搬送機構およびディスクチャック機構とに切り替えて伝達している。なお、特許文献7には、トレイとディスク搬送機構とディスクチャック機構の詳細構造や詳細動作は開示されていない。
【特許文献1】特開2004−145913号公報
【特許文献2】特開2003−257106号公報
【特許文献3】特開2003−141800号公報
【特許文献4】特開2004−241067号公報
【特許文献5】特開2004−185771号公報
【特許文献6】特開2004−152390号公報
【特許文献7】特開2003−173607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1〜7のような光ディスク処理装置では、単一のモータの駆動力がピックアップ送り機構に伝達されているときは、当該駆動力がディスク搬送機構に伝達されないので、光ディスクに対して情報の処理を行う際に、ディスク搬送機構が光ピックアップの移動に同調して動作することはない。しかしながら、特許文献1〜4のような光ディスク処理装置では、単一のモータの駆動力をディスク搬送機構に伝達する状態と伝達しない状態とを切り替えるための部品点数が多く、構造が複雑であるという難点がある。また、特許文献1、2、5のような光ディスク処理装置では、上記駆動力の伝達状態を切り替えるために、搬送ローラやトレイといったディスク搬送機構の構成部品の位置を移動させるので、当該移動を行うための構造が複雑であるという難点がある。さらに、特許文献6、7のような光ディスク処理装置では、上記駆動力の伝達状態を切り替えるための部品と連動して、該駆動力をディスクチャック機構に伝達する構造が不明であるが、当該構造を考慮すると、部品点数が多くなり、構造が複雑になるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するものであって、その課題とするところは、光ディスクに対して情報の処理を行う際に、部品点数が少なく簡単な構造で、ディスク搬送機構を動作させないようにすることが可能な光ディスク処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、光ディスクを当該装置の内部または外部へ搬送するディスク搬送機構と、内部へ搬送した光ディスクを回転可能にチャックするディスクチャック機構と、チャックした光ディスクの径方向へ光ピックアップを往復移動させるピックアップ送り機構と、ディスク搬送機構、ディスクチャック機構、およびピックアップ送り機構をそれぞれ動作させるための駆動力を発生する単一の駆動源とを備えた光ディスク処理装置において、複数のギヤから構成され、駆動源が発生した駆動力をディスク搬送機構、ディスクチャック機構、およびピックアップ送り機構にそれぞれ伝達する経路を有するギヤ列と、ディスクチャック機構の一構成部品であって、ギヤ列によって伝達された駆動源の駆動力を受けて往復移動することにより、光ディスクをチャック状態またはチャック解除状態にし、かつ、ギヤ列の1のギヤに対して当接しまたは離間して当該1のギヤを軸方向へ移動させ、ディスク搬送機構への駆動源の駆動力の伝達経路を切断状態または連結状態にするスライド部材とを設ける。
【0010】
上記のようにすると、光ディスクに対して情報の処理を行う際、即ち単一の駆動源の駆動力がギヤ列によってピックアップ送り機構に伝達されて、光ピックアップが移動する際に、スライド部材がギヤ列によって伝達された駆動源の駆動力を受けて移動して、ギヤ列の1のギヤを軸方向へ移動させ、ディスク搬送機構への駆動力の伝達経路を切断状態にすることで、駆動力がディスク搬送機構に伝達されなくなるので、ディスク搬送機構が光ピックアップの移動に同調して動作しなくなる。また、スライド部材がディスクチャック機構の一構成部品であるとともに、単一の駆動源の駆動力をディスク搬送機構に伝達する状態と伝達しない状態とを切り替えるための部品でもあり、当該伝達状態の切り替えのためにディスク搬送機構の構成部品の位置を移動させる必要がないので、従来に比べて部品点数が少なくなり、構造が簡単になる。よって、光ディスクに対して情報の処理を行う際に、部品点数が少なく簡単な構造で、ディスク搬送機構を動作させないようにすることが可能となる。またこの結果、光ディスクに対して情報の処理を行う際に、駆動源にかかる負荷と電力消費量と騒音とをそれぞれ低減することが可能となる。
【0011】
また、本発明の一実施形態では、上記構成に加えて、ギヤ列の前記1のギヤを隣接する他のギヤから離間させる一方の軸方向へ付勢する付勢部材を設けている。そしてこの構成において、光ディスクを搬送する際に、スライド部材が駆動源の駆動力を受けてギヤ列に近づく方向へ移動することにより、光ディスクがチャック解除状態になり、かつ、スライド部材が1のギヤに当接して当該1のギヤを押圧し、当該1のギヤが前記一方の軸方向とは反対の他方の軸方向へ移動して他のギヤに噛み合い、ディスク搬送機構への駆動源の駆動力の伝達経路が連結状態になる。また、光ピックアップにより光ディスクに対して情報の処理を行う際に、スライド部材が駆動源の駆動力を受けてギヤ列から離れる方向へ移動することにより、光ディスクがチャック状態になり、かつ、スライド部材が1のギヤから離間し、当該1のギヤが付勢部材の付勢力によって前記一方の軸方向へ移動して他のギヤに噛み合わなくなり、ディスク搬送機構への駆動源の駆動力の伝達経路が切断状態になる。
【0012】
上記のようにすると、光ディスクを搬送する際には、スライド部材がギヤ列に近づく方向へ移動することにより、光ディスクがチャック解除状態になり、かつ、ディスク搬送機構への駆動力の伝達経路が連結状態になるので、ディスク搬送機構がギヤ列によって伝達される駆動源の駆動力を受けて動作し、光ディスクを本光ディスク処理装置の内部または外部へ搬送することができ、その際、ディスクチャック機構に光ディスクの搬送を邪魔されることはない。また、光ディスクに対して情報の処理を行う際には、スライド部材がギヤ列から離れる方向へ移動することにより、光ディスクがチャック状態になり、かつ、ディスク搬送機構への駆動力の伝達経路が切断状態になるので、光ディスクを回転させて光ピックアップにより当該光ディスクに対して情報の処理を行うことができ、その際、駆動源の駆動力がギヤ列によってピックアップ送り機構に伝達されても、当該駆動力がディスク搬送機構に伝達されることはなく、光ピックアップの移動に同調してディスク搬送機構を動作させないようにすることができる。また、スライド部材が駆動源の駆動力を受けて移動して、ギヤ列の1のギヤに対して当接しまたは離間することで、当該1のギヤがスライド部材の押圧力または付勢部材の付勢力によって軸方向へ移動して、他のギヤに噛み合いまたは噛み合わなくなり、ディスク搬送機構への駆動力の伝達経路が切断されまたは連結されるので、ディスク搬送機構への駆動力の伝達状態と非伝達状態とを切り替える構造がより簡単になる。
【0013】
さらに、本発明の一実施形態では、ディスク搬送機構として、光ディスクと接触可能に設けた搬送ローラの回転によって光ディスクを当該装置の内部または外部へ搬送するスロットイン方式の搬送機構を用いている。また、単一の駆動源として、モータを用い、スライド部材として、カムスライダを用い、付勢部材として、ばねを用いている。
【0014】
上記のようにすると、単一のモータの駆動力がギヤ列によってピックアップ送り機構に伝達されているときに、カムスライダがギヤ列によって伝達された駆動力を受けてギヤ列から離れる方向へ移動することで、ギヤ列の1のギヤが軸方向へ移動して他のギヤと噛み合わなくなり、ディスク搬送機構への駆動力の伝達経路が切断状態になって、駆動力がディスク搬送機構に伝達されなくなる。よって、光ピックアップにより光ディスクに対して情報の処理を行う際に、部品点数が少なく簡単な構造で、ディスク搬送機構の搬送ローラ等を光ピックアップの移動に同調して動作させないようにすることができ、モータにかかる負荷と電力消費量と騒音とをそれぞれ低く抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光ピックアップにより光ディスクに対して情報の処理を行う際に、ディスクチャック機構の一構成部品であるスライド部材が、駆動源の駆動力を受けて移動して、ギヤ列の1のギヤを軸方向へ移動させ、ディスク搬送機構への駆動力の伝達経路を切断状態にすることで、部品点数が少なく簡単な構造で、光ピックアップの移動に同調してディスク搬送機構を動作させないようにすることができ、この結果、駆動源にかかる負荷と電力消費量と騒音とをそれぞれ低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、光ディスクプレーヤ1と光ディスク2を示す図である。図1において、光ディスクプレーヤ1は、DVD(Digital Versatile Disk)等の光ディスク2に記録された映像や音声の情報を読み取って再生する。3は光ディスクプレーヤ1に内蔵された光ディスクドライブであって、光ディスク2から情報を読み取る。4は光ディスクドライブ3の上ケース、5は光ディスクドライブ3の下ケースである。6は光ディスクドライブ3の前面に設けられた開口からなる出し入れ部、7は光ディスクプレーヤ1の前面に設けられた開口からなる出し入れ部である。これらの出し入れ部6、7は連通していて、これらの出し入れ部6、7を通して光ディスク2を光ディスクドライブ3の内部へ挿入したり、光ディスク2を光ディスクドライブ3の内部から取り出したりすることができる。なお、光ディスク2が出し入れ部6、7から挿入されたことや取り出されたことは、図示しないセンサによって検出される。Fは光ディスクドライブ3への光ディスク2の挿入方向、Bは光ディスクドライブ3からの光ディスク2の取出方向を示している。
【0017】
8は光ディスクプレーヤ1の前面に設けられた操作部である。操作部8は、光ディスクプレーヤ1の電源をON状態またはOFF状態にさせる電源ボタン、光ディスク2を光ディスクドライブ3の内部または外部へ搬送(取り込みまたは排出)させる搬送ボタン、内部に搬送された光ディスク2の記録情報を再生させる再生ボタン、当該再生を停止させる停止ボタン等の各種のボタン等から構成されている。これらの他にも、光ディスクプレーヤ1には、光ディスクドライブ3等に電力を供給する電源ユニット、光ディスクドライブ3により読み取った光ディスク2の情報を再生する信号処理回路、再生信号をテレビ等の外部装置へ送信する通信回路等が備わっている。光ディスクプレーヤ1は、本発明に係る光ディスク処理装置の一実施形態を構成する。
【0018】
図2〜図5Bは、光ディスクドライブ3の内部構造を示す図である。詳しくは、図2は、光ディスクドライブ3の上ケース4の図示を省略した平面図である。図3A〜図3Dは、光ディスクドライブ3のギヤ列とカムスライダの近傍の平面図である。図4は、光ディスクドライブ3のギヤ列近傍の斜視図である。図5Aおよび図5Bは、(a)が光ディスクドライブ3のカムスライダ近傍の斜視図であり、(b)が光ディスクドライブ3のカムスライダ近傍の正面図である。
【0019】
最初に、光ディスクドライブ3の各部の構造について説明する。図2において、下ケース5の開口部5aから見える11は、下ケース5の下方(図2では紙面に垂直に向う方向、図1ではD方向)に配置されたシャーシである。シャーシ11のF方向側には、左右方向L、Rへ突出するように支持部11aが設けられていて、この支持部11aは、下ケース5に回転可能に支持されている。10はシャーシ11に斜め下向きに取り付けられたモータ、40は図2〜図4に示す複数のギヤ41〜48から構成されるギヤ列である。ギヤ列40は、モータ10が発生した正転駆動力または逆転駆動力を、後述するディスク搬送機構、ディスクチャック機構、およびピックアップ送り機構にそれぞれ伝達する経路を有している。モータ10は、本発明における単一のモータおよび駆動源の一実施形態を構成し、ギヤ列40は、本発明におけるギヤ列の一実施形態を構成する。
【0020】
ギヤ列40に含まれるギヤ41は、ウォームギヤであって、図3B〜図3Dに示すようにモータ10の回転軸10aに取り付けられている。ギヤ42は、3つの歯部42a〜42cが形成された3段ギヤであって、図4に示すように、下段歯部42aがウォームギヤ41と噛み合い、中段歯部42bがギヤ43と噛み合い、上段歯部42cがラックスライダ21、22に設けられたラック部21a、22aと噛み合うようにシャーシ11に回転可能に取り付けられている。ギヤ43は、ギヤ42の中段歯部42bとギヤ44とに噛み合うようにシャーシ11に回転可能に取り付けられている。ギヤ44は、ギヤ43とギヤ45とに噛み合うようにシャーシ11に回転可能に取り付けられている。ギヤ45は、ギヤ44とギヤ46の上歯部46aとカムスライダ12のラック部12aとに噛み合うように下ケース5に回転可能に取り付けられている。ギヤ46は、上歯部46aがギヤ45と噛み合い、図5A(b)および図5B(b)に示すように斜めに傾斜した下歯部46bがギヤ47の斜めに傾斜した左歯部47aと噛み合いまたは当該噛み合いが外れるように下ケース5に回転可能かつ軸方向(上下方向)U、Dへ移動可能に取り付けられている。19はギヤ46を隣接するギヤ47から離間する方向Uへ付勢するコイルばねである。コイルばね19は、本発明におけるばねの一実施形態を構成する。ギヤ47は、左歯部47aがギヤ46の下歯部46bと噛み合い、右歯部47bが図2〜図4に示すようにギヤ48と噛み合うように下ケース5に回転可能に取り付けられている。ギヤ48は、搬送ローラ31に取り付けられている。
【0021】
カムスライダ12は、図2に示すように下ケース5に移動可能に取り付けられている。カムスライダ12の上部には、ラック部12aとリブ部12bとU形溝12cと、ガイド溝12dとが設けられている。ラック部12aには、前述のギヤ45が噛み合い、U形溝12cにはギヤ45が入り込む。リブ部12bには、前述のギヤ46の上面が当接する。ガイド溝12dには、下ケース5に取り付けられたサポートプレート13のB方向側に下方へ突出するように設けられたボス部13aが係合している。カムスライダ12の下部には、図5Aおよび図5Bに示すように2つのカム溝12e、12fが設けられている。大幅のカム溝12eには、シャーシ11のB方向側にB方向へ突出するように設けられたボス部11bが係合している。小幅のカム溝12fには、図2に示すようにシャーシ11に移動可能に取り付けられたトリガスライダ14のB方向側にB方向へ突出するように設けられたボス部14aが係合している。
【0022】
カムスライダ12のラック部12aにギヤ45が噛み合った状態で、当該ギヤ45がギヤ41〜44によって伝達されたモータ10の駆動力を受けて回転することで、カムスライダ12はギヤ列40に近づく方向Rまたはギヤ列40から離れる方向Lへ移動する。この際、カムスライダ12のガイド溝12dの側壁がサポートプレート13のボス部13aに押されることで、カムスライダ12はガイド溝12dに沿ってF、B方向へも移動する。また、カムスライダ12のカム溝12eの側壁がシャーシ11のボス部11bを押すことで、シャーシ11が支持部11aを中心に回転しながら昇降する。カムスライダ12は、本発明におけるカムスライダおよびスライド部材の一実施形態を構成する。
【0023】
図2の略中央に破線で示す15は、シャーシ11に取り付けられたスピンドルモータである。16はスピンドルモータ15の回転軸(図示省略)に取り付けられたターンテーブルである。上述したようにカムスライダ12の移動にともなってシャーシ11が昇降することで、ターンテーブル16は上ケース4に取り付けられたクランパ(図示省略)との間に光ディスク2をチャック(挟み込んで該光ディスク2を保持)し、または当該チャックを解除する。なお、光ディスク2がチャックされたことは、図示しないセンサによって検出される。そして、光ディスク2をチャックした状態で、ターンテーブル16がスピンドルモータ15の発生した駆動力を受けて回転することで、光ディスク2は回転する。シャーシ11、カムスライダ12、ターンテーブル16、およびクランパは、本発明におけるディスクチャック機構の一実施形態を構成する。また、モータ10からカムスライダ12へ到るギヤ41〜45の経路は、本発明におけるディスクチャック機構への駆動源の駆動力の伝達経路の一実施形態を構成する。
【0024】
図2のF方向側に示す20は、レーザーダイオードやレンズや磁石やコイル等から構成された光ピックアップである。光ピックアップ20は、シャーシ11にF、B方向へ移動可能に取り付けられている。ラックスライダ21、22は、図4に示すように上ラックスライダ21と下ラックスライダ22とから構成されていて、両方ともシャーシ11にF、B方向へ移動可能に取り付けられている。上下ラックスライダ21、22のR方向側には、ギヤ42の上段歯部42cが噛み合うラック部21a、22aが設けられていて、上ラックスライダ21のラック部21aは下ラックスライダ22のラック部22aよりもF方向側に長くなっている。上ラックスライダ21の上面には、上方へ突出するようにボス部21bが設けられている。下ラックスライダ22のL方向側には、光ピックアップ20が連結されている。23は上ラックスライダ21と下ラックスライダ22のずれ(遊び)をなくすためのコイルばねである。
【0025】
上下ラックスライダ21、22のラック部21a、22aにギヤ42の上段歯部42cが噛み合った状態で、当該ギヤ42がギヤ41によって伝達されたモータ10の駆動力を受けて回転することで、上下ラックスライダ21、22がF、B方向へ移動する。この際、下ラックスライダ22が、光ピックアップ20をF、B方向、即ちターンテーブル16等にチャックされた光ディスク2の径方向へ移動させる。移動範囲は、光ディスク2の最外周部から最内周部までとなるように、シャーシ11に設けられたストッパ(図示省略)によって規制されている。光ピックアップ20は、光ディスク2の径方向F、Bへ移動しながら、ターンテーブル16等によって回転している光ディスク2の情報記録面にレーザー光を照射させて、光ディスク2から情報を読み取る。光ピックアップ20は、本発明における光ピックアップの一実施形態を構成し、上下ラックスライダ21、22は、本発明におけるピックアップ送り機構の一実施形態を構成する。また、モータ10から上下ラックスライダ21、22へ到るギヤ41、42の経路は、本発明におけるピックアップ送り機構への駆動源の駆動力の伝達経路の一実施形態を構成する。
【0026】
また、上述するように光ピックアップ20が光ディスク2の最内周部(最もターンテーブル16に近づく位置)まで移動すると、上ラックスライダ21のラック部21aが上段歯部42cと噛み合ったまま下ラックスライダ22のラック部22aが上段歯部42cから外れた状態となり、上ラックスライダ21だけがB方向へ移動する。そして、上ラックスライダ21のボス部21bが、図3B〜図3Dに示すようにトリガスライダ14のF方向側に設けられたガイド溝14bに係合する。この係合状態で、上ラックスライダ21がF、B方向へ移動すると、ボス部21bがガイド溝14bの側壁を押すことで、トリガスライダ14はL、R方向へ移動する。そして、トリガスライダ14のボス部14aがカムスライダ12のカム溝12f(図5A、図5B)の側壁を押すことで、カムスライダ12はL、R方向およびF、B方向へ若干移動する。
【0027】
搬送ローラ31の軸部31aの両端は、上ケース4に回転可能に支持されていて、搬送ローラ31のローラ部31bは、ゴム等の弾性体からなり、光ディスク2の下面と接触する。光ディスク2は、搬送ローラ31のローラ部31bと該ローラ部31bと対向するように上ケース4に設けられたディスクガイド部(図示省略)との間を通過する。ギヤ46の下歯部46bとギヤ47の左歯部47aとが噛み合った状態で、ギヤ46がギヤ41〜45によって伝達されたモータ10の駆動力を受けて回転すると、ギヤ47、48とともに搬送ローラ31が回転して、光ディスク2を光ディスクドライブ3の内部または外部へ搬送する。なお、光ディスク2の外部への搬送は、光ディスク2が前述の出し入れ部6、7(図1)から取り出し可能に突出するまで行われる。また、光ディスク2が出し入れ部6、7から取り出し可能に突出したことは、図示しないセンサによって検出される。搬送ローラ31は、本発明における搬送ローラの一実施形態を構成し、上ケース4のディスクガイド部とともに、本発明におけるディスク搬送機構の一実施形態を構成する。また、モータ10から搬送ローラ31へ到るギヤ41〜48の経路は、本発明におけるディスク搬送機構への駆動源の駆動力の伝達経路の一実施形態を構成する。
【0028】
次に、光ディスクドライブ3の各部の動作について説明する。前述の操作部8(図1)の再生ボタンが操作されて、光ディスクドライブ3の内部に取り込んだ光ディスク2の記録情報を再生する際は、各部は図2、図3A、図4、および図5Aに示すような状態になっている。即ち、カムスライダ12が最もL方向へ移動して、ラック部12aとギヤ45とが噛み合わなくなっている。また、カムスライダ12のリブ部12bがギヤ46から離間していて、図5Aに示すようにギヤ46がコイルばね19の弾性力(付勢力)によって上方(一方の軸方向)Uへ移動していて、ギヤ46の下歯部46bとギヤ47の左歯部47aとが噛み合っておらず、搬送ローラ31へのモータ10の駆動力の伝達経路が切断状態になっている。また、サポートプレート13のボス部13aがカムスライダ12のガイド溝12dのR方向側の端に位置している。
【0029】
また、図5A(b)に示すようにトリガスライダ14のボス部14aがカムスライダ12のカム溝12fの上部(U方向側)に位置していて、トリガスライダ14が最もL方向へ移動している。また、シャーシ11のボス部11bがカムスライダ12のカム溝12eの上部に位置していて、シャーシ11が下ケース5と平行になるように上昇した姿勢を維持している。また、図2等に示すターンテーブル16がクランパとの間に光ディスク2をチャックしていて、スピンドルモータ15の駆動力を受けて光ディスク2を回転させている。光ディスク2は搬送ローラ31から離間している。
【0030】
さらに、上下ラックスライダ21、22のラック部21a、22aとギヤ42の上段歯部42cとが噛み合っていて、上下ラックスライダ21、22がギヤ41、42によって伝達されるモータ10の駆動力を受けてF、B方向へ移動し、光ピックアップ20を光ディスク2の径方向F、Bに移動させている。詳しくは、モータ10が正転駆動すると、ギヤ41が反時計回りに回転し、ギヤ42の3つの歯部42a〜42cが全て時計回りに回転し、上下ラックスライダ21、22がF方向へ移動して、光ピックアップ20を光ディスク2の外周部へ向かって(F方向側へ)移動させる。また、モータ10が逆転駆動すると、ギヤ41が時計回りに回転し、ギヤ42の3つの歯部42a〜42cが全て反時計回りに回転し、上下ラックスライダ21、22がB方向へ移動して、光ピックアップ20を光ディスク2の内周部へ向かって(B方向側へ)移動させる。光ピックアップ20は移動しながら、光ディスク2の情報記録面にレーザー光を照射させて、光ディスク2から情報を読み取っている。光ピックアップ20が読み取った情報は、光ディスクプレーヤ1の前述の信号処理部によって再生されている。図2、図3A、および図4では、光ピックアップ20が光ディスク2の最外周部まで移動した状態を示している。光ピックアップ20を移動させている際、ギヤ41〜46まではモータ10の駆動力を受けて回転するが、上述したようにギヤ46の下歯部46bとギヤ47の左歯部47aとが噛み合っていないので、ギヤ47、48および搬送ローラ31が回転することはない。
【0031】
上記のような状態から、例えば操作部8の停止ボタンが操作されて、光ディスク2の記録情報の再生を停止する際は、スピンドルモータ15が駆動を停止して、光ディスク2の回転を停止させる。また、モータ10が駆動を停止して、光ピックアップ20の光ディスク2の径方向F、Bへの移動を停止させる。さらに、光ピックアップ20が光ディスク2からの情報の読み取りを停止する。
【0032】
再生停止後、操作部8の搬送ボタンが操作されて、光ディスク2を外部へ排出する際は、モータ10が逆転駆動する。すると、ギヤ41が時計回りに回転し、ギヤ42の3つの歯部42a〜42cが全て反時計回りに回転し、上下ラックスライダ21、22がB方向へ移動して、光ピックアップ20を光ディスク2の最内周部へ向けて移動させる。光ピックアップ20が光ディスク2の最内周部まで移動して前述のストッパにより停止すると、下ラックスライダ22のラック部22aとギヤ42の上段歯部42cとが噛み合わなくなって、下ラックスライダ22が移動を停止する。一方、上ラックスライダ21のラック部21aとギヤ42の上段歯部42cとは噛み合ったままで、上ラックスライダ21が下ラックスライダ22とずれながらさらにB方向へ移動する。そして、上ラックスライダ21単独のB方向への移動により、図3Bに示すように上ラックスライダ21のボス部21bがトリガスライダ14のガイド溝14bに係合して、ボス部21bがガイド溝14bの側壁を押すため、トリガスライダ14がR方向へ移動する。このとき、トリガスライダ14のボス部14aがカムスライダ12のカム溝12fの側壁を押すため、カムスライダ12がR方向へ移動し、カムスライダ12のラック部12aがギヤ45と噛み合う。
【0033】
このとき、モータ10の逆転駆動力を受けてギヤ43が時計回りに回転し、ギヤ44が反時計回りに回転し、ギヤ45が時計回りに回転しているので、ラック部12aがギヤ45と噛み合ったことで、カムスライダ12がラック部12aをギヤ45にR方向へ送られて、図3Cに示すようにさらにR方向へ移動する。このとき、カムスライダ12のリブ部12bがギヤ46の上面に当接して、ギヤ46をコイルばね19の弾性力に打ち勝つ押圧力で下方(他方の軸方向)Dへ移動させるため、ギヤ46の下歯部46bとギヤ47の左歯部47aとが噛み合い、搬送ローラ31へのモータ10の駆動力の伝達経路が連結状態になる。これにより、ギア41〜46によって伝達されたモータ10の逆転駆動力を受けて、ギヤ47が図4のR方向側から見て時計回りの方向へ回転し、ギヤ48と搬送ローラ31とが図4のR方向側から見て反時計回りの方向へ回転する。
【0034】
そして、図3Dおよび図5B(a)に示すようにカムスライダ12が最もR方向へ移動して、ギヤ45がU形溝21cの奥(L方向側)まで入り込むと、ラック部12aとギヤ45とが噛み合わなくなり、カムスライダ12が移動を停止する。このとき、サポートプレート13のボス部13aがカムスライダ12のガイド溝12dのL方向側の端に位置しているので、この直前にボス部13aがガイド溝12dの側壁を押したことにより、カムスライダ12がB方向側へ若干移動している。また、図5B(b)に示すようにシャーシ11のボス部11bがカムスライダ12のカム溝12eの下部(D方向側)に位置しているので、シャーシ11がB方向側へ向けて下がるように下降傾斜した姿勢を維持している。このため、ターンテーブル16も下降し、ターンテーブル16とクランパとによる光ディスク2のチャックが解除されて、光ディスク2が搬送ローラ31に当接する。そして、上述した搬送ローラ31の回転により、光ディスク2がB方向へ搬送されて、前述の出し入れ部6、7から外部へ突出し、光ディスクドライブ3および光ディスクプレーヤ1から取り出し可能となる。光ディスク2が出し入れ部6、7から取り出し可能に突出すると、当該状態が前述のセンサによって検出されて、モータ10が逆転駆動を停止し、ギヤ41〜48および搬送ローラ31の回転を停止させる。
【0035】
一方、光ディスク2を光ディスクプレーヤ1および光ディスクドライブ3の内部へ取り込む際は、図3Dおよび図5Bに示す状態から、光ディスク2が出し入れ部6、7を通してF方向に挿入されると、当該挿入状態が前述のセンサによって検出されて、モータ10が正転駆動する。または、光ディスク2が出し入れ部6、7からF方向に挿入された後に、操作部8の搬送ボタンが操作されると、モータ10が正転駆動する。モータ10が正転駆動すると、ギヤ41が反時計回りに回転し、ギヤ42の歯部42a〜42cが全て時計回りに回転し、ギヤ43が反時計回りに回転し、ギヤ44が時計回りに回転し、ギヤ45が反時計回りに回転し、ギヤ46が時計回りに回転する。また、ギヤ46の下歯部46bとギヤ47の左歯部47aとが噛み合って、搬送ローラ31へのモータ10の駆動力の伝達経路が連結状態になっているので、ギヤ47が図4のR方向側から見て反時計回りの方向へ回転し、ギヤ48と搬送ローラ31とが図4のR方向側から見て時計回りの方向へ回転する。これにより、光ディスク2が搬送ローラ31によってF方向へ搬送されて行く。
【0036】
また、ギヤ41が反時計回りに回転し、ギヤ42の歯部42a〜42cが全て時計回りに回転すると、上ラックスライダ21が単独でF方向へ移動する。このとき、図3Dに示すように上ラックスライダ21のボス部21bがトリガスライダ14のガイド溝14bに係合しているため、上ラックスライダ21単独のF方向への移動により、ガイド溝14bの側壁がボス部21bに押されて、トリガスライダ14がL方向へ移動する。またこのとき、図5B(b)に示すようにトリガスライダ14のボス部14aがカムスライダ12のカム溝12fの下部に位置していて、図3Dに示すようにサポートスライダ13のボス部13aがカムスライダ12のガイド溝12dのL方向側の端に位置しているため、トリガスライダ14のL方向への移動により、カム溝12fの側壁がボス部14aに押され、ガイド溝12dの側壁がボス部13aに押されて、カムスライダ12がL方向とB方向とへ移動し、カムスライダ12のラック部12aがギヤ45と噛み合う。
【0037】
このとき、モータ10の正転駆動力を受けてギヤギヤ45が反時計回りに回転しているので、ラック部12aがギヤ45と噛み合ったことで、カムスライダ12がラック部12aをギヤ45にL方向へ送られて、図3Cから図3Bに示すようにさらにL方向へ移動する。そして、カムスライダ12のL方向への移動により、図5Aに示すようにカムスライダ12のリブ部12bがギヤ46の上面から離間すると、ギヤ46がコイルばね19の弾性力によって上方Uへ移動するため、ギヤ46の下歯部46bとギヤ47の左歯部47aとが噛み合わなくなり、搬送ローラ31へのモータ10の駆動力の伝達経路が切断状態になる。これにより、ギヤ47、48および搬送ローラ31の回転が停止し、光ディスク2のF方向への搬送が停止する。
【0038】
光ディスク2のF方向への搬送が停止したとき、光ディスク2は既に光ディスクドライブ3の内部へ搬送されている。また、カムスライダ12がL方向へ移動したことで、シャーシ11のボス部11bがカムスライダ12のカム溝12eの側壁に押し上げられて、図5A(b)に示すようにカム溝12eの上部に位置している。つまり、このときシャーシ11が下ケース5と平行になるように上昇した姿勢を維持していて、ターンテーブル16がクランパとの間に光ディスク2をチャックしている。また、光ディスク2が搬送ローラ31から離間している。また、上ラックスライダ21のボス部21bがトリガスライダ14のガイド溝14bから離れて、トリガスライダ14がL方向への移動を停止している。さらに、上下ラックスライダ21、22のラック部21a、22aとギヤ42の上段歯部42cとが噛み合っている。光ディスク2をターンテーブル16等によりチャックした状態が前述のセンサによって検出されると、モータ10が正転駆動を停止し、ギヤ41〜46の回転を停止させる。
【0039】
この後、操作部8の再生ボタンが操作されて、上記のように内部へ取り込んだ光ディスク2の記録情報を再生する際は、スピンドルモータ15が駆動して、光ディスク2を回転させる。また、モータ10が駆動して、ギヤ41、42を回転させ、上下ラックスライダ21、22をF、B方向へ移動させて、光ピックアップ20を光ディスク2の径方向F、Bへ移動させる。さらに、光ピックアップ20が移動しながら、光ディスク2の情報記録面にレーザー光を照射させて、光ディスク2から情報を読み取り、光ディスクプレーヤ1の信号処理部がその読み取った情報を再生する。光ピックアップ20を移動させている際、上述したようにギヤ46の下歯部46bとギヤ47の左歯部47aとが噛み合っていないので、ギヤ47、48および搬送ローラ31が回転することはない。
【0040】
以上のようにすると、カムスライダ12がギヤ41〜45によって伝達された単一のモータ10の駆動力を受けてL方向へ移動することで、リブ部12bがギヤ46から離間し、ギヤ46がコイルばね19の弾性力によって軸方向Uへ上昇して、ギヤ47と噛み合わなくなり、搬送ローラ31へのモータ10の駆動力の伝達経路を切断状態にすることができる。また、シャーシ11が上昇して、ターンテーブル16等により光ディスク2をチャック状態にすることができる。そしてこれらの状態で、スピンドルモータ15等により光ディスク2を回転させ、モータ10の駆動力をギヤ41、42によってラックスライダ21、22に伝達して、光ピックアップ20を光ディスク2の径方向F、Bへ移動させながら、光ピックアップ20により光ディスク2の記録情報を読み取って再生することができ、この再生の際、モータ10の駆動力がギヤ46からギヤ47、48および搬送ローラ31に伝達されることはなく、ギヤ47、48および搬送ローラ31を光ピックアップ2の移動に同調して動作させないようにすることができる。
【0041】
また、カムスライダ12がギヤ41〜45によって伝達されたモータ10の駆動力を受けてR方向へ移動することで、リブ部12bがギヤ46に当接し、ギヤ46がカムスライダ12から受ける押圧力によって軸方向Dへ下降して、ギヤ47と噛み合い、搬送ローラ31へのモータ10の駆動力の伝達経路を連結状態にすることができる。また、シャーシ11が下降して、ターンテーブル16等による光ディスク2のチャックを解除した状態にすることができる。そしてこれらの状態で、搬送ローラ3がギヤ41〜48によって伝達されるモータ10の駆動力を受けて回転し、光ディスク2を光ディスクドライブ3および光ディスクプレーヤ1の内部または外部へ搬送することができ、この搬送の際、ターンテーブル16等のディスクチャック機構に光ディスク2の搬送を邪魔されることはない。
【0042】
さらに、カムスライダ12がディスクチャック機構の一構成部品であるとともに、モータ10の駆動力を搬送ローラ31に伝達する状態と伝達しない状態とを切り替えるための部品でもあり、当該伝達状態の切り替えのために搬送ローラ31の位置を移動させる必要がないので、従来に比べて部品点数が少なくなり、構造が簡単になる。また加えて、カムスライダ12が移動してギヤ列40の1のギヤ46に対して当接しまたは離間することで、当該ギヤ46がカムスライダ12の押圧力またはコイルばね19の弾性力によって軸方向U、Dへ移動して、隣接するギヤ47に噛み合いまたは噛み合わなくなり、搬送ローラ31へのモータ10の駆動力の伝達経路が切断されまたは連結されるので、搬送ローラ31へのモータ10の駆動力の伝達状態を切り替えるための構造がより簡単になる。
【0043】
よって、光ディスク2の記録情報の再生を行う際に、部品点数が少なく簡単な構造で、ギヤ47、48および搬送ローラ31を動作させないようにすることが可能となる。またこの結果、光ディスク2の記録情報の再生を行う際に、モータ10にかかる負荷と電力消費量と騒音とをそれぞれ低減することが可能となる。
【0044】
本発明は、以上述べた実施形態以外にも種々の形態を採用することができる。例えば、以上の実施形態では、搬送ローラ31の回転により、光ディスク2を内部または外部へ搬送するスロットイン方式のディスク搬送機構を備えた光ディスクドライブ3および光ディスクプレーヤ1に、本発明を適用した例を挙げているが、本発明は、これ以外にも、搬送ローラに代えて、光ディスクが載置されるトレイの移動により、光ディスクを内部または外部へ搬送するトレイ方式のディスク搬送機構や、光ディスクを保持するホルダの移動により、光ディスクを内部または外部へ搬送するホルダ方式のディスク搬送機構を備えた光ディスク処理装置に適用することが可能である。
【0045】
図6は、上記のような他の実施形態を示す図である。なお、図中、前述の図2〜図5Bに示した部分と同一部分には、同一符号を付してある。図6において、50は従来のトレイまたはホルダに相当するトレイホルダである。このトレイホルダ50は、上面に設けられた受け部50aに光ディスク2を受けて保持する。トレイホルダ50の下面には、前述のギヤ列40の一構成部品であるギヤ48と噛み合うラック部50bが設けられている。光ディスク2の記録情報を再生する際は、図6(a)に示すようにカムスライダ12がL方向へ移動することにより、リブ部12aがギヤ46から離間し、ギヤ46がコイルばね19の弾性力によって上方Uへ移動してギヤ47と噛み合わなくなり、ギヤ47、48およびトレイホルダ50へのモータ10の駆動力の伝達経路が切断状態となる。また、光ディスク2を光ディスクドライブ3の内部または外部へ搬送する際は、図6(b)に示すようにカムスライダ12がR方向へ移動することにより、リブ部12aがギヤ46に当接し、ギヤ46がカムスライダ12から受ける押圧力によって下方Dへ移動してギヤ47と噛み合い、ギヤ47、48およびトレイホルダ50へのモータ10の駆動力の伝達経路が連結状態となる。
【0046】
以上の実施形態では、光ディスク2の記録情報を再生する据置型の光ディスクプレーヤ1に、本発明を適用した例を挙げているが、本発明は、これ以外にも、光ディスクに情報を記録する光ディスクレコーダや、テレビ、PC、車等に組み込まれる光ディスクドライブユニットのような光ディスク処理装置に適用することが可能である。つまり、本発明に係る光ディスク処理装置には、光ディスクプレーヤ1のような最終製品だけでなく、光ディスクドライブのような組み込みユニットも含まれ、要するに、光ピックアップにより光ディスクに対して情報の処理が行える装置であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】光ディスクプレーヤと光ディスクを示す図である。
【図2】光ディスクドライブの上ケースの図示を省略した平面図である
【図3A】光ディスクドライブのギヤ列とカムスライダの近傍の平面図である。
【図3B】光ディスクドライブのギヤ列とカムスライダの近傍の平面図である。
【図3C】光ディスクドライブのギヤ列とカムスライダの近傍の平面図である。
【図3D】光ディスクドライブのギヤ列とカムスライダの近傍の平面図である。
【図4】光ディスクドライブのギヤ列近傍の斜視図である。
【図5A】光ディスクドライブのカムスライダ近傍の斜視図と正面図である。
【図5B】光ディスクドライブのカムスライダ近傍の斜視図と正面図である。
【図6】他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 光ディスクプレーヤ
2 光ディスク
3 光ディスクドライブ
10 単一のモータ
11 シャーシ
12 カムスライダ
16 ターンテーブル
19 コイルばね
20 光ピックアップ
21 上ラックスライダ
22 下ラックスライダ
31 搬送ローラ
40 ギヤ列
46 1のギヤ
47 他のギヤ
50 トレイホルダ
B、F光ディスクの径方向
D 1のギヤの他方の軸方向
L ギヤ列から離れる方向
R ギヤ列に近づく方向
U 1のギヤの一方の軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクと接触可能に設けた搬送ローラの回転によって光ディスクを当該装置の内部または外部へ搬送するディスク搬送機構と、内部へ搬送した光ディスクを回転可能にチャックするディスクチャック機構と、チャックした光ディスクの径方向へ光ピックアップを往復移動させるピックアップ送り機構と、前記ディスク搬送機構、前記ディスクチャック機構、および前記ピックアップ送り機構をそれぞれ動作させるための駆動力を発生する単一のモータとを備えた光ディスク処理装置において、
複数のギヤから構成され、前記モータが発生した駆動力を前記ディスク搬送機構、前記ディスクチャック機構、および前記ピックアップ送り機構にそれぞれ伝達する経路を有するギヤ列と、
前記ディスクチャック機構の一構成部品であって、前記ギヤ列によって伝達された前記モータの駆動力を受けて前記ギヤ列に対して近づく方向または離れる方向へ往復移動するカムスライダと、
前記ギヤ列の1のギヤを隣接する他のギヤから離間させる一方の軸方向へ付勢するばねと、を備え、
光ディスクを搬送する際に、前記カムスライダが前記モータの駆動力を受けて前記ギヤ列に近づく方向へ移動することにより、前記光ディスクがチャック解除状態になり、かつ、前記カムスライダが前記1のギヤに当接して当該1のギヤを押圧し、当該1のギヤが前記一方の軸方向とは反対の他方の軸方向へ移動して前記他のギヤに噛み合い、前記ディスク搬送機構への前記モータの駆動力の伝達経路が連結状態になり、
光ピックアップにより光ディスクに対して情報の処理を行う際に、前記カムスライダが前記モータの駆動力を受けて前記ギヤ列から離れる方向へ移動することにより、前記光ディスクがチャック状態になり、かつ、前記カムスライダが前記1のギヤから離間し、当該1のギヤが前記ばねの付勢力によって前記一方の軸方向へ移動して前記他のギヤに噛み合わなくなり、前記ディスク搬送機構への前記モータの駆動力の伝達経路が切断状態になることを特徴とする光ディスク処理装置。
【請求項2】
光ディスクを当該装置の内部または外部へ搬送するディスク搬送機構と、内部へ搬送した光ディスクを回転可能にチャックするディスクチャック機構と、チャックした光ディスクの径方向へ光ピックアップを往復移動させるピックアップ送り機構と、前記ディスク搬送機構、前記ディスクチャック機構、および前記ピックアップ送り機構をそれぞれ動作させるための駆動力を発生する単一の駆動源とを備えた光ディスク処理装置において、
複数のギヤから構成され、前記駆動源が発生した駆動力を前記ディスク搬送機構、前記ディスクチャック機構、および前記ピックアップ送り機構にそれぞれ伝達する経路を有するギヤ列と、
前記ディスクチャック機構の一構成部品であって、前記ギヤ列によって伝達された前記駆動源の駆動力を受けて往復移動することにより、前記光ディスクをチャック状態またはチャック解除状態にし、かつ、前記ギヤ列の1のギヤに対して当接しまたは離間して当該1のギヤを軸方向へ移動させ、前記ディスク搬送機構への前記駆動源の駆動力の伝達経路を切断状態または連結状態にするスライド部材と、を備えたことを特徴とする光ディスク処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光ディスク処理装置において、
前記ギヤ列の前記1のギヤを隣接する他のギヤから離間させる一方の軸方向へ付勢する付勢部材を備え、
光ディスクを搬送する際に、前記スライド部材が前記駆動源の駆動力を受けて前記ギヤ列に近づく方向へ移動することにより、前記光ディスクがチャック解除状態になり、かつ、前記スライド部材が前記1のギヤに当接して当該1のギヤを押圧し、当該1のギヤが前記一方の軸方向とは反対の他方の軸方向へ移動して前記他のギヤに噛み合い、前記ディスク搬送機構への前記駆動源の駆動力の伝達経路が連結状態になり、
光ピックアップにより光ディスクに対して情報の処理を行う際に、前記スライド部材が前記駆動源の駆動力を受けて前記ギヤ列から離れる方向へ移動することにより、前記光ディスクがチャック状態になり、かつ、前記スライド部材が前記1のギヤから離間し、当該1のギヤが前記付勢部材の付勢力によって前記一方の軸方向へ移動して前記他のギヤに噛み合わなくなり、前記ディスク搬送機構への前記駆動源の駆動力の伝達経路が切断状態になることを特徴とする光ディスク処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−202455(P2006−202455A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16155(P2005−16155)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】