説明

光ディスク制御装置、集積回路、光ディスク装置、及び光ディスク制御方法

【課題】中点エラー信号を生成する光ディスク制御装置を小型化する。
【解決手段】中点エラー信号取得部206は、第1のトラッキングエラー信号取得部202により取得された第1のトラッキングエラー信号と、第2のトラッキングエラー信号取得部203により取得された第2のトラッキングエラー信号とに基づいて、中点エラー信号CEを取得する。中点エラー信号補正部207bは、アクチュエータ106により対物レンズ105を移動させず、かつ光ディスク700を回転させた状態で中点エラー信号取得部206により取得された中点エラー信号CEの周期を測定し、測定した周期が中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い所定の第1周波数に対応する所定の周期以上である場合に、シーク制御時に、中点エラー信号CEから、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い所定の第2周波数を超える周波数の成分を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置においてトラッキング制御及び中点制御を実行する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光ピックアップに内蔵された対物レンズの軸ずれを制御する中点制御を行う信号処理回路が開示されている。この信号処理回路は、中点センサのような新たなセンサを使用することなく、1スポットのビームでプッシュプル法によりトラッキングエラーを求め、この際に検出されるオフセット値を用いて中点エラー信号を生成する。詳しくは、上記信号処理回路は、トラックと垂直な方向に分割された光検出器の受光素子の出力A,Dに基づいて、右側ウォブルの振幅信号Dwと左側ウォブルの振幅信号Awとを検出するとともに、ウォブルの振幅信号(A−D)wを検出する。そして、右側ウォブル及び左側ウォブルの振幅信号の差Aw−Dwを上記ウォブルの振幅信号(A−D)wで除算し、さらに係数Kを乗じることによりトラッキングエラーオフセット信号を求め、このトラッキングエラーオフセット信号に基づいて中点エラー信号を生成する。
【0003】
なお、特許文献2では、トラッキングエラー信号をトップホールド方式で検出することによって、対物レンズの軸ずれが発生してもトラッキングエラー信号にDCオフセットが重畳しないようにしている。この特許文献2では、トップホールド係数が周波数によって可変に決定され、このトップホールド係数のゲインがローブーストフィルタによって補償される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−259447号公報
【特許文献2】特開平10−198979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1では、中点エラー信号を生成するために、ウォブルの振幅信号Aw,Dw,(A−D)wを検出する回路、及び振幅信号の差Aw−Dwを上記ウォブルの振幅信号(A−D)wにより除算する除算回路が必要となるので、回路の大型化を招く。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、中点エラー信号を生成する装置を小型化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の1態様に係る光ディスク制御処理は、装填される光ディスクの記録面に主ビーム及び副ビームを集光させる対物レンズと、該対物レンズをトラックに垂直な方向に移動させるアクチュエータとを備えた光ディスク装置において、前記主ビームの照射スポットと前記光ディスクのトラックの中心との位置ずれ量を0に近付けるように前記アクチュエータの駆動信号を導出するトラッキング制御をトラッキングエラー補正信号に基づいて実行するとともに、前記主ビーム及び副ビームのうちの少なくとも一方の照射スポットの軸ずれ量を0に近付けるように前記アクチュエータの駆動信号を導出する中点制御を中点エラー信号に基づいて実行する光ディスク制御処理であって、前記光ディスク装置は、前記光ディスクのトラックに対して垂直な方向に並んだ複数の受光領域が形成され、当該各受光領域は、前記光ディスクに照射した主ビームの反射光を受光する主受光素子と、前記光ディスクのトラックに対して垂直な方向に並んだ複数の受光領域が形成され、当該各受光領域は、前記光ディスクに照射した副ビームの反射光を受光する副受光素子とを備え、当該光ディスク制御処理は、前記主受光素子の複数の受光面における受光量に基づいて、第1のトラッキングエラー信号を取得する第1のトラッキングエラー信号取得処理と、前記副受光素子の複数の受光面における受光量に基づいて、第2のトラッキングエラー信号を取得する第2のトラッキングエラー信号取得処理と、前記第1のトラッキングエラー信号取得処理により取得された第1のトラッキングエラー信号と、前記第2のトラッキングエラー信号取得処理により取得された第2のトラッキングエラー信号とに基づいて、前記トラッキングエラー補正信号を導出するトラッキングエラー補正信号導出処理と、前記第1のトラッキングエラー信号取得処理により取得された第1のトラッキングエラー信号と、前記第2のトラッキングエラー信号取得処理により取得された第2のトラッキングエラー信号とに基づいて、前記中点エラー信号を取得する中点エラー信号取得処理を備えていることを特徴とする。
【0008】
この態様によると、第1及び第2のトラッキングエラー信号取得処理が、トラッキングエラー補正信号の取得、及び中点エラー信号の取得のために共用され、中点エラー信号の取得のために、特許文献1のようにウォブルの振幅信号を検出する処理や除算処理等、大規模な回路を必要とする処理を別途設ける必要がない。したがって、光ディスク装置を小型化できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、中点エラー信号を生成する装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る光検出器の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るディスクの部分拡大斜視図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る集積回路の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るマイコン部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るトラック深さと第1のトラッキングエラー信号のレベルとの関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態1に係る光ディスク装置のトラッキング駆動系のモデルを示す模式図である。
【図8】本発明の実施形態1に係る光ディスク装置のトラッキング駆動系を表すブロック線図である。
【図9】(a)は、1次の低域通過フィルタのゲイン特性を示すグラフである。(b)は、1次の低域通過フィルタの位相特性を示すグラフである。
【図10】(a)は、本発明の実施形態1に係る第1のトラッキングエラー信号を示すタイミングチャートである。(b)は、本発明の実施形態1に係る第2のトラッキングエラー信号を示すタイミングチャートである。(c)は、本発明の実施形態1に係るトラッキング制御部により導出される駆動信号を示すタイミングチャートである。(d)は、本発明の実施形態1に係るトラッキングエラー補正信号を示すタイミングチャートである。
【図11】(a)は、本発明の実施形態1に係る第1のトラッキングエラー信号を示すタイミングチャートである。(b)は、本発明の実施形態1に係る第2のトラッキングエラー信号を示すタイミングチャートである。(c)は、本発明の実施形態1に係るトラッキング制御部により導出される駆動信号を示すタイミングチャートである。(d)は、本発明の実施形態1に係る中点エラー信号を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の実施形態1に係るマイコン部による切替え信号の決定処理を示すフローチャートである。
【図13】(a)は、本発明の実施形態1に係る中点エラー信号を示すタイミングチャートである。(b)は、本発明の実施形態1に係る2値化パルス信号を示すタイミングチャートである。(c)は、本発明の実施形態1に係るエッジ検出部により出力されるタイミング信号を示すタイミングチャートである。(d)は、本発明の実施形態1に係るカウンタ部により出力される間隔信号を示すタイミングチャートである。(e)は、本発明の実施形態1に係る周期最大値保存部により保存されている周期最大値を示すタイミングチャートである。(f)は、本発明の実施形態1に係るリセット信号を示すタイミングチャートである。
【図14】(a)は、本発明の実施形態1に係るシーク制御状態及びトラッキング制御状態にマイコン部により出力される制御切替え信号を示すタイミングチャートである。(b)は、本発明の実施形態1に係るシーク制御状態及びトラッキング制御状態にスレッド駆動部により出力される駆動電流を示すタイミングチャートである。(c)は、本発明の実施形態1に係るシーク制御状態及びトラッキング制御状態にアクチュエータ駆動部により出力される駆動電流を示すタイミングチャートである。(d)は、本発明の実施形態1に係るシーク制御状態及びトラッキング制御状態の第1のトラッキングエラー信号を示すタイミングチャートである。
【図15】本発明の実施形態2に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施形態2に係るマイコン部の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の実施形態2に係るマイコン部による切替え信号の決定処理を示すフローチャートである。
【図18】(a)は、本発明の実施形態2に係る(STEP141)から(STEP144)までの処理が実行されるときにマイコン部により出力される制御切替え信号を示すタイミングチャートである。(b)は、本発明の実施形態2に係る(STEP141)から(STEP144)までの処理が実行されるときにアクチュエータ駆動部により出力される駆動電流を示すタイミングチャートである。(c)は、本発明の実施形態2に係る(STEP141)から(STEP144)までの処理が実行されるときに中点エラー信号取得部により取得される中点エラー信号を示すタイミングチャートである。
【図19】本発明の実施形態3に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の実施形態3に係るマイコン部の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の実施形態3に係るマイコン部による切替え信号の決定処理を示すフローチャートである。
【図22】本発明の実施形態3の変形例に係るマイコン部による切替え信号の決定処理を示すフローチャートである。
【図23】本発明の実施形態4に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の実施形態4に係る集積回路の構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の実施形態5に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図26】本発明の実施形態5に係る集積回路の構成を示すブロック図である。
【図27】本発明の実施形態5に係る中点制御部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0012】
《実施形態1》
本発明の実施形態1に係る光ディスク装置は、図1に示すように、光ピックアップ100、集積回路200、アクチュエータ駆動部300、スレッド駆動部400、スレッドモータ500、及びディスクモータ600を備え、装填された光ディスク700に対してデータの記録及び再生を行うようになっている。光ディスク700は、例えばDVD−Rディスク、DVD−RWディスク、DVD+Rディスク、DVD+RWディスク、DVD−RAMディスク等、記録再生可能でトラックを有するディスクである。
【0013】
光ピックアップ100は、光ディスク700にレーザ光を照射し、光ディスク700からの反射光を受光してその受光量を出力する。集積回路200は、光ピックアップ100により出力される受光量に基づいてアクチュエータ駆動信号ACTを出力し、アクチュエータ駆動部300は、このアクチュエータ駆動信号ACTに応じた駆動電流ACTDRVを出力する。また、集積回路200のマイコン部208(後述する)は、スレッド駆動信号SLDRVを出力し、スレッド駆動部400は、このスレッド駆動信号SLDRVに基づいてスレッドモータ500を駆動する駆動電流SLDDRVを出力し、スレッドモータ500はこの駆動電流SLDDRVに基づいて光ピックアップ100を光ディスク700の径方向に移動させる。
【0014】
ディスクモータ600は、所定の回転速度で光ディスク700を回転させる。
【0015】
<光ピックアップ>
詳しくは、光ピックアップ100は、半導体レーザ101、コリメータレンズ102、偏光ビームスプリッタ(PBS:polarization beam splitter)103、波長板104、対物レンズ105、アクチュエータ106、検出レンズ107、及び光検出器108を備えている。
【0016】
半導体レーザ101は、レーザ駆動部(図示せず)からの電流出力に応じて、記録・再生に必要な光強度の光ビーム、例えば波長650nm(ナノ・メートル)のレーザ光を出射する光源である。
【0017】
アクチュエータ106は、アクチュエータ駆動部300により出力された駆動電流ACTDRVに基づいて、対物レンズ105をトラックに垂直な方向(径方向)に移動させる。また、アクチュエータ106は、対物レンズ105をフォーカス方向に移動させる制御や対物レンズ105を記録面に対して傾ける制御を行なうが、これらの制御、即ちフォーカス制御及びチルト制御に関する説明は省略する。
【0018】
光検出器108は、図2に示すように、主受光素子としてのメイン光検出器108aと、副受光素子としての第1サブ光検出器108b及び第2サブ光検出器108cとを備えている。メイン光検出器108a、第1サブ光検出器108b、及び第2サブ光検出器108cの受光面は、それぞれ、装填された光ディスク700のトラックに対して垂直な方向、すなわち径方向(図3中、Radial方向と示す)に2分割されており、メイン光検出器108aはトラック方向(図3中、Tandential方向と示す)にも2分割されている。したがって、メイン光検出器108aには、図2において左上から時計回りに4つの受光領域108d〜108gが前記径方向及びトラック方向に2つずつ並ぶように形成されている。第1サブ光検出器108bの受光面には、2つの受光領域108h,iが前記径方向に並ぶように形成され、第2サブ光検出器108cの受光面には、2つの受光領域108j,kが前記径方向に並ぶように形成されている。光検出器108は、さらに、各受光領域108d〜kの受光量に応じた電流を生成する光電流生成部(P−I変換部)108lと、各光電流変換部108lにより生成された電流を電圧に変換する電流電圧変換部(I−V変換部)108mとを、受光領域108d〜k毎に備えている。受光領域108d〜kに対応する電流電圧変換部108mの出力は、図2に示すように、順にアナログ信号Aa〜Haとして示される。
【0019】
半導体レーザ101により出射されたレーザ光(出射光)は、コリメータレンズ102によって平行光にされ、PBS103によって主ビーム及び2つの副ビームに分離される。主ビームの光強度は副ビームの光強度よりも強く、その比率はおよそ1:0.35である。そして、これら主ビーム及び2つの副ビームは、それぞれ波長板104を通り、対物レンズ105によって光ディスク700に集められる。このとき、対物レンズ105は、図3に示すように、データの記録又は再生に実際に使用するトラック701に主ビームを集光するとともに、トラック701から0.5トラックずれたトラック702、703に副ビームを集光する。図3中、トラック701における主ビームの照射スポットを704、トラック702における副ビームの照射スポットを705、トラック703における副ビームの照射スポットを706で示す。
【0020】
一方、光ディスク700からの反射光は、対物レンズ105及び波長板104を通り、PBS103で出射光の光路から分離されて、検出レンズ107に導かれる。検出レンズ107は、±1次光を光検出器108に導く。光検出器108は、検出レンズ107により導かれた光信号を電気信号に変換して出力する。詳しくは、照射スポット704からの反射光、すなわち主ビームの反射光はメイン光検出器108aに導かれ、照射スポット705からの反射光、すなわち副ビームの反射光は第1サブ光検出器108bに導かれ、照射スポット706からの反射光、すなわち副ビームの反射光は第2サブ光検出器108cに導かれる。
【0021】
<集積回路>
図4は、集積回路200の詳細な構成を示す。
【0022】
集積回路200は、図1及び図4に示すように、AD変換器201、第1のトラッキングエラー信号取得部202、第2のトラッキングエラー信号取得部203、トラッキングエラー補正信号導出部204、トラッキング制御部205、中点エラー信号取得部206、低域通過フィルタ部207、マイコン部208、中点制御部209、及び切替えスイッチ210を備えている。
【0023】
AD変換器201は、光検出器108により出力されたアナログ信号Aa〜Haをそれぞれ8ビットのデジタル信号Aa〜Hdに変換する。つまり、アナログ信号Aa信号は、8ビットのデジタル信号Adに変換され、同様にアナログ信号Ba〜Haもデジタル信号Bd〜Hdに変換される。
【0024】
第1のトラッキングエラー信号取得部202は、AD変換器201により出力されたデジタル信号Ad〜Ddに基づいて、以下の式(1)により第1のトラッキングエラー信号TE1を取得する。
【0025】
TE1=(Ad+Dd)−(Bd+Cd) ・・・(1)
第2のトラッキングエラー信号取得部203は、AD変換器201により出力されたデジタル信号Ed〜Hdに基づいて、以下の式(2)により第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)を取得する。
【0026】
K×TE2=K×{(Ed−Fd)+(Gd−Hd)} ・・・(2)
このとき、第2のトラッキングエラー信号取得部203は、次の式(3)により得られるトラッキングエラー補正信号TEの振幅の中心が0となるように係数Kを決定する。
【0027】
TE=TE1−K×TE2 ・・・(3)
トラッキングエラー補正信号導出部204は、第1のトラッキングエラー信号取得部202により取得された第1のトラッキングエラー信号TE1と第2のトラッキングエラー信号取得部203により取得された第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)とに基づいて、上記式(3)の演算を行い、トラッキングエラー補正信号TEを算出する。トラッキングエラー補正信号TEは、第1のトラッキングエラー信号TE1と第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)との差動演算結果となる。
【0028】
トラッキング制御部205は、トラッキングエラー補正信号TEに基づいて、主ビームの照射スポット704と光ディスク700のトラック701の中心との位置ずれ量を0に近付けるように駆動信号TRDRVを導出する。具体的には、トラッキング制御部205は、トラッキングエラー補正信号TEをほぼ0にするように駆動信号TRDRVを導出する。トラッキング制御状態では、照射スポット704,705,706が光ディスク700のトラック上を走査する。
【0029】
中点エラー信号取得部206は、第1のトラッキングエラー信号取得部202により取得された第1のトラッキングエラー信号TE1と、第2のトラッキングエラー信号取得部203により取得された第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)とに基づいて、中点エラー信号CEを以下の式(4)が成立するように取得する。中点エラー信号CEは、第1のトラッキングエラー信号TE1と第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)との加算演算結果となる。
【0030】
CE=TE1+K×TE2 ・・・(4)
低域通過フィルタ部207は、前記中点エラー信号取得部206により出力された中点エラー信号CEに対してフィルタ処理を施して中点エラー信号CEの低周波数成分を出力する一次のLPF(Low-pass filter)207aを備えている。後述する切替え信号LPFがH(High)レベルの場合には、低域通過フィルタ部207は、該LPF207aの出力である低周波数成分を中点エラー補正信号CECとして出力する一方、後述する切替え信号LPFがL(Low)レベルの場合には、中点エラー信号取得部206により出力された中点エラー信号CEをそのまま中点エラー補正信号CECとして出力する。LPF207aのカットオフ周波数(第2周波数、所定の周波数)は500Hzに設定される。LPF207aによるフィルタ処理は、所定のカットオフ周波数を超える周波数の成分を低減させるものである。なお、このフィルタ処理は、カットオフ周波数を超える周波数の成分を完全に除去するものであってもよいし、一部を除去するものであってもよい。また、このカットオフ周波数は、500Hzに限らず、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い周波数であればよい。
【0031】
中点制御部209は、トラッキングエラー補正信号TEに基づいて、対物レンズ105の軸ずれ量を0に近付けるように駆動信号TRDRVを導出する。具体的には、中点制御部209は、低域通過フィルタ部207の出力、すなわち中点エラー補正信号CECをほぼ0にするように駆動信号CEDRVを導出する。
【0032】
マイコン部208は、中点エラー信号取得部206により出力された中点エラー信号CEに重畳する変調成分の周期を測定し、測定した周期に基づいて、低域通過フィルタ部207に前記低周波数成分と中点エラー信号CEとのうちのいずれを出力させるかを示す切替え信号LPFを出力する。
【0033】
マイコン部208は、図5に示すように、2値化部208a、エッジ検出部208b、カウンタ部208c、周期最大値保存部208d、及び遮断周波数決定部208eを備えている。2値化部208a、エッジ検出部208b、カウンタ部208c、及び周期最大値保存部208dにより、周期測定部208fが構成されている。
【0034】
2値化部208aは、中点エラー信号取得部206により出力された中点エラー信号CEを0を閾値として2値化することにより2値化パルス信号を取得する。なお、2値化に用いられる閾値は、0、すなわち軸ずれ量が0のときの中点エラー信号CEの値に限らず、0以外の値に設定してもよい。
【0035】
エッジ検出部208bは、2値化部208aにより取得された2値化パルス信号の立ち上がりエッジを検出し、立ち上がりのタイミングを示すタイミング信号を出力する。
【0036】
カウンタ部208cは、エッジ検出部208bにより出力されたタイミング信号に基づいて、2値化パルス信号の立ち上がりのタイミングの間隔時間を固定クロックを用いてカウント(計測)してそのカウント値(間隔時間)を示す間隔信号を出力する。
【0037】
周期最大値保存部208dは、カウンタ部208cの間隔信号が更新される毎に、カウンタ部208cにより出力された間隔信号により示された間隔時間と、それまでに保存していた周期最大値とを比較し、間隔時間がその周期最大値よりも大きい場合にはその周期最大値を間隔信号により示される間隔時間に更新して保存する。一方、間隔時間が既に保存している周期最大値以下である場合には、その周期最大値を更新しない。
【0038】
そして周期最大値保存部208dは、所定の中点エラー周期測定時間を経過した後に、保存していた周期最大値を出力する。つまり、周期最大値保存部208dは、前記中点エラー周期測定時間内に計測された間隔時間の最大値を周期として取得する。
【0039】
遮断周波数決定部208eは、周期最大値保存部208dにより出力(取得)された周期最大値が予め設定された周期TH以上であるか否かを判定し、判定結果に基づいて、前記切替え信号LPFを出力する。ここで、周期THは、500Hzに相当する2msec(ミリ秒)に設定される。なお、この周期THは、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い所定の周波数(第1周波数)に対応する周期であれば、他の周期に設定してもよい。周期最大値が周期TH以上である場合には、切替え信号LPFは、Hレベルとなり、低域通過フィルタ部207にLPF207aの出力である低周波数成分を出力させるものとなる。一方、周期最大値が周期TH未満である場合には、切替え信号LPFは、Lレベルとなり、低域通過フィルタ部207に中点エラー信号CEをそのまま出力させるものとなる。
【0040】
なお、マイコン部208は図示しないリセット(RESET)信号発行部を内蔵し、このリセット信号発行部がリセット信号を発行すると、カウンタ部208cのカウント値と周期最大値保存部208dにより保存されている周期最大値とがリセット(ゼロクリア)される。
【0041】
また、マイコン部208は、シーク時に、光ピックアップ100を光ディスク700の径方向に移動させるためにスレッド駆動信号SLDRVを出力する。
【0042】
さらに、マイコン部208は、トラッキング制御時には、トラッキング制御部205により出力された駆動信号TRDRVを選択する制御切替え信号SWを出力する一方、シーク制御時には、中点制御部209により出力される駆動信号CEDRV(後述する)を選択する制御切替え信号SWを出力する。具体的には、制御切替え信号SWは、トラッキング制御時にはHレベルになる一方、シーク制御時にはLレベルとなる。なお、トラッキング制御は、光ディスク700に情報を記録する時、光ディスク700に記録された情報を再生する時、及びスタンバイ状態において実行される。
【0043】
上記低域通過フィルタ部207とマイコン部208とで、中点エラー信号補正部207bが構成されている。
【0044】
切替えスイッチ210は、マイコン部208により出力された制御切替え信号SWにより選択された駆動信号TRDRV,CEDRVを出力する。具体的には、制御切替え信号SWがHレベルであるときには、トラッキング制御部205により出力された駆動信号TRDRVを出力する一方、制御切替え信号SWがLレベルであるときには、中点制御部209により出力された駆動信号CEDRVを出力する。上述のアクチュエータ106は、切替えスイッチ210により出力された駆動信号TRDRV,CEDRVにより示された移動量分、対物レンズ105をトラックに垂直な方向に移動させる。
【0045】
上述のように構成された光検出器108と、集積回路200と、アクチュエータ駆動部300と、スレッド駆動部400とで、光ディスク制御装置800が構成されている。
【0046】
<トラッキングエラー信号TE>
上述のように、第1のトラッキングエラー信号TE1はプッシュプル方式で検出されるので、図6に示すように、そのレベルはトラック深さによって異なる。主ビームの波長をλとすると、トラック深さがλ/4のとき、即ちトラック深さによる回折が最も有効で変調成分が最大になるときに、第1のトラッキングエラー信号が0になる。一方、トラック深さがλ/8のとき、第1のトラッキングエラー信号TE1を最も効率良く取得できる。
【0047】
対物レンズ105のみを光ディスク700のトラックを横切る方向に移動(以下、レンズシフトと記す)させた場合、光検出器108に入射した光ビームが光検出器108上で移動して、レンズシフトの距離に応じた量のDCオフセットが、第1のトラッキングエラー信号TE1に重畳する。また、このDCオフセットの量も、図6で示したように、対物レンズ105の移動距離が同じであっても、トラックの溝深さが異なっていれば、異なったものとなる。
【0048】
したがって、光ディスク装置に装填される光ディスク700の種類によって、プッシュプル信号である第1のトラッキングエラー信号TE1の変調成分、及びレンズシフトにより生じるDCオフセットの量が異なる。また同じ種類の光ディスク700を用いた場合でも個体ばらつきに応じて、各光ディスク700の変調成分とDCオフセットの量とが異なる。
【0049】
さらに、第1のトラッキングエラー信号TE1、第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)、及びトラッキングエラー信号TEの変調成分の周波数は、主ビーム及び副ビームがトラックを横断する周波数によって決定される。即ち、対物レンズ105を停止させた状態での変調成分の周波数は、光ディスク700の偏芯量と、ディスクモータ600の所定時間あたりの回転数、すなわち回転速度とに依存する。
【0050】
第1のトラッキングエラー信号TE1、第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)、及びトラッキングエラー補正信号TEの変調成分の周波数は、光ディスク700の偏芯量の増加、及びディスクモータ600の回転の高速化にともなって高くなる一方、光ディスク700の偏芯量の減少、及びディスクモータ600の回転の低速化にともなって低くなる。
【0051】
第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)には、第1のトラッキングエラー信号TE1に重畳した変調成分の逆位相の変調成分が重畳される。また、対物レンズ105の軸ずれにより第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)に重畳するDCオフセットの極性は、第1のトラッキングエラー信号TE1に重畳するDCオフセットと等しくなる。主ビームの光強度は副ビームの光強度よりも強いので、係数Kを1としたときの第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)の変調成分の振幅は第1のトラッキングエラー信号TE1の変調成分の振幅よりも小さい。
【0052】
トラッキングエラー補正信号TEの変調成分は、第1のトラッキングエラー信号TE1の変調成分から、逆位相の第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)の変調成分を引くことによって算出されるので強調される。一方、トラッキングエラー補正信号TEのDCオフセットは、係数Kがトラッキングエラー補正信号TEの振幅の中心が0となるように決定されるので、0となる。
【0053】
<トラッキング駆動系>
図7は、本実施形態1に係る光ディスク装置のトラッキング駆動系のモデルを示す。
【0054】
アクチュエータ(図7には図示せず)106は、ばね定数Ktの板バネ109及びダンピング係数Dtのダンパー(Damper)110により支持されており、いわゆるレンズ並進方式アクチュエータを構成している。このトラッキング駆動系には、スレッドモータ500とアクチュエータ106とを相補的に駆動して、主ビーム及び副ビームの照射スポット704〜706を所望のトラックに追従させる2段サーボ方式が採用されている。図7中、x(t)は、スレッドモータ500の原点に対する相対位置を示し、x(t)は、アクチュエータ106の原点に対する相対位置を示す。
【0055】
ここで、図7に示すトラッキング駆動系において、スレッドモータ系にダンパーがないと想定し、かつ光ピックアップ100に対するスレッドモータ500の質量比が大きいことを考慮してアクチュエータ106からスレッドモータ500への反力を無視した場合、スレッドモータ500及びアクチュエータ106についてのラプラス変換後の運動方程式は、以下の式(5−1)、(5−2)のようになる。
【0056】
【数1】

【0057】
式(5−1)、(5−2)中、Fs(s)はスレッドモータ500の駆動信号SLDDRV、Ft(s)はアクチュエータ106の駆動電流ACTDRV、Xs(s)は原点からのスレッドモータ500の相対位置、Xt(s)はスレッドモータ500の原点からのアクチュエータ106の相対位置を示す。また、mはスレッドモータ500の質量、mは光ピックアップ100の質量、Dtはダンパー110のダンパー係数、Ktは板バネ109のバネ定数である。
【0058】
このトラッキング駆動系を表すブロック線図を図8に示す。
【0059】
上記式(5−1)、(5−2)、及び図8に示すように、レーザの照射スポット704、705、706の位置は、スレッドモータ500への駆動信号SLDDRVにより光ピックアップ100全体を駆動する系と、アクチュエータ106の駆動電流ACTDRVにより対物レンズ105を駆動する系とにより決定される。更に、スレッドモータ500の駆動信号SLDDRVは、対物レンズ105を駆動する系の出力(位置)にも影響している。
【0060】
中点制御は、スレッドモータ500の駆動したときの対物レンズ105の出力(位置)へのこのような影響を抑制することを目的とする。即ち、中点制御は、図8に示すFs(s)からXt(s)への影響を抑制することを目的とする。
【0061】
また、上記式(5−1)、(5−2)、及び図8に示すように、シーク制御等によりスレッドモータ500を駆動したときの対物レンズ105の軸ずれ量において、アクチュエータ106の1次共振周波数成分が支配的となる。
【0062】
一般的に、光ディスク装置の光ピックアップ100に搭載されるアクチュエータ106のトラッキング1次共振周波数は50〜80[Hz]程度である。したがって、上記1次共振周波数で変化する対物レンズ105の軸ずれを制御する中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数は、およそ100[Hz]から200[Hz]に設計されるケースが多い。
【0063】
一方、中点エラー信号CEは式(4)により求められるので、照射スポット704、705、706が光ディスク700のトラックを横断することにより、その横断速度の周波数成分が変調成分となって重畳する。この横断速度は、光ディスク700の偏芯量とディスクモータ600の回転速度とに比例する。したがって、光ディスク700の偏芯量が小さい場合や、ディスクモータ600の回転速度が低い場合等、横断速度が低く、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数の変調成分が中点エラー信号CEに重畳する場合には、本来制御しなければならない対物レンズ105の軸ずれとは異なる成分も制御の対象となってしまい、制御誤差を招く。
【0064】
一方、光ディスク700の偏芯量が大きい場合や、ディスクモータ600の回転速度が高い場合等、横断速度が高く、中点制御の帯域よりも高い周波数成分をもつ変調成分が中点エラー信号CEに重畳する場合には、これらの変調成分が中点制御動作時に不要な消費電流となる。
【0065】
<低域通過フィルタ部>
ここで、低域通過フィルタ部207の設計方法について説明する。なお、本実施形態で使用するアクチュエータ106のトラッキング1次共振周波数は60±20[Hz]であり、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数を100[Hz]に設定するものと仮定する。
【0066】
図9(a)は、1次の低域通過フィルタのゲイン特性(周波数特性)を示し、同図中、縦軸は低域通過フィルタのゲインを示し、横軸は周波数を示す対数軸である。また、図9(b)は、1次の低域通過フィルタの位相特性(周波数特性)を示し、同図中、縦軸は低域通過フィルタの位相を示し、横軸は周波数を示す対数軸である。
【0067】
図9(a)に示すように、低域通過フィルタは、カットオフ周波数fcにおいてゲインが−3[dB]となり、カットオフ周波数よりも高い周波数においてゲインが−20[dB/dec]で単調減少する特性を有する。一方、図9(b)に示すように、低域通過フィルタの位相特性は、カットオフ周波数fcの5分の1に相当する周波数fc/5において位相遅れが始まり、カットオフ周波数fcにおいて45[deg]位相が遅れ、カットオフ周波数fcの5倍相当の周波数5fcにおいて90[deg]弱位相が遅れ、それよりも周波数が高くなるにつれて位相遅れが90[deg]に集束する。
【0068】
LPF207aのカットオフ周波数fcは、(fc/5)=100[Hz]となるように、500Hzに設計される。これにより、図9(a)及び図9(b)に示すように、100[Hz]以下の周波数において、ゲイン及び位相特性が殆ど変化しないので、中点エラー信号CEの中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数よりも低い周波数成分、すなわち100[Hz]に相当する周波数よりも低い周波数成分にLPF207aの影響が及ばず、中点制御にLPF207aの影響が及ばない。したがって、中点エラー信号CEの主な周波数帯域である100[Hz]よりも低い周波数の成分を、そのまま中点制御部209に出力できる。
【0069】
一方、シーク制御時のようにスレッドモータ500が回転して、照射スポット704、705、706のトラック横断速度が上昇し、その結果として中点エラー信号CEに重畳する変調成分の周波数が500[Hz]よりも高くなる場合には、500[Hz]より高い周波数の変調成分をLPF207aによって除去でき、500[Hz]よりも高い周波数の変調成分によって中点制御時に生じる消費電流を抑制できる。
【0070】
また、マイコン部208により周期最大値が周期TH未満であると判定された場合、すなわち、中点エラー信号CEに重畳される変調成分の周波数が500[Hz]以上である場合には、中点エラー信号CEがそのまま中点制御部209に出力される。その結果、シーク制御によりスレッドモータ500が駆動され、スレッドモータ500の駆動により、照射スポット704、705、706のトラック横断速度が上昇し、中点エラー信号CEに重畳する変調成分の周波数が、スレッドモータ500の速度分の周波数だけ増加して500[Hz]以上となる場合、中点制御の周波数特性により、中点制御時の不要な消費電流は無視できる程度になる。
【0071】
<トラッキングエラー補正信号及び中点エラー信号の波形>
図10は、本実施形態に係る光ディスク装置において、光ディスク700が所定速度で回転し、かつフォーカス制御が行われている状態で、対物レンズ105が軸ずれしたときの信号波形を示す。図10(a)は、第1のトラッキングエラー信号TE1の波形、図10(b)は、第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)の波形、図10(c)は、トラッキング制御部205により出力される駆動信号TRKDRVの波形、図10(d)は、トラッキングエラー補正信号TEの波形を示す。フォーカス制御が行われている間、主ビーム及び副ビームが光ディスク700の情報記録面に集光する。
【0072】
また、図11は、本実施形態に係る光ディスク装置において、光ディスク700が所定速度で回転し、かつフォーカス制御が行われている状態で、対物レンズ105が軸ずれしたときの信号波形を示す。図11(a)は、第1のトラッキングエラー信号TE1の波形、図11(b)は、第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)の波形、図11(c)は、トラッキング制御部205により出力される駆動信号TRKDRVの波形、図11(d)は、中点エラー信号TEの波形を示す。
【0073】
なお、前記所定速度は、情報の記録時又は再生時における回転速度である。しかし、前記所定速度が、記録時及び再生時における回転速度以外の速度であっても、図10及び図11のような波形を得られる場合がある。
【0074】
まず、図10(c)及び図11(c)に示すように、時刻t0から時刻t1にかけてアクチュエータ106を駆動する駆動信号TRKDRVを0(ゼロ)にする。これにより、アクチュエータ駆動部300により出力される駆動電流ACTDRVが、対物レンズ105の径方向の移動量を0とする値となり、対物レンズ105はトラックを横断する方向に移動しない。したがって、対物レンズ105の軸ずれは0となり、図10(a)、図11(a)、図10(b)及び図11(b)に示すように、第1のトラッキングエラー信号TE1と第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)の振幅の中心は0となる。その結果、図10(d)に示すように、トラッキングエラー補正信号TEの振幅の中心が0となるとともに、図11(d)に示すように、中点エラー信号CEの振幅の中心も0となる。
【0075】
次いで、図10(c)及び図11(c)に示すように、時刻t1から時刻t2にかけて駆動信号TRKDRVをDRV+とする。これにより、アクチュエータ駆動部300は、この駆動信号TRKDRVに基づいて、対物レンズ105を径方向に移動させる駆動電流ACTDRVをアクチュエータ106に出力し、アクチュエータ106はこの駆動電流ACTDRVに基づいて対物レンズ105をトラックを横断する方向に移動(シフト)させる。その結果、対物レンズ105が軸ずれした状態になり、図10(a)及び図11(a)に示すように、第1のトラッキングエラー信号TE1にDCオフセットOFS+が重畳する。また、係数Kが、トラッキングエラー補正信号TEの信号振幅の中心が図10(d)に示すように0となるように設定されているので、図10(b)及び図11(b)に示すように、第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)にもDCオフセットOFS+が重畳する。したがって、図11(d)に示すように、中点エラー信号CEの振幅の中心は2×OFS+となる。
【0076】
次いで、図10(c)及び図11(c)に示すように、時刻t2から時刻t3にかけて駆動信号TRKDRVを0とする。これにより、アクチュエータ駆動部300により出力される駆動電流ACTDRVが、対物レンズ105の径方向の移動量を0とする値となり、対物レンズ105は径方向に移動しない。したがって、対物レンズ105の軸ずれは0となり、図10(a)、図11(a)、図10(b)及び図11(b)に示すように、第1のトラッキングエラー信号TE1と第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)の振幅の中心は再び0となる。その結果、図10(d)に示すように、トラッキングエラー補正信号TEの振幅の中心が0に維持されるとともに、図11(d)に示すように、中点エラー信号CEの振幅の中心も再び0となる。
【0077】
続いて、図10(c)及び図11(c)に示すように、時刻t3から時刻t4にかけて駆動信号TRKDRVをDRV−とする。これにより、アクチュエータ駆動部300は、この駆動信号TRKDRVに基づいて、対物レンズ105を径方向に移動させる駆動電流ACTDRVをアクチュエータ106に出力し、アクチュエータ106はこの駆動電流ACTDRVに基づいて対物レンズ105をトラック方向に移動(シフト)させる。その結果、対物レンズ105が軸ずれした状態になり、図10(a)及び図11(a)に示すように、第1のトラッキングエラー信号TE1にDCオフセットOFS−が重畳する。また、係数Kが、トラッキングエラー補正信号TEの信号振幅の中心が図10(d)に示すように0となるように設定されているので、図10(b)及び図11(b)に示すように、第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)にもDCオフセットOFS−が重畳する。したがって、図11(d)に示すように、中点エラー信号CEの振幅の中心は2×OFS−となる。
【0078】
最後に、図10(c)及び図11(c)に示すように、時刻t4から時刻t5にかけて、再び駆動信号TRKDRVを0とする。これにより、アクチュエータ駆動部300により出力される駆動電流ACTDRVが、対物レンズ105の径方向の移動量を0とする値となり、対物レンズ105は径方向に移動しない。したがって、対物レンズ105の軸ずれは0となり、図10(a)、図11(a)、図10(b)及び図11(b)に示すように、第1のトラッキングエラー信号TE1と第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)の振幅の中心は再び0となる。その結果、図10(d)に示すように、トラッキングエラー補正信号TEの振幅の中心が0に維持されるとともに、図11(d)に示すように、中点エラー信号CEの振幅の中心も再び0となる。
【0079】
以上のように、対物レンズ105が軸ずれした状態でもトラッキングエラー補正信号TEに重畳するDCオフセットが0になるように第2のトラッキングエラー信号取得部203により係数Kが決定されるので、トラッキング制御部205はトラッキングエラー補正信号TEを0に制御することによって照射スポット704を光ディスク700のトラックの中心に制御できる。
【0080】
なお、時刻t1から時刻t2にかけて決定された係数Kと、時刻t3から時刻t4にかけて決定された係数Kとが一致しない場合には、両者のいずれか一方、両者の中間値、又は当該中間値以外の両者に挟まれた所定値を係数Kとしてもよい。
【0081】
また、上述のように、対物レンズ105が軸ずれすると、中点エラー信号CEはその軸ずれ量に応じた値となる。したがって、この中点エラー信号CEを0に制御することによって、対物レンズ105の軸ずれを0に制御できる。
【0082】
しかしながら、式(4)に示した中点エラー信号CEの検出方式には課題が含まれている。
【0083】
式(4)により取得される中点エラー信号CEには、第1のトラッキングエラー信号TE1および第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)に重畳する変調成分が残留してしまう可能性がある。
【0084】
また、第1のトラッキングエラー信号TE1及び第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)に重畳する変調成分の周波数は、光ディスク700の偏芯量とディスクモータ600の回転速度に比例するため、光ディスク装置に装填された光ディスク700、データの再生速度、及び記録速度に応じて変化する。
【0085】
仮に、第2のトラッキングエラー信号取得部203により用いられる係数Kを、第1のトラッキングエラー信号TE1及び第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)に重畳する変調成分の中点エラー信号CEへの影響を除去するように設定すると、対物レンズ105が軸ずれした場合にトラッキングエラー補正信号TEにDCオフセットが重畳するおそれがある。
【0086】
そこで、本実施形態1では、中点エラー信号CEに重畳した変調成分を低域通過フィルタ部207によって除去し、変調成分を除去した信号に基づいて、対物レンズ105の軸ずれ量を0に近付ける中点制御を中点制御部209により行うようにしている。これにより、中点制御の精度が高められる。
【0087】
<切替え信号LPFの決定処理>
次に、マイコン部208による切替え信号LPFの決定処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
切替え信号LPFを決定する図12の処理は、光ディスク700がディスクモータ600の回転により、例えば、図1の光ディスク装置が起動するとき等の所定の回転速度、あるいは再生時又は記録時の回転速度で回転し、フォーカス制御が実行され、トラッキング制御が実行されておらず、アクチュエータ駆動部300により出力される駆動電流ACTDRVがほぼ0で、かつ光ピックアップ100が対物レンズ105を支持して意図的に軸ずれを生じさせてない状態(以下、「切替え信号決定状態」と呼ぶ)で実行される。上述のように、中点エラー信号CEの変調成分は、光ディスク700の偏芯量とディスクモータ600の回転速度とに比例するので、装填される光ディスク700、及び光ディスク700の回転速度に応じて、低域通過フィルタ部207の出力が切り換えられる。
【0089】
上記切替え信号決定状態では、第1のトラッキングエラー信号TE1、第2のトラッキングエラー信号(K×TE2)、トラッキングエラー補正信号TE、および中点エラー信号CEに重畳する変調成分の周波数は、ディスクモータ600の回転数と光ディスク700の偏芯量とに比例する。
【0090】
最初に(STEP100)にて、マイコン部208が、ディスクモータ600により出力される回転情報を示す信号(図1には明記せず)に基づいて、ディスクモータ600の所定時間あたりの回転数を測定する。ここで、測定された回転数と、予め定めた回転数、光ディスク700に対する記録時の回転数、又は再生時の回転数との差が、予め設計した誤差範囲内に収まっているか否かを判定する。当該差が前記誤差範囲内に収まっていると判定された場合には、処理が(STEP101)に進む一方、当該差が前記誤差範囲内に収まっていないと判定された場合には、処理が(STEP135)に進む。
【0091】
(STEP101)では、マイコン部208が、光ディスク装置がフォーカス制御状態であるか否かを判定する。光ディスク装置がフォーカス制御状態でないと判定された場合には、処理が(STEP135)に進む一方、光ディスク装置がフォーカス制御状態であると判定された場合には、処理が(STEP110)に進む。
【0092】
(STEP110)では、マイコン部208が、中点エラー信号CEの周期を測定する。ここでの中点エラー信号CEの周期の測定方法の詳細については後述する。
【0093】
(STEP120)では、マイコン部208が、光ディスク装置がフォーカス制御状態であるか否かを再度判定する。この判定を行うのは中点エラー信号CEの周期測定中に光ディスク装置がフォーカス制御状態でなくなる可能性があるからである。光ディスク装置がフォーカス制御状態でないと判定された場合には、処理が(STEP135)に進む一方、光ディスク装置がフォーカス制御状態であると判定された場合には、処理が(STEP130)に進む。
【0094】
(STEP130)では、マイコン部208が、(STEP110)にて測定した中点エラー信号CEの周期が予め設計した周期TH(2[msec(ミリ・秒)])以上であるか否かを判定する。測定した周期が周期TH以上である場合には、処理が(STEP131)に進む一方、測定した周期が周期TH未満である場合には、処理が(STEP132)に進む。
【0095】
(STEP131)では、マイコン部208が、切替え信号LPFをHレベルに決定して出力し、切替え信号LPFの決定処理を終了する。つまり、切替え信号LPFは、低域通過フィルタ部207にLPF207aの出力である低周波数成分を出力させるものとなる。
【0096】
(STEP132)では、マイコン部208が、切替え信号LPFをLレベルに決定して出力し、切替え信号LPFの決定処理を終了する。つまり、切替え信号LPFは、低域通過フィルタ部207に中点エラー信号CEをそのまま出力させるものとなる。
【0097】
(STEP135)では、マイコン部208は、エラーが生じた場合の設定を行い、切替え信号LPFを決定しないまま切替え信号LPFの決定処理を終了する。
【0098】
なお、本実施形態1では、マイコン部208が、(STEP110)における中点エラー信号CEの周期測定処理の前後に、光ディスク装置がフォーカス制御状態であるか否かを判断する処理((STEP101),(STEP120))を実行したが、これらの処理を省略してもよい。
【0099】
次に、(STEP110)における中点エラー信号CEの周期測定処理について図13を参照して詳述する。
【0100】
図13はマイコン部208内の信号の波形を示し、図13(a)は中点エラー信号CE、図13(b)は2値化部208aにより出力される2値化パルス信号、図13(c)はエッジ検出部208bにより出力されるタイミング信号、図13(d)はカウンタ部208cにより出力される間隔信号、図13(e)は周期最大値保存部208dにより保存されている周期最大値、図13(f)はリセット信号を示す。
【0101】
まず、時刻m0において、マイコン部208のリセット信号発行部がリセット信号を発行する。リセット信号によって、カウンタ部208cのカウント値(間隔信号)と周期最大値保存部208dにより保存されている周期最大値とが0にリセットされて、以前の測定データがクリアされる。
【0102】
次に、時刻m1において、図13(a)に示すようにマイコン部208が中点エラー信号CEを受信し始め、中点エラー信号CEが0(ゼロ)より大きくなる。この0より大きくなった中点エラー信号CEに応じて、2値化部208aが2値化パルス信号としてHレベルを出力する。エッジ検出部208bは2値化パルス信号がLレベルからHレベルに切り替わったので、その立ち上がりタイミングを示すタイミング信号を出力する。カウンタ部208cは、エッジ検出部208bにより出力されたタイミング信号により示される立ち上がりタイミングで内部カウント値をゼロクリアし、カウントを開始する。このとき周期最大値保存部208dは、周期最大値としてゼロを保存している。
【0103】
そして、時刻m1から時刻m2までの期間に、照射スポット704、705、706が光ディスク700のトラックを1トラック分だけ横断し、この期間の中点エラー信号CEの変調成分の変化が、1周期分の変化に相当する。
【0104】
時刻m2を過ぎると中点エラー信号CEは再び0より大きくなり、時刻m1を過ぎたときと同様に、2値化部208aにより出力される2値化パルス信号が再びLからHと変化し、この変化に応じて、エッジ検出部208bがその立ち上がりタイミングを示すタイミング信号をカウンタ部208cに出力する。
【0105】
カウンタ部208cは時刻m1から時刻m2までのカウント値(T1)を周期最大値保存部208dに出力した後に、エッジ検出部208bにより出力されたタイミング信号を受けて、内部カウント値をゼロクリアし、再びカウントを開始する。
【0106】
周期最大値保存部208dは、それまで保存していた保存値0と時刻m2にてカウンタ部208cにより出力されたカウント値(T1)とを比較し、カウント値(T1)が0よりも大きいので、周期最大値としてT1を保存する。
【0107】
その後、上述のような動作が繰り返され、時刻m3から時刻m4までのカウント値(T2)がそれまでに保存された周期最大値(T1)よりも大きくなり、周期最大値が周期最大値保存部208dによりT2に更新される。
【0108】
さらに上述のような動作が時刻m11まで繰り返され、周期最大値保存部208dが周期最大値(T2)を中点エラー信号CEの周期として出力し、遮断周波数決定部208eにより、この周期が周期TH以上であるか否かが判定され、この判定結果に基づいて、切替え信号LPFが出力される。
【0109】
なお、本実施形態では、エッジ検出部208bが2値化部208aの立ち上がりエッジを検出したが、立ち下がりエッジを検出するようにしてもよい。
【0110】
また、中点エラー信号CEの変調成分に不要な雑音が重畳してカウンタ部208cによる誤カウントを発生させるおそれがあるが、このような誤カウントを防止するために、2値化部208aの2値化閾値にヒステリシス特性を持たせたり、各種の誤カウントマスク処理を設けてもよい。
【0111】
さらに、本実施形態では、マイコン部208が、(STEP130)にて中点エラー信号CEの周期の最大値が周期TH以上であるか否かを判断する構成としたが、予め設計した周期THと比較する値を、中点エラー信号周期の平均値としてもよいし、周期の最大値から所定の値を減算して得た最大値近傍の値としてもよい。
【0112】
さらに、(STEP110)にて測定され、(STEP130)にて周期THと比較される周期は、所定の時間内に測定した中点エラー信号CEの複数の周期のうちの最大値であったが、前記複数の周期の平均値としても、前記最大値から所定の値を減算して得た最大値近傍の値としてもよい。
【0113】
<光ディスク装置の動作>
図14は、シーク制御状態及びトラッキング制御状態における光ディスク装置内の信号波形を示す。図14(a)は、マイコン部208により出力される制御切替え信号SW、図14(b)は、スレッド駆動部400により出力される駆動電流SLDDRV、図14(c)は、アクチュエータ駆動部300により出力される駆動電流ACTDRV、図14(d)は、第1のトラッキングエラー信号TE1を示す。シーク制御状態では、光ディスク700に対する情報の再生及び記録のために照射スポット704,705,706が所望のトラックへ移動する。
【0114】
図14では、光ディスク装置の状態を一旦トラッキング制御状態からシーク制御状態に遷移させ、その後再びトラッキング制御状態に遷移させている。
【0115】
時刻a0から時刻a1の区間において、光ディスク装置はトラッキング制御状態であり、図14(a)に示すように、マイコン部208は制御切替え信号SWとしてHレベルを出力する。切替えスイッチ210はこのHレベルの制御切替え信号SWに応じて、トラッキング制御部205により出力された駆動信号TRDRVを選択してアクチュエータ駆動信号ACTとして出力し、アクチュエータ駆動部300は、図14(c)に示すように、トラッキング制御部205により出力された駆動信号TRDRV(アクチュエータ駆動信号ACT)を駆動電流ACTDRVに変換してアクチュエータ106に出力する。
【0116】
このとき、主ビーム及び副ビームは所望のトラック上を走査しており、光ピックアップ100を光ディスク700の径方向に駆動する必要がないので、スレッド駆動部400により出力される駆動電流SLDDRVは0である。
【0117】
アクチュエータ106は、アクチュエータ駆動部300により出力された駆動電流ACTDRVに基づいて、対物レンズ105を駆動する。このとき、駆動電流ACTDRVは駆動信号TRDRVに基づいており、この駆動信号TRDRVは、図14(d)に示すように、第1のトラッキングエラー信号TE1が略0となるように生成されるので、照射スポット704、705、706は対物レンズ105を介して光ディスク700上に照射されて所望のトラック上を走査する。
【0118】
続いて時刻a1になると、光ディスク装置は、照射スポット704、705、706を時刻a0から時刻a1までの区間において走査していたトラックとは異なるトラックへ移動させるため、シーク制御状態に状態を変化させる。
【0119】
まず、マイコン部208が、図14(a)に示すように、制御切替え信号SWをHレベルからLレベルに切り替える。切替えスイッチ210はこのLレベルの制御切替え信号SWに応じて、中点制御部209により出力された駆動信号CEDRVを選択してアクチュエータ駆動信号ACTとして出力する。
【0120】
なお、時刻a1から時刻a2にかけて、スレッド駆動部400は、図14(b)に示すように、光ピックアップ100を光ディスク700の所望のトラックに移動させるようにスレッドモータ500が加速するように、駆動電流SLDDRVを出力する。
【0121】
スレッドモータ500の速度は時刻a1のときに0であるが、時刻a1から時刻a2にかけて加速されるので、図7を用いて説明した通り、光ピックアップ100には外力が働き、その結果として対物レンズ105にも外力が働き、軸ずれが発生する。しかし、切替えスイッチ210が、中点制御部209により出力された駆動信号CEDRVをアクチュエータ駆動部300に出力するので、アクチュエータ駆動部300は対物レンズ105が軸ずれしないように、駆動信号CEDRVを図14(c)に示すような駆動電流ACTDRVに変換して出力する。
【0122】
アクチュエータ106はアクチュエータ駆動部300により出力された駆動電流ACTDRVに基づいて対物レンズ105を駆動し、これにより、対物レンズ105が軸ずれすることなく制御される。したがって、第1のトラッキングエラー信号TE1は、図14(d)に示すように、照射スポット704が光ディスク700上のトラックを横断することに起因して変化する。
【0123】
ただし、上記のように対物レンズ105は軸ずれのない状態に制御されているので、第1のトラッキングエラー信号TE1にはDCオフセットが重畳されない。
【0124】
次に時刻a2になると、光ピックアップ100を光ディスク700の径方向に移動させるスレッドモータ500が、図14(b)に示すように、最高速度の状態を保持しながら、略一定の速度で回転をする。
【0125】
マイコン部208は、図14(a)に示すように、制御切替え信号SWをLに維持する。切替えスイッチ210は、このLレベルの制御切替え信号SWに応じて、中点制御部209により出力された駆動信号CEDRVを選択してアクチュエータ駆動信号ACTとして出力する。
【0126】
スレッドモータ500の状態は、図14(b)に示すように、加速状態から速度一定の状態に推移し、光ピックアップ100へ働く外力は小さくなる。更に時刻a1で光ピックアップ100に働いた外力の影響は、中点制御部209により出力された駆動信号CEDRVにより抑圧されたため、アクチュエータ駆動部300の出力も図14(c)に示すように略0となり、対物レンズ105の軸ずれも略0に制御される。
【0127】
したがって、対物レンズ105が軸ずれのない状態に制御されているので、図14(d)に示すように、第1のトラッキングエラー信号TE1にはDCオフセットが重畳されない。
【0128】
続いて時刻a3において、照射スポット704が所望のトラックに近づいてくると、図14(b)に示すように、スレッド駆動部400は、スレッドモータ500が減速するように駆動電流SLDDRVを出力する。
【0129】
時刻a3においても、マイコン部208は、図14(a)に示すように、制御切替え信号SWをLに維持する。切替えスイッチ210は、このLレベルの制御切替え信号SWに応じて、中点制御部209により出力された駆動信号CEDRVを選択してアクチュエータ駆動信号ACTとして出力する。
【0130】
時刻a3から時刻a4にかけて、スレッドモータ500の減速に伴い、図7を用いて説明した通り、光ピックアップ100には外力が働き、その結果として対物レンズ105にも外力が働き、軸ずれが発生する。しかし、このとき切替えスイッチ210は中点制御部209により出力された駆動信号CEDRVを選択しているため、アクチュエータ駆動部300は対物レンズ105が軸ずれしないように生成された駆動信号CEDRVを、図14(c)に示すような駆動電流ACTDRVに変換して出力する。
【0131】
アクチュエータ106は、アクチュエータ駆動部300により出力された駆動電流ACTDRVに基づいて対物レンズ105を駆動し、これにより、対物レンズ105が軸ずれすることなく制御される。
【0132】
したがって、上述のように対物レンズ105は軸ずれのない状態に制御されるので、図14(d)に示すように、第1のトラッキングエラー信号TE1にはDCオフセットが重畳されない。
【0133】
そして、時刻a4において、照射スポット704は所望のトラック近傍に到達し、図14(b)に示すようにスレッド駆動部400により出力される駆動電流SLDDRVは0となり、スレッドモータ500が停止する。これにより、照射スポット704が光ディスク700上のトラックを横断する速度も低下し、第1のトラッキングエラー信号TE1の周期が大きくなる。
【0134】
マイコン部208は、図14(a)に示すように、時刻a3から時刻a4にかけて、制御切替え信号SWをLレベルに保持する。切替えスイッチ210は、このLレベルの制御切替え信号SWに応じて、中点制御部209により出力された駆動信号CEDRVを選択してアクチュエータ駆動信号ACTとして出力する。
【0135】
そして、照射スポット704のトラックを横断する速度が十分に低下し、第1のトラッキングエラー信号TE1の周期がトラッキング引きこみ可能な周期よりも大きくなると、マイコン部208は、図14(a)に示すように、制御切替え信号SWをHレベルに切り換える。切替えスイッチ210は、このHレベルの制御切替え信号SWに応じて、トラッキング制御部205により出力された駆動信号TRDRVを選択してアクチュエータ駆動信号ACTとして出力する。アクチュエータ駆動部300は、図14(c)に示すように、トラッキング制御ループを閉じて、照射スポット704を所望のトラックに位置決めするように駆動信号ACTDRVを出力する。
【0136】
このように照射スポット704が所望のトラックに位置決めされたので、第1のトラッキングエラー信号TE1もまた、照射スポット704に光ディスク700上のトラックを横断させるときのレベルから略0に変化する。
【0137】
以上のように、対物レンズ105の軸ずれを制御しながら、照射スポット704を所望のトラックに安定して移動させるシーク制御を実現することができる。
【0138】
《実施形態2》
本発明の実施形態2に係る光ディスク装置は、図15に示すように、実施形態1に係る光ディスク装置の構成に加え、レンズシフト駆動部211を備え、実施形態1のマイコン部208及び切替えスイッチ210に代えて、マイコン部213及び切替えスイッチ212を備えている。レンズシフト駆動部211、マイコン部213及び切替えスイッチ212は、集積回路200の一部を構成している。
【0139】
また、マイコン部213では、リセット信号発行部が、実施形態1のリセット信号に代えて、第1リセット信号(RESET1)及び第2リセット信号(RESET2)を出力する。
【0140】
マイコン部213は、図16に示すように、実施形態1の周期測定部208f及び遮断周波数決定部208eに代えて、平均値・振幅測定部213f及び遮断周波数決定部213eを備えている。
【0141】
平均値・振幅測定部213fは、レベル測定部213a、レベル保存部213b、振幅測定部213c、及び振幅最大値保存部213dを備えている。
【0142】
レベル測定部213aは、リセット信号発行部により前回第1リセット信号が出力されてから所定期間、中点エラー信号取得部206により出力される中点エラー信号CEのレベルを測定して保存し、その所定期間分の平均値を算出する。第1リセット信号は、レベル測定部213aの初期化のためのトリガ信号となり、第1リセット信号が発行される毎に保存された測定値がゼロクリア(リセット)される。
【0143】
レベル保存部213bには、レベル測定部213aにより算出された平均値が保存される。レベル保存部213bに保存された平均値も、第1リセット信号が発行される毎にゼロクリア(リセット)される。つまり、第1リセット信号がレベル保存部213bの初期化のためのトリガ信号となっている。
【0144】
振幅測定部213cは、中点エラー信号取得部206により出力される中点エラー信号CEを受信し、その振幅を測定する。詳しくは、振幅測定部213cは、リセット信号発行部により前回第2リセット信号が出力されてから所定期間経過後までに受信した中点エラー信号CEの最大値及び最小値を求め、求めた最大値と最小値の差分を、中点エラー信号CEの振幅として算出する。
【0145】
振幅最大値保存部213dには、振幅測定部213cにより算出された中点エラー信号CEの振幅が書き込まれる。
【0146】
第2リセット信号は振幅測定部213c及び振幅最大値保存部213dを初期化する機能を備え、第2リセット信号が発行されると振幅測定部213c及び振幅最大値保存部213dの内部保存値が一旦ゼロクリア(リセット)される。
【0147】
遮断周波数決定部213eは、レベル保存部213bの保存値と振幅最大値保存部213dの保存値に基づいて、切替え信号LPFを出力する。詳しくは、レベル保存部213bの保存値に対する振幅最大値保存部213dの保存値の比が、所定の閾値Amp以上である場合には、切替え信号LPFは、低域通過フィルタ部207にLPF207aの出力である低周波数成分を出力させるものとなる。一方、レベル保存部213bの保存値に対する振幅最大値保存部213dの保存値の比が、所定の閾値Amp未満である場合には、切替え信号LPFは、低域通過フィルタ部207に中点エラー信号CEをそのまま出力させるものとなる。ここで、レベル保存部213bの保存値に対する振幅最大値保存部213dの保存値の比は、照射スポット704、705、706が光ディスク700のトラックを横断することによって生じる変調成分の中点エラー信号CEに対する割合を定量化したものである。
【0148】
また、マイコン部213は、レンズシフト駆動開始信号LS_START及びレンズシフト駆動停止信号LS_STOPを出力する。
【0149】
レンズシフト駆動部211は、駆動信号LSDを出力する。マイコン部213によりレンズシフト駆動開始信号LS_STARTが出力されている場合、この駆動信号LSDは、対物レンズ105がシーク制御時に軸ずれする大よその軸ずれ量に相当する駆動量、対物レンズ105を移動させるものとなる。具体的には、このときの駆動信号LSDは、対物レンズ105を200[μm]だけ軸ずれさせるものとなる。一方、マイコン部213によりレンズシフト駆動停止信号LS_STOPが出力されている場合、駆動信号LSDは、0、すなわち、対物レンズ105の軸ずれ量を0にするものとなる。
【0150】
また、切替えスイッチ212は、マイコン部208により出力された制御切替え信号SWがH(High)レベルであるときには、トラッキング制御部205により出力された駆動信号TRDRVを出力し、制御切替え信号SWがM(Middle)レベルであるときには、レンズシフト駆動部211の出力を出力し、制御切替え信号SWがL(Low)レベルであるときには、中点制御部209により出力された駆動信号CEDRVを出力する。
【0151】
その他の構成は、実施形態1の光ディスク装置と同じである。
【0152】
<切替え信号LPFの決定処理>
次に、マイコン部213による切替え信号LPFの決定処理について、図17のフローチャートを参照して説明する。なお、図17において、図12と同じ処理を行うステップについては、図12と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0153】
また、図17の処理も、実施形態1の図12の処理と同様に、上述した切替え信号決定状態で実行される。
【0154】
本実施形態2では、マイコン部213が、実施形態1の(STEP110)の処理に代えて、以下に説明する(STEP140)の処理を実行する。
【0155】
(STEP140)では、まず、(STEP141)において、マイコン部213が、Mレベルの制御切替え信号SWを出力する。切替えスイッチ212は、マイコン部213からのこの制御切替え信号SWに基づいて、レンズシフト駆動部211の出力を選択して出力する。また、マイコン部213は、レンズシフト駆動開始信号LS_STARTを出力する。これにより、レンズシフト駆動部211は、対物レンズ105を一定距離だけ軸ずれさせる駆動信号LSDを出力し、処理が(STEP142)に進む。
【0156】
(STEP142)では、マイコン部213のリセット信号発行部が第1リセット信号を発行し、レベル測定部213aおよびレベル保存部213bの内部保存値を一旦ゼロクリアする。そして、レベル測定部213aが中点エラー信号CEのレベルを所定時間測定し、所定時間分の中点エラー信号CEの平均値を算出してレベル保存部213bに書き込み、処理が(STEP143)に進む。
【0157】
その後、(STEP143)において、マイコン部213が、レンズシフト駆動停止信号LS_STOPを出力し、レンズシフト駆動部211がこのレンズシフト駆動停止信号LS_STOPに基づき、その出力を0にする。また、マイコン部213は、Lレベルの制御切替え信号SWを出力する。切替えスイッチ212は、マイコン部213からのこの制御切替え信号SWに基づいて、中点制御部209の出力を選択してアクチュエータ駆動部300に出力する。そして、処理が(STEP144)に進む。
【0158】
(STEP144)では、上記図16を用いて説明した通り、振幅測定部213cが所定期間中の中点エラー信号CEの振幅最大値を算出し、振幅最大値保存部213dに書き込む。
【0159】
また、マイコン部213は、実施形態1の(STEP130)の処理に代えて、以下に説明する(STEP150)の処理を実行する。
【0160】
(STEP150)では、マイコン部213の遮断周波数決定部213eが、(STEP142)でレベル保存部213bに書き込まれた保存値(平均値)と、(STEP144)で振幅最大値保存部213dに書き込まれた保存値(振幅最大値)とを読み出し、レベル保存部213bの保存値に対する振幅最大値保存部213dの保存値の比が、所定の閾値Amp以上であるか否かを判定する。当該比が、所定の閾値Amp以上である場合には処理が(STEP131)に進む一方、当該比が、所定の閾値Amp未満である場合には処理が(STEP132)に進む。
【0161】
<光ディスク装置の動作>
図18は、ここで、上記(STEP141)から(STEP144)までの処理が実行されるときの光ディスク装置内の信号波形を示す。図18(a)は、マイコン部213により出力される制御切替え信号SW、図18(b)は、アクチュエータ駆動部300により出力される駆動電流ACTDRV、図18(c)は、中点エラー信号取得部206により取得される中点エラー信号CEを示す。
【0162】
時刻t10は(STEP101)を終了した状態を示す。
【0163】
時刻t11では、マイコン部213がMレベルの制御切替え信号SWを出力する。切替えスイッチ212は、この制御切替え信号SWに応じて、アクチュエータ駆動部300への出力として、レンズシフト駆動部211の出力を選択する。
【0164】
時刻t12では、マイコン部213がレンズシフト駆動開始信号LS_STARTを出力し、これに応じて、レンズシフト駆動部211が、対物レンズ105を一定距離だけ軸ずれさせる駆動信号LSDを出力する。この駆動信号LSDは、アクチュエータ駆動部300により駆動電流ACTDRVに変換されてアクチュエータ106に入力される。アクチュエータ106は、駆動信号LSDに基づく駆動電流ACTDRVに応じて、対物レンズ105を200[μm]だけ軸ずれさせる。すると、中点エラー信号CEは、対物レンズ105の軸ずれ量(200[μm])に応じたDCオフセットが中点エラー信号CEに重畳する。
【0165】
マイコン部213内のレベル測定部213aは、時間t12からt13の期間の中点エラー信号CEのレベルの平均値を算出する。算出された平均値は、DCオフセットの大きさ(図18(c)においてLVL_LSと示す)として、閾値Ampを算出するために使用される。
【0166】
時間t13では、マイコン部213がレンズシフト駆動停止信号LS_STOPを出力し、これに応じて、レンズシフト駆動部211が、対物レンズ105を軸ずれさせるための駆動量を0にする0の駆動信号を出力する。この0の駆動信号は、アクチュエータ駆動部300により駆動電流ACTDRVに変換されてアクチュエータ106に入力される。アクチュエータ106はアクチュエータ駆動部300からの駆動電流ACTDRVに応じて、対物レンズ105の軸ずれを略0にする。これにより、中点エラー信号CEに重畳するDCオフセット量も略0となる。
【0167】
一方、マイコン部213は、Lレベルの制御切替え信号SWを出力する。切替えスイッチ212は、この制御切替え信号SWに応じて、アクチュエータ駆動部300への出力として、中点制御部209の出力を選択する。
【0168】
このように、時刻t13において(STEP143)までの処理が完了する。
【0169】
次に、マイコン部213のリセット信号発行部が、第2リセット信号(RESET2)を発行し、振幅測定部213c及び振幅最大値保存部213dの内部保存値を一旦ゼロクリアしてから、振幅測定部213cが中点エラー信号CEの振幅最大値を算出する。
【0170】
詳しくは、時刻t13から時刻t14までの間に入力される中点エラー信号CEのサンプル値の最大値(図18(c)にAmp+と示す)と最小値(図18(c)にAmp−と示す)を検出し、時刻t14でその最大値と最小値との差((Amp+)−(Amp−))を振幅最大値として出力する。
【0171】
<閾値Ampの設計方法>
アクチュエータ106のトラッキング1次共振周波数帯域の開ループ特性のゲインが20[dB]であるとすると、シーク制御等による軸ずれ量を0.1倍まで抑圧できる。
【0172】
そこで、上記遮断周波数決定部213eにおいて用いられる閾値Ampは、以下の式(6)に示すように、駆動信号LSDに基づく軸ずれによって中点エラー信号CEに生じるDCオフセット量LVL_LSの0.1倍、すなわち20[μm]に設定される。これにより、変調成分の振幅として、シーク制御時における大よその軸ずれ量の0.1倍までが許容される。
【0173】
Amp=LVL_LS×0.1 ・・・式(6)
以上のように、低域通過フィルタ部207の出力を選択することによって、光ディスク700のトラックを横断した際の変調成分の影響を受けない中点エラー信号CEを中点制御部209に入力でき、中点制御部209が本来制御するべき対物レンズ105の軸ずれ成分を制御できる。
【0174】
さらに、シーク制御時のようにスレッドモータ500が回転して、照射スポット704、705、706が光ディスク700のトラックを横断する速度が速くなり、その結果として中点エラー信号CEに変調成分が重畳しても、その変調成分をLPF207aによって除去することができ、中点制御時の不要な消費電流を抑制することができる。
【0175】
なお、本実施形態2では、マイコン部208が、(STEP140)の前後に、光ディスク装置がフォーカス制御状態であるか否かを判断する処理((STEP101),(STEP120))を実行したが、これらの処理を省略してもよい。
【0176】
なお、切替え信号LPFを決定した後の、トラッキング制御状態とシーク制御状態における本実施形態2に係る光ディスク装置の動作は、実施形態1に係る光ディスク装置について図14を参照して説明した動作と同様になる。
【0177】
《実施形態3》
本発明の実施形態3に係る光ディスク装置は、図19に示すように、実施形態2のマイコン部213に代えて、マイコン部214を備えている。
【0178】
このマイコン部214は、図20に示すように、実施形態1の周期測定部208fと、実施形態2の平均値・振幅測定部213fと、遮断周波数決定部214aとを備えている。
【0179】
遮断周波数決定部214aは、周期最大値保存部208dにより出力された周期最大値と、レベル保存部213bの保存値と、振幅最大値保存部213dの保存値とに基づいて、切替え信号LPFを出力する。詳しくは、レベル保存部213bの保存値に対する振幅最大値保存部213dの保存値の比が、所定の閾値Amp以上であるという条件と、周期最大値保存部208dにより出力された周期最大値が予め設計したTH(2[msec])以上であるという条件とのうちの少なくとも一方が満たされている場合には、切替え信号LPFは、低域通過フィルタ部207にLPF207aの出力である低周波数成分を出力させるものとなる。一方、両条件が満たされていない場合には、切替え信号LPFは、低域通過フィルタ部207に中点エラー信号CEをそのまま出力させるものとなる。
【0180】
その他の構成は、実施形態2の光ディスク装置と同じである。
【0181】
次に、マイコン部214による切替え信号LPFの決定処理について、図21のフローチャートを参照して説明する。なお、図21において、図17と同じ処理を行うステップについては、図17と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0182】
また、図21の処理も、実施形態2の図17の処理と同様に、上述した切替え信号決定状態で実行される。
【0183】
本実施形態3では、マイコン部214が、実施形態2の(STEP150)の処理に代えて、以下に説明する(STEP160)の処理を実行する。また、(STEP144)の処理と(STEP120)の処理との間に実施形態1の(STEP110)の処理を実行する。なお、(STEP144)と(STEP110)の実行順序は反対であってもよいし、(STEP144)と(STEP110)とが同時に実行されてもよい。
【0184】
(STEP160)では、マイコン部214の遮断周波数決定部214aが、(STEP142)でレベル保存部213bに書き込まれた保存値(平均値)と、(STEP144)で振幅最大値保存部213dに書き込まれた保存値(振幅最大値)とを読み出す。そして、遮断周波数決定部214aは、レベル保存部213bの保存値に対する振幅最大値保存部213dの保存値の比が、所定の閾値Amp以上であるという条件と、(STEP110)にて測定した中点エラー信号CEの周期が周期TH以上であるという条件とのうちの少なくとも一方が満たされているか否かを判定する。両条件の少なくとも一方が満たされている場合には、処理が(STEP131)に進む一方、両条件が満たされていない場合には処理が(STEP132)に進む。
【0185】
以上のように、低域通過フィルタ部207の出力を選択することによって、光ディスク700のトラックを横断した際の変調成分の影響を受けない中点エラー信号CEを中点制御部209に入力でき、中点制御部209が本来制御するべき対物レンズ105の軸ずれ成分を制御できる。
【0186】
さらに、シーク制御時のようにスレッドモータ500が回転して、照射スポット704、705、706が光ディスク700のトラックを横断する速度が速くなり、その結果として中点エラー信号CEに変調成分が重畳しても、その変調成分をLPF207aによって除去することができ、中点制御時の不要な消費電流を抑制することができる。
【0187】
なお、切替え信号LPFを決定した後の、トラッキング制御状態とシーク制御状態における本実施形態3に係る光ディスク装置の動作は、実施形態1に係る光ディスク装置について図14を参照して説明した動作と同様になる。
【0188】
なお、本実施形態3では、マイコン部214が、(STEP140)及び(STEP110)の前後に、光ディスク装置がフォーカス制御状態であるか否かを判断する処理((STEP101),(STEP120))を実行したが、これらの処理を省略してもよい。
【0189】
さらに、本実施形態3において、図22に示すように、マイコン部214の遮断周波数決定部214aが、(STEP160)の処理に代えて、次の(STEP161)の処理を実行するようにしてもよい。
【0190】
つまり、(STEP161)では、遮断周波数決定部214aが、レベル保存部213bの保存値に対する振幅最大値保存部213dの保存値の比が、所定の閾値Amp以上であるという条件と、(STEP110)にて測定した中点エラー信号CEの周期が周期TH以上であるという条件との両方が満たされているか否かを判定する。両条件が満たされている場合には、処理が(STEP131)に進む一方、両条件が満たされていない場合及び一方の条件が満たされていない場合には処理が(STEP132)に進む。
【0191】
《実施形態4》
本発明の実施形態4に係る光ディスク装置は、図23に示すように、実施形態1の低域通過フィルタ部207に代えて、低域通過フィルタ部215を備えている。
【0192】
低域通過フィルタ部215は、図24に示すように、LPF207aを備えておらず、マイコン部208により出力される切替え信号LPFがHレベルの場合に、前記中点エラー信号を所定の基準レベル(Level)の固定信号に置き換えて中点エラー補正信号として出力する。切替え信号LPFがLレベルの場合、低域通過フィルタ部215は、実施形態1の低域通過フィルタ部207と同様に、中点エラー信号取得部206により出力された中点エラー信号CEをそのまま出力する。
【0193】
つまり、本実施形態3では、中点エラー信号CEに予め設定された周期TH以上の不要な変調成分が重畳していると判定されている場合、中点制御部209への入力信号が基準レベルとされ、中点制御がホールド状態になる。
【0194】
その他の構成は、実施形態1の光ディスク装置と同じである。
【0195】
本実施形態4では、周期THに対応する周波数を、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数近傍に設定することが望ましい。例えば、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数が100[Hz]以下に設定された場合、周期THに対応する周波数も100[Hz]近傍に設定されることが望ましい。
【0196】
周期THに対応する周波数を、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数近傍に設定することにより、周期TH、及び中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数に対応する周期よりも長い周期の不要な変調成分が中点エラー信号CEに重畳した場合においても、中点制御による誤制御を防止することができ、シーク制御の不安定化を防止できる。
【0197】
なお、本実施形態4は、上記実施形態2、及び実施形態3にも適用できる。
【0198】
《実施形態5》
本発明の実施形態5に係る光ディスク装置は、図25及び図26に示すように、実施形態1の中点制御部209に代えて、中点制御部217を備えている。また、本発明の実施形態5に係る光ディスク装置には、低域通過フィルタ部207が設けられておらず、中点エラー信号取得部206により出力された中点エラー信号CEが中点制御部217に直接入力される。
【0199】
中点制御部217は、図27に示すように、中点制御フィルタ217aと、中点制御切替え部217bとを備えている。
【0200】
中点制御フィルタ217aは、中点エラー信号CEを0に近付けるように駆動信号を導出する。つまり、中点制御フィルタ217aは、実施形態1の中点制御部209と同じ構成を有している。
【0201】
中点制御切替え部217bは、マイコン部208によりHレベルの切替え信号LPFが出力されている場合には、所定の固定レベル(Level)の固定信号を駆動信号CEDRVとして出力する一方、マイコン部208によりLレベルの切替え信号LPFが出力されている場合には、中点制御フィルタ217aにより出力された駆動信号を駆動信号CEDRVとして出力する。
【0202】
つまり、本実施形態5では、中点エラー信号CEに予め設定された周期TH以上の不要な変調成分が重畳していると判定されている場合、中点制御部217により導出される駆動信号CEDRVが所定の固定信号にされ、中点制御がホールド状態になる。
【0203】
その他の構成は、実施形態1の光ディスク装置と同じである。
【0204】
本実施形態5では、周期THに対応する周波数を、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数近傍に設定することが望ましい。例えば、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数が100[Hz]以下に設定された場合、周期THに対応する周波数も100[Hz]近傍に設定されることが望ましい。
【0205】
周期THに対応する周波数を、中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数近傍に設定することにより、周期TH、及び中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数に対応する周期よりも長い周期の不要な変調成分が中点エラー信号CEに重畳した場合においても、中点制御による誤制御を防止することができ、シーク制御の不安定化を防止できる。
【0206】
なお、本実施形態5は、実施形態2、及び実施形態3にも適用できる。
【0207】
なお、上記実施形態1〜3では、低域通過フィルタ部207に1つのLPF207aのみを設けたが、低域通過フィルタ部207が、中点エラー信号CEを受信するカットオフ周波数の異なる複数のLPFを備え、いずれかのLPFの出力を選択して出力するようにしてもよい。
【0208】
また、上記実施形態1〜3では、低域通過フィルタ部207が、複数のLPFのうちのいずれか1つのLPFの出力を選択するのではなく、マイコン部208により書き込まれた特性に応じて中点エラー信号CEに対してフィルタ処理を行うようにしてもよい。
【0209】
さらに、上記実施形態1〜3では、一次のLPF207aを用いたが、LPF207aの次数を2以上にしてもよい。
【0210】
また、上記実施形態2、3では、(STEP141)〜(STEP143)において、対物レンズ105を一定距離だけ軸ずれさせ、そのときの中点エラー信号CEのレベルの平均値(LVL_LS)に基づいて式(6)により閾値Ampを決定した。しかし、(STEP141)〜(STEP143)を省略して、LVL_LSを固定して閾値Ampを設定してもよい。
【0211】
また、上記実施形態1〜5では、光ディスク700に対してデータの記録及び再生を行う光ディスク装置に本発明を適用したが、本発明は、データの記録及び再生のいずれか一方のみを行う光ディスク装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0212】
本発明は、光ディスク装置においてトラッキング制御及び中点制御を行う技術として有用である。
【符号の説明】
【0213】
105 対物レンズ
106 アクチュエータ
108a メイン光検出器(主受光素子)
108b 第1サブ光検出器(副受光素子)
108c 第2サブ光検出器(副受光素子)
108d〜108k 受光領域
200 集積回路
202 第1のトラッキングエラー信号取得部
202 中点エラー信号取得部
203 第2のトラッキングエラー信号取得部
204 トラッキングエラー補正信号導出部
206 中点エラー信号取得部
207b 中点エラー信号補正部
208 マイコン部
211 レンジシフト駆動部
213 マイコン部
214 マイコン部
700〜703 光ディスク
704〜706 照射スポット
800 光ディスク制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装填される光ディスクの記録面に主ビーム及び副ビームを集光させる対物レンズと、該対物レンズをトラックに垂直な方向に移動させるアクチュエータとを備えた光ディスク装置に設けられ、前記主ビームの照射スポットと前記光ディスクのトラックの中心との位置ずれ量を0に近付けるように前記アクチュエータの駆動信号を導出するトラッキング制御をトラッキングエラー補正信号に基づいて実行するとともに、対物レンズ105の軸ずれ量を0に近付けるように前記アクチュエータの駆動信号を導出する中点制御を中点エラー信号に基づいて実行する光ディスク制御装置であって、
前記光ディスクのトラックに対して垂直な方向に並んだ複数の受光領域が形成され、当該各受光領域は、前記光ディスクに照射した主ビームの反射光を受光する主受光素子と、
前記光ディスクのトラックに対して垂直な方向に並んだ複数の受光領域が形成され、当該各受光領域は、前記光ディスクに照射した副ビームの反射光を受光する副受光素子と、
前記主受光素子の複数の受光面における受光量に基づいて、第1のトラッキングエラー信号を取得する第1のトラッキングエラー信号取得部と、
前記副受光素子の複数の受光面における受光量に基づいて、第2のトラッキングエラー信号を取得する第2のトラッキングエラー信号取得部と、
前記第1のトラッキングエラー信号取得部により取得された第1のトラッキングエラー信号と、前記第2のトラッキングエラー信号取得部により取得された第2のトラッキングエラー信号とに基づいて、前記トラッキングエラー補正信号を導出するトラッキングエラー補正信号導出部と、
前記第1のトラッキングエラー信号取得部により取得された第1のトラッキングエラー信号と、前記第2のトラッキングエラー信号取得部により取得された第2のトラッキングエラー信号とに基づいて、前記中点エラー信号を取得する中点エラー信号取得部とを備えていることを特徴とする光ディスク制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク制御装置において、
前記アクチュエータにより前記対物レンズを移動させず、かつ前記光ディスクを回転させた状態で前記中点エラー信号取得部により取得された中点エラー信号の周期を測定し、測定した周期が前記中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い所定の第1周波数に対応する周期以上である場合に、シーク制御時に、前記中点エラー信号から、前記開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い所定の第2周波数を超える周波数の成分を低減させる中点エラー信号補正部をさらに備えていることを特徴とする光ディスク制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光ディスク制御装置において、
前記中点エラー信号補正部による周期の測定は、
前記中点エラー信号取得部により取得された中点エラー信号に対して2値化を行うことにより2値化パルス信号を取得する2値化処理と、
前記2値化処理により取得された2値化パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりの間隔時間を計測する間隔時間計測処理と、
所定の中点エラー周期測定時間内に前記間隔時間計測処理により計測された間隔時間の最大値を前記周期として取得する周期取得処理とを実行するものであることを特徴とする光ディスク制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク制御装置において、
前記アクチュエータにより前記対物レンズを移動させず、かつ前記光ディスクを回転させた状態で前記中点エラー信号取得部により取得された中点エラー信号の周期を測定するマイコン部を備え、
前記マイコン部により測定された周期が前記中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い所定の周波数に対応する周期以上である場合に、前記中点制御により導出されるアクチュエータの駆動信号が所定の固定信号にされることを特徴とする光ディスク制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク制御装置において、
前記アクチュエータにより前記対物レンズを一定の距離だけ軸ずれさせ、かつ前記光ディスクを回転させた状態で、前記中点エラー信号取得部により取得された所定時間分の中点エラー信号の平均値と、前記アクチュエータにより前記対物レンズを移動させず、かつ前記光ディスクを回転させた状態で、前記中点エラー信号取得部により取得された中点エラー信号の振幅とを測定し、前記中点エラー信号の前記平均値に対する前記振幅の比が所定閾値以上である場合に、シーク制御時に、前記中点エラー信号から、前記中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い所定の周波数を超える周波数の成分を低減させる中点エラー信号補正部をさらに備えていることを特徴とする光ディスク制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク制御装置において、
前記中点エラー信号補正部が前記中点エラー信号から、前記所定の周波数を超える周波数の成分を低減させる場合に、前記中点制御により導出されるアクチュエータの駆動信号が所定の固定信号にされることを特徴とする光ディスク制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光ディスク制御装置において、
前記アクチュエータにより前記対物レンズを移動させず、かつ前記光ディスクを回転させた状態で前記中点エラー信号取得部により取得された中点エラー信号の周期を測定し、測定した周期が前記中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数近傍の所定の周波数に対応する周期以上である場合に、シーク制御時に、前記中点エラー信号を所定の固定信号に置き換える中点エラー信号補正部をさらに備えていることを特徴とする光ディスク制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光ディスク制御装置において、
前記アクチュエータにより前記対物レンズを一定の距離だけ軸ずれさせ、かつ前記光ディスクを回転させた状態で、前記中点エラー信号取得部により取得された所定時間分の中点エラー信号の平均値と、前記アクチュエータにより前記対物レンズを移動させず、かつ前記光ディスクを回転させた状態で、前記中点エラー信号取得部により取得された中点エラー信号の振幅とを測定し、前記中点エラー信号の前記平均値に対する前記振幅の比が所定閾値以上である場合に、シーク制御時に、前記中点エラー信号を所定の固定信号に置き換える中点エラー信号補正部をさらに備えていることを特徴とする光ディスク制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の第1のトラッキングエラー信号取得部と、第2のトラッキングエラー信号取得部と、トラッキングエラー補正信号導出部と、中点エラー信号取得部とを備えた集積回路。
【請求項10】
請求項9に記載の集積回路と、請求項1に記載の対物レンズ、アクチュエータ、主受光素子、及び副受光素子とを備えた光ディスク装置。
【請求項11】
装填される光ディスクの記録面に主ビーム及び副ビームを集光させる対物レンズと、該対物レンズをトラックに垂直な方向に移動させるアクチュエータとを備えた光ディスク装置において、前記主ビームの照射スポットと前記光ディスクのトラックの中心との位置ずれ量を0に近付けるように前記アクチュエータの駆動信号を導出するトラッキング制御をトラッキングエラー補正信号に基づいて実行するとともに、対物レンズ105の軸ずれ量を0に近付けるように前記アクチュエータの駆動信号を導出する中点制御を中点エラー信号に基づいて実行する光ディスク制御方法であって、
前記光ディスク装置は、
前記光ディスクのトラックに対して垂直な方向に並んだ複数の受光領域が形成され、当該各受光領域は、前記光ディスクに照射した主ビームの反射光を受光する主受光素子と、
前記光ディスクのトラックに対して垂直な方向に並んだ複数の受光領域が形成され、当該各受光領域は、前記光ディスクに照射した副ビームの反射光を受光する副受光素子とを備え、
当該光ディスク制御方法は、
前記主受光素子の複数の受光面における受光量に基づいて、第1のトラッキングエラー信号を取得する第1のトラッキングエラー信号取得ステップと、
前記副受光素子の複数の受光面における受光量に基づいて、第2のトラッキングエラー信号を取得する第2のトラッキングエラー信号取得ステップと、
前記第1のトラッキングエラー信号取得ステップにより取得された第1のトラッキングエラー信号と、前記第2のトラッキングエラー信号取得ステップにより取得された第2のトラッキングエラー信号とに基づいて、前記トラッキングエラー補正信号を導出するトラッキングエラー補正信号導出ステップと、
前記第1のトラッキングエラー信号取得ステップにより取得された第1のトラッキングエラー信号と、前記第2のトラッキングエラー信号取得ステップにより取得された第2のトラッキングエラー信号とに基づいて、前記中点エラー信号を取得する中点エラー信号取得ステップとを備えていることを特徴とする光ディスク制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の光ディスク制御方法において、
前記アクチュエータにより前記対物レンズを移動させず、かつ前記光ディスクを回転させた状態で前記中点エラー信号取得ステップにより取得された中点エラー信号の周期を測定し、測定した周期が前記中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い所定の第1周波数に対応する周期以上である場合に、シーク制御時に、前記中点エラー信号から、前記開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い所定の第2周波数を超える周波数の成分を低減させる中点エラー信号補正ステップをさらに備えていることを特徴とする光ディスク制御方法。
【請求項13】
請求項11に記載の光ディスク制御方法において、
前記アクチュエータにより前記対物レンズを一定の距離だけ軸ずれさせ、かつ前記光ディスクを回転させた状態で、前記中点エラー信号取得ステップにより取得された所定時間分の中点エラー信号の平均値と、前記アクチュエータにより前記対物レンズを移動させず、かつ前記光ディスクを回転させた状態で、前記中点エラー信号取得ステップにより取得された中点エラー信号の振幅とを測定し、前記中点エラー信号の前記平均値に対する前記振幅の比が所定閾値以上である場合に、シーク制御時に、前記中点エラー信号から、前記中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数よりも高い所定の周波数を超える周波数の成分を低減させる中点エラー信号補正ステップをさらに備えていることを特徴とする光ディスク制御方法。
【請求項14】
請求項11に記載の光ディスク制御方法において、
前記アクチュエータにより前記対物レンズを移動させず、かつ前記光ディスクを回転させた状態で前記中点エラー信号取得ステップにより取得された中点エラー信号の周期を測定し、測定した周期が前記中点制御の開ループ特性ゲイン交点周波数近傍の所定の周波数に対応する周期以上である場合に、シーク制御時に、前記中点エラー信号を所定の固定信号に置き換える中点エラー信号補正ステップをさらに備えていることを特徴とする光ディスク制御方法。
【請求項15】
請求項11に記載の光ディスク制御方法において、
前記アクチュエータにより前記対物レンズを一定の距離だけ軸ずれさせ、かつ前記光ディスクを回転させた状態で、前記中点エラー信号取得ステップにより取得された所定時間分の中点エラー信号の平均値と、前記アクチュエータにより前記対物レンズを移動させず、かつ前記光ディスクを回転させた状態で、前記中点エラー信号取得ステップにより取得された中点エラー信号の振幅とを測定し、前記中点エラー信号の前記平均値に対する前記振幅の比が所定閾値以上である場合に、シーク制御時に、前記中点エラー信号を所定の固定信号に置き換える中点エラー信号補正ステップをさらに備えていることを特徴とする光ディスク制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2012−238368(P2012−238368A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108556(P2011−108556)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】