説明

光ディスク装置、光ディスクのアクセス方法及び光ディスク

【課題】 本発明は、光ディスク装置、光ディスクのアクセス方法及び光ディスクに関し、例えばミニディスク(MD)、コンパクトディスク(CD)、ディジタルビデオレコーダ(DVR)等と、これらの記録再生装置に適用して、従来に比して一段と有効に著作権者の利益を保護することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、著作権に関する情報SAの各ビット列b0〜b3を異なる2進数系列M1〜M4によりそれぞれ擾乱して複数系統の信号を生成し、この複数系統の信号をさらに擾乱して1系統の駆動信号OUTを生成してレーザービームを変調する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク装置、光ディスクのアクセス方法及び光ディスクに関し、例えばミニディスク(MD)、コンパクトディスク(CD)、ディジタルビデオレコーダ(DVR)等と、これらの記録再生装置に適用することができる。本発明は、著作権に関する情報の各ビット列を異なる2進数系列によりそれぞれ擾乱して複数系統の信号を生成し、この複数系統の信号をさらに擾乱して1系統の駆動信号を生成してレーザービームを変調することにより、従来に比して一段と有効に著作権者の利益を保護することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】従来、光ディスク装置であるミニディスク装置においては、種々のコンテンツより音質の劣化を防止して簡易に音楽をコピーできることにより、近年、急速に普及するようになされている。すなわちミニディスク装置においては、インターネットにより配信される音楽情報をミニディスクに記録して試聴することもでき、また友人等から借りたコンパクトディスクの音楽をミニディスクに記録して試聴することもできる。さらに他のミニディスクから音楽をコピーすることもできる。
【0003】しかしながらこのような音質の劣化を防止した簡易なコピーにおいては、ユーザの利便性を大きく高める反面、音楽を創作した著作権者の利益を損なう恐れもある。このため例えばRIAA(Recording Industry Association of America)、SDMI(Secure Digital Music Initiative )、CPTWG(Copy Protection Technical Working Group )等の団体、フォーラムにおいて、著作権者の利益の保護を目的として種々の手法が検討されるようになされている。
【0004】このような手法の1つの方法として、記録媒体に固有の著作権保護情報により音楽情報を暗号化して記録する方法が提案されている。すなわちこの方法によれば、音楽情報を別の記録媒体にコピーした場合には、記録媒体で著作権保護情報が異なることにより暗号化を解除することが困難になり、これにより無制限のコピーを防止して著作権者の利益を保護しようとするものである。
【0005】このような著作権保護情報の記録方式については、ユーザーがアクセス困難なセクタを設け、このセクタに著作権保護情報を記録する方法、ピット列による主のデータの記録に対して反射膜を部分的に除去してバーコード状にこの種の情報を記録する方法(国際公開番号WO97/14144号)等が提案されるようになされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところがこれらの方法においては、著作権者の利益を有効に保護する点で実用上未だ不十分な問題がある。
【0007】すなわちユーザーがアクセス困難なセクタに著作権保護情報を記録する方法にあっては、比較的簡易に著作権保護情報を記録することができる反面、その分著作権保護情報がコピーされ易い問題がある。
【0008】また反射膜の部分的な除去によりバーコード状にこの種の情報を記録する方法は、顕微鏡等により観察によりこの種の情報の記録を目視により確認して複製でき、いわゆる海賊版を完全に防止できない問題がある。なお反射膜の除去に代えて、光ディスクの表面に部分的に不透明膜を作成することにより、同様にしてこの種の情報を記録する方法も考えられるが、この場合も反射膜を部分的に除去する場合と同様の問題がある。
【0009】本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比して一段と有効に著作権者の利益を保護することができる光ディスク装置、光ディスクのアクセス方法及び光ディスクを提案しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、光ディスク装置に適用して、著作権に関する情報のビット数に対応する系列により、著作権に関する情報の伝送速度に比して早い伝送速度により2進数系列を発生させる複数の2進数系列発生手段と、これらの2進数系列を対応する著作権に関する情報のビットと演算して複数の演算結果を出力する複数の演算手段と、所定の切り換え信号に応じた複数の演算結果の選択的な出力により駆動信号を出力する選択手段と、駆動信号によりレーザービームを変調する変調手段とを備えるようにする。
【0011】また請求項8の発明においては、光ディスクのアクセス方法に適用して、著作権に関する情報の各ビット列を、著作権に関する情報の伝送速度に比して早い伝送速度による異なる2進数系列によりそれぞれ擾乱して複数系統の信号を生成し、複数系統の信号を擾乱して1系統の駆動信号を生成し、1系統の駆動信号によりレーザービームを変調する。
【0012】また請求項9の発明においては、光ディスクに適用して、著作権に関する情報の1ビットが、情報記録面の周方向に分散されて記録する。
【0013】また請求項15の発明においては、光ディスク装置に適用して、再生信号の同期パターンを基準にして複数の2進数系列を発生する2進数系列発生手段と、それぞれ2進数系列を基準にして再生信号をサンプリングして複数のサンプリング結果を出力する複数のサンプリング手段と、それぞれサンプリング結果を積分して複数の積分結果を出力する複数の積分手段と、それぞれ積分結果を判定して著作権に関する情報の対応するビット列を復号する判定手段とを備えるようにする。
【0014】請求項1の構成によれば、著作権に関する情報のビット数に対応する系列により、著作権に関する情報の伝送速度に比して早い伝送速度により2進数系列を発生させる複数の2進数系列発生手段と、これらの2進数系列を対応する著作権に関する情報のビットと演算して複数の演算結果を出力する複数の演算手段と、所定の切り換え信号に応じた複数の演算結果の選択的な出力により駆動信号を出力する選択手段と、駆動信号によりレーザービームを変調する変調手段とを備えることにより、著作権に関する情報の1ビットは、他のビットと擾乱されて、また2進数系列により擾乱されて記録されることになる。これにより著作権に関する情報を発見困難に記録することができ、これにより従来に比して一段と有効に著作権者の利益を保護することができる。
【0015】また請求項8の構成によれば、著作権に関する情報の各ビット列を、著作権に関する情報の伝送速度に比して早い伝送速度による異なる2進数系列によりそれぞれ擾乱して複数系統の信号を生成し、複数系統の信号を擾乱して1系統の駆動信号を生成し、1系統の駆動信号によりレーザービームを変調することにより、著作権に関する情報の1ビットは、他のビットと擾乱されて、また2進数系列により擾乱されて記録されることになる。これにより著作権に関する情報を発見困難に記録することができ、これにより従来に比して一段と有効に著作権者の利益を保護することができる。
【0016】また請求項9の構成によれば、著作権に関する情報の1ビットが、情報記録面の周方向に分散されて記録されていることにより、著作権の情報の記録を発見困難とすることができ、その分従来に比して一段と有効に著作権者の利益を保護することができる。
【0017】また請求項15の構成によれば、再生信号の同期パターンを基準にして複数の2進数系列を発生する2進数系列発生手段と、それぞれ2進数系列を基準にして再生信号をサンプリングして複数のサンプリング結果を出力する複数のサンプリング手段と、それぞれサンプリング結果を積分して複数の積分結果を出力する複数の積分手段と、それぞれ積分結果を判定して著作権に関する情報の対応するビット列を復号する判定手段とを備えることにより、著作権に関する情報の1ビットを他のビット、2進数系列により擾乱して発見困難に記録しても、確実に著作権の情報を再生することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0019】(1)実施の形態の構成図2は、本発明の実施の形態に係る光ディスク製造工程を示す工程図である。この実施の形態では、この光ディスク製造工程1により2種類の著作権保護情報SA及びSBを記録したミニディスク2を製造する。
【0020】ここでこれら2種類の著作権保護情報SA及びSBは、組み合わせて使用して、ミニディスク2に記録するオーディオデータ等を暗号化し、またミニディスク2に記録したオーディオデータ等の暗号化の解除に使用される情報である。著作権保護情報SA及びSBは、例えばミニディスクに固有のID情報、製造工場に係る情報、製造年月日またはコピー可/不可を制御する情報等を振り分けてそれぞれ構成される。
【0021】ミニディスク2は、図3に示すように、情報記録面が同心円状に分割され、内周側の領域が著作権情報記録領域3に、外周側領域がユーザデータ記録領域4に割り当てられる。ミニディスク2は、この著作権情報記録領域3にこれら2種類の著作権保護情報SA及びSBが記録され、ユーザデータ記録領域4にオーディオデータ等を記録できるように構成される。さらにこの著作権情報記録領域3において、ミニディスク2は、ピット列により著作権保護情報SAが繰り返し記録され、この著作権保護情報SAの記録にオーバーラップして、記録膜の変化によりバーコード状に著作権保護情報SBが記録される。なおミニディスク2は、ユーザデータ記録領域4については通常のミニディスクと同様にアドレス情報によりレーザービームのガイド溝であるグルーブが蛇行するように形成され、またリードインエリア等が作成されるようになされている。
【0022】このためこの光ディスク製造工程1において、信号源6は、4ビットパラレルにより著作権保護情報SAをカッティングマシーン7に繰り返し供給する。
【0023】カッティングマシーン7は、この著作権保護情報SA等により記録用レーザービームを変調してディスク原盤8に照射し、またこれに代えて所定の位置情報により記録用レーザービームを変調してディスク原盤8に照射する。これによりカッティングマシーン7は、ディスク原盤8を露光し、ピット列により著作権保護情報SAを記録し、さらにグルーブ、リードインエリア等を記録するようになされている。
【0024】光ディスク製造工程1において、続く現像工程9は、このようにカッティングマシーン7により露光されたディスク原盤8を現像し、露光軌跡にピット列、グルーブに対応する微細な凹凸を形成する。
【0025】続くメッキ工程10は、このディスク原盤8をメッキ処理し、これによりマザーディスク12を作成する。光ディスク製造工程1は、このマザーディスク12よりスタンパーを作成し、射出成形工程13は、このスタンパーを射出成形機に取り付けて射出成形することにより、マザーディスク12に形成された微細な凹凸を複写してなるディスク基板14を量産する。
【0026】続く記録膜生成工程15は、スパッタリング等の手法によりこのディスク基板14に光磁気膜による記録膜を作成する。
【0027】信号源16は、著作権保護情報SBをバーコード書き込み装置17に出力し、バーコード書き込み装置17は、この著作権保護情報SBによりディスク基板14の記録膜を変化させてバーコード状に著作権保護情報SBを記録する。ここでバーコード書き込み装置17は、記録膜を作成してなるミニディスク2を装着して回転駆動しながら、先の著作権保護情報SAを記録した領域に、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ等による高出力のレーザービームを著作権保護情報SBにより変調して、かつミニディスク2の回転に同期して照射することにより、記録膜の反射率を部分的に変換させてバーコード状に著作権保護情報SBを記録する。なお、このような記録膜の変化によりバーコード状に著作権保護情報SBを記録する場合にあっては、YAGレーザに代えて、炭酸ガスレーザ、高出力半導体レーザ等を使用することもできる。
【0028】光磁気ディスク製造工程1は、続く保護膜作成工程18により記録膜上に保護膜を作成し、これによりミニディスク2が完成するようになされている。
【0029】図4は、カッティングマシーン7を示すブロック図である。カッティングマシーン7は、著作権保護情報SAをピット列によりディスク原盤8に記録し、またディスク原盤8にグルーブ、リードインエリア等を記録する。
【0030】すなわちカッティングマシーン7において、スピンドルモータ20は、スピンドルサーボ回路21の制御によりディスク原盤8を所定の回転速度で回転駆動し、底部に保持したFG信号発生器より、ディスク原盤8が所定の角度だけ回転する毎に信号レベルが立ち上がるFG信号FGを出力する。スピンドルサーボ回路21は、このFG信号FGを基準にしてディスク原盤8が所定の回転速度により回転するように、スピンドルモータ20の動作を制御する。
【0031】レーザー光源23は、例えばガスレーザ等によって構成され、記録用レーザービームL1を光変調器24に向けて出射する。
【0032】光変調器24は、電気音響光学素子(Acoustic Optical Modulator)等によって構成され、記録用レーザービームL1を駆動信号SDにより変調してレーザービームL2を出射する。この変調において、光変調器24は、中央処理ユニット22の制御により動作を切り換え、著作権保護情報SA、リードインエリアの作成に必要な情報等を記録している期間の間は、駆動信号SDに応じたオンオフ制御によりレーザービームL1を変調するのに対し、グルーブを記録する期間の間は、駆動信号SDに応じて出射方向を変化させてレーザービームL1を変調する。
【0033】ミラー25は、レーザービームL2の光路を折り曲げて、ディスク原盤8に向けて射出する。対物レンズ26は、このミラー25の反射光をディスク原盤8の記録面上に集光する。ミラー25および対物レンズ26は、図示しないスレッド機構により、ディスク原盤8の回転に同期して半径方向に順次移動するようになされている。これによりカッティングマシーン7では、レーザービームL2の集光位置をディスク原盤8の外周方向に順次変位させ、ディスク原盤8上に螺旋状にトラックを形成する。さらに著作権情報記録領域3においては、このトラック上に駆動信号SDに応じたピット列を作成して著作権保護情報SAを記録し、また同様にして、リードインエリア等を記録する。またユーザデータ記録領域4においては、駆動信号SDに応じたグルーブの蛇行によりアドレス情報を記録する。
【0034】このため変調回路27は、信号源6から著作権保護情報SA(b0〜b4)を受け、この著作権保護情報SAを変調して変調信号OUTを出力する。
【0035】アドレスフォーマット信号発生回路28は、リードインエリア、ユーザデータ記録領域4に必要なアドレス情報、フォーマット情報等を発生し、これらよりグルーブの蛇行に応じて信号レベルが変化するウォウブル信号等を生成して出力する。
【0036】データセレクタ29は、中央処理ユニット22の制御により、変調回路27より出力される変調信号OUT、アドレスフォーマット信号発生回路28の出力信号を選択して駆動信号SDを出力する。中央処理ユニット22は、このカッティングマシーン7の動作を制御する制御回路を構成し、ミラー25、対物レンズ26を駆動するスレッド機構のモニタによりレーザービームL2の照射位置を検出し、この検出結果によりデータセレクタ29、光変調器24等の動作を切り換え制御する。
【0037】図1は、変調回路27を示すブロック図であり、図5は、この変調回路の動作の説明に供する信号波形図である。変調回路27は、FG信号FGを基準にして著作権保護情報SAを処理することにより、著作権保護情報SAを変調して変調信号OUTを生成する。ここでPLL回路41は、FG信号FGを基準にして動作することにより、ディスク原盤8の回転に同期したチャンネルクロックCK(図5(A))を生成して変調回路27の各部に供給する。
【0038】タイミングジェネレータ(TG)42は、チャンネルクロックCKをカウントすることにより、所定の時間間隔でM系列発生回路45A〜45Dを初期化する初期化パルスSYを発生する。またタイミングジェネレータ42は、この初期化パルスSYに同期した同期パターン選択信号STを生成して出力する。なおここでこの実施の形態において、初期化パルスSYは、チャンネルクロックCKに同期して、1クロック幅により立ち上がるように生成される(図5(B))。また同期パターン選択信号STは、初期化パルスSYの立ち上がりのタイミングより5クロック幅で立ち上がるように生成される(図5(C))。
【0039】ここで変調回路27においては、チャンネルクロックCKに比して格段的に遅いビットレートにより著作権保護情報SAが入力されるようになされている。
【0040】同期パターン発生回路43は、初期化パルスSYの立ち上がりを基準にして、所定の同期パターンDYを生成して出力する。なおこの実施の形態において、同期パターンDYは、図5(D)に示すように、初期化パルスSYの立ち上がりより5クロック周期の期間において、論理値が「11011」となるように設定される。
【0041】M系列発生回路45A〜45Dは、初期化パルスSYにより初期化され、チャンネルクロックCK単位で変化するM系列M1〜M4を出力する(図5(E)〜(H))。ここでM系列M1〜M4は、ランダムに論理値が変化し、かつ論理1と論理0との発生確率が等確率であるデータ列であり、この実施の形態では、チャンネルクロックCKに同期して変化する点を除いて、互いに関連性の無い変化を呈する(いわゆる無相関である)M系列M1〜M4が適用される。
【0042】これによりM系列発生回路45A〜45Dは、著作権に関する情報である著作権保護情報SAのビット数に対応する系列により、著作権に関する情報の伝送速度に比して早い伝送速度により2進数系列を発生させる複数の2進数系列発生手段を構成し、同期パターンを基準にして、2進数系列を繰り返し出力する。
【0043】演算回路(X)46A〜46Dは、イクスクルーシブオア回路により構成され、それぞれM系列信号M1〜M4と著作権保護情報SAの各ビットb0〜b3とをイクスクルーシブオア演算して演算結果を出力する。これにより変調回路27は、著作権保護情報SAの1ビットをM系列信号M1〜M4により擾乱させる。またこのときいわゆる無相関のM系列信号M1〜M4を適用することにより、各ビットb0〜b3の論理値が同一の場合でも、演算結果においては異なるようにし、各ビットb0〜b3を復号する際に、それぞれM系列信号M1〜M4により処理して、他のビットb0〜b3の演算結果によっては影響を受けないようになされている。これにより演算回路46A〜46Dは、M系列発生回路45A〜45Dによる2進数系列を対応する著作権保護情報SAのビットと演算して複数の演算結果を出力する複数の演算手段を構成し、この実施の形態では、同一の著作権保護情報を繰り返し、2進数系列と演算して演算結果を出力する。
【0044】乱数発生回路47は、2ビットの乱数(値0、1、2、3の何れかの値を取る乱数)RをチャンネルクロックCK単位で発生し、データセレクタ48に出力する(図5(I))。データセレクタ48は、この2ビットの乱数Rの値に応じて、演算回路46A〜46Dの演算結果を選択出力する。すなわち乱数発生回路47の出力が値0の場合、第1の演算回路46Aの出力を選択するのに対し、乱数発生回路47の出力が値1、2又は3の場合、それぞれ演算回路46B、46C、46Dの出力を選択する。
【0045】これにより変調回路27は、対応するM系列M1〜M4を基準にした復号により他の演算結果によっては影響を受けないようにした状態で、演算回路46A〜46Dによる演算結果を1系統に纏めてさらに擾乱するようになされている。これによりデータセレクタ48は、乱数による切り換え信号に応じた複数の演算結果の選択的な出力により駆動信号SDを出力する選択手段を構成する。
【0046】データセレクタ49は、同期パターン選択信号STを基準にして、同期パターン発生回路43から出力される同期パターンDY、データセレクタ48の出力を選択出力する。これにより変調回路27は、初期化パルスSYが立ち上がった後の5クロック周期の期間の間、論理「11011」の同期パターンが現れた後、データセレクタ48の出力が選択されて出力されるようになされている(図5(J))。
【0047】これによりディスク原盤8においては、著作権情報記録領域3にこの変調回路27の出力信号OUTに応じたピットPが作成されるようになされている(図5(K))。なおこの図5において、図5(L)〜(N))は、初期化パルスSYを基準にして異なる周期における出力信号OUT、ピットPの生成を示す図である。この実施の形態では、乱数Rにより4系統の乗算結果を1系統に纏めて擾乱することにより、この図5(L)〜(N))により示すように、ディスク原盤8に記録されるピット列においては、著作権保護情報SAの論理値が同一の場合でも異なる変化を呈するようになる。これによりこの実施の形態では、著作権保護情報SAを発見、解析困難とするようになされている。
【0048】変調回路27は、同期パターン選択信号STの発生周期、著作権保護情報SAのバイト数の選定により、ミニディスク2の内外周で、精度良く同期パターンによるピットが重なり合うように設定される(図3(B))。すなわちミニディスク2の回転中心より見て、ミニディスク2の情報記録面を所定の角間隔により分割し、この分割した領域の先頭側より所定の範囲に同期パターンが記録される。かくしてバーコードによる著作権保護情報SBの記録により、ミニディスク2は、著作権情報記録領域3においては、正しくトラッキング制御することが困難になる。
【0049】これらによりミニディスク2は、著作権に関する情報の1ビットが、情報記録面の周方向に分散されて記録されるようになされている。
【0050】図6は、このようにして作成されたミニディスク2を記録再生する光ディスク装置を示すブロック図である。この光ディスク装置61において、スピンドルモータ62は、サーボ回路65の制御によりこのミニディスク2を所定の回転速度で回転駆動する。
【0051】光ピックアップ63は、ミニディスク2の半径方向に可動できるように所定のスレッド機構により保持される。光ピックアップ63は、ミニディスク2にレーザービームを照射し、その戻り光を受光して受光結果を出力する。また記録時、光ピックアップ63は、再生時の光量より記録時の光量にレーザービームの光量を間欠的に立ち上げて変調磁界を印加し、これによりいわゆるパルストレイン方により種々の情報を熱磁気記録する。
【0052】マトリクスアンプ(MA)64は、光ピックアップ63の出力信号を信号処理することにより、グルーブの蛇行に応じて信号レベルが変化するウォウブル信号、トラッキングエラー量に応じて信号レベルが変化するトラッキングエラー信号TK、フォーカスエラー量に応じて信号レベルが変化するフォーカスエラー信号FS、磁気カー効果の利用によりミニディスク2からの戻り光の偏光面に応じて信号レベルが変化する再生信号MO、ミニディスク2における記録膜の変化、ピット列に応じて信号レベルが変化する再生信号HFを生成して出力する。
【0053】サーボ回路65は、これらトラッキングエラー信号TK、フォーカスエラー信号FSにより光ピックアップ63をトラッキング制御、フォーカス制御する。またサーボ回路65は、ウォウブル信号より生成されるクロックが所定周波数になるようにスピンドルモータ62の回転速度を制御する。さらにウォウブル信号よりアドレス情報を取得し、中央処理ユニット(CPU)66の制御により、光ピックアップ63を所定位置にシークさせる。
【0054】アナログディジタル変換回路(AD)67は、上述したチャンネルクロックCKに比して充分に短い周期により再生信号HFを順次アナログディジタル変換処理し、8ビットのディジタル再生信号DXを出力する。第2復号回路68は、著作権情報記録領域3より得られるこのディジタル再生信号DXを処理することにより著作権保護情報SAを復号して出力する。
【0055】中央処理ユニット66は、この光ディスク装置61の動作を制御する制御回路を構成し、図示しないミニディスク検出機構を介してミニディスク2の装填が検出されると、通常のミニディスク装置と同様に、サーボ回路65の制御により光ピックアップ63をリードインエリアにシークさせ、ミニディスク2のアクセスに必要なTOCデータ等を取得する。さらに続いて著作権情報記録領域3に光ピックアップ63をシークさせ、第2復号回路68より著作権保護情報SAを取得する。なおこのとき中央処理ユニット66は、この著作権情報記録領域3においては、バーコードにより著作権保護情報SBが記録され、トラッキング制御困難なことにより、トラッキング制御の動作を中止してフォーカス制御だけの状態によるアクセスをサーボ回路65に指示する。
【0056】このようにして第2復号回路68より著作権保護情報SAを取得する際に、中央処理ユニット66は、併せてディジタル再生信号DXを処理することにより、著作権保護情報SBを再生する。すなわち中央処理ユニット66は、ディジタル再生信号DXを所定のしきい値により判定して2値化し、この2値化結果より著作権保護情報SBの記録に供したクロックを再生する。さらに中央処理ユニット66は、このクロックを基準にして2値化結果を順次ラッチして再生データを生成する。中央処理ユニット66は、この再生データを記録時の処理に対応して必要に応じて誤り訂正処理等することにより、バーコードにより記録した著作権保護情報SBを再生する。
【0057】これにより中央処理ユニット66は、ユーザーによりミニディスク2の再生が指示された場合には、これら2つの著作権保護情報SA、SBにより暗号化の解除に必要な情報を生成して再生系を駆動するのに対し、ミニディスク2への記録が指示された場合、同様にして暗号化の処理に必要な情報を生成して記録系を駆動する。
【0058】このようにして中央処理ユニット66の制御により動作する再生系において、復号回路69は、通常のミニディスク装置における復号回路と同様に、再生信号MOを処理してクロックを再生し、さらにこのクロックを基準にして再生信号MOをEFM(Eight to Fourteen Modulation)復調して再生データを出力する。
【0059】暗号化解除回路79は、著作権保護情報SA、SBを基準にしてこの再生データの暗号化を解除して出力する。誤り訂正回路(ECC:Error Correcting Code)71は、この暗号化解除回路79の出力データを誤り訂正処理して出力する。なおこのような誤りは、例えばミニディスク2上のディフェクト等に起因して生じるものである。これにより光ディスク装置61では、著作権保護情報SA、SBを基準にしたミニディスク2に固有の暗号化の処理より記録したオーディオデータ等を再生して出力するようになされている。
【0060】これに対して記録系において、誤り訂正回路(ECC:Error Correcting Code)72は、順次入力される入力データに誤り訂正符号を付加して出力し、続く暗号化回路73は、著作権保護情報SA、SBを基準にしてこの誤り訂正回路72の出力データを暗号化して出力する。変調回路74は、この暗号化回路73の出力データをEFM(Eight to Fourteen Modulation)変調して変調信号を生成し、この変調信号により光ピックアップ63の変調コイルを駆動する。これにより光ディスク装置61は、著作権保護情報SA、SBを基準にしたミニディスク2に固有の暗号化の処理よりオーディオデータ等を暗号化して記録するようになされている。
【0061】図7は、ディジタル再生信号DXから著作権保護情報SAを復号する第2復号回路を示すブロック図である。この第2復号回路68において、PLL回路81は、ディジタル再生信号DXを基準にして記録時に生成したチャンネルクロックCKを再生して各部に出力する。
【0062】同期検出回路82は、このチャンネルクロックCKを基準にしたディジタル再生信号DXの識別により同期パターンを検出し、この検出結果より記録時の初期化パルスSYを再生する。
【0063】M系列発生回路83A〜83Dは、この初期化パルスSY、チャンネルクロックCKを基準にして、それぞれ記録時に生成したM系列M1〜M4を出力する。
【0064】乗算回路(X)84A〜84Dは、それぞれM系列信号M1〜M4とディジタル再生信号DXを乗算して乗算結果を出力する。なおここで乗算回路(X)84A〜84Dは、M系列信号M1〜M4の論理値に応じてディジタル再生信号DXの極性を反転することにより、この乗算の処理を実行する。
【0065】ここで著作権情報記録領域3のアクセスにおいては、トラッキング制御困難なことにより、ディジタル再生信号DXにおいては、複数トラックを蛇行するように走査して得られると考えられる。これによりディジタル再生信号DXにおいては、複数トラックに記録された変調回路27の出力信号がさらに擾乱された形式により再生されることになる。これに対して著作権保護情報SAにおいては、変調回路27の出力信号OUTにおいて、対応するM系列M1〜M4を基準にした復号により他の演算結果によっては影響を受けないようにした状態で、4系統の演算結果を乱数Rにより擾乱して1系統に纏められて生成されている。これによりディジタル再生信号DXにおいては、各トラックの割り当てられた変調回路27の出力信号OUTがさらにミニディスク2の走査、バーコードによる擾乱を受けて再生されていることになり、結局、対応するM系列M1〜M4を基準にした復号によってのみ正しく再生することができる。
【0066】これにより積分回路85A〜85Dは、乗算回路84A〜84Dより出力される乗算結果をそれぞれ初期化パルスSYを基準にして積分することにより、著作権保護情報SAの対応するビットb0〜b3の論理値に応じた値の積分結果を出力する。判定回路86A〜86Dは、それぞれ積分回路85A〜85Dより出力される積分結果を初期化パルスSYを基準にして2値識別することにより、著作権保護情報SAの各ビットb0〜b3を復号して出力する。
【0067】これらにより光ディスク装置61では、光ピックアップ63、マトリクスアンプ64が、再生信号を生成する再生信号生成手段を構成するのに対し、PLL回路81、同期検出回路82、M系列発生回路83A〜83Bが、再生信号の同期パターンを基準にして複数の2進数系列を発生する2進数系列発生手段を構成するようになされている。また乗算回路84A〜84Dが、それぞれ2進数系列を基準にして再生信号をサンプリングして複数のサンプリング結果を出力する複数のサンプリング手段を構成し、積分回路85A〜85Dが、それぞれサンプリング結果を積分して複数の積分結果を出力する複数の積分手段を構成し、判定回路86A〜86Dが、それぞれ積分結果を判定して著作権保護情報の対応するビット列を復号する判定手段を構成するようになされている。
【0068】(2)実施の形態の動作以上の構成において、ミニディスク2の製造工程では(図2)、カッティングマシーン7によりディスク原盤8を露光して現像することにより、ディスク原盤8にミニディスク2に作成する微細な凹凸が作成され、メッキ工程10等を経てこの微細な凹凸を転写してなるミニディスク2のディスク基板14が作成され、このディスク基板14に記録膜、保護膜を作成してミニディスク2が作成される。
【0069】このようにして作成されるミニディスク2は(図3及び図4)、リードインエリア、ユーザーデータ記録領域4等においては、アドレスフォーマット信号発生回路28の出力信号により駆動信号SDが作成され、この駆動信号SDにより光変調器24で記録用レーザービームL1が変調されてディスク原盤8が露光されることにより、従来のミニディスク2と同様に作成される。これに対してミニディスク2の内周側の著作権情報記録領域3においては、著作権に関する情報である著作権保護情報SAが変調回路27で変調されて生成された駆動信号SDにより記録用レーザービームL1がオンオフ変調され、これによりこの著作権情報記録領域3にピット列により著作権保護情報SAが記録される。
【0070】この著作権保護情報SAは(図1及び図5R>5)、4ビットパラレルにより変調回路27に入力され、ここで著作権保護情報SAに比して伝送速度が早く、かつ互いに異なる各ビットに対応する4系統のM系列M1〜M4がM系列発生回路45A〜45Dで生成され、各M系列M1〜M4と対応する各ビットb0〜b3とが演算回路46A〜46Dにより演算処理される。これにより著作権保護情報SAは、それぞれ2進数系列であるM系列M1〜M4により擾乱されて、発見困難とされる。
【0071】さらに著作権保護情報SAは、これら演算回路46A〜46Dの演算結果がデータセレクタ48により乱数Rを基準にして選択出力され、これによりさらに擾乱されて1系統による駆動信号に変換され、さらに一段と発見困難とされる。
【0072】著作権保護情報SAは、このデータセレクタ48の出力信号にデータセレクタ49により同期パターンDYが介挿され、これにより再生時、この同期パターンDYを基準にしてM系列M1〜M4を生成できるようになされ、さらに生成したM系列M1〜M4を基準にした復号により各ビットb0〜b3を再生することができるようになされる。
【0073】すなわちM系列M1〜M4においては、互いに無関係で、かつ論理1と論理0とが等確率により発生することにより、他のM系列M1〜M4により擾乱した信号を所望のM系列により復号し、この復号結果を長期間により見た場合、論理1及び論理0に対応する信号レベルの平均値に収束する。これに対して対応するM系列M1により復号して同様に判定した場合、正しい論理レベルを判定することができる。
【0074】これによりこの実施の形態では、著作権に関する情報の各ビット列を異なる2進数系列によりそれぞれ擾乱して複数系統の信号を生成すると共に、この複数系統の信号をさらに擾乱して1系統の駆動信号を生成してレーザービームを変調することにより、不規則なピット列の配置により著作権保護情報SAを記録して、著作権の保護情報を発見困難とするようになされている。
【0075】さらにこのようにして4系統を擾乱して1系統に纏めて記録することにより、著作権保護情報SAの1ビットを1つのトラックの比較的長い距離に分散して記録するようになされている。
【0076】このようにして著作権保護情報SAを記録するにつき、著作権保護情報SAは、少なくとも著作権情報記録領域3においては(図3)、円周方向にほぼ同一位置に同期パターンを記録するように、またこの同期パターンを基準にして、2進数系列が繰り返されることにより、さらに著作権保護情報SAが繰り返されて記録される。これにより何れのトラックを走査する場合でも、著作権保護情報SAの各バイトは、ミニディスク2のトラック全集に分散されて記録されていることになる。
【0077】これによりミニディスク2では、トラッキング制御しない状態で再生して、複数トラックを斜めに横切るように再生用のレーザービームが走査する場合でも、連続する再生信号においては、時系列により順次、著作権保護情報SAの各バイトの再生信号として再生される。
【0078】カッティングマシーン7では、このようにして著作権保護情報SAの記録に使用される擾乱用の信号のうち、M系列信号M1〜M4については、ディスク原盤8の回転に同期してリセットされるのに対し、乱数Rについては、何らリセットされることなく生成される。これによりミニディスク2では、内外周で同一の著作権保護情報SAを記録する場合でも、各トラックで異なるピット列により著作権保護情報SAが記録され、これによりさらに一段と著作権保護情報SAを発見困難とすることができる。
【0079】さらに内外周で同一の著作権保護情報SAを記録する場合に、複数トラックを斜めに横切るように再生用のレーザービームが走査しても連続する再生信号においては、順次、著作権保護情報SAの各バイトの再生信号を得られるように設定し、異なるM系列による復号には影響を与えないようにして対応するM系列M1により復号して判定した場合には正しい論理レベルを判定することができることにより、このように各トラックで異なるピット列により著作権保護情報SAを記録してトラッキング制御しないようにしても、正しく著作権保護情報SAを再生することが可能となる。
【0080】さらにこのような著作権保護情報SAが記録した上に、さらにバーコードにより第2の著作権保護情報SBを記録して、著作権保護情報SAについて再生信号が一時途絶える場合でも、確実に著作権保護情報SAを再生することが可能となる。
【0081】かくするにつき光ディスク製造工程1では(図2)、このような著作権保護情報SAによる微細な凹凸が作成されてなるディスク基板14に記録膜が作成された後、第2の著作権保護情報SBにより変調された記録用レーザービームが著作権保護情報SAを記録した領域に照射され、これにより著作権保護情報SAに重ねてバーコードによる著作権保護情報SBが記録される。
【0082】これによりミニディスク2は、この著作権保護情報SBの記録によっても、著作権保護情報SAを発見困難とすることができる。またこの著作権保護情報SBがバーコード状に記録されることにより、トラッキング制御困難とすることができる。これにより著作権保護情報SAの解析を目的として著作権情報記録領域3をアクセスする場合に、ピット列に対応する再生信号を取得困難とすることができ、これによってもさらに一段と著作権保護情報SAを発見、解析困難とすることができる。
【0083】ミニディスク2においては、これによりこのようにして記録された2つの著作権保護情報SA、SBによる暗号化の処理により、違法コピーを排除することが可能となる。
【0084】すなわちミニディスク2においては(図6R>6)、光ディスク装置61において、トラッキング制御しない状態で、光ピックアップ63より得られる戻り光の受光結果をマトリクスアンプ64により処理してピット列、バーコードに応じて信号レベルが変化する再生信号HFが検出され、この再生信号HFが高いサンプリングレートによるディジタル再生信号DXに変換されて第2復号回路68で処理されることにより、ピット列により記録された著作権保護情報SAが再生される。また中央処理ユニット66におけるディジタル再生信号DXの処理によりバーコードによる著作権保護情報SBが再生される。
【0085】これによりミニディスク2では、これら著作権保護情報SA、SBに基づいて入力データが暗号化されて記録され、またこれら著作権保護情報SA、SBに基づいて再生データの暗号化が解除される。ここで例えばこれら著作権保護情報SA、SBを正しく再生困難な場合、このような暗号化によるデータの正しい記録再生が困難なことにより、光ディスク装置61においては、正しく著作権保護情報SA、SBが記録されたミニディスクについてだけ、所望のデータを正しく記録再生することが可能となる。これによりこの実施の形態では、いわゆる海賊版によるミニディスクの市場価値を著しく低下させて、海賊版によるミニディスクを市場より排除することができる。
【0086】かくするにつき、このような前提である著作権保護情報SA、SBについては、上述したように発見困難であることにより、特に著作権保護情報SAについてはトラッキング制御困難であることにより、このような著作権保護情報SA、SB自体についてもコピー困難、解析困難とすることができ、これにより著作権保護情報SA、SBをもコピーしてなる海賊版についても有効に排除することができる。
【0087】かくするにつき第2復号回路68において、ディジタル再生信号DXは、同期パターンを基準にしてM系列発生回路83A〜83Dにより記録時と同一のM系列M1〜M4が作成され、これらとそれぞれ乗算されることにより、記録時と同一の2進数系列によりサンプリングされ、このサンプリング結果がそれぞれ積分回路85A〜85Bにより積分される。これによりディジタル再生信号DXは、それぞれ著作権保護情報SAの各ビットb0〜b3の論理値に対応し、他のビットb0〜b3の論理値に無関係の積分結果が得られ、この積分結果の判定により各ビットb0〜b3の論理値が復号される。
【0088】これにより光ディスク装置61では、バーコードを重ねて記録している場合でも、さらには隣接するトラックで異なるパターンとなるように、さらには複数系列を擾乱して1系統の駆動信号を生成する等により極めて発見困難、複製困難に著作権保護情報SAを記録した場合でも、確実に著作権保護情報SAを再生することができる。
【0089】(3)実施の形態の効果以上の構成によれば、著作権に関する情報の各ビット列を、著作権に関する情報の伝送速度に比して早い伝送速度による異なる2進数系列によりそれぞれ擾乱して複数系統の信号を生成し、この複数系統の信号をさらに擾乱して1系統の駆動信号を生成してレーザービームを変調することにより、著作権に関する情報を発見困難に記録することができ、これにより従来に比して一段と有効に著作権者の利益を保護することができる。
【0090】このとき駆動信号に所定周期で同期パターンを介挿することにより、再生時、この同期パターンを基準にして2進数系列を生成して、このようにして記録された著作権に関する情報を確実に再生することができる。
【0091】またこの同期パターンを基準にして、2進数系列を繰り返し出力することによっても、例えばバーコード等を重ねて記録してトラッキング制御困難とした場合でも、著作権に関する情報を確実に再生することができる。
【0092】さらに乱数により擾乱して複数系統の信号より1系統の駆動信号を生成することにより、トラッキング制御困難としても再生できるように著作権に関する情報を記録した場合でも、各トラックで異なるパターンにより著作権に関する情報を記録することができ、これにより著作権に関する情報を発見困難、コピー困難に記録して、従来に比して一段と有効に著作権者の利益を保護することができる。
【0093】またこのようにして記録した著作権に関する情報を再生する際に、記録時に対応する2進数系列を生成して再生信号と演算し、その演算結果を積分することにより、このようにして解析困難、コピー困難に記録した著作権に関する情報を確実に再生することができる。
【0094】(4)他の実施の形態なお上述の実施の形態においては、4ビットパラレルによる著作権保護情報を記録する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々のビット数による場合に広く適用することができる。
【0095】また上述の実施の形態においては、バーコードを重ねて記録する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、バーコードによる著作権保護情報の記録を省略する場合にも広く適用することができる。また誤り訂正符号等の採用により、著作権保護情報SAの繰り返しの記録も省略して、著作権情報記録領域の面積を少なくするようにしてもよい。またこれに反して、バーコードによる著作権保護情報SBの記録を省略しても、ディフェクトを故意に作成する等によりトラッキング制御困難とすることも考えられる。
【0096】また上述の実施の形態においては、ピット列により著作権保護情報SAを記録する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、マーク列により記録する場合等にも広く適用することができる。
【0097】また上述の実施の形態においては、変調回路27で生成した駆動信号により直接レーザービームを変調する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、変調回路27の出力信号をさらに位相変調等してレーザービームを変調するようにしてもよい。このようにすれば再生側のPLL回路の設計を容易とすることができる。
【0098】また上述の実施の形態においては、同期パターンを放射状に配置する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、同期パターンを半径方向にランダムな位置に配置するようにしてもよい。
【0099】また上述の実施の形態においては、乱数により擾乱して1系統の駆動信号を生成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、単に乱数により複数系統の信号を選択出力する場合には、駆動信号において論理0と論理1との比率が一定しない場合も考えられることにより、駆動信号を監視して直流レベル補正用のビットを介挿するようにしてもよい。
【0100】また上述の実施の形態においては、著作権に関する情報として、ミニディスクに固有のID情報、製造工場に係る情報、製造年月日またはコピー可/不可を制御する情報等を振り分けて構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、単に暗号化処理に必要な鍵情報を記録する場合等、著作権に関する種々の情報を記録する場合に広く適用することができる。
【0101】また上述の実施の形態においては、著作権に関する情報により入力データを暗号化して記録し、また暗号化を解除して再生する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、再生専用の光ディスクについても適用することができる。
【0102】また上述の実施の形態においては、著作権に関する情報により暗号化処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、著作権に関する情報によりアクセスを停止する場合等にも広く適用することができる。
【0103】また上述の実施の形態においては、本発明をミニディスクと、関連する装置に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、同様の光磁気ディスクであるMOに適用する場合、さらにはピット列によりデータを記録するコンパクトディスク、ディジタルビデオディスク等の種々の光ディスク、相変化型の光ディスク、光ディスク装置に広く適用することができる。
【0104】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、著作権に関する情報の各ビット列を異なる2進数系列によりそれぞれ擾乱して複数系統の信号を生成し、この複数系統の信号をさらに擾乱して1系統の駆動信号を生成してレーザービームを変調することにより、従来に比して一段と有効に著作権者の利益を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るカッティングマシーンに適用される変調回路を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るミニディスクの製造工程を示す工程図である。
【図3】図2のミニディスクの製造工程により製造されるミニディスクを示す略線図である。
【図4】図2の製造工程に適用されるカッティングマシーンを示すブロック図である。
【図5】図1の変調回路の動作の説明に供する信号波形図である。
【図6】図3のミニディスクを記録再生する光ディスク装置を示すブロック図である。
【図7】図6の光ディスク装置の第2復号回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
1……光ディスク製造工程、2……ミニディスク、3……著作権情報記録領域、7……カッティングマシーン、8……ディスク原盤、27……変調回路、41、81……PLL回路、43……同期パターン発生回路、45A〜45D、83A〜83D……M系列発生回路、46A〜46D……演算回路、47……乱数発生回路、29、48、49……データセレクタ、61……光ディスク装置、66……中央処理ユニット、68……第2復号回路、82……同期検出回路、84A〜84D……乗算回路、85A〜85D……積分回路、86A〜86D……判定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】ディスク状記録媒体にレーザービームを照射して著作権に関する情報を記録する光ディスク装置において、前記著作権に関する情報のビット数に対応する系列により、前記著作権に関する情報の伝送速度に比して早い伝送速度により2進数系列を発生させる複数の2進数系列発生手段と、前記2進数系列を対応する前記著作権に関する情報のビットと演算して複数の演算結果を出力する複数の演算手段と、所定の切り換え信号に応じた前記複数の演算結果の選択的な出力により駆動信号を出力する選択手段と、前記駆動信号により前記レーザービームを変調する変調手段とを備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】前記2進数系列は、M系列であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】前記駆動信号に所定周期で同期パターンが介挿されたことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】前記2進数系列発生手段は、前記同期パターンを基準にして、前記2進数系列を繰り返して出力することを特徴とする請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】前記レーザービームの照射により前記著作権に関する情報をピット列により記録することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項6】前記2進数系列発生手段は、少なくとも前記ディスク状記録媒体の所定の範囲では、前記ディスク状記録媒体の回転周期で同一の2進数系列を繰り返し発生し、前記演算手段は、少なくとも前記所定の範囲では、同一の前記著作権に関する情報を繰り返して前記2進数系列と乗算して前記演算結果を出力し、前記選択手段は、少なくとも前記所定の範囲では、前記2進数系列の繰り返し及び又は前記同一の前記著作権に関する情報の繰り返しに対して、異なる記録パターンを形成するように前記複数の演算結果を選択的に出力することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項7】前記切り換え信号が乱数信号であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項8】ディスク状記録媒体にレーザービームを照射して著作権に関する情報を記録する光ディスクのアクセス方法において、前記著作権に関する情報の各ビット列を、前記著作権に関する情報の伝送速度に比して早い伝送速度による異なる2進数系列によりそれぞれ擾乱して複数系統の信号を生成し、前記複数系統の信号を擾乱して1系統の駆動信号を生成し、前記1系統の駆動信号により前記レーザービームを変調することを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項9】著作権に関する情報が記録されてなる光ディスクであって、前記著作権に関する情報の1ビットが、情報記録面の周方向に分散されて記録されたことを特徴とする光ディスク。
【請求項10】前記著作権に関する情報が、所定の駆動信号により変調されたレーザービームの照射により記録され、前記駆動信号が、前記複数系統の演算信号を擾乱して生成された1系統の信号であり、前記複数系統の演算信号が、前記著作権に関する情報の各ビット列を、前記著作権に関する情報の伝送速度に比して早い伝送速度による異なる2進数系列によりそれぞれ擾乱して生成されたことを特徴とする請求項9に記載の光ディスク。
【請求項11】前記2進数系列が、M系列であることを特徴とする請求項10に記載の光ディスク。
【請求項12】放射状に広がるバーコードの記録により前記著作権に関する情報に関連する情報が記録されたことを特徴とする請求項10に記載の光ディスク。
【請求項13】前記著作権に関する情報に関連する情報が、光ディスク毎に異なる光ディスクに固有の情報であることを特徴とする請求項11に記載の光ディスク。
【請求項14】前記著作権に関する情報を記録した領域に、前記著作権に関する情報に関連する情報が記録されたことを特徴とする請求項12に記載の光ディスク。
【請求項15】光ディスクに記録された著作権に関する情報を基準にして暗号化の処理を実行する光ディスク装置において、前記光ディスクにレーザービームを照射して戻り光を受光し、前記戻り光の受光結果より再生信号を生成する再生信号生成手段と、前記再生信号の同期パターンを基準にして複数の2進数系列を発生する2進数系列発生手段と、それぞれ前記2進数系列を基準にして前記再生信号をサンプリングして複数のサンプリング結果を出力する複数のサンプリング手段と、それぞれ前記サンプリング結果を積分して複数の積分結果を出力する複数の積分手段と、それぞれ前記積分結果を判定して前記著作権に関する情報の対応するビット列を復号する判定手段とを備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項16】前記2進数系列が、M系列であることを特徴とする請求項15に記載の光ディスク装置。
【請求項17】前記著作権に関する情報により、前記光ディスクに記録されたデータの暗号化を解除することを特徴とする請求項15に記載の光ディスク装置。
【請求項18】前記著作権に関する情報により、所望のデータを暗号化して前記光ディスクに記録することを特徴とする請求項15に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2001−319334(P2001−319334A)
【公開日】平成13年11月16日(2001.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−143409(P2000−143409)
【出願日】平成12年5月11日(2000.5.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】