説明

光ディスク装置、及び光ディスク装置の再生方法

【課題】半導体メモリをはじめとする大容量メモリを内蔵する光ディスク装置における、動作効率の良い再生方法が望まれる。
【解決手段】記録するデータを、光ディスクと大容量メモリの双方に記録する。光ディスク媒体の各記録セクタ、ないしECCブロックに対応したベリファイフラグを制御メモリに格納する。データの再生が指示された際はベリファイフラグを参照し、光ディスク上の当該データに対し未だベリファイを行っていなければ、光ディスク上に記録されたデータを再生しベリファイして出力する。既にベリファイを済んでいれば、大容量メモリ上に記録されたデータを読取って出力することで、応答時間、消費電流や騒音を大幅に低減する。大容量メモリは光ディスク装置に内蔵され、記録再生装置の小型化に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置、及び光ディスク装置の再生方法に係り、特に大容量メモリを内蔵した動作効率の良い光ディスク装置、及び光ディスク装置の再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置を使用する記録再生装置においては、記録媒体として光ディスクのみならず、他の記録媒体を有するものがある。例えばHDD(Hard Disk Drive)と呼ばれる大容量の磁気ディスクメモリがその一例である。HDDは光ディスクに対するキャッシュメモリとして機能し、また光ディスクと同様にデータを長期間保存するためのデータストレージとしても機能できる。その記録容量は光ディスクと同等か、これを凌ぐ場合もある。
【0003】
特許文献1には、携帯可能でパーソナルコンピュータのような情報処理装置本体と接続することなく、読取り情報をリムーバブルメディアに記録する情報読取り装置が開示されている。
特許文献2には、携帯性に優れた外部記憶媒体の有効な利用方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−306048号公報
【特許文献2】特開平10(1998)−289557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HDDをキャッシュメモリとして機能する光ディスク装置に対して、HDDの代わりに大容量な半導体メモリであるSSD(Solid State Drive)をキャッシュメモリとする光ディスク装置を考えることができる。半導体メモリの低価格化とともに実現性が高まっており、またHDDと比較して遥かに小型で消費電流が小さいことから、従来の光ディスク装置のスペースに内蔵して、記録再生装置自体の小型化を推進できる特徴もある。
【0006】
ところで光ディスクは他の記録媒体と比較して記録再生過程で発生するエラー多いため、ベリファイを行うのが普通である。ベリファイとは、再生時のエラー訂正が可能な品質で情報を記録できたかを確認するための動作である。しかし、前記したような大容量の半導体メモリを内蔵する光ディスク装置については、最近実現性が高まったこともあって、動作効率の良いベリファイ方法が開示されたことはなかった。
本発明の目的は前記の課題に鑑み、大容量メモリを内蔵した動作効率の良い光ディスク装置、及び光ディスク装置の再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、光ディスクを第1の記録媒体として情報データを記録し再生する光ディスク装置において、前記第1の記録媒体に記録される前記情報データが入力されて所定量を一時的に格納し、再生された情報データから所定量を一時的に格納して出力するバッファメモリと、該バッファメモリに接続され該バッファメモリに格納された前記第1の記録媒体に記録される情報データを記憶する第2の記録媒体と、前記バッファメモリに格納された前記第1の記録媒体に記録される情報データを供給され、前記第1の記録媒体での記録再生過程で発生するエラーを訂正するためのエラー訂正符号をこれに付加する記録処理回路と、該記録処理回路でエラー訂正符号を付加された情報データを供給され、これを前記第1の記録媒体へ光学的に記録し再生する光ヘッドと、該光ヘッドで再生された情報データが供給されて該情報データにおける前記第1の記録媒体での記録再生過程で発生したエラーを検出して訂正し、エラー訂正後の前記情報データを前記バッファメモリに供給する再生処理回路と、前記光ディスク装置の動作を制御し、前記第1の記録媒体に記録された情報データが再生時に前記再生処理回路におけるエラー訂正が可能な品質で記録されたか否かを判定するベリファイ動作を行うシステム制御回路を有し、該システム制御回路は、前記情報データを再生し前記バッファメモリから出力する際に、前記情報データに対して既に前記ベリファイ動作が行われている場合には前記第2の記録媒体に記憶した情報データを出力し、前記情報データに対して未だ前記ベリファイ動作が行われていない場合には前記第1の記録媒体に記録した情報データに対してベリファイ動作を行って該情報データを出力するように制御することを特徴としている。
【0008】
また本発明は、光ディスクを第1の記録媒体とし半導体メモリを第2の記録媒体として情報データを記録再生し、前記第1の記録媒体に記録された情報データに対し再生時におけるエラー訂正が可能な品質で記録されたか否かを判定するベリファイ動作が既に行われたか否かを示すベリファイフラグを格納する光ディスク装置の再生方法であって、再生する前記情報データに対して前記ベリファイ動作が既に行われたか否かを前記ベリファイフラグを参照して判定するベリファイフラグ判定ステップと、該ベリファイ判定ステップでの判定の結果、前記ベリファイ動作が既に行われていると判定された場合には前記第2の記録媒体に格納された情報データを読取って出力する第1の出力ステップと、前記ベリファイ判定ステップでの判定の結果、前記ベリファイ動作が未だ行われていないと判定された場合には前記第1の記録媒体に記録された情報データを再生する再生ステップと、該再生ステップで再生された情報データに対して前記ベリファイ動作を行い再生時におけるエラー訂正が可能な品質で記録されたか否かを判定するベリファイ判定ステップと、該ベリファイ判定ステップでの判定の結果、再生時におけるエラー訂正が可能な品質で記録されたと判定された場合には、前記ベリファイフラグをベリファイ動作が既に行われた状態に変更して前記再生ステップで再生された情報データを出力する第2の出力ステップと、前記ベリファイ判定ステップでの判定の結果、再生時におけるエラー訂正が可能な品質で記録されていないと判定された場合には、前記第1の記録媒体上で前記第1の記録媒体に記録された情報データを修復する修復ステップと、該修復ステップにおける修復は成功したか否かを判定する修復判定ステップと、該修復判定ステップでの判定の結果、修復は成功したと判定された場合には、前記ベリファイフラグをベリファイ動作が既に行われた状態に変更して前記修復ステップで修復された情報データを再生して出力する第3の出力ステップと、前記修復判定ステップでの判定の結果、修復は成功しなかったと判定された場合には、エラーフラグを出力する第4の出力ステップを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大容量メモリを内蔵した動作効率の良い光ディスク装置、及び光ディスク装置の再生方法を提供でき、光ディスク装置の使い勝手の向上に寄与できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例に関わる光ディスク装置のブロック図である。
【図2】本発明の一実施例におけるベリファイフラグの例を示す概念図である。
【図3】本発明の一実施例における記録回路のブロック図である。
【図4A】本発明の一実施例における再生回路のブロック図である。
【図4B】本発明の一実施例における再生回路のブロック図である。
【図5】本発明の一実施例における再生方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の例について、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施例に関わる光ディスク装置のブロック図である。特に破線の内部がここで述べる光ディスク装置であり、PC(Personal Computer)をはじめとするホストコンピュータを含む上位装置101からの制御に基づき、光ディスク111にデータを記録し、また再生する。
【0012】
記録媒体である光ディスク111は、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disk)などである。もちろん、BD−RやDVD−Rをはじめとする一回のみ記録が可能な追記型、BD−REやDVD−RAMをはじめとする書換え型のいずれを用いても良い。
装着された光ディスク111は、スピンドルモータ109により回転駆動される。そのための駆動制御信号は、例えばマイクロプロセッサを含むシステム制御回路108から供給されている。
【0013】
光ヘッド106は、レーザ光束を光ディスク111の記録面に照射し、データを記録ないし再生する。すなわち、記録する符号化データに基づき変調されたレーザ光が光ヘッド106の有する半導体レーザ光源(図示せず)で発生されて光ディスク111の記録面に照射され、データを記録する。再生する際は、光ディスク111の記録ピットに応じて変調された反射光であるレーザ光束が、光ヘッド106の有する光ディテクタ(図示せず)で電気信号に変換されながら、再生信号として検出される。
【0014】
光ヘッド106はスレッド機構(図示せず)に搭載されており、光ディスク111上の半径方向に移動して所定のトラック位置において記録再生を行う。このための制御信号は、システム制御回路108で生成される。また光ヘッド106が有する、レーザ光束を処理するための対物レンズはアクチュエータ(ともに図示せず)に搭載されており、やはりシステム制御回路108で生成される制御信号に基づき、レーザ光束が光ディスク111の所定の記録トラック上に正しくフォーカスするように位置を微調整される。
【0015】
次に信号回路部の動作について説明する。まずデータ記録時は、上位装置101からインタフェースコントローラ102に記録データが供給される。元の信号が動画像の映像信号である場合には、例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)方式によりデータ圧縮された記録データが供給される。これはバッファメモリ103に一時的に格納される。記録処理回路104は、バッファメモリ103から所定量のデータを読み出したうえで、エラー訂正符号を付加し、また符合の発生確率に応じた符号化のための変調処理などを行い、ライトパルスとしての記録信号を生成する。この記録信号は光ヘッド106に供給される。これにより、記録信号は光ディスク111へ記録される。
【0016】
また、さきのバッファメモリ103に一時的に格納された記録データは、例えば半導体メモリによる大容量メモリ110にも供給されて記憶される。大容量メモリ110の容量は、例えば光ディスク111の容量と同等か、これを凌ぐものであっても良い。当然ながらバッファメモリ103よりも遥かに大容量であって良い。ユーザが取り外すことができるようにして良い。
【0017】
従来、例えばテレビジョン放送信号の記録再生装置では、HDDをキャッシュメモリとする光ディスク装置が一般的である。この装置においては、まず放送されたコンテンツをHDDに記録した後、取捨選択ないし編集し、長く保存するコンテンツだけを光ディスクへダビングする使い方が多かった。本実施例ではこのキャッシュメモリをHDDでなく、SSDによる大容量メモリ110とすることを特徴としている。最近の半導体メモリの低価格化に伴い、コストアップを問題とすることなく装備できるようになっている。HDDと比較して騒音が問題となることはなく、動作速度は速い。さらには小型で消費電力が小さいことから、従来の光ディスク装置内のスペースに実装できる長所がある。HDDを使用する場合、上位装置101はこれを光ディスク装置とは別の構成要素として制御するのが普通である。しかしSSDを使用する場合、上位装置101は図1に示したように、これを光ディスク装置内の構成要素として一緒に制御できる長所もあり、制御システムの簡素化に寄与することもできる。
【0018】
一方再生時には、光ヘッド106で検出された電気信号としての再生信号が、再生処理回路105に供給される。再生処理回路105の含むAFE(Analog Front End)回路105Aは、ディジタル記録であっても本質的にはアナログ信号として扱うべき前記再生信号の処理を行う。AFE回路105Aは、再生信号を演算処理してTE(Tracking Error)信号やFE(Focus Error)信号を生成し、システム制御回路108に供給する。システム制御回路108は、供給されたTE信号やFE信号に基づきトラッキング用とフォーカス用のサーボ制御信号を生成し、光ヘッド106に供給してその動作を制御する。なお、TE信号やFE信号の詳しい生成方法については、本発明の主眼ではないので記載を省略する。
【0019】
またAFE回路105Aは、光ヘッド106や光ディスク111でデータを記録再生した際の、振幅や位相の周波数特性を等化し、再生信号の波形が前記した記録処理回路104の出力波形に極力近づくようにする。さらに再生信号はDEM(Demodulator)回路105Bに供給され、記録信号処理回路104で施された符号化変調処理が復調され、ECC(Error Correction Circuit)回路105Cで記録再生過程におけるエラー訂正処理が施される。これはECCDET(Detector)回路105Dが、記録信号処理回路104で付加されたエラー訂正符号に基づいてエラーを検出した際に機能する。ECC回路105Cにおいて必要なエラー訂正を施された再生データは、バッファメモリ103に一時的に格納される。バッファメモリ103に格納された再生データは、インタフェースコントローラ102を介して上位装置101へ逐次転送される。
【0020】
さきのECCDET回路105Dの出力は、システム制御回路108が含むベリファイ判定回路108Aにも供給されている。一度記録されたデータが、再生時にECC回路105Cでエラー訂正できる程度の品質で記録できたかを、データを再生して確認するのがベリファイである。ベリファイ判定の方法にはいくつかの方法が考えられるが、ここではECCDET回路105Dで検出したエラー発生の頻度に応じて判定するようにしている。
【0021】
ベリファイを行うタイミングについて説明する。一般的には一つのケースとして、上位装置101が光ディスク111からの再生データを必要としないながら、ベリファイ動作だけを光ディスク装置に要求することが考えられる。また上位装置101が光ディスク111からの再生データを必要とし、しかもベリファイ動作を同時に要求することも考えられる。また上位装置からの指示でデータを記録する際に、これと同時(直後)にそのデータを再生してベリファイを行うことも考えられる。従来は、BD−REやDVD−RAMなど後記するディスクマネジメント機能のあるディスクでは、記録と同時(直後)にそのデータを再生してベリファイをし、DVD−Rなどディスクマネジメント機能のないディスクでは、上位装置101からの読取り(Read)コマンドを受けた際に実施することが多かった。なお、このReadコマンドは上位装置101が再生データを必要とするか否かに関わらず、共通で使用されることが多かった。
【0022】
ベリファイ判定回路108Aでの判定結果は、さきのインタフェースコントローラ102に供給され、以下で詳しく述べるように、再生データを上位装置101へ出力する際の制御を行っている。
【0023】
次に本発明の一実施例における光ディスク装置の動作を、さらに詳しく説明する。
光ディスク111で記録再生されたデータには、半導体メモリをはじめとする大容量メモリ110などと異なり、エラーの発生確率が高い。このため、前記したように光ディスク111に記録したデータに対しては、ベリファイという動作が行われ、再生時にエラー訂正が可能な程度の品質で記録できたかを判定する。一度ベリファイして記録品質が良好であることが確認できれば、その後は頻繁にベリファイを行う必要はない。
【0024】
以上の事情により、本実施例においてはシステム制御回路108に接続された(内蔵されていても良い)制御メモリ107に、複数のベリファイフラグを記憶するようにし、光ディスク111上のデータ管理単位に対して、各々にベリファイフラグを対応させるようにする。すなわち、システム制御回路108は制御メモリ107を参照することで、前記データ管理単位ごとにベリファイを既に行ったか否かを判別できるようにする。もちろん光ディスク111は光ディスク装置に対して着脱可能であるから、想定される光ディスクの枚数を考慮して、制御メモリ107におけるベリファイフラグの記録容量を設定しても良い。なお、バッファメモリ103がシステム制御回路108から直接アクセスできる場合は、制御メモリ107はバッファメモリ103の中にあっても良い。
【0025】
図2は、本発明の一実施例におけるベリファイフラグの例を示す概念図である。
図2の四角形は、一つの管理単位を示す。管理単位の取り方は任意であるが、一例としてDVDでは2048Byteを1セクタとし、16セクタを単位の記録領域とし、一つの記録領域ごとに纏めて記録し、エラー訂正するようにしているが、この記録領域(ECCブロック)を管理単位としても良い。また前記1セクタを管理単位としても良い。
【0026】
図2において前記管理単位が複数個並んでいるが、これは光ディスク111の内周から外周に螺旋状に配置されたユーザ記録エリアを表している。斜線を付した管理単位においては既にベリファイ済であり、それ以外は未だベリファイを行っていないとすれば、前者には例えば1のベリファイフラグを、後者には例えば0のベリファイフラグを管理単位ごとに与えて、制御メモリ107に記憶する。
【0027】
なお、ベリファイを実施した際に記録品質が悪く不合格と判定された場合は、後記するような方法で記録データを修復することとなる。この修復が成功すればベリファイフラグを0から1に変更すると良い。修復が不可能であり、或いは失敗した場合にはエラー表示するなどするが、ベリファイフラグは0のままとしても良い。
【0028】
次に、前記ベリファイフラグの作用も含めて、改めて記録再生の動作を説明する。
図3は、本発明の一実施例における記録回路のブロック図である。図4Aと図4Bは、本発明の一実施例における再生回路のブロック図である。図1で示したブロック図と比較し、記録再生するデータの流れのみを示した点が異なるが、同じ構成要素で良いものには、同じ符号を付している。
まずデータの記録時は図3に示すように、上位装置101からバッファメモリ103に供給された記録データは、大容量メモリ110と光ディスク111の双方に記録される。
【0029】
次にデータの再生時について述べる。図1のシステム制御回路108は制御メモリ107に記憶されたベリファイフラグを参照し、光ディスク111における前記管理単位において再生しようとするデータがベリファイ済であると判定した場合には(ベリファイフラグ=1)、図4Aに示す処理が行われる。未だベリファイを行っていないと判定した場合には(ベリファイフラグ=0)、図4Bに示す処理が行われる。
【0030】
図4Aに基づき、光ディスク111において既にベリファイ済であるデータを再生する場合を述べる。既にベリファイ済であるので、改めてこれを再生してベリファイする意味は少ない。このため、大容量メモリ110に書込まれた当該データを読取り、バッファメモリ103を介して上位装置101へ送る。これにより、光ディスク111にアクセスしてデータを再生する場合と比較し、応答時間や消費電流を大幅に低減でき、また動作時の騒音を発生させることもない。これは大容量メモリ110を利用することの効果である。
【0031】
一方、図4Bに示したように、光ディスク111において未だベリファイを行っていない場合には、光ディスク111に記録された当該データを再生し、バッファメモリ103を介して上位装置101へ送る。この際に図1で示したように、システム制御回路108は内蔵するベリファイ判定回路108Aにおいて、ECCDET(105D)からのエラー検出信号を参照して、データが再生時のエラー訂正が可能なレベルの品質で記録できているか否かを判定する。
【0032】
エラー訂正が可能なレベルの品質で記録できている場合には、制御メモリ107での該当するベリファイフラグを例えば0から1に書き直し、次回再生する際は当該データを大容量メモリ110から読取るようにする。エラー訂正が可能なレベルの品質で記録できていない場合には、光ディスク111に記録された当該データの修復を試みる。これは記録エリアの欠陥を登録し、また修復したデータの収納先を登録するためのディフェクトマネジメントのできるディスクで可能なものである。ディスクマネジメントはBD−RE、BD−RやDVD−RAMにあるが、DVD−Rにはない。この際に修復のためのデータはSSDをはじめとする大容量メモリ110から供給するようにすれば、速やかで確実な修復ができる。修復できた場合には、制御メモリ107での該当するベリファイフラグを例えば0から1に書き直す。当然ながら上位装置101には修復後のデータを送る。これにより、光ディスク111に対してベリファイを行ったうえで、大容量メモリ110を利用した確実な修復ができるという効果がある。なお、修復できなかった場合の処置は後に述べる。
【0033】
光ディスク111は周知のとおり着脱可能であり、他の光ディスク装置に装着されることがある。したがい、自ら所有する装置に大容量メモリ110があったとしても、光ディスク111へ記録したデータに対しては早いうちにベリファイを行うのが望ましい。このために、記録と同時(直後)にそのデータを再生し、或いは初めてデータを再生する場合など、光ディスク111に記録されながら未だベリファイを行っていないデータを再生する際には、ベリファイを行うようにしている。したがいこの際は、大容量メモリ110ではなく光ディスク111からデータを再生し、上位装置101に供給している。
なお、ベリファイだけを目的とした指令が上位装置101から発せられた場合には、ベリファイフラグに関係なく図4Bの動作を行うようにしても良い。また、図4Aと図4Bでは光ディスク111から再生したデータをベリファイしたうえで、上位装置101へ出力する場合を示した。これに対し、ベリファイだけを目的とした指令が上位装置101から発せられた場合や、記録すると同時(直後)にそのデータを光ヘッド106で再生してベリファイをする場合は、再生したデータを上位装置101へ出力しなくても良い。
【0034】
次に再生時の動作フローについて説明する。図5は、本発明の一実施例における再生方法のフローチャートである。
ステップS501では、上位装置101から光ディスク装置へデータの再生要求が発せられることでフローが開始される。ステップS502では、システム制御回路108は制御メモリ107に記憶されたベリファイフラグを参照し、指定された領域のベリファイフラグが0であるか否かを判定する。
【0035】
ベリファイフラグが0でないと判定された場合には(すなわち1で、図中のNO)、改めて光ディスク111に対しベリファイをする必要はないので、ステップS503でシステム制御回路108は大容量メモリ110に書込まれていた当該データを読取り、さらにステップS509で当該データを上位装置101へ転送し、ステップS510でフローを終了する。ステップS510は後記するステップS511とは異なり、所定の動作を行えたため正常終了となる。
【0036】
ステップS502で、ベリファイフラグが0と判定された場合には(図中のYES)、光ディスク111に対しベリファイをする必要があるので、ステップS504以下でベリファイを行う。まずステップS504では、当該データを光ディスク111から再生する。ステップS505で、システム制御回路108のベリファイ判定回路108Aは、ECCDET(105D)からの情報に基づき、再生時のエラー訂正が可能な程度の品質で当該データが記録できているか否かを判定する。再生時のエラー訂正が可能な程度の品質で当該データが記録できていると判定された場合には(図中のYES)、ステップS508でシステム制御回路108は制御メモリ107における当該データに対するベリファイフラグを1に書換え、さらにステップS509で再生データ(当然ながらECC(105C)でエラー訂正されたデータ)を上位装置101へ送り、ステップS510でフローを正常終了する。
【0037】
ステップS505で、再生時のエラー訂正が可能な程度の品質で当該データが記録できていないと判定された場合には(図中のNO)、ステップS506で前記したディスクマネジメントなどを用いて、光ディスク111における当該データの修復を行う。光ディスク111には当該データが記録されていたエリアに関する欠陥情報が登録され、また修復したデータの収納先情報が登録される。これ以後、修復したデータについては欠陥情報や収納先情報に基づき再生を行う。これらの情報は、光ディスク111の最内周部や外周部に登録されることが多い。修復のためのデータは大容量メモリ110から供給される。次いでステップS507で、システム制御回路108は当該データの修復ができたか否かを判定する。修復できたと判定された場合には(図中のYES)、ステップS508でシステム制御回路108は制御メモリ107における当該データに対するベリファイフラグを1に書換え、さらにステップS509で再生データを上位装置101へ送り、ステップS510でフローを正常終了する。
【0038】
ステップS507で当該データの修復ができなかったと判定された場合には、光ディスク111に記録されたデータに対しては、これ以上の改善は困難であるため、ステップS511で異常終了する。この場合、必要に応じて大容量メモリ110から供給された当該データを上位装置101に送っても良い。しかし、光ディスク上のデータは修復できていないので、必要に応じてシステム制御回路108はインタフェースコントローラ102に指示して、修復不可能なエラーが発生したことを示す情報を上位装置101に送っても良い。
なお、ステップS507で当該データの修復ができなかったと判定された場合とは、前記ディスクマネジメントの機能のないDVD−Rのようなディスクを使用した場合を含んで良い。元来DVD−Rは修復不可能である。またBD−RE、BD−RやDVD−RAMのようにディスクマネジメントを有するディスクであっても、記録容量がほぼ満杯で修復データの記録エリアがなければ修復できず、修復失敗となる。
【0039】
以上述べたように本実施例においては、読出しを指示されたデータが光ディスク111では既にベリファイ済であるならば、大容量メモリ110からデータを読出すことで応答時間や消費電流を大幅に低減し、また動作時の騒音を発生させないようにしている。また未だベリファイを行っていないならば、その光ディスク111からデータを読出すことでベリファイを行い、必要に応じて大容量メモリ110のデータを用いて確実なデータの修復を行うようにしている。ベリファイ済であるか否かをシステム制御回路108が容易に判断できるよう、制御メモリ107はベリファイフラグを記憶している。ベリファイ済のデータに対し、不必要なベリファイの繰返しをしないようにしている。またSSDによる大容量メモリ110を使用して、従来使用していたHDDをこれに置換えることで、記録再生装置の小型化や制御システムの簡素化をすることができる効果もある。
【0040】
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。このほかにも本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられるが、いずれも本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0041】
101:上位装置、102:インタフェースコントローラ、103:バッファメモリ、104:記録処理回路、105:再生処理回路、106:光ヘッド、107:制御メモリ、108:システム制御回路、109:スピンドルモータ、110:大容量メモリ、111:光ディスク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを第1の記録媒体として情報データを記録し再生する光ディスク装置において、
前記第1の記録媒体に記録される前記情報データが入力されて所定量を一時的に格納し、再生された情報データから所定量を一時的に格納して出力するバッファメモリと、
該バッファメモリに接続され該バッファメモリに格納された前記第1の記録媒体に記録される情報データを記憶する第2の記録媒体と、
前記バッファメモリに格納された前記第1の記録媒体に記録される情報データを供給され、前記第1の記録媒体での記録再生過程で発生するエラーを訂正するためのエラー訂正符号をこれに付加する記録処理回路と、
該記録処理回路でエラー訂正符号を付加された情報データを供給され、これを前記第1の記録媒体へ光学的に記録し再生する光ヘッドと、
該光ヘッドで再生された情報データが供給されて該情報データにおける前記第1の記録媒体での記録再生過程で発生したエラーを検出して訂正し、エラー訂正後の前記情報データを前記バッファメモリに供給する再生処理回路と、
前記光ディスク装置の動作を制御し、前記第1の記録媒体に記録された情報データが再生時に前記再生処理回路におけるエラー訂正が可能な品質で記録されたか否かを判定するベリファイ動作を行うシステム制御回路を有し、
該システム制御回路は、前記情報データを再生し前記バッファメモリから出力する際に、前記情報データに対して既に前記ベリファイ動作が行われている場合には前記第2の記録媒体に記憶した情報データを出力し、前記情報データに対して未だ前記ベリファイ動作が行われていない場合には前記第1の記録媒体に記録した情報データに対してベリファイ動作を行って該情報データを出力するように制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置において、前記第2の記録媒体は半導体メモリであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置において、前記第2の記録媒体の記録容量は、前記第1の記録媒体の記録容量と比較して同等以上であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光ディスク装置において、前記第2の記録媒体は、前記光ディスク装置の有する回路基板に実装されたことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光ディスク装置において、前記システム制御回路は制御用メモリを有し、該制御メモリは前記第1の記録媒体上の記録ブロックごとに設定された前記ベリファイ動作が既に行われたか否かを示すベリファイフラグを格納することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
光ディスクを第1の記録媒体とし半導体メモリを第2の記録媒体として情報データを記録再生し、前記第1の記録媒体に記録された情報データに対し再生時におけるエラー訂正が可能な品質で記録されたか否かを判定するベリファイ動作が既に行われたか否かを示すベリファイフラグを格納する光ディスク装置の再生方法であって、
再生する前記情報データに対して前記ベリファイ動作が既に行われたか否かを前記ベリファイフラグを参照して判定するベリファイフラグ判定ステップと、
該ベリファイ判定ステップでの判定の結果、前記ベリファイ動作が既に行われていると判定された場合には前記第2の記録媒体に格納された情報データを読取って出力する第1の出力ステップと、
前記ベリファイ判定ステップでの判定の結果、前記ベリファイ動作が未だ行われていないと判定された場合には前記第1の記録媒体に記録された情報データを再生する再生ステップと、
該再生ステップで再生された情報データに対して前記ベリファイ動作を行い再生時におけるエラー訂正が可能な品質で記録されたか否かを判定するベリファイ判定ステップと、
該ベリファイ判定ステップでの判定の結果、再生時におけるエラー訂正が可能な品質で記録されたと判定された場合には、前記ベリファイフラグをベリファイ動作が既に行われた状態に変更して前記再生ステップで再生された情報データを出力する第2の出力ステップと、
前記ベリファイ判定ステップでの判定の結果、再生時におけるエラー訂正が可能な品質で記録されていないと判定された場合には、前記第1の記録媒体上で前記第1の記録媒体に記録された情報データを修復する修復ステップと、
該修復ステップにおける修復は成功したか否かを判定する修復判定ステップと、
該修復判定ステップでの判定の結果、修復は成功したと判定された場合には、前記ベリファイフラグをベリファイ動作が既に行われた状態に変更して前記修復ステップで修復された情報データを再生して出力する第3の出力ステップと、
前記修復判定ステップでの判定の結果、修復は成功しなかったと判定された場合には、エラーフラグを出力する第4の出力ステップ
を有することを特徴とする光ディスク装置の再生方法。
【請求項7】
請求項6に記載の光ディスク装置の再生方法において、前記修復ステップは、前記第2の記録媒体に格納された情報データに基づき前記第1の記録媒体に記録された情報データを修復することを特徴とする光ディスク装置の再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−100502(P2011−100502A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252705(P2009−252705)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】