説明

光ディスク装置及び光ディスク判別方法。

【課題】光ディスクが多層化すると、情報記録面の層数検出の確実性が劣化する。その層数検出ミスにより、光ピックアップの光ディスクへの衝突する課題がある。
【解決手段】情報記録面の層数を予測した後、BCA領域のある情報記録面のひとつ手前にフォーカス引き込みを行い、その情報記録面にBCAがあるかどうかを確認する。なければ、フォーカスジャンプ処理によって、BCA領域のある情報記録面に移動する。これにより、層数の予測間違いによる光ピックアップの光ディスクへの衝突を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置における光ディスクの判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクには、BD(Blu−ray Disc)、DVD、CDなど、様々な媒体がある。光ディスク装置は、複数の媒体に対応するものが多く、挿入されたディスクが何であるかを判別する必要がある。光ディスクには、複数の情報記録面を持つ多層ディスクがあり、この層数も判別する必要がある。特許文献1では、衝突防止のために、開口数の低い媒体から判別を行う方法を示している。
【0003】
特許文献2では、「異なるフォーマットで複数種類の情報が複数の記録層に記録可能な多層ディスクに対して、各層のフォーマットを認識しつつ記録または再生を行なう」ことを目的として、「このディスクは、内周部にリードイン領域を有し、内周部と外周部の間に複数の情報記録層を有する。前記リードイン領域は前記複数の情報記録層(レイヤー1、レイヤー0)各々のフォーマットを示す情報(レイヤーフォーマットテーブル)を含み、前記各々のフォーマットを示す情報(レイヤー1のフォーマット、レイヤー0のフォーマット)により前記複数の情報記録層(レイヤー0、レイヤー1)各々で用いられるフォーマットの種類(HD_DVD−ROMフォーマット、DVD−ROMフォーマット等)を識別する。」との記載がある(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−311004号公報
【特許文献2】特開2007−26617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の光ディスク媒体に対応する光ディスク装置では、光ディスクが挿入されたとき、まず当該光ディスクの種類や情報記録面の層数を判別する必要がある。情報記録面の数は、対物レンズを上下に動かすスィープ処理を行い、検出された信号から層数を判別するという方法がある。光ディスクはBDやDVDで2層の光ディスクが存在しており、対物レンズを上下に動かすスィープ処理を行い、検出される信号を数えることで、1層と2層の判別を行っている。そして、その判別された層数に応じて、情報記録面にレーザの焦点を合わせるフォーカス引き込み処理などを行う。
【0006】
しかし、例えば3層、4層以上の多層光ディスクにおいて判別を行う際、信号が正しく検出できるとは限らない。特にBDでは球面収差の影響が大きく、各層において適した球面収差補正値が異なるため、信号振幅が劣化する。このため多層BDの場合には、層数を数え間違える可能性がある。ここで、層数を数え間違えた場合、フォーカス引き込み処理やフォーカスジャンプ処理において、対物レンズもしくは対物レンズを囲っている筐体が光ディスクに衝突してしまうという課題がある。
【0007】
特許文献2では、2層DVDにおいて、フォーカスサーチによるレイヤ判定(ST310)の後、フォーカスオンし、BCA信号の有無によってディスク種別を判定する(ST320)ことが開示されている(図30等)。しかし、球面収差の影響によりフォーカスサーチによるレイヤ判定の精度が落ちて誤判定をする可能性については一切考慮されておらず、フォーカスサーチによるレイヤ判定(ST310)で誤判別をした場合の対策について考慮されていない。したがって、やはり当該フォーカスオン(ST320)時において、対物レンズもしくは対物レンズを囲っている筐体が光ディスクに衝突してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明では一例として、特許請求の範囲に記載の構成を用いる。例えば、スィープ処理によって判別された光ディスクの種類と層数に基づき、BCA領域のある情報記録面を予測する。その後、少なくともBCA領域のある情報記録面の1つ手前の情報記録面でフォーカス引き込み処理を行い、BCA領域があるかどうかを確認する。ある場合は、BCA領域の情報から当該ディスクの層数などを判別する。当該層にBCA領域がない場合は、フォーカスジャンプ処理によって、目的の情報記録面にフォーカス引き込みし、BCA領域へ移動する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えばフォーカス引き込み前に光ディスクの情報記録面の層数判別を間違えても、対物レンズを光ディスクにぶつけることなく最終的なディスク判別を安定して行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】情報記録面が4層の光ディスクの断面概略図を示す図である。
【図3】本発明の実施例1における光ディスク判別処理のフローチャートを示す図である。
【図4】本発明の実施例2におけるフォーカス引き込み処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は本実施例による光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
光ディスク100は、光ピックアップ110からのレーザ光の照射により情報の読み取り、消去、書き込みが行われるとともに、システム制御手段120からのスピンドルモータ駆動信号を受けたスピンドルモータ駆動手段121で駆動するスピンドルモータ101によって回転される。レーザ光源111から発光されたレーザ光は、偏光ビームスプリッタ116を透過し、球面収差補正素子115、ミラー117を介して対物レンズ113に入射し、光ディスク100の情報記録面に光スポットとして集光される。
【0013】
光ディスク100の情報記録面で反射したレーザ光は対物レンズ113、ミラー117、球面収差補正素子115を介して偏光ビームスプリッタ116で反射し、光検出器114に入射する。光検出器114で検出された信号から信号生成手段122でフォーカス誤差信号(FES)やトラッキング誤差信号、データ再生信号(RFS)などが生成される。FESは公知の非点収差法やナイフエッジ法などによって生成されるフォーカス誤差信号であり、レーザ光には、球面収差補正素子115で、光ディスク100の情報記録面上での球面収差を補正させるために、球面収差を与える。
【0014】
球面収差補正素子115は、レンズ間距離が可変の2枚のレンズの組み合わせからなり、このレンズ間距離を変化させることにより、透過光束の球面収差を調整可能なビームエキスパンダである。但し、本発明における球面収差補正素子は、これに限るものではなく、例えば、同心円状パターンを有し、光束の内周部と外周部との間に位相差を与えることにより、球面収差を補正可能な液晶素子であってもよい。また、図示しないが、光ピックアップ110には他にも球面収差以外の収差補正や偏光を行うための素子が搭載されていてもよい。
【0015】
システム制御手段120に入力される信号で、フォーカス誤差信号は、光スポットと情報記録面との誤差量を示す信号として読み取られ、トラッキング誤差信号は、光ディスク情報記録面上に螺旋状に連なるピットや溝で形成されたトラックと光スポットとの半径方向の誤差量を示す信号として読み取られる。アクチュエータ112は、システム制御手段120からの出力される、フォーカス方向へアクチュエータを動かすためのフォーカス駆動信号と、半径方向へアクチュエータを動かすためのトラッキング駆動信号を受けたアクチュエータ駆動手段123によって駆動され、対物レンズ113を、光ディスク100のフォーカス方向および半径方向に動かす。
【0016】
アクチュエータ112は、コマ収差を補正するために、チルト方向にも動くものであってもよい。球面収差補正素子115はシステム制御手段120から出力される信号を受ける球面収差補正素子駆動手段124によって駆動される。レーザ光源111はシステム制御手段120から出力される信号を受けるレーザ駆動手段125によって制御される。システム制御手段120は、光検出器114で検出された信号から、BCA領域の有無の判別、および、BCA情報の再生を行う。
【0017】
図2は、情報記録面を4つ持つ4層光ディスクを示す。この光ディスクは表面に対して遠い方から情報記録面A、情報記録面B、情報記録面C、情報記録面Dとなっている。また、情報記録面Aの内周部に光ディスクの製造業者または作成者によってレーザカッティングされたBCA(Burst Cutting Area)と呼ばれる領域がある。このBCAには、当該光ディスクがいくつの情報記録面を持つなどディスクの識別情報(Manufacturer Codeなどのディスクの識別情報)が記録されている。また、BCAより外の領域をデータ記録領域とする。
【0018】
本実施例の光ディスク装置は、同じレーザ波長で1層から4層までの情報記録面を持つ光ディスクに対し、情報の記録もしくは再生を行う。本実施例では、スィープ処理での信号検出により、3層以上の光ディスクと判別した場合の処理について説明する。
ここで、4層の光ディスクは図2に示すようなものであり、前記光ディスクと同じレーザ波長対応の3層の光ディスクもBCA領域が表面から最も遠い情報記録面にあるものとする。そして、フォーカス引き込みの後、BCA領域へ移動し、スィープ処理での判別結果が正しいかどうかを確認できる。
【0019】
しかし、多層ディスクにおけるBCA領域は、所定の1つの情報記録面、もしくは情報記録面の層数より少ない数の情報記録面にしか存在しない場合が多い。この場合、スィープ処理による層数の判別を間違えた場合、BCA領域のある情報記録面と判断してフォーカス引き込みをしたにもかかわらず、BCA領域がないという問題が生じる可能性がある。特にBCA領域がディスク表面から一番遠い情報記録面にある光ディスクに対して、層数を間違えて1つ多く判別してしまった場合、BCA領域のある情報記録面へ光ディスクに対して近づく方向にフォーカス引き込みを行おうとすると、実際にある記録層数に対して1つ多くの情報記録面を通過させてしまい、対物レンズもしくは対物レンズを囲っている筐体が光ディスクに衝突してしまうという問題が生じる。
【0020】
そこで本実施例では、以下の処理を行う。まず、スィープ処理で層数をNと仮判別する。光ディスク表面からその層数よりひとつ少ない数N−1番目の情報記録面にフォーカス引き込みし、その情報記録面でBCA領域の半径位置に光スポットを移動させる。BCA領域があった場合は、その情報に基づき、光ディスクを判別する。ここで、BCA領域を見つけることができなかった場合、もうひとつ奥にBCA領域のある情報記録面があるとし、フォーカスジャンプ処理で表面から離れる方向に1層分フォーカスジャンプを行う。到達した情報記録面でBCA領域のある半径位置へ移動し、BCA情報を確認することにより光ディスクの判別を行う。
【0021】
以上の処理を図3のフローチャートに示す。スィープ処理を行う(ステップ3−1)。検出されたフォーカス誤差信号などから情報記録面の層数を数える(ステップ3−2)。ステップ3−2で予測された層数をN層とする。表面からN−1番目の情報記録面にフォーカス引き込みを行う(ステップ3−3)。BCA領域の半径位置に光スポットを移動する(ステップ3−4)。BCAがあるかどうかを確認する(ステップ3−5)。ステップ3−5でYesの場合、BCA情報を確認して光ディスクの判別を行う(ステップ3−6)。ステップ3−5でNoであった場合、フォーカスジャンプにより、N番目の情報記録面へ光スポットを移動する(ステップ3−7)。N番目の情報記録面で、BCAがあるかどうかを確認する(ステップ3−8)。ステップ3−8でYesの場合、BCA情報を確認して光ディスクの判別を行う(ステップ3−6)。ステップ3−8でNoの場合、予測した層数の光ディスクではないと判断する(ステップ3−9)。
【0022】
上記方法により、BCA情報を確認する際、光ピックアップ110が光ディスク100に衝突するリスクを低減することができる。より、具体的には、光ディスク100が図2で示すような4層光ディスクであり、ステップ3−2で4層ディスクであると予測した場合、N−1は表面から3番目の情報記録面であり、Nは表面から4番目の情報記録面となる。また、ステップ3−2の判定が4層ディスクで、光ディスク100がもし3層ディスクであった場合でもステップ3−5とステップ3−6で3層ディスクであることを確認することができ、光ピックアップ110が光ディスク100に衝突する可能性は低減すると言える。
【0023】
特に、BDでは球面収差の影響が大きく、各層において適した球面収差補正値が異なるため、判別時のスィープ処理において、信号振幅が劣化する。このため多層BDの場合には、スィープ処理の判別精度が劣化するおそれがある。そこで、本実施例では、上述のようにフォーカス引き込み処理を制御することで、全体として安定した判別動作を実現している。すなわち、判別時に層数を数え間違えた場合であっても、フォーカス引き込み処理時において、対物レンズもしくは対物レンズを囲っている筐体が光ディスクに衝突してしまう課題を改善し、且つ安定的にBCA情報を確認することができる。
【0024】
ここではステップ3−3で表面からN−1番目の情報記録面にフォーカス引き込みを行う際、スィープ処理により、直接引き込むようにしたが、例えば、表面から1つ目の情報記録面に一旦引き込み、その後、フォーカスジャンプ処理でN−1番目の情報記録面に移動するなどしてもよい。
【0025】
さらに、ステップ3−3で表面からN−1番目(すなわち、スィープ処理による判別層数Nのひとつ手前)の層にフォーカス引き込みを行う構成としたが、ディスク層数が多い場合には、表面からN−2番目の層にフォーカス引き込みをしてBCAの有無確認を行なってから、N−1番目の層にフォーカスジャンプした後、同様の処理を行うようにしてもよい。これにより、例えば8層や10層等の多層光ディスク等の判別の際、スィープ処理による判別精度がさらに劣化した場合においても、上記衝突を回避すること期待ができる。すなわち、8層や10層等の多層光ディスクでは、例えば手前層と最奥層との球面収差補正の適正値が大きく異なる。そのため、スィープ処理による層数判別において2層以上の誤差が生じる可能性がある。そこで、表面からN−2番目(さらには、N−3番目以上の層でもよい)にフォーカス引き込みをしてBCA領域の確認を行うことにより、さらに安定且つ適切にBCA領域に辿り着くことができる。
【0026】
ステップ3−4では、BCA領域の半径位置に移動すると記載したが、BCA領域が存在しない層においては、N番目の層におけるBCA領域と対応する半径位置への移動処理となる。すなわち、本実施例においては、例えばディスク判別のスィープ処理後、所定の層にフォーカス引き込みを行なった際に、それがBCA領域の存在しない層であっても、他の層のBCA領域に対応する半径位置まで光スポットを移動させる処理が行われる場合がある。
【0027】
ステップ3−7でフォーカスジャンプを行う際、BCA領域のある半径位置でフォーカスジャンプを行うと、レーザカッティングされた部分とされていない部分の反射率が大きく異なり、信号生成手段122で生成される信号にノイズが生じる。このため、ステップ3−7でのフォーカスジャンプの際半径位置をずらして行うことで安定的にフォーカスジャンプを行うことができる。この場合、ステップ3−8の前にBCA領域のある半径へ移動するステップが必要となる。
【0028】
ステップ3−9で予測した特性以外の光ディスクとは、情報記録面の層数がN−1もしくはNではない場合や、適するレーザ波長が異なる場合、BCA領域がない光ディスクである場合などが考えられる。通常、BCA領域がない光ディスクの場合、ROMディスクのようなユーザデータ領域にデータが記録済の光ディスクであり、そのデータから光ディスクの特性を確認することができる。
【0029】
なお、本実施例では、光ディスクの表面から最も遠い情報記録面にBCA領域がある場合について述べているが、情報記録面の層数によって、BCA領域が表面から最も遠い情報記録面にない場合でも同様の方法で対応可能である。
【実施例2】
【0030】
実施例1では本発明による光ディスクを光ディスク装置に挿入後に行われるローディング処理における光ディスクの判別処理について述べた。実施例2では、光ディスクの判別後、当該光ディスクが3層以上の光ディスクである場合でフォーカス引き込みを行う際、本発明により、目標とする情報記録面に引き込めたかどうかを判別する方法を述べる。
本実施例における光ディスク装置は実施例1と同じく、図1に示す構成とする。また、光ディスク100は図2に示す4層光ディスクとする。
【0031】
表面から最も遠い情報記録面である情報記録面Aにフォーカス引き込みを行うことを考える。スィープ処理により直接フォーカス引き込みを行う場合、他の情報記録面にフォーカス引き込みを行ってからフォーカスジャンプ処理により行き着く場合などが考えられる。どちらの方法であっても、情報記録面Aに到達したと判断後、BCA領域の半径位置に移動し、BCAがあれば情報記録面Aであることを確定する。
【0032】
例えば、情報記録面Dにフォーカス引き込みを行ってからフォーカスジャンプ処理によって情報記録面Aに行き着く場合について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
対物レンズを表面側から近づけるスィープ処理を行う(ステップ4−1)。情報記録面Dにフォーカス引き込みを行う(ステップ4−2)。情報記録面Aに移動するためのフォーカスジャンプ処理を行う(ステップ4−3)。到達した情報記録面でBCA領域のある半径位置へ移動する(ステップ4−4)。BCA領域があるか確認する(ステップ4−5)。ステップ4−5でYesの場合は、情報記録面Aに到達したことを確定する(ステップ4−6)。ステップ4−5でNoの場合は、情報記録面A以外のところに光スポットがあると判別する(ステップ4−7)。情報記録面Aにたどり着けない要因としては、情報記録面Dへのフォーカス引き込み間違いやフォーカスジャンプ処理の間違いなどが考えられる。
【0033】
ステップ4−3の情報記録面Dからのフォーカスジャンプ処理は、1層ずつジャンプする場合、一気に3層ジャンプする場合、1層ジャンプと2層ジャンプを組み合わせる場合などが考えられる。このとき、1層ずつジャンプする場合や、1層ジャンプと2層ジャンプを組み合わせる場合では、フォーカスジャンプ処理ごとにBCA領域があるか確認することで、より安定な動作を行うことができる。これは、例えば、ステップ4−2のフォーカス引き込み処理で、情報記録面Cに引き込んでしまった場合、2層分をジャンプするだけで情報記録面Aに到達できるからである。
【0034】
通常、フォーカス引き込み処理やフォーカスジャンプ処理における層数間違いはあくまでも誤差であり、所望の情報記録面に対して大きくずれることはないため、例えば、1層ジャンプと2層ジャンプの組み合わせのように一度に移動する層数の異なるジャンプ処理を行う場合、最初のジャンプは層数の多いジャンプとし、後ろに行うフォーカスジャンプほど少ない層数の移動とすることで、間違いを修正できる可能性は高くなる。このため、本実施例のフォーカスジャンプ処理を2層ジャンプと1層ジャンプの組み合わせで行う場合、先に2層ジャンプを行い、次に1層ジャンプを行うのが望ましい。
【0035】
本実施例はフォーカス引き込みの目的層をBCA領域のある情報記録面Aとしたが、BCA領域のない情報記録面に引き込む場合も本発明を用いることができる。情報記録面Bに引き込む場合においても、上記方法で情報記録面Aに一旦引き込んだことを確認し、1層フォーカスジャンプで情報記録面Bに到達することで、情報記録面Bへのフォーカス引き込みの精度が上がる。
【0036】
スィープ処理は、対物レンズを光ディスクに近づける方向のアップスィープと、対物レンズを光ディスクから遠ざける方向に動かすダウンスィープがあり、最初のスィープ処理についても、上記説明では表面側から近づけるアップスィープで移動させたが、表面から遠い側から情報記録面のある方向に動かすダウンスィープでも同様のことができる。その場合、情報記録面Aに直接フォーカス引き込みし、BCA領域へ移動することで成功したかどうかを確認できる。
【0037】
本実施例では、光ディスクの表面から最も遠い情報記録面AにBCA領域がある場合について説明したが、BCA領域が情報記録面Bなどの中間層や表面側に最も近い情報記録面Dにあっても同様の方法を適用できる。
【0038】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0039】
100…光ディスク、101…スピンドルモータ、110…光ピックアップ、111…レーザ光源、112…アクチュエータ、113…対物レンズ、114…光検出器、115…球面収差補正素子、120…システム制御手段、121…スピンドルモータ駆動手段、122…信号生成手段、123…アクチュエータ駆動手段、124…球面収差補正素子駆動手段、125…レーザ駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク装置であって、
レーザ光を光ディスク上に集光させ光スポットを形成する対物レンズと、
前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、
前記光ディスクからの反射光を検出する検出器と、
前記検出器にて検出される反射光からフォーカス誤差信号を生成するフォーカス誤差信号生成手段と、
前記アクチュエータの制御を行うためのフォーカス駆動信号の生成および出力を行う制御手段と、
前記フォーカス駆動信号を増幅させ、アクチュエータに電力を供給するアクチュエータ駆動手段とを有し、
前記制御手段は、集光したレーザ光を所定の情報記録面にフォーカス引き込みを行った後、光スポットを当該光ディスクの識別情報が記録されているBCA領域のある半径位置に移動し、前記情報記録面にBCAがあるかを確認し、BCAがあった場合はその情報を再生し、BCAがなかった場合はフォーカスジャンプで光スポットを隣の情報記録面に移動し、該情報記録面のBCA領域のある半径位置に光スポットを移動することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記所定の情報記録面とは、フォーカス引き込み前に確認した情報記録面の層数に対し、前記光ディスクの表面から遠い情報記録面より1つ表面側の情報記録面であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記所定の情報記録面から隣の情報記録面へフォーカスジャンプする際、光スポットを、BCA領域の半径位置から別の領域へ移動させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
光ディスク装置であって、
レーザ光を光ディスク上に集光させ光スポットを形成する対物レンズと、
前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、
前記光ディスクからの反射光を検出する検出器と、
前記検出器にて検出される反射光からフォーカス誤差信号を生成するフォーカス誤差信号生成手段と、
前記アクチュエータの制御を行うためのフォーカス駆動信号の生成および出力を行う制御手段と、
前記フォーカス駆動信号を増幅させ、アクチュエータに電力を供給するアクチュエータ駆動手段とを有し、
前記制御手段は、フォーカス引き込みを行う際、当該光ディスクの識別情報が記録されているBCA領域のある情報記録面にフォーカス引き込みを行い、光スポットをBCA領域のある半径位置に移動し、前記情報記録面にBCAがあるかを確認し、目的の情報記録面が当該情報記録面であれば、次の処理に移行し、目的の情報記録面が当該情報記録面でなければ、その情報記録面を基準として所望の情報記録面へフォーカスジャンプで光スポットを移動することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
光ディスクの層数を判別する光ディスク判別方法であって、
レーザ光を光ディスク上に集光させ光スポットを形成し、
前記ディスク上に集光したレーザ光を所定の情報記録面にフォーカス引き込みを行った後、当該光ディスクの識別情報が記録されているBCA領域のある半径位置に光スポットを移動し、前記情報記録面にBCAがあるかを確認し、BCAがあった場合はその情報を再生し、BCAがなかった場合はフォーカスジャンプで隣の情報記録面に光スポットを移動し、該情報記録面のBCA領域のある半径位置に光スポットを移動することを特徴とする光ディスク判別方法。
【請求項6】
請求項5に記載の光ディスク判別方法であって、
前記所定の情報記録面とは、フォーカス引き込み前に確認した情報記録面の層数に対し、光ディスクの表面から遠い情報記録面より1つ表面側の情報記録面であることを特徴とする光ディスク判別方法。
【請求項7】
請求項5に記載の光ディスク判別方法であって、
前記所定の情報記録面から隣の情報記録面へフォーカスジャンプする際、光スポットをBCA領域の半径位置から別の領域へ移動させることを特徴とする光ディスク判別方法。
【請求項8】
光ディスク装置であって、
レーザ光を光ディスク上に集光させ光スポットを形成する対物レンズと、
前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、
前記光ディスクからの反射光を検出する検出器と、
前記検出器にて検出される反射光からフォーカス誤差信号を生成するフォーカス誤差信号生成手段と、
前記アクチュエータの制御を行うためのフォーカス駆動信号の生成および出力を行う制御手段と、
前記フォーカス駆動信号を増幅させ、アクチュエータに電力を供給するアクチュエータ駆動手段とを有し、
前記制御手段は、情報記録面を3層以上移動する場合で、フォーカスジャンプ処理を複数に分けて行う場合、移動層数の多いフォーカスジャンプ処理から行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光ディスク装置であって、
前記制御手段は、複数回行うフォーカスジャンプ処理のうち、少なくとも最後のフォーカスジャンプ処理を開始する情報記録面でBCA領域のある半径位置において、BCAがあるかを確認することを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−94226(P2012−94226A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242962(P2010−242962)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】