説明

光ディスク装置及び光ディスク装置の制御方法

【課題】記録性能を低下させることなく省電力化を行うことができるようにする。
【解決手段】通常動作においては、微細移動手段を連続動作させながら粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記微細移動手段、及び前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うようにする。これにより、省電力なトラッキング制御を行いながら、記録パワー試験においては微細移動手段の制御状態を安定させて、対物レンズを稼動範囲の中心付近に位置決めできるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスク装置及び光ディスク装置の制御方法に関し、特に、記録性能を低下させることなく省電力を行うために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DVDなどの光ディスクに対してデータを記録再生する光ディスク装置が知られている。この種の装置においては、光ピックアップユニットをスレッドモータにより光ディスクの半径方向に移動させて、光ディスク上のトラックに対して光ビームを照射し、データの書き込み、読み取りを行う。
【0003】
また、光ビームの照射位置を微調整するためのアクチュエータをピックアップユニットに設け、このアクチュエータを駆動することで、光ビームを目的のトラックに照射するようにしている。アクチュエータによるトラッキングの調整量(調整単位)は、スレッドモータによる調整量よりも小さい(細かい)。
【0004】
このように、光ビームの照射位置をアクチュエータによって微調整することにより、スレッドモータを間欠的に駆動させることができ、電力消費量を抑えることができる(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−101676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スレッドモータを単純に間欠動作させた場合、光ピックアップに搭載されている対物レンズがトラック中心に対して周期的に大きく変動する。これに伴い、トラッキングアクチュエータの制御状態も周期的に大きく変動する不都合が発生する。
【0007】
一方、トラッキングアクチュエータは稼動範囲の中心付近が最も駆動電圧が少なく、光ディスクデータの読み取り、あるいは書込み時のジッター(時間軸のずれの)が最も小さくなる。このように、トラッキングアクチュエータの制御状態とジッター値とは相関がある。
【0008】
また、一般に、この種の装置では、光ディスクへの記録特性を安定させるために、光ディスクへの記録に先立ち、光ビームのパワー調整処理が実施される。パワー調整処理では、1周のトラックを複数のエリアに分割し、一つ一つの分割エリアへ段階的に記録パワーを変えてデータを記録する。そして、それぞれの分割エリアのジッター値を比較し、最小ジッター値を示すエリアの記録パワーを最適記録パワーとして決定する。
【0009】
前述のように、トラッキングアクチュエータの制御状態とジッター値とは相関がある。このため、記録パワー試験においてはトラッキングアクチュエータの制御状態を安定させて、対物レンズを稼動範囲の中心付近に位置決めしておかないと、最適記録パワーを正確に決定することができない。
【0010】
このため、省電力化のためスレッドモータを間欠駆動させて記録パワーを調整すると、最適な記録パワーに調整できず、記録性能が低下してしまう問題点があった。
本発明は前述の問題点に鑑み、記録性能を低下させることなく省電力化を行うことができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光ディスク装置は、多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、前記トラッキングエラー信号に応じて粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを備え、前記トラッキング制御手段は、通常動作においては、前記微細移動手段を連続動作させながら前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記微細移動手段、及び前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うことを特徴とする。
また、本発明の光ディスク装置の他の特徴とするところは、多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、前記トラッキングエラー検出手段によって検出されたエラーの大きさを判断するエラー値判断手段と、前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、前記トラッキングエラー信号に応じて前記粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを備え、前記トラッキング制御手段は、通常動作においては、前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うとともに、前記エラー値判断手段が前記エラー値が大きいと判断した場合には前記微細移動手段を大きな制御電圧で制御し、前記エラー値が小さいと判断した場合には前記微細移動手段と小さな制御電圧で制御することを特徴とする。
【0012】
本発明の光ディスク装置の制御方法は、多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、前記トラッキングエラー信号に応じて粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを備えた光ディスク装置の制御方法であって、前記トラッキング制御手段は、通常動作においては、前記微細移動手段を連続動作させながら前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記微細移動手段、及び前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うことを特徴とする。
また、本発明の光ディスク装置の制御方法の他の特徴とするところは、多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、前記トラッキングエラー検出手段によって検出されたエラーの大きさを判断するエラー値判断手段と、前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、前記トラッキングエラー信号に応じて前記粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを備えた光ディスク装置の制御方法であって、前記トラッキング制御手段は、通常動作においては、前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うとともに、前記エラー値判断手段が前記エラー値が大きいと判断した場合には前記微細移動手段を大きな制御電圧で制御し、前記エラー値が小さいと判断した場合には前記微細移動手段と小さな制御電圧で制御することを特徴とする。
【0013】
本発明のプログラムは、多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、前記トラッキングエラー信号に応じて粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを有するディスク装置を制御する工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、通常動作においては、前記微細移動手段を連続動作させながら前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記微細移動手段、及び前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行う工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明のプログラムの他の特徴とするところは、多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、前記トラッキングエラー検出手段によって検出されたエラーの大きさを判断するエラー値判断手段と、前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、前記トラッキングエラー信号に応じて前記粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを有するディスク装置を制御する工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、通常動作においては、前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うとともに、前記エラー値判断手段が前記エラー値が大きいと判断した場合には前記微細移動手段を大きな制御電圧で制御し、前記エラー値が小さいと判断した場合には前記微細移動手段と小さな制御電圧で制御する工程をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通常動作において電力消費量を抑えることができる。さらに、記録パワー試験において安定したジッター値が得られて正確な最適記録パワーを選出できる光ディスク装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る光ディスク装置の主要部の構成例を示すブロック図である。
図1において、263は光ピックアップ、265は光ピックアップの主軸、251は光ピックアップの副軸、201はシステムコントローラ、203はトラッキングアクチュエータドライバ、259はトラッキングアクチュエータ、261はマグネットである。
【0016】
205はレーザーダイオードドライバ、255はレーザーダイオード(光ビームを照射する照射部として機能する)、257は対物レンズ、253は受光センサ(受光部)、211はセンサーアンプである。209はトラッキングエラー演算部、271はフォーカスエラー演算部である。213はスピンドルモータドライバ、269はスピンドルモータ、215はスレッドモータドライバ、267はスレッドモータであり粗移動手段として機能する。
【0017】
図5は、本実施形態の光ディスク装置101において、光ディスク状記録媒体102と光ピックアップ263との位置関係を示している。光ディスク状記録媒体102は多数のトラックが形成され、スピンドルモータ269によって所定の速度で回転制御されている。また、光ピックアップ263は、後述するように、制御部105によって光ディスク状記録媒体102に対して種々の制御が行われている。制御部105は、後述するようにスレッドモータ267、微細移動手段として機能するトラッキングアクチュエータ259の駆動制御を行う。
【0018】
図2は、本実施形態に係る光ディスク装置のトラッキング制御方法でコントロールした場合のスレッドモータ267とトラッキングアクチュエータ259の動作状態を示す概念図である。図中で、縦方向がディスクの接線方向、横方向がディスク半径方向である。本実施形態においては、記録パワー試験においてはトラッキングアクチュエータ259とスレッドモータ267の両方を連続動作させるように制御する。したがって、記録パワー試験においては、図2(a)に示すように、対物レンズ257の中心は光ピックアップの中心に常に位置する。
【0019】
一方、通常動作においては、トラッキングアクチュエータ259は連続制御するが、スレッドモータ267を制御する時間間隔は、記録パワー試験の場合よりも間引いて行い、間欠動作させるようにする。その結果、図2(b)に示すように、対物レンズ257の中心は、光ピックアップの稼動範囲幅全体を往復する動作となる。
【0020】
図3は、本実施形態の光ディスク装置101の動作制御、特に、トラッキング制御におけるスレッドモータ制御方法の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の光ディスク装置101においては、ステップS301で動作が開始されると、ステップS302で光ディスク状記録媒体102の挿入が検知されたか否かを判断する。
【0021】
この判断の結果、光ディスク状記録媒体102が挿入されると、ステップS303に進み、記録パワー試験を行うか否かを判断する。この判断の結果、記録パワー試験を行う場合にはステップS304に進み、システムコントローラ201はスレッドモータドライバ215を介してスレッドモータ267を制御する。そして、光ピックアップ263をディスク半径方向に移動させ、記録パワー試験領域へ移動させる。つまり、光ディスク装置101が光ディスク状記録媒体102を認識した後、通常の記録動作や再生動作を行う前に、マウントされた光ディスク状記録媒体102の最適記録パワーを測定して記憶することにより、記録準備を完了する。
記録パワーの試験動作においては、システムコントローラ201はLDドライバ205を制御して、光ディスクの試験領域に対して照射するレーザのパワーを変えながら試験用のデータを書き込む。そして、その書き込んだ試験用のデータを読み取り、読み取った結果に応じて最適なレーザパワー値を設定する。
【0022】
本実施形態においては、ステップS304においては連続スレッドモータ制御を行ってトラッキング制御する。連続スレッドモータ制御時には、システムコントローラ201は、トラッキングエラー演算部209において生成されて出力されるトラッキングエラー信号に応じて制御する。まず、スレッドモータドライバ215を制御してスレッドモータ267によりピックアップ263の位置を移動する。その状態で、再びトラッキングエラー信号を検出し、更に、アクチュエータドライバ203を制御してトラッキングアクチュエータ259を駆動することでトラッキングを微調整する。
【0023】
また、ステップS303の判断の結果、通常動作を行う場合にはステップS305に進み、間欠スレッドモータ制御を行ってトラッキング制御を行う。間欠スレッドモータ制御時には、システムコントローラ201は、まず、現在のトラッキングアクチュエータ259の位置を確認する。そして、トラッキングエラー信号によるトラッキングずれ量とトラッキングアクチュエータ259の位置とから、トラッキングアクチュエータ259の移動だけでディスク状記録媒体上の目標トラックにレーザを照射できるかどうか判断する。
【0024】
トラッキングアクチュエータ259の移動だけでは最適なトラッキング状態とならないと判断した場合、トラッキングエラー信号によるトラックずれ量に応じてスレッドモータ267を駆動してピックアップ263の位置を移動する。その後、再びトラッキングエラー信号を検出し、更に、アクチュエータドライバ203を制御してトラッキングアクチュエータ259を駆動することでトラッキングを微調整する。
【0025】
このようなトラッキング制御を行うことにより、通常動作において電力消費量を抑えることができる。また、記録パワー試験においては安定したジッター値を得ることができるので、正確な最適記録パワーを選出することができる。
【0026】
次に、図4のフローチャートを参照しながらトラッキング制御におけるスレッドモータ制御方法の第2の例を説明する。なお、図4のフローチャートにおいて、図3のフローチャートと同じ処理を行うステップについては同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0027】
この例の場合は、記録パワー試験におけるトラッキング制御方法が第1の例とは異なる。すなわち、第1の制御例の場合にはステップS304からステップS303に戻っていたが、第2の制御例の場合にはステップS304からステップS306に進む。
【0028】
ステップS306においては、システムコントローラ201はスピンドルモータドライバ213を介し、スピンドルモータ269を記録パワー試験領域における規定回転数で回転制御する。
【0029】
そして、システムコントローラ201は、レーザーダイオードドライバ205を介してレーザーダイオード255を発光させ、光ディスク状記録媒体102に向けてレーザ光を照射する。レーザーダイオード255の照射光は光ディスク状記録媒体102に反射され、反射光が四分割受光センサ253へ入光される。
【0030】
そして、四分割受光センサ253に入光された反射光は、四分割された受光センサで光電変換される。そして、各受光センサから出力されたアナログの出力信号はセンサーアンプ211において増幅され、この増幅信号がトラッキングエラー検出信号としてトラッキングエラー演算部209へ出力される。
【0031】
トラッキングエラー演算部209では、四分割されたセンサ相互の増幅信号同士を演算することによりトラッキングエラーを算出して、トラッキングアクチュエータ259の制御電圧を決定する。
【0032】
次に、ステップS307に進み、ステップS306で算出したトラッキングエラーの値が予め設定されている一定のトラック検出値以上であるか否かを判断する。このエラー値判断は、トラッキングエラーの値に応じてトラッキング制御方法を異ならせるために行っている。
【0033】
すなわち、対物レンズ中心がトラックの中心に極めて近い状態では、トラッキングアクチュエータ259の制御電圧は小さな値でよい。しかしながら、対物レンズ中心とトラックの中心が離れるに従い、トラッキングアクチュエータ259の制御電圧を大きくする制御を行う必要があるからである。
【0034】
また、対物レンズ中心とトラックの中心の距離が一定値以上離れている場合には、トラッキングアクチュエータ259による制御だけでは対物レンズ中心とトラックの中心とを重ねることができないため、スレッドモータ267を追従させる必要がある。
【0035】
このようなトラッキング制御を実現するため、第2の制御例においてはステップS307においてエラー値を判断し、エラー値が一定値以内の場合にはステップS308に進み、小さな制御電圧でトラッキングアクチュエータ259のトラッキング制御を行う。
【0036】
また、エラー値が一定値以上の場合にはステップS309に進み、大きな制御電圧でトラッキングアクチュエータ259のトラッキング制御を行う。また、システムコントローラ201はスレッドモータドライバ215を介してスレッドモータ267を連続制御する。本実施形態においては、記録パワー試験の場合にはスレッドモータ267を連続制御するために、制御する時間間隔を10kHzとしている。
【0037】
本実施形態の光ディスク装置101においては、記録パワー試験を行う場合は、以上のようにトラッキング制御しながら最適な記録パワーを選出する。そして、その値をシステムコントローラ201内のメモリに記憶して記録準備を完了する。
【0038】
記録準備を完了したらステップS303に戻り前述した判断を行う。この場合は、ステップS303の判断の結果は通常動作になり、ステップS305に進む。ステップS305においては、トラッキング制御は間欠スレッドモータ制御となる。
【0039】
通常動作時におけるトラッキング制御方法を細かく説明すると、システムコントローラ201はスピンドルモータドライバ213を介してスピンドルモータ269をアクセス位置領域における規定回転数で回転制御する。
【0040】
そして、システムコントローラ201は、レーザーダイオードドライバ205を介してレーザーダイオード255を発光させ、レーザ光を照射する。レーザーダイオード255の照射光は光ディスク状記録媒体102に反射され、反射光が四分割受光センサ253へ入光されて四分割される。
【0041】
四分割受光センサ253で四分割された反射光は、各受光センサで光電変換されてアナログ信号となる。このアナログ信号がセンサーアンプ211にて増幅され、この増幅信号がトラッキングエラー演算部209へ出力される。トラッキングエラー演算部209では、四分割されたセンサ相互の増幅信号同士を演算することによりトラッキングエラーを算出し、トラッキングアクチュエータ259の制御電圧を決定する(ステップS310)。
【0042】
次に、ステップS311において、ステップS310で算出したトラッキングエラーが予め設定されている一定値以上であるか否かを判断する。この判断の結果、算出したトラッキングエラーが予め設定されている一定値以内であった場合にはステップS312に進み、小さな制御電圧でトラッキングアクチュエータ259を制御する。
【0043】
また、ステップS311の判断の結果、ステップS310で算出したトラッキングエラーが予め設定されている一定値以上であった場合にはステップS313に進み、大きな制御電圧でトラッキングアクチュエータ259を制御する。本実施形態の光ディスク装置101においては、通常動作の場合、スレッドモータ267を制御する時間間隔を100Hzとして、間欠スレッドモータ制御を行っている。
【0044】
本実施形態においては、通常動作及び記録パワー試験において、トラッキングエラーの値に応じてトラッキング制御方法を異ならせるので、対物レンズ中心とトラックの中心とを重ねるために必要な電力を最小限に抑えることができ、省電力化を図ることができる。
【0045】
(本発明に係る他の実施の形態)
前述した本発明の実施の形態における光ディスク装置を構成する各手段は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0046】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施の形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0047】
なお、本発明は、前述した光ディスク装置の制御方法における各工程を実行するソフトウェアのプログラム(実施の形態では図3、図4に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み取って実行することによっても達成される場合を含む。
【0048】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0049】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0050】
プログラムを供給するための記録媒体としては種々の記録媒体を使用することができる。例えば、フロッピー(登録商標)光ディスク、ハード光ディスク、光ディスク、光磁気光ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0051】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハード光ディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0052】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0053】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0054】
また、コンピュータが、読み取ったプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行うことによっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0055】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施形態に係る光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る光ディスク装置のトラッキング制御方法でコントロールした場合のスレッドモータとアクチュエータの動作状態を示す概念図である。
【図3】実施形態に係る光ディスク装置のトラッキング制御におけるスレッドモータの制御方法の第1の例を説明するフローチャートである。
【図4】実施形態に係る光ディスク装置のトラッキング制御におけるスレッドモータの制御方法の第2の例を説明するフローチャートである。
【図5】光ディスク状記録媒体と光ピックアップとの対応関係を説明する図である。
【符号の説明】
【0057】
101 光ディスク装置
201 システムコントローラ
203 トラッキングアクチュエータドライバ
205 レーザーダイオードドライバ
209 トラッキングエラー演算部
211 センサーアンプ
213 スピンドルモータドライバ
215 スレッドモータドライバ
251 光ピックアップの副軸
253 受光センサ
255 レーザーダイオード
257 対物レンズ
259 トラッキングアクチュエータ
261 マグネット
263 光ピックアップ
265 光ピックアップの主軸
267 スレッドモータ
269 スピンドルモータ
271 フォーカスエラー演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、
前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、
前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、
前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、
前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、
前記トラッキングエラー信号に応じて粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを備え、
前記トラッキング制御手段は、通常動作においては、前記微細移動手段を連続動作させながら前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記微細移動手段、及び前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うことを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、
前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、
前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、
前記トラッキングエラー検出手段によって検出されたエラーの大きさを判断するエラー値判断手段と、
前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、
前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、
前記トラッキングエラー信号に応じて前記粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを備え、
前記トラッキング制御手段は、通常動作においては、前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うとともに、
前記エラー値判断手段が前記エラー値が大きいと判断した場合には前記微細移動手段を大きな制御電圧で制御し、前記エラー値が小さいと判断した場合には前記微細移動手段を小さな制御電圧で制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
前記トラッキング制御手段は、前記粗移動手段を連続動作させる場合には時間間隔を10kHzで制御し、間欠動作させる場合には時間間隔を100Hzで制御することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、
前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、
前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、
前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、
前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、
前記トラッキングエラー信号に応じて粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを備えた光ディスク装置の制御方法であって、
前記トラッキング制御手段は、通常動作においては、前記微細移動手段を連続動作させながら前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記微細移動手段、及び前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うことを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項5】
多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、
前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、
前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、
前記トラッキングエラー検出手段によって検出されたエラーの大きさを判断するエラー値判断手段と、
前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、
前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、
前記トラッキングエラー信号に応じて前記粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを備えた光ディスク装置の制御方法であって、
前記トラッキング制御手段は、通常動作においては、前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うとともに、
前記エラー値判断手段が前記エラー値が大きいと判断した場合には前記微細移動手段を大きな制御電圧で制御し、前記エラー値が小さいと判断した場合には前記微細移動手段と小さな制御電圧で制御することを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
【請求項6】
前記トラッキング制御手段は、前記粗移動手段を連続動作させる場合には時間間隔を10kHzで制御し、間欠動作させる場合には時間間隔を100Hzで制御することを特徴とする請求項5に記載の光ディスク装置の制御方法。
【請求項7】
多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、
前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、
前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、
前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、
前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、
前記トラッキングエラー信号に応じて粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを有するディスク装置を制御する工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、
通常動作においては、前記微細移動手段を連続動作させながら前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記微細移動手段、及び前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行う工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
多数のトラックが形成されたディスク状記録媒体に対して光ビームを照射する照射部と、
前記照射部から照射された光ビームの反射光を検出する受光部とを有する光ピックアップと、
前記受光部からの出力信号を用いて前記ディスク状記録媒体上の目標トラックに対する前記光ピックアップのずれ量を示すトラッキングエラー信号を生成するトラッキングエラー検出手段と、
前記トラッキングエラー検出手段によって検出されたエラーの大きさを判断するエラー値判断手段と、
前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる粗移動手段と、
前記粗移動手段よりも小さい単位で前記光ピックアップをディスク半径方向へ移動させる微細移動手段と、
前記トラッキングエラー信号に応じて前記粗移動手段及び前記微細移動手段の動作制御を行うトラッキング制御手段とを有するディスク装置を制御する工程をコンピュータに実行させるプログラムであって、
通常動作においては、前記粗移動手段を間欠動作させてトラッキング制御を行い、記録パワー試験においては、前記粗移動手段を連続動作させてトラッキング制御を行うとともに、
前記エラー値判断手段が前記エラー値が大きいと判断した場合には前記微細移動手段を大きな制御電圧で制御し、前記エラー値が小さいと判断した場合には前記微細移動手段と小さな制御電圧で制御する工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項7または8に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−151889(P2009−151889A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330386(P2007−330386)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】