光ディスク装置
【課題】比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスク駆動機構102が光ディスク101を駆動し、対物レンズ10及び受光部107を含むピックアップ105をピックアップ移送機構(110、111、112)が移動させ、制御部130がディスク駆動機構、対物レンズの位置及びピックアップ移送機構を制御するとき、制御部はトラッキング制御に応じて変位する対物レンズの位置を回転位相ごとに測定し、対物レンズの変位量とピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を求め、追跡目標トラックに対するトラックジャンプを開始するとき、その制御開始位置に対物レンズのニュートラル位置がくるように、記憶された変位量及び関連付ける値に基づいて、ピックアップ移送機構の移動目標値を補正する。
【解決手段】ディスク駆動機構102が光ディスク101を駆動し、対物レンズ10及び受光部107を含むピックアップ105をピックアップ移送機構(110、111、112)が移動させ、制御部130がディスク駆動機構、対物レンズの位置及びピックアップ移送機構を制御するとき、制御部はトラッキング制御に応じて変位する対物レンズの位置を回転位相ごとに測定し、対物レンズの変位量とピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を求め、追跡目標トラックに対するトラックジャンプを開始するとき、その制御開始位置に対物レンズのニュートラル位置がくるように、記憶された変位量及び関連付ける値に基づいて、ピックアップ移送機構の移動目標値を補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに対して、情報の記録再生を行うための光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスク装置は、光ディスクの所定の位置に対物レンズを移動させ、その対物レンズを介して光ビームを照射することによって、光ディスクに対して情報の記録再生を行う。対物レンズを光ディスクの所定の位置に移動させる際、変位量の小さいトラックジャンプについてはピックアップ内の可動部を制御して対物レンズを光ディスクの径方向に移動させ、変位量の大きいトラックジャンプについてはピックアップ自体を光ディスクの径方向に移動させる。これにより、適確なトラックジャンプを行うことができる。
【0003】
可動部の構成としては、対物レンズ及びその駆動用コイルがバネ材で支持されているものが多く、このバネ材に外力が作用していないニュートラル位置(以下、対物レンズのニュートラル位置ともいう)から光ディスクの径方向及び情報面と直交する方向に、それぞれ所定の範囲で移動制御することが可能になっている。
【0004】
ところで、対物レンズを支持するバネ材の取り付け位置のバラツキなどにより、対物レンズのニュートラル位置において、対物レンズの光軸が光源の光ビームの中心に一致しないことがある。この場合、対物レンズの光軸を光源の光ビームの中心に一致させる必要があることから、その変位量を相殺するべくトラッキング中はサーボ系によって変位量が0になるように制御される。したがって、バネ材には光ディスクの径方向の内側又は外側に付勢力が作用する状態となる。
【0005】
バネ材に付勢力が作用している状態で、トラッキング制御を外し、ステップジャンプさせる場合、内側にジャンプさせる場合と外側にジャンプさせる場合とで速度が異なり、ステップジャンプに支障をきたすことがある。
【0006】
このような問題を解決するものとして、対物レンズがニュートラル位置にあるときに対物レンズの光軸と光源の光ビームの中心との変位を求めて、これをあらかじめ記憶させておき、その変位量を相殺するための駆動量を、対物レンズを駆動するドライバに直接与えるようにした光ディスク装置が開示されている(下記の特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−21576号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の光ディスク装置では、光ディスクの偏心によりその径方向に変位するトラック軌跡を追跡したとき、バネ材に作用する付勢力によって、ステップジャンプに支障をきたしたり、トラッキング制御が外れやすくなるという問題を解決することはできなかった。このことを以下に説明する。
【0008】
光ディスク装置のシーク動作は、まず、トラッキング制御状態でトラックアドレスを読み込み、そのトラックアドレスを基準にしてジャンプさせるべきトラック数を計算する。次に、そのトラック数が多い場合には、トラッキング制御を停止した状態でピックアップ移送機構をロングジャンプさせ、目標トラックの手前でピックアップ移送機構を停止させる。次に、トラッキング制御を開始してトラックアドレスを読み込み、続いてショートジャンプを行って目標トラックに到達させる。
【0009】
一方、光ディスクには偏心があるため、ピックアップ移送機構を停止させてトラックアドレスを読み込むとき、実際のトラックへの引き込みは偏心速度が0近傍のトラックに限られる。すなわち、対物レンズがニュートラル位置にある状態で、この対物レンズによって形成されるスポットの位置に、偏心により正弦波状に変化するトラック軌跡の最外側又は最内側が位置するトラックに引き込まれてトラックアドレスの読み取りが行われる。そして、その位置から可動部によるトラッキング制御が開始される。このため、対物レンズを支持するバネ材は、時間的に正弦波状に変化するトラッキング軌跡の最外側又は最内側からそのピークピーク値に相当する範囲内で、光ディスクの径方向の一方に偏倚させられる。このとき、バネ材には光ディスクの径方向の内側又は外側のいずれか一方に付勢力が作用することになる。この結果、ステップジャンプに支障をきたすほか、トラッキング制御の開始時にレンズの可動範囲の端になってトラッキングが外れやすくなる。
【0010】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができる光ディスク装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、ピックアップ移送機構をフィードフォワード的に制御することにより、シーク時間を短縮することができる光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、回転可能に保持された光ディスクを駆動するディスク駆動機構と、光ビームを放射する光源、前記光ディスクの情報面にスポットを形成するように前記光ビームを合焦させる対物レンズ、前記光ディスクの情報面からの反射光を前記光ビームから分離する光学系及び前記反射光を受光する受光部を含み、前記対物レンズが少なくとも前記光ディスクの径方向に移動制御可能に支持されたピックアップと、前記ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させるピックアップ移送機構と、前記ディスク駆動機構を制御するとともに、前記受光部の出力信号に基づき前記対物レンズの位置を制御し、かつ、前記光ビームを前記光ディスクの目標トラックに到達させるように前記ピックアップ移送機構を制御する制御部とを備えた光ディスク装置において、
前記制御部は、
前記光ディスクのトラックを追跡するトラッキング制御に応じて前記光ディスクの径方向に変位する前記対物レンズの位置を、前記光ディスクの回転位相ごとに測定する手段と、
前記対物レンズの変位量と前記ピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を求める手段と、
前記対物レンズのニュートラル位置からの変位量を前記ピックアップ移送機構の移動量に変換する手段と、
前記光ビームのスポットを前記光ディスクの目標トラックに到達させるとき、前記対物レンズが前記ニュートラル付近位置にくるように前記ピックアップ移送機構の移動目標値を演算する手段とを有し、
前記演算する手段の演算結果を用いて前記ピックアップ移送機構を制御することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、回転可能に保持された光ディスクを駆動するディスク駆動機構と、光ビームを放射する光源、前記光ディスクの情報面にスポットを形成するように前記光ビームを合焦させる対物レンズ、前記光ディスクの情報面からの反射光を前記光ビームから分離する光学系及び前記反射光を受光する受光部を含み、前記対物レンズが少なくとも前記光ディスクの径方向に移動制御可能に支持されたピックアップと、前記ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させるピックアップ移送機構と、前記ディスク駆動機構を制御するとともに、前記受光部の出力信号に基づき前記対物レンズの位置を制御し、かつ、前記光ビームを前記光ディスクの目標トラックに到達させるように前記ピックアップ移送機構を制御する制御部とを備えた光ディスク装置において、
前記制御部は、
初期起動状態とレジューム起動状態とに切り替える手段と、
前記初期起動状態で、前記光ディスクのトラックを追跡するトラッキング制御に応じて前記光ディスクの径方向に変位する前記対物レンズの位置を、前記光ディスクの回転位相ごとに測定するとともに、前記対物レンズの前記変位量と前記ピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を求め、前記対物レンズのニュートラル位置からの変位量を前記ピックアップ移送機構の移動量に変換し、前記光ビームのスポットを前記光ディスクの目標トラックに到達させるとき、前記対物レンズが前記ニュートラル付近位置にくるように前記ピックアップ移送機構の移動目標値を演算し、その演算結果を用いて前記ピックアップ移送機構を制御する手段と、
前記レジューム起動状態で、追跡目標トラックに対するトラックジャンプ制御を開始するとき、あらかじめ測定された前記対物レンズの回転位相ごとの位置及び前記関連付ける値に基づいて、前記トラックジャンプ制御の開始位置に前記対物レンズの前記ニュートラル位置がくるように、前記ピックアップ移送機構の移動目標値を補正する手段とを有し、
補正された前記移動目標値に従って前記ピックアップ移送機構を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、追跡目標トラックに対するトラックジャンプ制御を開始するとき、その制御開始位置が対物レンズのニュートラル付近位置にくるように、ピックアップ移送機構の移動目標値を補正するので、比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができ、さらに、ピックアップ移送機構がフィードフォワード的に制御されるため、シーク時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明を図面に示す好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明に係る光ディスク装置の第1の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。図1において、ディスク駆動機構としてのスピンドルモータ102のシャフト103にフランジ104が固着され、このフランジ104によって光ディスク101が着脱可能に保持されている。スピンドルモータ102にはその回転に応じてパルスを発生する不図示の周波数発生器(Frequency Generator)が結合され、スピンドルモータ102を速度制御するためのフィードバック信号として速度信号FGがマイクロコンピュータ130に入力される。スピンドルモータ102は、光ディスク101の情報面に形成される光スポット位置での線速度が所定値になるように速度制御される。また、速度信号FGは分周回路116にも入力され、ここでスピンドルモータ102が1回転するごとに1つのパルスを発生するように分周され、基準回転位相信号REFPとしてマイクロコンピュータ130に入力される。基準回転位相信号REFPは、後述するように、光ディスク101の回転位相ごとに対物レンズ10の変位を測定する位相基準となる。
【0015】
ピックアップ105は、光ビームを放射する光源としてのレーザダイオード106、光ディスク101の情報面にスポットを形成するように光ビームを合焦させる対物レンズ10、光ディスク101の情報面からの反射光を光ビームから分離する光学系13及びその反射光を受光する受光部107を含んでいる。このピックアップ105には、その底部に装着された雌ネジ部112及びこれに螺合するリードスクリュ111、並びにスレッドモータ110によるピックアップ移送機構が結合され、これによって光ディスクの径方向に移動制御される構成になっている。また、対物レンズ10、コイル108及び109は可動部として一体化され、図示省略のバネ材によって、光ディスク101の径方向及び情報面と直交する方向にそれぞれ移動可能に支持されている。そして、コイル108の電流を制御して対物レンズ10を光ディスク101の径方向に移動させるトラッキング制御と、コイル109の電流を制御して対物レンズ10を光ディスク101の情報面と直交する方向に移動させるフォーカス制御とが行われる構成になっている。
【0016】
また、レーザダイオード106から放射された光は、図示を省略した回折格子などの光学系により、3つの光ビームに整形される。これらの光ビームは、対物レンズ10を介して、光ディスク101に照射されて記録信号や案内溝で変調されて反射される。その反射光が光学系13によって分離されて受光部107に入射される。受光部107は、詳細を後述するように、複数のホトダイオードを含み、それぞれの出力信号がアナログ信号処理回路114に入力される。アナログ信号処理回路114は各入力信号を所定の演算式に代入してトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、レンズエラー信号LEを生成する。これらのエラー信号はA−D変換器121、122、123によりそれぞれデジタル信号に変換されてマイクロコンピュータ130に入力される。
【0017】
マイクロコンピュータ130は、演算処理に必要なプログラムや固定値をあらかじめ書き込み、必要に応じてマイクロコンピュータ130に提供するROM131、マイクロコンピュータ130の演算処理上のワーキングエリア又は入出力のバッファとして用いられるRAM132、初期設定値などを記憶するフラッシュROM133を付帯しており、デジタル信号に変換されたトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、レンズエラー信号LEを入力する。また、TE、FEのエラー信号をそれぞれゼロにするように、コイル108及び109の電流を制御する制御信号を出力する。ここで、マイクロコンピュータ130には、D−A変換器124及びドライバ126を介してコイル108が接続され、また、D−A変換器125及びドライバ127を介してコイル109が接続されている。そこで、対物レンズ10を光ディスク101の径方向に移動させる制御信号は、D−A変換器124によってアナログ信号に変換されてドライバ126に加えられ、このドライバ126がコイル108に制御電流を供給し、対物レンズ10を光ディスク101の情報面と直交する方向に移動させる制御信号はD−A変換器125によってアナログ信号に変換されてドライバ127に加えられ、このドライバ127がコイル109に制御電流を供給する。
【0018】
また、ピックアップ105が光ディスク101の径方向の最内側部に移動されたことを検出するためのスイッチ117が設けられており、このスイッチ117がオン(ON)状態になったことをマイクロコンピュータ130が読み込んで、最内側部に移動されたことを検出する。さらに、マイクロコンピュータ130は、駆動回路113を介してスレッドモータ110を制御し、駆動回路115を介してスピンドルモータ102を制御するように構成されている。
【0019】
図2は受光部107の構成及びアナログ信号処理回路114の信号入出力経路を示したブロック図である。図2において、4個のホトダイオードA、B、C、Dが中央に配置され、これらの側方の一方に2個のホトダイオードE、Fが配置され、他方に2個のホトダイオードG、Hが配置されている。これらのホトダイオードA、B、C、D、E、F、G、Hが出力する信号をそれぞれa、b、c、d、e、f、g、hとしたとき、アナログ信号処理回路114は次の演算を行ってフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、レンズエラー信号LEを生成する。
FE=(a+c)−(b+d) …(1)
TE=((a+d)−(b+c))+((e−f)+(g−h)) …(2)
LE=((a+d)−(b+c))−((e−f)+(g−h)) …(3)
これらのエラー信号のうち、レンズエラー信号LEは、対物レンズ10の径方向への移動量に比例した値となる。
【0020】
図3は一般的なシーク動作の説明図である。図3に示したように、シーク動作は、まず、通常のトラッキング制御状態(図ではTRONと略記している)でトラックアドレスを読み込む。次に、目標アドレスのトラックまでの距離を計算し、この距離が長い場合にロングジャンプを行う。ロングジャンプはトラッキング制御を停止して、計算で求めたピックアップ移送機構の移動量となるようにリードスクリュ111を回転させ、ピックアップ105を目標トラックの直前まで高速に移動させる。次に、トラッキング制御状態にしてトラックアドレスを読み込み、残りのトラック本数を計算してショートジャンプを開始する。偏心の大きな光ディスクの場合、レンズ位置より外側にショートジャンプするときに速度制御が外れやすくなる。
【0021】
図4はトラック読み取り動作のタイミングを示す波形図と合わせて、対物レンズ10の変位状態を本実施の形態と従来例とを対比して説明するための説明図である。このうち、図4(a)はトラッキング制御を停止した状態でのトラッキングエラー信号TEの波形図で、図4(b)は時刻t0でトラッキング制御を開始したときの対物レンズ10の変位を示す曲線である。図4(b)において縦軸は対物レンズ10のニュートラル位置を0としたときの相対的な値を示し、曲線Aは従来の一般的な光ディスク装置の変位を示し、曲線Bは本実施の形態の変位を示している。
【0022】
ここで、偏心の大きな光ディスクを使用する場合、トラッキング制御を開始してから実際にトラックに引き込みを完了するのは、図4(a)に示したトラッキングエラー信号TEの周波数が低くなる時刻、すなわち、図4(b)に示したt0、t8、t16、t24のタイミングとなる。このタイミングを光ディスクの偏心と対応させると、図4(b)に示したように、対物レンズ10がトラックの最内周又は最外周に変位するときの極値付近となる。このとき、対物レンズ10がニュートラル位置にあったとして、この極値付近でトラックへの引き込みが行われたとすると、図4(b)の曲線Aのように、対物レンズ10はトラックのピークピーク値である0〜−2の範囲で変位することになる。そうすると、変位の大きい−2の付近では、上述したようにバネ材に大きな付勢力が作用するため、トラッキングが外れやすくなるほか、ショートジャンプした場合にも、速度制御が外れたり、良好な停止を行えず、トラック流れが発生しやすくなる。
【0023】
ここで、本実施の形態と従来装置との関係について図5〜図7を用いてさらに説明する。光ディスク101の径方向に移動するピックアップ105(図1参照)の一般にアクチュエータと称される部分は、図5に示したように、固定部11と可動部12とで表すことができる。光ディスク101の偏心に起因する正弦波状のトラック軌跡を追従する固定部11及び可動部12の最初の位置が、図6に示したように、トラック軌跡Lの中央位置Mにあれば、可動部12は中央位置Mを中心にして極値P1と極値P2の範囲内でしか変位しないのでバネ材に発生する付勢力は小さく、トラッキング制御に与える影響は少ない。これに対して、光ディスク101のトラック軌跡を追従する最初の位置が、図7に示したように、極値P1であれば、可動部12が中央位置Mに変位したときにバネ材に発生する付勢力は小さいものであっても、バネ材の付勢力を定常的に受けるので不安定になりやすく、特に、極値P2などさらに内周にジャンプしようとすると、トラックへの引き込みを失敗する確率が高くなる。
【0024】
本実施の形態は、トラックアドレスを読み取った段階で、可動部12によるショートジャンプを行う前に、固定部11を図6に示した中央位置Mに移動させることにより、対物レンズ10のニュートラル位置をトラック軌跡の中央位置Mに合わせて図4(b)の曲線Bに示すような変位をさせるもので、それらの制御機能をROM131、RAM132、フラッシュROM133を付帯するマイクロコンピュータ130に持たせている。
【0025】
図8はディスクローディング後などの起動時に実行するマイクロコンピュータ130の具体的な処理手順を示すフローチャートである。ここでは、ステップS801でピックアップ移送機構のバックラッシュを測定する。この処理はピックアップ移動制御の精度を向上させるためのもので、バックラッシュが小さい場合には無視してもよいし、既知の場合には固定値を使用すればよい。次に、ステップS802でフォーカス制御を実行し、トラッキング制御を停止した状態で、対物レンズ10の位置としてレンズエラー信号LEをA−D変換器123で変換して読み込む。A−D変換して得られた値が図5に示したように、固定部11に対する可動部12のニュートラル位置、すなわち、対物レンズ10のニュートラル位置となる。次に、ステップS803で光ディスク101の回転位相ごとの偏心を測定する。ここでは、任意のトラックに対してトラッキング制御状態にしてレンズエラー信号LEが入力されるA−D変換器123の出力をサンプリングする。このとき、スピンドルモータ102が1回転するごとに1つのパルスとして発生される基準回転位相信号REFPを基準として、スピンドルモータ102の速度信号FGの計数値を回転位相データとして一緒に取り込む。これら回転位相ごとに測定されたサンプリング値を、例えば、光ディスク101の1回転にわたって加算し、加算して得られた値をサンプリング数で割り算をすれば、光ディスク101の径方向に変位する変位量の平均値を求めることができる。
【0026】
次に、ステップS804で偏心したトラック軌跡の中央が対物レンズ10のニュートラル位置となるように、各回転位相ごとの目標レンズ位置を計算する。上述したステップS803における偏心測定はトラッキング制御状態でピックアップ移送機構も追従動作をしているが、この追従動作はトラッキングエラー信号TEのローパスフィルタ通過後の値が所定値以上になると所定方向に所定値だけ動かす制御であり、トラッキングエラー信号TEは定常的に直流偏差を含んでいる。このため、対物レンズ10の位置はそのニュートラル位置から少しずれた状態になっている。そこで、ステップS804では、まず、ステップS803で得られた回転位相ごとのサンプリング値を平均して、偏心したトラックを追跡中の対物レンズ10の中心位置を計算する。次に、ステップS802で得られた対物レンズ10のニュートラル位置におけるレンズエラー信号LEとの差を位置差として、ステップS803で得られた平均値を補正する。この平均値を補正して得られた値が、偏心したトラック追従時の目標中心レンズ位置となる。
【0027】
次に、ステップS805では対物レンズ10の変位量とピックアップ移送機構の移動量との関係を決定する。ここではピックアップ移送機構による追従制御を停止し、トラックに対する追従制御状態で、バックラッシュ以上の距離を内周又は外周に移動させる。すなわち、リードスクリュ111の進行方向のネジ面が雌ネジ部112のネジ面に押し当てられる状態にする。このとき、トラックに対する追従制御状態であるため、ピックアップ移送機構が移動した分だけ、対物レンズ10の位置が移動する。この段階で対物レンズ10の位置に対応するレンズエラー信号LEを測定する。このレンズエラー信号LEの測定は回転位相ごとのサンプリング値の平均値であっても、偏心の最大値又は最小値であってもよい。次に、上述したとは逆方向にバックラッシュ以上の距離だけピックアップ移送機構を移動させ、再度、レンズエラー信号LEを測定する。ここで、2回にわたって測定したレンズエラー信号LEの差をΔLE、2回目にピックアップ移送機構を移動させたときにスレッドモータ110に印加したパルス数をPp、ピックアップ移送機構をそのバックラッシュ分だけ移動させるためにスレッドモータ110に印加するパルス数をPbとし、スレッドモータ110に印加したパルス1つ当たりのレンズ移動量をKとすると、これらの間に次式の関係が成立する。
K=ΔLE/(Pp−Pb) …(4)
この(4)式からレンズエラー信号LEの測定値とピックアップ移送機構の移動量との関係が得られる。
【0028】
図9は、図8のステップS801でバックラッシュを測定する詳細な処理手順を示すフローチャートである。この処理は、まず、ステップS901でピックアップ移送機構を径方向の外側から内側へ(外周から内周へ)移動を開始する。次に、ステップS902でピックアップ移送機構の移動を開始してからスレッドモータ110に印加するパルス数を計数(加算)する。次に、ステップS903で径方向の最内側部に移動されたことを検出するためのスイッチ117がオフ(OFF)状態であるか否かを調べ、オフ状態であればステップS901の処理に戻ってさらに内側に移動させ、オフ状態でなければ、すなわち、オン状態になればステップS904でピックアップ移送機構を停止させる。次に、ステップS905でスレッドモータ110に印加するパルス数を計数(加算)を停止する。次に、ステップ906でピックアップ移送機構を径方向の内側から外側へ(内周から外周へ)移動を開始する。次に、ステップS907でピックアップ移送機構の移動を開始してからスレッドモータ110に印加するパルス数を計数(減算)する。次に、ステップS908でスイッチ117がオン状態であるか否かを調べ、オン状態であればステップS906の処理に戻ってさらに外側に移動させ、オン状態でなければ、すなわち、オフ状態になればステップS909でピックアップ移送機構を停止させる。ステップS910でスレッドモータ110に印加するパルス数を計数(減算)を停止する。そして、スイッチ117がオン状態でなくなったときのパルス数の計数値から、スイッチ117がオフ状態でなくなったときのパルス数の計数値を減算した値が、スレッドモータ110に印加するパルス数に換算したピックアップ移送機構のバックラッシュとなる。
【0029】
図10は、図8のステップS805でスレッド移動測定を行う詳細な処理手順を示すフローチャートである。この処理は、まず、ステップS1001でトラッキング制御を開始してトラックに対する追跡を開始(TR ON)する。次に、ステップS1002でトラッキング制御が安定するまでタイマに設定した時間の経過を待つ。次に、ステップS1003でピックアップ移送機構を停止(OFF)させる。次に、ステップS1004でピックアップ移送機構を逆方向に所定の距離だけ移動させるように所定数のパルスをスレッドモータ110に印加する。所定数のパルスはピックアップ移送機構のバックラッシュに対応するパルス数よりも多い値である。次に、ステップS1005では、トラッキング制御が安定するまでタイマに設定した時間の経過を待つ。次に、ステップS1006でレンズエラー信号LEの最大値を測定する。次に、ステップS1007ではピックアップ移送機構を正の方向に所定の距離だけ移動させるようにスレッドモータ110に所定数のパルスをスレッドモータ110に印加する。所定数のパルスはピックアップ移送機構のバックラッシュに対応するパルス数よりも多い値である。次に、ステップS1008では、トラッキング制御が安定するまでタイマに設定した時間の経過を待つ。次に、ステップS1009で、再びレンズエラー信号LEの最大値を測定する。次に、ステップS1010で、レンズエラー信号LEの測定値の差を求め、上記(4)式にしたがってスレッドモータ110に印加したパルス1つ当たりのレンズ移動量Kを算出(LE感度演算)する。
【0030】
図11はロングジャンプ後に、トラッキング制御を開始してすぐにショートジャンプに移行する直前にレンズ位置の目標値を補正する処理手順を示したフローチャートである。この処理は、まず、ステップS1101で対物レンズ10のレンズ位置として、レンズエラー信号LEを読み込む。次に、ステップS1102では、ピックアップ移送機構を動かして対物レンズ10のニュートラル位置をトラック軌跡のほぼ中央に移動させるために必要なステップ方向と、スレッドモータ110に印加するパルス数を計算する。具体的には、ステップS1101で読み込んだレンズエラー信号LEをLEyとし、図8のステップS803で測定して得られたこれと同じ回転位相におけるレンズエラー信号LEをLExとしたとき、対物レンズ10の中心位置からの位置ずれを補正するピックアップ移送機構の移動量に対応するスレッドモータ110のパルス数Npを次式によって計算する。
Np=(LEy−LEx)/K …(5)
ただし、Kはスレッドモータ110に印加したパルス1つ当たりのレンズ移動量である。この場合、バックラッシュ分は誤差となるが、大きな問題とはならない。次に、ステップS1103で計算されたパルス数Npに従ってピックアップ移送機構を移動させる。
【0031】
このように、ロングジャンプ後に、トラッキング制御を開始してすぐにショートジャンプに移行する直前にレンズ位置の目標値を(5)式のパルス数Npだけ補正することによって、対物レンズ10をそのニートラル位置から径方向に振り分けて偏心したトラックに追随させることができる。この目標値の補正について、再び図4を参照して説明する。
【0032】
図4(a)に示した波形図はトラッキング制御を停止した状態でのトラッキングエラー信号TEの波形図である。ロングシーク後にトラッキングエラー信号TEの周波数が低くなる時刻t0で対物レンズ10の位置が極値になっているトラックに追従する状態になったとする。この時刻t0で図4(b)上で対物レンズ10の変位が「1」になっていれば、そのニュートラル位置から径方向に振り分けて偏心したトラックに追随させることができる。そこで、仮に時刻t16において対物レンズ10の変位が「1」になる程度に、時刻t0から時刻t8の間にスレッドモータ110に(5)式のパルス数Npを印加してピックアップ移送機構を等速で移動させる。これにより、対物レンズ10が動かされて、そのニュートラル位置を振り分けにして偏心トラックの追跡が行われるため、時刻t8以降にショートジャンプを行えば、良好なシーク動作を実現することができる。
【0033】
図12は対物レンズ10の位置が偏心したトラックの極値から少しずれたところでそのトラックに対する追跡が行われた場合における対物レンズ10の変位を示す曲線である。図12中、曲線Aは従来の一般的な光ディスク装置の変位を示し、曲線Bは本実施の形態の変位を示している。この図から明らかなように、偏心したトラックの極値から少しずれたところでそのトラックに対する追跡が行われた場合においても、良好なシーク動作を実現することができる。
【0034】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施の形態によれば、トラッキング制御に応じて光ディスク101の径方向に変位する対物レンズ10の位置を、光ディスク101の回転位相ごとに測定し、この対物レンズ10のニュートラル位置からの変位量をピックアップ移送機構の移動量に換算して、対物レンズ10がそのニュートラル位置を振り分けにしてトラックを追跡するようにピックアップ移送機構を制御するようにしたので、比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができ、さらに、ピックアップ移送機構がフィードフォワード的に制御されるため、シーク時間を短縮することができる。
【0035】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態は、装置に初めて装着された光ディスク101に対して、対物レンズ10の各回転位相における目標となるニュートラル位置からの変位の平均値と、対物レンズ10の変位量とピックアップ移送機構の移動量との関係を示す係数を演算したが、それらの値をあらかじめマイクロコンピュータ130が付帯するRAM132に記憶させておけば、レジューム起動状態で改めてこれらの値を求める処理をしなくても、対物レンズ10がニュートラル位置にくるようにピックアップ移送機構の移動目標値を演算することができる。
【0036】
図13はこの考えに基づいて、起動状態がレジューム起動状態であれば、RAM132に記憶されている対物レンズ10のニュートラル位置からの変位の平均値と、対物レンズ10の変位量とピックアップ移送機構の移動量との関係を示す係数を用いて、ショートジャンプ時にピックアップ移送機構の移動目標値を補正する処理手順を示したフローチャートである。ここでは、まず、ステップS1301で初期起動状態か、レジューム起動状態であるかの起動状態チェックを行う。次に、ステップS1302でレジューム起動状態か否かを判別し、レジューム起動状態であればステップS1303でそれぞれRAM132に記憶された各回転位相ごとのニュートラル位置からの変位の平均値、及び対物レンズ10の変位量とピックアップ移送機構の移動量との関係を示す係数を使用して、すなわち記憶データを使用して前述した図8のステップS805と同様な処理を行って図11の処理を実行する。
【0037】
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施の形態によれば、対物レンズ10のニュートラル位置からの変位の平均値と、対物レンズ10の変位量とピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を記憶させ、レジューム起動状態で、追跡目標トラックに対するトラックジャンプを開始するとき、その制御開始位置に対物レンズ10のニュートラル位置がくるように、記憶された平均値及び関連付ける値に基づいて、ピックアップ移送機構の移動目標値を補正するため、比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができ、かつスレッドをTEで補正動作させるより高速でシーク時間を短縮することができ、さらに、初期動作が不要で起動時間を短縮できるという効果が得られる。
【0038】
なお、上記の各実施の形態では、ピックアップ移送機構のバックラッシュ分を無視して移動目標値を演算したが、バックラッシュの測定値をも加味して移動目標値を補正することによって、ピックアップ移動制御の精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、トラックを追跡中の対物レンズが、光ディスクの偏心に起因してその径方向に移動するとき、対物レンズのニュートラル位置が追跡目標トラックの変位幅の中央にくるように、ピックアップ移送機構が制御されるため、比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができ、さらに、ピックアップ移送機構がフィードフォワード的に制御されるため、シーク時間を短縮することができるので、DVDプレーヤ/レコーダ、あるいはBDプレーヤ/レコーダなど各種の光ディスク記憶再生装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る光ディスク装置の第1の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の受光部の構成及びアナログ信号処理回路の信号入出力経路を示したブロック図である。
【図3】一般的なシーク動作の説明図である。
【図4】一般的なトラック読み取り動作のタイミングと合わせて、対物レンズの変位状態を第1の実施の形態と従来例とを対比して説明するための説明図である。
【図5】偏心した光ディスクのトラックを追跡する可動部の固定部との関係を説明するための説明図である。
【図6】偏心した光ディスクのトラックを追跡する可動部の固定部との関係を説明するための説明図である。
【図7】偏心した光ディスクのトラックを追跡する可動部の固定部との関係を説明するための説明図である。
【図8】第1の実施の形態を構成するマイクロコンピュータの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態を構成するマイクロコンピュータの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態を構成するマイクロコンピュータの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第1の実施の形態を構成するマイクロコンピュータの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図12】対物レンズの変位状態を第1の実施の形態と従来例とを対比して説明するための説明図である。
【図13】第2の実施の形態を構成するマイクロコンピュータの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
10 対物レンズ
13 光学系
101 光ディスク
102 スピンドルモータ(ディスク駆動機構)
105 ピックアップ
106 レーザダイオード(LD、光源)
107 受光部(PD)
110 スレッドモータ(ピックアップ移送機構)
111 リードスクリュ(ピックアップ移送機構)
112 ナット(ピックアップ移送機構)
113、115 駆動回路
114 アナログ信号処理回路
116 分周回路
121、122、123 A−D変換器
124、125 D−A変換器
126、127 ドライバ(DRV)
130 マイクロコンピュータ
A〜H ホトダイオード
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに対して、情報の記録再生を行うための光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスク装置は、光ディスクの所定の位置に対物レンズを移動させ、その対物レンズを介して光ビームを照射することによって、光ディスクに対して情報の記録再生を行う。対物レンズを光ディスクの所定の位置に移動させる際、変位量の小さいトラックジャンプについてはピックアップ内の可動部を制御して対物レンズを光ディスクの径方向に移動させ、変位量の大きいトラックジャンプについてはピックアップ自体を光ディスクの径方向に移動させる。これにより、適確なトラックジャンプを行うことができる。
【0003】
可動部の構成としては、対物レンズ及びその駆動用コイルがバネ材で支持されているものが多く、このバネ材に外力が作用していないニュートラル位置(以下、対物レンズのニュートラル位置ともいう)から光ディスクの径方向及び情報面と直交する方向に、それぞれ所定の範囲で移動制御することが可能になっている。
【0004】
ところで、対物レンズを支持するバネ材の取り付け位置のバラツキなどにより、対物レンズのニュートラル位置において、対物レンズの光軸が光源の光ビームの中心に一致しないことがある。この場合、対物レンズの光軸を光源の光ビームの中心に一致させる必要があることから、その変位量を相殺するべくトラッキング中はサーボ系によって変位量が0になるように制御される。したがって、バネ材には光ディスクの径方向の内側又は外側に付勢力が作用する状態となる。
【0005】
バネ材に付勢力が作用している状態で、トラッキング制御を外し、ステップジャンプさせる場合、内側にジャンプさせる場合と外側にジャンプさせる場合とで速度が異なり、ステップジャンプに支障をきたすことがある。
【0006】
このような問題を解決するものとして、対物レンズがニュートラル位置にあるときに対物レンズの光軸と光源の光ビームの中心との変位を求めて、これをあらかじめ記憶させておき、その変位量を相殺するための駆動量を、対物レンズを駆動するドライバに直接与えるようにした光ディスク装置が開示されている(下記の特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−21576号公報(要約)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の光ディスク装置では、光ディスクの偏心によりその径方向に変位するトラック軌跡を追跡したとき、バネ材に作用する付勢力によって、ステップジャンプに支障をきたしたり、トラッキング制御が外れやすくなるという問題を解決することはできなかった。このことを以下に説明する。
【0008】
光ディスク装置のシーク動作は、まず、トラッキング制御状態でトラックアドレスを読み込み、そのトラックアドレスを基準にしてジャンプさせるべきトラック数を計算する。次に、そのトラック数が多い場合には、トラッキング制御を停止した状態でピックアップ移送機構をロングジャンプさせ、目標トラックの手前でピックアップ移送機構を停止させる。次に、トラッキング制御を開始してトラックアドレスを読み込み、続いてショートジャンプを行って目標トラックに到達させる。
【0009】
一方、光ディスクには偏心があるため、ピックアップ移送機構を停止させてトラックアドレスを読み込むとき、実際のトラックへの引き込みは偏心速度が0近傍のトラックに限られる。すなわち、対物レンズがニュートラル位置にある状態で、この対物レンズによって形成されるスポットの位置に、偏心により正弦波状に変化するトラック軌跡の最外側又は最内側が位置するトラックに引き込まれてトラックアドレスの読み取りが行われる。そして、その位置から可動部によるトラッキング制御が開始される。このため、対物レンズを支持するバネ材は、時間的に正弦波状に変化するトラッキング軌跡の最外側又は最内側からそのピークピーク値に相当する範囲内で、光ディスクの径方向の一方に偏倚させられる。このとき、バネ材には光ディスクの径方向の内側又は外側のいずれか一方に付勢力が作用することになる。この結果、ステップジャンプに支障をきたすほか、トラッキング制御の開始時にレンズの可動範囲の端になってトラッキングが外れやすくなる。
【0010】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができる光ディスク装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、ピックアップ移送機構をフィードフォワード的に制御することにより、シーク時間を短縮することができる光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、回転可能に保持された光ディスクを駆動するディスク駆動機構と、光ビームを放射する光源、前記光ディスクの情報面にスポットを形成するように前記光ビームを合焦させる対物レンズ、前記光ディスクの情報面からの反射光を前記光ビームから分離する光学系及び前記反射光を受光する受光部を含み、前記対物レンズが少なくとも前記光ディスクの径方向に移動制御可能に支持されたピックアップと、前記ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させるピックアップ移送機構と、前記ディスク駆動機構を制御するとともに、前記受光部の出力信号に基づき前記対物レンズの位置を制御し、かつ、前記光ビームを前記光ディスクの目標トラックに到達させるように前記ピックアップ移送機構を制御する制御部とを備えた光ディスク装置において、
前記制御部は、
前記光ディスクのトラックを追跡するトラッキング制御に応じて前記光ディスクの径方向に変位する前記対物レンズの位置を、前記光ディスクの回転位相ごとに測定する手段と、
前記対物レンズの変位量と前記ピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を求める手段と、
前記対物レンズのニュートラル位置からの変位量を前記ピックアップ移送機構の移動量に変換する手段と、
前記光ビームのスポットを前記光ディスクの目標トラックに到達させるとき、前記対物レンズが前記ニュートラル付近位置にくるように前記ピックアップ移送機構の移動目標値を演算する手段とを有し、
前記演算する手段の演算結果を用いて前記ピックアップ移送機構を制御することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、回転可能に保持された光ディスクを駆動するディスク駆動機構と、光ビームを放射する光源、前記光ディスクの情報面にスポットを形成するように前記光ビームを合焦させる対物レンズ、前記光ディスクの情報面からの反射光を前記光ビームから分離する光学系及び前記反射光を受光する受光部を含み、前記対物レンズが少なくとも前記光ディスクの径方向に移動制御可能に支持されたピックアップと、前記ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させるピックアップ移送機構と、前記ディスク駆動機構を制御するとともに、前記受光部の出力信号に基づき前記対物レンズの位置を制御し、かつ、前記光ビームを前記光ディスクの目標トラックに到達させるように前記ピックアップ移送機構を制御する制御部とを備えた光ディスク装置において、
前記制御部は、
初期起動状態とレジューム起動状態とに切り替える手段と、
前記初期起動状態で、前記光ディスクのトラックを追跡するトラッキング制御に応じて前記光ディスクの径方向に変位する前記対物レンズの位置を、前記光ディスクの回転位相ごとに測定するとともに、前記対物レンズの前記変位量と前記ピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を求め、前記対物レンズのニュートラル位置からの変位量を前記ピックアップ移送機構の移動量に変換し、前記光ビームのスポットを前記光ディスクの目標トラックに到達させるとき、前記対物レンズが前記ニュートラル付近位置にくるように前記ピックアップ移送機構の移動目標値を演算し、その演算結果を用いて前記ピックアップ移送機構を制御する手段と、
前記レジューム起動状態で、追跡目標トラックに対するトラックジャンプ制御を開始するとき、あらかじめ測定された前記対物レンズの回転位相ごとの位置及び前記関連付ける値に基づいて、前記トラックジャンプ制御の開始位置に前記対物レンズの前記ニュートラル位置がくるように、前記ピックアップ移送機構の移動目標値を補正する手段とを有し、
補正された前記移動目標値に従って前記ピックアップ移送機構を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、追跡目標トラックに対するトラックジャンプ制御を開始するとき、その制御開始位置が対物レンズのニュートラル付近位置にくるように、ピックアップ移送機構の移動目標値を補正するので、比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができ、さらに、ピックアップ移送機構がフィードフォワード的に制御されるため、シーク時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明を図面に示す好適な実施の形態に基づいて詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図1は本発明に係る光ディスク装置の第1の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。図1において、ディスク駆動機構としてのスピンドルモータ102のシャフト103にフランジ104が固着され、このフランジ104によって光ディスク101が着脱可能に保持されている。スピンドルモータ102にはその回転に応じてパルスを発生する不図示の周波数発生器(Frequency Generator)が結合され、スピンドルモータ102を速度制御するためのフィードバック信号として速度信号FGがマイクロコンピュータ130に入力される。スピンドルモータ102は、光ディスク101の情報面に形成される光スポット位置での線速度が所定値になるように速度制御される。また、速度信号FGは分周回路116にも入力され、ここでスピンドルモータ102が1回転するごとに1つのパルスを発生するように分周され、基準回転位相信号REFPとしてマイクロコンピュータ130に入力される。基準回転位相信号REFPは、後述するように、光ディスク101の回転位相ごとに対物レンズ10の変位を測定する位相基準となる。
【0015】
ピックアップ105は、光ビームを放射する光源としてのレーザダイオード106、光ディスク101の情報面にスポットを形成するように光ビームを合焦させる対物レンズ10、光ディスク101の情報面からの反射光を光ビームから分離する光学系13及びその反射光を受光する受光部107を含んでいる。このピックアップ105には、その底部に装着された雌ネジ部112及びこれに螺合するリードスクリュ111、並びにスレッドモータ110によるピックアップ移送機構が結合され、これによって光ディスクの径方向に移動制御される構成になっている。また、対物レンズ10、コイル108及び109は可動部として一体化され、図示省略のバネ材によって、光ディスク101の径方向及び情報面と直交する方向にそれぞれ移動可能に支持されている。そして、コイル108の電流を制御して対物レンズ10を光ディスク101の径方向に移動させるトラッキング制御と、コイル109の電流を制御して対物レンズ10を光ディスク101の情報面と直交する方向に移動させるフォーカス制御とが行われる構成になっている。
【0016】
また、レーザダイオード106から放射された光は、図示を省略した回折格子などの光学系により、3つの光ビームに整形される。これらの光ビームは、対物レンズ10を介して、光ディスク101に照射されて記録信号や案内溝で変調されて反射される。その反射光が光学系13によって分離されて受光部107に入射される。受光部107は、詳細を後述するように、複数のホトダイオードを含み、それぞれの出力信号がアナログ信号処理回路114に入力される。アナログ信号処理回路114は各入力信号を所定の演算式に代入してトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、レンズエラー信号LEを生成する。これらのエラー信号はA−D変換器121、122、123によりそれぞれデジタル信号に変換されてマイクロコンピュータ130に入力される。
【0017】
マイクロコンピュータ130は、演算処理に必要なプログラムや固定値をあらかじめ書き込み、必要に応じてマイクロコンピュータ130に提供するROM131、マイクロコンピュータ130の演算処理上のワーキングエリア又は入出力のバッファとして用いられるRAM132、初期設定値などを記憶するフラッシュROM133を付帯しており、デジタル信号に変換されたトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、レンズエラー信号LEを入力する。また、TE、FEのエラー信号をそれぞれゼロにするように、コイル108及び109の電流を制御する制御信号を出力する。ここで、マイクロコンピュータ130には、D−A変換器124及びドライバ126を介してコイル108が接続され、また、D−A変換器125及びドライバ127を介してコイル109が接続されている。そこで、対物レンズ10を光ディスク101の径方向に移動させる制御信号は、D−A変換器124によってアナログ信号に変換されてドライバ126に加えられ、このドライバ126がコイル108に制御電流を供給し、対物レンズ10を光ディスク101の情報面と直交する方向に移動させる制御信号はD−A変換器125によってアナログ信号に変換されてドライバ127に加えられ、このドライバ127がコイル109に制御電流を供給する。
【0018】
また、ピックアップ105が光ディスク101の径方向の最内側部に移動されたことを検出するためのスイッチ117が設けられており、このスイッチ117がオン(ON)状態になったことをマイクロコンピュータ130が読み込んで、最内側部に移動されたことを検出する。さらに、マイクロコンピュータ130は、駆動回路113を介してスレッドモータ110を制御し、駆動回路115を介してスピンドルモータ102を制御するように構成されている。
【0019】
図2は受光部107の構成及びアナログ信号処理回路114の信号入出力経路を示したブロック図である。図2において、4個のホトダイオードA、B、C、Dが中央に配置され、これらの側方の一方に2個のホトダイオードE、Fが配置され、他方に2個のホトダイオードG、Hが配置されている。これらのホトダイオードA、B、C、D、E、F、G、Hが出力する信号をそれぞれa、b、c、d、e、f、g、hとしたとき、アナログ信号処理回路114は次の演算を行ってフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、レンズエラー信号LEを生成する。
FE=(a+c)−(b+d) …(1)
TE=((a+d)−(b+c))+((e−f)+(g−h)) …(2)
LE=((a+d)−(b+c))−((e−f)+(g−h)) …(3)
これらのエラー信号のうち、レンズエラー信号LEは、対物レンズ10の径方向への移動量に比例した値となる。
【0020】
図3は一般的なシーク動作の説明図である。図3に示したように、シーク動作は、まず、通常のトラッキング制御状態(図ではTRONと略記している)でトラックアドレスを読み込む。次に、目標アドレスのトラックまでの距離を計算し、この距離が長い場合にロングジャンプを行う。ロングジャンプはトラッキング制御を停止して、計算で求めたピックアップ移送機構の移動量となるようにリードスクリュ111を回転させ、ピックアップ105を目標トラックの直前まで高速に移動させる。次に、トラッキング制御状態にしてトラックアドレスを読み込み、残りのトラック本数を計算してショートジャンプを開始する。偏心の大きな光ディスクの場合、レンズ位置より外側にショートジャンプするときに速度制御が外れやすくなる。
【0021】
図4はトラック読み取り動作のタイミングを示す波形図と合わせて、対物レンズ10の変位状態を本実施の形態と従来例とを対比して説明するための説明図である。このうち、図4(a)はトラッキング制御を停止した状態でのトラッキングエラー信号TEの波形図で、図4(b)は時刻t0でトラッキング制御を開始したときの対物レンズ10の変位を示す曲線である。図4(b)において縦軸は対物レンズ10のニュートラル位置を0としたときの相対的な値を示し、曲線Aは従来の一般的な光ディスク装置の変位を示し、曲線Bは本実施の形態の変位を示している。
【0022】
ここで、偏心の大きな光ディスクを使用する場合、トラッキング制御を開始してから実際にトラックに引き込みを完了するのは、図4(a)に示したトラッキングエラー信号TEの周波数が低くなる時刻、すなわち、図4(b)に示したt0、t8、t16、t24のタイミングとなる。このタイミングを光ディスクの偏心と対応させると、図4(b)に示したように、対物レンズ10がトラックの最内周又は最外周に変位するときの極値付近となる。このとき、対物レンズ10がニュートラル位置にあったとして、この極値付近でトラックへの引き込みが行われたとすると、図4(b)の曲線Aのように、対物レンズ10はトラックのピークピーク値である0〜−2の範囲で変位することになる。そうすると、変位の大きい−2の付近では、上述したようにバネ材に大きな付勢力が作用するため、トラッキングが外れやすくなるほか、ショートジャンプした場合にも、速度制御が外れたり、良好な停止を行えず、トラック流れが発生しやすくなる。
【0023】
ここで、本実施の形態と従来装置との関係について図5〜図7を用いてさらに説明する。光ディスク101の径方向に移動するピックアップ105(図1参照)の一般にアクチュエータと称される部分は、図5に示したように、固定部11と可動部12とで表すことができる。光ディスク101の偏心に起因する正弦波状のトラック軌跡を追従する固定部11及び可動部12の最初の位置が、図6に示したように、トラック軌跡Lの中央位置Mにあれば、可動部12は中央位置Mを中心にして極値P1と極値P2の範囲内でしか変位しないのでバネ材に発生する付勢力は小さく、トラッキング制御に与える影響は少ない。これに対して、光ディスク101のトラック軌跡を追従する最初の位置が、図7に示したように、極値P1であれば、可動部12が中央位置Mに変位したときにバネ材に発生する付勢力は小さいものであっても、バネ材の付勢力を定常的に受けるので不安定になりやすく、特に、極値P2などさらに内周にジャンプしようとすると、トラックへの引き込みを失敗する確率が高くなる。
【0024】
本実施の形態は、トラックアドレスを読み取った段階で、可動部12によるショートジャンプを行う前に、固定部11を図6に示した中央位置Mに移動させることにより、対物レンズ10のニュートラル位置をトラック軌跡の中央位置Mに合わせて図4(b)の曲線Bに示すような変位をさせるもので、それらの制御機能をROM131、RAM132、フラッシュROM133を付帯するマイクロコンピュータ130に持たせている。
【0025】
図8はディスクローディング後などの起動時に実行するマイクロコンピュータ130の具体的な処理手順を示すフローチャートである。ここでは、ステップS801でピックアップ移送機構のバックラッシュを測定する。この処理はピックアップ移動制御の精度を向上させるためのもので、バックラッシュが小さい場合には無視してもよいし、既知の場合には固定値を使用すればよい。次に、ステップS802でフォーカス制御を実行し、トラッキング制御を停止した状態で、対物レンズ10の位置としてレンズエラー信号LEをA−D変換器123で変換して読み込む。A−D変換して得られた値が図5に示したように、固定部11に対する可動部12のニュートラル位置、すなわち、対物レンズ10のニュートラル位置となる。次に、ステップS803で光ディスク101の回転位相ごとの偏心を測定する。ここでは、任意のトラックに対してトラッキング制御状態にしてレンズエラー信号LEが入力されるA−D変換器123の出力をサンプリングする。このとき、スピンドルモータ102が1回転するごとに1つのパルスとして発生される基準回転位相信号REFPを基準として、スピンドルモータ102の速度信号FGの計数値を回転位相データとして一緒に取り込む。これら回転位相ごとに測定されたサンプリング値を、例えば、光ディスク101の1回転にわたって加算し、加算して得られた値をサンプリング数で割り算をすれば、光ディスク101の径方向に変位する変位量の平均値を求めることができる。
【0026】
次に、ステップS804で偏心したトラック軌跡の中央が対物レンズ10のニュートラル位置となるように、各回転位相ごとの目標レンズ位置を計算する。上述したステップS803における偏心測定はトラッキング制御状態でピックアップ移送機構も追従動作をしているが、この追従動作はトラッキングエラー信号TEのローパスフィルタ通過後の値が所定値以上になると所定方向に所定値だけ動かす制御であり、トラッキングエラー信号TEは定常的に直流偏差を含んでいる。このため、対物レンズ10の位置はそのニュートラル位置から少しずれた状態になっている。そこで、ステップS804では、まず、ステップS803で得られた回転位相ごとのサンプリング値を平均して、偏心したトラックを追跡中の対物レンズ10の中心位置を計算する。次に、ステップS802で得られた対物レンズ10のニュートラル位置におけるレンズエラー信号LEとの差を位置差として、ステップS803で得られた平均値を補正する。この平均値を補正して得られた値が、偏心したトラック追従時の目標中心レンズ位置となる。
【0027】
次に、ステップS805では対物レンズ10の変位量とピックアップ移送機構の移動量との関係を決定する。ここではピックアップ移送機構による追従制御を停止し、トラックに対する追従制御状態で、バックラッシュ以上の距離を内周又は外周に移動させる。すなわち、リードスクリュ111の進行方向のネジ面が雌ネジ部112のネジ面に押し当てられる状態にする。このとき、トラックに対する追従制御状態であるため、ピックアップ移送機構が移動した分だけ、対物レンズ10の位置が移動する。この段階で対物レンズ10の位置に対応するレンズエラー信号LEを測定する。このレンズエラー信号LEの測定は回転位相ごとのサンプリング値の平均値であっても、偏心の最大値又は最小値であってもよい。次に、上述したとは逆方向にバックラッシュ以上の距離だけピックアップ移送機構を移動させ、再度、レンズエラー信号LEを測定する。ここで、2回にわたって測定したレンズエラー信号LEの差をΔLE、2回目にピックアップ移送機構を移動させたときにスレッドモータ110に印加したパルス数をPp、ピックアップ移送機構をそのバックラッシュ分だけ移動させるためにスレッドモータ110に印加するパルス数をPbとし、スレッドモータ110に印加したパルス1つ当たりのレンズ移動量をKとすると、これらの間に次式の関係が成立する。
K=ΔLE/(Pp−Pb) …(4)
この(4)式からレンズエラー信号LEの測定値とピックアップ移送機構の移動量との関係が得られる。
【0028】
図9は、図8のステップS801でバックラッシュを測定する詳細な処理手順を示すフローチャートである。この処理は、まず、ステップS901でピックアップ移送機構を径方向の外側から内側へ(外周から内周へ)移動を開始する。次に、ステップS902でピックアップ移送機構の移動を開始してからスレッドモータ110に印加するパルス数を計数(加算)する。次に、ステップS903で径方向の最内側部に移動されたことを検出するためのスイッチ117がオフ(OFF)状態であるか否かを調べ、オフ状態であればステップS901の処理に戻ってさらに内側に移動させ、オフ状態でなければ、すなわち、オン状態になればステップS904でピックアップ移送機構を停止させる。次に、ステップS905でスレッドモータ110に印加するパルス数を計数(加算)を停止する。次に、ステップ906でピックアップ移送機構を径方向の内側から外側へ(内周から外周へ)移動を開始する。次に、ステップS907でピックアップ移送機構の移動を開始してからスレッドモータ110に印加するパルス数を計数(減算)する。次に、ステップS908でスイッチ117がオン状態であるか否かを調べ、オン状態であればステップS906の処理に戻ってさらに外側に移動させ、オン状態でなければ、すなわち、オフ状態になればステップS909でピックアップ移送機構を停止させる。ステップS910でスレッドモータ110に印加するパルス数を計数(減算)を停止する。そして、スイッチ117がオン状態でなくなったときのパルス数の計数値から、スイッチ117がオフ状態でなくなったときのパルス数の計数値を減算した値が、スレッドモータ110に印加するパルス数に換算したピックアップ移送機構のバックラッシュとなる。
【0029】
図10は、図8のステップS805でスレッド移動測定を行う詳細な処理手順を示すフローチャートである。この処理は、まず、ステップS1001でトラッキング制御を開始してトラックに対する追跡を開始(TR ON)する。次に、ステップS1002でトラッキング制御が安定するまでタイマに設定した時間の経過を待つ。次に、ステップS1003でピックアップ移送機構を停止(OFF)させる。次に、ステップS1004でピックアップ移送機構を逆方向に所定の距離だけ移動させるように所定数のパルスをスレッドモータ110に印加する。所定数のパルスはピックアップ移送機構のバックラッシュに対応するパルス数よりも多い値である。次に、ステップS1005では、トラッキング制御が安定するまでタイマに設定した時間の経過を待つ。次に、ステップS1006でレンズエラー信号LEの最大値を測定する。次に、ステップS1007ではピックアップ移送機構を正の方向に所定の距離だけ移動させるようにスレッドモータ110に所定数のパルスをスレッドモータ110に印加する。所定数のパルスはピックアップ移送機構のバックラッシュに対応するパルス数よりも多い値である。次に、ステップS1008では、トラッキング制御が安定するまでタイマに設定した時間の経過を待つ。次に、ステップS1009で、再びレンズエラー信号LEの最大値を測定する。次に、ステップS1010で、レンズエラー信号LEの測定値の差を求め、上記(4)式にしたがってスレッドモータ110に印加したパルス1つ当たりのレンズ移動量Kを算出(LE感度演算)する。
【0030】
図11はロングジャンプ後に、トラッキング制御を開始してすぐにショートジャンプに移行する直前にレンズ位置の目標値を補正する処理手順を示したフローチャートである。この処理は、まず、ステップS1101で対物レンズ10のレンズ位置として、レンズエラー信号LEを読み込む。次に、ステップS1102では、ピックアップ移送機構を動かして対物レンズ10のニュートラル位置をトラック軌跡のほぼ中央に移動させるために必要なステップ方向と、スレッドモータ110に印加するパルス数を計算する。具体的には、ステップS1101で読み込んだレンズエラー信号LEをLEyとし、図8のステップS803で測定して得られたこれと同じ回転位相におけるレンズエラー信号LEをLExとしたとき、対物レンズ10の中心位置からの位置ずれを補正するピックアップ移送機構の移動量に対応するスレッドモータ110のパルス数Npを次式によって計算する。
Np=(LEy−LEx)/K …(5)
ただし、Kはスレッドモータ110に印加したパルス1つ当たりのレンズ移動量である。この場合、バックラッシュ分は誤差となるが、大きな問題とはならない。次に、ステップS1103で計算されたパルス数Npに従ってピックアップ移送機構を移動させる。
【0031】
このように、ロングジャンプ後に、トラッキング制御を開始してすぐにショートジャンプに移行する直前にレンズ位置の目標値を(5)式のパルス数Npだけ補正することによって、対物レンズ10をそのニートラル位置から径方向に振り分けて偏心したトラックに追随させることができる。この目標値の補正について、再び図4を参照して説明する。
【0032】
図4(a)に示した波形図はトラッキング制御を停止した状態でのトラッキングエラー信号TEの波形図である。ロングシーク後にトラッキングエラー信号TEの周波数が低くなる時刻t0で対物レンズ10の位置が極値になっているトラックに追従する状態になったとする。この時刻t0で図4(b)上で対物レンズ10の変位が「1」になっていれば、そのニュートラル位置から径方向に振り分けて偏心したトラックに追随させることができる。そこで、仮に時刻t16において対物レンズ10の変位が「1」になる程度に、時刻t0から時刻t8の間にスレッドモータ110に(5)式のパルス数Npを印加してピックアップ移送機構を等速で移動させる。これにより、対物レンズ10が動かされて、そのニュートラル位置を振り分けにして偏心トラックの追跡が行われるため、時刻t8以降にショートジャンプを行えば、良好なシーク動作を実現することができる。
【0033】
図12は対物レンズ10の位置が偏心したトラックの極値から少しずれたところでそのトラックに対する追跡が行われた場合における対物レンズ10の変位を示す曲線である。図12中、曲線Aは従来の一般的な光ディスク装置の変位を示し、曲線Bは本実施の形態の変位を示している。この図から明らかなように、偏心したトラックの極値から少しずれたところでそのトラックに対する追跡が行われた場合においても、良好なシーク動作を実現することができる。
【0034】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施の形態によれば、トラッキング制御に応じて光ディスク101の径方向に変位する対物レンズ10の位置を、光ディスク101の回転位相ごとに測定し、この対物レンズ10のニュートラル位置からの変位量をピックアップ移送機構の移動量に換算して、対物レンズ10がそのニュートラル位置を振り分けにしてトラックを追跡するようにピックアップ移送機構を制御するようにしたので、比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができ、さらに、ピックアップ移送機構がフィードフォワード的に制御されるため、シーク時間を短縮することができる。
【0035】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態は、装置に初めて装着された光ディスク101に対して、対物レンズ10の各回転位相における目標となるニュートラル位置からの変位の平均値と、対物レンズ10の変位量とピックアップ移送機構の移動量との関係を示す係数を演算したが、それらの値をあらかじめマイクロコンピュータ130が付帯するRAM132に記憶させておけば、レジューム起動状態で改めてこれらの値を求める処理をしなくても、対物レンズ10がニュートラル位置にくるようにピックアップ移送機構の移動目標値を演算することができる。
【0036】
図13はこの考えに基づいて、起動状態がレジューム起動状態であれば、RAM132に記憶されている対物レンズ10のニュートラル位置からの変位の平均値と、対物レンズ10の変位量とピックアップ移送機構の移動量との関係を示す係数を用いて、ショートジャンプ時にピックアップ移送機構の移動目標値を補正する処理手順を示したフローチャートである。ここでは、まず、ステップS1301で初期起動状態か、レジューム起動状態であるかの起動状態チェックを行う。次に、ステップS1302でレジューム起動状態か否かを判別し、レジューム起動状態であればステップS1303でそれぞれRAM132に記憶された各回転位相ごとのニュートラル位置からの変位の平均値、及び対物レンズ10の変位量とピックアップ移送機構の移動量との関係を示す係数を使用して、すなわち記憶データを使用して前述した図8のステップS805と同様な処理を行って図11の処理を実行する。
【0037】
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施の形態によれば、対物レンズ10のニュートラル位置からの変位の平均値と、対物レンズ10の変位量とピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を記憶させ、レジューム起動状態で、追跡目標トラックに対するトラックジャンプを開始するとき、その制御開始位置に対物レンズ10のニュートラル位置がくるように、記憶された平均値及び関連付ける値に基づいて、ピックアップ移送機構の移動目標値を補正するため、比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができ、かつスレッドをTEで補正動作させるより高速でシーク時間を短縮することができ、さらに、初期動作が不要で起動時間を短縮できるという効果が得られる。
【0038】
なお、上記の各実施の形態では、ピックアップ移送機構のバックラッシュ分を無視して移動目標値を演算したが、バックラッシュの測定値をも加味して移動目標値を補正することによって、ピックアップ移動制御の精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、トラックを追跡中の対物レンズが、光ディスクの偏心に起因してその径方向に移動するとき、対物レンズのニュートラル位置が追跡目標トラックの変位幅の中央にくるように、ピックアップ移送機構が制御されるため、比較的大きく偏心した光ディスクであっても、安定してショートジャンプさせることができ、さらに、ピックアップ移送機構がフィードフォワード的に制御されるため、シーク時間を短縮することができるので、DVDプレーヤ/レコーダ、あるいはBDプレーヤ/レコーダなど各種の光ディスク記憶再生装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る光ディスク装置の第1の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の受光部の構成及びアナログ信号処理回路の信号入出力経路を示したブロック図である。
【図3】一般的なシーク動作の説明図である。
【図4】一般的なトラック読み取り動作のタイミングと合わせて、対物レンズの変位状態を第1の実施の形態と従来例とを対比して説明するための説明図である。
【図5】偏心した光ディスクのトラックを追跡する可動部の固定部との関係を説明するための説明図である。
【図6】偏心した光ディスクのトラックを追跡する可動部の固定部との関係を説明するための説明図である。
【図7】偏心した光ディスクのトラックを追跡する可動部の固定部との関係を説明するための説明図である。
【図8】第1の実施の形態を構成するマイクロコンピュータの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態を構成するマイクロコンピュータの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第1の実施の形態を構成するマイクロコンピュータの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第1の実施の形態を構成するマイクロコンピュータの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図12】対物レンズの変位状態を第1の実施の形態と従来例とを対比して説明するための説明図である。
【図13】第2の実施の形態を構成するマイクロコンピュータの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
10 対物レンズ
13 光学系
101 光ディスク
102 スピンドルモータ(ディスク駆動機構)
105 ピックアップ
106 レーザダイオード(LD、光源)
107 受光部(PD)
110 スレッドモータ(ピックアップ移送機構)
111 リードスクリュ(ピックアップ移送機構)
112 ナット(ピックアップ移送機構)
113、115 駆動回路
114 アナログ信号処理回路
116 分周回路
121、122、123 A−D変換器
124、125 D−A変換器
126、127 ドライバ(DRV)
130 マイクロコンピュータ
A〜H ホトダイオード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に保持された光ディスクを駆動するディスク駆動機構と、光ビームを放射する光源、前記光ディスクの情報面にスポットを形成するように前記光ビームを合焦させる対物レンズ、前記光ディスクの情報面からの反射光を前記光ビームから分離する光学系及び前記反射光を受光する受光部を含み、前記対物レンズが少なくとも前記光ディスクの径方向に移動制御可能に支持されたピックアップと、前記ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させるピックアップ移送機構と、前記ディスク駆動機構を制御するとともに、前記受光部の出力信号に基づき前記対物レンズの位置を制御し、かつ、前記光ビームを前記光ディスクの目標トラックに到達させるように前記ピックアップ移送機構を制御する制御部とを備えた光ディスク装置において、
前記制御部は、
前記光ディスクのトラックを追跡するトラッキング制御に応じて前記光ディスクの径方向に変位する前記対物レンズの位置を、前記光ディスクの回転位相ごとに測定する手段と、
前記対物レンズの変位量と前記ピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を求める手段と、
前記対物レンズのニュートラル位置からの変位量を前記ピックアップ移送機構の移動量に変換する手段と、
前記光ビームのスポットを前記光ディスクの目標トラックに到達させるとき、前記対物レンズが前記ニュートラル付近位置にくるように前記ピックアップ移送機構の移動目標値を演算する手段とを有し、
前記演算する手段の演算結果を用いて前記ピックアップ移送機構を制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
回転可能に保持された光ディスクを駆動するディスク駆動機構と、光ビームを放射する光源、前記光ディスクの情報面にスポットを形成するように前記光ビームを合焦させる対物レンズ、前記光ディスクの情報面からの反射光を前記光ビームから分離する光学系及び前記反射光を受光する受光部を含み、前記対物レンズが少なくとも前記光ディスクの径方向に移動制御可能に支持されたピックアップと、前記ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させるピックアップ移送機構と、前記ディスク駆動機構を制御するとともに、前記受光部の出力信号に基づき前記対物レンズの位置を制御し、かつ、前記光ビームを前記光ディスクの目標トラックに到達させるように前記ピックアップ移送機構を制御する制御部とを備えた光ディスク装置において、
前記制御部は、
初期起動状態とレジューム起動状態とに切り替える手段と、
前記初期起動状態で、前記光ディスクのトラックを追跡するトラッキング制御に応じて前記光ディスクの径方向に変位する前記対物レンズの位置を、前記光ディスクの回転位相ごとに測定するとともに、前記対物レンズの前記変位量と前記ピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を求め、前記対物レンズのニュートラル位置からの変位量を前記ピックアップ移送機構の移動量に変換し、前記光ビームのスポットを前記光ディスクの目標トラックに到達させるとき、前記対物レンズが前記ニュートラル付近位置にくるように前記ピックアップ移送機構の移動目標値を演算し、その演算結果を用いて前記ピックアップ移送機構を制御する手段と、
前記レジューム起動状態で、追跡目標トラックに対するトラックジャンプ制御を開始するとき、あらかじめ測定された前記対物レンズの回転位相ごとの位置及び前記関連付ける値に基づいて、前記トラックジャンプ制御の開始位置に前記対物レンズの前記ニュートラル位置がくるように、前記ピックアップ移送機構の移動目標値を補正する手段とを有し、
補正された前記移動目標値に従って前記ピックアップ移送機構を制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
前記制御部は、追跡目標トラックに対するトラックジャンプ制御を開始するとき、前記ピックアップ移送機構を移動させた後で、前記対物レンズの移動を開始する前に、演算された前記移動目標値を用いて前記ピックアップ移送機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ピックアップ移送機構のバックラッシュを測定する手段と、
前記バックラッシュの測定値によって前記移動目標値を補正する手段とを、
備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記対物レンズを前記光ディスクの径方向に無拘束にした状態で、前記受光部の出力信号に基づいて、前記対物レンズの位置に応じた位置信号を測定する手段と、
測定された前記位置に応じた位置信号によって前記移動目標値を補正する手段とを、
備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク装置。
【請求項1】
回転可能に保持された光ディスクを駆動するディスク駆動機構と、光ビームを放射する光源、前記光ディスクの情報面にスポットを形成するように前記光ビームを合焦させる対物レンズ、前記光ディスクの情報面からの反射光を前記光ビームから分離する光学系及び前記反射光を受光する受光部を含み、前記対物レンズが少なくとも前記光ディスクの径方向に移動制御可能に支持されたピックアップと、前記ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させるピックアップ移送機構と、前記ディスク駆動機構を制御するとともに、前記受光部の出力信号に基づき前記対物レンズの位置を制御し、かつ、前記光ビームを前記光ディスクの目標トラックに到達させるように前記ピックアップ移送機構を制御する制御部とを備えた光ディスク装置において、
前記制御部は、
前記光ディスクのトラックを追跡するトラッキング制御に応じて前記光ディスクの径方向に変位する前記対物レンズの位置を、前記光ディスクの回転位相ごとに測定する手段と、
前記対物レンズの変位量と前記ピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を求める手段と、
前記対物レンズのニュートラル位置からの変位量を前記ピックアップ移送機構の移動量に変換する手段と、
前記光ビームのスポットを前記光ディスクの目標トラックに到達させるとき、前記対物レンズが前記ニュートラル付近位置にくるように前記ピックアップ移送機構の移動目標値を演算する手段とを有し、
前記演算する手段の演算結果を用いて前記ピックアップ移送機構を制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
回転可能に保持された光ディスクを駆動するディスク駆動機構と、光ビームを放射する光源、前記光ディスクの情報面にスポットを形成するように前記光ビームを合焦させる対物レンズ、前記光ディスクの情報面からの反射光を前記光ビームから分離する光学系及び前記反射光を受光する受光部を含み、前記対物レンズが少なくとも前記光ディスクの径方向に移動制御可能に支持されたピックアップと、前記ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させるピックアップ移送機構と、前記ディスク駆動機構を制御するとともに、前記受光部の出力信号に基づき前記対物レンズの位置を制御し、かつ、前記光ビームを前記光ディスクの目標トラックに到達させるように前記ピックアップ移送機構を制御する制御部とを備えた光ディスク装置において、
前記制御部は、
初期起動状態とレジューム起動状態とに切り替える手段と、
前記初期起動状態で、前記光ディスクのトラックを追跡するトラッキング制御に応じて前記光ディスクの径方向に変位する前記対物レンズの位置を、前記光ディスクの回転位相ごとに測定するとともに、前記対物レンズの前記変位量と前記ピックアップ移送機構の移動量とを関連付ける値を求め、前記対物レンズのニュートラル位置からの変位量を前記ピックアップ移送機構の移動量に変換し、前記光ビームのスポットを前記光ディスクの目標トラックに到達させるとき、前記対物レンズが前記ニュートラル付近位置にくるように前記ピックアップ移送機構の移動目標値を演算し、その演算結果を用いて前記ピックアップ移送機構を制御する手段と、
前記レジューム起動状態で、追跡目標トラックに対するトラックジャンプ制御を開始するとき、あらかじめ測定された前記対物レンズの回転位相ごとの位置及び前記関連付ける値に基づいて、前記トラックジャンプ制御の開始位置に前記対物レンズの前記ニュートラル位置がくるように、前記ピックアップ移送機構の移動目標値を補正する手段とを有し、
補正された前記移動目標値に従って前記ピックアップ移送機構を制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
前記制御部は、追跡目標トラックに対するトラックジャンプ制御を開始するとき、前記ピックアップ移送機構を移動させた後で、前記対物レンズの移動を開始する前に、演算された前記移動目標値を用いて前記ピックアップ移送機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ピックアップ移送機構のバックラッシュを測定する手段と、
前記バックラッシュの測定値によって前記移動目標値を補正する手段とを、
備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記対物レンズを前記光ディスクの径方向に無拘束にした状態で、前記受光部の出力信号に基づいて、前記対物レンズの位置に応じた位置信号を測定する手段と、
測定された前記位置に応じた位置信号によって前記移動目標値を補正する手段とを、
備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−176863(P2008−176863A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9644(P2007−9644)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]