説明

光ディスク装置

【課題】再生光の照射によって光ディスクが劣化する可能性を低減できる光ディスク装置を提供する。
【解決手段】レーザ駆動部12で設定変更可能な駆動条件には、レーザ光源41の発光パワーと、レーザ光源41を発光させるレーザ駆動信号に重畳される高周波信号である重畳信号の振幅とのうち、少なくともいずれか一方が含まれ、制御部6は、再生信号の品質を評価可能な指標を取得できるように設けられるとともに、光ディスクDの再生を開始する前に、発光パワーと重畳信号の振幅とのうち、少なくともいずれか一方の最適設定値を決定するように設けられ、再生信号の品質を評価可能な指標は、受光部43から出力される信号を処理して得られ、最適設定値は、再生信号の品質を評価可能な指標に基づいて再生可能と判断されることを条件として、できるだけ小さな値となるように決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに記録される情報を再生することができる光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスクを回転駆動して、光ディスクに記録される情報を再生する光ディスク装置が普及している。この光ディスク装置は、光ディスクにレーザ光を照射するとともに光ディスクで反射された戻り光(反射光)を受光部で検出する光ピックアップを備え、この光ピックアップを用いて光ディスクに記録される情報の読み取りを行うように構成されている。
【0003】
このような光ディスク装置においては、光ディスクにレーザ光を照射して再生を行う場合に、光ディスクからの戻り光が光ピックアップに備えられるレーザ光源に戻ってノイズとなり、レーザ光源の発光パワーが不安定になることが知られている。このために、従来の光ディスク装置では、この戻り光ノイズを低減するために(レーザ光源の発光状態を安定させるために)、レーザ光源を駆動するための直流電流源に高周波信号を重畳してレーザ光源を発光させるように構成している(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−85804号公報
【特許文献2】特開平8−339566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の光ディスク装置では、光ディスクの再生を行う際のレーザ光源の発光パワーや、レーザ光源を発光させるレーザ駆動信号に重畳される上述の高周波信号(以下、単に重畳信号という場合がある)の条件は予め決められた値に固定し、常に同じ条件で再生する構成となっている。なお、重畳信号の条件には、例えば振幅、周波数、スペクトラム拡散の変調周波数や拡散周波数等が含まれる。
【0006】
光ディスクを再生する際の発光パワーが高いと、例えば光ディスクに誤って記録してしまったり、記録された情報を誤って消去してしまったりする可能性がある。換言すると、光ディスクを再生する際の発光パワーが高いと、光ディスクを劣化させてしまう可能性がある。このために、再生時の発光パワーは、再生信号の信号品質が悪くならない範囲で、できるだけ低いことが望まれる。
【0007】
また、重畳信号の信号振幅(重畳信号振幅)が大きすぎると、発光パワーのピークレベルの上昇が原因となって光ディスクを劣化させてしまう可能性がある。また、重畳信号振幅が大きくなると、EMI(Electro Magnetic Interference;電磁妨害波)の影響が懸念される。このために、光ディスクの再生を行うにあたっては、再生信号の信号品質が悪くならない範囲で、重畳信号振幅はできるだけ小さくすることが望まれる。
【0008】
光ディスクの反射率には製造ばらつきがある。また、半導体レーザの種類(例えば、赤色用の半導体レーザや青色用の半導体レーザ等)によって、戻り光ノイズのレベルが異なる。これらのことを考慮すると、光ディスクの再生時における発光パワーや重畳信号振幅は従来のように固定値とするのではなく、再生する光ディスク毎に変更するのがより望ましいものと考えられる。
【0009】
以上の点に鑑みて、本発明の目的は、再生光の照射によって光ディスクが劣化する可能性を低減できる光ディスク装置を提供することである。また、本発明の他の目的は、再生光の照射によって光ディスクが劣化する可能性を抑制しつつ、更にEMIを極力低減できる光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、レーザ光源から出射されたレーザ光を光ディスクに照射するとともに、該光ディスクで反射された戻り光を受光部で受光する光ピックアップと、前記レーザ光源の駆動条件を調整して前記レーザ光源を駆動するレーザ駆動部と、前記レーザ駆動部を制御する制御部と、を備える光ディスク装置において、前記レーザ駆動部で設定変更可能な駆動条件には、前記レーザ光源の発光パワーと、前記レーザ光源を発光させるレーザ駆動信号に重畳される高周波信号である重畳信号の振幅とのうち、少なくともいずれか一方が含まれ、前記制御部は、再生信号の品質を評価可能な指標を取得できるように設けられるとともに、光ディスクの再生を開始する前に、前記発光パワーと前記重畳信号の振幅とのうち、少なくともいずれか一方の最適設定値を決定するように設けられ、前記再生信号の品質を評価可能な指標は、前記受光部から出力される信号を処理して得られ、前記最適設定値は、前記再生信号の品質を評価可能な指標に基づいて再生可能と判断されることを条件として、できるだけ小さな値となるように決定されることを特徴としている。
【0011】
本構成によれば、レーザ光源の発光パワーと、レーザ駆動信号に重畳される重畳信号(高周波信号)の振幅とのうち、少なくともいずれか一方について、光ディスクを再生可能な範囲でできるだけ小さな値(最適設定値)として、光ディスクの再生を開始するようになっている。このために、再生光の照射によって光ディスクが劣化する(誤って情報を記録したり消去したりする)可能性を低減できる。また、本構成において、高周波信号である重畳信号の振幅をできるだけ小さくする構成を採用する場合にはEMIを極力低減できる。
【0012】
なお、再生信号の品質を評価可能な指標としては、例えばRF信号の信号レベル(振幅)、ジッタ、エラーレート等が挙げられる。そして、再生可能か否かの判断は、このような指標に対して予め決めておいた閾値レベルを基準に行えばよい。
【0013】
上記構成の光ディスク装置において、前記制御部は、光ディスクの判別処理を行った後に前記最適設定値を決定する処理を実行することとしてもよい。光ディスク装置は、複数の光ディスクに対応するものが多く、このような場合には先に光ディスクの種類を判別してから発光パワーや重畳信号振幅の最適設定値を決定する必要がある。
【0014】
上記構成の光ディスク装置において、前記レーザ駆動部で設定変更可能な駆動条件には、前記発光パワーと前記重畳信号の振幅との両方が含まれ、前記制御部は、前記発光パワーの前記最適設定値を決定した後に、前記重畳信号の振幅の前記最適設定値を決定することとしてもよい。
【0015】
上記構成の光ディスク装置において、前記レーザ駆動部で設定変更可能な駆動条件には前記重畳信号の振幅が含まれ、前記制御部は、前記重畳信号の振幅の前記最適設定値を決定するように設けられるとともに、前記重畳信号の振幅の前記最適設定値を決定した後に、前記再生信号の品質を評価可能な指標を確認して、この確認結果に基づいて先に決定した前記重畳信号の振幅の前記最適設定値を変更する場合があることとしてもよい。例えば時間経過(温度条件の変化)によって、先に決定した重畳信号振幅の設定値が最適設定値からずれることがあるのを考慮するものである。
【0016】
上記構成の光ディスク装置において、前記制御部は、光ディスクの出し入れがあったか否かを判断し、光ディスクの出し入れがあったと判断した場合に前記最適設定値の決定処理を行い、前記光ディスクの出し入れがなかったと判断した場合には前記最適設定値の決定処理を行わないこととしてもよい。光ディスクの変更がない場合には、発光パワーや重畳信号振幅の最適設定値を改めて決定せず、先に決定した値を用いるようにしてもよいことを考慮するものであり、このような構成を採用することで、光ディスクの再生開始までに要する時間の短縮化が可能となる。
【0017】
上記構成の光ディスク装置において、前記発光パワーと前記重畳信号の振幅との各初期設定値を記憶する記憶部を有し、前記制御部は、前記初期設定値を基準に前記最適設定値を決定し、前記最適設定値を決定する毎にその値を前記記憶部に記憶するように設けられるとともに、記憶した複数の前記最適設定値に基づいて、前記発光パワーの初期設定値と前記重畳信号の振幅の初期設定値とのうちの少なくともいずれか一方を更新する場合があることとしてもよい。本構成によれば、光ディスク装置の使用回数が増えるにつれて、記憶部に記憶される初期設定値と毎回決定される最適設定値との差が小さくなることを期待できる。このため、光ディスク装置をある程度使用した後は、発光パワーや重畳信号振幅の最適設定値を決定するために要する時間の短縮化が期待できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、再生光の照射によって光ディスクが劣化する可能性を低減できる光ディスク装置を提供できる。また、本発明によれば、再生光の照射によって光ディスクが劣化する可能性を抑制しつつ、更にEMIを極力低減できる光ディスク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図
【図2】第1実施形態の光ディスク装置に備えられる光ピックアップについて説明するための平面図
【図3】第1実施形態の光ディスク装置において再生開始前に実行される、発光パワー及び重畳信号振幅の調整フローを示すフローチャート
【図4】第2実施形態の光ディスク装置の特徴的な構成を説明するためのフローチャート
【図5】第3実施形態の光ディスク装置の特徴的な構成を説明するためのフローチャート
【図6】本発明の変形例を説明するためのフローチャートで、発光パワーについてのみ最適設定値を決定する処理が行われる場合の一例を示すフローチャート
【図7】本発明の変形例を説明するためのフローチャートで、重畳信号振幅についてのみ最適設定値を決定する処理が行われる場合の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の光ディスク装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。図2は、第1実施形態の光ディスク装置に備えられる光ピックアップについて説明するための平面図である。なお、図2には光ディスクDを破線で示しているが、この光ディスクDは光ピックアップ4の上部(図2において、紙面手前側)に位置している。
【0022】
図1に示すように、第1実施形態の光ディスク装置1はスピンドルモータ2を有する。このスピンドルモータ2は、その出力軸2aが光ディスクDを着脱自在に保持するターンテーブル3(図2参照)に連結されている。このため、スピンドルモータ2を駆動させることによって、ターンテーブル3に保持された光ディスクDを回転させることができる。このスピンドルモータ2の駆動制御は、スピンドルモータ駆動回路11を用いて行われる。
【0023】
また、光ディスク装置1には、光ディスクDに記録される情報を読み取るために用いられる光ピックアップ4が備えられる。この光ピックアップ4は、例えばレーザダイオードからなるレーザ光源41を有する。本実施形態の光ディスク装置1は、複数種類の光ディスク(例えばBD(Blu-ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc))に対応可能となっており、各種の光ディスクに対応した波長のレーザ光を出射可能となっている。
【0024】
このような構成は、光ピックアップ4が単一波長帯のレーザ光を出射するレーザ光源を複数有することで実現してもよい。また、別例として、光ピックアップ4が複数波長帯のレーザ光を出射するレーザ光源(ハイブリッドタイプやモノリシックタイプのものが挙げられる)を1つのみ備えることで実現してもよい。更に、別例として、光ピックアップ4が、単一波長帯のレーザ光を出射するレーザ光源と、複数波長帯のレーザ光を出射するレーザ光源とを有する構成とすることで実現してもよい。
【0025】
光ピックアップ4が有する光源の駆動制御は、例えばLDD(Laser Diode Driver)のようなIC(Integrated Circuit)からなるレーザ駆動回路12(以下、LDD12と表現する場合がある)を用いて行われる。レーザ駆動回路12は、本発明のレーザ駆動部の実施形態である。
【0026】
LDD12は、レーザ光源41から出射されるレーザ光の発光パワー(発光パワー値)を調整可能(設定変更可能)に設けられている。また、LDD12は、上述した戻り光ノイズを低減すべく、レーザ光源41を駆動するための直流電流源に高周波信号(重畳信号)を重畳できるように設けられている。重畳信号の条件(例えば振幅、周波数、スペクトラム拡散の変調周波数や拡散周波数等)についても、LDD12は調整可能(設定変更可能)に設けられている。
【0027】
なお、LDD12は、発光パワーについて、フロントモニタ或いはバックモニタ(図示せず)を用いたAPC(Automatic Power Control;自動パワー制御)により、設定された一定パワーとなるように制御する。
【0028】
また、光ピックアップ4は、レーザ光源41から出射されたレーザ光を光ディスクDの情報記録面RS(図1参照)に集光する対物レンズ42を備えている。この対物レンズ42は、公知の構成を有する対物レンズアクチュエータ5によって、フォーカス方向及びトラッキング方向に移動可能となっている。なお、対物レンズアクチュエータ5によって、対物レンズ42をチルト方向に移動可能としてもよい。
【0029】
ここで、フォーカス方向とは、光ディスクDの情報記録面RSに略直交する方向である。また、トラッキング方向とは光ディスクDの半径方向(ラジアル方向)に略平行な方向である。また、チルト方向とは、フォーカス方向とトラッキング方向とに直交する軸の軸周り方向である。対物レンズアクチュエータ5の駆動制御は、対物レンズアクチュエータ駆動回路17を用いて行われる。
【0030】
また、光ピックアップ4は、情報記録面RSで反射された戻り光(反射光)を受光する受光部43を備えている。受光部43は、受光した光信号を電気信号に変換する光電変換手段として機能する。RF信号生成回路14は、受光部43から出力された信号に基づいてRF信号を生成するとともに、生成されたRF信号を制御装置6へと出力する。また、FE信号生成回路15は、受光部43から出力された信号に基づいて例えば非点収差法等の公知の手法によってフォーカスエラー信号(FE信号)を生成するとともに、生成されたFE信号を制御装置6へと出力する。また、TE信号生成回路16は、受光部43から出力された信号に基づいて例えばPP(Push-Pull)法やDPP(Differential Push-Pull)法等の公知の手法によってトラッキングエラー信号(TE信号)を生成するとともに、生成されたTE信号を制御装置6へと出力する。
【0031】
なお、光ピックアップ4には、その他の各種のレンズや収差を補正するための収差補正手段等が適宜設けられている。また、光ピックアップ4は1つの対物レンズ42のみを有する構成としているが、本発明の適用範囲はこの構成に限定される趣旨ではない。すなわち、光ピックアップが、光ディスクDの種類によって使い分けられる複数の対物レンズを有する構成としても勿論構わない。
【0032】
このように構成される光ピックアップ4は、光ディスクDの半径方向(ラジアル方向)と略平行な方向に延びる2本のガイドレール10(図2参照)に沿って摺動可能となっている。また、光ピックアップ4のラジアル方向への移動は、スレッドモータ駆動回路13によって制御される図示しないスレッドモータの駆動によって可能となっている。これにより、光ピックアップ4はラジアル方向に自在に移動し、光ディスクDの任意のアドレスに適宜アクセス可能となっている。
【0033】
制御装置6はマイクロコンピュータによって構成され、光ディスク装置1を構成する各部を適宜制御し、また、制御に必要となる演算処理を適宜実行する。制御装置6はROM611(Read Only Memory)及びRAM612(Random Access Memory)からなる記憶部61を備える。ROM611には、制御装置6が各種処理を行う上で必要となる各種のパラメータや動作プラグラムが記憶されている。RAM612はワーク領域として用いられ、また、各種情報の格納領域とされる。
【0034】
制御装置6には再生処理部62が含まれる。この再生処理部62は、RF信号生成回路14から送られてきたRF信号を処理してデータの復調を行うとともに、データのエラーを検出し、エラーが検出された場合において訂正可能であればデータの訂正処理を行う。得られた再生データはインターフェース7を介して外部に出力される。なお、再生処理部62はデータの読み取りエラーの発生割合であるエラーレートを取得する役割も果たす。
【0035】
制御装置6にはサーボ処理部63が含まれる。このサーボ処理部63は、フォーカスサーボ制御を行うためにFE信号に基づいてフォーカスドライブ信号を生成したり、トラッキングサーボ制御を行うためにTE信号に基づいてトラッキングドライブ信号を生成したりする。制御装置6は、得られたフォーカスドライブ信号及びトラッキングドライブ信号によって、対物レンズアクチュエータ駆動回路17を介して対物レンズアクチュエータ5を制御しサーボ制御に必要な動作を実行させる。また、サーボ処理部63は、光ピックアップ4をラジアル方向に移動させるために用いられるスレッドモータを駆動するための制御信号も生成する。制御装置6は、生成された制御信号によってスレッドモータ駆動回路13を介してスレッドモータを制御する。
【0036】
制御装置6にはディスク判別部64が含まれる。光ディスク装置1は、上述のように複数種類の光ディスクに対応可能となっている。光ディスクの種類によって情報の再生を行う際の条件(例えば、レーザ光の波長等)が異なるために、光ディスク装置1は再生を行う前に光ディスクの種類を判別するように設けられている。ディスク判別部64によって実行される光ディスクの判別処理は公知の方法を用いるものであるため、ここでは、その詳細は省略する。
【0037】
制御装置6には信号品質評価部65が含まれる。信号品質評価部65は、再生信号の品質を評価な指標を取得・評価して、例えば、光ディスク装置1に挿入された光ディスクD(ターンテーブル3に取り付けられた光ディスクD)が再生可能なレベルか否かを判断する処理を実行する。再生信号の品質を評価可能な指標としては、例えばRF信号の信号レベル(振幅)、ジッタ、エラーレート等が挙げられる。
【0038】
第1実施形態の光ディスク装置1の全体構成は以上のようである。この光ディスク装置1は、レーザ光源41の発光パワーと、レーザ光源41の発光状態を安定させる(戻り光ノイズを低減する)ために入力される重畳信号の振幅と、を最適条件(最適設定値)としたうえで、再生を開始する点に特徴を有する。そして、この特徴的な構成のために、レーザ光源41から出射されるレーザ光を安定させつつ、光ディスクDの再生光による劣化の抑制と、EMI(による悪影響)の低減が可能となっている。以下、この特徴点について説明する。
【0039】
図3は、第1実施形態の光ディスク装置において再生開始前に実行される、発光パワー及び重畳信号振幅の調整フローを示すフローチャートである。光ディスク装置1に光ディスクDが挿入されると、制御装置6は、ディスク判別部64によって光ディスクDに挿入された光ディスクDの種類を判別する処理を行う(ステップS1)。光ディスクDの種類を判別するにあたっては、光ピックアップ4のレーザ光源41から光ディスクDにレーザ光が適宜出射される。この際のレーザ光源41の発光パワーは予め記憶部61に記憶されたパワーが使用される。この発光パワーは、光ディスクDの情報を消去しないように決定されている。
【0040】
光ディスクDの種類が判別されると、制御装置6は光ディスクDの種類に応じて記憶部61からレーザ駆動条件の初期設定値を読み出し、読み出した条件にしたがってレーザ駆動回路(LDD)12を制御し、レーザ光源41を発光させる(ステップS2)。レーザ駆動条件には、発光パワー及び重畳信号振幅が含まれる。なお、ここで読み出される発光パワーの初期設定値は、ディスク判別時に用いた発光パワーと同一の設定値としてもよいし、異なる設定値としてもよい。ただし、この場合の発光パワーも光ディスクDの情報を消去しないレベルとなるようにその値が設定されている。
【0041】
レーザ光源41を発光させると、制御装置6はサーボ制御を開始させ、光ディスクDの再生が可能か否かを判断する(ステップS3)。再生可能か否かの判断は、信号品質評価部65で再生信号の品質を評価可能な指標(例えばRF信号の信号レベル、ジッタ、エラーレート等)を取得・評価することによって行われる。より具体的には、例えば、記憶部61に予め閾値レベルを記憶させておき、取得した指標のレベルが閾値レベルより良好である場合には再生可能と判断し、そうでない場合には再生不能と判断するといった構成が挙げられる。
【0042】
なお、この段階で再生不能と判断される場合(ステップS3でNo)には、光ディスクDに問題がある可能性が高いために、例えば再生中止とするようにしてもよい。再生中止の場合は、例えばエラー表示や光ディスクDのエジェクト等を行うようにしてもよい。また、この段階で再生不能と判断される場合に、即座に再生中止とせずに、例えば光ディスクDの判別や再生可能か否かの判断を再度行うようにしてもよい。
【0043】
光ディスクDの再生が可能であると判断された場合(ステップS3でYes)には、制御装置6はLDD12に発光パワーの設定値を初期設定値よりも所定量だけ下げるように指示する(ステップS4)。ここでいう所定量は、光ディスク装置1の設計段階で適宜決定すればよい。下げ幅が小さすぎると発光パワーの最適設定値を決定するために要する時間が長くなりすぎる。一方、下げ幅が大きすぎると、目的(再生可能であるという条件を満たしつつ、できるだけ発光パワーを小さくする)とする発光パワーの最適設定値が適切に得られない可能性がある。このような点を考慮して、上記所定量を決定する必要がある。
【0044】
発光パワーの設定値を下げると、制御装置6は光ディスクDの再生が不可能であるか否かを判断する処理を行う(ステップS5)。再生不能であるか否かの判断は、信号品質評価部65で再生信号の品質を評価可能とする指標(例えばRF信号の信号レベル、ジッタ、エラーレート等)を取得・評価することによって行えばよい。
【0045】
この段階で再生不能と判断された場合(ステップS5でYes)には、直前の発光パワーの設定値より発光パワーの設定値を下げるのは好ましくないと判断されるために、制御装置6は発光パワーの最適設定値が直前の発光パワーの設定値である(すなわち発光パワーの最適設定値が初期設定値である)と決定し、発光パワーの設定を直前の値に戻すようにLDD12に指示する(ステップS6)。
【0046】
一方、再生可能と判断された場合(ステップS5でNo)には、制御装置6はLDD12に発光パワーの設定値を更に所定量だけ下げるように指示する(ステップS7)。この場合の所定量はステップS4における所定量と同じでもよいが、場合によっては異ならせてもよい。発光パワーの設定値を更に下げた場合には、ステップS5に戻って再度、制御装置6は光ディスクDの再生が不可能であるか否かを判断する。再生可能と判断された場合には、更にステップS7とステップS5を繰り返すことになる。一方、再生不能と判断された場合は、制御装置6は直前の設定値を発光パワーの最適設定値と決定し、発光パワーの設定を直前の値に戻すようにLDD12に指示する。
【0047】
発光パワーの最適設定値が決定されて発光パワーが最適設定値に設定されると、次に制御装置6は、LDD12に重畳信号振幅の設定値を初期設定値よりも所定量だけ下げるように指示する(ステップS8)。ここでいう所定量は、光ディスク装置1の設計段階で適宜決定すればよい。下げ幅が小さすぎると重畳信号振幅の最適設定値を決定するために要する時間が長くなりすぎる。一方、下げ幅が大きすぎると、目的(再生可能であるという条件を満たしつつ、できるだけ重畳信号振幅を小さくする)とする重畳信号振幅の最適設定値が適切に得られない可能性がある。このような点を考慮して、上記所定量を決定する必要がある。
【0048】
重畳信号振幅の設定値を下げると、制御装置6は光ディスクDの再生が不可能であるか否かを判断する(ステップS9)。再生不能であるか否かの判断は、ステップS5と同様に行えばよい。この段階で再生不能と判断された場合(ステップS9でYes)には、直前の重畳信号振幅の設定値より重畳信号振幅の設定値を下げるのは好ましくないと判断されるために、制御装置6は重畳信号振幅の最適設定値が直前の重畳信号振幅の設定値である(すなわち重畳信号振幅の最適設定値が初期設定値である)と決定し、重畳信号振幅の設定を直前の値に戻すようにLDD12に指示する(ステップS10)。
【0049】
一方、再生可能と判断された場合(ステップS9でNo)には、制御装置6はLDD12に重畳信号振幅の設定値を更に所定量だけ下げるように指示する(ステップS11)。この場合の所定量はステップS8における所定量と同じでもよいが、場合によっては異ならせてもよい。重畳信号振幅の設定値を更に下げた場合には、ステップS9に戻って再度、制御装置6は光ディスクDの再生が不可能であるか否かを判断する。再生可能と判断された場合には、更にステップS11とステップS9を繰り返すことになる。一方、再生不能と判断された場合は、制御装置6は直前の設定値を重畳信号振幅の最適設定値と決定し、重畳信号振幅の設定を直前の値に戻すようにLDD12に指示する。
【0050】
以上のように、レーザ光源41の駆動条件に含まれる、発光パワーと重畳信号振幅の最適設定値を決定すると、その他の必要な調整(例えば対物レンズのチルト調整、可動レンズのレンズ位置調整等)を行って、制御装置6は光ディスクDの再生動作を開始する。なお、前述のその他の必要な調整は発光パワー及び重畳信号振幅の最適設定値を決定する前に行っても構わない。
【0051】
第1実施形態の光ディスク装置1は、光ディスクDを再生可能なレベルであることを条件として、発光パワー及び重畳信号振幅の設置値をできるだけ小さい値(最適設定値)に設定して、光ディスクの再生を行うようになっている。このために、発光パワーや重畳信号振幅が必要以上に大きく設定されて光ディスクDを劣化させる(例えば不要な記録を行ったり、記録情報を消去してしまったりする等)といった事態を抑制できる。また、重畳信号振幅をできるだけ小さく設定しているのでEMIを極力低減することが可能である。
【0052】
なお、以上の説明においては、光ディスクDを再生するにあたって、光ディスク装置1に光ディスクDが挿入されることを前提条件とした。しかし、光ディスクDが装置内に挿入されたまま電源がオフされ、その後、電源がオンされて光ディスクDの再生が行われる場合がある。このような場合においても、制御装置6によって装置内に挿入されている光ディスクDの種類が判別された後であって再生が開始されるまでの間に、発光パワー及び重畳信号振幅の最適設定値を上記と同様の手順で決定するようにしてもよい。
【0053】
ただし、再生までの時間を短縮する目的で、光ディスクDの出し入れがなかったと判断される場合には、発光パワー及び重畳信号振幅の最適設定値を決定する処理を省略し、先に(電源をオフする前)に決定した最適設定値を使用するようにしてもよい。この場合には、先に決定した最適設定値を後に読み出せるように、最適設定値を決定した段階で記憶部61にその値を記憶させておく等の処理が必要となる。また、光ディスクDの出し入れがあったか否かを確認できるように、例えば光ディスクDの出し入れ情報についても記憶部61に記憶させておく必要がある。
【0054】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の光ディスク装置の構成について説明する。第2実施形態の光ディスク装置は、大部分の構成が第1実施形態の光ディスク装置1と同様である。このために、第1実施形態の光ディスク装置1と異なる点に絞って説明する。説明にあたって、第1実施形態の光ディスク装置1と重複する部分については同一の符号を付して説明する。
【0055】
第1実施形態の光ディスク装置1では、発光パワー及び重畳信号振幅の最適設定値を一度決定すると、その後、決定した最適設定値を変更(修正)することはなかった。しかしながら、その後の使用(再生)等によって、先に最適設定値を決定した際と温度条件が異なる等の影響で、先に決定した重畳信号振幅の最適設定値が本来の最適設定値からずれて、再生信号の品質が劣化する場合がある。このような品質劣化を補正すべく、第2実施形態の光ディスク装置では、図4のような処理が行われる。
【0056】
図4は、第2実施形態の光ディスク装置の特徴的な構成を説明するためのフローチャートである。なお、発光パワーについては、APCによって制御するために、上述したような温度条件の変動に伴う最適設定値の補正は不要である。このため、第2実施形態の光ディスク装置では、重畳信号振幅の最適設定値についてのみ補正を行うことにしている。
【0057】
図4に示すように、第2実施形態の光ディスク装置では、光ディスクDの再生開始前に、発光パワー及び重畳信号振幅の最適設定値を一旦決定(この最適設定値の決定処理は第1実施形態の図3と同様である)した後に、所定時間が経過したか否かを監視する(ステップS21)。
【0058】
そして、所定時間を経過した場合には、制御装置6は、信号品質評価部65において再生信号の品質レベルが適切なレベルであるか否かを判断する(ステップS22)。再生信号の品質が適切なレベルであるか否かは、再生信号の品質を評価可能とする指標(例えばRF信号の信号レベル、ジッタ、エラーレート等)を取得・評価して判断される。より具体的には、例えば、記憶部61に予め閾値レベルを記憶させておき、取得した指標のレベルが閾値レベルより良好である場合には再生信号の品質が適切なレベルであると判断し、そうでない場合には再生信号の品質が適切なレベルでないと判断する。
【0059】
再生信号の品質レベルが適切であると判断した場合(ステップS22でYes)には、重畳信号振幅の最適設定値の補正は行わない。一方、再生信号の品質が適切なレベルでないと判断された場合(ステップS22でNo)には、制御装置6はLDD12に、重畳信号振幅の設定値を現在の設定値(先に最適設定値とされたもの)から所定量だけ上げるように指示する(ステップS23)。
【0060】
重畳信号振幅の設定値が上げられると、制御装置6は、再度、信号品質評価部65において再生信号の品質レベルが適切なレベルであるか否かを判断する(ステップS24)。再生信号の品質レベルが適切であると判断した場合(ステップS24でYes)には、重畳信号振幅の最適設定値は現在の設定値であると決定する(ステップS25)。すなわち、先に決定された重畳信号振幅の最適設定値を補正(変更)する。
【0061】
一方、再生信号の品質が適切なレベルでないと判断された場合(ステップS24でNo)には、制御装置6はLDD12に、重畳信号振幅の設定値を現在の設定値から更に所定量だけ上げるように指示する(ステップS26)。そして、再生信号の品質が適切なレベルであると判断されるまで、ステップS24及びステップS26を繰り返す。再生信号の品質が適切なレベルであると判断されると、その時点の設定値を最適設定値と決定し、先に決定された最適設定値の補正を行う。
【0062】
なお、本実施形態では、所定時間が経過した時点で1回のみ再生信号の品質が適切なレベルであるか否かを確認する構成としているが、複数回確認するように構成しても構わない。また、時間の経過によって重畳信号振幅の最適設定値を補正するか否かを判断するのではなく、光ディスク装置内の温度変化量を基準に重畳信号振幅の最適設定値を補正するか否かを判断するようにしても構わない。また、最初に重畳信号振幅の最適設定値を決定した後において、制御装置6によって再生信号の品質が適切なレベルであるか否かを監視するように構成し、適切なレベルでなくなった時点で適宜、重畳信号振幅の最適設定値を補正する構成としても構わない。
【0063】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の光ディスク装置の構成について説明する。第3実施形態の光ディスク装置は、大部分の構成が第1実施形態の光ディスク装置1と同様である。このために、第1実施形態の光ディスク装置1と異なる点に絞って説明する。説明にあたって、第1実施形態の光ディスク装置1と重複する部分については同一の符号を付して説明する。
【0064】
第1実施形態の光ディスク装置1では、発光パワー及び重畳信号振幅の最適設定値を決定する際に、発光パワー及び重畳信号振幅の設定を予め記憶部61に記憶される初期設定値とし、それを基準に最適設定値を決定する構成とした。この初期設定値は、その後に決定される最適設定値との差が大きいと再生までに要する時間が長くなってしまうために、最適設定値との差が小さいのが好ましい。このため、光ディスク装置の製造段階ではそのような値となるように初期設定値を決定している。しかしながら、製造ばらつきや使用状況等が原因となって、実際の使用時には初期設定値と最適設定値との差が大きく、最適設定値の決定までに時間を要し、ユーザが使い勝手が悪いと感じる場合を発生し得る。第3実施形態の光ディスク装置は、そのような問題点を解消できるように構成されている。
【0065】
図5は、第3実施形態の光ディスク装置の特徴的な構成を説明するためのフローチャートである。図5に示すように、第3実施形態の光ディスク装置では、光ディスクDの再生開始前に、発光パワー及び重畳信号振幅の最適設定値を決定すると(この決定処理は第1実施形態の図3と同様に行われる)、制御装置6は決定された最適設定値を記憶部61に記憶する処理を行う(ステップS31)。
【0066】
この際、制御装置6は、これまでに記憶部61に記憶された最適設定値の数(記憶数)が所定数以上であるか否かを確認する(ステップS32)。記憶部61への記憶数が予め定めた所定数より多い場合(ステップS32でYes)には、制御装置61はこれまでに記憶された最適設定値の平均を算出する処理を行う(ステップS33)。この平均値の算出は、発光パワー及び重畳信号振幅のそれぞれについて行われる。
【0067】
そして、制御装置6は、求めた平均値と初期設定値との差(絶対値として求められる)が所定の範囲外であるか否かを確認する処理を行う(ステップS34)。この確認処理は、発光パワー及び重畳信号振幅のそれぞれについて行われる。ここでは、所定の範囲外とは、絶対値として求められた差が、予め設定された所定の閾値以上であることを指す。また、所定の範囲内とは、所定の閾値よりも小さい場合を指す。
【0068】
求めた平均値と初期設定値との差が所定の範囲外である場合(ステップS34でYes)には、制御装置6は初期設定値を求めた平均値に変更する(更新する)処理を行う(ステップS35)。一方、求めた平均値と初期設定値との差が所定の範囲内である場合(ステップS34でNo)には、制御装置6は初期値の更新を行うことなく作業を終了する。
【0069】
なお、記憶部61への記憶数が予め定めた所定数より少ない場合(ステップS32でNo)には、初期値の更新を行うことなく作業を終了することとしている。これは、少数の実績のみで初期設定値の更新を行うと、却って初期設定値を最適設定値から大きくずれた値としてしまう可能性があるからである。
【0070】
以上のような過去の実績に基づく初期値の更新機能(学習機能)により、第3実施形態の光ディスク装置では、発光パワー及び重畳信号振幅の最適設定値を決定するまでに要する時間の短縮化が期待できる。
【0071】
(その他)
以上に示した実施形態は本発明の光ディスク装置の例示であり、本発明の光ディスク装置は以上に示した構成に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0072】
例えば、以上に示した実施形態では、光ディスクの再生を開始する前に発光パワー及び重畳信号振幅の最適設定値を決定する構成とした。しかしながら、発光パワー及び重畳信号振幅のうちいずれか一方についてのみ最適設定値の決定処理を行い、他方については固定値(いつも同じ条件)を使用するようにしても構わない。
【0073】
発光パワーについてのみ最適設定値の決定処理を行う場合について、図3のステップS1〜S6の処理を行うようにしてもよい。図6は、発光パワーについてのみ最適設定値を決定する処理が行われる場合の別例を示すフローチャートである。図6に示す構成においては、制御装置6は、光ディスク装置1に挿入された光ディスクDの種類に応じたレーザ駆動条件となるようにLDD12を制御してレーザ光源41を発光させる(ステップS41)。ここでは、発光パワーの初期設定値は、製造時の評価で得られた再生可能と再生不能の境界値よりやや小さくなるように設定されている。
【0074】
レーザ光源41が発光されると、制御装置6はサーボ制御を開始させ、光ディスクDの再生が可能か否かを判断する(ステップS42)。再生可能か否かの判断は、上述の場合と同様に、再生信号の品質を評価可能な指標を用いて判断すればよい。この段階で再生可能であれば、初期設定値を最適設定値として決定する(ステップS43)。一方、この段階で再生不能であれば、発光パワーの設定値を所定量だけ上げ(ステップS44)、再度再生可能か否かを判断する(ステップS42に戻る)。再生可能となるまでこのフローを繰り返し、再生可能となった時点の設定値を最適設定値に決定する。なお、この構成の場合には、発光パワーの設定値の上限を決めておき、この上限を超えないように最適設定値の決定処理を行うのが好ましい。
【0075】
重畳信号振幅についてのみ最適設定値の決定処理を行う場合について、図3のステップS1〜S3、及びステップS3に引き続いて行われるステップS6〜S10の処理を行うようにしてもよい。図7は、重畳信号振幅についてのみ最適設定値を決定する処理が行われる場合の別例を示すフローチャートである。図7に示す構成においては、制御装置6は、光ディスク装置1に挿入された光ディスクDの種類に応じたレーザ駆動条件となるようにLDD12を制御してレーザ光源41を発光させる(ステップS51)。ここでは、重畳信号振幅の初期設定値はゼロとなっている。
【0076】
レーザ光源41が発光されると、制御装置6はサーボ制御を開始させ、光ディスクDの再生が可能か否かを判断する(ステップS52)。再生可能か否かの判断は、上述の場合と同様に、再生信号の品質を評価可能な指標を用いて判断すればよい。この段階で再生可能であれば、初期設定値を最適設定値として決定する(ステップS53)。一方、この段階で再生不能であれば、重畳信号振幅の設定値を所定量だけ上げ(ステップS54)、再度再生可能か否かを判断する(ステップS52に戻る)。再生可能となるまでこのフローを繰り返し、再生可能となった時点の設定値を最適設定値に決定する。なお、この構成の場合には、重畳信号振幅の設定値の上限を決めておき、この上限を超えないように最適設定値の決定処理を行うのが好ましい。
【0077】
なお、重畳信号振幅についてのみ最適設定値の決定処理を行う構成の場合においても、第2実施形態の場合と同様に、一旦決定した最適設定値を補正する構成を採用しても構わない。
【0078】
また、以上においては、光ディスク装置が再生専用である場合を示したが、本発明は、再生及び記録を行える光ディスク装置にも適用可能である。また、本発明の光ディスク装置によって再生可能な光ディスクの種類は特に限定されるものではない。更に、本発明の光ディスク装置は、複数種類の光ディスクに対応可能であるものであっても、1種類の光ディスクのみに対応するものであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、例えば光ディスクプレーヤーや光ディスクレコーダー等に適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 光ディスク装置
4 光ピックアップ
6 制御装置(制御部)
12 レーザ駆動回路・LDD(レーザ駆動部)
41 レーザ光源
43 受光部
61 記憶部
D 光ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源から出射されたレーザ光を光ディスクに照射するとともに、該光ディスクで反射された戻り光を受光部で受光する光ピックアップと、
前記レーザ光源の駆動条件を調整して前記レーザ光源を駆動するレーザ駆動部と、
前記レーザ駆動部を制御する制御部と、を備える光ディスク装置において、
前記レーザ駆動部で設定変更可能な駆動条件には、前記レーザ光源の発光パワーと、前記レーザ光源を発光させるレーザ駆動信号に重畳される高周波信号である重畳信号の振幅とのうち、少なくともいずれか一方が含まれ、
前記制御部は、再生信号の品質を評価可能な指標を取得できるように設けられるとともに、光ディスクの再生を開始する前に、前記発光パワーと前記重畳信号の振幅とのうち、少なくともいずれか一方の最適設定値を決定するように設けられ、
前記再生信号の品質を評価可能な指標は、前記受光部から出力される信号を処理して得られ、
前記最適設定値は、前記再生信号の品質を評価可能な指標に基づいて再生可能と判断されることを条件として、できるだけ小さな値となるように決定されることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記制御部は、光ディスクの判別処理を行った後に前記最適設定値を決定する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記レーザ駆動部で設定変更可能な駆動条件には、前記発光パワーと前記重畳信号の振幅との両方が含まれ、
前記制御部は、前記発光パワーの前記最適設定値を決定した後に、前記重畳信号の振幅の前記最適設定値を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記レーザ駆動部で設定変更可能な駆動条件には前記重畳信号の振幅が含まれ、
前記制御部は、前記重畳信号の振幅の前記最適設定値を決定するように設けられるとともに、前記重畳信号の振幅の前記最適設定値を決定した後に、前記再生信号の品質を評価可能な指標を確認して、この確認結果に基づいて先に決定した前記重畳信号の振幅の前記最適設定値を変更する場合があることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記制御部は、光ディスクの出し入れがあったか否かを判断し、光ディスクの出し入れがあったと判断した場合に前記最適設定値の決定処理を行い、前記光ディスクの出し入れがなかったと判断した場合には前記最適設定値の決定処理を行わないことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記発光パワーと前記重畳信号の振幅との各初期設定値を記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、前記初期設定値を基準に前記最適設定値を決定し、前記最適設定値を決定する毎にその値を前記記憶部に記憶するように設けられるとともに、記憶した複数の前記最適設定値に基づいて、前記発光パワーの初期設定値と前記重畳信号の振幅の初期設定値とのうちの少なくともいずれか一方を更新する場合があることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−22748(P2012−22748A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160330(P2010−160330)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】