光デバイス
【課題】光ファイバ等の光出入射手段への迷光の侵入を防ぎ、反射減衰特性に優れた光デバイスを実現する。
【解決手段】少なくとも一部に壁面31を有する自由空間と、自由空間に向けて光ビームを出射する1以上の光出射手段と、当該自由空間を経て到達した光ビームが入射する1以上の光入射手段とを有する光デバイスの壁面31のいずれかの個所に、その個所を照射する不要光52が自由空間内に向けて反射されることを防ぐ終端導波路70などの反射防止手段を設ける。
【解決手段】少なくとも一部に壁面31を有する自由空間と、自由空間に向けて光ビームを出射する1以上の光出射手段と、当該自由空間を経て到達した光ビームが入射する1以上の光入射手段とを有する光デバイスの壁面31のいずれかの個所に、その個所を照射する不要光52が自由空間内に向けて反射されることを防ぐ終端導波路70などの反射防止手段を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は互いに光結合される1以上の光出射手段と1以上の光入射手段とを有する光デバイスに関する。より詳しくは、光デバイス内での迷光の発生を防ぐ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光デバイスは基板として例えばシリコン基板を用い、エッチング等の手法によって所要の要素を基板上に形成し、その基板上に光ファイバなどの光導波手段を設置することによって構成され、特許文献1や特許文献2にはこのようにして構成された光デバイスが記載されている。
特許文献1の図1乃至3に記載されている光デバイスは2×2型の光スイッチであって、光ファイバが設置される4本の溝が十字状をなすように基板上に形成され、それら4本の溝が交差する交差部に可動ロッドの先端に設けられた可動ミラーが位置され、可動ロッドは4本のヒンジによって可動自在に支持されると共に、その中間部分に構成された櫛歯型静電アクチュエータによって駆動されるものとなっており、可動ミラーの交差部への挿抜によって4本の溝にそれぞれ設置された光ファイバ間の光路(光結合)が切り換えられるものとなっている。
【0003】
一方、特許文献2の図14及び15にも特許文献1と同様、2×2型の光スイッチをなす光デバイスが記載されており、基板上に十字状をなすように形成された4本の溝にそれぞれ光ファイバが設置され、それら4本の溝の交差部に可動ミラーが挿抜されることによって光路が切り換えられるものとなっている。
なお、これら特許文献1及び2に記載された光デバイスのいずれにおいても光ファイバの先端には光軸に対して斜めに研磨されてなる傾斜端面が形成されており、これにより光ファイバ端面での反射減衰量を大きくし、光源への影響や信号品質の劣化などを防いでいる。
【特許文献1】特開2005−37885号公報
【特許文献2】特開2005−164886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1や特許文献2に記載されている光デバイスではミラーが挿抜される空間は光ファイバ設置用の4本の溝の交差部であり、光ファイバが設置された状態ではこの空間は光ファイバの先端面及び基板板面に対して垂直な基板の側壁面によって囲まれた空間となる。
一方、光ファイバはその光軸が基板板面と平行されて溝に設置されており、先端の傾斜端面は基板板面とは垂直とされている。従って、光ファイバの先端面から出射する出射光の光軸は基板板面と平行な平面内に位置するものとなっている。
【0005】
このような状態で光ファイバから光が光デバイス内の空間に出射された場合、相手方の光ファイバに結合しなかった光のうち特に光路中に構成される何らかの界面(光路中に設けられるミラーや光フィルタなどの素子の面、その他相手方の光ファイバ自身の端面などを含む)で反射した光が、空間を囲む基板板面と垂直な面によって反射されて基板板面と平行な一平面内において多重反射を繰り返すことになり、最終的に出射元の光ファイバに帰還、再結合して十分な反射減衰量が得られなくなる。
特に、特許文献1や特許文献2に記載されている光デバイスのように、光が伝播する空間内に基板板面に垂直なミラー面が存在する場合には、その反射率の高さから、このような迷光による反射減衰特性の劣化は重大な問題となる。
【0006】
さらに、例えば光が伝播する空間内にミラー面を具備する光デバイスをMEMS(Micro Electro Mechanical System)として構成し、ミラー基体の表面に金属膜(反射膜)をスパッタ等で成膜してミラー面を形成するような場合、一般にメカマスクを使用してスパッタが行われるが、その際ミラー面を形成する面にのみ厳密に成膜を行うことは難しく、通常は周囲にも成膜が及び、よってミラー面が位置する空間の側壁面等にも金属膜が形成されてしまうといった状況が生じ、このような場合には反射減衰特性の劣化はさらに重大な問題となる。
【0007】
この発明の目的はこのような問題に鑑み、光ファイバ等の光出入射手段への迷光の侵入を防ぎ、反射減衰特性に優れた光デバイスを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光デバイスは、少なくとも一部に壁面を有する自由空間と、自由空間に向けて光ビームを出射する1以上の光出射手段と、当該自由空間を経て到達した光ビームが入射する1以上の光入射手段と、当該壁面のいずれかの個所にその個所を照射する光ビームが当該自由空間内に向けて反射されることを防ぐ反射防止手段とから構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、迷光をデバイスの外部へ導き又は吸収させて効果的に除去することができるため、光ファイバ等の光出入射手段への迷光の侵入を防ぐことができ、よって反射減衰特性や光雑音の低減に優れた光デバイスを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
光デバイス内において、光ビームが伝搬する自由空間が設けられており、その光路中にミラーや光フィルタなどの素子の面が存在してその面での反射光が利用されない光となる場合、その他その自由空間を囲む壁面や、さらにその光ビームが入射結合する光ファイバ等の光入射手段の端面などの何らかの界面で不要な散乱光を生じる場合に、これらが迷光となって光デバイス内を伝搬したり、光ビームを出入力する光出入射手段に再結合して雑音の原因となることが多い。また、特に光出射手段からの光ビームが利用されない状態で高反射率の面に直接照射される形態などでは、その光が壁面などでの1回以上の反射を経て光出射手段自身に戻り、光デバイスの反射減衰特性劣化の大きな原因となり得る。そこで本発明では、そのような不要な反射光が特に集中的に照射する壁面の個所や、迷光として伝搬する過程で照射・反射すると考えられる壁面の個所に、その不要な光を処理する反射防止手段を設けた光デバイスの構成を開示する。これにより、当該個所を照射する不要な光が自由空間に向けて反射されなくなり、よって迷光の伝搬や光出入射手段への混入、特に反射減衰特性の劣化などを防ぐことができる。反射防止手段の実現方法としては、(1)不要光が照射する個所の壁面を取り除いた開口部分に終端導波路を形成する、(2)光吸収部材を適用する、(3)不要光が照射する個所の壁面を傾斜させて反射させることで自由空間から放出する等の方法が考えられる。そこで、以下これらの反射防止手段を具体的に実現する光デバイスのいくつかの実施形態を説明し(光デバイスの全体構成は、本発明の反射防止手段を適用できるものならどのようなものでもよいため、具体的な図示は省略する)、続いて、これらの実施形態の構成を既存の光デバイスに応用する実施形態を光デバイスの全体構成例とともに説明する。
【0011】
なお、ここでいう自由空間とは境界条件や有意な屈折率分布が無い空間を意味し、例えば屈折率整合剤が充填されていても構わない。また、光出射手段・光入射手段は、光ファイバその他の光伝送媒体のほか、半導体チップなどでなる光を供給・受光する各種素子、光変調器などであってもよい。
第1実施形態〜第3実施形態の反射防止手段を設ける光デバイスが基板上に形成され、光出射手段と光入射手段とが基板の同一高さに設置されて光ビームが自由空間内を基板に平行に伝播し、さらにその自由空間を基板の板面に垂直な側壁面が囲っている場合には、光出射手段から出射される光ビームから派生した不要光は光ビーム及び光出入射手段と同じ高さで側壁面での反射を繰り返すこととなるため、これがいずれ光出入射手段と再結合して反射減衰を劣化させたり、雑音を発生させたりする可能性が顕著に高くなる。そこでこのような場合には、反射防止手段を側壁面の光ビームが伝播する高さと同じ高さを含む個所に設けることで、不要光の上記繰り返し反射の何れかの過程でこれを捉えて除去することができる。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1に反射防止手段60として、不要光52が照射する個所の壁面31を取り除いた開口部71に終端導波路70を形成する構成例を示す。この構成においては、開口部71から入射した不要光52は終端導波路70の内壁面で入射光の一部が透過又は吸収され残余が反射する反射を繰り返すことにより除去される。
【0013】
終端導波路70は、テーパ空洞部72と終端空洞部73とから構成される。
テーパ空洞部72は、開口部分71(例えば幅115μm)を一端とし、直線状の中心軸74を中心に他端に向けて狭幅化するテーパ状の空洞であり、他端は開口部分71より小幅(例えば60μm)ではあるが一端と同様、開口している。中心軸74は、不要光52の入射光軸に対し若干の傾き(例えば10°)を持たせることが望ましい。これは、傾きが全く無い状態では反射防止性能が劣化する場合があるためである。従って、例えば垂直彫りのエッチングで作製することが可能である。終端空洞部73は、テーパ空洞部72の他端に接続され、内壁面がテーパ空洞部72の中心軸74に垂直な接平面を有しない形状となっており、例えば図1のような円弧(例えばφ1=200μm、φ2=100μm)を組み合わせた形状等を選びうる。このように内壁面の形状を、中心軸74と垂直な接平面を有しない形状とすることで、終端導波路70に入射した不要光52は内壁面で反射しても自由空間40にはほとんど戻らない一方、終端空洞部73の内壁面での反射を繰り返すうちに減衰し、やがて消失する。このような、空洞を利用して不要光を処理する方法は、例えば垂直入射で反射率70%以下となる内壁面により構成することで良好な効果が得られる。シリコン材料により実現する場合、波長1.5μmの信号光が垂直入射した場合の反射率は約30%である。ちなみに、本発明でいう空洞は、必ずしも全面が囲まれている必要は無く、上面が開放されていても構わないため、垂直彫りのエッチングによる作製には好適である。
【0014】
なお、開口部71に直接、終端空洞部73を接続しても、原理的にはほぼ同様な効果を奏しうる。しかし、例えば光スイッチに本発明を適用する場合、光スイッチを作製時に可動ミラーに高反射材料(Au)を蒸着する際に用いるメカマスクの開口径が通常、直径600μm程度あるため、開口部71に直接終端空洞部73を接続してしまうと反射材料が終端空洞部73の内壁にも蒸着し、不要光52が自由空間40に反射してしまう恐れがある。そこで、本発明ではテーパ空洞部72(例えば長さ600μm)を開口部71と終端空洞部73との間に設けることで、終端空洞部73の内壁面にAuの蒸着が及ばないようにしている。もっとも、このような理由からテーパ空洞部72の長さは反射材料が飛散蒸着する可能性がある距離を勘案してより短くすることも可能であり、場合によっては省いても構わない。
【0015】
以上のように、本発明によれば不要光を減衰・消失させることにより迷光の発生あるいは伝搬を防ぐことができ、光ファイバ等の光出入射手段への迷光の侵入を防ぐことができるため、光雑音を低減したり、反射減衰特性に優れた光デバイスを実現することができる。
終端導波路70は、上記の構成以外に下記の変形例のように構成することも可能であるため、あわせて説明する。
【0016】
<変形例1>
図2は終端導波路70の第1の変形例であり、テーパ空洞部72とらせん状テーパ終端部75とから構成される。テーパ空洞部72は、開口部71を一端とし、不要光52のビームの中心軸と一致する直線状の中心軸74を中心に他端に向けて狭幅化するテーパ状の空洞で、形状及び存在意義は図1と同じである。らせん状テーパ空洞部75は、テーパ空洞部72の他端に一端が接続され、他端に向けてらせん状に狭幅化するテーパ状の空洞である(例えば、外周φ3=300μm〜φ4=150μmまでの1.25周で幅が0に至る)。このように、らせん状かつテーパ状の空洞を末端部に設けることで、空洞内での反射回数を増やすことができ、終端導波路70に入射した不要光52を効果的に減衰・消失させることができる。
【0017】
<変形例2>
図3は終端導波路70の第2の変形例であり、テーパ空洞部72と終端部76とから構成される。テーパ空洞部72は、開口部分71を一端とし、不要光52のビームの中心軸と一致する直線状の中心軸74を中心に他端に向けて狭幅化するテーパ状の空洞で、形状及び存在意義は図1と同じである。終端部76は、テーパ空洞部72の他端に接続される光吸収部材で、例えば炭素を分散させた黒色の樹脂材料などを用いることができる。このように、光吸収部材を末端部に設けることによっても終端導波路70に入射した不要光52を減衰・消失させることができる。
【0018】
<変形例3>
図4は終端導波路70の第3の変形例であり、テーパ空洞部72と放出部77とから構成される。図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図である。テーパ空洞部72は、開口部分71を一端とし、不要光52のビームの中心軸と一致する直線状の中心軸74を中心に他端に向けて狭幅化するテーパ状の空洞で、形状及び存在意義は図1と同じである。放出部77は、テーパ空洞部72の他端に接続され、不要光52が反射することで光デバイス2の外部に直接放出されるように不要光52との間で所定の角度をなす放出反射面78を備える。例えば基板がシリコン単結晶の(100)面を板面とするいわゆる(100)基板であり、不要光52がその板面32に平行に終端導波路70に入射する場合には、シリコン単結晶基板の(111)面で放出反射面78を構成して不要光52と放出反射面78とがなす角度θを結晶面に従う54.7°にすることで不要光52は上方に放出される。このように、放出反射面を末端部に設けることによって不要光52をデバイス2の外部に直接放出することができるが、特に放出の角度をこのように板面32に対し非直角にすると、放出後の外部に更に何らかの板面32に平行な光反射面が存在しても、そこで反射した光が光路を逆に辿って戻る可能性をなくすることができる。
【0019】
〔第2実施形態〕
図5に反射防止手段60として、不要光52が照射する個所の壁面31に光吸収部材61を適用する構成例を示す。光吸収部材61としては、例えば第1実施形態の変形例3と同様、炭素を分散させた黒色の樹脂材料などを用いることができる。このように、光吸収部材61を壁面31に設けることによっても不要光52を減衰・消失させることができる。
なお、第1実施形態と同様、当該光デバイスを基板上に形成する場合には、反射防止手段60を側壁面の、光ビーム50が伝播する高さと同じ高さを含む個所に設けるとよい。
【0020】
〔第3実施形態〕
図6に、反射防止手段60を、不要光52が照射する個所の壁面31を傾斜させることにより構成する例を示す。図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)のA−A断面図である。壁面31を傾斜させて形成した傾斜側壁面62は、不要光52が傾斜側壁面62で反射することで、自由空間40の外部に直接放出されるように不要光52との間で所定の角度をなす。例えば不要光52が、基板の板面32に平行に傾斜側壁面62に入射する場合には、不要光52と傾斜側壁面62とがなす角度θを例えば第1実施形態と同様にシリコンの(111)面を用いて54.7°にすることで不要光52は非直角な上方に放出される。このように、不要光52が照射する個所に傾斜側壁面62を設けることによって不要光52を自由空間40の外部に直接放出することができる。
【0021】
〔第4実施形態〕
第1〜第3実施形態では、反射防止手段60のさまざまな実現例を説明したが、第4実施形態以降は、この反射防止手段60を既存の光デバイスに応用する実施形態を説明する。第4実施形態以降の実施形態は、自由空間内40を伝搬する光ビーム50の光路に光反射面80が常時または駆動により挿入され、反射防止手段60は、挿入された光反射面80による反射光が直接照射される個所に設けられるという点において共通する。光反射面は例えば、光路中に設置される何らかの部品の透明媒体の界面や透過光成分を利用するための光フィルタの表面等のように、固定され常時光路内に存在するものであっても、アクチュエータ等で駆動されて光路の内外に挿抜される遮蔽板や光学部品の界面であってもよく、あるいは駆動されて変位するが、その位置がすべて光路内にあることによって結局は常時光路内に挿入されているような光反射面でもよい。
【0022】
第4実施形態の発明は、本出願の出願者による未公開の特願2007−104564号に開示された発明に反射防止手段60を応用するものである。特願2007−104564号に開示された発明に基づく光デバイス300を図7を参照しながら簡単に説明する。光デバイス300は、自由空間40、光出射手段10である第1光出射手段11と第2光出射手段12、光入射手段20、第1反射体33、第2反射体34、及び遮光体81とから構成される。また、第1反射体33及び第2反射体34はそれぞれミラー面を有し、遮光体81は第1反射体33に固設され光反射面80を有する。動作原理は次のとおりである。光デバイス300は、第1反射体33を駆動することにより、光入射手段20に対する第1反射体33の相対配置を第1の配置とする第1配置状態あるいは第2の配置とする第2配置状態の2つの状態にスイッチングすることができる。第1配置状態では、図7(a)に示すように、第1光出射手段11からの光ビーム50が第1反射体33のミラー面での反射を経て光入射手段20に入射結合される一方、第2光出射手段12からの光ビーム53が遮光体81の光反射面80aでの反射を経て、壁面31aに照射される。一方、第2配置状態では、図7(b)に示すように、第2光出射手段12からの光ビーム53が第2反射体34のミラー面での反射を経て光入射手段20に入射結合される一方、第1光出射手段11からの光ビーム50が遮光体81の光反射面80b(光反射面80aの裏側)での反射を経て壁面31bに照射される。
【0023】
光デバイス300の上記構成は、遮光体81を備えることにより、第1配置状態においては第1光出射手段11からの光ビームのみが光入射手段20で受光され、一方第2配置状態においては第2光出射手段12からの光ビームのみが光入射手段20で受光されるようにすることを意図したものである。しかし、第1配置状態においては第2光出射手段12からの光ビームを遮光体81で反射し、一方第2配置状態においては第1光出射手段11が遮光体81で反射することで一応上記の意図に適う構成を実現してはいるものの、実際のところ、これら遮光体81で反射された不要光52は更に壁面31a、31bで反射され、以降自由空間40から消失するまで反射を繰り返すことになるため、迷光として光ファイバ等の光出入射手段、特に第1光出射手段11、第2光出射手段12の各々へ侵入し、反射減衰特性等を悪化させる原因となりうる。
【0024】
そこで、遮光体81で反射された不要光52が壁面31を照射する個所に図8に示すように反射防止手段60を適用することで、不要光52を自由空間40から排除し、迷光の発生を防ぐことができる。図7の従来構成と図8の本発明の構成で反射減衰量を比較したところ、第1光出射手段11からの光入力についての反射減衰量が、従来構成では10.2dBであったところ本発明の構成では43.0dBに、第2光出射手段12からの光入力についての反射減衰量が、18.7dBから47.3dBにそれぞれ大幅に向上している。
【0025】
なお、反射防止手段60を適用する壁面31は、不要光52が照射される個所であれば基本的にいずれの個所でも効果を得ることができるが、遮光体81で反射された後最初に(直接)照射される個所に適用するのが最も有効である。また、図8の光デバイス3では、反射防止手段60として図1に示す終端導波路70を適用した構成を例示しているが、第1〜第3実施形態で示したいずれの構成を適用しても構わない。
【0026】
〔第5実施形態〕
第5実施形態の発明は、本出願の出願者による未公開の特願2006−155895号に開示された発明に反射防止手段60を応用するものである。特願2006−155895号に開示された発明に基づく光デバイス400を図9を参照しながら簡単に説明する。光デバイス400は、自由空間40、光出射手段10、光入射手段である第1光入射手段21と第2光入射手段22、反射体35、及び反射体35に固設される阻止部82から構成される。また、反射体35は、ミラー面を有し、光出射手段10からの光ビームの光路上の所定の切り替え位置に挿抜駆動される。更に、阻止部82は、反射体35の所定の切り替え位置から抜出された時に後端となる部分に固設され、光出射手段10からの光ビーム50を透過せず、かつ光出射手段10からの光ビーム50のうちその阻止部82に照射された分を反射し、かつその反射光が第1光入射手段21に到達することを阻止する。
【0027】
次に、動作原理を説明する。光デバイス400は、反射体35を駆動して、反射体35が前記所定の切り替え位置に挿入された第1状態あるいは反射体35が前記所定の切り替え位置から抜出された第2状態の2つの状態にスイッチングすることができる。第1状態においては、図9(a)に示すように、光出射手段10からの光ビーム50は、反射体35のミラー面での反射を経て第1光入射手段21に入射するとともに、一部の光は阻止部82の光反射面80cにより反射され不要光として壁面31cに照射される。一方、第2状態においては、図9(b)に示すように、光出射手段10からの光ビーム50は、第2光入射手段22に入射するとともに、一部の光は阻止部82の光反射面80cにより反射され不要光として壁面31cに照射される。
【0028】
光デバイス400の上記構成は、阻止部82を備えることにより、特に第2状態において第1光入射手段21へのクロストークを防ぎながら反射体35を光ビーム50の径の周縁位置に残留させることを可能とし、すなわち阻止部82の寸法分だけ反射体35の抜出量を節減して、第1、第2のいずれの状態においても所望のレベルの光損失とクロストークとを確保しながらスイッチングに必要な反射体35の駆動ストロークを従来よりも小さくできるように構成されたものである。
しかし、第1状態において阻止部82で反射された光出射手段10からの光ビームは不要光52として壁面31cに到達し、また、第2状態において阻止部82で反射された光出射手段10からの光ビームも不要光52として壁面31cに到達する。そしてこれらの不要光52は、壁面31cで反射され、以降自由空間40から消失するまで反射を繰り返すことになるため、迷光として光ファイバ等の光出入射手段、特に光出射手段10へ侵入し、反射減衰特性等を悪化させる原因となりうる。
【0029】
そこで、阻止部82で反射された不要光52が照射する壁面31cの個所に図10に示すように反射防止手段60を適用することで、不要光52を自由空間40から排除し、迷光の発生を防ぐことができる。なお、反射防止手段60を適用する壁面の個所は、不要光52が照射される個所であれば基本的にいずれの個所でも効果を得ることができるが、阻止部82で反射された後最初に(直接)照射される個所に適用するのが最も有効である。また、図10の光デバイス4では、反射防止手段60として図5に示す光吸収部材61を適用した構成を例示しているが、第1〜第3実施形態で示したいずれの構成を適用しても構わない。
【0030】
〔第6実施形態〕
第6実施形態の発明は、図11に例示するような光出射手段10と光入射手段20との間の自由空間40に光フィルタ83が挿入された既存の光デバイス500に対して、図12に示すように反射防止手段60を適用して光デバイス5を構成したものである。
【0031】
光デバイス500において、光出射手段10から自由空間40に出射された光ビーム50は光フィルタ83に到達すると、通常は大部分は透過され光入射手段20に到達するが、一部は反射され不要光52として壁面31dに照射される。このような場合、光フィルタ83の表面は光反射面80dとしても機能していると言える。そして、壁面31に照射された不要光52は、壁面31dで反射されるだけでなく、以降自由空間40から消失するまで反射を繰り返すことになるため、迷光として光ファイバ等の光出入射手段、特に光出射手段10へ侵入し、反射減衰特性等を悪化させる原因となりうる。そこで、光フィルタ83(光反射面80d)で反射された不要光52が壁面31を照射する個所に図12に示すように反射防止手段60を適用することで、不要光52を自由空間40から排除し、迷光の発生を防ぐことができる。なお、反射防止手段60を適用する壁面の個所は、不要光52が照射される個所であれば基本的にいずれの個所でも効果を得ることができるが、光フィルタ83(光反射面80d)で反射された後最初に(直接)照射される個所に適用するのが最も有効である。また、図12の光デバイス5では、反射防止手段60として図5に示す光吸収部材61を適用した構成を例示しているが、第1〜第3実施形態で示したいずれの構成を適用しても構わない。
【0032】
<変形例>
光出射手段10と光入射手段20との間の自由空間40に光フィルタ83を挿入する代わりに、図13に例示するような遮光駆動体84が挿入された既存の光デバイス600に対しても、図14に示すように反射防止手段60を適用して光デバイス6を構成することにより、光フィルタ83の場合と同様に迷光の発生を防ぐことができる。ここで、遮光駆動体とは、例えば二値的に挿抜駆動するオン・オフ型の光スイッチや、多値的(連続的を含む)に挿抜駆動する可変光減衰器などを意味する。なお、反射防止手段60を適用する壁面の個所は、不要光52が照射される個所であれば基本的にいずれの個所でも効果を得ることができるが、遮光駆動体84(光反射面80e)で反射された後最初に(直接)照射される個所に適用するのが最も有効である。また、図14の光デバイス6では、反射防止手段60として図5に示す光吸収部材61を適用した構成を例示しているが、第1〜第3実施形態で示したいずれの構成を適用しても構わない。
〔作製方法〕
本発明の光デバイスの作製方法は、特許文献1、2等の物品と同様に、SOI基板のDeep−RIEで行うことを好適形態とする。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の適用は、反射に敏感な光学素子と接続される光デバイスにおいて特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の光デバイスの第1実施形態の構成例を示す図。
【図2】本発明の光デバイスの第1実施形態の変形例1の構成例を示す図。
【図3】本発明の光デバイスの第1実施形態の変形例2の構成例を示す図。
【図4】本発明の光デバイスの第1実施形態の変形例3の構成例を示す図。
【図5】本発明の光デバイスの第2実施形態の構成例を示す図。
【図6】本発明の光デバイスの第3実施形態の構成例を示す図。
【図7】本発明の光デバイスの第4実施形態が基礎とする構成を示す図。
【図8】本発明の光デバイスの第4実施形態の構成例を示す図。
【図9】本発明の光デバイスの第5実施形態が基礎とする構成を示す図。
【図10】本発明の光デバイスの第5実施形態の構成例を示す図。
【図11】本発明の光デバイスの第6実施形態が基礎とする構成を示す図。
【図12】本発明の光デバイスの第6実施形態の構成例を示す図。
【図13】本発明の光デバイスの第6実施形態の変形例が基礎とする構成を示す図。
【図14】本発明の光デバイスの第6実施形態の変形例の構成例を示す図。
【技術分野】
【0001】
この発明は互いに光結合される1以上の光出射手段と1以上の光入射手段とを有する光デバイスに関する。より詳しくは、光デバイス内での迷光の発生を防ぐ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光デバイスは基板として例えばシリコン基板を用い、エッチング等の手法によって所要の要素を基板上に形成し、その基板上に光ファイバなどの光導波手段を設置することによって構成され、特許文献1や特許文献2にはこのようにして構成された光デバイスが記載されている。
特許文献1の図1乃至3に記載されている光デバイスは2×2型の光スイッチであって、光ファイバが設置される4本の溝が十字状をなすように基板上に形成され、それら4本の溝が交差する交差部に可動ロッドの先端に設けられた可動ミラーが位置され、可動ロッドは4本のヒンジによって可動自在に支持されると共に、その中間部分に構成された櫛歯型静電アクチュエータによって駆動されるものとなっており、可動ミラーの交差部への挿抜によって4本の溝にそれぞれ設置された光ファイバ間の光路(光結合)が切り換えられるものとなっている。
【0003】
一方、特許文献2の図14及び15にも特許文献1と同様、2×2型の光スイッチをなす光デバイスが記載されており、基板上に十字状をなすように形成された4本の溝にそれぞれ光ファイバが設置され、それら4本の溝の交差部に可動ミラーが挿抜されることによって光路が切り換えられるものとなっている。
なお、これら特許文献1及び2に記載された光デバイスのいずれにおいても光ファイバの先端には光軸に対して斜めに研磨されてなる傾斜端面が形成されており、これにより光ファイバ端面での反射減衰量を大きくし、光源への影響や信号品質の劣化などを防いでいる。
【特許文献1】特開2005−37885号公報
【特許文献2】特開2005−164886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1や特許文献2に記載されている光デバイスではミラーが挿抜される空間は光ファイバ設置用の4本の溝の交差部であり、光ファイバが設置された状態ではこの空間は光ファイバの先端面及び基板板面に対して垂直な基板の側壁面によって囲まれた空間となる。
一方、光ファイバはその光軸が基板板面と平行されて溝に設置されており、先端の傾斜端面は基板板面とは垂直とされている。従って、光ファイバの先端面から出射する出射光の光軸は基板板面と平行な平面内に位置するものとなっている。
【0005】
このような状態で光ファイバから光が光デバイス内の空間に出射された場合、相手方の光ファイバに結合しなかった光のうち特に光路中に構成される何らかの界面(光路中に設けられるミラーや光フィルタなどの素子の面、その他相手方の光ファイバ自身の端面などを含む)で反射した光が、空間を囲む基板板面と垂直な面によって反射されて基板板面と平行な一平面内において多重反射を繰り返すことになり、最終的に出射元の光ファイバに帰還、再結合して十分な反射減衰量が得られなくなる。
特に、特許文献1や特許文献2に記載されている光デバイスのように、光が伝播する空間内に基板板面に垂直なミラー面が存在する場合には、その反射率の高さから、このような迷光による反射減衰特性の劣化は重大な問題となる。
【0006】
さらに、例えば光が伝播する空間内にミラー面を具備する光デバイスをMEMS(Micro Electro Mechanical System)として構成し、ミラー基体の表面に金属膜(反射膜)をスパッタ等で成膜してミラー面を形成するような場合、一般にメカマスクを使用してスパッタが行われるが、その際ミラー面を形成する面にのみ厳密に成膜を行うことは難しく、通常は周囲にも成膜が及び、よってミラー面が位置する空間の側壁面等にも金属膜が形成されてしまうといった状況が生じ、このような場合には反射減衰特性の劣化はさらに重大な問題となる。
【0007】
この発明の目的はこのような問題に鑑み、光ファイバ等の光出入射手段への迷光の侵入を防ぎ、反射減衰特性に優れた光デバイスを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光デバイスは、少なくとも一部に壁面を有する自由空間と、自由空間に向けて光ビームを出射する1以上の光出射手段と、当該自由空間を経て到達した光ビームが入射する1以上の光入射手段と、当該壁面のいずれかの個所にその個所を照射する光ビームが当該自由空間内に向けて反射されることを防ぐ反射防止手段とから構成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、迷光をデバイスの外部へ導き又は吸収させて効果的に除去することができるため、光ファイバ等の光出入射手段への迷光の侵入を防ぐことができ、よって反射減衰特性や光雑音の低減に優れた光デバイスを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
光デバイス内において、光ビームが伝搬する自由空間が設けられており、その光路中にミラーや光フィルタなどの素子の面が存在してその面での反射光が利用されない光となる場合、その他その自由空間を囲む壁面や、さらにその光ビームが入射結合する光ファイバ等の光入射手段の端面などの何らかの界面で不要な散乱光を生じる場合に、これらが迷光となって光デバイス内を伝搬したり、光ビームを出入力する光出入射手段に再結合して雑音の原因となることが多い。また、特に光出射手段からの光ビームが利用されない状態で高反射率の面に直接照射される形態などでは、その光が壁面などでの1回以上の反射を経て光出射手段自身に戻り、光デバイスの反射減衰特性劣化の大きな原因となり得る。そこで本発明では、そのような不要な反射光が特に集中的に照射する壁面の個所や、迷光として伝搬する過程で照射・反射すると考えられる壁面の個所に、その不要な光を処理する反射防止手段を設けた光デバイスの構成を開示する。これにより、当該個所を照射する不要な光が自由空間に向けて反射されなくなり、よって迷光の伝搬や光出入射手段への混入、特に反射減衰特性の劣化などを防ぐことができる。反射防止手段の実現方法としては、(1)不要光が照射する個所の壁面を取り除いた開口部分に終端導波路を形成する、(2)光吸収部材を適用する、(3)不要光が照射する個所の壁面を傾斜させて反射させることで自由空間から放出する等の方法が考えられる。そこで、以下これらの反射防止手段を具体的に実現する光デバイスのいくつかの実施形態を説明し(光デバイスの全体構成は、本発明の反射防止手段を適用できるものならどのようなものでもよいため、具体的な図示は省略する)、続いて、これらの実施形態の構成を既存の光デバイスに応用する実施形態を光デバイスの全体構成例とともに説明する。
【0011】
なお、ここでいう自由空間とは境界条件や有意な屈折率分布が無い空間を意味し、例えば屈折率整合剤が充填されていても構わない。また、光出射手段・光入射手段は、光ファイバその他の光伝送媒体のほか、半導体チップなどでなる光を供給・受光する各種素子、光変調器などであってもよい。
第1実施形態〜第3実施形態の反射防止手段を設ける光デバイスが基板上に形成され、光出射手段と光入射手段とが基板の同一高さに設置されて光ビームが自由空間内を基板に平行に伝播し、さらにその自由空間を基板の板面に垂直な側壁面が囲っている場合には、光出射手段から出射される光ビームから派生した不要光は光ビーム及び光出入射手段と同じ高さで側壁面での反射を繰り返すこととなるため、これがいずれ光出入射手段と再結合して反射減衰を劣化させたり、雑音を発生させたりする可能性が顕著に高くなる。そこでこのような場合には、反射防止手段を側壁面の光ビームが伝播する高さと同じ高さを含む個所に設けることで、不要光の上記繰り返し反射の何れかの過程でこれを捉えて除去することができる。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1に反射防止手段60として、不要光52が照射する個所の壁面31を取り除いた開口部71に終端導波路70を形成する構成例を示す。この構成においては、開口部71から入射した不要光52は終端導波路70の内壁面で入射光の一部が透過又は吸収され残余が反射する反射を繰り返すことにより除去される。
【0013】
終端導波路70は、テーパ空洞部72と終端空洞部73とから構成される。
テーパ空洞部72は、開口部分71(例えば幅115μm)を一端とし、直線状の中心軸74を中心に他端に向けて狭幅化するテーパ状の空洞であり、他端は開口部分71より小幅(例えば60μm)ではあるが一端と同様、開口している。中心軸74は、不要光52の入射光軸に対し若干の傾き(例えば10°)を持たせることが望ましい。これは、傾きが全く無い状態では反射防止性能が劣化する場合があるためである。従って、例えば垂直彫りのエッチングで作製することが可能である。終端空洞部73は、テーパ空洞部72の他端に接続され、内壁面がテーパ空洞部72の中心軸74に垂直な接平面を有しない形状となっており、例えば図1のような円弧(例えばφ1=200μm、φ2=100μm)を組み合わせた形状等を選びうる。このように内壁面の形状を、中心軸74と垂直な接平面を有しない形状とすることで、終端導波路70に入射した不要光52は内壁面で反射しても自由空間40にはほとんど戻らない一方、終端空洞部73の内壁面での反射を繰り返すうちに減衰し、やがて消失する。このような、空洞を利用して不要光を処理する方法は、例えば垂直入射で反射率70%以下となる内壁面により構成することで良好な効果が得られる。シリコン材料により実現する場合、波長1.5μmの信号光が垂直入射した場合の反射率は約30%である。ちなみに、本発明でいう空洞は、必ずしも全面が囲まれている必要は無く、上面が開放されていても構わないため、垂直彫りのエッチングによる作製には好適である。
【0014】
なお、開口部71に直接、終端空洞部73を接続しても、原理的にはほぼ同様な効果を奏しうる。しかし、例えば光スイッチに本発明を適用する場合、光スイッチを作製時に可動ミラーに高反射材料(Au)を蒸着する際に用いるメカマスクの開口径が通常、直径600μm程度あるため、開口部71に直接終端空洞部73を接続してしまうと反射材料が終端空洞部73の内壁にも蒸着し、不要光52が自由空間40に反射してしまう恐れがある。そこで、本発明ではテーパ空洞部72(例えば長さ600μm)を開口部71と終端空洞部73との間に設けることで、終端空洞部73の内壁面にAuの蒸着が及ばないようにしている。もっとも、このような理由からテーパ空洞部72の長さは反射材料が飛散蒸着する可能性がある距離を勘案してより短くすることも可能であり、場合によっては省いても構わない。
【0015】
以上のように、本発明によれば不要光を減衰・消失させることにより迷光の発生あるいは伝搬を防ぐことができ、光ファイバ等の光出入射手段への迷光の侵入を防ぐことができるため、光雑音を低減したり、反射減衰特性に優れた光デバイスを実現することができる。
終端導波路70は、上記の構成以外に下記の変形例のように構成することも可能であるため、あわせて説明する。
【0016】
<変形例1>
図2は終端導波路70の第1の変形例であり、テーパ空洞部72とらせん状テーパ終端部75とから構成される。テーパ空洞部72は、開口部71を一端とし、不要光52のビームの中心軸と一致する直線状の中心軸74を中心に他端に向けて狭幅化するテーパ状の空洞で、形状及び存在意義は図1と同じである。らせん状テーパ空洞部75は、テーパ空洞部72の他端に一端が接続され、他端に向けてらせん状に狭幅化するテーパ状の空洞である(例えば、外周φ3=300μm〜φ4=150μmまでの1.25周で幅が0に至る)。このように、らせん状かつテーパ状の空洞を末端部に設けることで、空洞内での反射回数を増やすことができ、終端導波路70に入射した不要光52を効果的に減衰・消失させることができる。
【0017】
<変形例2>
図3は終端導波路70の第2の変形例であり、テーパ空洞部72と終端部76とから構成される。テーパ空洞部72は、開口部分71を一端とし、不要光52のビームの中心軸と一致する直線状の中心軸74を中心に他端に向けて狭幅化するテーパ状の空洞で、形状及び存在意義は図1と同じである。終端部76は、テーパ空洞部72の他端に接続される光吸収部材で、例えば炭素を分散させた黒色の樹脂材料などを用いることができる。このように、光吸収部材を末端部に設けることによっても終端導波路70に入射した不要光52を減衰・消失させることができる。
【0018】
<変形例3>
図4は終端導波路70の第3の変形例であり、テーパ空洞部72と放出部77とから構成される。図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図である。テーパ空洞部72は、開口部分71を一端とし、不要光52のビームの中心軸と一致する直線状の中心軸74を中心に他端に向けて狭幅化するテーパ状の空洞で、形状及び存在意義は図1と同じである。放出部77は、テーパ空洞部72の他端に接続され、不要光52が反射することで光デバイス2の外部に直接放出されるように不要光52との間で所定の角度をなす放出反射面78を備える。例えば基板がシリコン単結晶の(100)面を板面とするいわゆる(100)基板であり、不要光52がその板面32に平行に終端導波路70に入射する場合には、シリコン単結晶基板の(111)面で放出反射面78を構成して不要光52と放出反射面78とがなす角度θを結晶面に従う54.7°にすることで不要光52は上方に放出される。このように、放出反射面を末端部に設けることによって不要光52をデバイス2の外部に直接放出することができるが、特に放出の角度をこのように板面32に対し非直角にすると、放出後の外部に更に何らかの板面32に平行な光反射面が存在しても、そこで反射した光が光路を逆に辿って戻る可能性をなくすることができる。
【0019】
〔第2実施形態〕
図5に反射防止手段60として、不要光52が照射する個所の壁面31に光吸収部材61を適用する構成例を示す。光吸収部材61としては、例えば第1実施形態の変形例3と同様、炭素を分散させた黒色の樹脂材料などを用いることができる。このように、光吸収部材61を壁面31に設けることによっても不要光52を減衰・消失させることができる。
なお、第1実施形態と同様、当該光デバイスを基板上に形成する場合には、反射防止手段60を側壁面の、光ビーム50が伝播する高さと同じ高さを含む個所に設けるとよい。
【0020】
〔第3実施形態〕
図6に、反射防止手段60を、不要光52が照射する個所の壁面31を傾斜させることにより構成する例を示す。図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)のA−A断面図である。壁面31を傾斜させて形成した傾斜側壁面62は、不要光52が傾斜側壁面62で反射することで、自由空間40の外部に直接放出されるように不要光52との間で所定の角度をなす。例えば不要光52が、基板の板面32に平行に傾斜側壁面62に入射する場合には、不要光52と傾斜側壁面62とがなす角度θを例えば第1実施形態と同様にシリコンの(111)面を用いて54.7°にすることで不要光52は非直角な上方に放出される。このように、不要光52が照射する個所に傾斜側壁面62を設けることによって不要光52を自由空間40の外部に直接放出することができる。
【0021】
〔第4実施形態〕
第1〜第3実施形態では、反射防止手段60のさまざまな実現例を説明したが、第4実施形態以降は、この反射防止手段60を既存の光デバイスに応用する実施形態を説明する。第4実施形態以降の実施形態は、自由空間内40を伝搬する光ビーム50の光路に光反射面80が常時または駆動により挿入され、反射防止手段60は、挿入された光反射面80による反射光が直接照射される個所に設けられるという点において共通する。光反射面は例えば、光路中に設置される何らかの部品の透明媒体の界面や透過光成分を利用するための光フィルタの表面等のように、固定され常時光路内に存在するものであっても、アクチュエータ等で駆動されて光路の内外に挿抜される遮蔽板や光学部品の界面であってもよく、あるいは駆動されて変位するが、その位置がすべて光路内にあることによって結局は常時光路内に挿入されているような光反射面でもよい。
【0022】
第4実施形態の発明は、本出願の出願者による未公開の特願2007−104564号に開示された発明に反射防止手段60を応用するものである。特願2007−104564号に開示された発明に基づく光デバイス300を図7を参照しながら簡単に説明する。光デバイス300は、自由空間40、光出射手段10である第1光出射手段11と第2光出射手段12、光入射手段20、第1反射体33、第2反射体34、及び遮光体81とから構成される。また、第1反射体33及び第2反射体34はそれぞれミラー面を有し、遮光体81は第1反射体33に固設され光反射面80を有する。動作原理は次のとおりである。光デバイス300は、第1反射体33を駆動することにより、光入射手段20に対する第1反射体33の相対配置を第1の配置とする第1配置状態あるいは第2の配置とする第2配置状態の2つの状態にスイッチングすることができる。第1配置状態では、図7(a)に示すように、第1光出射手段11からの光ビーム50が第1反射体33のミラー面での反射を経て光入射手段20に入射結合される一方、第2光出射手段12からの光ビーム53が遮光体81の光反射面80aでの反射を経て、壁面31aに照射される。一方、第2配置状態では、図7(b)に示すように、第2光出射手段12からの光ビーム53が第2反射体34のミラー面での反射を経て光入射手段20に入射結合される一方、第1光出射手段11からの光ビーム50が遮光体81の光反射面80b(光反射面80aの裏側)での反射を経て壁面31bに照射される。
【0023】
光デバイス300の上記構成は、遮光体81を備えることにより、第1配置状態においては第1光出射手段11からの光ビームのみが光入射手段20で受光され、一方第2配置状態においては第2光出射手段12からの光ビームのみが光入射手段20で受光されるようにすることを意図したものである。しかし、第1配置状態においては第2光出射手段12からの光ビームを遮光体81で反射し、一方第2配置状態においては第1光出射手段11が遮光体81で反射することで一応上記の意図に適う構成を実現してはいるものの、実際のところ、これら遮光体81で反射された不要光52は更に壁面31a、31bで反射され、以降自由空間40から消失するまで反射を繰り返すことになるため、迷光として光ファイバ等の光出入射手段、特に第1光出射手段11、第2光出射手段12の各々へ侵入し、反射減衰特性等を悪化させる原因となりうる。
【0024】
そこで、遮光体81で反射された不要光52が壁面31を照射する個所に図8に示すように反射防止手段60を適用することで、不要光52を自由空間40から排除し、迷光の発生を防ぐことができる。図7の従来構成と図8の本発明の構成で反射減衰量を比較したところ、第1光出射手段11からの光入力についての反射減衰量が、従来構成では10.2dBであったところ本発明の構成では43.0dBに、第2光出射手段12からの光入力についての反射減衰量が、18.7dBから47.3dBにそれぞれ大幅に向上している。
【0025】
なお、反射防止手段60を適用する壁面31は、不要光52が照射される個所であれば基本的にいずれの個所でも効果を得ることができるが、遮光体81で反射された後最初に(直接)照射される個所に適用するのが最も有効である。また、図8の光デバイス3では、反射防止手段60として図1に示す終端導波路70を適用した構成を例示しているが、第1〜第3実施形態で示したいずれの構成を適用しても構わない。
【0026】
〔第5実施形態〕
第5実施形態の発明は、本出願の出願者による未公開の特願2006−155895号に開示された発明に反射防止手段60を応用するものである。特願2006−155895号に開示された発明に基づく光デバイス400を図9を参照しながら簡単に説明する。光デバイス400は、自由空間40、光出射手段10、光入射手段である第1光入射手段21と第2光入射手段22、反射体35、及び反射体35に固設される阻止部82から構成される。また、反射体35は、ミラー面を有し、光出射手段10からの光ビームの光路上の所定の切り替え位置に挿抜駆動される。更に、阻止部82は、反射体35の所定の切り替え位置から抜出された時に後端となる部分に固設され、光出射手段10からの光ビーム50を透過せず、かつ光出射手段10からの光ビーム50のうちその阻止部82に照射された分を反射し、かつその反射光が第1光入射手段21に到達することを阻止する。
【0027】
次に、動作原理を説明する。光デバイス400は、反射体35を駆動して、反射体35が前記所定の切り替え位置に挿入された第1状態あるいは反射体35が前記所定の切り替え位置から抜出された第2状態の2つの状態にスイッチングすることができる。第1状態においては、図9(a)に示すように、光出射手段10からの光ビーム50は、反射体35のミラー面での反射を経て第1光入射手段21に入射するとともに、一部の光は阻止部82の光反射面80cにより反射され不要光として壁面31cに照射される。一方、第2状態においては、図9(b)に示すように、光出射手段10からの光ビーム50は、第2光入射手段22に入射するとともに、一部の光は阻止部82の光反射面80cにより反射され不要光として壁面31cに照射される。
【0028】
光デバイス400の上記構成は、阻止部82を備えることにより、特に第2状態において第1光入射手段21へのクロストークを防ぎながら反射体35を光ビーム50の径の周縁位置に残留させることを可能とし、すなわち阻止部82の寸法分だけ反射体35の抜出量を節減して、第1、第2のいずれの状態においても所望のレベルの光損失とクロストークとを確保しながらスイッチングに必要な反射体35の駆動ストロークを従来よりも小さくできるように構成されたものである。
しかし、第1状態において阻止部82で反射された光出射手段10からの光ビームは不要光52として壁面31cに到達し、また、第2状態において阻止部82で反射された光出射手段10からの光ビームも不要光52として壁面31cに到達する。そしてこれらの不要光52は、壁面31cで反射され、以降自由空間40から消失するまで反射を繰り返すことになるため、迷光として光ファイバ等の光出入射手段、特に光出射手段10へ侵入し、反射減衰特性等を悪化させる原因となりうる。
【0029】
そこで、阻止部82で反射された不要光52が照射する壁面31cの個所に図10に示すように反射防止手段60を適用することで、不要光52を自由空間40から排除し、迷光の発生を防ぐことができる。なお、反射防止手段60を適用する壁面の個所は、不要光52が照射される個所であれば基本的にいずれの個所でも効果を得ることができるが、阻止部82で反射された後最初に(直接)照射される個所に適用するのが最も有効である。また、図10の光デバイス4では、反射防止手段60として図5に示す光吸収部材61を適用した構成を例示しているが、第1〜第3実施形態で示したいずれの構成を適用しても構わない。
【0030】
〔第6実施形態〕
第6実施形態の発明は、図11に例示するような光出射手段10と光入射手段20との間の自由空間40に光フィルタ83が挿入された既存の光デバイス500に対して、図12に示すように反射防止手段60を適用して光デバイス5を構成したものである。
【0031】
光デバイス500において、光出射手段10から自由空間40に出射された光ビーム50は光フィルタ83に到達すると、通常は大部分は透過され光入射手段20に到達するが、一部は反射され不要光52として壁面31dに照射される。このような場合、光フィルタ83の表面は光反射面80dとしても機能していると言える。そして、壁面31に照射された不要光52は、壁面31dで反射されるだけでなく、以降自由空間40から消失するまで反射を繰り返すことになるため、迷光として光ファイバ等の光出入射手段、特に光出射手段10へ侵入し、反射減衰特性等を悪化させる原因となりうる。そこで、光フィルタ83(光反射面80d)で反射された不要光52が壁面31を照射する個所に図12に示すように反射防止手段60を適用することで、不要光52を自由空間40から排除し、迷光の発生を防ぐことができる。なお、反射防止手段60を適用する壁面の個所は、不要光52が照射される個所であれば基本的にいずれの個所でも効果を得ることができるが、光フィルタ83(光反射面80d)で反射された後最初に(直接)照射される個所に適用するのが最も有効である。また、図12の光デバイス5では、反射防止手段60として図5に示す光吸収部材61を適用した構成を例示しているが、第1〜第3実施形態で示したいずれの構成を適用しても構わない。
【0032】
<変形例>
光出射手段10と光入射手段20との間の自由空間40に光フィルタ83を挿入する代わりに、図13に例示するような遮光駆動体84が挿入された既存の光デバイス600に対しても、図14に示すように反射防止手段60を適用して光デバイス6を構成することにより、光フィルタ83の場合と同様に迷光の発生を防ぐことができる。ここで、遮光駆動体とは、例えば二値的に挿抜駆動するオン・オフ型の光スイッチや、多値的(連続的を含む)に挿抜駆動する可変光減衰器などを意味する。なお、反射防止手段60を適用する壁面の個所は、不要光52が照射される個所であれば基本的にいずれの個所でも効果を得ることができるが、遮光駆動体84(光反射面80e)で反射された後最初に(直接)照射される個所に適用するのが最も有効である。また、図14の光デバイス6では、反射防止手段60として図5に示す光吸収部材61を適用した構成を例示しているが、第1〜第3実施形態で示したいずれの構成を適用しても構わない。
〔作製方法〕
本発明の光デバイスの作製方法は、特許文献1、2等の物品と同様に、SOI基板のDeep−RIEで行うことを好適形態とする。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の適用は、反射に敏感な光学素子と接続される光デバイスにおいて特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の光デバイスの第1実施形態の構成例を示す図。
【図2】本発明の光デバイスの第1実施形態の変形例1の構成例を示す図。
【図3】本発明の光デバイスの第1実施形態の変形例2の構成例を示す図。
【図4】本発明の光デバイスの第1実施形態の変形例3の構成例を示す図。
【図5】本発明の光デバイスの第2実施形態の構成例を示す図。
【図6】本発明の光デバイスの第3実施形態の構成例を示す図。
【図7】本発明の光デバイスの第4実施形態が基礎とする構成を示す図。
【図8】本発明の光デバイスの第4実施形態の構成例を示す図。
【図9】本発明の光デバイスの第5実施形態が基礎とする構成を示す図。
【図10】本発明の光デバイスの第5実施形態の構成例を示す図。
【図11】本発明の光デバイスの第6実施形態が基礎とする構成を示す図。
【図12】本発明の光デバイスの第6実施形態の構成例を示す図。
【図13】本発明の光デバイスの第6実施形態の変形例が基礎とする構成を示す図。
【図14】本発明の光デバイスの第6実施形態の変形例の構成例を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に壁面を有する自由空間と、
前記自由空間に向けて光ビームを出射する1以上の光出射手段と、
前記自由空間を経て到達した前記光ビームが入射する1以上の光入射手段と、
から構成される光デバイスであって、
前記壁面のいずれかの個所に、その個所を照射する前記光出射手段からの光(以下、「不要光」という)が前記自由空間内に向けて反射されることを防ぐ反射防止手段が設けられていることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光デバイスであって、
前記光出射手段と前記光入射手段と前記自由空間は基板上に備えられ、
前記光ビームは前記自由空間内を基板板面に平行に伝搬し、
前記壁面の少なくとも一部は基板板面に垂直な側壁面であり、
前記反射防止手段は、前記側壁面の前記光ビームが伝搬する高さと同じ高さを含む個所に設けられる
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光デバイスであって、
前記反射防止手段は、
前記不要光が照射する個所の壁面を取り除いた開口部分に形成される終端導波路であり、
前記開口部分から入射した前記不要光は、前記終端導波路の内壁面で透過又は吸収を伴う反射を繰り返すことにより除去されることを特徴とする光デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の光デバイスであって、
前記終端導波路は、
前記開口部分を一端とし他端に向けて狭幅化するテーパ空洞部と、
前記テーパ空洞部の他端に接続され、内壁面が当該テーパ空洞部の中心軸に垂直な接平面を有しない終端空洞部と、
から構成されることを特徴とする光デバイス。
【請求項5】
請求項3に記載の光デバイスであって、
前記終端導波路は、
前記開口部分を一端とし他端に向けて狭幅化するテーパ空洞部と、
前記テーパ空洞部の他端に一端が接続され、他端に向けてらせん状に狭幅化するらせん状テーパ終端部と、
から構成されることを特徴とする光デバイス。
【請求項6】
請求項3に記載の光デバイスであって、
前記終端導波路は、
前記開口部分を一端とし他端に向けて狭幅化するテーパ空洞部と、
前記テーパ空洞部の他端に接続され、光吸収部材を備える終端部と、
から構成されることを特徴とする光デバイス。
【請求項7】
請求項3に記載の光デバイスであって、
前記終端導波路は、
前記開口部分を一端とし他端に向けて狭幅化するテーパ空洞部と、
前記テーパ空洞部の他端に接続され、前記不要光が反射により光デバイスの外部へ直接放出されるように形成された放出反射面を備える放出部と、
から構成されることを特徴とする光デバイス。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の光デバイスであって、
前記反射防止手段は光吸収部材であることを特徴とする光デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の光デバイスであって、
前記反射防止手段は、前記不要光が反射により前記自由空間の外部へ直接放出されるように前記壁面の一部を傾斜させて形成された傾斜側壁面であることを特徴とする光デバイス。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の光デバイスであって、
前記自由空間内を伝搬する前記光ビームの光路に、光反射面が常時または駆動により挿入され、
前記反射防止手段は、挿入された前記光反射面による反射光が直接照射される個所に設けられる
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の光デバイスであって、更に、
ミラー面を有する第1反射体及び第2反射体と、
前記第1反射体に固設され前記光反射面を有する遮光体と、
を備え、
前記第1反射体を駆動して、前記光入射手段に対する前記第1反射体の相対配置を第1の配置とする第1配置状態あるいは第2の配置とする第2配置状態をとることにより、
前記第1配置状態では、前記光出射手段である第1光出射手段からの前記光ビームが前記第1反射体のミラー面での反射を経て前記光入射手段に入射する一方、もうひとつの前記光出射手段である第2光出射手段からの光ビームが前記遮光体の光反射面での反射を経て前記反射防止手段に照射され、
前記第2配置状態では、前記第2光出射手段からの前記光ビームが前記第2反射体のミラー面での反射を経て前記光入射手段に入射する一方、前記第1光出射手段からの光ビームが前記遮光体の光反射面での反射を経て前記反射防止手段に照射される
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項12】
請求項10に記載の光デバイスであって、更に、
前記光出射手段からの光ビームの光路上の所定の切り替え位置に挿抜駆動される、ミラー面を有する反射体と、
前記反射体の前記所定の切り替え位置から抜出された時に後端となる部分に固設され、前記光出力手段からの前記光ビームを透過せず、かつ前記光出力手段からの前記光ビームが前記光入射手段である第1光入射手段に到達することを阻止する、前記光反射面を有する阻止部と、
を備え、
前記反射体を駆動して、前記反射体が前記所定の切り替え位置に挿入された第1状態あるいは前記反射体が前記所定の切り替え位置から抜出された第2状態をとることにより、
前記第1状態においては、前記光出射手段からの前記光ビームが、前記反射体のミラー面での反射を経て前記第1光入射手段に入射するとともに、前記阻止部の光反射面での反射を経て前記反射防止手段に照射され、
前記第2状態においては、前記光出射手段からの前記光ビームが、もうひとつの前記光入射手段である第2光入射手段に入射するとともに、前記阻止部の光反射面での反射を経て前記反射防止手段に照射される
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項13】
請求項10に記載の光デバイスであって、
前記光反射面は、前記自由空間内を伝搬する伝搬光の光路に常時挿入されている光フィルタの表面であることを特徴とする光デバイス。
【請求項14】
請求項10に記載の光デバイスであって、
前記光反射面は、二値的あるいは多値的な変位駆動により前記自由空間内を伝搬する伝搬光の光路に挿入される遮光駆動体の表面であることを特徴とする光デバイス。
【請求項1】
少なくとも一部に壁面を有する自由空間と、
前記自由空間に向けて光ビームを出射する1以上の光出射手段と、
前記自由空間を経て到達した前記光ビームが入射する1以上の光入射手段と、
から構成される光デバイスであって、
前記壁面のいずれかの個所に、その個所を照射する前記光出射手段からの光(以下、「不要光」という)が前記自由空間内に向けて反射されることを防ぐ反射防止手段が設けられていることを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光デバイスであって、
前記光出射手段と前記光入射手段と前記自由空間は基板上に備えられ、
前記光ビームは前記自由空間内を基板板面に平行に伝搬し、
前記壁面の少なくとも一部は基板板面に垂直な側壁面であり、
前記反射防止手段は、前記側壁面の前記光ビームが伝搬する高さと同じ高さを含む個所に設けられる
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光デバイスであって、
前記反射防止手段は、
前記不要光が照射する個所の壁面を取り除いた開口部分に形成される終端導波路であり、
前記開口部分から入射した前記不要光は、前記終端導波路の内壁面で透過又は吸収を伴う反射を繰り返すことにより除去されることを特徴とする光デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の光デバイスであって、
前記終端導波路は、
前記開口部分を一端とし他端に向けて狭幅化するテーパ空洞部と、
前記テーパ空洞部の他端に接続され、内壁面が当該テーパ空洞部の中心軸に垂直な接平面を有しない終端空洞部と、
から構成されることを特徴とする光デバイス。
【請求項5】
請求項3に記載の光デバイスであって、
前記終端導波路は、
前記開口部分を一端とし他端に向けて狭幅化するテーパ空洞部と、
前記テーパ空洞部の他端に一端が接続され、他端に向けてらせん状に狭幅化するらせん状テーパ終端部と、
から構成されることを特徴とする光デバイス。
【請求項6】
請求項3に記載の光デバイスであって、
前記終端導波路は、
前記開口部分を一端とし他端に向けて狭幅化するテーパ空洞部と、
前記テーパ空洞部の他端に接続され、光吸収部材を備える終端部と、
から構成されることを特徴とする光デバイス。
【請求項7】
請求項3に記載の光デバイスであって、
前記終端導波路は、
前記開口部分を一端とし他端に向けて狭幅化するテーパ空洞部と、
前記テーパ空洞部の他端に接続され、前記不要光が反射により光デバイスの外部へ直接放出されるように形成された放出反射面を備える放出部と、
から構成されることを特徴とする光デバイス。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の光デバイスであって、
前記反射防止手段は光吸収部材であることを特徴とする光デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の光デバイスであって、
前記反射防止手段は、前記不要光が反射により前記自由空間の外部へ直接放出されるように前記壁面の一部を傾斜させて形成された傾斜側壁面であることを特徴とする光デバイス。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の光デバイスであって、
前記自由空間内を伝搬する前記光ビームの光路に、光反射面が常時または駆動により挿入され、
前記反射防止手段は、挿入された前記光反射面による反射光が直接照射される個所に設けられる
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の光デバイスであって、更に、
ミラー面を有する第1反射体及び第2反射体と、
前記第1反射体に固設され前記光反射面を有する遮光体と、
を備え、
前記第1反射体を駆動して、前記光入射手段に対する前記第1反射体の相対配置を第1の配置とする第1配置状態あるいは第2の配置とする第2配置状態をとることにより、
前記第1配置状態では、前記光出射手段である第1光出射手段からの前記光ビームが前記第1反射体のミラー面での反射を経て前記光入射手段に入射する一方、もうひとつの前記光出射手段である第2光出射手段からの光ビームが前記遮光体の光反射面での反射を経て前記反射防止手段に照射され、
前記第2配置状態では、前記第2光出射手段からの前記光ビームが前記第2反射体のミラー面での反射を経て前記光入射手段に入射する一方、前記第1光出射手段からの光ビームが前記遮光体の光反射面での反射を経て前記反射防止手段に照射される
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項12】
請求項10に記載の光デバイスであって、更に、
前記光出射手段からの光ビームの光路上の所定の切り替え位置に挿抜駆動される、ミラー面を有する反射体と、
前記反射体の前記所定の切り替え位置から抜出された時に後端となる部分に固設され、前記光出力手段からの前記光ビームを透過せず、かつ前記光出力手段からの前記光ビームが前記光入射手段である第1光入射手段に到達することを阻止する、前記光反射面を有する阻止部と、
を備え、
前記反射体を駆動して、前記反射体が前記所定の切り替え位置に挿入された第1状態あるいは前記反射体が前記所定の切り替え位置から抜出された第2状態をとることにより、
前記第1状態においては、前記光出射手段からの前記光ビームが、前記反射体のミラー面での反射を経て前記第1光入射手段に入射するとともに、前記阻止部の光反射面での反射を経て前記反射防止手段に照射され、
前記第2状態においては、前記光出射手段からの前記光ビームが、もうひとつの前記光入射手段である第2光入射手段に入射するとともに、前記阻止部の光反射面での反射を経て前記反射防止手段に照射される
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項13】
請求項10に記載の光デバイスであって、
前記光反射面は、前記自由空間内を伝搬する伝搬光の光路に常時挿入されている光フィルタの表面であることを特徴とする光デバイス。
【請求項14】
請求項10に記載の光デバイスであって、
前記光反射面は、二値的あるいは多値的な変位駆動により前記自由空間内を伝搬する伝搬光の光路に挿入される遮光駆動体の表面であることを特徴とする光デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−175176(P2009−175176A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10685(P2008−10685)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]