説明

光ノード装置及び光ノード装置の制御方法

【課題】光ノードの光コンポーネントの動作検証を低コストかつ高効率に実現する。
【解決手段】
光ノード装置は、送信器が接続される少なくとも1つの第1のポートと、受信器が接続される少なくとも1つの第2のポートと、一部が第1のポートとのみ選択的に接続され、他の一部が第2のポートとのみ選択的に接続される少なくとも2つの第3のポートと、第3のポートの2つである第6のポート及び第7のポートを接続する光伝送路と、を備え、第1のポートの1つである第4のポートが第6のポートと、第2のポートの1つである第5のポートが第7のポートと、それぞれ接続可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ノード装置及び光ノード装置の制御方法に関し、特に、光通信で用いられる波長パス多重分離挿入機能を備えた光ノード装置及び光ノード装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
将来の通信量の増大とサービスの多様化に伴うネットワークの高度化に向けて、光通信ネットワークにおいては、DWDM技術及びWSSを用いたOXC技術の導入が進められている。DWDM(dense wavelength division multiplexing、高密度波長多重)技術は、Point−to−Pointの大容量接続を可能とする。WSS(wavelength select switch、波長選択スイッチ)及びOXC(optical cross connect、光クロスコネクト)技術は、光ノード装置において3以上の方路の切り替え機能を実現する。WSS及びOXC技術の導入により、使用状況に応じたより好ましい形態となるように光通信ネットワークを構築することができる。
【0003】
DWDM技術が適用された光ノード装置には、任意の光トランシーバーから所望の波長の光を所望の方路と接続できる光トランシーバー集約器を配置することが望ましい。
【0004】
図18は、非特許文献1に記載された光トランシーバー集約器の構成図である。図18に示す光トランシーバー集約器1804は、周回性光波長多重合分波器1803と、アグリゲーション/マルチキャスト機能を有するマトリクススイッチ1802とを組み合わせて構成される。マトリクススイッチ1802の入出力ポート群の一方は周回性光波長多重合分波器1803に接続され、他方は光トランシーバー群1801を構成する光トランシーバー1801a〜1801gのそれぞれの送信器に接続されている。
【0005】
なお、図18においては、周回性光波長多重合分波器1803には周回性AWG(cyclic arrayed waveguide grating、c−AWG)が用いられている。
【0006】
光トランシーバー1801a〜1801gは波長可変レーザを備えており、送信波長を制御することが可能である。また、マトリクススイッチ1802の経路は外部から制御可能である。このような構成を備えることにより、光トランシーバー集約器1804は、光トランシーバー群1801が送信する光の波長及び方路を自由に設定できる。
【0007】
ここで、光トランシーバー集約器1804は、その設定する経路に従って所定の方路と所定の光トランシーバー1801a〜1801gとの間で光を送信(Add)あるいは受信(Drop)するように、その内部の経路を設定する。光ノード装置のこの送受信機能はAdd/Drop機能と呼ばれる。
【0008】
図18は、光トランシーバー1801a〜1801gの送信器が送信する光を方路へ追加(Add)する構成について示したものである。各方路から受信した光を光トランシーバー1801a〜1801gにおいて抽出(Drop)するためにも同様の構成の光トランシーバー集約器1804を用いることができる。光をDropする際には、方路から受信した光が所望の光トランシーバーの受信器で受信されるようにマトリクススイッチ1802が制御される。
【0009】
また、非特許文献2は、WSS及びトランシーバー集約器を用いた光メッシュノード装置の構成を開示している。図19は、非特許文献2に開示された光メッシュノード装置の構成を簡略化した光ノード装置の構成を示す図である。
【0010】
図19に記載された光ノード装置800は、光スプリッタ1907、WSS1906、光トランシーバー集約装置1903及び光トランシーバー群1901を備える。光トランシーバー集約装置1903は、光トランシーバー集約器1902a及び1902bを備える。また、光トランシーバー群1901は複数の光トランシーバーで構成される。そして、光トランシーバーは、光トランシーバー集約器1902a及び1902bに接続されている。
【0011】
光ノード装置800は、方路1及び方路2のそれぞれの接続点に光スプリッタ1907及びWSS1906を備えている。光スプリッタ1907は、ある方路(例えば方路1)から受信する光を他の方路(例えば方路2)と光トランシーバー集約装置1903側とに分岐する。
【0012】
ここで、光トランシーバー集約装置1903を経由せずに方路1と方路2とが直接接続されるようにWSS1906を設定することにより、光ノードでAdd/Dropを行わないチャネルを光信号のまま通過させる(光カットスルー)ことが可能である。光カットスルー機能を備える光ノード装置800は、各方路から同時にAdd/dropされるパスの数だけの光トランシーバーを最低限備えればよい。すなわち、カットスルー機能によって、光ノード装置が備える光トランシーバーの数を抑制することができる。
【0013】
光トランシーバー集約器1902a及び1902bは、例えば図18に記載した光トランシーバー集約器1804を用いて構成してもよい。光トランシーバー集約器1902aは、光スプリッタ1907で分岐された方路1及び方路2からの光が光トランシーバー群1901の所定の光トランシーバーで受信(Drop)されるように内部の経路を接続する。光トランシーバー集約器1902bは、光トランシーバー群1901の光トランシーバーが送信した光が、所定の方路1または方路2のうち所定の方路に送信(Add)されるように内部の経路を接続する。
【0014】
本願に関連して、特許文献1は、光トランシーバーの内部でループバックさせる構成を備えた光トランシーバーを開示している。また、特許文献2は、光分岐挿入回路と光路切り替えスイッチを備えたノード装置の構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】再公表特許WO2009−038121号
【特許文献2】特開2000−354006号
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Mizutani et al、“Demonstration of multi-degree color/direction-independent waveguide-based transponder-aggregator for flexible optical path networks”、 Proc. ECOC2010 P3.11、Optical Communication (ECOC)、 2010 36th European Conference and Exhibition on、2010年9月
【非特許文献2】B. C. Collings, ”Wavelength Selectable Switches and Future Photonic Network Applications” Photonics in Switching, 2009. PS '09. International Conference on、2009年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
図19に示した光ノード装置800において、光トランシーバー群1901から待機中の光トランシーバーを選択して新規にパスを接続する際に、選択された光トランシーバーが故障している可能性がある。そして、パスを接続する際に故障した光トランシーバーが選ばれると、他の光トランシーバーを再選択してパスを再設定しなければならない。このため、接続完了までの時間が増大したり、故障した光コンポーネントの探索及びその修理のために光ノードの利用効率が悪化したりするという問題が発生する。また、新しいパスの経路となるマトリクススイッチ等の他の光コンポーネントが故障している場合にも同様の問題が発生する。
【0018】
しかしながら、非特許文献1及び非特許文献2は、光トランシーバーやマトリクススイッチ等の光コンポーネントの動作検証を行うための構成を開示していない。
【0019】
その結果、図18に示した光トランシーバー集約器1804や図19に示した光ノード装置800には、光コンポーネントに故障が発生するとパスの設定に時間を要することにより信頼性が低下したり、光ノードの利用効率が低下したりする場合があるという課題があった。
【0020】
特許文献1は、光トランシーバー内に光スイッチを配置し、ループバックによって光トランシーバー自体の故障を検出する構成を開示している。しかし、特許文献1に記載された構成は、光トランシーバー以外の光コンポーネントの故障を検出することができないという課題がある。さらに、全ての光トランシーバーに光スイッチによるループバック機構を持たせることは、システムのコスト増を招くという課題もある。
【0021】
また、特許文献2は光ノードに関する技術を開示しているが、光ノードを構成する光コンポーネントに対する動作検証機能を実現するための構成を記載していない。
【0022】
[発明の目的]
本発明の目的は、光ノード装置で用いられる光コンポーネントの動作検証と故障箇所の検知とを行うことにより、光ノード装置の信頼性及び利用効率を向上させるための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の光ノード装置は、送信器が接続される少なくとも1つの第1のポートと、受信器が接続される少なくとも1つの第2のポートと、一部が第1のポートとのみ選択的に接続され、他の一部が第2のポートとのみ選択的に接続される少なくとも2つの第3のポートと、第3のポートの2つである第6のポート及び第7のポートを接続する光伝送路と、を備え、第1のポートの1つである第4のポートが第6のポートと、第2のポートの1つである第5のポートが第7のポートと、それぞれ接続可能に構成される。
【0024】
本発明の光ノード装置の制御方法は、一部が送信器が接続される少なくとも1つの第1のポートとのみ選択的に接続され他の一部が受信器が接続される少なくとも1つの第2のポートとのみ選択的に接続される第3のポートの2つである第6のポートと第7のポートとを光伝送路で接続し、第1のポートの1つである第4のポートと第6のポートとを接続し、第2のポートの1つである第5のポートと第7のポートとを接続する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の光ノード装置は、光コンポーネントの動作検証と故障箇所の検知とを行うことにより、光ノード装置の信頼性及び利用効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態の光ノード装置の構成図である。
【図2】待機光トランシーバー群の動作検証スケジュールを示す図である。
【図3】待機光トランシーバー1と待機光トランシーバー2とが選定された場合の動作検証のフローを示す図である。
【図4】図3に示した動作検証における制御フローを示す図である。
【図5】第1の実施形態の手順1における待機光トランシーバーの接続関係を示す図である。
【図6】待機光トランシーバーの送信部と受信部とが切り替わった状態を示す図である。
【図7】故障状態管理テーブルの例である。
【図8】故障検出制御部による故障箇所検出手順を示す図である。
【図9】第2の実施形態の光ノード装置の構成図である。
【図10】第2の実施形態における待機光トランシーバー群の動作検証スケジュールを示す図である。
【図11】図10の光トランシーバー群のスケジュール管理から、待機光トランシーバー1、光トランシーバー集約装置、動作検証制御部の時間ごとの状態遷移とコマンドの流れを取り出して示した図である。
【図12】図11に示した動作検証における制御手順を示す図である。
【図13】第2の実施形態における待機光トランシーバーの接続関係を示す図である。
【図14】波長可変制御の検証手順を示す図である。
【図15】故障検出制御部による故障箇所検出制御手順を示す図である。
【図16】第3の実施形態での動作検証制御部と待機光トランシーバー群のスケジュールを示す図である。
【図17】アグリゲーション/マルチキャスト機能を用いた場合の待機光トランシーバーの接続関係を示す図である。
【図18】非特許文献1に記載された光トランシーバー集約器の構成図である。
【図19】非特許文献2に開示された光メッシュノード装置の構成を簡略化した光ノード装置の構成を示す図である。
【図20】第4の実施形態の光ノードの構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[構成の説明]
【0028】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施形態の光ノード装置の構成図である。図1の光ノード装置100は、光トランシーバー集約器104a及び104b、ループバック光ファイバ109並びに光トランシーバー群101を備える。さらに、光ノード装置100は、動作検証制御部105及び故障検知制御部106を備える。
【0030】
光ノード装置100は、光ネットワークの方路1〜xに接続された光ファイバからなる光ファイバ群と接続され、x本の方路と接続された光ファイバ群との間で光を送受信(Add/Drop)する。光ノード装置100は、光ファイバ群から光信号を受信するDrop側に光トランシーバー集約器104aを備え、光ファイバ群へ光信号を送信するAdd側に光トランシーバー集約器104bを備えている。
【0031】
光トランシーバー集約器104aは、方路1〜x毎に備えられた波長多重合分波器103と、マトリクススイッチ102aとを備える。光トランシーバー集約器104bは、方路1〜xごとに備えられた波長多重合分波器103と、マトリクススイッチ102bとを備える。マトリクススイッチ102a、102bは、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ベースのスイッチを用いて実現できる。ここで、光トランシーバー集約器104a及び104bの各方路について同一の波長多重合分波器103を使用してよい。
【0032】
マトリクススイッチ102a、102bの光ファイバ群側には「(方路数×波長多重数)+1」の数のポートが用意される。そして、波長多重合分波器103の分波側の各ポートはマトリクススイッチ102a、102bの光ファイバ群側の各ポートに接続されている。そして、それぞれのマトリクススイッチ102a、102bの光ファイバ群側の1ポートが、ループバック光ファイバ109で互いに接続されている。
【0033】
一方、光ノード装置でのAdd/Drop率に応じた数の光トランシーバーを備える光トランシーバー群101が、マトリクススイッチ102a、102bの光トランシーバー側のポートと接続されている。
【0034】
第1の実施形態において、例えば、方路数を3、各方路での波長多重数を50とし、Add/Drop率が最大20%である場合を考える。Add/Drop率とは、各方路へのパス数の総和のうち、光ノード装置において同時にAdd/Dropされるパスの比率である。そして、方路数が3、各方路の波長多重数が50の場合には各方路側(図1の光ファイバ群側)のパスの本数の総和は50×3=150である。従って、Add/Drop率が20%であれば、Add/Dropのために配置される光トランシーバーは150×0.2=30台となる。
【0035】
すなわち、マトリクススイッチ102a、102bの光ファイバ群側に必要なポート数は、150ポートにループバック光ファイバ109用の1ポートを加えて151ポートとなる。一方、マトリクススイッチの光トランシーバー側のポート数は光トランシーバーの台数分のポート、すなわち30ポートとなる。従って、第1の実施形態で用いられるマトリクススイッチの大きさは、151×30ポートとなる。
【0036】
さらに、光ノード装置100は、動作検証制御部105と故障検知制御部106を備え、光トランシーバー群101の各光トランシーバー及び光トランシーバー集約器104a、104bを制御する。なお、光ノード装置100は、Add/Drop動作を行うための制御部を備えている。しかし、それらの構成は公知でありまた本願の内容とは直接関連しないためここでは図面への記載及び説明を省略する。
【0037】
[動作の説明]
第1の実施形態における動作検証制御部105と故障検知制御部106の動作を以下に説明する。
【0038】
まず、動作検証における、運用に供されていない待機中の光トランシーバー(以下、「待機光トランシーバー」という。)のスケジュール手段について述べる。
【0039】
動作検証制御部105は、光トランシーバー集約器104a、104bに接続される光トランシーバー群から、待機光トランシーバーを2台選定する。そして、動作検証制御部105は、選定した待機光トランシーバーを所定の時期に動作させ、当該待機光トランシーバーにおける送信器および受信器の動作検証処理を開始させるスケジュール手段を備えている。
【0040】
図2に、待機光トランシーバー群203の動作検証スケジュールを示す。待機光トランシーバー群203は、n台の待機光トランシーバー1〜nの集合を示す。動作検証制御部105は、定期的な検証期間201の間に待機光トランシーバー1〜nの動作検証を行う。検証期間201において、動作検証制御部105は、待機光トランシーバーを順に2台ずつ選定し、後述する手順で選定した待機光トランシーバーの動作検証を行う。そして、全ての待機光トランシーバー203の動作検証が終了すると、故障検知制御部106は、検証結果に応じて故障個所の検知を行う。
【0041】
故障検知制御部106は、動作検証において問題が発生した場合に故障箇所の検知を行う。検証期間201の終了後、所定の待機期間202が経過すると、動作検証制御部105は再度検証を開始する。
【0042】
動作検証制御部105は、待機光トランシーバーの動作検証を行わない待機期間202の間は不要な機能を停止して、電力消費を抑えている。また、選定した待機光トランシーバーの動作検証を連続して実施することで、待機光トランシーバーの立ち上げや立ち下げによる待ち時間を短縮し、待機期間202を長く取ることができる。その結果、動作検証制御部105の電力消費を抑制することができる。
【0043】
待機期間202の長さは、光ノード装置100が接続されたネットワークに求められる信頼性に応じて決定されてもよい。例えば、1日の中でネットワークの使用量が小さい深夜を待機期間とし、その他の時間は1時間おきに動作検証するスケジュールとしてもよい。ネットワークの使用頻度が高い時期に定期的に動作検証を行うことで、使用の直前に動作検証が行われた待機光トランシーバーを、待機状態から運用状態に移行させることができる。あるいは、逆に、動作検証をネットワークの使用量が少ない時間帯に行うことで、光ノード装置のピーク消費電力を抑制するようにしてもよい。
【0044】
また、光トランシーバーの起動時間はその内部の機能部ごとに異なっている。このため、起動時間が長い機能部を待機期間中に停止させるためには、待機時間202を長くする必要がある。すなわち、待機期間202を適切に設定することで、各光トランシーバーの不要な機能を停止することが可能となり、光ノード装置100の電力消費をさらに抑制することが可能である。所定の機能部を停止させ、低電力消費状態にある待機光トランシーバーの起動時間は50msecから10sec程度である。そのため、上述のスケジュールでは、起動時間の比較的長い光トランシーバーであっても、待機期間中は機能を全て停止させておくことが可能である。
【0045】
ただし、新しいパスの割り当てに要する時間を短くするためには、待機光トランシーバーを高速に起動できることが必要である。このため、一部の待機光トランシーバーでは起動時間の比較的長い機能部を動作させたままとしておき、高速で起動できる待機モードとして待機させてもよい。そして、高速で起動できる待機モードの待機光トランシーバーのみを動作検証し、その他の待機光トランシーバーは起動時間の比較的長い機能部をも停止させて電力の低い待機モードで待機させておいてもよい。
【0046】
次に前述のスケジュールにて動作検証制御部から選定された待機光トランシーバー2台の動作検証制御について、図3の制御フローを元に説明する。
【0047】
図3は、図2の待機光トランシーバー群203から、待機光トランシーバー1と待機光トランシーバー2とが選定された場合の動作検証のフローを示す図である。図3には、待機光トランシーバー1、2及び光トランシーバー集約器104、動作検証制御部105の状態遷移とコマンドの流れを示している。なお、ここでは光トランシーバー集約器104aと104bとを合わせて光トランシーバー集約器104と記載する。また、図4は、図3に示した動作検証における制御フローを示す図である。以下の手順1〜手順7に動作検証のフローを説明する。なお、以下の説明において、a1〜a21は図3の各フロー及び図4のそれぞれの手順に対応する。
【0048】
(手順1)動作検証を行う待機光トランシーバーの選定
動作検証制御部105は、待機光トランシーバー群203の中から動作検証を行う2台の待機光トランシーバー1、2を選定する。そして、動作検証制御部105は、選定した待機光トランシーバー1、2に起動指示を行う(a1)。2台の待機光トランシーバーは動作検証制御部105からの起動指示に従って導通評価モードに移行する(a2、a3)。導通評価モードは、待機光トランシーバー1、2の間で導通時間評価を行うためのモードである。それぞれの待機光トランシーバーの送信側は、導通評価モードにおいてフレーム長の短いOTN(optical transport network)フレームを送出する手段を備える。待機光トランシーバーの受信側は、導通評価モードにおいてOTNフレームを受信し、受信したOTNフレームが正しく受信できたか判断する手段を備える。
【0049】
図5は、第1の実施形態の手順1における待機光トランシーバー1、2の接続関係を示す図である。動作検証制御部105は、図5に示すように待機光トランシーバー1と待機光トランシーバー2とがループバック光ファイバ109で接続されるように、光トランシーバー集約器104に対してパス設定指示を出す(a4)。この指示に基づいて、マトリクススイッチ102bは待機光トランシーバー1とループバック光ファイバ109とを接続する。また、この指示に基づいて、マトリクススイッチ102aはループバック光ファイバ109と待機光トランシーバー2とを接続する。
【0050】
(手順2)起動時間確認(待機光トランシーバー1→2)
起動時間301は、光トランシーバー集約器のパス設定時間と、待機光トランシーバーの起動時間から決まる全体の起動時間である。待機光トランシーバー2は、光信号を検知すると、その旨を動作検証制御部105に返信する。動作検証制御部105は、その返信を受信した時間と起動指示を出した時間との差分を求め、起動時間301を確認する(a5)。
【0051】
起動時間301が所定の時間内であれば、その旨をメモリに記録する。そして、次の手順3(a6)に進み導通時間の確認を実施する。
【0052】
起動時間301が所定の時間を越えている等の問題があった場合には、待機光トランシーバー1の送信器、待機光トランシーバー2の受信器または光トランシーバー集約器104の光路に問題がある可能性がある。この場合には、起動時間301の確認結果に問題があった旨をメモリに記録し、待機光トランシーバー1、2の動作検証を終了する。そして、次の待機光トランシーバーの動作検証へと移る(a21)。故障個所の検知は、動作検証終了後、故障検知制御部106により行われる。
【0053】
ここで、メモリとして例えば半導体メモリやハードディスク等の記憶装置が利用できるが、これらには限定されない。また、メモリが備えられる場所は特に制限はなく、例えば動作検証制御部105がメモリを備えていてもよい。
【0054】
(手順3)導通時間確認(待機光トランシーバー1→2)
手順3では、対向する待機光トランシーバー間が同期され導通が開始するまでの時間である導通時間302を確認する。手順1において、2台の待機光トランシーバー1、2は導通評価モードに設定されている。そして、受信側の待機光トランシーバー2ではOTNフレームが正常に受信されるかどうかを検査している。待機光トランシーバー2は、OTNフレームが一定回数連続して受信された場合には、導通確認信号を待機光トランシーバー2から動作検証制御部105へ送る。動作検証制御部105は、導通確認信号を受け取った時間と起動指示を出した時間との差分を求め、導通時間302を確認する(a6)。
【0055】
導通時間302が所定の時間内であれば、その旨をメモリに記録する。そして、手順4に進む。
【0056】
導通時間302が所定の時間を越える等の問題があった場合には、待機光トランシーバー1、2の少なくとも一方の同期回路に問題がある可能性がある。この場合、導通時間の確認結果に問題があった旨をメモリに記録し、待機光トランシーバー1、2の動作検証を終了する。そして、次の待機光トランシーバーの動作検証へと移る(a21)。故障個所の特定は、動作検証終了後、故障検知制御部106により行われる。
【0057】
(手順4)機能検証(待機光トランシーバ1→2)
動作検証制御部105は、2台の待機光トランシーバー1、2に対し、機能検証モードへの変更を通知する。その通知に基づいて、待機光トランシーバー1、2は機能検証モードへ移行し(a7、a8)、機能検証が実施される(a9)。第1の実施形態における機能検証は、以下の2種類である。第1の機能検証では、特定の“0”、“1”信号のテストパターンを用意し、その信号がエラーフリーで伝送できるかを検証する。第2の機能検証は、誤り訂正に関する機能検証である。第2の機能検証では、誤りを含むフレームをテストパターンとして用いて導通の確認を行い、受信側の光トランシーバー2においてエラー訂正機能が正しく動作しているかを検証する。
【0058】
手順4における機能検証に問題がなければ、その旨をメモリに記録する。そして、次の手順5に進み送信器と受信器とを切り替えて起動時間確認を実施する。
【0059】
手順4の機能検証で問題があった場合には、少なくとも一方の光トランシーバーの電気回路部に問題がある可能性がある。この場合は、機能検証結果に問題があった旨をメモリに記録し、待機光トランシーバー1、2の動作検証を終了する。そして、次の待機光トランシーバーの動作検証へと移る(a21)。故障個所の特定は、動作検証終了後、故障検知制御部106により行われる。
【0060】
(手順5)起動時間確認(待機光トランシーバー2→1)
手順5では、待機光トランシーバー2から待機光トランシーバー1への方向の新しいパスに対し、手順1と同様の手順を実施する。動作検証制御部105は、待機光トランシーバー1、2に対し、送信器と受信器とを切り替え、それぞれを導通評価モードとする指示を出す。そして、その指示に基づいて、待機光トランシーバー1、2は機能検証モードへ移行する(a10、a11)。このとき、待機光トランシーバー1の送信光はオフ状態に変更され、ネットワークに不要な光が漏れないようにされる。また、光トランシーバー集約器104に対し、待機光トランシーバー2から待機光トランシーバー1に向かうパスを設定する指示を出す。光トランシーバー集約器104はその指示に基づいて待機光トランシーバー2から待機光トランシーバー1に向かうパスを設定する(a12)。
【0061】
図6は、手順5において、待機光トランシーバー1、2の送信部と受信部とが切り替わった状態を示す図である。図6においては、待機光トランシーバー2の送信器が出力した光はマトリクススイッチ102b、ループバック光ファイバ109、マトリクススイッチ102aを経由して待機光トランシーバー1の受信器で受信される。
【0062】
その後、光トランシーバー集約器104のパス設定時間と、手順5と同様に測定された待機光トランシーバー1、2の起動時間とから決まる起動時間303が評価される。すなわち、受信側の光トランシーバー1は、光信号を検知すると、その旨を動作検証制御部105に返信する。動作検証制御部105は、その返信を受信した時間と起動指示を出した時間との差分を求め、起動時間303を確認する(a13)。
【0063】
起動時間303が所定の時間内であれば、その旨をメモリに記録する。そして、次の手順6(a14)に進み導通時間を確認する。起動時間303が所定の時間を越える等の問題があった場合には、待機光トランシーバー2の送信器、待機光トランシーバー1の受信器または光トランシーバー集約器104の光学部品に問題がある可能性がある。この場合、起動時間303の確認結果に問題があった旨をメモリに記録し、待機光トランシーバー1、2の動作検証を終了する。そして、次の待機光トランシーバーの動作検証へと移る(a21)。故障個所の特定は、動作検証終了後、故障検知制御部106により行われる。
【0064】
(手順6)導通時間確認(待機光トランシーバー2→1)
手順6では、待機光トランシーバー2から待機光トランシーバー1の方向に対して手順3と同様の検証を実施する。
【0065】
手順6では、待機光トランシーバー1、2への起動指示から、待機光トランシーバー2から待機光トランシーバー1への通信が同期され導通するまでの時間304を確認する。手順5において、2つの待機光トランシーバーは導通評価モードに設定されている。そして、受信側の待機光トランシーバー1ではOTNフレームが正常に受信できているかどうかをモニタしている。待機光トランシーバー1は、OTNフレームが一定回数連続して受信されたことを検知すると、導通確認信号を待機光トランシーバー1から動作検証制御部105へ送る。動作検証制御部105では、その導通確認信号を受け取った時間と起動指示を出した時間の差分を求め、導通時間304を確認する(a14)。
【0066】
導通時間304が所定の時間内であれば、その旨をメモリに記録する。そして、次の手順7へ進み機能検証を実施する。導通時間304の遅延が大きく、所定の時間を越える等の問題があった場合には、少なくとも一方の待機光トランシーバーの同期回路に問題がある可能性がある旨をメモリに記録し、待機光トランシーバー1、2の動作検証を終了する。そして、次の待機光トランシーバーの動作検証へと移る(a21)。故障個所の特定は、動作検証終了後、故障検知制御部106により行われる。
【0067】
(手順7)機能検証(待機光トランシーバー2→1)
新しい光パス(待機光トランシーバー2→1)に対し、手順4と同様の機能検証を実施する。
【0068】
動作検証制御部105は、待機光トランシーバー1、2に対して機能検証モードへの変更を通知する。その通知に基づいて待機光トランシーバー1、2は機能検証モードへ移行し(a15、a16)、機能検証が実施される(a17)。
【0069】
機能検証に問題がなければ、その旨をメモリに記録し、待機光トランシーバー1、2の機能検証を終了する。そして、次の待機光トランシーバーの動作検証に移る。
【0070】
一連の動作検証が終了すると、待機光トランシーバー1、2は、共に光出力が停止された待機モードで待機する(a18、a19)。光トランシーバー集約器104は、次に動作検証を行う待機光トランシーバー3、4のパスを設定する(a20)。
【0071】
機能検証で問題が発見された場合は、少なくとも一方の待機光トランシーバーの電気回路に問題がある可能性がある。この場合は、機能検証結果に問題があった旨をメモリに記録し、待機光トランシーバー1、2の動作検証を終了する。そして、動作検証終了後、故障検知制御部106により故障箇所が検出される。
【0072】
上記の手順1〜手順7の動作検証手順を待機光トランシーバー群203の全ての待機光トランシーバー1〜nに実施することで、待機光トランシーバー群203と光トランシーバー集約器104a、104bの動作検証が行われる。そして、動作検証結果に基づいて、新しいパスの立上げの際に故障が発見されていない光トランシーバーを選択することができる。
【0073】
次に故障検出制御について説明する。図7は、故障状態管理テーブルの例である。故障状態管理テーブルは、手順1〜7の過程でメモリに記録された動作検証結果に基づいて作成される。故障状態管理テーブルには、動作検証を行った待機光トランシーバーの番号と、送信側及び受信側について問題が発生した手順と問題の内容とを記録している。
【0074】
送信器と受信器とを対向させて行う動作検証では、送信器と受信器とのどちらで故障が起きているかを知ることが困難な場合がある。このため、たとえ一方の光トランシーバーのみが故障している場合でも、一旦は両方の光トランシーバーを故障として扱う必要があった。しかしながら、第1の実施の形態の光ノード装置100では、以下に示す故障検出手順により、いずれの光トランシーバーが故障しているか判断できる。また、マトリクススイッチ102aまたは102bが故障していることを検出することも可能である。その結果、光ノード装置100が備える光コンポーネントの故障個所の特定を効率的に行うことが可能となる。
【0075】
図8は、故障検出制御部106による故障箇所検出手順を示す図である。以下の説明において、s1〜s8は図8の各手順に対応する。
【0076】
図8において、まず初めに、故障状態管理テーブルから「異常」とされた光トランシーバーの有無を確認する(s1)。異常とされた光トランシーバーが存在する場合(s1:有)、異常とされた待機光トランシーバーの中から1台と、待機光トランシーバーの中から正常状態であることが判明している1台を選ぶ(s2、s3)。この2台の光トランシーバーにおいて手順1〜手順7で示した動作検証手順を再度実施する(s4)。
【0077】
この検証により問題が生じた場合(s5:有)は、異常状態の光トランシーバーが故障しているものとして、その光トランシーバーをパス設定の際の選択対象から削除する(s6)。一方、s4における動作検証において問題が生じなかった場合(s5:無)は、故障状態管理テーブルの記載を修正する(s7)。すなわち、s7では故障状態管理テーブル上で故障状態と記録されていた待機光トランシーバーの状態を、正常状態に修正する。
【0078】
その後、故障状態管理テーブル上に異常ありとされた待機光トランシーバーの有無の確認を繰り返す。そして、パス設定の際の選択対象から削除されていない待機光トランシーバーに「異常」状態が無くなった時(s1:無)、故障箇所検出制御を終了する(s8)。
【0079】
ここで、最初の動作検証において故障状態と判断された2台の待機光トランシーバーが、故障検出手順においていずれも正常と判断された場合(s7)について考える。このような場合には、動作検証の際の待機光トランシーバーには異常がなく、光トランシーバー集約器104a、104bの少なくとも一方が故障している可能性がある。例えば、マトリクススイッチ102aまたは102bの一部が故障しており、動作検証の際に形成されたパスにのみ影響が現れたような場合が相当する。
【0080】
このような場合、正常な待機光トランシーバーを用いてマトリクススイッチ102a、102bに設定されるパスを変えながら動作試験を行い、異常が発生する条件を調査することで、故障している光コンポーネント(待機光トランシーバーまたは光トランシーバー集約器102a、102b)あるいはその故障個所を絞り込むことが可能である。
【0081】
故障検出手順において故障と判断された光コンポーネントの情報は別途管理者に通知される。管理者は、故障検出制御の実行結果及び故障状態管理テーブルの異常個所の記載に基づいて、必要に応じて光コンポーネントを交換または修理する。光トランシーバーの交換または修理においても、故障検出手順の実行結果から送信器、受信器のどちらに故障が生じているか、あるいは光トランシーバー集約器102a、102bが故障しているかを知ることができる。このため、光トランシーバー及び光ノード装置で用いられる光コンポーネントの故障原因の調査、交換及び修理に要するコストが低減される。
【0082】
このように、第1の実施形態の光ノード装置は、待機中の光コンポーネントの動作検証と故障箇所の検知とを行うことができる。その結果、第1の実施形態の光ノード装置は、光ノード装置の信頼性及び利用効率を向上させることができるという効果を奏する。
【0083】
また、第1の実施形態の光ノード装置は、故障している光コンポーネントあるいはその故障個所を検知することが可能であるので、光ノードの故障調査に伴う運用費用を削減できるという効果も奏する。
【0084】
なお、第1の実施形態の光ノード装置100は、光トランシーバー群101を含まない構成としてもよい。
【0085】
さらに、第1の実施形態の光ノード装置は、以下のような最小構成でも実現される。すなわち、光ノード装置は、送信器が接続される少なくとも1つの第1のポートと、受信器が接続される少なくとも1つの第2のポートとを備える。そして、光ノード装置は、一部が第1のポートとのみ選択的に接続され、他の一部が第2のポートとのみ選択的に接続される少なくとも2つの第3のポートとを備える。さらに、光ノード装置は、第3のポートの2つである第6のポート及び第7のポートを接続する光伝送路と、を備える。そして、第1のポートの1つである第4のポートが第6のポートと、第2のポートの1つである第5のポートが第7のポートと、それぞれ接続可能に構成される。
【0086】
このような最小構成を備える光ノード装置は、第1のポートの1つである第4のポートに待機中の光トランシーバーの送信器を接続する。そして、第2のポートの1つである第5のポートに待機中の光トランシーバーの受信器を接続する。
【0087】
送信器、受信器及び光ノード装置をこのように接続することで、送信器が送信した光を光ノード装置を経由して受信器で受信することができる。
【0088】
すなわち、上記の最小構成を備える光ノード装置も、図1で説明した光ノード装置100と同様に、第1の実施形態の光ノード装置は、待機中の光コンポーネントの動作検証と故障箇所の検知とを行うことができる。その結果、最小構成を備える光ノード装置も、光ノード装置100と同様の効果を奏する。
【0089】
[第2の実施形態]
[構成の説明]
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0090】
図9は、本発明の第2の実施形態の光ノード装置の構成図である。図9を参照すると、第2の実施形態の光ノード装置200は、光トランシーバー集約器907a及び907b、ループバック光ファイバ904並びに光トランシーバー群901を備える。さらに、光ノード装置200は、動作検証制御部905及び故障検知制御部906を備える。
【0091】
光トランシーバー集約器907aは、合分波波長に周回性を有する周回性光波長多重合分波器903と、アグリゲーション/マルチキャスト機能を有するマトリクススイッチ902aと、波長可変選択フィルタ908とを備える。光トランシーバー集約器907bは、周回性光波長多重合分波器903と、アグリゲーション/マルチキャスト機能を有するマトリクススイッチ902bとを備える。
【0092】
アグリゲーション/マルチキャスト機能は、マトリクススイッチ902a、902bを光スプリッタあるいは光カップラーとして使用するための機能である。アグリゲーション/マルチキャスト機能により、マトリクススイッチに入力された光を複数の光路に分配したり、複数の光路の光を合流させたりすることが可能となる。
【0093】
光ノード装置200においては、周回性光波長多重合分波器903として非特許文献1に記載されているものと同様の周回性AWGを用いている。また、アグリゲーション/マルチキャスト機能を備えるマトリクススイッチ902a、902bとして、PLCで作成されたマッハツェンダー干渉計型スイッチによるマトリクススイッチを用いている。そして、マトリクススイッチ902a、902bは、マッハツェンダー干渉計型スイッチの中間状態を精密に制御することでアグリゲーション/マルチキャスト機能を実現することができる。
【0094】
周回性光波長多重合分波器903は、光ファイバ群側(合波側)に、接続される方路数分のポートを備えている。光ファイバ群側の各ポートは対応する方路によって光ネットワークに接続されている。そして、周回性光波長多重合分波器903の光トランシーバー群側(分波側)に各方路の波長多重数分のポートを備えており、光トランシーバー群側の各ポートはマトリクススイッチ902のネットワーク側のポートと接続されている。
【0095】
マトリクススイッチ902a、902bの光トランシーバー群側には、光ノード200における最大Add/Drop数のポートが備えられる。そして、マトリクススイッチ902a、902bの光トランシーバー群側には、光トランシーバー群901が接続される。ここで、Drop側にはマトリクススイッチ902aがマルチキャストした波長多重信号から任意の所望の波長を取り出すために、マトリクススイッチ902aと光トランシーバー群901との間に波長可変選択フィルタ908が配置される。
【0096】
マトリクススイッチ902a、902bの光ファイバ群側には、方路数に対して1ポート多いポートが備えられる。マトリクススイッチ902bとマトリクススイッチ902aとはループバック光ファイバ904によって互いに接続される。
【0097】
光ノード装置200は、使用されていない待機光トランシーバーの動作検証のための制御を行う動作検証制御部905及び故障検知制御部906を備える。動作検証制御部905は、光トランシーバー群及び光トランシーバー集約器907a、907bを制御する。故障検知制御部906は、動作検証の結果に基づいて故障個所の検知を行う。
【0098】
なお、光ノード装置200は、通常のAdd/Drop動作などを制御する既存の制御部を備えているが、Add/Drop動作を行うための構成は周知であり本願とは直接関連しないので図面への記載及び詳細な説明は省略する。
【0099】
第2の実施形態では、第1の実施形態と比較してさらにマトリクススイッチ902a、902bのサイズを小さく抑えることが可能である。たとえば、第1の実施形態と同様に方路数を3、各方路での波長多重数を50とし、Add/Drop率を最大20%とした光ノード装置を考える。第2の実施形態の光ノード装置200においては、周回性光波長多重合分波器903の光トランシーバー側の各ポートには、3本の方路に対応する3個の波長の光が多重されている。このため、周回性光波長多重合分波器903の光トランシーバー側のポート数は波長数150の3分の1である50でよい。その結果、マトリクススイッチ902a、902bのポート数は第1の実施形態では151×30であったのに対し、第2の実施形態では51×30と小さくできる。これは、周回性光波長多重合分波器903の光トランシーバー側のポートにも光信号が波長多重されるからである。従って、第2の実施形態では、第1の実施形態と比較して、さらに装置サイズの小型化とコストの低減とを実現することができる。
【0100】
[動作の説明]
第2の実施形態における待機光トランシーバー群に対する動作検証制御部905と故障検知制御部906の動作を以下に説明する。
【0101】
まず、動作検証制御でのスケジュール手段について述べる。図10に、第2の実施形態における待機光トランシーバー群の動作検証スケジュールを示す。図9に示した動作検証制御部905は、光トランシーバー集約器907a、907bに接続される待機光トランシーバー群(図10の1001)に対し、1台ずつ所定の時期に動作させ、光トランシーバーにおける光送受信器における送信器および受信器の動作検証処理を開始させるスケジューリング手段を備えている。
【0102】
動作検証制御部905は定期的に動作し、検証期間1002では1台の光トランシーバーの動作検証を行う。動作検証において問題が発見された場合、続いて故障検知制御部906により故障箇所の検知を行う。この動作を全ての待機光トランシーバーにおいて繰り返し実施する。なお、第2の実施形態において検証間隔1003は5分とした。第2の実施の形態のスケジュールでは、検証時には少なくとも1台の待機光トランシーバーの動作検証が実施される。
【0103】
新規に1本のパスを設定する必要が生じた場合には、少なくとも1台の光トランシーバーの動作が検証されていればよい。従って、第2の実施の形態においては、マトリクススイッチ902a、902bの設定により、1台のみの光トランシーバーを用いて動作検証用の光を送受信している。
【0104】
次に、図10に示したスケジュールにて待機光トランシーバーの動作検証を行う手順を図11及び図12を参照して説明する。
【0105】
図11は、図10に示した待機トランシーバー群1001の動作検証スケジュールから、待機光トランシーバー1と光トランシーバー集約器907a、907bそして、動作検証制御部905の時間ごとの状態遷移とコマンドの流れを取り出して示したものである。以下、光トランシーバー集約器907aと907bとを総称して光トランシーバー集約器907と記載する。また、図12は、図11に示した動作検証における制御手順を示す図である。以下に手順1〜手順7の手順を順に説明する。なお、以下の説明において、b1〜b10は図12のそれぞれの手順に対応する。
【0106】
(手順1)待機光トランシーバーの選定
動作検証制御部905は、待機光トランシーバー群1001の中から動作検証を行う1台の待機光トランシーバーを選定する。そして、動作検証制御部905は、手順1で選定した待機光トランシーバー1に起動指示を出す(b1)。待機光トランシーバー1は、動作検証制御部905からの起動指示に基づいて導通評価モードに移行する(b2)。導通評価モードは、第1の実施の形態と同様である。
【0107】
図13は、第2の実施形態における待機光トランシーバーの接続関係を示す図である。動作検証制御部905からは光トランシーバー集約器907に対し、図13に示す経路で待機光トランシーバー1の送信器の出力が待機光トランシーバー1の受信器で受信されるようにパスの設定指示を出す。マトリクススイッチ902a、902bは待機光トランシーバー1が送信した光がマトリクススイッチ902a、ループバック光ファイバ904、マトリクススイッチ902bを経由して待機光トランシーバー1で受信されるように経路を接続する(b3)。
【0108】
(手順2)起動時間確認
待機光トランシーバー1は、送信器が出力した光信号を受信器で検知した後、光信号を検知したことを動作検証制御部905に返信する。動作検証制御部905は、その返信を受信した時間と起動指示を出した時間の差分を求め、起動時間1101を確認する(b4)。
【0109】
起動時間1101が所定の時間内であれば、その旨をメモリに記録し、次の手順3の導通時間確認を実施する。起動時間1101が所定の時間を越える場合は、待機光トランシーバー1の送信器、受信器または光トランシーバー集約器の光学部品に問題があるとして起動時間の確認結果をメモリに記録し、動作検証終了後故障検知制御部906による故障箇所の検知を行う(b10)。
【0110】
(手順3)導通時間確認
第1の実施形態における手順3と同様に、導通時間1102を確認する。待機光トランシーバー1の受信器でOTNフレーム受信が一定回数連続して受信されたことを検知した後、待機光トランシーバー1は、導通確認信号を動作検証制御部905へ送る。動作検証制御部905では、その導通確認信号を受け取った時間と起動指示を出した時間との差分を求め、導通時間1102を確認する(b5)。
【0111】
導通時間1102が所定の時間内であれば、その旨をメモリに記録し、手順4の動作検証を実施する。導通時間1102が所定の時間を越える場合は、待機光トランシーバー1の同期回路に問題がある可能性があるとして導通時間の確認結果をメモリに記録し、故障検知制御部906により故障箇所の検知を行う(b10)。
【0112】
(手順4)機能検証
動作検証制御部905は、待機光トランシーバー1に対し、機能検証モードへの変更を通知する(b6)。その通知に基づいて、待機光トランシーバー1は機能検証モードへ移行し、動作検証制御部905によって機能検証が実施される(b7)。第2の実施形態における機能検証では、第1の実施形態の手順4で示した2種類の機能検証に加えて、待機光トランシーバー1及び波長可変選択フィルタ908の波長可変制御検証が実施される。第1の実施形態の手順4で示した2種類の機能検証については、送受信する待機光トランシーバーが同一であること以外は第2の実施形態でも同様であるので説明を省略する。
【0113】
波長可変制御検証は、待機光トランシーバー1とそれに接続されている波長可変選択フィルタ908の波長可変特性を検証するものである。図14に波長可変制御の検証手順を示す。波長可変選択フィルタ908と待機光トランシーバー1の送信器の待機時の設定波長は光ノード装置200の既定値として決められている。第2の実施形態においては、待機時の設定波長は、使用する波長帯域の中心波長λcにて設定されている。手順2及び手順3で実施する起動時間及び導通時間の検証並びに機能検証は、この初期波長λcにて実施されてもよい。
【0114】
波長可変検証においては、図14に示すように、まず波長可変選択フィルタ908の透過波長をλcから評価用の波長λxに変更する(s21)。波長可変選択フィルタ908の透過波長が変更されたことにより受信器で受信される光が遮断されたことを確認する(s22、s23)。s23で光が遮断されていない場合は波長可変選択フィルタ908が故障しているものと判断する(s30)。
【0115】
その後、待機光トランシーバー1の波長をλcから評価用のλxに変更する(s24)。s23で光が遮断されていた場合は、受信器で光が再び検知されることを確認する(s25、s26)。光が検知されれば異常はないと判断し(s27)、波長可変選択フィルタ908及び待機光トランシーバー1の設定波長をλxからλcに変更する(s28)。s26で光が検知されない場合は待機光トランシーバー1が故障していると判断する(s29)。これにより、待機光トランシーバー1と波長可変フィルタ908との波長可変機能の機能検証及び故障個所の検知を行うことができる。
【0116】
1台の待機光トランシーバーの動作検証を実施して問題がなければ、光トランシーバー1と波長可変選択フィルタ908の波長はλxからλcへ戻され、送信器は光出力を停止した待機モードで待機する(b8)。光トランシーバー集約器907は、次に動作検証を行う待機光トランシーバー2の光パスを設定する(b9)。なお、待機光トランシーバーの動作検証を実施して問題がなければ、故障検知制御部906を起動することなく、待機光トランシーバー2への動作検証に移ってもよい。
【0117】
手順4の機能検証で問題が生じた場合は、待機光トランシーバー1の電気回路が故障している可能性がある旨をメモリに記録し、故障検知制御部906により故障箇所の検知を行う(b10)。
【0118】
このように、第2の実施形態では、光トランシーバー集約器907aが本来備える波長可変選択フィルタ908を動作検証のために活用することで、光ノード装置のコストを上昇させることなく光トランシーバー902a、902b及び波長可変選択フィルタ908の動作検証を行うことができる。
【0119】
なお、第1の実施形態においても、波長可変選択フィルタ908を別途用意することで第2の実施形態と同様な波長可変制御の検証が可能である。
【0120】
次に、故障検知制御部906が行う故障検出制御について説明する。図15に故障検出制御部による故障箇所検出制御手順を示す。
【0121】
図15において、動作検証において異常が確認された場合(s31:異常有)、正常な光トランシーバーを1台選定する(s32)。ここでは、故障が検出された待機光トランシーバー1よりも以前に評価して問題のなかった待機光トランシーバーを選ぶ。そして、故障が検出された待機光トランシーバー1と正常な待機光トランシーバーとの2台の光トランシーバーを対向させて、第1の実施形態の手順1〜手順7の動作検証及び故障検出手順を実施する(s33)。この検証により光ノード装置内の故障した光コンポーネントの故障箇所を検知する。
【0122】
待機光トランシーバー1に再度異常が確認された場合は、待機光トランシーバー1がノードで使われないように、待機光トランシーバー1をパス設定の際の選択対象から削除する(s34)。そして、別の待機中の光トランシーバーの動作検証を図10のスケジュール及び図12の動作検証フローに従って引き続き実施する(s35)。なお、動作検証において問題が生じなかった場合は、故障箇所検出手順を行わず、別の待機中の光トランシーバーの動作検証を行う(s35)。
【0123】
ここで、動作検証において故障状態と判断された待機光トランシーバー1が、故障検出手順において正常と判断された場合について考える。このような場合には、待機光トランシーバー1には異常がなく、光トランシーバー集約器907a、907bの少なくとも一方が故障している可能性がある。例えば、マトリクススイッチ902a、902bを構成するMEMSの一部が故障しており、動作検証の際に形成されたパスにのみ故障の影響が現れたような場合が相当する。
【0124】
このような場合、待機光トランシーバーを用いてマトリクススイッチ902a、902bに設定されるパスを変えながら動作試験を行い、異常が発生する条件を調査することで、故障している光コンポーネントあるいはその故障個所を絞り込むことが可能である。故障と判断された光コンポーネントの情報は別途管理者に通知され、必要に応じて交換あるいは修理される。
【0125】
第2の実施形態では、1台ずつ待機光トランシーバーの動作検証及び故障個所の検知を実施する。このため、動作検証による故障個所がより容易に調査できるので、故障した光コンポーネントの交換または修理に必要なコストが低減される。また、第2の実施形態では、他の全ての待機光トランシーバーの動作検証結果を故障状態管理テーブルに記録しておく必要がない。従って、故障状態管理テーブルのためのメモリの使用量を削減できる。
【0126】
また、第2の実施形態の光ノード装置は、このように1台の光トランシーバーのみを用いて動作検証を実施することで、動作検証制御部905及び故障検知制御部906の構成をより簡単にできるという効果がある。第1の実施形態では動作検証制御部105において2台の光トランシーバーの管理を行う必要があった。これに対して、第2の実施形態では、動作検証中に動作検証制御部905が管理する光トランシーバーは1台のみでよい。その結果、第2の実施形態では、第1の実施形態と比較して、動作検証制御部905が行う制御が単純化され、動作検証制御部905のコスト減、消費電力低減が可能となる。なお、故障箇所を管理者に示すために管理テーブルを用意して故障内容を記録してもよい。
【0127】
以上説明したように、第2の実施形態の光ノード装置は、周回性光波長多重合分波器を用いることで、第1の実施形態の効果に加えて、更なる小型化・低コスト化が可能なであるという効果を奏する。
【0128】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の光ノード装置の構成は図9に示した第2の実施形態の光ノード装置200と同じであるが、待機光トランシーバーに対するスケジュール管理が異なる。
【0129】
図16に、第3の実施形態での動作検証制御部と待機光トランシーバー群のスケジュールを示す。待機光トランシーバー群1601は、待機光トランシーバー1〜16からなる。待機光トランシーバー1〜16に対するスケジュール管理は第2の実施形態とは異なっているが、第3の実施形態の光ノードの構成は第2の実施形態と同様であるので、以下においては図9を参照して構成を説明する。
【0130】
図17は、光ノード装置200の、第3の実施形態における動作を説明するための図である。光ノード装置200は、同時に複数の待機光トランシーバーの動作検証を行う際に、図17に示すように、マトリクススイッチ902a、902bのアグリゲーション/マルチキャスト機能を用いている。アグリゲーション/マルチキャスト機能により、複数の波長の光をマトリクススイッチ902bで合流させ、マトリクススイッチ902aで分岐させることが可能である。波長可変選択フィルタ908は、マトリクススイッチ902aで分岐された光のうち、それぞれの待機光トランシーバーの受信器が受信しようとする波長のみを透過する。
【0131】
このため、動作検証を行う際には、図17にλa、λbとして示されているように、待機光トランシーバーの設定波長は互いに重ならないように設定される。すなわち、動作検証制御部905は、同時に動作検証を行う待機光トランシーバーの送受信波長をそれぞれ異なるように設定する。
【0132】
動作検証制御部905は定期的に待機光トランシーバーの動作検証を行う。そして、動作検証制御部905は、動作検証を行う動作期間1602では同時に8台の待機光トランシーバーの動作検証を行う。第3の実施形態における動作検証は、第2の実施形態と同様に1台ずつ、それぞれの待機光トランシーバーの送信器と受信器との間で実施される。動作検証において問題が生じた場合、第2の実施形態と同様に故障検知制御部906により故障箇所の検知を行う。この動作を全ての待機光トランシーバーにおいて繰り返し実施する。なお、第3の実施形態では、動作検証間隔を20分とし、検証を行わない待機期間1603を40分とすることで、1時間毎に8台の待機光トランシーバーの動作検証が行われるとした。
【0133】
このようにそれぞれの待機光トランシーバーの送信器と受信器との間を接続し、さらに、複数台の待機光トランシーバーの動作検証を一括して実施することで、評価時間を短縮できる。その結果、第3の実施形態は、第1の実施形態と比較して、さらに待機時間を長く取ることが可能となる。そして、待機期間中の動作検証制御部は、使用しない機能の動作を停止することで、電力消費を抑えることができる。さらに、待機期間をさらに長く取ることが可能となることにより、待機光トランシーバーにおいても起動時間がより長い機能部を停止しておくことが可能となり、さらに高い省電力効果を得ることができる。
【0134】
なお、同時に動作検証する待機光トランシーバーの数は8台以下が望ましい。光ノード装置200は、同時に複数の待機光トランシーバーの動作検証を行う際に、図17に示すように、マトリクススイッチ902a、902bのアグリゲーション/マルチキャスト機能を用いている。このアグリゲーション/マルチキャスト数Nを増やしていくと、マトリクススイッチ902の分岐損失はマトリクススイッチ1台あたり−10log(1/N)dBとなる。光トランシーバー間での動作検証を行うためには、待機光トランシーバー間の損失は20dB以下であることが望ましい。この場合、2台のマトリクススイッチや波長可変選択フィルタの過剰損失を含めた損失が、20dB以下である必要があり、そのためにはNは8以下であることが好ましい。ただし、第3の実施形態の効果は、マトリクススイッチ902の損失が大きい場合でも失われるものではない。
【0135】
[第4の実施形態]
図20は、本発明の第4の実施形態の光ノード装置の構成例を示す図である。光ノード装置900は、光スプリッタ2004、2007及び2008、WSS2006、波長ブロッカー2005、光トランシーバー集約装置2003を備える。光トランシーバー集約装置2003は、光トランシーバー集約器2002a及び2002bを備える。また、光トランシーバー集約器2002a、2002bには、複数の光トランシーバーからなる光トランシーバー群2001が接続されている。
【0136】
光ノード装置900は、方路1及び方路2のそれぞれの接続点に光スプリッタ2007及びWSS2006を備えている。光スプリッタ2007は、ある方路(例えば方路1)から受信する光を他の方路(例えば方路2)と光トランシーバー集約装置2003側とに分岐する。
【0137】
ここで、各方路が直接接続されるようにWSS2006を設定することにより、光ノード装置900は、光ノードでAdd/Dropを行わないチャネルを光信号のままある方路から他の方路へ通過させる(光カットスルー)。光カットスルー機能により、光ノード装置が備える光トランシーバーの数を抑制することができる。
【0138】
光トランシーバー集約器2002a及び2002bは例えばマトリクススイッチである。光トランシーバー集約器2002aは、光スプリッタ2007で分岐された方路1及び方路2からの光が所定の光トランシーバーで受信(Drop)されるように内部の経路を接続する。
【0139】
ここで、光スプリッタ2004及び2008は、図20に示すように、ループバック光ファイバ2009によって同一の方路の分岐側で互いに接続されている。このように接続することで、光トランシーバーが送信した光をループバックさせる経路を方路毎に構成することが可能である。ループバックの経路は、光トランシーバーの送信器、光トランシーバー集約器2002b、光スプリッタ2004、ループバック光ファイバ2009、光スプリッタ2008、光トランシーバー集約器2002a、光トランシーバーの受信器、の順となる。ここで波長ブロッカーは、また、検証用の光のエネルギーがネットワーク側に漏れないようにするために設けられている。また、光スプリッタ2004に代えて、光スイッチを用いてもよい。
【0140】
このような構成を備える光ノード装置900は、光トランシーバーで送受信される光が光トランシーバー集約器2002a及び2002b、光スプリッタ2004及び2008を通過するように動作検証のための経路が設定される。
【0141】
そして、光トランシーバー群2001から2台の待機光トランシーバーを選択し、上述の動作検証のための経路を用いて第1の実施形態で説明した手順と同様の動作検証を行うことができる。光トランシーバーの送受信に異常があった場合には、待機光トランシーバーまたは動作検証の経路上に異常があることを発見できる。また、第1の実施形態で説明したように、異常が発見された待機光トランシーバーと正常な待機光トランシーバーとを対向させて動作試験を行うことにより、故障個所が光トランシーバーであるかあるいはそれ以外の光コンポーネントであるかを検知することが可能である。
【0142】
すなわち、第4の実施形態の光ノード装置も、第1の実施形態の光ノード装置と同様の、以下の効果を奏する。
【0143】
すなわち、第4の実施形態の光ノード装置は、信頼性の高い光ノード装置を実現できるという効果を奏する。
【0144】
さらに、第4の実施形態の光ノード装置は、故障している光コンポーネントあるいはその故障個所を検知することが可能であるので、光ノードの故障調査に伴う運用費用を削減できるとともに、光コンポーネントの交換及び修理時間の短縮により光ノードの利用効率が向上するという効果を奏する。
【0145】
なお、第1から第3の実施形態で説明した光ノード装置100及び200も、第4の実施形態で説明した光カットスルー機能を備えていてもよい。すなわち、光ノード装置100及び200も、図20に記載した各方路の入口または出口に配置された光スプリッタ2007及びWSS2006を配置した構成を備えていてもよい。この構成を備えることにより、光ノード装置100及び200においても、光カットスルー機能が実現される。
【0146】
以上、第1〜第4の実施形態について説明したが、これらは本発明の代表的な実施形態に過ぎず、各実施の形態で示した要素の組み合わせや、紹介した要素に類似の構成を用いて課題を解決してもよい。
【0147】
例えば、各実施形態で示した光トランシーバーは、中継器である光トランスポンダーでも良い。また、ループバック用光ファイバは2本あるいは以上あっても良い。さらに、各実施形態で示した動作検証スケジュールは一例であり、その他のスケジュールでも可能である。例えば、検証結果に高い信頼性が必要なネットワークを構築している場合、より高い頻度で検証を実施してもよい。あるいは、常時いずれかの待機光トランシーバーの動作検証が実施されるスケジュールとすることもできる。
【0148】
また、第2及び第3の実施形態においては、故障している可能性のある光トランシーバーが動作検証の時点で特定できる。このため、動作検証で異常が認められた場合には動作試験中の光トランシーバーの故障であると判断してもよい。この場合、故障箇所検知手段を省略することが可能であるので、第2及び第3の実施形態の光ノード装置において、さらに制御が単純化されコストが低減されるという効果を奏する。
【0149】
なお、本願の実施形態は以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
[付記1]
送信器が接続される少なくとも1つの第1のポートと、
受信器が接続される少なくとも1つの第2のポートと、
一部が前記第1のポートとのみ選択的に接続され、他の一部が前記第2のポートとのみ選択的に接続される少なくとも2つの第3のポートと、
前記第3のポートの2つである第6のポート及び第7のポートを接続する光伝送路と、
を備え、
前記第1のポートの1つである第4のポートが前記第6のポートと、前記第2のポートの1つである第5のポートが前記第7のポートと、それぞれ接続可能に構成される、光ノード装置。
【0150】
[付記2]
前記第1のポートと、前記第1のポートとのみ選択的に接続される前記第3のポートと、を備える第1の光トランシーバー集約器、及び、
前記第2のポートと、前記第2のポートとのみ選択的に接続される前記第3のポートと、を備える第2の光トランシーバー集約器と、
を備える、付記1に記載された光ノード装置。
【0151】
[付記3]
前記第1の光トランシーバー集約器は前記第3のポートに合波側ポートが接続される第1の光波長多重合分波器を備え、
前記第2の光トランシーバー集約器は前記第3のポートに合波側ポートが接続される第2の光波長多重合分波器を備える、
付記2に記載された光ノード装置。
【0152】
[付記4]
前記送信器及び前記受信器を選択し、選択された前記送信器及び前記受信器を前記第4のポート及び前記第5のポートにそれぞれ接続し、前記送信器、前記受信器、前記第1の光トランシーバー集約器及び前記第2の光トランシーバー集約器の動作検証を行う動作検証制御部をさらに備える、付記2又は3に記載された光ノード装置。
【0153】
[付記5]
前記第5のポートと前記受信器との間に透過波長を設定可能な可変波長選択器をさらに備え、
前記第1の光トランシーバー集約器は前記第1のポートに入力された複数の光を合流させて前記第6のポートに出力するアグリゲーション機能を備え、
前記第2の光トランシーバー集約器は前記第7のポートに入力された光を分岐させて前記第2のポートに出力するマルチキャスト機能を備え、
前記第1及び第2の光波長多重合分波器は波長周回性を備える、付記3に記載された光ノード装置。
【0154】
[付記6]
前記送信器及び前記受信器を選択し、選択された前記送信器及び前記受信器を前記第4のポート及び前記第5のポートにそれぞれ接続し、前記送信器、前記受信器、前記第1の光トランシーバー集約器及び前記第2の光トランシーバー集約器の動作検証を行い、前記可変波長選択器の透過波長と前記光送信機の送信波長とを変化させて、前記可変波長選択器の波長可変特性及び前記送信機の波長可変特性を検証する動作検証制御部を備える、付記5に記載された光ノード装置。
【0155】
[付記7]
前記第1の光トランシーバー集約器が備える前記第3のポートから出力される光を2以上に分岐し、前記分岐した一の光を前記光伝送路に出力し、前記分岐した他の光をネットワークに出力する光分岐器と、
前記ネットワークから自光ノード宛に伝送された光と前記光伝送路を伝送された光とを結合して前記第2の光トランシーバー集約器が備える前記第3ポートのいずれかのポートに入力する光結合器と、
をさらに備える付記2に記載された光ノード装置。
【0156】
[付記8]
前記送信器及び前記受信器の少なくとも一方は送信機能及び受信機能を備える光トランシーバーである、付記1乃至7のいずれかに記載された光ノード装置。
【0157】
[付記9]
前記動作検証制御部は所定の動作検証期間中に複数の前記送信機及び前記受信器に対し逐次動作検証を実施する、付記4又は6に記載された光ノード装置。
【0158】
[付記10]
前記動作検証制御部は所定の動作検証期間中に各1台の前記送信器及び前記受信器に対し動作検証を実施する、付記4又は6に記載された光ノード装置。
【0159】
[付記11]
前記送信器及び前記受信器の少なくとも一方は待機時に一部の機能を停止する複数の待機モードを備え、
前記動作検証制御部は前記待機モードのうちより高速に起動が可能な待機モードで待機している前記送信器又は前記受信器に対してのみ動作検証を実施する、付記4、6、9及び10のいずれかに記載された光ノード装置。
【0160】
[付記12]
前記動作検証制御部はネットワークの使用状況に応じて所定の時間に前記動作検証を実施する、付記4、6、9乃至11のいずれかに記載された光ノード装置。
【0161】
[付記13]
前記動作検証制御部は前記光トランシーバーの起動時間を検証する機能を備える、付記4、6、9乃至12のいずれかに記載された光ノード装置。
【0162】
[付記14]
前記動作検証で故障が検知された前記送信器又は前記受信器と前記動作検証で故障が検知されなかった前記送信器又は前記受信器との間でさらに動作検証を実施する故障検知制御部を備える、付記4、6、9乃至13のいずれかに記載された光ノード装置。
【0163】
[付記15]
前記動作検証制御部は、所定の動作検証期間中に前記送信器及び前記受信器を備える光トランシーバーを選択し前記動作検証を実施する、付記4、6、9乃至14に記載された光ノード装置。
【0164】
[付記16]
一部が送信器が接続される少なくとも1つの第1のポートとのみ選択的に接続され他の一部が受信器が接続される少なくとも1つの第2のポートとのみ選択的に接続される第3のポートの2つである第6のポートと第7のポートとを光伝送路で接続し、
前記第1のポートの1つである第4のポートと前記第6のポートとを接続し、
前記第2のポートの1つである第5のポートと前記第7のポートとを接続する、光ノード装置の制御方法。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の活用例として、以下の2つが考えられる。1つは、光通信ネットワークのコアやメトロ領域での光ノードへの適用である。もう1つは、データセンターやスーパーコンピュータなどの光トランシーバーを用いる大規模装置への適用である。
【符号の説明】
【0166】
100、200、800、900 光ノード装置
101、901、1801、1901、2001 光トランシーバー群
102a、102b マトリクススイッチ
1801a〜1801g 光トランシーバー
104a、104b、907a、907b、1804、1902a、1902b、2002a、2002b 光トランシーバー集約器
103 波長多重合分波器
109、904、2009 ループバック光ファイバ
105、905 動作検証制御部
106、906 故障検知制御部
201、1002、1602 検証期間
202、1003、1603 待機期間
203、1001、1601 待機光トランシーバー群
301、303 起動時間
302、304 導通時間
902a、902b、1802 マトリクススイッチ
903、1803 周回性光波長多重合分波器
908 波長可変選択フィルタ
1805 光ファイバ群
1903、2003 光トランシーバー集約装置
1906、2006 WSS
1907、2004、2007、2008 光スプリッタ
2005 波長ブロッカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信器が接続される少なくとも1つの第1のポートと、
受信器が接続される少なくとも1つの第2のポートと、
一部が前記第1のポートとのみ選択的に接続され、他の一部が前記第2のポートとのみ選択的に接続される少なくとも2つの第3のポートと、
前記第3のポートの2つである第6のポート及び第7のポートを接続する光伝送路と、
を備え、
前記第1のポートの1つである第4のポートが前記第6のポートと、前記第2のポートの1つである第5のポートが前記第7のポートと、それぞれ接続可能に構成される、光ノード装置。
【請求項2】
前記第1のポートと、前記第1のポートとのみ選択的に接続される前記第3のポートと、を備える第1の光トランシーバー集約器、及び、
前記第2のポートと、前記第2のポートとのみ選択的に接続される前記第3のポートと、を備える第2の光トランシーバー集約器と、
を備える、請求項1に記載された光ノード装置。
【請求項3】
前記第1の光トランシーバー集約器は前記第3のポートに合波側ポートが接続される第1の光波長多重合分波器を備え、
前記第2の光トランシーバー集約器は前記第3のポートに合波側ポートが接続される第2の光波長多重合分波器を備える、
請求項2に記載された光ノード装置。
【請求項4】
前記送信器及び前記受信器を選択し、選択された前記送信器及び前記受信器を前記第4のポート及び前記第5のポートにそれぞれ接続し、前記送信器、前記受信器、前記第1の光トランシーバー集約器及び前記第2の光トランシーバー集約器の動作検証を行う動作検証制御部をさらに備える、請求項2又は3に記載された光ノード装置。
【請求項5】
前記第5のポートと前記受信器との間に透過波長を設定可能な可変波長選択器をさらに備え、
前記第1の光トランシーバー集約器は前記第1のポートに入力された複数の光を合流させて前記第6のポートに出力するアグリゲーション機能を備え、
前記第2の光トランシーバー集約器は前記第7のポートに入力された光を分岐させて前記第2のポートに出力するマルチキャスト機能を備え、
前記第1及び第2の光波長多重合分波器は波長周回性を備える、請求項3に記載された光ノード装置。
【請求項6】
前記送信器及び前記受信器を選択し、選択された前記送信器及び前記受信器を前記第4のポート及び前記第5のポートにそれぞれ接続し、前記送信器、前記受信器、前記第1の光トランシーバー集約器及び前記第2の光トランシーバー集約器の動作検証を行い、前記可変波長選択器の透過波長と前記光送信機の送信波長とを変化させて、前記可変波長選択器の波長可変特性及び前記送信機の波長可変特性を検証する動作検証制御部を備える、請求項5に記載された光ノード装置。
【請求項7】
前記第1の光トランシーバー集約器が備える前記第3のポートから出力される光を2以上に分岐し、前記分岐した一の光を前記光伝送路に出力し、前記分岐した他の光をネットワークに出力する光分岐器と、
前記ネットワークから自光ノード宛に伝送された光と前記光伝送路を伝送された光とを結合して前記第2の光トランシーバー集約器が備える前記第3ポートのいずれかのポートに入力する光結合器と、
をさらに備える請求項2に記載された光ノード装置。
【請求項8】
前記送信器及び前記受信器の少なくとも一方は待機時に一部の機能を停止する複数の待機モードを備え、
前記動作検証制御部は前記待機モードのうちより高速に起動が可能な待機モードで待機している前記送信器又は前記受信器に対してのみ動作検証を実施する、請求項4又は6に記載された光ノード装置。
【請求項9】
前記動作検証で故障が検知された前記送信器又は前記受信器と前記動作検証で故障が検知されなかった前記送信器又は前記受信器との間でさらに動作検証を実施する故障検知制御部を備える、請求項4、6及び8のいずれかに記載された光ノード装置。
【請求項10】
一部が送信器が接続される少なくとも1つの第1のポートとのみ選択的に接続され他の一部が受信器が接続される少なくとも1つの第2のポートとのみ選択的に接続される第3のポートの2つである第6のポートと第7のポートとを光伝送路で接続し、
前記第1のポートの1つである第4のポートと前記第6のポートとを接続し、
前記第2のポートの1つである第5のポートと前記第7のポートとを接続する、光ノード装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−5388(P2013−5388A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137550(P2011−137550)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「グリーンネットワーク・システム技術研究開発プロジェクト(グリーンITプロジェクト)/社会インフラとしてのネットワークのモデル設計と総合評価」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】