説明

光ファイバアップジャケット用放射線硬化型液状樹脂組成物

【課題】 隣接被覆層との剥離性に優れ、光ファイバアップジャケット用材料に適した樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 次の(A)成分〜(E)成分:
(A)ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、
(B)単官能性放射線硬化性モノマー、
(C)多官能性放射線硬化性モノマー、
(D)平均粒子径が0.1〜100μmの無機粒子またはポリマー粒子 5〜60質量%、
(E)平均分子量1000以上のポリオールまたはシリコーン化合物 1〜20質量%
を含有する光ファイバアップジャケット用放射線硬化型液状樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ素線の表面に塗布後硬化して使用するアップジャケット用放射線硬化型液状樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの製造においては、ガラスファイバを熱溶融紡糸し、保護補強を目的として樹脂被覆が施されている。この過程を線引きと称し、樹脂被覆としては、光ファイバの表面にまず柔軟な第一次の被覆層を設け、その外側に剛性の高い第二次の被覆層を設けた構造が知られている。また、これらの樹脂被覆を施された光ファイバ素線を実用に供するため平面上に複数並べて結束材料で固めテープ状被覆層を設けた構造が知られている。この第一次の被覆層を形成するための樹脂組成物をソフト材、第二次の被覆層を形成するための樹脂組成物をハード材、テープ状の被覆層を形成するための樹脂組成物をテープ材と称している。
【0003】
光ファイバ素線の外径は通常250μm程度であるが、手作業による作業性を改善する目的で、この外周をさらに別の樹脂層で被覆して外径を500μm程度に増大させることが行われている。このような樹脂被覆層を通常アップジャケット層という。また、アップジャケット層を有する光ファイバ素線を通常光ファイバアップジャケット心線という。アップジャケット層自体は光学的特性を要するものではないため、特に透明性は必要とされず、着色を付して目視による識別性を付与することもある。アップジャケット層は、光ファイバ素線の結線作業等を行う場合に、容易に、かつ、下層にある一次被覆層や二次被覆層を破損させずに剥離できることが重要な特性である。
【0004】
このようなアップジャケット層を含めた光ファイバ用被覆材として用いられる硬化性樹脂には、塗布性に優れ高速で線引き可能なこと;十分な強度、柔軟性を有すること;耐熱性に優れること;耐候性に優れること;酸、アルカリなどに対する耐性に優れること;耐油性に優れていること;吸水、吸湿性が低いこと;耐候性に優れていること水素ガス発生量が少ないこと;液状で保存安定性が良好なことなどの特性が要求されている。
【0005】
しかし、従来のアップジャケット用材料では、アップジャケット層がその上層であるテープ材層や下層である一次被覆層や二次被覆層と強固に接着しているため、テープ層を剥離して光ファイバアップジャケット心線を露出させる際にアップジャケット層が破損したり、光ファイバアップジャケット心線からアップジャケット層を剥離させる際に一次被覆層や二次被覆層を破損させることが多かった。このため、光ファイバの接続作業の作業性が低下しているという問題があった。
【0006】
かかる剥離性を改善したアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物としては、3種類のポリシロキサン化合物を配合した組成物(特許文献1)、および樹脂材料中に有機または無機材料からなる粒子を配合した組成物(特許文献2、3)が報告されている。
【特許文献1】特開平10−287717号公報
【特許文献2】特開平9−324136号公報
【特許文献3】特開2000−273127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記組成物により形成されたアップジャケット層の剥離性は十分とはいえなかった。
本発明の目的は、光ファイバ被覆材としての機能に優れ、かつ隣接被覆層を破損させることなく隣接被覆層との剥離性に優れた光ファイバアップジャケット用放射線硬化型液状樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者はウレタン(メタ)アクリレートを含有する放射線硬化型液状樹脂組成物に種々の成分を配合して、その硬化物の光ファイバアップジャケット層としての機能および剥離性について検討してきたところ、ウレタン(メタ)アクリレートに、単官能性モノマー、多官能性モノマー、0.1〜100μmの粒子および一定の分子量を有するポリオールまたはシリコーン化合物を組み合せて配合すれば、かかる目的が達成できることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は次の(A)成分〜(E)成分:
(A)ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、
(B)単官能性放射線硬化性モノマー、
(C)多官能性放射線硬化性モノマー、
(D)平均粒子径が0.1〜100μmの無機粒子またはポリマー粒子 5〜60質量%、
(E)平均分子量1000以上のポリオールまたはシリコーン化合物 1〜20質量%
を含有する光ファイバアップジャケット用放射線硬化型液状樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明樹脂組成物により得られる光ファイバアップジャケット層は、十分な強度、耐候性等の機能を有し、その剥離性に優れ、さらに作業環境が変化しても剥離性が低下しないことから、光ファイバ接続作業の作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより製造される。すなわち、ポリイソシアネートのイソシアネート基を、ポリオールの水酸基および水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と、それぞれ反応させることにより製造される。
【0012】
この反応としては、例えばポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法;ポリオールおよびポリイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールを反応させる方法;ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールを反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法等が挙げられる。
【0013】
ここで好ましく用いられるポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールおよびその他のポリオールが挙げられる。これらのポリオールの各構造単位の重合様式には特に制限されずランダム重合、ブロック重合、グラフト重合のいずれであってもよい。ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールあるいは二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られる脂肪族ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸、あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルポリオールを使用することもできる。上記二種以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組み合わせとしては、例えばテトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブテン−1−オキシド、エチレンオキシドの3元重合体等を挙げることができる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状の結合をしていてもよい。
【0014】
これらの脂肪族ポリエーテルポリオールは、例えばPTMG650、PTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学製)、PPG−400、PPG1000、PPG2000、PPG3000、EXCENOL720、1020、2020(以上、旭硝子ウレタン製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL2000(以上、保土谷化学製)、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000A、PBG2000B(以上、第一工業製薬製)等の市販品としても入手することができる。
【0015】
さらに、ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ポリオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ナフトハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、アントラハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、1,4−シクロヘキサンポリオールおよびそのアルキレンオキサイド付加ポリオール、トリシクロデカンポリオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンポリオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等の環式ポリエーテルポリオールが挙げられる。これらの中で、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。これらのポリオールは、例えばユニオールDA400、DA700、DA1000、DB400(以上、日本油脂製)、トリシクロデカンジメタノール(三菱化学製)等の市販品として入手することもできる。その他、環式ポリエーテルポリオールとしては、キレンオキシド付加ポリオール、ビスフェノールFのアルキレノキシド付加ポリオール、1,4−シクロヘキサンポリオールのアルキレノキシド付加ポリオールなどが挙げられる。
【0016】
ポリエステルポリオールとしては、例えば二価アルコールと二塩基酸とを反応して得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。上記二価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンポリオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンポリオール、1,9−ノナンポリオール、2−メチル−1,8−オクタンポリオール等が挙げられる。二塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等の二塩基酸を挙げることができる。市販品としてはクラポールP−2010、PMIPA、PKA−A、PKA−A2、PNA−2000(以上、クラレ製)等が入手できる。
【0017】
また、ポリカーボネートポリオールとしては、例えばポリテトラヒドロフランのポリカーボネート、1,6−ヘキサンポリオールのポリカーボネート等が挙げられ、市販品としてはDN−980、981、982、983(以上、日本ポリウレタン製)、PC−8000(米国PPG製)、PC−THF−CD(BASF製)等が挙げられる。
【0018】
さらにポリカプロラクトンポリオールとしては、例えばε−カプロラクトンと、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンポリオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンポリオール等の2価のポリオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。これらのポリオールは、プラクセル205、205AL、212、212AL、220、220AL(以上、ダイセル化学工業製)等の市販品として入手することができる。
【0019】
上記以外の他のポリオールも数多く使用することができる。このような他のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンポリオール、1,5−ペンタンポリオール、1,6−ヘキサンポリオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール、β−メチル−δ−バレロラクトン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、ヒマシ油変性ポリオール、ポリジメチルシロキサンの末端ポリオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ポリオール等が挙げられる。
【0020】
また上記したようなポリオールを併用する以外にも、ポリオールとともにジアミンを併用することも可能である。このようなジアミンとしては、例えばエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジアミンやヘテロ原子を含むジアミン、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。
【0021】
これらのポリオールのうち、ポリエーテルポリオール、特に脂肪族ポリエーテルポリオールが好ましい。具体的には、ポリプロピレングリコールや、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの共重合体が好ましい。これらのポリオールは、PPG−400、PPG1000、PPG2000、PPG3000、EXCENOL720、1020、2020(以上、旭硝子ウレタン(株))。ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの共重合体であるジオールは、EO/BO500、EO/BO1000、EO/BO2000、EO/BO3000、EO/BO4000(以上、第一工業製薬製)などの市販品として入手できる。
【0022】
ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートが好ましく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(または2,6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。特に、2,4−トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が好ましい。
【0023】
これらのポリイソシアネートは、単独あるいは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンポリオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記式(1)または(2)
【0025】
【化1】

【0026】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、nは1〜15の数を示す)
で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物を使用することもできる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0027】
これらの、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独であるいは二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートの使用割合は、ポリオールに含まれる水酸基1当量に対してポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基が1.1〜3当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.2〜1.5当量となるようにするのが好ましい。
【0029】
これらの化合物の反応においては、例えばナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のウレタン化触媒を、反応物の総量100重量部に対して0.01〜1重量部用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常10〜90℃、特に30〜80℃で行うのが好ましい。
【0030】
水酸基含有(メタ)アクリレートの一部をイソシアネート基に付加しうる官能基を持った化合物で置き換えて用いることもできる。例えば、γ−メルカプトトリメトキシシラン、γ−アミノトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらの化合物を使用することにより、ガラス等の基材への密着性を高めることができる。
【0031】
また、本発明の放射線硬化型液状樹脂組成物には、さらに、ジイソシアネート1モルに対して水酸基含有(メタ)アクリレート化合物2モルを反応させたウレタン(メタ)アクリレートを配合することもできる。かかるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,5(または2,6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの反応物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソフォロンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとイソフォロンジイソシアネートの反応物が挙げられる。
【0032】
これら(A)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、組成物全量に対して、通常30〜90質量%配合されるが、好ましくは55〜87質量%配合され、特に好ましくは65〜85質量%配合される。30質量%未満では弾性率の温度依存性が大きく、90質量%を超えると放射線硬化型液状樹脂組成物の粘度が高くなることがある。
【0033】
本発明においては、(B)単官能性硬化性モノマーと(C)多官能性放射線硬化性モノマーを併用することにより、本発明樹脂組成物により形成されたアップジャケット層の剥離に必要な適度な破壊強度を得ることができる。(B)単官能性硬化性モノマーのみでは、破断伸びが大きくなり、アップジャケット層剥離のために大きな変形が必要になる等剥離が困難となる。一方(C)多官能性硬化性モノマーのみでは、ヤング率が高くなるとともに破断伸びが小さくなり、アップジャケット層剥離時に破壊が起こりやすくなり、隣接被覆層を傷つけるなどの問題が生じる。
【0034】
(B)成分である単官能性放射線硬化性モノマーとしては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム;イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等が挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、下記式(3)〜(6)で表される化合物を挙げることができる。
【0035】
【化2】

【0036】
(式中、R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基を示し、R4は水素原子または炭素数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基を示し、rは0〜12、好ましくは1〜8の数を示す)
【0037】
【化3】

【0038】
(式中、R5は水素原子またはメチル基を示し、R6は炭素数2〜8、好ましくは2〜5のアルキレン基を示し、R7は水素原子またはメチル基を示し、pは好ましくは1〜4の数を示す。)
【0039】
【化4】

【0040】
(式中、R8、R9、R10およびR11は互いに独立で、HまたはCH3であり、qは1〜5の整数である)
【0041】
これら単官能性放射線硬化性モノマーのうちN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリルアクリレートが好ましい。
【0042】
これら単官能性放射線硬化性モノマーの市販品としてはIBXA(大阪有機化学工業製)、アロニックスM−111、M−113、M114、M−117、TO−1210(以上、東亞合成製)を使用することができる。
(B)成分である単官能性放射線硬化性モノマーは、粘度の点から組成物全量に対して、通常1〜70質量%配合されるが、より好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは1〜30質量%配合される。
【0043】
(C)成分である多官能性放射線硬化性モノマーは、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する放射線硬化性モノマーである。(C)成分としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンポリオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体のポリオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体のポリオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテルおよび下記式(7)
【0044】
【化5】

【0045】
(ここで、R12およびR13は互いに独立に水素原子またはメチル基でありそしてnは1〜100の数である)
で表わされる化合物等が挙げられる。
【0046】
これら多官能性放射線硬化性モノマーのうち、上記式(7)で表わされる化合物例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイドを付加させたビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イアオシアヌレートトリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0047】
これら多官能性放射線硬化性モノマーの市販品として例えば、ユピマーUV、SA1002(以上、三菱化学製)、アロニックスM−215、M−315、M−325、TO−1210(以上東亞合成製)を使用することができる。
【0048】
(C)成分である多官能性硬化性モノマーは、組成物全量に対して、粘度およびヤング率および伸びの点から、通常1〜60質量%配合されるが、好ましくは1〜40質量%、特に好ましくは1〜30質量%配合される。
【0049】
本発明においては、(D)成分である平均粒子径が0.1〜100μmの無機粒子またはポリマー粒子を配合することにより、本発明樹脂組成物により形成されたアップジャケット層の剥離性が改善されるとともに、作業環境が変化した場合にも安定した剥離性が得られる。すなわち、(D)成分の粒子を配合することにより、アップジャケット層の硬化収縮率および線膨張係数が小さくなる。硬化収縮率が小さくなることにより、アップジャケット心線製造時に硬化収縮により生じるアップジャケット層の巻き締め力が弱くなり、アップジャケット層と下層との密着力を一定以下に調整することが容易になる。このことにより安定な剥離性が得られる。
また、線膨張係数が小さくなることにより、アップジャケット層の巻き締め力の温度依存性が小さくなり、温度変化に伴うアップジャケット層と下層との密着力の変化が小さくなる。このことにより剥離性の温度依存性が小さくなる。さらに、(D)成分自体の各種環境条件下(85℃/85%、80℃dry、120℃dry、80℃温水等)での形状変化が小さいため、これらの条件下でのアップジャケット層の体積変化が小さくなる。このことにより、各種作業条件下での剥離性の安定性に優れる。
【0050】
当該(D)成分の平均粒子径は0.1〜100μmであり、より好ましくは0.5〜100μmである。0.1μm未満では、組成物の粒度が高くなりすぎるとともに、剥離性向上の効果が十分に得られない。また100μmを超えるとアップジャケット心線の伝送ロスが大きくなる。
【0051】
(D)成分のうち、無機粒子としては、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、マイカ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコン、ケイ酸ジルコン、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ホウ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベントライト、ゼオライト、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ガラスビーズ、炭素繊維等を主成分とする粒子を挙げることができる。より好ましくは、炭酸カルシウムまたは水酸化アルミニウムを主成分とする粒子である。これらの無機粒子表面はシリコーン樹脂、シランカップリング剤、リン系カップリング剤などで修飾されていても良い。
【0052】
ポリマー粒子としては、ポリオレフィン、アクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、シリコーン樹脂、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体等を主成分とする粒子を挙げることができる。これらのポリマー粒子は架橋ポリマー粒子、非架橋ポリマー粒子のいずれを用いてもよい。より好ましくはスチレン/ジビニルベンゼン共重合体またはアクリル系樹脂を主成分とする粒子である。
【0053】
(D)成分である無機粒子またはポリマー粒子の市販品としては、C302A(水酸化アルミニウム、粒子径1.14μm、2.0μm、5.0μm各種;住友化学製)、H42−S(水酸化アルミニウム表面ステアリン酸処理品:昭和電工製、粒子径1.2μm)、H42−STV(水酸化アルミニウム表面ビニルシラン処理品:昭和電工株式会社、粒子径1.1μm)、UD−650(水酸化マグネシウム、粒子径3.26μm、宇部マテリアルズ製)、UD−653(水酸化マグネシウム、粒子径:3.02μm、水酸化マグネシウム表面脂肪酸処理品(協和発酵製、粒子径:1.0μm)、KISUMA−5P(水酸化マグネシウム表面ビニルシラン処理品、協和化学製、粒子径:0.89μm)、KISUMA−5L(水酸化マグネシウム表面ビニルシラン処理品、粒子径:0.89μm)KISUMA−5A(水酸化マグネシウム表面脂肪酸処理品、協和化学製、粒子径:0.82μm)、KISUMA−5B(水酸化マグネシウム表面脂肪酸処理品。粒子径:0.87μm)、カルシーズP(炭酸カルシウム表面脂肪酸処理品、神島化学製、粒子径:0.15μm)等が挙げられる。
【0054】
これらの無機粒子およびポリマー粒子のうち、汎用性と難燃性を付与することができる点から、無機粒子が好ましく、さらに炭酸カルシウムまたは水酸化アルミニウムを主成分とする粒子、さらに水酸化アルミニウムを主成分とする粒子であって表面処理されているものが好ましい。
【0055】
これら(D)成分である無機粒子またはポリマー粒子は、剥離性向上効果およびアップジャケット材としての特性維持の点から5〜60質量%、さらに15〜50質量%が好ましい。
【0056】
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、さらに、(E)成分として、平均分子量1000以上のポリオール(E1)またはシリコーン化合物(E2)を含有する。当該(E)成分は、本発明の樹脂組成物を用いて形成された光ファイバアップジャケット層の隣接する層からの剥離性向上効果を得るうえで重要である。なお、ここで平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定したポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0057】
(E1)成分であるポリオールの分子量が1000未満では、インキ層への移行の問題から耐久性のうえで問題があり好ましくない。より好ましいポリオール化合物の分子量は1000〜10000であり、さらに好ましくは1000〜8000である。
【0058】
(E1)成分のポリオール化合物ポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールおよびその他のポリオールが挙げられる。これらのポリオールの各構造単位の重合様式には特に制限されずランダム重合、ブロック重合、グラフト重合のいずれであってもよい。
【0059】
これらのうち、分子量1000以上のポリエーテルポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールあるいは二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られる脂肪族ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸、あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルポリオールを使用することもできる。上記二種以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組み合わせとしては、例えばテトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブテン−1−オキシド、エチレンオキシドの3元重合体等を挙げることができる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状の結合をしていてもよい。
【0060】
これらの脂肪族ポリエーテルポリオールは、例えばPTMG2000(三菱化学製)、PPG2000、PPG3000、EXCENOL2020(以上、旭硝子ウレタン製)、DC1800(日本油脂製)、PPTG2000、PTGL2000(以上、保土谷化学製)、PBG2000A、PBG2000B(以上、第一工業製薬製)等の市販品としても入手することができる。
【0061】
さらに、ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ポリオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ナフトハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、アントラハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、1,4−シクロヘキサンポリオールおよびそのアルキレンオキサイド付加ポリオール、トリシクロデカンポリオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンポリオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等の環式ポリエーテルポリオールが挙げられる。その他、環式ポリエーテルポリオールとしては、キレンオキシド付加ポリオール、ビスフェノールFのアルキレノキシド付加ポリオール、1,4−シクロヘキサンポリオールのアルキレノキシド付加ポリオールなどが挙げられる。これらのポリオールは、直鎖状の分子であってもよいし、分岐構造を有していてもよい。また、これらの併用であってもよい。
【0062】
これらのポリオールのうち、特に例えばメチル基、エチル基に代表されるアルキル基等の分岐構造を有し、その分岐による各分岐鎖の末端に水酸基を有し、ポリオールの分子量を該分岐鎖末端の水酸基の数で割った値が500〜2000であるポリオール(以下、「分岐構造を有するポリオール」ともいう。)を含有することが好ましい。
【0063】
分岐構造を有するポリオールの具体例としては、グリセリン、あるいはソルビトール等にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種類を開環重合したポリオールが好ましく、特に、ポリプロピレングリコールや、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの共重合体が好ましい。
【0064】
ポリオールの分子量を該分岐鎖末端の水酸基の数で割った値は、好ましくは500〜2000であり、さらに好ましくは1000〜1500である。またポリオール自体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で求めたポリスチレン換算分子量として、1000〜12000、さらに2000〜10000、特に2500〜8000が好ましい。
【0065】
また分岐構造を有するポリオールは、一分子中に分岐による分岐鎖末端水酸基を3〜6個有するものが好ましい。
【0066】
ポリオールの市販品としては、PPG2000、PPG3000、EXCENOL2020(以上、旭硝子ウレタン(株))。ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの共重合体であるジオールは、EO/BO2000、EO/BO3000、EO/BO4000(以上、第一工業製薬製)などの市販品として入手できる。
また、分岐構造を有するポリオールの市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製、旭硝子ウレタン(株)製三洋化成工業(株)製の「サニックスTP−400」、「サニックスGL−3000」、「サニックスGP−250」、「サニックスGP−400」、「サニックスGP−600」、「サニックスGP−1000」、「サニックスGP−3000」、「サニックスGP−3700M」、「サニックスGP−4000」、「サニックスGEP−2800」、「ニューポールTL4500N」等が挙げられる。
【0067】
(E1)成分の配合量は、アップジャケット層の剥離性および強度や耐候性の点から、成分(A)、(B)および(C)の合計量100質量%に対して、0.1〜50質量%、さらに1〜30質量%、特に1〜20質量%が好ましい。
【0068】
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、さらに、(E2)成分として分子量1,000以上のシリコーン化合物を含有する。当該(E)成分は、本発明の樹脂組成物を用いて形成された光ファイバアップジャケット層の隣接する層からの剥離性向上効果を得るうえで重要である。(E)成分の平均分子量は、1,000〜30,000が好ましい。平均分子量が1,000未満では、十分な剥離性向上効果が得られず、平均分子量が30,000を超えると剥離性向上効果が不十分となる。より好ましい平均分子量は1,000〜20,000であり、さらに3,000〜15,000が好ましい。
【0069】
当該シリコーン化合物としては、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、ウレタンアクリレート変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、エポキシポリエーテル変性シリコーン、アルキルアラルキルポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、このうちポリエーテル変性シリコーンが特に好ましい。ポリエーテル変性シリコーンとしては、少なくとも1個のケイ素原子に基R14−(R15O)s−R16−(ここで、R14は水酸基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、R15は炭素数2〜4のアルキレン基を示し(ここでR15は2種以上のアルキレン基が混在していてもよい)、R16は炭素数2〜12のアルキレン基を示し、sは1〜20の数を示す)が結合しているポリジメチルシロキサン化合物が好ましい。このうちR15としては、エチレン基、プロピレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。当該シリコーン化合物の市販品としては、例えばSH28PA;ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、東レダウコーニング社、FM0411;サイラプレーン、チッソ、SF8428;ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体(側鎖OH含有)、東レダウコーニング社、BYK UV3510(ビックケミー・ジャパン株式会社製、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)、DC57(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)等を挙げることができる。
【0070】
さらに、(E)成分である平均分子量1000以上のポリオールまたはシリコーン化合物は、(メタ)アクリロイル基を有していてもよい。かかる構造の(E)成分は、例えば、(E1)ポリオール又は水酸基を有する(E2)シリコーン化合物の各水酸基を、イソシアネートを介して、水酸基含有(メタ)アクリレートと反応させることにより得ることができる。
【0071】
(E)成分の配合量は、アップジャケット層の剥離性及び強度や耐候性の点から、成分(A)、(B)及び(C)の合計量100質量%に対して0.1〜50質量%、さらに0.5〜40質量%、特に1〜20質量%が好ましい。
【0072】
また、本発明の樹脂組成物には、(F)光重合開始剤を用い、必要に応じて、さらに光増感剤を併用するのが好ましい。ここで、光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォフフィンオキシド;IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製);LucirinTPO(BASF製);ユベクリルP36(UCB製)等が挙げられる。また、光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル;ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB製)等が挙げられる。
【0073】
本発明の樹脂組成物を紫外線および熱を併用して硬化させる場合には、過酸化物、アゾ化合物等の熱重合開始剤と光重合開始剤を併用することもできる。(F)光重合開始剤は、組成物全量に対して、0.1〜10質量%、特に0.3〜7質量%配合するのが好ましい。
【0074】
また、本願発明の樹脂組成物には、(G)難燃剤を添加することもできる。(G)難燃剤としては、公知のものであれば特に限定されるものではないが、ハロゲン系(臭素、塩素系)、リン系、窒素系またはシリコーン系の難燃剤を挙げることができる。
【0075】
臭素系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)、デカブロモジフェニルオキサイド、ホキサブロモシクロドデカン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、TBBPAポリカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、TBBPAエポキシオリゴマー、TBBPAビスブロモプロピルエーテル、エチレンビスペンタブロモジフェノール、ペンタブロモベンジルアクリレート、ヘキサブロモベンゼン、臭素化芳香族トリアジン等を挙げることができる。
【0076】
リン系難燃剤としては、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、赤リン系、ホスファフェナントレン系等を挙げることができる。
【0077】
塩素系難燃剤としては、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、クロレンド酸等を挙げることができる。
【0078】
(G)難燃剤の配合量は、(A)成分〜(E)成分の合計量100質量部中に、1.0〜50質量部配合されることが好ましく、好ましくは1.0〜50質量部、特に好ましくは1〜20質量部配合されることが好ましい。1.0質量部未満であると、難燃効果が不十分であり、50質量部を越えると、難燃剤が硬化物中からブリードアウトしたり、アップジャケット層としての弾性特性等に悪影響を与えるため好ましくない。
【0079】
本発明の組成物には、必要に応じて各種添加剤、例えば、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、老化防止剤、濡れ性改良剤、塗面改良剤等を配合することができる。
【0080】
なお、本発明の液状硬化性樹脂組成物は、熱および/または放射線によって硬化されるが、ここで放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
【0081】
本発明の樹脂組成物の硬化物は、好ましくは200MPa〜500MPaのヤング率を示すのが好ましい。また、アップジャケット層を形成するには膜厚100〜350μmに被覆するのが好ましい。
【実施例】
【0082】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれら実施例に限定されるものではない。
【0083】
合成例1(ウレタンアクリレートオリゴマー;実施例1〜8に使用)
撹拌機を備えた反応容器に、テトラエチレンノニルフェニルエーテルアクリレート15.381g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.015g、トルエンジイソシアナート7.80g、ジブチル錫ジラウレート0.023gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が20℃〜15℃になるまで氷冷した。ヒドロキシエチルアクリレート6.00gを加え、液温が35℃以下になるように制御しながら2時間撹拌して反応させた。次に、上記の混合物に数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール(PTMG2000、三菱化学製)28.341g、数平均分子量400のポリエチレングリコールビスフェノールAエーテル(ユニオールDA400、日本油脂製)1.790g、ジブチル錫ジラウレート0.022gを加え、1時間室温で撹拌後、油浴にて65℃で2時間拡販した。残留イソシアネートが0.1重量%以下になった時を反応終了とした。以上により、ポリエチレングリコールビスフェノールAエーテルの両末端水酸基にトルエンジイソシアネートを介してヒドロキシエチルアクリレートが結合したウレタンアクリレートオリゴマー(A−1とする。)、ポリテトラエメチレングリコールの両末端水酸基にトルエンジイソシアネートを介してヒドロキシエチルアクリレートが結合したウレタンアクリレートオリゴマー(A−2とする)、及びトルエンジイソシアネートの2つのイソシアネート基にヒドロキシエチルアクリレートが結合したウレタンアクリレートオリゴマー(A−3とする)の3種類の(A)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの混合溶液を得た。
【0084】
合成例2(ウレタンアクリレートオリゴマー;実施例9〜19に使用)
撹拌機を備えた反応容器に、イソボルニルアクリレート87.93g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.124g、トルエンジイソシアナート131.77g、ジブチル錫ジラウレート0.212gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が20℃〜15℃になるまで氷冷した。ヒドロキシエチルアクリレート114.02gをゆっくりと滴下し、液温が35℃以下になるように制御しながら2時間撹拌して反応させた。次に、上記の混合物に数平均分子量2000のポリテトラエメチレングリコール199.37g、数平均分子量400のポリエチレンビスフェノールAエーテル69.78g、ジブチル錫ジラウレート0.200gを加え、1時間室温で撹拌後、油浴にて65℃で2時間拡販した。残留イソシアネートが0.1重量%以下になった時を反応終了とした。以上により、合成例1と同様の3種類のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(A−1、A−2及びA−3)の混合溶液を得た。
【0085】
[合成例3:(E1)(メタ)アクリロイル基を有するポリオールの調製]
撹拌機を備えた反応容器に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.184g、トルエンジイソシアネート31.20g、ジブチル錫ジラウレート0.615gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃以下になるまで氷冷した。ここへ、2-ヒドロキシルエチルアクリレート20.80gをゆっくりと温度が25℃以上にならないように注意しながら滴下し、20℃で2時間撹拌した。その後、数平均分子量10000のプロピレンオキサイドの開環重合体716.57gを加え、液温を50℃にしながら2時間撹拌して反応させ、残留イソシアネートが0.1重量以下となったときを反応終了とした。ここへ、50℃で1時間撹拌し、目的の(メタ)アクリロイル基を1個有するウレタンアクリレートを得た。得られた(E1)成分を、「E1−2」とする。
【0086】
[合成例4:(E2)(メタ)アクリロイル基を有するシリコーン化合物の調製]
撹拌機を備えた反応容器に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.024g、FM0411(ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体(分子量1170)、チッソ株式会社)79.911g、トルエンジイソシアネート11.986g、ジブチル錫ジラウレート0.08gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃以下になるまで氷冷した。ここへ、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート7.991gをゆっくりと温度が25℃以上にならないように注意しながら滴下し、20℃で2時間撹拌した。液温を50℃にしながら2時間撹拌して反応させ、残留イソシアネートが0.1重量以下となったときを反応終了とし目的の(メタ)アクリロイル基を1個有するウレタンアクリレートを得た。得られた(E2)成分を、「E2−2」とする。
【0087】
実施例1〜19および比較例1〜3
表1に示す組成の各成分および粒子を撹拌機を備えた反応容器に仕込み、液温度を60℃に制御しながら2時間撹拌し、放射線硬化型液状樹脂組成物を得た。
【0088】
試験例1
前記実施例および比較例で得た樹脂組成物を以下のような方法で硬化させ、試験片を作製し、下記の各評価を行った。
1.試験片の作製
試験用フィルムの作成:250ミクロン厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気下で1J/cm2のエネルギーの紫外線で照射して硬化して試験用フィルムを得た。
【0089】
2.硬化収縮率
まず、デソライトの液状を泡が入らないように洗浄乾燥した比重瓶に満たし、蓋をして25℃の恒温水槽で30分間放置した。比重瓶の蓋を上から押さえ、周りに溢れたデソライトをふき取り、質量を測り、比重瓶の重さをもとに密度と比重を算出した。
また上記で作成したフィルムをおよそ20mm×20mmの大きさに切り、質量を測りとった。ビーカーに25℃の蒸留水をおよそ180mLをいれ、針金を吊り下げ蒸留水中に浸したときの質量を測りとった。さらに、針金に試験片を取り付けて蒸留水中に完全に浸したときの質量を測りとり、上記の液状での密度と比重の値とフィルムの密度と比重から硬化収縮率を算出した。
【0090】
3.線膨張係数
上記で得られた硬化フィルムを3mm×30mmの短冊状に切り、引っ張りモード用のプローブにチャック間距離20mm、サンプル幅3mmで取り付けた。荷重を1gに設定し、熱膨張係数測定装置(TMA:セイコー電子製)により測定を行った。
【0091】
試験例2
前記実施例および比較例で得た樹脂組成物を用いてアップジャケット層を形成し、その剥離性を評価した。
(1)アップジャケット層の調製
リワインダーモデルにより作成したアップジャケット化した素線(ガラスファイバー(合成石英棒;TSL株式会社)からに、プライマリ材:一次被覆材(R1164;JSR株式会社製)、セカンダリ材:二次被覆材(R3180;JSR株式会社製)、インキ材:(FS青インキ;T&K TOKA)の順でタンデムでをリワインダーモデル(吉田工業株式会社製)を用いて塗布及び紫外線硬化した作製した太さが外径250μmの光ファイバ素線に対して、表1に示した各硬化性組成物をアップジャケット材を用いて同装置を用いてさらに塗布及び紫外線硬化することによりしてアップジャケット層を被覆し、全体の太さを外径500μmにする。)の光ファイバアップジャケット心線を作製してこれを測定試料とした。
【0092】
(2)剥離応力
ガラスファイバーに、一次被覆材(R1164;JSR株式会社製)、二次被覆材(R3180;JSR株式会社製)、インキ材(FS青インキ;株式会社ティーアンドケイ東華)をリワインダーモデル(吉田工業株式会社製)を用いて塗布及び紫外線硬化した作製した外径250μmの光ファイバ素線に対して、表1に示した各硬化性組成物を同装置を用いてさらに塗布及び紫外線硬化してアップジャケット層を被覆し、外径500μmのアップジャケット心線を作製してこれを測定試料とした。
図1に示すように、アップジャケット素線の末端から3cmの個所をホットストリッパー(古河電気工業株式会社製)で保持し、引っ張り試験機(島津製作所株式会社製)を用いて速度50m/minで引っ張り、アップジャケット層を引き抜く際の被覆除去応力(図2に示す最大応力)を測定した。測定温度は、23℃及び−20℃である。測定は、アップジャケット心線の製造直後(「製造直後の被覆除去応力」という。)及び85℃・相対湿度85%環境下に7日間放置した後(「高温高湿試験後の被覆除去応力」という。)にそれぞれ測定した。
【0093】
得られた結果を表1に示す。表1中の各成分の配合量は質量部である。
【0094】
【表1】

【0095】
Irgacure 184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社
Lucirin TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド;ビーエーエスエフジャパン株式会社
Irgacure 819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルフォスフィンオキサイド;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社
Irganox 1035:チオジエチレン ビス(3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート);チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社
E1−1:PPG4000:分子量4000のポリプロピレングリコール;旭硝子ウレタン株式会社
E1−2:合成例3で得られた(メタ)アクリロイル基を有する分子量10000のポリプロピレングリコール
E2−1:DC57:ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社
E2−2:合成例4で得られた(メタ)アクリロイル基を有する分子量1170のシリコーン化合物
粒子1:C302A(水酸化アルミニウム、平均粒径2.0μm;住友化学株式会社)
粒子2:H42−S(水酸化アルミニウム表面ステアリン酸処理品、平均粒径1.2μm:昭和電工株式会社)
粒子3:エース35(炭酸カルシウム、平均粒径1.0μm:林化成株式会社)
粒子4:SX8742(A)−09(スチレン/ジビニルベンゼン共重合体、平均粒径0.9μm;JSR株式会社製)
粒子5:H42−STV(水酸化アルミニウム表面ビニルシラン処理品:昭和電工株式会社)
粒子6:KISUMA−5A(水酸化マグネシウム表面脂肪酸処理品、協和化学製)
粒子7:KISUMA−5P(水酸化マグネシウム表面ビニルシラン処理品、協和化学製)
粒子8:カルシーズP(炭酸カルシウム表面脂肪酸処理品、神島化学製)
【0096】
表1から明らかなように、本発明の組成物で形成された硬化物は、光ファイバ被覆材として良好な性質を有し、剥離性が良好であり、かつその剥離性は温度変化、湿熱の耐久後も良好であることから、本発明の組成物はアップジャケット用組成物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】引っ張り試験機の概略図を示す。
【図2】被覆除去時の応力挙動概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)成分〜(E)成分:
(A)ポリオール、ポリイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、
(B)単官能性放射線硬化性モノマー、
(C)多官能性放射線硬化性モノマー、
(D)平均粒子径が0.1〜100μmの無機粒子またはポリマー粒子 5〜60質量%、
(E)平均分子量1000以上のポリオールまたはシリコーン化合物 1〜20質量%
を含有する光ファイバアップジャケット用放射線硬化型液状樹脂組成物。
【請求項2】
(D)成分が、無機粒子である請求項1記載の光ファイバアップジャケット用放射線硬化型液状樹脂組成物。
【請求項3】
(D)成分が、炭酸カルシウム又は水酸化アルミニウムを主成分とするものである請求項2に記載の光ファイバアップジャケット用放射線硬化型液状樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一に記載の光ファイバアップジャケット用放射線硬化型液状樹脂組成物の硬化物からなる光ファイバアップジャケット層。
【請求項5】
請求項4に記載の光ファイバアップジャケット層を有する光ファイバアップジャケット心線。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−126763(P2006−126763A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347423(P2004−347423)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(303043450)デーエスエム アイピー アセット ビー ヴイ (5)
【氏名又は名称原語表記】DSM IP Assets B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1 6411 TE Heerlen, The Netherlands
【Fターム(参考)】